以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、図面の縮尺は説明の便宜上のものであり、実際の寸法関係を示すものではない。
(第1の実施形態)図1に、本発明の第1の実施形態によるガラスフィルム積層体を含むカラーフィルタの断面を示す。図1に示すように、本実施の形態におけるカラーフィルタ1は、ガラスフィルム12と、このガラスフィルム12上に設けられた赤色画素2、緑色画素3および青色画素4、とを備えている。
通常、ガラスフィルム12上には、マトリックス形状にパターニングされたブラックマトリックス5が設けられており、各画素2、3、4は、ガラスフィルム12上のブラックマトリックス5により画定される各開口部内に形成されている。すなわち、ブラックマトリックス2の各開口部内に、赤色(R)画素用感光性材料、緑色(G)画素用感光性材料、および青色(B)画素用感光性材料により、赤色画素2、緑色画素3および青色画素4が形成されている。
各画素2、3、4の配列は、図示しないが、ストライプ配列、デルタ配列(トライアングル配列)、正方配列(四画素配列)等の公知の配列とすることができる。このように異なる色を有した三つの隣り合う画素によって、画面上における一つの表示画素が形成されるようになっている。更に、黄色画素(図示せず)等を追加して4色以上の画素が形成されるようにしても良い。
なお各画素2、3、4を形成する感光性材料としては、各色の顔料と溶剤と接合性樹脂(バインダー)とを含む顔料分散型の感光性樹脂組成物を用いることができ、ブラックマトリックス5を形成する感光性材料としては、遮光性を有する黒色の顔料を分散させた感光性樹脂組成物を用いることができる。
また、図1に示すように、これらの画素2、3、4は、保護層6で覆われている。この保護層6上に、インジウム錫酸化物(ITO(Indium Tin Oxide))からなる透明電極膜7が形成されている。
このようなカラーフィルタ1は、例えば、各画素2、3、4に対応して配列されたTFT等のスイッチング素子と液晶層とを含む液晶素子、および面光源と組み合わされて、液晶ディスプレイ(LCD)または電子ペーパー等に用いられる。この構成において、液晶はスイッチング素子によって制御されてシャッターとして機能し、面光源からの光を所望の色の画素のみを介して出射させる。このようにして、画面上にカラー映像が表示されるにようになっている。
上述したガラスフィルム12を有するカラーフィルタ1は、当該ガラスフィルム12を有するガラスフィルム積層体10を用いて製造することができるようになっている。
続いて、図2を用いて、本実施の形態におけるガラスフィルム積層体10について説明する。ガラスフィルム積層体10は、支持フィルム11と、支持フィルム11に粘着層13を介して積層されたガラスフィルム12と、を備えている。このうち支持フィルム11は、後述するように柔軟性を有するプラスチックにより形成され、ガラスフィルム12への衝撃や局所的な加圧、歪みに対する脆弱性を補ってガラスフィルム12を補強するためのものである。単体のガラスフィルム12を、異物を巻き込んで巻き取った場合には、局所的な衝撃、加圧、傷等により、ガラスフィルム12が容易に破損する可能性がある。そこで、ガラスフィルム12に支持フィルム11を貼り合せることにより、強度を増大させて、ガラスフィルム12の破損を防止することができる。また、ガラスフィルム12に支持フィルム11を貼り合せることにより、ガラスフィルム12が割れた場合であっても、ガラスの破片等の飛散を防止することができる。
ガラスフィルム12は、支持フィルム11の幅および粘着層13の幅より小さい幅を有している。そして、ガラスフィルム12は、ガラスフィルム12の両側から支持フィルム11および粘着層13がはみ出すように配置されている。図2に示す本実施の形態においては、ガラスフィルム12は、支持フィルム11および粘着層13の幅方向(図4において、各フィルムの搬送方向に直交する方向)の中央部に配置されている。このようにして、ガラスフィルム12の両側に支持フィルム11および粘着層13の側部領域14が形成されている。
なお、ガラスフィルム12は、図2に示すように、支持フィルム11および粘着層13の幅方向の中央部に配置されて、各側部領域14の幅が均等になることに限られることはなく、各側部領域14の幅は異なっていても良い。すなわち、ガラスフィルム12の両側に支持フィルム11および粘着層13がはみ出して側部領域14が形成されていれば、ガラスフィルム12の配置は任意とすることができる。
