JP5712622B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は使い捨ておむつ(例えば、テープ型おむつ、パンツ型おむつ)や、尿パッド等の吸収性物品に関する。更に詳しくは、立体ギャザーを有し、その固定端(起立線の部分)の視認性を高めた吸収性物品に関する。
吸収性物品は、吸収体と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、吸収体の表面を被覆するように配置されたトップシートと、液不透過性材料からなり、吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートと、を備えている。このような吸収性物品は、通常、着用者の排泄した尿の横漏れを防止するための部材であり、立体的に起立可能なように構成された防漏壁である立体ギャザーが形成されている。
立体ギャザーの視認性を向上させることを目的とした吸収性物品が種々開示されている。例えば、立体ギャザーの糸ゴムに色をつけた吸収性物品が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、立体ギャザーに目印を付した吸収性物品が開示されている(例えば、特許文献2参照)。更に、立体ギャザー自体を有色とした吸収性物品が開示されている(例えば、特許文献3参照)。また、バックシートに色をつけた吸収性物品が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2008−289602号公報 特開2008−307298号公報 特開2008−29714号公報 特許第4392857号明細書
上記特許文献では、立体ギャザー自体の位置を視認できるという効果は奏する。しかし、立体ギャザーがその固定端から十分に起立した状態で使用しているか否かを視認できるものではなかった。
立体ギャザーを、その固定端から十分に起立させないで使用した場合、フィット性を向上させ、尿の横漏れを防止するという立体ギャザーの効果を十分発揮させることができないという問題がある。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものである。本発明の課題とするところは、装着時に立体ギャザーがその固定端から十分に起立しているか否かを視認することができる吸収性物品を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、撥水性シートとトップシートの接着部のうち、立体ギャザーの起立線となる固定端を構成する接着部の少なくとも一部を、着色された接着剤により形成された着色接着部とすることによって、上記課題を解決することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示す吸収性物品が提供される。
[1]吸収体と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、前記吸収体の表面を被覆するように配置されたトップシートと、液不透過性材料からなり、前記吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートと、撥水性シートからなり、前記吸収体の両側に配置された少なくとも一対の立体ギャザーと、を備え、前記撥水性シートと前記トップシートとを接着する接着部を有し、前記立体ギャザーの起立線となる固定端を構成する前記接着部が吸収性物品の前後方向全般に亘って、着色された接着剤により連続的に形成された着色接着部(但し、前記撥水性シートの前記着色接着部が配置された箇所に複数の凹部が設けられ、該凹部が凹部以外の部分とは異なる色に見えるものを除く)であり、前記着色接着部により、前記立体ギャザーの起立線となる前記固定端が視認可能に構成されている吸収性物品。
[2]前記着色接着部が、視認可能な色に着色された接着剤により形成され、前記視認可能な色が、前記トップシート及び前記撥水性シートの色と異なる色である前記[1]に記載の吸収性物品。
[3]前記着色接着部が、少なくとも前記トップシートの前記吸収体の表面を被覆している領域に形成されている前記[1]又は[2]に記載の吸収性物品。
