JP5699328B2 - 光学シート、面光源装置及び液晶表示装置 - Google Patents
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Description
特に、光学シートを2枚重ねで使用したり、ロールにして保管や運搬したりして光学シート同士で表裏が接触したり、或いは他の部材と接触したりしても、光学シート自体の表裏面が傷付き難い耐擦傷性に優れる光学シートに関する。並びに、それを用いた面光源装置、及び該面光源装置を用いた液晶表示装置に関する。
例えば、特許文献1では、一方の面を、単位光学要素として三角柱単位プリズム等を配列したプリズム面にした光学シートが開示されている。
この様に光学シートの複数枚を隣接して重ね合わせた構成の面光源装置、或いは該面光源装置を用いた液晶表示装置などの光学装置にアセンブリされた後の状態でも、振動の影響で同様に光学シートに傷付きが発生することがある。それは、光学装置に於いても、半製品、商品などとして保管、搬送するときに振動が加わることがあるからである。
また、光学シートを重ね合わせなくても、導光板や液晶パネル等の他の光学部材と光学シートとが隣接配置されると、他の光学部材との接触状態での保管、搬送等による振動によって、同様に光学シート自体の表裏面が傷付くことがある。
尚、その際に、プリズム等の単位光学要素の方は、比較的広い面積で外力を受けることが出来、又微粒子等の脱落し易い物を含まない為、特開2009−37204号公報記載のような柔軟で復元性を有する樹脂で構成することによって、外力による傷付きを防止する設計も可能である。
但し、平滑な裏側面の方は、該面が平滑であるが故に、逆に傷が目立ち易くなる。光学特性に影響の無い程度の傷でも、外観検査で不良と判定されたり、商品価値を低く評価されたりすることは不可避である。一方、プリズム面の方は、プリズム面の筋状外観や集光乃至光拡散特性に紛れて傷が視認され難い為、光学特性に影響の無い程度の傷であれば、傷は許容の余地が有る。
また、この様な光学シートを用いることで、該光学シート等の光学部材が傷付き難い、面光源装置と液晶表示装置を提供することである。
(1)シート状の本体部の一方の面に単位光学要素を配列してなり、該本体部が熱可塑性樹脂からなり、該単位光学要素が電離放射線硬化性樹脂からなり、該本体部の他方の面の裏側面が露出面となっている光学シートであって、
前記配列された単位光学要素で形成される光学要素面の硬度Heと、前記裏側面の硬度Hmとについて、
JIS K5600−5−4(1999年)に準拠して測定(荷重1000g、速度1mm/s)した鉛筆硬度で、硬度HmがB以上であり、且つ硬度Hmが硬度He以上(硬度Hm≧硬度He)である、光学シート。
(2)上記硬度He及び硬度Hmの関係が、更に、鉛筆硬度スケール上で1単位硬い硬度を+1としたときに、硬度He+3≧硬度Hm≧硬度He+2である、上記(1)の光学シート。
(3)上記(1)〜(2)の光学シートを、表裏を同じ向きで2枚重ね合わせてなる、光学シート。
(5)上記(4)の面光源装置と、該面光源装置の出光面上に載置した透過型液晶表示パネルとを、少なくとも備えた液晶表示装置。
(2)また、本発明による面光源装置及び液晶表示装置では、それが備える光学シートが上記した効果の様に表裏面の耐擦傷性が向上しているので、装置が、保管や運搬等で振動を受けても組み込まれた光学シートの表裏面の傷付きを防げ、品質が低下しない。
先ず、本発明による光学シートの一実施形態を、図1(a)の斜視図で示す。同図に示す光学シート10は、シート状の本体部1の一方の面1p(図面では図面上方の面)に、単位光学要素2として断面三角形の単位柱状プリズムをその稜線方向を互い平行に多数配列してなるプリズム群を有し、該本体部1の他方の面1qが光学シート10の裏側面Pmで平滑面となっている。そして、この光学シート10は、単位光学要素2を有する側の表面が表側面で光学要素面Peとなり、その反対側面が本体部1の最外面であり平滑面を有する裏側面Pmとなっている。
