JP5706309B2 - 無線リソース割当方法、及び基地局装置 - Google Patents

無線リソース割当方法、及び基地局装置 Download PDF

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本発明は、同一の周波数チャネル上で、独立な信号系列を空間多重して異なる複数の送信アンテナより送信し、複数の受信アンテナを用いて信号を受信し、各送受信アンテナ間のチャネル情報行列を基に受信局側で信号系列を復調するMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)通信を行い、1つの無線局装置と複数の端末局とが同時にかつ同一周波数上で空間多重して通信を行うマルチユーザMIMO通信技術を適用した無線通信システムにおける無線リソース割当方法、及び基地局装置に関する。
近年、2.4GHz帯又は5GHz帯を用いた高速無線アクセスシステムとして、IEEE802.11g規格、IEEE802.11a規格に加えIEEE802.11n規格の普及が目覚ましい。これらのシステムでは、マルチパスフェージング環境での特性を安定化させるための技術である直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式を用い、特にIEEE802.11n規格ではMIMO技術を用いて同一時刻に同一周波数の信号を並列的に送信しながらも、送受信局間の制御で信号の混信を回避し、高い周波数利用効率での通信を可能にしている。
[シングルユーザMIMO技術について]
このMIMO技術とは、送信局側において複数の送信アンテナから同一チャネル上で異なる独立な信号を送信し、受信局側において同じく複数のアンテナを用いて信号を受信し、その際に各送信アンテナと受信アンテナ間のチャネル情報で構成されるチャネル情報行列を求め、この行列を用いて送信局側で各アンテナから送信した独立な信号を推定し、データを再生するものである。
ここで、N本の送信アンテナを用いてN系統の信号を送信し、M本のアンテナを用いて信号を受信する場合を考える。まず、送受信局の各アンテナ間にはM×N個の伝送のパスが存在し、第i(i=1,2,・・・,N)送信アンテナから送信され第j(j=1,2,・・・,M)受信アンテナで受信される場合のチャネル情報をhj,iとし、これを第(j,i)成分とするM行N列の行列をHと表記する。更に、第i送信アンテナからの送信信号をtとし(t,t,t,・・・,t)を成分とする列ベクトルをTx、第j受信アンテナでの受信信号をrとし(r,r,r,・・・,r)を成分とする列ベクトルをRx、第j受信アンテナの熱雑音をnとし(n,n,n,・・・,n)を成分とする列ベクトルをnと表記する。
この場合、以下の(式1)が成り立つ。
Figure 0005706309
したがって、受信局側で受信した信号Rxを基に、送信信号Txを推定する必要がある。
このMIMO通信においては、伝搬路の情報を利用して、その伝搬路に対して最適な状況で信号を送信することにより、最も効率的に通信を行うことができる。例えば、特許文献1に記載された固有モードSDM(Space Division Multiplexing)方式を用いたMIMO伝送においては、信号の伝送方向のMIMOチャネルのチャネル情報行列Hを送信局側で取得できた場合に、このチャネル情報行列に対応した送信信号の最適化を行う。具体的には、チャネル情報行列Hとそのエルミート共役な行列H(右肩の「H」の記号はエルミート共役を表す)の積を対角化可能なユニタリ行列Uを取得し、このユニタリ行列で送信信号を変換して信号を送信する。このユニタリ変換行列Uとチャネル情報行列Hの間には以下の(式2)が成り立つ。
Figure 0005706309
ここで、右辺の行列Λは対角成分のみが値を持ち、その他の成分がゼロである対角行列である。このような特徴を持つユニタリ行列Uを列ベクトルTxに作用させて信号を送信することにより、(式1)は以下の(式3)のように変換される。
Figure 0005706309
この変換により、送信信号はMIMOチャネルごとに直交化され、受信側での処理において簡易なZF(Zero Forcing)方式を用いた場合であっても、各送信信号をMIMOチャネルごとの信号対雑音比(SNR:Signal to Noise Ratio)特性が良好になるように調整される。また、このユニタリ行列の各列ベクトルは、送信信号である列ベクトルTxを各送信アンテナに分配する際の各アンテナに乗算する係数(以降、「送信ウエイト」と呼ぶ)を与える。この送信ウエイトを用いることで、MIMOチャネルごとに直交したビーム形成を行い、それぞれのビーム(固有ビーム)に相当するチャネルの利得がその固有ベクトルの固有値となる。したがって、全MIMOチャネルのチャネル容量Cの上限は以下の(式4)で与えられる。
Figure 0005706309
(式4)において、Bは帯域幅、λは行列H・Hの第i番の固有値、Pは第i番のMIMOチャネルの総送信電力、σは雑音電力の分散値を意味する。(式4)から、どの程度の伝送レートの伝送モード(ここではQPSK、64QAM等の変調方式と、誤り訂正の符号化率との組み合わせにより規定されるモードを「伝送モード」と定義する)を適用可能か、また更にどの程度の数の信号系列を多重化できるかが推定できる。
ちなみに、(式4)の中の送信電力Pは、全てのMIMOチャネルに共通の値である必要はなく、また信号系列ごとに伝送モードを変更しても構わない。一般に、注水定理と呼ばれる手法を用いることでこのPの値を最適化することが可能である。この中で、P=0となる信号系列が存在した場合、その信号系列は実際の伝搬には用いずに、他の信号系列に電力を配分した方が効率的であることを意味している。つまり、MIMOの多重数を元々の上限値よりも少なく設定することになる。このようにして、多重化する信号系列数の最適値を判断することも可能である。
以上の固有モードSDM技術は、送信側で指向性を持った送信ビームを形成し、空間上で多重化する信号を受信側で効率的に信号分離できるようにするものである。ここで、通常のMIMO通信、すなわち1つの送信局と1つの受信局の間で行われる通信をシングルユーザMIMOと呼ぶ。無線LANや携帯電話等を例に見れば、基地局装置はサイズ的に比較的大きく、端末局側はポータブルな端末としてサイズは基地局装置よりも大幅に小さい。このような小型端末の中に、MIMO通信のための複数のアンテナを実装しても、アンテナ間の距離が短く、アンテナ相関が非常に大きくなってしまう。この場合、(式4)における固有値λの値は小さくなる傾向にあり、実際に通信に利用できるMIMOチャネル数はそれほど多くはない。
このようなケースにおいて、1つの端末局に対して割り当てる信号系列数を少なくする一方で、複数の異なる端末局に対して同時に同一周波数チャネルで通信するマルチユーザMIMO通信が有効である。
[マルチユーザMIMO技術について]
(マルチユーザMIMOの概要)
以上のシングルユーザMIMO技術の説明は、基本的に送信局と受信局が1対1の関係で通信を行うものであった。この際、送受信アンテナの間隔が狭いとチャネルの相関が強くなり、空間多重を効率的に行えなくなる。そこで、例えば非特許文献1等にて検討されているマルチユーザMIMO技術では、そのアンテナ相関を低減するために、空間的に分散した複数台の端末局と1台の基地局装置との間で空間多重を行う。
図15は、従来技術におけるマルチユーザMIMO技術を適用した無線通信システムの構成例を示す図である。同図に示す無線通信システムは、1つの基地局装置301と、3つの端末局#1〜#3(302〜304)とを具備している。実際に1つの基地局装置が収容する端末局は3つ以上の多数であってもよいが、ここでは端末局が3つの場合を示している。無線通信システムでは、多数の端末局から端末局#1〜#3(302〜304)を選び出し、選び出された端末局302〜304と基地局装置301とが同時に空間多重した通信を行う。各端末局302〜304に備えられているアンテナ数は、基地局装置301に備えられているアンテナ数に比較して一般的に少ない。
ここで、基地局装置301から端末局302〜304方向への通信(ダウンリンク)を行う場合を考える。基地局装置301は多数のアンテナを用いて、複数の指向性ビームを形成する。例えば、基地局装置301は、各端末局302〜304に対してそれぞれ3つの信号系列を割り当て、全体としては9系統の信号系列を送信するものとする。その際、端末局#1(302)に対して送信する信号は、端末局#2(303)及び端末局#3(304)方向に指向性利得が極端に低くなるように調整し、この結果として端末局#2(303)及び端末局#3(304)への干渉を抑制する。同様に、端末局#2(303)に対して送信する信号は、端末局#1(302)及び端末局#3(304)方向に指向性利得が極端に低くなるように調整する。同様の処理を端末局#3(304)にも施す。
このように指向性制御を行う理由は、例えば端末局#1(302)において端末局#2(303)及び端末局#3(304)で受信した信号の情報を知る術がないため、端末局間での協調的な受信処理ができない。つまり、各端末局#1〜#3(302〜304)において、備えられている3本のアンテナを用いて受信した3つの信号から基地局装置301が送信した9系統の全ての信号系列を信号分離することは非常に厳しい。そこで、基地局装置301は、端末局#1〜#3(302〜304)それぞれに対して、他の端末局宛の信号が受信されないように、干渉分離を事前に行う。
以上が既存のマルチユーザMIMOシステムの概要である。次に、指向性ビームの形成方法について、以下に説明を加える。例えば図15において、端末局#1(302)の第1受信アンテナと基地局装置(301)の第jアンテナとの間のチャネル情報をh1jと表記することにする。基地局装置(301)のj=1〜9の全てのアンテナに関するチャネル情報を用い、行ベクトルhを(h11,h12,h13,…,h18,h19)と表記する。同様に端末局#1(302)の第2受信アンテナ、第3受信アンテナと基地局装置(301)のチャネル情報をh2j及びh3jとし、対応する行ベクトルh及び行ベクトルhを(h21,h22,h23,…,h28,h29)、(h31,h32,h33,…,h38,h39)とする。端末局#2(303)、端末局#3(304)の受信アンテナにも同様の連番をふり、行ベクトルh〜hを(h41,h42,h43,…,h48,h49)〜(h91,h92,h93,…,h98,h99)とする。加えて、基地局装置(301)が送信する9系統の信号をt〜tと表記し、これを成分とする列ベクトルをTx[all]=(t,t,t,…,t,tと表記する。ここで、右肩のTの文字はベクトル、行列の転置を表す。また同様に、端末局#1〜#3(302〜304)の9本のアンテナでの受信信号をr〜rと表記し、これを成分とする列ベクトルをRx[all]=(r,r,r,…,r,rと表記する。最後に、行ベクトルh〜hを第1から第9行成分とする行列を、全体チャネル情報行列H[all]と表記する。
このように表記した場合、無線通信システム全体として以下の(式5)が成り立つ。
Figure 0005706309
これに対し送信指向性制御を行うため、9行9列の送信ウエイト行列Wを導入し、(式5)を以下の(式6)のように書き換える。
Figure 0005706309
更に、送信ウエイト行列Wにおける送信ウエイトベクトルw 〜w を用いて、W=(w ,w ,w ,…,w ,w )と表記すると、(式6)における「H[all]・W」は以下の(式7)のように表せる。
Figure 0005706309
ここで、例えば6つの行ベクトルh〜hと3つの列ベクトルw 〜w との乗算(各成分の乗算したものの総和、複素ベクトルの場合は内積とは異なる)が全てゼロになるようにw〜wを選ぶことを考える。同様に、行ベクトルh〜h及び行ベクトルh〜hと列ベクトルw 〜w との積、行ベクトルh〜hと列ベクトルw 〜w との積の全てがゼロになるように選ぶことにする。すると、(式7)に示す9行9列の行列H[all]は、3行3列の9個の部分行列を用いて表記すると以下の(式8)のように表すことができる。
Figure 0005706309
(式8)において、部分行列H[1]、H[2]、H[3]は3行3列の行列であり、「0」は成分が全てゼロの3行3列の行列である。このような条件を満たす変換行列Wを選択することで、(式8)は以下の3つの関係式に分解できる。
Figure 0005706309
Figure 0005706309
Figure 0005706309
(式9)〜(式11)において、Tx[1]=(t,t,t、Tx[2]=(t,t,t、Tx[3]=(t,t,t、Rx[1]=(r,r,r、Rx[2]=(r,r,r、Rx[3]=(r,r,rとした。このようにして、1つの基地局装置が1対1でMIMO通信を行う、いわゆるシングルユーザMIMO通信が3系統、同時並行的に通信を行っている状態とみなすことができるようになる。
次に、送信ウエイトベクトルw 〜w を決定する方法の例を以下に説明する。手順としては、端末局#1に対する送信ウエイトベクトルw 〜w を決定し、順次、端末局#2に対する送信ウエイトベクトルw 〜w 、端末局#3に対する送信ウエイトベクトルw 〜w を決定する。
まず第1ステップとして、端末局#2、#3に対応する6つの行ベクトルh〜hが張る6次元部分空間を張る6つの基底ベクトルe〜eを求める。求める方法は、グラムシュミットの直交化法の他、様々な方法があるが、ここでは例としてグラムシュミットの直交化法を例に説明する。
まず、1つの行ベクトルhに着目し、以下の(式12)で与えられ、この方向で絶対値が1のベクトルを基底ベクトルeとする。
Figure 0005706309
(式12)において、分母の(h・h )は同一ベクトルの絶対値の2乗を意味するスカラー量であり、行ベクトルhを規格化することを意味する。次に、行ベクトルhに着目し、行ベクトルhの中から基底ベクトルe方向の成分をキャンセルした、以下の(式13)で与えられる行ベクトルh’を求めた後、更に規格化して、以下の(式14)で与えられる基底ベクトルeを求める。
Figure 0005706309
Figure 0005706309
(式13)において、(h・e )は行ベクトルhの基底ベクトルe方向への射影を意味する。同様の処理を以下の(式15)及び(式16)のように行う。
Figure 0005706309
Figure 0005706309
ここで(式15)におけるΣのiによる総和は、4≦i≦j−1(jは5〜9の整数)の整数iに対する加算を意味する。つまり、既に確定した基底ベクトル方向の成分をキャンセルすることを意味する。このようにして、6つの基底ベクトルe〜eを求めることができる。
次に第2ステップとして、端末局#1に対する送信ウエイトベクトルw 〜w を求める。まず、行ベクトルh〜hから、e〜eが張る6次元部分空間の成分をキャンセルする。具体的には(式15)に対し、jを1〜3の整数として設定し、(式15)におけるΣのiによる総和は、4≦i≦9の整数iに対する加算を実施する。このようにして求めたベクトルh’〜h’の3つのベクトルが張る3次元空間は、上述のベクトルh〜hのいずれとも直交している。この3次元空間内の3つのベクトルを選び、これを送信ウエイトベクトルw 〜w として設定すれば、他の端末局#2、#3への干渉を抑圧することができる。なお、3つのベクトルの選び方は如何なるものでも構わないが、例えば特異値分解を行って得られるユニタリ行列を構成する3つの直交ベクトルを用いれば、他の端末局#2、#3に干渉を与えない部分空間内に限定された固有モード伝送が可能になり、効率的な伝送が可能になる。また単純に、1≦j≦3の整数jに対し、以下の式で与えても構わない。
