JP2012064172A - 光学情報読取の設定支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学情報読取に関するユーザの設定作業を軽減する。
【解決手段】ユーザは点灯パターンの異なる追加のバンクを作成したときには、「部分点灯補完」を選択し、そして、既にユーザが設定したバンクの一覧から、バンクを追加したい設定バンクを選択する。次いで、補完数つまり作成したい追加のバンクの条件を選択する。ユーザが「4方向」を選択したとすると、第1バンク「1」の点灯パターンを90°間隔で回転させた3つの追加のバンク「4」〜「6」が作成される。ユーザが「設定を反映」を押し下げると追加のバンクの設定が行われ、この設定された追加のバンクがバーコードリーダ2のメモリMに記憶される。
【選択図】図41

Description

本発明は、バーコードやQRコードなどの光学情報を読み取る光学情報読取の設定支援装置装置に関する。
トレーサビリティ(traceability)が普及した今日、工場や物流拠点などに光学情報読取装置を設置して、製品や産品に付与されたバーコードなどの光学情報又は光学符号の解読が行われている。この種の光学情報読取装置は「バーコードリーダ」又は「コードリーダ」と呼ばれている。
バーコードリーダはレーザ光、可視光、赤外光を光学情報に照射し、その反射光を光学読取素子(撮像素子)で取り込む。そして、この取り込んだ撮像画像から光学情報に記録されている情報の解析が行われる。
特許文献1はバーコードリーダを開示している。特許文献1に開示のバーコードリーダは、略直方体形状のアウターケースを備え、このアウターケースの中に、2つのポインタ用LED、各種基板、レンズ組立体、照明用LEDが収容され、照明用LEDの光を光学情報に照射しながら光学情報の撮像が実行される。このバーコードリーダに内蔵された照明用LEDの光量では不足する場合には、外部照明ユニットをバーコードリーダに付設して、この外部照明ユニットを使って光学情報の照明が行われる。
特許文献2〜4は、光学顕微鏡に付設される外部照明ユニットを開示している。特許文献2〜4の外部照明ユニットはリング状の形状を有し、その内部にリング状に配列したLEDが径方向に複数列配設されている。このリング状照明ユニットの中心開口には光学顕微鏡の鏡筒が挿入され、この鏡筒にリング状の照明ユニットが設置される。
特開2008−33465号公報 特開2005−331623号公報 特開2008−139708号公報 特開2010−60415号公報
外部照明の制御をバーコードリーダが行うのが一般的と考えられるが、外部照明を使うだけで全てが解決する訳ではなく、点灯タイミング、外部照明の光の当て方、光の強さなど微妙な制御が必要になることが多く、外部照明の制御に限界がある。
具体的に説明すると、一般的にバーコードリーダが光学情報を読み取る能力は、ワークに対する光の照射方向によって大きく変化することが知られている。特に、ダイレクトパーツマーキングと称されるワークに直接的に刻印されたバーコードやQRコードなどの光学情報や、ヘアラインワークと称される表面に微細な研削跡を備えたワークの光学情報を読み取ろうとしたときに、本来読み取ることが可能な刻印品質であったとしても、ワークに対して光を当てる方向やワークのバーコードリーダに対する傾斜角度のズレによって読み取りが不安定になることがある。
ユーザは、バーコードリーダを安定して運用できるように種々のパラメータの設定を行うことになるが、多様な点灯パターンや他のパラメータを設定するのに手間がかかり且つ煩雑である。特に、「ダイレクトパーツマーキング」や「ヘアラインワーク」に関して安定したバーコードリーダの読み取りを確保するには、各種のパラメータを色々と変化させながら読取試行を実行し、さらに、そのチューニングを行うという、ユーザにとって煩雑な設定作業が強いられることになる。
本発明の目的は、ユーザの設定作業を軽減することのできる光学情報読取の設定支援装置を提供することにある。
上記の技術的課題は、本発明によれば、
ユーザが設定した各種のパラメータを含む設定バンクを作成して、該設定バンクを光学情報読取装置の運用に反映させる光学情報読取の設定支援装置であって、
前記ユーザが作成した設定バンクに含まれる各種のパラメータのうち、ユーザが選択したパラメータを基準として、該基準パラメータの周辺のパラメータを所定のルールに従って変化させた追加のバンクを作成する追加バンク作成手段と、
前記追加のバンクの数をユーザが選択することのできる追加バンク数選択手段と、
前記追加バンク作成手段が作成した追加のバンクをユーザの指示に基づいて設定して、前記光学情報読取装置の運用に反映させる追加バンク設定手段とを有することを特徴とする光学情報読取の設定支援装置を提供することにより達成される。
本発明の好ましい実施形態によれば、照明の点灯パターンがユーザによって選択され、この点灯パターンを変化させることで追加の設定バンクが作成される。また、他の実施形態によれば、照明の光量がユーザによって選択され、照明の光量を変化させることで追加の設定バンクが作成される。
追加バンク作成手段によって作成された追加バンクはユーザの指示によって設定され、そして、光学情報読取装置は、既にユーザが設定した設定バンクと一緒に上記の追加の設定バンクを含めた態様で光学情報読取装置の運用が実行される。したがって、上記の追加バンク作成手段によって作成された追加のバンクを仮設定して読取試行してもよく、また、チューニングしてもよい。
本発明の他の目的、作用効果は、以下の本発明の実施例の詳しい説明から明らかになろう。
バーコードリーダ・システムの全体構成図である。 光学情報読取装置であるバーコードリーダの斜視図である。 バーコードリーダの内部に配置される各種基板の配置を斜め前方から見た図である。 図3に関連した図であって、バーコードリーダの内部に配置される各種基板の配置を斜め後方から見た図である。 バーコードリーダに内蔵される各種基板の結線関係を説明するための図である。 バーコードリーダに内蔵されるシャーシと、このシャーシに組み付けられたメイン基板、電源基板、サブ基板の配置を説明するための図である。 シャーシに組み付けられる各種の要素を説明するための図である。 カメラモジュールを斜め後方から見た図である。 カメラモジュールを斜め前方から見た図である。 カメラモジュールの内部構造を説明するための概念図である。 カメラモジュールと各種基板の関係を示す図であり、この状態でバーコードリーダのメインケースに収容される。 図11と同様に、カメラモジュールと各種基板の関係を示す図であり、好ましい例として、電源基板、メイン基板の上に放熱部材である熱伝導ゴムを載置した例を示す図である。 図12に関連して、熱伝導ゴムが電源基板、メイン基板とメインケースとに当接した状態を説明するための図である。 メインケースから前方に延びる一対のロッド状の延長部分の前端面にLED基板(内部照明基板)を取り付け、また、延長部分に電源基板、メイン基板の前端を固定することを説明するための図である。 バーコードリーダのメインケース及びその開放した後端がリヤケースによって閉じられることを説明するための図であり、このリヤケースにコネクタ基板を固定した状態を示す分解斜視図である。 図15に図示の内蔵物を収容したメインケースの正面図である。 図16からカメラモジュールを取り除いた状態のメインケースの正面図である。 バーコードリーダの機能構成図である。 バーコードリーダの画像バッファと共有メモリとの関係を説明するための図である。 共有メモリに複数の設定バンクが格納されていることを説明するための図である。 バーコードリーダの第1CPUで行われる撮像処理が撮像間隔毎に実行されることを説明するためのタイムチャートである。 外部照明ユニットをバーコードリーダに取り付けた状態を示す図である。 外部照明ユニットの分解斜視図である。 外部照明ユニットに内蔵されるLEDを搭載したLED基板の斜視図である。 外部照明ユニットに組み込まれる2枚の基板の取り付け関係を説明するための図である。 バーコードリーダに内蔵され且つ複数のLEDを面状に配列した面光源である内部照明ユニットに含まれるLEDが複数のエリアに区分けされて、各エリア毎に点灯制御可能であることを説明するための図であり、内部照明ユニットの正面図である。 大径の専用外部照明ユニットの正面図であり、この外部照明ユニットに含まれるLEDが複数のエリアに区分けされて、各エリア毎に点灯制御されることを説明するための図である。 小径の専用外部照明ユニットの正面図であり、この外部照明ユニットに含まれるLEDが複数のエリアに区分けされて、各エリア毎に点灯制御されることを説明するための図である。 内部照明ユニット及び外部照明ユニットに組み込まれたLED駆動回路の一例を示す図である。 内部照明ユニット及び外部照明ユニットの部分照明を制御するための系統図である。 ワークをバーコードリーダに対して位置決めする際に表示されるユーザインターフェース画面である。 光学情報読取領域を設定して当該領域の明るさを調整する際に表示されるユーザインターフェース画面である。 点灯パターン設定画面であり、外部照明ユニットをバーコードリーダに接続したときの表示態様を示す図である。 図33と同様に点灯パターン設定画面であるが、外部照明ユニットが非接続のときに内部照明ユニットの部分照明エリアの模式図が表示されることを示す図である。 チューニングでの設定画面を示す図である。 チューニング処理の実行中のユーザインターフェース画面である。 チューニングでの読取試行実行中のユーザインターフェース画面である。 バンク追加処理中のユーザインターフェース画面である。 NG画像の解析処理中のユーザインターフェース画面である。 チューニング処理の具体例を説明するためのフローチャートである。 点灯パターンに関する追加のバンクの自動生成に関する説明図である。 明るさに関する追加のバンクの自動生成に関する説明図である。 追加のバンクの自動生成に関するユーザインターフェース画面である。
