JP5708552B2 - 無段変速機のバリエータ部品製造方法及びこの方法で使用するハードブローチ工具 - Google Patents

無段変速機のバリエータ部品製造方法及びこの方法で使用するハードブローチ工具 Download PDF

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Description

本発明は、無段変速機のバリエータ部品製造方法及びこの方法で使用するハードブローチ工具に関する。
図19に示すように、トロイダル型無段変速機のバリエータ部品である入力ディスク1は、エンジンからの回転が伝達される動力伝達軸2との間にボールスプラインを設けており、このボールスプラインにより、入力ディスク1は、動力伝達軸2と同期して回転するとともに、動力伝達軸2の軸方向に相対移動可能とされている。
図20に示すように、入力ディスク1の円筒内径部3には、周方向に複数の円筒部3a及び複数のボールスプライン溝3bが交互に形成されている。また、入力ディスク1の外周には、パワーローラ(不図示)に対する動力伝達面であるトラクション面4、トラクション面4に対して軸方向の逆側の面であり、スラスト荷重をバックアップする第1背面5及びトラクション面4に対して軸方向の逆側であり、円筒内径部3の縁部に位置してスラスト荷重をバックアップする第2背面6が形成されている。
また、動力伝達軸2の外周には、周方向に所定間隔をあけて複数のボールスプライン溝2aが形成されている。
そして、動力伝達軸2のボールスプライン溝2a及び入力ディスク1のボールスプライン溝3bを対向させ、互いのボールスプライン溝2a,3bの間にボール7を収容することで入力ディスク1と動力伝達軸2とが噛合したボールスプラインが構成されている。
ここで、図20に示すように、入力ディスク1の円筒部3aと動力伝達軸2の外径部との間には隙間8が設けられており、入力ディスク1の径方向位置はボールスプラインによってのみ拘束されているので、入力ディスク1のトラクション面4は、ボールスプライン溝3bに対して同軸精度・直角精度を高くして加工する必要がある。また、入力ディスク1の第1及び第2背面5,6も、ボールスプライン溝3bに対して直角精度を高くして加工する必要がある。
上記構成の入力ディスク1の製造方法として、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。
この特許文献1は、入力ディスク1の円筒内径部3に、ハードブローチ工具を用いて円筒部3a及びボールスプライン溝3bを同時に仕上げ加工する工程と、仕上げ加工した複数の円筒部3aを加工基準として機能面(図19のトラクション面4、第1背面5及び第2背面6)を仕上げ加工する工程とを備えた方法である。
この特許文献1では、例えば図6(a)に示すハードブローチ工具10を使用している。このハードブローチ工具10は、刃長L1の範囲に複数のスプライン溝刃を備えたスプライン溝刃部11と、スプライン溝刃部11と同軸で刃長L2の範囲に複数の丸刃を備えた丸刃部12とを有する長尺部材であり、このハードブローチ工具10を矢印方向に送って入力ディスク1の円筒内径部3に通過させることで、スプライン溝刃部11がボールスプライン溝3bを仕上げ加工し、丸刃部12が円筒部3aを仕上げ加工する。
特開2005−61494号公報
しかし、特許文献1の方法は、円筒部3a及びボールスプライン溝3bを仕上げまで同時に加工するため、多数のスプライン溝刃及び丸刃を設けた高価なハードブローチ工具10を必要とし、入力ディスク1の製造コストが高騰するおそれがある。
また、ハードブローチ工具10の全長は使用する設備により決定されるため、1本のハードブローチ工具に形成できる刃数には制限がある。丸刃部12には仕上げ用の仕上げ刃13を設ける必要があるが、工具全体の刃数制限のため、図6(a)に示すように、短い刃長L3の少数の仕上げ刃13しか設けることができず、円筒部3aの真円度などの加工精度に影響を与えるおそれがある。
