図1は、本発明の一実施形態に係る紙幣取扱装置の概略構成図である。図2は、図1に示される紙幣入出金部の概略構成図である。図1及び図2を参照しながら、紙幣取扱装置10の構成について説明する。
図1に例示されるように、紙幣取扱装置10は、制御部20と、停電時に制御部20を介して紙幣取扱装置10の各部に電力を供給する無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)である電源30と、係員/顧客操作部(以降、UOPと記す。)40と、カード読取り印字部50と、通帳印字部60と、紙幣入出金部70と、硬貨入出金部80と、を備えている。
さらに、紙幣取扱装置10は、LANを介して、ルータ/TC/GW90と、監視システム100と、電源120を備えたセカンドディスプレイ110と、ネットワークカメラ130と、モデム140に接続されている。なお、ルータ/TC/GW90及びモデム140は、さらに専用線などのネットワークを介して、図示しないホストコンピュータに接続されている。
制御部20は、紙幣取扱装置10の各部の動作を制御する機能を有していて、ルータ/TC/GW90を介してホストコンピュータとホスト管理有高等のデータのやり取りを制御するホスト回線制御部21と、監視システム100とのデータのやり取りを制御する監視系通信制御部22と、外部機器(ここでは、液晶ディスプレイ(以降、LCDと記す。)111と制御部112を備えたセカンドディスプレイ110と、ネットワークカメラ130とが例示されている。)を制御する外部機器制御部23と、UOP40を制御するUOP制御部24と、を備えている。
さらに、制御部20は、USBインターフェース25と、HUB26と、HDD27aと光学ドライブ27bを備えた補助記憶部27と、モデム140に接続されたホスト回線部28と、を備えている。なお、HUB26は、カード読取り印字部50、通帳印字部60、紙幣入出金部70、硬貨入出金部80を電気的に相互に接続するように、構成されている。
UOP40は、顧客や係員とのインターフェースとして機能するものであり、顧客や係員に対して取引画面や管理画面を提供する液晶ディスプレイ(LCD)41と、LCD41に重ねて配置された顧客や係員の操作を受け付けるタッチパネル42と、音声を出力するスピーカ43と、顧客の存在を検知する顧客センサ44と、紙幣取扱装置10で取り扱い可能な取引を表示する取扱い表示部45と、ハンドセット46と、紙幣取扱装置10を使用する顧客や係員の様子を撮影するカメラ47と、テンキー48とを備えている。
カード読取り印字部50は、カードの磁気ストライプやICチップに対する読み書き、カード表面のイメージの読み取りなどを行う役割を担い、通帳印字部60は、通帳の磁気ストライプに対する読み書き、通帳への印字などを行う役割を担っている。また、紙幣入出金部70、硬貨入出金部80は、それぞれ、紙幣、硬貨の入出金を処理する役割を担っている。
紙幣入出金部70は、より詳細には、図2に例示されるように、紙幣の真贋及び紙幣状態を鑑別する鑑別部72と、処理が確定されるまでの間、紙幣を一時的に保留する一時保留部73と、顧客が取り忘れた紙幣を収納する取忘ボックス74と、リジェクトボックス75と、入出金に使用される紙幣が収納されるスタッカ(千円札を収納するスタッカ76、一万円札を収納するスタッカ77a及びスタッカ77b)と、スタッカ内の紙幣量を調整するカセット(カセット78、カセット79)とを備えている。
スタッカ(スタッカ76、スタッカ77a、スタッカ77b)がリサイクルボックスとして機能するのに対して、リジェクトボックス75は、リサイクルされない紙幣が収納される。具体的には、鑑別部72で鑑別できなかった紙幣である不良券、鑑別は正常に行われたが紙幣の一部が破損して流通させるには不適当と判断された紙幣である損券、ATMに入金された不良券でも損券でもない正常券であるが出金に使用されない紙幣(例えば、二千円札や5千円札)が、リジェクトボックス75に収納される。なお、以降では、リジェクトボックスに収納されるこれらの紙幣をリジェクト紙幣と総称して記す。
