JP5703817B2 - 高炉用コークスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高炉に用いられるコークスの製造方法に関するものである。
高炉に用いられるコークスは、原料である石炭をコークス炉に装入し、装入された石炭を乾留処理して製造されるのが一般的である。このような高炉用コークスは高炉内の通気性を維持する重要な役割を担っており、高炉の安定した微粉炭多量吹込み操業、高出銑比操業あるいは低還元材比操業を実現するためには、高炉内での粉塵発生を抑制することが重要である。
高炉内での粉塵発生を抑制するためには、高炉用コークスとして高強度コークスを用いる必要があるが、高強度コークスを得るためには、原料炭に粘結炭を配合する必要がある。しかし、良質な粘結炭は資源量が少ないうえ価格も高いことから、粘結炭の配合を前提とした高炉用コークスの製造方法は資源制約の影響を受けやすく、原料コストが増加するという問題点を有している。一方、非微粘結炭などの劣質な石炭(劣質炭)は粘結炭より資源量が多く価格も安いが、劣質炭をそのまま配合するとコークス強度が低下してしまうという問題がある。
そこで、高炉用コークスを製造する方法として、非微粘結炭を含むコークス原料を1×102 〜1×106 ℃/分の速度で軟化開始温度前後(400℃前後)の温度域まで急速加熱した後、コークス炉に装入して高炉用コークスを製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、非微粘結炭をコークスの原料炭として用いるため、非微粘結炭と非水素供与性溶剤とを混合して得られたスラリーを300℃〜420℃に加熱処理して非微粘結炭の性状を改質する方法も提案されている(特許文献2参照)。
特開平8−259956号公報 特開2006−70182号公報
特許文献1に記載された方法によると、非微粘結炭などの劣質炭をコークス原料として用いることができるという利点があるが、石炭を流動床や気流塔などで急速加熱する必要があり、さらに加熱速度を精度よく制御できる制御装置も必要とするため、石炭の改質に多くのコストを要するという問題があった。
一方、特許文献2に記載された方法では、スラリーを300℃〜420℃に加熱した後、液部と非液部とに分離しなければならないため、改質炭を得るまでに多くのプロセスを要し、特許文献1に記載された方法と同様に、石炭の改質に多くのコストを要するという問題があった。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであって、石炭の改質に多くのコストを要することなく高強度の高炉用コークスを製造することのできる高炉用コークスの製造方法を提供することを目的とするものである。
石炭の分子構造に関しては多くの仮説が提案されている。例えば、石炭分子内には、架橋構造を形成する共有結合のほかに、見掛けの架橋構造を形成する水素構造、ファンデルワールス力などの非共有結合が多く存在している。そして、共有結合と非共有結合によって分子鎖が絡み合い、高分子凝集構造が形成されていると考えられている。そこで、石炭を改質するためには、石炭の高分子凝集構造を緩和させることが一つの方向性と考えられてきた。
一般に、石炭を熱分解させると共有結合が増加してしまう。そこで、高分子凝集構造を緩和するためには、熱分解反応を進行させずに非共有結合のみを解離させる必要がある。例えば、石炭の急速加熱処理は石炭温度を上昇させるため、分子運動は活発化するが、その滞留時間が短いために熱分解反応までは進行しない。結果として、高分子凝集構造の緩和が起こり、石炭が改質されるとされている。
また、溶剤による改質炭の製造は、石炭の非共有結合に溶剤を作用させることで高分子凝集構造を緩和させて、その中から有効成分を抽出するプロセスであり、石炭の急速加熱処理と同様に、石炭の高分子凝集構造の緩和を利用している。