本発明の吸収性物品は、装着時に立体ギャザーの固定端を視認することができ、立体ギャザーを十分に起立させて使用していることを確認することができる。そのため、本発明の吸収性物品は、フィット性を向上し、尿の横漏れを防止するという立体ギャザーの効果を十分に発揮することができるという効果を奏するものである。
本発明の吸収性物品の一実施形態を模式的に示す斜視図である。 図1Aに示す吸収性物品を展開し、トップシート方向から見た状態を模式的に示す概略平面図である。 図1Bに示す吸収性物品のA−A’切断端面を模式的に示す概略端面図である。 本発明の吸収性物品の他の実施形態を示す概略平面図であり、吸収性物品を展開し、トップシート側から見た状態を模式的に示す概略平面図である。 図2Aに示す吸収性物品のB−B’切断端面を模式的に示す概略端面図である。 収性物品の更に他の実施形態を示す概略平面図であり、吸収性物品を展開し、トップシート側から見た状態を模式的に示す概略平面図である。 図3Aに示す吸収性物品のC−C’切断端面を模式的に示す概略端面図である。 収性物品の更に他の実施形態を示す概略平面図であり、吸収性物品を展開し、トップシート側から見た状態を模式的に示す概略平面図である。 図4Aに示す吸収性物品のD−D’切断端面を模式的に示す概略端面図である。 収性物品の更に他の実施形態を示す概略平面図であり、吸収性物品を展開し、トップシート側から見た状態を模式的に示す概略平面図である。 図5Aに示す吸収性物品のE−E’切断端面を模式的に示す概略端面図である。 本発明の吸収性物品に係る接着部の形態の概略を模式的に示す図である。 収性物品に係る着色接着部の形態の概略を模式的に示す図である。 収性物品に係る着色接着部の形態の概略を模式的に示す図である。
以下、本発明の吸収性物品を実施するための形態として、使い捨ておむつの例により具体的に説明する。但し、本発明の吸収性物品は、その発明特定事項を備えるもの(例えば、尿パッド等)を広く包含するものであり、以下の実施の形態に限定されるものではない。
[1]定義等:
「使い捨ておむつ」とは、前身頃、股下部及び後身頃の各部からなり、吸収体と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、前記吸収体の表面を被覆するように配置されたトップシートと、液不透過性材料からなり、前記吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートと、を備え、着用者の腰周りを被包するように装着される吸収性物品を意味する。
「パンツ型使い捨ておむつ」とは、前記使い捨ておむつのうち、図1A〜図1Cに示す使い捨ておむつ1Aのように、一つのウエスト周り開口部10及び左右一対の脚周り開口部12(12a、12b)が形成されたパンツ型を呈する外装体16と、外装体16の内部に配置され、吸収体が内包された吸収パッドである吸収性本体14とを備えたものを意味する。
「テープ型使い捨ておむつ」とは、前記使い捨ておむつのうち、図2A〜図2B、図3A〜図3B、図4A〜図4B、及び図5A〜図5Bに示すように、前身頃2と後身頃6とを止め付ける止着テープ11を備えたものを意味する。なお、図2A〜2B、図3A〜3B、及び図4A〜図4Bの形態は主に子供用に適した形態であり、図5A〜図5Bの形態は主に大人用に適した形態である。
「吸収性物品の前後方向」とは、例えば図1B、図2A、図3A、図4A、図5Aに示すように吸収性物品1を展開し、トップシート方向から見た状態を模式的に示す概略平面図において、前身頃2〜後身頃6に向う方向Xを意味する。
「接着剤」は、図6(a)〜図6(d)に示すような様々な塗工形態で形成することができる。即ち、塗工形態としては、線状の形態(図6(a)参照)に加えて、スパイラル状に塗工する形態(図6(b)参照)、幅方向に複数本の線状を形成する形態(図6(c)参照)、面状に塗工する形態(図6(d)参照)等がある。また、コーター等ではなく、スプレーで塗工する形態でもよい。なお、接着剤を全面にベタ塗り(図6(a)、図6(d)参照)又は全面にスプレーする形態のみならず、スパイラル状に塗工する形態(図6(b)参照)も、接着剤を吸収性物品の前後方向に塗工している間に塗工ヘッドが被塗工体となるトップシート材等から離間されない限り、「連続的な」接着部の形成に利用することができる。
