以下に、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
先ず、本実施の形態の約款作成支援システムの構成を図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態の約款作成支援システムの構成図である。本実施の形態の約款作成支援システムは、作業者による約款の作成及び更新を支援するためのシステムであって、図1に示すように、約款作成支援装置100と、記憶装置200と、承認装置300と、通信ネットワーク400とを有する。なお本願では、「約款」とは、意味的にまとまりのある文章の集合で構成される定型文書のことをいう。約款の一例は、保険、不動産取引、銀行取引、及び商品売買に関する、契約内容が条文により記述された契約書面である。組織と不特定多数の個人との契約文書も、約款に含まれる。
約款作成支援装置100は、電子データによる約款の作成及び更新を支援する装置である。約款作成支援装置100は、例えばPC(Personal Computer)によって実現される。説明の簡単化のために図1には示されていないが、約款作成支援装置100には、情報を入力するための入力装置と、情報を表示する表示装置とが接続される。入力装置は、例えばキーボード及びマウスである。約款作成支援装置100は、複数の構成部を有する。約款作成支援装置100の構成の詳細は図2を用いて後述する。
記憶装置200は、約款作成支援装置100によって作成された約款等を保持する装置である。記憶装置200は、保持している約款が更新された場合の更新後の約款等も保持する。更新後の約款は、新約款である。承認装置300は、記憶装置200によって保持されている約款の承認を承認者から受け付ける装置である。承認装置300は、例えばPCによって実現される。承認装置300には、入力装置及び表示装置が接続される。
通信ネットワーク400は、インターネット等のデータを通信するためのネットワークである。約款作成支援装置100、記憶装置200、及び承認装置300は、通信ネットワーク400に接続可能であって、相互に通信可能である。
次に、約款作成支援装置100の構成を図2を用いて説明する。図2は、約款作成支援装置100の構成図である。約款作成支援装置100は、上述したように、約款の作成及び更新を支援する装置であって、図2に示すように、受付部1と、シート供給部2と、フレーム作成部3と、管理部4と、記憶部5と、判断部6と、通信部7と、表示制御部8と、参照テーブル生成部9と、警告部10と、共通部品テーブル生成部11とを有する。
受付部1は、ユーザによって入力された指示を受け付ける。シート供給部2は、文字列を記入するための電子的なシートを表示装置に表示させる。フレーム作成部3は、表示されたシートに所定の大きさのフレームを作成する。管理部4は、約款データテーブル等を管理する。約款データテーブルは、図5を用いて後述する。記憶部5は、約款データテーブル等を保持する。
判断部6は、作成対象の約款を構成する全ての部分データの入力が終了したか否かを判断する。部分データは、例えば条文である。通信部7は、記憶装置200とデータを通信する。表示制御部8は、約款を表示装置に表示させる。参照テーブル生成部9は、参照テーブルを生成する。参照テーブルは、図13を用いて後述する。警告部10は、関連する複数の約款の一つが更新された場合、他の約款も更新すべきであることを警告する。共通部品テーブル生成部11は、共通部品テーブルを生成する。共通部品テーブルは、図18を用いて後述する。なお、約款作成支援装置100の各構成部の機能の詳細は、後に本実施の形態の約款作成支援システムの動作を説明する際に、その動作とともに説明する。
次に、本実施の形態の約款作成支援システムの動作を説明する。図3は、本実施の形態の約款作成支援システムによって行われる処理の概要を説明するための図である。本実施の形態の約款作成支援システムによって行われる処理は、図3に示すように、約款を作成する処理(フェーズF1)と、一つの約款を更新する処理(フェーズF2)と、関連する複数の約款を更新する処理(フェーズF3)と、複数の約款において用いられる条文等の部分データの更新を検査する処理(フェーズF4)と、複数の約款をまとめてしおり約款を作成する処理(フェーズF5)とに大別される。以下では、本実施の形態の約款作成支援システムの動作をフェーズ毎に順に説明する。
[約款を作成する処理(フェーズF1)]
先ず、約款を作成する処理(フェーズF1)を図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態の約款作成支援装置100が行う約款の作成を支援する動作の各ステップを示すフローチャートである。
作業者は、約款作成支援装置100を用いて約款を作成しようとする場合、文字列を記入するための電子的なシートを表示装置の画面に表示させる指示(以下、「シート表示指示」と記載する。)を入力装置を用いて約款作成支援装置100に入力する。約款作成支援装置100では、受付部1がシート表示指示を受け付け(S1)、シート供給部2は、白紙のシートを表示装置の画面に表示させる(S2)。
次に、作業者は、約款を構成する条文等の部分データを入力するために、表示されたシートにおけるその部分データの記入位置と、その記入位置にフレームを作成させる指示(以下、「フレーム作成指示」と記載する。)とを入力装置を用いて約款作成支援装置100に入力する。なお、「約款を構成する部分データ」は、約款における「第1章」、「第1条」、又は「第1項」等の見出しと内容とで構成されるデータである。すなわち、「約款を構成する部分データ」は、約款を構成する各契約事項である。また、「フレーム」は、部分データが記入される範囲である。
約款作成支援装置100では、受付部1が記入位置とフレーム作成指示とを受け付け(S3)、フレーム作成部3は、表示されたシートにおけるその記入位置に所定の大きさのフレームを作成する(S4)。
管理部4は、作成されたフレームにそれを個体として識別する識別情報(以下、「フレームID」と記載する。)を付与するとともに、約款データテーブルを生成して記憶部5に格納し、格納した約款データテーブルにフレームIDを記録する(S5)。例えば、管理部4は、作成される約款の先頭から順に各フレームに4桁の数のフレームIDを付与する。より具体的には、管理部4は、約款の先頭のフレームにフレームID「0001」を付与し、先頭から2番目のフレームにフレームID「0002」を付与し、先頭から3番目のフレームにフレームID「0003」を付与するように、フレーム作成部3によって作成された各フレームにフレームIDを付与する。なお、フレームには部分データが記入されるので、フレームIDは、それに対応するフレームに記入される部分データの識別情報でもある。
約款データテーブルは、全ての部分データ(契約事項)を管理するためのテーブルである。更に言うと、約款データテーブルは、全ての部分データによって構成される約款が記憶装置200によって記憶された後に、その約款又はその約款に関連する約款を更新する際の作業者の更新作業の労力を軽減させるためのテーブルである。約款データテーブルの詳細は、図5を用いて後述する。
次に、作業者は、記入位置に作成されたフレーム内に、入力装置を用いて一つの部分データを入力する。つまり、作業者は、フレーム内に一つの契約事項を入力する。約款作成支援装置100では、受付部1が入力された部分データを受け付け(S6)、管理部4は、受け付けられた部分データを、記憶部5によって保持されている約款データテーブルのその部分データに対応するフレームの内容記入欄に記録する(S7)。なお、受付部1は、部分データを取得する構成部として機能する。