この解決策として、一般的には、ハードブローチ工具を「荒加工用ハードブローチ工具」、「仕上げ加工用ハードブローチ工具」のように、2本使用することも考えられるが、これは工具費がかかり、コストアップとなる。
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、製造コストの低減化を図ることができる無段変速機のバリエータ部品製造方法を提供するとともに、高精度に円筒部を形成し、耐久性が向上したハードブローチ工具を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1記載の無断変速機のバリエータ部品製造方法は、円筒内径部を設けたバリエータ部品のワークを熱処理して硬化させる熱処理工程と、ハードターニング加工によって前記ワークの軸方向の一方の端面又は軸方向の他方の端面の少なくとも一方を切削加工するとともに、切削した前記ワークの軸方向の一方の端面又は他方の端面を加工基準面として前記円筒内径部を所定厚さだけ切削することでハードターニング内径部を形成するハードターニング工程と、ハードブローチ工具を前記ハードターニング内径部に通過させることで、前記ハードターニング内径部を切削して周方向に円筒部及びボールスプライン溝を交互に形成するハードブローチ工程と、前記円筒部を加工基準として、前記ワークに対してトラクション面の仕上加工をする仕上げ工程と、を備えている。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のバリエータ部品の製造方法で使用するハードブローチ工具であって、軸方向に複数のスプライン溝刃を備えたスプライン溝刃部と、このスプライン溝刃部と同軸に軸方向に複数の丸刃を備えた丸刃部とを有する長尺な工具であり、前記丸刃部を構成する複数の丸刃は、前記ハードターニング内径部を周方向に複数分割した領域の何れかを切削する刃であり、前記ハードターニング内径部を通過することで前記円筒部を形成する。
また、本発明に係る請求項3記載の無段変速機のバリエータ部品製造方法は、円筒内径部を設けたバリエータ部品のワークを熱処理して硬化させる熱処理工程とハードターニング加工によって前記ワークの軸方向の一方の端面又は軸方向の他方の端面の少なくとも一方を切削加工するとともに、切削した前記ワークの軸方向の一方の端面又は他方の端面を加工基準面として前記円筒内径部を所定厚さだけ切削することでハードターニング内径部を形成するハードターニング工程と、ハードブローチ工具を前記ハードターニング内径部に通過させることで、前記ハードターニング内径部を切削して周方向に円筒部及びボールスプライン溝を交互に形成するハードブローチ工程と、前記円筒部を加工基準として、前記ワークに対してトラクション面の仕上加工をする仕上げ工程とを備え、前記ハードブローチ工程で使用する前記ハードブローチ工具は、軸方向に複数のスプライン溝刃を備えたスプライン溝刃部と、このスプライン溝刃部と同軸に軸方向に複数の丸刃を備えた丸刃部とを有する長尺な工具であり、前記丸刃部を構成する複数の丸刃は、前記円筒内径部を周方向に複数分割した領域の何れかを切削する刃であり、前記円筒内径部を通過することで前記円筒部を形成することを特徴としている。
請求項1記載の無段変速機のバリエータ部品製造方法によると、ハードターニング工程において、円筒内径部を所定厚さだけ切削してハードターニング内径部を形成しており、ハードブローチ工程では、ハードターニング内径部の加工代を少なくして切削することで円筒部の仕上げ加工を行っていることから、丸刃部の刃長が短い廉価なハードブローチ工具を使用することができるので、バリエータ部品の製造コストの低減化を図ることができる。
また、請求項2記載のハードブローチ工具によると、丸刃部を構成する円筒部を形成するための複数の丸刃は、ハードターニング内径部を周方向に複数分割した領域の何れかを切削するので切削抵抗が低くなるので、ビビリ振動による円筒部の切削面が粗くなるのを防止し、工具寿命を向上させることができる。