これらの形態は、例えば、スリットコーター(シムコーター)、カーテンスプレー、スパイラルスプレー、オメガコート、コームガン、シュアラップ、サミット、シグネチャー等の接着方法により形成することができる。より具体的な例として、オメガコートは、オメガノズルヘッド(ITWダイナテック社製)を用いることにより、シュアラップは、シュアラップノズル(ノードソン社製)を用いることにより実施することができる。
図7及び図8は、図1A〜図1Cに示す本発明の吸収性物品の一実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1Aにおいて、吸収性本体14の形態を模式的に示す図である。なお、この図のような態様は、本発明の吸収性物品の一実施形態である尿パッドに適用することができる。
本明細書中、「間欠的に」とは、2つの形態を意味する。即ち、(1)図8(a)に例示するように、着色接着部50と着色接着部50の間に着色されていない通常の接着剤による接着部51が形成されている形態、及び(2)図8(b)や図8(c)に例示するように、着色接着部50と着色接着部50の間に非接着部52を有する形態、を意味する。より具体的には、上記(1)の場合、着色接着部50と着色接着部50の間に着色されていない通常の接着剤による接着部51が少なくとも1cm以上形成されている形態を意味する。また、上記(2)の場合、吸収性物品の前後方向において、着色接着部50と着色接着部50の間に、1cm以上の非接着部52を有する形態を意味する。
なお、図8(a)には、通常の接着剤による接着部51は1箇所しか形成されていない。しかしながら、図8(d)に示すように、通常の接着剤による接着部51が複数箇所形成されていても良い。また、図8(e)に示すように、着色接着部50と通常の接着剤による接着部51に非接着部52を有していても良い。
本明細書中、「連続的に」とは、2つの形態を意味する。即ち、(1)図7に例示すように、着色接着部50と着色接着部50の間に着色されていない通常の接着剤による接着部が存在しない形態、及び(2)図示はしないが、着色接着部と着色接着部の間に非接着部を有しない形態、を意味する。
なお、図7(a)においては、着色接着部50はトップシート18の一方の端縁から他方の端縁まで前後方向全般に亘って形成されている。しかしながら、少なくとも立体ギャザー26が起立する領域に着色接着部50が形成されていればよく、図7(b)や図7(c)に示すように、その前後方向の両端縁付近は着色されていない通常の接着剤による接着部51である形態も「連続的に」という形態に含まれる。
[2]本発明の吸収性物品の構成:
収性物品は、図1A〜図1C、図2A〜図2B、図3A〜図3B、図4A〜図4B、及び図5A〜5Bに示すような、1)吸収体22と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、吸収体22の表面を被覆するように配置されたトップシート18と、液不透過性材料からなり、吸収体22の裏面を被覆するように配置されたバックシート20と、撥水性シートからなり、吸収体22の両側に配置された少なくとも一対の立体ギャザー26と、を備えること、2)撥水性シートとトップシート18とを接着する接着部を有すること、3)立体ギャザー26の起立線となる固定端を構成する接着部の少なくとも一部が、着色された接着剤により形成された着色接着部50であること、を発明特定事項とする。
立体ギャザーの起立線となる固定端を構成する接着部の少なくとも一部が、着色された接着剤により形成された着色接着部であることで、装着時に立体ギャザーの固定端を視認することができ、立体ギャザーの起立線となる固定端から十分に起立させて使用しているか否かを確認することができる。そのため、フィット性を向上し、尿の横漏れを防止するという立体ギャザーの効果を十分に発揮させる態様で吸収性物品を使用することができる。