約款作成支援装置100では、判断部6が、約款を構成する全ての部分データの入力が終了したか否かを判断する(S8)。作業者は、入力すべき部分データが存在していれば、新たな記入位置とフレーム作成指示とを約款作成支援装置100に入力する。判断部6は、新たな記入位置とフレーム作成指示とが入力されれば、部分データの入力は終了していないと判断し(S8でNo)、約款作成支援装置100の動作は、受付部1が記入位置とフレーム作成指示とを受け付けるステップS3に戻る。
作業者は、全ての部分データの入力を終了すると、すなわち約款の入力を終了すると、全ての部分データ(約款)を保存させるための指示(以下、「保存指示」と記載する。)を入力装置を用いて約款作成支援装置100に入力する。約款作成支援装置100では、受付部1が保存指示を受け付ける。判断部6は、受付部1が保存指示を受け付けると、全ての部分データの入力が終了したと判断し(S8でYes)、管理部4は、記憶部5によって保持されている約款データテーブルを記憶装置200に保存するための制御を行う(S9)。
通信部7は、管理部4による制御にしたがって、記憶部5によって保持されている約款データテーブルを、通信ネットワーク400を介して記憶装置200に送信する。
記憶装置200は、約款作成支援装置100からの約款データテーブルを受信し、それを保持する。約款は、約款データテーブルの全ての部分データによって構成されるので、記憶装置200は、約款を保持したことを示す情報を、通信ネットワーク400を介して承認装置300に送信する。承認装置300がその情報を受信すると、承認者は、承認装置300を介して記憶装置200にアクセスし、保持された約款を確認した上で入力装置を用いて承認を承認装置300に入力する。承認装置300は、入力された承認を記憶装置200に送信する。
これにより、約款を作成する処理(フェーズF1)は終了する。すなわち、約款の作成が終了する。
次に、約款データテーブルを図5を用いて説明する。図5は、約款データテーブルの一例を示す図である。約款データテーブルは、図5に示すように、文書ID51と、バージョンID52と、フレームID53と、見出し54と、タイトル55と、内容56との6個の項目を有するマトリックス状のテーブルである。
文書ID51は約款の識別情報を示す。バージョンID52は約款のバージョンの識別情報を示す。フレームID53は、約款の部分データ(契約事項)が記入されるフレームの識別情報を示す。上述したが、フレームには部分データが記入されるので、フレームIDは、対応するフレームに記入される部分データの識別情報でもある。見出し54は、各フレームに記入される「第1章」、「第1条」、又は「第1項」等の見出しを示す。タイトル55は、各フレームに記入される契約事項のタイトルを示す。内容56は、各フレームに記入される部分データ(契約事項)の内容を示す。
図5を用いて、約款データテーブルを具体的に説明する。文書ID51が「0001」であるので、図5の約款データテーブルは、その約款データテーブルに対応する約款の識別情報が「0001」であることを示している。バージョンID52が「1」であるので、図5の約款データテーブルは、それが新規の約款のテーブルであることを示している。バージョンID52の数字は「1」から開始し、約款が更新されると、その都度「1」増加する。また。図5の約款データテーブルは、フレームID53が「0001」であるフレームに対応する見出し54の記入欄に「第1章」が記入されており、タイトル55の記入欄に「総則」が記入されていることを示している。
約款作成支援装置100の管理部4は、約款データテーブルを管理し、それにより約款を管理する。
[一つの約款を更新する処理(フェーズF2)]
次に、一つの約款を更新する処理を図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態の約款作成支援装置100が行う一つの約款の更新を支援する動作の各ステップを示すフローチャートである。
作業者は、約款作成支援装置100を用いて約款を更新しようとする場合、記憶装置200によって保持されている約款データテーブルを取得させる指示を入力装置を用いて約款作成支援装置100に入力する。約款作成支援装置100では、受付部1がその指示を受け付け(S11)、通信部7は、約款データテーブルの送信要求を、通信ネットワーク400を介して記憶装置200に送信する(S12)。記憶装置200は、送信要求を受信すると、保持している約款データテーブルを、通信ネットワーク400を介して約款作成支援装置100に送信する。
約款作成支援装置100では、通信部7が約款データテーブルを受信し(S13)、記憶部5が、受信された約款データテーブルを記憶する。表示制御部8は、記憶部5によって保持された約款データテーブルの全ての部分データによって構成される約款を表示装置に表示させる(S14)。
その際、表示制御部8は、図7に示すように、表示装置の画面を水平方向に3個に分割して画面に3個の領域を設け、左側の領域を更新される約款(新約款)の表示領域とし、中央の領域を更新される前の約款(旧約款)の表示領域とし、右側の領域を備考が記入される表示領域とする。そして、表示制御部8は、画面の左側の領域と中央の領域とに、記憶部5によって保持された約款データテーブルの全ての部分データによって構成される約款を表示させる。このようにして、表示制御部8は、図7に示すような約款の新旧対比表を表示装置に表示させる(S14)。図7は、更新処理が開始される前の新旧対比表の一例を示す図である。
管理部4は、画面の左側の領域に表示される約款(新約款)を更新可能な状態にし、画面の中央に表示される約款(旧約款)を更新不可能な状態に制御する。これにより、画面の左側の領域に表示される約款(新約款)の編集が可能になり、画面の中央に表示される約款(旧約款)はそのままの状態で保持される。
次に、作業者は、画面の左側の領域に表示されている約款(新約款)を更新するための情報(以下、「更新情報」と記載する。)を入力装置を用いて約款作成支援装置100に入力する。約款作成支援装置100では、受付部1が更新情報を受け付ける(S15)。管理部4は、更新情報に基づいて記憶部5によって保持されている約款データテーブルを更新する(S16)。なお、管理部4は、更新前(旧約款)の約款データテーブルを、更新後の新約款の約款データテーブルとは別に、更新後の新約款の約款データテーブルと関連付けて記憶部5に記憶させる。
例えば、図5の約款データテーブルに対応する約款を旧約款とし、作業者が、旧約款の「第1章」のタイトルを「総則」から「総則1」に変更しようとする場合を想定する。その場合、作業者は、入力装置を用いて、画面の左側の領域に表示されている約款の「第1章」のタイトルを「総則」から「総則1」に変更する。受付部1は、変更後の「総則1」を受け付け、管理部4は、図8に示すように、約款データテーブルのフレームIDが「0001」である部分データのタイトル55の記入欄を図5の「総則」から「総則1」に更新する。図8は、図5の状態から更新された約款データテーブルの一例を示す図である。言い換えると、図8は、新約款についての約款データテーブルの一例を示す図である。
また例えば、作業者が、旧約款の「第2条」の後に新たな「第2章」を追加しようとする場合を想定する。その場合、作業者は、旧約款の「第2条」の後に新たな「第2章」を記入するためのフレーム作成指示を入力装置を用いて約款作成支援装置100に入力する。