本発明者らは、石炭分子内で架橋構造を形成する共有結合と見掛けの架橋構造を形成する非共有結合とが分子鎖として絡み合うことによって形成されると考えられている石炭の高分子凝集構造を緩和して石炭を改質する手段として、特許文献1や特許文献2に記載された方法のように、温度場や化学反応場の操作ではなく、エネルギー密度の高い電磁波を石炭に照射することを発案した。そして、石炭の改質に効果が見られる電磁波について鋭意検討した結果、石炭の熱分解に伴う共有結合の増加を抑制し、非共有結合のみを解離させるためには、照射強度が365nm以下の波長で最大となる電磁波を石炭に照射することを見出した。
また、石炭は酸化の影響を受けやすく、酸化が進行するに伴ってコークス化に必要不可欠な石炭の軟化溶融特性が徐々に失われることから、雰囲気中の酸素と反応して石炭性状が悪化するのを抑制するために、酸素濃度が3質量%以下、好ましくは酸素が存在しない雰囲気で石炭に電磁波を照射することを見出した。
また、石炭の改質効果は電磁波を照射された部分で得られ、石炭の粒径を小さくした方が石炭の表面により多くの電磁波が照射されるため、石炭の比表面積を増やして電磁波の照射効率を高めるためには、電磁波が照射される石炭として粒度が3mm以下の微粉炭を75質量%以上の割合で含む石炭を用いることが好ましいことを見出した。
さらに、電磁波の照射によって石炭温度が上昇し、石炭の熱分解反応が進行すると石炭を改質することができなくなることから、電磁波の照射中に熱分解ガスが石炭から発生しない時間を電磁波の照射時間に設定して石炭に電磁波を照射することを見出した。
そこで、請求項1に係る本発明は、石炭をコークス炉にて乾留処理して製造される高炉用コークスの製造方法であって、前記石炭に照射強度が365nm以下の波長で最大となる紫外線を3質量%以下の酸素濃度雰囲気で照射し、前記石炭の移行性水素量を0.1mg/g以上にした後、前記石炭を前記コークス炉に装入することを特徴とする。
請求項2に係る本発明は、石炭をコークス炉にて乾留処理して製造される高炉用コークスの製造方法であって、前記石炭に照射強度が365nm以下の波長で最大となる紫外線を3質量%以下の酸素濃度雰囲気で照射した後、前記石炭を前記コークス炉に装入し、
前記石炭に紫外線を照射する際に、前記石炭に対する紫外線の照射を紫外線照射前の石炭温度より温度の高いガスの雰囲気で行い、前記紫外線の照射時間を、前記石炭の温度が前記ガスの温度と等しくなるまでの時間以上で且つ前記石炭から熱分解ガスが発生し始める時間未満に設定することを特徴とする。
請求項3に係る本発明は、請求項1または2に記載の高炉用コークスの製造方法において、前記石炭に紫外線を照射して前記石炭の移行性水素量を0.1mg/g以上にした後、前記石炭を前記コークス炉に装入することを特徴とする。
請求項1に係る本発明によれば、石炭に電磁波を照射しない場合と比較してコークスの強度が高い値となり、コークスの強度を高めるために、コークス炉に装入される石炭を軟化開始温度付近まで急速加熱したり、あるいは非微粘結炭などの劣質炭を溶媒との化学反応によって改質したりする必要がない。従って、石炭の改質に多くのコストを要することなく高強度の高炉用コークスを製造することができる。
請求項2に係る本発明によれば、コークス炉で乾留処理される前の石炭の移行性水素量が0.1mg/gより小さいものと比較して、コークス炉で得られるコークスの強度がより高い値となる。従って、より高強度の高炉用コークスを製造することができる。
請求項3に係る本発明によれば、電磁波が照射される石炭として粒度が3mm以下の微粉炭を75質量%未満の割合で含む石炭を用いた場合と比較して、コークス炉で得られるコークスの強度がより高い値となる。従って、より高強度の高炉用コークスを製造することができる。
請求項4に係る本発明によれば、石炭から熱分解ガスが発生するまで電磁波を石炭に照射した場合と比較して、コークス炉で得られるコークスの強度がより高い値となる。従って、より高強度の高炉用コークスを製造することができる。
本発明に用いられる石炭改質装置の一例を示す図である。 超高圧水銀ランプの照射強度特性を示す図である。 高圧水銀ランプの照射強度特性を示す図である。 低圧水銀ランプの照射強度特性を示す図である。
