本発明の実施の形態について、図面を参照して以下に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されるものではない。本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解されるからである。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容のみに限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて本発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。
なお、以下の説明で参照する図面などにおいて、各構成の大きさ、厚さまたは領域の幅などは、明瞭化のために誇張されて表記されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されるものではない。
なお、以下に説明する各実施の形態は、互いに矛盾しない範囲で適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態1)
本実施の形態は、本発明の一態様であるTFTの一例について説明する。
図1は、本実施の形態のTFTの上面図と、該上面図のX−Yにおける断面図を示す。
図1に示すTFTは、基板100上に設けられた下地層102と、下地層102上に設けられた第1の配線層104と、第1の配線層104に少なくとも一部が接する不純物半導体層106と、少なくとも一部が不純物半導体層106を介して第1の配線層104と電気的に接続される半導体層108と、半導体層108上に設けられた第1の絶縁層110と、少なくとも半導体層108と第1の絶縁層110を覆って設けられた第2の絶縁層112と、第2の絶縁層112上であって、不純物半導体層106の少なくとも一部、及び不純物半導体層106によって形成されるソース領域とドレイン領域の間(半導体層108のチャネル形成領域を含む)に重畳して設けられた第2の配線層114と、を有する。すなわち、図1に示すTFTは、トップゲート構造のスタガ型TFTである。
基板100は、絶縁性基板である。基板100として、例えば、ガラス基板または石英基板を用いることができる。ここでは、ガラス基板を用いる。基板100がマザーガラスである場合には、第1世代(例えば、320mm×400mm)〜第10世代(例えば、2950mm×3400mm)のものを用いればよいが、これに限定されるものではない。または、基板100が透光性でなくてもよい場合には、ステンレス合金などの金属の基板の表面に絶縁層を設けたものを用いてもよい。
下地層102は、絶縁性材料(例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンなど)により形成すればよい。なお、単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。基板100がアルカリ金属イオン(例えば、Na)などの可動イオンを含む場合には、これらが半導体層などに侵入することを防止するために、下地層102を窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンにより形成することが好ましい。
なお、「窒化酸化シリコン」とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、好ましくは、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Back−scattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward−scattering Spectrometry)を用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。
一方で、「酸化窒化シリコン」とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、好ましくは、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。
ただし、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、シリコン及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
