JP5701212B2 - 肺癌バイオマーカーとその使用 - Google Patents

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Description

関連出願
[0001] 本出願は、そのいずれも「肺癌試料のマルチプレックス分析」と題して、そのいずれもすべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願シリアル番号61/095,593(2008年9月9日出願)及び米国仮特許出願シリアル番号61/152,837(2009年2月16日出願)の利益を請求する。
技術分野
[0002] 本出願は、個体におけるバイオマーカーの検出と癌の診断に概して関して、より具体的には、個体において癌、より特別には肺癌を診断するための1以上のバイオマーカー、方法、デバイス、試薬、システム、及びキットに関する。
[0003] 以下の記載は、本出願に関連した情報の概要を提供するものであって、本明細書において提供される情報又は参照される刊行物のいずれもが本出願の先行技術であるとする自認ではない。
[0004] 他のどの種類の癌よりも多くの人々が肺癌で死亡する。このことは、男性にも女性にも当てはまる。2005年度(現時点で統計が利用できる最も最近の年度)の米国において、肺癌は、乳癌、前立腺癌、及び結腸癌の合計より多くの死亡の原因であった。その年度において、107,416人の男性と89,271人の女性が肺癌と診断されて、90,139人の男性と69,078人の女性が肺癌で死亡した。米国の男性の間で、肺癌は、白人、黒人、アジア系/太平洋の島民、北米インディアン/アラスカ原住民、及びヒスパニックの男性の間で二番目に多い癌である。米国の女性の間で、肺癌は、白人、黒人、及び北米インディアン/アラスカ原住民の女性の間で二番目に多い癌であり、そしてアジア系/太平洋の島民とヒスパニックの女性の間で三番目に多い癌である。喫煙を止めない人々では、肺癌による死亡の確率は15%であり、50〜59歳で止めた人々でさえ、5%より高いままである。肺癌の年間医療費は、米国だけで950億ドルである。
[0005] 喫煙により引き起こされる肺癌の91パーセントは、非小細胞肺癌(NSCLC)であり、これはすべての肺癌のほぼ87%を占める。すべての肺癌の残る13%は、小細胞肺癌であるが、混合細胞肺癌も実際に生じる。小細胞肺癌は稀で、急速に致死的になるので、早期検出の機会に乏しい。
[0006] NSCLCには3つの主要な型:扁平上皮癌、大細胞癌、及び腺癌がある。腺癌は、最も一般的な肺癌の型(30%〜40%であり、50%ほどに高いと報告されている)であり、喫煙者と非喫煙者の両方で最も頻繁に見出される肺癌である。扁平上皮癌は、すべての肺癌の25〜30%を占めて、一般的には、近位気管支において見出される。初期のNSCLCは、局在化する傾向があるので、早期に検出されれば、それはしばしば外科手術によって、好ましいアウトカムと改善された生存を伴って治療することができる。他の治療オプションには、放射線治療、薬物療法、及びこれらの方法の組合せが含まれる。
[0007] NSCLCは、腫瘍のサイズとリンパ節が含まれる他の組織におけるその存在によって病期決定される。潜伏期では、癌細胞が喀痰試料又は洗浄試料に見出され、肺に腫瘍は検出されない。0期では、肺の最深部の裏層だけが癌細胞を表出して、腫瘍は裏層で成長していない。IA期では、癌は浸潤性とみなされて、肺組織中へ深く成長しているが、腫瘍は幅3cm未満である。この病期では、腫瘍は気管支にもリンパ節にも見出されない。IB期では、腫瘍は、幅3cmより大きいか、又は気管支又は胸膜の中へ成長しているが、リンパ節中へは成長していない。IIA期では、腫瘍は幅3cmより大きくて、リンパ節中へ成長したところである。IIB期では、腫瘍はすでにリンパ節に見出されていて幅3cmより大きいか、又は気管支又は胸膜の中へ成長している;又は癌は、リンパ節にはないものの、胸壁、横隔膜、胸膜、気管支、又は心臓を囲む組織に見出される。IIIA期では、癌細胞が肺及び気管支の近くのリンパ節と両肺の間のリンパ節に見出されるが、腫瘍が定位される胸部の片側においてである。IIIB期では、腫瘍のある胸部の反対側と首に癌細胞が定位される。肺付近の他の臓器も癌細胞を有する場合があり、肺の1葉に多数の腫瘍が見出される場合がある。IV期では、同一肺又は両肺の1以上の葉に腫瘍が見出され、身体の他の部分に癌細胞が見出される。
[0008] 肺癌の診断の現行法には、癌性細胞についての喀痰検査、胸部X線検査、気道の光ファイバー評価、及び低線量スパイラルコンピュータ断層撮影法(CT)が含まれる。喀痰細胞学は、きわめて感度が低い。胸部X線検査も相対的に低感度であり、見えるためには、病変のサイズが1cmより大きいことが求められる。気管支鏡法では、気管支鏡へ接近し得る気道の内側で腫瘍が見えることが求められる。最も広く認知されている診断法はCTであるが、X線と共通して、CTの使用にはイオン化放射線を伴い、それ自体が癌を引き起こす可能性がある。CTには重大な限界もある:このスキャンには、解釈するのに高いレベルの技術スキルが求められ、観察される異常の多くは実は肺癌でないので、CT所見を追跡することには実質的な医療コストが負担される。ごくありふれた偶発所見は、良性の肺結節である。
[0009] 肺結節は、肺の内部に定位される、相対的に丸い病変、又は異常組織の領域であり、サイズは多様であり得る。肺結節は、良性又は癌性であり得るが、ほとんどは良性である。結節が4mm未満であれば、罹患率は1.5%にすぎず、4〜8mmであれば、罹患率はほぼ6%であり、そして20mm以上であれば、発病率はほぼ20%である。小サイズ及び中サイズの結節では、患者は3ヶ月〜1年以内に再スキャンを受けるように勧められる。多くの大結節では、患者は、そのほとんどが良性であるとしても、生検(侵襲性であり、合併症をもたらす場合もある)を受けるものである。
[0010] 故に、実施される外科的処置の件数を減らして、外科合併症のリスクを最小化するために、CTに換わるか又はその補足となり得る診断法が必要とされている。加えて、肺結節が非存在であるか又は不明であるときでも、患者アウトカムを改善するために肺癌をその早期に検出する方法が必要とされている。肺癌症例の84%が、5年生存率が13%にすぎない後期で診断されるのと対照的に、5年生存率が46%である、局在化した初期癌として診断される肺癌症例は16%にすぎない。このことは、症状の多くは他の肺疾患に共通しているので、診断を症状に依拠することは有用でないことを示している。これらの症状には、持続性の空咳、血痰、胸痛、及び回帰性の気管支炎又は肺炎が含まれる。
[0011] 癌の早期診断の方法が存在する場合、その利益は医療学会に概して受け容れられている。広く利用されているスクリーニングプロトコールがある癌では、肺癌の16%に対して、乳癌(88%)及び結腸癌(65%)のように、最高の5年生存率がある。しかしながら、その癌がスクリーニングによりI期で診断されるならば、肺癌患者の88%が10年以上長く生存する。このことは、初期のNSCLCを確実に検出することができる診断法への明瞭なニーズを示している。
[0012] 特定の病態へのバイオマーカー選択には、第一に、対照集団に比較して疾患集団において測定可能で統計学的に有意な差があるマーカーを特定の医療応用のために同定することが必要となる。バイオマーカーには、疾患の発達又は進行に並行して、病変へ応答して肺組織又は遠位組織より血流へすぐに拡散される、分泌又は流出される分子を含めることができる。同定されるバイオマーカー又はバイオマーカーのセットは、一般的には、それが選択された当初の企図された使用のために信頼し得る指標であることが臨床的に検証されるか又は示される。バイオマーカーには、低分子、ペプチド、タンパク質、及び核酸を含めることができる。バイオマーカーの同定に影響を及ぼす主要課題のいくつかには、利用可能なデータの過剰適合とデータ中の偏りが含まれる。
[0013] バイオマーカーを同定して疾患を診断する試みにおいて、多様な方法が利用されてきた。タンパク質ベースのマーカーでは、これらに、二次元電気泳動、質量分析、及びイムノアッセイの方法が含まれる。核酸マーカーでは、これらに、mRNA発現プロファイル、ミクロRNAプロファイル、FISH、遺伝子発現の連続分析(SAGE)、及びラージスケール遺伝子発現アレイが含まれる。
[0014] 二次元電気泳動の有用性は、低い検出感度;タンパク質の可溶性、電荷、及び疎水性に伴う課題;ゲルの再現性;及び単一スポットが多数のタンパク質を表す可能性によって制限される。質量分析法では、使用するフォーマットに依存して、試料の処理及び分離、低存在量タンパク質への感度、シグナル/ノイズへの考慮、並びに、検出タンパク質を即座に同定し得ないことに絡む限界がある。バイオマーカー探索に対するイムノアッセイアプローチの限界は、抗体ベースのマルチプレックスアッセイが多数の分析物を測定し得ないことに集中している。高品質抗体のアレイを印字して、サンドイッチ法を伴わずに、その抗体へ結合した分析物を測定すればいいように見える(これは、生物又は細胞中のすべてのDNA又はRNA配列をハイブリダイゼーションによって測定するのに全ゲノムの核酸配列を使用するのと同等のフォーマットであろう。ハイブリダイゼーション実験が奏効するのは、ハイブリダイゼーションが厳密な同定検査法であり得るからである。どんなに優れた抗体であっても、血液ましてや細胞抽出物の状況で作用するその結合パートナーを選択するのに十分に厳密ではない。なぜなら、そのようなマトリックス中のタンパク質の集合は、きわめて異なる存在度を有するからである)。従って、バイオマーカー探索へのイムノアッセイベースのアプローチとは異なるアプローチを使用しなければならない。どの分析物が本当にバイオマーカーであるかを決定するのに十分な厳密性をもって、多くの分析物を同時に測定するには、マルチプレックスELISAアッセイ(即ち、サンドイッチ法)を使用することが必要になろう。サンドイッチイムノアッセイは、高含量へ調整されないので、標準的なアレイフォーマットを使用しては、厳密なサンドイッチイムノアッセイを使用するバイオマーカーの探索は、可能でない。最後に、抗体試薬は、実質的なロット変動性と試薬の不安定性を受け易い。タンパク質バイオマーカー探索のための即時プラットフォームは、この問題を克服する。
[0015] 上記方法の多くは、分析に先立つある種の試料分画に依拠するか又はそれを必要とする。従って、詳細に明らかにされた一連の標本集団において統計学的に意義のあるバイオマーカーを同定/発見するように設計された十分に有能な(powered)試験を実施するのに求められる試料調製は、きわめて困難で、高価で、時間浪費的である。分画の間には、その様々な試料へ広範囲の変動性が持ち込まれる可能性がある。例えば、ある潜在的なマーカーがこの方法に対して不安定であり得る、マーカーの濃度が変化し得る、不適正な凝集又は脱凝集が起こり得る、そして不都合な試料汚染が生じ得て、それにより初期の疾患において予期される微妙な変化が不明瞭になるかもしれない。
[0016] 上記の技術を使用するバイオマーカー探索及び検出の方法には、診断用バイオマーカーの同定にとって重大な限界があることが広く受け容れられている。これらの限界には、低存在度のバイオマーカーを検出し得ないこと、プロテオームの動的範囲全体を首尾一貫して網羅し得ないこと、試料処理及び分画における非再現性、そして方法の全般的な非再現性と確実性の不足が含まれる。さらに、上記の試験法は、標的疾患集団内のバイオマーカーを同定して検証するのに必要とされる割付(distribution)及び無作為化に関して、データへ偏りを導入して、適正な対照を含めて、標本集団の複雑性へ十分に対処してこなかった。
[0017] 新しくて有効なバイオマーカーの発見を目指した努力が数十年間続いてきたが、その努力は概ね不首尾であった。典型的には、様々な疾患のバイオマーカーは、大学の研究室において、通常はある疾患プロセスに関する基礎研究をしている間の偶然の発見により同定されてきた。この発見と少量の臨床データに基づいて、新たなバイオマーカーの同定を示唆する種々の論文が公表されてきた。しかしながら、これらの提唱されたバイオマーカーのほとんどは、主として、検証した臨床試料の数が少ないために、有効なバイオマーカーが本当に見出されたとする統計学的な証拠がきわめて乏しいという理由から、真の、又は有用なバイオマーカーとして確証されていない。即ち、初期の同定は、統計学の基本要素に関して厳密ではなかったのである。1994年〜2003年の各年において科学文献を検索すると、バイオマーカーへ指向された数千もの文献が公表されたことがわかる。しかしながら、その同じ時間枠の間にFDAが診断使用を承認した新たなタンパク質バイオマーカーは1年でせいぜい3つであり、新たなタンパク質バイオマーカーが承認されなかったときも数年ある。
[0018] この失敗したバイオマーカー探索の努力の歴史に基づいて、疾患用のバイオマーカーは稀で、見つけることが難しいとする一般的な理解をさらに増進させる数学理論が提唱されてきた。2Dゲル又は質量分析法に基づいたバイオマーカー研究は、上記の概念を裏付ける。これらのアプローチによって同定された有用なバイオマーカーはほとんどない。しかしながら、2Dゲルや質量分析法が血中にほぼ1nM以上の濃度で存在するタンパク質を測定すること、そしてこのタンパク質の集合体が疾患に伴って変化する可能性が多分ほとんどないことは、通常見過ごされている。即時バイオマーカー探索プラットフォーム以外には、タンパク質発現レベルをずっと低い濃度で正確に測定することが可能であるプロテオミックバイオマーカー探索プラットフォームは存在しない。
[0019] 複雑なヒトの生物学の生化学経路について多くのことが知られている。多くの生化学経路は、病態の内部で局所的に作用する分泌タンパク質に到達するか、又はそれによって始動される。例えば、増殖因子が分泌されて他の細胞の複製を病態において刺激する、そして他の因子が分泌されて免疫系を回避する、といった具合である。これら分泌タンパク質の多くは傍分泌の形式で作用するが、身体において遠位で機能するものもある。生化学経路の基礎的な理解がある当業者ならば、多くの病態特異的タンパク質が2Dゲルや質量分析法の検出限界より低い(なおさらに低い)濃度で血中に存在するはずであると理解されよう。この相対的に豊富な数の疾患バイオマーカーの同定に先行しなければならないものは、2Dゲル又は質量分析法によって検出可能な濃度未満の濃度でタンパク質を分析することができるプロテオミックプラットフォームなのである。
[0020] 従って、(a)良性肺結節の悪性肺結節からの差別化;(b)肺癌バイオマーカーの検出;及び(c)肺癌の診断を可能にする、バイオマーカー、方法、デバイス、試薬、システム、及びキットへのニーズが存在する。
[0021] 本出願には、癌、そしてより特別には肺癌の検出及び診断のためのバイオマーカー、方法、試薬、デバイス、システム、及びキットが含まれる。本出願のバイオマーカーは、実施例1において詳しく記載されるマルチプレックスアプタマーベースのアッセイを使用して同定された。本明細書に記載のアプタマーベースのバイオマーカー同定法を使用することによって、本出願は、肺癌の検出及び診断に有用である、驚くほど多数の肺癌バイオマーカーについて記載する。これらのバイオマーカーを同定するときには、数百もの個別試料より800を超えるタンパク質を測定したが、その中には低いフェントモル濃度範囲の濃度で測定したものもある。これは、2Dゲル及び/又は質量分析法で行われるバイオマーカー探索実験より約4桁低い。
[0022] 記載した肺癌バイオマーカーのあるものは、肺癌を検出及び診断するのに単独で有用であるが、本明細書では、バイオマーカーのパネルとして有用である肺癌バイオマーカーの複合サブセットの群分けの方法について記載する。個々のバイオマーカー又はバイオマーカーのサブセットを同定したならば、選択した単数又は複数のバイオマーカーの生体試料中のレベルの差を測定することが可能であるどのアッセイプラットフォーム又はフォーマットを使用しても、個体における肺癌の検出又は診断を達成することができる。
[0023] しかしながら、本明細書に開示する肺癌バイオマーカーを同定することが可能であったのは、肺癌を有するか又は有さないとすでに診断された多数の個体に由来する800を超える別個の潜在的なバイオマーカーの数値を個別にスクリーニングした、本明細書に記載のアプタマーベースのバイオマーカー同定法を使用したからこそである。この探索アプローチは、ヒトの病態への解釈を必要としない、より患者に関連した体系について質問するので、条件培地や溶解細胞からのバイオマーカー探索とは著しく対照的である。
[0024] このように、本出願の1つの側面において、肺癌を診断するか又は肺結節が良性又は悪性かの鑑別診断を可能にする、単独又は様々な組合せで使用の1以上のバイオマーカーを提供する。例示の態様には、上記のように、実施例2に記載されるようなマルチプレックスアプタマーベースのアッセイを使用して同定された、表1、カラム2に提供されるバイオマーカーが含まれる。表1、カラム5に提供されるマーカーは、良性結節を癌性結節から区別するのに有用である。表1、カラム6に提供されるマーカーは、肺癌を有する喫煙者から無症状喫煙者を区別するのに有用である。
[0025] 記載した肺癌バイオマーカーのあるものは、肺癌を検出及び診断するのに単独で有用であるが、本明細書では、3以上のバイオマーカーのパネルとしてそれぞれ有用である肺癌バイオマーカーの複合サブセットの群分けの方法についても記載する。このように、本出願の様々な態様は、N個のバイオマーカーを含んでなる組合せを提供し、ここでNは、少なくとも2個のバイオマーカーである。他の態様では、2〜61の任意数のバイオマーカーであるようにNを選択する。
[0026] なお他の態様では、2〜7、2〜10、2〜15、2〜20、2〜25、2〜30、2〜35、2〜40、2〜45、2〜50、2〜55、又は2〜61の任意数であるようにNを選択する。他の態様では、3〜7、3〜10、3〜15、3〜20、3〜25、3〜30、3〜35、3〜40、3〜45、3〜50、3〜55、又は3〜61の任意数であるようにNを選択する。他の態様では、4〜7、4〜10、4〜15、4〜20、4〜25、4〜30、4〜35、4〜40、4〜45、4〜50、4〜55、又は4〜61の任意数であるようにNを選択する。他の態様では、5〜7、5〜10、5〜15、5〜20、5〜25、5〜30、5〜35、5〜40、5〜45、5〜50、5〜55、又は5〜61の任意数であるようにNを選択する。他の態様では、6〜10、6〜15、6〜20、6〜25、6〜30、6〜35、6〜40、6〜45、6〜50、6〜55、又は6〜61の任意数であるようにNを選択する。他の態様では、7〜10、7〜15、7〜20、7〜25、7〜30、7〜35、7〜40、7〜45、7〜50、7〜55、又は7〜61の任意数であるようにNを選択する。他の態様では、8〜10、8〜15、8〜20、8〜25、8〜30、8〜35、8〜40、8〜45、8〜50、8〜55、又は8〜61の任意数であるようにNを選択する。他の態様では、9〜15、9〜20、9〜25、9〜30、9〜35、9〜40、9〜45、9〜50、9〜55、又は9〜61の任意数であるようにNを選択する。他の態様では、10〜15、10〜20、10〜25、10〜30、10〜35、10〜40、10〜45、10〜50、10〜55、又は10〜61の任意数であるようにNを選択する。同様の、しかしより高い次数の範囲が含まれるようにNを選択することができると理解されよう。
[0027] 別の側面では、肺癌を個体において診断するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、表1、カラム2に提供されるバイオマーカーの群より選択される少なくとも1つのバイオマーカーに対応する少なくとも1つのバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでは、その少なくとも1つのバイオマーカー値に基づいて、その個体が肺癌を有するものとして分類される。
[0028] 別の側面では、肺癌を個体において診断するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、表1、カラム2に示されるバイオマーカーの群より選択される少なくともN個のバイオマーカーの1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでは、そのバイオマーカー値に基づいて、その個体が肺癌を有する可能性が決定される。
[0029] 別の側面では、肺癌を個体において診断するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、表1、カラム2に示されるバイオマーカーの群より選択される少なくともN個のバイオマーカーの1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでは、そのバイオマーカー値に基づいて、その個体が肺癌を有するものとして分類されて、ここでN=2〜10である。
[0030] 別の側面では、肺癌を個体において診断するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、表1、カラム2に示されるバイオマーカーの群より選択される少なくともN個のバイオマーカーの1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでは、そのバイオマーカー値に基づいて、その個体が肺癌を有する可能性が決定されて、ここでN=2〜10である。
[0031] 別の側面では、悪性結節を有する個体から良性結節を有する個体を差別化するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、表1、カラム5に示されるバイオマーカーの群より選択される少なくとも1つのバイオマーカーに対応する少なくとも1つのバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでは、その少なくとも1つのバイオマーカー値に基づいて、その個体が悪性結節を有するものとして分類されるか、又はその個体が悪性結節を有する可能性が決定される。
[0032] 別の側面では、悪性結節を有する個体から良性結節を有する個体を差別化するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、表1、カラム5に示されるバイオマーカーの群より選択される少なくともN個のバイオマーカーの1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでは、前記バイオマーカー値に基づいて、その個体が悪性結節を有するものとして分類されるか、又はその個体が悪性結節を有する可能性が決定され、ここでN=2〜10である。
[0033] 別の側面では、喫煙者について肺癌をスクリーニングするための方法を提供し、該方法には、喫煙者である個体からの生体試料において、表1、カラム6に示されるバイオマーカーの群より選択される少なくとも1つのバイオマーカーに対応する少なくとも1つのバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでは、その少なくとも1つのバイオマーカー値に基づいて、その個体が肺癌を有するものとして分類されるか、又はその個体が肺癌を有する可能性が決定される。
[0034] 別の側面では、喫煙者について肺癌をスクリーニングするための方法を提供し、該方法には、喫煙者である個体からの生体試料において、表1、カラム6に示されるバイオマーカーの群より選択される少なくともN個のバイオマーカーの1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでは、前記バイオマーカー値に基づいて、その個体が肺癌を有するものとして分類されるか、又はその個体が肺癌を有する可能性が決定され、ここでN=2〜10である。
[0035] 別の側面では、個体が肺癌を有さないことを診断するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、表1、カラム2に示されるバイオマーカーの群より選択される少なくとも1つのバイオマーカーに対応する少なくとも1つのバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでは、その少なくとも1つのバイオマーカー値に基づいて、その個体が肺癌を有さないものとして分類される。
[0036] 別の側面では、個体が肺癌を有さないことを診断するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、表1、カラム2に示されるバイオマーカーの群より選択される少なくともN個のバイオマーカーの1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでは、そのバイオマーカー値に基づいて、その個体が肺癌を有さないものとして分類されて、ここでN=2〜10である。
[0037] 別の側面では、肺癌を診断するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、N個のバイオマーカーのパネル上のバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでそのバイオマーカーは、表1、カラム2に示されるバイオマーカーの群より選択され、ここでそのバイオマーカー値の分類は、その個体が肺癌を有することを示して、ここでN=3〜10である。
[0038] 別の側面では、肺癌を診断するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、N個のバイオマーカーのパネル上のバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでそのバイオマーカーは、表1、カラム2に示されるバイオマーカーの群より選択され、ここでそのバイオマーカー値の分類は、その個体が肺癌を有することを示して、ここでN=3〜15である。
[0039] 別の側面では、肺癌を診断するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、表2〜27に示されるパネルの群より選択されるバイオマーカーのパネル上のバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでそのバイオマーカー値の分類は、その個体が肺癌を有することを示す。
[0040] 別の側面では、悪性結節を有する個体から良性結節を有する個体を差別化するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、N個のバイオマーカーのパネル上のバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでそのバイオマーカーは、表1、カラム5に示されるバイオマーカーの群より選択され、ここでは、そのバイオマーカー値に基づいて、その個体が悪性結節を有するものとして分類されるか、又はその個体が悪性結節を有する可能性が決定されて、ここでN=3〜10である。
[0041] 別の側面では、悪性結節を有する個体から良性結節を有する個体を差別化するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、N個のバイオマーカーのパネル上のバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでそのバイオマーカーは、表1、カラム5に示されるバイオマーカーの群より選択され、ここでは、そのバイオマーカー値に基づいて、その個体が悪性結節を有するものとして分類されるか、又はその個体が悪性結節を有する可能性が決定されて、ここでN=3〜15である。
[0042] 別の側面では、喫煙者について肺癌をスクリーニングするための方法を提供し、該方法には、喫煙者である個体からの生体試料において、N個のバイオマーカーのパネル上のバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでそのバイオマーカーは、表1、カラム6に示されるバイオマーカーの群より選択され、ここでは、そのバイオマーカー値に基づいて、その個体が肺癌を有するものとして分類されるか、又はその個体が肺癌を有する可能性が決定されて、ここでN=3〜10である。
[0043] 別の側面では、喫煙者について肺癌をスクリーニングするための方法を提供し、該方法には、喫煙者である個体からの生体試料において、N個のバイオマーカーのパネル上のバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでそのバイオマーカーは、表1、カラム6に示されるバイオマーカーの群より選択され、ここでは、そのバイオマーカー値に基づいて、その個体が肺癌を有するものとして分類されるか、又はその個体が肺癌を有する可能性が決定されて、ここでN=3〜15である。
[0044] 別の側面では、肺癌の非存在を診断するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、N個のバイオマーカーのパネル上のバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでそのバイオマーカーは、表1、カラム2に示されるバイオマーカーの群より選択され、ここでそのバイオマーカー値の分類は、その個体が肺癌を有することを示して、ここでN=3〜10である。
[0045] 別の側面では、肺癌の非存在を診断するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、N個のバイオマーカーのパネル上のバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでそのバイオマーカーは、表1、カラム2に示されるバイオマーカーの群より選択され、ここでそのバイオマーカー値の分類は、その個体が肺癌を有することを示して、ここでN=3〜15である。
[0046] 別の側面では、肺癌の非存在を診断するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、表2〜27に提供されるパネルの群より選択されるバイオマーカーのパネル上のバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでそのバイオマーカー値の分類は、その個体における肺癌の非存在を示す。
