JP5705345B1 - 高鏡面プラスチック金型用鋼 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭化物密集帯に関連した材料目の大きさを規制することにより、鏡面性を向上させた高鏡面プラスチック金型用鋼を提供する。【解決手段】C:0.20乃至0.50質量%、Cr:10.50乃至20.00質量%を含有する鋼材であり、前記鋼材中に存在する炭化物密集帯であって、この密集帯を構成する炭化物の粒径が円相当径で5μm以上、炭化物間距離が30μm以下であり、この炭化物密集帯の面積が1000μm2以上であるものを材料目としたときに、この材料目の最大長さが1000μm以下、かつ材料目の面積率が2.0%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、高鏡面のプラスチック製品を成形するための高鏡面の金型用鋼に関する。
近年の電子機器又は生活用品の容器及びレンズ等に使用されるプラスチック製品は、表面が鏡面であることと、強度が高いこと等が要求される。そのため、このような高鏡面プラスチック製品を成形するための金型には、金型表面の鏡面性が高いこと、耐摩耗性が優れていること、及び耐食性が優れていること等が求められる。このような特徴を持つ金属材料として、SUS420系鋼等のマルテンサイトステンレス鋼が使用されている。
特に、高い鏡面性を得るためには、鏡面磨き時の表面粗さの凹凸及びうねりが極めて小さいこと、並びにピンホール等の欠陥が極めて少ないことが必要である。例えば、特許文献1には、粗大な晶出炭窒化物を低減することを目的として、C:0.80質量%以下、Si:0.01質量%以上1.40質量%未満、Mn:0.05質量%以上2.0質量%以下、Ni:0.005質量%以上1.00質量%以下、Cr:13.0質量%以上20.0質量%以下、Mo+1/2W:0.20質量%以上4.0質量%以下、V:0.01質量%以上1.00質量%以下、N:0.36質量%以上0.80質量%以下、O:0.02質量%以下、及びAl:0.80質量%以下を含み、残部が実質的にFe及び不可避的不純物からなるプラスチック成形金型用鋼が開示されている。また、特許文献2には、非金属介在物を低減することを目的として、重量比でC:0.30乃至0.80%、Si;1%以下、Mn:1%以下、Ni:1%以下、Mo:1%以下、Cr:6.0乃至15.0%、Cu:1%以下、V:0.50%以下を含み,かつ含有する非金属介在物の上限を面積百分率で、0.015%とし、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、HRC45以上の硬さで、0.010μmRmax以下の加工粗さで使用されるプラスチック射出成形用金型材料が開示されている。
特開2007−9321号公報 特許第2580186号公報
しかしながら、特許文献1に記載の金型用鋼は、粒径が4.0μm以下の炭窒化物の総数が90%以上になることを目的とするものであり、鏡面性を向上するために、炭窒化物の粒径を規制しているが、金型を鏡面研磨したときの表面のうねり及び凹凸が発生することを防止できない。また、Nを添加するため、VAR(真空アーク再溶解)などの二次溶解ができず、そのため脱酸処理ができないことから、酸化物系介在物が多くなり、ピンホール等の欠陥が発生しやすく、この点でも、高鏡面性が得られないという問題点があった。
また、特許文献2に記載の金型用鋼は、電気炉溶解+ESR(エレクトロスラグ再溶解)+VARのトリプル溶製を行っているため、歩留が悪く、コストが高くなるという問題点がある。また、鏡面性向上のために、非金属介在物の上限値を規制しているが、金型を鏡面研磨したときの表面のうねり及び凹凸が発生することを防止できないため、高鏡面性を得ることができないという問題点がある。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、炭化物密集帯に関連した材料目の大きさを規制することにより、鏡面性を向上させた高鏡面プラスチック金型用鋼を提供することを目的とする。
本発明に係る高鏡面プラスチック金型用鋼は、
