JP5711925B2 - 光測距装置 - Google Patents
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Description
前記光測距装置では、測定対象物から反射した微弱な光を高感度で検出する受光器として、バイアス電圧を印加することにより増倍作用を持つ受光素子であるアバランシェフォトダイオードAPDを用いている。
このため、素子温度が変化すると、反射光強度(光量)に依存せずに受光素子の出力が変化し、これによって受光タイミングの判定にずれが生じ、距離の測定結果に誤差を生じることがある。
しかし、受光素子における素子温度と増倍率との相関には固体差があるため、高精度に増倍率を制御するためには、受光器毎に前記テーブルを用意する必要があり、また、増倍率に相関する素子温度を高精度に検出することは難しいという問題があった。
かかる構成では、受光器が受光した反射光のうち、透明板の頂点付近からの反射光は、走査領域内で透明板の頂点が配置された領域を測定光が走査したときに受光することになるので、透明板の頂点付近からの反射光であるか、測定対象物からの反射光であるかを、走査領域内における透明板の頂点の配置領域に基づき区別することができ、透明板の頂点付近からの反射光を受光したときの受光器の出力を検出して、バイアス電圧の制御に用いることができる。
かかる構成では、透明板の頂点までの距離は既知であるから、透明板の頂点までの距離に対応しない測距結果を得たときに受光した反射光は、測定対象物からの反射光であり、透明板の頂点までの距離に対応する測距結果を得たときに受光した反射光は、透明板の頂点付近からの反射光であると判断でき、透明板の頂点付近からの反射光を受光したときの受光器の出力を検出して、バイアス電圧の制御に用いることができる。
かかる構成では、測定光の走査開始直後であって、走査振幅が目標値に達していないときには、透明板の頂点付近からの反射光を受光したときの出力を精度良くモニタできないので、走査が所期の振幅で行われるようになるまでは、バイアス電圧を標準値に固定し、走査が所期の振幅で行われるようになると、バイアス電圧を初期値に設定し、透明板の頂点付近で反射した光を受光した受光器の出力と所定値との偏差に応じて、バイアス電圧を初期値からステップ的に変化させる。
かかる構成では、透明板の頂点付近で反射した光を受光した受光器の出力の平均値を求めることで、出力ばらつきを平滑化し、平均的な出力レベルに基づきバイアス電圧を変更する。
かかる構成では、透明板の頂点付近で反射した光を受光した受光器の出力と所定値との偏差が許容誤差内であって、受光器の出力が目標値に略一致する場合には、バイアス電圧をそれまでの値に保持させ、前記偏差が許容誤差を超えている場合には、バイアス電圧を変更して増倍率を修正することで、前記偏差を許容誤差内に収束させる。
図1は、本発明に係る光測距装置1の光学系を示す斜視図であり、光測距装置1は、2次元走査ミラー(スキャナ、走査装置)2、レーザ投光部(投光器)3、レーザ受光部(受光器)4、投受光分離器5を含んで構成され、測定対象物に向けたレーザ光(測定光)の投光、及び、測定対象物からの反射光の受光は、図示省略した筐体に開口させた投受光窓6に取り付けた透明板であるカバーガラス7を介してなされるようになっている。
尚、カバーガラス7はガラス板で形成され、カバーガラス7で反射したレーザ光がレーザ受光部4の視野内に入ることがないように、カバーガラス7を湾曲させたり、平板状のカバーガラス7を光軸に対して斜めに交差するように取り付けたりしてある。
即ち、光測距装置1は、光パルス飛行時間計測法によって測定対象物までの距離を測定する装置である。
尚、光測距装置1は、測距結果の長短に応じた色分けを画素毎に行った画像(測距画像データ)を出力する構成とすることができる。
レーザ投光部3は、レーザ素子3a及び投光光学系3bを備え、レーザ放射タイミング制御信号に基づいてレーザ素子3aを駆動制御して、測定光としてのレーザ光(パルス光)を発光させる。レーザ素子3aから発光されたレーザ光は、投光光学系3bを介して放射され、投受光分離器5を透過して、2次元走査ミラー2で反射し、カバーガラス7を透過して測定対象物に向けて放射される。
カバーガラス7を透過して測定対象物に向けて放射されたレーザ光は、測定対象物で反射し、この反射レーザ光は、カバーガラス7を透過して2次元走査ミラー2で反射し、更に、投受光分離器5で反射して、レーザ受光部4に受光される。
そして、投受光分離器5で反射したレーザ光は、受光光学系4aで集光されて受光素子4bに受光され、受光素子4bは、測定対象物で反射したレーザ光の強度(光量)に応じた電圧を検出出力として発生する。