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
バーコードリーダ・システム(図1)
図1はバーコードリーダ・システムの概要を説明するための図である。図1を参照して、バーコードリーダ・システム1は、二次元情報読取装置であるバーコードリーダ2と、必要に応じてバーコードリーダ2に接続されるパーソナルコンピュータ3とを有し、バーコードリーダ2で撮像した画像をパーソナルコンピュータ3で確認しながら、このパーソナルコンピュータ3を使って各種の設定が行われる。バーコードリーダ・システム1には、更に、必要に応じてリング型の外部照明ユニット4がバーコードリーダ2に接続され、バーコードリーダ2の内部照明ユニット5と一緒になって又は内部照明ユニット5の動作を止めて外部照明ユニット4だけでワークを照明する。
リング型の外部照明ユニット4は、このバーコードリーダ・システム1のための専用品であり、異なる種類の複数の外部照明ユニット4を用意するのが好ましい。勿論、外部照明ユニット4として専用品以外の照明ユニットを組み込むことも可能である。
バーコードリーダ・システム1は、バーコード、QRコードなどの光学情報又は光学符号が印字又は刻印された商品あるいは物品を製造する工場では物品の搬送経路に設置され、バーコードリーダ2で商品又は物品に印字された光学情報に記録されている情報を読み取り、この情報をパーソナルコンピュータ3に転送して情報の解析が行われる。「光学情報読取装置」は一般的に“バーコードリーダ”又は“コードリーダ”を呼ばれており、ここでは“バーコードリーダ”という業界用語を使用する。
また、図示の例では、図1に開示のように、パーソナルコンピュータ3に設定プログラムをインストールすることにより、このパーソナルコンピュータ3を使ってバーコードリーダ・システム1の各種の設定が行われる。勿論、バーコードリーダ2に例えばタッチパネル付き表示手段を設けて、この表示手段を使ってバーコードリーダ2、内部照明ユニット5(図3)及び/又は外部照明4(図22、図23)の設定作業ができるようにしてもよい。
バーコードリーダ2(図2〜図17)
図2はバーコードリーダ2の外観を示す斜視図である。バーコードリーダ2は、断面多角形の形状のメインケース6と、メインケース6の前端に固定される円筒状のフロントケース7とを有し、この円筒状のフロントケース7に前述した内部照明ユニット5が内蔵されている。メインケース6は、図2などから分かるように略正方形の断面形状を備えているのが好ましい。
バーコードリーダ2には互いに独立した複数の基板が内蔵されている。図3〜図5を参照して、バーコードリーダ2が備える複数の基板は次の通りである。
(1)メイン基板10:
メイン基板10には、CPU、メモリMが搭載され、画像をメモリMに転送してDSP(digital Signal Processor)で画像処理する。そして、メイン基板10のCPUで内部照明ユニット5を具備したバーコードリーダ2を制御し、また、外部照明ユニット4との通信を実行する。
(2)電源基板11:
バーコードリーダ2の電源を生成する。絶縁入出力回路が実装されている。
(3)サブ基板12:
大容量メモリが搭載されており、この大容量メモリに取得画像や各種の設定が保存される。制限した大きさ及び形状のメイン基板10では、このメイン基板10に実装することのできなかった要素が実装される。
(4)CMOS基板13(受光基板):
CMOSイメージセンサ(光学読取素子)が実装され、画像を取得してメイン基板10に転送する。ポインタ用のLED40(図10)が搭載される。
(5)LED基板14:
内部照明ユニット5を構成する円形開口14aを備えた円板状の基板であり、このLED基板14に複数の照明用LED80が実装され(後に説明する図26)、この複数の照明用LED80の点灯制御を実行する。複数の照明用LED80は、後に説明するバーコードリーダ2のレンズ組立体36の光軸を中心とする複数の径の異なる同心円上に配列される。内部照明ユニット5(LED基板14)に実装された複数の照明用LED80は後に説明するようにエリア分けして点灯制御される。また、このLED基板14には、各エリアに属する複数の照明用LEDに定電流を供給する定電流回路が設けられる。
(6)コネクタ基板15:
外部電源、IO、RS232C、Ethernet(登録商標)、外部照明ユニット4との入出力のインターフェースを構成する基板である。なお、外部照明ユニット4には、電源基板11から電源が供給される。
図3、図4を参照して、メイン基板10と電源基板11とは互いに対向して配置され、このメイン基板10と電源基板11の各々の側縁で挟まれた領域に、これらメイン基板10と電源基板11と直交するようにしてサブ基板12が配設されている。サブ基板12とメイン基板10の配置位置を互いに置換してもよい。メイン基板10、電源基板11、サブ基板12は、バーコードリーダ2は矩形断面のメインケース6の4つの側面のうち3つの側面に隣接し且つこの3つの側面の各々に沿って配設される。そして、このメイン基板10、電源基板11、サブ基板12で囲まれた空間にCMOS基板13が位置し、このCMOS基板13は各基板10〜12と直交する一つの鉛直面に配設される。また、このCMOS基板13と平行に且つCMOS基板13を挟んで互いに対峙してLED基板14とコネクタ基板15が位置決めされる。
図5は、上述した各基板10〜15の接続関係を説明するための図である。メイン基板10は、電源基板11と第1のFFC20(Flexible Flat Cable)で接続され、サブ基板12と第2のFFC21で接続され、CMOS基板13とFPC(Flexible Printed Circuit)22で接続され、内部照明ユニット4LED基板14と第3のFFC23で接続され、コネクタ基板15と第1のハーネス24で接続されている。電源基板11は、また、内部照明ユニット5のLED基板14と第2のハーネス25で接続され、LED基板14に実装された照明用LEDを発光させるための電源が電源基板11からLED基板14に供給される。電源基板11とコネクタ基板15は、2本のハーネス26、27とFFC28で接続されている。
図5を再び参照して、メイン基板10と電源基板11とが略同じ大きさ及び形状を有している点に注目すべきである。換言すれば、メイン基板10は、電源基板11と略同じ大きさ及び形状となるように設計され、この制約のためにメイン基板10に搭載できなかった電子部品がサブ基板12に搭載される。
図6、図7を参照して、メイン基板10、電源基板11、サブ基板12、CMOS基板13は、樹脂成型品であるシャーシ30に組み付けられる。シャーシ30は、図7から最も良く分かるように、メインケース6の断面形状とほぼ相似形の略正方形の断面形状を有するボックス形状を有し、このボックス形状の一つの側面30aを閉塞し、他の5つの面を開放した形態を有している。メイン基板10、電源基板11、サブ基板12は、開放した3つの側面10b〜10dに夫々配設される。樹脂成型品のシャーシ30は前後に開放しており、その一端開口30fからカメラモジュール32が挿入され(図7)、シャーシ30の中に挿入されたカメラモジュール32は、その周囲にメイン基板10、電源基板11、サブ基板12が位置し、これらメイン基板10、電源基板11、サブ基板12によってカメラモジュール32が包囲された状態になる。
図8、図9を参照して、カメラモジュール32は、アルミニウムなどのダイキャスト品からなるカメラホルダ35を有し、このカメラホルダ35は、矩形断面のホルダ本体35aと、ホルダ本体35aの互いに対向する側面から前方に且つ互いに平行に延びる一対のアーム35bと、一対のアーム35bの前端から互いに離れる方向に延びる一対の取付部35cとを有している。ホルダ本体35aには、後方に向けて開放した後端面にCMOS基板13が複数のネジ37によって固定される(図8)。
