JP5701433B2 - 光学情報読取装置の照明設定支援装置 - Google Patents

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本発明は、バーコードやQRコード(登録商標)などの光学情報を読み取るための光学情報読取装置の照明設定支援装置に関する。
トレーサビリティ(traceability)が普及した今日、工場や物流拠点などに光学情報読取装置を設置して、製品や産品に付与されたバーコードなどの光学情報又は光学符号の解読が行われている。この種の光学情報読取装置は「バーコードリーダ」又は「コードリーダ」と呼ばれている。
バーコードリーダはレーザ光、可視光、赤外光を光学情報に照射し、その反射光を光学読取素子(撮像素子)で取り込む。そして、この取り込んだ撮像画像から光学情報に記録されている情報の解析が行われる。
特許文献1はバーコードリーダを開示している。特許文献1に開示のバーコードリーダは、略直方体形状のアウターケースを備え、このアウターケースの中に、2つのポインタ用LED、各種基板、レンズ組立体、照明用LEDが収容され、照明用LEDの光を光学情報に照射しながら光学情報の撮像が実行される。このバーコードリーダに内蔵された照明用LEDの光量では不足する場合には、外部照明ユニットをバーコードリーダに付設して、この外部照明ユニットを使って光学情報の照明が行われる。
特許文献2はリング型外部照明ユニットを開示し、また、このリング型外部照明ユニットに含まれる複数のLEDのうち一部のLEDを点灯させる部分照明を開示している。このような部分照明の手法を使うことで多様な照明が可能になる。
特開2008−33465号公報 特開平04−241476号公報
部分照明を使って照明を行いたいと考えても、使用する外部照明ユニットが単にON/OFFの能力しか備えていない場合には、この外部照明ユニットを使って部分点灯することは不可能である。また、仮に部分点灯の能力を備えた外部照明ユニットであったとしても、この外部照明ユニットがどのような点灯パターンで部分照明できるのか、その能力を知らないと最適な点灯パターンを設定することができない。
また、近時のバーコードリーダは一般的に照明ユニットを内蔵しているが、このバーコードリーダの内部照明との組み合わせで外部照明ユニットを使用するときには、可能性としての点灯パターンが数多く存在するため最適な点灯パターンを設定する作業が煩雑になってしまう。
本発明の目的は、光学情報読取装置の照明の設定を支援する照明設定支援装置を提供することにある。
本発明の更なる目的は、ユーザが直感的に点灯パターンの設定を行うことのできる照明設定支援装置を提供することにある。
本発明の更なる目的は、ユーザが視覚で確認しながら最適な点灯パターンを容易に設定することのできる照明設定支援装置を提供することにある。
上記の技術的課題は、本発明によれば、
複数の照明用LEDを面状に配列した面光源で、ワークに付された光学情報を照明しながら該光学情報を読み取る光学情報読取装置の照明の設定を支援する照明設定支援装置において、
前記面光源の前記複数の照明用LEDを複数のエリアに区分した全エリアを模式的に表した図を表示する模式図表示手段と、
該模式図表示手段により表示された模式図からユーザがエリアを選択することのできるエリア選択手段と、
該エリア選択手段によりエリアが選択されたときに、該選択されたエリアを規定した点灯パターンを前記光学情報読取装置に送信する点灯パターン送信手段と、
前記光学情報読取装置が前記点灯パターンに従って前記面光源の点灯を制御しながら撮像したライブ画像を取得して、該ライブ画像を表示する撮像画像表示手段とを有することを特徴とする照明設定支援装置を提供することにより達成される。
本発明に従う照明設定支援装置によれば、ユーザが点灯させたいエリアを選択すると、この点灯パターンに基づくライブ画像がリアルタイムに表示される。このライブ画像を見ながら、光学情報読取装置の視野範囲で試験片を動かして光りの当たり具合を確認することができる。
このことから、ユーザは、あれこれとエリアの選択を試行することで照明の当たり具合の変化をリアルタイムで認識しながら最適な点灯パターンを設定することができる。本発明の他の目的及び作用効果は以下の実施例の詳しい説明から明らかになるであろう。
バーコードリーダ・システムの全体構成図である。 光学情報読取装置であるバーコードリーダの斜視図である。 バーコードリーダの内部に配置される各種基板の配置を斜め前方から見た図である。 図3に関連した図であって、バーコードリーダの内部に配置される各種基板の配置を斜め後方から見た図である。 バーコードリーダに内蔵される各種基板の結線関係を説明するための図である。 バーコードリーダに内蔵されるシャーシと、このシャーシに組み付けられたメイン基板、電源基板、サブ基板の配置を説明するための図である。 シャーシに組み付けられる各種の要素を説明するための図である。 カメラモジュールを斜め後方から見た図である。 カメラモジュールを斜め前方から見た図である。 カメラモジュールの内部構造を説明するための概念図である。 カメラモジュールと各種基板の関係を示す図であり、この状態でバーコードリーダのメインケースに収容される。 図11と同様に、カメラモジュールと各種基板の関係を示す図であり、好ましい例として、電源基板、メイン基板の上に放熱部材である熱伝導ゴムを載置した例を示す図である。 図12に関連して、熱伝導ゴムが電源基板、メイン基板とメインケースとに当接した状態を説明するための図である。 メインケースから前方に延びる一対のロッド状の延長部分の前端面にLED基板(内部照明基板)を取り付け、また、延長部分に電源基板、メイン基板の前端を固定することを説明するための図である。 バーコードリーダのメインケース及びその開放した後端がリヤケースによって閉じられることを説明するための図であり、このリヤケースにコネクタ基板を固定した状態を示す分解斜視図である。 図15に図示の内蔵物を収容したメインケースの正面図である。 図16からカメラモジュールを取り除いた状態のメインケースの正面図である。 外部照明ユニットをバーコードリーダに取り付けた状態を示す図である。 外部照明ユニットの分解斜視図である。 外部照明ユニットに内蔵されるLEDを搭載したLED基板の斜視図である。 外部照明ユニットに組み込まれる2枚の基板の取り付け関係を説明するための図である。 バーコードリーダに内蔵され且つ複数のLEDを面状に配列した面光源である内部照明ユニットに含まれるLEDが複数のエリアに区分けされて、各エリア毎に点灯制御可能であることを説明するための図であり、内部照明ユニットの正面図である。 大径の専用外部照明ユニットの正面図であり、この外部照明ユニットに含まれるLEDが複数のエリアに区分けされて、各エリア毎に点灯制御されることを説明するための図である。 