リジェクトボックス75では、図3に例示されるように、紙幣はリジェクトボックス75の底部から上部に向かって順に積層される。このため、図3に示されるように、例えば、紙幣B1、紙幣B2、紙幣B3が順にリジェクトボックス75に搬送されると、リジェクトボックス75には、底部から上部に向かって紙幣B1、紙幣B2、紙幣B3の順に紙幣が積層されて収納されることになる。
図4は、図1に示される紙幣取扱装置の機能ブロック図である。図4を参照しながら、紙幣取扱装置10の機能について説明する。
図4に例示されるように、自動取引装置10は、紙幣の真贋及び紙幣状態を鑑別する鑑別手段11と、リジェクト紙幣を収納するリジェクト紙幣収納手段12と、リジェクト紙幣収納手段12に収納される紙幣毎の紙幣状態を格納する紙幣状態格納手段13と、鑑別手段11による鑑別の結果に基づいてリジェクト紙幣収納手段12に収納される紙幣毎の紙幣状態を紙幣状態格納手段13に記録する紙幣状態記録手段14と、紙幣状態格納手段13を参照してリジェクト紙幣収納手段12に収納された不良券の前後の紙幣の紙幣状態を表示する表示手段15と、紙幣状態格納手段13に格納されている、リジェクト紙幣収納手段12に収納された不良券の紙幣状態を補正する補正手段16と、紙幣取扱装置の係員による紙幣状態の入力を受け付ける入力手段17と、を備えている。
ここで、図4における鑑別手段11、リジェクト紙幣収納手段12は、例えば、それぞれ、図2における鑑別部72、リジェクトボックス75によって実現される。また、図4における紙幣状態格納手段13、紙幣状態記録手段14、表示手段15、補正手段16は、例えば、それぞれ、図1における、後述する紙幣状態格納テーブルを有する補助記憶部27、制御部20、LCD41によって実現される。さらに、図4における入力手段17は、例えば、図1におけるタッチパネル42及びテンキー48によって実現される。
紙幣取扱装置10では、搬送された紙幣が鑑別手段11によりリジェクト紙幣であると判断された場合には、その紙幣をリジェクト紙幣収納手段12が収納するとともに、紙幣状態記録手段14が鑑別手段11による鑑別の結果に基づいてリジェクト紙幣収納手段12に収納される紙幣毎の紙幣状態を紙幣状態格納手段13に記録する。その後、紙幣取扱装置10では、係員の要求に応じて、表示手段15が紙幣状態格納手段13を参照してリジェクト紙幣収納手段12に収納された不良券の前後の紙幣の紙幣状態を表示する。
このように、紙幣取扱装置10は、表示手段15にリジェクト紙幣収納手段12に収納された不良券の前後の紙幣の状態を表示させる機能を有している。
また、紙幣取扱装置10では、補正手段16が、紙幣取扱装置10の係員による紙幣状態の入力に従って、または、リジェクト紙幣収納手段12に収納された紙幣を鑑別手段11で鑑別し直した結果に基づいて、紙幣状態格納手段13に格納された不良券の紙幣状態を補正する。
このように、紙幣取扱装置10は、紙幣状態格納手段13に格納されている、リジェクト紙幣収納手段12に収納された不良券の紙幣状態を補正する機能を有している。
図5は、図1に示される紙幣取扱装置で行われる紙幣収納処理のフローチャートである。図6は、図1に示される紙幣取扱装置に設けられた紙幣状態判別テーブルを例示した図である。図7は、図1に示される紙幣取扱装置に設けられた紙幣状態格納テーブルを例示した図である。図5から図7を参照しながら、紙幣取扱装置10で行われる紙幣収納処理について、詳細に説明する。なお、図6に例示される紙幣状態判別テーブル及び図7に例示される紙幣状態格納テーブルは、補助記憶部27に設けられている。
まず、紙幣取扱装置10が起動すると、制御部20は、初期化処理を実行してリジェクトボックス75に収納されている紙幣の予想枚数Nを0に設定する(ステップS1)。その後、紙幣が鑑別部72に搬送されると、鑑別部72は紙幣鑑別処理を実行して(ステップS2)、制御部20に鑑別の結果を通知する。制御部20は、鑑別部72から通知された鑑別の結果に基づいて、紙幣の収納先がリジェクトボックス75であるか否かを判断する(ステップS3)。
