JP5710115B2 - 回転入賞部材、役物ユニット、遊技機 - Google Patents

回転入賞部材、役物ユニット、遊技機 Download PDF

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Description

本発明は、周面の一部に遊技球を受け入れる入賞溝が形成されており、当該入賞溝を、予め定められた方向から到達する前記遊技球に対面する位置を含むように駆動手段の駆動力で回転運動する回転入賞部材、この回転入賞部材を搭載した役物ユニット、並びに遊技機に関する。
従来、遊技機、特にパチンコ機において、役物中央部に羽根部材を設け、例えば、始動入賞口に遊技球が入賞する等の所定の条件が成立して羽根部材が開放することで、遊技球を役物内に受け入れ、当該受け入れた遊技球を、役物内に設けた特定の入賞口に向けて案内し、その特定の入賞口に入賞した時には、上記と同様な特別遊技状態とすることがなされている。
このような遊技仕様では、最終的に特定の入賞口に入賞するか否かが、遊技の趣向性等を高めるための重要な要素となる。このため、特許文献1では、特定の領域へ導く誘導体を、大役中の定められた契機にて可動若しくは停止させることにより、遊技性の幅を拡げることが開示されている。
この特許文献1によれば、誘導体の可動若しくは停止という予期せぬ動作により、遊技者に期待感を抱かせる、或いは、遊技者の技量(発射タイミングの調整)を加味することができ、遊技者の興味を引き付けることができる。
なお、特許文献1の遊技仕様は、始動入賞を契機とする抽選に当選し、大入賞口(アタッカー)を所定ラウンド開放するものであり、次のラウンドへ移行するために、Vゾーンの通過が条件となる。このVゾーン(特定の領域)を、例えば、左右に移動させ、上部から落下してくるパチンコ球(入賞球)とのタイミングでVゾーンを通過するか否かが決まるものである。
また、変形例として、特許文献1(特に図8参照)には、略円板状の回転体をVゾーン(特許文献1での符号81)とし、その周面の一部に凹部(特許文献1での符号81A)が形成された構成が開示されている。この場合、パチンコ球は垂直に落下してくるが(特許文献1の記載では、落下位置は不明)、Vゾーン81の回転位置(回転角度)により、凹部(特許文献1での符号81A)へ入賞するか否かが決まる。この場合、凹部(特許文献1での符号81A)の左右に、平面が形成されているが、この平面の機能についての言及はない。一般的には、凹部(特許文献1での符号81A)にパチンコ球が入賞するか否かの境界を明確にするためのものと推測される。
特開2000−334094公報
しかしながら、上記特許文献1では、誘導体とパチンコ球の位置関係において、明らかにVゾーンに入賞しない(Vゾーン非入賞)となる場合が存在する。従って、パチンコ球がVゾーン非入賞になることが現実になる前に、Vゾーンへの入賞の期待感が消え、最後まで期待感を持続することができなくなり、遊技の趣向性に欠けることになる。
これは、特許文献1に記載の、Vゾーンを左右に移動する構成であっても、Vゾーンを回転体として回転させる構成であっても、同様のことが言える。
本発明は上記事実を考慮し、特定領域への入賞を遊技者に期待させる場合に、明らかに,非入賞となる可能性が高い非入賞球の一部を、回転運動を含む物理的な法則に基づいて、入賞口側へと導くことができる回転入賞部材、役物ユニット、並びに遊技機を得ることが目的である。
第1の発明は、周面の一部に、遊技球を受け入れる入賞溝が形成されて、駆動手段の駆動力で回転可能とされ、当該入賞溝が、予め定められた方向から到達する前記遊技球に対面する位置を含む所定角度の範囲で往復回転運動される回転入賞部材であって、
前記入賞溝以外の周面の一部であり、前記回転入賞部材の回転方向が切り替えられるときに前記遊技球が当接した場合に、当該当接した遊技球を前記入賞溝に入賞する可能性のある方向に案内する案内部を有することを特徴としている。
第1の発明によれば、遊技球は案内部に当接すると方向転換されて転動する。この遊技球の転動方向を物理的な法則に基づき入賞溝の存在する方向とすることで、当該入賞溝への入賞の確率が0ではなくなり、遊技球が当接した位置が入賞溝以外の周面であっても、最後まで入賞溝への入賞が期待できる。
第1の発明において、前記予め定められた方向が、重力が作用する方向と平行に落下する方向であることを特徴としている。
予め定められた方向を、重力が作用する方向(以下、「鉛直方向」という)とすることで、例えば、転がりの摩擦係数等の複雑な物理的要素を排除することができ、転動方向の特定が容易となる。例えば、スロープを利用した場合、そのスロープ面との摩擦係数や、進入角度等が以降の転動に影響を及ぼす可能性があったり、弾球機能等を持たせると、その初速度が以降の転動に影響を及ぼす可能性があるが、鉛直方向と平行、例えば自然落下であれば、複雑な物理的要素を無視できる。
第1の発明において、前記案内部を遊技者から確認しずらくする隠蔽部材をさらに有することを特徴としている。
案内部に到達した遊技球が、思いがけず入賞溝に入るといった演出効果をもたらすことができる。
た、前記回転運動が、所定角度の範囲を往復する回転運動であり、その所定角度の範囲の振り分け中央位置を前記入賞溝が通過するとき、前記遊技球と対面することを特徴としている。
例えば、遊技球が鉛直方向に平行に自然落下し、その落下位置を中央位置とすると、所定角度の範囲を往復する回転運動において、回転方向に関わらず均一なタイミングで、入賞溝を落下してくる遊技球に対面させることができ、入賞溝の左右の周面に対して、入賞溝の存在する方向へ転動させるための条件を同じにすることができ、複雑な設計が不要となる。
さらに、第1の発明において、前記案内部が、前記入賞溝を挟んで一対設けられ、かつ、前記案内部以外の周面の延長である円弧に対して接線方向に切断することで形成された平面形状であり、その平面と遊技球の移動軌跡とのなす角度が垂直になる場合を基準とした平面の傾斜角度θにより、遊技球を入賞溝の存在する方向に案内することを特徴としている。
また、前記遊技球が、前記回転部材が前記所定角度の範囲の両端である最大回転位置に達したときの前記傾斜角度θが、θ=5°±α(αは寸法公差)であることが望ましい。
転動方向を特定するには、遊技球の当接面を平面とし、かつその傾斜角度を特定することが、最も容易な特定手段である。そこで、案内部以外の周面の延長である円弧に対して接線方向に切断することで平面形状とし、その平面と遊技球の移動軌跡とのなす角度が垂直のときを基準(すなわち、水平面を0°)としたときの平面の傾斜角度θにより、遊技球を入賞溝の存在する方向に案内する。
この場合、物理理論上は、傾斜角度θが大きければ大きいほど、転動方向を特定し易くなるが、実験的に、現状の遊技球の材質、回転入賞部材の材質等を考慮して、遊技球が跳ね過ぎず、かつ入賞溝方向へ移動するための傾斜角度θとして、θ=5°±α(αは寸法公差)が好ましい。