更に好ましくは、硬度Hm+3≧硬度He≧硬度Hm+2とする領域Ebとすることで、光学要素面Peが硬すぎることで(脆くなる為か)傷付くのを防げる。
次に、本発明において用いる主要な用語について、その定義をここで説明しておく。
「光学要素面Pe」は、一方の面1pに単位光学要素2が隙間なく配列され一方の面1pが埋め尽くされるときは、配列された単位光学要素2のみの面となる。また、一方の面1pに単位光学要素2が隙間を空けて配列されるときは、配列された単位光学要素2との面に加えて更に該隙間に於ける一方の面1pを含む面となる。
「裏側面」(うらがわめん)とは光学シートの該「表側面」とは反対側の面を意味することとする。したがって、「裏側面」は「一方の面1p」の反対側の「他方の面1q」でもある。
「表面」とは、物体が空気と接する面を意味することとする。したがって、上記「裏側面」も「表側面」も共に「表面」である。また、「表面」は「最外面」とも言える。
「表裏面」とは、「表側面」と「裏側面」との両方の「表面」を意味する。
「露出面」とは、物体が空気と接する面であり、「表面」と同じ意味である。
また、「光学シートを、表裏を同じ向きで2枚重ね合わせてなる」とは、2枚以上の光学シート10a、10b、・・を図3A及び図3Bの如く(2枚の場合を図示)、各光学要素面Pe、Pe、・・が全て同一方向(図3A及び図3Bに於いては、図面上方)を向くようにして重ね合わせ、1つの光学シート10bの光学要素面Peが隣接する光学シート10aの裏側面Pmと対面するようにすることを意味する。
「主切断面」とは、単位光学要素2が単位柱状プリズムなど柱状形状である場合において、本体部1の「一方の面1p」に立てた法線nd(図1(a)参照)に平行な断面のうち、単位光学要素2の配列方向にも平行な断面のことを言う。言い換えると、該法線ndに平行で且つ単位光学要素2(単位柱状プリズム)の稜線に直交する断面である。尚、図1(a)に於いては、Z軸が該法線ndと平行方向となっている。
「平滑」とは、光学的な意味合いでの平滑を意味する。すなわち、或る程度の割合の可視光が、光学シート10を構成する面においてスネルの法則を満たしながら屈折するようになる程度を意味している。したがって、例えば、本体部1の他方の面1qの十点平均粗さRz(JISB0601:1994年版)が最短の可視光波長(0.38μm)未満となっていれば、十分、平滑に該当する。
「粗面」とは、上記「平滑」の条件を満たさない凹凸面を意味する。即ち、或る表面の十点平均粗さRz値が0.38μm以上であれば、一応粗面と言える。但し、光学密着防止効果、光拡散効果等の粗面の光学的効果を可視光波長の全帯域に亙って十分に奏する為には、表面の十点平均粗さRz値が、最長の可視光0.78μmを超過することが好ましい。通常は、粗面の表面の十点平均粗さRz値は1〜10μm程度とする。
形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、「三角形」、「円形」、「楕円形」、「平行」、「直交」、「折れ線」等の用語は、厳密な意味に縛られることなく、製造技術における限界や成型時の誤差も含めて、同様の光学的機能を期待し得る程度の誤差、許容範囲、乃至は均等範囲を含めて解釈される用語である。
以下、光学シートについて、各層について更に説明する。
本体部1としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等の透明樹脂材料を用いることができる。
本体部1は「シート状」であるが、ここで「シート」とは、「フィルム」、「板」の概念も含むものであり、これらの用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。つまり、厚みや剛性によって区別されるものではない。例えば、本体部1の厚さは、25μm〜5mm等である。
但し、生産性に優れる点では、光学シートはロールに巻き取れる可撓性を有することが好ましく、この点では、剛直な所謂板乃至は基板と呼ばれるものではない方が好ましい。この点を考慮すると、本体部1の厚さは、25μ〜500μm程度が好ましい。