メイン基板10と電源基板11の位置決めのために、シャーシ30には6つの爪38が一体成形されており(図7)、この6つの爪38を使ってメイン基板10と、これに対向する電源基板11が、シャーシ30の開放した互いに対向する2つの側面30b、30dの夫々に位置決めされる。メイン基板10には爪38を受け入れる切り欠き10aが形成されている(図7)。電源基板11にも同様に切り欠き11aが形成されている(図3)。図7を参照して、矩形のサブ基板12は、対角線上の角隅部に一対の透孔12a、12bを有し、この一対の透孔12a、12bに対応してシャーシ30にも一対の透孔30g(一方の透孔は作図上の理由から図面には現れていない)が形成され、これら透孔12a、12b、30gを整合させることによりサブ基板12はシャーシ30にネジ止めされる。
ポインタ用LEDの配置(図10)
カメラモジュール32は円筒状のレンズ組立体36を有し、このレンズ組立体36はカメラホルダ35の一対のアーム35b、35bの間に配設されている。図10を参照して、ホルダ本体35aの後端開口には、CMOS基板13がネジ37(図8)を使って固定される。CMOS基板13には、一対のポインタ用LED40、40が搭載されている。このポインタ用LED40に関連して、ホルダ本体35aには、各ポインタ用LED40の直ぐ前方に拡散シート41が配設されている。2つのポインタ用LED40の光は、夫々、拡散シート41を通じて且つレンズ組立体36を通じて前方に照射され、バーコードリーダ2の視野範囲の中の互いに離間した2点を指し示す。図10の参照符合43は光学読取素子であるCMOSイメージセンサを示し、光学読取素子43はCMOS基板13に実装されている。
ポインタ用LED40をカメラモジュール32に内蔵させたことにより、光学読取素子43とポインタ用LED40との相対位置を一定に保つのが容易になると共にバーコードリーダ2を小型化するのが容易になる。特に、ポインタ用LED40がバーコードリーダ2のレンズ組立体36を光学読取素子43と共用することによって、ポインタ用LED40のための専用のレンズが不要となるためバーコードリーダ2の小型化が容易である。
カメラモジュール32は、光学読取素子(撮像素子)43とレンズ組立体36との間の距離が従来との対比で非常に大きく、高い分解能でバーコードやQRコードなどの光学情報を超微小な領域まで読み取ることができるという特徴を有している。このように従来との対比で長さ寸法が大きいカメラモジュール32をバーコードリーダ2の中に収容するとき、上述した基板配置に注目すべきである。すなわち、カメラモジュール32をメイン基板10、電源基板11、サブ基板12で囲むという技術的思想を導入することで、バーコードリーダ2を小型化しつつ長尺のカメラモジュール32をアウターケースの中に収容することができる。
ちにみに、カメラモジュール32のスペックは次のとおりである。
(1)光学倍率:0.6〜1.0倍(実施例では、0.823倍);
(2)視野範囲:7.5mm×4.8mm〜4.5mm×2.9mm(実施例では、5.5mm×3.5mm);
(3)光学読取素子から先端のレンズまでの距離:35mm以上(実施例では40mm)。
図11は、シャーシ30に基板10、11、12及びカメラモジュール32を組み付けた組立体の斜視図である。図12は、メイン基板10、電源基板11の上に、夫々、クッション性を備え且つ優れた熱伝導性を備えた放熱部材として熱伝導ゴム45を設置した状態を示す。バーコードリーダ2の放熱性に関して必要があれば、図12に例示した態様で熱伝導ゴム45を添設した状態で矩形断面のメインケース6(図2)に収容される(図13)。
伝熱性に優れた金属材料からなる多角形断面のメインケース6の異なる側面に隣接し且つこれに沿ってメイン基板10と電源基板11を配置したことにより、これらメイン基板10及び電源基板11の熱を外部に放出し易くなると共に、このメイン基板10と電源基板11で囲まれた空間にカメラモジュール32を収容することができるため、バーコードリーダ2の一層の小型化が可能である。特に、メイン基板10、電源基板11とメインケース6との間に熱伝導ゴム45のような放熱部材を介在させることで放熱効率を高めることができ、この観点からもバーコードリーダ2の一層の小型化が可能になる。
図13及び図15の参照符合46はリヤケースを示し、メインケース6の後端開口に脱着可能に装着されてメインケース6を閉塞する。リヤケース46にはコネクタ基板15が取付けられており、このコネクタ基板15はリヤケース46にネジ47を使って固定される(図15)。バーコードリーダ2のアウターケースを構成するメインケース6、フロントケース7、リヤケース46は、例えばメインケース6を熱伝導に優れた金属材料、例えばアルミニウムなどの伝熱性材料から作られるのがよい。
図6を参照して、メイン基板10及び電源基板11には、その前端幅狭部に夫々透孔50、51を有する。バーコードリーダ2のメインケース6は、円筒状のフロントケース7の内部まで前方に且つ互いに平行に延びるロッド状の一対の延長部分6aを有する(図15)。
メインケース6の前端部を抽出した図14を参照して、メインケース6の一対の延長部分6aには、メイン基板10及び電源基板11の前端幅狭部の透孔50、51に関連した透孔52、53が形成され、この透孔52、53に挿入したネジ54を使ってメイン基板10及び電源基板11がメインケース6(延長部分6a)に固定される。これにより、シャーシ30の3つの爪38で位置決めされたメイン基板10、電源基板11は、その各々が、メインケース6の前方に延びる延長部分6aに1本のネジ54によって固定される。換言すれば、この合計2本のネジ54によってシャーシ30がメインケース6に固定された状態となる。ネジ54を締結する作業及びネジ54取り外す作業を容易するために、メイン基板10の透孔50及び電源基板11の透孔51に、ネジ54が螺着するナット55を実装するのが好ましい。メインケース6の一対のロッド状の延長部分6aには、また、その前端面にLED基板14がネジ60を使って固定される。このリング状のLED基板14がレンズ組立体36の周囲に配置され、LED基板14に搭載された複数の照明用LED80によって、レンズ組立体36の外周側に位置するリング状の面光源が形成される。
図17は、メインケース6を正面から見た図である。メインケース6は、その前端面に左右一対の取付座62を有し、この一対の取付座62を使ってカメラモジュール32がメインケース6に固定される。図16は、メインケース6の中にカメラモジュール32を内蔵させた状態の正面図である、図17は、カメラモジュール32を取り除いた状態で描いたメインケース6の正面図である。
金属成型品であるメインケース6にカメラモジュール32を固定することで、カメラモジュール32をシャーシ30に固定するのに比べてカメラモジュール32の位置決め精度を高めて視野範囲の位置決め精度を高めることができる。
バーコードリーダ2が内蔵する主要な基板、つまり電源基板10、メイン基板12などと、レンズ組立体36を含むカメラモジュール32とをシャーシに組み付けた組立体をアウターケース(メインケース6)に内蔵させる構成を採用したことにより、複数種類のカメラモジュール32を用意することで同じアウターケースを使って複数種類のバーコードリーダ2をユーザに提供することができる。また、異なる種類のカメラモジュール32に対して、同一の電源基板10やメイン基板12などを採用し且つ同じアウターケースを使ってバーコードリーダ2を製造することができる。
前述したカメラモジュール32の左右一対の取付部35cがメインケース6の左右一対の取付座62に着座され、4本のネジ63を使って各取付部35cが、対応する取付座62に固定される(図16)。
バーコードリーダ2の機能構成(図18)
図18を参照して、バーコードリーダ2の機能構成を説明する。バーコードリーダ2は、第1、第2のCPU101、102と、共有バス103と、共有メモリ104と、前述した光学読取素子(CMOS)43と、撮像制御回路105とを有する。また、バーコードリーダ2は、ネットワークコントローラ106と、シリアル通信コントローラ107と、フラッシュメモリ108と、入出力コントローラ110と、DMAC111とを有している。
第1、第2のCPU101、102は、共有バス103を介して、共有メモリ104にアクセスするプロセッサであり、所定の演算処理回路からなる。共有バス103は、第1、第2のCPU101、102に共通のデータバスである。共有メモリ104は、撮像パラメータやデコードパラメータ、読取画像、デコード結果を保持するための揮発性の半導体記憶素子からなり、典型的にはRAM(ランダムアクセスメモリ)である。
光学読取素子43は、ワークからの反射光を受光して読取画像を生成する例えばCMOSイメージセンサで構成される。撮像制御回路105は、光学読取素子43からの画像信号を増幅する増幅器、増幅後の画像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器などからなり、共有メモリ104内の撮像パラメータ、例えば、露光時間、ゲイン、フィルタ処理の有無に基づいて光学読取素子43を制御する。