また、図3Bや図5Bに示すような切断端面構造を有する吸収性物品1では、製造工程時に接着不良が生じた場合、SAP等が接着不良の部分を通ってトップシート18表面にこぼれ出るという問題が発生する。トップシート18表面にSAP等がこぼれ出た吸収性物品1は、着用者の肌触り感が損なわれるおそれがある。しかしながら、本願の吸収性物品においては、立体ギャザーの固定端を構成する接着部の少なくとも一部が着色された接着剤により形成された着色接着部50なので、製造工程に接着不良があるか否かを視認することができる。そのため、SAP等がトップシート18表面にこぼれ出た製品をいち早く発見し、その数を減らすという効果も期待できる。
なお、図5Bに示すような切断端面構造を有する吸収性物品1では、上ティッシュ54と下ティッシュ56の隙間からSAPがこぼれ出るために上記の問題が生じる。一方、図3Bに示すような切断端面構造を有する吸収性物品1は、フラッフパルプ及びSAPはティッシュ等の親水性シート28で完全に包まれているので、SAPがこぼれ出る隙間はない。しかしながら、SAPはフラッフパルプの全面に均一に担持させているので、親水性シートで包み込む際に親水性シートの表面にはみ出す場合がある。そのため、SAPが接着不良の部分を通ってトップシート18表面にこぼれ出るという問題が発生する場合がある。
[2−1]着色接着部の態様:
図1B及び図2Aに示すように、着色接着部50はトップシート18の吸収性物品の前後方向Xに対して連続的に形成していてもよい。連続的に形成することで、装着時に、吸収性物品の前後方向X全般に亘って立体ギャザー26の固定端を視認することができ、立体ギャザー26の起立線となる固定端から十分に起立させて使用しているか否かを確認することができる。そのため、フィット性を向上し、尿の横漏れを防止するという立体ギャザー26の効果を最も発揮させることが期待できる。
また、参考例として、図3A、図4A、及び図5Aに示すように、着色接着部50はトップシート18の吸収性物品の前後方向Xに対して間欠的に形成していてもよい。間欠的に形成することで、装着時に、吸収性物品の前後方向の一部で立体ギャザー26の固定端を視認できなく、立体ギャザー26の起立線となる固定端から十分に起立させて使用しているか否かを確認することができないという問題はある。しかしながら、着色接着部50を形成するために使用する着色された接着剤の使用量を低減することができるので、コストの観点から好ましい。
図3B及び図5Bに示すような切断端面構造を有する吸収性物品1で、着色接着部50をトップシート18の吸収性物品の前後方向に対して間欠的に形成する場合、着色接着部50は、少なくともトップシート18の吸収体22の表面を被覆している領域に形成することが好ましい。これは、着色接着部50が、製造工程時に接着不良が生じた場合、SAPが接着不良の部分を通ってトップシート18表面にこぼれ出る事がもっとも生じ易いトップシート18の吸収体22の表面を被覆している領域に形成されているからである。また、このように着色接着部を間欠的に形成すると、吸収性物品の前後方向Xで着用者等の位置合わせをする際にも有用である。
吸収性物品において、撥水性シートとトップシートは、立体ギャザーの起立線となる固定端を構成する接着部以外にも、通常、撥水性シートの前後方向の端縁近傍に、起立線となる固定端よりも内側で接着部を有している。この接着部は、図1B、図2A、図3A、図4A、図5Aに示すように、着色された接着剤により形成された着色接着部50であってもよく、図示はしないが、通常の接着剤により形成された接着部であってもよい。
[2−2]着色接着部の構成:
着色接着部は、着色された接着剤により形成されている。着色された接着剤としては、通常の使い捨ておむつ等で使用する接着剤に着色剤を配合することで調製することができる。なお、着色する色は、赤色、黄色、緑色、青色等の視認可能な色で、トップシート及び撥水性シートの色と異なる色であればよい。
着色接着部を形成するための接着剤としては、スチレン系、オレフィン系等の各種ホットメルト型接着剤、アクリル系接着剤や合成ゴム系接着剤を使用することができる。中でも、スチレン系、オレフィン系等の各種ホットメルト型接着剤が好ましい。また、着色剤としては特に限定されるものではない。ホットメルト型接着剤等の既知のシート製品に用いられる接着剤に顔料や染料等の着色剤を混合して着色したものを用いることができる。中でも、顔料が好ましい。
