JP5704091B2 - 可変圧縮比内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は可変圧縮比内燃機関に係り、特に、シリンダブロックとクランクケースが互いに相対移動可能な可変圧縮比内燃機関に関する。
近年、内燃機関の燃費性能や出力性能などを向上させることを目的として、内燃機関の圧縮比を可変にする技術が提案されている。この種の技術としては、シリンダブロックとクランクケースを相対的に上下方向ないしシリンダ軸方向に近接離反移動可能に連結する圧縮比可変機構を設け、圧縮比可変機構を作動させあるいは制御することで、圧縮比を変更する技術が提案されている。
また、クランクケース内の気密性の保持、或いはシリンダブロックとクランクケースとの嵌合部からの流体漏洩防止を図るために、クランクケースとシリンダブロックとの隙間を覆うシール部材を設けることが提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開2011−117366号公報
シール部材は概して、内燃機関の全周にわたって延びる環状とされ、シリンダブロックとクランクケースとの間に架設され、これらの隙間を覆う。シール部材の一方の開口端縁部がクランクケースに固定され、シール部材の他方の開口端縁部がシリンダヘッドに固定される。クランクケースとシール部材の固定部において、シール部材の一方の開口端縁部にはこれに沿って延びる突条部が設けられる。突条部は、クランクケースに設けられた溝に嵌入される。この嵌入状態で、シール部材の一方の開口端縁部が、リテーナとクランクケースの間に挟持され固定される。
この構造によると、突条部よりもクランクケース内部側に位置する溝の部分がクランクケース内に直接開放された状態となる。そして当該部分に、クランクケース内のブローバイガスやオイルミストが浸入し、ブローバイガスに起因する凝縮水や、オイルミストに起因するオイルが浸入および堆積する。これら凝縮水およびオイルが、シール部材をやがて劣化させ、シール部材を破損に至らせる可能性がある。
そこで本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シール部材の劣化や破損等を未然に防止し得る可変圧縮比内燃機関を提供することにある。
本発明の一態様によれば、
シリンダブロックとクランクケースがシリンダ軸方向に相対移動可能な可変圧縮比内燃機関であって、
前記内燃機関の全周にわたって前記シリンダブロックと前記クランクケースとの隙間を覆うべく、前記シリンダブロックと前記クランクケースとの間に架設された環状のシール部材を設け、前記シール部材の一方の端縁部に凸部を設け、前記クランクケースに前記凸部が嵌入される溝を設け、前記クランクケース内のブローバイガスおよびオイルミストが前記溝に浸入するのを抑制するためのガード壁を、前記シール部材または前記クランクケースに設けたことを特徴とする可変圧縮比内燃機関が提供される。
好ましくは、前記ガード壁が、前記シール部材に設けられる。
好ましくは、前記ガード壁が、前記溝に対し前記クランクケースの内部側に位置する前記クランクケースの内側面部を覆う。
好ましくは、前記ガード壁が、前記シール部材の内面から垂れ下がった垂れ壁をなす。
好ましくは、前記ガード壁が、前記クランクケースの内側面部に向かって突出する一以上の突起部を有する。
好ましくは、前記ガード壁が、前記クランクケースの内側面部に接触する。
代替的に、前記ガード壁が、前記クランクケースに設けられてもよい。この場合、前記ガード壁が、前記シール部材に接触するのが好ましい。
好ましくは、前記ガード壁が、前記環状のシール部材の全周に沿って設けられる。
好ましくは、前記凸部を前記溝に嵌入した状態で、前記シール部材の一方の端縁部を前記クランクケースとの間に挟持するリテーナが設けられる。
本発明によれば、シール部材の劣化や破損等を未然に防止することができるという、優れた作用効果が発揮される。
本発明の実施形態に係る内燃機関の概略構成を示す図である。 内燃機関の取付構造を概略的に示す分解斜視図である。 シール部材の取付部分の詳細を示す断面図である。 本実施形態の第1変形例の断面図である。 本実施形態の第2変形例の断面図である。 本実施形態の第3変形例の断面図である。 比較例の断面図である。 本実施形態の第4変形例の断面図である。