第1の配線層104は、少なくとも信号線とソース電極及びドレイン電極を構成する。第1の配線層104は、導電性材料(例えば金属、または一導電型の不純物元素が添加された半導体など)により形成すればよい。なお、単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。ここでは、例えば、Ti層によりAl層を挟持した3層の積層構造として形成する。
不純物半導体層106は、少なくともソース領域及びドレイン領域を形成する。一導電型を付与する不純物元素が含まれる半導体により形成する。TFTがn型である場合には、一導電型を付与する不純物元素として、例えば、PまたはAsを添加したシリコンが挙げられる。TFTがp型である場合には、一導電型を付与する不純物元素として、例えば、Bが挙げられる。ただし、TFTはn型にすることが好ましい。そのため、ここでは、Pを添加したシリコンを用いる。なお、不純物半導体層106は非晶質半導体により形成する。ただし、これに限定されない。ドナー若しくはアクセプタとなる不純物元素は、不純物半導体膜の形成時の原料ガスに添加してもよいし、または、半導体膜を形成した後に添加してもよい。
半導体層108は、少なくともTFTのチャネル形成領域を含む。半導体層108は、結晶粒を含み、非晶質構造の中に複数の結晶領域を含むとよい。結晶粒の起点となる核生成位置と核生成密度は、キャリアが流れる領域にあわせて制御される。図1に示すTFTは、トップゲート構造であるため、半導体層108中の結晶粒と結晶領域の占める割合は、半導体層の上側で大きく、下側で小さくするとよい。このような半導体層は、結晶粒を逆錐形状とすることで形成することができる。結晶粒を逆錐形状とするには、結晶粒の核生成位置及び核生成密度を制御すればよい。
ここで、半導体層108について詳細に説明する。半導体層108において、結晶性半導体により構成される結晶粒は、非晶質構造を含む半導体層中に離散して存在する(図5(A))。または、結晶粒が更に成長し、結晶粒上部が繋がった状態を有する。(図5(B))。
半導体層108は、第1の領域130と第2の領域132を有する(図5(A))。第1の領域130は、非晶質構造を含み、微小結晶粒134を有する。第2の領域132は、離散的に存在する複数の結晶粒136と、微小結晶粒134と、複数の結晶粒136及び微小結晶粒134の間を充填する非晶質構造と、を有する。第1の領域130は、下地層102上に接して、下地層102との界面から厚さt1となる位置まで存在する。第2の領域132は、第1の領域130上に接して、厚さt2となる位置まで存在する。すなわち、結晶粒136の核生成位置は、下地層102との界面からt1の位置となるよう半導体層108の厚さ方向において制御されている。結晶粒136の核生成位置は、第1の半導体層108に含まれる「結晶核の生成を抑制する不純物」の濃度により制御される。「結晶核の生成を抑制する不純物」として代表的には窒素が挙げられる。
そして、結晶粒136の形状は、逆錐形状である。ここで、逆錐形状とは、多数の平面から構成される面の閉じた曲線又は折れ線の周上を一周する点と、この多数の平面から構成される面の外に存在する頂点とを結ぶ曲線によって作られる曲面と、で囲まれた立体的形状であって、該頂点が基板100側に存在するものをいう。換言すると、下地層102と半導体層108との界面から離れた位置から、半導体層108が堆積される方向に向けて、(好ましくはソース領域及びドレイン領域に達しない領域内において)略放射状に成長した形状である。離散的に形成された結晶核のそれぞれが、半導体層108の形成と共に結晶の方位に沿って成長することで、結晶粒136は、結晶核を起点として結晶の成長方向と垂直な面の面内方向に拡がるように成長する。このような結晶粒を有することで、非晶質半導体よりもオン電流を高くすることができる。また、結晶粒136内には単結晶または双晶を含む。
上記説明したように、結晶粒は離散的に存在する。結晶粒を離散的に存在させるためには、結晶の核生成密度を制御すればよい。
なお、上記の「結晶核の生成を抑制する不純物」が高濃度(二次イオン質量分析法によって計測される濃度が概ね1×1020atoms/cm3以上)に存在すると、結晶成長も抑制される。そのため、窒素は、半導体層108の被形成面にのみ存在させ、または半導体層108となる膜の形成初期にのみ導入するとよい。