[3]吸収性物品の構成部材:
収性物品は、図1A〜図1C、図2A〜図2B、図3A〜図3B、図4A〜図4B、図5A〜図5Bに示す吸収性物品1のように、少なくとも吸収体22、トップシート18、バックシート20、及び立体ギャザー26を構成部材として備える。
[3−1]吸収体:
「吸収体」は、着用者の尿等を吸収し保持するための部材であり、吸収性材料によって構成される。前記吸収性材料としては、例えばフラッフパルプ、高吸水性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下、「SAP」と記す。)、親水性シート等を挙げることができる。前記フラッフパルプとしては木材パルプや非木材パルプを綿状に解繊したものを、前記SAPとしてはポリアクリル酸ナトリウムを、前記親水性シートとしてはティシュ、吸収紙、親水化処理を行った不織布等を用いることが好ましい。
「吸収体」としては、1種又は2種以上の吸収性材料を単層又は複層のマット状に成形したものを用いることが好ましい。中でも、フラッフパルプ100質量部に対して、10〜500質量部のSAPを併用したものが好ましい。この際、SAPはフラッフパルプのマット中に混在させてもよいし、複数のマットの層間に層状に配置して用いてもよい。なお、SAPの脱落を防止し、形状安定性を付与するために、吸収体全体を親水性シートによって被包しておくことが好ましい。図1Cに示す吸収性物品1は親水性シートである上ティシュ54及び下ティシュ56によって吸収体22全体を被包した例である。
「吸収体」は、目的に応じて矩形状、砂時計型等の所望の形状に成形されたものを用いればよい。図1Bに示す吸収性物品1は、矩形状の吸収体22を用いた例である。また、図2A、図3A、図4A、及び図5Aに示す吸収性物品1は、砂時計型の吸収体22を用いた例である。なお、「吸収体」はその表面側をトップシートによって被覆されるとともに、その裏面側をバックシートによって被覆されている。即ち、トップシートとバックシートの層間に配置されている。
[3−2]トップシート:
「トップシート」は、吸収体の表面(吸収性物品の装着時に着用者の肌と対向する側の面)を被覆するように配置されるシート状部材である。着用者の尿等を透過させる必要から、その少なくとも一部(全部又は一部)が液透過性材料により構成される。
前記液透過性材料としては、織布、不織布、多孔性フィルム等を挙げることができる。中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、脂肪族ポリアミド等の熱可塑性樹脂からなる不織布に親水化処理を施したものを用いることが好ましい。
前記不織布としては、エアースルー(カード熱風)、カードエンボス等の製法によって製造された不織布を好適に用いることができる。前記親水化処理は、不織布の原綿に対して界面活性剤を塗布、スプレー、含浸等させることにより行うことができる。
トップシートは「少なくとも一部」が液透過性材料によって構成されている。その位置については特に限定されない。但し、平面視した場合に股下部における吸収体の配置位置と重畳する部分が液透過性材料により構成されていることが好ましい。
なお、本発明の吸収性物品は、着用者の肌と対向する側の面全てがトップシートによってカバーされている必要はない。例えば、テープ型使い捨ておむつにおいては、おむつの幅方向中央部に液透過性材料からなるトップシートを配置し、おむつの幅方向側縁部(サイドフラップ部分)には通気撥水性材料からなるサイドシートを配置する形態がよく用いられる。この際、前記通気撥水性材料としてはカードエンボス、スパンボンド等の製法により得られた不織布シート、特に防水性が高いSMS、SMMS等の不織布シートを用いることが好ましい。
[3−3]バックシート:
バックシートは、吸収体の裏面(吸収性物品の装着時に着用者の肌と背向する側の面)を被覆するように配置されるシート状部材である。バックシートは、着用者の尿がおむつ外部に漏洩してしまうことを防止する必要から、液不透過性材料によって構成される。