以下、図面を参照して本発明の好適実施形態を説明する。
図1には、本実施形態に係る可変圧縮比多気筒内燃機関の概略構成を示す。内燃機関(エンジン)1は、シリンダ2が形成されたシリンダブロック3を、クランクシャフト20が組み付けられるクランクケース4に対して、シリンダ軸方向に相対移動させることによって圧縮比を変更するものである。クランクケース4およびシリンダブロック3は、圧縮比可変機構21により、上下方向ないしシリンダ軸方向に近接離反移動可能に連結される。なお本実施形態の内燃機関1はガソリンエンジン(火花点火式内燃機関)であるが、本発明はディーゼルエンジン(圧縮着火式内燃機関)にも適用可能である。
図示省略するが、圧縮比可変機構21は、例えば、電動モータ等のアクチュエータにより偏心カムを回転させることでシリンダブロック3をクランクケース4に対しシリンダ軸方向へ変位させる機構からなる。
圧縮比可変機構21によれば、シリンダ軸方向においてシリンダブロック3をクランクケース4から遠ざける(シリンダブロック3を上方ないし上死点側へ変位させる)ことにより、燃焼室容積を拡大し、内燃機関1の圧縮比を低下させることができる。
また、シリンダ軸方向においてシリンダブロック3をクランクケース4に近づける(シリンダブロック3を下方ないし下死点側へ変位させる)ことにより、燃焼室容積を縮小し、内燃機関1の圧縮比を高めることができる。
本実施形態においては、内燃機関1が車両に搭載され、クランクケース4がエンジンマウントを介して車両に固定されている。よって固定されたクランクケース4に対しシリンダブロック3が昇降することとなる。但しマウント方法を逆にし、シリンダブロック3を車両に固定してもよい。なお内燃機関1は車両に搭載したものでなくてもよい。
内燃機関1は、シリンダ2内に昇降可能に配置されたピストン24と、シリンダブロック3の上部に取り付けられたシリンダヘッド25と、シリンダヘッド25の上部に取り付けられてこれを上方から覆うヘッドカバー26と、クランクケース4の底部に取り付けられてこれを下方から覆うオイルパン27とを備える。ピストン24はコンロッド19を介してクランクシャフト20に連結される。
ヘッドカバー26およびシリンダヘッド25の内部には動弁室28が画成される。動弁室28には、吸気ポートPi及び排気ポートPeをそれぞれ開閉する吸気弁Vi及び排気弁Veと、吸気弁Vi及び排気弁Veをそれぞれ閉弁方向に付勢するバルブスプリングと、吸気弁Vi及び排気弁Veをそれぞれ開弁方向に駆動する吸気カムシャフトCi及び排気カムシャフトCeとが設けられる。動弁室28には図示しないオイル供給口から動弁系潤滑のためのオイルが供給されている。シリンダヘッド25には燃料を噴射するためのインジェクタ29と、混合気を点火するための点火プラグ30とが取り付けられている。
ピストン24の上方には燃焼室31が画成され、ピストン24の下方にはクランク室32が画成される。クランク室32にはクランクシャフト20が設けられると共に、その底部にはオイル(図示せず)が貯留される。
吸気ポートPiには気筒毎の吸気マニホールド33を介してサージタンク34が接続され、サージタンク34から各気筒の吸気ポートPiに吸気マニホールド33を介して吸気を分配するようになっている。サージタンク34の上流側には吸気管35が接続され、吸気管35には電子制御式スロットルバルブ36とエアフィルタ37が設けられている。これら吸気ポートPi、吸気マニホールド33、サージタンク34および吸気管35により吸気通路が画成される。
各気筒の排気ポートPeには排気マニホールド38を介して排気管(図示せず)が接続され、これら排気ポートPe、排気マニホールド38および排気管により排気通路が画成される。
図示されるように、シリンダブロック3の下部側は、クランクケース4の上部側の内側にシリンダ軸方向に移動可能且つ摺動可能に嵌め入れられている。シリンダブロック3の内部にはシリンダ2を取り囲むようウォータジャケットWが画成されている。
内燃機関1の全周にわたってシリンダブロック3とクランクケース4との隙間を覆うべく、シリンダブロック3とクランクケース4との間に架設された環状のシール部材(あるいはシールブーツ)40が設けられている。シール部材40は、図示するように概ね内燃機関1の高さ方向に延び、シリンダブロック3とクランクケース4の嵌合部における隙間を外側から覆ってシールする。