半導体層108の第1の領域130は、非晶質構造を含み、微小結晶粒134を有する。また、従来の非晶質半導体層と比較して、CPM(Constant Photocurrent Method)やフォトルミネッセンス分光測定で測定されるUrbach端のエネルギーが小さく、欠陥吸収スペクトル量が少ない。これらのことから、従来の非晶質半導体層と比較して、欠陥が少なく、価電子帯のバンド端における準位のテール(裾)の傾きが急峻である秩序性の高い半導体層であるといえる。また、半導体層108の第1の領域130における低温フォトルミネッセンス分光によるスペクトルのピーク領域は、1.31eV以上1.39eV以下である。なお、微結晶半導体層(代表的には微結晶シリコン層)における低温フォトルミネッセンス分光によるスペクトルのピーク領域は、0.98eV以上1.02eV以下である。
なお、「結晶核の生成を抑制する不純物」として、窒素に代えてNH基またはNH2基を有していてもよい。半導体層108にNH基を含ませることで、ダングリングボンドを架橋することができ、またはNH2基を含ませることでダングリングボンドを終端し、オン電流の向上に寄与する。なお、半導体層108にNH基またはNH2基を含ませるためには、形成に用いるガス中にNH3ガスを含ませればよい。
半導体層108の第2の領域132は、好ましくは、非晶質構造を含み、微小結晶粒を有する。すなわち、第1の領域130と同質の部分を有しているといえる。該半導体層は、従来の非晶質半導体と比較して、CPM(Constant photocurrent method)やフォトルミネッセンス分光測定で測定されるUrbach端のエネルギーが小さく、欠陥吸収スペクトル量が少ない。すなわち、従来の非晶質半導体と比較して欠陥が少なく、価電子帯のバンド端(移動度端)における準位のテイル(裾)の傾きが急峻である秩序性の高い半導体層であるといえる。このような半導体層は、結晶性半導体の形成と同様の形成条件を用いて、且つ形成ガスに窒素を含むガスを含ませることで形成することができる。
なお、半導体層108において、窒素濃度は、下地層との界面から離れるにつれて徐々に低下する。窒素濃度は、25nm以上40nm以下の範囲で下地層より一桁低下するとよく、好ましくは30nm以上35nm以下で一桁低下することが好ましい。
なお、微小結晶粒134は、必ずしも含まれていなくてもよい。すなわち、結晶粒136は、微小結晶粒134を含まない非晶質構造中に分散されていてもよい。半導体層108に微小結晶粒134が含まれていない場合であっても、半導体層108にNH基またはNH2基を含んでいてもよい。
上記したように、トップゲート構造の半導体層108が逆錐形状を有することで、チャネル形成領域の結晶性を高くすることができるため、TFTの電界効果移動度を向上させ、オン電流を大きくすることができる。
または、結晶粒が更に成長し、結晶粒の上部が互いに繋がっていてもよい。結晶粒が繋がることで、結晶膜138が形成される(図5(B))。図5(B)のように結晶粒が繋がることで、図5(A)の状態よりも更にTFTの電界効果移動度を向上させ、オン電流を大きくすることができる。
なお、本明細書のTFTを示す図において、結晶粒、非晶質構造を含む領域などを総括して「半導体層」と呼ぶ。なお、本実施の形態では図5(B)に示す半導体層をTFTに設け、その他の実施の形態では図5(B)に示す半導体層をTFTに設けているが、これに限定されず、各々が逆であってもよい。
第1の絶縁層110は、少なくともTFTのゲート絶縁層の一部として機能するのみならず、半導体層108の保護層としても機能する。第1の絶縁層110は、絶縁性材料(例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは酸化シリコンなど)により形成すればよい。または、非晶質シリコンにより形成してもよい。なお、単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。第1の絶縁層110は、酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンにより形成することが好ましい。
第2の絶縁層112は、少なくともTFTのゲート絶縁層の一部として機能する。第2の絶縁層112は、第1の絶縁層110と同様の材料により形成すればよいが、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンにより形成することが好ましい。
なお、第1の絶縁層110及び第2の絶縁層112は、高周波数(1GHz程度)のマイクロ波プラズマCVD装置を用いて形成することが好ましい。マイクロ波プラズマCVD装置を用いて、高周波数のプラズマにより第1の絶縁層110及び第2の絶縁層112を形成すると、ゲートと、ドレイン及びソースとの間の絶縁耐圧を向上させることができるため、信頼性の高いTFTを得ることができる。