バックシートの配置位置については特に制限はない。吸収体に吸収された尿の漏れを防止するという観点から、少なくとも吸収体の配置位置をカバーするようにバックシートが配置されていることが好ましい。
前記液不透過性材料としては、例えば、ポリエチレン等の樹脂からなる液不透過性フィルム等を挙げることができる。中でも、微多孔性ポリエチレンフィルムを用いることが好ましい。この微多孔性ポリエチレンフィルムは0.1〜数μmの微細な孔が多数形成されたフィルムであり、液不透過性ではあるが透湿性を有する。従って、防漏性を確保しつつおむつ内部の蒸れを防止することができる。
テープ型使い捨ておむつにおいては、バックシートの外表面側にカバーシートを貼り合わせる形態がよく用いられる。このカバーシートは、バックシートを補強し、バックシートの手触り(触感)を良好なものとするために用いられる。
カバーシートを構成する材料としては、例えば、織布、不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂からなる乾式不織布、湿式不織布を用いることが好ましい。
[3−4]立体ギャザー:
本発明の吸収性物品は、図1B及び図1Cに示す吸収性物品1のように、撥水性シート32からなり、吸収体22の両側に配置された左右一対の立体ギャザー26(26a,26b)を備えている。
立体ギャザーは、従来の使い捨ておむつに準じて構成することができる。図1Cに示すように撥水性シート32の層間に伸張状態の立体ギャザー伸縮材36を挟み込んで固定したものを挙げることができる。この際、撥水性シートとしては、サイドシートと同様の材料を好適に用いることができる。
パンツ型使い捨ておむつの場合、図1Cに示すように吸収性本体14に対して立体ギャザー形成用の撥水性シート32を別途付設し、吸収性本体14と一体的に立体ギャザー26を構成する形態が多く用いられる。一方、テープ型使い捨ておむつの場合、図2B、図3B、図4B、図5Bに示すようにおむつを構成するシート材(例えば撥水性不織布からなるサイドシート19等)の一部によって立体ギャザー26を構成する形態が多く用いられる。
なお、図1B及び図1Cに示すように、吸収性物品1には立体ギャザー伸縮材36に加えて立体ギャザー26の両側縁に側縁伸縮材38を配置している。このように側縁伸縮材を配置すると、着用中のおむつにおいて、後に記載する吸収性本体の両側縁が吸収体よりも立ち上がった形態になり易い。このような形態は、排尿後に尿が吸収性本体の幅方向中央部(即ち吸収体)に集まり易くなり、尿漏れを発生し難くすることができる。
[3−5]各種伸縮材:
本発明の吸収性物品は、ウエスト周り伸縮材、脚周り伸縮材、腹周り伸縮材等の伸縮材を配置することが好ましい。
ウエスト周り伸縮材は、ウエスト周り開口部に沿って配置される伸縮材である。ウエスト周り伸縮材を配置することによって、ウエスト開口部に伸縮性に富むギャザー(ウエストギャザー)を形成することができる。このウエストギャザーにより、ウエスト周りに隙間が形成され難くなり、ウエスト周りからの尿漏れを防止することができる他、着用者へのおむつのフィット性が良好となり、おむつのずり下がりが防止される。
脚周り伸縮材は、脚周りギャザーを形成するための伸縮材である。パンツ型使い捨ておむつの場合、図1A及び図1Bに示すように脚周り開口部12の外縁に沿って線状の脚周り伸縮材40を複数本、曲線的に配置する形態がよく用いられる。この形態においては、脚周り伸縮材40が股下部4の中央を横断しないように配置することが好ましい。股下部4の中央に脚周り伸縮材40の収縮力を作用させないことで吸収体22のヨレを防止し、股下部4における吸収体22のフィット性を向上させることができる。一方、テープ型使い捨ておむつの場合、少なくとも股下部に左右複数対の線状伸縮材を平行する直線状に配置する形態がよく用いられる。
腹周り伸縮材は、パンツ型使い捨ておむつにおいてタミーギャザーを形成するための伸縮材である。図1A及び図1Bに示すように着用者の腹周りに相当する部分に線状の腹周り伸縮材44を複数本、直線的に配置する形態がよく用いられる。この形態においても脚周り伸縮材の場合と同様の理由から、腹周り伸縮材44が吸収体22の配置部位を横断しないように配置することが好ましい。