紙幣の収納先がリジェクトボックス75でない場合、つまり、紙幣が正常券であってリサイクルされる一万円札または千円札である場合には、制御部20は紙幣をスタッカ(スタッカ76、スタッカ77a、スタッカ77b)に搬送して、鑑別部72が次の紙幣について紙幣鑑別処理を実行する(ステップS2)。
一方、紙幣の収納先がリジェクトボックス75である場合には、制御部20は、鑑別部72から通知された鑑別の結果から、紙幣の金種を識別する金種情報、紙幣の表裏を識別する表裏情報(以降、状態1と記す。)、紙幣の順方向と逆方向とを識別する方向情報(以降、状態2と記す。)を取得する(ステップS4)。なお、金種情報としては、“一万円”、“五千円”、“二千円”、“千円”の4金種に、鑑別不能を示す“不良”を加えた5種類が存在する。
その後、制御部20は、ステップS4で得られた金種情報、表裏情報、方向情報をキーにして、補助記憶部27に設けられた紙幣状態判別テーブルを検索して、キーに対応する紙幣状態を示す番号を取得する(ステップS5)。
ここで、紙幣状態判別テーブルは、図6に例示されるように、金種、紙幣の表裏を示す状態1、紙幣の方向を示す状態2、紙幣状態の計4つの欄から構成されている。紙幣状態判別テーブルには、不良を除く金種(4種類)と状態1(2種類)と状態2(2種類)の組み合わせにより得られる16種類に、不良を示す1種類を加えた計17種類の紙幣状態を示す17レコードのデータが存在している。なお、紙幣状態の欄に格納された番号は、紙幣の金種と状態1と状態2とを一意に特定する番号である。
紙幣状態を示す番号を取得すると、制御部20は、相対位置の欄が予想枚数Nに1を加えたN+1であり、紙幣状態の欄がステップS5で得られた紙幣状態を示す番号であるレコードを、図7に例示される紙幣状態格納テーブルに追加する(ステップS6)。例えば、最初にリジェクトボックス75に収納されるリジェクト紙幣が裏面で且つ逆方向に収納される千円札である場合には、紙幣状態格納テーブルに、相対位置の欄が1(=N+1)であり、紙幣状態の欄が16であるレコードが追加される。
ここで、紙幣状態格納テーブルは、図7に例示されるように、相対位置と紙幣状態の2つの欄から構成されている。なお、相対位置の欄に格納された値は、リジェクトボックス75の底部から数えた場合の各レコードに対応する紙幣の予想位置を示している。従って、リジェクトボックス75の上部から数えた場合の各レコードに対応する紙幣の予想位置は、図7においてテーブル外に示されているように、相対位置が大きいほど小さくなる。
レコードの追加が完了すると、制御部20がリジェクトボックス75に収納されている紙幣の予想枚数Nを1だけインクリメントし(ステップS7)、鑑別部72が次の紙幣について紙幣鑑別処理を実行する(ステップS2)。
以上の処理を繰り返すことで、紙幣取扱装置10は、リジェクトボックス75内に収納された紙幣の紙幣状態を紙幣状態格納テーブルに格納して管理することができる。
図8は、図1に示される紙幣取扱装置に表示される金種別枚数表示画面を例示した図である。図9は、図1に示される紙幣取扱装置に表示される1件目の不良券に関する不良券表示画面を例示した図である。図10は、紙幣状態判別テーブルと紙幣状態格納テーブルとから生成される図9に例示される不良券表示画面を生成するためのデータを例示した図である。図11は、図2に示されるリジェクトボックス内の紙幣の様子を例示した図である。図12は、図1に示される紙幣取扱装置に表示される2件目の不良券に関する不良券表示画面を例示した図である。図13は、紙幣状態判別テーブルと紙幣状態格納テーブルとから生成される図12に例示される不良券表示画面を生成するためのデータを例示した図である。図14は、図2に示されるリジェクトボックス内の紙幣の様子を例示した図である。図15は、係員の目視確認により特定された図2に示されるリジェクトボックス内の不良券を例示した図である。図8から図15を参照しながら、紙幣取扱装置10で行われる不良券の前後に存在する紙幣の表示処理と、係員により行われる不良紙幣の特定方法について、紙幣格納状態テーブルに図7に示されるデータが記録されている場合を例に、詳細に説明する。
