JP5712108B2 - 色素増感太陽電池モジュール - Google Patents
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Description
この色素増感太陽電池は、増感色素を担持させた酸化物半導体電極を透明電極層の一方の面に形成してなる作用極と、作用極の一方の面側に配置された対極と、これらの間に封入された例えばゲル状又は液状の電解質からなる電解質層を主な構成要素としている。そして、作用極の透明電極層側から入射した光が酸化物半導体電極の増感色素に吸収され、これに基いて増感色素から電子が放出されることで発電が行なわれるようになっている。
この色素増感太陽電池モジュールでは、一の色素増感太陽電池セルの対極を基板の一方の面に形成するとともに、他の色素増感太陽電池セルの作用極を基板の他方の面に形成し、基板の側面に形成された透明導電層を外部配線として上記対極及び作用極を電気的に接続している。
一方、上記電気抵抗の低下を抑制すべく透明導電層の膜厚を増加させることが考えられる。ところが、この場合、光の透過率が減少してしまう結果、背面側の色素増感太陽電池セルに入射する光量が低下し、やはり光電変換効率の低下を招いてしまう。
本発明の請求項2に係る色素増感太陽電池モジュールは、請求項1において、前記一の色素増感太陽電池セルが、該一の色素増感太陽電池セルの透明電極層に積層されて、該一の色素増感太陽電池セルの前記増感色素から放出された電子を集電する前面側集電配線と、該一の色素増感太陽電池セルの前面側集電配線を覆うことで該前面側集電配線を前記一の色素増感太陽電池セルの電解質層から隔離する配線保護層と、を有し、前記一の色素増感太陽電池セルの前面側集電配線及び該前面側集電配線を覆う配線保護層と、前記一の色素増感太陽電池セルの背面側集電配線及び該背面側集電配線を覆う配線保護層とが、前記積層方向に互いに重なるように配置されることを特徴とする。
本発明の請求項3に係る色素増感太陽電池モジュールは、請求項1又は2において、前記色素増感太陽電池セルが、前記作用極及び前記対極の外周側でこれら作用極及び対極の間に前記電解質層を封止する透明封止部をさらに有することを特徴とする。
本発明の請求項4に係る色素増感太陽電池モジュールは、請求項1から3のいずれかにおいて、前記一の色素増感太陽電池セルの前記増感色素の方が、前記他の色素増感太陽電池セルの前記増感色素よりも、吸収スペクトルの長波長側の末端の波長が小さく設定されていることを特徴とする。
本発明の請求項5に係る色素増感太陽電池モジュールは、請求項1から4のいずれかにおいて、互いに隣り合う前記貫通電極同士の離間距離の方が、これら貫通電極が接続する前記対極と前記作用極との対向距離よりも大きく設定されていることを特徴とする。
図1に示すように、色素増感太陽電池モジュール100は、前面側(光入射側となる図1の上側)から背面側(図1の下側)に順次積層される第1色素増感太陽電池セル(一の色素増感太陽電池セル)10A及び第2色素増感太陽電池セル(他の色素増感太陽電池セル)10Bと、第1色素増感太陽電池セル10Aの前面側に配置された第1透明絶縁層31と、第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bの間に配置された第2透明絶縁層(透明絶縁層)32と、第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bを電気的に接続する貫通電極40とを備えている。
以下、第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bが積層される方向(図1の上下方向)、即ち、光の入射側となる前面側と背面側とにわたる方向を、単に「積層方向」と称する。
第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bは、それぞれ前面側に配置される作用極11A,11Bと、該作用極11A,11Bの背面側に配置される対極14A,14Bと、これら作用極11A,11B及び対極14A,14Bとの間に配置される電解質層15A,15Bと、電解質層15A,15Bを封止する透明封止部16A,16Bとをそれぞれ備えている。
透明電極層12A,12Bは、光透過性及び導電性を有する材料、例えばTCO、ITO、SnO2 、フッ素ドープのSnO2等から形成された部材であって、上記積層方向に直交する方向に延在するシート状をなしている。
第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bのうち、前面側に配置された第1色素増感太陽電池セル10Aの対極14Aは、背面側にも光を到達させるべく透明性を有しており、例えば上記透明電極層12A,12Bと同様、TCO、ITO、SnO2 、フッ素ドープのSnO2等から形成されている。
また、第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bのうち、背面側に配置された第2色素増感太陽電池セル10Bの対極14Bは、光透過性を必ずしも有する必要はないため、上記透明電極層12Bと同一の材料の他、チタンやステンレス等の金属箔から形成することができる。