Figure 0005706309
なお、(式17)で与えられる1≦j≦3の整数jに対する3つの送信ウエイトベクトルは、一般には相互に直交したベクトルとはなっていないが、他の端末局#2、#3への与干渉回避のためには他の端末局の各アンテナのチャネル情報ベクトルにさえ直交していれば、同一の端末局に関する送信ウエイトは直交する必然性はない。ただし、上述のような固有モード伝送などにおいて直交化することは有効である。
以上の端末局#1に関する送信ウエイトの算出の後、最後に第3ステップとして、これと同様の処理を端末局#2、端末局#3に対しても行えば、最終的に全体の送信ウエイトベクトルw 〜w を求めることができる。
以上が従来方式における送信ウエイト行列の求め方である。ここでは、図15に示すとおり端末局側が複数のアンテナ(図15では3本ずつ)を備えている例について説明を行った。このため、3次元部分空間の中での送信ウエイトの選択には自由度が残されており、固有モード伝送による直交送信ウエイトや、(式17)などの送信ウエイトの選択肢が残されていた。しかし、マルチユーザMIMOとは必ずしも各端末局が複数のアンテナを備えている必然性はなく、各端末局が1本のアンテナを備える構成であっても構わない。この場合には、当然ながら(式17)が送信ウエイトベクトルの算出式となる。
図16は、従来技術における送信ウエイト行列Wを算出する処理のフローチャートである。まず、送信ウエイト行列の算出を開始すると(ステップS141)、全端末局へのチャネル情報行列Hを取得する(ステップS142)。宛先とする端末局に通し番号を付与し、その番号を変数kで表す場合、まず変数kの値を「0」に初期化する(ステップS143)。更に、変数kをカウントアップし(ステップS144)、着目しているk=1に対応した端末局#1に対する部分チャネル情報行列(ここでは便宜上、Hmainと表記)の抽出(ステップS145)と、それ以外の宛先の端末局の部分チャネル情報行列(ここでは便宜上、Hsubと表記)を抽出する(ステップS146)。
更に、部分チャネル情報行列Hsubの各行ベクトルが張る部分空間の直交基底ベクトルを算出し、これを基底ベクトル{e}とおく(ステップS147)。次に、(式13)に相当する処理として、着目している端末局#1に対する部分チャネル情報行列HmainからステップS147で求めた基底ベクトル{e}に関する成分をキャンセルし、これを行列〜Hmainとする(ステップS148)。ここで、図16のステップS148において、「〜(チルダ)」が上に付されたHを「〜H」と表記する。以下、数式等においても同様に、「^(ハット)」などの記号が文字の上に付されている文字を表記する場合、当該記号を文字の前に表記する。
更に、行列〜Hmainの行ベクトルが張る部分空間の任意の直交基底ベクトルを算出し、これを{e}とおく(ステップS149)。ここでの任意の規定ベクトルとは、例えば行列〜Hmainを特異値分解した際の右特異行列を構成するベクトルなどを選んでもよい。その後、{e}の各ベクトルのエルミート共役ベクトル(複素共役ベクトルを転置、列ベクトル)として、端末局#1宛の信号に関する送信ウエイトベクトル{w H}を決定する(ステップS150)。
ここで、全ての宛先の端末局の送信ウエイトベクトルを決定済みか否かを判断し(ステップS151)、残りの端末局があれば(ステップS151:No)、ステップS144からステップS150を繰り返す。一方、全ての宛先の端末局の送信ウエイトベクトルを検定済みであれば(ステップS151:Yes)、送信ウエイトベクトル{w H}を各列ベクトルとする行列として送信ウエイト行列Wを決定し(ステップS152)、処理を完了する(ステップS153)。
なお、チャネル情報は一般には周波数ごとに異なるため、広帯域の信号、例えばOFDM変調方式を用いた信号であれば、周波数成分ごと、すなわちサブキャリアごとに同様の送信ウエイトを算出することになる。
(マルチユーザMIMO技術におけるチャネルフィードバック)
マルチユーザMIMO伝送を行うためには、基地局装置で送受信局間のチャネルの状態を把握する必要がある。特にダウンリンクにおいては、複数の端末局間の信号が端末局側で相互干渉とならないように、基地局装置と各端末局と間のチャネルの状態を把握し、チャネルの状態に応じた送信ウエイトを用いて信号を送信する必要があるためである。
図17は、従来技術におけるチャネルフィードバックの処理を示すフローチャートである。従来技術におけるチャネルフィードバックの方法は大別して2種類の方法がある。ここでは、フォワードリンクのチャネル推定結果を直接取得する「(A)直接的な方法」と、バックワードリンクの情報を用いて換算推定する「(B)間接的な方法」とについて説明する。
一般的には、フォワードリンク(ダウンリンク)とその逆方向のバックワードリンク(アップリンク)のチャネル情報は一致しない。それは、フォワードリンクにおける送信側のハイパワーアンプと受信側のローノイズアンプとの組み合わせと、バックワードリンクにおける送信側のハイパワーアンプと受信側のローノイズアンプとの組み合わせが異なり、フォワードリンクのチャネル情報とバックワードリンクのチャネル情報との間で複素位相や振幅が異なるからである。しかし、これらの複素位相や振幅の差を補正することができるならば、バックワードリンクのチャネル情報からフォワードリンクの情報を換算推定することも可能である。
図17(A)は、直接的な方法の処理を示すフローチャートである。同図に示すように、直接的な方法では、チャネル情報推定処理を開始すると(ステップS101)、基地局装置の各アンテナから端末局宛にチャネル推定用のプリアンブル信号などを含む無線パケットを送信する(ステップS102)。
端末局は、基地局装置の各アンテナから送信された無線パケットを受信し、受信した無線パケットに含まれているプリアンブル信号などを用いてチャネル推定を実施する(ステップS103)。端末局では、このチャネル推定結果を「制御情報収容用の無線パケット」に収容し、基地局装置に送信する(ステップS104)。
基地局装置は、端末局が送信した「制御情報収容用の無線パケット」を受信し、チャネル情報を取得する(ステップS105)。更に、基地局装置は、受信したチャネル情報をメモリに保存し、チャネル情報に関するデータベースを構築し(ステップS106)、処理を終了する(ステップS107)。
図17(B)は、間接的な方法の処理を示すフローチャートである。同図に示すように、間接的な方法では、チャネル情報推定処理を開始すると(ステップS108)、端末局から基地局装置宛にチャネル推定用のプリアンブル信号などを含む無線パケットを送信する(ステップS109)。
基地局装置は、端末局から送信された無線パケットを受信し、無線パケットに含まれているプリアンブル信号などを用いてチャネル推定を実施する(ステップS110)。
基地局装置は、このバックワードリンクにおけるチャネル情報の推定結果に、換算処理を施し、フォワードリンク側のチャネル情報を取得する(ステップS111)。
バックワードリンクにおけるチャネル情報からフォワードリンクにおけるチャネル情報を算出する換算処理は、フォワードリンクにおけるハイパワーアンプと、バックワードリンクにおけるローノイズアンプとの相違を補正する係数を用いることにより実施することが可能である。具体的には、バックワードリンクにおけるチャネル情報に、ハイパワーアンプとローノイズアンプとの相違を補正する係数を乗算することによって、ステップS111における変換処理を実施することができる。
更に、基地局装置は、端末局から受信したバックワードリンクにおけるチャネル情報と、変換処理により得られたフォワードリンクにおけるチャネル情報とをメモリに保存し、チャネル情報を記憶するデータベースを構築し(ステップS112)、処理を終了する(ステップS113)。
このようにしてチャネル情報を事前に取得しておき、一般的には実際に通信を行う際にこのチャネル情報を基に送信ウエイトを算出する。なお、チャネル情報は時間と共に変動するため、状況に応じて例えば周期的に更新することが一般的である。
(マルチユーザMIMOにおける送信処理)
図18は、従来技術のマルチユーザMIMOにおける送信処理を示すフローチャートである。以下、基地局装置は、K本のアンテナを備え、信号系列数がL個の信号処理を行う場合について説明する。
マルチユーザMIMOでは、データの送信とは別に行うダウンリンクのチャネル情報のフィードバック処理が定期的になされており、ここで、端末局ごとにダウンリンクの各周波数成分のチャネル情報を取得すると(ステップS159)、そのチャネル情報をメモリに記憶しておく(ステップS160)。この処理は、逐次行われる。
一方、基地局装置は、信号を送信する送信処理を開始すると(ステップS151)、宛先である端末局に該当するチャネル情報を先ほどのメモリから周波数成分ごとに読み出す(ステップS152)。読み出されたチャネル情報を基に、先に示した処理によりマルチユーザMIMO用の送信ウエイトを周波数成分ごとに算出する(ステップS153)。
ステップS152、ステップS153における処理とは別に、基地局装置は、宛先の端末局ごとに、端末局に送信すべきデータに対して各種変調処理等を含む送信信号処理を行い各周波数成分の送信信号を生成する(ステップS154)。
基地局装置は、ステップS154で生成した送信信号に、ステップS153で生成した送信ウエイトを乗算し(ステップS155)、アンテナごとに各周波数成分の各端末局宛の送信信号を加算合成し、更にIFFT処理によって周波数軸上の信号から時間軸上の信号に変換し、更にガードインターバルの挿入やOFDMシンボル間(SC−FDEであればブロック伝送のブロック間)の波形整形等の処理を行う一連の信号処理を施す(ステップS156−1〜S156−K)。
基地局装置は、処理を施した信号に対し、更にD/A変換、ハイパワーアンプを用いた増幅を行い、各アンテナから送信し(ステップS157−1〜S157−K)、処理を終了する(ステップS158−1〜S158−K)。
なお、ステップS156−1〜S156−Kでは、ベースバンド信号から無線周波数へのアップコンバート処理、フィルタによる帯域外周波数成分の除去、ハイパワーアンプによる信号の増幅なども含むようにしてもよい。
(マルチユーザMIMOにおける受信処理)
図19は、従来技術のマルチユーザMIMOにおける受信処理のフローチャートである。まず、基地局装置は、第1から第Kアンテナにて信号を受信する(ステップS161−1〜S161−K)。ここでの受信とは、受信した信号ないしはそれをダウンコンバートした信号に対しA/D変換を施す処理までを含み、以降の信号処理はこれらのデジタル化された受信信号に対する処理を意味する。
続けて、各アンテナに対応する受信信号に対し、FFTによる各周波数成分への分離等の信号処理を行う(ステップS162−1〜S162−K)。更に、基地局装置は、無線パケットに付与されていた既知のパターンのプリアンブル信号を用いて、各周波数成分のチャネル推定を実施する(ステップS163−1〜S163−K)。ここで、伝搬路上での信号の減衰、及び複素位相の回転状態を把握する。
基地局装置は、推定されたチャネル情報を用いて、空間多重された信号系列ごと及び周波数成分ごとに個別の適切な受信ウエイトを算出する(ステップS164)。更に空間多重された信号系列ごとに算出された各周波数成分の受信ウエイトを、周波数成分ごとに分離された受信信号に乗算する(ステップS165−1〜S165−L)。
ここで、受信ウエイトは空間多重された信号系列ごとに用意されているため、ステップS165−1〜S165−Lにおける出力は、空間多重された信号系列ごとに別々の出力となる。基地局装置は、各アンテナの信号が周波数成分ごとに、それぞれの信号系列の信号を加算合成し(ステップS166−1〜S166−L)、合成した信号系列それぞれに対して第1信号系列の信号処理(ステップS167−1)から第L信号系列の信号処理(S167−L)を実施し、処理を終了する(ステップS168−1〜S168−L)。
なお、ここでは簡単のために線形の受信ウエイトを用いる場合の例を示したが、一般にはMIMOに関してはMLD(Maximum Likelihood Detection)等の非線形の信号処理を行っても構わない。この場合は、ステップS165−1〜S165−L、ステップS166−1〜S166−L、及びステップS167−1〜S167−Lにおける処理は、一体として非線形の信号検出処理が実施されることになる。なお、ここでは受信アンテナ数Kに対し、空間多重された信号系列数をLとした場合の説明を行ったが、一般的にはLとKは一致する必要はなく、K以下のLであれば多数の信号系列の信号を空間多重することができる。
以上、マルチユーザMIMOの説明を行ったが、従来技術のマルチユーザMIMOの典型的な特徴は、基地局装置における受信処理(アップリンク)において、送信側と受信側との間のチャネル情報を基に、受信の都度、受信ウエイトの算出を行う点(図19のステップS164)、及び、基地局装置における送信処理(ダウンリンク)において、信号送信時に最新のチャネル情報を読み出し(図18のステップS152)、そのチャネル情報を基に送信ウエイトを算出する点(図18のステップS153)にある。
つまり、送信及び受信共に、送受信ウエイトの算出は送信ないしは受信の都度に算出を実施する点にある。これは、チャネルの時変動に起因したものであり、良好なチャネル推定精度を得るためには周期的にチャネル情報のフィードバック処理をする必要がある。チャネルのフィードバック周期を短く設定するに従い、オーバーヘッドは増大する。更に、基地局装置において空間多重された信号を受信する際には、複数の端末局に対するチャネル推定をそれぞれ個別に行う必要があり、そのために所望の数の直交したプリアンブルが必要となる。一般的には、プリアンブル信号のパターンそのものが直交していることが好ましいが、そのようなパターンを設定できなければ、空間多重数と同数のシンボル数のオーバーヘッドが必要であり、空間多重数の増大に従ってそのオーバーヘッドも増大する。
[マルチユーザMIMOにおけるスケジューリング技術]
シングルユーザMIMOとマルチユーザMIMOとの違いは、マルチユーザMIMOでは空間的な広がりをもって存在する複数の端末局が構成するアンテナを利用し、そのアンテナ間距離が離れていることで結果的にシングルユーザMIMOに比べてアンテナ相関が小さくなる効果を利用する点にある。しかし、厳密には、同時に空間多重する端末局のアンテナに係るチャネル情報は時として非常に相関が大きくなることがあり、その場合には特性が大幅に劣化することになる。具体的には、(式17)で与えられる送信ウエイトベクトルw と、元々のチャネル情報ベクトルhとを乗算して得られる値(h・w )が特性を表すひとつの指標となる。例えばベクトルhとベクトルwとの方向が完全に等しい場合には、ベクトルwが規格化されていることを考慮すれば、(h・w )はベクトルhの絶対値に等しくなる。一方で、ベクトルhと、ベクトルwとの方向が完全に直交していれば、(h・w )の値はゼロとなる。このように、この(h・w )の値がベクトルhの絶対値よりも小さくなるのは、他の端末局に対して干渉を与えないように行われた直交化にともない、回線利得にロスが発生することを示している。シングルユーザMIMOの場合のチャネル容量Cが(式4)で与えられるのは、受信側で全てのアンテナの受信情報を活用できるからであるが、マルチユーザMIMOでは送信側で送信ウエイトを乗算し回線利得にロスが発生した後の情報しか取得することができない。この結果、(式4)に相当するチャネル容量は以下の(式18)に書き換えられる。
Figure 0005706309