測定対象物からの反射光の強度(光量)を示す受光素子4bの出力信号(アナログ信号)を、プリアンプ4cで増幅し、更に、増幅後の信号を、A/D変換器10でデジタル信号に変換し、プリアンプ4cが出力するアナログ信号及びA/D変換器10が出力するデジタル信号を、測距部11に出力する。
A/D変換器10が出力するデジタル信号、即ち、反射光の強度(光量)データは、測距部11において、レーザ光の照射タイミング及び受光タイミングの検出方式の選択などに用いる。
上記バイアス電圧制御のために、図1,図2に示すように、レーザ光走査領域SAの下端に沿って走査領域SAに重なるように、短冊状の反射板21をカバーガラス7に取り付けてある。
この反射板21の位置に走査タイミングが来たときにレーザ光を投射すると、レーザ光が反射板21で反射して、この反射板21での反射光がレーザ受光部4(受光素子4b)に受光されるようにしてある。
また、レーザ光走査領域SAの4隅の少なくとも1つに反射板21を配置しても良く、更に、反射板21の形状を短冊状(長方形)に限定するものでもない。
即ち、反射板21は、レーザ光の走査領域SA内であって、レーザ光が投射される位置に配置すれば良い。但し、反射板21を設けた領域は、カバーガラス7の外側に位置する測定対象物に向けてレーザ光が投射されずに測距不能となるので、走査領域SAの周縁に配置することが好ましい。
但し、反射板21は、カバーガラス7の内側の装置筐体内に設置することが好ましい。反射板21を、カバーガラス7の内側の装置筐体内に設置すれば、反射板21に向けて投射したレーザ光が他の障害物で反射してしまうことを回避でき、走査振幅及び発光タイミングが所期の値で走査される状態であれば、反射板21からの反射光をレーザ受光部4に確実に受光させることができる。
ここで、レーザ受光部4(受光素子4b)の出力のうち、反射板21で反射したレーザ光を受光したときの出力は、走査領域内で反射板21を配置した領域から判断でき、反射板21を配置した領域(走査ポイント)での出力は、反射板21で反射したレーザ光を受光したときの出力であるものと推定できる。
更に、反射板21を配置した領域での出力であり、かつ、測距結果が反射板21までの距離に相当する場合に、反射板21での反射光を受光したときの出力であると判断することができる。
そこで、反射板21の反射面を黒色にするなどして、反射板21からの反射光を受光したときにレーザ受光部4(受光素子4b)の出力が飽和しない程度の低反射率に設定してある。
平均値算出部12は、A/D変換器10が出力するデジタル信号のうち、反射板21で反射したレーザ光の強度(光量)を示す信号について、複数フレームnでの平均値を算出する。
偏差算出部14は、目標設定部13が出力する目標値(設定値)と平均値算出部12が算出した平均値との偏差、即ち、反射板21で反射したレーザ光を受光したときの受光素子(アバランシェフォトダイオードAPD)4bの出力の目標値に対する誤差を算出する。
そして、バイアス電圧変更部16は、調整部15が設定した変更分に従って、バイアス回路4dが受光素子(アバランシェフォトダイオードAPD)4bに印加するバイアス電圧を変更する。
尚、バイアス電圧変更部16を、D/A変換器、又は、可変抵抗器で構成することができる。
従って、受光素子4bの素子温度に変化によって増倍率が変化すると、バイアス電圧を変更して増倍率を一定に保持するように作用し、素子温度の変化による出力レベルの変動を抑制できる。
そして、反射光強度(光量)に対する出力レベルを一定にできれば、受光タイミングの判定にずれが生じることを抑制できるから、素子温度の変化や素子ばらつきに対して、高い測距精度を安定して得ることができる。
ステップS101で光測距装置を起動すると、まず、ステップS102では、受光素子(アバランシェフォトダイオードAPD)4bに印加するバイアス電圧を標準値V0に設定する。
前記標準値V0は、標準温度のときに、受光素子(アバランシェフォトダイオードAPD)4bの出力が設定値(設計値)となる値として予め適合してある。
ステップS104では、2次元走査ミラー2によるレーザ光の走査、及び、レーザ発光タイミングの制御を起動する。
2次元走査ミラー2は、ミラーの振動を検出する振動センサ(歪ゲージ、ピエゾ抵抗素子など)を備え、レーザ光の走査制御においては、前記振動センサの出力に基づき検出したミラーの振動に応じて、ミラー駆動手段の操作量をフィードバック制御する。