さらに、請求項3記載の無段変速機のバリエータ部品製造方法によると、ハードブローチ工程において、円筒内径部から円筒部を形成するまでの加工代が多いが、ハードブローチ工具は、丸刃部を構成する円筒部を形成するための複数の丸刃が、円筒内径部を周方向に複数分割した領域の何れかを切削するので切削抵抗が低くなるので、ビビリ振動による円筒部の切削面が粗くなるのを防止し、工具寿命を向上させることができる。
本発明に係る無段変速機のバリエータ部品製造方法の流れを示すズロック図である。 第1実施形態の無段変速機のバリエータ部品製造方法の前工程を示す図である。 第1実施形態の無段変速機のバリエータ部品製造方法のハードターニング工程を示す図である。 第1実施形態の無段変速機のバリエータ部品製造方法のハードブローチ工程を示す図である。 第1実施形態の無段変速機のバリエータ部品製造方法で製造したバリエータ部品を示す図である。 従来及び本発明で使用しているハードブローチ工具を示す図である。 第2実施形態の無段変速機のバリエータ部品製造方法の前工程を示す図である。 第2実施形態の無段変速機のバリエータ部品製造方法のハードターニング工程を示す図である。 第2実施形態の無段変速機のバリエータ部品製造方法のハードブローチ工程を示す図である。 第2実施形態のハードブローチ工具がハードターニング内径部を切削する構造を示す図である。 第2実施形態の無段変速機のバリエータ部品製造方法で製造したバリエータ部品を示す図である。 他の構造のハードブローチ工具を示す図である。 第3実施形態の無段変速機のバリエータ部品製造方法を示すための図である。 第4実施形態の無段変速機のバリエータ部品製造方法を示すための図である。 第5実施形態の無段変速機のバリエータ部品製造方法の前工程を示す図である。 第5実施形態の無段変速機のバリエータ部品製造方法のハードターニング工程を示す図である。 第5実施形態の無段変速機のバリエータ部品製造方法のハードブローチ工程を示す図である。 第5実施形態の無段変速機のバリエータ部品製造方法で製造したバリエータ部品を示す図である。 無段変速機のバリエータ部品と動力伝達軸のボールスプライン噛合状態を示す図である。 ボールスプライン噛合状態を断面図で示した図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
なお、図19及び図20で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明は省略する。
図1は、本発明に係る無段変速機のバリエータ部品の製造方法の流れを示すブロック図であり、ステップST1にて前工程を行い、ステップST2にてワーク16を熱処理して硬化させる工程を行い、ステップST3にてハードターニング工程を行い、ステップST4にてハードブローチ工程を行い、ステップST5にて後工程を行う。なお、前記後工程が、本発明の仕上げ工程に相当する。
[第1実施形態]
図2〜図6は、図1のバリエータ部品としてトロイダル型無段変速機の入力ディスクの製造方法を構成する第1実施形態の工程を示すものであり、図2は図1のステップST1の前工程を示し、図3(a),(b)は図1のステップST3のハードターニング工程を示し、図4(a),(b)は図1のステップST4のハードブローチ工程を示し、図5は図1のステップST5の後工程を示している。
図2に示す前工程では、熱間鍛造や切削加工等により仕上がり寸法に対して加工取り代を付与した円筒内径部15及びスプライン用溝部15aを有するワーク16を成形する。
次に、熱処理工程を経て、図3(a),(b)のハードターニング工程では、切削工具を用いた機械加工により、第1背面5、第2背面6、正面7及び円筒内径部15のハードターニング加工を行う。このハードターニング工程を行うことにより、第1背面5、第2背面6、正面7の仕上げ加工を行うとともに、円筒内径部15を所定厚さTだけ切削することでハードターニング内径部17が形成される。なお、上記ハードターニング工程では、第1背面5、第2背面6及び正面7の3箇所全てに対してハードターニング加工をしているが、これらのうち一カ所又は二カ所の加工は省略するようにしてもよい。