[0047] 別の側面では、肺癌を個体において診断するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、表1、カラム2に示されるバイオマーカーの群より選択される少なくともN個のバイオマーカーの1つに対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでは、所定の閾値より逸脱する分類スコアに基づいて、その個体が肺癌を有するものとして分類されて、ここでN=2〜10である。
[0048] 別の側面では、悪性結節を有する個体から良性結節を有する個体を差別化するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、N個のバイオマーカーのパネル上のバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでそのバイオマーカーは、表1、カラム5に示されるバイオマーカーの群より選択され、ここでは、所定の閾値より逸脱する分類スコアに基づいて、その個体が悪性結節を有するものとして分類されるか、又はその個体が悪性結節を有する可能性が決定されて、ここでN=3〜10である。
[0049] 別の側面では、悪性結節を有する個体から良性結節を有する個体を差別化するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、N個のバイオマーカーのパネル上のバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでそのバイオマーカーは、表1、カラム5に示されるバイオマーカーの群より選択され、ここでは、所定の閾値より逸脱する分類スコアに基づいて、その個体が悪性結節を有するものとして分類されるか、又はその個体が悪性結節を有する可能性が決定され、ここでN=3〜15である。
[0050] 別の側面では、喫煙者について肺癌をスクリーニングするための方法を提供し、該方法には、喫煙者である個体からの生体試料において、N個のバイオマーカーのパネル上のバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでそのバイオマーカーは、表1、カラム6に示されるバイオマーカーの群より選択され、ここでは、所定の閾値より逸脱する分類スコアに基づいて、その個体が肺癌を有するものとして分類されるか、又はその個体が肺癌を有する可能性が決定されて、ここでN=3〜10である。
[0051] 別の側面では、喫煙者について肺癌をスクリーニングするための方法を提供し、該方法には、喫煙者である個体からの生体試料において、N個のバイオマーカーのパネル上のバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでそのバイオマーカーは、表1、カラム6に示されるバイオマーカーの群より選択され、ここでは、所定の閾値より逸脱する分類スコアに基づいて、その個体が肺癌を有するものとして分類されるか、又はその個体が肺癌を有する可能性が決定されて、ここでN=3〜15である。
[0052] 別の側面では、肺癌の非存在を個体において診断するための方法を提供し、該方法には、個体からの生体試料において、表1、カラム2に示されるバイオマーカーの群より選択される少なくともN個のバイオマーカーの1つに対応するバイオマーカー値を検出することが含まれ、ここでは、所定の閾値より逸脱する分類スコアに基づいて、前記個体が肺癌を有さないものとして分類されて、ここでN=2〜10である。
[0053] 別の側面では、肺癌の可能性を示すためのコンピュータ実行法を提供する。該方法は、コンピュータバイオマーカー情報を個体のために検索すること(ここで該バイオマーカー情報は、表1、カラム2に示されるバイオマーカーの群より選択される、少なくともN個のバイオマーカー(ここでNは、上記に定義される通りである)の1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を含む);このバイオマーカー値のそれぞれの分類をコンピュータで実施すること;及び、複数の分類に基づいて、その個体が肺癌を有する可能性を示すことを含む。
[0054] 別の側面では、肺癌を有するものか又は有さないものとして個体を分類するためのコンピュータ実行法を提供する。該方法は、コンピュータバイオマーカー情報を個体のために検索すること(ここで該バイオマーカー情報は、表1、カラム2に提供されるバイオマーカーの群より選択される、少なくともN個のバイオマーカーの1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を含む);このバイオマーカー値のそれぞれの分類をコンピュータで実施すること;及び、複数の分類に基づいて、その個体が肺癌を有するかどうかを示すことを含む。
[0055] 別の側面では、肺癌の可能性を示すためのコンピュータプログラム製品を提供する。該コンピュータプログラム製品には、計算デバイス又はシステムのプロセッサーによって実行可能なプログラムコードを具現化するコンピュータ読み取り可能媒体が含まれ、該プログラムコードは、個体からの生体試料へ帰属されるデータを検索するコード(ここで、該データは、表1、カラム2に示されるバイオマーカーの群より選択される、生体試料中の少なくともN個のバイオマーカー(ここでNは、上記に定義される通りである)の1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を含む);及び、個体が肺癌を有する可能性をそのバイオマーカー値の関数として示す分類法を実行するコードを含んでなる。
[0056] 別の側面では、個体の肺癌状態を示すためのコンピュータプログラム製品を提供する。該コンピュータプログラム製品には、計算デバイス又はシステムのプロセッサーによって実行可能なプログラムコードを具現化するコンピュータ読み取り可能媒体が含まれ、該プログラムコードは、個体からの生体試料へ帰属されるデータを検索するコード(ここで、該データは、表1、カラム2に示されるバイオマーカーの群より選択される、生体試料中の少なくともN個のバイオマーカーの1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を含む);及び、個体の肺癌状態をそのバイオマーカー値の関数として示す分類法を実行するコードを含んでなる。
[0057] 別の側面では、肺癌の可能性を示すためのコンピュータ実行法を提供する。該方法は、コンピュータバイオマーカー情報を個体のために検索すること(ここで該バイオマーカー情報は、表1、カラム2に示されるバイオマーカーの群より選択されるバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を含む);このバイオマーカー値の分類をコンピュータで実施すること;及び、その分類に基づいて、その個体が肺癌を有する可能性を示すことを含む。
[0058] 別の側面では、肺癌を有するものか又は有さないものとして個体を分類するためのコンピュータ実行法を提供する。該方法は、コンピュータバイオマーカー情報より個体のために検索すること(ここで該バイオマーカー情報は、表1、カラム2に提供されるバイオマーカーの群より選択されるバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を含む);このバイオマーカー値の分類をコンピュータで実施すること;及び、その分類に基づいて、その個体が肺癌を有するかどうかを示すことを含む。
[0059] なお別の側面では、肺癌の可能性を示すためのコンピュータプログラム製品を提供する。該コンピュータプログラム製品には、計算デバイス又はシステムのプロセッサーによって実行可能なプログラムコードを具現化するコンピュータ読み取り可能媒体が含まれ、該プログラムコードは、個体からの生体試料へ帰属されるデータを検索するコード(ここで、該データは、表1、カラム2に示されるバイオマーカーの群より選択される、生体試料中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を含む);及び、個体が肺癌を有する可能性をそのバイオマーカー値の関数として示す分類法を実行するコードを含んでなる。
[0060] なお別の側面では、個体の肺癌状態を示すためのコンピュータプログラム製品を提供する。該コンピュータプログラム製品には、計算デバイス又はシステムのプロセッサーによって実行可能なプログラムコードを具現化するコンピュータ読み取り可能媒体が含まれ、該プログラムコードは、個体からの生体試料へ帰属されるデータを検索するコード(ここで、該データは、表1、カラム2に提供されるバイオマーカーの群より選択される、生体試料中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を含む);及び、個体の肺癌状態をそのバイオマーカー値の関数として示す分類法を実行するコードを含んでなる。
[0061] 図1Aは、肺癌を生体試料において検出するための例示法についてのフローチャートである。 [0062] 図1Bは、単純ベイズ分類法を使用して肺癌を生体試料において検出するための例示法についてのフローチャートである。 [0063] 図2は、肺癌を無症状喫煙者において検出する検査のために単純ベイズ分類器を使用する、単一のバイオマーカー、SCFsRについてのROC曲線を示す。 [0064] 図3は、肺癌を無症状喫煙者において検出する検査のために単純ベイズ分類器を使用する、1〜10のバイオマーカーのバイオマーカーパネルについてのROC曲線を示す。 [0065] 図4は、良性結節−肺癌パネルに単純ベイズ分類を使用してバイオマーカーの数を1から10へ高めるときの分類スコア(特異度+感度)の増加を図解する。 [0066] 図5は、単純ベイズ分類器を訓練するために使用する正規cdf(破線)への曲線適合と併記して、良性結節対照群(実線)及び肺癌疾患群(点線)について測定したSCFsRのバイオマーカー分布を累積分布関数(cdf)として対数変換RFUで示す。 [0067] 図6は、本明細書に記載の様々なコンピュータ実行法で使用の例示のコンピュータシステムを図解する。 [0068] 図7は、1つの態様による、個体が肺癌を有する可能性を示す方法のフローチャートである。 [0069] 図8は、1つの態様による、個体が肺癌を有する可能性を示す方法のフローチャートである。 [0070] 図9は、1以上の肺癌バイオマーカーを生体試料において検出するために使用することができる例示のアプタマーアッセイを図解する。 [0071] 図10は、NSCLC結節と良性結節を区別するための分類器を潜在的なバイオマーカーの集約セットより構築するのに使用したバイオマーカーの頻度のヒストグラムを示す。 [0072] 図11は、NSCLC喫煙者と無症状喫煙者を区別するための分類器を潜在的なバイオマーカーの集約セットより構築するのに使用したバイオマーカーの頻度のヒストグラムを示す。 [0073] 図12は、NSCLC結節と良性結節を区別するための分類器を潜在的なバイオマーカーの施設一貫性セットより構築するのに使用したバイオマーカーの頻度のヒストグラムを示す。 [0074] 図13は、NSCLC喫煙者と無症状喫煙者を区別するための分類器を潜在的なバイオマーカーの施設一貫性セットより構築するのに使用したバイオマーカーの頻度のヒストグラムを示す。 [0075] 図14は、NSCLC結節と良性結節を区別するための分類器を集約マーカーと施設一貫性マーカーの組合せより生じる潜在的なバイオマーカーのセットより構築するのに使用したバイオマーカーの頻度のヒストグラムを示す。 [0076] 図15は、NSCLC喫煙者と無症状喫煙者を区別するための分類器を集約マーカーと施設一貫性マーカーの組合せより生じる潜在的なバイオマーカーのセットより構築するのに使用したバイオマーカーの頻度のヒストグラムを示す。 [0077] 図16は、タンパク質:LBP、C9、及びIgMへの捕捉試薬としてのアプタマーの特異性を例解するプルダウン実験より得られるゲル画像をを示す。それぞれのゲルについて、レーン1は、ストレプタビジン−アガロースビーズからの溶出物であり、レーン2は、最終溶出物であり、そしてレーン3は、分子量マーカーレーンである(主要バンドは、トップからボトムへ110、50、30、15、及び3.5kDにある)。 [0078] 図17Aは、表1、カラム5に示されるバイオマーカー(実線)とランダムマーカーのセット(点線)を使用してすべての可能な単一タンパク質の単純ベイズ分類器スコア(感度+特異度)を要約するヒストグラムの対を示す。 [0079] 図17Bは、表1、カラム5に示されるバイオマーカー(実線)とランダムマーカーのセット(点線)を使用してすべての可能な2つのタンパク質の単純ベイズ分類器スコア(感度+特異度)を要約するヒストグラムの対を示す。 [0080] 図17Cは、表1、カラム5に示されるバイオマーカー(実線)とランダムマーカーのセット(点線)を使用してすべての可能な3つのタンパク質の単純ベイズ分類器スコア(感度+特異度)を要約するヒストグラムの対を示す。 [0081] 図18Aは、表1、カラム6に示されるバイオマーカー(実線)とランダムマーカーのセット(点線)を使用してすべての可能な単一タンパク質の単純ベイズ分類器スコア(感度+特異度)を要約するヒストグラムの対を示す。 [0082] 図18Bは、表1、カラム6に示されるバイオマーカー(実線)とランダムマーカーのセット(点線)を使用してすべての可能な2つのタンパク質の単純ベイズ分類器スコア(感度+特異度)を要約するヒストグラムの対を示す。 [0083] 図18Cは、表1、カラム6に示されるバイオマーカー(実線)とランダムマーカーのセット(点線)を使用してすべての可能な3つのタンパク質の単純ベイズ分類器スコア(感度+特異度)を要約するヒストグラムの対を示す。 [0084] 図19Aは、全パネルより選択される2〜10のマーカーを使用する単純ベイズ分類器の(感度+特異度)スコア(◆)と、良性結節対照群のための分類器の作成の間に最良の5(■)、10(▲)、及び15(x)のマーカーを棄却することによって得られるスコアを示す。 [0085] 図19Bは、全パネルより選択される2〜10のマーカーを使用する単純ベイズ分類器の(感度+特異度)スコア(◆)と、喫煙者対照群のための分類器作成の間に最良の5(■)、10(▲)、及び15(x)のマーカーを棄却することによって得られるスコアを示す。 [0086] 図20Aは、1〜5のマーカーのパネルについての表38及び39のデータよりモデル作成したROC曲線のセットを示す。 [0087] 図20Bは、図19Aにあるような1〜5のマーカーのパネルについての訓練データより計算したROC曲線のセットを示す。
[0088] これから本発明の代表的な態様へ詳しく言及する。本発明を列挙される態様に関連して記載するが、本発明は、その態様に限定されるわけではないことが理解されよう。むしろ、本発明には、特許請求項によって明確化される本発明の範囲内に含まれる可能性があるすべての代替態様、変更態様、及び等価物が含まれると企図される。
[0089] 当業者は、本発明の実践の範囲で使用し得てその範囲内にある、本明細書に記載されるものと同様又は等価な多くの方法及び材料を認められよう。本発明は、記載の方法及び材料に決して限定されない。
[0090] 他に定義されなければ、本明細書において使用する技術及び科学の用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は等価などの方法、デバイス、及び材料も本発明の実践又は検証に使用し得るが、好ましい方法、デバイス、及び材料についてこれから記載する。
[0091] 本出願で引用するすべての刊行物、公開特許文献、及び特許出願は、本出願が関連する技術分野(複数)の最高水準を示している。本明細書で引用するすべての刊行物、公開特許文献、及び特許出願は、それぞれ個別の刊行物、公開特許文献、又は特許出願が参照により組み込まれるものとして具体的かつ個別に示されるのと同じ程度で、参照により本明細書に組み込まれる。
[0092] 付帯の特許請求項が含まれる本出願に使用されるように、単数形の不定冠詞「a」、「an」及び「the」には、その内容が明らかに他のことを指定しなければ、複数の言及が含まれ、「少なくとも1つ」及び「1以上の」と可換的に使用される。従って、「アプタマー(an aptamer)」への言及には、アプタマー(aptamers)の混合物が含まれ、「プローブ(a probe)」への言及には、プローブ(probes)の混合物が含まれる、といった具合である。
[0093] 本明細書に使用するように、「約」という用語は、数値が関連する項目の基本機能が不変であるように、数値の些細な変更又は変化を表す。
[0094] 本明細書に使用するように、「〜を含む」、「〜を含んでなる」、「〜が含まれる」、「〜が含まれている」、「〜を含有する」、「〜を含有している」という用語とこれらの変形には、ある要素又は要素のリストを含む、それらが含まれる、又はそれらを含有するプロセス、方法、プロセスによる製品、又は材料の組成物には、その要素だけが含まれるのではなくて、明白には収載されない他の要素、又はそのようなプロセス、方法、プロセスによる製品、又は材料の組成物に固有の他の要素も含まれる場合があるように、非排他的な包含が含まれると企図される。
[0095] 本出願には、肺癌の検出及び診断用のバイオマーカー、方法、デバイス、試薬、システム、及びキットが含まれる。
[0096] 1つの側面では、1以上のバイオマーカーを、肺癌を診断する、肺結節の良性又は悪性としての鑑別診断を可能にする、肺癌再発を監視する、又は他の臨床適用へ対処するための単独又は様々な組合せでの使用に提供する。以下に詳しく記載するように、例示の態様には、一般的には実施例1に記載されて、より具体的には実施例2に記載される、マルチプレックスアプタマーベースのアッセイを使用して同定された、表1、カラム2に提供されるバイオマーカーが含まれる。
[0097] 表1、カラム2は、NSCLC癌症例からの数百の個別血液試料と、喫煙者から、そして良性肺結節と診断された個体からの数百の同等の個別血液試料を分析することより得られた知見を示す。喫煙者及び良性結節の群は、肺癌検査が最も有益であり得る集団と適合するように設計した(上記の症例及び対照は、そのような検査をその下で適用し得る現実世界の条件の範囲を模倣するために、多数の臨床施設より入手した)。潜在的なバイオマーカーは、疾患及び対照の血液をプールするのではなくて、個別試料において測定した;これにより、疾患(この場合は、肺癌)の存在及び非存在に関連した表現型の個体変異及び群変異についてのよりよい理解が可能になった。各試料に関して800を超えるタンパク質の測定を行って、その疾患集団及び対照集団のそれぞれより数百の試料を個別に測定したので、表1、カラム2は、異常なほどに大きなデータのセットの分析より得られたものである。この測定値を、本明細書の「バイオマーカーの分類と疾患スコアの計算」セクションに記載の方法を使用して解析した。
[0098] 表1、カラム2は、良性肺結節のある喫煙者及び個体より入手した「対照」試料から、NSCLCのある個体より入手した試料を区別するのに有用であることが見出されたバイオマーカーを収載する。本明細書に記載のマルチプレックスアプタマーアッセイを使用して、喫煙者対照群の個体より入手した試料から肺癌を有する個体より入手した試料を区別する38種のバイオマーカーを発見した(表1、カラム6を参照のこと)。同様に、マルチプレックスアプタマーアッセイを使用して、良性肺結節を有する人々より入手した試料から、NSCLCのある個体より入手した試料を区別する40種のバイオマーカーを発見した(表1、カラム5を参照のこと)。合計すると、良性結節からNSCLCを区別するためのバイオマーカーのリストと、肺癌を有さない喫煙者からNSCLCを区別するためのリストの間にはかなりの重なりがあるので、38種と40種のバイオマーカーの2つのリストは、61種のユニークなバイオマーカーより構成される。
[0099] 記載した肺癌バイオマーカーのあるものは、肺癌を検出及び診断するのに単独で有用であるが、本明細書では、肺癌バイオマーカーの複合サブセットの群分けの方法についても記載する。ここでは、それぞれの群分け又はサブセット選択が、本明細書において「バイオマーカーパネル」及びパネルと可換的に呼ばれる、3以上のバイオマーカーのパネルとして有用である。このように、本出願の様々な態様は、N個のバイオマーカーを含んでなる組合せを提供し、ここでNは、少なくとも2のバイオマーカーである。他の態様では、2〜61のバイオマーカーよりNを選択する。
[00100] なお他の態様では、2〜7、2〜10、2〜15、2〜20、2〜25、2〜30、2〜35、2〜40、2〜45、2〜50、2〜55、又は2〜61の任意数であるようにNを選択する。他の態様では、3〜7、3〜10、3〜15、3〜20、3〜25、3〜30、3〜35、3〜40、3〜45、3〜50、3〜55、又は3〜61の任意数であるようにNを選択する。他の態様では、4〜7、4〜10、4〜15、4〜20、4〜25、4〜30、4〜35、4〜40、4〜45、4〜50、4〜55、又は4〜61の任意数であるようにNを選択する。他の態様では、5〜7、5〜10、5〜15、5〜20、5〜25、5〜30、5〜35、5〜40、5〜45、5〜50、5〜55、又は5〜61の任意数であるようにNを選択する。他の態様では、6〜10、6〜15、6〜20、6〜25、6〜30、6〜35、6〜40、6〜45、6〜50、6〜55、又は6〜61の任意数であるようにNを選択する。他の態様では、7〜10、7〜15、7〜20、7〜25、7〜30、7〜35、7〜40、7〜45、7〜50、7〜55、又は7〜61の任意数であるようにNを選択する。他の態様では、8〜10、8〜15、8〜20、8〜25、8〜30、8〜35、8〜40、8〜45、8〜50、8〜55、又は8〜61の任意数であるようにNを選択する。他の態様では、9〜15、9〜20、9〜25、9〜30、9〜35、9〜40、9〜45、9〜50、9〜55、又は9〜61の任意数であるようにNを選択する。他の態様では、10〜15、10〜20、10〜25、10〜30、10〜35、10〜40、10〜45、10〜50、10〜55、又は10〜61の任意数であるようにNを選択する。同様の、しかしより高い次数の範囲が含まれるようにNを選択することができると理解されよう。
[00101] 1つの態様において、バイオマーカーのサブセット又はパネルに有用なバイオマーカーの数は、バイオマーカー値の特別な組合せについての感度及び特異度の数値に基づく。「感度」及び「特異度」という用語は、本明細書において、その生体試料に検出される1以上のバイオマーカー値に基づいて、肺癌を有するもの又は有さないものとして個体を正確に分類する能力に関して使用される。「感度」は、肺癌を有する個体を正確に分類することに関するバイオマーカー(複数)の性能を示す。「特異度」は、肺癌を有さない個体を正確に分類することに関するバイオマーカー(複数)の性能を示す。例えば、対照試料及び肺癌試料のセットを検査するのに使用したマーカーのパネルの特異度が85%で感度が90%であれば、対照試料の85%がそのパネルによって対照試料として正確に分類されて、肺癌試料の90%がそのパネルによって肺癌試料として正確に分類されたことを示す。望まれるか又は好ましい最小値は、実施例3に記載のように決定することができる。代表的なパネルを表2〜27に示すが、これは、各パネルについて表示されるレベルの特異度及び感度を有する、3〜15のバイオマーカーの100種の異なるパネルの系列を示している。上記パネルのそれぞれにおける各マーカーの出現の全数をそれぞれの表の一番下に示す。
[00102] 1つの側面では、個体からの生体試料に対してアッセイを実施して、バイオマーカーのERBB1、LRIG3、又はSCFsRの少なくとも1つと、表1、カラム2のバイオマーカーのリストより選択される少なくともN個の追加バイオマーカー(ここでNは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15に等しい)にそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することによって、肺癌を個体において検出又は診断する。さらなる側面では、個体からの生体試料に対してアッセイを実施して、バイオマーカーのERBB1、LRIG3、及びSCFsRと、表1、カラム2のバイオマーカーのリストより選択される少なくともN個の追加バイオマーカー(ここでNは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13に等しい)の1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することによって、肺癌を個体において検出又は診断する。さらなる側面では、個体からの生体試料に対してアッセイを実施して、バイオマーカーのERBB1と、表1、カラム2のバイオマーカーのリストより選択される少なくともN個の追加バイオマーカー(ここでNは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15に等しい)の1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することによって、肺癌を個体において検出又は診断する。さらなる側面では、個体からの生体試料に対してアッセイを実施して、バイオマーカーのLRIG3と、表1、カラム2のバイオマーカーのリストより選択される少なくともN個の追加バイオマーカー(ここでNは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15に等しい)の1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することによって、肺癌を個体において検出又は診断する。さらなる側面では、個体からの生体試料に対してアッセイを実施して、バイオマーカーのSCFsRと、表1、カラム2のバイオマーカーのリストより選択される少なくともN個の追加バイオマーカー(ここでNは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15に等しい)の1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することによって、肺癌を個体において検出又は診断する。
[00103] 本発明において同定される肺癌バイオマーカーは、肺癌を効果的に検出又は診断するために使用し得るバイオマーカーのサブセット又はパネルについての相対的に大きな数の選択肢を表す。そのようなバイオマーカーの所望される数の選択は、選択されるバイオマーカーの特定の組合せに依存する。肺癌を検出又は診断するためのバイオマーカーのパネルに、表1、カラム2に見出されないバイオマーカーも含めてよいこと、そして表1、カラム2に見出されない追加バイオマーカーの包含により、表1、カラム2より選択される特別なサブセット又はパネル中のバイオマーカーの数を減らしてよいことを銘記することが重要である。サブセット又はパネルに使用する、表1、カラム2からのバイオマーカーの数はまた、追加の生物医学情報をそのバイオマーカー値とともに使用して、所与のアッセイについて受容される感度及び特異度の値が確定されるならば、減らしてよい。
[00104] バイオマーカーのサブセット又はパネルに使用すべきバイオマーカーの数に影響を及ぼす可能性がある別の要因は、肺癌について診断されている個体から生体試料を入手するために使用する手順である。所望の感度及び特異度の数値に合致するのに必要なバイオマーカーの数は、注意深く管理された試料獲得環境では、試料の採取、取扱い、及び保存においてより大きな変動性があり得る状況より小さくなるだろう。表1、カラム2に示すバイオマーカーのリストを拡充するときには、多数の試料採取施設を利用して、分類器訓練用のデータを採取した。これにより、試料の採取、取扱い、及び保存の変動性に対してより低感度である、より確実なバイオマーカーが提供されるが、訓練データがすべてきわめて似た条件の下で入手されるならば、サブセット又はパネル中のバイオマーカーの数は、より大きくなることが求められる可能性がある。
[00105] 本発明の1つの側面を図1A及びBに関連して概ね記載することができる。目的とする単数又は複数の個体より生体試料を入手する。次いで、この生体試料についてアッセイして、目的とする1以上(N個)のバイオマーカーの存在を検出して、前記N個のバイオマーカーのそれぞれのバイオマーカー値(図1Bでは、マーカーRFUと呼ばれる)を定量する。あるバイオマーカーが検出されて、バイオマーカー値が割り当てられたならば、本明細書に詳しく記載するように、各マーカーをスコア化するか又は分類する。次いで、そのマーカースコアを組み合わせて、合計診断スコアを提供する。これは、その試料が入手された個体が肺癌を有する可能性を示す。
[00106] 本明細書に使用するように、「肺(lung)」は、「肺の(pulmonary)」を可換的に意味する場合がある。
[00107] 本明細書に使用するように、「喫煙者」は、タバコ煙吸入の既往歴がある個体を意味する。
[00108] 「生体試料」、「試料」、及び「検査試料」は、本明細書において可換的に使用されて、個体より入手されるか又は他のやり方で個体に由来するあらゆる材料、生体液、組織、又は細胞を意味する。これには、血液(全血、白血球、末梢血単核細胞、バフィーコート、血漿、及び血清が含まれる)、喀痰、涙液、粘液、鼻洗浄液、鼻吸引液、呼気、尿、精液、唾液、髄膜液、羊水、腺液、リンパ液、乳頭吸引液、気管支吸引液、滑液、関節吸引液、細胞、細胞抽出物、及び脳脊髄液が含まれる。これには、先述のすべての実験的に分離した画分も含まれる。例えば、血液試料は、血清へ、又は赤血球細胞又は白血球細胞(白血球)のような特別な種類の血液細胞を含有する画分へ分画することができる。所望されるならば、試料は、組織と体液試料の組合せのように、個体からの試料の組合せであり得る。「生体試料」という用語には、例えば、大便試料、組織試料、又は組織生検に由来するような、均質化した固体材料を含有する材料も含まれる。「生体試料」という用語には、組織培養物又は細胞培養物に由来する材料も含まれる。生体試料を入手するのに適したどの方法も利用してよく、例示の方法には、例えば、瀉血、スワブ(例、頬内スワブ)、及び微細針吸引生検法が含まれる。微細針吸引を受けやすい例示の組織には、リンパ節、肺、肺洗浄液、BAL(気管支肺胞洗浄液)、甲状腺、乳房、及び肝臓が含まれる。試料はまた、例えば、顕微解剖(例、レーザー捕捉顕微解剖(LCM)又はレーザー顕微解剖(LMD))、膀胱洗浄、塗抹標本(例、PAP塗抹標本)、又は乳管洗浄によって採取することができる。個体より入手されるか又はそれに由来する「生体試料」には、個体から入手した後であらゆる好適なやり方で処理されたような、どの試料も含まれる。