なお、本体部1の他方の面1qは、裏側面Pmを構成する面であり、通常は平滑面であるが、平滑面でなく粗面でも良い。
また、本体部1の一方の面1p及び他方の面1qは、共に通常は平面であり、本体部1は板のときは平板状となる。
なお、本体部1及び単位光学要素2からなる光学シート10の部分は、従来公知の方法及び透明材料より形成することができる。例えば、予め成膜乃至は成形した本体部1に対して、樹脂液を接触させ且つ該樹脂液を成形型と前記本体部1とで挟んだ状態で、硬化反応等の化学反応或いは冷却によって固化させて、表面にプリズム形状など光学要素群を賦形する成形法によって、異なる層として形成することもできる。
この様なときは、本体部1を、谷部の樹脂層を含める捉え方、谷部の樹脂層を含めない捉え方の、いずれで捉えても良い。前者の捉え方では、本体部1は、該谷部の樹脂層の厚みに該当する、谷部及び谷部以外の部分での樹脂層と、透明基材とから構成され、透明基材上に形成した樹脂層の厚みの一部を含むことになる。後者の捉え方では、本体部1は透明基材から構成され、該谷部の樹脂層の厚みに該当する、谷部及び谷部以外の部分での樹脂層は単位光学要素2に含まれ無いことになる。後者は、透明基材と樹脂層とが異なる材料、例えば、好ましい一形態であるところの、本体部1である透明基材の樹脂シートには熱可塑性樹脂を用い、単位光学要素2には電離放射線硬化性樹脂を用いる形態の様に、これら樹脂の違いに注目するときの捉え方である。
本体部1の他方の面1qは、光学シート10の本体部1に於いて光学要素面Peとは反対側に露出した裏側面Pmである。この裏側面Pmは、平滑面で良いが、粗面としても良い。図2に例示する光学シート10は、裏側面Pmが粗面となった例である。
本光学シート10の好ましい1形態では、隣接配置する他の光学部材との光学密着防止策は、基本的に、他の光学部材側に任せるため、裏側面Pmは、基本的には粗面とする必要がないから、平滑面で良い。但し、隣接配置する他の光学部材との光学密着防止策は、他の光学部材に任せるとは言え、全ての光学密着防止策を任せるのではなく、その一部を本光学シートが担うことまで否定するものではない。したがって、裏側面は粗面であっても良い。ただし、裏側面を粗面とせずに平滑面としておくことによって、該粗面による光散乱等で輝度の低下を防ぐことができ、粗面とした場合に比べて輝度を向上させることが出来る。
以上の観点から、光学シート10の裏側面Pmは、本体部1の他方の面1qであるのが好ましい。
但し、例えば、2層の樹脂層が積層した本体部1でも、2層共押出し法で製膜して形成すれば、本体部1の形成と同時に裏側面Pmは製膜と同時に形成された面とすることができる。
例えば、本体部1を熱可塑性樹脂の樹脂シートとして2層共押出し法で製膜して、1層で単位光学要素2側の一方の面1pを形成し、残りの1層で裏側面Pmを形成する。残りの1層中に、微粒子を含有させておき、この微粒子により裏側面Pmを粗面とすることができる。或いは、3層以上の多層共押出し法で製膜して、裏側面となる1層に微粒子を含有させる。
また、裏側面Pmを粗面にするには、透明基材を熱可塑性樹脂からなる樹脂シートで構成した後、熱プレスによる熱エンボス法で粗面を形成することができる。また、溶融押出法で熱可塑性樹脂の樹脂シートを製膜するときに、冷却ロールに表面を粗面としたエンボスロールを用いて粗面を形成することができる。また、熱可塑性樹脂を射出成形法で成形して本体部1とするときに、成形型の型面を粗面としておくことで、粗面を形成することができる。
単位光学要素2は、代表的には単位柱状プリズムであるが、この他、マイクロレンズ(マイクロレンズが多数が配列したものが、フライアイレンズ或いは蝿の目レンズなどと呼ばれている)など、従来公知の各種単位光学要素を適宜採用することができる。
以下、ここでは単位柱状プリズムについて、更に説明する。