以下、本発明に係る高炉用コークスの製造方法について説明する。
本発明に用いられる石炭改質装置の一例を図1に示す。図1に示される石炭改質装置は粒度調整された石炭1に電磁波を照射して石炭1の性状を改質するものであって、外筒2、内筒4、試料載置プレート5、ガス導入管6、流量計7、ガス排出管8、ヒータ9、温度計10および紫外線ランプ11を備えている。
外筒2は酸素濃度が3質量%以下の電磁波照射雰囲気を形成するものであって、石英から形成されている。また、外筒2は有底円筒状に形成され、この外筒2の上端部は蓋板3によって気密に閉塞されている。
内筒4は外筒2の内側にガス流通空間を形成するものであって、外筒2と同様に石英から形成されていると共に、外筒2の内径より小さい外径で円筒状に形成されている。
試料載置プレート5は改質される石炭を試料として載置するためのものであって、内筒4の内側にほぼ水平に設けられている。
ガス導入管6は外筒2に窒素ガスを導入するものであって、このガス導入管6から外筒2に導入された窒素ガスは、外筒2と内筒4との間を流下して内筒4の下端部から内筒4に流入するようになっている。そして、内筒4に流入した窒素ガスは石炭1の粒径より小さい直径で試料載置プレート5に穿設された多数のガス流通孔(図示せず)を流通し、内筒4の上端部から流出するようになっている。
流量計7はガス導入管6から外筒2に導入される窒素ガスの流量を計測するものであって、ガス導入管6の途中に介設されている。
ガス排出管8はガス導入管6から外筒2に導入された窒素ガスを外筒2の外部に排出するものであって、外筒2の外周面上部に接続されている。
ヒータ9は内筒4の下端部から内筒4に流入する窒素ガスを予熱するものであって、外筒2の下端部外周に配置されている。
温度計10は試料載置プレート5の上に置かれた石炭1の温度を測定するものであって、例えば熱電対から構成されている。
紫外線ランプ11は試料載置プレート5の上に置かれた石炭1に電磁波を照射するものであって、この紫外線ランプ11は外筒2の外側に配置されている。なお、外筒2の中心から紫外線ランプ11の紫外線出射面までの水平距離Lは約50mmとなっている。
このような石炭改質装置を用いて石炭の改質試験を実施した結果について説明する。
まず、本発明者らは、試料載置プレート5の上に置かれる試料として、JIS M8816に準拠する平均最大反射率Roが0.71、JIS M8801に準拠するギーセラー最高流動度logMFが0.30の劣質炭(石炭A)を選定した。そして、試料として選定された劣質炭を試料載置プレート5の上に置き、外筒内酸素濃度:0質量%、劣質炭粒度:0.15mm以下(100質量%)、ヒータ温度:150℃、内筒内石炭量:6gの試験条件でガス導入管6から内筒4の内部に窒素ガスを流して劣質炭を流動させ、この状態で劣質炭に電磁波を紫外線ランプ11から照射時間を3時間に設定して照射した。電磁波照射後の劣質炭の温度は150℃であった。そして、高分子凝集構造の緩和効果を確認するため、電磁波を照射した後の劣質炭の移行性水素量を測定した。この移行性水素量が多いほど劣質炭の高分子凝集構造が緩和していることを確認できる。
なお、移行性水素量の測定は、次の方法で行った。まず、電磁波が照射された劣質炭から1gを量り取り、移行性水素受容体としてアントラセン1gを加えてよく混合した。次いで混合物をガラス管に入れ、脱気後、100mmの長さで熔封した。熔封ガラス管を3℃/minで400℃まで昇温した後、冷却し、開封した。これに抽出溶剤としてベンゼンを加え、ろ過によりベンゼン溶液のみを回収し、ガスクロマトグラフィーを用いてアントラセンに移行性水素が付加して生成した9,10−ジヒドロアントラセンおよび1,2,3,4−テトラヒドロアントラセンを定量した。この値から劣質炭1gあたりの移行性水素量を求めた。