各側部領域14には、支持フィルム11および粘着層13が折り返された折返部50が形成されている。この折返部50は、支持フィルム11が折り返されて形成された支持フィルム折返部51と、粘着層13が折り返されて形成された粘着層折返部52と、を有している。この折返部50の一部はガラスフィルム12上に設けられている。言い換えれば、折返部50の一部はガラスフィルム12と重なっている。折り返された支持フィルム11および粘着層13とガラスフィルム12との重なり量xは2mm以上20mm以下であることが好ましい。なお、重なり量xは、各側部領域14において均等になっていてもよいし、異なっていてもよい。
折り返された支持フィルム11および粘着層13がガラスフィルム12の両側部を覆うため、ガラスフィルムの両側部を保護してガラスフィルムの損傷を防止することができる。重なり量xを2mm以上とすることにより、折り返された支持フィルム11および粘着層13がガラスフィルム12から剥がれることを防止できる。また、重なり量xを20mm以下とすることにより、折り返された支持フィルム11および粘着層13にシワがよることを防止できる。
また、折返部50を設けることで側部領域14の粘着層13が露出することを防止できる。そのため、ガラスフィルム積層体10をロール状に巻き取った場合に、互いに隣接するガラスフィルム積層体10の部分同士が貼り付くことを防止でき、ガラスフィルム積層体10の取り扱い性を向上させることができる。
次に、図3を用いて、カラーフィルタ用の画素付ガラスフィルム積層体1aについて説明する。カラーフィルタ用の画素付ガラスフィルム積層体1aは、ガラスフィルム積層体10を用いてカラーフィルタ1を製造する場合の中間生成物に相当するものであって、上述したガラスフィルム積層体10と、このガラスフィルム積層体10のガラスフィルム12上に設けられた、カラーフィルタ用の複数色の画素2、3、4およびブラックマトリックス5と、を有している。このうち、各画素2、3、4は、保護層6で覆われ、保護層6上に透明電極膜7が形成されている。このカラーフィルタ用の画素付ガラスフィルム積層体1aにおいて、支持フィルム11および粘着層13をガラスフィルム12から剥離または切断することにより、図1に示すカラーフィルタ1が得られるようになっている。
なお、液晶ディスプレイ用途のカラーフィルタにおいては位相差の小さい支持フィルム11を用いる場合は、必ずしも支持フィルム11を剥離する必要はなく、支持フィルム11が貼り合わされたままのカラーフィルタでもよい。さらに、ELディスプレイ、電子ペーパーなどの偏光を表示原理としないディスプレイにおいては、位相差量に関わらず支持フィルム11が貼り合わされたままのカラーフィルタであってもよい。この場合には、折返部50を含む側部領域14における支持フィルム11および粘着層13を剥離・切断等により除去すればよい。
次に、各構成部材の材料について説明する。
支持フィルム11に用いる材料としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、セルローストリアセテート(CTA)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリサルフォン(PSF)、ポリアミドイミド(PAI)、ノボルネン系樹脂、アリルエステル樹脂等の合成樹脂を挙げることができる。特に、透明性や柔軟性などの特性から、PET、PEN、COPが好適である。また、支持フィルム11の厚さは、3μm以上200μm以下、好ましくは、5μm以上200μm以下であることが好ましい。このことにより、ガラスフィルム12の補強に必要な強度を確保することができると共に、支持フィルム11を有するガラスフィルム積層体10をロール状に巻き取ることが可能になる。
ガラスフィルム12に用いる材料としては、フィルム状に形成できるものであれば特に制限されないが、一般にディスプレイ用途に用いられるソーダライムガラス、無アルカリガラスが好ましい。このうち、無色で透明度が高く、線熱膨張係数が小さくて変形しにくい無アルカリガラスが好適である。また、ガラスフィルム12の厚さは、5μm以上300μm以下であることが好ましい。このことにより、ガラスフィルム12を安定的に製造可能にし、取り扱い上最低限の強度を持たせることができると共に、ガラスフィルム12を有するガラスフィルム積層体10をロール状に巻き取ることが可能になる。
粘着層13に用いる材料としては、柔軟性を有しているものであれば、特に限定されないが、アクリル系、スチレン系等の樹脂材料が好ましい。また、粘着層13の厚さは、5μm以上200μm以下であることが好ましい。このことにより、支持フィルム11とガラスフィルム12とを粘着するために十分な粘着力を確保できると共に、ガラスフィルム積層体10としての光学特性の低下を防止できる。例えば、透過率の低下、着色、位相差の増加を防止できる。