ここで、傾斜角度θの設定の根拠は、θ<5°−αの場合は転動する方向が不確実になり、θ>5°+αの場合は転動の角度が大きくなり過ぎて、滑り等が発生して勢いが増し、入賞溝を越えてしまう可能性があるからである。
なお、寸法公差αは、プラスとマイナスとで独立して異なる数値に設定してもよい。例えば、傾斜角度θ=4.9°〜5.2°等でもよく、この場合、マイナス側の寸法公差αは−0.1°、プラス側の寸法公差αは+0.2°となる。寸法公差αに制限はなく、設計段階で回転入賞部材の材質等が確定した時点で決めればよい。
言い換えれば、傾斜角度θの設定について、上記の他、実際の遊技球の転動には、遊技球落下速度、遊技球落下距離、遊技球の回転、塵埃の付着、摩擦係数、反撥係数等、様々な物理現象の条件が加味されるが、ここでは、理論上の設定に特化し、傾斜角度θの最終的な設定は、その後、上記物理現象の条件に基づく調整(寸法公差αに依存させてもよい)を含むものとする。
なお、前記案内部は入賞溝を挟んで一対設けるものに代えて、入賞溝のどちらか一方(片側)に設けるようにしてもよい。これにより、左右夫々の側で入賞溝に導かれる可能性が異なることになり、遊技者に対して期待感が変化し遊技性の向上が図れるものとなる。
第2の発明は、技盤に設けられ、遊技球が流入する流入口を開閉可能な開閉部材が取り付けられると共に、流入した遊技球を特定領域へ向わせるための案内路、並びに当該案内路途中に設けられ流入した前記遊技球の到達時期によって当該遊技球を前記特定領域へ案内するか否かの何れかに振り分ける振分機構を備えた役物ユニットであって、前記振分機構が、前記遊技球を重力が作用する方向と平行に落下させる落下案内部材と、前記落下案内部材の下部に設けられ、周面の一部に当該遊技球を受け入れる入賞溝が形成されており、当該入賞溝が前記落下案内部材から案内されて到達する前記遊技球に対面する位置を振分中央位置として、駆動手段の駆動力で所定角度の範囲で往復回転運動すると共に、前記入賞溝以外の周面の一部であり、前記所定角度の範囲の両端部位置で回転方向が切り替えられるときに、前記落下案内部材から落下する遊技球が当接した場合に、当該当接した遊技球を前記入賞溝に入賞する可能性のある端部位置方向に案内する案内部を備えた回転入賞部材と、を備えたことを特徴としている。
役物ユニットとして振分機構を設ける場合、落下案内部材によって、遊技球を鉛直方向に落下させ、その落下方向に回転入賞部材(第1の発明に相当する)を設ける。
この構成により、役物ユニット内に入賞した遊技球は、回転入賞部材を通過するまで、すなわち、遊技球が遊技盤裏に回収されるまで、遊技球の行方(入賞溝に入賞するか否か)に期待感を持たせることができる。
第3の発明は、遊技盤に設けられ、遊技球が流入する流入口を開閉可能な開閉部材が取り付けられると共に、流入した遊技球を特定領域へ向わせるための案内路、並びに当該案内路途中に設けられ流入した前記遊技球の到達時期によって当該遊技球を前記特定領域へ案内するか否かの何れかに振り分ける振分機構を備えた役物ユニットと、遊技球が入賞することで、特別図柄抽選の実行の契機となる特別図柄始動入賞口と、前記遊技球が前記特別図柄始動入賞口に入賞したときに、前記開閉部材を開放することで、前記役物ユニット内への遊技球の流入を許可する遊技状態に変更する遊技状態変更手段と、前記特別図柄抽選に当選したときに、特別遊技を実行する特別遊技実行手段とを有し、前記振分機構が、前記遊技球を重力が作用する方向と平行に落下させる落下案内部材と、前記落下案内部材の下部に設けられ、周面の一部に当該遊技球を受け入れる入賞溝が形成されており、当該入賞溝を予め定められた方向から案内されて到達する前記遊技球に対面する位置を振分中央位置として、駆動手段の駆動力で所定角度の範囲で往復回転運動すると共に、前記入賞溝以外の周面の一部であり、前記所定角度の範囲の両端部位置で回転方向が切り替えられるときに、前記落下案内部材から落下する遊技球が当接した場合に、当該当接した遊技球を前記入賞溝に入賞する可能性のある端部位置方向に案内する案内部を備えた回転入賞部材と、を備えたことを特徴としている。
基本的に特別図柄始動入賞口に入賞することで実行される抽選の結果は、当該入賞の時点で判明しているが、ここでの遊技仕様では、当該抽選の結果が当たりであっても、入賞溝に入賞しないと、当たりがキャンセルされる。このため、役物ユニット内での遊技球の動向は、遊技者にとって重要となる。
役物ユニットとして振分機構を設ける場合、落下案内部材によって、遊技球を鉛直方向に落下させ、その落下方向に回転入賞部材(第1の発明に相当する)を設ける。
この構成により、役物ユニット内に入賞した遊技球は、回転入賞部材を通過するまで、すなわち、遊技球が遊技盤裏に回収されるまで、遊技球の行方(入賞溝に入賞するか否か)に期待感を持たせることができる。
以上説明した如く本発明では、特定領域への入賞を遊技者に期待させる場合に、明らかに,非入賞となる可能性が高い非入賞球の一部を、回転運動を含む物理的な法則に基づいて、入賞へと導くことができるという優れた効果を有する。
本実施の形態に係る特定領域案内部(入賞回転部材)であり、特定領域案内溝が時計の文字盤で言う12時の方向に位置したときの正面図である。 本実施の形態に係る特定領域案内部(入賞回転部材)であり、特定領域案内溝が時計の文字盤で言う10時の方向に位置したときの正面図である。 本実施の形態に係る特定領域案内部(入賞回転部材)であり、特定領域案内溝が時計の文字盤で言う2時の方向に位置したときの正面図である。 本実施の形態に係る特定領域案内部(入賞回転部材)であり、特定領域案内溝が時計の文字盤で言う2時の方向から12時の方向に戻り始めたときの正面図である。 (A)は本実施の形態に係る特定領域案内部の正面図、(B)〜(D)はその変形例を示す正面図である。 本実施例に係るパチンコ機の正面図である。 本実施例に係る遊技盤の正面図である。 本実施例に係る案内流路筐体の斜視図である。 本実施例に係るセンター役物の振分回転盤回転盤と特定領域案内部との動作状態を示す正面図であり、(A)は遊技球がチャンス溝に収容された状態、(B)は遊技球が残念溝に収容された状態、(C)は遊技球が残念溝に収容されるも切替弁により救済された状態、(D)は振分回転盤から特定領域案内部へ受け渡した状態、をそれぞれ示す。 本実施例に係るセンター役物の振分回転盤回転盤、と特定領域案内部との動作状態を示す正面図であり、(A)は振分回転盤から特定領域案内部へ受け渡した遊技球が、V案内溝に収容された状態、(B)は遊技球がVゾーンに入賞する状態、をそれぞれ示す。
図1には、本発明の入賞回転部材としての特定領域案内部322が示されている。
この特定領域案内部322は、パチンコ機の遊技盤上に設けられ、遊技盤上を落下する遊技球PBを受け入れて、当該遊技球PBを複数の方向へ振り分けるための役物(後述する実施例では、「センター役物105」に相当)の一部を構成する。
