以下、本発明に係る車両周辺監視装置について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る車両周辺監視装置10の構成を示す電気ブロック図である。図2は、図1に示す車両周辺監視装置10が組み込まれた車両12の概略斜視図である。図3は、図2に示す車両12の、運転者側から視た前方内観図である。なお、この車両12は、自動車が右側走行することを取り決められている国の道路を走行している状況を示しており、車両12は左ハンドル車として図示されている。
車両周辺監視装置10は、この車両周辺監視装置10を制御する画像処理部14と、画像処理部14に接続される左右の赤外線カメラ16L、16R(撮像部)と、車両12の車速Vsを検出する車速センサ18と、運転者による図示しないブレーキペダルの操作量Br(ブレーキ操作量Br)を検出するブレーキセンサ20と、車両12のヨーレートYrを検出するヨーレートセンサ22と、音声で警報等を発するためのスピーカ24と、赤外線カメラ16L、16Rから出力された撮像画像を表示する汎用ディスプレイ26と、車両12の運転の際の付随情報を可視化して表示するMID(Multi-Information Display)28と、記憶部30とを備える。
図2に示すように、ステレオカメラとして機能する赤外線カメラ16L、16Rは、車両12前方の風景を撮像するものであり、車両12の前部バンパー部に、車両12の車幅方向中心部に対してほぼ対称な位置に配置されている。2つの赤外線カメラ16(赤外線カメラ16L、16R)の光軸が互いに平行であって、且つ両者の路面からの高さが等しくなるように固定されている。赤外線カメラ16L、16Rは、監視対象物の温度が高いほど、その出力信号レベルが高くなる(輝度が増加する)特性を有している。
ここで、赤外線カメラ16を2つ備える理由としては、監視対象物までの距離を算出するためである。従って、赤外線カメラ16L、16Rのうち何れか一方の赤外線カメラ16で得られた撮像画像が基本的に用いられ、他方の赤外線カメラ16で撮像して得られた撮像画像は、監視対象物までの距離の算出時のみ用いられる。本実施の形態では、赤外線カメラ16Lによって得られた撮像画像(以下、撮像画像IL)を基本的に用い、赤外線カメラ16Rによって得られた撮像画像(以下、撮像画像IR)は、監視対象物までの距離の算出時のみ用いられる。
なお、本発明の撮像部は、図2に示す構成例に限られることなく、種々の構成を採り得る。例えば、撮像部は、複眼カメラ(ステレオカメラ)であっても単眼カメラ(1つのカメラ)であってもよい。単眼カメラの場合、別の測距手段(レーダ装置、測距センサ等)を併せて備えていてもよく、TOF(Time Of Flight)法を用いて被写体まで距離を算出してもよい。TOF法とは、簡単に説明すると、光源から出た光が対象物で反射し、カメラに届くまでの光の飛行時間(遅れ時間)と光の速度とから、被写体までの距離を得る手法である。また、赤外線カメラに代替して、主に可視光領域の波長を有する光を利用するカメラ(カラーカメラともいう。)を用いてもよく、あるいは両方を併せ備えてもよい。また、撮像部は、複数のカメラを有してもよい。
図2及び図3に示すように、ダッシュボード40には、その下部から図示しない運転席の方へ突出するハンドル42が配設されている。ハンドル42の中心位置に揃えた位置であり、且つ、計器盤44の上側近傍のダッシュボード40(あるいは、計器盤44内)の部位には、MID(第2表示部)28が配設されている。これにより、運転者は、車両12の前方へ顔を向けたままの状態で、MID28を正視することができ、MID28への視認性が向上する。なお、汎用ディスプレイ(第1表示部)26は、ダッシュボード40の所定部位(具体的には、MID28の配設位置に対して右方の部位)に配設されている。
図4Aは汎用ディスプレイ26の正面図であり、図4BはMID28の正面図である。
図4Aに示す汎用ディスプレイ26の略全面には、横方向に長尺な矩形状の第1表示領域46が設けられている。本図では、赤外線カメラ16Lから出力された撮像画像ILを、第1表示領域46内に表示した状態を表している。汎用ディスプレイ26は、カラー画像又はモノクロ画像が表示可能なモジュールであり、例えば液晶パネル、有機EL(Electro-Luminescence)、無機ELパネル等で構成されてもよい。この場合、汎用ディスプレイ26は、任意の画像、例えば、カーナビゲーション用の各種画像(道路地図、サービス情報等)、動画コンテンツ等も表示可能である。