(式18)において、関数「|x|」はxの絶対値を与える関数である。このようにして与えられるチャネル容量を効率的に高めるため、マルチユーザMIMOでは、各端末局の組み合わせの適正を判断し、可能な限り直交化によるロスを小さく抑えることが可能な組み合わせを選択するスケジューリング処理がその特性を大きく左右する重要な技術となる。
図20は、従来技術におけるマルチユーザMIMOのスケジューリング処理のフローチャートである。同図において、マルチユーザMIMO技術が適用された基地局装置では、スケジューリング処理を開始すると(ステップS201)、送信データの存在する宛先端末局(ないしはアップリンクであれば、基地局装置に送信すべき送信データを有する端末局)の候補をリストアップし(ステップS202)、端末局の組み合わせの候補を作成する(ステップS203)。
例えば、候補となる端末局が6局存在し、4多重のマルチユーザMIMOを実施するのであれば、端末局の組み合わせは15(=)通り存在する。一般には全ての組み合わせを考慮する必要はなく、その他の要因を考慮してある程度候補を絞り込んでいても構わない。
このようにして選ばれた組み合わせの候補に対し、各端末局に対応したチャネル情報ベクトルを読み出し(ステップS204)、組み合わせに対応した送信ウエイト(アップリンクであれば受信ウエイト)を上述の手法で算出し(ステップS205)、(式18)などを用いて、送信ウエイトをチャネル情報ベクトルに乗算した結果を基にチャネル容量を算出し(ステップS206)、チャネル容量などの評価指標を最大化する組み合わせを選択し(ステップS207)、処理を終了する(S208)。
ここでの評価指標とは必ずしもチャネル容量である必要はなく、直交化に伴うロスを最小化することで効率を最大化するなど、他の指標を用いても構わない。
ここで、先の図20で示したスケジューリング処理では、端末局の組み合わせを選択する際に送信ウエイトの算出を前提としていた。例えば、基地局装置に多くのアンテナを備える場合には、送信ウエイトを算出する際の演算量が膨大となり、その演算量を低減するために様々な工夫を施すことになる。例えば、非特許文献2に記載の技術では、基地局装置のアンテナ数NBSが膨大な場合における演算量削減のために、NBS×NBSのサイズの行列演算に替えて、基地局装置のアンテナ数MBSに対して数が少ない端末局のアンテナ数NMSで定められるNMS×NMSのサイズの行列演算でチャネル容量を近似する手法を提案している。
特にこの方法は、端末局のSNR特性が良好であれば近似精度が高く、ほぼ正確にチャネル容量を評価できる。しかし、ここで行うべき処理は、様々な端末局の中からどの組み合わせで同時に空間多重をすればよいのかを判断することであり、多数の組み合わせに対して同様の演算を行い、その結果の中で最もチャネル容量を高める組み合わせ、ないしは直交化に伴うロスを最も抑えられる組み合わせを検索しようとすると、演算量が増加してしまう。
このような演算の負荷を大幅に低減するためには、送受信ウエイトを正確に算出した後でチャネル容量を直接的に評価する(式18)に相当する演算を行うのではなく、(式18)における|h・w |を算出する代わりに、直交化ロスの程度を近似的に評価することが考えられる。そのひとつの方法としては、例えば以下の(式19)で与えられる各チャネル情報ベクトルを規格化したベクトルを定義し、異なる端末局に関するこの規格化チャネルベクトル〜h同士の内積がなるべく小さな組み合わせを探索してもよい。
Figure 0005706309
つまり、ここで便宜上、以下の(式20)で与えられる評価関数を定義するならば、この評価関数がなるべく1に近くなる端末局の組み合わせを積極的に利用すればよい。
Figure 0005706309
図21は、従来技術におけるマルチユーザMIMOの図20と異なるスケジューリング処理のフローチャートである。同図において、マルチユーザMIMOの基地局装置では、スケジューリング処理を開始すると(ステップS211)、送信データの存在する宛先端末局(ないしはアップリンクであれば、送信データの存在する送信元端末局)の候補をリストアップし(ステップS212)、端末局の組み合わせの候補を作成する(ステップS213)。ここで選ばれた組み合わせの候補に対し、各端末局に対応したチャネル情報ベクトルを読み出し(ステップS214)、(式19)で示すチャネル情報ベクトルの規格化を行い(ステップS215)、各組み合わせに含まれる任意の2つの端末局間で規格化されたチャネル情報ベクトル同士の内積を求め(ステップS216)、この内積値ないしは(式20)等で与えられる評価指標を基に、良好な組み合わせを選択し(ステップS217)、処理を終了する(ステップS218)。ここでの評価指標は、いかなる指標でも構わないが、内積演算は端末局の組み合わせに属する2つの端末局間で定義されるものであり、組み合わせ全体に関しては例えば(式20)で示される評価指標の最小値を最大化する組み合わせを選択するなど、適当な判断条件が追加される。
更にその他のスケジューリング処理の例としては、図22に示すスケジューリング処理がある。同図に示すスケジューリング処理では、端末局の組み合わせの候補を先に選択する代わりに、組み合わせに適した端末局を1局ずつ追加する処理も考えられる。
具体的には、図22に示すように、マルチユーザMIMOの基地局装置は、スケジューリング処理を開始すると(ステップS221)、送信データの存在する宛先端末局(ないしはアップリンクであれば、送信データの存在する送信元端末局)の候補をリストアップし(ステップS222)、リストアップされた端末局から1局を選択する(ステップS223)。ステップS223における端末局の選択方法として、例えば、FIFO(First-In-First-Out)型のバッファなどを利用して、送信待ちの端末局の待ち行列を生成し、待ち時間の長い端末局順に管理して、最も待ち時間の長い端末局を選択する方法等がある。
更に、リストアップされた端末局から、まだ選択されていない端末局を1局選択し(ステップS224)、この選択で既に全ての端末局の調査が完了し選択が不可の状態にあるか否かを判断する(ステップS225)。
選択すべき端末局が既にない場合(ステップS225:Yes)、端末局の組み合わせを確定して処理を完了する(ステップS230)。一方、選択すべき端末局がある場合(ステップS225:No)、その端末局に対する規格化されたチャネルベクトルを読み出し(ステップS226)、既に選択が確定した全ての端末局の規格化されたチャネル情報ベクトルとの間で内積を取り、その全ての内積値が所定の基準値以下であるか否かの判断を行う(ステップS227)。
全ての内積値が所定の基準値以下である場合(ステップS227:Yes)、その端末局の選択を確定し組み合わせに追加する(ステップS228)。その後、空間多重の目標数である所定の数mに対し、既にm局の端末局の組み合わせ選択が完了したか否かの判断を行う(ステップS229)。組み合わせに含まれる端末局の数がmに達している場合(ステップS229:Yes)、端末局の組み合わせを確定して処理を終了する(ステップS230)。
なお、ステップS227において内積値が基準値より大きい場合(ステップS227:No)、又は、ステップS229において組み合わせに含まれる端末局の数がmに達していない場合(ステップS229:No)には、処理をステップS224に戻し、ステップS224からステップS229までを繰り返して行う。このようにして、規格化されたチャネル情報ベクトルの内積値が全ての端末局間で所定の閾値以上となる組み合わせを探索し、直交化ロスが大きな値になることを回避する。
この図22に示す処理は、先の図20又は図21で示したような最適解である保証はなく、簡易な方法で準最適解を求める処理に対応する。
[マルチユーザMIMOの装置構成例]
図23は、マルチユーザMIMOを用いて通信する基地局装置900において送信に係る構成例を示す概略ブロック図である。同図に示すように、基地局装置900は、送信信号処理回路161−1〜161−L(Lは2以上の整数)と、加算合成回路162−1〜162−K(Kは2以上の整数)と、IFFT・GI付与回路178−1〜178−Kと、D/A変換器163−1〜163−Kと、ミキサ164−1〜164−Kと、フィルタ165−1〜165−Kと、ハイパワーアンプ(HPA:High Power Amplifier)166−1〜166−Kと、アンテナ167−1〜167−Kと、ローカル発振器168と、チャネル情報取得回路169と、送信ウエイト処理部173と、MAC層処理回路174と、インタフェース回路175とを備えている。
送信ウエイト処理部173は、チャネル情報記憶回路170と、マルチユーザMIMO送信ウエイト算出回路171と、通信制御回路172とを有している。
MAC層処理回路174は、スケジューリング処理回路176を有している。
ここで、同図における送信信号処理回路161−1〜161−Lの添え字のLは、同時に空間多重を行う多重数を表す。また、加算合成回路162−1〜162−Kからアンテナ167−1〜167−Kまでの回路の添え字のKは、基地局装置900が備えるアンテナ系統数を表す。
基地局装置900において、インタフェース回路175は、外部機器ないしはネットワークとのデータの入出力を行い、この中から無線回線上で転送すべきデータを抜き出し、MAC層処理回路174に対してデータを出力する。
MAC層処理回路174は、全体の動作の管理制御を行う通信制御回路172の指示に従い、MAC層に関する処理(すなわちインタフェース回路175で入出力されるデータと無線回線上で送受信されるデータの変換、MAC層のヘッダ情報の付与・終端等)を実施する。この処理の中で、スケジューリング処理回路176は、マルチユーザMIMO伝送において同時に空間多重を行う端末局の組み合わせを含む各種スケジューリング処理を行う。スケジューリング処理結果は通信制御回路172に通知される。
マルチユーザMIMOでは、複数の端末局宛に一度に信号を送信するため、複数系統の信号系列がMAC層処理回路174から個別の送信信号処理回路161−1〜161−Lに入力される。送信信号処理回路161−1〜161−Lは、MAC層処理回路174より送信すべきデータが入力されると、無線回線で送信する無線パケットを生成して変調処理を行う。ここで、例えばOFDM変調方式を用いるのであれば、各信号系列の信号は周波数成分ごとに変調処理が行われる。更に、変調処理がなされたベースバンド信号に周波数成分ごとに送信ウエイトを乗算する。各アンテナ167−1〜167−Kに対応した係数である送信ウエイトが乗算された信号は、アンテナ167−1〜167−Kごとに加算合成回路162−1〜162−Kに入力され、ここで周波数成分ごとに合成され、必要に応じて残りの信号処理が施され、ベースバンドにおける送信信号のサンプリングデータとして加算合成回路162−1〜162−Kに入力される。
加算合成回路162−1〜162−Kに入力された信号は、周波数成分ごとに合成される。合成された信号は、IFFT・GI付与回路178−1〜178−Kにて周波数軸上の信号から時間軸上の信号に変換され、更にガードインターバルの挿入やOFDMシンボル間(SC−FDEであればブロック伝送のブロック間)の波形整形等の処理を行い、アンテナ167−1〜167−Kごとに、D/A変換器163−1〜163−Kでデジタル・サンプリングデータからベースバンドのアナログ信号に変換される。更に、各アナログ信号は、ローカル発振器168から入力される信号とミキサ164−1〜164−Kで乗算され、無線周波数の信号にアップコンバートされる。ここでの信号は、送信すべきチャネルの帯域外の周波数成分にも信号が含まれるため、フィルタ165−1〜165−Kで帯域外成分を除去し、送信すべき電気的な信号を生成する。これをハイパワーアンプ166−1〜166−Kで増幅し、アンテナ167−1〜167−Kより送信する。
なお、図23では、送信ウエイトを乗算した各信号系列に対し各周波数成分の信号の加算合成を加算合成回路162−1〜162−Kで実施した後に、IFFT処理、ガードインターバルの挿入、波形整形等の処理を行っているが、送信信号処理回路161−1〜161−Lにてこれらの処理を行い、加算合成回路162−1〜162−K及びIFFT・GI付与回路178−1〜178−Kに相当する処理回路等を送信信号処理回路161−1〜161−L内に内在する構成としてもよい。この場合、送信信号処理回路161−1〜161−Lにおいて、送信ウエイトを乗算した後の必要に応じた残りの信号処理とは、IFFT処理、ガードインターバルの挿入、波形整形等の処理をさす。
また、送信信号処理回路161−1〜161−Lで乗算される送信ウエイトは、信号送信処理時に、マルチユーザMIMO送信ウエイト算出回路171より取得する。送信ウエイト処理部173では、チャネル情報取得回路169で別途チャネル情報を取得しておき、これを逐次更新しながらチャネル情報記憶回路170に記録しておく。信号の送信時にマルチユーザMIMO送信ウエイト算出回路171は、宛先局に対応したチャネル情報をチャネル情報記憶回路170から読み出し、その情報を基に送信ウエイトを算出し、これを送信信号処理回路161−1〜161−Lに入力する。
また、宛先局の管理や全体のタイミング制御など、全体の通信に係わる制御を通信制御回路172が管理し、上述の送信ウエイトの算出に係わる信号処理を行う送信ウエイト処理部173に対し、通信制御回路172から宛先局等の情報が指示される。
図24は、マルチユーザMIMOを用いて通信する基地局装置900において受信に係る構成例を示す概略ブロック図である。基地局装置900は、図23に示した構成である通信制御回路172、MAC層処理回路174、及びインタフェース回路175に加えて、受信信号処理回路181−1〜181−Lと、FFT回路179−1〜179−Kと、A/D変換器182−1〜182−Kと、フィルタ183−1〜183−Kと、ミキサ184−1〜184−Kと、ローノイズアンプ(LNA:Low Noise Amplifier)185−1〜185−Kと、アンテナ186−1〜186−Kと、ローカル発振器187と、受信ウエイト処理部190とを備えている。
受信ウエイト処理部190は、チャネル情報推定回路188と、マルチユーザMIMO受信ウエイト算出回路189とを有している。
基地局装置900において、アンテナ186−1〜186−Kで受信した信号をローノイズアンプ185−1〜185−Kが増幅し、この信号とローカル発振器187から入力される信号とがミキサ184−1〜184−Kで乗算され、無線周波数の信号からベースバンドの信号にダウンコンバートされる。ダウンコンバートされた信号には、受信すべきチャネルの帯域外の周波数成分も含まれるため、フィルタ183−1〜183−Kが帯域外成分を除去し、これをA/D変換器182−1〜182−Kがデジタル・ベースバンド信号に変換する。
デジタル・ベースバンド信号は、全てFFT回路179−1〜179−Kに入力され、所定のシンボルタイミングで時間軸上の信号を周波数軸上の信号に変換(各周波数成分の信号に分離)する。この各周波数成分に分離された信号は、受信信号処理回路181−1〜181−Lに入力されると共に、チャネル情報推定回路188にも入力される。
チャネル情報推定回路188は、各周波数成分に分離されたチャネル推定用の既知の信号(無線パケットの先頭に付与されるプリアンブル信号等)に基づいて、各端末局のアンテナと、基地局装置900の各アンテナ186−1〜186−Kとの間におけるチャネル情報を周波数成分ごとに推定し、その推定結果をマルチユーザMIMO受信ウエイト算出回路189に入力する。
マルチユーザMIMO受信ウエイト算出回路189は、当該チャネル情報を基に受信ウエイトを周波数成分ごとに算出する。この際、各アンテナ167−1〜167−Kからの信号を合成する受信ウエイトは信号系列ごとに異なり、抽出すべき信号系列に対応する受信信号処理回路181−1〜181−Lにそれぞれ入力される。