次に、図4(a)のハードブローチ工程では、ハードターニング工程で加工された第1背面5又は第2背面6を基準面としてハードブローチ工具18を使用してハードターニング内径部17及びスプライン用溝部15aのハードブローチ加工を行う。
なお、図4(a)の矢印は、ワーク16に対する工具の相対移動方向を示すものであり、実際に移動させるのは、ワーク16としても工具18としてもよい。また、基準面としてハードターニング加工した正面7を使用してもよく、その場合は、矢印の向き(工具の相対移動方向)は図4(a)とは逆向きとなる。
ハードブローチ工具18は、図6(b)に示すように、刃長L1の範囲に複数のスプライン溝刃を備えたスプライン溝刃部11と、スプライン溝刃部11と同軸で刃長L4の範囲に複数の丸刃を備えた丸刃部12とを有する長尺部材である。また、ハードブローチ工具18は、従来方法で使用した図6(a)のハードブローチ工具10と比較して、スプライン溝刃部11が同一刃長L1であり、丸刃部12の刃長L4が大幅に短い(L4<L2)。また、ハードブローチ工具18の丸刃部12には、従来方法で使用した図6(a)のハードブローチ工具10と同一刃長L3の仕上げ用の仕上げ刃13が設けられている。
そして、上記構成のハードブローチ工具18を、図4(a)及び図6(b)の矢印方向に送ってワーク16のハードターニング内径部17を通過させることで、図4(b)に示すように、先ず、スプライン溝刃部11によりボールスプライン溝3bの仕上げ加工が行われ、次いで、丸刃部12により円筒部3aの仕上げ加工が行われる。
次に、図5の後工程では、ボールスプライン溝3bに対して同軸に形成した面積の大きな円筒部3aを加工基準とし、円筒部3aに対して同軸精度・直角精度を高くして研削手段(不図示)によりトラクション面4の仕上げ加工を行なうことで、入力ディスク1を製造する。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態の入力ディスクの製造方法は、ハードターニング工程において、円筒内径部15を所定厚さTだけ切削してハードターニング内径部17を形成しており、次工程のハードブローチ工程では、ハードターニング内径部17の加工代を少なくして切削することで円筒部3aの仕上げ加工を行っている。
このように、本実施形態のハードブローチ工程では、ボールスプライン溝3bと比べて加工範囲が広い円筒部内径面の加工代を少なくして円筒部3aの仕上げ加工を行うことから、図6(b)で示したように、丸刃部12の刃長L4が短いハードブローチ工具18を使用することができる。
したがって、丸刃部12の刃長が短いハードブローチ工具18を廉価に形成することができるので、入力ディスク1の製造コストの低減化を図ることができる。
なお、本実施形態では、図6(b)で示したハードブローチ工具18に替えて、図6(c)で示すハードブローチ工具19を使用してハードブローチ工程を行うようにしてもよい。
ハードブローチ工具19は、従来方法で使用した図6(a)のハードブローチ工具10と、スプライン溝刃部11の刃長L1及び丸刃部12の刃長L4が同一である。ただし、ハードブローチ工程の円筒部内径面の加工代が従来方法と比べて小さいので、粗加工に要する丸刃の数を少なくすることができ、その分、仕上げ刃13の刃長L5を従来のハードブローチ工具10の刃長L3と比べて長くできる。
これにより、図6(c)で示すハードブローチ工具19を使用してハードブローチ工程を行うと、従来方法と比べて、高精度でボールスプライン溝3bとの同軸度も良好な円筒部3aを得ることができる。ボールスプライン溝3bとの同軸度が良好で高精度に加工された円筒部3aを基準面として使用し、後工程の加工を行うことにより、加工箇所のボールスプライン溝3bとの同軸度等の加工精度を高めることができる。また、工具の長寿命化も図れる。
[第2実施形態]