図4Bに示すMID28の略全面には、横方向に長尺な矩形状の第2表示領域48が設けられている。第2表示領域48には、第1表示領域46に表示される所定の特徴部位のみを抽出して模擬化した模擬画像50が表示されている。具体的には、模擬画像50は、車両前方に見える道路を模式化した道路52を有し、道路52は、ライン52L、52C、52Rを含む。道路52は、遠近法を用いて表され、詳しくは、ライン52L、52R間の幅は、上側になるほど狭くなっている。このライン52L、52C、52Rにより、運転席から前方を眺めた時の直線道路を運転者に想起させることができる。なお、MID28は、このライン52L、52C、52Rを電気的に表示するのではなく、機械的若しくは構造的に表示させてもよい。例えば、予めMID28の第2表示領域48にライン52L、52C、52Rを示す部材を貼り付けることで、模式的に道路52を表示してもよい。つまり、MID28には、車両前方に見える道路を模式化された道路52が表されていればよい。
MID28は、汎用ディスプレイ26よりも構成が簡便で、且つ、安価な表示モジュールである。MID28は、燃費、現在時刻、計器盤44に関する情報等を表示可能であってもよい。
画像処理部14は、入力されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路、各種演算処理を実行するCPU(中央処理装置;コンピュータ)等を有し(図示略)、記憶部30に記憶されたプログラムを読み込むことによって、本実施の形態の画像処理部14として機能する。記憶部30は、デジタル信号に変換された撮像画像IL、IR、各種演算処理に供される一時データ等を記憶するRAM(Random Access Memory)、あるいは、実行プログラム、テーブル、若しくはマップ等を記憶するROM(Read Only Memory)等で構成されている。
赤外線カメラ16L、16R、車速センサ18、ブレーキセンサ20及びヨーレートセンサ22の各出力信号は、デジタル信号として画像処理部14に供給可能に構成されている。
画像処理部14は、対象物検出部60、画像分割領域判断部62、移動方向検出部64、危険度評価部66、表示分割領域選択部68、第1表示制御部70、及び第2表示制御部72を有する。この画像処理部14による各種処理により、画像処理部14は、赤外線カメラ16L、16Rが撮像した車両12前方の撮像画像(赤外線画像)IL、IRと、車両12の走行状態を示す各種信号(例えば、車速Vs、ブレーキ操作量Br及びヨーレートYr)等とから、車両12の前方に存在する監視対象物を検出し、監視対象物に車両12が接触する可能性が高いと判断したとき、スピーカ24等を通じて警報を発する。
対象物検出部60は、赤外線カメラ16Lが撮像して得られた撮像画像ILに基づいて、該撮像画像IL内に監視対象物(人間)が存在するか否かを検出する。検出手法としては、例えば、パターンマッチング手法(人間の特徴を示す特徴データと撮像された撮像画像ILとをマッチングすることで、人間を検出する手法)等を採用してもよい。
画像分割領域判断部62は、対象物検出部60が検出した監視対象物が撮像画像ILのどの画像分割領域に存在するかを判断する。対象物検出部60が複数の監視対象物を検出した場合は、画像分割領域判断部62は、それぞれの監視対象物が撮像画像ILのどの画像分割領域に存在するかを判断する。なお、撮像画像ILは、後述するように予め決められた複数の画像分割領域に分けられる。
移動方向検出部64は、対象物検出部60が検出した監視対象物の移動方向を検出する。移動方向検出部64は、監視対象物の動きベクトルを算出することで、移動方向を検出する。例えば、移動方向検出部64は、前回検出された監視対象物が今回撮像された撮像画像ILのどこにいるかをブロックマッチング法等によって検出して、前回検出された監視対象物の位置とブロックマッチング法等によって検出された今回の監視対象物の位置とから動きベクトルを求めることで、監視対象物の移動方向を検出する。