DMAC(Direct Memory Access Controller:DMAコントローラ)111は、光学読取素子43により生成された読取画像を撮像制御回路105から共有バス103を介して共有メモリ104へ転送する。
ネットワークコントローラ106は、LAN112(図1)を介してパーソナルコンピュータ3などの外部機器と通信する通信回路であり、例えば、EMAC(Ethernet Media Access Controller)からなる。シリアル通信コントローラ107は、シリアル通信インターフェースを介して外部機器と通信する通信回路であり、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)からなる。
フラッシュメモリ108は、画像ファイルを保持するための不揮発性の半導体記憶素子からなり、例えば、SD(Secure Digital、登録商標)カードなどの着脱可能なメモリカードが用いられる。入出力コントローラ110は、フラッシュメモリ108に対する画像ファイルの書き込み及び読み出しを制御する。
第1CPU101は、ネットワークコントローラ106又はシリアル通信コントローラ107がコマンドを受信した場合に、当該コマンドが読み取りを開始させるための読取開始コマンドであれば、撮像制御回路105に対して読取開始を指示する。第1CPU101は、また、光学読取素子43から受け取った読取画像を共有メモリ104に転送する。
第2CPU102は、第1CPU101からのデコード処理要求に基づいて、共有メモリ104内から読取画像を読み出してデコード処理するデコード手段を構成する。第2CPU102でデコード処理が終了したら、そのデコード結果を共有メモリ104内に書き込む。
図19は、図18のバーコードリーダ2の動作の一例を模式的に示した説明図であり、画像バッファ115及び共有メモリ104に格納されている設定バンク116が示されている。DMAC111により共有メモリ104内に転送された読取画像は、画像バッファ115として保持される。この画像バッファ115は、読取画像を保持するための画像記憶領域117と、読取画像の参照タスク数を保持するためのタスク数記憶領域118と、共有メモリ104に記憶されている設定バンク116を指定するバンク番号を保持するためのバンク番号記憶領域119からなる。
画像記憶領域117には読取画像が格納される。設定バンク116は、撮像パラメータやデコードパラメータなどの各種設定が保持される。これらの撮像パラメータ、デコードパラメータはパーソナルコンピュータ3を使って設定される。設定バンク116は、上述したように、撮像パラメータとデコードパラメータとを含む。
共有メモリ104には複数の設定バンク116が記憶されており(図20)、この設定バンク116は第1、第2のCPU101、102によって夫々参照される。バーコードリーダ2は、一つのバンク116に基づいて読み取りを実行したときに読み取りに失敗したときには、次のバンク116に基づいて読み取りが試行され、この第2のバンク116でも読み取りに失敗したときには、次のバンク116に基づいて読み取りを試行するというように、読み取りが成功するまで次々とバンク116の切り替えが行われる。
撮像系の設定パラメータの代表例を挙げれば次の通りである。
(1)照明のON/OFF;
(2)照明の照射強度;
(3)照明の点灯パターン;
(4)露光時間;
(5)ゲイン;
(6)オフセット;
(7)ダイナミックレンジ;
(8)取り込み範囲。
読取系の設定パラメータ(デコード設定)の代表例を挙げれば次の通りである。
(1)シンボル(光学情報)の種類;
(2)フィルタ種類;
(3)フィルタ回数;
(4)チルト角;
(5)PPC;
(6)デコードタイムアウト;
(7)取り込み範囲。
バーコードリーダ2の撮像シーケンス(図21)
第1CPU101は撮像処理を行うと共に光学読取素子(CMOS)43から転送された読取画像を共有メモリ104に格納する。他方、第2CPU102は共有メモリ104に格納された読取画像に対してデコード処理を行う。この第2CPU102がデコード処理を行っている最中に、これに並行して第1CPU101は次の画像処理を実行する。
第1CPU101は、第2CPU102にデコード処理要求を行った後一定時間が経過した時点で次の撮像処理を実行する。上記のデコード処理要求は、第1CPU101が撮像処理を完了したときに行われる。このデコード処理要求から次の撮像処理を実行するまでの時間を撮像間隔P(図21)と呼ぶと、第1CPU101は、1つの撮像処理が完了すると、上記撮像間隔Pとして設定されている時間が経過するのを待って次の撮像処理が実行される。
撮像間隔Pは次のように規定される。
(1)デコードタイムアウト時間Taから撮像時間Tbを引いた値を撮像間隔Pとする(下記の式1)。この撮像間隔Pは、バーコードリーダ2の内部で演算によって求められる。
(式1)P=Ta−Tb
ここに、デコードタイムアウト時間Taは、ユーザによって予め設定された最適値であり、第2CPU102が成功裏にデコード処理に要する合理的な時間である。撮像時間Tbは、露光時間とデータ転送速度で一義的に決まる値であり、データ転送速度は、画像の取り込み範囲の指定によって決まる。
上述の撮像間隔Pは各設定バンク116のパラメータに従って演算され、そして、対応する設定バンク116に記憶される。
(2)ユーザが撮像間隔Pを設定する。
ユーザは典型的には撮像間隔Pとして値「ゼロ」が設定される。
専用外部照明ユニット4(図22〜図25)
図22は、バーコードリーダ2に専用の外部照明ユニット4を装着した状態を示し、参照符号70は、バーコードリーダ2と外部照明ユニット4とを接続するケーブルを示す。外部照明ユニット4にはバーコードリーダ2から電源が供給される。
リング状の外形形状を備えた外部照明ユニット4は円形の外形輪郭を有し、その中心に円形開口4aを備え、この円形開口4aの中心とバーコードリーダ2のレンズ組立体36の光軸とが一致するようにバーコードリーダ2が位置決めされる。このバーコードリーダ2の位置決めのためにスタンド71が用意される。スタンド71は、後に詳しく説明するように、外部照明ユニット4の背面にボルト止めされる一対のプレート部材72と、このプレート部材72の任意の高さ位置にバーコードリーダ2を定置させるための取付金具73とで構成されている。
先ず、外部照明ユニット4の構造について図23を参照して説明する。図23は外部照明ユニット4の分解斜視図である。外部照明ユニット4は、リング状の円筒形状のフロントケース75と、リヤケース76とからなるアウターケースの内部に、LED基板77と回路基板78とがスタックコネクタ79(図23)及び第1のスペーサ82(図25)を介して積層した状態で収容されている。
リング状の円筒形状のフロントケース75の断面リング状の形状とほぼ同じ大きさのリング状のLED基板77には複数の照明用LED80が実装されている。このリング状のLED基板77とほぼ同じ大きさであるのが好ましいリング状の回路基板78には、LED駆動回路の他に、外部照明ユニット4に搭載された複数のLED80の点灯を制御すると共にバーコードリーダ2との通信を制御するCPU、メモリM(図1)が実装されている。図25を参照して、LED基板77と回路基板78とは電気的に接続されるのは勿論であるが、これらLED基板77と回路基板78とは上述した第1のスペーサ82によって相互に固定され、また、LED基板77は第2のスペーサ81によってリヤケース76に固定される。換言すると、回路基板78はLED基板77を介してリヤケース76に固定される。
フロントケース75に、例えばフレネルレンズ(図示せず)を採用したときに、LED基板77の照明用LED80とフロントケース75との相対的な位置決めが重要となる。図25の例であれば、LED基板77がリヤケース76を介してフロントケース75に位置決めされるため、これによりフロントケース75とLED基板77とが相対的に位置決めされるだけでなく、LED基板77、回路基板78の組み付け作業が容易である。
第1の変形例として、LED基板77と回路基板78の設置構造に関し、LED基板77を介在させることなく直接的に回路基板78をリヤケース76にスペーサを介して固定するようにしてもよい。第2の変形例として、回路基板78をリヤケース76にスペーサを介して固定すると共にこの回路基板78にLED基板77を他のスペーサを介して固定するようにしてもよい。
専用外部照明ユニット4の種類(図27、図28)
専用の外部照明ユニット4として2つの機種が用意されている。図27は、大径の外部照明ユニット4BのLED基板77が図示されている。図28は、小径の外部照明ユニット4AのLED基板77の平面図である。この2種類の外部照明ユニット4は、前述したように共にCPUとメモリMを内蔵している。そして、このメモリMに機種情報が記憶されており、これら外部照明ユニット4A、4Bがバーコードリーダ2に接続されたときには、バーコードリーダ2は、外部照明ユニット4のメモリMに記憶されている機種情報を取り込むことで該外部照明ユニット4を認識し、これにより外部照明ユニット4との接続設定が実行される。
