JP5709587B2 - エージングボックス - Google Patents

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本発明は、ラミネートされた積層フィルムをエージングするエージングボックスに関する。
樹脂のラミネート方法として、たとえば高分子フィルムに溶剤で希釈したイソシアネート系などの接着剤を塗布した後に、溶剤を乾燥除去するドライラミネート法が知られている。このドライラミネート法を用いて積層フィルムが形成される場合には、貼り合わせ工程が完了した積層フィルムが、接着剤を硬化させるために巻き取り機で巻き取られ、35℃〜50℃の温度で数日間エージング(化学変化を進行させるための操作。熟成ともいう。)される。
特許文献1には、ラミネーターの巻き取りボックスで貼り合わされた積層フィルムを巻き取るときに、積層フィルムに当接するタッチロールを加熱して、積層フィルムの温度を上昇させることが記載されている。積層フィルムの温度が上昇すると溶剤の乾燥除去および接着剤の硬化が促進され、エージング時間が短縮される。
特許文献1には、エージングの手順について記載されていないが、従来から知られているエージングでは、一定温度に保たれた部屋の内部に複数本のロール体が立てられた状態で行われる。
特開2006−36501号公報
従来から行われているエージングでは、ロール体が設置された部屋全体が一定温度に保たれるのでエネルギーの使用効率が悪く、部屋の温度は場所によって異なり、複数本のロール体をむらなくエージングすることができない。さらに、ロール体は、各々が搬入された時期および設置場所が異なるので、個々のロール体のエージング状態を管理するのに手間が掛かる。
本発明の目的は、このような課題を解決するもので、複数のロール体をむらなくエージングすることができ、個々のロール体のエージング状態の管理に手間が掛からず、狭い場所でも多数本のロール体を設置することができるエージングボックスを提供することである。
本発明の請求項1に記載のエージングボックスは、ラミネーターによって貼り合わされた積層フィルムのロール体のエージングを行うエージングボックスであって、ロール体が搬入される開閉可能な搬入口が前端側に設けられ、ロール体が搬出される開閉可能な搬出口が後端側に設けられ、内部が加熱手段により加熱される筒状のボックス本体と、ロール体の巻芯に挿通されロール体を水平状態で支持するシャフトと、ボックス本体の内側面に沿って搬入口から搬出口側に向かって低くなるように直線状に設置され、シャフトの端部を移動可能に案内する案内レールとを備えるものである。請求項2に記載のエージングボックスは、シャフトの端部には転がり軸受が設けられ、シャフトの端部は案内レールと転がり接触するものである。請求項3に記載のエージングボックスは、案内レールが上下方向に複数段設けられているものである。
請求項1の発明によれば、搬入口から搬出口に向かって傾斜する案内レールに沿ってロール体が移動しつつエージングされ、エージングされたロール体が搬出口から順番に取り出されるので、多数本のロール体をむらなくエージングすることができ、個々のロール体のエージング状態の管理に手間が掛からず、狭い場所でも設置することができる。請求項2の発明によれば、シャフトは案内レールに沿って滑らかに移動することができる。請求項3の発明によれば、同時に多数本のロール体を搬入してエージングすることができる。
本発明の一実施形態に係るエージングボックスの側面図である。 同エージングボックスの平面図である。 図1のA−A断面図である。 同一端側ボックス部の縦断面図である。 同一端側ボックス部の正面図である。 図4のB−B断面図である。 同中央ボックス部の縦断面図である。 同他端側ボックス部の縦断面図である。 同案内レールでシャフトが受けられた状態の断面図である。 同ストッパー取り付け部の斜視図である。
以下、本発明の一実施の形態について図1〜図10に基づいて説明する。エージングボックス1は、ラミネーターによって貼り合わされた積層フィルムのロール体2のエージングを行う。積層フィルムは、たとえばドライラミネート法によって形成される。ドライラミネート法では、高分子フィルムに溶剤で希釈したイソシアネート系接着剤などが塗布された後に、溶剤が乾燥除去されて積層フィルムが形成される。貼り合わせ工程が完了した積層フィルムは、接着剤を硬化させるためにエージングされる。エージングは、積層フィルムが巻き取り機で巻き取られてロール体2とされた状態で行われる。