危険度評価部66は、監視対象物が飛び出してくる確率(危険度)の高さを評価する。詳しくは、危険度評価部66は、監視対象物が同一の画像分割領域に複数存在する場合は、危険度が高いと評価する。同一の画像分割領域に監視対象物が複数存在する場合は、監視対象物が車両12の進行方向に対して飛び出してくる確率が高くなるからである。なお、危険度評価部66は、監視対象物が同一の画像分割領域に複数存在する場合であって、何れかの監視対象物が車両12の進行方向に向かって移動している場合に、危険度が高いと評価してもよい。
表示分割領域選択部68は、画像分割領域判断部62が判断した監視対象物が存在する画像分割領域に対応するMID28の第2表示領域48の表示分割領域を選択する。この表示分割領域については、後で詳しく説明する。表示分割領域選択部68は、危険度評価部66により危険度が高いと評価された場合は、選択する表示分割領域を拡張し、複数の表示分割領域を選択してもよい。なお、危険度評価部66により危険度が高いと評価された場合であっても、検出された監視対象物が撮像画像ILの中央にある画像分割領域に複数存在する場合は、選択する表示分割領域を拡張しない。
第1表示制御部70は、赤外線カメラ16Lが撮像して得られた撮像画像ILを汎用ディスプレイ26の第1表示領域46に表示させる。第2表示制御部72は、表示分割領域選択部68が選択した表示分割領域に、監視対象物をシンボル化したマーク(図7B、図8B等参照)100を表示させる。表示されるマーク100の数は、表示分割領域につき1つだけ表示させ、1つの表示分割領域に同一のマーク100を複数表示させない。また、第2表示制御部72は、監視対象物が同一の画像分割領域に複数存在する場合は、監視対象物の存在を強調表示させる。
この監視対象物の強調表示の方法としては、例えば、監視対象物が複数存在する画像分割領域に対応する表示分割領域にマーク100を強調表示させることで、監視対象物の存在を強調表示させてもよい。マーク100の強調表示としては、マーク100の色を変える、マーク100を動かす、マーク100を点滅表示させる等がある。また、表示分割領域選択部68が、選択する表示分割領域を拡張した場合は、選択した各表示分割領域にマーク100を表示させることで、監視対象物の存在を強調表示させてもよい。
図5は、撮像画像ILの画像分割領域及び撮像画像ILの画像分割領域に対応する表示分割領域を示す図である。撮像画像ILは、3つの画像分割領域、左から順に、左側画像分割領域82、中央画像分割領域84、右側画像分割領域86に分けられており、MID28の第2表示領域48は、3つの表示分割領域、左から順に、左側表示分割領域92、中央表示分割領域94、右側表示分割領域96に分けられている。左側画像分割領域82は左側表示分割領域92に、中央画像分割領域84は中央表示分割領域94に、右側画像分割領域86は右側表示分割領域96にそれぞれ対応付けられている。点92aは、左側表示分割領域92におけるマーク100の表示位置を示し、点94aは、中央表示分割領域94におけるマーク100の表示位置を示し、点96aは、右側表示分割領域96におけるマーク100の表示位置を示している。なお、画像分割領域及び表示分割領域は、MID28の第2表示領域48に表示される道路52のライン52L、52Rに沿う形(ハの字)に分割されていてもよい。また、画像分割領域及び表示分割領域は、第1表示領域46、第2表示領域48を4つ以上に分割した領域であってもよい。
表示分割領域選択部68は、監視対象物が左側画像分割領域82に存在する場合は、左側表示分割領域92を選択し、第2表示制御部72は、表示分割領域選択部68が選択した左側表示分割領域92の表示位置92aにマーク100を表示させる。また、表示分割領域選択部68は、監視対象物が中央画像分割領域84に存在する場合は、中央表示分割領域94を選択し、第2表示制御部72は、表示分割領域選択部68が選択した中央表示分割領域94の表示位置94aにマーク100を表示させる。また、表示分割領域選択部68は、監視対象物が右側画像分割領域86に存在する場合は、右側表示分割領域96を選択し、第2表示制御部72は、表示分割領域選択部68が選択した右側表示分割領域96の表示位置96aにマーク100を表示させる。従って、第2表示制御部72は、複数の監視対象物が同一の画像分割領域に存在する場合であっても、該画像分割領域に対応する表示分割領域には1つのマーク100しか表示させないことになる。
本実施の形態に係る車両周辺監視装置10は、基本的には以上のように構成される。続いて、この車両周辺監視装置10の動作の一例を、図6のフローチャートに沿って、他の図面を適宜参照しながら説明する。