小径の専用外部照明ユニットの正面図であり、この外部照明ユニットに含まれるLEDが複数のエリアに区分けされて、各エリア毎に点灯制御されることを説明するための図である。 内部照明ユニット及び外部照明ユニットに組み込まれたLED駆動回路の一例を示す図である。 内部照明ユニット及び外部照明ユニットの部分照明を制御するための系統図である。 バーコードリーダ・システムの設定のフローを説明するための工程図である。 バーコードリーダに接続してバーコードリーダの内部照明ユニット及び外部照明ユニットの照明を設定するための照明設定プログラムをインストールしたパーソナルコンピュータに表示される画像であり、バーコードリーダが撮像した撮像画像がリアルタイムに表示されている状態を示している。 照明設定プログラムによってパーソナルコンピュータに表示される照明設定画面と、これと同時に表示される撮像画像のリアルタイム画像を示す図であり、外部照明ユニットが最外周の円周エリアの全てが設定された状態を示す。 照明設定プログラムによってパーソナルコンピュータに表示される照明設定画面と、これと同時に表示される撮像画像のリアルタイム画像を示す図であり、外部照明ユニットが最外周の互いに対向するエリアが照明エリアとして設定された状態を示す。 照明設定プログラムによってパーソナルコンピュータに表示される照明設定画面と、これと同時に表示される撮像画像のリアルタイム画像を示す図であり、外部照明ユニット及び内部照明ユニットの全エリアが照明エリアとして設定された状態を示す。 照明設定プログラムによってパーソナルコンピュータに表示される照明設定画面と、これと同時に表示される撮像画像のリアルタイム画像を示す図であり、外部照明ユニットが非接続であり、内部照明ユニットの互いに対向するエリアが照明エリアとして設定された状態を示す。 照明設定プログラムによってパーソナルコンピュータに表示される照明設定画面と、これと同時に表示される撮像画像のリアルタイム画像を示す図であり、汎用外部照明ユニットが接続されたときの照明設定画面の表示状態を示す。 照明設定プログラムによってパーソナルコンピュータに表示される複数の照明設定画面のうち、大径の外部照明ユニットを接続したときの表示態様を示す図である。 照明設定プログラムによってパーソナルコンピュータに表示される複数の照明設定画面のうち、外部照明ユニットを何も接続しないときの表示態様を示す図である。 照明設定プログラムが照明設定画面を選択する処理を説明するためのフローチャートである。 ユーザによる照明エリアの選択と、選択されたエリアに従って照明を実行する手順を説明するためのフローチャートである。
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
バーコードリーダ・システム(図1)
図1はバーコードリーダ・システムの概要を説明するための図である。図1を参照して、バーコードリーダ・システム1は、二次元情報読取装置であるバーコードリーダ2と、必要に応じてバーコードリーダ2に接続されるパーソナルコンピュータ3とを有し、バーコードリーダ2で撮像した画像をパーソナルコンピュータ3で確認しながら、このパーソナルコンピュータ3を使って各種の設定が行われる。バーコードリーダ・システム1には、更に、必要に応じてリング型の外部照明ユニット4がバーコードリーダ2に接続され、バーコードリーダ2の内部照明ユニット5と一緒になって又は内部照明ユニット5の動作を止めて外部照明ユニット4だけでワークを照明する。
リング型の外部照明ユニット4は、このバーコードリーダ・システム1のための専用品であり、異なる種類の複数の外部照明ユニット4を用意するのが好ましい。勿論、外部照明ユニット4として専用品以外の照明ユニットを組み込むことも可能である。
バーコードリーダ・システム1は、バーコード、QRコードなどの光学情報又は光学符号が印字された商品あるいは物品を製造する工場では物品の搬送経路に設置され、バーコードリーダ2で商品又は物品に印字又は刻印された光学情報に記録されている情報を読み取り、この情報をパーソナルコンピュータ3に転送して情報の解析が行われる。「光学情報読取装置」は一般的に“バーコードリーダ”又は“コードリーダ”を呼ばれており、ここでは“バーコードリーダ”という業界用語を使用する。
また、図示の例では、図1に開示のように、パーソナルコンピュータ3に設定プログラムをインストールすることにより、このパーソナルコンピュータ3を使ってバーコードリーダ・システム1の各種の設定が行われる。勿論、バーコードリーダ2に例えばタッチパネル付き表示手段を設けて、この表示手段を使ってバーコードリーダ2、内部照明ユニット5(図3)及び/又は外部照明4(図18、図19)の設定作業ができるようにしてもよい。
バーコードリーダ2(図2〜図17)
図2はバーコードリーダ2の外観を示す斜視図である。バーコードリーダ2は、断面多角形の形状のメインケース6と、メインケース6の前端に固定される円筒状のフロントケース7とを有し、この円筒状のフロントケース7に前述した内部照明ユニット5が内蔵されている。メインケース6は、図2などから分かるように略正方形の断面形状を備えているのが好ましい。
バーコードリーダ2には互いに独立した複数の基板が内蔵されている。図3〜図5を参照して、バーコードリーダ2が備える複数の基板は次の通りである。
(1)メイン基板10:
メイン基板10には、CPU、メモリMが搭載され、画像をメモリMに転送してDSP(digital Signal Processor)で画像処理する。そして、メイン基板10のCPUで内部照明ユニット5を具備したバーコードリーダ2を制御し、また、外部照明ユニット4との通信を実行する。
(2)電源基板11:
バーコードリーダ2の電源を生成する。絶縁入出力回路が実装されている。
(3)サブ基板12:
大容量メモリが搭載されており、この大容量メモリに取得画像や各種の設定が保存される。制限した大きさ及び形状のメイン基板10では、このメイン基板10に実装することのできなかった要素が実装される。
(4)CMOS基板13(受光基板):
CMOSイメージセンサ(光学読取素子)が実装され、画像を取得してメイン基板10に転送する。ポインタ用のLED40(図10)が搭載される。
(5)LED基板14:
内部照明ユニット5を構成する円形開口14aを備えた円板状の基板であり、このLED基板14に複数の照明用LED80が実装され(後に説明する図22)、この複数の照明用LED80の点灯制御を実行する。複数の照明用LED80は、後に説明するバーコードリーダ2のレンズ組立体36の光軸を中心とする複数の径の異なる同心円上に配列される。内部照明ユニット5(LED基板14)に実装された複数の照明用LED80は後に説明するようにエリア分けして点灯制御される。また、このLED基板14には、各エリアに属する複数の照明用LEDに定電流を供給する定電流回路が設けられる。
(6)コネクタ基板15:
外部電源、IO、RS232C、Ethernet(登録商標)、外部照明ユニット4との入出力のインターフェースを構成する基板である。なお、外部照明ユニット4には、電源基板11から電源が供給される。
図3、図4を参照して、メイン基板10と電源基板11とは互いに対向して配置され、このメイン基板10と電源基板11の各々の側縁で挟まれた領域に、これらメイン基板10と電源基板11と直交するようにしてサブ基板12が配設されている。サブ基板12とメイン基板10の配置位置を互いに置換してもよい。メイン基板10、電源基板11、サブ基板12は、バーコードリーダ2は矩形断面のメインケース6の4つの側面のうち3つの側面に隣接し且つこの3つの側面の各々に沿って配設される。そして、このメイン基板10、電源基板11、サブ基板12で囲まれた空間にCMOS基板13が位置し、このCMOS基板13は各基板10〜12と直交する一つの鉛直面に配設される。また、このCMOS基板13と平行に且つCMOS基板13を挟んで互いに対峙してLED基板14とコネクタ基板15が位置決めされる。
図5は、上述した各基板10〜15の接続関係を説明するための図である。メイン基板10は、電源基板11と第1のFFC20(Flexible Flat Cable)で接続され、サブ基板12と第2のFFC21で接続され、CMOS基板13とFPC(Flexible Printed Circuit)22で接続され、内部照明ユニット4LED基板14と第3のFFC23で接続され、コネクタ基板15と第1のハーネス24で接続されている。電源基板11は、また、内部照明ユニット5のLED基板14と第2のハーネス25で接続され、LED基板14に実装された照明用LEDを発光させるための電源が電源基板11からLED基板14に供給される。電源基板11とコネクタ基板15は、2本のハーネス26、27とFFC28で接続されている。
図5を再び参照して、メイン基板10と電源基板11とが略同じ大きさ及び形状を有している点に注目すべきである。換言すれば、メイン基板10は、電源基板11と略同じ大きさ及び形状となるように設計され、この制約のためにメイン基板10に搭載できなかった電子部品がサブ基板12に搭載される。
図6、図7を参照して、メイン基板10、電源基板11、サブ基板12、CMOS基板13は、樹脂成型品であるシャーシ30に組み付けられる。シャーシ30は、図7から最も良く分かるように、メインケース6の断面形状とほぼ相似形の略正方形の断面形状を有するボックス形状を有し、このボックス形状の一つの側面30aを閉塞し、他の5つの面を開放した形態を有している。メイン基板10、電源基板11、サブ基板12は、開放した3つの側面10b〜10dに夫々配設される。樹脂成型品のシャーシ30は前後に開放しており、その一端開口30fからカメラモジュール32が挿入され(図7)、シャーシ30の中に挿入されたカメラモジュール32は、その周囲にメイン基板10、電源基板11、サブ基板12が位置し、これらメイン基板10、電源基板11、サブ基板12によってカメラモジュール32が包囲された状態になる。
図8、図9を参照して、カメラモジュール32は、アルミニウムなどのダイキャスト品からなるカメラホルダ35を有し、このカメラホルダ35は、矩形断面のホルダ本体35aと、ホルダ本体35aの互いに対向する側面から前方に且つ互いに平行に延びる一対のアーム35bと、一対のアーム35bの前端から互いに離れる方向に延びる一対の取付部35cとを有している。ホルダ本体35aには、後方に向けて開放した後端面にCMOS基板13が複数のネジ37によって固定される(図8)。
メイン基板10と電源基板11の位置決めのために、シャーシ30には6つの爪38が一体成形されており(図7)、この6つの爪38を使ってメイン基板10と、これに対向する電源基板11が、シャーシ30の開放した互いに対向する2つの側面30b、30dの夫々に位置決めされる。メイン基板10には爪38を受け入れる切り欠き10aが形成されている(図7)。電源基板11にも同様に切り欠き11aが形成されている(図3)。図7を参照して、矩形のサブ基板12は、対角線上の角隅部に一対の透孔12a、12bを有し、この一対の透孔12a、12bに対応してシャーシ30にも一対の透孔30g(一方の透孔は作図上の理由から図面には現れていない)が形成され、これら透孔12a、12b、30gを整合させることによりサブ基板12はシャーシ30にネジ止めされる。
ポインタ用LEDの配置(図10)
カメラモジュール32は円筒状のレンズ組立体36を有し、このレンズ組立体36はカメラホルダ35の一対のアーム35b、35bの間に配設されている。図10を参照して、ホルダ本体35aの後端開口には、CMOS基板13がネジ37(図8)を使って固定される。CMOS基板13には、一対のポインタ用LED40、40が搭載されている。このポインタ用LED40に関連して、ホルダ本体35aには、各ポインタ用LED40の直ぐ前方に拡散シート41が配設されている。2つのポインタ用LED40の光は、夫々、拡散シート41を通じて且つレンズ組立体36を通じて前方に照射され、バーコードリーダ2の視野範囲の中の互いに離間した2点を指し示す。図10の参照符合43は光学読取素子であるCMOSイメージセンサを示し、光学読取素子43はCMOS基板13に実装されている。
ポインタ用LED40をカメラモジュール32に内蔵させたことにより、光学読取素子43とポインタ用LED40との相対位置を一定に保つのが容易になると共にバーコードリーダ2を小型化するのが容易になる。特に、ポインタ用LED40がバーコードリーダ2のレンズ組立体36を光学読取素子43と共用することによって、ポインタ用LED40のための専用のレンズが不要となるためバーコードリーダ2の小型化が容易である。
カメラモジュール32は、光学読取素子(撮像素子)43とレンズ組立体36との間の距離が従来との対比で非常に大きく、高い分解能でバーコードやQRコードなどの光学情報を超微小な領域まで読み取ることができるという特徴を有している。このように従来との対比で長さ寸法が大きいカメラモジュール32をバーコードリーダ2の中に収容するとき、上述した基板配置に注目すべきである。すなわち、カメラモジュール32をメイン基板10、電源基板11、サブ基板12で囲むという技術的思想を導入することで、バーコードリーダ2を小型化しつつ長尺のカメラモジュール32をアウターケースの中に収容することができる。
ちにみに、カメラモジュール32のスペックは次のとおりである。
(1)光学倍率:0.6〜1.0倍(実施例では、0.823倍);
(2)視野範囲:7.5mm×4.8mm〜4.5mm×2.9mm(実施例では、5.5mm×3.5mm);
(3)光学読取素子から先端のレンズまでの距離:35mm以上(実施例では40mm)。