[00109] さらに、何人かの個体より生体試料を取ってそれらをプールすること、又は各個体の生体試料のアリコートをプールすることによって生体試料を導くことができると理解されたい。プールした試料は、単一の個体からの試料として処理することができて、そのプールした試料において癌の存在が確定されたならば、各個体の生体試料を再検査して、どの個体(複数)が肺癌を有するかを決定することができる。
[00110] 本明細書の目的では、「個体からの生体試料へ帰属されるデータ」という句は、ある形式のデータが、個体の生体試料より導かれたか、又はそれを使用して作成されたことを意味すると企図される。そのデータは、ある測定システムでの単位から別の測定システムでの単位への変換によるように、作成された後で、ある度合いまで、再フォーマット化、修正、又は数学的に変化させた可能性があっても、そのデータは、その生体試料より導かれたか、又はそれを使用して作成されたと理解される。
[00111] 「標的」、「標的分子」、及び「分析物」は、本明細書において可換的に使用されて、生体試料に存在し得る、目的のあらゆる分子を意味する。「目的の分子」には、タンパク質の場合、例えば、アミノ酸配列のわずかな変異、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は他のあらゆる操作又は修飾(分子の同一性を実質的には改変しない、標識成分とのコンジュゲーションのような)といった、特別な分子のあらゆるわずかな変種も含まれる。「標的分子」、「標的」、又は「分析物」は、分子又は多分子構造の1種又は数種のコピーのセットである。「標的分子(複数)」、「標的(複数)」、及び「分析物(複数)」は、1より多いそのような分子のセットを意味する。例示の標的分子には、タンパク質、ポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、多糖、糖タンパク質、ホルモン、受容体、抗原、抗体、アフィボディ、抗体模倣体、ウイルス、病原体、有毒物質、基質、代謝産物、遷移状態類似体、補因子、阻害剤、薬物、色素、栄養素、増殖因子、細胞、組織、及び上述のいずれものあらゆる断片又は部分が含まれる。
[00112] 本明細書に使用するように、「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、本明細書において可換的に使用されて、あらゆる長さのアミノ酸のポリマーを意味する。このポリマーは、直鎖又は分岐鎖であり得て、修飾されたアミノ酸を含んでよく、そしてそれは、非アミノ酸によって中断される場合がある。この用語には、天然で、又は介入によって(例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は標識成分とのコンジュゲーションのような、他のあらゆる操作又は修飾)修飾されたアミノ酸ポリマーも含まれる。またこの定義内に含まれるのは、例えば、アミノ酸の1以上の類似体(例えば、非天然アミノ酸、等が含まれる)、並びに当該技術分野で知られている他の修飾を含有するポリペプチドである。ポリペプチドは、単鎖又は会合鎖であり得る。またこの定義内に含まれるのは、プレタンパク質とインタクトな成熟タンパク質;成熟タンパク質に由来するペプチド又はポリペプチド;タンパク質の断片;スプライス変異体;タンパク質の組換え型;アミノ酸の修飾、欠失、又は置換があるタンパク質変異体;消化物;及び、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、等のような翻訳後修飾物である。
[00113] 本明細書に使用するように、「マーカー」及び「バイオマーカー」は、可換的に使用されて、個体中の正常又は異常プロセス、又は個体中の疾患又は他の状態を示すか又はその徴候である標的分子を意味する。より具体的には、「マーカー」又は「バイオマーカー」は、正常又は異常のいずれか、そして異常であれば、慢性又は急性のいずれかである、特定の生理学的状態又はプロセスの存在に関連した、解剖学的、生理学的、生化学的、又は分子のパラメータである。バイオマーカーは、実験アッセイと医用造影法が含まれる、多様な方法によって検出可能で測定可能である。バイオマーカーがタンパク質であるときは、対応物の発現、又はそのバイオマーカーの発現を制御するタンパク質をコードする遺伝子のメチル化状態を、対応するタンパク質バイオマーカーの生体試料中での量又は有無の代用尺度として使用することも可能である。
[00114] 本明細書に使用するように、「バイオマーカー値」、「数値」、「バイオマーカーレベル」、及び「レベル」は、可換的に使用されて、生体試料中のバイオマーカーを検出するためのあらゆる分析法を使用して得られて、生体試料中のバイオマーカーそのもの、それに関する、又はそれに対応するものの存在、非存在、絶対的な量又は濃度、相対的な量又は濃度、力価、レベル、発現レベル、測定レベルの比、等を示す測定値を意味する。「数値」又は「レベル」の正確性は、バイオマーカーを検出するために利用される特別な分析法の特定の設計及び構成要素に依存する。
[00115] バイオマーカーが個体中の異常なプロセス又は疾患又は他の状態を示すか又はその徴候であるとき、そのバイオマーカーは、個体中の正常なプロセス又は疾患や他の状態の非存在を示すか又はその徴候となるバイオマーカーの発現レベル又は数値と比較して、過剰発現又は低発現のいずれかとして概して記載される。「上方調節」、「上方調節性」、「過剰発現」、「過剰発現性」、及びこれらのあらゆる変型は、可換的に使用されて、典型的には、健常又は正常な個体からの同様の生体試料中に検出されるバイオマーカーの数値又はレベル(又は、数値又はレベルの範囲)より大きい、生体試料中のバイオマーカーの数値又はレベルを意味する。この用語は、特別な疾患の異なる病期で検出され得るバイオマーカーの数値又はレベル(又は、数値又はレベルの範囲)より大きい、生体試料中のバイオマーカーの数値又はレベルを意味する場合もある。
[00116] 「下方調節」、「下方調節性」、「低発現」、「低発現性」、及びこれらのあらゆる変型は、可換的に使用されて、典型的には、健常又は正常な個体からの同様の生体試料中に検出されるバイオマーカーの数値又はレベル(又は、数値又はレベルの範囲)より小さい、生体試料中のバイオマーカーの数値又はレベルを意味する。この用語は、特別な疾患の異なる病期で検出され得るバイオマーカーの数値又はレベル(又は、数値又はレベルの範囲)より小さい、生体試料中のバイオマーカーの数値又はレベルを意味する場合もある。
[00117] さらに、過剰発現されているか又は低発現されているバイオマーカーは、個体中の正常なプロセス又は疾患や他の状態の非存在を示すか又はその徴候であるバイオマーカーの「正常な」発現レベル又は数値と比較して、「差示的に発現」されている、又は「差示的なレベル」又は「差示的な数値」を有すると呼ばれる場合もある。このように、バイオマーカーの「差示的な発現」は、バイオマーカーの「正常な」発現レベルからの変動と呼ばれる場合もある。
[00118] 「差示的な遺伝子発現」及び「差示的な発現」という用語は、可換的に使用されて、その発現が、正常又は対照の被検者におけるその発現に比べて、特定の疾患に罹患している被検者において、より高いか又はより低いレベルへ活性化されている遺伝子(又はその対応するタンパク発現産物)を意味する。この用語には、その発現が同じ疾患の異なる病期でより高いか又はより低いレベルへ活性化されている遺伝子(又はその対応するタンパク発現産物)も含まれる。また、差示的に発現される遺伝子は、核酸レベル又はタンパク質レベルで活性化又は阻害されても、選択的スプライシングを受けて異なるポリペプチド産物を生じてもよいと理解される。このような差異は、mRNAレベル、ポリペプチドの表面発現、分泌、又は他の分割化(partitioning)が含まれる、多様な変化によって証拠立てることができる。差示的な遺伝子発現には、2以上の遺伝子又はその遺伝子産物の間の発現の比較;又は2以上の遺伝子又はその遺伝子産物の間の発現の比の比較;又は、同じ遺伝子の2つの差示的にプロセシングされる産物(これらは、正常被検者と疾患に罹患している被検者の間で異なる)の比較さえも含めてよい。差示的な発現には、例えば、正常細胞と病的細胞の間で、又は異なる疾患イベント又は病期を経た細胞の間での遺伝子又はその発現産物における時間的パターン又は細胞発現パターンの定量的並びに定性的な差異がともに含まれる。
[00119] 本明細書に使用するように、「個体」は、被検者又は患者を意味する。個体は、哺乳動物又は非哺乳動物であり得る。様々な態様において、個体は、哺乳動物である。哺乳動物の個体は、ヒト又は非ヒトであり得る。様々な態様において、個体は、ヒトである。健常又は正常な個体とは、目的の疾患又は状態(例えば、肺疾患、肺関連疾患、又は他の肺状態)が慣用の診断法によって検出可能でない個体である。
[00120] 「診断する」、「診断すること」、「診断」、及びこれらの変型は、個体に関連する1以上の徴候、症状、データ、又は他の情報に基づいた、個体の健康状態又は症状の検出、判定、又は認知を意味する。個体の健康状態は、健常/正常(即ち、疾患又は症状の非存在の診断)として診断され得るか、又は病気/異常(即ち、疾患又は症状の存在の診断、又はその特徴の評価)として診断され得る。「診断する」、「診断すること」、「診断」、等の用語には、特別な疾患又は状態に関する、疾患の初期検出;疾患の特性決定又は分類;疾患の進行、寛解、又は再発の検出;並びに、治療薬又は療法の個体への投与後の疾患応答の検出が含まれる。肺癌の診断には、喫煙者と非喫煙者を含めて、癌を有する個体を、癌を有さない個体から区別することが含まれる。さらにそれには、良性の肺結節を癌性の肺結節から区別することが含まれる。
[00121] 「予後判定する」、「予後判定すること」、「予後判定」、及びこれらの変型は、疾患又は状態を有する個体におけるその疾患又は状態の将来経過の予測(例、患者の生存を予測すること)を意味して、そのような用語には、治療薬又は療法の個体への投与後の疾患応答の評価が含まれる。
[00122] 「評価する」、「評価すること」、「評価」、及びこれらの変型には、「診断する」と「予後判定する」がともに含まれて、疾患を有さない個体における疾患又は状態の将来の経過に関する決定又は予測、並びに疾患が見かけは治癒した個体において疾患又は状態が再発する可能性に関する決定又は予測も含まれる。「評価する」という用語には、例えば、個体がある治療薬剤に対して好ましく応答する可能性があるか、又はある治療薬剤に対して応答しそうにない(又は、例えば、有毒な副作用、又は他の望まれない副作用を体験する)かどうかを予測することのように、療法に対する個体の応答を評価すること、個体への投与用の治療薬剤を選択すること、又は個体へ投与された治療薬に対する個体の応答を監視するか又は判定することも含まれる。このように、肺癌を「評価すること」には、例えば、以下のいずれも含めることができる:個体の生体試料に由来するバイオマーカー値の定量に基づいて、個体において肺癌の将来経過を予後判定すること;肺癌が見かけは治癒した個体において肺癌の再発を予測すること;又は、肺癌治療薬に対する個体の応答を決定又は予測すること、又は個体へ投与すべき肺癌治療薬を選択すること。
[00123] 以下の例のいずれも、肺癌を「診断すること」又は「評価すること」のいずれかとして言及され得る:肺癌の存在又は非存在を初めに検出すること;肺癌の特定の病期、タイプ、又はサブタイプ、又は他の分類又は特徴を決定すること;肺結節が良性病変であるか悪性の肺腫瘍であるかを決定すること;又は、肺癌の進行(例、肺腫瘍の増殖又は転移拡散の監視)、寛解、又は再発を検出/監視すること。
[00124] 本明細書に使用するように、「追加の生物医学情報」は、肺癌リスクに関連している、本明細書に記載のバイオマーカーのいずれかを使用すること以外の、個体の1以上の評価を意味する。「追加の生物医学情報」には、以下のいずれも含まれる:個体の身体記述、CT造影法によって観察される肺結節の物的記述、個体の身長及び/又は体重、個体の性別、個体の民族性、喫煙歴、職歴、既知の発癌因子への曝露(例、アスベスト、ラドンガス、化学品、火災の煙、及び大気汚染[これには、産業/工場の排気、自動車/船舶/航空機の排気のような、固定又は移動排出源からの排気を含めることができる]のいずれかへの曝露)、副流煙への曝露、肺癌(又は他の癌)の家族歴、肺結節の存在、結節の大きさ、結節の位置、結節の形態(例えば、CT造影法により観察されるように、スリガラス状陰影(GGO)、充実型、非充実型)、結節の周縁部の特徴(例、平滑、分葉、鋭利で平滑、有棘、浸潤)、等。喫煙歴は、通常、「パックイヤー」という用語で定量されるが、これは、「1日に吸うパックの平均数」に「人が喫煙した年数」を掛けたものである。例えば、平均して1日1パックの煙草を35年間吸った人は、35パックイヤーの喫煙歴を有すると言われる。追加の生物医学情報は、通例の患者問診表又は既往歴問診表、等の使用により個体当人から、又は医療従事者、等からといった、当該技術分野で知られた通例の技術を使用して個体より入手することができる。あるいは、追加の生物医学情報は、CT造影法(例、低線量CT造影法)及びX線が含まれる、通例の造影技術より入手することができる。追加の生物医学情報の評価と組み合わせたバイオマーカーレベルの検査は、バイオマーカー検査単独、又は追加の生物医学情報のある特定項目を評価すること単独(例、CT造影法単独)と比較して、例えば、肺癌を検出するための感度、特異度、及び/又はAUC(又は他の肺癌に関連した使用)を改善する場合がある。
[00125] 「曲線下面積」又は「AUC」という用語は、受信者動作特性(ROC)曲線の曲線下面積を意味して、このいずれも当該技術分野でよく知られている。AUC測定は、完全なデータ範囲にわたる分類器の精度を比較するのに有用である。AUCがより大きい分類器は、未知群を目的の2群(例、肺癌試料と正常又は対照試料)の間で正確に分類する能力がより大きい。ROC曲線は、2つの集団(例、肺癌を有する症例と肺癌のない対照)を区別するときに特別な特徴(例、本明細書に記載のバイオマーカーのいずれか、及び/又は追加の生物医学情報のある項目)の性能をプロットするのに有用である。典型的には、全集団(例、症例と対照)にわたる特徴データを単一特徴の数値に基づいて昇順で層別する。次いで、その特徴のそれぞれの数値について、データの真陽性率及び偽陽性率を計算する。真陽性率は、その特徴の数値より高い症例の数を計数してから、症例の全数で割ることによって決定される。偽陽性率は、その特徴の数値より高い対照の数を計数してから、対照の全数で割ることによって決定される。この定義は、対照に比較して症例においてある特徴が上昇しているシナリオに言及するが、この定義は、対照に比較して症例においてある特徴がより低いシナリオにも適用される(このようなシナリオでは、その特徴の数値未満の試料が計数されよう)。ROC曲線は、単一の特徴についてだけでなく、他の単一出力についても作成することができて、例えば、2以上の特徴の組合せを数学的に複合して(例、加える、減らす、掛ける、等)単一合計値を提供することができて、この単一合計値をROC曲線にプロットすることができる。その上、単一出力値を導く、複数の特徴のどの組合せもROC曲線にプロットすることができる。これらの特徴の組合せは、検定を含む場合がある。ROC曲線は、検定の真陽性率(感度)を検定の偽陽性率(1−特異度)に対してプロットするものである。
[00126] 本明細書に使用するように、バイオマーカー値に関して「検出すること」又は「決定すること」には、バイオマーカー値に対応するシグナルを観測及び記録するのに必要とされる機器とそのシグナルを産生するために必要とされる材料(複数)の両方の使用が含まれる。様々な態様において、バイオマーカー値は、蛍光、化学発光、表面プラズモン共鳴、表面音響波、質量分析法、赤外分光法、ラマン分光法、原子間力顕微鏡、走査トンネル顕微鏡、電気化学検出法、核磁気共鳴、量子ドット、等が含まれる、どの好適な方法でも使用して検出される。
[00127] 「固体支持体」は、本明細書において、共有結合又は非共結合のいずれかにより、直接的又は間接的に分子を付着させることができる表面を有するあらゆる基質を意味する。「固体支持体」は、多様な物理フォーマットを有し得て、それには、例えば、膜;チップ(例、タンパク質チップ);スライド(例、スライドガラス又はカバーガラス);カラム;中空、固体、半固体、空孔又は空洞含有性の粒子(例えば、ビーズのような);ゲル;ファイバー(光ファイバー材料が含まれる);マトリックス;及び、試料容器が含まれ得る。例示の試料容器には、試料ウェル、管、細管、バイアル、及び他のあらゆる容器、試料を保持することが可能な溝又は刻みが含まれる。試料容器は、マイクロタイタープレート、スライド、マイクロフルイディクスデバイス、等のようなマルチ試料プラットフォームに含有することができる。支持体は、天然又は合成材料、有機又は無機材料から構成され得る。捕捉試薬がその上で付着される固体支持体の組成は、一般に、付着の方法(例、共有結合)に依存する。他の例示の容器には、アッセイと関連の操作がその内部で起こり得る、微小滴とミクロ流体制御型又はバルクの油性/水性乳剤が含まれる。好適な固体支持体には、例えば、プラスチック、樹脂、多糖類、シリカ又はシリカベースの材料、機能化ガラス、変性シリコン、カーボン、金属、無機ガラス、膜、ナイロン、天然繊維(例えば、絹、羊毛、綿のような)、ポリマー、等が含まれる。固体支持体を構成する材料には、捕捉試薬の付着に使用される、例えば、カルボキシ、アミノ、又はヒドロキシル基のような反応基が含まれ得る。ポリマー性の固体支持体には、例えば、ポリスチレン、ポリエチレングリコールテトラフタレート、ポリビニルアセテート、塩化ポリビニル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ブチルゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン、(ポリ)テトラフルオロエチレン、(ポリ)ビニリデンフルオリド、ポリカーボネート、及びポリメチルペンテンが含まれ得る。使用し得る好適な固体支持体粒子には、例えば、Luminex(登録商標)型コード化粒子のようなコード化粒子、磁気粒子、及びガラス粒子が含まれる。
バイオマーカーの例示の使用
[00128] 様々な例示の態様において、血清又は血漿中のように、個体の循環中に存在する1以上のバイオマーカーに対応する1以上のバイオマーカー値を任意数の分析法によって検出することによって、肺癌を個体において診断するための方法を提供する。これらのバイオマーカーは、例えば、肺癌を有さない個体に比較して、肺癌のある個体において差示的に発現されている。例えば、肺癌の早期診断を可能にするために、良性と悪性の肺結節(例えば、コンピュータ断層撮影(CT)スキャンで観測される結節のような)を区別するために、肺癌再発を監視するために、又は他の臨床適用のために、バイオマーカーの個体における差示的な発現の検出を使用することができる。
[00129] 本明細書に記載のバイオマーカーのいずれも、以下のいずれも含まれる、多様な肺癌の臨床適用において使用し得る:肺癌の検出(高リスクの個体又は集団におけるような);非小細胞肺癌(NSCLC)と小細胞肺癌(SCLC)、及び/又は腺癌と扁平上皮癌を区別すること(又は他のやり方で、組織病理診断を容易にすること)によるように、肺癌を特性決定すること(例えば、肺癌のタイプ、サブタイプ、又は病期を決定すること);肺結節が良性結節であるか又は悪性肺腫瘍であるかを決定すること;肺癌予後を判定すること;肺癌の進行又は寛解を監視すること;肺癌再発を監視すること;転移を監視すること;治療法の選択;治療薬剤又は他の治療法への応答を監視すること;コンピュータ断層撮影(CT)スクリーニングについての個体の層別化(例えば、肺癌のリスクがより高いのでスパイラルCTスクリーニングから利益を受ける可能性が最も高い個体を同定することで、CTの陽性予測値を高めること);喫煙歴、等、又は結節サイズ、形態、等のような追加の生物医学情報とバイオマーカー検査を組み合わせること(CT検査又はバイオマーカー検査単独に比較して、診断性能が高まったアッセイを提供するように);肺結節の悪性又は良性かの診断を容易にすること;肺癌結節がCTで観察されたならばすぐに臨床意思決定を容易にすること(例えば、バイオマーカーベースの検査が陰性である場合のように、結節が低リスクであるとみなされるならば、結節サイズのカテゴリー化が有っても無くても、反復CTスキャンを命じること、又はバイオマーカーベースの検査が陽性である場合のように、結節が中〜高リスクであるとみなされるならば、結節サイズのカテゴリー化が有っても無くても、生検を考慮すること);及び、臨床フォローアップに関する決定(例えば、反復CTスキャン、微細針生検、又はCTで非石灰化結節を観察した後での開胸術を実行すべきかどうか)を容易にすること。バイオマーカー検査は、CTスクリーニング単独に優って陽性予測値(PPV)を向上させる場合がある。CTスクリーニングと一緒でのその有用性に加えて、本明細書に記載のバイオマーカーは、胸部X線撮影のような、肺癌のために使用される他の造影モダリティと一緒に使用することもできる。さらに、記載のバイオマーカーはまた、造影法モダリティや他の臨床相関物によって肺癌の指標が検出される前に、又は症状が出現する前に、上記の使用のいくつかを可能にするのに有用であり得る。
[00130] 本明細書に記載のバイオマーカーのいずれかを使用して肺癌を診断することができるやり方の例として、肺癌を有することが知られていない個体における、記載のバイオマーカーの1以上の差示的な発現は、その個体が肺癌を有することを示す場合があり、それによって、おそらくは肺癌が他の手段によって検出される前、又は症状が出現する前の、治療が最も有効である、この疾患の早期での肺癌の検出を可能にする。肺癌の経過の間での1以上のバイオマーカーの過剰発現は、肺癌の進行、例えば、肺腫瘍が増殖している、及び/又は転移していること(従って、予後不良を示す)の指標となる場合があり、一方、1以上のバイオマーカーが差示的に発現される度合いの減少(即ち、後続のバイオマーカー検査において、個体中の発現レベルが「正常な」発現レベルへ向かっているか又は接近している)は、肺癌の寛解(例えば、肺腫瘍が縮小していて、それにより、良好又はより良好な予後を示す)の指標となる場合がある。同様に、肺癌治療の経過の間での1以上のバイオマーカーが差示的に発現される度合いの増加(即ち、後続のバイオマーカー検査において、個体中の発現レベルが「正常な」発現レベルからさらに離れつつある)は、肺癌が進行していることを示して、それ故にその治療が無効であることを示す場合があり、一方、肺癌治療の経過の間での1以上のバイオマーカーの差示的な発現の減少は、肺癌の寛解の指標となり、それ故にその治療が成功裡に作用していることを示す場合がある。その上、見かけは肺癌が治癒した後での1以上のバイオマーカーの差示的な発現における増加又は減少は、肺癌の再発の指標となる場合がある。このような状況では、例えば、その個体は、肺癌の再発がより後になって検出される場合より早い段階で、治療を再開する(あるいは、個体が維持療法を受けている場合は、投与量及び/又は頻度を増加するように治療方式を変更する)ことができる。さらに、1以上のバイオマーカーの個体における差示的な発現レベルは、特別な治療薬剤に対する個体の応答を予測する場合がある。肺癌の再発又は進行について監視するときに、バイオマーカー発現レベルの変化は、肺癌の活動を判定するか又は治療の変更の必要性を決定するように、反復造影(例、反復CTスキャニング)の必要性を示す場合がある。
[00131] 本明細書に記載のバイオマーカーのいずれかの検出は、治療の成功を評価する、又は治療に続いて肺癌の寛解、再発、及び/又は進行(転移が含まれる)について監視するように、肺癌治療に続いて、又はそれと一緒のときに特に有用であり得る。肺癌治療には、例えば、治療薬剤の個体への投与、外科手術の実施(例、肺腫瘍の少なくとも一部の外科的切除)、放射線療法の投与、又は当該技術分野で使用される他のあらゆる種類の肺癌治療法、及び上記治療法のあらゆる組合せが含まれ得る。例えば、バイオマーカーのいずれも、治療後に少なくとも1回検出しても、又は治療後に数回検出してもよく(定期的な間隔でのように)、あるいは治療の前と後でともに検出してもよい。バイオマーカーのいずれもの個体における差示的な発現レベルは、経時的に、肺癌の進行、寛解、又は再発の指標となる場合があり、その例には以下のいずれも含まれる:治療前のバイオマーカーの発現レベルと比較した、治療後のバイオマーカーの発現レベルの増加又は減少;治療後の早期の時点でのバイオマーカーの発現レベルと比較した、治療後の後期の時点でのバイオマーカーの発現レベルの増加又は減少;及び、バイオマーカーの正常レベルと比較した、治療後の単一時点でのバイオマーカーの差示的な発現レベル。
[00132] 具体例として、本明細書に記載のバイオマーカーのいずれものバイオマーカーレベルは、術前及び術後(例、術後2〜4週)の血清試料で定量することができる。術前試料と比較した、術後試料におけるバイオマーカー発現レベル(複数)の増加は、肺癌の進行(例、不成功な外科手術)を示す可能性があり、一方、術前試料と比較した、術後試料におけるバイオマーカー発現レベル(複数)の減少は、肺癌の退縮(例、外科手術によって肺腫瘍が成功裡に除去された)を示す可能性がある。バイオマーカーレベルの同様の分析は、放射線療法、又は治療薬剤又は癌ワクチンの投与の前と後のように、他の治療形式の前と後で行うことができる。
[00133] バイオマーカーレベルを独立した診断検査項目として検査することに加えて、バイオマーカーレベルはまた、疾患の易罹患性の増加リスクの指標となる、SNP又は他の遺伝的障害又は変異の判定と一緒に使用することもできる(例えば、Amos et al., Nature 遺伝s 40, 616-622 (2009) を参照のこと)。
[00134] バイオマーカーレベルを独立した診断検査項目として検査することに加えて、バイオマーカーレベルはまた、CTスクリーニングと一緒に使用することもできる。例えば、バイオマーカーは、肺癌のリスクがある無症状の大集団(例、喫煙者)についてスクリーニングするように、CTスクリーニングを実行することの医学的及び経済的な正当化を容易にする場合がある。例えば、バイオマーカーレベルの「CT前」検査を使用すれば、そのバイオマーカーレベルに基づけば肺癌の最高リスク状態にあり、CTスクリーニングについて優先されるべき個体を同定することのように、CTスクリーニングのために高リスク個体を層別化することができよう。CT検査が実行されれば、1以上のバイオマーカーのバイオマーカーレベル(例えば、血清又は血漿試料のアプタマーアッセイによって定量されるような)を測定することができて、その診断スコアを追加の生物医学情報(例、CT検査によって決定される腫瘍パラメータ)と一緒に評価して、CT又はバイオマーカー検査単独に優って、陽性予測値(PPV)を高めることができよう。バイオマーカーレベルを決定するための「CT後」アプタマーパネルを使用して、CT(又は他の造影モダリティ)によって観察される肺結節が悪性又は良性である可能性を決定することができる。
[00135] 本明細書に記載のバイオマーカーのいずれもの検出は、CT後検査に有用であり得る。例えば、バイオマーカー検査は、CT単独に優って、有意数の偽陽性検査を一掃又は減少させる場合がある。さらに、バイオマーカー検査は、患者の治療を促進させる場合がある。例として、肺結節のサイズが5mm未満であれば、バイオマーカー検査の結果により、患者を「経過観察」から「より早期での生検」へ進ませる場合がある;ifa肺結節が5〜9mmであれば、バイオマーカー検査により、偽陽性スキャンに基づいた生検又は開胸術の使用が無くせる場合がある;そして、肺結節が10mmより大きければ、バイオマーカー検査によって、良性結節のあるこれら患者の亜集団への外科手術が一掃されるかもしれない。バイオマーカー検査に基づいて、一部の患者での生検の必要性を無くすことは、結節生検に関連した有意な罹病率があることと、結節の位置によっては結節組織を入手することが困難であることから、有益であろう。同様に、その結節が実は良性である患者のような、一部の患者において外科手術の必要性を無くせば、不要なリスクと外科手術に関連したコストが回避されよう。
[00136] CTスクリーニングと一緒にバイオマーカーレベルを検査すること(例えば、CTスキャンで観測される肺結節のサイズや他の特性と一緒にバイオマーカーレベルを評価すること)に加えて、バイオマーカーに関する情報は、他の種類のデータ、特に個体の肺癌へのリスクを示すデータ(例、患者の臨床歴、症状、癌の家族歴、個体が喫煙者であるかないかといったリスク因子、及び/又は他のバイオマーカーの状況、等)と一緒に評価することもできる。これらの様々なデータは、コンピュータ又は他の機器/デバイスにおいて具現化され得る、コンピュータプログラム/ソフトウェアのような自動化された方法によって評価することができる。
[00137] 記載のバイオマーカーのいずれも、造影検査において使用してもよい。例えば、記載のバイオマーカーのいずれへも造影剤を結合させることができて、これを使用して、他の使用の中でも特に、肺癌診断に役立てる、疾患の進行/寛解又は転移を監視する、疾患の再発を監視する、又は療法への応答を監視することができる。
バイオマーカーの検出とバイオマーカー値の定量
[00138] 本明細書に記載のバイオマーカーのバイオマーカー値は、多様な既知の分析法のいずれかを使用して分析することができる。1つの態様では、捕捉試薬を使用して、バイオマーカー値を検出する。本明細書に使用するように、「捕捉剤」又は「捕捉試薬」は、バイオマーカーへ特異的に結合することが可能である分子を意味する。様々な態様において、捕捉試薬は、溶解したバイオマーカーへ曝露することができるか、又は捕捉試薬が固体支持体に固定化されている間に、バイオマーカーへ曝露することができる。他の態様において、捕捉試薬は、固体支持体上の二次特徴と反応する特徴を含有する。これらの態様において、捕捉試薬は、溶解したバイオマーカーへ曝露することができて、それから捕捉試薬上の特徴を固体支持体上の二次特徴と一緒に使用して、バイオマーカーを固体支持体に固定化することができる。捕捉試薬は、実施する分析の種類に基づいて選択する。捕捉試薬には、限定されないが、アプタマー、抗体、アドネクチン、アンキリン、他の抗体模倣体と他のスカフォールドタンパク質、自己抗体、キメラ抗体、低分子、F(ab’)断片、単鎖抗体断片、Fv断片、単鎖Fv断片、核酸、レクチン、リガンド結合性受容体、アフィボディ、ナノボディ、インプリントポリマー、アビマー、ペプチド模倣体、ホルモン受容体、サイトカイン受容体、及び合成受容体、並びにこれらの修飾物及び断片が含まれる。
[00139] いくつかの態様では、バイオマーカー/捕捉試薬複合体を使用して、バイオマーカー値を検出する。
