JP5709420B2 - 草刈作業機 - Google Patents

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Description

本発明は、草刈作業機に係り、特にカッタの回転をダウンカット方向またはアップカット方向のいずれかに変更可能な草刈作業機に関する。
従来、回転駆動式のカッタを有する草刈機を車体前方側に備えた草刈作業機が知られている(例えば、特許文献1)。この草刈作業機では、外周にカッタが設けられたシャフトを進行方向に対してアップカット方向に回転させて草を刈り、除草している。
一般的に、アップカットはダウンカットに比べて草刈の仕上がりが良好であるが、小石が多い場所で用いると、小石を進行方向へ飛ばしてしまうという特性がある。そのため、小石の多い場所などでは、ダウンカットで草刈をするのが好ましい。
一方、ダウンカットで草を刈ると、草はカッタに上から押付けられるように刈り取られることになるため、カッタが最下点に到達するまでに刈り取り切れなかった草は、カッタに押付けられて地面側に倒れ込んでしまい、それ以後は、カッタによってさらに押付けられて沈み込んでしまうだけとなって、そのまま刈り残しになることが多い。
このように、ダウンカットおよびアップカットには、それぞれ一長一短がある。このため、草刈作業機の中には、エンジンの出力を草刈機側に伝達する動力伝達装置に切替機構を組み込んでおき、この切替機構によって草刈機での回転方向をダウンカット方向またはアップカット方向に切り替えるものがある。
特開平11−225530号公報
しかしながら、従来では、切替機構を備えた動力伝達装置は、エンジン等が搭載された入り組んだ構造の車体側に取り付けられているため、その切替操作やメンテナンスを狭いエリアで行う必要があり、操作性やメンテナンス性に問題がある。
また、動力伝達装置の切替機構を有効に活用し、ダウンカットおよびアップカットのいずれにも対応したいという要求がある反面、作業環境によっては、専らダウンカットのみを行う場合や、専らアップカットのみを行う場合もあり、このような場合には、切替機構の誤操作の心配のないダウンカット専用の草刈作業機、およびアップカット専用の草刈作業機を別々にそろえることになり、不経済である。
本発明の第1の目的は、動力伝達装置の操作性やメンテナンス性を向上させることができる草刈作業機を提供することにある。
本発明の第2の目的は、1台でダウンカットおよびアップカットが切替可能であったり、ダウンカット専用としたり、ダウンカット専用としたりできる草刈作業機を提供することにある。
本発明の草刈作業機は、回転駆動式の草刈機と、前記草刈機の駆動源および走行装置が設けられた車両本体と、前記駆動源の動力を前記草刈機に伝達する動力伝達装置とを備え、前記動力伝達装置は、前記シャフトの回転方向を進行方向に対してダウンカット方向もしくはアップカット方向のいずれかに切替可能な第1動力伝達装置、前記シャフトを進行方向に対してダウンカット方向にのみ回転させる第2動力伝達装置、前記シャフトを進行方向に対してアップカット方向にのみ回転させる第3動力伝達装置が用意され、これら第1ないし第3動力伝達装置の中から選択的に用いられることを特徴とする。
本発明の草刈作業機では、前記第1ないし第3動力伝達装置は、前記草刈機に着脱自在に取り付けられることが好ましい。
本発明によれば、シャフトの回転方向を進行方向に対してダウンカットする方向もしくはアップカットする方向に切替自在な動力伝達装置を備えているため、草をダウンカットするかアップカットするかを作業環境に応じて自在に変更できる。この際、動力伝達装置は、草刈機側に設けられるので、駆動源が搭載される車輌本体側の入り組んだ部分に設ける従来に比し、切替操作やメンテナンスを容易にできる。
本発明によれば、動力伝達装置として、シャフトの回転方向を進行方向に対してダウンカット方向もしくはアップカット方向に切替自在な第1動力伝達装置、シャフトを進行方向に対してダウンカット方向に回転させる第2動力伝達装置、シャフトを進行方向に対してアップカット方向に回転させる第3動力伝達装置が用意され、これらの中から選択的に用いるので、作業環境に応じて動力伝達装置を付け替えることにより、1台の草刈作業機をダウンカットおよびアップカットが切替可能であったり、ダウンカット専用としたり、ダウンカット専用としたりでき、シャフトの回転方向が異なる草刈作業機を別々にそろえる必要がなくて経済的である。