シール部材40は、その断面が図示の如き蛇腹状に形成され、変形可能な弾性体からなる。シール部材40は内側に突出する単一の山部を有する。シール部材40の一方の端縁部である下端縁部はクランクケース4に固定され、シール部材40の他方の端縁部である上端縁部はシリンダブロック3とシリンダヘッド25との間に挟まれて固定される。
シリンダブロック3が下降してクランクケース4に近づくとき、シール部材40は収縮方向に変形する。シリンダブロック3が上昇してクランクケース4から遠ざかるとき、シール部材40は伸長方向に変形する。こうして、シリンダブロック3とクランクケース4との相対位置が変化しても、シール部材40の伸縮動作により嵌合部の気密性を保つことができる。
内燃機関1には、インジェクタ29、点火プラグ30、スロットルバルブ36、圧縮比可変機構21のモータなどの各種機器を電気的に制御するため、制御手段としての電子制御ユニット(ECU)100が併設されている。ECU100は、CPU、ROM、RAM、バックアップRAMなどから構成されるユニットである。
ECU100には、クランクポジションセンサ61、アクセルポジションセンサ52、エアフローメータ53などの各種センサの電気信号が入力される。クランクポジションセンサ61はクランクシャフト20の回転位置に相関したパルス信号を出力する。アクセルポジションセンサ52は、アクセルペダルの操作量(アクセル開度)に相関した信号を出力する。エアフローメータ53は、単位時間当たりの吸入空気量に相関した信号を出力する。
ECU100は、上記した各種センサの電気信号に従って内燃機関1の運転状態(機関運転状態)を検出し、その検出結果に従って上記した各種機器を制御する。たとえば、ECU100は、クランクポジションセンサ61の出力信号から検出される内燃機関の回転数(機関回転数)と、アクセルポジションセンサ52の出力信号から検出される内燃機関の負荷(機関負荷)とに基づいて、圧縮比可変機構21を制御する。
その際、機関回転数および機関負荷が予め定められた低回転・低負荷運転領域にあるときには、ECU100は、内燃機関1の圧縮比が高くなるよう、言い換えればシリンダブロック3がクランクケース4に近づくよう、圧縮比可変機構21を制御する。
また、機関回転数および機関負荷が上記低回転・低負荷運転領域から外れたときには、ECU100は、内燃機関1の圧縮比が低くなるよう、言い換えればシリンダブロック3がクランクケース4から遠ざかるよう、圧縮比可変機構21を制御する。
圧縮比は、上述の如く2段階に切り換えられてもよいが、機関回転数および機関負荷に応じて無段階に切り換えられてもよい。
このように内燃機関1の圧縮比が変更されると、低回転・低負荷運転領域における燃焼効率の向上と、当該領域外の高回転または高負荷運転領域におけるノッキングの抑制とを両立することができる。
図2には、本実施形態におけるシリンダブロック3、クランクケース4およびシール部材40等の取付構造を概略的に示す。図示するように、シリンダブロック3はクランクケース4の内側に摺動昇降可能に嵌合されている。シール部材40は、内燃機関1ないしシリンダブロック3の外側面部の周りを1周するような環状に形成され、その下端縁部41がクランクケース4に固定され、その上端縁部42がシリンダブロック3とシリンダヘッド25との間に挟まれて固定される。図示されるリテーナ43は、シール部材40をクランクケース4に固定する際に使用される。
シリンダブロック3とシリンダヘッド25との間の隙間をシールするヘッドガスケット44が、シリンダブロック3とシリンダヘッド25との間に介設され、このヘッドガスケット44に、シール部材40の上端縁部42が一体的に連結されている。言い換えればシール部材40は、ヘッドガスケット44を一体的に有するものであり、ヘッドガスケット44がシリンダブロック3とシリンダヘッド25との間に挟まれて固定されることにより、シール部材40がシリンダブロック3とシリンダヘッド25との間に挟まれて固定される。
なお、シール部材40はヘッドガスケット44と分離された別部品であってもよく、その上でシール部材40の上端縁部42がシリンダブロック3とシリンダヘッド25との間に挟まれて固定されてもよい。またシール部材40の上端縁部42は、シリンダブロック3とシリンダヘッド25との間に挟まれて固定されていなくてもよく、例えばシリンダブロック3の外側面部にボルト等の固定具により固定されてもよい。上端縁部42の固定方法は任意である。図中、各部品の接続や連結に必要な周知の構成(取付穴等)は略示されている。