そして、2次元走査ミラー2によるレーザ光の走査振幅、及び、レーザ発光タイミングが目標値に達していない状態では、ステップS104へ戻って、2次元走査ミラー2によるレーザ光の走査、及び、レーザ発光タイミングの制御を継続させる。
ステップS107では、反射板21から反射したレーザ光を受光したときのレーザ受光部4の出力E(検出光量)の目標値E0を設定すると共に、この目標値E0と実際の出力Eとの偏差ΔEの許容値である許容誤差εを設定する。前記目標値E0及び許容誤差εは、予め記憶した値であるが、任意に変更できるようにしてもよい。
ステップS109では、バイアス電圧をフィードバック制御で変更するときの制御ステップΔV、即ち、1サイクル当たりのバイアス電圧の変更幅を設定する。
ステップS110では、レーザ光を2次元に走査して得た走査ポイント(画素)毎の測距データを取得する。
そして、反射板21の配置領域内の走査ポイント(画素)で得たデータではなく、カバーガラス7をレーザ光が透過する領域(反射板21の配置領域外)で得た測距データであると判断すると、ステップS110へ戻る。
反射板21までの距離は不変であって、かつ、既知の値であるから、反射板21からの反射光を受光した結果としての測距データであれば、その測距データは、反射板21までの距離に略相当することになり、反射板21までの距離からずれている場合には、反射板21からの反射光を受光した結果としての測距データではないものと判断できる。
一方、測距データが反射板21までの距離に略一致していれば、反射板21からの反射光を受光した結果としての測距データであると判断して、ステップS113へ進む。
換言すれば、ステップS113へ進んだ場合には、反射板21からの反射光を受光したときのレーザ受光部4の出力を検出したことになる。
但し、反射板21の配置領域内の走査ポイント(画素)で得た測距データであって、かつ、反射板21までの距離に略一致している場合にステップS113へ進むようにすれば、反射板21からの反射光を受光したときのレーザ受光部4の出力に基づき測距を行ったことを、高精度に判断できる。
そして、ステップS114では、ステップS113で算出した平均値Eaと、ステップS107で設定した目標値E0との偏差ΔE(ΔE=Ea−E0)を算出する。
偏差ΔEの絶対値が許容誤差εよりも小さい場合には、反射板21からの反射光を受光したときのレーザ受光部4の出力Eが略目標値E0に一致していて、現状のバイアス電圧V1を変更する必要はないので、バイアス電圧V1を変更することなくステップS110に戻る。
即ち、許容誤差εは、出力レベルのずれによる受光タイミングの判定ずれによって発生する測距誤差が、許容範囲を超えない範囲での偏差ΔEの最大値として設定され、偏差ΔEの絶対値が許容誤差εよりも小さい場合には、測距精度が確保されているものと推定できるようにしてある。
まず、ステップS116では、偏差ΔEが0よりも大きい正の値であるか否か、換言すれば、反射板21からの反射光を受光したときのレーザ受光部4の出力Eが目標値E0よりも高いか否かを判断する。
ステップS117では、バイアス電圧V1をそれまでの値よりも制御ステップΔVだけより小さな値に修正し、減少修正後のバイアス電圧V1を、受光素子(アバランシェフォトダイオードAPD)4bに印加する。
従って、反射板21からの反射光を受光したときのレーザ受光部4の出力Eが目標値E0よりも高くなっている状態で、バイアス電圧V1をより低く変更すれば、出力Eが目標値E0に近づくことになる。
ステップS118では、バイアス電圧V1をそれまでの値よりも制御ステップΔVだけより高い値に修正し、増大修正後のバイアス電圧V1を、受光素子(アバランシェフォトダイオードAPD)4bに印加する。
従って、反射板21からの反射光を受光したときのレーザ受光部4の出力Eが目標値E0よりも低くなっている状態で、バイアス電圧V1をより高く変更すれば、出力Eが目標値E0に近づくことになる。
そして、偏差ΔEの絶対値が許容誤差εよりも小さくなるまで、バイアス電圧V1の変更を繰り返し、偏差ΔEの絶対値が許容誤差εよりも小さくなると、そのときのバイアス電圧V1を保持する。
また、素子温度と増倍率との相関が、受光素子(アバランシェフォトダイオードAPD)4b毎にばらついても、一定の強度(光量)である反射板21からの反射光を受光したときのレーザ受光部4の出力Eが目標値E0に一致するように、バイアス電圧V1を変更するので、素子温度の変化及び素子ばらつきに対して増倍率を一定に保持するように制御することになる。