外周側保護層18A,18Bは、作用極11A,11Bにおける透明電極層12A,12Bの背面側を向く面の外周縁部に一体に形成されており、例えばガラスペースト等の絶縁性及び光透過性を有する材料から構成されている。
封止材17A,17Bは、対極14A,14Bにおける前面側を向く面の外周縁部において、該対極14A,14Bと上記作用極11A,11Bとの間でこれら対極14A,14B及び作用極11A,11Bに密着するように介在されており、例えば光透過性を有する熱可塑性樹脂から構成されている。
このような外周側保護層18A,18B及び封止材17A,17Bからなる透明封止部16A,16Bによって、作用極11A,11Bと対極14A,14Bとが積層方向に間隔をあけた状態で配置される。そして、これら作用極11A,11Bと対極14A,14Bとの間に電解質層15A,15Bが注入されることで、作用極11A,11Bと対極14A,14Bとの間に電解質層15A,15Bを封止した第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bが構成される。
第1色素増感太陽電池セル10Aは、上記作用極11A、対極14A、電解質層15A及び透明封止部16Aの他、前面側集電配線21、背面側集電配線22及び配線保護層23,24を備えている。
このような前面側集電配線21は、例えば互いに間隔をあけて平行に延在する複数の主配線21aと、これら主配線21aを互いに電気的に接続する接続配線を有している。また、前面側集電配線21は、主配線21a及び接続配線の少なくとも一方に接続されるとともに外周側保護層18A内を通過して第1色素増感太陽電池セル10Aの外周側を向く側面から外部に露出する導出配線21bを有している。
このような背面側集電配線22は、例えば互いに間隔をあけて平行に延在する複数の主配線22aを有しており、これら主配線22aは図示しない接続配線によって互いに電気的に接続されている。
なお、前面側集電配線21の主配線21a及び接続配線及び背面側集電配線22の主配線22a及び接続配線は、積層方向に互いに重なるように配置されていることが好ましい。
なお、前面側集電配線21の導出配線21bにおける外周側保護層18Aを通過する部分は、該外周側保護層18Aに覆われているため、当該部分には配線保護層23は形成されていない。
第2色素増感太陽電池セル10Bは、上記作用極11B、対極14B、電解質層15B及び透明封止部16Bの他、前面側集電配線25及び配線保護層26を備えている。
このような前面側集電配線25は、例えば互いに間隔をあけて平行に延在する複数の主配線25aを有しており、これら主配線25aは図示しない接続配線によって互いに電気的に接続されている。
また、第2色素増感太陽電池セル10Bの前面側集電配線25は、第1色素増感太陽電池セル10Aの前面側集電配線21及び背面側集電配線22と互いに積層方向に重なるように配置されていることが好ましい。
第1透明絶縁層31及び第2透明絶縁層32は、積層方向に直交する方向に延在する板状の部材であって、例えば、ガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン等の光透過性及び絶縁性を有する材料から構成されている。
このような第2透明絶縁層32によって、第1色素増感太陽電池セル10Aと第2色素増感太陽電池セル10Bとが絶縁状態で離間配置されている。
貫通電極40は、第2透明絶縁層32によって絶縁状態とされた第1色素増感太陽電池セル10Aの対極14Aと第2色素増感太陽電池セル10Bの作用極11Bとを電気的に接続する役割を有している。
この貫通電極40は、第2透明絶縁層32を積層方向に直線状に貫通するように延在する例えば銀や銅からなる導線状の部材であって、積層方向に直交する方向に間隔をあけて複数設けられている。なお、該貫通電極40におけるその延在方向に直交する断面形状は、例えば円形に形成されていることが好ましく、多角形状や楕円形状であってもよい。
さらに、図2に示すように、貫通電極40の径D、即ち、貫通電極40におけるその延在方向に直交する方向の寸法Dは、第1色素増感太陽電池セル10Aの前面側集電配線21及び背面側集電配線22の幅W2、即ち、前面側集電配線21及び背面側集電配線22におけるこれらの延在方向に直交し、かつ、上記積層方向に直交する方向の寸法W2よりも小さく設定されていることが好ましい。
なお、貫通電極40の製法としては当該方法に限定されず、第2透明絶縁層32を貫通して第1色素増感太陽電池セル10Aの対極14Aと第2色素増感太陽電池セル10Bの作用極11Bとを接続可能であれば、他の方法であってもよい。
なお、「吸収スペクトルの長波長側の末端の波長」とは、長波長側に向かうほど小さくなるモル吸光係数の値が、100M−1cm−1に到達したときの波長数のことを示す。
前面側から第1透明絶縁層31に入射して第1色素増感太陽電池セル10Aの作用極11Aに到達した光は、該作用極11Aの透明電極層12Aを透過して酸化物半導体層13Aに入射する。こうして第1色素増感太陽電池セル10Aの酸化物半導体層13Aに入射した光の一部は、該酸化物半導体層13Aの増感色素を励起して該増感色素から電子を放出させる。この電子は速やかに該酸化物半導体層13Aの半導体多孔質膜を経由して透明電極層12Aに移動する。そして、電子は、該透明電極層12Aの全域から前面側集電配線21により集電された後、該前面側集電配線21の導出配線21bを介して第1色素増感太陽電池セル10Aの側面から外部へと導かれる。