画像処理部14は、赤外線カメラ16L、16Rによって得られた撮像画像IL、IRを取得する(ステップS1)。赤外線カメラ16L、16Rは、所定のフレームレート、例えば、30fps(1秒間に30フレームを撮像するフレームレート)で撮像を行うものとする。なお、図6のフローチャートに示す動作は、1/30秒周期で実行するものとする。つまり、赤外線カメラ16L、16Rが1回撮像するたびに図6のフローチャートに示す動作が実行される。
次いで、対象物検出部60は、ステップS1で取得した撮像画像ILに基づいて、撮像画像IL内に存在する監視対象物を検出する(ステップS2)。対象物検出部60は、撮像画像IL内に複数の監視対象物が存在する場合は、複数の監視対象物を検出する。
次いで、画像分割領域判断部62は、ステップS2で検出された監視対象物が撮像画像ILのどの画像分割領域に存在するかを判断する(ステップS3)。画像分割領域判断部62は、複数の監視対象物が検出された場合は、それぞれの監視対象物がどの画像分割領域に存在するかを判断する。
次いで、表示分割領域選択部68は、ステップS3で判断した監視対象物が存在する画像分割領域に対応するMID28の第2表示領域48の表示分割領域を選択する(ステップS4)。例えば、画像分割領域判断部62により監視対象物が右側画像分割領域86に存在すると判断された場合は、表示分割領域選択部68は、右側表示分割領域96を選択する。
次いで、危険度評価部66は、複数の監視対象物が同一の画像分割領域に存在するか否かを判断する(ステップS5)。この判断は、ステップS3の判断結果に基づいて判断する。
ステップS5で、複数の監視対象物が同一の画像分割領域に存在しない場合は、危険度評価部66は危険度が低いと評価してステップS6に進み、ステップS5で、複数の監視対象物が同一の画像分割領域に存在する場合は、危険度評価部66は危険度が高いと評価してステップS7に進む。
ステップS6に進むと、第2表示制御部72は、ステップS4で選択した表示分割領域の表示位置で、監視対象物をシンボル化したマーク100をMID28に表示させて、ステップS8に進む。
図7Aは、ステップS1で取得した撮像画像ILの一例を示し、図7Bは、図7Aに示す撮像画像ILを取得した場合に、ステップS6でMID28の第2表示領域48に表示される模擬画像50の一例を示す図である。
図7Aに示すように、中央画像分割領域84に監視対象物H1が存在し、右側画像分割領域86に監視対象物H2が存在し、同一の画像分割領域には複数の監視対象物が存在しないことがわかる。
図7Aは、監視対象物H1、H2が中央画像分割領域84と右側画像分割領域86に存在するので、ステップS4で、選択される表示分割領域は、中央表示分割領域94と右側表示分割領域96となり、図7Bに示すように、ステップS6で、マーク100は、中央表示分割領域94の表示位置94aと、右側表示分割領域96の表示位置96aとに表示される。これにより、監視対象物の存在がMID28に表示され、運転者は、視線を前方に向けたままの状態でMID28を一見するだけで、監視対象物の存否、監視対象物が存在する場合にはその位置を容易且つ瞬時に把握することができる。なお、マーク100は、所定の色(例えば、黄色)で表示される。
一方、ステップS7に進むと、第2表示制御部72は、ステップS4で選択した表示分割領域の表示位置で、監視対象物をシンボル化したマーク100を強調してMID28に表示させて、ステップS8に進む。これにより、監視対象物の存在が強調表示されることになる。このシンボル化したマーク100の強調表示は、監視対象物が複数存在すると判断された画像分割領域に対応する表示分割領域に対してのみ行い、1つの監視対象物しか存在しない画像分割領域に対応する表示分割領域には、マーク100を強調しないで単に表示させる。
図8Aは、ステップS1で取得した撮像画像ILの一例を示し、図8Bは、図8Aに示す撮像画像ILを取得した場合に、ステップS7でMID28の第2表示領域48に表示される模擬画像50の一例を示す図である。図8Aに示すように、右側画像分割領域86に複数の監視対象物H1、H2、H3が存在することがわかる。