受信信号処理回路181−1〜181−Lは、FFT回路179−1〜179−Kから入力された周波数成分ごとの信号に対し、マルチユーザMIMO受信ウエイト算出回路189から入力された受信ウエイトを乗算し、各アンテナ186−1〜186−Kでの受信信号を周波数成分ごとに加算合成し、合成された信号に対して復調処理を施し、再生されたデータをMAC層処理回路174に出力する。
ここで、異なる受信信号処理回路181−1〜181−Lでは異なる信号系列の信号処理がなされる。MAC層処理回路174では、MAC層に関する処理(すなわちインタフェース回路175で入出力されるデータと無線回線上で送受信されるデータの変換、MAC層のヘッダ情報の終端等)を実施する。この処理の中でスケジューリング処理回路176は、マルチユーザMIMO伝送において同時に空間多重を行う端末局の組み合わせを含む各種スケジューリング処理を行い、スケジューリング処理結果は通信制御回路172に通知される。MAC層処理回路174にて処理された受信データはインタフェース回路175に出力され、インタフェース回路175を介して外部機器ないしはネットワークとのデータの入出力を行う。
なお、送信元の端末局の管理や全体のタイミング制御など、全体の通信に係わる制御を通信制御回路172が管理し、上述の受信ウエイトの算出に係わる信号処理を行う受信ウエイト処理部190に対し、通信制御回路172から送信元の端末局等の情報が指示される。
また、信号受信に関しても送信の場合と同様に、OFDM変調方式ないしはSC−FDE方式を用いた広帯域のシステムでは、上述の受信ウエイトの乗算は周波数成分ごとに行われる。つまりA/D変換器182−1〜182−Kからの出力信号に対し、FFT回路179−1〜179−KでFFTを行い各周波数成分に分離し、その周波数成分ごとにチャネル情報推定回路188での信号処理、受信信号処理回路181−1〜181−Lでの受信信号処理が実施されることになる。
国際公開第2005/055484号
鷹取泰司他、「次世代高速無線アクセスシステムへの下りリンクマルチユーザMIMO技術の適用」、電子情報通信学会論文誌.B、通信J93−B(9)、pp1127−1139、2010年09月 工藤理一他、「マルチユーザMIMOブロック直交化法送信用ユーザ選択法の提案」、信学技法RCS2007−41、2007年7月
例えば、基地局装置のアンテナ数がNBS本ある場合を想定して演算量について以下に考察する。端末局のアンテナ数は簡単のため1本と仮定し、無線リソースの割り当てを行う候補となる端末局の数がn局、この中から条件的に好ましいm局を組み合わせる場合について考える。(式19)で与えられるベクトルは事前に取得できているものとし、スケジューリングの際に必要になる演算量を評価する。一般に、ハードウエアで演算を実施する場合、乗算(除算)回路の回路規模は、加算(減算)回路の回路規模より一桁以上大きいことが知られている。そのため、演算を行うハードウエアの回路規模等を検討する際には、通常、乗算(除算)回数がどの程度であるかを議論するのが一般的である。
まず、(式20)にはベクトルの内積が含まれており、NBS次元ベクトルの場合には要素数に相当するNBS回の複素乗算が必要になる。更に(式20)のi、jの組み合わせはn×(n−1)/2通りあり、最低でもNBS×n×(n−1)/2回の乗算回数は必要になる。一例としてアンテナ数が100本(NBS=100)、候補となる端末局数が50(n=50)とすると、乗算回数は122500回となる。実際の回路においては、同一の演算を同一回路で順番に行う(完全な並列処理の代わりに一部直列的に処理を実施する)ことで回路規模を低減するなどの工夫を行うことは可能であるが、それでもこの乗算回数は多いため、現実的な値とはいえない。
一方で、空間多重する局数を10局(m=10)とすると、(式15)のi、jの組み合わせはm×(m−1)/2通りあり、NBS×m×(m−1)/2で与えられる乗算回数は4500回である。つまり、空間多重数に対して実際に必要な乗算回数よりも大幅に大きい数の乗算を従来方式では必要とする。
一般に、基地局装置のアンテナ数が少なく、候補となる端末局数も少数に限定されている場合には、(式20)のような評価関数を用いたスケジューリングであっても余り問題とはならなかったが、基地局装置のアンテナ数が膨大となり、候補となる端末数も多くなる場合には、更なる演算量削減のための工夫が求められる。
また更に、近年の高速無線システムはIEEE802.11n(及びIEEE802.11a/g)やWiMAX(登録商標)など、直交周波数分割多重(OFDM)やサブキャリア単位での割り当てが可能な直交周波数分割多元接続(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)など、マルチキャリアのシステムが多く採用されている。これらの広帯域のシステムでは、仮にあるサブキャリアでは良好な組み合わせであるとしても、他のサブキャリアでは直交化ロスが大きくなるということがありうる。例えばOFDMAを用い、全てのサブキャリアで同様の演算を行い、サブキャリアごとに最適化を行う場合には、更に演算の負荷が大きくなる。
本発明は、このような状況を鑑みてなされたもので、基地局装置に備えられているアンテナ数が多い場合においても、より簡易な演算で端末局のスケジューリングを行うことができる無線リソース割当方法、及び基地局装置を提供することを目的とする。
上記問題を解決するために、本発明は、複数のアンテナを備えた基地局装置と、1つ又は複数のアンテナを備えた複数の端末局とを具備し、前記基地局装置と複数の前記端末局との間において同一周波数で同一時刻に空間多重を行うマルチユーザMIMO伝送を実施可能な無線通信システムにおける無線リソース割当方法であって、前記基地局装置から前記端末局へのダウンリンク、又は前記端末局から前記基地局装置へのアップリンクの通信において、空間多重を用いて前記基地局装置と同時に通信を行う複数の前記端末局を選択する際に、前記端末局の組み合わせであって該組み合わせに含まれる前記端末局間において前記基地局装置を基準とした際の各端末局の方位の差分が予め定められた閾値α(0°<α<180°)以上となる前記端末局の組み合わせを選択する通信相手選択ステップと、前記通信相手選択ステップにおいて選択された前記端末局の組み合わせに含まれる端末局の全てあるいは一部に対して無線リソースを割り当てる無線リソース割当ステップとを有することを特徴とする無線リソース割当方法である。
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記通信相手選択ステップは、前記基地局装置を基準とした際の前記端末局の方位に関する情報を取得するステップと、2つの前記端末局の方位に関する情報から前記方位の差分を算出し、算出した方位の差分が前記閾値α以上であるか否かを判定するステップと、前記算出した方位の差分が前記閾値α以上である前記端末局を前記端末局の組み合わせに選択するステップとを有することを特徴とする。
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記通信相手選択ステップは、前記基地局装置を中心として円周方向に区切られた割り当て禁止領域及び割り当て可能領域ごとに前記基地局装置を基準とした際の前記端末局それぞれの方位に関する端末局存在領域情報であって該領域と前記端末局との関係を示す端末局存在領域情報に基づいて、前記割り当て可能領域ごとに1局以下の前記端末局を選ぶことにより、前記端末局の組み合わせを選択することを特徴とする。
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記通信相手選択ステップは、空間多重数をM(M≧2)とした際において、前記閾値α以上の角度幅を有する複数の前記割り当て禁止領域と、((360°/M)−α)以下の角度幅を有する複数の前記割り当て可能領域とが円周方向に交互に配置された領域設定パターンを用いて、前記割り当て可能領域ごとに1局以下の前記端末局を選ぶことにより、前記端末局の組み合わせを選択することを特徴とする。
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記通信相手選択ステップは、前記基地局装置との間において同一周波数で同一時刻に空間多重を行う前記端末局の候補を示す候補リストに基づいて、前記基地局装置を基準とした際の各前記端末局の方位の差分が前記閾値α以上となる前記端末局の組み合わせパターンを予め複数記憶している組合せパターン記憶部から、いずれか1つの前記端末局の組み合わせパターンを取得し、取得した前記端末局の組み合わせパターンに含まれる端末局を前記端末局の組み合わせに選択することを特徴とする。
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記通信相手選択ステップにおいて選択された前記端末局の組み合わせに含まれる端末局ごとに、該端末局と前記基地局装置との間のチャネル情報ベクトルと、前記端末局の組み合わせに含まれる他の端末局と前記基地局装置との間のチャネル情報ベクトルとの内積の絶対値を2つの該チャネル情報ベクトルの絶対値で除算した値が予め定められた基準値以下であるか否かを判定し、前記値が前記基準値より大きい場合、該端末局を前記端末局の組み合わせから除外する通信相手絞込ステップを更に有することを特徴とする。
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記端末局は、固定設置されており、前記通信相手選択ステップは、前記基地局装置が設置されている位置を原点とした空間において定まる前記端末局それぞれの位置を示す座標から方位を取得することを特徴とする。
また、本発明は、上記に記載の発明において、前記閾値αは、前記基地局装置が備える前記複数のアンテナ素子と前記端末装置が備えるアンテナ素子の間の見通し波のみを考慮したチャネルモデルで与えられるチャネル情報を用いた前記基地局装置と前記端末装置との間のチャネル情報ベクトルを仮定したときに、前記方位の差分がθとなるある2つの前記端末局に対し、前記チャネル情報ベクトルの内積値を各チャネル情報ベクトルの絶対値で除算した値に対する絶対値を1から減算して与えられる評価関数を用い、所定の角度β(0°<β<180°)に対し、前記θをゼロから増加させながら前記評価関数の値が区間α≦θ≦α+βにおいて予め定められた目標値以上の値となる最小の値として設定されることを特徴とする。
また、上記問題を解決するために、本発明は、複数のアンテナを備えた基地局装置と、1つ又は複数のアンテナを備えた複数の端末局とを具備し、前記基地局装置と複数の前記端末局との間において同一周波数で同一時刻に空間多重を行うマルチユーザMIMO伝送を実施可能な無線通信システムにおける基地局装置であって、自装置から前記端末局へのダウンリンク、又は前記端末局から自装置へのアップリンクの通信において、空間多重を用いて同時に通信を行う複数の前記端末局を選択する際に、前記端末局の組み合わせであって該組み合わせに含まれる前記端末局間において自装置を基準とした際の各端末局の方位の差分が予め定められた閾値α(0°<α<180°)以上となる前記端末局の組み合わせを選択する通信相手選択部と、前記通信相手選択部が選択した前記端末局の組み合わせに含まれる端末局の全てあるいは一部に対して無線リソースを割り当てる無線リソース割当部とを備えることを特徴とする基地局装置である。
この発明によれば、基地局装置のアンテナ数が多い環境であっても、スケジューリングにおいて高次元の複素ベクトルの内積演算を大量に行うことなしに、より回路規模の小さい加算(減算)回路でチャネルの相関の大きな端末局の組み合わせを簡易に回避し、直交化ロスの小さい良好な端末局の組み合わせを選択することが可能となる。
本発明が適用される無線通信システムの概要を示す図である。 本発明の動作原理に係る評価関数の角度依存性を示すグラフである。 第1の実施形態におけるスケジューリング処理回路10の構成を示す概略ブロック図である。 同実施形態におけるスケジューリング処理を示すフローチャートである。 第2の実施形態におけるスケジューリング処理の割り当て禁止領域及び割り当て可能領域を示す概略図である。 同実施形態におけるスケジューリング処理回路20の構成を示す概略ブロック図である。 同実施形態におけるスケジューリング処理を示すフローチャートである。 第3の実施形態におけるスケジューリング処理回路30の構成を示す概略ブロック図である。 同実施形態におけるスケジューリング処理回路30に係る処理を示すフローチャートである。 第4の実施形態における端末局2の組み合わせ例を示す図である。 同実施形態におけるスケジューリング処理のフローチャートを示す図である。 第5の実施形態におけるスケジューリング処理回路40の構成を示す概略ブロック図である。 同実施形態におけるスケジューリング処理を示すフローチャートである。 同実施形態に対する変形例のスケジューリング処理のフローチャートである。 従来技術におけるマルチユーザMIMO技術を適用した無線通信システムの構成例を示す図である。 従来技術における送信ウエイト行列Wを算出する処理のフローチャートである。 従来技術におけるチャネルフィードバックの処理を示すフローチャートである。 従来技術のマルチユーザMIMOにおける送信処理を示すフローチャートである。 従来技術のマルチユーザMIMOにおける受信処理のフローチャートである。 従来技術におけるマルチユーザMIMOのスケジューリング処理の第1のフローチャートである。 従来技術におけるマルチユーザMIMOのスケジューリング処理の第2のフローチャートである。 従来技術におけるマルチユーザMIMOのスケジューリング処理の第3のフローチャートである。 マルチユーザMIMOを用いて通信する基地局装置900において送信に係る構成例を示す概略ブロック図である。 マルチユーザMIMOを用いて通信する基地局装置900において受信に係る構成例を示す概略ブロック図である。
まず、本発明の動作原理を示し、その後で詳細な実施形態を説明する。
[発明の動作原理]
マルチユーザMIMO伝送技術では、基地局装置はある周期でチャネル情報のフィードバックを端末局から受け、そのフィードバックされたチャネル情報を一旦記憶する。基地局装置は、実際にデータを送信する際にその送信を行うときより過去に得られたチャネル情報を基に送信ウエイトの算出を行う。一般にはチャネル情報には時間変動があるため、過去の情報を用いた場合にはその時点の真のチャネル情報とは異なった値となっている可能性がある。この時間変動は不適切な送信ウエイトの算出につながり、端末局間で相互の干渉信号が残ることによる特性劣化が問題となることがある。しかし一方で、チャネル情報の頻繁なフィードバックは、回線上のオーバーヘッドを増大させ効率を低下させることにつながり好ましくない。
結果として、マルチユーザMIMO伝送は比較的チャネルの時間変動が少ない環境で有効に動作することになる。このような環境は、例えば端末局が比較的高所に固定的に配置され、基地局装置と端末局とが見通し関係にある場合に現実となる。この場合でも、周りの環境(例えば自動車や歩行者、樹木の風による揺れ等)の変化によりチャネル情報に若干の変動が生じるが、特に端末局が指向性アンテナを用いるなどして、様々な方向からの反射波を除去するなどの処置を施すことにより、基地局装置と端末局との設置場所に変動がなければ、安定的な見通し波のみが支配的となりチャネル情報を安定化させることができる。