役物は、隔壁部318によって周囲が囲まれており、当該隔壁部318の底面は、相対的に中央部が大径、両端部が相対的に小径の3連の円弧形状とされている。
役物の内部における、前記両端部の円弧形状の隔壁部318に沿った領域は、それぞれ外れ領域320(一対の外れ領域320)となっている。本実施の形態では、3種類の振分方向があり、その内の2種類に相当する前記一対の振分外れ領域320は、遊技者にとっては、到達してほしくない方の領域である。
また、中央部の円弧形状の隔壁部318に沿った領域には、本実施の形態に係る特定領域案内部322が配設されてる。
隔壁部318は、特定領域案内部322の上部において、下に凸状の円弧形状とされ、その円弧形状の最下点(時計の文字盤で言う6時の方向)に、排出部316が設けられている。排出部316からは、前記役物に受け入れられた遊技球PBが1球ずつ落下する構成となっている。
特定領域案内部322は、円板形状(厚さは遊技球PBの直径相当)を仮想の基本形とし、かつ基準位置とした場合に、その外周は、回転中心(回転軸322Dの軸芯参照)を通る水平線よりも下部の1/2の部分(前記円弧形状の隔壁部318に沿う部分を含む)が円弧面322Aとされている。さらに、その円弧面322Aの両端部から頂点近傍(図1の最上点近傍)に向けて直線的(弦)にカット面322B(接線方向に切断)が形成され、かつ当該頂点には中心に向かって略U字型の特定領域案内溝322Cが形成されている。このカット面322Bは本発明の案内部に相当し、特定領域案内溝322Cが入賞溝に相当する。
特定領域案内部322は回転軸322Dを中心に、図1に示す基準位置の状態から、左右に所定角度(本実施の形態では、左右各60°=120°)だけ、振り子の如く、往復回転するように制御されている。
また、図2に示される如く、本実施の形態に係る特定領域案内部322は、円弧面322Aの半径Rが18mm、回転軸322Dの軸芯から一対のカット面322Bの延長線の交点までの距離が27.55mm、特定領域案内溝322Cの開口幅が12mmとしている。なお、半径Rが変更することで、その変化割合分、それぞれの長さ寸法が当然に変更される(相似形を維持)。
図2は、特定領域案内部322が、左方向(反時計回り方向)に最大回転したときの正面図であり、図3は、特定領域案内部322が、右方向(時計回り方向)に最大回転したときの正面図である。図2や図3に示す特定領域案内部322の位置は、左右方向それぞれにおける反転時の死点位置である。
前述したように、往復回転運動する角度範囲は、120°となる。このため、前記特定領域案内溝322Cが、時計の文字盤で言う12時の位置を中心として、10時〜2時の間で左右に振られることになる。この12時の位置は、その直上から遊技球PBが落下してくる位置となっている。
また、特定領域案内溝322Cは、特定領域案内部322の往復回転によりその位置が変化するが、当該変化する位置の範囲内の一部において、特定領域(Vゾーン)324と対峙する位置が存在する。このため、特定領域案内溝322Cに収容された遊技球PBは、特定領域324に確実に入賞する。
この特定領域324は、前述した3種類の振分方向の内の残りの1種類に相当し、遊技者にとって、到達してほしい領域である。
ここで、遊技球PBが前記排出部316から排出され、特定領域案内部322へ到達したときの基本動作としては、以下のとおりである。
すなわち、遊技球PBは、排出部316から排出されるとき、前記特定領域案内溝322Cが時計の文字盤で言う12時の位置(及び±公差)にあると、遊技球PBは特定領域案内溝322Cに収容される(図1参照)。
このため、特定領域案内溝322Cに収容された遊技球PBは、確実に特定領域324へ至る。特定領域に入賞することで遊技者に有利な遊技状態になる。
また、特定領域案内溝322Cが時計の文字盤で言う12時の位置(及び±公差)以外にあると、排出部316から排出された遊技球PBは、前記カット面322Bに案内されて、外れ領域320に至る(図2、図3参照)。
ここで、本実施の形態では、前記カット面322Bが排出部316から排出された遊技球PBを受けるとき(カット面322Bに当接するとき)、少なくとも、往復回転運動の回転範囲の両端(特定領域案内溝322Cが時計の文字盤で言う10時又は2時の位置にある状態)において、遊技球PBが転動する方向を特定領域案内溝322Cが存在する方向となるような形状とした。
より具体的には、遊技球PBの落下軌跡は鉛直方向であり、カット面322Bがこれに垂直となる位置(水平位置)を基準(0°)として、前記往復回転運動の両端位置において、特定領域案内溝322Cが存在する方向を低位とする傾斜面(図2、図3に示す傾斜角度θ=5°±α)とした。
このような転動方向の制限を設定すると、例えば、特定領域案内部322Cが往復回転運動の回転範囲の右端に位置したとき(図3の状態)、遊技球PBが落下したとすると、遊技球PBは概ね特定領域案内溝322Cが存在する図3の右方向に転動する。その直後では、特定領域案内部322は回転方向が図3の反時計回り方向に切り替わるため、遊技球PBの転動方向に対して、特定領域案内溝322Cが遊技球PBを迎えるように接近し(図4参照)、一旦振分外れ領域320に案内されると予測した遊技球PBが、特定領域案内溝322Cに収容される可能性が出る。言い換えれば、本実施の形態の構成により、特定領域案内溝322Cが、時計の文字盤で言う12時の位置以外でも、特定領域案内溝322Cに収容される場合を設定したものである。
以下に本実施の形態の作用を説明する。
役物内の特定領域案内部322は、遊技球PBの動向(遊技盤上での移動)に無関係に、特定領域案内溝322Cが時計盤で言う12時の方向である基準位置を中央として、左右に60°の範囲で往復回転運動を続けている。
この間、遊技盤上を落下する遊技球PBが、役物内に受け入れられると、その過程において、隔壁部318の排出部316へと至る(図1〜図4の実線位置参照)。
ここで、遊技球PBが排出部316から落下する瞬間のタイミングとして、当然特定領域案内部322は、前述した所定の角度範囲(すなわち、120°)の何れかの位置にある。図1〜図4は、その内の特異な条件を示している。すなわち、図1は、特定領域案内溝322Cが時計盤で言う12時の方向、すなわち、排出部316と対面している状態である。この場合、遊技球PBは、排出部316から排出されると、特定領域案内溝322Cに収容されることになり、最終的に特定領域324へ入賞する。
図2は、特定領域案内部322が往復回転運動の反時計回り方向の端部に位置したときの状態であり、図3は、特定領域案内部322が往復回転運動の時計回り方向の端部に位置したときの状態である。何れの場合も、基本的動作としては、カット面322Bが排出部316と対面しているため、排出部316から排出され、落下してくる遊技球PBは、このカット面322Bに当接し、外れ領域320に案内されようとする。
このような動作は、前記図1の状態から図2或いは図3へ移動する状態の範囲で同様であり、カット面322Bの傾斜方向に沿って、遊技球PBは、左右の何れかの外れ領域320へ案内されようとする。