まず、係員がタッチパネル42を操作することにより、制御部20はLCD41に図8に例示されるような金種別枚数表示画面を表示させる。係員はこのような金種別枚数表示画面を確認することで不良券の存在を把握することができる。なお、図8では、リジェクトボックスが複数ある場合の例が示されている。
係員が金種別枚数表示画面に表示された不良紙幣確認ボタンを押下すると、制御部20は、図6及び図7に例示される紙幣状態判別テーブルと紙幣状態格納テーブルを検索して、1件目の不良券の前後にある所定枚数の紙幣の紙幣状態とそれらの紙幣の並びを示す図10に例示されるようなデータを生成する。さらに、制御部20は、生成されたデータの内容を視覚的に示すイメージデータを生成して、そのイメージデータを用いて図9に例示されるような不良券の前後の紙幣の紙幣状態とそれらの紙幣の並びを視覚的に示した不良券表示画面を生成して、LCD41に表示させる。なお、ここで、1件目の不良券とは、リジェクトボックス75内にある複数の不良券のうちの最もリジェクトボックス75の上部に存在する不良券のことである。
その後、係員は、図11に例示されるように、リジェクトボックス75内にある現物の紙幣を目視で確認する。この際、画面に表示された不良券の前後の紙幣の紙幣状態と並びがリジェクトボックス75内にある現物の紙幣の紙幣状態と並びに一致することを確認することにより、不良券を特定する。
さらに、係員が図9に例示される不良券表示画面の次へボタンを押下すると、制御部20は、2件目の不良券の前後にある所定枚数の紙幣の紙幣状態とそれらの紙幣の並びを示す図13に例示されるようなデータを生成する。さらに、制御部20は、生成されたデータに基づいて、図12に例示されるような2件目の不良券の前後の紙幣の紙幣状態とそれらの紙幣の並びを視覚的に示した不良券表示画面を、LCD41に表示させる。
その後、係員は、図14に例示されるように、リジェクトボックス75内にある現物の紙幣を目視で確認する。この際、画面に表示された不良券の前後の紙幣の紙幣状態と並びがリジェクトボックス75内にある現物の紙幣の紙幣状態と並びに一致することを確認する作業を行う。不良券の前側に関しては画面の表示と現物が一致しているが、不良券の後側に関しては一致しない場合には、不良券は複数枚の紙幣から構成されていると考えられる。このため、このような場合には、係員は、画面の表示と現物が一致するまで、比較対象とする現物紙幣の位置を後側にずらしながら画面表示と現物の紙幣を比較する。図14の例では、比較対象とする現物紙幣の位置を紙幣一枚分だけ後方にずらすことで画面の表示と現物が一致していることから、係員は、不良券が14枚目と15枚目の紙幣から構成されていることを特定することができる。
以上のような不良券表示画面の表示と現物紙幣との比較を繰り返すことにより、図15に例示されるように、係員はリジェクトボックス75内のすべての不良券を特定することができる。
図16は、図1に示される紙幣取扱装置に表示される1件目の不良券に関する不良券金種/枚数補正画面を例示した図である。図17は、不良券補正後の、図1に示される紙幣取扱装置に表示される1件目の不良券に関する不良券表示画面を例示した図である。図18は、図1に示される紙幣取扱装置に表示される2件目の不良券に関する不良券金種/枚数補正画面を例示した図である。図19は、不良券補正後の、図1に示される紙幣取扱装置に表示される2件目の不良券に関する不良券表示画面を例示した図である。図20は、不良券補正後の、図1に示される紙幣取扱装置に表示される金種別枚数表示画面を例示した図である。図21は、不良券補正後の、図1に示される紙幣取扱装置に設けられた紙幣状態格納テーブルを例示した図である。図16から図21を参照しながら、紙幣取扱装置10で行われる、紙幣状態格納テーブルに格納されている不良券の紙幣状態を補正する処理について、紙幣格納状態テーブルに図7に示されるデータが記録されている場合を例に、詳細に説明する。