単位柱状プリズムは、代表的には主切断面の形状が、本体部1側を底辺とする三角形形状の単位プリズムである。この様な、単位柱状プリズムとしては、従来公知の各種プリズムを適宜採用することができる。また、主切断面形状は、三角形、四角形、五角形、六角形等の様な直線のみからなる形状の他、一部に曲線がある形状、曲線のみからなる形状(例えば、円、楕円、抛物線、双曲線、正弦曲線等の曲線の一部)も含み得る。
なお、主切断面形状が円、楕円等の曲線一部の場合は、単位柱状レンズと呼ぶこともでき、本発明に於ける単位柱状プリズムには単位柱状レンズも含み得る。
また、単位柱状プリズムとして、特許第3119471号公報、特表2002−504698号公報等に記載の稜線の高さが折れ線状に変化し一定でない形状は、プリズム面側での光滲潤や干渉縞等の光学密着に起因する諸問題を防げる点で、好ましい形状の一種である。なお、稜線の高さを折れ線状に変化させた単位柱状プリズムを配列したプリズム群を製造するには、例えば、従来からこの種のプリズム群の製造に利用されているシリンダ状(円筒状)成形型を、切削バイトで作製するときに、切削バイトの切削深さを折れ線状に変化させつつ切削していくことで、容易に製造できる。
ここで、単位柱状プリズム及びそれからなる光学要素群(プリズム群)の寸法の具体例を示せば、単位柱状プリズムの底面の幅(プリズム配列方向での寸法)は10〜500μm、稜線を形成する頂部の高さは5〜250μm、主切断面形状は二等辺三角形状のとき稜線を形成する頂角は80〜110°好ましくは90°である。また、単位柱状プリズムを出光面側とはしないで入光面側とする向きで使用する場合は、該頂角の適切な角度は30〜75°、好ましくは40〜70°である。
単位光学要素2は、好ましくは、電離放射線硬化性樹脂で構成する。
該電離放射線硬化性樹脂としては、下記する各種のモノマー及び/又はプレポリマーの中から、裏側面Pmの鉛筆硬度Hm光学要素面Peの鉛筆硬度Heとの間の特定の関係を満たすような材料を選択する。
上記モノマー(単量体)としては、ラジカル重合性モノマーとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート類、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート類等の各種(メタ)アクリレートが挙げられる。尚、ここで(メタ)アクリレートとの表記は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
カチオン重合性モノマーとして、例えば、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキセンカルボキシレートなどの脂環式エポキシド類、ビスフェノールAジグリシジルエーテルなどグリシジルエーテル類、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどビニルエーテル類、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンなどオキセタン類等が挙げられる。
この他、カチオン重合性プレポリマーとして、例えば、ノボラック系型エポキシ樹脂プレポリマー、芳香族ビニルエーテル系樹脂プレポリマー等が挙げられる。
これらモノマー、或いはプレポリマーは、要求される性能、塗布適性等に応じて、1種類単独で用いる他、モノマーを2種類以上混合したり、プレポリマーを2種類以上混合したり、或いはモノマー1種類以上とプレポリマー1種類以上とを混合して用いたりすることができる。
本発明では、光学シート10の単位光学要素2側の表面である光学要素面Peの硬度Heと、その反対側面である裏側面Pmの硬度Hmとについて、鉛筆硬度で特定の硬度とする。
なお、硬度Hmを硬度He以上とするのは、裏側面Pmの硬度Hmを光学要素面Peの方の硬度He以上にしないと、裏側面Pmが、傷付き易いからである。また、光学要素面Peは外力が加えられた時は変形し外力から開放された時は元に戻る様に軟らかくすることで傷付きを防ぐ必要が有り、又通常そのように設計される。