受付部1は、入力されたフレーム作成指示を受け付け、フレーム作成部3は、旧約款の「第2条」の後にフレームを作成する。管理部4は、作成されたフレームにフレームIDを付与し、記憶部5によって保持されている約款データテーブルに記録する。図8は、管理部4が作成されたフレームに「5000」というフレームIDを付与した状況を示している。
作業者は、作成されたフレームID「5000」のフレーム内に、入力装置を用いて、見出しの「第2章」と、そのタイトルと、その内容を示す部分データとを入力し、受付部1がそれらを受け付ける。管理部4は、図8に示すように、約款データテーブルの「5000」というフレームIDに対応する見出し54の記入欄に「第2章」を記録し、タイトル55の記入欄に「第2章のタイトル」を記録し、内容56の記入欄に「第2章の内容を示す部分データ」を記録する。
また例えば、作業者が、新たな「第2章」の後に新たな「第3条」を追加しようとする場合を想定する。その場合、作業者は、新たな「第2章」の後に新たな「第3条」を記入するためのフレーム作成指示を入力装置を用いて約款作成支援装置100に入力する。
受付部1は、入力されたフレーム作成指示を受け付け、フレーム作成部3は、新たな「第2章」の後に新たなフレームを作成する。管理部4は、作成されたフレームにフレームIDを付与し、記憶部5によって保持されている約款データテーブルに記録する。図8は、管理部4が新たな「第3条」が記入されるフレームに「5001」というフレームIDを付与した例を示している。
作業者は、新たな「第3条」用のフレーム内に、入力装置を用いて、見出しの「第3条」と、そのタイトルと、その内容を示す部分データとを入力し、受付部1がそれらを受け付ける。管理部4は、約款データテーブルの「5001」というフレームIDに対応する見出し54の記入欄に「第3条」を記録し、タイトル55の記入欄に「第3条のタイトル」を記録し、内容56の記入欄に「第3条の内容を示す部分データ」を記録する。
管理部4は、新たな「第2章」が追加されたので、図8に示すように、記憶部5によって保持されている約款データテーブルの「0004」というフレームIDに対応する見出しを図5の「第2章」から「第3章」に変更する。また、管理部4は、新たな「第3条」が追加されたので、図8に示すように、約款データテーブルの「0005」というフレームIDに対応する見出しを図5の「第3条」から「第4条」に変更する。
このように、管理部4は、入力された更新情報に基づいて記憶部5によって保持されている約款データテーブルを更新する。なお、上述したが、管理部4は、更新前(旧約款)の約款データテーブルを、更新後(新約款)の約款データテーブルと関連付けて記憶部5に記憶させる。
次に、作業者は、約款の更新を終了すると、更新された約款データテーブルを保存させるための保存指示を入力装置を用いて約款作成支援装置100に入力する。受付部1は、保存指示を受け付け、管理部4は、更新された約款データテーブルに基づいて、表示装置の画面の中央の表示領域に表示されている旧約款と、画面の左側の表示領域に表示されている新約款との差異を検出する。
そして、管理部4は、画面の中央の表示領域の旧約款において、旧約款の内容と新約款の内容とが同じ箇所には「同左」が表示され、相違する箇所には、旧約款の内容がそのまま残り、その文字列に下線が付されるように、旧約款の表示内容を変更する(S17)。すなわち、管理部4は、図9に示すような新旧対比表を作成し(S17)、新旧対比表を記憶部5に格納する。図9は、更新処理が終了した後の新旧対比表の一例を示す図である。
なお、作業者は、注意事項を記録したいと考えた場合、入力装置を用いて、表示装置の画面の右側の備考の表示領域に、注意事項を記入する。受付部1は、注意事項を受け付け、管理部4は、新旧対比表の備考欄に注意事項を付加して新旧対比表を記憶部5に格納する。
その後、管理部4は、記憶部5によって保持されている更新後の約款データテーブルと、新旧対比表とを、記憶装置200に保存するための制御を行う(S18)。
通信部7は、管理部4による制御にしたがって、記憶部5によって保持されている更新後の約款データテーブルと新旧対比表とを、通信ネットワーク400を介して記憶装置200に送信する。
記憶装置200は、約款作成支援装置100からの更新後の約款データテーブルと新旧対比表とを受信し、それらを保持する。記憶装置200は、更新後の約款を保持したことを示す情報を、通信ネットワーク400を介して承認装置300に送信する。承認者は、承認装置300を介して記憶装置200にアクセスし、保持された約款データを確認した上で入力装置を用いて承認を承認装置300に入力する。承認装置300は、入力された承認を記憶装置200に送信する。
これにより、一つの約款を更新する処理(フェーズF2)は終了する。すなわち、一つの約款の更新が終了する。そして、更新後の約款データテーブルから新約款が作成されるので、新約款と新旧対比表とを印刷すれば、金融庁に提出すべき書類は揃う。
[関連する複数の約款を更新する処理(フェーズF3)]
保険会社は、生命保険等の一つの商品を販売する際、関連する複数の約款を契約者に提供する場合が多い。その場合、一つの約款を更新すると、別の約款も更新しなければならない状況が発生することがある。以下では、関連する複数の約款を更新する処理を説明する。具体的には、関連する約款α、約款β、及び約款γを更新する処理を説明する。
ここで、約款βの特定の部分データ(例えば、特定の条文)の特定の用語が約款αの特定の部分データを参照しており、約款γの特定の部分データの特定の用語が約款αの特定の部分データを参照している場合を想定する。これにより、約款αと約款βとが関連しており、約款αと約款γとが関連している。なお、約款αのどの部分データも、約款βのいずれの部分データも参照しておらず、かつ、約款γのいずれの部分データも参照していない場合を想定する。
この場合も、約款α、約款β、及び約款γは、上述したフェーズF1により生成される。ただし、作業者は、約款βの作成の途中に、約款βの特定の部分データの特定の用語が約款αの特定の部分データを参照していることを示す情報を約款作成支援装置100に入力する。
具体的には、作業者は、約款βの作成の途中に、約款βの特定の部分データの特定の用語が約款αの特定の部分データを参照していることを示す情報を保持させるための指示を、入力装置を用いて、約款作成支援装置100に入力する。約款作成支援装置100では、受付部1がその指示を受け付け、参照テーブル生成部9は、約款βの特定の部分データの特定の用語が約款αの特定の部分データを参照していることを示す情報を保存させるための画像(以下、「参照設定画像」と記載する。)を、表示装置に表示させる。参照テーブル生成部9は、参照設定画像を構成するデータを保持している。
作業者は、表示された参照設定画像にしたがって、約款βの特定の部分データの特定の用語が約款αの特定の部分データを参照することを示す情報を、入力装置を用いて、約款作成支援装置100に入力する。約款作成支援装置100では、受付部1がその情報を受け付け、参照テーブル生成部9は、受付部1によって受け付けられた情報に基づいて、約款βの特定の部分データの特定の用語が約款αの特定の部分データを参照していることを示す情報を含む参照テーブルを生成する。参照テーブルは、図13を用いて後に詳述する。