エージングボックス1は、ロール体2が収容されるボックス本体3と、ボックス本体3の前端側に位置する搬入口4から収容されるロール体2を後端側に位置する搬出口5側に向かって案内する案内レール6と、ロール体2の巻芯である紙管7に挿通されロール体2を支持した状態で案内レール6に沿って搬入口4から搬出口5側に向かって移動するシャフト8とを備える。
ボックス本体3は、直方体形状の横長の筒状を呈している。ボックス本体3は、一端側ボックス部9と中央ボックス部10と他端側ボックス部11が連結されて形成される。一端側ボックス部9〜他端側ボックス部11は、夫々ステンレス製の角パイプを用いて形成されたフレーム12,13,14と、このフレーム12,13,14の外周を覆うガラスウール15などの断熱材とを備えている。ガラスウール15は、2枚の対向する鋼板に挟まれた状態で設置される。本実施の形態では、対向する2枚の鋼板間の隙間は50mmとされる。また、断熱材としてガラスウール15を用いたが、これに限定されるものではなく、たとえば発泡スチロールを用いることもできる。
一端側ボックス部9の前端側の搬入口4と、他端側ボックス部11の後端側の搬出口5とには、ボックス本体3の内部を外部から遮断するために開閉自在な扉18が設けられる。扉18は2枚の扉板18a,18bから構成されて観音開きとされ、一方の扉板18aにはボックス本体3の内部を確認するための覗き窓19が設けられる。覗き窓19はポリカーボネート製の透明な樹脂板で形成されており、作業者はこの覗き窓19を通してボックス本体3の内部の様子を確認することができる。
一端側ボックス部9〜他端側ボックス部11は、この順番で直線状に連結される。なお、各フレーム12,13,14が連結される端面間には、気密性を確保するためにパッキンが取り付けられる。一端側ボックス部9〜他端側ボックス部11の下端の両側に設けられる水平前後方向に向く角パイプ20,21,22には、ボックス本体3の内部に向かって温風が吹き出す吹き出し口23が一定の間隔を開けて多数個形成されている。角パイプ20,21,22には、さらに外部に設置されたヒーターを接続するための接続口(図示せず)が設けられている。なお、ヒーターは、たとえば電力を用いるものでもよく、あるいはボイラで発生させた熱エネルギーを用いるものでも良い。
案内レール6は、ボックス本体3の内側に左右対称に設けられる。案内レール6としてたとえばC型チャンネルが用いられ、C型チャンネルが搬入口4から搬出口5に向かってフレーム12,13,14に直線状に固定される。案内レール6は、C型チャンネルの開口部24が水平方向内側に向いた状態で、下面25がC型チャンネルに沿って設置される角パイプ26,27,28に溶接され、C型チャンネルの背面29が垂直方向の角パイプ30,31,32に溶接されて固定される。
案内レール6は、搬入口4から搬出口5に向かって水平方向から僅かに低くなるように傾斜している。傾斜角度は0.5°〜10°の範囲とされ、好ましくは0.7°〜2°の範囲とされる。本実施の形態では傾斜角度α=2°に設定されている。C型チャンネルで形成された案内レール6は、シャフト8が載置される搬入口16の奥側と、シャフト8が取り外される搬出口17の手前側とにおいて、上部36,37が切り欠かれている。
他端側ボックス部11の左右の各案内レール6には、搬出口5の手前にストッパー33が設けられる。ストッパー33は、案内レール6の前方に向く円弧状の当接板34を備える。当接板34は、搬出口5の方向に移動するシャフト8の端部外周面に当接して、ロール体2が搬出口5の扉18に接触することを防止する。ストッパー33にシャフト8が当接したロール体2は、たとえばテーブルリフト台車を用いて持ち上げられ、案内レール6から外される。なお、本実施の形態では、案内レール6は上下方向に3段設けられている。
シャフト8は、ロール体2の芯を形成する紙管7に挿通されてロール体2を支持するものであり、鉄製のパイプ材で形成される。パイプ材の端部にはジャーナル部38が設けられており、このジャーナル部38に転がり軸受35が嵌合される。ロール体2を支持するシャフト8は、転がり軸受35が案内レール6の下端内面39と接触しながら搬出口5側に移動する。