また、裏側面Pmが粗面のときは、裏側面Pmは逆に、外力が加えられた時でも光学密着を防止する為に相応に変形せずに耐えて形状を維持させる必要があると共に、凹凸の突出部分には、光学要素面Peに比べて、応力が集中し、これに耐える必要も有る。その為、硬度Hmは硬度He以上とするのが好ましい。
本発明による光学シート10は、図3A及び図3Bの断面図で概念的に示す様に、2枚重ね合わせた状態の光学シート10Aとしても良い。この2枚重ね合わせた状態とは、上下の光学シート10a,10b同士が間に空間を空けて配置されることではなく、互いに接触しており隣接配置されることを意味する。図3A及び図3Bの場合は、下側の光学シート10bの光学要素面Peと、上側の光学シート10aの裏側面Pmとが互いに接触した構成である。このうち、図3Aは光学シート10a,10bが共に裏側面Pmが平滑面の形態、図3Bは光学シート10a,10bが共に裏側面Pmが粗面面の形態である。
また、光学シートを2枚重ねするとき、重ね合わせる光学シート同士は、単位光学要素2の内容、及び、本体部1の内容が全く同じ物でも良いが、(前記の如くの鉛筆硬度の関係が満たされる限りは)異なるものでも良い。
なお、本発明の光学シート10は、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で、上記した層以外のその他の層を含んでいても良い。
例えば、帯電防止層を更に設けても良い。帯電防止層によって、埃等の異物付着を低減し、付着した異物による傷付きを防止できる。なお、帯電防止層を別途設けず、本体部1、単位光学要素2のいずれか1以上に、帯電防止剤を添加して帯電防止機能を付与しても良い。
また、光学シート10の入光面とする面に、該面直下の層よりも相対的に低屈折率の低屈折率層からなる反射防止層を設けても良い。光学シート10への入射光の反射損失を低減出来る。例えば、裏側面Pmを入光面とする場合に、裏側面Pmに反射防止層を設ける等である。
上記のヘーズ及び透過鮮明度は、単位光学要素2を形成しない本体部1で一方の面1p及び他方の面1qが平滑面の測定値である。この測定は、例えば、単位光学要素2の光学要素面Peの凹凸を同様の屈折率を有する樹脂で埋めた状態で、測定することもできる。
本発明による面光源装置は、少なくとも、光源と、該光源からの光を一方の面から入光し他方の面に出光する上記した光学シート10と備える、面状に光を放射する光源装置である。光学シート10以外の構成要素である、光源、出光面が粗面を呈する光学部材(図4Aの光拡散シート33等)やその他の必要に応じて配置される光学部材など、またそれらの配置関係などは、従来公知の面光源装置の各種光学部材及び配置を、適宜採用することができる。
以下、先ず裏側面Pmが平滑面である第1の形態を説明し、その次に、裏側面Pmが粗面である第2の形態を説明する。
第1の形態による面光源装置は、少なくとも、光源と、該光源からの光を一方の面から入光し他方の面から出光する出光面が粗面を呈する光学部材と、該光学部材の出光面からの光を一方の面から入光し他方の面に出光する、裏側面Pmを平滑面とした上記した光学シート10と備える、面状に光を放射する光源装置である。
一方、光学シート10の裏側面Pmは光源31側であり、平滑塗膜面Pmは、光拡散シート33の出光面(粗面)と接触する。このため、光拡散シート33の出光面が粗面となっていることによって、光学シート10の裏側面Pmと導光板32との光学密着が防止されており、該光学密着による輝度の面内不均一化、干渉縞等を効果的に防げる構成となっている(なお、光拡散シート33は導光板32側の面も粗面を呈し、導光板32との光学密着も防げる構成となっている)。更に、光学シート10は裏側面Pmの鉛筆硬度がB以上に設定され、耐擦傷性が向上しているので、裏側面Pm自身の傷付き、この場合には、接触している光拡散シート33の出光面との接触による傷付きを、防げる構成となっている。