例えば、図10に示すように、約款βの作成の途中で、「・・・については、第5条を参照してください。」という文字列を含む約款βの部分データが表示装置の画面に表示されている場合を想定する。図10は、約款βのある部分データが表示された画面の一例を示す図である。その場合、作業者は、例えば、表示されている部分データのなかの、約款αの特定の部分データを参照する特定の用語として「第5条」を、入力装置を用いて選択する。図10では、「第5条」に下線が付されており、約款βの特定の部分データの特定の用語「第5条」が選択されている状況が示されている。そして、作業者は、特定の用語「第5条」が約款αの特定の部分データを参照することを示す情報を保持させるために、入力装置を用いて「参照リンク設定」ボタンを押す。
約款作成支援装置100では、受付部1が、作業者によって選択された特定の用語「第5条」と、その用語が約款αの特定の部分データを参照することを示す情報を保持させるための指示とを受け付ける。参照テーブル生成部9は、作業者によって選択された特定の用語「第5条」に、その用語を個体として特定する識別情報(以下、「参照ID」という。)を付与する。
次に、参照テーブル生成部9は、特定の用語「第5条」を含む約款βの識別情報(以下、「参照元文書ID」という。)を取得する。参照元文書IDは、管理部4によって付与されていて、約款βの約款データテーブルに記録されている。そのため、参照テーブル生成部9は、約款βの約款データテーブルから、約款βの識別情報(参照元文書ID)を取得する。そして、参照テーブル生成部9は、参照テーブルを生成し、特定の用語「第5条」を含む約款βの識別情報(参照元文書ID)と、特定の用語「第5条」の識別情報(参照ID)とを関連付けて、参照テーブルに記録して保持する。
次に、参照テーブル生成部9は、記憶装置200によって保持されている約款の一覧を取得させるための制御を通信部7に対して行う。通信部7は、参照テーブル生成部9による制御にしたがって、記憶装置200によって保持されている約款の一覧を、通信ネットワーク400を介して取得する。そして、参照テーブル生成部9は、図11に示すような約款の一覧を含む第1の参照設定画像を表示装置に表示させる。その一覧は、特定の用語「第5条」が参照する特定の部分データを含む約款を作業者に特定させるためのものである。図11は、特定の用語が参照する特定の部分データを含む約款を作業者に特定させるための、約款の一覧を含む第1の参照設定画像の一例を示す図である。
図11に示すような約款の一覧を含む第1の参照設定画像が表示されると、作業者は、その一覧のなかから、約款βの特定の用語が参照する特定の部分データを含む約款を、入力装置を用いて選択する。例えば、作業者は、複数の約款のなかから、約款βの特定の用語「第5条」が参照する特定の部分データを含む約款αを選択する。図11では、約款αに下線が付されており、約款βの特定の用語が参照する特定の部分データを含む約款として約款αが選択されている状況が示されている。作業者は、選択した約款αを約款作成支援装置100に入力するために、図11の第1の参照設定画像の「約款選択」ボタンを、入力装置を用いて押す。
約款作成支援装置100では、受付部1が、作業者によって約款αが選択されたことを示す情報を受け付け、参照テーブル生成部9は、約款αの識別情報(以下、「参照先文書ID」という。)を取得する。参照先文書IDは、管理部4によって付与されていて記憶装置200によって保持されている。そのため、参照テーブル生成部9は、通信部7を介して、記憶装置200から約款αの識別情報(参照先文書ID)を取得する。
そして、参照テーブル生成部9は、取得した約款αの識別情報(参照先文書ID)を、先に保持した、特定の用語「第5条」を含む約款βの識別情報(参照元文書ID)と、特定の用語「第5条」の識別情報(参照ID)とに関連付けて、参照テーブルに記録して保持する。
次に、参照テーブル生成部9は、選択された約款αを構成する全ての部分データの一覧を取得させるための制御を通信部7に対して行う。通信部7は、参照テーブル生成部9による制御にしたがって、記憶装置200によって保持されている約款αを構成する全ての部分データの一覧を、通信ネットワーク400を介して取得する。
そして、参照テーブル生成部9は、図12に示すような、約款αを構成する全ての部分データの一覧を含む第2の参照設定画像を表示装置に表示させる。約款αを構成する全ての部分データの一覧は、特定の用語「第5条」が参照する特定の部分データを作業者に特定させるためのものである。図12は、約款αを構成する全ての部分データの一覧を含む第2の参照設定画像の一例を示す図である。図12では、約款αを構成する全ての条文番号の一部が、約款αを構成する全ての部分データの一覧の一部として示されている。
図12に示すような、約款αを構成する全ての部分データの一覧を含む第2の参照設定画像が表示されると、作業者は、その一覧のなかから、特定の用語「第5条」が参照する、約款αの特定の部分データを、入力装置を用いて選択する。図12では、約款αの第1条に下線が付されており、特定の用語「第5条」が参照する部分データとして約款αの第1条が選択されている状況が示されている。作業者は、選択した部分データ(約款αの第1条)を約款作成支援装置100に入力するために、図12の第2の参照設定画像の「部分データ選択」ボタンを、入力装置を用いて押す。
約款作成支援装置100では、受付部1が、作業者によって選択された部分データ(約款αの第1条)を示す情報を受け付け、参照テーブル生成部9は、選択された部分データ(約款αの第1条)の識別情報(以下、「参照先フレームID」という。)を取得する。参照先フレームIDは、管理部4によって付与されていて記憶装置200によって保持されている。そのため、参照テーブル生成部9は、通信部7を介して、記憶装置200から、選択された部分データ(約款αの第1条)の識別情報(参照先フレームID)を取得する。
参照テーブル生成部9は、選択された部分データ(約款αの第1条)の識別情報(参照先フレームID)を、先に保持した、特定の用語「第5条」を含む約款βの識別情報(参照元文書ID)と、特定の用語「第5条」の識別情報(参照ID)と、約款αの識別情報(参照先文書ID)とに関連付けて、参照テーブルに記録して保持する。
同様にして、作業者は、約款γの作成の途中に、約款γの特定の部分データの特定の用語が約款αの特定の部分データを参照していることを示す情報を約款作成支援装置100に入力する。
次に、参照テーブル生成部9が生成する参照テーブルを図13を用いて説明する。図13は、参照テーブルの一例を示す図である。参照テーブルは、図13に示すように、参照元文書ID131と、参照ID132と、参照先文書ID133と、参照先フレームID134と、見出し135と、タイトル136と、内容137との7個の項目を有するマトリックス状のテーブルである。
参照元文書ID131は、参照元の約款の識別情報を示す。図13では、参照元文書ID131として、約款αの識別情報「0001」と、約款βの識別情報「0002」と、約款γの識別情報「0003」とが示されている。参照ID132は、参照元の約款のなかの、いずれかの約款の特定の部分データを参照している用語の識別情報を示す。参照先文書ID133は、参照先の約款の識別情報を示す。図13では、参照先文書ID133として、約款αの識別情報「0001」が示されている。