C:0.20乃至0.50質量%、Cr:10.50乃至20.00質量%、Si:0.30乃至1.30質量%、Mn:0.30乃至1.50質量%、Mo:0.03乃至0.50質量%、V:0.03乃至0.50質量%、Al:0.035質量%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有する鋼材であり、前記鋼材中に存在する炭化物密集帯であって、この密集帯を構成する炭化物の粒径が円相当径で5μm以上、炭化物間距離が30μm以下であり、この炭化物密集帯の面積が1000μm以上であるものを材料目としたときに、この材料目の最大長さが1000μm以下、かつ材料目の面積率が2.0%以下であることを特徴とする。
この高鏡面プラスチック金型用鋼において、例えば、
前記鋼材は、更に、S:0.009質量%以下、O:30ppm以下を含有し、前記鋼材中に存在する非金属介在物は、円相当径で粒径が25μm以上のものの数が5個/200mm以下であり、かつ円相当径で粒径が10乃至24μmのものの数が25個/200mm以下であることを特徴とする。
本発明によれば、鏡面研磨時の表面粗さの凹凸及びうねりが小さくなり、ピンホールの発生が抑えられて、鏡面性が向上する。また、本発明によれば、高耐食性及び高耐摩耗性の金型用鋼を、低コストで得ることができる。
材料目を示す顕微鏡組織写真であり、(a)は材料目及び材料目の長さを示し、(b)は炭化物間距離を示す。
本発明者等は、金型用鋼の鏡面性を向上するためには、鋼材の表面粗さの凹凸及びうねりを小さくすることが必要であることを見出した。具体的には、炭化物密集帯に着目し、先ず、材料目を、鋼材中に存在する炭化物密集帯であって、この密集帯を構成する炭化物の粒径が円相当径で5μm以上、炭化物間距離が30μm以下であり、この炭化物密集帯の面積が1000μm以上であるものと定義する。つまり、比較的大きな炭化物が比較的短い間隔で存在する炭化物密集帯であって、この密集帯の面積が比較的大きいものを、本発明で着目する材料目として定義する。
そして、本発明は、この材料目の最大長さと面積率を、夫々、1000μm以下、2.0%以下に規制する。本発明者等は、このように、材料目の最大長さを1000μm以下、材料目の面積率を2.0%以下とすることにより、鋼材の表面粗さの凹凸及びうねりが小さくなり、鏡面性が著しく向上することを見出した。本発明においては、粒径が円相当径で5μm未満の炭化物は、材料目としては考慮にいれない。炭化物粒径が5μm未満では、炭化物間距離が30μm以下であっても、プラスチック製品を製造する際に、プラスチックの表面には凹凸が転写されないからである。しかし、炭化物粒径が5μm以上になると、プラスチックの表面には凹凸が転写されることから、粒径が5μm以上の炭化物に着目した。また、炭化物間距離が30μmを超えて、炭化物が大きく離れている場合は、個々の炭化物が点在した状態となり、プラスチックの表面への凹凸の転写が起こりにくい。よって、炭化物間距離が30μm以下で、炭化物が密集している状態に、着目した。更に、炭化物間距離が30μm以下であっても、炭化物密集帯の面積が1000μm未満の場合は、プラスチック製品を製造する際に、プラスチックの表面に炭化物の凹凸が転写されても、目視では認識されない。しかし、炭化物密集帯の面積が1000μm以上であると、目視により、プラスチック表面の炭化物の凹凸が認識可能な大きさとなる。そこで、面積が1000μm以上の炭化物密集帯に着目した。
なお、この材料目は、熱間鍛造及び熱間圧延における加熱温度条件及び加工後の冷却条件等の加工条件を制御することにより、規制できる。
また、鋼材中に存在する非金属介在物は、円相当径で粒径が25μm以上のものの数が5個/200mm以下であり、かつ円相当径で粒径が10μm以上のものの数が25個/200mm以下である場合に、鏡面磨き時のピンホールの数をより一層低減できる。
また、低コストで非金属介在物が低い金型用鋼を提供するためには、その組成及び溶解方法を見直すことが好ましい。
このため、本発明の高鏡面プラスチック金型用鋼は、C:0.20乃至0.50質量%Cr:10.50乃至20.00質量%、Si:0.30乃至1.30質量%、Mn:0.30乃至1.50質量%、Mo:0.03乃至0.50質量%、V:0.03乃至0.50質量%、Al:0.035質量%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有する。
次に、本発明の材料目の数値限定理由、組成限定理由及び成分添加理由並びに非金属介在物の大きさの限定理由について、説明する。
「材料目:最大長さが1000μm以下、面積率が2.0%以下」