伸縮材としては、天然ゴムからなる平ゴムや合成ゴム(ウレタンゴム等)の弾性糸からなる糸ゴムの他、伸縮性ネット、伸縮性フィルム、伸縮性フォーム(ウレタンフォーム等)等を好適に用いることができる。
伸縮材は、着用者に対して過度の締め付け力を作用させることなく、十分な伸縮力を作用させるため、120〜400%の伸長状態で固定することが好ましく、200〜300%の伸長状態で固定することが好ましい。伸縮材は、例えば、ホットメルト接着剤、その他の流動性の高い接着剤を用いた接着、ヒートシールをはじめとする熱や超音波等による溶着によって固定することができる。
パンツ型使い捨ておむつの場合、脚周り伸縮材40、ウエスト周り伸縮材42、腹周り伸縮材44とも、例えば外装体16のインナーシート16aとアウターシート16bの層間に、伸張状態の線状伸縮材を挟み込むように固定する等の方法で配置することができる。図1A及び図1Bに示す例では、脚周り伸縮材40、ウエスト周り伸縮材42及び腹周り伸縮材44を外装体16のインナーシート16aとアウターシート16bの層間に、伸張状態の線状伸縮材を挟み込むように固定する方法で配置している。
一方、テープ型使い捨ておむつの場合、脚周り伸縮材40は、例えばサイドシートとカバーシートの層間に、伸張状態の線状伸縮材を挟み込むように固定する等の方法で、ウエスト周り伸縮材42は、例えばトップシートとカバーシートの層間に、伸張状態の面状伸縮材(伸縮性フォーム等)を挟み込むように固定する等の方法で配置することができる。
[3−6]吸収性本体:
パンツ型使い捨ておむつの場合、図1Cに示すように吸収体22が内包された吸収パッド(以下、この部材を「吸収性本体」と称する。)を用いる場合がある。図1Cに示す吸収性物品1には吸収体22の周縁部においてトップシート18とバックシート20が貼り合わされることによって、トップシート18とバックシート20の層間に吸収体22が内包され、これらの部材が一体的に形成された形態の吸収性本体14が用いられている。この吸収性本体14は吸収体22、トップシート18及びバックシート20の他、前述した立体ギャザー26も一体的に構成された吸収性本体の例である。
[3−7]外装体:
パンツ型使い捨ておむつの場合、図1Aに示すように一つのウエスト周り開口部10及び一対の脚周り開口部12a,12bが形成されたパンツ型を呈する部材(以下、この部材を「外装体」と称する。)を用いる場合がある。図1A〜図1Bに示すように、外装体16はおむつの前身頃2、股下部4及び後身頃6の各部を形成している。
図1Aに示すように、外装体16は前身頃2の側縁2a,2b近傍の部分(側縁部)とこれに対応する後身頃6の側縁6a,6b近傍の部分(側縁部)が予め接合されることによって(接合部8)、一つのウエスト周り開口部10及び一対の脚周り開口部12a,12bが形成され、パンツ型を呈するように構成されたものが一般的である。
但し、外装体は前記の構成に限定されるものではない。例えば、前身頃と後身頃の対応する側縁部に、係合可能なファスナー部材が付設され、そのファスナー部材同士を相互に係合させることによってパンツ型に構成可能なもの、又は前身頃と後身頃の対応する側縁部同士が着脱可能なファスナー部材によって予め係合されてパンツ型を呈するように構成されたもの等も本明細書にいう「外装体」に含まれるものとする。前記ファスナー部材としては、例えば、メカニカルファスナー等を挙げることができる。
外装体の材質は特に限定されないが、おむつ内部の蒸れを防止するべく通気性に優れた素材、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、その他の合成繊維からなる不織布等により構成することが好ましい。
外装体は2枚以上の不織布を貼り合わせて構成されることが多い。例えば、図1A〜図1Cに示す吸収性物品1は外装体16を2枚の不織布(インナーシート16a、アウターシート16b)から構成した例である。但し、後述する押さえシートのような他のシート材を併用して3枚以上の不織布により構成してもよい。
なお、パンツ型使い捨ておむつは、不織布シートからなり、吸収性本体の前端又は後端を被覆する押さえシートを更に備えていることが好ましい。押さえシートを備えることによって、吸収性本体の前端又は後端が封着され、トップシート18とバックシート20との貼り合わせ部分が補強される。従って、吸収体22内部のSAPが漏れ出し難くなる。