[00140] 他の態様において、バイオマーカー値は、バイオマーカー/捕捉試薬複合体に由来して、例えば、バイオマーカー/捕捉試薬相互作用に後続するが、バイオマーカー/捕捉試薬複合体の形成に依存する反応の結果としてのように、間接的に検出される。
[00141] いくつかの態様において、バイオマーカー値は、生体試料中のバイオマーカーより直接的に検出される。
[00142] 1つの態様において、バイオマーカーは、生体試料中の2以上のバイオマーカーの同時検出を可能にする多重化フォーマットを使用して検出される。多重化フォーマットの1つの態様では、捕捉試薬を固体支持体上の別々の位置に直接的又は間接的に、共有的又は非共有的に固体化する。別の態様では、多重化フォーマットが別々の固体支持体を使用して、ここでそれぞれの固体支持体は、例えば量子ドットのような、固体支持体と結合した独自の捕捉試薬を有する。別の態様では、生体試料中で検出される多数のバイオマーカーのそれぞれ1つの検出のために個々のデバイスを使用する。個々のデバイスは、生体試料中の各バイオマーカーが同時に処理されることを可能にするように配置することができる。例えば、マイクロタイタープレート中の各ウェルを使用して生体試料中で検出される多数のバイオマーカーの1つを独自に分析するように、そのプレートを使用することができる。
[00143] 上述の態様の1以上では、バイオマーカー/捕捉複合体の成分を標識して、バイオマーカー値の検出を可能にするために、蛍光タグを使用することができる。様々な態様において、既知の技術を使用して、本明細書に記載のバイオマーカーのいずれかへ特異的な捕捉試薬へ蛍光標識を共役させることができて、次いでこの蛍光標識を使用して、対応するバイオマーカー値を検出することができる。好適な蛍光標識には、希土類キレート、フルオレセインとその誘導体、ローダミンとその誘導体、ダンシル、アロフィコシアニン、PBXL−3、Qdot605、リサミン、フィコエリスリン、テキサスレッド、及び他のそのような化合物が含まれる。
[00144] 1つの態様において、蛍光標識は、蛍光色素分子である。いくつかの態様において、蛍光色素分子には、インドリウム環の3位炭素上の置換基が化学反応基又は共役基質を含有する、少なくとも1つの置換インドリウム環系が含まれる。いくつかの態様において、この色素分子には、例えば、AlexaFluor488、AlexaFluor532、AlexaFluor647、AlexaFluor680、又はAlexaFluor700のようなAlexFluor分子が含まれる。他の態様において、色素分子には、例えば、2つの異なるAlexaFluor分子のような、第一種及び第二種の色素分子が含まれる。他の態様において、色素分子には、第一種及び第二種の色素分子が含まれて、この2つの色素分子は、異なる発光スペクトルを有する。
[00145] 蛍光は、広範囲のアッセイフォーマットと適合可能な多様な計測手段で測定することができる。例えば、分光蛍光計は、マイクロタイタープレート、顕微鏡スライド、印字アレイ、キュベット、等を分析するように設計されている。「蛍光分光法の原理(Principles of Fluorescence Spectroscopy)」J. R. Lakowicz 著、Springer Science + Business Media 社(2004)を参照のこと。「生物発光と化学発光:進歩と現行の応用例(Bioluminescence & Chemiluminescence: Progress & Current Applications)」;Philip E. Stanley and Larry J. Kricka(監修)、World Scientific Publishing Company(2002年1月)を参照のこと。
[00146] 上述の態様の1以上では、バイオマーカー/捕捉複合体の成分を標識して、バイオマーカー値の検出を可能にするために、化学発光タグを使用してもよい。好適な化学発光材料には、塩化オキサリル、ローダミン6G、Ru(bipy) 2+、TMAE(テトラキス(ジメチルアミノ)エチレン)、ピロガロール(1,2,3−トリヒドロキシベンゼン)、ルシゲニン、ペルオキシシュウ酸エステル、シュウ酸アリール、アクリジニウムエステル、ジオキセタン、他のいずれもが含まれる。
[00147] なお他の態様において、検出法には、バイオマーカー値に対応する検出可能なシグナルを産生する酵素/基質の組合せが含まれる。一般的に、酵素は、分光測光法、蛍光、及び化学発光が含まれる様々な技術を使用して測定され得る、発色基質の化学変化を触媒する。好適な酵素には、例えば、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、ウリカーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼ、等が含まれる。
[00148] なお他の態様において、検出法は、測定可能なシグナルを産生する、蛍光、化学発光、放射性核種の組合せ、又は酵素/基質の組合せであり得る。バイオマーカーアッセイフォーマットにおいて、多様式のシグナル産生(signalling)は、独自の有利な特性を有する可能性がある。
[00149] より具体的には、本明細書に記載のバイオマーカーのバイオマーカー値は、以下に詳述する、シングルプレックスアプタマーアッセイ、多重化アプタマーアッセイ、シングルプレックス又は多重化イムノアッセイ、mRNA発現プロファイリング、miRNA発現プロファイリング、質量分析法の分析、組織学的/細胞学的方法、等が含まれる、既知の分析法を使用して検出することができる。
アプタマーベースのアッセイを使用するバイオマーカー値の定量
[00150] 生体試料や他の試料中の生理学的に重要な分子の検出及び定量へ指向されるアッセイは、科学研究と医療の分野において重要なツールである。そのようなアッセイの1群は、固体支持体上に固定化された1以上のアプタマーが含まれるマイクロアレイの使用を伴う。アプタマーは、きわめて特異的なやり方で、そしてきわめて高いアフィニティーで標的分子へ結合することがそれぞれ可能である。例えば、「核酸リガンド(Nucleic Acid Ligands)」と題した米国特許第5,475,096号を参照のこと;また、いずれも「核酸リガンド診断バイオチップ(Nucleic Acid Ligand Diagnostic Biochip)」と題した米国特許第6,242,246号、米国特許第6,458,543号、及び米国特許第6,503,715号を参照のこと。マイクロアレイが試料と接触するとすぐに、アプタマーは、試料中に存在するそのそれぞれの標的分子へ結合して、それによりバイオマーカーへ対応するバイオマーカー値の定量が可能になる。
[00151] 本明細書に使用するように、「アプタマー」は、標的分子への特異的な結合アフィニティーを有する核酸を意味する。アフィニティー相互作用は、程度の問題であるが、本文脈では、その標的へのアプタマーの「特異的な結合アフィニティー」は、そのアプタマーが、概して、それが検査試料中の他の成分へ結合するよりずっと高い度合いのアフィニティーでその標的へ結合することを意味する。「アプタマー」は、特別なヌクレオチド配列を有する、1つの型又は種の核酸分子のコピーのセットである。アプタマーには、任意数の化学修飾ヌクレオチドを含めて、好適な任意数のヌクレオチドを含めることができる。「アプタマー」は、1より多いそのような分子のセットへ言及する。異なるアプタマーは、同じ数又は異なる数のヌクレオチドを有してよい。アプタマーは、DNA又はRNAであっても、化学修飾された核酸であってもよく、一本鎖又は二本鎖であっても、二本鎖領域を含有しても、より高次の秩序だった構造が含まれてもよい。アプタマーは、光アプタマーであってもよく、ここでは、光反応性又は化学反応性の官能基がアプタマーに含まれて、その対応する標的へそれが共有的に結合されることを可能にする。本明細書に開示されるアプタマー方法のいずれにも、同じ標的分子へ特異的に結合する2以上のアプタマーの使用を含めることができる。下記にさらに記載するように、アプタマーには、タグが含まれる場合がある。アプタマーにタグが含まれるならば、アプタマーのすべてのコピーが同じタグを有する必要はない。さらに、異なるアプタマーにそれぞれタグが含まれるならば、これらの異なるアプタマーは、同じタグを有しても、異なるタグを有してもよい。
[00152] アプタマーは、SELEX法を含めて、既知の方法を使用して同定することができる。同定されたならば、アプタマーは、化学合成法と酵素合成法を含めて、どの既知の方法に拠っても、製造又は合成することができる。
[00153] 「SELEX」及び「SELEX法」という用語は、本明細書において可換的に使用されて、(1)標的分子と望ましいやり方で相互作用する(例えば、高いアフィニティーでタンパク質へ結合する)アプタマーの選択物の(2)そのような選択される核酸の増幅を伴う組合せを概して意味する。SELEX法を使用して、特定の標的又はバイオマーカーへの高いアフィニティーがあるアプタマーを同定することができる。
[00154] SELEXには、一般に、核酸の候補混合物を製造すること、この候補混合物を所望の標的分子へ結合させてアフィニティー複合体を生成すること、このアフィニティー複合体を未結合の候補核酸より分離させること、アフィニティー複合体より結合核酸を分離して単離すること、その核酸を精製すること、及び特異的なアプタマー配列を同定することが含まれる。この方法には、選択されるアプタマーのアフィニティーをさらに純化させるために、多数のラウンドを含めてよい。この方法には、この方法中の1以上の時点で増幅工程を含めることができる。例えば、「核酸リガンド(Nucleic Acid Ligands)」と題した米国特許第5,475,096号を参照のこと。SELEX法を使用して、その標的へ共有結合するアプタマーだけでなく、その標的へ非共有的に結合するアプタマーも産生することができる。例えば、「指数的濃縮による核酸リガンドの系統進化法:化学SELEX(Systematic Evolution of Nucleic Acids Ligands by Exponential Enrichment: Chemi-SELEX)」と題した、米国特許第5,705,337号を参照のこと。
[00155] SELEX法を使用して、例えば、改善された in vivo 安定性又は改善された送達特性のような改善された特性をアプタマーに付与する修飾ヌクレオチドを含有する高アフィニティーアプタマーを同定することができる。そのような修飾の例には、リボース及び/又はリン酸及び/又は塩基の位置での化学的な置換が含まれる。修飾ヌクレオチドを含有する、SELEX法で同定されるアプタマーについては、ピリミジンの5’及び2’位で化学的に修飾されたヌクレオチド誘導体を含有するオリゴヌクレオチドについて記載する、「修飾ヌクレオチドを含有する高アフィニティー核酸リガンド(High Affinity Nucleic Acid Ligands Containing Modified Nucleotides)」と題した米国特許第5,660,985号に記載されている。米国特許第5,580,737号(上記参照)は、2’−アミノ(2’−NH)、2’−フルオロ(2’−F)、及び/又は2’−O−メチル(2’−OMe)で修飾された1以上のヌクレオチドを含有するきわめて特異的なアプタマーについて記載する。拡張された物理及び化学特性を有する核酸ライブラリーとSELEX及び光SELEXにおけるそれらの使用について記載する、「SELEXと光SELEX(SELEX and PHOTOSELEX)」と題した米国特許出願公開公報20090098549も参照のこと。
[00156] SELEXはまた、望ましいオフ速度特性を有するアプタマーを同定するために使用することができる。標的分子へ結合し得るアプタマーを産生するための改善されたSELEX法について記載する、「オフ速度が改善されたアプタマーを産生するための方法(Method for Generating Aptamers with Improved Off-Rates)」と題した米国特許出願公開公報20090004667を参照のこと。そのそれぞれの標的分子からの解離速度がより遅いアプタマー及び光アプタマーを産生するための方法が記載されている。この方法は、候補混合物を標的分子と接触させること、核酸−標的複合体の形成が生じることを可能にすること、及び遅いオフ速度濃縮法を実施することを伴うが、ここでは解離速度が速い核酸−標的複合体が解離して再形成されない一方で、解離速度が遅い複合体はインタクトなままである。その上、この方法には、オフ速度性能が改善されたアプタマーを産生する、候補核酸混合物の産生における修飾ヌクレオチドの使用が含まれる。
[00157] このアッセイの変法(variation)は、アプタマーがその標的分子へ共有結合するか又は「光架橋する」ことを可能にする光反応性の官能基が含まれるアプタマーを利用する。例えば、「核酸リガンド診断バイオチップ(Nucleic Acid Ligand Diagnostic Biochip)」と題した米国特許第6,544,776号を参照のこと。これらの光反応性アプタマーは、光アプタマーとも呼ばれる。例えば、そのいずれも「指数的濃縮による核酸リガンドの系統進化法:核酸リガンドの光選択と溶液SELEX(Systematic Evolution of Nucleic Acid Ligands by Exponential Enrichment: Photoselection of Nucleic Acid Ligands and Solution SELEX)」と題した、米国特許第5,763,177号、米国特許第6,001,577号、及び米国特許第6,291,184号を参照のこと;また、例えば、「核酸リガンドの光選択(Photoselection of Nucleic Acid Ligands)」と題した米国特許第6,458,539号を参照のこと。マイクロアレイを試料と接触させて、光アプタマーにその標的分子へ結合させる機会を与えた後で、光アプタマーを光活性化して、固体支持体を洗浄して、非特異的に結合したあらゆる分子を除去する。光アプタマーへ結合している標的分子は、光アプタマー上での光活性化官能基(複数)によって創出される共有結合により、概して除去されないので、厳しい洗浄条件を使用してよい。このやり方では、このアッセイにより、検査試料中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値の検出が可能になる。
[00158] これらのアッセイフォーマットのいずれでも、試料と接触させることに先立って、アプタマーを固体支持体上に固定化する。しかしながら、ある状況の下では、試料との接触に先立つアプタマーの固定化が最適なアッセイを提供しない場合がある。例えば、アプタマーのプレ固定化により、固体支持体の表面上での標的分子とアプタマーの非効率的な混合が生じる場合があり、アプタマーがその標的分子へ効率的に結合するのに、冗長な反応時間と、それ故に延長されるインキュベーション時間をもたらすだろう。さらに、光アプタマーをこのアッセイに利用するときには、固体支持体として利用される材料に依存して、固体支持体は、光アプタマーとその標的分子の間での共有結合の形成に奏効するのに使用される光を分散させるか又は吸収する傾向があり得る。さらに、利用する方法に依存して、そのアプタマーへ結合した標的分子の検出は、固体支持体の表面が使用されるあらゆる標識剤へ曝露されるか又はそれによって影響を受ける場合があるので、不正確性に陥る可能性がある。最後に、固体支持体上でのアプタマーの固定化は、一般に、アプタマーの試料への曝露に先立つアプタマー製造工程(即ち、固定化)を伴い、そしてこの製造工程は、アプタマーの活性又は機能性に影響を及ぼす場合がある。
[00159] アプタマーが溶液中のその標的を捕捉することを可能にしてから、アプタマー−標的混合物の特定成分を検出に先立って除去するように設計された分離工程を利用するアプタマーアッセイについても記載されている(「検査試料の多重化分析(Multiplexed Analyses of Test Samples)」と題した米国特許出願公開公報20090042206を参照のこと)。記載のアプタマーアッセイ法は、核酸(即ち、アプタマー)を検出して定量することによって、検査試料中の非核酸標的(例、タンパク質標的)の検出及び定量を可能にする。記載の方法は、非核酸標的を検出及び定量するための核酸代用物(即ち、アプタマー)を創出することによって、増幅が含まれる多種多様な核酸技術が、タンパク質標的が含まれる、より広範囲の所望される標的へ適用されることを可能にする。
[00160] アプタマーを構築して、アプタマーバイオマーカー複合体(又は、光アプタマーバイオマーカー共有複合体)からのアッセイ成分の分離を促進して、検出及び/又は定量のためのアプタマーの単離を可能にすることができる。1つの態様において、これらの構築体には、切断可能又は放出可能な要素をアプタマー配列の内部に含めることができる。他の態様では、追加の機能性、例えば、標識されたか又は検出可能な成分、スペーサー成分、又は特異的な結合タグ、又は固定化要素をアプタマー中へ導入することができる。例えば、アプタマーには、切断可能な部分を介してアプタマーへ連結されるタグ、標識、標識を分離するスペーサー成分、及び切断可能な部分を含めることができる。1つの態様において、切断可能な要素は、光切断可能なリンカーである。光切断可能なリンカーは、ビオチン部分とスペーサー切片へ付けることができて、アミンの誘導化のためのNHS基が含まれて、使用してビオチン基をアプタマーへ導入することができて、それによってアッセイ法の後でのアプタマーの放出を可能にする。
[00161] すべてのアッセイ成分が溶液中で行われる均質アッセイは、シグナルの検出に先立つ試料及び試薬の分離を必要としない。これらの方法は、迅速で使用が容易である。これらの方法は、その特異的な標的と反応する分子捕捉又は結合試薬に基づいて、シグナルを産生する。肺癌では、分子捕捉試薬は、アプタマー又は抗体、等であろうし、特異的な標的は、表1、カラム2の肺癌バイオマーカーであろう。
[00162] 1つの態様において、シグナル産生の方法は、フルオロフォア標識した捕捉試薬のその特異的なバイオマーカー標的との相互作用による異方性シグナル変化を利用する。この標識した捕捉試薬がその標的と反応するとき、分子量の増加により、複合体へ付いたフルオロフォアの回転運動が引き起こされて、異方性の数値がずっとより遅く変化する。この異方性の変化を監視することによって、結合イベントを使用して、溶液中のバイオマーカーを定量的に測定することができる。他の方法には、蛍光偏光アッセイ、分子ビーコン法、時間分解蛍光消光、化学発光、蛍光共鳴エネルギー転移、等が含まれる。
[00163] 生体試料中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を検出するために使用し得る例示の溶液ベースのアプタマーアッセイには、以下が含まれる:(a)第一タグが含まれて、バイオマーカーに特異的なアフィニティーを有するアプタマーと生体試料を接触させることによって混合物を調製すること(ここでは、バイオマーカーが試料中に存在するときに、アプタマーアフィニティー複合体が形成される);(b)上記混合物を第一捕捉要素が含まれる第一固体支持体へ曝露して、第一タグが第一捕捉要素と会合することを可能にすること;(c)第一固体支持体と会合しない混合物のあらゆる成分を除去すること;(d)第二タグをアプタマーアフィニティー複合体のバイオマーカー成分へ付けること;(e)第一固体支持体からアプタマーアフィニティー複合体を放出させること;(f)放出されたアプタマーアフィニティー複合体を第二捕捉要素が含まれる第二固体支持体へ曝露して、第二タグが第二捕捉要素へ会合することを可能にすること;(g)アプタマーアフィニティー複合体より非複合化アプタマーを分割することによって、上記混合物よりあらゆる非複合化アプタマーを除去すること;(h)当該アプタマーを固体支持体より溶出させること;及び(i)アプタマーアフィニティー複合体のアプタマー成分を検出することによって、バイオマーカーを検出すること。
イムノアッセイを使用するバイオマーカー値の定量
[00164] イムノアッセイ法は、その対応する標的又は分析物への抗体の反応に基づいて、特定のアッセイフォーマットに依存して、試料中の分析物を検出することができる。免疫反応性に基づいたアッセイ法の特異度及び感度を向上させるために、その特異的なエピトープ認識の故に、モノクローナル抗体がしばしば使用される。モノクローナル抗体と比較したときの標的へのアフィニティーの増加の故に、ポリクローナル抗体も様々なイムノアッセイにおいて成功裡に使用されてきた。イムノアッセイは、広範囲の生体試料マトリックスと一緒の使用のために設計されてきた。イムノアッセイフォーマットは、定性的、半定量的、及び定量的な結果をもたらすように設計されている。
[00165] 検出される特異的な分析物の既知濃度で創出される標準曲線の使用により、定量的な結果が得られる。未知の試料からの応答又はシグナルを標準曲線上へプロットして、未知試料中の標的へ対応する量又は数値を確定する。
[00166] 数多くのイムノアッセイフォーマットが設計されてきた。ELISA又はEIAは、分析物の検出について定量的であり得る。この方法は、分析物又は抗体のいずれかへの標識の付着に依存して、標識成分には、直接的又は間接的に、酸素が含まれる。ELISA検査は、分析物の直接的、間接的、競合的、又はサンドイッチ検出用にフォーマット化することができる。他の方法は、例えば、放射性核種(I125)又は蛍光のような標識に依存する。追加の技術には、例えば、凝集、ネフェロメトリー、比濁法、ウェスタンブロット、免疫沈降、免疫細胞化学、免疫組織化学、フローサイトメトリー、ルミネックスアッセイ、その他が含まれる(「イムノアッセイ:実践ガイド(ImmunoAssay: A Practical Guide)」、Brian Law 監修、出版元:Taylor & Francis 社(2005年版)を参照のこと)。
[00167] 例示のアッセイフォーマットには、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ、蛍光、化学発光、及び蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)、又は時間分割FRET(TR−FRET)イムノアッセイが含まれる。バイオマーカーを検出するための手順の例には、バイオマーカーの免疫沈降に続いて、ゲル電気泳動法、キャピラリー電気泳動法、平面電気クロマトグラフィー、等のような、サイズ及びペプチドレベルの区別を可能にする定量的な方法が含まれる。
[00168] 検出可能な標識又はシグナル発生材料を検出する、及び/又は定量する方法は、標識の性質に依存する。適正な酵素によって触媒される反応の産物(ここで、検出可能な標識は酵素である;上記参照)は、制限なしに、蛍光性、発光性、又は放射活性であっても、それらは、可視光線又は紫外線を吸収してもよい。そのような検出可能な標識を検出するのに適した検出器の例には、制限なしに、X線フィルム、放射活性カウンター、シンチレーションカウンター、分光光度計、熱量計、蛍光光度計、ルミノメーター、及び濃度計が含まれる。
[00169] 上記の検出方法のいずれも、反応物のどの好適な調製、処理、及び分析も可能にする任意のフォーマットにおいて、実施することができる。このことは、例えば、マルチウェルアッセイプレート(例、96ウェル又は386ウェル)中であっても、又はどの好適なアレイ又はマイクロアレイを使用してもよい。様々な薬剤のストック溶液をマニュアル又はロボットで作製することができて、その後のすべてのピペット操作、希釈、混合、分配、洗浄、インキュベーション、試料読出し、データ採取、及び分析は、検出可能な標識を検出することが可能な市販の分析ソフトウェア、ロボット工学、及び検出機器を使用して、ロボットで行うことができる。
遺伝子発現プロファイリングを使用するバイオマーカー値の定量
[00170] 生体試料中のmRNAを測定することは、生体試料中の対応するタンパク質のレベルの検出の代用法として使用してよい。従って、本明細書に記載のバイオマーカー又はバイオマーカーパネルのいずれも、適正なRNAを検出することによって検出することができる。
[00171] 逆転写定量的ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCRにqPCRを続ける)によってmRNA発現レベルを測定する。RT−PCRを使用して、mRNAよりcDNAを創出する。このcDNAをqPCRアッセイに使用して、DNA増幅プロセスが進行するにつれて蛍光を産生することができる。標準曲線への比較により、qPCRは、細胞あたりのmRNAのコピー数といった、絶対測定値を産生することができる。試料中のmRNAの発現レベルを測定するために、ノーザンブロット、マイクロアレイ、インベーダーアッセイ、及びキャピラリー電気泳動法と組み合わせたRT−PCRがいずれも使用されている。「遺伝子発現プロファイリング:方法とプロトコール(Gene Expression Profiling: Methods and Protocols)」、Richard A. Shimkets(監修)、ヒュマナプレス(2004)を参照のこと。
[00172] miRNA分子は、非翻訳領域(non-coding)であるが、遺伝子発現を調節する可能性がある低分子RNAである。mRNA発現レベルの測定に適した方法のいずれも、対応するmiRNAに使用することができる。最近、多くの研究室が、疾患のバイオマーカーとしてのmiRNAの使用を検討している。多くの疾患は広範囲の転写調節を伴うので、miRNAがバイオマーカーとしての役割を見出すことは驚きではない。miRNA濃度と疾患の間の関連は、タンパク質レベルと疾患の間の関連よりずっと明らかでないことが多いが、それでもmiRNAバイオマーカーの価値は、実質的であるかもしれない。当然ながら、疾患の間に差示的に発現されるどのRNAとも同じように、in vitro 診断製品の開発が直面する課題には、miRNAが疾患細胞においても存続して、分析のために容易に抽出される、又はmiRNAが血液又は他のマトリックス中へ放出されて、そこで測定されるのに十分長く存続しなければならないという必要条件が含まれるものである。タンパク質バイオマーカーにも同様の必要条件があるが、多くの潜在的なタンパク質バイオマーカーは、疾患の間に、病態及び機能の部位で、傍分泌の形式で意図的に分泌される。多くの潜在的なタンパク質バイオマーカーは、その内部でそのタンパク質が合成される細胞の外側で機能するように設計されている。
in vivo 分子造影技術を使用するバイオマーカーの検出
[00173] 記載のバイオマーカー(表1、カラム2を参照のこと)のいずれも、分子造影検査に使用することができる。例えば、記載のバイオマーカーのいずれへも造影剤を共役させることができて、これを使用して、他の使用の中でも、肺癌診断に役立てる、疾患の進行/寛解又は転移を監視する、疾患再発を監視する、又は療法への応答を監視することができる。
[00174] in vivo 造影技術は、個体の身体中の特別な疾患の状態を判定するための非侵襲性の方法を提供する。例えば、身体の全体部分、又は全身でさえ、三次元画像として視ることができて、それによって身体中の形態及び構造に関する貴重な情報が提供される。そのような技術を本明細書に記載のバイオマーカーの検出と組み合わせて、個体の癌の状態、特に肺癌の状態に関する情報を提供することができる。
[00175] in vivo 分子造影技術の使用は、技術における様々な進歩により、広がっている。これらの進歩には、身体内部の強いシグナルを提供することができる、新たな造影剤又は標識(放射標識及び/又は蛍光標識のような)の開発;及び、有用な情報を提供するのに十分な感度及び精度を伴って、上記シグナルを身体の外側で検出及び分析することができる、強力な新しい造影技術の開発が含まれる。造影剤は、適正な造影システムで可視化することができて、それにより造影剤が定位される身体の単数又は複数の部分の画像が提供される。造影剤は、捕捉試薬(例えば、アプタマー又は抗体のような)と、及び/又はペプチド又はタンパク質、又はオリゴヌクレオチド(例えば、遺伝子発現の検出のために)、又は1以上の巨大分子及び/又は他の粒状形態とともに上記のいずれも含有する複合体と結合又は会合させることができる。
[00176] 造影剤はまた、造影法に有用である放射活性原子を特徴とする場合がある。好適な放射活性原子には、シンチグラフィー試験用のテクネチウム−99m又はヨウ素−123が含まれる。他の容易に検出可能な部分には、例えば、再びヨウ素−123、ヨウ素−131、インジウム−111、フッ素−19、炭素−13、窒素−15、酸素−17、ガドリニウム、マンガン、又は鉄のような、例えば、磁気共鳴造影法(MRI)のためのスピン標識が含まれる。そのような標識は、当該技術分野でよく知られていて、当業者によって容易に選択され得る。
[00177] 標準造影技術には、限定されないが、磁気共鳴造影法、コンピュータ断層撮影スキャニング、陽電子放射断層撮影法(PET)、単一光子放射コンピュータ断層撮影法(SPECT)、等が含まれる。診断 in vivo 造影法では、所与の放射性核種のような所与の造影剤と、標的指向するのに使用される特別なバイオマーカー(タンパク質、mRNA、等)を選択するの重要な要因となるのは、利用可能な検出機器の種類である。選択される放射性核種は、典型的には、所与の種類の機器によって検出可能である、崩壊のタイプを有する。また、in vivo 診断用に放射性核種を選択するときには、その半減期は、標的組織による最大取込みの時間での検出を可能にするほどに長いが、宿主の有害な放射が最小化されるほどに短くあるべきである。
[00178] 例示の造影技術には、限定されないが、放射性核種が合成的又は局所的に個体へ投与される造影技術である、PETとSPECTが含まれる。放射性トレーサーの後続の取込みを経時的に測定して使用して、標的指向された組織とバイオマーカーについての情報を入手する。利用する特定の同位体の高エネルギー(γ線)放出とそれらを検出するために使用する機器の感度と洗練性(sophistication)のために、身体の外側より、放射活性の二次元分布を推測することができる。
[00179] PETにおいて一般的に使用されている陽子放出核種には、例えば、炭素−11、窒素−13、酸素−15、及びフッ素−18が含まれる。電子捕捉及び/又はγ線放出によって崩壊する同位体がSPECTでは使用されて、例えば、ヨウ素−123及びテクネチウム−99mが含まれる。アミノ酸をテクネチウム−99mで標識するための例示の方法は、キレート形成前駆体の存在下に過テクネチウム酸イオンを還元して、不安定なテクネチウム−99m−前駆体複合体を形成することであり、次いで、これが二官能性修飾された走化性ペプチドの金属結合基と反応して、テクネチウム−99m−走化性ペプチドコンジュゲートを形成する。