図8Aは、監視対象物H1、H2、H3が右側画像分割領域86に存在するので、ステップS4で、選択される表示分割領域は右側表示分割領域96となり、図8Bに示すように、ステップS7で、マーク100は、右側表示分割領域96の表示位置96aに表示される。ここで、右側画像分割領域86には、複数の監視対象物H1、H2、H3が存在するので、右側表示分割領域96に、マーク100を強調して表示させる。図8Bに示す例では、便宜上、マーク100を斜線で表すことで強調表示しているが、ステップS6で表示されるマーク100の色(所定の色)とは異なる色(例えば、赤色)でマーク100を強調表示させてもよいし、マーク100を左右又は上下に震動させることで、マーク100を強調表示させてもよい。また、マーク100を点滅させて表示させることでマーク100を強調表示させてもよい。このように、マーク100自体を強調表示させることで、監視対象物の存在を強調してMID28に表示させることができる。
ステップS8に進むと、第1表示制御部70は、ステップS1で直近に取得した撮像画像ILを汎用ディスプレイ26の第1表示領域46に表示させる。
次に、車両周辺監視装置10の動作の別の一例を、図9のフローチャートに沿って、他の図面を適宜参照しながら説明する。
画像処理部14は、赤外線カメラ16L、16Rによって得られた撮像画像IL、IRを取得する(ステップS11)。赤外線カメラ16L、16Rは、所定のフレームレート、例えば、30fps(1秒間に30フレームを撮像するフレームレート)で撮像を行うものとする。なお、図9のフローチャートに示す動作は、1/30秒周期で実行するものとする。つまり、赤外線カメラ16L、16Rが1回撮像するたびに図9のフローチャートに示す動作が実行される。
次いで、対象物検出部60は、ステップS11で取得した撮像画像ILに基づいて、撮像画像IL内に存在する監視対象物を検出する(ステップS12)。対象物検出部60は、撮像画像IL内に複数の監視対象物が存在する場合は、複数の監視対象物を検出する。
次いで、画像分割領域判断部62は、ステップS12で検出された監視対象物が撮像画像ILのどの画像分割領域に存在するかを判断する(ステップS13)。画像分割領域判断部62は、複数の監視対象物が検出された場合は、それぞれの監視対象物がどの画像分割領域に存在するかを判断する。
次いで、表示分割領域選択部68は、ステップS13で判断した監視対象物が存在する画像分割領域に対応するMID28の第2表示領域48の表示分割領域を選択する(ステップS14)。例えば、画像分割領域判断部62により監視対象物が右側画像分割領域86に存在すると判断された場合は、表示分割領域選択部68は、右側表示分割領域96を選択する。
次いで、危険度評価部66は、複数の監視対象物が同一の画像分割領域に存在するか否かを判断する(ステップS15)。この判断は、ステップS13の判断結果に基づいて判断する。ステップS15で、複数の監視対象物が同一の画像分割領域に存在しない場合は、危険度評価部66は危険度が低いと評価してステップS16に進む。
ステップS16に進むと、第2表示制御部72は、ステップS14で選択した表示分割領域の表示位置で、監視対象物をシンボル化したマーク100をMID28に表示させて、ステップS21に進む。このステップS11〜ステップS16、ステップS21の動作は、図6のステップS1〜ステップS6、ステップS8の動作と同様である。
ステップS15で、複数の監視対象物が同一の画像分割領域に存在すると判断すると、移動方向検出部64は、同一の画像分割領域に存在すると判断した複数の監視対象物の移動方向をそれぞれ検出する(ステップS17)。
次いで、危険度評価部66は、同一の画像分割領域に存在すると判断した複数の監視対象物のうち、少なくとも1つが車両12に接近しているか否かを判断する(ステップS18)。例えば、監視対象物が車両12の進行方向に向かって移動している場合や監視対象物が前方から車両12に向かって移動している場合等は、監視対象物が車両12に接近していると判断する。ステップS18の判断は、ステップS17で検出された監視対象物の移動方向に基づいて判断する。
ステップS18で、監視対象物が車両12に接近していると判断すると、危険度評価部66は、危険度が高いと評価してステップS19に進み、ステップS18で、監視対象物が車両12に接近していないと判断すると、危険度評価部66は、危険度が低いと評価してステップS16に進む。
ステップS19に進むと、表示分割領域選択部68は、該複数の監視対象物が存在する画像分割領域は、中央画像分割領域84であるか否かを判断する。