第2の配線層114は、少なくとも走査線とゲート電極を構成する。第1の配線層104と同様に、導電性材料(例えば、金属、または一導電型の不純物元素が添加された半導体など)により形成すればよい。なお、単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。ここでは、例えば、Ti層によりAl層を挟持した3層の積層構造として形成する。
第3の絶縁層116は、少なくともTFTの保護層(いわゆる、パッシベーション層)として機能し、大気中に浮遊する有機物、金属または水蒸気などの汚染源となりうる不純物の侵入を防止する。第3の絶縁層116は、絶縁性材料(例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは酸化シリコンなど)により形成すればよい。なお、単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよいが、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンにより形成することが好ましい。
第3の配線層120は、少なくとも画素電極を構成する。第3の配線層120は、透光性を有する導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。第3の配線層120は、シート抵抗が10000Ω/cm2以下であって、且つ波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、またはアニリン、ピロールおよびチオフェンの2種以上からなる共重合体若しくはその誘導体などが挙げられる。
または、第3の配線層120は、例えば、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、または酸化シリコンを添加したITOなどを用いて形成することができる。
ここで、図1に示すTFTの作製方法について説明する。
まず、基板100上に下地層102を形成する。その後、下地層102上に第1の導電膜を形成し、該第1の導電膜をフォトリソグラフィ法により加工して第1の配線層104を形成する(図2(A))。
次に、第1の配線層104に接して不純物半導体膜152を形成する(図2(B))。不純物半導体膜152をフォトリソグラフィ法により加工して不純物半導体層106を形成する(図2(C))。
次に、少なくとも不純物半導体層106に接して半導体膜154と第1の絶縁膜156をこの順に積層して形成する(図2(D))。
半導体膜154は、加工されて半導体層108となるものである。そのため、半導体膜154は、好ましくは、結晶粒を含み、非晶質構造の中に複数の結晶領域を含む半導体膜であって、結晶粒が逆錐形状である。結晶粒を含み、非晶質構造の中に複数の結晶領域を含む半導体膜は、「結晶核の生成を抑制する不純物」の存在下において、微結晶半導体の生成が可能な混合比で半導体材料ガスと希釈ガスを混合して形成すればよい。「結晶核の生成を抑制する不純物」存在下は、例えば下記の方法により形成することができる。
(1)半導体膜の被形成面に「結晶核の生成を抑制する不純物」を存在させる。
(2)表面が半導体膜の被形成面となる膜中に「結晶核の生成を抑制する不純物」を含ませる。
(3)「結晶核の生成を抑制する不純物」を含む膜によって、半導体膜の形成に用いる反応室内壁を被覆する。
(4)半導体膜の形成初期のガスに「結晶核の生成を抑制する不純物」を含ませる。
(1)半導体膜の被形成面に「結晶核の生成を抑制する不純物」を存在させる方法としては、例えば、窒素を含むガスに半導体膜の被形成面を曝す方法が挙げられる。
まず、NF3ガスなどによりクリーニングされた反応室内に基板100を搬入する。そして、基板100が搬入された状態で、半導体膜154の被形成面に窒素を供給する。ここでは、下地層102、第1の配線層104及び不純物半導体層106をNH3ガスに曝すことで窒素を供給する。NH3ガスには水素を含ませてもよい。ここでは、一例として、反応室内の圧力は概ね20Pa〜30Pa、基板の温度は280℃とし、処理時間は60秒間とするとよい。なお、プラズマ処理を行ってもよい。その後、ガスを排気し、半導体膜154の形成に用いるガスを反応室内に導入する。
(2)半導体膜の被形成面となる膜中に「結晶核の生成を抑制する不純物」を含ませる方法としては、例えば、下地層102に窒素を含ませる方法が挙げられる。例えば、下地層102を窒化シリコン層とすればよい。または、第1の配線層104を積層構造として最上層を窒化チタン層とすればよい。なお、不純物半導体層106を、窒素を含む層にすることは困難であるが、例えば不純物半導体層106を2層の積層構造とし、上層のみに窒素を含む層を設けてもよい。