[00180] 抗体は、このような in vivo 造影診断法に頻繁に使用される。in vivo 診断用の抗体の調製と使用は当該技術分野でよく知られている。個体の疾患状態を診断又は評価する目的のために、使用する特別なバイオマーカーに従って検出可能なある種の癌(例、肺癌)を有することが疑われる個体へ、表1、カラム2のバイオマーカーのいずれかへ特異的に結合する標識化抗体を注射することができる。使用する標識は、先に記載のように、使用する造影モダリティに従って選択される。この標識の局在定位により、癌の拡がりの判定が可能になる。臓器又は組織内の標識の量はまた、その臓器又は組織における癌の存在又は非存在の判定を可能にする。
[00181] 同様に、このような in vivo 造影診断法にアプタマーを使用してよい。例えば、個体の肺癌状態を診断又は評価する目的のために、表1、カラム2に記載の特別なバイオマーカーを同定するのに使用した(それ故に、特別なバイオマーカーへ特異的に結合する)アプタマーを適正に標識して、特別なバイオマーカーに従って検出可能な肺癌を有することが疑われる個体へ注射することができる。使用する標識は、先に記載のように、使用する造影モダリティに従って選択される。この標識の局在定位により、癌の拡がりの判定が可能になる。臓器又は組織内の標識の量はまた、その臓器又は組織における癌の存在又は非存在の判定を可能にする。アプタマー指向性の造影剤は、他の造影剤に比べて、組織浸透、組織分布、動態、消失、効力、及び選択性に関して独自の有利な特徴を有する可能性がある。
[00182] このような技術はまた、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドでの造影法による遺伝子発現の検出のために、標識化オリゴヌクレオチドを用いて実施してもよい。これらの方法は、例えば、蛍光分子又は放射性核種を標識として、in situ ハイブリダイゼーションのために使用する。遺伝子発現の検出のための他の方法には、例えば、レポーター遺伝子の活性の検出が含まれる。
[00183] 別の一般的な種類の別の造影技術は、被検者の外側にある光学機器によって被検者内の蛍光シグナルが検出される、光造影法である。これらのシグナルは、実際の蛍光、及び/又は生物発光による場合がある。光検出デバイスの感度の向上により、光造影法の in vivo 診断アッセイへの有用性が増してきた。
[00184] 臨床試験を含めて、例えば、新たな癌治療法の治験での臨床効果をより迅速に測定するために、及び/又はそのような長期化した治療が倫理的に疑問視されるとみなされる場合がある、多発性硬化症のような疾患へのプラセボでの長期化治療を回避するために、in vivo 分子バイオマーカー造影法の使用が増えている。
[00185] 他の技術の概説については、N. Blow, Nature Methods, 6, 465-469, 2009 を参照のこと。
組織学/細胞学の方法を使用するバイオマーカー値の定量
[00186] 肺癌の評価には、多様な組織試料を組織学的又は細胞学的な方法において使用することができる。試料選択は、原発腫瘍の位置と転移の部位に依存する。例えば、組織学には、気管支内生検及び経気管支生検、微細針吸引、角針、及びコア針生検を使用することができる。細胞学には、気管支洗浄及び擦過、胸膜吸引、及び喀痰を使用することができる。肺癌の診断には、細胞学的分析が依然として使用されているが、組織学的方法は、癌の検出のためにより良好な感度を提供することが知られている。肺癌のある個体において上方調節されていることが示された、本明細書で同定したバイオマーカー(表37を参照のこと)のいずれを使用しても、組織学的標本を疾患の指標として染色することができる。
[00187] 1つの態様では、対応するバイオマーカー(複数)に特異的な1以上の捕捉試薬(複数)を肺細胞試料の細胞学的評価に使用して、以下の1以上が含まれる場合がある:細胞試料を採取すること、細胞試料を固定すること、細胞試料を顕微鏡スライド上で脱水、洗浄、固定化すること、細胞試料を透過処理すること、分析物の検索のために処理すること、染色、脱色、洗浄、ブロッキングして、緩衝化溶液中で1以上の捕捉試薬(複数)と反応させること。別の態様において、細胞試料は、細胞ブロックより産生する。
[00188] 別の態様では、対応するバイオマーカーに特異的な1以上の捕捉試薬(複数)を肺組織試料の組織学的評価に使用して、以下の1以上が含まれる場合がある:組織試料を採取すること、組織試料を固定すること、組織試料を顕微鏡スライド上で脱水、洗浄、固定化すること、組織試料を透過処理すること、分析物の検索のために処理すること、染色、脱色、洗浄、ブロッキング、再水和させて、緩衝化溶液中で捕捉試薬(複数)と反応させること。別の態様では、固定と脱水を凍結に換える。
[00189] 別の態様では、対応するバイオマーカー(複数)に特異的な1以上のアプタマーを組織学的又は細胞学的試料と反応させて、核酸増幅法における核酸標的として役立てることができる。好適な核酸増幅法には、例えば、PCR、qβレプリカーゼ、ローリングサークル増幅、鎖置換、ヘリカーゼ依存性増幅、ループ媒介等温増幅、リガーゼ連鎖反応、並びに、制限及び循環化支援ローリングサークル増幅が含まれる。
[00190] 1つの態様では、組織学的又は細胞学的評価に使用の対応するバイオマーカーに特異的な1以上の捕捉試薬(複数)を緩衝化溶液中で混合して、それには以下のいずれも含めることができる:ブロッキング材料、競合剤、界面活性剤、安定化剤、担体核酸、ポリアニオン材料、等。
[00191] 一般に、「細胞学プロトコール」には、試料採取、試料固定、試料固定化、及び染色が含まれる。「細胞調製」には、試料採取後のいくつかの処理工程を含めることができて、1以上の遅いオフ速度アプタマーを調製済み細胞の染色に使用することが含まれる。
[00192] 試料採取には、試料を未処理の運搬容器に直接入れること、ある種の媒体を含有する運搬容器に試料を入れること、又は試料を処理又は固定せずにスライド上へ直接置くこと(固定化)を含めることができる。
[00193] 採取した標本の一部を、ポリリジン、ゼラチン、又はシランで処理したスライドガラスへ塗布することによって、試料固定化を高めることができる。薄くて平坦な層の細胞をスライド全体に塗布することによってスライドを調製することができる。一般的には、機械的な歪みや乾燥での人為的結果を最小化するように配慮する。液体標本は、細胞ブロック法において処理することができる。また、あるいは、液体標本は、固定溶液と室温で約10分間、1:1で混合することができる。
[00194] 細胞ブロックは、残留胸水、喀痰、尿沈渣、胃腸液、細胞擦過物、又は微細針吸引物より調製することができる。遠心分離又は膜濾過によって細胞を濃縮又は圧縮する。細胞ブロック調製用のいくつかの方法が開発されてきた。代表的な手順には、固定沈積、細菌寒天、又は膜濾過の方法が含まれる。固定沈積法では、細胞沈積物をブアン固定液、ピクリン酸、又は緩衝化ホルマリンのような固定液と混合してから、この混合物を遠心分離して固定細胞をペレット化させる。上清を除き、細胞ペレットを可能な限り完全に乾燥させる。このペレットを採取して、レンズペーパーに包んでから、組織カセットに入れる。この組織カセットを追加固定液とともに広口瓶に入れて、組織試料として処理する。寒天法はきわめて似ているが、ペレットを取り出して、ペーパータオル上で乾燥させてから半分に切る。スライドガラス上で融かした1滴の寒天にカット側を入れてから、ペレットを寒天で覆って、寒天中に泡が形成されないことを確実にする。寒天をそのまま固めてから、余分な寒天を切り取る。これを組織カセットに入れて、この組織法を完了させる。あるいは、ペレットを65℃で2%液体寒天に直接懸濁させて、試料を遠心分離させてよい。この寒天細胞ペレットをそのまま4℃で1時間固化させる。この固体寒天を遠心分離管より取り出して、半分にスライスしてよい。この寒天を濾紙に、次いで組織カセットに包む。この時点から先の処理は、上記に記載した通りである。上記のどの手順でも、遠心分離を膜濾過に換えてよい。上記方法のいずれを使用しても、「細胞ブロック試料」を産生することができる。
[00195] 細胞ブロックは、Lowicryl 樹脂、LR White、LR GOLD、Unicryl、及び MonoStep が含まれる特殊樹脂を使用して調製することができる。これらの樹脂は、低密度を有していて、低温で、そして紫外(UV)光線で重合化することができる。この包埋法は、脱水の間に試料を漸次冷やすこと、その試料を樹脂へ移すこと、及び最後の低温と適正なUV波長でブロックを重合させることに依拠する。
[00196] 細胞ブロック切片は、細胞形態学的検査のためにヘマトキシリン−エオジンで染色することができる一方、追加の切片は、特異的マーカーの検査に使用する。
[00197] 方法が細胞学的であれ組織学的であれ、試料は、試料劣化を防ぐための追加の処理に先立って固定することができる。この方法は、「固定法」と呼ばれて、可換的に使用し得る広範囲の材料及び手順について記載する。この試料固定法のプロトコール及び試薬は、検出すべき標的と分析すべき特定の細胞/組織種に基づいて、最もよく経験的に選択される。試料固定法は、エタノール、ポリエチレングリコール、メタノール、ホルマリン、又はイソプロパノールのような試薬に依拠する。試料は、採取とスライドへの付着後できるだけすぐに固定すべきである。しかしながら、選択される固定液は、様々な分子標的へ構造変化をもたらす可能性があり、その後続の検出をより難しくする。固定と固定化の方法とそれらの順序は、細胞の外観を変化させる可能性があるので、細胞技術者には、これらの変化が予期されて認識されなければならない。固定液は、ある細胞種の縮化を引き起こして、細胞質が粒状又は網状に見えることを引き起こす可能性がある。多くの固定液は、細胞成分と架橋結合することによって機能する。このことは、特異的エピトープを棄損するか又は変化させる、新しいエピトープを産生する、分子会合を引き起こす、そして膜透過性を低下させる可能性がある。ホルマリン固定法は、最も一般的な細胞学的/組織学的アプローチの1つである。ホルマリンは、近隣タンパク質の間で、又はタンパク質の内部でメチル架橋を形成させる。固定法には沈降又は凝集も使用されて、この種の固定法にはエタノールが頻繁に使用される。固定法には、架橋結合と沈降の組合せも使用することができる。形態学的な情報を保存するときには強い固定法が最良であるが、分子標的の保存には、より弱い固定法が最良である。
[00198] 代表的な固定液は、50%無水エタノール、2mMポリエチレングリコール(PEG)、1.85%ホルムアルデヒドである。この製剤の変形には、エタノール(50%〜95%)、メタノール(20%〜50%)、及びホルマリン(ホルムアルデヒド)のみが含まれる。別の一般的な固定液は、2% PEG1500、50%エタノール、及び3%メタノールである。スライドを室温で約10〜15分間固定液に入れてから取り出して、そのまま乾燥させる。スライドを固定したならばすぐに、それらをPBSのような緩衝化溶液で濯ぐことができる。
[00199] 広範囲の色素を使用して、細胞、細胞内、及び組織の特徴又は形態学的構造を差示的に強調して対比させるか又は「染色する」ことができる。ヘマトキシリンは、核を青色又は黒色に染色するために使用する。オレンジG−6とエオジンアズールは、細胞の細胞質をともに染色する。オレンジGは、ケラチン及びグリコゲン含有細胞を黄色に染色する。エオジンYは、核小体、繊毛、赤血球、及び表層上皮扁平細胞を染色するために使用する。ロマノフスキー染色は、空気乾燥スライドに使用して、多形性を高めて、細胞外物質を細胞内物質より区別するのに有用である。
[00200] 染色法には、細胞の染色剤への透過性を高めるための処理を含めることができる。界面活性剤での細胞の処理を使用して、透過性を高めることができる。細胞及び組織の透過性を高めるために、固定化した試料を、溶媒、サポニン、又は非イオン性界面活性剤でさらに処理することができる。酵素消化はまた、組織試料中の特異的な標的の到達性を向上させることができる。
[00201] 染色後、アルコール濃度を高める一連のアルコール洗浄を使用して、試料を脱水する。最終洗浄は、スライドガラスへ適用されるカバーガラスに近い屈折率を有する、キシレン又は柑橘テルペンのようなキシレン代用物で行う。この最終工程は、清浄と呼ばれる。試料を脱水して清浄したらすぐに、封鎖剤を適用する。封鎖剤は、ガラスに近い屈折率を有するように選択されて、カバーガラスをスライドへ結合することが可能である。それはまた、細胞試料のさらなる乾燥、縮化、又は退色を阻害する。
[00202] 使用する染色液又は手順にかかわらず、肺の細胞学的標本の最終評価は、形態の目視検査とマーカーの存在又は非存在の判定を可能にする、ある種の顕微鏡法によってなされる。例示の顕微鏡法には、明視野、位相差、蛍光、及び微分干渉コントラストが含まれる。
[00203] 検査後の試料に対して二次検査が求められるならば、カバーガラスを外して、スライドを脱染してよい。脱染は、スライドを初めに染色するときに使用した元の溶媒系を追加色素なしに、そして元の染色手順とは逆の順序で使用することを伴う。脱染はまた、細胞が無色になるまで、スライドを酸性アルコールに浸すことによって完了させてよい。無色になったらすぐにスライドを水浴中でよく濯いで、二次染色手順を適用する。
[00204] 加えて、抗体又は核酸プローブ又はアプタマーのような特異的な分子試薬の使用により、細胞の形態学的分析と一緒にして、特異的な分子差別化が可能であり得る。これにより、診断細胞学の精度が向上する。顕微解剖を使用して、細胞のサブセットを追加の評価、特に、異常染色体、遺伝子発現、又は突然変異の遺伝評価のために単離することができる。
[00205] 組織試料の組織学的評価用の調製は、固定、脱水、浸透、包埋、及び切出しを伴う。組織学で使用する固定試薬は、細胞学で使用するものときわめて似ているか又は同一であり、個別タンパク質のような分子の特徴を犠牲にして形態学的な特徴を保存するのと同じ課題を有する。組織試料を固定及び脱水しない代わりに凍結させてから、凍結している間に切り出せば、時間を節約することができる。これは、より穏やかな処理手順であって、より多くの個別マーカーを保存することができる。しかしながら、凍結は、氷晶の導入により細胞内の情報が失われるので、組織試料の長期保存には許容されない。凍結した組織試料中の氷はまた、切出し法によりごく薄いスライスを作製することを妨げるので、細胞内構造のある微視的な解像及び造影が失われる可能性がある。ホルマリン固定に加えて、四酸化オスミウムを使用して、リン脂質(膜)を固定及び染色する。
[00206] 組織の脱水は、アルコール濃度が増加する連続洗浄で達成される。清浄は、アルコールと混和する材料と包埋材料を利用して、50:50のアルコール:清浄試薬で始めてから、100%清浄剤(キシレン又はキシレン代用物)への段階法を伴う。浸透は、液体型の包埋剤(温ワックス、ニトロセルロース溶液)とともに、初めに50:50の包埋剤:清浄剤、次いで100%包埋剤で組織をインキュベートすることを伴う。包埋は、組織を型又はカセットに入れて、ワックス、寒天、又はゼラチンのような融けた包埋剤で充填することによって完了する。包埋剤は、そのまま硬化させる。次いで、硬化した組織試料は、染色と後続の検査のために薄片へスライスすることができる。
[00207] 染色に先立って、組織切片を脱ワックス(dewaxed)して、再水和させる。キシレンを使用して切片を脱ワックスするが、1回以上のキシレン交換を使用してよく、濃度が減少するアルコール中での連続洗浄によって組織を再水和させる。脱ワックスに先立って、組織切片は、約80℃で約20分間、スライドガラスへ加熱固定化してよい。
[00208] レーザー捕捉顕微解剖により、組織切片からのさらなる分析のために、細胞のサブセットの単離が可能になる。
[00209] 細胞学におけるように、微視的な特徴の可視化を高めるために、組織切片又はスライスを多様な染色液で染色することができる。市販染色液の大きなメニューを使用して、特異的な特徴を強調するか又は同定することができる。
[00210] 細胞学的/組織学的試料と分子試薬の相互作用をさらに高めるために、「分析物検索」用のいくつかの技術が開発されてきた。第一のそのような技術は、固定化試料の高温加熱を使用する。この方法は、加熱誘導エピトープ検索又はHIERとも呼ばれる。多様な加熱技術が使用されていて、蒸気加熱、マイクロ波加熱、オートクレーブ処理、水浴、及び圧力鍋、又はこれらの加熱法の組合せが含まれる。分析物検索溶液には、例えば、水、クエン酸塩溶液、及び生理食塩水緩衝液が含まれる。分析物検索の鍵となるのは高温での時間であるが、より低温でより長い時間も成功裡に使用されている。分析物検索のもう1つの鍵となるのは、加熱溶液のpHである。低いpHは、最良の免疫染色を提供することが見出されているが、バックグラウンドが生じるので、第二の組織切片を陰性対照として使用することが頻繁に求められる。最も一貫性がある利益(バックグラウンドの増加を伴わない、免疫染色の増加)が概して得られるのは、緩衝液の組成を問わず、高いpH溶液を用いる場合である。特異的な標的への分析物検索法は、経験的に、加熱、時間、pH、及び緩衝液組成をプロセス最適化の変数として使用して、その標的に最適化される。マイクロ波の分析物検索法を使用すると、異なる標的の抗体試薬での連続染色が可能になる。しかし、染色工程の間に抗体及び酵素複合体を完成させるのに求められる時間はまた、細胞膜の分析物を劣化させることが示された。マイクロ波加熱法は、in situ ハイブリダイゼーションの方法も改善した。
[00211] 分析物検索法を開始するには、初めに切片を脱ワックスして、水和させる。次いで、スライドをディッシュ又は広口瓶中の10mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)に入れる。代表的な手順は、1100Wマイクロ波を使用して、スライドを電力100%で2分間マイクロ波加熱することに続けて、確かにスライドが液体に覆われていることを確認した後で、このスライドを、電力20%を18分間使用してマイクロ波加熱する。次いで、スライドを蓋のない容器中でそのまま冷やしてから、蒸留水で濯ぐ。HIERは、標的の免疫化学試薬への反応性を高めるために、酵素消化と組み合わせて使用してよい。
[00212] 1つのこのような酵素消化プロトコールは、プロテイナーゼKを使用する。50mMトリス塩基、1mM EDTA、0.5% Triton X−100(pH8.0)緩衝液で20μg/ml濃度のプロテイナーゼKを調製する。この方法は、初めに、2交換のキシレン、各5分で切片を脱ワックスすることを伴う。次いで、試料を2交換の100%エタノールで各3分間、95%及び80%エタノールで各1分間水和させてから、蒸留水で濯ぐ。切片をプロテイナーゼK希釈標準溶液で覆って、加湿チャンバにおいて37℃で10〜20分インキュベートする(最適なインキュベーション時間は、組織の種類と固定の度合いに依存して変えてよい)。この切片を室温で10分間冷やしてから、PBS Tween20中で2x2分間濯ぐ。望まれるならば、切片をブロックして、内因性の化合物及び酵素からの潜在的な干渉を無くすことができる。次いで、この切片を一次抗体希釈緩衝液で適正に希釈した一次抗体とともに室温で1時間、又は4℃で一晩インキュベートする。次いで、この切片をPBS Tween20で2x2分間濯ぐ。特別な応用のために求められるならば、追加のブロッキングを実施することができて、PBS Tween20で3x2分の追加の濯ぎを続けてから、最後に免疫染色プロトコールを完了する。
[00213] 室温、1% SDSでの簡単な処理も、免疫組織化学染色を向上させることが実証されてきた。分析物検索法は、スライドに載せた切片だけでなく、自由浮遊性の切片にも適用されている。別の処理オプションは、クエン酸及び0.1ノニデントP40をpH6.0で含有する広口瓶にスライドを入れて、95℃まで加熱することである。次いで、このスライドをPBSのような緩衝溶液で洗浄する。
[00214] 組織の免疫学的染色には、血清又は無脂肪乾燥乳のようなタンパク溶液に切片を浸漬することによって、抗体の組織タンパク質との非特異的な会合を阻止することが有用であり得る。
[00215] 反応を阻止することには、内因性ビオチンのレベルを低下させる;内因性の帯電効果を消失させる;内因性ヌクレアーゼを不活性化する;及び/又は、ペルオキシダーゼ及びアルカリホスファターゼのような内因性酵素を不活性化する必要性が含まれる場合がある。内因性ヌクレアーゼは、プロテイナーゼKでの分解によって、加熱処理、EDTA又はEGTAのようなキレート剤の使用、担体DNA又はRNAの導入、尿素、チオ尿素、塩酸グアニジン、チオシアン酸グアニジン、過塩素酸リチウム、等、又はピロ炭酸ジエチルのようなカオトロープでの処理によって不活性化することができる。アルカリホスファターゼは、0.1N HClで、室温で5分間の処理、又は1mMレバミゾールでの処理によって不活性化することができる。ペルオキシダーゼの活性は、0.03%過酸化水素での処理によって消失させることができる。内因性ビオチンは、スライド又は切片をアビジン(ストレプタビジン、ニュートラアビジンを代用してよい)溶液に室温で少なくとも15分間浸漬することによって、阻止することができる。次いで、このスライド又は切片を緩衝液中で少なくとも10分間洗浄する。これは、少なくとも3回繰り返してよい。次いで、スライド又は切片をビオチン溶液に10分間浸漬する。これは、毎回新鮮なビオチン溶液で、少なくとも3回繰り返してよい。この緩衝液洗浄手順を繰り返す。阻止プロトコールは、細胞又は組織構造、又は目的の単数又は複数の標的のいずれかを棄損することを防ぐために最小化すべきであるが、上記プロトコールの1以上を組み合わせると、1以上の遅いオフ速度アプタマーとの反応に先立って、スライド又は切片を「ブロック」することができる可能性がある。「基礎医療組織学:細胞、組織、及び器官の生物学(Basic Medical Histology: the Biology of Cells, Tissues and Organs)」Richard G. Kessel 著、オックスフォード大学出版局(1998)を参照のこと。
質量分析法を使用するバイオマーカー値の定量
[00216] 多様な配置の質量分析計を使用して、バイオマーカー値を検出することができる。数種の質量分析計が利用可能であるか、又は様々な配置で製作することができる。一般に、質量分析計は、以下の主要な構成要素を有する:試料注入口、イオン発生源、質量分析計、検出器、真空システム、及び機器制御システム、及びデータシステム。一般に、試料注入口、イオン発生源、及び質量分析計の違いにより、機器の種類とその能力が決定される。例えば、注入口は、毛細管−カラム液体クロマトグラフィー源であり得るか、又はマトリックス支援レーザー脱離に使用されるような直接プローブ又はステージであり得る。一般的なイオン発生源は、例えば、ナノスプレー及びマイクロスプレーが含まれるエレクトロスプレー、又はマトリックス支援レーザー脱離である。一般的な質量分析計には、四重極質量フィルター、イオントラップ質量分析計、及び飛行時間型質量分析計が含まれる。当該技術分野では、追加の質量分析法の方法がよく知られている(Burlingame et al. Anal. Chem. 70:647 R-716R (1998); Kinter and Sherman, New York (2000) を参照のこと)。
[00217] タンパク質バイオマーカーとバイオマーカー値は、以下のいずれによっても検出及び測定することができる:エレクトロスプレーイオン化質量分析法(ESI−MS)、ESI−MS/MS、ESI−MS/(MS)n、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF−MS)、表面増強レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析法(SELDI−TOF−MS)、シリコン上の脱離/イオン化(DIOS)、二次イオン質量分析法(SIMS)、四重極飛行時間型(Q−TOF)、ウルトラフレックスIII TOF/TOFと呼ばれるタンデム飛行時間型(TOF/TOF)技術、、大気圧光イオン化質量分析法(APCI−MS)、APCI−MS/MS、APCI−(MS)、大気圧光イオン化質量分析法(APPI−MS)、APPI−MS/MS、及びAPPI−(MS)、四重極質量分析法、フーリエ変換質量分析法(FTMS)、定量的な質量分析法、及びイオントラップ質量分析法。
[00218] 質量分析法によるタンパク質バイオマーカーの特定決定とバイオマーカー値の定量の前に、試料調製戦略を使用して試料を標識して濃縮する。標識法には、限定されないが、相対及び絶対定量用等圧タグ(iTRAQ)と細胞培養中のアミノ酸での安定同位体標識化(SILAC)が含まれる。質量分析法の分析に先立って、候補バイオマーカータンパク質のために試料を選択的に濃縮するのに使用する捕捉試薬には、限定されないが、アプタマー、抗体、核酸プローブ、キメラ、低分子、F(ab’)断片、単鎖抗体断片、Fv断片、単鎖Fv断片、核酸、レクチン、リガンド結合受容体、アフィボディ、ナノボディ、アンキリン、ドメイン抗体、代替抗体スカフォールド(例、ダイアボディ、等)、印字ポリマー、アビマー、ペプチド模倣体、ペプトイド、ペプチド核酸、トレオース核酸、ホルモン受容体、サイトカイン受容体、及び合成受容体、並びに上記の修飾物及び断片が含まれる。
[00219] 上述のアッセイは、肺癌を診断するための方法に有用であるバイオマーカー値の検出を可能にし、ここで該方法は、個体からの生体試料において、表1、カラム2に提供されるバイオマーカーからなる群より選択されるバイオマーカーにそれぞれ対応する少なくともN個のバイオマーカー値を検出することを含み、ここでは、バイオマーカー値を使用する、以下に詳しく記載するような分類により、その個体が肺癌を有するかどうかが示される。記載した肺癌バイオマーカーのあるものは、肺癌を検出及び診断するのに単独で有用であるが、本明細書では、3以上のバイオマーカーのパネルとしてそれぞれ有用である肺癌バイオマーカーの複合サブセットの群分けの方法についても記載する。このように、本出願の様々な態様は、N個のバイオマーカーを含んでなる組合せを提供し、ここでNは、少なくとも3のバイオマーカーである。他の態様では、2〜61の任意数のバイオマーカーであるようにNを選択する。上記に記載の範囲のいずれかだけでなく、同様の、しかしより高い次数の範囲の任意数であるようにNを選択することができると理解されよう。本明細書に記載の方法のいずれにも従って、バイオマーカー値を個別に検出して分類することができるか、又はそれらは、例えばマルチプレックスアッセイフォーマットにおけるように、集合的に検出して分類することができる。
[00220] 別の側面では、肺癌の非存在を検出するための方法を提供し、該方法は、個体からの生体試料において、表1、カラム2に提供されるバイオマーカーからなる群より選択されるバイオマーカーにそれぞれ対応する少なくともN個のバイオマーカー値を検出することを含んでなり、ここでは、以下に詳しく記載するようなバイオマーカー値の分類により、個体における肺癌の非存在が示される。記載した肺癌バイオマーカーのあるものは、肺癌の非存在を検出及び診断するのに単独で有用であるが、本明細書では、3以上のバイオマーカーのパネルとしてそれぞれ有用である肺癌バイオマーカーの複合サブセットの群分けの方法についても記載する。このように、本出願の様々な態様は、N個のバイオマーカーを含んでなる組合せを提供し、ここでNは、少なくとも3のバイオマーカーである。他の態様では、2〜61の任意数のバイオマーカーであるようにNを選択する。上記に記載の範囲のいずれかだけでなく、同様の、しかしより高い次数の範囲の任意数であるようにNを選択することができると理解されよう。本明細書に記載の方法のいずれにも従って、バイオマーカー値を個別に検出して分類することができるか、又はそれらは、例えばマルチプレックスアッセイフォーマットにおけるように、集合的に検出して分類することができる。
バイオマーカーの分類と疾患スコアの計算
[00221] 所与の診断検査用のバイオマーカー「サイン(signature)」は、マーカーのセットを含有して、各マーカーは、目的の集団において異なるレベルを有する。異なるレベルは、この文脈において、2以上の群の個体についてのマーカーレベルの異なる平均値、又は2以上の群における異なる分散、又は両者の組合せを意味する場合がある。診断検査の最も単純な形式では、これらのマーカーを使用して、個体からの未知試料を疾患群か非疾患群の2群の1つへ帰属させることができる。2以上の群の1つへ試料を帰属させることは、分類として知られていて、この帰属を達成するために使用される手順は、分類器又は分類法として知られている。分類法は、スコア化法と呼ばれる場合もある。バイオマーカー値のセットより診断分類器を構築するために使用することができる、多くの分類法がある。一般に、分類法は、教師付き学習技術を使用して最も容易に実施されて、ここでは、区別することが望まれる2つ(又は、複合分類状態では、より多く)の別個の群内の個体より入手した試料を使用して、データセットを採取する。各試料が属するクラス(群又は集団)は、各試料について前もって知られているので、分類法を訓練して、所望の分類応答を得ることができる。また、教師付き学習技術を使用して、診断分類器を産生することが可能である。
[00222] 診断分類器を開発するための一般的なアプローチには、決定木;バッギング+ブースティング+ランダム森;推論ルールに基づく学習;パルザン窓;線形モデル;記号論理学;ニューラルネットワーク方法;教師なしクラスタリング;K平均法;階層上昇/下降;半教師付き学習;プロトタイプ手法;最近隣法;カーネル密度推定;サポーティブベクターマシーン;隠れマルコフモデル;ボルツマン学習が含まれて、分類器を単純に組み合わせても、特別な目的関数を最小化するやり方で組み合わせてもよい。概説については、例えば、「パターン分類(Pattern Classification)」、R.O. Duda, et al.(監修)、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ、第2版(2001)を参照のこと;「統計学習の要素:データマイニング、推論、及び予測(The Elements of Statistical Learning - Data Mining, Inference, and Prediction)」T. Hastie, et al.(監修)Springer Science+Business Media, LLC, 第2版(2009)も参照のこと;これらのいずれもその全体が参照により組み込まれる。