しかし、本実施の形態では、図2及び図3の状態、すなわち、往復回転運動の両端部の位置で、特定領域案内部322のカット面322Bの傾斜面が、必ず特定領域案内溝322Cが存在する方向が低位となるように形成した。
すなわち、遊技球PBの落下軌跡(鉛直方向)に対して、カット面322Bが垂直となるのは、図2及び図3の状態の直前、直後であり、前記往復回転運動の両端位置では、特定領域案内溝322Cが存在する方向を低位とする傾斜面(傾斜角度θ=5°)とした。このため、前記基本的動作において、外れ領域320へ至るはずの遊技球PBが、一転して特定領域案内溝322Cへ収容される可能性が出てくる。その動作の流れ(図3から図4を用いた一例)は、以下のとおりである。
(動作1) 特定領域案内部322が往復回転運動の回転範囲の右端に位置する(図3の状態)。
(動作2) 遊技球PBが排出部316から落下する。
(動作3) 遊技球PBは、カット面322Bに到達し(当接)し、その傾斜面により概ね特定領域案内溝322Cが存在する方向に転動する。
(動作4) その直後、特定領域案内部322は回転方向が図3の反時計回り方向に移動する。
(動作5) 遊技球PBの転動方向に対して、特定領域案内溝322Cが、この遊技球PBを迎えるように接近してくる(図4参照)。
上記(動作1)〜(動作5)が達成されると、遊技球PBは、特定領域案内溝322Cに収容される場合があり、一旦あきらめた特定領域324へ入賞する可能性がある。この動作1〜動作5の状態が存在することで、遊技者は、最後まで特定領域324への入賞を期待することができ、遊技の趣向性を向上することができる。なお、図2の状態で遊技球PBが落下したときも同様である。
(特定領域案内部322における構造的、並びに機能的変形例)
上記実施の形態では、特定領域案内部322が、円板状を基本形として接線方向に切断することでカット面322B(案内部)を形成し、そのカット面322Bに鉛直に落下してくる遊技球PBが往復回転運動の両端部において、特定領域案内溝322C(入賞溝)方向に転動するように構成した。
しかしながら、案内部は、カット面322Bのように平面である必要はなく、機能的に言えば、「鉛直に落下してくる遊技球PBが往復回転運動の両端部において、特定領域案内溝322C方向に転動する」形状であればよい。
また、傾斜角度θを5°±αに設定したのは、θ<5°−αの場合は転動する方向が不確実になり、θ>5°+αの場合は転動の角度が大きくなり過ぎて、滑り等が発生して勢いが増し、入賞溝を越えてしまう可能性があるからである。なお、この設定は、遊技球落下速度、遊技球落下距離、遊技球の回転、塵埃の付着、摩擦係数、反撥係数等、様々な物理現象による影響をないものとしている。言い換えれば、上記物理的現象の要因がある場合は、その都度、傾斜角度θを調整すればよい。±αは、この調整範囲を含む寸法公差である。
さらに、上記物理的現象として挙げた内、遊技球の回転は、排出部316から排出されるときに意図的に回転力をつけるようにしてもよい。例えば、排出部316の開口両端部に回転速度の異なる一対の駆動ローラを設け、この一対の駆動ローラに遊技球PBを挟持した後、排出する構成とすれば、遊技球PBには、一対の駆動ローラの回転速度差分の回転がつく。この回転速度の設定により、傾斜面を駆け上るような遊技性を持たせることができる。または、排出部316の開口の一端部と他端部に摩擦係数の異なる部材を設けて、摩擦係数の相違により、落下する遊技球PBに変化を与えるものでもよい。
次に、特定領域案内部322の構造的な変形例を図5に列挙する。なお、図5(A)〜(D)の各図は、特定領域案内部322の全体の外観を示す正面図(左側)と遊技球PBが当接する面の拡大図(右側)とを併記した。
なお、図5(A)は、変形例(図5(B)〜(D))との比較のため、本実施の形態の構造を示したものであり、その構成の説明は省略する。
(変形例1)
図5(B)に示される如く、特定領域案内部422の周面、或いはカット面(傾斜角度は問わないが、ここでは回転範囲の両端で水平とした)422Bにおいて、往復回転運動の範囲の両端に位置したときに、排出部316と対面する位置に、鉛直に落下する遊技球PBの中心から若干ずれた位置(特定領域案内溝422Cの存在する方向とは逆の方向)に突起部400を設け、この突起部400に遊技球PBの中心がずれた状態で当接することで、特定領域案内溝422Cの存在する方向へ、遊技球PBを転動させることができる。
(変形例2)
図5(C)に示される如く、特定領域案内部522の周面、或いはカット面(傾斜角度は問わないが、ここでは回転範囲の両端で水平とした)522Bおいて、往復回転運動の範囲の両端に位置したときに、排出部316と対面する位置に、鉛直に落下する遊技球PBの中心から若干ずれた位置(特定領域案内溝522Cの存在する方向)に段差部500を設け、この段差部500の境界に遊技球PBの中心がずれた状態で当接することで、特定領域案内溝522Cの存在する方向へ、遊技球PBを転動させることができる。
(変形例3)
図5(D)に示される如く、特定領域案内部622の周面622Bの一部の曲率半径を線形、或いは非線形に変更し、往復回転運動の両端部位置において、遊技球PBが当接する位置(点)の接線が、特定案内溝622Cの存在する方向が低位となるように傾斜していればよい。この接線の傾斜により、特定領域案内溝622Cの存在する方向へ、遊技球PBを転動させることができる。
なお、上記変形例は左右の形状を夫々異ならせることにより、適宜組み合わせることも可能である。
以下に、本発明の役物ユニット(回転入賞部材を含む)を特定の遊技機(パチンコ機10)に搭載した実施例を示す。
(パチンコ機の構成)
図6に示されるように、パチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、互いに平行、かつ奥行き方向に所定の間隔をおいて配置された一対のガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18がセットされており、遊技盤18は、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
ガラス枠16の下部には、一体皿24が配置されている。一体皿24の図6の右端部には、鍵穴27が設けられ、この鍵穴27にキーを差し込み、左右の内、一方に回すとガラス枠16が開放し、他方に回すとパチンコ機10の左側端部が軸支された内枠(図示せず)が開放する。
一体皿24には、上皿部28と、下皿部30とが設けられている。上皿部28を形成する周縁壁部32には、上皿球抜きレバー34が設けられ、この上皿球抜きレバー34を操作することで、上皿部28に貯留された遊技球PBを下皿部30へ送り出すことができるようになっている。また、下皿部30には、下皿球抜きボタン36が設けられ、この下皿球抜きボタン36を操作することで、下皿部30に貯留された遊技球PBを外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