本発明では、第1〜第3動力伝達装置が草刈機側に設けられるので、前述したように、操作性やメンテナンス性を向上させることができるうえ、交換作業も容易にできる。
本発明の第1実施形態に係る草刈作業機の全体を示す側面図。 前記草刈作業機を構成する草刈機の斜視図。 前記草刈機の側断面図。 前記草刈機の一部を示す平断面図。 前記草刈機に用いられる抵抗部材を示す斜視図。 第1動力伝達装置を示す平面図。 前記第1動力伝達装置を示す入力側斜視図。 前記第1動力伝達装置を示す出力側斜視図。 前記第1動力伝達装置を説明するための模式図。 第2動力伝達装置を示す平面図。 前記第2動力伝達装置を示す平断面図。 第3動力伝達装置を示す平断面図。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施形態に係る草刈作業機1の全体を示す側面図である。図1において、草刈作業機1は、クローラ式の走行装置2が設けられた車両本体3の前方側に草刈機4を備えた構成であり、走行装置2が車両本体3内に搭載された図示略の駆動源であるエンジンおよび油圧駆動装置等によって駆動される。車両本体3の後方側には、オペレータが起立する操縦台5や操縦装置6が設けられている。
これらのうち、草刈機4はハンマーナイフ式であるとともに、車両本体3との間に取り付けられるリフトシリンダ3Aによって上下にリフト可能に設けられており、前記エンジンによって駆動される。図2はそのような草刈機4の斜視図、図3は草刈機4の側断面図、図4は草刈機4の一部を示す平断面図、図5は抵抗部材の斜視図である。なお、図3、図4においては、断面部分のハッチングを省略してある。以下には、草刈機4について詳説する。
図2〜図5において、草刈機4は、左右に一対のソリ11が設けられた無底箱状のカッタケース12を備えている。カッタケース12の内部には、両側の側面板13に回転自在に支持されたカッタ14が収容されている。カッタケース12の一方の側面側には、カッタ14を駆動するための駆動機構16が設けられており、エンジンの出力がこの駆動機構16を介してカッタ14に伝達される。カッタ14は、回転自在なシャフト17の外周から複数のハンマーナイフ21が径方向の外側に突設された構成である。
また、カッタ14の後方には中空円筒状の抵抗部材19が設けられている。この抵抗部材19はカッタ14のハンマーナイフ21の回転軌道(図3中の1点鎖線参照)の最下位置よりも高い位置に配置されている。つまり、地面から抵抗部材19までの距離寸法h1は、地面からカッタ14の回転軌道の最下位置までの距離寸法h2よりも大きい(h1>h2)。
ダウンカットにより草を刈り込む際、カッタ14に押付けられて地面側に倒れ込んだ草は、その先端側が抵抗部材19に当たることから、倒れ込んだ草にカッタ14が接触しても、草がそれ以上沈み込むのを抑制できる。従って、カッタ14の後方側においても、倒れ込んだ草が所定の抵抗力を有した状態に維持されことになり、カッタ14が草と接触する範囲を増大させることができて、草を良好に刈り取ることができ、刈り残しを少なくできる。
駆動機構16は、車両本体3のエンジン側から順に説明すると、シャフト31の両端に設けられた一対の第1、第2プーリ22,23、第1動力伝達装置18Aのシャフト33,34の一端側に設けられた第3、第4プーリ24,25、カッタ14を構成するシャフト17の一端側に設けられた第5プーリ26を備え、第1〜第5プーリ23〜26に巻回されたベルトを介してエンジンからの出力が伝達される。
また、第1、第2プーリ22,23を連結しているシャフト31は、カッタケース12から後方側に延出した支持アーム32に支持され、第1動力伝達装置18Aは、草刈機4に設けられた支持部35に支持されており、支持部35に対してボルト等の適宜な固定手段にて固定されている。そして、このようなシャフト31、33、34および第1〜第4プーリ22〜25を用いることで、エンジンからの動力をカッタケース12の一側面側へ伝達している。
ここで、第1動力伝達装置18Aは、草刈機4の支持部35に対して脱着可能に搭載されている。本実施形態では、動力伝達装置として第1〜3動力伝達装置18A,18B,18C(図10〜図12参照)が用意されており、状況に応じて適宜選択して用いることが可能である。以下には、図2および図4にも図示されている第1動力伝達装置18Aについて図6〜9をも参照して詳細に説明し、第2,3動力伝達装置18B,18Cについては後述する。