[00223] 教師付き学習技術を使用して分類器を作成するには、訓練データと呼ばれる試料のセットを入手する。診断検査の文脈において、訓練データには、未知試料が後に帰属される別個の群(クラス)からの試料が含まれる。例えば、対照集団の個体と特別な疾患集団の個体より採取される試料が、未知試料(又は、より特別には、試料を入手した個体)を、疾患を有するもの又は疾患がないもののいずれかとして分類し得る分類器を開発するための訓練データを構成することができる。訓練データからの分類器の開発は、分類器を訓練することとして知られている。分類器訓練に関する具体的な詳細は、教師付き学習技術の性質に依存する。例解の目的のために、単純ベイズ分類器を訓練する例について以下に記載する(例えば、「パターン分類(Pattern Classification)」、R.O. Duda, et al.(監修)、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ、第2版(2001)を参照のこと;「統計学習の要素:データマイニング、推論、及び予測(The Elements of Statistical Learning - Data Mining, Inference, and Prediction)」T. Hastie, et al.(監修)Springer Science+Business Media, LLC, 第2版(2009)も参照のこと)。
[00224] 典型的には、訓練セットの試料より潜在的な多くのバイオマーカー値があるので、過剰適合を回避するように配慮を用いなければならない。過剰適合が起こるのは、統計モデルが基本的な(underlying)関係の代わりにランダム誤差又はノイズを記載するときである。過剰適合は、例えば、分類器を開発するのに使用するマーカーの数を制限すること、マーカーの応答が互いに独立していると仮定すること、利用する基本的な統計モデルの複雑性を制限すること、及びこの基本統計モデルがデータに一致することを確実にすることが含まれる、多様なやり方で回避することができる。
[00225] バイオマーカーのセットを使用する診断検査法の開発の具体例には、バイオマーカーの厳密な独立処理を伴う、単純ベイズ分類器、ベイズ理論に基づいた単純な確率的分類器の適用が含まれる。各クラスの測定RFU値又は対数RFU(相対蛍光単位)値のクラス依存確率密度関数(pdf)によってそれぞれのバイオマーカーを記載する。1つのクラスのマーカーセットについての同時pdfを、各バイオマーカーの個別のクラス依存pdfの積であると仮定する。単純ベイズ分類器をこの文脈で訓練すると、クラス依存pdfを特性決定するためのパラメータを帰属させること(「パラメータ化」)になる。クラス依存pdfのどの基本モデルも使用してよいが、モデルは、訓練セットで観測したデータに概ね一致すべきである。
[00226] 具体的には、バイオマーカー(i)の数値xを疾患クラスにおいて測定するクラス依存確率をp(x|d)と書いて、n個のマーカーを数値x=(x,x・・・・)で観測する全体的な単純ベイズ確率を
[式中、個々のxは、RFU又は対数RFUで測定されたバイオマーカーレベルである]と書く。未知試料の分類帰属は、測定値xを有して疾患状態にある確率p(x|d)を同じ測定値で疾患がない(対照)確率p(c|d)に対して計算することによって容易になる。これらの確率の比は、ベイズの定理、即ち
[ここでP(d)は、検定に適した集団における疾患の罹患率である]の適用によってクラス依存pdfより計算される。この比の両辺の対数を取って、上記からの単純ベイズクラス依存確率を代入して、
を得る。この形式は、対数尤度比として知られていて、「特別な疾患がないこと」対「疾患を有すること」の対数尤度を単に述べるものであり、n個の個別バイオマーカーの個々の対数尤度比の総和から主に構成される。この最も単純な形式において、未知試料(又は、より特別には、試料を入手した個体)を、上記の比が0より大きければ疾患がないとして、そしてその比が0未満であれば疾患を有するとして分類する。
[00227] 1つの例示の態様において、クラス依存バイオマーカーのpdf:p(x|c)及びp(x|d)は、測定RFU値(x)が正規分布又は対数正規分布である、即ち、
であると仮定する(p(x|d)は、μd,i及びσ d,iを用いて同様の式とする)。このモデルのパラメータ化には、それぞれのクラス依存pdfについての2つの変数、平均値のμと分散のσを訓練データより推定することが求められる。このことは、例えば、最大尤度推定法、最小二乗法、並びに当業者に知られた他のあらゆる方法が含まれるいくつかのやり方で達成することができる。p(x|c)及びp(x|d)の正規分布を上記に定義した対数尤度比へ代入して、以下の式:
を得る。各クラスの各pdfについて訓練データよりμ及びσのセットを決定して、その集団中の疾患罹患率を特定したならば、ベイズ分類器を完全に決定して、これを使用して測定値xの未知試料を分類することができる。
[00228] 単純ベイズ分類器の性能は、分類器を構築して訓練するのに使用するバイオマーカーの数及び質に依存する。単一のバイオマーカーは、以下の実施例3に定義されるようなKS距離(コルモゴロフ−スミルノフ)に従って動く。分類器の性能計量を感度(真陽性の比率、∫TP)及び特異度(1マイナス偽陽性の比率、1−∫FP)の和として定義すれば、完全分類器は2のスコアを有して、ランダム分類器は、平均して1のスコアを有する。KS距離の定義を使用して、p(x|c)=p(x|d)をもたらす、即ちクラス依存pdfが交差する場合のKS距離が生じるxについて、
を解くことによって、cdf関数の差を最大にする値xを見出すことができる。このx値をKS距離の式へ代入して、以下のKSの定義:
を得る。KS距離は、xでのカットオフの検定、本質的には単一分析物のベイズ分類器を使用して、1−合計過誤率である。感度+特異度のスコアは、KS距離の上記定義を組み合わせて、2−∫FP−∫FNであると定義されるので、感度+特異度=1+KSとなる。我々は、単純ベイズ分類器を構築するのに本来適している統計数字のあるバイオマーカーを選択する。
[00229] 一般に、良好なKS距離(例えば、>0.3)がある後続のマーカーを加えることは、後続して加えられるマーカーが第一のマーカーから独立しているならば、分類性能を高めるものである。感度+特異度を分類器スコアとして使用すると、貪欲アルゴリズムの変法で多くの高スコア化分類器を作成することが直接的になる(貪欲アルゴリズムは、全体最適を見出すことを期待して、各段階での局所最適選択をする問題解決メタヒューリスティクスに従うアルゴリズムである)。
[00230] ここで使用するアルゴリズムアプローチについては、実施例4で詳しく記載する。簡潔に言えば、潜在的なバイオマーカーの表よりすべての単一分析物分類器を作成して、リストへ加える。次に、このスコア化した単一分析物分類器のそれぞれへ第二の分析物のすべての可能な追加を実施して、新しいリストで、最良スコアペアの所定数、例えば、1000をとっておく。この最良の2マーカー分類器の新しいリストを使用してすべての可能な3マーカー分類器を探して、再びこのうちで最良の1000をとっておく。スコアがプラトーに達するか又は追加のマーカーを加えるたびに悪化し始めるまで、この方法を続ける。収束後に残るこの高スコア化分類器について、企図される使用に望まれる性能を評価することができる。例えば、1つの診断適用では、高い感度と中程度の特異度の分類器が中程度の感度と高い特異度より望ましい場合がある。別の診断適用では、高い特異度と中程度の感度の分類器がより望ましいかもしれない。一般に、所望される性能のレベルは、特別な診断適用のためにそれぞれ忍容され得る偽陽性と偽陰性の数の間でなさざるを得ないトレードオフに基づいて選択される。一般に、このようなトレードオフは、偽陽性又は偽陰性のいずれかの過誤の医療結果に依存するものである。
[00231] 当該技術分野では他の様々な技術が知られていて、バイオマーカーのリストより単純ベイズ分類器を使用して多くの潜在的な分類器を作成するのに利用することができる。1つの態様では、遺伝アルゴリズムと呼ばれるものを使用して、上記に定義されるような適合スコアを使用して異なるマーカーを組み合わせることができる。遺伝アルゴリズムは、潜在的な分類器の多種多様な集団を探すのに特によく適している。別の態様では、いわゆる蟻コロニー最適化を使用して、分類器のセットを作成することができる。例えば、他の進化戦略、並びに焼きなまし法や他の確率的(stochastic)探索法が含まれる、当該技術分野で知られている他の戦略も利用することができる。例えば、ハーモニー探索法のようなメタヒューリスティクス法も利用してよい。
[00232] 例示の態様は、表1、カラム2に収載した任意数の肺癌バイオマーカーを様々な組合せで使用して、肺癌を検出するための診断検査法を産生する(これらのバイオマーカーを同定した方法の詳しい記載については、実施例2を参照のこと)。1つの態様において、肺癌を診断する方法は、単純ベイズ分類法を表1、カラム2に収載した任意数の肺癌バイオマーカーと一緒に使用する。具体例(実施例3)において、無症状喫煙者の集団より肺癌を検出するための最も単純な検査法は、単一のバイオマーカー、例えば肺癌において下方調節されていて、KS距離が0.37である(1+KS=1.37)、SCFsRを使用して構築することができる。表41からのSCFsRのパラメータ、μc,j、σc,i、μd,j、σd,iと上記に記載の対数尤度の等式を使用して、63%の感度と73%の特異度(感度+特異度=1.36)の診断検査法を産生することができる。この検査法のROC曲線は、図2に表示されて、0.75のAUCを有する。
[00233] 例えば、KS距離が0.5であるバイオマーカーHSP90aを加えると、分類器の性能が76%の感度と75%の特異度(感度+特異度=1.51)そしてAUC=0.84へと有意に向上する。2つのバイオマーカーより構築した分類器のスコアがKS距離の単純和でないことに留意されたい;KS距離は、バイオマーカーを組み合わせるときに相加的でなく、強いマーカーと同じレベルの性能を達成するには、多くのより弱いマーカーが必要となる。例えば、第三のマーカー、ERBB1を加えると、分類器の性能は、78%の感度と83%の特異度、そしてAUC=0.87へ押し上げられる。例えば、PTN、BTK、CD30、カリクレイン7、LRIG3、LDH−H1、及びPARCのような追加のバイオマーカーを加えると、表40に要約されて、図3において一連のROC曲線として表示される一連の肺癌検査法が産生される。分類器構築に使用する分析物の数の関数としての分類器のスコアを図4に表示する。この例示の10マーカー分類器の感度及び特異度は>87%であり、AUCは0.91である。
[00234] 表1、カラム2に収載したマーカーは、多くのやり方で組み合わせて、肺癌を診断するための分類器を産生することができる。いくつかの態様において、バイオマーカーのパネルは、選択される特定の診断性能基準に依存して、異なる数の分析物より構成される。例えば、バイオマーカーのある組合せは、他の組合せより高感度である(又はより特異的である)検査法を産生する。
[00235] 表1、カラム2からのバイオマーカーの特別なセットが含まれるようにパネルを決定して、訓練データのセットより分類器を構築したならば、診断検査法の定義が完了する。1つの態様では、未知試料を分類するために使用する手順を図1Aに概略する。別の態様では、未知試料を分類するために使用する手順を図1Bに概略する。生体試料を適正に希釈してから、1以上のアッセイで処理して、分類に使用する、関連性のある定量的なバイオマーカーレベルを産生する。測定されたバイオマーカーレベルは、クラス帰属の信頼性を反映する試料の分類と自由選択スコアを出力する分類法のためのインプットとして使用される。
[00236] 表1は、肺癌を診断するのに有用である61種のバイオマーカーを同定する。これは、バイオマーカー探索の努力の間に典型的に見出されるものと比較するときに予期されるよりも驚くほど多い数であって、数百の個別試料において、ある場合は低いフェントモル濃度の範囲の濃度で測定される800を超えるタンパク質が含まれる、記載の試験の規模に起因する可能性がある。おそらく、探索バイオマーカーの数が多いことは、腫瘍の生物学と腫瘍の存在に対する身体の応答の両方で意義がある多様な生化学経路を反映している。つまり、それぞれの経路及びプロセスに多くのタンパク質が関与するのである。この結果は、そのような複雑なプロセスに関して独自に情報価値がある単一のタンパク質もタンパク質の小集団もなく、むしろ、例えば、アポトーシスや細胞外マトリックス修復のような関連したプロセスに多数のタンパク質が関与していることを示している。
[00237] 記載の試験の間に同定された数多くのバイオマーカーを仮定すれば、様々な診断法において使用し得る多数の高機能性の分類器を導くことができると期待されよう。この考えを検証するために、表1のバイオマーカーを使用して、1万もの分類器について評価した。実施例4に記載するように、表1に提示されるバイオマーカーの多くのサブセットを組み合わせて、有用な分類器を作成することができる。例として、2つの使用(高リスク状態の喫煙者の肺癌スクリーニングとCTによって検出可能である肺結節を有する個体の診断)のそれぞれについて、1、2、及び3個のバイオマーカーを含有する分類器への記載を提供する。実施例4に記載されるように、表1のバイオマーカーを使用して構築したすべての分類器は、「非マーカー」を使用して構築した分類器より顕著に優れて機能する。
[00238] 表1のマーカーのいくつかを無作為に除外すること(このことは、分類器を構築するためのより小さなサブセットをもたらした)によって入手される分類器の性能についても検証した。実施例4、パート3に記載されるように、表1のマーカーのランダムサブセットより構築した分類器は、表1のマーカーの全リストを使用して構築した最適分類器と同様に機能した。
[00239] 10マーカー集合体より「最良の」個別マーカーを除外することによって入手される10マーカー分類器の性能も検証した。実施例4、パート3に記載されるように、表1の「最良」マーカーなしで構築した分類器も、良好に機能した。表1に収載したバイオマーカーの多くのサブセットは、この表に収載したマーカーの上位15種を除外した後でも、最適に近く機能した。このことは、どの特別な分類器の性能特性も、バイオマーカーのある小さなコア集団によるという可能性が低いこと、そして疾患プロセスがおそらくは数多くの生化学経路に影響を及ぼして、それが多くのタンパク質の発現レベルを改変させることを示唆している。
[00240] 実施例4からの結果は、いくつかのあり得る結論を示唆する:第一に、多数のバイオマーカーの同定により、同様に高い性能を提供する膨大数の分類器へのその集合化が可能になること。第二に、根源的な疾患プロセスの複雑性に疑いなく充満する冗長度を反映するやり方で、特別なバイオマーカーを他のバイオマーカーで代用し得るように、分類器を構築することができること。つまり、表1に同定されるどの個別バイオマーカーによって提供される疾患に関する情報も、他のバイオマーカーによって提供される情報と重複するので、表1のどの特別なバイオマーカー又はバイオマーカーの小集団でも、ある分類器に含めなければならないものはないであろうこと。
[00241] 例示の態様は、表38及び39のデータより構築した単純ベイズ分類器を使用して、未知試料を分類する。この手順を図1A及びBに概略する。1つの態様では、生体試料を任意選択的に希釈して、多重化アプタマーアッセイで処理する。実施例3に概略されるように、このアッセイからのデータを正規化及び較正して、得られるバイオマーカーレベルをベイズ分類スキームへのインプットとして使用する。それぞれの測定バイオマーカーについて対数尤度比バイオマーカー比を個別に計算してから合計して、診断スコアとも呼ばれる、最終分類スコアを産出する。得られる帰属、並びに全体分類スコアを報告することができる。それぞれのバイオマーカーレベルについて計算される個別の対数尤度リスク因子も同様に報告してもよい。分類スコア計算の詳細は、実施例3に提示する。
キット
[00242] 表1、カラム2のバイオマーカー(並びに、追加の生物医学情報)のどの組合せも、本明細書に開示する方法を実施するときの使用のためのように、好適なキットを使用して検出することができる。さらに、どのキットも、蛍光部分、等のような本明細書に記載の1以上の検出可能な標識を含有することができる。
[00243] 1つの態様において、キットには、(a)生体試料中の1以上のバイオマーカーを検出するための1以上の捕捉試薬(例えば、少なくとも1つのアプタマー又は抗体のような)[ここでバイオマーカーには、表1、カラム2に示すバイオマーカーのいずれも含まれる]と、任意選択的に(b)本明細書にさらに記載されるように、生体試料が入手された個体を、肺癌を有するか又は有さないとして分類するため、又はその個体が肺癌を有する可能性を決定するための1以上のソフトウェア又はコンピュータプログラム製品が含まれる。あるいは、1以上のコンピュータプログラム製品というより、上記の工程を人が手作業で実施するための1以上の説明書を提供することができる。
[00244] 本明細書では、対応する捕捉試薬及びシグナル産生物質と固体支持体の組合せを「検出デバイス」又は「キット」と呼ぶ。キットには、そのデバイスと試薬を使用すること、試料を取り扱うこと、及びデータを分析することのための説明書も含めることができる。さらに、キットは、生体試料の分析の結果を分析して報告するためのコンピュータシステム又はソフトウェアとともに使用してよい。
[00245] キットは、生体試料を処理するための1以上の試薬(例、可溶化緩衝液、界面活性剤、洗浄液、又は緩衝液)も含有することができる。本明細書に記載するキットのいずれにも、例えば、緩衝液、ブロッキング剤、質量分析法マトリックス材料、抗体捕捉剤、陽性対照試料、陰性対照試料、プロトコール、ガイダンス、及び参照データのようなソフトウェア及び情報も含めることができる。
[00246] 1つの側面において、本発明は、肺癌状態の分析のためのキットを提供する。キットには、表1、カラム2より選択される1以上のバイオマーカー用のPCRプライマーが含まれる。キットには、使用と、バイオマーカーの肺癌との相関性についての説明書をさらに含めてよい。キットには、表1、カラム2より選択されるバイオマーカーの1以上の相補体を含有するDNAアレイ、試薬、及び/又は試料DNAを増幅して単離するための酵素も含めてよい。キットには、リアルタイムPCR用の試薬、例えば、TaqManプローブ及び/又はプライマーと酵素を含めてよい。
[00247] 例えば、キットは、(a)検査試料中の1以上のバイオマーカーを定量するための捕捉試薬を少なくとも含んでなる試薬[ここで前記バイオマーカーは、表1、カラム2に示すバイオマーカー、又は本明細書に記載の他のあらゆるバイオマーカー又はバイオマーカーパネルを含む]と、任意選択的に(b)検査試料において定量される各バイオマーカーの量を1以上の所定カットオフと比較して、定量した各バイオマーカーのスコアを前記比較に基づいて帰属させる工程、定量した各バイオマーカーの帰属スコアを足し合わせて総スコアを得る工程、この総スコアを所定のスコアと比較する工程、及び前記比較を使用して個体が肺癌を有するかどうかを判定する工程を実施するための1以上のアルゴリズム又はコンピュータプログラムを含むことができる。あるいは、1以上のアルゴリズム又はコンピュータプログラムというより、上記の工程を人が手作業で実施するための1以上の説明書を提供することができる。
コンピュータの方法及びソフトウェア
[00248] バイオマーカー又はバイオマーカーパネルを選択したらすぐに、個体を診断するための方法は、以下を含むことができる:1)生体試料を採取するか又は他のやり方で入手する;2)分析法を実施して、パネル中の単数又は複数のバイオマーカーを生体試料において検出及び測定する;3)バイオマーカー値を収集するために使用する方法に求められるあらゆるデータ正規化又は標準化を実施する;4)マーカースコアを計算する;5)マーカースコアを足し合わせて総診断スコアを入手する;及び、6)個体の診断スコアを報告する。このアプローチにおいて、診断スコアは、すべてのマーカー計算の合計より決定される単一数であってよく、これを疾患の存在又は非存在の指標である予め設定された閾値と比較する。又は、診断スコアは、バイオマーカー値をそれぞれ表す一連の棒グラフ(bars)であってよく、この応答のパターンを、疾患の存在又は非存在の判定のための予め設定されたパターンへ比較してよい。
[00249] 本明細書に記載の方法の少なくともいくつかの態様は、コンピュータの使用で実行することができる。コンピュータシステム(100)の例を図6に示す。図6を参照すると、システム(100)は、プロセッサー(101)、入力デバイス(102)、出力デバイス(103)、保存デバイス(104)、コンピュータ−読み取り可能保存媒体リーダー(105a)、通信システム(106)、加速処理システム(例、DSP又は特殊用途プロセッサー)(107)、及びメモリー(109)が含まれる、バス(108)を介して電気的に接続した、ハードウェア要素から構成されることが示される。コンピュータ−読み取り可能保存媒体リーダー(105a)は、コンピュータ読み取り可能保存媒体(105b)へさらに接続されて、この組合せは、包括的に、コンピュータ読み取り可能情報を一時的に、及び/又はより永続的に含有するための遠隔、局所、固定、及び/又は取り外し可能保存デバイス+保存媒体、メモリー、等を表して、これには、保存デバイス(104)、メモリー(109)、及び/又はそのような他のあらゆるアクセス可能システム(100)リソースが含まれ得る。システム(100)はまた、オペレーティングシステム(192)と、プログラム、データ、等のような他のコード(193)が含まれるソフトウェア要素(現行では、ワーキングメモリー(191)の内部に位置しているものとして示す)を含む。
[00250] 図6に関して言えば、システム(100)は、広汎な柔軟性及びコンフィギュアビリティを有する。従って、例えば、単一のアーキテクチャを利用して、現行で望まれるプロトコール、プロトコール変更、拡張、等に従ってさらに設定され得る1以上のサーバーを実行することが可能であろう。しかしながら、当業者には、より特定の応用要求性に従って諸態様を利用できることも明らかであろう。例えば、1以上のシステム要素をシステム(100)コンポーネント内部の(例、通信システム(106)内部の)サブ要素として実行することができよう。カスタマイズされたハードウェアも利用することができる、及び/又は特別な要素をハードウェア、ソフトウェア、又はその両方において実行することができる。さらに、ネットワーク入力/出力デバイス(示さず)のような他の計算デバイスへの接続が利用し得る一方で、他の計算デバイスへの有線、無線、モデム、及び/又は他の単数又は複数の接続も利用し得ることを理解されたい。
[00251] 1つの側面において、システムは、肺癌に特徴的なバイオマーカーの特徴を含有するデータベースを含むことができる。バイオマーカーデータ(又はバイオマーカー情報)は、コンピュータ実行法の一部としての使用のためにコンピュータへの入力として利用することができる。バイオマーカーデータには、本明細書に記載のようなデータを含めることができる。
[00252] 1つの側面において、システムは、入力データを1以上のプロセッサーへ提供するための1以上のデバイスをさらに含む。
[00253] システムは、付番データ要素のデータセットを保存するためのメモリーをさらに含む。
[00254] 別の側面において、入力データを提供するためのデバイスは、データ要素の特徴を検出するための検出器(例えば、質量分析計又は遺伝子チップリーダーのような)を含む。
[00255] システムは、データベース管理システムを追加的に含んでよい。ユーザーの要求又は質問は、その質問を処理して、訓練セットのデータベースより関連情報を抽出するデータベース管理システムによって理解される適正な言語へフォーマット化することができる。
[00256] システムは、ネットワークサーバーと1以上のクライエントが接続するネットワークへ接続可能であり得る。ネットワークは、当該技術分野で知られているように、構内ネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)であってよい。好ましくは、サーバーには、ユーザー要求を処理するためにデータベースデータへアクセスするためのコンピュータプログラム製品(例、ソフトウェア)を作動させるのに必要なハードウェアが含まれる。
[00257] システムには、データベース管理システムからの指示を実行するためのオペレーティングシステム(例、UNIX(登録商標) 又はLinux)が含まれる場合がある。1つの側面において、オペレーティングシステムは、インターネットのようなグローバル通信ネットワーク上で作動し、グローバル通信ネットワークサーバーを利用して、そのようなネットワークへ接続することができる。
[00258] システムには、当該技術分野で知られているグラフィカルユーザーインターフェイスに定型的に見出される、ボタン、プルダウンメニュー、スクロールバー、テキスト入力用フィールド、等のようなインターフェイス要素を含んでなるグラフィカルディスプレイインターフェイスを含む1以上のデバイスを含めてよい。ユーザーインターフェイスで入力される要求は、システムデータベースの1以上において関連する情報について検索するためにフォーマット化するためのシステム中のアプリケーションプログラムへ伝送することができる。ユーザーによって入力される要求又は質問は、どの好適なデータベース言語でも構築されてよい。
[00259] グラフィカルユーザーインターフェイスは、グラフィカルユーザーインターフェイスコードによってオペレーティングシステムの一部として作成され得て、データを入力する、及び/又は入力済みデータを表示するために使用することができる。処理されたデータの結果は、インターフェイスに表示する、システムと通信したプリンター上に印刷する、メモリーデバイスに保存する、及び/又はネットワーク全体に伝送することができるか、又はコンピュータ読み取り可能媒体の形式で提供することができる。
[00260] システムは、データ要素に関するデータ(例、発現値)をシステムへ提供するための入力デバイスと通信した状態であり得る。1つの側面において、入力デバイスには、遺伝子発現プロファイリングシステム(例えば、質量分析計、遺伝子チップ、又はアレイリーダー、等が含まれる)を含めることができる。
[00261] 肺癌バイオマーカー情報を様々な態様に従って分析するための方法及び装置は、どの好適なやり方でも実行してよく、例えば、コンピュータシステムで作動するコンピュータプログラムを使用する。リモートアクセスアプリケーションサーバー、ネットワークサーバー、パーソナルコンピュータ、又はワークステーションのような、プロセッサーとランダムアクセスメモリーを含んでなる慣用のコンピュータシステムを使用してよい。追加のコンピュータシステムコンポーネントには、大容量記憶システムとユーザーインターフェイス(例えば、慣用のモニター、キーボード、及びトラッキング装置)のような、メモリーデバイス又は情報保存システムを含めてよい。コンピュータシステムは、スタンドアローンシステムであっても、サーバーと1以上のデータベースが含まれるコンピュータのネットワークの一部であってもよい。
[00262] 肺癌バイオマーカー分析システムは、データ収集、処理、解析、報告、及び/又は診断のような、データ分析を完了するための機能及び操作を提供することができる。例えば、1つの態様において、コンピュータシステムは、肺癌バイオマーカーに関連する情報を受容、保存、検索、解析、及び報告し得るコンピュータプログラムを実行することができる。コンピュータプログラムは、生データを処理して補足データを作成するための処理モジュールと、生データ及び補足データを分析して肺癌状態及び/又は診断をを作成するための分析モジュールのように、様々な機能及び操作を実施する多数のモジュールを含む場合がある。肺癌状態を診断することは、その疾患に関連した個体の状態に関する追加の生物医学情報が含まれる他のあらゆる情報を作成又は収集すること、さらなる検査が望まれ得るかどうかを確定すること、又はその個体の健康状態を他のやり方で評価することを含む場合がある。
[00263] これから図7へ言及すると、開示の態様の原理に従ってコンピュータを利用する方法の例を見ることができる。図7に、フローチャート(3000)を示す。ブロック(3004)において、バイオマーカー情報を個体のために検索することができる。バイオマーカー情報は、例えば、個体の生体試料の検査を実施した後で、コンピュータデータベースより検索することができる。バイオマーカー情報は、表1、カラム2に提供されるバイオマーカーからなる群より選択される少なくともN個のバイオマーカーの1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を含む可能性があり、ここでN=2〜61である。ブロック(3008)では、コンピュータを利用して、バイオマーカー値のそれぞれを分類することができる。そして、ブロック(3012)では、個体が肺癌を有する可能性について、複数の分類に基づいて判定を下すことができる。その表示は、ヒトが見ることができるように、ディスプレイ又は他の表示デバイスへの出力であり得る。このように、例えば、それは、コンピュータのディスプレイスクリーン又は他の出力デバイス上に表示することができる。
[00264] これから図8へ言及すると、別の態様に従ってコンピュータを利用する代わりの方法をフローチャート(3200)より図解することができる。ブロック(3204)では、コンピュータを利用して、バイオマーカー情報を個体のために検索することができる。バイオマーカー情報は、表1、カラム2に提供されるバイオマーカーの群より選択されるバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を含む。ブロック(3208)では、バイオマーカー値の分類をコンピュータで実施することができる。そして、ブロック(3212)では、個体が肺癌を有する可能性について、その分類に基づいて表示をすることができる。その表示は、ヒトが見ることができるように、ディスプレイ又は他の表示デバイスへの出力であり得る。このように、例えば、それは、コンピュータのディスプレイスクリーン又は他の出力デバイス上に表示することができる。
[00265] 本明細書に記載のいくつかの態様は、コンピュータプログラム製品が含まれるように実行することができる。コンピュータプログラム製品には、アプリケーションプログラムをデータベース入りのコンピュータで実行させるためのコンピュータ読み取り可能プログラムコードがその中で具現化されるコンピュータ読み取り可能媒体が含まれ得る。