なお、上記した実施形態では、光拡散シート33が出光面が粗面を呈する他の光学部材21の例であったが、導光板32として出光面が粗面のものを用いる形態もあり得る。この場合は、該導光板32が、出光面が粗面を呈する他の光学部材21となる(不図示)。この様な構成に於いても、出光面が粗面を呈する他の光学部材21の該粗面と、光学シート10の平滑塗膜面Pmとを接触させて配置しても、接触による干渉縞や傷付きを防げる。
第2の形態による面光源装置は、少なくとも、光源と、該光源からの光を一方の面から入光し他方の面に出光する、裏側面Pmを粗面とした上記した光学シート10と備える、面状に光を放射する光源装置である。
一方、光学シート10の裏側面Pmは導光板32側であり、裏側面Pmは、光学シート10と接触する他の光学部材22としての、導光板32の出光面に接触している。しかし、裏側面Pmの粗面によって導光板32との光学密着が防止されており、該光学密着による輝度の面内不均一化、干渉縞等を効果的に防げる構成となっている。更に、裏側面の耐擦傷性が向上しているので、光学シート自身の傷付き、この場合には、接触している導光板32の出光面との接触による傷付きを、防げる構成となっている。
また、図4Bの第2の形態の実施形態では、光学シート10は1枚配置の形態例であったが、図3Bに図示の様な2枚重ねなど、複数枚を配置してもよい。
また、光源31に対して、光源31からの光を導光板32や光学シート10側へ向ける為に反射板等の反射部材を通常は備える。反射部材は金属等の高反射率の材料で構成される。その他、必要に応じて、光拡散板、偏光分離フィルム、位相差板などの光学部材が更に配置される。
本発明による液晶表示装置は、少なくとも、バックライトとしての上記面光源装置と、該面光源装置の出光面上に配置される透過表示可能な液晶パネルとを備える表示装置である。該面光源装置内に前記本発明による光学シート10が備えられている。この様な面光源装置、及び液晶パネル以外の構成部材、例えば、光学部材、パネル駆動回路などは、従来公知の液晶表示装置の構成部材を、適宜採用することができる。
例えば、図4A及び図4Bで例示の様な液晶表示装置40では、上記した面光源装置30をバックライトとして、その出光面上に、透過型の液晶パネル41を隣接配置してある。従って、該面光源装置30の出光面は、同図に示す様に、光学シート10の光学要素面Peであったから該光学要素面Peが、光学シート10と接触する他の光学部材22として、液晶パネル41の背面と接触している。なお、接触する液晶パネル41の背面は通常は偏光板が積層されている。そして、液晶バネル41の画像は、面光源装置30からの光によって、図面上方の観察者Vによって観察される。
このような構成の液晶表示装置として、光学シート10と液晶パネルとが隣接配置されていても、光学要素面Peの耐擦傷性が向上しているので、光学シート自身の傷付きを防げる構成となっている。
各種鉛筆硬度の透明な樹脂シートとして、厚さ200μmの次の樹脂のシートを準備した。
アクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社製、品番HBS006)
・樹脂シートB:鉛筆硬度B用
ポリカーボネート樹脂(住友ダウ株式会社製、カリバー(登録商標)301−40)
・樹脂シートC:鉛筆硬度HB用
ポリカーボネート樹脂(住友ダウ株式会社製、カリバー(登録商標)301−10)
・樹脂シートD:鉛筆硬度F用
アクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社製、品番HBS006:品番HBXN47=2:1質量比)
・樹脂シートE:鉛筆硬度H用
アクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社製、品番HBXN47)
図1(a)の様な、単位光学要素2として単位柱状プリズムを採用した光学シート10を作製した。