ステップS19で、複数の監視対象物が存在する画像分割領域は、中央画像分割領域84である判断すると、ステップS16に進む。ステップS16に進むと、第2表示制御部72は、ステップS14で選択した表示分割領域の表示位置で、監視対象物をシンボル化したマーク100をMID28に表示させて、ステップS21に進む。
一方、ステップS19で、複数の監視対象物が存在する画像分割領域は、中央画像分割領域84でないと判断すると、選択する表示分割領域を拡張して、更に表示分割領域を選択する(ステップS20)。複数の監視対象物が存在する場合は、つまり、ステップS14で選択した表示分割領域に加え、更に表示分割領域を選択する。更に選択する表示分割領域は、ステップS14で選択した表示分割領域であって、複数の監視対象物が存在する画像分割領域に対応する表示分割領域より車両12の進行方向(第2表示領域48の中央)寄りの表示分割領域である。複数の監視対象物が同一の画像分割領域にいる場合であって、監視対象物が車両12に接近している場合は、監視対象物が飛び出して来ると予測できる画像分割領域に対応する表示分割領域を更に選択する。
具体的に説明すると、例えば、右側画像分割領域86に複数の監視対象物が存在し、ステップS14で、右側表示分割領域96が選択された場合は、ステップS20で、右側表示分割領域96より車両12の進行方向寄りの中央表示分割領域94を更に選択する。また、左側画像分割領域82に複数の監視対象物が存在し、ステップS14で、左側表示分割領域92が選択された場合は、ステップS20で、左側表示分割領域92より車両12の進行方向寄りの中央表示分割領域94を更に選択する。
ステップS20で、選択する表示分割領域を拡張すると、ステップS16に進み、第2表示制御部72は、ステップS14で選択した表示分割領域の表示位置と、ステップS20で選択した表示分割領域の表示位置とで、監視対象物をシンボル化したマーク100をMID28に表示させて、ステップS21に進む。
図10Aは、ステップS11で取得した撮像画像ILであって、監視対象物が右側画像分割領域86に複数存在する場合の撮像画像ILの一例を示し、図10Bは、図10Aに示す撮像画像ILを取得した場合に、ステップS16でMID28の第2表示領域48に表示される模擬画像50の一例を示す図である。図10Aに示すように、右側画像分割領域86に複数の監視対象物H1、H2、H3が存在することがわかる。
図10Aは、監視対象物H1、H2、H3が右側画像分割領域86に存在するので、ステップS14で選択される表示分割領域は右側表示分割領域96となり、図10Bに示すように、ステップS16で、マーク100は、右側表示分割領域96の表示位置96aに表示される。ここで、右側画像分割領域86には、複数の監視対象物H1、H2、H3が存在し、監視対象物H2は、車両12の進行方向に向かって移動しているので、ステップS20で、更に選択される表示分割領域は、右側表示分割領域96より車両12の進行方向寄りの中央表示分割領域94となり、ステップS16で、マーク100は、中央表示分割領域94の表示位置94aにも表示される。これにより、監視対象物の存在が強調表示されることになる。
ここで、車両12の進行方向は、ハンドル42が切られていない状態では、撮像画像ILの中央にある目的物に向かう方向(直進方向)であり、ハンドル42が切られている場合は、撮像画像ILの中央にある目的物に向かう方向と、ヨーレートセンサ22が検出したヨーレートYrとから進行方向を求めることができる。図10Aでは、ハンドル42が切られていない状態とする。例えば、ハンドル42が右に切られている場合は、撮像画像ILの中央にある目的物に向かう方向をヨーレートYrに相当する角度だけ右側に回転させた方向が直進方向となり、ハンドル42が左に切られている場合は、撮像画像ILの中央にある目的物に向かう方向をヨーレートYrに相当する角度だけ左側に回転させた方向が直進方向となる。図10Aの一点鎖線P1は、車両12の予測軌道を示しており、車両12の進行方向を示している。
図11Aは、ステップS11で取得した撮像画像ILであって、監視対象物が中央画像分割領域84に複数存在する場合の撮像画像ILの一例を示し、図11Bは、図11Aに示す撮像画像ILを取得した場合に、ステップS16でMID28の第2表示領域48に表示される模擬画像50の一例を示す図である。図11Aに示すように、中央画像分割領域84に複数の監視対象物H1、H2、H3が存在することがわかる。