図6は第1動力伝達装置18Aを示す平面図、図7は第1動力伝達装置18Aを示す入力側の斜視図、図8は出力側の斜視図、図9はその模式図である。第1動力伝達装置18Aは、ハンマーナイフ21の回転方向をダウンカット方向またはアップカット方向に切り替えることが可能である。従って、このような第1動力伝達装置18Aは、ダウンカットとアップカットとを頻繁に切り替えて作業を行う必要がある場合に有効に用いられる。
図6〜9において、第1動力伝達装置18Aは、第1ケース36Aおよび第2ケース36Bを有するケース36と、第1ケース36Aから突設された入力側のシャフト33と、第2ケース36Bから突設された出力側のシャフト34と、全体がケース36内に収容されたシャフト37と、入力側の回転を出力側で同方向または逆方向に切り替える切替機構38とを備えている。
各シャフト33,34の一端にはそれぞれ前述した第3,4プーリ24,25(図4参照)が取り付けられる。シャフト33の他端には第1ギア361が取り付けられている。シャフト34の他端には第2ギア362が取り付けられている。シャフト37には、第3ギア363が取り付けられている。また、シャフト34において、プーリ25と第2ギア362との間には第4ギア364が取り付けられている。
切替機構38は、第1ケース36Aに回動可能に軸支されて外部に露出したボルト形状の操作部365と、第1ケース36A内にて操作部365の先端に取り付けられて操作部365と共に回動するレバー366と、このレバー366の回動に伴って直線移動するスライダ367と、このスライダ367に貫通して設けられて該スライダ367の直線移動を案内するガイドバー368と、スライダ367および第1ギア361を連結するシフトプレート369とを備えている。レバー366の先端には長孔形状の切欠366Aが形成され、スライダ367には円柱状の凸部367Aが突設され、この凸部367Aが切欠366Aと係合している。
このような切替機構38では、操作部365を適宜な工具等を用いて回動させ、これによりレバー366を回動させると、レバー366の切欠366Aが円弧軌道を描くことから、切欠366Aに係合している凸部367Aを介してスライダ367がガイドバー368に沿って直線移動する。そして、スライダ367の直線移動により、シフトプレート369を介して連結された第1ギア361も同様に、シャフト33に設けられた摺動部33A上を直線移動する。この第1ギア361の移動により、第1ギア361は第2ギア362もしくは第3ギア363との歯合が自在に切り替えられるようになっている。
すなわち、図7〜図9に示す状態では、第1ギア361が第3ギア363と噛合しており、第1ギア361、第3ギア363、および第4ギア364を介してシャフト33の回転がシャフト34に伝達される。この際、シャフト33,34の回転方向は同じとなり、カッタ14を草刈作業機1の進行方向に対してアップカット方向に回転させる。これに対し、切替機構38を操作して第1ギア361を第2ギア362に噛合させると(図9中の2点鎖線参照)、シャフト33の回転が第1ギア361および第2ギア362を介してシャフト34に伝達される。この際、シャフト33,34の回転方向は逆回転となり、カッタ14をダウンカット方向に回転させる。つまり、第1動力伝達装置18Aにおいては、切替機構38により、アップカットとダウンカットとを切り替えることが可能である。
このような切替機構38を備えた第1動力伝達装置18Aが草刈機4に取り付けられていることにより、エンジンや油圧駆動装置等が搭載されることで入り組んだ構造となる車両本体3側に、そのような動力伝達装置をさらに組み込む必要がない。従って、カッタ14の回転方向の切替操作や第1動力伝達装置18Aのメンテナンスを、機器が入り組んだ車両本体3側で行う必要がなく、操作性やメンテナンス性を向上させることができる。
また、第1動力伝達装置18Aでは、機械式の切替機構38が採用されているため、例えば油圧式に比べて動力の伝達効率を良好にでき、動力の伝達ロスを少なくできる。
さらに、切替機構38を採用することで、ハンマーナイフ21が一方向の回転のみならず、他方向の回転においても用いられることになるから、ハンマーナイフ21が一方向からのみ摩耗したり、または他方向からのみ摩耗したりすることがなく、交換周期を長くできて経済的である。