次に、図7〜図12は、図1のバリエータ部品としてトロイダル型無段変速機の入力ディスクの製造方法を構成する第2実施形態の工程を示すものであり、図7は図1のステップST1の前工程を示し、図8は図1のステップST3のハードターニング工程を示し、図9(a),(b)は図1のステップST4のハードブローチ工程を示し、図11は図1のステップST5の後工程を示している。なお、図2から図6で示した第1実施形態の工程と同一構成部分には、同一符号を付して説明は省略する。
図7に示す前工程では、熱間鍛造等により仕上がり寸法に対して加工取り代を付与し、端部に段付き部20を設けた円筒内径部21及びスプライン用溝部21aを有するワーク22を成形する。
次に、熱処理工程を経て、図8のハードターニング工程では、段付き部20を加工基準して背面23、正面24及び円筒内径部21のハードターニング加工を行う。このハードターニング工程を行うことにより、円筒内径部21を所定厚さTだけ切削することでハードターニング内径部25が形成される。なお、背面23、正面24のうち一方を次工程のハードブローチ工程における基準面として使用すればよいので、他方のハードターニング工程は省略してもよい。
次に、図9(a)のハードブローチ工程では、ハードターニング加工を施した背面23、又は正面24を加工基準として用い、ハードブローチ工具26を使用してハードターニング内径部25及びスプライン用溝部21aのハードブローチ加工を行う。
ハードブローチ工具26は、刃長L1の範囲に複数のスプライン溝刃を備えたスプライン溝刃部11と、スプライン溝刃部11と同軸で刃長L2の範囲に複数の丸刃を備えた丸刃部12とを有する長尺部材である。このハードブローチ工具26は、従来方法で使用した図6(a)のハードブローチ工具10と比較して、スプライン溝刃部11が同一刃長L1であり、丸刃部12も同一刃長L2である。一方、本実施形態の丸刃部12の仕上げ用の仕上げ刃13は、従来方法で使用した図6(a)のハードブローチ工具10と比較して刃長が長く、例えば図6(c)に示した工具19の仕上げ刃13の刃長L5と等しい刃長としている(L5>L3)。
そして、上記構成のハードブローチ工具26のワーク22に対する相対移動方向が、図9(a)の矢印方向となるように送ってワーク22のハードターニング内径部25を通過させることで、図9(b)に示すように、先ず、スプライン溝刃部11によりボールスプライン溝3bの仕上げ加工が行われ、次いで、丸刃部12により円筒部3aの仕上げ加工が行われる。
ここで、本実施形態のハードブローチ工具26は、仕上げ刃13以外の丸刃部12を構成する複数の丸刃を、ハードターニング内径部25の周方向を2分割した領域を交互に切削する刃としている。
すなわち、図10(a)に示すように、円筒部3aを形成すべきハードターニング内径部25の6箇所の領域を、周方向に一つおきに存在するA領域及びB領域に分けている。そして、図10(b)に示すように、ハードブローチ工具26の仕上げ刃13以外の丸刃部12を、A領域を切削しB領域は切削しないAタイプの丸刃(符号Aと示している)と、B領域を切削しA領域は切削しないBタイプの丸刃(符号Bと示している)を軸方向に沿って交互に備えた構成としている。なお、ハードブローチ工具26の仕上げ刃13の丸刃は、A領域及びB領域、すなわち、ハードターニング内径部25の全周を切削する刃である。
次に、図11の後工程では、ボールスプライン溝3bに対して同軸に形成した面積の大きな円筒部3aを加工基準とし、円筒部3aに対して同軸精度・直角精度を高くして研削手段(不図示)によりトラクション面27の仕上げ加工を行なうことで、入力ディスク28を製造する。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態の入力ディスクの製造方法は、ハードターニング工程において、円筒内径部21を所定厚さTだけ切削してハードターニング内径部25を形成し、次工程のハードブローチ工程では、ハードターニング内径部25の加工代を少なくして切削することで円筒部3aを形成している。そして、本実施形態のハードブローチ工程で使用するハードブローチ工具26は、従来方法で使用した図6(a)のハードブローチ工具10と比較して、仕上げ刃13の刃長が長い(L5>L3)。