係員が図9に例示される1件目の不良券に関する不良券表示画面の金種枚数補正ボタンを押下すると、制御部20は図16に例示されるような1件目の不良券に関する不良券金種/枚数補正画面をLCD41に表示させる。
係員は、不良券金種/枚数補正画面で、上述した比較により特定された1件目の不良券の紙幣状態(ここでは、金種と枚数)を入力する。例えば、1件目の不良券が一万円札1枚で構成されていることが特定されている場合であれば、画面中の「一万円札0枚」の横に配置された入力ボタンを押下し、テンキー群の1ボタンを押下する。そして、最後に入力完了ボタンを押下する。なお、図16では、不良券金種/枚数補正画面では、紙幣状態のうち、金種と枚数のみ入力する例を示したが、さらに、紙幣の表裏や方向も入力されることが望ましい。
入力完了ボタンが押下されると、制御部20は、係員による不良券金種/枚数補正画面での不良券の紙幣状態の入力に従って、紙幣状態格納テーブルに格納されている1件目の不良券の紙幣状態を補正して更新する。具体的には、例えば、相対位置7のレコードの紙幣状態を17から1に更新する。また、上述したATM管理有高の基礎となるデータが、紙幣状態格納テーブルとは別に管理されている場合には、その基礎となるデータも更新する。その後、制御部20は、不良券が表示される位置に補正された紙幣状態の紙幣が表示された、図17に例示されるような不良券表示画面をLCD41に表示させる。
係員が図17に例示される不良券表示画面の次へボタンを押下し、2件目の不良券に関する不良券表示画面の金種枚数補正ボタンを押下すると、制御部20はLCD41に図18に例示されるような2件目の不良券に関する不良券金種/枚数補正画面を表示させる。
係員は、不良券金種/枚数補正画面で、上述した比較により特定された2件目の不良券の紙幣状態(ここでは、金種と枚数)を入力する。例えば、2件目の不良券が千円札1枚と五千円札1枚とで構成されていることが特定されている場合であれば、入力ボタンとテンキーを使って五千円札1枚と千円札1枚を入力する。そして、最後に入力完了ボタンを押下する。
入力完了ボタンが押下されると、制御部20は、係員による不良券金種/枚数補正画面での不良券の紙幣状態の入力に従って、紙幣状態格納テーブルに格納されている2件目の不良券の紙幣状態を補正して更新する。具体的には、例えば、相対位置2から15までのレコードの相対位置を1だけインクリメントした値に更新し、相対位置が2で紙幣状態が13のレコードを追加し、相対位置3のレコードの紙幣状態を17から5に更新する。また、上述したATM管理有高の基礎となるデータが、紙幣状態格納テーブルとは別に管理されている場合には、その基礎となるデータも更新する。その後、制御部20は、不良券が表示される位置に補正された紙幣状態の紙幣が表示された、図19に例示されるような不良券表示画面をLCD41に表示させる。なお、不良券が二枚の紙幣で構成されていたため、図19では、図12では15枚目に表示されていた千円札が、16枚目にずれて表示される。
以上のような補正処理をすべての不良券について繰り返し行うことにより、紙幣状態格納テーブルに格納されている不良券の紙幣状態を補正することができる。すべての不良券の紙幣状態の入力が完了すると、制御部20は、補正後のデータに基づいて、図20に例示されるような金種別枚数表示画面を、LCD41に表示させる。なお、図21は、補正後の紙幣状態格納テーブルのデータを示している。
上述したように、本実施例に係る紙幣取扱装置10によれば、リジェクトボックス75内に収納された紙幣の紙幣状態を紙幣状態格納テーブルに記録して管理することができる。このため、不良券がリジェクトボックス75のどこに存在するか、不良券の前後の紙幣はどのような状態でリジェクトボックス75内に収納されているか、といった情報を表示手段に表示することができる。これにより、表示手段に表示されたこれらの情報を参照することで、係員は現物確認作業において不良券を容易に特定することが可能となる。その結果、係員に課される紙幣精査の作業負担を軽減して紙幣精査時間を短縮することができる。