図3には、シール部材40の取付部分の詳細を示す。図示するように、シール部材40はその上端縁部42に埋設された補強部材45を有する。補強部材45は、弾性体からなるシール部材本体46に比べ硬質の材料からなり、例えば金属板からなる。補強部材45はシール部材本体46から突出し、その突出部分がヘッドガスケット44に埋設される。これによりシール部材40とヘッドガスケット44が一体的に連結される。
シール部材本体46は、柔軟性と耐圧性を有する材料により形成されている。かかる材料としては、ゴムや、ゴムと樹脂の中間的組成物である熱可塑性エラストラマ(TPEE)を例示することができる。その際、シール部材本体46の内面40Aにフッ素樹脂などの被膜を形成することにより、シール部材本体46の耐薬品性を向上させてもよい。
シール部材40の下端縁部41がクランクケース4に固定される固定部Aについては、シール部材40の下端縁部41に下向きの凸部47が設けられる。そしてクランクケース4の上向きの固定面48には、凸部47が嵌入される溝49が設けられる。凸部47を溝49に嵌入することで、シール部材40の下端縁部41がクランクケース4の固定面48に正確に位置決めされる。そして凸部47を溝49に嵌入した状態で、リテーナ43が、シール部材40の下端縁部41をクランクケース4の固定面48との間に挟持する。リテーナ43は固定具としてのボルト50により固定面48上に固定される。
図2も参照して、凸部47、固定面48、溝49およびリテーナ43は、シリンダブロック3の外側面部62の周りを1周するような連続的な環状に形成される。但し、少なくとも凸部47と溝49は主として位置決め用なので、必ずしも連続的または環状でなくてもよい。不連続的、断続的または部分的であってもよい。固定面48はクランクケース4の上端面を形成する。ボルト50およびボルト50のための取付穴53,54は、シール部材40の下端縁部41に沿った所定間隔で配置される。リテーナ43は、内側に片持ち状に突出する押さえ部分51を有し、当該押さえ部分51がシール部材40の下端縁部41の上面を押し下げ、凸部47を溝49内に押し付ける。リテーナ43のうち、当該押さえ部分51より外側の固定部分52が、固定面48上に着座され、ボルト50と固定面48との間に挟まれて固定される。
シール部材本体46において、上端縁部42と下端縁部41が、一以上(図示例では一つ)の湾曲部あるいは屈曲部を有する変形部60によって連結される。変形部60は、圧縮比変更に伴ってシール部材40が伸縮変形するときの主たる変形部分をなし、上端縁部42および下端縁部41に比べ変形し易い構造となっている。
具体的には、変形部60は下端縁部41よりも薄肉とされ、変形容易となっている。逆に言えば固定部Aをなす下端縁部41は変形部60よりも剛性の高い構造となっている。また、変形部60は上端縁部42よりも薄肉とされ、補強部材45も無いことから、変形容易となっている。逆に言えばシリンダブロック3に対する固定部をなす上端縁部42も変形部60より剛性の高い構造となっている。
なお、シール部材本体46の断面形状は図示例以外も可能であり、例えば二以上の湾曲部あるいは屈曲部を有する蛇腹状とされてもよい。
クランクケース4には、溝49の内側側面を画成する内側側壁55が形成される。この内側側壁55の内側側面は、クランクケース4の内側面部56の一部をなす。
ここで、「内側」とは、クランクケース4の幅方向の断面(クランクシャフト軸に垂直な断面)で見た場合、クランクケース4の幅方向の中心に向かう方向をいい、クランクケース4の長手方向の断面(クランクシャフト軸に平行な断面)で見た場合、クランクケース4の長手方向の中心に向かう方向をいう。
同様に、「外側」とは、クランクケース4の幅方向の断面で見た場合、クランクケース4の幅方向の中心から離れる方向をいい、クランクケース4の長手方向の断面で見た場合、クランクケース4の長手方向の中心から離れる方向をいう。
なお内側側壁55の上端面部にシール部材40が接触される。本実施形態の場合、内側側壁55の真上の位置にリテーナ43がない。
図3は幅方向の断面を示すが、同様の構成が長手方向の断面についてもなされる。