[00266] 本明細書に使用するように、「コンピュータプログラム製品」は、あらゆる種類の物理媒体(例、書面、電子、磁気、光、又は他の媒体)に含有されて、コンピュータ又は他の自動化データ処理システムで使用され得る、自然言語又はプログラミング言語の陳述の形式で組織化された命令のセットを意味する。このようなプログラミング言語の陳述は、コンピュータ又はデータ処理システムによって実行されるとき、コンピュータ又はデータ処理システムがその陳述の特別な内容に従って作動することを引き起こす。コンピュータプログラム製品には、制限なしに、ソースコード及び目的コードのプログラム、及び/又はコンピュータ読み取り可能媒体に埋め込まれたテスト又はデータライブラリーが含まれる。さらに、コンピュータシステム又はデータ処理機器デバイスが予め選択されたやり方で作用することを可能にするコンピュータプログラム製品は、限定されないが、元のソースコード、アセンブリーコード、目的コード、機械言語、上記の暗号化又は圧縮バージョン、及び、ありとあらゆる同等物が含まれるいくつかの形式で提供され得る。
[00267] 1つの側面では、肺癌の可能性を示すためにコンピュータプログラム製品を提供する。このコンピュータプログラム製品には、計算デバイス又はシステムのプロセッサーによって実行可能なプログラムコードを具現化するコンピュータ読み取り可能媒体が含まれ、該プログラムコードは、個体からの生体試料へ帰属されるデータを検索するコード[ここで、該データは、表1、カラム2に提供されるバイオマーカーの群より選択される、生体試料中の少なくともN個のバイオマーカーの1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を含む;ここでN=2〜61である]と、個体の肺疾患状態を前記バイオマーカー値の関数として示す分類法を実行するコードを含んでなる。
[00268] なお別の側面では、肺癌の可能性を示すためにコンピュータプログラム製品を提供する。このコンピュータプログラム製品には、計算デバイス又はシステムのプロセッサーによって実行可能なプログラムコードを具現化するコンピュータ読み取り可能媒体が含まれ、該プログラムコードは、個体からの生体試料へ帰属されるデータを検索するコード[ここで、該データは、表1、カラム2に提供されるバイオマーカーの群より選択される、生体試料中のバイオマーカーに対応するバイオマーカー値を含む]と、個体の肺疾患状態を前記バイオマーカー値の関数として示す分類法を実行するコードを含んでなる。
[00269] 様々な態様を方法又は装置として記載してきたが、諸態様は、コンピュータと連結したコード(例えば、コンピュータに常駐のコード、又はコンピュータによってアクセス可能なコード)を介して実行し得ることが理解されるべきである。例えば、ソフトウェアとデータベースを利用して、上記に考察した方法の多くを実行することができる。従って、ハードウェアによって達成される態様に加えて、上記の態様が、コンピュータ読み取り可能プログラムコードがその中で具現化されるコンピュータ使用可能媒体からなる製造品の使用を介して達成され得て、それにより本記載に開示される諸機能が可能化されることも注目される。故に、諸態様も、本特許によって、そのプログラムコード手段においても保護されるとみなされることが望ましい。さらに、本態様は、制限なしに、RAM、ROM、磁気媒体、光学式媒体、又は磁気光学式媒体が含まれる、ほとんどあらゆる種類のコンピュータ−読み取り可能メモリーに保存されるそのコードとして具現化され得る。なおより一般的には、本態様は、ソフトウェアにおいて、又はハードウェアにおいて、又はそのあらゆる組合せ(限定されないが、メインプロセッサーで実行されるソフトウェア、マイクロコード、PLA、又はASICが含まれる)において実行することができる。
[00270] また、諸態様は、搬送波、並びに伝送媒体を介して伝播されるシグナル(例、電気及び光シグナル)において具現化されるコンピュータシグナルとして達成することができると想定される。従って、上記に考察した様々な種類の情報は、データ構造のような構造においてフォーマット化されて、伝送媒体を介して電気シグナルとして伝送されるか又はコンピュータ読み取り可能媒体上に保存することができる。
[00271] また、本明細書に引用した構造、材料、及び行為の多くがある機能を実施するための手段又はある機能を実施するための工程として引用され得ることが注目される。故に、そのような言語により、参照により組み込まれる内容が含まれる、本明細書内で開示されるすべてのそのような構造、材料、及び行為とそれらの均等物が網羅され得ると理解されるべきである。
[00272] 以下の実施例は、例解の目的のためにのみ提供されるのであって、付帯の特許請求項によって規定されるような本出願の範囲を制限することを企図しない。本明細書に記載のすべての実施例は、当業者によく知られていて定型的である標準技術を使用して行った。以下の実施例に記載される定型的な分子生物学の技術は、Sambrook et al.,「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」第3版、コールドスプリングラボラトリープレス、ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(2001)のような標準実験マニュアルに記載のように行うことができる。
実施例1.肺癌バイオマーカー選択用試料の多重化アプタマー分析
[00273] 本実施例は、表1、カラム2に示すバイオマーカーの同定のために試料及び対照を分析するのに使用するマルチプレックスアプタマーアッセイについて記載する(図9を参照のこと)。この事例において、多重化分析は、特異的な標的にそれぞれ独自である825種のアプタマーを利用した。
[00274] この方法では、溶液の添加の度にピペット先端を交換した。
[00275] また、他に示さなければ、ほとんどの溶液移動と洗液追加には、Beckman Biomek Fxの96ウェルヘッドを使用した。手作業でピペット操作する方法の工程では、他に示さなければ、12チャンネルP200 Pipetteman(Rainin Instruments,LLC,カリフォルニア州オークランド)を使用した。40mM HEPES,100mM NaCl,5mM KCl,5mM MgCl,1mM EDTAをpH7.5で含んでなるSB17と呼ぶカスタム緩衝液を自前で調製した。他に示さなければ、すべての工程を室温で実施した。
[00276] 1.アプタマーストック溶液の調製
[00277] 光切断可能ビオチンリンカーを含まないアプタマーのために、10%、1%、及び0.03%血清用のカスタムストックアプタマー溶液を適正な光切断可能ビオチニル化プライマーとともに1xSB17,0.05% Tween−20において8倍の濃度で調製した。ここで得られるプライマー濃度は、関連するアプタマーの濃度の3倍であった。このプライマーは、対応するアプタマーの全部又は一部へハイブリダイズした。
[00278] 3つの8xアプタマー溶液のそれぞれを1xSB17,0.05% Tween−20で別々に4倍希釈して(1500μLの8xストックを4500μLの1xSB17,0.05% Tween−20へ希釈する)、2x濃度とした。次いで、それぞれの希釈アプタマーマスターミックスのそれぞれ1500μLを4つの2mLネジ蓋試験管へ分けて、95℃まで5分間処理して、37℃で15分間のインキュベーションを続けた。インキュベーションの後で、特別なアプタマーマスターミックスへ対応する4つの2mL試験管を試薬槽へ合わせて、55μLの2xアプタマーミックスを(全部で3つのミックスについて)96ウェルHybaidプレートへ手作業でピペット注入して、プレートホイルを密封した。最終結果は、3つの96ウェル、ホイル密封Hybaidプレートであった。個々のアプタマー濃度は、表28に示すように0.5〜4nMの範囲に及んだ。
[00279] 2.アッセイ試料調製
[00280] −80℃で保存した100%血清の凍結アリコートを25℃の水浴に10分間入れた。融解した試料を氷上において、穏やかに(4に設定)8秒間振り混ぜてから、氷上に再び置いた。
[00281] 50μLの8チャンネルスパニングピペッターを使用して16μLの試料を96ウェルHybaidプレートへ移すことによって、20%試料溶液を調製して、各ウェルは、64μLの適正な試料希釈液を4℃で含有する(血清に対して0.8xSB17,0.05% Tween−20,2μM Z−ブロック_2,0.6mM MgCl)。このプレートを、次の試料希釈工程を開始するまで、氷上で保存した。
[00282] 試料及びアプタマーの平衡化を開始するために、20%試料プレートを少しの間遠心分離させて、Beckman FX上に置いて、ここで96ウェルピペッターを用いて上下にピペット操作することによって混合した。次いで、10μLの20%試料を90μLの1xSB17,0.05% Tween−20へ希釈することによって2%試料を調製した。次に、得られる2%試料の6μLを194μLの1xSB17,0.05% Tween−20へ希釈することによって、0.06%試料プレートとした。希釈操作は、Beckman Biomek Fxで行った。それぞれの移動後には、上下にピペット操作することによって、溶液を混合した。次いで、55μLの試料を55μLの適正な2xアプタマーミックスへ加えることによって、3つの試料希釈プレートをそのそれぞれのアプタマー溶液へ移した。この試料とアプタマー溶液を、上下にピペット操作することによって、ロボット上で混合した。
[00283] 3.試料平衡結合
[00284] 試料/アプタマープレートをホイル密封して、37℃のインキュベーターへ3.5時間入れた後で、Catch1工程へ進めた。
[00285] 4.Catch2ビーズプレートの調製
[00286] MyOne(Invitrogen 社、カリフォルニア州カールスバッド)ストレプタビジンC1ビーズの11mLアリコートを等量の20mM NaOHで2回洗浄し(各洗浄につき5分のインキュベーション)、等量の1xSB17,0.05% Tween−20で3回洗浄して、11mLの1xSB17,0.05% Tween−20に再懸濁させた。12スパンマルチチャンネルピペッターを使用して、この溶液の50μLを96ウェルHybaidプレートの各ウェルへ手作業でピペット注入した。次いで、このプレートをホイルで覆って、アッセイでの使用のために4℃で保存した。
[00287] 5.Catch1ビーズプレートの調製
[00288] 3つの0.45μmミリポア(Millipore)HVプレート(Durapore 膜、カタログ番号:MAHVN4550)を100μLの1xSB17,0.05% Tween−20と少なくとも10分間平衡化した。次いで、この平衡緩衝液をプレートに通して濾過して、133.3μLの7.5%ストレプタビジン−アガロースビーズスラリー(1xSB17,0.05% Tween−20中)を各ウェルへ加えた。このストレプタビジン−アガロースビーズを懸濁状態に保つために、それらを濾過プレートへ移す間、ビーズ溶液は、200μLの12チャンネルピペッターで15回、手作業で混合した。このビーズを3つの濾過プレート全体に分配した後で、真空をかけて、ビーズ上清を除去した。最後に、ビーズを濾過プレートにおいて200μLの1xSB17,0.05% Tween−20で洗浄してから、200μLの1xSB17,0.05% Tween−20に再懸濁させた。濾過プレートの底を拭って、プレートをアッセイでの使用のために保存した。
[00289] 6.Cytomatへの装填
[00290] すべてのチップ、プレート、槽中のすべての試薬(プレートへの添加の直前に用時調製するNHS−ビオチン試薬以外)、3つの調製済みCatch1濾過プレート、及び1つの調製済みMyOneプレートをCytomatに装填した。
[00291] 7. Catch1
[00292] 3.5分の平衡時間の後で、インキュベーターより試料/アプタマープレートを取り出し、約1分間遠心分離させ、ホイルを外して、Beckman Biomek Fxのデッキ上に置いた。Beckman Biomek Fxプログラムを開始した。Catch1でのすべての後続工程は、他に注記しなければ、Beckman Biomek Fxロボットによって実施された。このプログラム内で、Catch1濾過プレートへ真空をかけて、ビーズ上清を除去した。10%、1%、及び0.03%の平衡結合反応液のそれぞれの100マイクロリットルをそのそれぞれのCatch1濾過プレートへ加えて、デッキ上(on-deck)オービタルシェーカーを800rpmで10分間使用して、各プレートを混合した。
[00293] 真空濾過により非結合溶液を除去した。この溶液を分注して、すぐに真空を引いてこの溶液をプレートに通して濾過することによって、Catch1ビーズを1xSB17,0.05% Tween−20中100μMビオチンの190μLに続いて、1xSB17,0.05% Tween−20の190μLで洗浄した。
[00294] 次に、Catch1プレートへ190μLの1xSB17,0.05% Tween−20を加えた。デッキ上ブロットステーションを使用してプレートを拭って液滴を除去してから、オービタルシェーカーを用いて、25℃、800rpmで10分間インキュベートした。
[00295] ロボットにより、真空濾過によりこの洗浄液を除去し、デッキ上ブロットステーションを使用して、濾過プレートの底を拭って液滴を除去した。
[00296] 8. タグ付け
[00297] NHS−PEO4−ビオチンアリコートを37℃で6分間融かしてから、タグ付け緩衝液(SB17,pH=7.25で0.05% Tween−20)で100倍希釈した。NHS−PEO4−ビオチン試薬を無水DMSOに100mM濃度で溶かして、−20℃で凍結保存しておいた。ロボット起動時にすぐ、この希釈したNHS−PEO4−ビオチン試薬をデッキ槽へ手作業で加えて、ロボットプログラムを手作業で再始動させて、100μLのNHS−PEO4−ビオチンをそれぞれのCatch1濾過プレートの各ウェルへ分注した。この溶液を、オービタルシェーカー上で、800rpmで5分間振り混ぜて、そのままCatch1ビーズとともにインキュベートした。
[00298] 9.動的チャレンジと光切断
[00299] NHSタグをまだ含有する間に1xSB17,0.05% Tween−20中20mMグリシンの150μLをCatch1プレートへ添加することによって、タグ付け反応を止めた。次いで、プレートをオービタルシェーカー上にて800rpmで1分間インキュベートした。NHS−タグ/グリシン溶液を真空濾過により除去した。次に、190μLの20mMグリシン(1xSB17,0.05% Tween−20)を各プレートへ加えて、オービタルシェーカー上にて800rpmで1分間インキュベートした後で、真空濾過により除去した。
[00300] 各プレートへ190μLの1xSB17,0.05% Tween−20wを加えて、真空濾過によって除去した。
[00301] 引き続き、190μLの1xSB17,0.05% Tween−20を加え、そのプレートをオービタルシェーカー上に800rpmで1分間置いて、真空濾過を続けることによって、Catch1プレートのウェルを3回洗浄した。最後の洗浄の後で、プレートを1mLのディープウェルプレートのトップに置いて、デッキより外した。このCatch1プレートを1000rpmfで1分間遠心分離させて、溶出前のアガロースビーズより可能な限り多くの余剰量を除去した。
[00302] プレートをBeckman Biomek Fx上へ戻して、1xSB17,0.05% Tween−20中10mM DxSOの85μLをこの濾過プレートの各ウェルへ加えた。
[00303] 濾過プレートをデッキより取り出し、Black Ray(Ted Pella 社、カリフォルニア州レディング)光源下にVariomag Thermoshaker(Thermo Fisher Scientific 社、マサチューセッツ州ウォルサム)上へ置いて、800rpmで振り混ぜながら、10分間照射した。
[00304] 初めに10% Catch1濾過プレートを1mLディープウェルプレートのトップに置いて、1000rpmで1分間遠心分離させることによって、この光切断した溶液をそれぞれのCatch1プレートから共通ディープウェルプレートへ連続的に溶出させた。次いで、1%及び0.03%のCatch1プレートを同じディープウェルプレート中へ連続的に遠心分離させた。
[00305] 10.Catch2ビーズ捕捉
[00306] Catch1の合わせた溶出物を含有する1mLディープウェルブロックをCatch2用のBeckman Biomek Fxのデッキの上に置いた。
[00307] ロボットにより、光切断溶出物のすべてを1mLディープウェルプレートより、先に調製したCatch2 MyOne磁気ビーズを含有するHybaidプレート上へ移した(磁気分離によるMyOne緩衝液の除去後)。
[00308] この溶液を、Variomag Thermoshaker(Thermo Fisher Scientific 社、マサチューセッツ州ウォルサム)上にて、1350rpmで振り混ぜながら、25℃で5分間インキュベートした。
[00309] ロボットにより、先のプレートをデッキ上磁気分離ステーションへ移した。このプレートを磁石上で90秒間インキュベートした後で、上清を取り出して捨てた。
[00310] 11.37℃ 30%グリセロール洗浄
[00311] Catch2プレートをデッキ上サーマルシェーカーへ動かして、75μLの1xSB17,0.05% Tween−20を各ウェルへ移した。このプレートを1350rpm及び37℃で1分間混合して、ビーズを再懸濁させて温めた。Catch2プレートの各ウェルへ75μLの60%グリセロールを37℃で移して、プレートを1350rpm及び37℃でもう1分間混合し続けた。ロボットによりこのプレートを37℃の磁気分離器へ移して、ここでそれを磁石上で2分間インキュベートしてから、ロボットにより上清を取り出して捨てた。上記の洗浄液をさらに2回繰り返した。
[00312] 第三の30%グリセロール洗浄液のCatch2ビーズからの除去の後で、150μLの1xSB17,0.05% Tween−20を各ウェルへ加えて、1350rpmで振り混ぜながら37℃で1分間インキュベートした後で、37℃の磁石上での磁気分離によって除去した。
[00313] 磁気分離に先立って、Catch2ビーズを、150μLの1xSB19,0.05% Tween−20を使用して、1350rpmで振り混ぜながらの1分間のインキュベーションで最終洗浄した。
[00314] 12.Catch2ビーズの溶出及び中和
[00315] 1M NaCl,0.05% Tween−20を含む105μLの100mM CAPSOを各ウェルへ加える加えることによって、Catch2ビーズよりアプタマーを溶出させた。ビーズをこの溶液とともに1300rpmで5分間振り混ぜながらインキュベートした。
[00316] 次いで、Catch2プレートを磁気分離器上に90秒間置いた後で、溶出液の90μLを、10μLの500mM HCl,500mM HEPES,0.05% Tween−20を各ウェルに含有する新しい96ウェルプレートへ移した。移した後で、この溶液の90μLをロボットにより、上下に5回ピペット操作することによって混合した。
[00317] 13.ハイブリダイゼーション
[00318] Beckman Biomek Fxにより、中和したCatch2溶出液の20μLを新鮮なHybaidプレートへ移して、10倍スパイクのハイブリダイゼーション対照を含有する10xAgilentブロックの5μLを各ウェルへ加えた。次に、25μLの2xAgilentハイブリダイゼーション緩衝液を、中和した試料とブロッキング緩衝液を含有するプレートの各ウェルへ手作業でピペット注入して、この溶液の25μLを、広汎な泡形成を避けるためにゆっくり上下に15回ピペット操作することによって混合した。このプレートを1000rpmで1分間スピンした。
[00319] Agilentハイブリダイゼーションチャンバ中へガスケットスライドを入れて、ハイブリダイゼーション及びブロッキング溶液を含有する試料のそれぞれの40μLを手作業で各ガスケットへピペット注入した。8チャンネル可変スパニングピペッターを、泡形成を最小化するように企図されたやり方で使用した。次いで、カスタムAgilentマイクロアレイスライド(Agilent Technologies 社、カリフォルニア州サンタクララ)を、その番号バーコード(Number Barcode)を上に向けた状態で、ガスケットスライド上へゆっくり下ろした(詳しい記載については Agilent のマニュアルを参照のこと)。
[00320] ハイブリダイゼーションチャンバのトップをスライド/バッキングのサンドイッチ上へ置いて、締め付けブラケットをアセンブリー全体に滑らせた。上記のアセンブリーは、ネジを確実に回すことによってしっかり締め付けた。
[00321] それぞれのスライド/バッキングスライドサンドイッチを目視で視察して、溶液の泡が試料内部で自由に動くことが可能であることを確かめた。この泡が自由に動かなければ、ハイブリダイゼーションチャンバのアセンブリーを穏やかに叩いて、ガスケット近くに留まった泡を解放した。
[00322] 組み立てたハイブリダイゼーションチャンバを、Agilentハイブリダイゼーションオーブンにおいて、20rpmで回転させながら、60℃で19時間インキュベートした。
[00323] 14.ハイブリダイゼーション後の洗浄
[00324] ほぼ400mLのAgilent洗浄緩衝液1を2つの別々のガラス染色皿のそれぞれへ入れた。この染色皿の1つを磁気撹拌プレートの上に置いて、スライドラックと撹拌子をこの緩衝液中へ入れた。
[00325] 空のガラス染色皿の中へ撹拌子を入れることによって、Agilent洗浄液2用の染色皿を調製した。
[00326] 第四のガラス染色皿を最後のアセトニトリル洗浄のために取っておいた。
[00327] 6つのハイブリダイゼーションチャンバのそれぞれを解体した。スライド/バッキングサンドイッチを1つずつそのハイブリダイゼーションチャンバより取り出して、洗浄液1を含有する染色皿の中へ浸した。このマイクロアレイスライドをまだ浸している間に、1対のピンセットを使用して、スライド/バッキングサンドイッチをこじ開けた。このスライドを、磁気撹拌プレート上の洗浄1染色皿のスライドラックの中へ速やかに移した。
[00328] スライドラックを穏やかに5回上げ下げした。磁気撹拌子を低い設定で始動させて、スライドを5分間インキュベートした。
[00329] 洗浄1がまだ1分残っているときに、インキュベーターにおいて37℃まで予め温めた洗浄緩衝液2を第二の調製済み染色皿へ加えた。スライドラックを洗浄緩衝液2へ速やかに移して、染色皿のトップでそれを削り取ることによって、ラックの底にある過剰な緩衝液を除去した。スライドラックを穏やかに5回上げ下げした。磁気撹拌子を低い設定で始動させて、スライドを5分間インキュベートした。
[00330] スライドラックを洗浄液2よりゆっくり引き出して、ほぼ15秒かけて、このスライドを溶液より取り出した。
[00331] 洗浄2が1分残っているときに、第四の染色皿へアセトニトリル(CAN)を加えた。スライドラックをアセトニトリル染色皿へ移した。スライドラックを穏やかに5回上げ下げした。磁気撹拌子を低い設定で始動させて、スライドを5分間インキュベートした。
[00332] スライドラックをACN染色皿よりゆっくり引き出して、吸収タオル上に置いた。スライドの下端を速やかに乾燥させて、このスライドを清浄なスライドボックス中へ入れた。
[00333] 15.マイクロアレイ造影法
[00334] 製造業者の説明書に従って、先のマイクロアレイスライドをAgilentスキャナースライドホルダーの中へ入れて、Agilentマイクロアレイスキャナーの中へロードした。
[00335] このスライドをCy3チャンネルにおいて、100% PMT設定と0.05で可能になるXRDオプションで、5μmの解像で造影した。得られたタグイメージファイル形式(tiff)の画像を、Agilent特徴抽出ソフトウェア(バージョン10.5)を使用して処理した。
実施例2バイオマーカー同定
[00336] 潜在的な肺癌バイオマーカーの同定は、疑わしい結節のCTスキャンからの診断、無症状喫煙者の肺癌をスクリーニングすること、及び肺癌のある個体を診断することという、3つの異なる診断応用について実施した。上記3つの応用に協力する4つの異なる施設より血清試料を採取して、それには、247のNSCLC症例、420の良性結節対照、及び352の無症状喫煙者対照が含まれる。表29は、施設試料情報を要約する。実施例1に記載のような多重化アプタマーアフィニティーアッセイを使用して、上記1019の試料のそれぞれで825種の分析物についてのRFU値を測定して報告した。この血清試料は、4つの独立した試験及び施設より、似ているが異なるプロトコールの下で入手されたので、バイオマーカー探索の分析に先立って、施設の違いの検証を実施した。この3つの集団(良性結節、無症状喫煙者、及びNSCLC)のそれぞれを、825種の分析物のそれぞれについて、施設内でのクラス依存累積分布関数(cdf)を作成することによって、施設間で別々に比較した。次いで、共通クラス内のすべての施設対の間で各分析物へKS検定を適用して、クラスによってではなくむしろ施設によって異なる分析物を同定した。この3群間でのすべての施設比較において、統計学的に有意な施設依存性の差を観測した。2つの試料セットからの数値の間のKS距離(コルモゴロフ−スミルノフ統計)は、1つのセット(セットA)由来の数値の経験分布が他のセット(セットB)由来の数値の分布より異なる程度のノンパラメトリック測定値である。閾値Tのどの数値についても、セットA由来の数値のある比率はTより小さくて、セットB由来の数値のある比率はTより小さい。KS距離は、Tのある選択値についての2つのセット由来の数値の比率の間の最大の(符号無しの)差を測定する。
[00337] このような施設依存性の効果は、特異的な対照−疾患の差を同定する能力を曇らせる傾向がある。そのような効果を最小化して重要な疾患依存性バイオマーカーを同定するために、バイオマーカー探索のために3つの別々の戦略を利用した。即ち、(1)施設全体での総計クラス依存cdf、(2)施設内クラス依存cdfの比較、及び(3)(1)を(2)と混和する方法。上記3つの方法論とその結果の詳細について以下に述べる。
[00338] 潜在的なバイオマーカーの上記3つのセットを使用して、試料を対照群又は疾患群のいずれかへ帰属させる分類器を組み立てることができる。実際、上記のバイオマーカーのセットより多くのそのような分類器を作成して、どのバイオマーカーでも良好なスコア化分類器として使用される頻度を決定した。上位のスコア化分類器の間で最も頻繁に生じるバイオマーカーは、診断検査法を創出するのに最も有用であった。本実施例では、分類空間を探索するのにベイズ分類器を使用したが、この目的には、多くの他の教師付き学習技術を利用してよい。個々の分類器のスコア化適合性は、疾患罹患率を0.5と仮定して、分類器の感度及び特異度をベイズ表面で合計することによって測定した。このスコア化計量は、0〜2へ変動して、2は過誤のない分類器である。実施例3では、バイオマーカー集団の測定よりベイズ分類器を構築することの詳細を記載する。
[00339] 方法(1)において、施設全体のクラス依存標本を総計することによって、大きな施設間変動を示した分析物測定値は、概して、その大きな施設間の差のために、クラス依存性の差を示すことができなかった。このような分析物は、以後の分析より自動的に除去した。しかしながら、施設全体でクラス依存性の差を確かに示した分析物は、試料採取や試料取扱いの変動性に対して相対的に非感受性であった、かなりしっかりとしたバイオマーカーであろう。施設全体で総計したクラス依存cdfを使用して、全ての分析物についてKS距離を計算した。0.3のKS距離閾値を使用することにより、良性結節−NSCLCの比較については65個、そして喫煙者−NSCLCの比較については83個の潜在的なバイオマーカーの同定をもたらした。
[00340] KS距離閾値を超える65個の分析物を使用して、良性結節のある対照群よりNSCLCを診断するのに、1.7か又はより良好な(平均して、>85%の感度と>85%の特異度)スコアを有する、全部で282の10分析物分類器を見出した。この分類器のセットより、この高いスコア化分類器の10.0%以上に全部で19個のバイオマーカーが存在することを見出した。表30は、これら潜在的なバイオマーカーのリストを提供して、図10は、同定したバイオマーカーの頻度プロットである。
[00341] 無症状喫煙者の群からのNSCLCの診断には、上記に同定した83個の潜在的なバイオマーカーを使用して、それぞれ10個の分析物より構成される、全部で1249の分類器が1.7か又はより良好なスコアであることを見出した。この10.0%以上の分類器のセットには、全部で21個のバイオマーカーが現れる。表31は、これらのバイオマーカーのリストを提供して、図11は、同定したバイオマーカーの頻度プロットである。これにより、方法(1)を使用して、バイオマーカー同定を完了した。
[00342] 方法(2)は、個々の施設の間での、対照群と症例群(肺癌のある結節及び喫煙者)の間の潜在的なバイオマーカーの変化の一貫性に注目した。各施設内で別々に、すべての分析物についてクラス依存cdfを構築して、これらのcdfよりKS距離を計算して、潜在的なバイオマーカーを同定した。ここでは、分析物は、すべての施設において潜在的なバイオマーカーであるとみなされるある閾値より高いKS距離を有さなければならない。「良性結節」対「NSCLC」の比較では、0.3の閾値により、施設内の症例及び対照の間で一貫した差がある11個の分析物が得られた。KS距離の閾値を0.275へ下げると、19個の分析物が得られた。これら19個の分析物を使用して潜在的な10分析物ベイズ分類器を組み立てると、1.6か又はより良好なスコアを有する2897の分類器があった。全19個の分析物が10%より高い頻度で頻度で生じて、表32と図12に示す。
[00343] 「無症状喫煙者群」対「NSCLC群」については、同様の分析により、すべての施設間でKS距離が0.3より大きい33個の分析物が得られた。この潜在的なバイオマーカーのセットより10分析物分類器を組み立てると、1.7か又はより高いスコアの1249の分類器において頻度が10.0%より高い19個のバイオマーカーが得られた。これらの分析物を表33と図13に表示する。