先ず、成形型として単位柱状プリズムからなるプリズム群とは逆凹凸形状の型面を有する金属製のシリンダ状の成形型を用意した。そして、この成形型に、下記単位光学要素形成用の樹脂組成Aの透明なアクリル系の紫外線硬化性樹脂液を塗布し、更にその上に、厚み200μmの上記樹脂シートBを重ねた状態で、高圧水銀灯からの紫外線照射によって該樹脂液を硬化させた。そして、単位光学要素2として単位柱状プリズムがその稜線を互いに平行に、シート状の本体部1の一方の面1pに配列して成るプリズム群を有し、本体部1の他方の面1qである裏側面Pmが平滑面となった、目的とする光学シートを作製した。
プレポリマー(カプロラクトン変性ウレタンアクリレート) 10質量部
プレポリマー(トリレンジイソシアネート系ウレタンアクリレート) 8質量部
ビスフェノールAジアクリレート(EO4モル変性)(2官能モノマー)48質量部
イソシアヌル酸トリアクリレート(EO3モル変性)(3官能モノマー)30質量部
開始剤 3質量部
(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)
滑剤(リン酸エステル系滑剤) 1質量部
実施例1に於いて、樹脂シートを樹脂シートCに変更した他は、実施例1と同様にして光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度Heは3Bで、裏側面Pmの硬度HmはHBを示した。
実施例1に於いて、樹脂シートを樹脂シートDに変更した他は、実施例1と同様にして光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度Heは3Bで、裏側面Pmの硬度HmはFを示した。
実施例1に於いて、樹脂シートを樹脂シートEに変更した他は、実施例1と同様にして光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度Heは3Bで、裏側面Pmの硬度HmはHを示した。
実施例1に於いて、樹脂シートを樹脂シートAに変更した他は、実施例1と同様にして光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度Heは3Bで、裏側面Pmの硬度Hmは2Bを示した。
実施例2に於いて、単位光学要素形成用の樹脂組成物を次の樹脂組成Bに変更し、実施例2と同様にして光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度Heは2Bで、裏側面Pmの硬度HmはHBを示した。
プレポリマー(カプロラクトン変性ウレタンアクリレート) 20質量部
プレポリマー(トリレンジイソシアネート系ウレタンアクリレート) 8質量部
ビスフェノールAジアクリレート(EO4モル変性)(2官能モノマー)38質量部
イソシアヌル酸トリアクリレート(EO3モル変性)(3官能モノマー)30質量部
開始剤 3質量部
(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)
滑剤(リン酸エステル系滑剤) 1質量部
実施例3に於いて、単位光学要素形成用の樹脂組成物を上記の樹脂組成Bに変更した他は、実施例3と同様にして光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度Heは2Bで、裏側面Pmの硬度HmはFを示した。
実施例4に於いて、単位光学要素形成用の樹脂組成物を上記の樹脂組成Bに変更した他は、実施例4と同様にして光学シートを作製した。
得られた光学シートの鉛筆硬度は、光学要素面Peの硬度Heは2Bで、裏側面Pmの硬度HmはHを示した。
上記の各実施例及び各比較例で得た光学シートについて、鉛筆硬度と耐擦傷性を評価した。