参照先フレームID134は、参照ID132によって特定される用語が参照している部分データに対応するフレームIDを示す。見出し135は、そのフレームIDに対応するフレームに記入される「第1章」又は「第1条」等の見出しを示す。タイトル136は、そのフレームに記入される部分データのタイトルを示す。内容137は、そのフレームに記入される部分データの内容を示す。見出し135、タイトル136、及び、内容137の情報は、参照テーブル生成部9によって取得されて記録される。
図13の参照テーブルでは、参照ID132が「0002」であるレコードの参照元文書ID131に、約款βの識別情報「0002」が記入されており、そのレコードの参照先文書ID133に、約款αの識別情報「0001」が記入されている。約款αは、フェーズF1において作成された約款である場合を想定する(図5参照)。また、そのレコードの参照先フレームID134には「0001」が記入されており、それに対応する見出し135には「第1章」が記入されており、それに対応するタイトル136には「総則」が記入されている。
すなわち、図13の参照テーブルは、「0002」という参照IDが付与されている約款βの特定の用語が、約款αの、「0001」というフレームIDが付与されている部分データを参照していることを示している。「約款βの特定の用語」は、例えば、上述した特定の用語「第5条」であり、参照ID「0002」は、例えばその用語「第5条」の識別情報である。
また、図13の参照テーブルでは、参照ID132が「0003」であるレコードの参照元文書ID131に、約款γの識別情報「0003」が記入されており、そのレコードの参照先文書ID133に、約款αの識別情報「0001」が記入されている。したがって、図13の参照テーブルは、「0003」という参照IDが付与されている約款γの特定の用語が、約款αの、「0006」というフレームIDが付与されている部分データを参照していることを示している。
このように、参照テーブル生成部9は、約款β及び約款γの特定の部分データの特定の用語が約款αの特定の部分データを参照しているとき、図13を用いて説明した参照テーブルを生成する。通信部7は、生成された参照テーブルを通信ネットワーク400を介して記憶装置200に送信する。記憶装置200は、約款作成支援装置100からの参照テーブルを受信する。参照テーブルが、約款β及び約款γの特定の部分データの特定の用語の識別情報(参照ID)が約款αの特定の部分データを参照していることを示しているので、記憶装置200は、受信した参照テーブルを、約款α、約款β、及び約款γそれぞれの約款データテーブルと関連付けて記憶する。
また、管理部4は、約款βの特定の部分データの特定の用語が約款αの特定の部分データを参照していることを示す参照情報を生成し、通信部7は、約款βが約款αの特定の部分データを参照していることを示す参照情報を通信ネットワーク400を介して記憶装置200に送信する。記憶装置200は、約款作成支援装置100からの参照情報を受信し、その参照情報を約款α及び約款βそれぞれの約款データテーブルと関連付けて記憶する。
同様に、管理部4は、約款γの特定の部分データの特定の用語が約款αの特定の部分データを参照していることを示す参照情報を生成し、通信部7は、約款γが約款αの特定の部分データを参照していることを示す参照情報を通信ネットワーク400を介して記憶装置200に送信する。記憶装置200は、約款作成支援装置100からの参照情報を受信し、その参照情報を約款α及び約款γそれぞれの約款データテーブルと関連付けて記憶する。
次に、関連する複数の約款を更新する処理を図14を用いて説明する。図14は、本実施の形態の約款作成支援装置100が行う関連する複数の約款の更新を支援する動作の各ステップを示すフローチャートである。
作業者は、約款作成支援装置100を用いて関連する約款α及び約款βを更新しようとする場合、記憶装置200によって保持されている約款αの約款データテーブル及び約款βの約款データテーブルを取得させる指示を入力装置を用いて約款作成支援装置100に入力する。約款作成支援装置100では、受付部1がその指示(送信要求)を受け付ける(S21)。
通信部7は、約款αの約款データテーブル及び約款βの約款データテーブルの送信要求を、通信ネットワーク400を介して記憶装置200に送信する(S22)。記憶装置200は、送信要求を受信すると、保持している約款αの約款データテーブル及び約款βの約款データテーブルと、それらに関連付けられている参照情報及び参照テーブルとを、通信ネットワーク400を介して約款作成支援装置100に送信する。
約款作成支援装置100では、通信部7が、約款αの約款データテーブル及び約款βの約款データテーブルと、それらに関連付けられている参照情報及び参照テーブルとを受信する(S23)。記憶部5は、受信された、約款αの約款データテーブル及び約款βの約款データテーブルと、それらに関連付けられている参照情報及び参照テーブルとを記憶する。
表示制御部8は、通信部7によって受信された約款αの約款データテーブルの全ての部分データによって構成される約款αを、フェーズF2を説明したようにして表示装置に表示させる(S24)。つまり、表示制御部8は、図7に示すように、左側の領域を更新される約款α(新約款)の表示領域とし、中央の領域を更新される前の約款α(旧約款)の表示領域とし、右側の領域を備考が記入される表示領域として、約款αを表示装置に表示させる(S24)。
次に、フェーズF2を説明したようにして、作業者は、画面の左側の領域に表示されている約款を更新するための情報(更新情報)を入力装置を用いて約款作成支援装置100に入力する。約款作成支援装置100では、受付部1が更新情報を受け付ける(S25)。管理部4は、更新情報に基づいて記憶部5によって保持されている約款αの約款データテーブルを更新する(S26)。
更新情報が、約款βの特定の部分データの特定の用語が参照している約款αの特定の部分データを更新するための情報である場合、警告部10は、参照テーブルに基づいて、約款βも更新すべきであることを示す警告を、表示装置に表示させる(S27)。例えば、更新情報が、約款αの第1章のタイトルを「総則」から「総則1」に変更するための情報である場合、警告部10は、図13の参照テーブルの参照ID132が「0002」であるレコードに基づいて、警告を表示装置に表示させる(S27)。これにより、作業者が約款βを更新することを失念する事態を防止することができる。作業者は、表示された警告を見ると、約款αを更新したようにして、約款βを更新する。
なお、作業者は、約款作成支援装置100に約款βの更新すべき箇所を検索させて更新させる指示を、入力装置を用いて約款作成支援装置100に入力してもよい。その場合、受付部1がその指示を受け付け、管理部4は、約款βの更新すべき箇所を検索し、約款βの更新すべき箇所を更新する(S28)。「約款βの更新すべき箇所」は、約款αの特定の部分データを参照している、約款βの特定の部分データの特定の用語である。例えば、管理部4は、約款βの約款データテーブルに対してテキスト検索を実行して特定の用語を検出し、約款βの約款データテーブルのその用語に関係する箇所を更新する。このようにして、約款αの特定の部分データを参照している約款βは、更新される。
ところで、上述した説明では、約款γも更新すべきであることは警告されない。しかしながら、通信部7は、約款γが約款αの特定の部分データを参照していることを示す参照情報を受信している。警告部10は、約款γの特定の部分データの特定の用語が参照している、約款αの特定の部分データが更新された場合、参照情報に基づいて、約款γも更新すべきことを示す警告を、表示装置に表示させる。これにより、作業者が約款γを更新することを失念する事態を防止することができる。