(3)「結晶核の生成を抑制する不純物」を含む膜によって、半導体膜の形成に用いる反応室内壁を被覆する方法としては、例えば、反応室内壁を窒化シリコン膜で覆う方法が挙げられる。
(4)半導体膜の形成初期のガスに「結晶核の生成を抑制する不純物」を含ませる方法としては、例えば、半導体膜の形成初期にのみNH3ガスを含ませる方法が挙げられる。
なお、上記した「結晶核の生成を抑制する不純物」存在下は、(1)〜(4)の方法を複数組み合わせて用いてもよい。
半導体膜の形成初期にのみNH3ガスを含ませる場合には、一例として、SiH4の流量を20sccm、NH3を1000ppmまで希釈したNH3とH2の混合ガスの流量を50sccm、H2の流量を700sccm、Arの流量を750sccmとし、反応室内の圧力を350Pa、基板の温度を280℃とし、13.56MHzの高周波電源を用いて60Wのプラズマ放電を行う。このとき、上部電源と基板の間隔は25mmとする。
または、反応室内の圧力を798Pa、基板の温度を280℃とし、13.56MHzの高周波電源を用いて100Wのプラズマ放電を行う。このときは、上部電源と基板の間隔は15mmとする。
その後、NH3とH2の混合ガスの流量を0とする。
上記の例において、半導体膜154の形成に用いられる材料ガスでは、SiH4の流量に対する他のガスの流量を75倍としている。そのため、シリコンは徐々に堆積される。
上記した「結晶核の生成を抑制する不純物」としては、窒素若しくは窒化物が好ましい。半導体層に窒素を含ませる場合には、該半導体層において、SIMSによって計測される窒素濃度が1×1020cm−3乃至1×1021cm−3とするとよい。該窒素濃度は下地と半導体膜154の界面近傍において、SIMSによって計測されるピーク濃度が3×1020cm−3乃至1×1021cm−3となることが好ましい。下地と半導体膜154の界面近傍から半導体膜154の厚さ方向に向けて窒素濃度を減少させていくことで、結晶粒の成長端となる核生成位置と核生成密度を制御することができる。具体的には、結晶粒を逆錐形状とすることができる。
なお、「結晶核の生成を抑制する不純物」としては、例えば上記した窒素のように、シリコン中においてキャリアトラップを生成しない不純物元素を選択する。一方、シリコンのダングリングボンドを生成する不純物元素(例えば、酸素)の濃度は低減させる。酸素についてはSIMSによって計測される濃度を5×1018cm−3以下とすることが好ましい。
なお、NH3ガスを原料ガスに含ませて、半導体膜154にNH基またはNH2基を含ませてもよい。
次に、半導体膜154と第1の絶縁膜156をフォトリソグラフィ法により加工して半導体層108及び第1の絶縁層110を形成する(図3(A))。
なお、図示していないが、半導体層108及び第1の絶縁層110を形成する工程で、半導体層108及び第1の絶縁層110と重畳していない部分の不純物半導体層106がエッチングされてもよい。このとき、不純物半導体層106、半導体層108及び第1の絶縁層110の側面がすべて同一面上に揃うように形成されてもよい。
なお、第1の絶縁膜156は、上記フォトリソグラフィ法による加工に際して、半導体膜154が汚染されないように設けられるものである。
次に、少なくとも半導体層108及び第1の絶縁層110を覆って第2の絶縁膜158を形成し、第2の絶縁膜158上に第2の導電膜160を形成する(図3(B))。
次に、第2の導電膜160をフォトリソグラフィ法により加工して第2の配線層114を形成する(図3(C))。
以上説明した方法により、TFTを作製することができる。
次に、少なくとも第2の配線層114を覆って第3の絶縁膜162を形成する(図3(D))。
次に、第2の絶縁膜158と第3の絶縁膜162をフォトリソグラフィ法により加工して、開口部118を有する第2の絶縁層112と第3の絶縁層116を形成する(図4(A))。
次に、開口部118において第1の配線層104と電気的に接続されるように第3の導電膜を形成し、該第3の導電膜をフォトリソグラフィ法により加工して第3の配線層120を形成する(図4(B))。
以上説明したように、図1に示す画素TFT(画素トランジスタ)を作製することができる。