さて、本実施形態のシール部材40においては特に、クランクケース4内あるいはクランク室32内のブローバイガスおよびオイルミストが溝49に浸入するのを抑制するためのガード壁57が設けられている。
ガード壁57は、溝49に対しクランクケース4の内部側ないし内側に位置するクランクケース4の内側面部56を覆うカバー壁をなしている。ガード壁57は、シール部材40あるいはシール部材本体46の内面40Aから垂れ下がった平板状の垂れ壁をなし、本実施形態ではシール部材本体46と一体に形成されているが、別体で形成して固着してもよい。ガード壁57はシール部材本体46と同一の材料で形成するのが好ましい。ガード壁57の形状は変更可能である。
本実施形態のガード壁57は、溝49が環状に形成されているのに対応して、シール部材40の下端縁部41の全周に沿った環状に形成されている。但し、ガード壁57は少なくとも溝49より内側のクランクケース内側面部56を覆っていればよい。従って、溝49が断続的の場合、ガード壁57も断続的であってよく、また複数の溝49のうち一部の溝49に対してのみガード壁57を設けることもできる。
図示例の場合、ガード壁57とクランクケース内側面部56との間に隙間が形成されているが、この隙間は無くてもよく、むしろ無い方が好ましい。すなわち、ガード壁57はクランクケース内側面部56に面接触あるいは密着されているのが好ましい。
本実施形態によれば次のような作用効果が奏される。仮にガード壁57が無いと仮定した場合、凸部47よりもクランクケース内部側ないし内側に位置する溝49の内側部分49Aがクランクケース4内に直接開放された状態となる。そして当該内側部分49Aに、クランクケース4内のブローバイガスおよびオイルミストが浸入し、ブローバイガスに起因する凝縮水や、オイルミストに起因するオイルが浸入および堆積する。浸入および堆積した凝縮水は、エンジン停止時等に乾燥し、酸性物質を生成する。また浸入および堆積したオイルは次第に劣化する。これら酸性物質および劣化オイルが、シール部材40、特に当該部分49Aに隣接するシール部材本体46の凸部47およびその周辺の材質を劣化させ、破損させる可能性がある。しかもそれら浸入堆積物は溝49内の狭い内側部分49Aに溜まっているため、一旦浸入すると排出が非常に困難である。
これに対し、ガード壁57がある本実施形態によれば、ガード壁57により当該内側部分49Aをクランクケース4内に対しより閉鎖された状態にすることができ、言い換えれば、クランクケース4内から当該内側部分49Aに至る通路を狭めることができる。よって当該内側部分49Aへのブローバイガスおよびオイルミストの浸入、さらには凝縮水およびオイルの浸入および堆積を抑制し、シール部材40の劣化や破損等を未然に防止することができる。
図4には本実施形態の第1変形例を示す。図示するように、ガード壁57には、クランクケース4の内側面部56に向かって突出する一つの突起部58が設けられる。突起部58の先端は内側面部56に接している。
本実施形態の場合、突起部58は、内側面部56に向かって先細りとなる断面三角状または山形状に形成され、内側面部56との接触部においてシール面圧を高くするようになっている。また、突起部58は、ガード壁57と同様、シール部材40の下端縁部41の全周に沿った環状に形成されている。但しガード壁57が断続的の場合、突起部58も断続的に設けることができる。複数のガード壁57の幾つかにのみ突起部58を設けてもよい。突起部58はガード壁57と一体に形成されるが、ガード壁57と別体で形成され固着されてもよい。突起部58の断面形状は任意であり、矩形、半円形等であってもよい。
この第1変形例によれば、突起部58により、ガード壁57と内側面部56との間の隙間をより狭め、当該隙間をシールし、溝49の内側部分49Aをクランクケース4内に対しより閉鎖された状態にすることができる。よって当該内側部分49Aへのブローバイガスおよびオイルミストの浸入、さらには凝縮水およびオイルの浸入および堆積を一層抑制し、シール部材40の劣化や破損等を未然に防止することができる。
図5には本実施形態の第2変形例を示す。図示するように、ガード壁57には、第1変形例と同様の突起部58が複数設けられている。クランクケース4内のブローバイガス等は、ガード壁57と内側面部56との間の隙間を下方から上方に向かって流れ、溝49の内側部分49Aに向かう。このブローバイガス等の流れ方向において、突起部58は複数設けられている。図示例には三つの突起部58があるが、突起部58の数は任意である。