つまり、作業者は、約款γの約款データテーブルの取得要求を約款作成支援装置100に入力し、約款γの約款データテーブルを取得させる。そして、作業者は、約款α及び約款βを更新したようにして、約款γを更新する。
上述したようにして、約款α、約款β、及び約款γの約款データテーブルが更新されると、管理部4は、フェーズF2により、約款α、約款β、及び約款γの新旧対比表を作成する。また、管理部4は、更新後の各約款の約款データテーブルと新旧対比表とを、記憶装置200に保存するための制御を行う(S29)。通信部7は、更新後の各約款の約款データテーブルと新旧対比表とを、通信ネットワーク400を介して記憶装置200に送信する。
記憶装置200は、約款作成支援装置100からの更新後の約款データテーブルと新旧対比表とを受信し、それらを保持する。記憶装置200は、更新後の約款を保持したことを示す情報を、通信ネットワーク400を介して承認装置300に送信する。承認者は、承認装置300を介して記憶装置200にアクセスし、保持された約款データを確認した上で入力装置を用いて承認を承認装置300に入力する。承認装置300は、入力された承認を記憶装置200に送信する。
これにより、関連する複数の約款を更新する処理(フェーズF3)は終了する。すなわち、関連する複数の約款の更新が終了する。
ところで、図13の参照テーブルでは、参照ID132が「0001」であるレコードの参照元文書ID131及び参照先文書ID133に、約款αの識別情報「0001」が記入されている。そのレコードの参照先フレームID134には「0007」が記入されており、それに対応する見出し135には「第4条」が記入されている。すなわち、図13の参照テーブルは、約款αのある部分データの参照ID132が「0001」である特定の用語が、約款αのフレームID「0007」の部分データを参照していることを示している。
この場合、更新情報が、約款αの参照先フレームID134が「0007」であるフレームの内容を更新するための情報であるとき、警告部10は、参照テーブルに基づいて、参照先フレームID134が「0007」である部分データを参照している約款αの特定の用語も更新すべきであることを示す警告を、表示装置に表示させる。これにより、作業者が、参照先フレームID134が「0007」である部分データを参照している約款αの特定の用語を更新することを失念する事態を防止することができる。
なお、作業者は、約款作成支援装置100に約款αの更新すべき箇所を検索させて更新させる指示を、入力装置を用いて約款作成支援装置100に入力してもよい。その場合、受付部1がその指示を受け付け、管理部4は、約款αの更新すべき箇所を検索し、約款αの更新すべき箇所を更新する。「約款αの更新すべき箇所」は、参照先フレームID134によって特定される部分データを参照している約款αの特定の用語である。例えば、管理部4は、約款αの約款データテーブルに対してテキスト検索を実行して特定の用語を検出し、約款αの約款データテーブルのその用語に関係する箇所を更新する。このようにして、約款αは更新されてもよい。
[複数の約款において用いられる部分データの更新を検査する処理(フェーズF4)]
次に、複数の約款において用いられる部分データの更新を検査する処理(フェーズF4)を説明する。
フェーズF3を説明したように、複数の約款が関連している場合がある。例えば、約款αを構成する第3条と、約款βを構成する第7条とが同じである場合や、約款αを構成する第9条の文字列と、約款βを構成する第15条の文字列とが非常に類似している場合がある。その場合、約款αが作成された後に約款βを作成するとき、約款βにおいて用いられる約款αの第3条及び第9条を約款αから取得し、それら利用して約款βを作成する。そうすると、約款βを効率良く作成することができる。
また、約款αが作成された後に約款βを作成するとき、約款αの第3条及び第9条が約款βにおいて用いられていることを示す情報を記憶媒体に格納しておく。そうすると、約款βが作成された後に約款αの第3条及び第9条が更新されたとき、記憶媒体に格納された情報を参照することにより、約款αの第3条及び第9条を用いている約款βの部分データを更新をすることを失念する事態を防止することができる。
フェーズF4は、ある約款(例えば、約款β)の作成の途中で別の約款(例えば、約款α)の部分データを用いる際に、用いられる部分データに関連する情報等を記憶媒体に格納する処理(フェーズF41)と、その記憶媒体に格納された情報を参照して、上記別の約款が更新されたときに上記ある約款を更新する処理(フェーズF42)とで構成される。以下に、フェーズF41と、フェーズF42とを順に説明する。
以下では、説明の簡単化のため、ある約款βに用いられる別の約款の部分データを「共通部品」と定義するとともに、上記の記憶媒体を「共通部品テーブル」と定義する。また、別の約款は既に作成されており、別の約款の約款データテーブルは記憶装置200によって保持されていることを想定する。そして、作業者がある約款を作成しようとする場面を想定する。
(フェーズF41)
そのような状況において、作業者は、上述したフェーズF1によりある約款(例えば、約款β)を作成する際、ある約款を構成する特定の部分データを別の約款(約款α)の特定の部分データを用いて作成しようとするとき、その旨を入力装置を用いて約款作成支援装置100に入力する。
例えば、作業者は、約款βの第3条を約款αの特定の部分データを用いて作成しようとする場合、図15に示すように、表示装置の画面に第3条のフレームを表示させるために、先ず、フェーズF1を説明したようにフレーム作成指示を約款作成支援装置100に入力する。図15は、約款βの第3条を約款αの特定の部分データを用いて作成しようとする状況を説明するための図である。管理部4は、第3条のフレームにフレームIDを付与する。作業者は、約款βの第3条を、約款αの特定の部分データ(共通部品)を用いて作成するための指示を、約款作成支援装置100に入力する。具体的には、作業者は、入力装置を用いて「共通部品設定」ボタンを押す。
約款作成支援装置100では、受付部1がその指示を受け付け、共通部品テーブル生成部11は、共通部品を用いる部分データを含む約款の識別情報(以下、「参照元文書ID」と記載する。)と、共通部品を用いる部分データが記入されるフレームの識別情報(以下、「参照元フレームID」と記載する。)とを取得する。参照元文書ID及び参照元フレームIDは、管理部4によって付与されており、約款データテーブルに記録されている。そのため、共通部品テーブル生成部11は、約款データテーブルから、共通部品を用いる部分データを含む約款の識別情報(参照元文書ID)と、共通部品を利用する部分データが記入されるフレームの識別情報(参照元フレームID)とを取得する。
具体的には、共通部品を用いる部分データを含む約款が約款βである場合、共通部品テーブル生成部11は、約款βの約款データテーブルから、約款βの識別情報(参照元文書ID)と、共通部品を利用する部分データが記入されるフレームの識別情報(参照元フレームID)とを取得する。
そして、共通部品テーブル生成部11は、共通部品テーブルを作成し、共通部品を用いる部分データを含む約款の識別情報(参照元文書ID)と、共通部品を用いる部分データが記入されるフレームの識別情報(参照元フレームID)とを関連付けて、共通部品テーブルに記録して保持する。