このように、本実施形態は、ハードブローチ工程におけるハードターニング内径部25の加工代を少なくすることで、入力ディスク28の製造コストの低減化を図ることができる。
また、ハードブローチ工具26の仕上げ刃13の刃長を長くしたことで、ハードブローチ工程において円筒部3aをボールスプライン溝3bとの同軸度等も高精度に形成することができるとともに、仕上げ刃13の刃数を増大させたことでハードブローチ工具10の高寿命化を図ることができる。
さらに、本実施形態のハードブローチ工具26は、仕上げ刃13以外の丸刃部12を構成する複数の丸刃を、ハードターニング内径部25の周方向を2分割した領域を交互に切削する刃としているので、各刃が受ける切削抵抗は、ハードターニング内径部25の全周を切削する場合と比較して略半分になり、ビビリ振動による切削面(円筒部3a)が粗くなるのを防止し、ハードブローチ工具26の寿命低下を防止することができる。
ここで、本実施形態のハードブローチ工具26の丸刃部12を、図12に示すように、移動方向の先端側にA領域を切削しB領域は切削しないAタイプの丸刃(符号Aと示している)を設け、移動方向の後方側にB領域を切削しA領域は切削しないBタイプの丸刃(符号Bと示している)を配置し、Aタイプの丸刃及びBタイプの丸刃が、図10(a)に示したハードターニング内径部25の周方向に一つおきに存在するA領域及びB領域を切削するようにしても、各刃が受ける切削抵抗が、ハードターニング内径部25の全周を切削する場合と比較して略半分になり、ビビリ振動による切削面が粗くなるのを防止し、ハードブローチ工具26の寿命低下を防止することができる。
さらに、ハードターニング工程をボールスプライン溝3bや円筒部3aと同軸度の出しやすい段付き部20を加工基準としたことにより、後の各工程の加工取り代の偏りの防止に有効である。
[第3実施形態]
また、図13は、図5で示した第1実施形態のトロイダル型無段変速機の入力ディスク1、図11で示した第2実施形態のトロイダル型無段変速機の入力ディスク28に対して異なる構造のトロイダル型無段変速機の入力ディスク30である。この入力ディスク30は、外周に第1背面31、第2背面32及びトラクション面33が形成されているとともに、円筒内径部に円筒部3a及びボールスプライン溝3bが形成されている。
本実施形態の入力ディスク30も、第2実施形態と同様に、前工程において、仕上がり寸法に対して加工取り代を付与した形状にワークの外形状を得る。次いで、熱処理工程を経て、ハードターニング工程において、第2実施形態の場合と同様に、段付き部を加工基準として第1背面31、第2背面32及び円筒内径部のハードターニング加工を行い、円筒内径部を所定厚さだけ切削することでハードターニング内径部を形成する。次いで、ハードブローチ工程において、第1背面31又は第2背面32のうちの何れかを基準面としてハードブローチ工具26を使用してハードターニング内径部のハードブローチ加工を行う。なお、第1背面31又は第2背面32のうち一方を次工程のハードブローチ工程で基準面として使用しない面はハードターニング工程を省略するようにしてもよい。
次いで、後工程において、トラクション面33の仕上げ加工を行なう。
本実施形態も、ハードブローチ工程においてハードターニング内径部の加工代を少なくすることで、入力ディスク30の製造コストの低減化を図ることができるとともに、ビビリ振動による切削面(円筒部3a)が粗くなるのを防止し、ハードブローチ工具の寿命低下を防止することができる。
[第4実施形態]
さらに、図14は、ベルト式無段変速機のバリエータ部品であるプーリー35であり、外周にプーリー面36及び背面37が形成され、内周に段付き部38及び円筒内径部が設けられているとともに、円筒内径部に円筒部3a及びボールスプライン溝3bが形成されている。
本実施形態のプーリー35も、第2実施形態と同様に、前工程において、仕上がり寸法に対して加工取り代を付与した形状にワークの外形状を得る。次いで、熱処理工程を経て、ハードターニング工程において、段付き部38を加工基準として背面37及び円筒内径部のハードターニング加工を行い、円筒内径部を所定厚さだけ切削することでハードターニング内径部を形成する。次いで、ハードブローチ工程において、背面37を加工基準としてハードブローチ工具26を使用してハードターニング内径部及びスプライン用溝部のハードブローチ加工を行う。次いで、後工程において、プーリー面36の仕上げ加工を行なう。