図11は、シャーシ30に基板10、11、12及びカメラモジュール32を組み付けた組立体の斜視図である。図12は、メイン基板10、電源基板11の上に、夫々、クッション性を備え且つ優れた熱伝導性を備えた放熱部材として熱伝導ゴム45を設置した状態を示す。バーコードリーダ2の放熱性に関して必要があれば、図12に例示した態様で熱伝導ゴム45を添設した状態で矩形断面のメインケース6(図2)に収容される(図13)。
伝熱性に優れた金属材料からなる多角形断面のメインケース6の異なる側面に隣接し且つこれに沿ってメイン基板10と電源基板11を配置したことにより、これらメイン基板10及び電源基板11の熱を外部に放出し易くなると共に、このメイン基板10と電源基板11で囲まれた空間にカメラモジュール32を収容することができるため、バーコードリーダ2の一層の小型化が可能である。特に、メイン基板10、電源基板11とメインケース6との間に熱伝導ゴム45のような放熱部材を介在させることで放熱効率を高めることができ、この観点からもバーコードリーダ2の一層の小型化が可能になる。
図13及び図15の参照符合46はリヤケースを示し、メインケース6の後端開口に脱着可能に装着されてメインケース6を閉塞する。リヤケース46にはコネクタ基板15が取付けられており、このコネクタ基板15はリヤケース46にネジ47を使って固定される(図15)。バーコードリーダ2のアウターケースを構成するメインケース6、フロントケース7、リヤケース46は、例えばメインケース6を熱伝導に優れた金属材料、例えばアルミニウムなどの伝熱性材料から作られるのがよい。
図6を参照して、メイン基板10及び電源基板11には、その前端幅狭部に夫々透孔50、51を有する。バーコードリーダ2のメインケース6は、円筒状のフロントケース7の内部まで前方に且つ互いに平行に延びるロッド状の一対の延長部分6aを有する(図15)。
メインケース6の前端部を抽出した図14を参照して、メインケース6の一対の延長部分6aには、メイン基板10及び電源基板11の前端幅狭部の透孔50、51に関連した透孔52、53が形成され、この透孔52、53に挿入したネジ54を使ってメイン基板10及び電源基板11がメインケース6(延長部分6a)に固定される。これにより、シャーシ30の3つの爪38で位置決めされたメイン基板10、電源基板11は、その各々が、メインケース6の前方に延びる延長部分6aに1本のネジ54によって固定される。換言すれば、この合計2本のネジ54によってシャーシ30がメインケース6に固定された状態となる。ネジ54を締結する作業及びネジ54を取り外す作業を容易にするために、メイン基板10の透孔50及び電源基板11の透孔51に、ネジ54が螺着するナット55を実装するのが好ましい。メインケース6の一対のロッド状の延長部分6aには、また、その前端面にリング状のLED基板14がネジ60を使って固定される。このリング状のLED基板14がレンズ組立体36の周囲に配置され、LED基板14に搭載された複数の照明用LED80によって、レンズ組立体36の外周側に位置するリング状の且つ複数のLED80を面状に配列した面光源が形成される。
図17は、メインケース6を正面から見た図である。メインケース6は、その前端面に左右一対の取付座62を有し、この一対の取付座62を使ってカメラモジュール32がメインケース6に固定される。図16は、メインケース6の中にカメラモジュール32を内蔵させた状態の正面図である、図17は、カメラモジュール32を取り除いた状態で描いたメインケース6の正面図である。
金属成型品であるメインケース6にカメラモジュール32を固定することで、カメラモジュール32をシャーシ30に固定するのに比べてカメラモジュール32の位置決め精度を高めて視野範囲の位置決め精度を高めることができる。
バーコードリーダ2が内蔵する主要な基板、つまり電源基板10、メイン基板12などと、レンズ組立体36を含むカメラモジュール32とをシャーシに組み付けた組立体をアウターケース(メインケース6)に内蔵させる構成を採用したことにより、複数種類のカメラモジュール32を用意することで同じアウターケースを使って複数種類のバーコードリーダ2をユーザに提供することができる。また、異なる種類のカメラモジュール32に対して、同一の電源基板10やメイン基板12などを採用し且つ同じアウターケースを使ってバーコードリーダ2を製造することができる。
前述したカメラモジュール32の左右一対の取付部35cがメインケース6の左右一対の取付座62に着座され、4本のネジ63を使って各取付部35cが、対応する取付座62に固定される(図16)。
専用外部照明ユニット4(図18〜図21)
図18は、バーコードリーダ2に専用の外部照明ユニット4を装着した状態を示し、参照符号70は、バーコードリーダ2と外部照明ユニット4とを接続するケーブルを示す。外部照明ユニット4にはバーコードリーダ2から電源が供給される。
リング状の外形形状を備えた外部照明ユニット4は円形の外形輪郭を有し、その中心に円形開口4aを備え、この円形開口4aの中心とバーコードリーダ2のレンズ組立体36の光軸とが一致するようにバーコードリーダ2が位置決めされる。このバーコードリーダ2の位置決めのためにスタンド71が用意される。スタンド71は、後に詳しく説明するように、外部照明ユニット4の背面にボルト止めされる一対のプレート部材72と、このプレート部材72の任意の高さ位置にバーコードリーダ2を定置させるための取付金具73とで構成されている。
先ず、外部照明ユニット4の構造について図19を参照して説明する。図19は外部照明ユニット4の分解斜視図である。外部照明ユニット4は、リング状の円筒形状のフロントケース75と、リヤケース76とからなるアウターケースの内部に、LED基板77と回路基板78とがスタックコネクタ79(図19)及び第1のスペーサ82(図21)を介して積層した状態で収容されている。
リング状の円筒形状のフロントケース75の断面リング状の形状とほぼ同じ大きさのリング状のLED基板77には複数の照明用LED80が実装されている。このリング状のLED基板77とほぼ同じ大きさであるのが好ましいリング状の回路基板78には、LED駆動回路の他に、外部照明ユニット4に搭載された複数のLED80の点灯を制御すると共にバーコードリーダ2との通信を制御するCPU、メモリM(図1)が実装されている。図21を参照して、LED基板77と回路基板78とは電気的に接続されるのは勿論であるが、これらLED基板77と回路基板78とは上述した第1のスペーサ82によって相互に固定され、また、LED基板77は第2のスペーサ81によってリヤケース76に固定される。換言すると、回路基板78はLED基板77を介してリヤケース76に固定される。
フロントケース75に、例えばフレネルレンズ(図示せず)を採用したときに、LED基板77の照明用LED80とフロントケース75との相対的な位置決めが重要となる。図21の例であれば、LED基板77がリヤケース76を介してフロントケース75に位置決めされるため、これによりフロントケース75とLED基板77とが相対的に位置決めされるだけでなく、LED基板77、回路基板78の組み付け作業が容易である。