この第2変形例によれば、第1変形例の作用効果に加え、複数の突起部58によるラビリンス効果により、溝49の内側部分49Aへのブローバイガスおよびオイルミストの浸入、さらには凝縮水およびオイルの浸入および堆積を一層抑制し、シール部材40の劣化や破損等を未然に防止することができる。
図6には本実施形態の第3変形例を示す。この第3変形例ではガード壁57Aがクランクケース4に設けられ、クランクケース4内のブローバイガスおよびオイルミストが溝49の内側部分49Aに浸入するのを抑制する。
この第3変形例では、上述の実施例に比べ、クランクケース4の内側面部56とシリンダブロック3の外側面部62との間隔Lが大きくなっている。これに伴ってシール部材本体46の下端縁部41と、リテーナ43の押さえ部分51も内側に延長されている。言い換えれば、この第3変形例は、このように間隔Lが大きくなって下端縁部41と押さえ部分51とが延長された箇所に好適に適用可能である。
ガード壁57Aは、クランクケース4の内側面部56から内側に突出され、下端縁部41の下面に所定長さ面接触して、ブローバイガスおよびオイルミストが溝49の内側部分49Aに浸入するのを抑制すると共に、下端縁部41を下方から支持する。図示例においてガード壁57Aはクランクケース4と一体に形成され、断面三角状に形成される。しかしながら、ガード壁57Aは、クランクケース4と別体で形成されてクランクケース4の内側面部56に取り付けられてもよいし、その断面形状も四角形等の他の形状であってよい。
ガード壁57Aは、上述の内側側壁55を内側に突出させたものとも言える。ガード壁57Aはリテーナ43の押さえ部分51とほぼ同じ長さだけ内側に延ばされている。
この第3変形例によれば、上記実施例と同様、ガード壁57Aにより、溝49の内側部分49Aをクランクケース4内に対しより閉鎖された状態にすることができる。そして内側部分49Aへのブローバイガスおよびオイルミストの浸入、さらには凝縮水およびオイルの浸入および堆積を抑制し、シール部材40の劣化や破損等を未然に防止することができる。
これに加え、本実施例のガード壁57Aには、シール部材40の望ましくない変形を防止する補強リブとしての効果もある。
すなわち、図7に示す比較例のように、ガード壁57Aが無いとすると、シール部材40の下端縁部41(特にその延長部分)を下から支持するものが無くなる。すると、図中矢示するようにシリンダブロック3がクランクケース4に対し下降した場合や、クランクケース4内の負圧でシール部材40が内側から吸引された場合、図示の如く、シール部材40が正常に変形しなくなる虞がある。
すなわち、シール部材40は、その変形部60の伸縮変形のみが予定されている。しかし上述のように下端縁部41を内側に延長し、且つガード壁57Aを無くした場合、変形箇所は変形部60に止まらず、図示のように下端縁部41の内側側壁55からの突出箇所P1にも及ぶ可能性がある。この突出箇所P1において下端縁部41が下方に曲がる。こうした他の箇所の変形により変形部60の変形量が少なくなる可能性もある。このように本来の変形モードとは異なるモードでシール部材40が変形する虞があり、これに起因してシール部材40の早期劣化をもたらす可能性がある。
なお、リテーナ43の押さえ部分51が延長されているので下端縁部41の上方への曲がり変形は防止されるものの、下端縁部41の延長部分の下方には何等支持するものが無いため、その下方への曲がり変形が問題となる。
しかしながら、本実施例では図6に示すようにガード壁57Aが設けられているため、シール部材40の下端縁部41(特にその延長部分)を下方から支持することができる。そしてシリンダブロック3がクランクケース4に対し下降した場合や、クランクケース4内の負圧でシール部材40が内側から吸引された場合でも、下端縁部41の下方への曲がり変形を防止し、シール部材40の望ましくない変形を防止することができる。これによりシール部材40の正常な変形モードを維持し、シール部材40の早期劣化を未然に防止することができる。
なお、ここではクランクケース4の内側面部56とシリンダブロック3の外側面部62との間隔Lを拡大し、シール部材本体46の下端縁部41とリテーナ43の押さえ部分51を内側に延長した場合を説明したが、そうでない場合、例えば図3に示したような構造の場合にも本例は適用できる。