図1は、本発明が適用される無線通信システムの概要を示す図である。同図において、無線通信システムは、基地局装置1と、端末局2−1〜2−Nとを具備している。基地局装置1は、複数の送受信アンテナを備えている。以下、端末局2−1〜2−Nのいずれか、又は全てを示す場合に端末局2という。無線通信システムは、基地局装置1と複数の端末局2との間において同一周波数で同一時刻に空間多重を行うマルチユーザMIMO伝送を用いた通信を行う。
また、図に示すように、基地局装置1及び端末局2−1〜2−Nは、ビルの屋上や鉄塔の上、電信柱の上、家屋の屋根や軒先など、比較的高所に固定的に設置されているものとする。この結果、基地局装置1の備えるアンテナと、端末局2−1〜2−Nの備えるアンテナとは見通し環境にある。場合によっては端末局2−1〜2−Nの備えるアンテナを指向性アンテナとすれば、基地局装置1と端末局2−1〜2−Nとのそれぞれが備えるアンテナ間のチャネル情報は、見通し波が支配的な状況となる。
このような環境で、一例として基地局装置1にNBS本のアンテナを水平面上で円形に配置し、その基地局装置1から距離L及び距離L離れた場所に2つの端末局2−A、2−B(A及びBは1からNの中の異なるふたつの数を表す)が配置されているものとする。基地局装置1の第iアンテナ(1≦i≦NBS)の座標を(X,Y)、j番目の端末局2(1≦j≦N)の座標を(x,y)とすると、チャネル情報ベクトルhは以下の(式21)で与えられる。
Figure 0005706309
(式21)における^hj,1,^hj,2,…,^hj,NBSは、以下の(式22)で与えられ、(式22)におけるRj,iは以下の(式23)で与えられる、基地局装置1の第iアンテナと、j番目の端末局2との座標間の距離である。
Figure 0005706309
Figure 0005706309
また、(式21)におけるCSNRは、基地局装置1の送信電力、基地局装置1のアンテナの利得、端末局2のアンテナの利得、使用周波数等で定められるSNR特性に対応する係数を表す。このようなチャネルモデルで、2つの端末局2−A及び端末局2−Bのなす角度をθとし、角度θに対し(式20)にて表される評価関数を評価すると、角度θが所定の角度θまでは安定して評価関数が増大傾向にあり、この角度θを超えたところからランダムに評価関数が変動し始める傾向がある。また、目標とする評価関数値の下限を基準とするならば、角度0〜θまでの領域はこの下限値を下回る可能性が高く、逆に角度θ〜θまでの角度は安定して評価関数値がこの下限よりも高い値を示す。
なお、端末局2−A及び端末局2−Bがなす角度θとは、基地局装置1の位置(ないしは基地局装置1が備える複数のアンテナの中心位置)から端末局2−Aに向かうベクトルと、基地局装置1から端末局2−Bに向かうベクトルとがなす角度のことである。
図2は、本発明の動作原理に係る評価関数の角度依存性を示すグラフである。同図は、基地局装置1のアンテナの本数を100本、L=L=1000m、使用する周波数を2.5GHzとした場合における、角度θが0度から180度までの評価関数の値を示す。同図によれば、評価関数値の下限の目標値を0.8とした場合、角度θとして約26度、角度θとして約4度を設定すれば、角度4度から角度26度程度の領域は非常に安定して高い評価関数値を示す傾向があり、角度26度を超えると、全体的には平均は0.9程度の高い値を示すものの、時折、0.7程度の低い値を示す傾向がある。この振る舞いは、端末局2の座標により若干異なる振る舞いとはなるが、角度0度からθ度まではこの図のように安定した増加傾向を示した後、角度θ度を超えるとランダムな振る舞いとなる点は共通である。また、この目標とする評価関数値の下限に対する角度の閾値θ及び閾値θは評価において設定する様々なパラメータで若干異なるが、シミュレーションや実験等を通してその代表値を適切に選択すればよい。
本発明ではこのような傾向を利用し、目標とする評価関数値の下限を与える角度θを閾値αと設定し、全方位360度の中で隣接する端末局2同士がなす角度が閾値α度以上となるように設定することで、少なくとも閾値α度以下の場合に起こりうる大きなチャネル情報ベクトルの相関を回避して、直交化ロスを可能な限り抑えることを実現する。
なお、図2を用いた説明では角度θの算出方法を視覚的に説明したが、一般的には評価関数値をθ=0から徐々に増加させながら、所定の角度の区間内で連続的に評価関数の目標値(上述の例では0.8)を上回る条件を検索すれば良い。評価関数は、角度θ以下の領域では大きく波打ちながら変動しているが、図2の角度4度から26度の区間では、連続的に目標値を上回っている。この区間の幅の設定条件は、角度θの近傍で評価関数が増減する周期よりも十分大きな値であればよく、例えば角度5度以上の幅で目標値以上となる条件などを設定すれば、図2の例では容易にθ=4度と設定することが可能である。
ここで、方位を決定するためには、基地局装置の備えるアンテナ群の中心を原点とする水平面内の直交座標系で与えられる情報を利用することが可能である。例えば、j番目の端末局2−j(1≦j≦N)の座標を(x,y)とする。端末局2−jの方位θ、距離L={x +y (1/2)とするならば、Sinθ=y/L、Cosθ=x/Lとなるθを算出し、これをその端末の方位とすればよい。座標が3次元座標で与えられる場合には、z軸成分を考慮して角度θを算出しても構わないが、単純にz軸成分を省略した2次元平面への射影で単純化しても構わない。また、各端末局2の座標は緯度、経度で与えられるものでも構わないが、それを近似的にxy(z)直交座標系に焼きなおす作業を行い、方位θを決定すればよい。また、基地局装置1の備えるアンテナ群の中心を原点とするためには、任意の場所を座標原点として、基地局装置1の備えるアンテナ群の中心の座標情報と各端末局2のアンテナの座標がわかれば、それらの座標の相対成分から基地局装置1の備えるアンテナ群の中心を原点とする座標系に変換することも可能である。
また、座標原点が基地局装置1の備えるアンテナ群の中心となる座標情報以外の情報であっても、演算によりこのような座標系に換算することもできる。例えば、カーナビゲーションシステムや、インターネット上で公開されている地域検索サービス(例えば、「Google(登録商標) Map」など)では、住所情報から緯度経度情報を取得することが可能であり、このような一般的なデータベースを利用することにより住所情報を緯度経度情報に変換することが可能である。ここで、この緯度経度情報は近似的には地球の中心を原点とする極座標表示に相当するので、まずは極座標系から地球の中心を原点とするxyzの直交座標系に座標変換し、更に基地局装置1の備えるアンテナ群の中心に関するこの座標情報を起点とし、各端末局2の座標との差分から各端末局2との相対ベクトルを算出することで、基地局装置1を座標原点とする座標系における座標情報を間接的に取得することができる。このようにして、間接的に基地局装置1を座標原点とする座標系における座標情報を算出し、その後に方位に関する角度θの情報を取得することができる。なお、方位θがゼロとなる方向は、例えば東向きの方向と固定的に扱っても良いし、適当な端末局2を基準として、その端末局の存在する方向をθ=0としても良い。
このように、一般的には座標情報を活用して方位情報を作成し、この方位情報をデータベース化して管理することで、各端末局の方位差を管理する方法が基本となる。また、この座標情報から方位情報への変換処理は、基地局装置1内で実施してもよいし、基地局装置1の外部で実施してその結果を基地局装置1に設けた記憶部に記憶させてもよい。
また、座標情報が得られない場合であっても、例えば地図情報などからおおよその方位θを別途与えることができるならば、これで代用しても構わない。この作業は、例えば座標情報の代わりの住所情報等を基に、機械的(ソフトウエア処理的)に方位θを定める処理で実現しても構わないし、人が地図を参照して手作業で行ったとしても構わない。このようにして各端末局2の方位θに関する情報をデータベース化し、必要に応じてその値をデータベースから読み出して利用することも可能である。一般に、基地局装置1から距離が離れるほど、座標の誤差が角度θの誤差として現れる影響は小さくなるため、方位に関する情報はそれほど高い精度が求められないため、近似的に方位を設定できるその他の方法を用いる場合でも、本発明は適用可能である。
また、方位情報は角度θそのものである必要はなく、角度方向を幾つかの区間に分け、そのどの領域に属するかという加工した方位情報として管理しても構わない。更には、この方位情報を加工した別の情報として、任意の2つの端末局における方位の差分が所定の閾値以上となるようなスケジューリング結果、すなわち端末局の組み合わせパターンを事前に生成して記録することで、結果的に任意の2つの端末局における方位の差分が所定の閾値以上となることを保証してもよい。
なお、以下の実施形態に示すスケジューリング処理は、アップリンク及びダウンリンクでは別々に行う。また、OFDMAなどでは周波数方向即ちサブキャリア単位でスケジューリング処理を行うことになる。更に、OFDMAに加えてOFDMの場合でも、各端末が必要とする無線リソース(割り当てサブキャリア数、割り当てOFDMシンボル数、及び伝送レートで決まる割当量)は異なるため、OFDMシンボルごとに必要に応じて組み合わせを変えるスケジューリング処理を実施してもよい。この際、時間軸方向及び周波数軸方向のスケジューリング処理は、同時に並列的なスケジューリング処理を行っても、所定の順番でシリアルな処理を行っても構わない。以下の実施形態における説明では、あくまでもその中のひとつの周波数軸上のスロット(例えばサブキャリア)及び時間軸上のスロット(OFDMシンボル等)の組み合わせに対して、このような処理が実施されることを説明するものであり、周波数軸及び時間軸の組み合わせ全体での実現方法はここでは問わない。
以下に、個々の実施形態に基づき、図を用いて詳細な説明を行う。
[第1の実施形態]
図3は、第1の実施形態におけるスケジューリング処理回路10の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態における基地局装置は、図23及び図24に示した基地局装置900の構成において、スケジューリング処理回路176に替えて、図3に示すスケジューリング処理回路10を備えた基地局装置である。
スケジューリング処理回路10は、図3に示すように、端末局方位記憶部11と、通信相手候補リスト生成部12と、通信相手選択部14と、無線リソース割当部15とを有している。
端末局方位記憶部11は、各端末局2−jの方位θを示す方位情報を記憶している。
通信相手候補リスト生成部12は、MAC層処理回路174から通知される情報であって帯域の割り当て待ちの端末局2を示す情報に基づいて、同時に空間多重して通信をする端末局2の候補リストを生成する。例えば、生成される候補リストには、ダウンリンクにおけるスケジューリングであれば、基地局装置において送信すべきデータが存在する端末局2から選択された端末局2が含まれ、アップリンクにおけるスケジューリングであれば、無線リソースの割り当て要求を送信した端末局2から選択された端末局2が含まれる。なお、通信相手候補リスト生成部12は、MAC層処理回路174から通知される情報に加えて通信品質に関する要求条件などを更に加味した優先順位などに基づいて、候補リストを生成するようにしてもよい。
通信相手選択部14は、端末局方位記憶部11に記憶されている方位情報に基づいて、通信相手候補リスト生成部12が生成した候補リストに含まれる端末局2から、基地局装置の通信相手となる端末局2の組み合わせを選択し、選択した端末局2の組み合わせを示す選択情報を無線リソース割当部15に出力する。すなわち、選択情報は、基地局装置との間において同一周波数で同一時刻に空間多重を行う端末局2の組み合わせを示すことになる。
無線リソース割当部15は、通信相手選択部14から入力される選択情報が示す端末局2それぞれに対して、送受信すべきデータ量などに基づいて無線リソースを割り当てる。無線リソース割当部15は、各端末局2に割り当てた無線リソースと、選択情報が示す端末局2の組み合わせとを示すスケジューリング情報を生成し、生成したスケジューリング情報(スケジューリング処理結果)を通信制御回路172に出力する。
図4は、本実施形態におけるスケジューリング処理を示すフローチャートである。
スケジューリング処理回路10において、スケジューリング処理が開始されると(ステップS1)、MAC層処理回路174からの情報などに基づいて、通信相手候補リスト生成部12が候補リストを生成する(ステップS2)。
通信相手選択部14は、候補リストに含まれる端末局2から1局を選択して、通信相手として確定する(ステップS3)。ステップS3における端末局2の選択は、例えば待ち行列(送信ないしは受信すべきデータがある状態で、順番の待ち時間が長い順に生成されたリスト)において先頭の端末局2であったり、QoS(Quality of Service)クラスが高位の高品質が要求される端末局2であったり、所定のルールのもとで選択される。
1局が確定した状態で、通信相手選択部14は、更に続けて2局目の端末局2として、更に候補リストから1局を追加で選択する(ステップS4)。この際、既に全ての候補を選択し終わっているか否か、すなわち更なる選択は不可の状態であるか否かを通信相手選択部14は判断する(ステップS5)。
選択不可の場合(ステップS5:Yes)、通信相手選択部14はスケジューリング処理を終了し、これまでに確定した端末局2を通信相手、すなわち同時に空間多重して通信を行う端末局2の組み合わせとし、当該端末局2の組み合わせを示す選択情報を無線リソース割当部15に出力する(ステップS10)。
一方、選択が可能であった場合(ステップS5:No)、通信相手選択部14は、既に確定した端末局2の方位情報と、最後に選択した端末局2の方位情報とを端末局方位記憶部11から取得する(ステップS6)。
通信相手選択部14は、取得した方位情報に基づいて、既に確定した端末局2と、選択した端末局2との方位差が所定の閾値α以上であるか否かを判定し(ステップS7)、方位差が閾値α以上である場合(ステップS7:Yes)、選択した端末局2を通信相手として確定する(ステップS8)。通信相手選択部14は、既に確定した端末局2の数が空間多重の上限に達したか否かを判定し(ステップS9)、上限に達している場合(ステップS9:Yes)、スケジューリング処理を終了し、これまでに確定した端末局2を通信相手とし、当該端末局2の組み合わせを示す選択情報を無線リソース割当部15に出力する(ステップS10)。
一方、ステップS7において、方位差が閾値α未満である場合(ステップS7:No)、通信相手選択部14は、処理をステップS4に戻し、ステップS4からステップS9を繰り返す。また、ステップS9において、上限に達していない場合(ステップS9:No)、通信相手選択部14は、処理をステップS4に戻し、ステップS4からステップS9を繰り返す。
なお、ここでの方位情報は方位角を適当な刻み幅で階級化し、その階級の代表値を用いて管理しても構わない。この場合、方位差が閾値α以上であるか否かの判断は、例えば階級の代表値の差分が閾値以上か否かの判断であっても構わないし、階級の刻み幅を考慮して所定の階級数以上、階級値が離れているか否かなどの判断であっても構わない。
[第2の実施形態]
以上の第1の実施形態に関する説明では、通信相手の候補に含まれる2つの端末局2間における角度差を算出する処理を含むスケジューリング処理を示した。しかし、選択した端末局2間における方位差が所定の閾値α度以上であることを担保するには、必ずしも2つの端末局2の方位差を選択するたびに算出する処理を必要としない。