第1の変形例として、LED基板77と回路基板78の設置構造に関し、LED基板77を介在させることなく直接的に回路基板78をリヤケース76にスペーサを介して固定するようにしてもよい。第2の変形例として、回路基板78をリヤケース76にスペーサを介して固定すると共にこの回路基板78にLED基板77を他のスペーサを介して固定するようにしてもよい。
専用外部照明ユニット4の種類(図23、図24)
専用の外部照明ユニット4は2つの機種が用意されている。図23は、大径の外部照明ユニット4BのLED基板77が図示されている。図24は、小径の外部照明ユニット4AのLED基板77の平面図である。この2種類の外部照明ユニット4は、前述したように共にCPUとメモリMを内蔵している。そして、このメモリMに機種情報が記憶されており、これら外部照明ユニット4A、4Bがバーコードリーダ2に接続されたときには、バーコードリーダ2は、外部照明ユニット4のメモリMに記憶されている機種情報を取り込むことで該外部照明ユニット4を認識し、これにより外部照明ユニット4との接続設定が実行される。
内部照明ユニット5の部分照明(図22)
図22は、バーコードリーダ2に内蔵されるLED基板14の平面図である。リング状のLED基板14には、その全周に亘ってほぼ均一に数多くの照明用LED80が配列されている。照明用LED80は半径方向に間隔を隔てた3つの同心円上にほぼ同間隔に配置されている。より詳しくは、複数の照明用LED80は、バーコードリーダ2のレンズ組立体36の光軸を中心とする複数の径の異なる同心円上に配列されている。
リング状LED基板14は、円周方向に等間隔に4つのブロックに区分され、各ブロックを半径方向に2つに区分することにより形成される合計8つのエリアを単位に部分照明される。具体的には、最外周の1列が90°間隔で4つの領域に区分されている。これを外周第1エリアAEout1、外周第2エリアAEout2、外周第3エリアAEout3、外周第4エリアAEout4で図示してある。最内周及び中間の2列が90°間隔で4つの領域に区分されている。これを内周第1エリアAEin1、内周第2エリアAEin2、内周第3エリアAEin3、内周第4エリアAEin4で図示してある。各エリアAEout1〜out4、in1〜in4の各々のエリアに属するLED80は、各エリアで均一に分布するように位置決めされている。
内部照明ユニット5の区分エリアAEout1〜out4、AEin1〜in4の各々を単位に照明を制御することができる。このエリアに区分した点灯制御には、LED80の発光量の制御を含んでもよい。
大径の外部照明ユニット4Bの部分照明(図23)
大径の外部照明ユニット4Bのリング状のLED基板77には、その全周に亘ってほぼ均一に数多くの照明用LED80が配列されている。照明用LED80は半径方向に間隔を隔てた4つの同心円上にほぼ同間隔に配置されている。より詳しくは、複数の照明用LED80は、バーコードリーダ2のレンズ組立体36の光軸を中心とする径の異なる4つの同心円上に配列されている。
大径の外部照明ユニット4Bでは、円周方向に等間隔に8つのブロックに区分され、各ブロックを半径方向に4つに区分することにより形成される合計32のエリアを単位に部分照明するように設定されている。具体的には、リング状LED基板77は、最外周の1列が45°間隔で8つのエリアに区分されている。これを外周第1エリアAEout1〜外周第8エリアAEout8で図示してある。次の一列も45°間隔で8つのエリアに区分されている。これを外側中間第1エリアAEmid1〜外側中間第8エリアAEmid8で図示してある。次の一列も45°間隔で8つのエリアに区分されている。これを外側中間第9エリアAEmid9〜外側中間第16エリアAEmid16で図示してある。最内周の一列45°間隔で8つのエリアに区分されている。これを内周第1エリアAEin1〜内周第8エリアAEin8で図示してある。この大径の外部照明ユニット4Bにあっても合計32のエリアの各々を単位に照明を制御することができる。外部照明ユニット4Bにあっても、各エリア毎にLED80の発光量の制御を実行することができる。
小径の外部照明ユニット4Aの部分照明(図24)
図24を参照して、小径の外部照明ユニット4Aのリング状のLED基板77には、その全周に亘ってほぼ均一に数多くの照明用LED80が配列されている。照明用LED80は半径方向に間隔を隔てた3つの同心円上にほぼ同間隔に配置されている。より詳しくは、複数の照明用LED80は、バーコードリーダ2のレンズ組立体36の光軸を中心とする径の異なる3つの同心円上に配列されている。
リング状LED基板77は、最外周の1列が45°間隔で8つの領域に区分されている。これを外周第1エリアAEout1〜外周第8エリアAEout8で図示してある。中間の一列も45°間隔で8つの領域に区分されている。これを外側中間第1エリアAEmid1〜外側中間第8エリアAEmid8で図示してある。内周の一列も45°間隔で8つの領域に区分されている。これを内周第1エリアAEin1〜内周第8エリアAEin8で図示してある。この小径の外部照明ユニット4Aにあっても合計24のエリアに分けて部分照明を設定することができる。このエリアに区分した点灯制御には、LED80の発光量の制御を含んでもよい。なお、部分照明として設定したエリアを単位に照明用LED80による照明の色を異ならせるようにしてもよい。
外部照明ユニット4のLED駆動回路(図25)
図25はLED駆動回路の一部を示す。図示のLED駆動回路は、各エリア毎にLED80を点灯させると共に、各エリアに属する複数の照明用LED80に定電流を供給することができる。
例えば、図24の小径外側照明ユニット4Aについて説明すると、リング状LED基板77を周方向に45°間隔で区分した8つの領域を「ブロック」と呼ぶ。例えば、外周第1エリアAEout1、中間第1エリアAEmid1、内周第1エリアAEin1が第1ブロックを構成する。各ブロック毎にブロックスイッチ105と定電流回路106が設けられている。ブロックスイッチ105をONすると、当該ブロックに属する複数のLED80に電圧を印加できる状態になる。各列の複数のLED80には、各ブロック毎にこれをバイパスする列スイッチ107が設けられ、この列スイッチ107と並列に照明用LED80の群が直列に接続されている。なお、図25には、各円周列の照明用LED80が一個しか図示されていないが、これは線図を簡素化したという理由に過ぎず、各列スイッチ107と並列に接続された照明用LED80は直列に複数存在していると理解されたい。