また、本実施例に係る紙幣取扱装置10によれば、現物確認により特定した不良券の紙幣状態に基づいて、紙幣状態格納テーブルに格納されている不良券の紙幣状態を補正することができる。また、ATM管理有高の基礎となるデータが紙幣状態格納テーブルとは別に管理されている場合には、その基礎となるデータも併せて補正することができる。従って、定期的に行われる紙幣精査の前にこのような補正処理を行うことで、紙幣精査が精査不一致で終了する回数を大幅に減少させることができる。その結果、係員に課される紙幣精査の作業負担を軽減して紙幣精査時間を短縮することができる。
以上では、係員による現物確認により不良券を特定して、紙幣状態格納テーブルに格納されている不良券の紙幣状態やATM管理有高の基礎となるデータを補正する例を示したが、紙幣状態格納テーブルに格納されている不良券の紙幣状態やATM管理有高の基礎となるデータは別の方法により補正されてもよい。以下、係員による現物確認を必要とすることなく上述したデータを補正する方法の一例について、図22から図45を参照しながら、説明する。
まず、係員がLCD41に表示されている、図22に例示される係員処理選択画面のリジェクト精査ボタンを押下すると、制御部20が図23に例示されるリジェクトボックス選択画面をLCD41に表示させる。リジェクトボックス選択画面では、各リジェクトボックスに対応するリジェクトボックスボタンが設けられていて、係員が任意のリジェクトボックスボタンを押下することで、制御部20が図24に例示されるリジェクト紙幣抜取り確認画面をLCD41に表示させる。なお、リジェクト精査ボタンは、すべてのリジェクトボックスがすでに精査済みである場合には非表示または無効化されていてもよく、また、リジェクトボックスボタンも、対応するリジェクトボックスがすでに精査済みの場合には、非表示または無効化されていてもよい。
係員がリジェクト紙幣抜取り確認画面の指示に従ってリジェクトボックスから紙幣を抜き取って確認ボタンを押下すると、制御部20は図25に例示されるリジェクト紙幣挿入画面をLCD41に表示させる。リジェクト紙幣挿入画面では、例えば、紙幣の挿入案内のアニメーションが表示されてもよい。
係員がリジェクト紙幣挿入画面の指示に従って、リジェクトボックスから抜き取った紙幣を紙幣投入口から挿入すると、制御部20は図26に例示されるリジェクト紙幣計数中画面をLCD41に表示させる。
リジェクト紙幣が投入されると、鑑別部72がこれらの紙幣を再鑑別し、鑑別後はすべての紙幣を強制的に再びリジェクトボックス75に搬送する。また、制御部20は、鑑別部72による鑑別結果を補助記憶部27に設けられたリジェクト紙幣再鑑別結果テーブルに記録する。図27は、リジェクト紙幣の再鑑別後のリジェクト紙幣再鑑別結果テーブルを例示している。図27に例示されるように、リジェクト紙幣再鑑別結果テーブルの構成は、紙幣状態格納テーブルと同様である。
さらに、制御部20は、図28に例示される処理フローに従って、紙幣状態格納テーブルのデータから不良券以外の紙幣の紙幣状態とその並びを格納状態一致パターンとして抽出する、格納状態一致パターン抽出処理を行う。
具体的には、まず、制御部20は、初期化処理を実行して格納状態一致パターンの番号mを1に、格納状態一致パターンmのレコード番号Xを1に、設定する(ステップS11)。次に、制御部20は、図29に例示される紙幣状態格納テーブルから相対位置がNのレコードの紙幣状態を取得する(ステップS12)。なお、パラメータNには、予め紙幣状態格納テーブルのレコード数が設定されているものとする。