次に、図4を用いて、本実施の形態におけるガラスフィルム積層体の製造装置(ラミネーター)20について説明する。
図4に示すように、ガラスフィルム積層体の製造装置20は、帯状の連続した支持フィルム11が巻き付けられた支持フィルム11のロールが取り付けられる支持フィルム供給部21と、帯状の連続したガラスフィルム12が巻き付けられたガラスフィルム12のロールが取り付けられるガラスフィルム供給部22と、を有している。このうち、支持フィルム11上に設けられた粘着層13上に、カバーシート(離型紙)16が剥離自在に貼り付けられており、支持フィルム11のロールにおいて、互いに隣接する支持フィルム11の部分同士が粘着層13によって貼り付くことを防止している。また、支持フィルム供給部21の近傍には、支持フィルム供給部21から繰り出された支持フィルム11から、カバーシート16を剥離するための剥離部24と、剥離されたカバーシート16を巻き取って回収する回収部25とが設けられている。
支持フィルム供給部21及びガラスフィルム供給部22の搬送方向下流側に、支持フィルム11及びガラスフィルム12をラミネートする積層押圧部26が設けられている。この積層押圧部26によって、支持フィルム11に粘着層13を介してガラスフィルム12が積層されて貼り付けられる。
積層押圧部26の搬送方向下流側には、ガラスフィルム12上に設けられたカバーシート(離型紙)53を剥離するための剥離部60が設けられている。この剥離部60によってガラスフィルム12から剥離されたカバーシート53は、回収部61によって巻き取られて回収されるようになっている。なお、カバーシート53は、支持フィルム11にガラスフィルム12を積層して貼り付ける際に、積層押圧部26のローラーが粘着層13に貼り付くことを防止するためのものである。
剥離部60の搬送方向下流側には、側部領域14における支持フィルム11および粘着層13を折り返す成型ガイド62が設けられている。この成型ガイド62は、連続して搬送されるガラスフィルム積層体10の支持フィルム11および粘着層13の側部領域14の部分が、徐々に折り返されるように当該部分を案内する。
図5に成型ガイド62の一例を示す。成型ガイド62は、連続して搬送されるガラスフィルム積層体10の両側に配置され、支持フィルム11に対して凹状となるように湾曲された一対の湾曲部62aを有し、各湾曲部62aが、支持フィルム11の搬入口部62bから搬出口部62cに向かって徐々に小さくなるような曲率を有すると共に、搬入口部62bから搬出口部62cに向かってガラスフィルム12に徐々に近接するような形状を有するように構成される。
図6に示すように、成型ガイド62に搬入された支持フィルム11および粘着層13の側部領域14の部分は、その縁部から、湾曲部62aによって徐々に折り曲げられながら搬出口部62c側に進み、成型ガイド62の搬出口部62cに達した際に、図2に示す形態の折返部50が得られる。
成型ガイド62の搬送方向下流側には、折返部50を押圧して、粘着層13の向かい合った部分同士を接合させる折返押圧部63が設けられている。
折返押圧部63の搬送方向下流側には、ガラスフィルム積層体10を円筒状のコア28aに巻き取る積層体巻取部27が設けられている。この積層体巻取部27において、ガラスフィルム積層体10がコア28aに巻き取られた積層体ロール28が形成される。
次に、本実施の形態によるガラスフィルム積層体の製造方法について、図4を用いて説明する。
まず、粘着層13付きの帯状の連続した支持フィルム11と、カバーシート53付きの帯状の連続したガラスフィルム12と、を準備する。すなわち、ガラスフィルム積層体の製造装置20において、支持フィルム11のロールが支持フィルム供給部21に取り付けられ、ガラスフィルム12のロールがガラスフィルム供給部22に取り付けられる。
続いて、支持フィルム供給部21から粘着層13付きの支持フィルム11が繰り出され、ガラスフィルム供給部22からカバーシート53付きのガラスフィルム12が繰り出されて、積層押圧部26にそれぞれ搬送される。この際、支持フィルム供給部21から繰り出された粘着層13上のカバーシート16は、剥離部24によって粘着層13から剥離されて、回収部25に巻き取られて回収される。このようにして、積層押圧部26には、カバーシート16が剥離された粘着層13付きの支持フィルム11が搬送される。
次に、積層押圧部26において、支持フィルム11に粘着層13を介してガラスフィルム12が積層されて貼り付けられる。この際、側部領域14における粘着層13には、カバーシート53が剥離自在に貼り付けられる。
続いて、カバーシート53が、剥離部60によってガラスフィルム12および粘着層13から剥離されて、回収部61によって巻き取られて回収される。