内部照明ユニット5の部分照明(図26)
図26は、バーコードリーダ2に内蔵されるLED基板14の平面図である。リング状のLED基板14には、その全周に亘ってほぼ均一に数多くの照明用LED80が配列されている。照明用LED80は半径方向に間隔を隔てた3つの同心円上にほぼ同間隔に配置されている。より詳しくは、複数の照明用LED80は、バーコードリーダ2のレンズ組立体36の光軸を中心とする複数の径の異なる同心円上に配列されている。
リング状LED基板14は、円周方向に等間隔に4つのブロックに区分され、各ブロックを半径方向に2つに区分することにより形成される合計8つのエリアを単位に部分照明される。具体的には、最外周の1列が90°間隔で4つの領域に区分されている。これを外周第1エリアAEout1、外周第2エリアAEout2、外周第3エリアAEout3、外周第4エリアAEout4で図示してある。最内周及び中間の2列が90°間隔で4つの領域に区分されている。これを内周第1エリアAEin1、内周第2エリアAEin2、内周第3エリアAEin3、内周第4エリアAEin4で図示してある。各エリアAEout1〜out4、in1〜in4の各々のエリアに属するLED80は、各エリアで均一に分布するように位置決めされている。
内部照明ユニット5の区分エリアAEout1〜out4、AEin1〜in4の各々を単位に照明を制御することができる。このエリアに区分した点灯制御には、LED80の発光量の制御を含んでもよい。
大径の外部照明ユニット4Bの部分照明(図27)
大径の外部照明ユニット4Bのリング状のLED基板77には、その全周に亘ってほぼ均一に数多くの照明用LED80が配列されている。照明用LED80は半径方向に間隔を隔てた4つの同心円上にほぼ同間隔に配置されている。より詳しくは、複数の照明用LED80は、バーコードリーダ2のレンズ組立体36の光軸を中心とする径の異なる4つの同心円上に配列されている。
大径の外部照明ユニット4Bでは、円周方向に等間隔に8つのブロックに区分され、各ブロックを半径方向に4つに区分することにより形成される合計32のエリアを単位に部分照明するように設定されている。具体的には、リング状LED基板77は、最外周の1列が45°間隔で8つのエリアに区分されている。これを外周第1エリアAEout1〜外周第8エリアAEout8で図示してある。次の一列も45°間隔で8つのエリアに区分されている。これを外側中間第1エリアAEmid1〜外側中間第8エリアAEmid8で図示してある。次の一列も45°間隔で8つのエリアに区分されている。これを外側中間第9エリアAEmid9〜外側中間第16エリアAEmid16で図示してある。最内周の一列45°間隔で8つのエリアに区分されている。これを内周第1エリアAEin1〜内周第8エリアAEin8で図示してある。この大径の外部照明ユニット4Bにあっても合計32のエリアの各々を単位に照明を制御することができる。外部照明ユニット4Bにあっても、各エリア毎にLED80の発光量の制御を実行することができる。
小径の外部照明ユニット4Aの部分照明(図28)
図28を参照して、小径の外部照明ユニット4Aのリング状のLED基板77には、その全周に亘ってほぼ均一に数多くの照明用LED80が配列されている。照明用LED80は半径方向に間隔を隔てた3つの同心円上にほぼ同間隔に配置されている。より詳しくは、複数の照明用LED80は、バーコードリーダ2のレンズ組立体36の光軸を中心とする径の異なる3つの同心円上に配列されている。
リング状LED基板77は、最外周の1列が45°間隔で8つの領域に区分されている。これを外周第1エリアAEout1〜外周第8エリアAEout8で図示してある。中間の一列も45°間隔で8つの領域に区分されている。これを外側中間第1エリアAEmid1〜外側中間第8エリアAEmid8で図示してある。内周の一列も45°間隔で8つの領域に区分されている。これを内周第1エリアAEin1〜内周第8エリアAEin8で図示してある。この小径の外部照明ユニット4Aにあっても合計24のエリアに分けて部分照明を設定することができる。このエリアに区分した点灯制御には、LED80の発光量の制御を含んでもよい。なお、部分照明として設定したエリアを単位に照明用LED80による照明の色を異ならせるようにしてもよい。
外部照明ユニット4のLED駆動回路(図29)
図29はLED駆動回路の一部を示す。図示のLED駆動回路は、各エリア毎にLED80を点灯させると共に、各エリアに属する複数の照明用LED80に定電流を供給することができる。
例えば、図28の小径外側照明ユニット4Aについて説明すると、リング状LED基板77を周方向に45°間隔で区分した8つの領域を「ブロック」と呼ぶ。例えば、外周第1エリアAEout1、中間第1エリアAEmid1、内周第1エリアAEin1が第1ブロックを構成する。各ブロック毎にブロックスイッチ105と定電流回路106が設けられている。ブロックスイッチ105をONすると、当該ブロックに属する複数のLED80に電圧を印加できる状態になる。各列の複数のLED80には、各ブロック毎にこれをバイパスする列スイッチ107が設けられ、この列スイッチ107と並列に照明用LED80の群が直列に接続されている。なお、図29には、各円周列の照明用LED80が一個しか図示されていないが、これは線図を簡素化したという理由に過ぎず、各列スイッチ107と並列に接続された照明用LED80は直列に複数存在していると理解されたい。
各ブロックに属する各列は直列に接続され、そして、各列には、上述した列スイッチ107が並列に接続されている。したがって、任意の列スイッチ107をOFFすることにより該当するブロック且つ該当する列に属する複数のLED80に定電流が供給される。このLED駆動回路を外部照明ユニット4Aが備えることにより、各ブロックの各列を単位に部分照明のエリアを任意設定することができる。また、各ブロック毎に定電流回路106を設けたことで、例えば同じブロックでの第1〜第3の円周列の照明LED80に流れる電流を一定に維持することができる。
換言すると、定電流回路106無しでは、例えば第2、第3の円周列の照明LED80を点灯しているときに第1の円周列の照明LED80をOFFからONにスイッチすると、第2、第3の円周列の照明LED80に印加する電圧が変化して、第2、第3の照明LED80を流れる電流が変化して明るさが変化してしまう。
別の言い方で説明すると、ブロックスイッチ105をON/OFFしても、他のブロックに属する照明用LED80の発光量は変化しない。各ブロックは互いに並列に電源に接続されているからである。しかし、列スイッチ107をON/OFFすると、当該ブロックで点灯するLED80の数が変化してしまい、これに伴ってLED80の明るさが変化してしまう。
このことは、部分照明の点灯パターンを設定するときに、ワークに対する最適な光の当て方を探るうえで、LED80の明るさの変動要因を極力排除するのが望ましい。定電流回路105はこのことを企図して各ブロックに設けてある。これにより、点灯パターンの設定作業を行うときに、点灯パターンを変えたときに部分照明するための点灯するエリアでのLED80の輝度の均一化及び輝度の一定性を確保することで最適な点灯パターンを見出すのが容易になる。なお、大径の外部照明ユニット4B及び内部照明ユニット4Bについても同様に図29、図30のLED駆動回路を採用することができる。
内部照明ユニット5及び外部照明ユニット4の部分照明(図30)
内部照明ユニット5及び外部照明ユニット4は、共に、複数のLEDを面状に配列した面光源であるが、この面光源を周方向且つ半径方向に幾つかのエリアに区分して各エリアを単位に部分照明することが可能であり、どのエリアを点灯し、どのエリアを点灯しないかの点灯パターンをユーザが任意に設定することができる。全てのエリアの点灯を含む点灯パターンはPC3を使ってユーザが予め登録することができ、ユーザが設定した点灯パターンは、バーコードリーダ2のメモリM及び外部照明ユニット4が接続されているときには、この外部照明ユニット4のメモリMに記憶される。この点灯制御には、照明用LED80の発光量の制御が含まれる。なお、図30においても、上述した図29と同様に、各円周列の照明用LED80が一個しか図示されていないが、これは線図を簡素化したという理由に過ぎず、各列スイッチ107と並列に接続された照明用LED80は直列に複数存在していると理解されたい。
図1を参照して説明したように、外部照明ユニット4はCPUの制御手段を具備している。したがって、図30に図示するように、各ブロックスイッチ105及び各円周列の列スイッチ107を外部照明ユニット4のCPUで制御することにより、周方向且つ半径方向に区分した部分照明エリアを設定したときには、このエリアを単位にLED80の点灯制御が実行される。
ユーザインターフェース(図31〜図39)
図31〜図39は、外部端末のパーソナルコンピュータ3のディスプレイに表示されるユーザインターフェース画面を示す。この図31〜図39を参照してバーコードリーダ・システム1の操作手順の概要を説明すると次の順番で作業が実行される。