次に、図10,11に基づいて第2動力伝達装置18Bについて説明する。第2動力伝達装置18Bはシャフト33の回転に対してシャフト34の回転を逆回転させる構成である。従って、第2動力伝達装置18Bは、第1ケース36Aと第2ケース36Bとを有するケース36と、一端が第1ケース36Aから突設されたシャフト33と、一端が第2ケース36Bから突設されたシャフト34とを備えており、シャフト33には第1ギア361が取り付けられ、シャフト34には常時第1ギア361と噛合する第2ギア362が取り付けられている。このため、プーリ25はプーリ24と反対方向に回転することになり、ハンマーナイフ21を備えたシャフト17は常に、草刈作業機1の進行方向に対してダウンカット方向に回転する。
このような第2動力伝達装置18Bは、小石等が多い現場で専ら作業する場合に有効である。
図12に示すように、第3動力伝達装置18Cは、一本のシャフト39を備えており、このシャフト39の入力側の端部にプーリ24が取り付けられ、出力側の端部にプーリ25が取り付けられる。これにより、プーリ24とプーリ25とが同一方向に回転することになるため、ハンマーナイフ21を備えたシャフト17は常に、草刈作業機1に進行方向に対してアップカット方向に回転する。
このような第3動力伝達装置18Cは、特に刈り跡が重要視される現場で有効に用いられる。
以上の第1〜第3動力伝達装置18A〜18Cは共に、草刈機4の支持部35に対してプーリ24,25ごと着脱される。従って、第1〜第3動力伝達装置18A〜18Cを交換する場合には、草刈機4に搭載されている動力伝達装置からベルトを外し、プーリ24,25ごと動力伝達装置を草刈機4から外す。この後、プーリ24,25を別の動力伝達装置に付け替え、付け替えたこの動力伝達装置を新たに草刈機4に搭載する。また、取り替える動力伝達装置によっては、長さの異なるベルトが必要であったりするため、取替の都度、適切な部品が用意されることになる。そして、第1〜第3動力伝達装置18A〜18Cを適宜選択して用いることで、アップカット専用の草刈作業機や、ダウンカット専用の草刈作業機をそろえる必要がなく、格段に経済的である。
なお、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、数量などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、数量などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
例えば、本実施形態では、抵抗部材19として中空円筒状の部材を挙げたが、これに限らず、中実円筒状としてもよいし、角筒状や角柱状としてもよく、カッタ14に押付けられて地面側に倒れ込んだ草に抵抗(反力)を与えてカッタ14に接触させることができるものであればいずれでもよい。
前記実施形態では、動力伝達装置として3種類の第1〜第3動力伝達装置18A〜18Cが用意され、草刈機4側に着脱自在に設けられていたが、これらを車輌本体3側に設ける構成とした場合でも、本発明に含まれる。
本実施形態の草刈作業機1には、オペレータが起立姿勢で乗り込む操縦台5が設けられていたが、本発明の草刈作業機1は、オペレータが歩きながら操縦する構成であってもよく、また、操縦台上に着座シートが設けられた構成であってもよい。
本発明は、作業環境によりダウンカットまたはアップカットのいずれかに変更して草刈を行う草刈作業機に利用可能である。
1…草刈作業機、2…走行装置、3…車体、4…草刈機、12…カッタケース、14…カッタ、17…シャフト、18…動力伝達装置、18A…第1動力伝達装置、18B…第2動力伝達装置、18C…第3動力伝達装置、21…ハンマーナイフ、365…切替装置。

Claims (2)

  1. 回転駆動式の草刈機と、
    前記草刈機の駆動源および走行装置が設けられた車両本体と、
    前記駆動源の動力を前記草刈機に伝達する動力伝達装置とを備え、
    前記動力伝達装置は、前記シャフトの回転方向を進行方向に対してダウンカット方向もしくはアップカット方向のいずれかに切替可能な第1動力伝達装置、前記シャフトを進行方向に対してダウンカット方向にのみ回転させる第2動力伝達装置、前記シャフトを進行方向に対してアップカット方向にのみ回転させる第3動力伝達装置が用意され、これら第1ないし第3動力伝達装置の中から選択的に用いられる
    ことを特徴とする草刈作業機。
  2. 請求項に記載の草刈作業機において、
    前記第1ないし第3動力伝達装置は、前記草刈機に着脱自在に取り付けられる
    ことを特徴とする草刈作業機。
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