続いて、側部領域14の各々において支持フィルム11および粘着層13が折り返されて折返部50が形成される。この場合、まず、成型ガイド62において、支持フィルム11および粘着層13の側部領域14の部分が折り返される。折り返された粘着層13は、向かいあった粘着層13及びガラスフィルム12に貼り付けられる。
次に、折返押圧部63において、当該折り返された部分が押圧されて、粘着層13の向かい合った部分が十分に接合される。このようにして、図2に示すガラスフィルム積層体10が得られる。
その後、得られたガラスフィルム積層体10は、積層体巻取部27に搬送されて、コア28aに巻き取られる。このようにして積層体ロール28が形成される。
上述したガラスフィルム積層体1を用いてカラーフィルタ1を製造する場合には、積層体ロール28からガラスフィルム積層体10が繰り出され、ガラスフィルム12上に画素用感光性材料が塗布されて、乾燥(プリベーク)、露光、現像および硬化(ポストベーク)という一連の工程を繰り返すことで、ガラスフィルム12上に各色の画素2、3、4およびブラックマトリックス5を形成して、カラーフィルタ1を得ることができる。
このように本実施の形態によれば、ガラスフィルム12の両側に形成された側部領域14の各々において、粘着層13及び支持フィルム11が折り返され、粘着層13が露出することを防止できる。このため、ガラスフィルム積層体10をロール状に巻き取った場合に、互いに隣接するガラスフィルム積層体10の部分同士が貼り付くことを防止できる。また、粘着層13及び支持フィルム11を折り返すことで、ガラスフィルム積層体10では、幅方向外側(両端部)において粘着層13が露出しない。そのため、製造工程中に、ガラスフィルム積層体10の側部を狭持して搬送する際に、ガラスフィルム積層体が搬送装置等に貼り付くことを防止できる。また、このような搬送等により、製造工程中にガラスフィルム積層体10の両側部に力が加えられても、この力は粘着層13とガラスフィルム12との接合箇所にはほとんど影響せず、折り返した粘着層13がガラスフィルム12から剥がれることを防止できる。
また、本実施の形態によれば、粘着層13の露出を防止するための別のフィルム等を準備する必要がないため、ガラスフィルム積層体10のコストを低減することができる。
また、折り返された支持フィルム11および粘着層13がガラスフィルム12の両側部を覆うため、ガラスフィルム12の両側部を保護してガラスフィルム12の損傷を防止することができる。
また、折返部50は粘着層13によって向かい合ったガラスフィルム12及び粘着層13に貼り付けられる。そのため、折返部50が向かい合ったガラスフィルム12及び粘着層13から剥がれることを防止できる。
また、本実施の形態によれば、粘着層13とガラスフィルム12との界面を、折返部50によって覆うことができ、ガラスフィルム12が粘着層13から剥がれることを防止できる。
さらに、本実施の形態によれば、カラーフィルタ1用の複数色の画素2、3、4が設けられたガラスフィルム積層体10のガラスフィルム12の損傷を防止することができると共に、当該ガラスフィルム積層体10の取り扱い性を向上させることができる。このことにより、カラーフィルタ製造時におけるガラスフィルム積層体10の取り扱い性が向上し、ガラスフィルム積層体10を用いたカラーフィルタ1の製造効率を向上させることができる。
上記第1の実施形態では、図4に示すように、積層押圧部26のローラーが粘着層13に貼り付くことを防止するために、ガラスフィルム12上にカバーシート(離型紙)53が設けられていたが、積層押圧部26のローラーに離型処理を施しておいてもよい。この場合、積層押圧部26のローラーは粘着層13に貼り付かないため、カバーシート(離型紙)53が不要となる。そのため、図7に示す製造装置20Aのように、図4に示す製造装置20から剥離部60及び回収部61を省略した構成にすることができる。
(第2の実施形態)次に、図8および図9により、本発明の第2の実施の形態におけるガラスフィルム積層体10の製造方法について説明する。
図8および図9に示す第2の実施の形態においては、支持フィルムにガラスフィルムを積層して貼り付ける工程と、側部領域における粘着層及び支持フィルムを折り返す工程とが別々に行われる点が主に異なり、他の構成は、図1乃至図4に示す第1の実施の形態と略同一である。なお、図8および図9において、図1乃至図4に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図8に示すガラスフィルム積層体の製造装置20は、第1ラミネーター40と第2ラミネーター41とを有している。