図5は、第2の実施形態におけるスケジューリング処理の割り当て禁止領域及び割り当て可能領域を示す概略図である。同図において、円の中心に基地局装置が配置されている場合に、ハッチングされた領域は当該領域に位置する端末局2に無線リソースを割り当てない「割り当て禁止領域」を表し、残りの領域は当該領域に位置する端末局2に無線リソースを割り当てる「割り当て可能領域」を表す。また、同図では、空間多重数の目標値を12にした場合を示している。割り当て禁止領域と、割り当て可能領域は、基地局装置を中心として円周方向に交互に配置されている。
割り当て禁止領域は、所定の閾値α度(ないしはそれ以上)の角度幅を有する領域に設定される。同時に空間多重することができる端末局の上限値、ないしは空間多重数の目標値をMとすれば、全方位360度をM分割し、((360/M)−α)度(ないしはそれ以下)の角度幅を有する領域が割り当て可能領域に設定される。このような領域を定義し、各割り当て可能領域から1台以内で端末局2の割り当てを行えば、選択した端末局2において相互の方位差はα度以上になることを保証することができる。この際、必ずしも全ての割り当て可能領域に端末局2を割り当てる必要はない。送受信すべきデータの存在する無線リソースの割り当てを待つ端末局2が存在しなければ、当然ながらその割り当て可能領域に対する端末局2の割り当てはなしとなる。
また、図5において示した領域の配置例では、均等に割り付けを行った例を示したが、全方位で均等である必要もない。例えば、端末局2の密度の低い方位における領域では割り当て可能領域の角度幅を広めに設定するなど、方位によって各領域の角度幅が異なるものであっても構わない。また、上述の例では空間多重数の目標値Mに対し全方位360度をM分割する場合を示したが、空間多重数の目標値Mよりも大きな数で全方位360度を分割しても構わない。このような割り当て可能領域を規定した情報(以降、全体割り当て領域設定パターンという。)を複数セット用意しておき、以降のスケジューリング処理に利用する。この全体割り当て領域設定パターンの作成は、何らかのルールに基づいて機械的に自動生成しても構わないし、別途、作成した情報を外部から基地局装置に設定しても構わない。自動的に作成するルールとは、例えば任意の2以上の整数をγとし、割り当て可能領域の全方位360度を(M×γ)分割し、全方位360度をM分割して作成した全体割り当て領域設定パターンの割り当て可能領域の境界を(360/(M×γ))度ずつシフトさせたものをγ種類用意してもよいし、適当な方向を基点として、1つの全体割り当て領域設定パターンを所定の角度ずつ回転させたものであってもよい。更には、端末局2の空間的な分布の偏りを意識し、端末局2が多く存在している方向に特に集中的に割り当て可能領域が位置するようなパターンであっても構わない。
また、第1の実施形態では、基地局装置において各端末局2の方位情報を管理する構成を説明した。これに対して、本実施形態では、基地局装置において上述のようにして用意される全体割り当て領域設定パターンごとに、各割り当て可能領域に対応する端末局をリストアップし、事前にデータベース化している。すなわち、スケジューリング時に各端末局2の位置情報を直接的に用いずとも、各端末局2の位置又は端末局2間の方位に基づいて生成した代替の情報を用いることにより、簡易な処理・演算で端末局のスケジューリングを行うことができる。なお、データベース化される情報は、方位を所定の領域に階級化した加工情報とも理解できる情報であり、本発明はこのような形態の方位情報をも利用可能である。また、このデータベース化の作業も自動的にデータベース化する処理を基地局装置が備えていてもよいし、別途、作成した情報を外部から基地局装置に設定しても構わない。
図6は、本実施形態におけるスケジューリング処理回路20の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態における基地局装置は、図23及び図24に示した基地局装置900の構成において、スケジューリング処理回路176に替えて、スケジューリング処理回路20を備えた基地局装置である。
スケジューリング処理回路20は、図6に示すように、領域設定パターン記憶部21と、端末局位置記憶部22と、通信相手候補リスト生成部12と、通信相手選択部24と、端末局存在領域記憶部25と、無線リソース割当部15とを有している。なお、スケジューリング処理回路20において第1の実施形態と同じ機能部には同じ符号を付して、その説明を省略する。
領域設定パターン記憶部21には、上述した全体割り当て領域設定パターン(例えば、図5)が予め複数記憶されている。端末局位置記憶部22には、自装置(基地局装置)の配下の端末局2ごとに、端末局2が何処に位置しているか示す端末局位置情報(例えば座標情報や方位情報など)が予め記憶されている。
端末局存在領域記憶部25には、領域設定パターン記憶部21に記憶された各全体割り当て領域設定パターンにおいて、各端末局2が位置している領域(割り当て可能領域又は割り当て禁止領域)を示す領域情報が予め記憶されている。端末局存在領域記憶部25に記憶されている領域情報は、端末局2と全体割り当て領域設定パターンとそれぞれを識別する情報をインデックスとして、当該端末局2が割り当て可能領域又は割り当て禁止領域のいずれの領域に位置するかを検索できる2次元テーブルとして構成してもよいし、各全体割り当て領域設定パターンごとに各端末局2をインデックスとして、当該端末局2が割り当て可能領域又は割り当て禁止領域のいずれの領域に位置するかを検索できる複数の1次元テーブルとして構成してもよいし、如何なるものであっても構わない。また、端末局存在領域記憶部25に記憶されている領域情報は、各端末局と、割り当て可能領域又は割り当て禁止領域との対応関係が記憶されているテーブルとして構成し、割り当て可能領域及び割り当て禁止領域と、端末局との両方をインデクッスとして検索できるようにしてもよい。
通信相手選択部24は、スケジューリング処理において、通信相手候補リスト生成部12が生成する候補リストと、領域設定パターン記憶部21に記憶されている全体割り当て領域設定パターンと、端末局存在領域記憶部25に記憶されている領域情報とに基づいて、同時に空間多重して通信をする端末局2の組み合わせを選択する。通信相手選択部24は、選択した端末局2の組み合わせを示す選択情報を無線リソース割当部15に出力する。
なお、通信相手選択部24は、スケジューリング処理を行う前に、領域設定パターン記憶部21に記憶されている全体割り当て領域設定パターンごとに、端末局位置記憶部22に記憶されている端末局位置情報に基づいて、割り当て可能領域又は割り当て禁止領域のいずれの領域に位置しているかを端末局2ごとに検出し、検出した結果を領域情報として端末局存在領域記憶部25に記憶させるようにしてもよい。
図7は、本実施形態におけるスケジューリング処理を示すフローチャートである。
スケジューリング処理回路20において、スケジューリング処理が開始されると(ステップS11)、MAC層処理回路174からの情報などに基づいて、通信相手候補リスト生成部12が候補リストを生成する(ステップS12)。
通信相手選択部24は、領域設定パターン記憶部21に記憶されている複数の全体割り当て領域設定パターンからいずれか1つの全体割り当て領域設定パターンを選択する(ステップS13)。
その後、通信相手選択部24は、端末局存在領域記憶部25に記憶されている領域情報に基づいて、選択した全体割り当て領域設定パターンにおける割り当て可能領域ごとに、候補リストに含まれる端末局2であって割り当て可能領域に位置する端末局2から1台以内の端末局2を選択し(ステップS14)、合計で空間多重の目標値以内の台数で全体の端末局2の組み合わせを確定しスケジューリング処理を終了する(ステップS15)。
ここで、ステップS14においては、割り当て可能領域に対する端末局2を選択する方法は如何なるものであってもよい。ただし、なるべく帯域割り当ての待ち時間を短縮し、公平性を確保するためには、例えば選び出した全体割り当て領域設定パターンに対応する各割り当て可能領域に該当する端末局2を端末局存在領域記憶部25から読み出し、その中で送信ないし受信すべきデータが存在し、かつ待ち時間の最も長い端末局2を優先的に割り当ててもよい。又は、QoSクラスが高位の高品質が要求される端末局2を優先的に選択したり、その他の所定のルールに基づいて選択したりしても構わない。更に、ステップS13においては、全体割り当て領域設定パターンの選択は如何なる方法で決定しても構わない。例えば、全体の端末局2の中で、待ち行列(送信ないしは受信データがある状態で、順番の待ち時間が最も長い順)の先頭の端末局2や、QoSクラスが高位の高品質が要求される最優先の端末局2が多く割り当て可能領域に含まれる全体割り当て領域設定パターンを優先的に選択しても構わない。また、全ての全体割り当て領域設定パターンが均等に利用される必要はなく、トラヒックや端末局2の配置の偏りなどを考慮して、利用頻度を調整しても構わない。
[第3の実施形態]
以上の第2の実施形態に関する説明では、割り当ての都度、端末局2の組み合わせ決定のために全体割り当て領域設定パターンを選択し、全体割り当て領域設定パターンの割り当て可能領域ごとに端末局2を選択して全体の組み合わせを決定していた。しかし、図1に示すような基地局装置と端末局2との間が見通し環境となるシステムを想定する場合、端末局2は固定的に設置されている場合が多く、その場合にはこの手の作業をある程度まで事前に行っておくことも可能である。これは、チャネル情報自体には時変動が存在するが、図4及び図7にて説明を行った処理には時変動を伴うチャネルの情報利用が含まれていないためであり、チャネル情報を意識せずにある程度の処理までを事前に行うことが可能となる。
図8は、第3の実施形態におけるスケジューリング処理回路30の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態における基地局装置は、図23及び図24に示した基地局装置900の構成において、スケジューリング処理回路176に替えて、図8に示すスケジューリング処理回路30を備えた基地局装置である。
スケジューリング処理回路30は、図8に示すように、組合せパターン記憶部31と、通信相手候補リスト生成部12と、通信相手選択部34と、無線リソース割当部15とを有している。なお、スケジューリング処理回路30において第1の実施形態と同じ機能部には同じ符号を付して、その説明を省略する。
組合せパターン記憶部31には、端末局2の組み合わせが予め複数記憶されている。
通信相手選択部34は、組合せパターン記憶部31に記憶されている端末局2の組み合わせと、通信相手候補リスト生成部12が生成する候補リストとに基づいて、同時に空間多重して通信する端末局2の組み合わせを選択する。通信相手選択部34は、選択した端末局2の組み合わせを示す選択情報を無線リソース割当部15に出力する。
図9は、本実施形態におけるスケジューリング処理回路30に係る処理を示すフローチャートである。図9(A)は、組合せパターン記憶部31に記憶されている端末局2の組み合わせを定める事前処理を示すフローチャトである。図9(B)は、スケジューリング処理回路30が行うスケジューリング処理を示すフローチャートである。
事前処理は、事前に図5に示した全体割り当て領域設定パターンと、そのパターンにおける割り当て可能領域に対応する端末局2に関する情報とを取得した状態で処理を開始する(ステップS21)。開始後、全体割り当て領域設定パターンをひとつ選択し(ステップS22)、選択した全体割り当て領域設定パターンにおける各割り当て可能領域に対応する端末局2を示す情報を読み出し(ステップS23)、各割り当て可能領域に対して1台以内で端末局2を選択し(ステップS24)、全ての組み合わせ設定が完了したかの条件判断を行う(ステップS25)。
全ての組み合わせ設定が完了していない場合(ステップS25:No)、処理をステップS22に戻し、ステップS22からステップS25までの処理を繰り返して行う。この際、ステップS22では繰り返し処理の都度全体割り当て領域設定パターンを変更する必要はなく、ひとつの全体割り当て領域設定パターンの各割り当て可能領域に対応する端末局2がいずれかの組み合わせに含まれるように繰り返し連続で同一パターンを選択し続けても構わない。なお、ステップS25における判断は、例えば目標となる組み合わせパターン数の選択が完了した場合であったり、全ての端末局2が必ず所定の数の組み合わせに属していることが確認できた場合であったり、更には所定のルールに従いシステマティックに組み合わせ選択を行う処理の完了をもって判断したり、如何なる条件でも構わない。ただし、必ず全ての端末局2がいずれかの組み合わせに含まれることを確実に行う必要がある。
ステップS25において、組み合わせ設定が完了した場合(ステップS25:Yes)、これまでの端末局2の組み合わせの各パターンをデータベース化し(ステップS26)、一連の処理を完了する(ステップS27)。ここでのデータベース化とは、単純に端末局2の組み合わせ情報を記憶部に保存しておく他、例えば端末局2の任意の組み合わせを部分集合として含む端末局2の組み合わせを検索できるデータベースであっても構わない。このような一連の処理を事前処理として行い、その後のスケジューリング処理の際にこのデータベースを利用する。
次に、図9(B)に示すスケジューリング処理について説明する。ここでは、図9(A)に示した事前処理の結果が、組合せパターン記憶部31に記憶されている場合について説明する。
スケジューリング処理回路30において、スケジューリング処理が開始されると(ステップS31)、MAC層処理回路174からの情報などに基づいて、通信相手候補リスト生成部12が、送受信データが存在する帯域割り当ての候補となる端末局2をリストアップして候補リストを生成し(ステップS32)、組合せパターン記憶部31に記憶されている端末局2の組み合わせから、優先度の高い端末局2をなるべく多く割り当てることができる組み合わせパターンを選択し(ステップS33)、選択された組み合わせパターンに含まれる端末局2の組み合わせを選択情報として無線リソース割当部15に出力して、スケジューリング処理を終了する(S34)。
ここで、ステップS33における優先度とは待ち行列の先頭ほど優先度が高いとしたり、ないしはQoSクラスの高位の品質が求められる端末を優先度が高いとしたり、如何なる優先度設定を行ってもよい。また、全ての端末局2が同一の優先度とする場合には、適当なルールで一時的な優先度を定めて処理を行っても構わない。更には、同一の優先度であれば、より多くの端末局2を組み合わせに取り込める組み合わせを選択しても構わない。このように、優先度が高い端末局2をより多く空間多重できる端末局2の組み合わせを選択し、同一条件で複数の組み合わせが候補となるのであればいずれの組み合わせを選択しても構わない。
このように、本実施形態では既に各端末局2の明示的な方位情報は管理されていないが、組合せパターン記憶部31に記憶されている組み合わせパターンそのものに方位情報が含まれているものと解釈することができ、結果的に任意の2つの端末局における方位差は常に所定の閾値α以上となることが保証される。
[第4の実施形態]
次に、第3の実施形態で示したデータベースの具体例を第4の実施形態として説明する。ここでは、基地局装置の通信相手となる端末局2が8局(#1〜#8)ある場合について説明する。