本実施の形態のTFTは、ソース領域とドレイン領域の間に「非晶質を含む層」が設けられるため、ソース領域とドレイン領域の間を高抵抗化することができ、オフ電流を小さくすることができる。そして、チャネル形成領域の結晶性を高くすることができる。そのため、電界効果移動度が高く、オン電流が高いものとすることができる。そして、オフ電流も十分に抑えることができる。従って、本実施の形態により、オン/オフ比の高いTFTを得ることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態は、本発明の一態様であって、実施の形態1に示すものとは異なる形態について説明する。具体的には、第1の導電膜と不純物半導体膜を積層して形成し、1枚のフォトマスクを用いてこれらの加工を行う。
なお、実施の形態1と同じものには同じ符号を付している。
基板100上に下地層102を形成し、下地層102上に第1の導電膜200を形成し、第1の導電膜200上に不純物半導体膜202を形成する(図6(A))。
第1の導電膜200は、実施の形態1の第1の導電膜と同様に形成することができる。なお、ここで第1の導電膜200は、第1の配線層204となる膜である。
不純物半導体膜202は、実施の形態1の不純物半導体膜152と同様の材料及び方法により形成することができる。
次に、第1の導電膜200及び不純物半導体膜202をフォトリソグラフィ法により加工して、第1の配線層204及び不純物半導体層206を形成する(図6(B)))。第1の配線層104と不純物半導体層206がこのように形成されることで、これらの側面は同一平面上に存在することになる。ただし、化学反応などにより第1の導電膜200及び不純物半導体膜202のいずれかのエッチングの進行が速い場合には、これらの側面は必ずしも同一平面上に存在していなくてもよい。
次に、不純物半導体層206などを覆って、絶縁膜208を形成する(図6(C))。絶縁膜208をエッチングして、サイドウォール絶縁層210を形成する(図6(D))。ここで、エッチングは、異方性の高いドライエッチングにより基板100に対して垂直な方向に行えばよく、例えば、希ガスを含むガスによりドライエッチングを行えばよい。
次に、少なくとも一部が不純物半導体層206と接するように半導体膜212と第1の絶縁膜214をこの順に積層して形成する(図7(A))。
半導体膜212は、実施の形態1の半導体膜154と同様の材料及び方法により形成することができる。第1の絶縁膜214は、実施の形態1の第1の絶縁膜156と同様の材料及び方法により形成することができる。
次に、半導体膜212と第1の絶縁膜214を加工して、半導体層216及び第1の絶縁層218を形成する。その後の工程は、実施の形態1で説明した作製方法と同様である。
このようにして本実施の形態のTFTを作製することができる(図7(B))。
なお、サイドウォール絶縁層210は、第1の配線層204と半導体層216の間に設けられていればよい。
本実施の形態により、第1の配線層の形成と不純物半導体層の形成が、1枚のフォトマスクにより可能となる。従って、TFTを少ないマスク数で作製することができる。
なお、本実施の形態のTFTは上記説明に限定されず、サイドウォール絶縁層210を設けなくてもよい。ただし、上記説明した構造とすることで半導体層216と第1の配線層204が直接接しないことになる。そのため、第1の配線層204により形成されるソースとドレインの間において、半導体層216の基板100側を介して流れるオフ電流を抑制することができる。そのため、本実施の形態のTFTは、オン/オフ比の高いものとすることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態は、本発明の一態様であって、実施の形態1及び実施の形態2に示すものとは異なる形態について説明する。具体的には、第2の配線層と第3の配線層との間に第3の絶縁層が設けられていない形態について説明する。
まず、上記説明の図3(C)のように、第2の配線層114まで形成し、第2の絶縁膜158に開口部118を形成し、第2の絶縁層112を形成する(図8(A))。
次に、開口部118を介して第1の配線層104に接続されるよう、第2の絶縁層112上に第3の導電膜300を形成する(図8(B))。このとき、第2の配線層114と第3の導電膜300が接して形成される。
次に、第3の導電膜300を加工して第3の配線層120を形成する。このようにして本実施の形態のTFTを作製することができる(図8(C))。
上記工程によると、第2の配線層114と第3の導電膜300が接してしまうため、第2の配線層114と第3の導電膜300が異種金属である場合には電蝕するおそれがある。例えば、第2の配線層114をAlにより形成し、第3の導電膜300をITOにより形成した場合には、電蝕が生じることが多い。