このうち、第1ラミネーター40は、支持フィルム供給部21と、ガラスフィルム供給部22と、帯状の連続した離型フィルム30が巻き付けられた離型フィルム30のロールが取り付けられる離型フィルムロール42と、を有している。このうち、離型フィルム30は、図9に示すように、側部領域14の各々において粘着層13上に貼り付けられると共に、ガラスフィルム12の全面を覆うように形成されている。なお、図9においては、上述したように、離型フィルム30がガラスフィルム12の全面を覆うように形成されているが、このことに限られることはなく、離型フィルム30が側部領域14における粘着層13上に貼り付けられてロール状に巻き取られた場合に互いに隣接する支持フィルム11の部分同士が貼り付くことを防止可能であれば、離型フィルム30の形状は任意とすることができる。例えば、ガラスフィルム12の全体ではなく、ガラスフィルム12の両側部のみを覆うように離型フィルム30を形成してもよい。あるいはまた、離型フィルム30の幅をガラスフィルム12の幅及び粘着層13の幅より大きくしてもよい。このことにより、ガラスフィルム12の端部を効果的に保護することができる。また、離型フィルム30と粘着層13の貼り合わせのずれが生じた場合でも、粘着層13のはみ出し(露出)を防止することができる。
支持フィルム供給部21、ガラスフィルム供給部22および離型フィルムロール42の搬送方向下流側に、支持フィルム11、ガラスフィルム12および離型フィルム30をラミネートする第1積層押圧部43が設けられている。この第1積層押圧部43によって、支持フィルム11に粘着層13を介してガラスフィルム12が積層されて貼り付けられると共に、側部領域14の各々において粘着層13上に離型フィルム30が貼り付けられて、図9に示す積層中間体31が得られるようになっている。
第1積層押圧部43の下流側には、積層中間体31をコア45aに巻き取る積層中間体巻取部44が設けられている。この積層中間体巻取部44において、積層中間体31がコア45aに巻き取られた積層中間体ロール45が形成される。
第2ラミネーター41は、積層中間体ロール45が取り付けられた積層中間体供給部46と、成型ガイド62と、を有している。このうち、積層中間体供給部46の近傍には、離型フィルム30を剥離するための剥離部47と、剥離された離型フィルム30を回収する回収部48とが設けられている。
成型ガイド62は積層中間体供給部46の搬送方向下流側に設けられ、側部領域14の各々において支持フィルム11及び粘着層13を折り返して折返部50を形成する。これにより、図2に示すガラスフィルム積層体10が得られるようになっている。
成型ガイド62の搬送方向下流側には、粘着層13の向かい合った部分同士を接合させる折返押圧部63と、ガラスフィルム積層体10を円筒状のコア28aに巻き取る積層体巻取部27が設けられている。
本実施の形態において、ガラスフィルム積層体10を製造する場合、まず、粘着層13付きの帯状の連続した支持フィルム11と、帯状の連続したガラスフィルム12と、帯状の離型フィルム30と、を準備する。すなわち、第1ラミネーター40において、支持フィルム11のロールが支持フィルム供給部21に取り付けられ、ガラスフィルム12のロールがガラスフィルム供給部22に取り付けられ、離型フィルム30のロールが離型フィルム供給部42に取り付けられる。
続いて、支持フィルム供給部21から粘着層13付きの支持フィルム11が繰り出され、ガラスフィルム供給部22からガラスフィルム12が繰り出され、離型フィルムロール42から離型フィルム30が繰り出されて、第1積層押圧部43にそれぞれ搬送される。この際、支持フィルム供給部21から繰り出された粘着層13上のカバーシート16は、剥離部24によって、粘着層13から剥離されて、回収部25に巻き取られて回収される。このようにして、第1積層押圧部43には、カバーシート16が剥離された粘着層13付きの支持フィルム11が搬送される。
次に、第1積層押圧部43において、支持フィルム11に粘着層13を介してガラスフィルム12が積層されて貼り付けられると同時に、側部領域14の各々において、粘着層13上に離型フィルム30が貼り付けられる。このようにして、積層中間体31が得られる。
続いて、得られた積層中間体31は、積層中間体巻取部44において、コア45aに巻き取られて、積層中間体ロール45が形成される。
その後、第2ラミネーター41において、巻き取られた積層中間体31が繰り出されて、粘着層13から離型フィルム30が剥離され、側部領域15の各々において、支持フィルム11及び粘着層13が折り返されて折返部50が形成される。
この場合、まず、積層中間体ロール45が積層中間体供給部46に取り付けられる。続いて、積層中間体供給部46から積層中間体31が離型フィルム30を剥離しながら繰り出される。この際、積層中間体供給部46から繰り出された積層中間体31の離型フィルム30は、剥離部47によって粘着層13から剥離されて、回収部48に巻き取られて回収される。