各ブロックに属する各列は直列に接続され、そして、各列には、上述した列スイッチ107が並列に接続されている。したがって、任意の列スイッチ107をOFFすることにより該当するブロック且つ該当する列に属する複数のLED80に定電流が供給される。このLED駆動回路を外部照明ユニット4Aが備えることにより、各ブロックの各列を単位に部分照明のエリアを任意設定することができる。また、各ブロック毎に定電流回路106を設けたことで、例えば同じブロックでの第1〜第3の円周列の照明LED80に流れる電流を一定に維持することができる。
換言すると、定電流回路106無しでは、例えば第2、第3の円周列の照明LED80を点灯しているときに第1の円周列の照明LED80をOFFからONにスイッチすると、第2、第3の円周列の照明LED80に印加する電圧が変化して、第2、第3の照明LED80を流れる電流が変化して明るさが変化してしまう。
別の言い方で説明すると、ブロックスイッチ105をON/OFFしても、他のブロックに属する照明用LED80の発光量は変化しない。各ブロックは互いに並列に電源に接続されているからである。しかし、列スイッチ107をON/OFFすると、当該ブロックで点灯するLED80の数が変化してしまい、これに伴ってLED80の明るさが変化してしまう。
このことは、部分照明の点灯パターンを設定するときに、ワークに対する最適な光の当て方を探るうえで、LED80の明るさの変動要因を極力排除するのが望ましい。定電流回路105はこのことを企図して各ブロックに設けてある。これにより、点灯パターンの設定作業を行うときに、点灯パターンを変えたときに部分照明するための点灯するエリアでのLED80の輝度の均一化及び輝度の一定性を確保することで最適な点灯パターンを見出すのが容易になる。なお、大径の外部照明ユニット4B及び内部照明ユニット4Bについても同様に図25のLED駆動回路を採用することができる。
内部照明ユニット5及び外部照明ユニット4の部分照明(図26)
内部照明ユニット5及び外部照明ユニット4は、共に、複数のLEDを面状に配列した面光源であるが、この面光源を周方向且つ半径方向に幾つかのエリアに区分して各エリアを単位に部分照明することが可能であり、どのエリアを点灯し、どのエリアを点灯しないかの点灯パターンをユーザが任意に設定することができる。全てのエリアの点灯を含む点灯パターンはPC3を使ってユーザが予め登録することができ、ユーザが設定した点灯パターンは、バーコードリーダ2のメモリM及び外部照明ユニット4が接続されているときには、この外部照明ユニット4のメモリMに記憶される。この点灯制御には、照明用LED80の発光量の制御が含まれる。なお、図26においても、上述した図25と同様に、各円周列の照明用LED80が一個しか図示されていないが、これは線図を簡素化したという理由に過ぎず、各列スイッチ107と並列に接続された照明用LED80は直列に複数存在していると理解されたい。
図1を参照して説明したように、外部照明ユニット4はCPUの制御手段を具備している。したがって、図26に図示するように、各ブロックスイッチ105及び各円周列の列スイッチ107を外部照明ユニット4のCPUで制御することにより、周方向且つ半径方向に区分した部分照明エリアを設定したときには、このエリアを単位にLED80の点灯制御が実行される。
バーコードリーダ・システムの設定(図27)
図27は、パーソナルコンピュータ3を用いて行うバーコードリーダ・システム1の設定に関する一連の手順を説明するためのフローである。図27を参照して、先ずパーソナルコンピュータ(PC)3とバーコードリーダ2との接続設定が行われる(S1)。この際、仮のIPアドレスを割り当てて行うことで簡便に接続設定することができる。バーコードリーダ2に専用の外部照明ユニット4を接続したときには、外部照明ユニット4のメモリM(図1)に記憶されている当該外部照明ユニット4の機種情報の読み込みが行われ、これによりバーコードリーダ2のメモリM(図1)に予め登録されている機種情報に基づいて当該外部照明ユニット4の接続設定が自動的に実行される。
次に、バーコードリーダ2に内蔵されている一対のポインタ用LED40を点灯してワークをバーコードリーダ2の視野範囲の中に設置する(S2)。そして、PC3のモニタでワークを位置決めする(S3)。
次いで、PC3を使って各種の設定を行う(S4)。この設定は、主にワークの光学情報(バーコードやQRコード)が見え易くなるように行うものである。内部照明ユニット5で点灯するエリアの設定、外部照明ユニット4を用いるときにはこの外部照明ユニット4で点灯制御が可能なエリア内のどのエリアを点灯させるかを設定する点灯エリアパターン設定などを含む。
この設定が終わったら設定の微調整であるチューニング設定が行われる(S5)。チューニングには、明るさ優先又は処理速度の優先の選択やチューニング方法の設定などを含み、実際に設定の微調整を実施し(S6)、チューニングが成功したら読み取りテストが行われる(S7)。この読み取りテストでワークの光学情報の解読が安定的に行われることが確認できたら設定作業を完了する(S8)。
点灯パターンの設定(図28〜図33)
図1を参照して、パーソナルコンピュータ3は照明設定プログラムがインストールされており、この照明設定プログラムによって内部照明ユニット5、外部照明ユニット4の照明設定が行われる。すなわち、パーソナルコンピュータ3は照明設定プログラムが組み込まれることにより照明設定支援装置として機能する。
照明設定作業は、図27を参照して説明したステップS4の作業に含まれる。照明設定プログラムを使ってユーザが作成した照明設定は、バーコードリーダ2に転送されて、このバーコードリーダ2のメモリMに記憶され、次いで、外部照明ユニット4が接続されているときには外部照明ユニット4に転送されて、この外部照明ユニット4のメモリMに一時的に記憶される。
この照明設定により、外部照明ユニット4の制御は、バーコードリーダ2からトリガ指令が出力されると、外部照明ユニット4は、通信によりトリガ指令を受け取って、外部照明ユニット4のメモリMに記憶されている照明設定を参照して照明を実行することができる。
パーソナルコンピュータ3が備える照明設定プログラムは、図28に示すリアルタイム画面を有し、バーコードリーダ2が撮像した画像がリアルタイムで図28に示すように表示される。この撮像画像はライブ画像であってもよいし、静止画像であってもよい。ライブ画像であれば、光学情報を印刷した試験片をバーコードリーダ2の視野範囲で動かして光学情報に対する光の当たり具合を確認することができる。
図29〜図32は、ユーザがパーソナルコンピュータ3を操作することにより、点灯パターンの選択に伴って実行されるリアルタイムのライブ画像の更新を例示的に示す表示画面を示す。ライブ画像は、予め定めた明るさ設定領域の明るさの平均値が、表示画面に用意された明るさ調整バーをユーザがスライドさせることにより調整した明るさとなるように、照明の光量、露光時間、ゲインなどがフィードバック調整される。これにより、点灯パターンを変化させてもユーザが興味のある領域の明るさを一定に保ったまま画像表示することができる。