(2)耐擦傷性は、厚さ3mmの透明なアクリル樹脂板の間に、1辺の長さが5cmの正方形に裁断した10枚の光学シートを、各光学要素面を下側に向けて且つ各単位光学要素つまり単位柱状プリズムの配列方向を同じ方向に揃えて重ね、更にその上から前記と同じ透明なアクリル樹脂板を重ねて、四辺周囲を粘着テープで固定したものを、振動試験機(アイデッスク株式会社製、BF−50UL)の水平な加振台の上に固定し、更にその上から荷重10gの重りを載せて固定した状態で、上下及び左右の3軸同時振動を加える。振動は、加速度7.3G、周波数67Hzである。そして、振動を加えた後の光学シートについて、その表面具合を倍率500倍の顕微鏡による目視観察で確認する。そして、光学要素面Peについては単位柱状プリズムの稜線部分の長さ3mmに亘った領域を観察し、裏側面Pmについては面積9mm2の正方形の領域を観察して、傷の発生状況の有無で優劣を評価する。傷が無い(0個)の場合は良好(OK)、1箇所以上の場合は不良(NG)と判定した。
そして、各実施例及び比較例の鉛筆硬度での硬度He及び硬度Hmと、耐擦傷性を表1と図1(b)に示す。図1(b)中、総合評価として、裏側面Pm、光学要素面Pe共に耐擦傷性が良好であったものは○印でプロットし、裏側面Pmのみ耐擦傷性が良好であったものは△でプロットし、裏側面Pm、光学要素面Pe共に不良であったものは×印でプロットした。表1に於いても同様の総合評価を記入した。また、これら○印、△印、及び×印の脇に沿えてあるアルファベットA〜Hが、表1中で各実施例及び比較例に対応する記号である。例えば、点AのHe=3BでHm=2Bの座標(3B,2B)は比較例1に対応する。
光学要素面Peの硬度Heが3Bの系列の実施例1、2、3、4及び比較例1では、裏側面Pmの硬度Hmが2BとBより−1軟らかいと裏側面Pmが削られ(比較例1、A点)、総合評価は不良(×)と評価され、又裏側面の硬度HmがH以上の場合、少なくとも塗膜面Pmの削れは無く、総合評価は良好(△又は○)と評価された。尚、裏側面Pmの硬度HmがF、Hと、光学要素面Peの硬度Heの3Bよりも+4、+5と硬いと(実施例3のD点、実施例4のE点)、今度は光学要素面Peが削られた。
光学要素面Peの硬度Heが2Bの系列の実施例5〜7では、裏側面Pmの硬度HmがHB、Fと、光学要素面Peの硬度Heの2Bに対して+2、+3と硬いときは光学要素面Peの削れは発生しないが(実施例5のF点、実施例6のG点、総合評価○)、裏側面Pmの硬度HmがHと、光学要素面Peの硬度Heの2Bに対して+4まで硬くなると光学要素面Peが削られた(実施例7のH点、総合評価△)。
1p 一方の面
1q 他方の面
2 単位光学要素
10,10a,10b 光学シート
10A 2枚重ねの光学シート
21 接触する出光面が粗面を呈する他の光学部材
22 接触する他の光学部材(導光板、液晶パネルなど)
30 (エッジライト型の)面光源装置
31 光源
32 導光板
40 液晶表示装置
41 液晶パネル
He 光学要素面の鉛筆硬度
Hm 裏側面の鉛筆硬度
nd 法線
Pe 光学要素面
Pm 裏側面
V 観察者
Claims (5)
- シート状の本体部の一方の面に単位光学要素を配列してなり、該本体部が熱可塑性樹脂からなり、該単位光学要素が電離放射線硬化性樹脂からなり、該本体部の他方の面の裏側面が露出面となっている光学シートであって、
前記配列された単位光学要素で形成される光学要素面の硬度Heと、前記裏側面の硬度Hmとについて、
JIS K5600−5−4(1999年)に準拠して測定(荷重1000g、速度1mm/s)した鉛筆硬度で、硬度HmがB以上であり、且つ硬度Hmが硬度He以上(硬度Hm≧硬度He)である、光学シート。 - 上記硬度He及び硬度Hmの関係が、更に、鉛筆硬度スケール上で1単位硬い硬度を+1としたときに、硬度He+3≧硬度Hm≧硬度He+2である、請求項1記載の光学シート。
- 請求項1〜2のいずれかに記載の光学シートを、表裏を同じ向きで2枚重ね合わせてなる、光学シート。
- 光源と、該光源からの光を一方の面から入射し他方の面に出光する請求項1〜3のいずれかに記載の光学シートとを、少なくとも備えた面光源装置。
- 請求項4記載の面光源装置と、該面光源装置の出光面上に載置した透過型液晶表示パネルとを、少なくとも備えた液晶表示装置。
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