このようにして、成型ガイド62には、離型フィルム30が剥離された粘着層13付きの支持フィルム11およびガラスフィルム12が搬送される。次に、成型ガイド62において、側部領域14の各々における支持フィルム11及び粘着層13が折り返されて折返部50が形成される。この際、折返部50の一部(端部)は、ガラスフィルム12上に貼り付けられる。このようにして、図2に示すガラスフィルム積層体10が得られる。
得られたガラスフィルム積層体10は、積層体巻取部27に搬送されて、コア28aに巻き取られる。このようにして積層体ロール28が得られる。
このように本実施の形態によれば、まず、第1ラミネーター40において、支持フィルム11に粘着層13を介してガラスフィルム12が積層されて貼り付けられ、その後、第2ラミネーター41において、側部領域14の各々において支持フィルム11及び粘着層13が折り返される。この場合、第1ラミネーター40においては支持フィルム11とガラスフィルム12との位置合わせを行えばよく、第2ラミネーター41においては支持フィルム11及び粘着層13の折り返し量の調整、すなわち成型ガイド62の湾曲部62aの位置調整を行えばよい。このことから、支持フィルム11とガラスフィルム12との位置合わせ、および、支持フィルム11及び粘着層13の折り返し量の調整を、それぞれ容易に行うことができ、折返部50を精度良く形成することができる。
(第3の実施形態)図10に、本発明の第3の実施形態によるガラスフィルム積層体の概略構成を示す。本実施形態では、折返部50がガラスフィルム12と重なっていない点が主に異なり、他の構成は図2に示す第1の実施形態と略同一である。図10において、図2に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図10に示すように、本実施形態によれば、折返部50とガラスフィルム12との間に所定の隙間81が設けられている。隙間81の大きさ(幅)は、0.1mm以上5.0mm以下が好ましい。このことにより、製造装置20において、ガラスフィルム12と支持フィルム11との一般的な位置合わせ精度及び成型ガイド62により折り返し量の調整精度から考慮される最大のずれが生じた場合であっても、ガラスフィルム12の側部と折返部50の端部とが接することによるカレット(ガラスくず)などの異物の発生を防止することができる。
また、側部領域14において粘着層13が露出される部分を最小限に留めることができるため、ガラスフィルム積層体10をロール状に巻き取った場合に、互いに隣接するガラスフィルム積層体10の部分同士が貼り付くことを防止できる。さらに、カラーフィルタ製造工程における露光時に、露光マスクが折り返された支持シートに貼り付くこと、また、現像時に、ガラスフィルム12上の画素2、3、4を形成する領域に現像液が溜まることを防止できる。
なお、隙間81の大きさは、各側部領域14において均等になっていてもよいし、異なっていてもよい。
隙間81が無く、かつ折返部50がガラスフィルム12と重なっていない場合、すなわち隙間81の大きさがちょうどゼロの場合、上述したように、カレットが発生し得るが、側部領域14において粘着層13が露出されることを防止できるため、ガラスフィルム積層体10をロール状に巻き取った場合に、互いに隣接するガラスフィルム積層体10の部分同士が貼り付くことを防止できる。
また、上記第3の実施形態では、粘着層13の幅と支持フィルム11の幅とが同じであったが、図11(a)に示すように、粘着層13の幅を、ガラスフィルム12の幅より大きく、かつ支持フィルム11の幅より小さいものとしてもよい。そして、図11(b)に示すように、側部領域14において支持フィルム11のみ折り返し、支持フィルム折返部51の先端部を粘着層13と貼り合わせるようにしてもよい。この場合、支持フィルム折返部51が折返部50となる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、当然のことながら、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
(実施例1)本発明の第1の実施の形態によるガラスフィルム積層体の製造方法を用いて得られたガラスフィルム積層体10を巻き取った場合に、互いに隣接するガラスフィルム積層体10の部分同士が貼り付くかどうかを確認した。ガラスフィルム積層体の製造には図7に示す製造装置20Aを用いた。