図29を例にパーソナルコンピュータ3の表示画面を説明すると、点灯パターンの設定画面が左側に表示され、右側にライブ画像が同時に表示される。勿論、設定画面を上記図28のライブ画像の上に重畳表示するようにしてもよい。なお、図29〜図31の表示は、大径の外部照明ユニット4Bが接続されたときの表示態様を示す。
図29は、内部照明ユニット5が非選択、外部照明ユニット4だけが選択され、そして、外部照明ユニット4の最外周がチェックされた状態にある。外部照明ユニット4の選択項目は、(1)「最外円周」、(2)「外円周」、(3)「中円周」、(4)「内円周」の4つの円周列の選択項目が存在し、前記(1)の「最外円周」は図23の最外周のAEout1〜out8を意味する。前記(2)の「外円周」は図23のAEmid1〜out8を意味する。前記(3)の「中円周」は図23のAEmid9〜out16を意味する。前記(4)の「内円周」はAEin1〜in8を意味する。これらの円周列を単位とした選択は単数又は複数の選択が可能である。
図29では「最外円周」の円周列だけが選択されている。設定画面は、専用外部照明ユニット4の各エリアを相似形で表現した模式図が表示され、この模式図を使って、ユーザは、最外周の8つのエリアAEout1〜out8のうち任意のエリアをクリックすることで、最外周の8つのエリアの中から点灯させるエリアを設定することができる。
この図29の例では、ユーザは、最外周の8つのエリアAEout1〜out8の全てをクリックしてこの8つのエリアAEout1〜out8の点灯を設定した状態を示している。この照明設定は、設定画面に表示されている照明ユニットの模式図に点灯パターンが表示されることでユーザは、自分がどのような点灯パターンを設定したかを目で直ちに知ることができる。図29では、点灯設定された最外周の全てのエリアがリング状に赤色で表示され、他のエリアはグレー表示される。言うまでもないことであるが、設定画面に表示される照明ユニットの各エリアの模式図は、小径の専用外部照明ユニット4Aが接続されたときには、この小径の外部照明ユニット4Aの全てのエリアを相似形で表現した模式図が表示される。
ユーザが大径の外部照明ユニット4Bの「最外円周」の円周列の8つのエリアから任意のエリアを設定すると、この情報は、バーコードリーダ2に対して送信され、また、外部照明ユニット4Bに転送されて、バーコードリーダ2及び外部照明ユニット4BのメモリMに一時的に記憶され、次いで、この点灯パターンに従って照明制御を実行しながら撮像が行われる。このライブの撮像画像はパーソナルコンピュータ3に送信され、このライブ画像が、図29の表示画面の右側に表示される。ユーザはこのライブ画像を見ながら試験片を動かして、試験片に印刷されている光学情報の写り具合を確認することができる。
図30は、大径の外部照明ユニット4Bの「最外円周」と「外円周」の2つの円周列の項目を選択し、そして、ユーザのクリック操作によって、最外周と次の内周の16のエリアのうち互いに対向する4つのエリアAEout2、AEmid2、AEout6、AEmid6(図23)が設定された状態を示す。図30から分かるように、設定画面に含まれる照明ユニットの全エリアの模式図は該当する部分が赤色で表示され、非選択のエリアはグレー表示される。図30の右側のリアルタイム画像は、4つのエリアAEout2、AEmid2、AEout6、AEmid6で照明しながらバーコードリーダ2のライブ画像である。
図31は、外部照明ユニット4の全ての項目及び内部照明ユニット5の全ての項目を選択し、そして、ユーザのクリック操作によって、外部照明ユニット4の全てのエリア及び内部照明ユニット5の全てのエリアが点灯するように設定された状態を示す。図31から分かるように、設定画面に含まれる照明ユニットの全エリアの模式図は、外部照明ユニット4及びその内側の内部照明ユニット5の全てのエリアが赤色で表示される。この情報は、バーコードリーダ2に送信され、また、外部照明ユニット4Bに転送されて、この全エリアが点灯設定された点灯パターンに従って照明制御を実行しながら撮像が行われる。このライブ画像は、直ちにパーソナルコンピュータ3に送信され、このライブ画像が図31の表示画面の右側にリアルタイムに表示される。
図32は、外部照明ユニット4が非接続状態であり、内部照明ユニット5の全ての選択項目が選択されたときの表示態様を示す。内部照明ユニット5にあっても、(1)「内円周」、(2)「中円周」の2つ円周列の選択項目が存在し、各項目の円周列のどのエリアを点灯させるかはユーザがクリック操作を行うことで点灯設定することができる。この図32の例では、「内円周」と「中円周」とが選択され、そして、ユーザのクリック操作によってAEout2、AEin2、AEout4、AEin4(図22)の4つのエリアが点灯するように設定された例である。この内部照明ユニット4にあっても、「内円周」と「中円周」とを択一的又はその全てを選択することにより半径方向に区分された円周列を単位に選択することができる。
図32から分かるように、設定画面に含まれる照明ユニットの模式図は内部照明ユニット4の全エリアを表現した図である。そして、非選択のエリアはグレー表示され、ユーザが点灯設定したエリアAEout2、AEin2、AEout4、AEin4(図22)が赤色に反転表示される。図32の右側のリアルタイム画像は、内部照明ユニット5の選択されたエリアAEout2、AEin2、AEout4、AEin4で照明しながら撮像するバーコードリーダ2のライブ画像である。
上記の表示の変遷から理解できるように、ユーザは、照明ユニット4の設定可能な全てのエリアを相似形で表現した模式図を見ながら点灯するエリアを決め、ユーザが設定した照明エリアを含む点灯パターンがバーコードリーダ2に送られる。バーコードリーダ2はこの点灯パターンに従って撮像し、その撮像画像が直ちに表示される。この撮像画像は好ましくはライブ画像であるのがよい。
ユーザは設定画面の模式図を見ることで、設定可能なエリアを直感的に認識することができ、そして、ユーザが設定した点灯パターンの結果であるライブ画像を観察することで、照明の当たり具合がどのように変化するかをリアルタイムで把握することができる。
図29〜図33の撮像画像は、これがライブ画像であれば、代表的な静止画像が各照明設定と共にパーソナルコンピュータ3のメモリに蓄えられ、ユーザが図29〜図33の画像を見比べながら最適な画像を選択することで最終的な照明パラメータを設定することができる。
上述した専用外部照明ユニット4及び内部照明ユニット5の点灯エリア設定において、「内円周」、「中円周」などの円周列の選択項目に依存しないで、模式図のエリアをクリックだけで任意のエリアを選択できるようにしてもよいのは勿論である。
なお、図33は、汎用の外部照明ユニットが接続されたときの表示例を示す。バーコードリーダ2が認識できない外部照明ユニットが接続されたときに、全ての選択項目がグレー表示される。
設定画面(図34、図35)
