JPS5845995B2 - 人造粘結炭の製造法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は溶剤精製炭より人造粘結炭を製造する方法に関
するものである。

近時、鉄鋼業の生産増大に従って粘結炭乃至強粘結炭の
需要が著しく旺盛となり、将来資源的に見て枯渇する懸
念がある。

従って、それに対処するために種々の物質より人造粘結
炭を製造しようとしている。

本発明はその一つの考え方として提供するものである。

溶剤精製炭なるものは米国等では５ＲＣ （５ｏｌｖｅｎｔ Ｒｅｆｉｎｅｄ Ｃｏａｌ ）
と称されているものであるが未だ工業的に製造されてい
ない。

しかし、近い将来においてクリーンフューエルとして登
場するであろう。

このものは原理的には水素加圧下での石炭溶剤抽出であ
って通常石炭をｉｏ。

気圧内外、４００°Ｃ前後の温度で触媒を使用又は使用
しないで溶剤の存在の下で水素分解を行いそして不溶解
残渣を除去（脱灰工程）した低灰分、低硫黄の産物であ
る。

溶剤精製炭の製造プロセスにおいて製品をクリーンフュ
ーエルとして利用する場合は脱灰工程は欠くことができ
ないが左視必要ではない場合もある。

例えば現今使用されている製鉄用コークスの如きは灰分
を１０％も含有していることから見ても多少の灰分があ
っても使用上支障はなく、従って使用目的によってはこ
の工程を省略することができる。

溶剤精製炭はこのように研究段階のもので未だ市販され
ていない。

本発明に使用したサンプルは実験室で前記の方法に準拠
して得られた試作品であり、次の３種類のサンプルを入
手した。

その性状は下記の通りである。

上記の性状を考察してみると下記のような特徴をあげる
ことができる。

（１）炭素含有量が約８４〜９１％、Ｏ／Ｃ（原子比）
が０．０４以下である。

（２）石炭に比べて水素含有量が高く、酸素含有量が低
く揮発分が高い。

（３）１００℃内外の熔融点をもっている。

（４）溶剤精製炭の性状は原料となる石炭の炭種（例え
ば褐炭、瀝青炭）に関係なく近似している。

換言すれば、溶剤精製炭は１００℃内外の熔融点を有し
ていて粘結炭や強粘結炭になる素質を保有しているよう
な物質である。

これを天然の強粘結炭と比較すると最も顕著な相違は揮
発分が高く、熔融点が低いことである。

従って粘結炭のような性状を得るためには揮発分を減ら
し、熔融点を上げることが最も重要であろう。

本発明者等は鋭意研究の結果、先般特願昭４９年特許願
第１２９７９９号（特開昭５１− ☆☆５５３０１
号公報）で熱処理法及び、特願昭５１年４３６５６号（
特開昭５２−１２７９０１号公報）で溶剤処理法によっ
て夫々溶剤精製炭の改質で強粘結炭を得たことを発明し
た。

引き続き本発明の石炭添加法により人造粘結炭の製造法
を完成した。

即ち、本発明において溶剤精製炭の石炭添加と加熱処理
によって揮発分を減らし熔融点を高めることができ、そ
して天然の粘結炭と同等の品質を有する良粘結性物を得
ることに成功したのである。

本発明は溶剤精製炭、例えば１部に対し石炭０．２〜１
．２部の割合で両者を混合して石炭の軟化溶融温度範囲
例えば３８０〜４８０℃の温度において熱処理した生成
物を得ることを特徴とする人造粘結炭の製造法である。

以下、実施例をあげて本発明の詳細な説明する。

前記試料Ａ、Ｂ、Ｃの溶剤精製炭を用いて石炭添加の実
験を行なった。

添加に使用した石炭は下記の微粘結炭りと弱粘結炭Ｅの
２種類であった。

溶剤精製炭、添加炭は何れも６０メツシユ以下に粉砕し
溶剤精製炭１部に対し添加炭０．５部の割合で両者を均
一に混合して攪拌付、枝材レトルトに入れ４００℃、６
０分の条件の下で熱処理を行なった。