[00344] 最後に、方法(2)によって同定したバイオマーカーのコア群を方法(1)において同定した追加の潜在的なバイオマーカーと組み合わせることによって、この混和した潜在的バイオマーカーのセットより、分類器のセットを生成した。良性結節の診断では、このバイオマーカーのコア群に、6個の分析物が頻度>0.5で含まれた。これら6個の分析物を使用してベイズ分類器の土台として、これへ追加のマーカーを加えて、全部で15種のタンパク質とした。1.65より大きい分類スコアでは、このコアより全部で1316のベイズ分類器を組み立てた。10%の頻度カットオフを使用して、この分類器のセットより、25個の潜在的なバイオマーカーを同定した。これらの分析物を表34に表示して、図14は、同定したバイオマーカーの頻度プロットである。無症状喫煙者群とNSCLC群についての同様の分析により、方法(2)からの7種のタンパク質のコアより出発して、1.7より大きいスコアの1508の15タンパク質分類器より、26個の潜在的なバイオマーカーを同定する。表35に上記の結果を表示して、図15は、同定したバイオマーカーの頻度プロットである。
[00345] 図10〜15からのバイオマーカーを合わせて、肺癌のバイオマーカーの最終リストを表36に作成した。表37には、そのバイオマーカーを同定するのに使用したアプタマーの解離定数、マルチプレックスアプタマーアッセイにおけるそのマーカーの定量限界、及びそのマーカーが疾患集団において対照集団と比べて上方調節されているか又は下方調節されているかということが含まれる。
[00346] 実施例3肺癌の単純ベイズ分類
NSCLCと良性結節を区別するのに有用として同定したバイオマーカーのリストより、10個のバイオマーカーのパネルを選択して、単純ベイズ分類器を構築した。表41を参照のこと。クラス依存性の確率密度関数(pdf):p(x|c)及びp(x|d)[ここでxは、バイオマーカー(i)の測定RFU値の対数であり、そしてcとdは、対照集団と疾患集団を意味する]は、平均μと分散σによって特徴付けられる正規分布関数としてモデル化した。10個のバイオマーカーのpdfのパラメータを表41に収載して、正規pdfへのモデル適合に沿った生データの例を図5に表示する。基本仮説は、図5によって裏付けられるように、このデータときわめてよく適合しているように見える。
[00347] このようなモデルの単純ベイズ分類を、検定に適正な以下の式:
[ここでP(d)は、集団における疾患の罹患率である]によって示して、ここではn=10である。総和中の項のそれぞれは、個別マーカーの対数尤度比であり、「注目の疾患(即ち、この場合はNSCLC)がないこと」対「その疾患を有すること」の試料xの対数尤度比の合計は、単に、上記各項の和+その疾患の罹患率の説明となる項である。簡単にするために、P(d)=0.5と仮定すると、
となる。
[00348] 未知試料の対数(RFU)での測定値が10個のバイオマーカーのそれぞれでx=(3.13,4.13,4.48,4.58,3.78,2.55,3.02,3.49,2.92,4.44)である場合のこの分類の計算を表42に詳述する。「対照」対「疾患」群の対数尤度比を含んでなる個々の構成要素を作表して、表41のパラメータとxの値より計算することができる。個々の対数尤度比の合計は5.77である、又は「疾患がないこと」対「その疾患を有すること」の尤度は、321:1(ここで尤度=e5.77=321)である。最初の2つのバイオマーカー値は、疾患群により一致した尤度(対数尤度<0)を有するが、残る8個のバイオマーカーは、いずれも一貫して対照群に有利である(最大比は、3:1)ことがわかる。尤度を一緒に掛けると、上記に示したのと同じ結果が得られる、即ち未知試料に疾患がない尤度は321:1である。事実、この試料は、訓練セットの対照集団に由来した。
実施例4分類器用バイオマーカーパネルを選択するための貪欲アルゴリズム
パート1
[00349] 本実施例は、本明細書に記載の方法のいずれにおいても分類器として使用し得るパネルを形成するための表1からのバイオマーカーの選択について記載する。表1中のバイオマーカーのサブセットを選択して、良好な性能のある分類器を構築した。また、この方法を使用して、実施例2のバイオマーカーとしてどの潜在的なマーカーを含めるかを決定した。
[00350] ここで使用する分類器性能の評価尺度は、感度と特異度の合計であるので、1.0の性能は、ランダム(コイントス)分類器のベースライン期待値であり、ランダムより悪い分類器は、0.0と1.0の間のスコアを得て、ランダムより良好な性能がある分類器は、1.0と2.0の間のスコアを得るだろう。過誤のない完璧な分類器ならば、1.0の感度と1.0の特異度を有するので、2.0(1.0+1.0)の性能となる。実施例4に記載の方法は、ROC曲線下面積、F値、又は感度と特異度の積といった、他の一般的な性能評価尺度へ適用することができる。具体的には、感度を犠牲にしてより高い特異度で機能する分類器を選択するように、又は特異度を犠牲にしてより高い感度で機能する分類器を選択するように、感度と特異度を異なる重みで処理することが望まれるかもしれない。本明細書に記載の方法は、「性能」の評価尺度にのみ関連するので、単一の性能評価尺度をもたらすどの重み付けスキームも使用することができる。異なる適用は、真陽性及び真陰性の所見についての異なる利益と、また偽陽性所見と偽陰性所見に関連した異なるコストを有する。例えば、無症状喫煙者のスクリーニングとCTで見出される良性結節の鑑別診断は、一般的には、特異度と感度の間で同じ最適のトレードオフを有さない。この2つの検査の異なる要求は、一般に、性能の評価尺度に反映される、陽性及び陰性の誤分類に対して異なる重み付けを設定することを必要とする。一般に、性能の評価尺度を変えると、所与のデータのセットについて、表1、カラム2より選択されるマーカーの正確なサブセットを変えるものである。
[00351] 実施例3に記載される、肺癌試料の対照試料からの区別に対するベイズアプローチでは、疾患及び良性の訓練試料におけるバイオマーカーの分布によって分類器を完全にパラメータ化して、バイオマーカーのリストを表1より選択した。即ち、包含用に選択したマーカーのサブセットより、訓練データのセットを与えて、1対1のやり方で分類器を決定した。
[00352] ここで利用する貪欲法を使用して、表1由来のマーカーの最適サブセットを検索した。少数のマーカー又は比較的少数のマーカーがある分類器では、すべての可能なマーカーのサブセットを数え上げて、その特別なマーカーのセットで構築した分類器の性能に関して評価した(実施例4、パート2を参照のこと)。(このアプローチは、統計学の技術分野において「最適サブセット選択法」としてよく知られている;例えば、Hastie et al, 同上を参照のこと)。しかしながら、本明細書に記載の分類器では、多重マーカーの組合せの数は、きわめて大きくなり得て、例えば、40個のマーカーのリスト(表39)より10個のマーカーのあらゆる可能な組合せ(即ち、847,660,528通りの組合せ)を評価することは、実行可能でなかった。マーカーのあらゆるセット全体を検索することの実行不能性のために、単一の最適サブセットを見出し得ないとしても、このアプローチを使用することによって、多くの優秀なサブセットを見出して、そして多くの場合、これらサブセットのいずれも、最適なサブセットの代表であり得る。
[00353] あらゆる可能なマーカーのセットを評価する代わりに、「貪欲な」前方段階的アプローチに従うことができる(例えば、Dabney AR, Storey JD (2007)「ゲノムデータからの、最適性に導かれる最近隣重心分類法(Optimality Driven Nearest Centroid Classification from Genomic data)」PloS ONE 2(10): e1002. doi: 10.1371/journal.pone.0001002 を参照のこと)。この方法を使用して、(個別マーカーのKS距離に基づく)最良の単一マーカーで分類器を開始して、その時点では分類器のマーカーのセットのメンバーではない、マーカーリストの各メンバーを順に試みることによって、各工程で成長させる。既存の分類器との組合せにおいて最良のスコアが得られる1つのマーカーを分類器へ加える。性能のさらなる改善が達成されなくなるまで、これを繰り返す。残念ながら、このアプローチでは、このプロセスを終える前に、個別マーカーのいくつかがすべて選択されるわけではない、貴重なマーカーの組合せを逃す場合がある。
[00354] 本発明で使用した貪欲法は、検索を広げるために、各工程で単一の候補分類器(マーカーサブセット)だけを残すのではなく、候補分類器のリストを残した点で、先述の前方段階的アプローチの改善法(elaboration)であった。このリストは、(表中のあらゆるマーカーを独自に使用して)あらゆる単一マーカーを種とした。新たな分類器(マーカーサブセット)を現時点でリスト上にあるものより導いて、それらをリストへ加えることによって、工程においてリストを大きくした。現時点でリスト上にあるそれぞれのマーカーサブセットを、その分類器の一部ではまだなくて、サブセットへのその追加時に、既存のサブセットと決して重複しない、表1由来のあらゆるマーカー(これらを「許容マーカー」と呼ぶ)を加えることによって拡張した。あらゆる既存のマーカーサブセットを、リストからのあらゆる許容マーカーによって拡張した。明らかに、そのようなプロセスは、最終的にあらゆる可能なサブセットを産生して、そのリストは、スペースの不足を生じるはずである。故に、産生される分類器をすべて残したのは、そのリストがある所定のサイズ(しばしば、すべての3マーカーサブセットを保持するのに十分である)より小さい間だけである。リストが所定サイズの限界に達したならば、それは選ばれた物(elitist)となった、即ち、そのリストには、かなりのレベルの性能を示す分類器だけが残って、他のものはリストの端から落ちて、失われたわけである。このことは、リストを分類器性能の順に層別化することによって達成された。つまり、リスト上の現時点で最低の分類器と少なくとも同等である新たな分類器を挿入して、その時点で底にある成績不良者(underachiever)の放校を強いたのである。1つのさらなる実行の詳細は、リストをそれぞれの産生工程で完全に置き換えたことである。故に、リスト上のあらゆる分類器は同数のマーカーを有して、各工程で、分類器ごとのマーカーの数を1つだけ増やした。
[00355] この方法は、異なるマーカーの組合せを使用して候補分類器のリストを産生したので、この分類器を組み合わせれば、最良の単一分類器によっても、あるいは最良分類器の少数派によっても犯される可能性がある過誤を回避することができるのではないかと問われるかもしれない。このような「アンサンブル」及び「専門委員会」法は、統計学や機械学習の技術分野でよく知られていて、例えば、「平均化(Averaging)」、「投票(Voting)」、「スタッキング(Stacking)」、「バッギング(Bagging)」及び「ブースティング(Boosting)」が含まれる(例えば、Hastie et al.,上記を参照のこと)。これらの単純分類器の組合せは、いくつかの異なる分類器を含めることによって、どの特別なマーカーのセットにもあるノイズによる分類時の変動を抑えるための方法と、それ故に、分類器の間で効果的に平均化された、バイオマーカーの表からのマーカーのより大きなセットからの情報を提供する。このアプローチの有用性の1例は、単一マーカー中の異常値が単一試料の分類に悪影響を及ぼすことを防ぐことができることである。より多くのシグナル数を測定することの必要性は、慣用の「1時点で1つのマーカー」抗体アッセイにおいては実行不能であろうが、完全多重化アプタマーアッセイでは、否定的なものではない。このような技術は、より広汎なバイオマーカーの表より利益を得て、疾患プロセスに関する多数の情報源を使用して、より確実な分類を提供する。
パート2
[00356] 表1で選択したバイオマーカーは、「非マーカー」(即ち、表1中の包含基準(実施例2に記載するような)に合致しないシグナルを有するタンパク質)で組み立てた分類器よりよく機能する分類器を生じた。
[00357] 唯1個、2個、又は3個のマーカーを含有する分類器では、表1のバイオマーカーを使用して得られるすべての可能な分類器を列挙して、無作為に選択した非マーカーシグナルの同様の表より組み立てられる分類器と比較して、性能の分布を検証した。
[00358] 図17及び図18では、感度と特異度の合計を性能の評価尺度として使用した。1.0の性能は、ランダム(コイントス)分類器のベースライン期待値である。分類器性能のヒストグラムを、40個の非マーカーシグナルの「非マーカー」表より組み立てられる分類器の同様の網羅的列挙からの性能のヒストグラムと比較した。この40のシグナルは、対照集団と疾患集団の間で差示的なシグナルを明示しない(KS距離<1.4)400のアプタマーより無作為に選択した。
[00359] 図17は、良性結節とNSCLCの間で区別することができるバイオマーカーについて表39のバイオマーカーパラメータより組み立てた、すべての可能な1、2、及び3個のマーカーの分類器の性能のヒストグラムを示して、これらの分類器を40個の「非マーカー」アプタマーRFUシグナルを使用して組み立てた、すべての可能な1、2、及び3個マーカー分類器と比較する。図17Aは、単一マーカー分類器の性能のヒストグラムを示し、図17Bは、2マーカー分類器の性能のヒストグラムを示し、そして図17Cは、3マーカー分類器の性能のヒストグラムを示す。
[00360] 図17において、実線は、表39の良性結節及びNSCLCのバイオマーカーデータを使用する、すべての1、2、及び3−マーカー分類器の分類器性能のヒストグラムを表す。点線は、良性結節及びNSCLCのデータを使用するが、ランダムな非マーカーシグナルのセットを使用する、すべての1、2、及び3−マーカー分類器の分類器性能のヒストグラムである。
[00361] 図18は、無症状喫煙者とNSCLCの間で区別することができるバイオマーカーについて表38のバイオマーカーパラメータより組み立てた、すべての可能な1、2、及び3マーカー分類器の性能のヒストグラムを示して、これらを40個の「非マーカー」アプタマーRFUシグナルを使用して組み立てた、すべての可能な1、2、及び3マーカー分類器と比較する。図18Aは、単一マーカー分類器の性能のヒストグラムを示し、図18Bは、2マーカー分類器の性能のヒストグラムを示し、そして図18Cは、3マーカー分類器の性能のヒストグラムを示す。
[00362] 図18において、実線は、表38の無症状喫煙者及びNSCLCのバイオマーカーパラメータを使用する、すべての1、2、及び3−マーカー分類器の分類器性能のヒストグラムを表す。点線は、無症状喫煙者及びNSCLCのデータを使用するが、ランダムな非マーカーシグナルのセットを使用する、すべての1、2、及び3−マーカー分類器の分類器性能のヒストグラムである。
[00363] 表1に収載したマーカーより組み立てた分類器は、すべての1マーカー、2マーカー、及び3マーカー比較について、「非マーカー」からのシグナルで組み立てた分類器より十分に分離された、明瞭なヒストグラムを形成する。表1中のバイオマーカーより組み立てた分類器の性能及びAUCスコアはまた、マーカーの個数とともに、非マーカーより組み立てた分類器より速やかに増加して、分類器あたりのマーカーの個数が増加するにつれて、マーカー分類器と非マーカー分類器の間の距離(separation)は増加する。表38及び39に収載したバイオマーカーを使用して組み立てたすべての分類器は、「非マーカー」を使用して組み立てた分類器より顕著によく機能する。
パート3
[00364] 上記の分類器の良好な性能をマーカーのコアサブセットで説明できるのかどうかを検定するために、このマーカーの半分を表38及び39のバイオマーカーのリストより無作為に落とした。感度+特異度によって測定される、良性結節を悪性結節より区別するための分類器の性能は、わずかに0.07低下して(1.74から1.67へ)、癌を有する喫煙者を有さない喫煙者から区別する分類器の性能も、わずかに0.06低下した(1.76から1.70へ)。このバイオマーカー表のサブセットの性能特性から示唆されることは、収載したバイオマーカーの複合サブセットが診断検査法を組み立てるのに有効であって、分類器の性能を支配する、マーカーの特別なコアサブセットはないということである。
[00365] 上記の結果に照らして、表38及び39より最良のマーカーを除外した分類器について検査した。図19は、表38及び39のバイオマーカーの完全リストで組み立てた分類器の性能を、表38及び39より最上位のマーカーを排除したバイオマーカーのセットで組み立てた分類器の性能と比較する。
[00366] 図19は、最良のマーカーなしで構築した分類器が十分に機能することを明示して、この分類器の性能があるマーカーの小さなコア群によらないこと、そして疾患に関連した根源的なプロセスにおける変化が多くのタンパク質の活性に反映されることを示唆する。表1のバイオマーカーの多くのサブセットは、表1由来の40個のマーカーの上位15個を除いた後でも、最適に近いほどに機能した。
[00367] 図19Aは、2〜10個のマーカーで組み立てた、良性結節をNSCLCより区別するための分類器に対する効果を示す。表39からの15個の最上位マーカー(KS距離によって順位付ける)を落とした後でも、「良性結節」対「NSCLC」の性能は、表より選択されるマーカーの個数に伴って増加して、1.65(感度+特異度)以上に達した。
[00368] 図19Bは、2〜10個のマーカーで組み立てた、無症状喫煙者をNSCLCより区別するための分類器に対する効果を示す。表38からの15個の最上位マーカー(KS距離によって順位付ける)を落とした後でも、「無症状喫煙者」対「NSCLC」の性能は、表より選択されるマーカーの個数に伴って増加して、1.7(感度+特異度)以上に達して、表38中のバイオマーカーの完全リストより選択した最良の分類器の性能の近くまで接近した。
[00369] 最後に、図20は、実施例3に従って表38及び39のパラメータのリストより構築した典型的な分類器のROC性能について示す。図20Aは、実施例3にあるマーカーの独立性を前提とすることからのモデル性能を示して、図20Bは、表38及び39のパラメータを産生するのに使用したアッセイデータセットを使用する、実際のROC曲線を示す。所与数の選択マーカーの性能が定性的に一致していること、そしてマーカーの個数が増加するにつれて定量的な一致が崩れたことを見ることができる。(このことは、疾患プロセスに関してある特別なバイオマーカーによって付与される情報は、表38及び39に提供される他のバイオマーカーによって付与される情報と重複するという考えと矛盾しない)。このように、図20は、表38及び39が、実施例3に記載の方法との組合せにおいて、NSCLCの良性結節からの区別と、NSCLCを有する無症状喫煙者の、NSCLCを有さないものからの区別に有用な非常に多くの分類器の構築及び評価を可能にすることを示している。
実施例5プルダウンアッセイにおけるアプタマー特異性の実証
[00370] マルチプレックスアッセイでの最終の読出しは、本アッセイでの連続捕捉工程の後で回収されるアプタマーの量に基づく。マルチプレックスアッセイは、アッセイの最後に回収されるアプタマーの量が元の複雑な混合物(例、血漿)中のタンパク質の量に比例するという前提に基づく。このシグナルが、本当に、血漿中で非特異的に結合したタンパク質に由来するのではなくて、企図される分析物に由来することを実証するために、我々は、血漿中のゲルベースのプルダウンアッセイを開発した。このアッセイを使用して、所望のタンパク質がアプタマーとの平衡状態の後で実際に血漿より引き出せることを視覚的に実証して、その企図されるタンパク質標的へ結合したアプタマーがこのアッセイ中の動的チャレンジ工程を通して複合体として存続し得ることを実証することができる。本実施例に記載の実験において、このプルダウンアッセイの最後でのタンパク質の回収には、平衡状態後ほぼ2時間の間、そのタンパク質がアプタマーへ非共有的に結合したままであることが求められる。重要にも、本実施例において、我々はまた、非特異的に結合したタンパク質が上記の工程の間に解離して、最終シグナルへ有意には寄与しないことの裏付けを提供する。本実施例において記載されるプルダウン手法には、上記に記載のマルチプレックスアッセイの重要工程がすべて含まれることに留意されたい。
[00371] A. 血漿プルダウンアッセイ
[00372] 50μL EDTA−血漿を、0.05% Tween−20(SB18T)及び2μM Z−ブロックを含むSB18において100μLへ希釈することによって血漿試料を調製した。この血漿溶液を、150μLの最終容量において、37℃で2時間、10ピコモルのPBDC−アプタマーと平衡化した。平衡状態の後で、Durapore 濾過プレートにおいて、室温で5分間振り混ぜながらインキュベートすることによって、複合体と非結合アプタマーを133μLの7.5%ストレプタビジン−アガロースビーズスラリーで捕捉した。実施例1に記載のように、ビーズへ結合した試料を真空下にビオチンで、そして緩衝液で洗浄した。洗浄後、結合したタンパク質を、振り混ぜながら室温で5分間、ビオチン希釈液中の0.5mM NHS−S−S−ビオチン、0.25mM NHS−Alexa647で標識した。この染色工程は、ストレプタビジンビーズ上のタンパク質を捕捉するためのビオチニル化だけでなく、ゲル上での検出のための高感度染色を可能にする。実施例1に記載のように、試料をグリシンで、そして緩衝液で洗浄した。Black Ray光源を振り混ぜながら室温で10分間使用する光切断によって、アプタマーをビーズより遊離させた。この時点で、室温で5分間振り混ぜることによって、ビオチニル化タンパク質を0.5mg MyOneストレプタビジンビーズ上で捕捉した。この工程により、アプタマーへ結合したタンパク質だけでなく、最初の平衡状態以後にアプタマーより解離した可能性があるタンパク質も捕捉される。実施例1に記載のようにビーズを洗浄した。SB17T中50mM DTTとともに振り混ぜながら37℃で25分間インキュベートすることによって、MyOneストレプタビジンビーズよりタンパク質を溶出させた。次いで、この溶出液を、そのアプタマーの3’一定領域へ相補的な配列でコートされたMyOneビーズへ移して、振り混ぜながら37℃で25分間インキュベートした。この工程により、残存するアプタマーのすべてが捕捉される。このビーズを100μL SB17Tで1分間(2回)、そして100μL SB19Tで1分間(1回)洗浄した。45μLの20mM NaOHとともに振り混ぜながら2分間インキュベートすることによって上記の最終ビーズからアプタマーを溶出させて、ハイブリダイズした鎖を壊した。この溶出液の40μLを、0.05% Tween−20を含有する80mM HClの10μLで中和した。第一のビーズセットからの溶出物(アプタマーへ結合したすべての血漿タンパク質を表す)の5%を表すアリコートと最終のビーズセットからの溶出物(我々の臨床アッセイの最後に結合したままであるすべての血漿タンパク質を表す)の20%を表すアリコートを、還元及び変性の条件下にNuPAGE 4〜12% Bis−Trisゲル(Invitrogen)上で泳動させた。Alpha Innotech FluorChem QスキャナーでCy5チャンネルにおいてゲルを造影して、タンパク質を造影した。
[00373] B. アプタマー用のプルダウンゲルは、それぞれ、LBP(血漿中約1x10−7M,ポリペプチド分子量:約60kDa)、C9(血漿中約1x10−6M,ポリペプチド分子量:約60kDa)、及びIgM(血漿中約9x10−6M,分子量:約70kDa及び23kDa)に対して選択した(図16を参照のこと)。
[00374] それぞれのゲルで、レーン1は、ストレプタビジン−アガロースビーズからの溶出物であり、レーン2は、最終溶出物であり、レーン3は、分子量マーカーレーン(主要なバンドが上から下へ110、50、30、15、及び3.5kDaにある)である。これらのゲルより、最初の平衡状態では、血漿タンパク質の少量の非特異的な結合があるが、本アッセイの捕捉工程を実施した後では標的だけが残ることが明白である。その企図した分析物を捕捉するには、血漿を予め消費(depletion)及び分画化することなしに単一のアプタマー試薬で十分であることが明らかである。従って、上記工程の後で残存するアプタマーの量は、最初の試料中の分析物の量に比例している。
[00375] 上述の態様及び実施例は、例としてのみ企図されている。どの特別な態様も、実施例も、そして特別な態様又は実施例の要素も、特許請求項のいずれもの決定的、必須的、又は本質的な要素又は特徴として解釈してはならない。さらに、本明細書に記載のどの要素も、「本質的」又は「決定的」と明確に記載されなければ、付帯の特許請求項の実施に必須ではない。開示の態様に対しては、付帯の特許請求項によって規定される、本出願の範囲より逸脱することなく、様々な改変、修飾、代替、及び他の変更を施すことができる。図面及び実施例が含まれる本明細書は、制限的なやり方ではなくて、例示的なやり方で考慮されるべきなので、そのようなすべての変更態様及び代替態様は、本出願の範囲内に含まれると企図される。従って、本出願の範囲は、上記に示した実施例によってではなくて、付帯の特許請求項とその法的等価物によって決定されるべきである。例えば、方法又はプロセスの特許請求項のいずれでも引用される工程は、どの実行可能な順序で実行してもよく、態様、実施例、又は特許請求項のいずれでも提示される順序に限定されるものではない。さらに、上記の方法のいずれにおいても、表1の1以上のバイオマーカーは、個別のバイオマーカーとして、又はあらゆるパネル由来のバイオマーカーとして特別に排除することができる。

Claims (22)

  1. 個体における肺癌を診断するためのin vitroの方法であって:
    表1に記載のバイオマーカーのN個を含むバイオマーカーパネルを提供し、
    個体からの生体試料において、パネル中の前記バイオマーカーの1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することを含んでなり、ここで前記個体は、前記バイオマーカー値に基づいて、肺癌を有するもの又は有さないものとして分類され、ここでバイオマーカーのパネルが、1.65以上の感度+特異度値を有するものであり、そしてここでN=5〜61である、前記方法。
  2. 個体における肺癌を診断するためのin vitroの方法であって:
    表1から選択されるN個のバイオマーカーを含むバイオマーカーパネルを提供し、
    個体からの生体試料において、パネル中の前記N個のバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することを含んでなり、ここで前記個体は、前記バイオマーカー値に基づいて、肺癌を有するもの又は有さないものとして分類され、そしてNは、バイオマーカーのパネルが、1.65以上の感度+特異度値を有するように選択される整数である、前記方法。
  3. 個体における肺癌を診断するためのin vitroの方法であって:
    表1から選択されるN個のバイオマーカーを含むバイオマーカーパネルを提供し、
    個体からの生体試料において、パネル中の前記N個のバイオマーカーにそれぞれ対応するバイオマーカー値を検出することを含んでなり、ここで前記個体は、前記バイオマーカー値に基づいて、肺癌を有するもの又は有さないものとして分類され、そしてNは、バイオマーカーのパネルが1.70以上の感度+特異度値を有するように選択される整数である、前記方法。
  4. バイオマーカー値を検出することが in vitro アッセイを実施することを含む、請求項1〜3のいずれかの方法。
  5. 前記 in vitro アッセイが前記バイオマーカーのそれぞれに対応する少なくとも1つの捕捉試薬を含み、そして前記少なくとも1つの捕捉試薬をアプタマー、抗体、及び核酸プローブからなる群より選択することをさらに含んでなる、請求項4の方法。
  6. 前記 in vitro アッセイが、イムノアッセイ、アプタマーベースのアッセイ、組織学的又は細胞学的アッセイ、mRNA発現レベルアッセイからなる群より選択される、請求項4の方法。
  7. それぞれのバイオマーカー値を既定値又は既定値範囲に基づいて評価する、請求項1〜6のいずれかの方法。
  8. 生体試料が肺組織であり、そしてここでバイオマーカー値は、前記肺組織の組織学的又は細胞学的分析より導かれる、請求項1〜7のいずれかの方法。
  9. 生体試料が、全血、血漿、及び血清からなる群より選択される、請求項1〜7のいずれかの方法。
  10. 肺癌の可能性を示すためのコンピュータ実行法であって:
    表1に記載のバイオマーカーのN個を含むバイオマーカーパネルを提供し、 コンピュータバイオマーカー情報を個体のために検索すること(ここで該バイオマーカー情報は、パネル中の前記バイオマーカーの1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を含む);
    前記バイオマーカー値のそれぞれの分類をコンピュータで実施すること;及び
    複数の分類に基づいて、前記個体が肺癌を有する可能性を示すことを含んでなり、そしてここでN=5〜61である、前記方法。
  11. 個体が肺癌を有する可能性を示すことがその可能性をコンピュータディスプレイ上に表示することを含む、請求項10の方法。
  12. N=5〜15である、請求項1〜11のいずれかの方法。
  13. N=10〜61である、請求項1〜11のいずれかの方法。
  14. 個体がヒトである、請求項1〜13のいずれかの方法。
  15. 個体が喫煙者である、請求項1〜14のいずれかの方法。
  16. バイオマーカーが表1、カラム6より選択される、請求項15の方法。
  17. 個体が肺結節を有する、請求項1〜16のいずれかの方法。
  18. バイオマーカーが表1、カラム5より選択される、請求項17の方法。
  19. 肺癌が非小細胞肺癌である、請求項1〜18のいずれかの方法。
  20. 肺癌の可能性を示すためのコンピュータプログラムであって:
    計算デバイス又はシステムのプロセッサーによって実行可能なプログラムコードを具現化するコンピュータ読み取り可能媒体を含んでなり、該プログラムコードは:
    個体からの生体試料へ帰属されるデータを検索するコード(ここで、該データは、表1より選択される少なくともN個のバイオマーカーの1つにそれぞれ対応するバイオマーカー値を含み、ここで前記バイオマーカーは、生体試料において検出された);及び
    個体の肺疾患状態を前記バイオマーカー値の関数として示す分類法を実行するコードを含んでなり;そしてここでN=5〜61である、前記コンピュータプログラ
  21. 前記分類法が確率密度関数を使用する、請求項20のコンピュータプログラ
  22. 前記分類法が2以上のクラスを使用する、請求項21のコンピュータプログラ
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