本発明のプラスチック金型用鋼は、鋼材中に存在する材料目の最大長さが1000μm以下である。金型の材料目は、プラスチック製品を製造する際にプラスチック表面に凹凸として転写され、最大長さが1000μmを超えると目視で確認できるレベルとなり、鏡面性が不十分となって、外観が損なわれる。また、本発明のプラスチック金型用鋼は、鋼材中に存在する材料目の面積率が2.0%以下である。金型の材料目の面積率が大きいと、プラスチック製品を製造する際に、金型のうねりがプラスチック製品に転写されて、プラスチック製品にうねりが発生する。金型の材料目の面積率が2.0%を超えると、うねりが目視で確認できるレベルとなり、金型の鏡面性が不十分となって、外観が損なわれる。金型の鏡面性が不十分となると、成形されるプラスチック製品の鏡面性も不十分となる。
「C:0.20乃至0.50質量%」
Cは、金型の硬さ、強度及び耐磨耗性を得るのに、必要な元素である。C含有量が0.20質量%より少ないと、金型の硬さが低くなり、耐摩耗性が低下する。また、C含有量が0.50質量%より多いと、材料目が多く発生し、うねりが大きくなる。このため、Cの含有量は、0.20乃至0.50質量%とする。
「Cr:10.50乃至20.00質量%」
Crは、耐食性を向上させるので、金型用鋼として、最も重要な含有元素である。Crの含有量が10.50質量%より少ないと、耐食性が低下する。また、Crの含有量が20.00質量%より多いと、耐食性に対するコスト割合が高くなり、無駄である。このため、Crの含有量は、10.50乃至20.00質量%とする。
「Si:0.30乃至1.30質量%」
Siは、後述のAlと同様に脱酸剤としての作用を有する。また、Siは、電気炉溶解時の精錬反応における脱硫活性化の機能がある。Siの含有量が0.30質量%より少ないと、脱酸及び脱硫効果が小さくなる。また、Si含有量が1.30質量%より多いと、熱間加工性及び靭性が低下する。このため、Siの含有量は、0.30乃至1.30質量%とする。
「Mn:0.30乃至1.50質量%」
Mnは、焼入れ性を向上させるのに最も重要な元素である。Mnの含有量が0.30質量%より少ないと、焼入れ性が低下する。また、Mnの含有量が1.50質量%より多いと、熱間加工性が低下する。このため、Mnの含有量は、0.30乃至1.50質量%とする。
「Mo:0.03乃至0.50質量%、好ましくは0.05質量%以上
Moは、金型の耐食性を向上させるのに必要な元素である。Moの含有量が0.05質量%より少ないと、耐食性が低下する。Moの含有量が0.50質量%より多いと、熱処理変寸が大きくなると共に、コスト高となる。このため、Moの含有量は、0.03乃至0.50質量%、好ましくは0.05質量%以上とする。
「V:0.03乃至0.50質量%、好ましくは0.05質量%以上
Vは、炭化物を形成し、焼入れ時の結晶粒粗大化防止に必要な元素である。Vの含有量が0.05質量%より少ないと、結晶粒が粗大化される。Vの含有量が0.50質量%より多いと、粗大な炭化物を形成し、被削性及び鏡面加工性を低下させる。このため、Vの含有量は、0.03乃至0.50質量%、好ましくは0.05質量%以上とする。
「Al:0.035質量%以下」
Alは、脱酸材として最も重要な元素である。Alは、Oと結合し、Alを形成するが、Al含有量が過度に多く、Al非金属介在物として残留すると、鏡面研磨の際、ピンホールの原因となる。このため、Alの含有量は、0.035質量%以下とする。
「S:0.009質量%以下」
Sは、溶鋼中に不可避的に含まれる元素であり、不純物である。Sは、Mnと結合することにより、MnSを形成し、S含有量が多く、MnS非金属介在物として残留すると、鏡面研磨の際、ピンホールの原因となる。このため、Sの含有量は、好ましくは0.009質量%以下とする。
「O:25ppm以下」
Oは、溶鋼中に不可避的に含まれる元素であり、不純物である。Oは、Alと結合し、Alを形成するが、Al非金属介在物として残留すると、ピンホールの原因となる。このため、Oの含有量は、好ましくは25ppm以下とする。
「鋼材中に存在する非金属介在物:円相当径で粒径が25μm以上のものの数が5個/200mm以下、円相当径で粒径が10乃至24μmのものの数が25個/200mm以下」