図10は、第4の実施形態における端末局2の組み合わせ例を示す図である。図10に示される複数の組み合わせを示す情報は、組合せパターン記憶部31に予め記憶される情報である。図10において、縦方向には端末局#1から端末局#8までを順に示し、横方向には端末局2の組み合わせを示すパターンAからパターンNまでを順に示している。同図において、それぞれのパターンにおいて各端末局#1〜#8に割り当てられている数字(「0」又は「1」)は、「1」が割り当てることを示し、「0」が割り当てないことを示している。便宜上、端末局2の番号に対する縦方向の引数をi、パターンに対する通し番号の引数をjとして表し、各割り当てを2次元配列のQ(i,j)なる値で管理することにする。例えば、パターンAでは端末局#1、#2、#3、#4を組み合わせるものとし、この状態をQ(1,1)=Q(2,1)=Q(3,1)=Q(4,1)=1、Q(5,1)=Q(6,1)=Q(7,1)=Q(8,1)=0として管理する。また、ここでは一例として組み合わせパターンAから組み合わせパターンNの14通りの候補のみを選択肢としてリストアップし、これ以外の組み合わせはここでは考えないものとする。
ここで、例えば6台の端末局2が帯域割り当ての順番待ちをしており、その優先順位が端末局#2、端末局#3、端末局#4、端末局#5、端末局#1、端末局#6の順番であったとする。同時に空間多重が可能な多重数の上限が4台だとすると、まずは端末局#2、端末局#3、端末局#4、端末局#5の4台の組み合わせを検索することになる。この場合、Q(2,j)×Q(3,j)×Q(4,j)×Q(5,j)をj=1からj=14の中で計算した時、この値が1となる組み合わせパターンがパターンAからパターンNの中にないかを検索する。しかし、ここではj=1からj=14の中にはQ(2,j)×Q(3,j)×Q(4,j)×Q(5,j)=1となる選択肢が見つからない。そこで、次に優先度の高い端末局#2、端末局#3、端末局#4の3台に的を絞り、この3台に対してQ(2,j)×Q(3,j)×Q(4,j)=1となる組み合わせを検索する。すると、優先度の高い端末局#2、端末局#3、端末局#4に帯域割り当てを行うのであれば、パターンAの組み合わせが適していることが分かる。更にパターンAの組み合わせを参照すれば、更に端末局#1が組み合わせに含まれており、この結果、端末局#2、端末局#3、端末局#4に端末局#1を加えた4台をスケジューリング結果として選択することが可能になる。
図11は、本実施形態におけるスケジューリング処理のフローチャートを示す図である。同図に示すフローチャートは、上述の処理の手順を示すものである。また、同フローチャートは、図9(B)に示したスケジューリング処理におけるステップS33の処理を具体的に示している。つまり第4の実施形態は第3の実施形態の1つの具体例となっている。
図9(B)におけるステップS32の処理が完了すると(ステップS41)、通信相手選択部34は、候補リストに含まれる端末局2から、所定のN局の端末局2を選択する(ステップS42)。ここでのNとは例えば空間多重が可能な多重数の上限であってもよいし、ステップS32でリストアップされた端末局2の数が空間多重数の上限を下回るのであれば、リストアップされた候補の総数をNとしても構わない。
次に、通信相手選択部34は、スケジューリング処理において用いる変数kの初期値としてk=Nを代入し(ステップS43)、選択されたk局の端末局2が含まれる組み合わせパターンを、組合せパターン記憶部31が記憶している組み合わせパターンから検索する(ステップS44)。ここで組み合わせパターンの検索対象となるデータベースは図10に示したものであっても構わないし、その他の形式のデータベースであっても構わない。通信相手選択部34は、この検索の結果として該当する組み合わせがあるか否かの判断を行い(ステップS45)、該当する組み合わせがない場合(ステップS45:No)、k局の候補から優先順位の低い1局の端末局2を除外し(ステップS46)、変数kをk−1の値に置き換えて(ステップS47)、処理をステップS44に戻し、ステップS44からステップS47までの処理を繰り返し実行する。
ステップS45において、該当する組み合わせパターンがある場合(ステップS45:Yes)、通信相手選択部34は、該当する組み合わせパターンが複数か否かを判断し(ステップS48)、複数の組み合わせパターンが検索された場合(ステップS48:Yes)、複数の組み合わせパターンからいずれか1つの組み合わせパターンに絞り込みを行う(ステップS49)。この処理の後、ないしはステップS48において単一の組み合わせパターンが検索された場合(ステップS48:No)、k局の選択済み端末局2に加えて当該組み合わせパターン内に更に割り当て可能な端末局2がいないかを検索し、無線リソースの割り当てが必要な端末局2があればその端末局2を加えた端末局2の組み合わせを確定し(ステップS50)、一連のスケジューリング処理を終了する(ステップS51)。
ここでステップS50の処理は、図10を用いた例において、端末局#2、端末局#3、端末局#4をパターンAで選択確定した後に端末局#1を加える処理に相当する。
なお、第3及び第4の実施形態等において、組合せパターン記憶部31に記憶させる端末局2の組み合わせ(データベース)としては、例えば図10に示す条件を更に加工したデータベースとして、4台選択する場合には、{1,2,3,4⇒A}、{5,6,7,8⇒B}、{1,2,5,6⇒C}、{3,4,7,8⇒D}、・・・{2,3,5,8⇒N}の合計14通り、3台選択する場合には{1,2,3⇒A}、{1,2,4⇒A}、{1,3,4⇒A}、{2,3,4⇒A}、{5,6,7⇒B}、{5,6,8⇒B}、・・・{2,5,8⇒N}、{3,5,8⇒N}の合計56通り等のように、別の形式で管理していても構わない。また、この例では端末局2を2台選択する場合、1台のみ選択する場合のリストも合わせて用意しておくようにしてもよい。
更に、上述の例ではステップS46において、k局の候補から優先順位の低い1局の端末局2を除外するとして説明したが、その他の類似の処理を適用することも可能である。先程の例では、優先順位が端末局#2、端末局#3、端末局#4、端末局#5の順番であったときに、ステップS46において優先順位の低い端末局#5を除外した端末局#2、端末局#3、端末局#4の組み合わせをk=3の場合の検索対象として限定していた。しかし、これに限らずに、同一のk=3に対して、優先順位が3番目の端末局#4を除外する端末局#2、端末局#3、端末局#5の組み合わせについてもk=3の検索対象としてもよい。この場合、同一のkに対して他の検索パターン(端末局2の組み合わせ)がある場合にはステップS47にてkにk−1を代入せずに、他の検索パターンに対してステップS44からステップS47までの処理を繰り返し実行する構成になる。この場合も、本発明の実施形態の別の一例と位置づけられる。
[第5の実施形態]
以上の第1から第4の実施形態では、全てチャネル情報を参照しないで端末局2の組み合わせを選択する構成を説明した。しかし、例えば本発明の動作原理を示す図2においても、評価関数f(θ)の値は目標とする閾値以下となる場合はある確率で発生するため、一旦選んだ組み合わせに対しても、このような相関の強い端末局2の組み合わせを含むことがないように無線リソースの割り当てを行うことが好ましい。
そこで、第5の実施形態では、選択した端末局2の組み合わせに対し、閾値以下となる端末局2が含まれているか否かを判定し、端末局2の絞り込みを行う構成について説明する。
図12は、第5の実施形態におけるスケジューリング処理回路40の構成を示す概略ブロック図である。本実施形態における基地局装置は、図23及び図24に示した基地局装置900の構成において、スケジューリング処理回路176に替えて、図12に示すスケジューリング処理回路40を備えた基地局装置である。
スケジューリング処理回路40は、図12に示すように、端末局方位記憶部11と、通信相手候補リスト生成部12と、通信相手選択部14と、無線リソース割当部15と、通信相手絞込部46とを有している。なお、スケジューリング処理回路40において第1の実施形態と同じ機能部には同じ符号を付して、その説明を省略する。なお、スケジューリング処理回路40は、第1の実施形態におけるスケジューリング処理回路10に、通信相手絞込部46を加えた構成となっている。
通信相手絞込部46は、通信相手選択部14から入力される選択情報が示す端末局2の組み合わせに、評価関数値が閾値以下となる端末局2の組み合わせが含まれているか否かを判定し、閾値以下となる端末局2を組み合わせから除外する絞り込み処理を行う。通信相手絞込部46は、絞り込まれた端末局2の組み合わせを示す絞り込み結果情報を無線リソース割当部15に出力する。なお、本実施形態において無線リソース割当部15は、絞り込み結果情報に基づいて無線リソースの割り当てを行う。
図13は、本実施形態におけるスケジューリング処理を示すフローチャートである。
スケジューリング処理回路40において、スケジューリング処理が開始されると(ステップS61)、通信相手選択部14が第1の実施形態において説明した手順で端末局2の組み合わせを決定する(ステップS62)。その後、通信相手絞込部46は、所定のルールに基づいて、選択された端末局2に対して優先順位を設定し(ステップS63)、優先順位が第1位の端末局2の選択を確定させる(ステップS64)。その後、通信相手絞込部46は、優先順位を管理する変数kを2に設定し(ステップS65)、続けて優先順位第k位の端末局2を選択し(ステップS66)、各端末局2の規格化されたチャネル情報ベクトルを取得し(ステップS67)、既に確定済みの優先順位第1位から第(k−1)位までのいずれの端末局2とも規格化されたチャネル情報ベクトルの内積値の絶対値が所定の閾値以下であるか否かの条件判断を行う(ステップS68)。
内積値の絶対値が閾値より大きい場合(ステップS68:No)、通信相手絞込部46は、選択した端末局2を組み合わせから除外する(ステップS69)。ステップS69に引き続き、ないしはステップS68において全ての確定済みの端末局2との内積値の絶対値が閾値以下であると判断された場合(ステップS68:Yes)、変数kがステップS62で決定された端末局2の数であるNに一致するか否かの判断を行い(ステップS70)、一致した場合(ステップS70:Yes)、ステップS69で除外された端末局2を除いた残りの端末局2で組み合わせを確定し、一連のスケジューリング処理を終了する(ステップS72)。一方、ステップS70において、一致しない場合(ステップS70:No)、通信相手絞込部46は、変数kに「1」を加算し(ステップS71)、処理をステップS66に戻し、ステップS66からステップS71までを繰り返す。
なお、ここでは規格化したチャネル情報ベクトルを用いる場合を説明したが、規格化したチャネル情報ベクトルの内積値は、規格化する前のチャネル情報ベクトルの内積値を各ベクトルの絶対値で除算したものと一致する。したがって、規格化したチャネル情報ベクトルを用いる処理と、その代替手段で実施した演算・処理結果は等価であり、処理的にも同一であるものとして説明を行っている。
また、本実施形態において、第1の実施形態におけるスケジューリング処理回路10に通信相手絞込部46を加えたスケジューリング処理回路40の構成を説明したが、第2の実施形態におけるスケジューリング処理回路20、又は第3の実施形態におけるスケジューリング処理回路30に対して、同様に通信相手絞込部46を加えるようにしてもよい。この場合、ステップS62における端末局2の組み合わせの選択は、第2、第3又は第4の実施形態において示した手順で端末局2の組み合わせを決定する。
また、図13で示した処理以外にも、このようなチャネル情報の相関を考慮したスケジューリングの実現方法は存在する。以下に第5の実施形態に対する変形例を示す。
図14は、本実施形態に対する変形例のスケジューリング処理のフローチャートである。スケジューリング処理を開始すると(ステップS81)、先の第1から第4の実施形態のいずれかにおいて示した手順で端末局2の組み合わせをM種類決定する(ステップS82)。通信相手絞込部46は、このM種類の組み合わせの候補に対し、並列処理として、組み合わせごとに、各端末局2の規格化されたチャネル情報ベクトルを取得し(ステップS83−1〜S83−M)、組み合わせに含まれる各端末局2間の内積の絶対値を全て算出し(ステップS84−1〜S84−M)、組み合わせにおける内積値の絶対値の最大値を検索し(ステップS85−1〜S85−M)、M種類の組み合わせの中で内積値の絶対値の最大値が最小になる組み合わせを選択し(ステップS86)、この選択された端末局2の組み合わせを用いて無線リソースの割り当てを行い一連の処理を終了する(ステップS87)。ここで、ステップS83−1〜S83−Mの処理は、事前に規格化したチャネル情報ベクトルを算出し記憶しておき、その記憶された情報を読み出す処理に置き換えることも可能である。また、ここではM系統の処理を並列処理するとして説明したが、当然ながら直列的にないしは並列処理と直列処理を組み合わせた形で、内容的に等価な処理を実現することも可能である。
なお、その他のバリエーションとしては、ステップS86の処理を、例えば内積値の絶対値の平均値が最小になる組み合わせを選択(この場合、ステップS85−1〜S85−Mは内積の最大値の代わりに内積の平均値を求める処理に置き換えられる)したり、内積値の絶対値のβ乗の平均値が最小となる組み合わせを選択したり、様々な評価関数を定義し、その評価関数が最小(ないしは最大)となる組み合わせを選択するようにしてもよい。ここで、上述のβが1より大きい場合、より内積値の絶対値が大きいものほど重みが大きくなるため、全体的に内積値の絶対値が小さくまとまり、突出した大きな内積値を持つ組み合わせを選ばないようにする効果が得られる。βは整数である必要はないが、例えばβ=2などを設定すれば演算的にも簡易となる。
また図13に示した処理は、逐次行う無線リソースの割り当て処理として実施する以外にも、第3の実施形態で示したように事前処理として端末局2の組み合わせの候補を生成する際に、例えば図13で示す処理を併せて事前に実施し、チャネル相関が大きい端末局2を一部除外した組み合わせを生成し、これをデータベース化して利用することも可能である。同様に、図14に示した処理は、第3の実施形態で示した組み合わせパターンの事前取得を行う際に、実運用時に必要となるパターン数よりも少し多めのM’(ここでM<M’)パターンを生成しておき、図14に示した処理で実際に使用する有効な組み合わせパターンをM’通りからM通りに限定し、これをデータベース化して利用するようにしても構わない。
ここで用いるチャネル情報は、通信におけるチャネル推定処理やチャネル情報のフィードバック処理によって取得可能である。通常であれば、時変動を伴うチャネル情報であれば最新のチャネル情報を用いて上記の処理を実施すべきであるが、図13及び図14で示す処理には多くの演算量が伴うので、頻繁に情報更新するには負荷が大きい。そのような場合、ある程度の回数取得したチャネル情報を平均化し、平均化されたチャネル情報を用いて組み合わせ選択の際のチャネル相関を評価すれば、端末局2の組み合わせを記憶するデータベースの更新周期を長く設定しても、それなりの精度で準最適化を行うことができる。特に、通信サービスの運用開始前にチャネル情報の平均化を含む一連の処理を実施し、通信サービス運用中は同一のデータベースを利用することにより、サービス運用時の負荷を低減することが可能である。
上述したように、各実施形態におけるスケジューリング処理回路を用いることにより、基地局装置に備えられているアンテナ数が多い環境であっても、スケジューリング処理において高次元の複素ベクトルの内積演算を大量に行うことなしに、より回路規模の小さい加算(減算)回路でチャネルの相関の大きな端末局の組み合わせを簡易に回避し、直交化ロスの小さい良好な端末局の組み合わせを選択することが可能となる。なお補足であるが、複素ベクトルの内積演算とは2つのベクトルの各成分の単純な乗算ではなく、一方のベクトルはエルミート共役(つまり片方は成分の複素共役を取った値を用いる)ベクトルを取り各成分を乗算することを意味する。