制御部20は、取得した紙幣状態が“17”(つまり、不良券)か否かを判断する(ステップS3)。紙幣状態が“17”でない場合には、制御部20は、格納状態一致パターンmのテーブルに、相対位置の欄がXで、紙幣状態の欄が取得した紙幣状態であるレコードを追加し(ステップS14)、レコード番号Xを1だけインクリメントする(ステップS15)。一方、紙幣状態が“17”である場合には、格納状態一致パターンの番号mを1だけインクリメントして設定し、格納状態一致パターンmのレコード番号Xを1に設定する(ステップS16)。
その後、制御部20は、パラメータNを1だけデクリメントして(ステップS17)、パラメータNが0になっているか否かを判断する(ステップS18)。パラメータNが0になっている場合には、制御部20は、格納状態一致パターン抽出処理を終了し、パラメータNが0になっていない場合には、ステップS12から同様の処理を繰り返す。
以上の処理を繰り返すことにより、図29に例示される紙幣状態格納テーブルの各レコードが順番に読み込まれて、図30に例示される格納状態一致パターン1、図31に例示される格納状態一致パターン2、図32に例示される格納状態一致パターン3が、それぞれに対応するテーブルに抽出される。なお、図29の網掛け部分は、それぞれ、抽出された格納状態一致パターンに対応する部分を示している。
格納状態一致パターン抽出処理が終了すると、制御部20は、図33に例示される再挿入紙幣変換テーブルを用いて、格納状態一致パターンを変換したパターンを生成するパターン変換処理を行う。
具体的には、制御部20は、リジェクト紙幣がリジェクトボックス75から表裏を変えることなく投入口に投入された場合に、再鑑別結果から得られるパターンとして、図34、図35、図36に例示される表挿入格納状態一致パターン1、表挿入格納状態一致パターン2、表挿入格納状態一致パターン3を生成する。なお、各パターンの紙幣状態の欄のデータは、表裏も方向も変えずに投入した場合に得られるパターンを示し、各パターンの逆方向の欄のデータは、表裏は変えないが方向を変えて投入した場合に得られるパターンを示している。
また、制御部20は、リジェクト紙幣がリジェクトボックス75から表裏を変えて投入口に投入した場合に、再鑑別結果から得られるパターンとして、図37、図38、図39に例示される裏挿入格納状態一致パターン1、裏挿入格納状態一致パターン2、裏挿入格納状態一致パターン3を生成する。なお、各パターンの紙幣状態の欄のデータは、表裏も方向も変えずに投入した場合に得られるパターンを示し、各パターンの裏順方向の欄のデータは、表裏を変えて方向を変えずに投入した場合に得られるパターンを示し、各パターンの裏逆方向の欄のデータは、表裏も方向も変えて投入した場合に得られるパターンを示している。
パターン変換処理が終了すると、制御部20は、図40に例示される処理フローに従って、紙幣状態格納テーブルのデータとリジェクト紙幣再鑑別結果テーブルのデータを、格納状態一致パターン抽出処理とパターン変換処理により得られたパターンデータを用いて比較する比較処理を行う。
具体的には、まず、制御部20は、図27に例示されるリジェクト紙幣再鑑別結果テーブルのデータと図34から図36に例示される表挿入格納状態一致パターン1から3の紙幣状態の欄のデータを比較して(ステップS21)、リジェクト紙幣再鑑別結果テーブル中に表挿入格納状態一致パターン1から3の紙幣状態がすべて存在するか否かを判断する(ステップS22)。
ステップS22で存在しないと判断した場合には、制御部20は、図27に例示されるリジェクト紙幣再鑑別結果テーブルのデータと図34から図36に例示される表挿入格納状態一致パターン1から3の逆方向の欄のデータを比較して(ステップS23)、リジェクト紙幣再鑑別結果テーブル中に表挿入格納状態一致パターン1から3の逆方向の紙幣状態がすべて存在するか否かを判断する(ステップS24)。
ステップS24で存在しないと判断した場合には、制御部20は、図27に例示されるリジェクト紙幣再鑑別結果テーブルのデータと図37から図39に例示される裏挿入格納状態一致パターン1から3の裏順方向の欄のデータを比較して(ステップS25)、リジェクト紙幣再鑑別結果テーブル中に裏挿入格納状態一致パターン1から3の裏順方向の紙幣状態がすべて存在するか否かを判断する(ステップS26)。