(1)ワークを位置決めする(図31);
(2)ユーザは撮像画像の表示を見ながら光学情報読取領域を設定し、そして、この光学情報読取領域の明るさを調整する(図32);
(3)ユーザが内部照明ユニット5、外部照明ユニット4の点灯パターンを設定する(図33、図34);
(4)ユーザがチューニングを設定する(図35);
(5)チューニング処理が実行される(図36);
(6)読取試行が開始される(図37);
(7)必要に応じて、光学情報を読み取るための各種設定パラメータを記憶したバンクを追加する(図38);
各バンクに含まれる撮像パラメータとして照明のON/OFF、照明強度、照明の点灯パターン、露光時間、ゲイン、撮像画像の取り込み範囲などを含み、デコードパラメータとして光学情報(バーコードやQRコード)の種類、フィルタの種類、フィルタ処理回数、デコードタイムアウト時間、取り込み範囲などを含む。
(8)読み取りができなかった画像(NG画像)が解析される(図39)。
第1番目の作業)ワークの位置決め(図31)
先ずパーソナルコンピュータ(PC)3とバーコードリーダ2との接続設定が行われる。この際、仮のIPアドレスを割り当てて行うことで簡便に接続設定することができる。バーコードリーダ2に専用の外部照明ユニット4を接続したときには、外部照明ユニット4のメモリM(図1)に記憶されている当該外部照明ユニット4の機種情報の読み込みが行われ、これによりバーコードリーダ2のメモリM(図1)に予め登録されている機種情報に基づいて当該外部照明ユニット4の接続設定が自動的に実行される。
次に、バーコードリーダ2に内蔵されている一対のポインタ用LED40を点灯してワークをバーコードリーダ2の視野範囲の中に設置する。ユーザは、図31の表示画面(ユーザインターフェース画面)に表示されている撮像画像を見ながらワークを位置決めする。このユーザインターフェース画面はモニタ指令ボタンを有し、ユーザがモニタ指令ボタンを押し下げると、パーソナルコンピュータ3からバーコードリーダ2に向けて撮像指令信号が送信され、バーコードリーダ2が撮像した画像がパーソナルコンピュータ3に入力されてユーザインターフェース画面に表示される。バーコードリーダ2の撮像は連続的に実行されるため、ユーザインターフェース画面に表示される撮像画像は動画表示になる。ユーザは、このライブ画像を見ながら、一般的にはバーコードなど光学情報が撮像画像の中心に位置するようにワークの位置決めを行う。すなわち、ユーザはパーソナルコンピュータ3のディスプレイに動画表示されているライブ画像で確認しながら、バーコードリーダ2に対するワークの相対位置を調整することができる。
(第2番目の作業)光学情報読取領域の設定と明るさの調整(図32)
図32を参照して、ユーザインターフェース画面の画像表示枠の中の撮像画像に領域設定を行う。これは、撮像画像と重畳表示されている範囲指定枠を操作することで行うことができ、撮像画像中のバーコードなどの矩形の光学情報を囲んで領域指定することにより(図32)、光学情報読取領域を設定することができる。この指定された光学情報読取領域の明るさは、ユーザがユーザインターフェース画面の右端にある明るさ調整バーのスライダを操作することで設定することができる。この調整後の明るさは、後に説明するチューニングの初期値としても利用される。
(第3番目の作業)点灯パターンの設定(図33、図34)
点灯パターンの設定は、図33又は図34の点灯パターン設定画面を呼び出すことにより行うことができる。この図33又は図34の設定画面は上述したユーザインターフェース画面に重畳表示される。図33は専用外部照明ユニット4をバーコードリーダ2に接続したときの設定画面であり、図34は専用外部照明ユニット4を接続していないときの設定画面である。図33と図34を対比すると分かるように、専用外部照明ユニット4を接続したときには(図33)、この専用外部照明ユニット4の各エリアと内部照明ユニット5の各エリアが、これらユニット4、5と同じにリング状に表現した照明ユニットの模式図が表示される。外部照明ユニット4が非接続のときには内部照明ユニット5に限定した照明ユニットの模式図が表示される。すなわち、バーコードリーダ2の照明に使用する照明ユニット毎に、各照明ユニットに対応した模式図がパターン設定画面に表示される。
図33、図34の設定画面に表示の模式図は上述した部分照明エリアAE(例えば図28)を含んでおり、ユーザは任意のエリアを選択することで照明エリアを設定することができる。ユーザが模式図で点灯エリアを選択すると、選択されたエリアは例えばグレーから赤色に表示色が変化し、これによりユーザはどのエリアを点灯エリアとして指定したかを一見するだけで認識することができる。図33の例であれば、内部照明ユニット5の全エリアが点灯エリアとして設定され、他方、外部照明ユニット4にあっては、右側のエリアを残して他のエリアが点灯エリアとして設定された状態が示されている。外部照明ユニット4が非接続の図34に示す例であれば、内部照明ユニット6の全エリアが点灯エリアとして設定された状態が示されている。図33、図34の点灯エリア設定画面では、ユーザが点灯エリアを変更すると、図33、図34の模式図の対応するエリアの色表示がリアルタイムで変換される。このように各点灯パターンで撮像された画像がリアルタイムに更新されてディスプレイに表示されるため、ユーザは撮像画像を見ながら所望の点灯パターンを容易に選び出すことができる。なお、リアルタイムのライブ画像は、予め定めた明るさ設定領域の明るさの平均値が、上述したユーザインターフェース画面の右端にある明るさ調整バーをユーザがスライドさせることにより調整した明るさとなるように、照明の光量、露光時間、ゲインなどがフィードバック調整される。これにより、点灯パターンを変化させてもユーザが興味のある領域の明るさを一定に保ったまま画像表示することができる。
部分照明の設定に関して、上述したように照明ユニットを模した図形表示を使って点灯エリアを選択することに代えて、予めユーザが登録した複数の点灯パターンの一覧表示し、この複数の点灯パターンの中からユーザが選択するようにしてもよい。
(第4番目の作業)チューニングの設定(図35)
図35はチューニング設定画面であり、これは図31などを参照して説明したユーザインターフェース画面の上に重畳表示される。この図35の設定画面を利用して、(1)画質優先モードと、(2)画質優先モードとを択一的に選択することができる。
(第5番目の作業)チューニング処理(図36)
先ず、チューニングにより設定を変更したいバンクを選択して、チューニング処理を実行する。図36を参照して、ユーザインターフェース画面の画像表示枠の中の撮像画像に領域設定を行う。これは、撮像画像と重畳表示されている範囲指定枠を操作することで行うことができ、撮像画像中のバーコードなどの矩形の光学情報を囲んで領域指定することにより(図36)、チューニング対象領域を設定することができる。
ユーザが設定したチューニング対象領域から光学情報を抽出する。チューニング処理で行われる明るさの変化は、光学情報読取領域の設定と明るさの調整(図32)の工程で設定された明るさが初期値として使用される。勿論、ユーザが予め任意に設定した初期値から明るさを変化させてもよいし、チューニング処理における明るさ変化の範囲の下限値又は上限値を初期値として使用してもよい。
チューニング対象領域から抽出した光学情報のデコードが成功すると、この光学情報の輪郭が例えば緑色の枠で囲んだ表示状態になる。この赤色の枠の出現によってデコードの成功を一見しただけで認識ができる。チューニングに伴って、明るさ、デコード条件、点灯パターンなどの様々なパラメータの値を変化させてもデコードが一回も成功しない場合には「チューニング失敗」として処理される。
ユーザインターフェース画面は、図32の右下のチューニングスコアの表示を含む。この表示は横軸が明るさであり、縦軸がスコアである。このチューニングスコアが最も高くなったときのパラメータの値が、上述したバンクに設定される。
(第6番目の作業)画像読取試行(図37)
光学情報の読み取りを試行したいバンクを選択して、「読取り率」ボタンを押し下げることで読取テストを実行することができる。この読み取りの試行の結果は、図37のユーザインターフェース画面の右下に表示され、この読み取り結果の表示は「%」と「スコア」とを含む。
(第7番目の作業)バンク追加(図38)
設定条件がばらつく、読み取りが安定しない等、既に設定した複数のバンクでは的確なバーコードリーダ・システム1の運用が難しいときには、バンクの追加が行われる。この図38の例では、バンク1及びバンク2を選択することで、バンク1とバンク2の間の明るさのバンクが自動生成される。この新たに生成されたバンクの明るさ以外のパラメータはバンク1のパラメータがそのままコピーされる。なお、この自動生成したバンクに対して上述したチューニングを実行して明るさ以外のパラメータの値を最適化してもよい。このバンク追加については後に詳しく説明する(図41〜図43)。