ここでエージングの手順について説明する。ラミネーターによって貼り合わされた積層フィルムのロール体2は、たとえばテーブルリフト台車に載置され、ボックス本体3の搬入口4まで運ばれる。作業者は、搬入口4の扉18を開けるとともにロール体の紙管7にシャフト8を挿通させ、テーブルリフト台車の高さを調整しながら転がり軸受35を案内レール6の下端内面39に載置する。案内レール6は、搬出口5に向かって低くなるように水平方向からα=2°傾斜しているので、シャフト8に支持されたロール体2は、ボックス本体3の奥側すなわち搬出口5側に向かって移動する。
搬入口4から搬入されたロール体2は、搬入された順番に搬出口5側に向かって移動し、所定時間たとえば48時間エージングされた後に搬出口5から順番に取り出される。ボックス本体3の内部は、吹き出し口23からヒーターの温風が吹き出されて、たとえば40℃に管理されているので、ボックス本体3に搬入されたロール体2は夫々むらなくエージングされる。さらに、案内レール6は3段設けられているので、多数本のロール体2を同時に搬入することができる。さらに、搬入される日毎に、たとえば1日目に搬入するロール体と2日目に搬入するロール体とを別々の案内レール6に載置して、エージング時間の管理をさらに容易に行うことができる。
このように、ラミネーターによって貼り合わされた積層フィルムのロール体2のエージングを行うエージングボックス1であって、ロール体2が搬入される開閉可能な搬入口4が前端側に設けられ、ロール体2が搬出される開閉可能な搬出口5が後端側に設けられ、内部が加熱手段であるヒーターにより加熱される筒状のボックス本体3と、ロール体2の巻芯である紙管7に挿通されロール体2を水平状態で支持するシャフト8と、ボックス本体3の内側面に沿って搬入口4から搬出口5側に向かって低くなるように直線状に設置され、シャフト8の端部を移動可能に案内する案内レール6とを備えるので、多数本のロール体2を均一に加温することができ、個々のロール体2のエージング状態の確認などの管理に手間が掛からず、狭い場所でも設置することができる。
さらに、シャフト8の端部には転がり軸受35が設けられ、シャフト8の端部は案内レール6と転がり接触するので、シャフト8は案内レール6に沿って滑らかに移動することができる。
さらに、案内レール6が上下方向に複数段設けられているので、同時に多数本のロール体2を搬入することができるとともに、たとえば搬入される日毎にロール体2を別々の案内レール6に載置して、エージング時間の管理を容易に行うことができる。
1 エージングボックス
2 ロール体
3 ボックス本体
4 搬入口
5 搬出口
6 案内レール
7 紙管
8 シャフト
9 一端側ボックス部
10 中央ボックス部
11 他端側ボックス部
12,13,14 フレーム
15 ガラスウール
18 扉
18a,18b 扉板
19 覗き窓
20,21,22,26,27,28,30,31,32 角パイプ
23 吹き出し口
24 開口部
25 下面
29 背面
33 ストッパー
34 当接板
35 転がり軸受
36,37 上部
38 ジャーナル部
39 下端内面

Claims (3)

  1. ラミネーターによって貼り合わされた積層フィルムのロール体のエージングを行うエージングボックスであって、
    ロール体が搬入される開閉可能な搬入口が前端側に設けられ、ロール体が搬出される開閉可能な搬出口が後端側に設けられ、内部が加熱手段により加熱されるボックス本体と、
    ロール体の巻芯に挿通されロール体を水平状態で支持するシャフトと、
    ボックス本体の内側面に沿って搬入口から搬出口側に向かって低くなるように直線状に設置され、シャフトの端部を移動可能に案内する案内レールとを備えたエージングボックス。
  2. シャフトの端部には転がり軸受が設けられ、シャフトの端部は案内レールと転がり接触することを特徴とする請求項1記載のエージングボックス。
  3. 案内レールは、上下方向に複数段設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のエージングボックス。
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