また、改質試験が終了した劣質炭をコークスの原料炭(平均最大反射率Ro:1.00、ギーセラー最高流動度logMF:2.5)に20質量%の割合で配合した後、コークス炉をシュミレート可能な電気炉(以下「試験コークス炉」という)に装入して乾留処理を行った。そして、試験コークス炉で得られたコークスの間接引張強度(MPa)を「燃料協会誌」第54巻 第584号(1975)p.983〜993に記載された試験方法(試料に亀裂が生じるまで引張荷重をかけて間接引張強度を試験する方法)で測定した。その測定結果を改質試験の試験結果と共に表1に示す。
Figure 0005703817
表1の比較例1と実施例1とを比較すると、比較例1は得られたコークスの間接引張強度が4.47MPaであったのに対し、実施例1は得られたコークスの間接引張強度が4.89MPaであった。これは、比較例1では試料載置プレート5の上に置かれた劣質炭(移行性水素量:0.037mg/g)に電磁波を照射しなかったのに対し、実施例1では試料載置プレート5の上に置かれた劣質炭(移行性水素量:0.037mg/g)に電磁波を紫外線ランプから照射し、劣質炭の移行性水素量を0.1mg/g以上にしてから劣質炭を含む石炭を試験コークス炉にて乾留処理したためと考察される。
表1の比較例2と実施例1とを比較すると、比較例2は電磁波を照射した後の劣質炭の移行性水素量が0.038mg/g、得られたコークスの間接引張強度が4.45MPaであったのに対し、実施例1は電磁波を照射した後の劣質炭の移行性水素量が0.15mg/g、得られたコークスの間接引張強度が4.89MPaであった。これは、比較例2では試料載置プレート5の上に置かれた劣質炭(移行性水素量:0.037mg/g)に電磁波を図2に示す照射強度特性を有する超高圧水銀ランプ(照射強度が435nmの主波長で最大となる紫外線ランプ)から照射したのに対し、実施例1では試料載置プレート5の上に置かれた劣質炭(移行性水素量:0.037mg/g)に電磁波を図3に示す照射強度特性を有する高圧水銀ランプ(照射強度が365nmの主波長で最大となる紫外線ランプ)から照射したためと考察される。
表1の実施例1と実施例2を比較すると、実施例1は電磁波を照射した後の劣質炭の移行性水素量が0.15mg/g、得られたコークスの間接引張強度が4.89MPaであったのに対し、実施例2は電磁波を照射した後の劣質炭の移行性水素量が0.225mg/g、得られたコークスの間接引張強度が5.12MPaであった。これは、実施例1では試料載置プレート5の上に置かれた劣質炭(移行性水素量:0.037mg/g)に電磁波を図3に示す照射強度特性を有する高圧水銀ランプ(照射強度が365nmの主波長で最大となる紫外線ランプ)から照射したのに対し、実施例2では試料載置プレート5の上に置かれた劣質炭(移行性水素量:0.037mg/g)に電磁波を図4に示す照射強度特性を有する低圧水銀ランプ(照射強度が254nmの主波長で最大となる紫外線ランプ)から照射したためと考察される。
次に、本発明者らは、ガス導入管6から外筒2に導入される窒素ガス中の酸素濃度を0質量%、3質量%、5質量%に設定し、劣質炭の改質試験を上記と同じ条件で行った。そして改質試験が終了した劣質炭をコークスの原料炭(平均最大反射率Ro:1.00、ギーセラー最高流動度logMF:2.5)に20質量%の割合で配合した後、試験コークス炉に装入して乾留処理を行い、試験コークス炉で得られたコークスの間接引張強度(MPa)を上記と同様の方法で測定した。その測定結果を表2に示す。
Figure 0005703817
表2の比較例4と実施例3を比較すると、比較例4は得られたコークスの間接引張強度が3.75MPaであったのに対し、実施例3は得られたコークスの間接引張強度が4.52MPaであった。これは、比較例4では試料載置プレート5の上に置かれた劣質炭に電磁波を5質量%の酸素濃度雰囲気で照射したのに対し、実施例3では試料載置プレート5の上に置かれた劣質炭に電磁波を3質量%の酸素濃度雰囲気で照射したためと考察される。