上皿部28の周縁壁部32における図6の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
また、一体皿24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット(発射ハンドル)26が取り付けられ、左側下部には、灰皿46が取り付けられている。
一体皿24における下皿部30の図6の右側には受け皿スピーカ60Uが配置されている。
ここで、一体皿24における上皿部28の周縁壁部32には、遊技者が操作可能な操作ボタン50が設けられている。この操作ボタン50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
ガラス枠16におけるガラス板14の周囲には、遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅するアーチ状の照明による視覚的効果や、音声等のスピーカによる聴覚的効果等の演出効果を生み出す上部演出部52が配置されている。この上部演出部52の下端部は、一体皿24の周囲に略U字型に配置された下部演出部54の上端部と連結するように配置されている。
この結果、上部演出部52と下部演出部54とで、遊技盤18の周囲を取り囲むように、遊技機枠演出部56が形成されている。
この遊技機枠演出部56は、上部演出部52及び下部演出部54共に、照明部材(LED等)が取り付けられた基板(図示省略)と、この基板を覆うように、所定の意匠で形成されたレンズカバー58が取り付けられている。
レンズカバー58は、前記照明部材が点灯する領域を区画するよう凹凸状にカットされており、区画された領域(以下、必要に応じて「レンズ部58」という)毎に照明部材の点灯制御がなされる。なお、照明部材は基本的にR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に点灯するLEDが1組となっており、それぞれの点灯時の光量比により、様々な配色の点灯が可能となっている。
また、前記上部演出部52における、ガラス枠16の上部円弧の約1/3に相当する領域の中央及び両端には、ガラス枠スピーカ60C、60L、60Rが内蔵され、照明と同時に、音声を出力する。
なお、以下では、前述した受け皿スピーカ60Uと、このガラス枠スピーカ60C、60L、60Rを総称して、「スピーカ60」という。
さらに、ガラス枠16の上部2箇所の角部には、エラーランプとして機能する細長状の共用表示部62が設けられている。この共用表示部62は、視覚効果として演出に使われる場合もあるが、基本的には、遊技中に発生した遊技者の不正行為など遊技機の外部要因にからむエラーの内容を色の変化で報知するエラー報知用表示部とされ、エラー発生時には演出を中断してエラー状態を報知する。
遊技中に発生したエラーとは、遊技盤18面近傍で磁力を検出した場合、遊技盤18に振動が起きた場合、ガラス枠16等が開放した場合、遊技中の遊技球PBの不正な入賞があった場合等が挙げられる。
(遊技盤の構成)
図7に示される遊技盤18は、基板となるベニヤ板に樹脂製シート状化粧材であるセルが貼着されてそのセルの表面が盤面となっており、盤面の外周端部付近に、円弧状の外レール102及び内レール104が取り付けられている。これらの外レール102及び内レール104によって囲まれた円形状の領域は、発射装置(図示省略)から発射されて打ち込まれた遊技球PBが釘や役物等により弾かれながら自重落下により移動可能な遊技領域19を構成している。
遊技盤18のほぼ中央には、センター役物105が配置されている。センター役物105は、大きく分類して、当該センター役物105内に流入した遊技球PBを案内する案内流路筐体111と、センター役物105の中央部の空間で立体的な動作を行い、かつLEDで構成された表示盤106を備えた可動体役物113と、を備えている。
案内流路筐体111では、センター役物105の上部に設けられた羽根部材250が羽根部材ソレノイド385(図9参照)の駆動で開放したときに、この羽根部材250の開放によってできた開口から流入する遊技球PBをセンター役物105の図7に向かって左端を通過させ、案内流路筐体111の下部に配置された振分回転盤252まで案内する。案内流路筐体111の詳細構造については、後述する。
図7に示される如く、前記遊技領域19におけるセンター役物105に向かって左側には、前述した釘や風車に混じって特図A始動入賞口108Aが設けられている。
また、前記遊技領域19におけるセンター役物105に向かって右側には、通過ゲート(スルーチャッカー)107が設けられている。前記通過ゲート107を遊技球PBが通過すると、普通電動役物の開閉を抽選するための普通図柄(普図)抽選が実行される。
前記遊技領域19における前記通過ゲート107の下方には、特図B始動入賞口108Bが設けられている。
特図A始動入賞口108Aは、所謂入賞役物装置であり、落下してくる遊技球PBを受け入れる入賞開口部が上を向いて開いている固定式始動入賞口である。
特図B始動入賞口108Bは、入賞役物装置の一部であるが特図A始動入賞口108Aとは構造が異なっている。
すなわち、入賞開口が前(遊技者と対向する方向)を向いており、入賞可否を決める舌片109が遊技盤面から出没する構造となっている可動式始動入賞口である。この舌片109が突出位置にあるときのみ、入賞可能となっている。すなわち、この舌片109が突出したときは、上方から落下する遊技球PBを入賞口へ案内し(入賞)、舌片109が待避したときは上方から落下する遊技球PBを下方へ通過(スルー)させる(非入賞)。
以下、特図A始動入賞口108A及び特図B始動入賞口108Bを総称するときは「始動入賞口108」という。
なお、この始動入賞口108への遊技球PBの入賞が、特別図柄(特図)の抽選を行うためのトリガ(条件)となる。
ここで、特図B始動入賞口108Bにおいては、当該特図B始動入賞口108Bに入賞しても特別図柄(特図)の抽選に対する演出表示を実行することができない場合(例えば、特別図柄抽選に対する演出表示の実行中等)には、最大4個まで入賞を保留(特別図柄抽選に対する抽選結果を保留記憶)することが可能となっている。なお、保留記憶球数は所定の上限値まで可能であり、4個に限定されるものではない。
特図B始動入賞口108Bのさらに下部には、アタッカー110が設けられている。また、センター役物105の下方には、アウト口112が設けられている。
ここで、本実施の形態では、前記特別図柄抽選で当選した場合、センター役物105の羽根部材250が開放し、当該開放期間に遊技球PBがセンター役物105内に入り、前述の特定領域に入賞することを条件に、特別遊技状態(当り遊技)の処理が実行される。
(案内流路筐体111の詳細構造)