また、透明封止部16A,16Bは光透過性を有しているため、色素増感太陽電池モジュール100の側面側から透明封止部16A,16Bに入射した光を、第1色素増感太陽電池セル10A及び第2色素増感太陽電池セル10Bそれぞれの酸化物半導体層13A,13Bの発電に寄与させることができる。これによって、光電変換効率をより一層向上させることが可能となる。
ここで、色素増感太陽電池モジュール100では、前面側に位置する第1色素増感太陽電池セル10Aと背面側に位置する第2色素増感太陽電池セル10Bとの出力電圧をほぼ同等とすることが好ましい。ところが、前面側からの光は、第1色素増感太陽電池セル10Aを通過した後に第2色素増感太陽電池セル10Bに入射されるため、第2色素増感太陽電池セル10Bの出力電流の方が第1色素増感太陽電池セル10Aの出力電流に比べて低下する傾向がある。
これに対して本実施形態においては、特に貫通電極40の材料として光散乱性の高い銀等を用いた場合、該貫通電極40が第2透明絶縁層32を透過する光を散乱させることで、酸化物半導体層13Bに入射する光を増加させることができる。さらに、貫通電極40がなければ配線保護層26に直接的に入射するであろう光を該貫通電極40が散乱させて酸化物半導体層13Bに入射させることで、光電変換効率をより一層向上させることが可能となる。
なお、この場合であっても、開口率を確保すべく第1色素増感太陽電池セル10Aの前面側集電配線21と貫通電極40とは、積層方向に互いに重なるように配置されていることが好ましい。
Claims (5)
- 増感色素を担持した酸化物半導体層が透明電極層に積層されてなる作用極と、該作用極における前記酸化物半導体層側に対向して配置される対極と、これら作用極及び対極の間に配置される電解質層と、を有し、互いに積層される複数の色素増感太陽電池セルと、
互いに対向する一の前記色素増感太陽電池セルの対極と他の前記色素増感太陽電池セルの作用極との間に配置される透明絶縁層と、
前記透明絶縁層を前記色素増感太陽電池セルの積層方向に貫通するように配置され、前記一の色素増感太陽電池セルの対極と前記他の色素増感太陽電池セルの作用極とを互いに電気的に接続する貫通電極と、を備え、
前記一の色素増感太陽電池セルが、
前記貫通電極に電気的に接続されるとともに、該貫通電極を介して前記他の色素増感太陽電池セルから移動してきた電子を集電して前記一の色素増感太陽電池セルの対極に分散させる背面側集電配線と、
該一の色素増感太陽電池セルの背面側集電配線を覆うことで該背面側集電配線を前記一の色素増感太陽電池セルの電解質層から隔離する配線保護層と、を有し、
前記他の色素増感太陽電池セルが、
該他の色素増感太陽電池セルの透明電極層に積層されて、該他の色素増感太陽電池セルの前記増感色素から放出された電子を集電するとともに前記貫通電極に電気的に接続された前面側集電配線と、
該他の色素増感太陽電池セルの前面側集電配線を覆うことで該前面側集電配線を前記他の色素増感太陽電池セルの電解質層から隔離する配線保護層と、を有し、
前記一の色素増感太陽電池セルの背面側集電配線及び該背面側集電配線を覆う配線保護層と、前記他の色素増感太陽電池セルの前面側集電配線及び該前面側集電配線を覆う配線保護層と、前記貫通電極とが、前記積層方向に互いに重なるように配置されることを特徴とする色素増感太陽電池モジュール。 - 前記一の色素増感太陽電池セルが、
該一の色素増感太陽電池セルの透明電極層に積層されて、該一の色素増感太陽電池セルの前記増感色素から放出された電子を集電する前面側集電配線と、
該一の色素増感太陽電池セルの前面側集電配線を覆うことで該前面側集電配線を前記一の色素増感太陽電池セルの電解質層から隔離する配線保護層と、を有し、
前記一の色素増感太陽電池セルの前面側集電配線及び該前面側集電配線を覆う配線保護層と、前記一の色素増感太陽電池セルの背面側集電配線及び該背面側集電配線を覆う配線保護層とが、前記積層方向に互いに重なるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の色素増感太陽電池モジュール。 - 前記色素増感太陽電池セルが、
前記作用極及び前記対極の外周側でこれら作用極及び対極の間に前記電解質層を封止する透明封止部をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の色素増感太陽電池モジュール。 - 前記一の色素増感太陽電池セルの前記増感色素の方が、前記他の色素増感太陽電池セルの前記増感色素よりも、吸収スペクトルの長波長側の末端の波長が小さく設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池モジュール。
- 互いに隣り合う前記貫通電極同士の離間距離の方が、これら貫通電極が接続する前記対極と前記作用極との対向距離よりも大きく設定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の色素増感太陽電池モジュール。
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