前記押さえシートは、おむつの他の部材(例えば外装体等)を構成する不織布シートの一部を利用して構成してもよいし、他の部材からは独立した不織布シートを別途付設してもよい。
図1Bに示す形態は他の部材を構成する不織布シートの一部を利用した例である。具体的にはアウターシート16bの折り返し部を押さえシートとして利用し、折り返し部により吸収性本体14の前端又は後端を被覆している。しかしながら、他の部材からは独立した不織布シートを別途付設してもよい。具体的には他の部材からは独立した押さえシートにより吸収性本体14の前端又は後端を被覆してもよい。
[3−8]止着テープ:
テープ型使い捨ておむつの場合、後身頃の左右の各側縁から延出するように配置された、前身頃と後身頃とを固定するための止着テープを備えたものが好適に用いられる。
止着テープのファスニング部材は特に限定されない。但し、止着力が高く、複数回の脱着を行っても止着力が低下し難いメカニカルファスナー(面状ファスナー)を用いることが好ましい。例えば、止着テープの先端近傍にメカニカルファスナーのフック材を付設する一方、前身頃にメカニカルファスナーのループ材からなるフロントパッチを付設する形態が多く用いられる。
止着テープの数は特に限定されず、着用者の体型(具体的には、ウエスト周り、脚周り等)の寸法に合わせて、適当な数の止着テープを付設すればよい。一般的には、乳幼児用の使い捨ておむつであれば一対(左右1個ずつ)、成人用の使い捨ておむつであれば二対(左右2個ずつ)が付設される。
本発明の吸収性物品は、乳幼児用、或いは介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用のおむつとして好適に利用することができる。
1:吸収性物品、1A:パンツ型使い捨ておむつ、1B:テープ型使い捨ておむつ、2:前身頃、2a,2b:側縁、4:股下部、6:後身頃、6a,6b:側縁、8:接合部、10:ウエスト周り開口部、11:止着テープ、12,12a,12b:脚周り開口部、13:フロントパッチ、14:吸収性本体、16:外装体、16a:インナーシート、16b:アウターシート、18:トップシート、19:サイドシート、20:バックシート、22:吸収体、24:カバーシート、26,26a,26b:立体ギャザー、28:親水性シート、32:撥水性シート、36:立体ギャザー伸縮材、38:側縁伸縮材、40:脚周り伸縮材、42:ウエスト周り伸縮材、44:腹周り伸縮材、46:メカニカルファスナー、46a:フック材、46b:ループ材、50:着色接着部、51:接着部、52:非接着部、54:上ティッシュ、56:下ティッシュ、X:前後方向

Claims (3)

  1. 吸収体と、少なくとも一部が液透過性材料からなり、前記吸収体の表面を被覆するように配置されたトップシートと、液不透過性材料からなり、前記吸収体の裏面を被覆するように配置されたバックシートと、撥水性シートからなり、前記吸収体の両側に配置された少なくとも一対の立体ギャザーと、を備え、
    前記撥水性シートと前記トップシートとを接着する接着部を有し、
    前記立体ギャザーの起立線となる固定端を構成する前記接着部が吸収性物品の前後方向全般に亘って、着色された接着剤により連続的に形成された着色接着部(但し、前記撥水性シートの前記着色接着部が配置された箇所に複数の凹部が設けられ、該凹部が凹部以外の部分とは異なる色に見えるものを除く)であり、前記着色接着部により、前記立体ギャザーの起立線となる前記固定端が視認可能に構成されている吸収性物品。
  2. 前記着色接着部が、視認可能な色に着色された接着剤により形成され、前記視認可能な色が、前記トップシート及び前記撥水性シートの色と異なる色である請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記着色接着部が、少なくとも前記トップシートの前記吸収体の表面を被覆している領域に形成されている請求項1又は2に記載の吸収性物品。
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