本実施形態も、ハードブローチ工程においてハードターニング内径部の加工代を少なくすることで、プーリー35の製造コストの低減化を図ることができるとともに、ビビリ振動による切削面(円筒部3a)が粗くなるのを防止し、ハードブローチ工具の寿命低下を防止することができる。
[第5実施形態]
さらに、図15〜図18は、図1の入力ディスクの製造方法を構成する第5実施形態の工程を示すものであり、図15は図1のステップST1の前工程を示し、図16(a),(b)は図1のステップST3のハードターニング工程を示し、図17(a),(b)は図1のステップST4のハードブローチ工程を示し、図18は図1のステップST5の後工程を示している。
図15に示す前工程では、熱間鍛造等により仕上がり寸法に対して加工取り代を付与した円筒内径部40及びスプライン用溝部40aを有するワーク41を成形する。
次に、熱処理工程を経て、図16(a),(b)のハードターニング工程では、切削工具を用いた機械加工により、第1背面42、第2背面43の仕上げ加工としてハードターニング加工を行う。
次に、図17(a)のハードブローチ工程では、図6(c)で示したハードブローチ工具26を使用して円筒内径部40の及びスプライン用溝部40aのハードブローチ加工を行う。
ハードブローチ工具26を、図17(a)及び図6(c)の矢印方向に送ってワーク41の円筒内径部40を通過させることで、図17(b)に示すように、先ず、スプライン溝刃部11によりボールスプライン溝3bの仕上げ加工が行われ、次いで、丸刃部12により円筒部3aの仕上げ加工が行われる。
そして、本実施形態の丸刃部12は、図10(b)或いは図12で示したように、ハードブローチ工具26の仕上げ刃13以外の丸刃部12が、図10(a)のA領域を切削しB領域は切削しないAタイプの丸刃(符号Aと示している)と、B領域を切削しA領域は切削しないBタイプの丸刃(符号Bと示している)を軸方向に沿って交互に備えた構成としている。
次に、図18の後工程では、ボールスプライン溝3bに対して同軸に形成した面積の大きな円筒部3aを加工基準とし、円筒部3aに対して同軸精度・直角精度を高くして研削手段(不図示)によりトラクション面44の仕上げ加工を行なうことで、入力ディスク45を製造する。
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態の入力ディスクの製造方法は、ハードブローチ工具26の仕上げ刃13の刃長を長くしたことで、ハードブローチ工程において円筒部3aを高精度に形成することができるとともに、仕上げ刃13の刃数を増大させたことでハードブローチ工具10の高寿命化を図ることができる。
また、本実施形態では、他の実施形態のように、ハードターニング工程において円筒内径部40を切削せず、円筒部3aを形成するまでの加工代が多いが、ハードブローチ工具26の丸刃部12を構成する複数の丸刃を、ハードターニング内径部25の周方向を2分割した領域を交互に切削する刃とし、各刃が受ける切削抵抗が、ハードターニング内径部の全周を切削する場合と比較して略半分になるので、ビビリ振動による切削面が粗くなるのを防止し、ハードブローチ工具26の寿命低下を防止することができる。
さらに、本実施形態のハードブローチ工具26の丸刃部12を、図12に示した、ワークに対する相対移動方向の先端側にA領域を切削しB領域は切削しないAタイプの丸刃(符号Aと示している)を設け、移動方向の後方側にB領域を切削しA領域は切削しないBタイプの丸刃(符号Bと示している)を配置し、Aタイプの丸刃及びBタイプの丸刃が、図10(a)に示したハードターニング内径部25の周方向に一つおきに存在するA領域及びB領域を切削するようにしても、各刃が受ける切削抵抗が、ハードターニング内径部25の全周を切削する場合と比較して略半分になり、ビビリ振動による切削面が粗くなるのを防止し、ハードブローチ工具26の寿命低下を防止することができる。