(第8番目の作業)NG画像の解析(図39)
読み取りができなかった画像を再度バーコードリーダ2から読み出すと共に、デコード条件のチューニングを行う。デコード条件のチューニングによって読み取りが成功すると、図39の成功表示欄の色が反転する。読み取りが成功したときには、この読み取りが成功したデコード条件を保存することができ、また、ユーザが「デコード設定出力」ボタンを押し下げることにより印字品質評価結果のリポートを出力することもできる。このNG画像の解析は、この解析を主眼にしたNG画像解析プログラムによって実行されるが、上述した設定プログラムで行うようにしてもよい。
チューニングの具体例(図40)
第5番目の作業であるチューニング処理(図36)はバーコードリーダ・システム1の種々のパラメータの設定のために使用される。図40を参照して、先ずステップS100でチューニング対象領域の設定が行われる。このチューニング対象領域を設定することにより撮像画像の読み取り範囲が絞り込まれる。このチューニング対象領域は、ユーザインターフェース画面に表示されている撮像画像の中央に設定できるし、撮像画像の片隅であっても設定できる。すなわち、チューニング対象領域の設定は、光学情報が存在する位置に対応してユーザが任意に設定することができる。チューニング対象領域を限定的に光学情報の大きさに設定することにより画像の読み取り速度を高めることができ、このことはチューニング処理速度を高めるのに貢献する。
次のステップS101でユーザインターフェース画面に表示されている撮像画像の明るさの初期値の設定が行われる。この初期値として、第2番目の作業である光学情報読取領域の明るさの調整(図32)で得られた明るさが採用される。チューニングよりも前段階で行われた明るさ調整で最適として設定された明るさをチューニングの初期値として使用することで、チューニングの初期段階から一般的には最適な明るさを設定することができる。これによりチューニング処理時間を飛躍的に短縮することができる。
次のステップS102で初期値の明るさで、チューニング対象領域の読み取りが開始され、読み取りが成功したときには光学情報の種類、大きさ、表示位置が取得され、次いで、ステップS104からステップS105に進んで、最も好ましくは読み取りが成功した明るさを初期値として設定し、この初期値の明るさを中心にして明るさや他のパラメータの値を変化させながら光学情報のデコードが実行される。勿論、読取が成功した明るさを含む所定の範囲内の明るさを初期値として設定してもよく、また、初期値の明るさを含む所定の範囲の明るさと他のパラメータを変化させながらデコードを実行してもよい。チューニング処理で変化させるパラメータを例示すれば次の通りである。
(1)画像の明るさ;
(2)フィルタ;
(3)画像のコントラスト;
(4)曲面設定。
上記(4)の曲面設定とは、例えばワークが円柱体の場合に、湾曲した表面に付された光学情報を読み取るのに適当であるパラメータの設定を意味している。
多くの場合、明るさの初期値が、それ以前の処理で最適として設定された明るさであることから、ステップS104で読み取り成功と判断される確率が非常に高いはずである。また、この明るさの初期値による一回の読み取り成功によってバーコードやQRコードなどの光学情報の種類、大きさ、位置の情報をチューニング処理の初期段階で獲得することができ、この光学情報に直接的に関係した情報を次のステップS105でのデコード処理に反映される。これによりデコードを容易に且つ短時間に終わらせることができる。すなわち、最初に読み取りに成功したときに、光学情報の種類、大きさ、位置の情報を獲得し、この獲得した情報はデコード処理に反映される。
ステップS105で実行されたデコードの結果(スコア)が次のステップS106で算出される。このスコアを参照することで、設定するのに適したパラメータの値に目安を付けることができる。
次のステップS107で、この複数のデコードスコアの中から一番高いスコアを検出し、次いで、ステップS108において、このデコードスコアの一番高いパラメータの値の近傍の範囲においてパラメータの値の変化の間隔を狭めてパラメータの値を次々と変化させながらデコードが実行され、その結果(スコア)が作成される。
このデコードの結果(スコア)からスコアの高いものを複数候補として検出し(S109)、そして、この複数の候補のなかで一番スコアの高い候補の読み取りを実行し(S110)、読み取りに成功したら「チューニング成功」ということで、この最良な候補に対応するパラメータの値が最適なパラメータの値であると決定される(S111、S112)。
多くの場合、初期値の明るさ、つまりチューニング以前の作業で最適な明るさが設定されている、その明るさでチューニングが成功すると思われる。また、撮像画像の一部の領域であるチューニング対象領域に範囲を絞り込んで読み取りが開始される(S103)。この読み取りが成功する確率は一般的には高く、この読み取りによって光学情報の位置、大きさ、種類の情報を獲得することで、その後のチューニング処理を素早く実行することが可能になるため、チューニングに要する時間を大幅に短縮することができる。
図40のステップS104に戻って、初期値で明るさでの読み取りに失敗したときには、初期値の明るさを中心に明るさを変化させて読み取りが試行され、これを一定回数実行しても読み取りに失敗したときには「チューニング不能」としてチューニング処理が終了される。
また、図40のステップS111で読み取りに失敗したときには、ステップS113に進んで、次の候補に対して読み取りを試行し、この読み取りが成功したら、この第2番目の候補に対応するパラメータの値が最適なパラメータの値であると決定される(S116)。
この第2番目の候補の読み取りが失敗したときには、第3番目というように、読み取りに成功するまで全ての候補に対して同様の処理が実行され(S115)、読み取りに成功した候補に対応するパラメータの値が最適なパラメータの値であると決定される(S116)。
以上、図40を参照して、チューニングの具体例を説明したが、明るさは露光時間とゲインとの関係で設定される。露光時間が長くなると、ワークの移動や振動で画像にブレが生じ、読み取りが不能になる可能性がある。この問題に対処するには、露光時間を短縮するのが好ましいが、露光時間を短縮したときには、これに応じてゲインを高める必要があり、ゲインを高く設定すると画像のノイズ成分が増加してしまうという次の問題がある。つまり、明るさ、露光時間、ゲインの三者には次の関係がある。
(明るさ)=(露光時間)×(ゲイン設定)
以上のことを考慮して、チューニング設定画面では、「画質優先」と「速度優先」とをユーザが選択できるようにしてある(図35)。
「画質優先」モードでは、露光時間が5msの上限値が設定され、最大ゲインは2倍までに制限される。「速度優先」モードでは、露光時間は、予め設定された時間を上限とし、最大ゲインは5.4倍である。
点灯パターンに関しては、複数の点灯パターンを登録できるようにするのが好ましく、登録した各点灯パターン毎に明るさ設定の初期値を用意しておくのがよい。
バンクの自動作成(図41〜図43)
図41は、ユーザが部分点灯パターンの異なる3つの設定バンク116(図19)を作成した場合に、ユーザが作成した点灯パターンを基準に追加のバンクを自動生成する例を示す。
図41の上段に第1〜第3のバンク「1」、「2」、「3」の3つのバンクが示されているが、この第1〜第3の3つのバンクはユーザが作成したバンクである。ここに、第1のバンク「1」と第2のバンク「2」は部分点灯パターンが設定され、第3のバンク「3」は全面点灯パターンが設定されている。部分点灯パターンの第1、第2のバンク「1」、「2」からユーザが選択したバンク、この例では第1のバンク「1」が選択されており、この第1のバンク「1」に対して追加のバンクが自動作成される。勿論、第2のバンク「2」をユーザが選択したときは、このバンク「2」に対して追加のバンクが設定される。
ユーザは、点灯パターンの異なる追加のバンクを作成したときには、図41の「補間方法」から「部分点灯補完」を選択し、そして、既にユーザが設定したバンクの一覧から、バンクを追加したい設定バンクを選択する。次いで、補完数つまり作成したい追加のバンクの条件を選択する。
図41の例では、「2方向」、「4方向」、「8方向」の3つの選択肢が用意されている。この選択肢の数は任意である。「2方向」とは、ユーザが設定した基準となる点灯パターンを180°回転させた追加のバンクを自動生成することを意味している。「4方向」とは、ユーザが設定したバンク116に含まれている点灯パターンを基準として90°回転間隔で回転させた点灯パターンの追加のバンクを自動生成することを意味している。「8方向」とは、ユーザが設定した基準となる点灯パターンを45°間隔で回転させた追加のバンクを自動生成することを意味している。この回転角度の選択は、第1のバンク「1」の点灯パターンのように非対称な点灯パターンの場合を主に想定してユーザインターフェース画面が作成されている。自動生成された追加のバンク「4」〜「6」は仮保存される。