図11Aは、監視対象物H1、H2、H3が中央画像分割領域84に存在するので、ステップS14で選択される表示分割領域は中央表示分割領域94となり、図11Bに示すように、ステップS16で、マーク100は、中央表示分割領域94の表示位置94aに表示される。ここで、複数の監視対象物が中央画像分割領域84に存在するので、更に表示分割領域が選択されることはない。従って、ステップS14で選択した中央表示分割領域94のみにマーク100が表示されることになる。
ステップS21に進むと、第1表示制御部70は、ステップS11で直近に取得した撮像画像ILを汎用ディスプレイ26の第1表示領域46に表示させる。
このように、監視対象物が存在する画像分割領域に対応する第2表示領域48の表示分割領域にマークを表示させるので、運転者は、視線を前方に向けたままの状態でMID28を一見するだけで、監視対象物の存否、監視対象物が存在する場合はその位置を容易且つ瞬時に把握することができる。また、監視対象物が同じエリアにかたまって多数存在する場合は、少なくとも1つが飛び出してくる可能性が高いので、監視対象物の存在を強調して表示させることで、運転者に注意喚起を促すことができる。
また、監視対象物の存在の強調表示として、表示させるマークを強調表示させてもよい。これにより、マークが強調表示される表示分割領域に監視対象物が複数いることを運転者は瞬時に認識することができ、注意を払うことができる。
また、監視対象物の存在の強調表示として、マークを表示させる表示分割領域を拡張してもよい。これにより、監視対象物が飛び出してくるかもしれないエリアに対しても運転者に注意喚起を促すことができる。更に、監視対象物の移動方向を検出し、監視対象物が車両12に接近する可能性がある場合に、マークを表示させる表示分割領域を拡張してもよい。これにより、監視対象物が飛び出してくるエリアに対して運転者に注意喚起を促すことができる。
上記実施の形態は、以下のように変形してもよい。
(変形例1)上記実施の形態の図9のフローチャートに示す動作では、複数の監視対象物が同一の画像分割領域に存在する場合であって、その何れかの監視対象物が車両12に接近している場合に、選択する表示分割領域を拡張してマーク100を表示させるようにしたが、監視対象物が車両12に接近していなくても、複数の監視対象物が同一の画像分割領域に存在する場合は、選択する表示分割領域を拡張してマーク100を表示させるようにしてもよい。
即ち、図9のステップS15で、複数の監視対象物が1つの画像分割領域に存在すると判断すると、ステップS17、ステップS18の動作を飛ばして、ステップS19に進むようにしてもよい。監視対象物が同一の画像分割領域に複数存在する場合は、監視対象物が飛び出してくる可能性が高いと評価できるからである。
(変形例2)上記実施の形態では、人間を監視対象物として検出するようにしたが、人間以外のもの、例えば、犬、猫、鹿等の動物等を監視対象物として検出するようにしてもよい。この場合は、監視対象物に応じてMID28に表示させるマークを異ならせるようにしてもよい。
(変形例3)上記図9のフローチャートに示す動作においては、複数の監視対象物が同一の画像分割領域に存在する場合は、選択する表示分割領域を拡張したが、表示分割領域を拡張することで、全ての表示分割領域、又は一定の割合(例えば、80%)以上の表示分割領域が選択されてしまう場合は、選択する表示分割領域を拡張しなくてもよい。例えば、左側画像分割領域82に監視対象物が1つ存在し、右側画像分割領域86に複数の監視対象物が存在する場合は、ステップS14で左側表示分割領域92と右側表示分割領域96が選択され、ステップS20で更に、中央表示分割領域94が選択されることになり、全ての表示分割領域が選択され、全ての表示分割領域にマーク100が表示されることになる。このように、一定の割合以上の表示分割領域にマーク100が表示されると、運転者が混乱してしまうので、このような場合は、選択する表示分割領域の拡張を行わないようにしてもよい。
(変形例4)上記変形例1〜3を任意に組み合わせた態様であってもよい。
以上、本発明について好適な実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。