非金属介在物の数が多いと、粗大なピンホールの発生率が高くなる。具体的には、非金属介在物は、粒径が円相当径で25μm以上では、介在物自身の脱落等によるピンホールが発生しやすく、また、粒径が円相当径で10乃至24μmでは、研磨時に非金属介在物を起点とした傷がピンホールとして発生することがある。このため、非金属介在物の数は、円相当径で粒径が25μm以上のものの数が5個/200mm以下、円相当径で粒径が10乃至24μmのものの数が25個/200mm以下とする。より好ましくは、円相当径で、粒径が25μm以上のものの数が3個/200mm以下、円相当径で粒径が10乃至24μmのものの数が20個/200mm以下とする。なお、非金属介在物の個数は、試験片を、無腐食で、光学顕微鏡により観察することにより、求めることができる。即ち、観察面の検鏡面積200mmを100倍に拡大して観察し、粒径が25μm以上の大きな非金属介在物、及び粒径が10乃至24μmの小さな非金属介在物の数を、画像解析により測定することによって、各粒径範囲に属する非金属介在物の数を求めることができる。
次に、本発明のプラスチック金型用鋼の製造方法の一例について説明する。上述の組成を有するプラスチック金型用鋼は、電気炉等で媒溶剤などを使用しながら、溶解し、インゴットを作成する。更に好ましくは、インゴットの表面手入れをした後に、更に、二次溶解し、インゴットを作成することにより、低コストで非金属介在物の生成を抑制することができる。熱間鍛造又は熱間圧延時は、例えば、材料を1000乃至1200℃まで加熱し、熱間加工した後、材料目などの炭化物析出温度域である400乃至1000℃における冷却速度を5乃至10℃/分、マルテンサイト変態温度域である100℃乃至400℃における冷却速度を200℃/h以下とすることで、材料目の発生を抑制すると共に、適正なマルテンサイト組織に制御する。
以下、本発明の実施例の効果について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して、具体的に説明する。下記表1に示す組成の実施例及び比較例の材料を、電気炉又は誘導溶解炉にて溶解し、2tのインゴットを作成した。
Figure 0005705345
実施例1乃至10及び比較例1乃至4は、その後、VAR(真空アーク溶解)又はESR(エレクトロスラグ再溶解)により溶解し、インゴットを作成した。また、比較例5は、IF(誘導溶解炉)にて溶解した後、更にESR及びVARを行い、インゴットを作成した。なお、VARの場合、真空度は30mTorr以下である。ESRにおいては、塩基度が1.0〜2.0のスラグを使用した。実施例及び比較例のインゴットを、1000乃至1200℃に加熱した後、200mm×200mmの平角に鍛造し、400乃至1000℃の冷却速度を3乃至10℃/min、100℃乃至400℃の冷却速度を200℃/h以下で冷却し、焼なましを行った。この製造条件(溶解方法)を、下記表2に示す。
次いで、この材料から、顕微鏡組織観察用試験片、粗さ試験片、塩水噴霧試験片、及び光沢度試験片を採取した。各試験片の採取後、焼入れ処理(1000℃乃至1100℃)、高温焼戻し処理(450℃乃至550℃)を実施し、硬さを48乃至54HRCに調質した。顕微鏡組織観察用試験片は厚さ15mm×幅20mm×長さ30mmの大きさに採取し、20mm×30mmの観察面を、#80乃至#1500までの研磨紙で磨き、仕上げは3μmのダイヤモンド砥粒を用いて、約60秒間磨いた。この試験片を、ピクラールで腐食し、光学顕微鏡にて観察面の検鏡面積200mmを100倍にて観察し、撮影した。撮影した写真にて画像解析を行い、図1に示すように、材料目の最大長さ、及び面積率を測定した。その結果を下記表2に合わせて示す。
非金属介在物の個数は、顕微鏡組織観察用試験片を、無腐食で、光学顕微鏡により、観察面の検鏡面積200mmを100倍に拡大して観察することにより、求めた。粒径が25μm以上の大きな非金属介在物、及び粒径が10乃至24μmの小さな非金属介在物の数を、画像解析にて測定した。その結果を下記表2に合わせて示す。
Figure 0005705345
また、粗さ試験片は厚さ15mm×幅35mm×長さ40mmの部分を採取し、35mm×40mmの測定面を#80乃至#1500までペーパーにて磨き、仕上げは3μmのダイヤ砥粒を用いて約60秒磨いた。そして、JIS B0633に準拠して粗さを測定した。また、測定数はn=5である。材料目による表面の凹凸はRaで評価し、0.02μm以下を合格(○)とした。また、表面のうねりはPtで評価し、0.30μm以下を合格(○)とした。それ以外を不合格(×)とした。その結果を、下記表3に示す。