なお、上述した第1実施形態では、図6(b)或いは図6(c)のハードブローチ工具18,19を使用していたが、これに替えて図10(b)或いは図12に示したハードブローチ工具26を使用してもよい。また、第2〜第4実施形態において、第1実施形態で使用したハードブローチ工具18,19を使用してもよい。
1…入力ディスク、3a…円筒部、3b…ボールスプライン溝、4…トラクション面、5…第1背面、6…第2背面、7…正面、11…スプライン溝刃部、12…丸刃部、13…仕上げ刃、15…円筒内径部、15a,21a,40a…スプライン用溝部、16…ワーク、17…ハードターニング内径部、18…ハードブローチ工具、20…段付き部、21…円筒内径部、22…ワーク、23…背面、24…正面、25…ハードターニング内径部、26…ハードブローチ工具、27…トラクション面、28…入力ディスク、30…入力ディスク、31…第1背面、32…第2背面、33…トラクション面、35…プーリー、36…プーリー面、37…背面、40…円筒内径部、41…ワーク、42…第1背面、43…第2背面、44…トラクション面、45…入力ディスク

Claims (3)

  1. 円筒内径部を設けたバリエータ部品のワークを熱処理して硬化させる熱処理工程と
    ハードターニング加工によって前記ワークの軸方向の一方の端面又は軸方向の他方の端面の少なくとも一方を切削加工するとともに、切削した前記ワークの軸方向の一方の端面又は他方の端面を加工基準面として前記円筒内径部を所定厚さだけ切削することでハードターニング内径部を形成するハードターニング工程と、
    ハードブローチ工具を前記ハードターニング内径部に通過させることで、前記ハードターニング内径部を切削して周方向に円筒部及びボールスプライン溝を交互に形成するハードブローチ工程と、
    前記円筒部を加工基準として、前記ワークに対してトラクション面の仕上加工をする仕上げ工程と、を備えていることを特徴とする無段変速機のバリエータ部品製造方法。
  2. 請求項1記載のバリエータ部品の製造方法で使用するハードブローチ工具であって、
    軸方向に複数のスプライン溝刃を備えたスプライン溝刃部と、このスプライン溝刃部と同軸に軸方向に複数の丸刃を備えた丸刃部とを有する長尺な工具であり、
    前記丸刃部を構成する複数の丸刃は、前記ハードターニング内径部を周方向に複数分割した領域の何れかを切削する刃であり、前記ハードターニング内径部を通過することで前記円筒部を形成することを特徴とするハードブローチ工具。
  3. 円筒内径部を設けたバリエータ部品のワークを熱処理して硬化させる熱処理工程と
    ハードターニング加工によって前記ワークの軸方向の一方の端面又は軸方向の他方の端面の少なくとも一方を切削加工するとともに、切削した前記ワークの軸方向の一方の端面又は他方の端面を加工基準面として前記円筒内径部を所定厚さだけ切削することでハードターニング内径部を形成するハードターニング工程と、
    ハードブローチ工具を前記ハードターニング内径部に通過させることで、前記ハードターニング内径部を切削して周方向に円筒部及びボールスプライン溝を交互に形成するハードブローチ工程と、
    前記円筒部を加工基準として、前記ワークに対してトラクション面の仕上加工をする仕上げ工程とを備え、
    前記ハードブローチ工程で使用する前記ハードブローチ工具は、軸方向に複数のスプライン溝刃を備えたスプライン溝刃部と、このスプライン溝刃部と同軸に軸方向に複数の丸刃を備えた丸刃部とを有する長尺な工具であり、前記丸刃部を構成する複数の丸刃は、前記円筒内径部を周方向に複数分割した領域の何れかを切削する刃であり、前記円筒内径部を通過することで前記円筒部を形成することを特徴とする無段変速機のバリエータ部品製造方法。
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