図41は、ユーザが「4方向」を選択した例を示す。図41に見られるバンク「4」〜「6」が自動生成されたバンクを意味し、この3つの追加のバンク「4」〜「6」に含まれる点灯パターンが図41に図示されている。この図41から、ユーザが設定した第1バンク「1」の点灯パターンを基準として90°間隔で回転させた点灯パターンが設定されていることが理解できるだろう。
図43は追加のバンク自動生成のときのユーザインターフェース画面を示す。追加バンク「4」〜「6」は自動生成されると、この追加のバンクの情報がバーコードリーダ2に送信され、そして、上記のワークの位置決め(図31)で説明したライブ画像がユーザインターフェース画面に表示される。ユーザは試験片(ワーク)をバーコードリーダ2に対して回転させて、ディスプレイに表示のライブ画像の光の当たり具合を確認することになる。また、これに続いて読取試行が実行される。図37で説明した読取試行の結果をスコアなどで表示してもよい。また、この仮保存されている追加のバンクに対して、図40を参照して前述したチューニングを行うようにしてもよい。なお、図43のユーザインターフェース画面に「ライブビュー起動」「生成された設定で読取テスト(仮設定)」「設定を反映」という文言が見られるが、これらの文言が指し示す部位に、それぞれボタンが用意されていると理解されたい。「ライブビュー起動」ボタンを押し下げると、ワークの位置決め(図31)で説明したライブ画像がユーザインターフェース画面に表示される。「生成された設定で読取テスト(仮設定)」ボタンを押し下げると、読取試行が実行される。「設定を反映」ボタンを押し下げると追加のバンクが設定され、設定された追加のバンクがバーコードリーダ2に送信されて、このバーコードリーダ2のメモリMに記憶される。
ユーザは、ライブ画像や読取試行の結果を見て、更に追加の点灯パターンを用意する必要があると考えたときには、「8方向」を選択して45°間隔で回転した点灯パターンの追加のバンクを自動生成させることになる。この45°間隔で回転させた追加のバンクは仮保存される。逆に、ユーザがそこまでの数の追加の点灯パターンは必要でないと考えたときには、「2方向」を選択して180°回転した点灯パターンの追加のバンクを自動生成させることになる。
上記の自動生成された追加のバンクは仮保存され、ユーザの操作によって最終設定される。設定された追加のバンクはバーコードリーダ2に転送されて、バーコードリーダ2の運用に反映される。
図42は、設定バンク116に含まれる他のパラメータの明るさに関する追加のバンクの自動生成の例を示す。図42の上段に第1〜第3のバンク「1」、「2」、「3」の3つのバンクが示されているが、この第1〜第3の3つのバンクはユーザが作成したバンクである。ここに、パラメータの「明るさ」の数値は(シャッター時間×ゲイン)の指標を意味している。
“明るさ5”の第1設定バンク「1」と、“明るさ80”の第2設定バンク「2」の2つの設定バンク116をユーザが選択して「補間数」を入力すると、この“明るさ5”“明るさ80”を基準として、これらの間をユーザが指定した数で補間した追加のバンクが自動生成される。図41は補間数「3」が指定された例である。第1設定バンク「1」の“明るさ5”と第2設定バンク「2」の“明るさ80”との間の“明るさ10」の第1の追加バンク「4」、“明るさ20”の第2の追加バンク「5」、“明るさ40”の第3の追加バンク「6」が自動生成される。つまり、下限の基準である“明るさ5”を倍々で補間したのが“明るさ10”、“明るさ20”、“明るさ40”である。
なお、図42に「ダイナミックレンジ」つまり撮像画像の暗い部分と明るい部分との差分を小さくして、暗い部分は比較的明るく、明るい部分は比較的暗くする設定に関して、第1、第2の設定バンク「1」「2」では「標準」が設定されているが、自動生成される追加のバンクは、このダイナミックレンジの設定がそのまま承継される。
明るさに関する追加のバンクの自動生成に関する他の例として、例えば、ユーザが第1設定バンク「1」を設定したときに“明るさ5”を基準にユーザが予め指定したルールに従って、例えばその周辺の複数の“明るさ”を規定した、ユーザが指定した数の追加のバンクを自動生成するようにしてもよい。
このように追加のバンクを自動設定する機能を付加することで、特に「ダイレクトパーツマーキング」と称されるワークに直接的に刻印された光学情報やヘアラインワークと称される表面に微細な研削跡を備えたワークの光学情報に関してユーザの設定作業を軽減することができる。この「ダイレクトパーツマーキング」は、ワークに対して光を当てる方向や光量によって読み取りが不安定になることが知られている。また、運用時に、バーコードリーダ2に対してワークが傾斜する場合(傾斜ズレ)や回転する場合(回転ズレ)でも安定した読み取りを実現するには、典型的な回転位置や傾斜角度を再現して設定作業を行う必要がある。
これに対して、図41を参照して説明した点灯パターンを回転させた追加のバンクの自動設定によれば、運用時のワークの“回転ズレ”に対して対応できる典型的な点灯パターンを含むバンクが自動設定されるためユーザの設定作業を軽減することができる。図42を参照して説明した光量を変化させた追加のバンクの自動設定によれば、運用時のワークの“傾斜ズレ”に対して対応できる典型的な光量を含むバンクが自動設定されるためユーザの設定作業を軽減することができる。
前述したとおり、運用時、バーコードリーダ2は、一つの設定バンク116のパラメータに従って読み取りを実行して失敗したときには、次のバンク116のパラメータに従って読み取りが試行され、この第2のバンク116でも読み取りに失敗したときには、次のバンク116に従って読み取りを試行するというように、読み取りが成功するまで次々とバンク116の切り替えが行われる。したがって、図41〜図43を参照して説明した追加のバンクを自動設定することで、「ダイレクトパーツマーキング」のような光量や光の当たり具合の感受性の高いワークに対して、バーコードリーダ2による読み取りを安定化させることができる。
また、この追加のバンクの自動設定を実行するときに、追加のバンクを仮設定して読み取りを試行して読み取り率を確認することで適切な数の追加のバンクを自動設定できる。
本発明は光学情報読取装置の設定に適用される。
1 バーコードリーダ・システム
2 バーコードリーダ
3 パーソナルコンピュータ
101 第1CPU
102 第2CPU
103 共有バス
104 共有メモリ
116 設定バンク

Claims (6)

  1. ユーザが設定した各種のパラメータを含む設定バンクを作成して、該設定バンクを光学情報読取装置の運用に反映させる光学情報読取の設定支援装置であって、
    前記ユーザが作成した設定バンクに含まれる各種のパラメータのうち、ユーザが選択したパラメータを基準として、該基準パラメータの周辺のパラメータを所定のルールに従って変化させた追加のバンクを作成する追加バンク作成手段と、
    前記追加のバンクの数をユーザが選択することのできる追加バンク数選択手段と、
    前記追加バンク作成手段が作成した追加のバンクをユーザの指示に基づいて設定して、前記光学情報読取装置の運用に反映させる追加バンク設定手段とを有することを特徴とする光学情報読取の設定支援装置。
  2. 前記前記基準パラメータが前記光学情報読取装置の照明の点灯パターンであり、
    前記追加のバンクが、予めユーザによって登録された点灯パターンからユーザが指定したルールによって選択される、請求項1に記載の光学情報読取の設定支援装置。
  3. 前記光学情報読取装置の照明がリング型照明であり、
    前記基準パラメータが前記リング型照明の周方向に非対象な点灯パターンである、請求項2に記載の光学情報読取の設定支援装置。
  4. 前記追加バンク作成手段が、前記非対称な点灯パターンを周方向に回転させることにより前記追加のバンクを作成する、請求項3に記載の光学情報読取の設定支援装置。
  5. 前記非対称な点灯パターンを周方向に回転させる角度をユーザが選択して、これを前記所定のルールとして設定可能である、請求項4に記載の光学情報読取の設定支援装置。
  6. 前記前記基準パラメータが前記光学情報読取装置の照明の明るさであり、
    ユーザが2つの明るさの異なる設定バンクを選択することで、前記追加バンク作成手段が2つの前記基準パラメータの間を補間する追加のバンクを作成する、請求項1に記載の光学情報読取の設定支援装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016033788A (ja) * 2014-07-31 2016-03-10 株式会社キーエンス 光学的情報読取装置、光学的情報読取方法およびプログラム
JP2018045735A (ja) * 2017-12-27 2018-03-22 株式会社キーエンス 光学的情報読取装置、光学的情報読取方法およびプログラム

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