その間ガス及び低沸点物質が生起して流出する。

レトルトに残溜した熱処理生成物はすなわち人造粘結炭
である。

この人造粘結炭の性状を調査した処、次表に示したよう
なものであり、測定法は何れもＪＩＳＭ８８０１に準拠
した方法である。

表中のＡ’、 Ｂ’、Ｃ′はＤ炭を添加炭とし、Ａ“、
Ｂ“、Ｃ“はＥ炭を添加炭として得られた人造粘結炭で
ある。

上記の表かられかるように揮発分が低下し、熔融点が上
昇している。

又膨張塵（Ｃ３Ｎ）は９もあって天然の粘結炭の性質と
同等又はそれ以上の優秀なる粘結性を具備している。

次にコークス製造における配合試験を試みた。

国内弱粘結炭（水分１．９％、灰分６．６％、揮発分４
１％、単味コークス強度（ＤＩ９？）６５）を暴戻とし
、これに前記試料Ａ、Ｂ、Ｃ溶剤精製炭より得られた人
造粘結炭Ａ′、Ｂ′、Ｃ′、Ａ“、Ｂ“、Ｃ“夫々３０
％を添加した配合炭を原料としてコークスを製造したが
何れも強度（ＤＩ ｉｇ ） ９０以上のコークスが得
られた。

比較のためこの配合試験において人造粘結炭の代りに米
国強粘結炭（揮発分１８％）３０％を前記同一の暴戻に
配合しコークスを製造し、そしてそのコークスの強度を
測定したが９０以上であった。

従って、本発明で製造した人造粘結炭は米国強粘結炭に
匹敵する性能を有することを確認した。

上記実験例において試用に供した添加炭は低度瀝青炭で
あるが、他の炭種についても条件を多少変えることによ
って同様に改質できる。

例えば褐炭又は高度瀝青炭のような反応しにくい炭種に
対しては比較的高い温度で処理するとか、或は溶剤精製
炭を多く使用するとか等のような方法をとればよい。

本発明において、石炭の添加によって溶剤精製炭が改質
されるが同時に石炭の方も改質された結果となった。

従って、非粘結炭、弱粘結炭を添加炭に使用する場合は
一挙両得になるわけで犬なる利点がある。

強粘結炭を添加炭として使用する時は強粘結炭の方は改
質する必要がない故利点が半減することΣなる。

しかしカナダ、豪州の強粘結炭のように流動性の低い炭
種には本発明の方法で処理することによって流動性が改
善される利点は期待できる。

又本発明において添加炭の量を多くすれば出来上った人
造粘結炭の軟化点は高くなる。

又添加炭をできるだけ多量に使用したいときは処理温度
を低くすることによって目的が遠戚できる。

コークス製造における配合において、人造粘結炭の性状
によって配合する相手の石炭を決める必要があるが、逆
に配合する相手の石炭によって適正なる人造粘結炭を選
定し製造することができる。

要するに、本発明において（１）溶剤精製炭の性状、（
２）添加炭の炭種と量、（３）熱処理条件、（４）配合
する相手の石炭等を考慮に入れて適宜に選定して使用す
れば如何なる炭種の石炭からも簡単に経済的に優良な冶
金用コークスを製造することができる。

本発明の実施例 前記溶剤精製炭試料Ａと前記添加炭Ｅを用いて実施した
。

試料Ａ１ｋｇとＥ炭５００グをとり別々に６０メツシユ
以下に粉砕し、これをよく混合して攪拌性、枝材レトル
トに納める。

４００℃１時間熱処理を行い、得られた残溜生成物が約
１１００Ｐでこれ即ち製品である。

この製品を分析すると揮発分は２４％、膨張塵（Ｃ８Ｎ
）は９、軟化温度は３０５℃であった。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 溶剤精製炭と石炭を適当な割合で両者を混合して石
   炭の軟化溶融温度範囲において熱処理した生成物を得る
   ことを特徴とする、人造粘結炭の製造法。