図8〜図10に示される如く、案内流路筐体111は、透過性を有するベース部材とカバー部材とにより、内部に遊技球PBが流動する流路空間を形成した構造となっており、センター役物105の下部に主要部300が配置されている。主要部300は、所謂鍵穴形状(上部が円形で、下部が矩形)とされ、上部に形成された外形が円形の振分領域302に前記振分回転盤252が配置されている。すなわち、振分回転盤252は、その回転軸方向から見た表面が、着座して遊技を行っている遊技者に対面することになる。
また、主要部300の振分領域302の周面には、この振分領域302に向かって10時〜11時の方向からアーム部304の基部が整流部306を介して連結されている。アーム部304の内方空間と、前記主要部300の内方空間とは前記整流部306を介することで連通されている。
アーム部304は、センター役物105の中央(前記表示盤106の配置位置)の左側を円弧状に延長され、センター役物105の上部へ延設されている。
このアーム部304の延設先端部開口には、前記羽根部材250が取り付けられている。従って、羽根部材250が開放すると、遊技盤18面上の遊技球PBが、アーム部304の開口から流入可能となる。
羽根部材の開放によってアーム部304内に流入した遊技球PBは、アーム部304の内方空間を流動し、整流部306へと至るようになっている。整流部306は、例えば、連続して流入した遊技球PBを1列に整列させ、所謂球噛み等をおこすことを防止しながら、1球ずつ主要部300へ送り出す機能を有しており、具体的には、アーム部304の出口から主要部300の入口までの流路が三次元のクランク状に形成され、遊技球PBの流下速度を減速させると共に、遊技球間に間隔を持たせることで、球噛み等による球詰まりを防止している。
主要部300における振分領域302に配置された振分回転盤252は円盤形状をなし、一定の速度で図9の時計回り方向に回転するように制御されている。
振分回転盤252の周縁には、遊技球PBを収容可能な9個の収容溝253(総称)が略均等に設けられている。9個の収容溝253は、溝の形状の違いにより、6個の残念溝253Zと、3個のチャンス溝253Cとに分類されている。残念溝253Zは正面視で左右対称の略U字型の内周面とされている。一方、チャンス溝253Cは正面視で前記残念溝253Zに対して斜めに傾斜した略U字型の内周面とされている。この傾斜により、チャンス溝353Cの開口が横向き(90°)になったとき、収容した遊技球PBが排出されず、保持されることになる。
この形状の相違は、それぞれの収容溝253に収容されて、振分回転盤252が図9の時計回り方向に回転して、時計の文字盤で言う3時の方向に至ったときに、収容溝253から脱落(排出)されるか否かである。
すなわち、振分回転盤252を収容している主要部300の振分領域302は隔壁部308によって振分回転盤252を配設する領域とに仕切られている。ここで、この領域は、前記3時の方向から主要部300の下部に形成された外形が矩形状の当たり/外れ領域310にかけて隔壁が二重構造とされている(内隔壁部308INと外隔壁部308OUT)。
実際に振分回転盤252を配置する円形の領域は、内隔壁部308INが担っており、この内隔壁部308INと外隔壁部308OUTとの間には遊技球PBの流路312が形成されている。ここで、振分回転盤252の配設領域を形成する隔壁部308(一部は、内隔壁部308INが担当)には、前述した3時の方向と6時の方向に収容溝253に収容した遊技球PBを排出する排出部314、316が形成されている。
このため、残念溝253Zに収容された遊技球PBは、その収容溝(残念溝253Z)が振分回転盤252の回転で3時の方向に到達すると、残念溝253Zから排出され、排出部(第二排出部)314を通って、内隔壁部308INと外隔壁部308OUTとの間の流路312を流動し、当たり/外れ領域310へ至るようになっている(図9(B)参照)。
一方、チャンス溝253Cに収容された遊技球PBは、その収容溝(チャンス溝253C)が振分回転盤252の回転で3時の方向に到達しても収容溝の形状により収容状態が維持される。その後、6時の方向に到達すると、自重により排出部(第一排出部)316を通って、当たり/外れ領域310へ至るようになっている(図9(A)参照)。
また、各排出部の位置関係は、排出部314が排出部316よりも先に到達するように設定されている。すなわち、振分回転盤252は一定方向に回転するよう制御されており、隔壁部308の回転方向の上流側に排出部314を、その下流側に排出部316を設けている。なお、構造的でなくても振分回転盤252の回転方向を一定方向ではなく方向が可変するように制御することにより、最初に排出部314に到達するように制御することも可能である。
主要部300の当たり/外れ領域310は、前記振分領域302の外隔壁部308OUTから延長される隔壁部318によって周囲が囲まれており、当該隔壁部318の底面は、相対的に中央部が大径、両端部が相対的に小径の3連の円弧形状とされている。
両端部の円弧形状の隔壁部318に沿って、当たり/外れ領域310内には一対の外れ領域320が設けられている。
また、中央部の円弧形状の隔壁部318に沿って、当たり/外れ領域310内には特定領域案内部322が配設されてる。
この特定領域案内部322は、本実施の形態で詳細に説明したものであり、ここでの構成の説明は省略するが、その特徴は、特定領域案内部322の往復回転運動の範囲の両端部に位置したとき、カット面322Bが特定領域案内溝322Cが存在する方向が低位となるように傾斜(傾斜角度θ=5°±α)している点にある。
また、本実施の形態では、救済措置として、残念溝253Zに収容された遊技球PBであっても特定領域324へ入賞する可能性を復活させる機能を備えている。この機能により、振分回転盤252の収容溝253への収容状態で以後の遊技進行状態が判明してしまうという単純な遊技仕様から脱却している。
すなわち、前記内隔壁部308INの時計の文字盤で言う3時の方向に設けられた排出口314に、排出制限部材である切替弁326を設けている。
切替弁326は、前記排出部314(の一部)を閉塞して排出を阻止する位置(第1の位置)と、排出部314からの排出を許容する位置(第2の位置)との間を往復移動するように制御されている。
このため、切替弁326が第1の位置にあるとき、遊技球PBが収容されている残念溝253Zが3時の方向に到達しても、排出部314が閉塞されているため、遊技球PBは残念溝253Zから排出されず、そのまま維持される。結果として、残念溝253Zに収容されている遊技球PBは振分回転盤252の回転により6時の方向の排出口316から排出されることになり、前記チャンス溝253Cに収容された遊技球PBと同等の扱いとなる(図9(C)参照)。
(遊技の流れ)