まず、支持フィルム11として、厚さ50μm、幅280mm、長さ10mの粘着層付きPETフィルム(リンテック社製、フジクリア50)を準備した。このPETフィルムに設けられた粘着層13上には、カバーシート16が剥離自在に貼り付けられている。ガラスフィルム12として、厚さ100μm、幅250mm、長さ10mの薄板ガラス(日本電気硝子社製 OA−10G)を準備した。
続いて、ラミネーターにより、PETフィルム11の粘着層13上に薄板ガラス12を積層して貼り付けた。薄板ガラス12をPETフィルム11の中央部に配置したことにより、側部領域14の幅はそれぞれ約15mm(=(280−250)÷2)となった。その後、側部領域14の各々において支持フィルム11及び粘着層13を折り返してガラスフィルム積層体10を得た。支持フィルム11の端から8.5mmの箇所を折り返し点とした。すなわち、粘着層13同士が貼り合わされる幅を6.5mm(=15−8.5)とし、折り返された支持フィルム11及び粘着層13と薄板ガラス12との重なり量を2mm(=8.5−6.5)とした。なお、正確には、折り返された粘着層13には、薄板ガラス12の側面に貼り付けられる部分が存在するが、薄板ガラス12の厚みは、支持フィルム11及び粘着層13の折り返し長さに比べて極めて小さいため、これは考慮しなくてもよい。
ガラスフィルム積層体10を、直径が6インチのコア28aに巻き取り、積層体ロール28を形成した。
次に、積層体ロール28を塗工装置の巻出部にセットし、ガラスフィルム積層体10を繰り出した。この際、ガラスフィルム積層体10がスムーズに繰り出されることが確認できた。すなわち、積層体ロール28において、互いに隣接するガラスフィルム積層体10の部分同士が貼り付いていないことが確認できた。
また、折り返された支持フィルム11及び粘着層13が薄板ガラス12から剥がれていないことが確認できた。さらに、折返部50にしわが寄っていないことが確認できた。
繰り出されたガラスフィルム積層体10の薄板ガラス12上に、マイクログラビアにてレジストを塗布し、その後に露光および現像を行い、カラーフィルタ用の画素2、3、4およびブラックマトリックス5を得た。
(実施例2)実施例1と同様の方法により、折り返された支持フィルム11及び粘着層13と薄板ガラス12との重なり量を20mmとしてガラスフィルム積層体10を得た。なお、支持フィルム11として用いたPETフィルムの幅を320mmとしていること以外は、実施例1と同一の材料及び製造装置を用いている。
薄板ガラス12をPETフィルム11の中央部に配置したことにより、側部領域14の幅はそれぞれ約35mm(=(320−250)÷2)となった。その後、側部領域14の各々において支持フィルム11及び粘着層13を折り返してガラスフィルム積層体10を得た。支持フィルム11の端から27.5mmの箇所を折り返し点とした。すなわち、粘着層13同士が貼り合わされる幅を7.5mm(=35−27.5)とし、折り返された支持フィルム11及び粘着層13と薄板ガラス12との重なり量を20mm(=27.5−7.5)とした。
そして形成された積層体ロール28を塗工装置の巻出部にセットし、ガラスフィルム積層体10を繰り出した。この際、ガラスフィルム積層体10がスムーズに繰り出されたことが確認できた。すなわち、積層体ロール28において、互いに隣接するガラスフィルム積層体10の部分同士が貼り付いていないことが確認できた。また、折り返された支持フィルム11及び粘着層13が薄板ガラス12から剥がれていないことが確認できた。さらに、折返部50にしわが寄っていないことが確認できた。
(実施例3)本発明の第2の実施の形態によるガラスフィルム積層体の製造方法を用いて得られたガラスフィルム積層体10を巻き取った場合に、互いに隣接するガラスフィルム積層体10の部分同士が貼り付くかどうかを確認した。
離型フィルム30として、一方の面に離型処理が施された、厚さ25μm、幅300mm、長さ10mの離型フィルム(東洋紡社製、K1616)を準備した。なお、支持フィルム11及びガラスフィルム12には、実施例1と同一の材料を用いた。
続いて、第1ラミネーター40により、PETフィルム11の粘着層13上に薄板ガラス12を積層して貼り付けると共に、側部領域14の各々において粘着層13上に、離型処理面が粘着層13側に配置されるように離型フィルム30を貼り付けて、積層中間体31を得た。作製された積層中間体31は、直径が6インチのコア45aに巻き取り、積層中間体ロール45を形成した。
次に、積層中間体ロール45を第2ラミネーター41の巻出部にセットし、離型フィルム30を剥離しながら積層中間体31を繰り出した。その後、側部領域14の各々において支持フィルム11及び粘着層13を折り返してガラスフィルム積層体10を得た。粘着層13同士が貼り合わされる幅を6.5mmとし、折り返された支持フィルム11及び粘着層13と薄板ガラス12との重なり量を2mmとした。