表2の実施例3と実施例4を比較すると、実施例3は得られたコークスの間接引張強度が4.52MPaであったのに対し、実施例4は得られたコークスの間接引張強度が4.89MPaであった。これは、実施例3では試料載置プレート5の上に置かれた劣質炭に電磁波を3質量%の酸素濃度雰囲気で照射したのに対し、実施例4では試料載置プレート5の上に置かれた劣質炭に電磁波を0質量%の酸素濃度雰囲気で照射したためと考察される。
次に、本発明者らは、紫外線ランプ11から電磁波が照射される試料として、粒度が0.15mm以下の微粉炭を100質量%の割合で含む劣質炭の他に、粒度が3mm以下の微粉炭を75質量%の割合で含む劣質炭と粒度がmm以下の微粉炭を100質量%の割合で含む劣質炭とを用意し、これら劣質炭の改質試験を上記と同じ条件で行い、改質試験が終了した劣質炭の移行性水素量を上記と同じ方法で測定した。また、改質試験が終了した劣質炭をコークスの原料炭(平均最大反射率Ro:1.00、ギーセラー最高流動度logMF:2.5)に20質量%の割合で配合した後、試験コークス炉に装入して乾留処理を行った。そして、試験コークス炉で得られたコークスの間接引張強度(MPa)を上記と同様の方法で測定した。その測定結果を改質試験の試験結果と共に表3に示す。
Figure 0005703817
表3の比較例5と実施例とを比較すると、比較例5は得られたコークスの間接引張強度が4.47MPaであったのに対し、実施例は得られたコークスの間接引張強度が4.89MPaであった。これは、比較例5では試料載置プレート5の上に置かれた劣質炭に電磁波を照射しなかったのに対し、実施例では試料載置プレート5の上に置かれた劣質炭に電磁波を紫外線ランプから照射し、劣質炭の移行性水素量を0.1mg/g以上にしてから劣質炭を含む石炭をコークス炉にて乾留処理したためと考察される。
表3の実施例5と実施例6とを比較すると、実施例5は電磁波を照射した後の劣質炭の移行性水素量が0.102mg/g、得られたコークスの間接引張強度が4.62MPaであったのに対し、実施例6は電磁波を照射した後の劣質炭の移行性水素量が0.126mg/g、得られたコークスの間接引張強度が4.78MPaであった。これは、実施例5では電磁波が照射される劣質炭として粒度が3mm以下の微粉炭を75質量%の割合で含む劣質炭を用いたのに対し、実施例6では電磁波が照射される劣質炭として粒度が3mm以下の微粉炭を100質量%の割合で含む劣質炭を用いたためと考察される。
表3の実施例6と実施例7とを比較すると、実施例6は電磁波を照射した後の劣質炭の移行性水素量が0.126mg/g、得られたコークスの間接引張強度が4.78MPaであったのに対し、実施例7は電磁波を照射した後の劣質炭の移行性水素量が0.150mg/g、得られたコークスの間接引張強度が4.89MPaであった。これは、実施例6では電磁波が照射される劣質炭として粒度が3mm以下の微粉炭を100質量%の割合で含む劣質炭を用いたのに対し、実施例7では電磁波が照射される劣質炭として粒度が0.15mm以下の微粉炭を100質量%の割合で含む劣質炭を用いたためと考察される。
以上のことから、実施例1〜4のように、劣質な石炭に照射強度が365nm以下、好ましくは254nm以下の波長で最大となる電磁波を3質量%以下の酸素濃度雰囲気で照射した後、石炭をコークス炉に装入することで、石炭に電磁波を照射しない場合と比較してコークスの強度が高い値となる。従って、前述した先行技術のように、コークス炉に装入される石炭を軟化開始温度付近まで急速加熱したり、あるいは非微粘結炭などの劣質炭を溶媒との化学反応によって改質したりする必要がないので、石炭の改質に多くのコストを要することなく高強度の高炉用コークスを製造することができる。
特に、劣質な石炭に照射強度が365nm以下の波長で最大となる電磁波を3質量%以下の酸素濃度雰囲気で照射し、石炭の移行性水素量を0.1mg/g以上にしてから石炭をコークス炉に装入することで、コークス炉で乾留処理される前の石炭の移行性水素量が0.1mg/gより小さいものと比較して、コークス炉で得られるコークスの強度がより高い値となる。従って、より高強度の高炉用コークスを製造することができる。