パチンコ機10による遊技では、遊技者がグリップユニット26を操作すると、遊技球PBが一球ずつ発射装置によって上方へ発射される。発射された遊技球PBは、外レール102に沿って遊技盤18の遊技領域19に打ち込まれ、遊技釘や風車に当たり方向を変えながら遊技領域19内を落下する。そして、入賞せずに遊技領域19の下端部に至った遊技球PBはアウト口からパチンコ機10内に回収される。
また、遊技球PBが遊技領域19内に設けた入賞口に入賞したり、通過ゲートを通過すると、それぞれの遊技制御に基づく処理(例えば、抽選等)が実行されると共に、表示盤106への画像表示演出、スピーカ60を用いた音演出等が実行される。
遊技盤18面に発射された遊技球PBが、遊技盤18面に向かって左側の特図A始動入賞口108Aに入賞すると、特別図柄乱数・図柄変動パターン乱数を抽出する。
特図A始動入賞口108Aの入賞により小当たり当選(当選確率100%)となり抽出された乱数値をもとに、遊技盤18面中央に設けられたセンター役物105の羽根部材250が開放する。このとき、羽根部材250の開放時間は0.4秒間で一定であるが、開閉回数は抽出した特別図柄乱数値により1回開放または2回開放が選択・決定される。
なお、遊技盤18面の向かって右側に設けられた特図B始動入賞口108Bは、遊技状態が普通電動役物の開放延長機能作動中(時短中)ではないときは、普通図柄作動ゲート107を通過して当選しても、舌片109を作動させる舌片ソレノイド389は一瞬しか作動しないため、遊技球PBはほとんど入賞しないようになっている。
羽根部材250の開放時にセンター役物105に遊技球PBが流入すると、所定の案内路(透明)を経由して、振分回転盤252へ導かれる。
このとき、遊技球PBの入賞を検出し、表示盤106における演出図柄の変動を開始させる。
電源投入時から一定速度で回転する振分回転盤252に到達した遊技球PBは、チャンス溝又は残念溝の何れかに収容され、残念溝に収容されれば、排出部314から側路へ排出される。
一方、チャンス溝に収容されれば、下流側に設けられ電源投入時から一定速度で回動する特定領域案内部322に導かれる。一方、残念溝に収容された場合でも、振分回転盤252に沿って備えられた切替片326が、所定のタイミングで可動することにより、チャンス溝に収容された遊技球と同様に特定領域案内部322へ導かれる(救済球)。
前記チャンス溝に収容され及び救済された球は、所定の確率(例えば、1/10.9)で特定領域案内部322の特定領域案内溝322Cに入り、特定領域324へ導かれる。
また、特定領域324で入賞が検出されることにより、表示盤106にて変動表示している演出図柄は、停止した図柄列の停止態様が当選となる図柄の組合せの一部をなしている状態で、変動中の図柄列が停止している停止列の図柄態様と同じ態様で確定すれば当選(大当たり)となる状態であるリーチ状態(擬似大当たり抽選)に変更される。
すなわち、特定領域324(特定入賞領域)への入賞により、表示盤106にて変動表示中の演出図柄を(強制的に)リーチ状態に表示切替(変更)するように制御する。選択した変動パターンの実行時間(変動時間)が経過すると、特別図柄抽選の結果を報知する。
前記側路へ排出された場合には、表示盤106にて変動表示中の演出図柄を外れ図柄で停止させ、特別図柄抽選の結果が外れであることを報知し、1回の遊技が終了する。
特図A始動入賞口108Aへの入賞に基づく特別図柄抽選(例えば、当選確率が1/18)の結果が当り(出球有)の場合で、かつ、特定領域324に入賞すると、遊技盤18面に向かって右下方に設けたアタッカー110が複数回開閉する(例えば、3ラウンド当たり:4回有利な状態で抽選される特別遊技処理のうちの1回目(第1セット))。
なお、当り(出球無)が決定され、かつ特定領域324に入賞した場合でも、遊技盤18面に向かって右下方に設けられたアタッカー110が開閉する(3ラウンドの小当たり(開放時間が当たりと比較して短い当たり))。なお、特別図柄の抽選によって当たりが決定された場合であっても、特定領域324に遊技球PBが入賞しない場合は、外れとなり、遊技盤18面の向かった右下方に設けたアタッカー110は開閉しないように制御される。
上記3ラウンド当たり(出球有)の特別遊技処理終了後には、主制御部150は遊技状態を開放延長制御(時短)状態に変更する(遊技者に有利な状態での抽選が可能)。この遊技状態の変化に基づいて、遊技盤18面向かって右側の特図B始動入賞口108Bを狙うような報知を表示盤106にて実行する。
特図B始動入賞口108Bの上方には、舌片109を駆動させる契機となる普通図柄作動ゲート107を備えており、遊技球PBの普通図柄作動ゲート107の通過により一定の当選確率で舌片109を駆動させ、特図B始動入賞口108Bへの入賞を許容する。
開放延長機能(変動時間短縮状態)の作動により、普通図柄作動ゲート107の通過に伴う普通図柄の変動時間が短くなり、また舌片109の駆動時間が通常の駆動時間よりも長く駆動することにより、遊技球PBの特図B始動入賞口108Bへの入賞が容易になる。
特図B始動入賞口108Bの遊技球PBの入賞を検出すると、前記特図A始動入賞口108Aと同様に、特別図柄乱数・図柄変動パターン乱数を抽出し、抽出された乱数値を基に、センター役物105の羽根部材250が開放する。このとき、羽根部材250の開放時間は前記特図A始動入賞口108Aに入賞した場合と異なり、1.6秒間で、開放回数は1回で一定である。
前記特図B始動入賞口108Bは、前記特図A始動入賞口108Aの当選確率(例えば、1/18)とは異なり、その当選確率は、1/1に設定されている。
その後、特図A始動入賞口108Aと同様に、羽根部材250の開放時にセンター役物105に遊技球PBが流入すると、所定の案内路(透明)を経由して、振分回転盤252へ導かれる。
電源投入時から一定速度で回転する振分回転盤252に到達した遊技球PBは、チャンス溝又は残念溝の何れかに収容され、残念溝に収容されれば、排出部(第二排出部)314から側路へ排出される。
一方、チャンス溝に収容されれば、下流側に設けられた回動する特定領域案内部322に導かれる。一方、残念溝に収容された場合でも、振分回転盤252に沿って備えられた切替弁326が、所定のタイミングで可動することにより、チャンス溝に収容された遊技球と同様に特定領域案内部322へ導かれる(救済球)。
前記チャンス溝に収容され及び救済された球は、所定の確率(例えば、1/10.9)で特定領域案内部322の特定領域案内溝322Cに入り、特定領域324へ導かれ、前記特図A始動入賞口108Aに入賞したときと同様の擬似大当たり抽選が実行される。
特定領域324に入賞すると、遊技盤18面に向かって右下方に設けたアタッカー110が複数回開閉する(例えば、15ラウンド当たり:4回有利な状態で抽選される特別遊技処理のうちの2回目(第1セット))。
以後、この状態が2回継続して発生(15ラウンド当たり:4回有利な状態で抽選される特別遊技処理のうちの3回目、4回目(第1セット))する。なお、4回目の大当たり(特別遊技処理)終了時は、初回当たり時に設定され、大当り毎(特別遊技処理発生毎)にカウントする継続回数カウンタが所定値(4回)に達したと判定されるため、遊技状態は開放延長機能(変動時間短縮状態)から通常遊技状態に変更となる。