図8には本実施形態の第4変形例を示す。この第4変形例は第3変形例と同様のガード壁57Bをクランクケース4ではなくシール部材40に設けたものである。
下端縁部41は、内側側壁55から所定長さ内側に突出するよう延長される。ガード壁57Bは、下端縁部41の延長部分から下方に突出して下端縁部41に一体に形成され、断面三角状に形成される。しかしながらガード壁57Bは、下端縁部41と別体で形成されて下端縁部41に取り付けられてもよいし、その断面形状も四角形等の他の形状であってよい。
ガード壁57Bは、クランクケース4の内側側壁55の内側面部56に面接触される。これにより、溝49の内側部分49Aへのブローバイガス等の浸入さらには凝縮水等の浸入および堆積を抑制し、シール部材40の劣化や破損等を未然に防止することができる。また、ガード壁57Bは下端縁部41の下方への曲がり変形を防止する補強リブとしても機能し、シール部材40の望ましくない変形を防止して、その早期劣化を未然に防止することができる。
以上、本発明の好適な実施形態を詳細に述べたが、本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。上述の各実施形態および各構成要素は可能な限りにおいて組み合わせ可能である。
1 可変圧縮比内燃機関
2 シリンダ
3 シリンダブロック
4 クランクケース
20 クランクシャフト
21 圧縮比可変機構
40 シール部材
40A 内面
41 下端縁部
43 リテーナ
47 凸部
49 溝
56 内側面部
57,57A,57B ガード壁
58 突起部

Claims (5)

  1. シリンダブロックとクランクケースがシリンダ軸方向に相対移動可能な可変圧縮比内燃機関であって、
    前記内燃機関の全周にわたって前記シリンダブロックと前記クランクケースとの隙間を覆うべく、前記シリンダブロックと前記クランクケースとの間に架設された環状のシール部材を設け、前記シール部材の一方の端縁部に凸部を設け、前記クランクケースに前記凸部が嵌入される溝を設け、前記クランクケース内のブローバイガスおよびオイルミストが前記溝に浸入するのを抑制するためのガード壁を、前記シール部材に設け、前記ガード壁が、前記シール部材の内面から垂れ下がった垂れ壁をなすことを特徴とする可変圧縮比内燃機関。
  2. シリンダブロックとクランクケースがシリンダ軸方向に相対移動可能な可変圧縮比内燃機関であって、
    前記内燃機関の全周にわたって前記シリンダブロックと前記クランクケースとの隙間を覆うべく、前記シリンダブロックと前記クランクケースとの間に架設された環状のシール部材を設け、前記シール部材の一方の端縁部に凸部を設け、前記クランクケースに前記凸部が嵌入される溝を設け、前記クランクケース内のブローバイガスおよびオイルミストが前記溝に浸入するのを抑制するためのガード壁を、前記シール部材に設け、前記ガード壁が、前記クランクケースの内側面部に向かって突出する一以上の突起部を有することを特徴とする可変圧縮比内燃機関。
  3. シリンダブロックとクランクケースがシリンダ軸方向に相対移動可能な可変圧縮比内燃機関であって、
    前記内燃機関の全周にわたって前記シリンダブロックと前記クランクケースとの隙間を覆うべく、前記シリンダブロックと前記クランクケースとの間に架設された環状のシール部材を設け、前記シール部材の一方の端縁部に凸部を設け、前記クランクケースに前記凸部が嵌入される溝を設け、前記クランクケース内のブローバイガスおよびオイルミストが前記溝に浸入するのを抑制するためのガード壁を、前記シール部材に設け、前記ガード壁が、前記クランクケースの内側面部に接触することを特徴とする可変圧縮比内燃機関。
  4. 前記ガード壁が、前記環状のシール部材の全周に沿って設けられる
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の可変圧縮比内燃機関。
  5. 前記凸部を前記溝に嵌入した状態で、前記シール部材の一方の端縁部を前記クランクケースとの間に挟持するリテーナが設けられる
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の可変圧縮比内燃機関。
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