尚、バイアス電圧V1の変更幅を定める制御ステップΔEを、偏差ΔEの絶対値が大きいほど大きな値とし、反射板21からの反射光を受光したときのレーザ受光部4の出力Eが目標値E0に近づくほど、制御ステップΔEをより小さい値に変更すれば、増倍率の変化に対するバイアス電圧V1の応答性と、収束安定性とを両立させることができる。
また、バイアス電圧V1のフィードバック制御を開始させるときのバイアス電圧の初期値を、素子温度の検出値に基づき可変に設定することができる。
また、バイアス電圧V1の可変領域(上下限値)を予め設定し、前記可変領域内でバイアス電圧V1を変更することが好ましく、前記可変領域内でバイアス電圧V1を変更しても、反射板21からの反射光を受光したときのレーザ受光部4の出力Eを、目標値E0に充分に近づけることができなかった場合には、レーザ投光部(投光器)3における発光光量の低下などが発生している可能性があるので、故障検知信号を発生させ、測距動作を停止させることができる。
カバーガラス7の一部を反射部として用いる実施形態を、図4〜図6に基づいて説明する。
図4に示すように、カバーガラス7(透明板)を、走査領域内でレーザ受光部4に向けて凸となるように折れ曲がった形状に形成し、このカバーガラス7の頂点7a付近を反射部として用いる。
稜線が走査領域の中心から大きくずれていると、一方の傾斜面が長くなり、その結果、頂点7aから走査領域の端部に相当するカバーガラス7の部分までの光軸方向での長さ(カバーガラスの奥行き)が長くなり、装置を大型化させることになってしまう。これに対し、稜線が走査領域の略中心を通るようにすれば、カバーガラスの奥行きが最も短くなり、装置の小型化に寄与できる。
一方、カバーガラス7の頂点7a付近では、図6に示すように、一定の条件を満たすことで、カバーガラス7での反射光をレーザ受光部4の視野に入れることができ、この頂点7a付近での反射光を受光したときのレーザ受光部4の出力Eが目標値E0に一致するようにバイアス電圧V1を変更すれば、受光素子(アバランシェフォトダイオードAPD)4bの増倍率を一定に制御できる。
上記のように、カバーガラス7の一部を反射部として用いるようにすれば、反射板21を設ける場合に比べて部品点数を少なくできる。
尚、カバーガラス7を、複数個所で凸となるように蛇腹状に折れ曲がった形状とし、複数の稜線をそれぞれ反射部とすることが可能であり、また、頂点7aに近づくほど前記角度θ1が段階的により大きくなるように形成することも可能であり、前記角度θ1を連続的に変化させることで、カバーガラス7が湾曲するようにしても良い。
2 2次元走査ミラー(走査装置)
3 レーザ投光部(投光器)
4 レーザ受光部(受光器)
4b 受光素子(アバランシェフォトダイオードAPD)
4d バイアス回路
5 投受光分離器
7 カバーガラス(透明板)
7a 頂点
11 測距部
12 平均値算出部
13 目標設定部
14 偏差算出部
15 調整部
16 バイアス電圧変更部
21 反射板
Claims (6)
- バイアス電圧を印加することにより増倍作用を持つ受光器、測定光を投光する投光器、測定光を走査する走査装置を備え、透明板を介して測定光の放射及び反射光の受光を行い、投光と受光との時間差から距離を測定する光測距装置において、前記透明板を前記投光器に向けて凸となる折れ曲がった形状とし、前記透明板の頂点付近で反射した光を受光したときの前記受光器の出力が所定値になるように前記バイアス電圧を変更する、光測距装置。
- 測定光の走査領域内における前記透明板の頂点付近の配置領域に基づき、前記透明板の頂点付近で反射した光を受光した前記受光器の出力を検出する、請求項1記載の光測距装置。
- 距離の測定結果に基づき、前記透明板の頂点付近で反射した光を受光した前記受光器の出力を検出する、請求項1記載の光測距装置。
- 前記走査装置による走査振幅が走査開始から目標値に到達するまでの間は、前記バイアス電圧を標準値に固定し、走査振幅が前記目標値に達した後に、前記バイアス電圧を初期値に設定し、前記透明板の頂点付近で反射した光を受光した前記受光器の出力と前記所定値との偏差に応じて、前記バイアス電圧を前記初期値からステップ的に変化させる、請求項1から3のいずれか1つに記載の光測距装置。
- 前記透明板の頂点付近で反射した光を受光した前記受光器の出力の平均値を求め、前記平均値に基づき前記バイアス電圧を変更する、請求項1から4のいずれか1つに記載の光測距装置。
- 前記透明板の頂点付近で反射した光を受光した前記受光器の出力と前記所定値との偏差が許容誤差を超える場合に、前記バイアス電圧を変更する、請求項1から5のいずれか1つに記載の光測距装置。
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