図34は専用の外部照明ユニット4を接続したときの部分照明の点灯パターン設定画面を示し、図35は専用の外部照明ユニット4及び汎用の外部照明ユニットのいずれも接続していない状態での設定画面を示す。図34、図35を対比すると分かるように、専用外部照明ユニット4を接続したときには(図34)、この専用外部照明ユニット4の各エリアと内部照明ユニット5の各エリアが、これらユニット4、5と同じにリング状に表現した照明ユニットの模式図が表示される。他方、内部照明ユニット5だけの場合には、この内部照明ユニット5の各エリアが、これら内部照明ユニットユニットと同じにリング状に表現した照明ユニットの模式図が表示される。すなわち、バーコードリーダ2の照明に使用する照明ユニット毎に、各照明ユニットに対応した模式図がパターン設定画面に表示される。
点灯パターンの設定操作(図36、図37)
図36、図37はパーソナルコンピュータ3の設定プログラムを使った照明設定の手順を説明するためのフローチャートであり、図36は、照明設定プログラムが照明設定画面を選択する処理を説明するためのフローチャートである。
図36を参照して、パーソナルコンピュータ3の表示画面の照明設定ボタン(図示せず)をクリックすると(S100)、設定プログラムが起動すると共に外部照明ユニットが接続されているか否かの判定が行われる(S101)。この外部照明ユニットには専用の外部照明ユニット4及び汎用外部照明ユニットを含む。このステップS101でYESと判定されたときには、次のステップS102で専用の外部照明ユニット4であるか否かの判定が行われ、YESのときにはステップS103に進んで専用外部照明ユニット4が接続されたときの設定画面(図34)が表示される。
上記ステップS102でNOと判定されたときにはステップS104に進んで汎用外部照明ユニットが接続されたときの設定画面(図33)が表示される。また、上記ステップS101でNOと判定されたときには、外部照明ユニットが接続されていないとして、ステップS105に進んで専用外部照明ユニット無しの設定画面(図33)が表示される。
図37を参照して、点灯パターンの設定処理について説明すると、ステップS120で、設定画面に表示される前記模式図のエリアをクリックすると、このクリックしたエリアの表示が反転され例えば赤色の表示に変わる(S121)。このユーザの照明設定の情報は直ちにバーコードリーダ2に転送され、バーコードリーダ2の撮像が実行されて、好ましくはライブ画像がパーソナルコンピュータ3に送信され、そして、このライブ画像が図28、図29などで説明したようにパーソナルコンピュータ3にリアルタイムに表示される。これを見ながら、ユーザは最適な点灯パターンを設定することになる。なお、この点灯パターンの設定つまり照明パラメータの設定に照明用LED80の光量(光の強さ)の設定を含んでもよいことは勿論である。
上記の説明から理解できるように、照明設定プログラムを使うことで、直感的に且つ視覚的にライブ画像を確認しながら照明設定を行うことができる。照明設定プログラムで設定された点灯パターンは、これをバーコードリーダ2及び専用外部照明ユニット4のメモリMに記憶させることで前述した通信による専用外部照明ユニット4の照明制御が実行される。
本発明は、バーコードやQRコードなどの光学情報を読み取る光学情報読取装置の照明に適用される。
1 バーコードリーダ・システム
2 バーコードリーダ(光学情報読取装置)
3 パーソナルコンピュータ(PC)
4 リング型の専用外部照明ユニット
5 バーコードリーダに内蔵された内部照明ユニット
43 光学読取素子(撮像素子:CMOS)
77 外部照明ユニットのLED基板
78 外部照明ユニットの回路基板(CPU、メモリを含む)
80 照明用LED
M メモリ

Claims (10)

  1. 複数の照明用LEDを面状に配列した面光源で、ワークに付された光学情報を照明しながら該光学情報を読み取る光学情報読取装置の照明の設定を支援する照明設定支援装置において、
    前記面光源の前記複数の照明用LEDを複数のエリアに区分した全エリアを模式的に表した図を表示する模式図表示手段と、
    該模式図表示手段により表示された模式図からユーザがエリアを選択することのできるエリア選択手段と、
    該エリア選択手段によりエリアが選択されたときに、該選択されたエリアを規定した点灯パターンを前記光学情報読取装置に送信する点灯パターン送信手段と、
    前記光学情報読取装置が前記点灯パターンに従って前記面光源の点灯を制御しながら撮像したライブ画像を取得して、該ライブ画像を表示する撮像画像表示手段とを有することを特徴とする照明設定支援装置。
  2. 前記エリア選択手段によりエリアが選択されたときに、該選択されたエリアの表示色が変化する、請求項1に記載の照明設定支援装置。
  3. 前記面光源が、複数のエリアの各エリアに属する複数の照明用LEDに定電流を供給する定電流回路を含む、請求項1又は2に記載の照明設定支援装置。
  4. 前記撮像画像表示手段が、ユーザが操作することにより所定の領域の明るさを調整することのできる明るさ調整手段を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の照明設定支援装置。
  5. 前記明るさ調整手段が操作されたときに、前記所定の領域内の明るさの平均値が、前記明るさ調整手段により規定される明るさとなるように、前記選択されたエリアに属する照明用LEDの光量、露光時間、ゲインがフィードバック調整される、請求項4に記載の照明設定支援装置。
  6. 前記面光源とは別の光源としてリング型の外部照明ユニットを前記光学情報読取装置に脱着可能に取り付けることができ、
    該リング型の外部照明ユニットは、その背面に取り付けられる取付部材を介して前記光学情報読取装置に位置決めされる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の照明設定支援装置。
  7. 前記取付部材によって前記リング型の外部照明ユニットと前記光学情報読取装置との相対位置が調整可能である、請求項6に記載の照明設定支援装置。
  8. 前記リング型の外部照明ユニットが、全周に亘ってほぼ均一に配置された複数の照明用LEDを有する、請求項6又は7に記載の照明設定支援装置。
  9. 前記リング型の外部照明ユニットの複数の照明用LEDが、前記光学情報読取装置の光軸を中心とする径の異なる複数の同心円の各同心円上にほぼ同間隔に配置されている、請求項8に記載の照明設定支援装置。
  10. 前記リング型の外部照明ユニットが、該外部照明ユニットとほぼ同じ大きさのリング状のLED基板を有し、
    該LED基板に前記複数の照明用LEDが実装されている、請求項8又は9に記載の照明設定支援装置。
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