つまり、4回目の大当たり後には開放延長機能(変動時間短縮状態)状態は発生しないように制御する。
なお、開放延長機能(変動時間短縮状態)は特図B始動入賞口108Bの入賞(特別図柄Bの変動)回数が100回に達するまで作動するが、継続回数内でも入賞(特別図柄Bの変動)回数が100回を超えた場合には、その時点で開放延長機能(変動時間短縮状態)は終了し、遊技状態が通常遊技状態に変更される。
本実施の形態における遊技仕様では、特図B始動入賞口108Bには入賞に対する保留記憶機能を設けているため、1セット(4回有利な状態で抽選される特別遊技処理)が終了すると、保留記憶の消化に伴って羽根部材250が保留記憶に記憶されている数の開放を行うものである(1.6秒、1回開放)。
そのため、保留記憶内でセンター役物105内に遊技球PBの流入が容易に見込まれ、特定領域案内部322の収容溝に収容され、特定領域324へ導かれやすくなる。
但し、通常遊技状態であるため、特図B始動入賞口108Bに対応する当選確率1/1であっても、特別図柄判定テーブルに基づく振り分けにより、開放延長機能が付く当たり図柄を選択する確率が60%、開放延長機能が無い当たり図柄を選択する確率が40%となり、新たな開放延長機能の発生(セット遊技の継続)する確率を低くしている。開放延長機能が生起しない場合であっても、アタッカーが14回開閉する14ラウンド当たりが1回設定されている。いずれであっても、保留記憶機能によって、次の当たりへ移行可能である。
なお、本実施例では、特定領域案内部322をそのまま適用した例を示したが、役物には、例えば、パチンコ機10のテーマ(コンセプト)に合わせて、様々な装飾がなされる場合がある。この特定領域案内部322においても、その表面(遊技者に対向する面)に装飾部材を貼り付けるようにしてもよい。このとき、前記カット面322Bを見せないように装飾部材を貼り付けることで、遊技者からは傾斜面が確認しずらくなり、外れになるであろう遊技球PBが、思いがけず特定領域案内溝322Cに入るといった演出効果をもたらすことができる。
PB 遊技球
10 パチンコ機
105 センター役物(役物ユニット)
252 振分回転盤
300 主要部
302 振分領域
304 アーム部
306 整流部
253 収容溝
308 隔壁部
310 当たり/外れ領域
318 隔壁部
320 外れ領域
322 特定領域案内部(回転入賞部材)
322A 円弧面
322B カット面(案内部)
322C 特定領域案内溝(入賞溝)
322D 回転軸
324 特定領域
314 排出口

Claims (6)

  1. 周面の一部に、遊技球を受け入れる入賞溝が形成されて、駆動手段の駆動力で回転可能とされ、当該入賞溝が、予め定められた方向から到達する前記遊技球に対面する位置を含む所定角度の範囲で往復回転運動される回転入賞部材であって、
    前記入賞溝以外の周面の一部であり、前記回転入賞部材の回転方向が切り替えられるときに前記遊技球が当接した場合に、当該当接した遊技球を前記入賞溝に入賞する可能性のある方向に案内する案内部を有することを特徴とする回転入賞部材。
  2. 前記予め定められた方向が、重力が作用する方向と平行に落下する方向であることを特徴とする請求項1記載の回転入賞部材。
  3. 前記案内部を遊技者から確認しずらくして、当該案内部に到達した遊技球が、思いがけず入賞溝に入るといった演出効果をもたらすための隠蔽部材をさらに有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転入賞部材。
  4. 前記案内部が、前記入賞溝を挟んで一対設けられ、かつ、前記案内部以外の周面の延長である円弧に対して接線方向に切断することで形成された平面形状であり、その平面と遊技球の移動軌跡とのなす角度が垂直になる場合を基準とした平面の傾斜角度θにより、遊技球を入賞溝の存在する方向に案内することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項記載の回転入賞部材。
  5. 遊技盤に設けられ、遊技球が流入する流入口を開閉可能な開閉部材が取り付けられると共に、流入した遊技球を特定領域へ向わせるための案内路、並びに当該案内路途中に設けられ流入した前記遊技球の到達時期によって当該遊技球を前記特定領域へ案内するか否かの何れかに振り分ける振分機構を備えた役物ユニットであって、
    前記振分機構が、
    前記遊技球を重力が作用する方向と平行に落下させる落下案内部材と、
    前記落下案内部材の下部に設けられ、周面の一部に当該遊技球を受け入れる入賞溝が形成されており、当該入賞溝が前記落下案内部材から案内されて到達する前記遊技球に対面する位置を振分中央位置として、駆動手段の駆動力で所定角度の範囲で往復回転運動すると共に、前記入賞溝以外の周面の一部であり、前記所定角度の範囲の両端部位置で回転方向が切り替えられるときに、前記落下案内部材から落下する遊技球が当接した場合に、当該当接した遊技球を前記入賞溝に入賞する可能性のある端部位置方向に案内する案内部を備えた回転入賞部材と、
    を備えたことを特徴とする役物ユニット。
  6. 遊技盤に設けられ、遊技球が流入する流入口を開閉可能な開閉部材が取り付けられると共に、流入した遊技球を特定領域へ向わせるための案内路、並びに当該案内路途中に設けられ流入した前記遊技球の到達時期によって当該遊技球を前記特定領域へ案内するか否かの何れかに振り分ける振分機構を備えた役物ユニットと、
    遊技球が入賞することで、特別図柄抽選の実行の契機となる特別図柄始動入賞口と、
    前記遊技球が前記特別図柄始動入賞口に入賞したときに、前記開閉部材を開放することで、前記役物ユニット内への遊技球の流入を許可する遊技状態に変更する遊技状態変更手段と、
    前記特別図柄抽選に当選したときに、特別遊技を実行する特別遊技実行手段とを有し、
    前記振分機構が、
    前記遊技球を重力が作用する方向と平行に落下させる落下案内部材と、
    前記落下案内部材の下部に設けられ、周面の一部に当該遊技球を受け入れる入賞溝が形成されており、当該入賞溝を予め定められた方向から案内されて到達する前記遊技球に対面する位置を振分中央位置として、駆動手段の駆動力で所定角度の範囲で往復回転運動すると共に、前記入賞溝以外の周面の一部であり、前記所定角度の範囲の両端部位置で回転方向が切り替えられるときに、前記落下案内部材から落下する遊技球が当接した場合に、当該当接した遊技球を前記入賞溝に入賞する可能性のある端部位置方向に案内する案内部を備えた回転入賞部材と、
    を備えたことを特徴とする遊技機。
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