次に、共通部品テーブル生成部11は、記憶装置200によって保持されている約款の一覧を取得させるための制御を通信部7に対して行う。通信部7は、共通部品テーブル生成部11による制御にしたがって、記憶装置200によって保持されている約款の一覧を、通信ネットワーク400を介して取得する。取得された一覧には、約款α、約款δ、約款ε、及び約款ηそれぞれを特定する情報が含まれる。
そして、共通部品テーブル生成部11は、図16に示すような、共通部品を含む約款を指定するための画像(以下、「約款指定画像」と記載する。)を、表示装置に表示させる。その際、共通部品テーブル生成部11は、取得された一覧を約款指定画像に含める。図16は、共通部品を含む約款を指定するための、約款の一覧を含む約款指定画像の一例を示す図である。共通部品テーブル生成部11は、約款指定画像を構成するデータを保持している。
図16に示すような約款の一覧を含む約款指定画像が表示されると、作業者は、その一覧のなかから、共通部品を含む約款を、入力装置を用いて選択する。例えば、作業者は、複数の約款のなかから、約款αを共通部品を含む約款として選択する。図16では、約款αに下線が付されており、約款αが共通部品を含む約款として選択されている状況が示されている。作業者は、選択した約款αを約款作成支援装置100に入力するために、図16の約款指定画像の「共通部品文書選択」ボタンを、入力装置を用いて押す。
約款作成支援装置100では、受付部1が、作業者によって約款αが選択されたことを示す情報を受け付け、共通部品テーブル生成部11は、約款αの識別情報(以下、「共通部品文書ID」という。)を取得する。共通部品文書IDは、管理部4によって付与されていて記憶装置200によって保持されている。そのため、共通部品テーブル生成部11は、通信部7を介して、記憶装置200から約款αの識別情報(共通部品文書ID)を取得する。
そして、共通部品テーブル生成部11は、取得した約款αの識別情報(共通部品文書ID)を、先に保持した、共通部品を用いる部分データを含む約款の識別情報(参照元文書ID)と、共通部品を用いる部分データが記入されるフレームの識別情報(参照元フレームID)とに関連付けて、共通部品テーブルに記録して保持する。
次に、共通部品テーブル生成部11は、選択された約款αを構成する全ての部分データの一覧を取得させるための制御を通信部7に対して行う。通信部7は、共通部品テーブル生成部11による制御にしたがって、記憶装置200によって保持されている約款αを構成する全ての部分データの一覧を、通信ネットワーク400を介して取得する。
次に、共通部品テーブル生成部11は、図17に示すような、約款αを構成する全ての部分データの一覧を含む画像(以下、「共通部品指定画像」と記載する。)を表示装置に表示させる。約款αを構成する全ての部分データの一覧は、用いられる共通部品を作業者に特定させるためのものである。図17は、約款αを構成する全ての部分データの一覧を含む共通部品指定画像の一例を示す図である。図17では、約款αを構成する全ての条文番号の一部が、約款αを構成する全ての部分データの一覧の一部として示されている。共通部品テーブル生成部11は、共通部品指定画像を構成するデータを保持している。
図17に示すような、約款αを構成する全ての部分データの一覧を含む共通部品指定画像が表示されると、作業者は、その一覧のなかから共通部品となる部分データを選択し、選択した部分データを示す情報を、入力装置を用いて約款作成支援装置100に入力する。図17では、約款αの第Q条に下線が付されており、約款αの第Q条が共通部品として選択されている状況が示されている。作業者は、選択した部分データ(約款αの第Q条)を共通部品として約款作成支援装置100に入力するために、図17の共通部品指定画像の「共通部品選択」ボタンを、入力装置を用いて押す。
約款作成支援装置100では、受付部1が、作業者によって選択された部分データ(約款αの第Q条)を共通部品とすることを示す情報を受け付ける。共通部品テーブル生成部11は、共通部品(約款αの第Q条)の識別情報(以下、「共通部品フレームID」という。)を取得する。共通部品フレームIDは、管理部4によって付与されて記憶装置200によって保持されている。そのため、共通部品テーブル生成部11は、通信部7を介して、記憶装置200から、共通部品(約款αの第Q条)の識別情報(共通部品フレームID)を取得する。
共通部品テーブル生成部11は、共通部品(約款αの第Q条)の識別情報(共通部品フレームID)を、先に保持した、共通部品を用いる部分データを含む約款の識別情報(参照元文書ID)と、共通部品を用いる部分データが記入されるフレームの識別情報(参照元フレームID)と、約款αの識別情報(共通部品文書ID)とに関連付けて、共通部品テーブルに記録して保持する。共通部品テーブル生成部11は、このようにして、共通部品テーブルを作成する。
次に、共通部品テーブル生成部11が生成する共通部品テーブルを図18を用いて説明する。図18は、共通部品テーブルの一例を示す図である。共通部品テーブルは、図18に示すように、参照元文書ID181と、参照元フレームID182と、共通部品文書ID183と、共通部品フレームID184と、最新バージョン185と、参照バージョン186と、内容187との7個の項目を有するマトリックス状のテーブルである。
参照元文書ID181は、共通部品を用いる約款の識別情報を示す。共通部品が約款βにおいて用いられる場合、参照元文書ID181には、約款βの識別情報「0002」が記入される。参照元フレームID182は、共通部品を用いる部分データが記入されるフレームの識別情報を示す。共通部品文書ID183は、用いられる共通部品を含む約款の識別情報を示す。用いられる共通部品を含む約款が約款αである場合、共通部品文書ID183には、約款αの識別情報「0001」が記入される。共通部品フレームID184は、用いられる共通部品のフレームの識別情報を示す。
最新バージョン185は、用いられる共通部品の最新のバージョンを示す。参照バージョン186は、共通部品が用いられたときの共通部品のバージョンを示す。共通部品が約款βにおいて用いられている場合、参照バージョン186は、共通部品が約款βにおいて用いられたときの共通部品のバージョンを示す。内容187は、対応するフレームに記入される共通部品の内容を示す。最新バージョン185、参照バージョン186、及び、内容187の情報は、共通部品テーブル生成部11によって取得されて記録される。
図18では、参照元フレームID182が「0005」であるレコードについて、参照元文書ID181に「0002」が記入されており、共通部品文書ID183に「0001」が記入されており、共通部品フレームID184に「0009」が記入されている。それらは、参照元文書ID181が「0002」である約款βの参照元フレームID182が「0005」である部分データが、共通部品文書ID183が「0001」である約款αの共通部品フレームID184が「0009」である部分データを共通部品として用いて作成されていることを示している。
(フェーズF42)
フェーズF2及びフェーズF3を説明したように、約款は更新される。用いられる共通部品を含む約款においてその共通部品が更新されると、共通部品テーブル生成部11は、共通部品の最新バージョン185の値を「1」増加する。そのため、約款αに含まれる共通部品が約款βの作成に用いられ、その後に約款αにおいて共通部品が更新されると、約款βの更新前における共通部品の参照バージョンは、最新バージョンと異なる。