ステップS26で存在しないと判断した場合には、制御部20は、図27に例示されるリジェクト紙幣再鑑別結果テーブルのデータと図37から図39に例示される裏挿入格納状態一致パターン1から3の裏逆方向の欄のデータを比較して(ステップS27)、リジェクト紙幣再鑑別結果テーブル中に裏挿入格納状態一致パターン1から3の裏逆方向の紙幣状態がすべて存在するか否かを判断する(ステップS28)。
ステップS22、ステップS24、ステップS26、ステップS28のいずれかですべてのパターンの紙幣状態が存在すると判断した場合には、制御部20は、紙幣状態格納テーブルに格納されている不良券の紙幣状態を、リジェクト紙幣再鑑別結果テーブルのデータに基づいて補正し、さらに、ATM管理有高の基礎となるデータが紙幣状態格納テーブルとは別に管理されている場合には、その基礎となるデータも併せて補正する(ステップS29)。紙幣状態格納テーブルに格納されている不良券の紙幣状態を補正する方法としては、例えば、リジェクト紙幣再鑑別結果テーブルのデータで紙幣状態格納テーブルのデータをすべて上書きする方法を採用してもよい。この場合、紙幣状態格納テーブルに格納されている不良券の紙幣状態が補正されるとともに、紙幣状態格納テーブルに格納されている紙幣状態がリジェクトボックス75に収納されている紙幣の紙幣状態に一致することになる。
ステップS29の補正処理が完了すると、制御部20は、図40に示される比較処理を終了し、図41に例示されるリジェクト紙幣補正枚数確認画面をLCD41に表示させる。図41に例示されるリジェクト紙幣補正枚数確認画面では、補正により、不良券が0枚に修正されて、一万円札、五千円札、千円札がそれぞれ一枚ずつ増加したことが示されている。
一方、制御部20がステップS28でパターンが存在しないと判断して、図40に示される比較処理を終了した場合には、制御部20は、図42に例示される紙幣精査失敗確認画面をLCD41に表示させる。この場合、係員による現物確認による不良券の紙幣状態の補正が必要であるため、その旨を画面上に表示してもよい。
なお、以上では、リジェクト紙幣の再鑑別で不良券が発生しなかった場合について説明したが、再鑑別で不良券が発生した場合には、制御部20は、上述した格納状態一致パターン抽出処理、パターン変換処理、及び、比較処理を行うことなく、図43に例示される係員紙幣精査継続選択画面をLCD41に表示させる。
係員が係員紙幣精査継続選択画面の再投入ボタンを押下して、もう一度リジェクト紙幣の計数を行うことを望んだ場合には、制御部20は、図44に例示される紙幣返却画面をLCD41に表示させて、係員による紙幣の再投入を待って再鑑別処理以降の処理を再度繰り返す。
一方、係員が係員紙幣精査継続選択画面の取消ボタンを押下して、精査の中止を望んだ場合には、制御部20は、図45に例示される第2の紙幣精査失敗確認画面をLCD41に表示させる。この場合、係員による現物確認による不良券の紙幣状態の補正が必要であるため、その旨を画面上に表示してもよい。
以上のようなリジェクト紙幣の再鑑別から始まる一連の処理を実行することにより、本実施例に係る紙幣取扱装置10によれば、再鑑別で不良券が発生しない限り、係員による現物確認なしで、紙幣状態格納テーブルに格納されている不良券の紙幣状態やATM管理有高の基礎となるデータを補正することができる。従って、係員に課される紙幣精査の作業負担をさらに軽減して、紙幣精査時間の短縮を図ることができる。
また、本実施例に係る紙幣取扱装置10によれば、再鑑別で得られたデータと再鑑別前から紙幣状態格納テーブルに格納されているデータとを比較することにより、これらのデータ間の矛盾を検知することができる。このため、例えば、再鑑別のために行われる紙幣の再投入作業などで紙幣を紛失した場合などには、その異常を検出することが可能となる。従って、信頼性の高い補正処理が可能となる。