また、実施例5〜7のように、電磁波が照射される石炭として粒度が3mm以下、好ましくは0.15mm以下の微粉炭を75質量%以上の割合で含む石炭を用いることで、電磁波が照射される石炭として粒度が3mm以下の微粉炭を75質量%未満の割合で含む石炭を用いた場合と比較してコークスの強度がより高い値となるので、より高強度の高炉用コークスを製造することができる。
なお、上述した実施例1では劣質炭に電磁波を照射する紫外線ランプとして照射強度が365nmの主波長で最大となる高圧水銀ランプを用いたものを例示し、実施例2では照射強度が254nmの主波長で最大となる低圧水銀ランプを用いたものを例示したが、これに限られるものではなく、例えば照射強度が365nm〜180nm、好ましくは254nm〜180nmの波長で最大となる紫外線ランプを用いてもよい。
また、上述した実施例1〜7では、劣質な石炭に電磁波を照射する手段として高圧水銀ランプや低圧水銀ランプなどの紫外線ランプを用いたが、紫外線ランプ以外の電磁波源を用いてもよいし、365nm以下の波長を含む電磁波源から発生した電磁波の高波長成分をフィルタなどで除去した後、劣質な石炭に電磁波を照射するようにしてもよい。
また、上述した実施例では劣質な石炭に対する電磁波の照射時間を3時間に設定したが、これに限られるものではなく、石炭の温度が雰囲気ガスの温度と等しくなるまでの時間以上で且つ石炭から熱分解ガスが発生し始める時間未満に電磁波の照射時間を設定すればよい。
電磁波を照射すべき時間の好適な範囲は、電磁波の強度や温度によって変動するので適宜設定すればよいが、照射時間が短すぎると照射の効果が小さい。照射時間が長い場合には、照射によって石炭の温度が上昇することがあるため、照射時間は石炭の熱分解が進行しない時間内とすることが望ましい。これは石炭の熱分解が起こると、石炭の改質効果が失われるためであって、熱分解の発生は、石炭からのガス発生の有無によって知ることができる。
なお、実施例1では、劣質な石炭に電磁波を照射する際の窒素ガスの予熱温度を150℃としたが、これに限られるものではなく、常温で照射した場合でも実施例の効果よりも小さいながら改質効果が認められた。ただし、上記の理由で石炭の熱分解温度までの加熱は逆効果となるため、石炭の温度は熱分解温度以下とする必要があり、電磁波照射時の好ましい石炭温度は常温〜250℃である。
1…石炭
2…外筒
3…蓋板
4…内筒
5…試料載置プレート
6…ガス導入管
7…流量計
8…ガス排出管
9…ヒータ
10…温度計
11…紫外線ランプ

Claims (3)

  1. 石炭をコークス炉にて乾留処理して製造される高炉用コークスの製造方法であって、前記石炭に照射強度が365nm以下の波長で最大となる紫外線を3質量%以下の酸素濃度雰囲気で照射し、前記石炭の移行性水素量を0.1mg/g以上にした後、前記石炭を前記コークス炉に装入することを特徴とする高炉用コークスの製造方法。
  2. 石炭をコークス炉にて乾留処理して製造される高炉用コークスの製造方法であって、前記石炭に照射強度が365nm以下の波長で最大となる紫外線を3質量%以下の酸素濃度雰囲気で照射した後、前記石炭を前記コークス炉に装入し、
    前記石炭に紫外線を照射する際に、前記石炭に対する紫外線の照射を紫外線照射前の石炭温度より温度の高いガスの雰囲気で行い、前記紫外線の照射時間を、前記石炭の温度が前記ガスの温度と等しくなるまでの時間以上で且つ前記石炭から熱分解ガスが発生し始める時間未満に設定することを特徴とする高炉用コークスの製造方法。
  3. 前記紫外線が照射される石炭として粒度が3mm以下の微粉炭を75質量%以上の割合で含む石炭を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の高炉用コークスの製造方法。
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