塩水噴霧試験は、直径18mm×長さ15mmの円柱状試験片を採取し、JIS Z2371に準拠して、発錆状態を評価した。4時間後の腐食面積率が30%以下、且つ8時間後の腐食面積率が50%以下の場合を合格(◎)、4時間後の腐食面積率が31%以上50%未満、且つ8時間後の腐食面積率が50%以下の場合を合格(○)とした。それ以外を不合格(×)とした。その結果を、下記表3に合わせて示す。
ピンホールは、顕微鏡組織観察用試験片を、無腐食で、マイクロスコープにより、観察面の検鏡面積200mmを100倍に拡大して観察した。ピンホールの大きさ及び発生数を画像解析にて測定した。円相当径で10乃至24μmのピンホール発生数が20個以下、かつ円相当径で25μm以上のピンホール発生数が1個以下を合格(◎)、円相当径で10乃至24μmのピンホール発生数が20個以下、かつ円相当径で25μm以上のピンホール発生数が2乃至4を合格(○)とした。それ以外を不合格(×)とした。その結果を、下記表3に合わせて示す。
更に、鏡面性は、光沢度にて評価した。その結果を下記表3に合わせて示す。厚さ15mm×幅35mm×長さ40mmの試験片を採取し、35mm×40mmの測定面を#80〜#1500の研磨紙で研磨し、仕上は3μmのダイヤモンド砥粒を使用して、約180秒間研磨した。光沢度は、その試験片の測定面を、紫外可視近赤外分光光度計にて計測し、反射受光した光の割合を測定した。測定範囲は可視光とし、可視光の波長が400乃至700nmの範囲で平均値が50%以上の光沢度の場合を合格(◎)、光沢度が49乃至45%を(○)、光沢度が44%以下を(×)と評価した。
Figure 0005705345
表3に示すように、比較例1と、比較例3乃至5は、材料目の最大長さが1000μm以上であるので、表面の凹凸Raが0.02μmを超え、不合格(×)であると共に、光沢度も不合格(×)であった。
比較例1乃至3と、比較例5は、材料目の面積率が2.0%以上であるので、表面のうねりPtが0.30μmを超えて不合格(×)であり、光沢度も不合格(×)であった。
実施例1乃至6及び実施例8は、請求項1及び2を満たし、粗さ及びピンホール発生数が合格範囲内であり、光沢度が50%以上と合格(◎)であった。
実施例7は、請求項1及び2を満たすものの、請求項2に規定された粒径が25μm以上の非金属介在物の数が、上限値(5個)近傍であるため、粗さは合格(○)であるものの、ピンホール発生数が合格範囲内(○)、光沢度が45乃至49%で合格範囲(○)というように、これらの評価は、実施例1乃至6及び8の(◎)よりも低かった。実施例9及び実施例10は請求項1を満たしているが、請求項2からは外れるため、粗さは合格(○)であるものの、ピンホール発生数が合格範囲内(○)、光沢度が45乃至49%で合格範囲(○)というように、これらの評価は、実施例1乃至6及び実施例8の(◎)よりも低かった。
即ち、請求項1を満足する実施例は、表面の凹凸Ra及びうねりPtは合格であり、鏡面性が高く、更に、請求項を満足する実施例は、光沢度、ピンホール発生数、塩水噴霧試験結果も優れたものであった。
よって、本発明の高鏡面プラスチック金型用鋼は、鏡面性が要求されるプラスチック金型用鋼として好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. C:0.20乃至0.50質量%、Cr:10.50乃至20.00質量%、Si:0.30乃至1.30質量%、Mn:0.30乃至1.50質量%、Mo:0.03乃至0.50質量%、V:0.03乃至0.50質量%、Al:0.035質量%以下を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有する鋼材であり、前記鋼材中に存在する炭化物密集帯であって、この密集帯を構成する炭化物の粒径が円相当径で5μm以上、炭化物間距離が30μm以下であり、この炭化物密集帯の面積が1000μm以上であるものを材料目としたときに、この材料目の最大長さが1000μm以下、かつ材料目の面積率が2.0%以下であることを特徴とする高鏡面プラスチック金型用鋼。
  2. 前記鋼材は、更に、S:0.009質量%以下、O:25ppm以下を含有し、前記鋼材中に存在する非金属介在物は、円相当径で粒径が25μm以上のものの数が5個/200mm以下であり、かつ円相当径で粒径が10乃至24μmのものの数が25個/200mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の高鏡面プラスチック金型用鋼。
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