この組み合わせ選択は端末局の方位の相対的な角度差のみで求まるため、移動の伴わない端末局を前提にすれば、事前に方位に関するデータベースを作成しておき、通信中のスケジューリング処理においてはこのデータベースを基に単純な角度差の取得処理のみで組み合わせの可否判断が可能である。
更に、チャネル情報ベクトルはサブキャリアごとに異なるため、従来であればサブキャリア単位で個別に組み合わせの可否判断を行わなければならないが、端末局の存在する方位による判断はサブキャリアに依存しない共通の判断条件であるため、特に全サブキャリアを同一の端末の組み合わせで利用するOFDM変調方式適用時には特に有効である。
なお、上述の各実施形態では主としてOFDM(A)変調方式を適用する場合を例として示したが、本発明はあくまでも空間多重を行う端末局の組み合わせを行うスケジューリングに関する技術であり、例えばシングルキャリア周波数領域等化(Single-Carrier Frequency-Domain-Equalization)技術を用いた空間多重伝送の場合も、物理レイヤの処理はそのままで同様に適用することは可能である。この場合、図23及び図24におけるMAC層処理回路174及び通信制御回路172よりも左側の回路構成はOFDM(A)変調方式に関する構成からSC−FDE方式の回路構成に変更になる。しかし、図3、図6、図8、及び図12におけるスケジューリング処理回路の構成に変更を加えることなく適用することが可能である。また、上述の各実施形態では、通信相手候補リスト生成部12がMAC層処理回路174から通知される情報を用いて候補リストを生成する構成を例として説明したが、通信制御回路172が各端末局に対する無線リソースの割り当ての要求を示す情報を有している場合には通信制御回路172から通知された情報を用いてもよいし、基地局装置の外部に設けられた装置が当該情報を有している場合には外部に設けられた装置から当該情報を取得するようにしてもよい。
また、上述の各本実施形態では複数の端末局宛の信号を同時に空間多重する技術としてマルチユーザMIMO技術におけるスケジューリング処理を例として説明したが、これは異なる端末局を同一時刻に同一周波数において空間多重する技術を広義の意味で「マルチユーザMIMO技術」として説明したものであり、複数のアンテナを用いて空間多重する空間多重伝送の際のスケジューリング処理であれば送信及び受信における信号処理にかかわらず適用することができる。例えば、複数のアンテナ素子に対してフェーズドアレイ技術を用いて制御し、複数のアンテナ素子を合成して形成される仮想的な指向性アンテナの指向性を利用して空間多重を行うSDMA(Space-Division-Multiple-Access)技術は、一般的にはマルチユーザMIMO技術とは分けて議論されるが、これも広義の意味では「マルチユーザMIMO技術」の一種と理解できる。同様に、その他の信号処理技術による空間多重を用いた場合でも、その際の空間多重を行う端末局の組み合わせに関するスケジューリング処理として適用する場合には、本発明はそれを包含するものとする。
また、第1及び第5の実施形態において、基地局装置がスケジューリング処理回路10内に端末局方位記憶部11を備える構成について説明したが、これに限ることなく、各端末局2の方位情報を記憶しているサーバ装置を設け、スケジューリング処理回路10が当該サーバ装置から方位情報を取得するようにしてもよい。同様に、第2、第3及び第4の実施形態において、領域設定パターン記憶部21や、端末局位置記憶部22、端末局存在領域記憶部25、組合せパターン記憶部31に記憶されている情報を記憶しているサーバ装置を設け、スケジューリング回路が当該サーバ装置から情報を取得するようにしてもよい。
なお、本発明におけるスケジューリング処理回路の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりスケジューリング処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウエアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。更に「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
1 基地局装置
2,2−1,2−2,2−3,2−4,2−5,2−6,2−N 端末局
10,20,30,40 スケジューリング処理回路
11 端末局方位記憶部
12 通信相手候補リスト生成部
14,24,34 通信相手選択部
15 無線リソース割当部
21 領域設定パターン記憶部
22 端末局位置記憶部
25 端末局存在領域記憶部
31 組合せパターン記憶部
46 通信相手絞込部
161−1,161−2、161−L 送信信号処理回路
162−1,162−2,162−K 加算合成回路
163−1,163−2,163−K D/A変換器
164−1,164−2,164−K ミキサ
165−1,165−2,165−K フィルタ
166−1,166−2,166−K ハイパワーアンプ
167−1,167−2,167−K アンテナ
168 ローカル発振器
169 チャネル情報取得回路
170 チャネル情報記憶回路
171 マルチユーザMIMO送信ウエイト算出回路
172 通信制御回路
173 送信ウエイト処理部
174 MAC層処理回路
175 インタフェース回路
176 スケジューリング処理回路
178−1,178−2,178−K IFFT・GI付与回路
179−1,179−2,179−K FFT回路
181−1,181−2,181−L 受信信号処理回路
182−1,182−2,182−K A/D変換器
183−1,183−2,183−K フィルタ
184−1,184−2,184−K ミキサ
185−1,185−2,185−K ローノイズアンプ
186−1,186−2,186−K アンテナ
187 ローカル発振器
188 チャネル情報推定回路
189 マルチユーザMIMO受信ウエイト算出回路
190 受信ウエイト処理部
301 基地局装置
302 端末局#1
303 端末局#2
304 端末局#3
900 基地局装置

Claims (8)

  1. 複数のアンテナを備えた基地局装置と、1つ又は複数のアンテナを備えた複数の端末局とを具備し、前記基地局装置と複数の前記端末局との間において同一周波数で同一時刻に空間多重を行うマルチユーザMIMO伝送を実施可能な無線通信システムにおける無線リソース割当方法であって、
    前記基地局装置から前記端末局へのダウンリンク、又は前記端末局から前記基地局装置へのアップリンクの通信において、空間多重を用いて前記基地局装置と同時に通信を行う複数の前記端末局を選択する際に、前記端末局の組み合わせであって該組み合わせに含まれる前記端末局間において前記基地局装置を基準とした際の各端末局の方位の差分が予め定められた閾値α(0°<α<180°)以上となる前記端末局の組み合わせを選択する通信相手選択ステップと、
    前記通信相手選択ステップにおいて選択された前記端末局の組み合わせに含まれる端末局の全てあるいは一部に対して無線リソースを割り当てる無線リソース割当ステップと
    を有し、
    前記閾値αは、
    前記基地局装置が備える前記複数のアンテナ素子と前記端末局が備えるアンテナ素子の間の見通し波のみを考慮したチャネルモデルで与えられるチャネル情報を用いた前記基地局装置と前記端末局との間のチャネル情報ベクトルを仮定したときに、前記方位の差分がθとなるある2つの前記端末局に対し、前記チャネル情報ベクトルの内積値を各チャネル情報ベクトルの絶対値で除算した値に対する絶対値を1から減算して与えられる評価関数を用い、所定の角度β(0°<β<180°)に対し、前記θをゼロから増加させながら前記評価関数の値が区間α≦θ≦α+βにおいて予め定められた目標値以上の値となる最小の値として設定される
    ことを特徴とする無線リソース割当方法。
  2. 請求項1に記載の無線リソース割当方法であって、
    前記通信相手選択ステップは、
    前記基地局装置を基準とした際の前記端末局の方位に関する情報を取得するステップと、
    2つの前記端末局の方位に関する情報から前記方位の差分を算出し、算出した方位の差分が前記閾値α以上であるか否かを判定するステップと、
    前記算出した方位の差分が前記閾値α以上である前記端末局を前記端末局の組み合わせに選択するステップと
    を有することを特徴とする無線リソース割当方法。
  3. 請求項1に記載の無線リソース割当方法であって、
    前記通信相手選択ステップは、
    前記基地局装置との間において同一周波数で同一時刻に空間多重を行う前記端末局の候補を示す候補リストに基づいて、前記基地局装置を基準とした際の各前記端末局の方位の差分が前記閾値α以上となる前記端末局の組み合わせパターンを予め複数記憶している組合せパターン記憶部から、いずれか1つの前記端末局の組み合わせパターンを取得し、取得した前記端末局の組み合わせパターンに含まれる端末局を前記端末局の組み合わせに選択する
    ことを特徴とする無線リソース割当方法。
  4. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の無線リソース割当方法であって、
    前記通信相手選択ステップにおいて選択された前記端末局の組み合わせに含まれる端末局ごとに、該端末局と前記基地局装置との間のチャネル情報ベクトルと、前記端末局の組み合わせに含まれる他の端末局と前記基地局装置との間のチャネル情報ベクトルとの内積の絶対値を2つの該チャネル情報ベクトルの絶対値で除算した値が予め定められた基準値以下であるか否かを判定し、前記値が前記基準値より大きい場合、該端末局を前記端末局の組み合わせから除外する通信相手絞込ステップ
    を更に有することを特徴とする無線リソース割当方法。
  5. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の無線リソース割当方法であって、
    前記端末局は、固定設置されており、
    前記通信相手選択ステップは、
    前記基地局装置が設置されている位置を原点とした空間において定まる前記端末局それぞれの位置を示す座標から方位を取得する
    ことを特徴とする無線リソース割当方法。
  6. 複数のアンテナを備えた基地局装置と、1つ又は複数のアンテナを備えた複数の端末局とを具備し、前記基地局装置と複数の前記端末局との間において同一周波数で同一時刻に空間多重を行うマルチユーザMIMO伝送を実施可能な無線通信システムにおける無線リソース割当方法であって、
    前記基地局装置から前記端末局へのダウンリンク、又は前記端末局から前記基地局装置へのアップリンクの通信において、空間多重を用いて前記基地局装置と同時に通信を行う複数の前記端末局を選択する際に、前記端末局の組み合わせであって該組み合わせに含まれる前記端末局間において前記基地局装置を基準とした際の各端末局の方位の差分が予め定められた閾値α(0°<α<180°)以上となる前記端末局の組み合わせを選択する通信相手選択ステップと、
    前記通信相手選択ステップにおいて選択された前記端末局の組み合わせに含まれる端末局の全てあるいは一部に対して無線リソースを割り当てる無線リソース割当ステップと
    を有し、
    前記通信相手選択ステップは、
    空間多重数をM(M≧2)とした際において、前記基地局装置を中心として円周方向に区切られた割り当て禁止領域及び割り当て可能領域からなる領域設定パターンであって、前記閾値α以上の角度幅を有する複数の前記割り当て禁止領域と、((360°/M)−α)以下の角度幅を有する複数の前記割り当て可能領域とが円周方向に交互に配置された領域設定パターンを用いて、該領域ごとに前記基地局装置を基準とした際の前記端末局それぞれの方位に関する端末局存在領域情報であって該領域と前記端末局との関係を示す端末局存在領域情報に基づいて、前記割り当て可能領域ごとに1局以下の前記端末局を選ぶことにより、前記端末局の組み合わせを選択する
    ことを特徴とする無線リソース割当方法。
  7. 複数のアンテナを備えた基地局装置と、1つ又は複数のアンテナを備えた複数の端末局とを具備し、前記基地局装置と複数の前記端末局との間において同一周波数で同一時刻に空間多重を行うマルチユーザMIMO伝送を実施可能な無線通信システムにおける基地局装置であって、
    自装置から前記端末局へのダウンリンク、又は前記端末局から自装置へのアップリンクの通信において、空間多重を用いて同時に通信を行う複数の前記端末局を選択する際に、前記端末局の組み合わせであって該組み合わせに含まれる前記端末局間において自装置を基準とした際の各端末局の方位の差分が予め定められた閾値α(0°<α<180°)以上となる前記端末局の組み合わせを選択する通信相手選択部と、
    前記通信相手選択部が選択した前記端末局の組み合わせに含まれる端末局の全てあるいは一部に対して無線リソースを割り当てる無線リソース割当部と
    を備え
    前記閾値αは、
    前記基地局装置が備える前記複数のアンテナ素子と前記端末局が備えるアンテナ素子の間の見通し波のみを考慮したチャネルモデルで与えられるチャネル情報を用いた前記基地局装置と前記端末局との間のチャネル情報ベクトルを仮定したときに、前記方位の差分がθとなるある2つの前記端末局に対し、前記チャネル情報ベクトルの内積値を各チャネル情報ベクトルの絶対値で除算した値に対する絶対値を1から減算して与えられる評価関数を用い、所定の角度β(0°<β<180°)に対し、前記θをゼロから増加させながら前記評価関数の値が区間α≦θ≦α+βにおいて予め定められた目標値以上の値となる最小の値として設定される
    ことを特徴とする基地局装置。
  8. 複数のアンテナを備えた基地局装置と、1つ又は複数のアンテナを備えた複数の端末局とを具備し、前記基地局装置と複数の前記端末局との間において同一周波数で同一時刻に空間多重を行うマルチユーザMIMO伝送を実施可能な無線通信システムにおける基地局装置であって、
    自装置から前記端末局へのダウンリンク、又は前記端末局から自装置へのアップリンクの通信において、空間多重を用いて同時に通信を行う複数の前記端末局を選択する際に、前記端末局の組み合わせであって該組み合わせに含まれる前記端末局間において自装置を基準とした際の各端末局の方位の差分が予め定められた閾値α(0°<α<180°)以上となる前記端末局の組み合わせを選択する通信相手選択部と、
    前記通信相手選択部が選択した前記端末局の組み合わせに含まれる端末局の全てあるいは一部に対して無線リソースを割り当てる無線リソース割当部と
    を備え
    前記通信相手選択部は、
    空間多重数をM(M≧2)とした際において、自装置を中心として円周方向に区切られた割り当て禁止領域及び割り当て可能領域からなる領域設定パターンであって、前記閾値α以上の角度幅を有する複数の前記割り当て禁止領域と、((360°/M)−α)以下の角度幅を有する複数の前記割り当て可能領域とが円周方向に交互に配置された領域設定パターンを用いて、該領域ごとに自装置を基準とした際の前記端末局それぞれの方位に関する端末局存在領域情報であって該領域と前記端末局との関係を示す端末局存在領域情報に基づいて、前記割り当て可能領域ごとに1局以下の前記端末局を選ぶことにより、前記端末局の組み合わせを選択する
    ことを特徴とする基地局装置。
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