ガラスフィルム積層体10を、直径が6インチのコア28aに巻き取り、積層体ロール28を形成した。
次に、積層体ロール28を塗工装置の巻出部にセットし、ガラスフィルム積層体10を繰り出した。この際、ガラスフィルム積層体10がスムーズに繰り出されることが確認できた。すなわち、積層体ロール28において、互いに隣接するガラスフィルム積層体10の部分同士が貼り付いていないことが確認できた。また、折り返された支持フィルム11及び粘着層13が薄板ガラス12から剥がれていないことが確認できた。さらに、折返部50にしわが寄っていないことが確認できた。
その後、実施例1と同様にして、カラーフィルタ用の画素2、3、4を得た。
(実施例4)実施例1と同様の方法により、折り返した支持フィルム11及び粘着層13を薄板ガラス12に重ねず、2mmの隙間81を設けたガラスフィルム積層体10を得た。なお、支持フィルム及びガラスフィルムには実施例1と同一の材料を用いた。
PETフィルム11の粘着層13上に薄板ガラス12を積層して貼り付けた。薄板ガラス12をPETフィルム11の中央部に配置したことにより、側部領域14の幅はそれぞれ約15mm(=(280−250)÷2)となった。その後、側部領域14の各々において支持フィルム11及び粘着層13を折り返してガラスフィルム積層体10を得た。支持フィルム11の端から6.5mmの箇所を折り返し点とした。すなわち、粘着層13同士が貼り合わされる幅を6.5mmとし、折り返された支持フィルム11及び粘着層13と薄板ガラス12との隙間81を2mm(=15−(6.5×2))とした。
ガラスフィルム積層体10を、直径が6インチのコア28aに巻き取り、積層体ロール28を形成した。
次に、積層体ロール28を塗工装置の巻出部にセットし、ガラスフィルム積層体10を繰り出した。この際、ガラスフィルム積層体10がスムーズに繰り出されることが確認できた。すなわち、積層体ロール28において、互いに隣接するガラスフィルム積層体10の部分同士が貼り付いていないことが確認できた。また、折り返して接合された粘着層13同士が剥がれていないことが確認できた。
その後、実施例1と同様にして、カラーフィルタ用の画素2、3、4を得た。
(比較例1)側部領域14における支持フィルム11及び粘着層13を折り返さないこと以外は、実施例1と同様にしてガラスフィルム積層体を作製し、直径が6インチのコア28aに巻き取り、積層体ロールを形成した。塗工装置の巻出部にセットしてガラスフィルム積層体を繰り出そうとしたが、粘着層13によって互いに隣接するガラスフィルム積層体の部分同士が貼り付き、ガラスフィルム積層体を繰り出すことができなかった。
(比較例2)実施例1と同様の方法により、折り返された支持フィルム11及び粘着層13と薄板ガラス12との重なり量を1mmとしてガラスフィルム積層体10を得た。なお、材料は実施例1と同じものを用いており、支持フィルム11の端から8mmの箇所を折り返し点とした。
そして、形成された積層体ロールを塗工装置の巻出部にセットしてガラスフィルム積層体を繰り出した。この際、ガラスフィルム積層体10がスムーズに繰り出されることが確認できた。その後のカラーフィルタ用の画素を形成するための露光・現像処理において、薄板ガラス12と折り返された粘着層13との接合領域が狭いため粘着力が弱く、折り返した支持フィルム11及び粘着層13にガラスフィルム12からの剥がれが生じた。
(比較例3)実施例1と同様の方法により、折り返した支持フィルム11及び粘着層13を薄板ガラス12に重ねず、7mmの隙間81を設けたガラスフィルム積層体10を得た。なお、材料は実施例1と同じものを用いており、支持フィルム11の端から4mmの箇所を折り返し点とした。
そして形成された積層体ロールを塗工装置の巻出部にセットしてガラスフィルム積層体を繰り出そうとしたが、粘着層13によって互いに隣接するガラスフィルム積層体の部分同士が貼り付き、ガラスフィルム積層体を繰り出すことができなかった。
以上の説明においては、本発明によるガラスフィルム積層体およびガラスフィルム積層体の製造方法を、カラーフィルタに適用した例を示している。しかしながらこのことに限られることはなく、カラーフィルタの対向基板であるTFT基板若しくは電極基板、有機EL用表示素子基板、または太陽電池等の基板に、本発明によるガラスフィルム積層体およびガラスフィルム積層体の製造方法を適用することも可能である。さらには、既存のガラス製品の全て、例えば、建築、家具装飾、電子デバイス、半導体デバイス、車体部材などに用いられるガラス製品にも本発明を適用することができる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。