共通部品の最新バージョンが参照バージョンと異なると、警告部10は、共通部品テーブルに基づいて、共通部品を用いた約款を更新すべきであることを示す警告を、表示装置に表示させる。すなわち、警告部10は、共通部品テーブルに基づいて、参照元文書ID181に記録されている識別情報により特定される約款を更新すべきであることを示す警告を、表示装置に表示させる。
例えば、共通部品を用いた約款が約款βであり、用いられる共通部品を含む約款が約款αであって、約款αの共通部品が更新されて、最新バージョン185が参照バージョン186と異なると、警告部10は、共通部品テーブルに基づいて、約款βを更新すべきであることを示す警告を、表示装置に表示させる。これにより、作業者が共通部品を用いた約款(約款β)を更新することを失念する事態を防止することができる。約款の更新は、フェーズF2又はフェーズF3を説明したようにして行われる。
なお、作業者は、共通部品を用いた約款の部分データを更新させる指示を、入力装置を用いて約款作成支援装置100に入力してもよい。その場合、受付部1がその指示を受け付け、管理部4は、共通部品を用いた約款を更新する。例えば、作業者は、約款βの共通部品を用いた部分データを更新させる指示を約款作成支援装置100に入力すると、受付部1がその指示を受け付け、管理部4が、約款βの約款データテーブルの共通部品を用いた約款の部分データを検索して更新する。このようにして、共通部品を用いた約款は更新される。
また、上述したフェーズF4は、用いられる共通部品が約款αに含まれる場合を説明した。しかしながら、多数の共通部品を含む共通部品文書が、フェーズF1を説明したようにして作成され、約款α、約款β、及び約款γを作成する際に、共通部品文書から共通部品が抽出されて各約款において用いられてもよい。この場合、上述したフェーズF4における約款αが共通部品文書に相当し、上述したフェーズF4における約款βが、約款α、約款β、及び約款γに相当する。
また、用いられる共通部品を含む約款の全ての部分データが共通部品として用いられなくてもよい。つまり、共通部品テーブル生成部11は、作業者の指示にしたがって、共通部品として用いられる部分データを予め選抜しておき、図19に示すような共通部品選抜テーブルを生成しておいてもよい。図19は、共通部品選抜テーブルの一例を示す図である。
[複数の約款をまとめてしおり約款を作成する処理(フェーズF5)]
次に、複数の約款をまとめてしおり約款を作成する処理(フェーズF5)を説明する。
フェーズF3を説明したように、保険会社は、生命保険等の一つの商品を販売する際、関連する複数の約款を契約者に提供する場合が多い。その場合、保険会社は、関連する複数の約款をまとめてしおり約款を作成しなければならない。
そこで、作業者は、しおり約款を作成するために、しおり約款を作成させる指示を約款作成支援装置100に入力する。約款作成支援装置100では、受付部1がその指示を受け付け、管理部4は、複数の約款それぞれの約款データテーブルに基づいて、複数の約款を順番につないでしおり約款を作成する。
例えば、作業者は、約款αと、約款βと、約款γとをまとめてしおり約款させる指示を約款作成支援装置100に入力する。そうすると、管理部4は、図20に示すように、約款α、約款β、及び約款γそれぞれの約款データテーブルに基づいて、先頭に約款αを配置し、次に約款βを配置し、最後に約款γを配置して、しおり約款を作成する。図20は、しおり約款の作成を説明するための第1の図である。
なお、管理部4は、予め決められた特定の漢字に、ルビを付加してしおり約款を作成する。
ところで、各約款には最後に別表が配置されている場合がある。別表とは、各約款の別表以外の部分(以下、「約款の本体」と記載する。)に記載されている特定の用語等を、具体例を例示列挙すること等により説明する、約款の一部分である。各約款に別表が配置されている場合、管理部4は、約款の本体を順番につなぎ、その後に別表を順番に配置してしおり約款を作成する。
例えば、図21(A)に示すように、約款αが本体α1と別表α2とで構成されており、約款βが本体β1と別表β2とで構成されており、約款γが本体γ1と別表γ2とで構成されている場合を想定する。この場合、管理部4は、図21(B)に示すように、約款αの本体α1、約款βの本体β1、約款γの本体γ1、約款αの別表α2、約款βの別表β2、約款γの別表γ2を、順番に配置してしおり約款を作成する。図21は、しおり約款の作成を説明するための第2の図である。
なお、約款αの別表α2と約款γの別表γ2とが同一である場合がある。その場合、例えば、管理部4は、共通部品テーブルの共通部品フレームIDを検査することにより、約款αの別表α2と約款γの別表γ2とが同一であることを検出する。図22は、約款αの別表α2と約款γの別表γ2とが同一であることを示す共通部品テーブルの一例を示す図である。
図22では、参照元文書IDが「0002」である約款は約款βであり、参照元文書IDが「0003」である約款は約款γであり、共通部品文書IDが「0001」である約款は約款αである。また、参照元文書IDが「0003」である約款γの参照元フレームIDが「1000」である部分データは、約款γの別表γ2である。更に、共通部品文書IDが「0001」である約款αの共通部品フレームIDが「1000」である部分データは、約款αの別表α2である。これより、約款γの別表γ2は、約款αの別表α2と同一であることがわかる。
管理部4は、約款αの別表α2と約款γの別表γ2とが同一であることを検出すると、約款αの別表α2のみをしおり約款に含める。つまり、管理部4は、約款γの別表γ2をしおり約款に含めない。更に言うと、管理部4は、同じ別表が重複して含まれないようにしおり約款を作成する。
その際、約款γの本体γ1の何れかの部分データが約款γの別表γ2を参照していると、約款γの別表γ2はしおり約款に含まれなくなるので、管理部4は、約款γの別表γ2を参照している、約款γの本体γ1の部分データが、約款αの別表α2を参照するように、約款γの本体γ1のその部分データの参照先を変更する。
また、上述した実施の形態では、1個の約款作成支援装置100のみが記憶装置200に記憶されている約款を更新する場合を説明した。しかしながら、複数個の約款作成支援装置100が記憶装置200に記憶されている約款を同じ時刻に更新してもよい。その場合、複数個の約款作成支援装置100が同一の約款又は関連する約款を更新してもよい。そのとき、記憶装置200は、同一の約款又は関連する約款が独立して更新されるように制御する。そして、記憶装置200は、ある約款作成支援装置100による約款の更新が終了すると、その更新が動作中の別の約款作成支援装置100が処理している約款に反映されるように制御する。
上述したように、本実施の形態の約款作成支援装置100は、約款の作成時に、その約款を構成する条文等の部分データと、それに対応するフレームIDとを関連付けた約款データテーブルを作成する。約款データテーブルを用いることにより、その約款を更新する作業者及び新旧対比表を作成する作業者の労力は軽減する。また、その約款と異なる約款を更新する作業者の労力も軽減する。
なお、本実施の形態の約款作成支援装置100の各構成部の機能は、例えばコンピュータのCPU(プロセッサ)及びメモリ等のハードウェアと、その機能を実現するためのコンピュータプログラムとが協働することによって実現される。しかしながら、上記各機能は、専用の回路により実現される等、どのような形態により実現されてもよい。また、約款作成支援装置100の各構成部の機能を実現するためのコンピュータプログラムは、記録媒体に格納されてもよい。