なお、ここで「電蝕」とは、異種金属(イオン化傾向の異なる金属)が接触した場合に、一方の金属が腐食する現象をいう。
従って、第2の配線層114にAlを用いる場合には、TiまたはMoなどで挟持して積層構造とするとよい。更には、第3の導電膜300を形成する前に、第2の配線層114が露出された状態で、表面に窒素プラズマ処理を行うなどして改質することが好ましい。更に好ましくは、開口部118を形成する前に該プラズマ処理を行うことである。
または、第2の配線層114として、Al中にNiとLaを添加したAl−Ni−La合金を用いてもよい。Al−Ni−La合金を用いると、ITOとの間での接触抵抗が増大しにくい。ここでは、Niを1.0atomic%〜4.0atomic%添加し、Laを0.35atomic%添加したAl−Ni−La合金を用いることが好ましい。なお、Al−Ni−La合金は本実施の形態の第2の配線層114に限定されず、本実施の形態及び他の実施の形態のあらゆる配線層の材料として用いることができる。
本実施の形態により、第2の配線層と第3の配線層との間に第3の絶縁層を設けずとも画素TFTを作製することができる。本実施の形態により、第3の絶縁層116を形成しなくてもよいため、作製コストを低減することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態は、本発明の一態様であって、実施の形態1乃至実施の形態3に示すものとは異なる形態について説明する。具体的には、基板とTFTの間に遮光層が設けられた形態について説明する。基板とTFTの間に遮光層を設けることで、光電流による影響を抑えることができる。
図9には、本実施の形態の画素TFTを示す。すなわち、図9に示す画素TFTは、基板100上にTFTの全面と重畳して設けられた遮光層400と、遮光層400を覆って設けられた下地層402と、下地層402上に設けられた第1の配線層104と、第1の配線層104に少なくとも一部が接する不純物半導体層106と、少なくとも一部が不純物半導体層106を介して第1の配線層104と電気的に接続される半導体層108と、半導体層108上に設けられた第1の絶縁層110と、少なくとも半導体層108と第1の絶縁層110を覆って設けられた第2の絶縁層112と、第2の絶縁層112上であって、不純物半導体層106の少なくとも一部、及び不純物半導体層106によって形成されるソース領域とドレイン領域の間(半導体層108のチャネル形成領域を含む)に重畳して設けられた第2の配線層114と、少なくとも第2の配線層114を覆って設けられた第3の絶縁層116と、第3の絶縁層116上に設けられ、第1の配線層104と電気的に接続される第3の配線層120と、を有する。
遮光層400は、遮光層となる材料膜をスパッタリング法などにより基板100上に形成し、これをフォトリソグラフィ法により加工して形成すればよい。従って、遮光層400を設けることで使用するフォトマスクは1枚増加することになる。遮光層となる材料膜としては、例えば、Crを主成分とする材料膜(窒化Cr膜、酸化Cr膜を含む)が挙げられる。
なお、下地層402は、実施の形態1の下地層102と同様の材料及び方法により形成すればよい。
なお、図9では、遮光層400がTFTの全面と重畳して設けられているが、これに限定されない。遮光層400は、少なくとも半導体層108を遮光できるように設けられていればよい。
なお、図9では、基板100上に接して遮光層400が設けられているが、これに限定されない。基板100と遮光層400の間に更なる下地膜が設けられていてもよい。基板100と遮光層400の間に更なる下地膜が形成されると、遮光層400の形成に際して行う加工(例えば、ドライエッチング)によって基板100がエッチングされることを防止することができる。
(実施の形態5)
本実施の形態は、本発明の一態様であって、実施の形態1乃至実施の形態4に示すものとは異なる形態について説明する。具体的には、実施の形態1の画素TFTの作製工程では6枚のフォトマスクを要するが、本実施の形態の画素TFTは、3枚のフォトマスクで作製することができる。更には、本実施の形態のTFTは2枚のフォトマスクで作製することができる。
図10には、本実施の形態の画素TFTの上面図と、該上面図のX−Yにおける断面図を示す。
図10に示す画素TFTは、基板500上に設けられた下地層502と、下地層502上に設けられた第1の配線層504と、第1の配線層504上の一部に設けられた不純物半導体層506と、少なくとも一部が不純物半導体層506を介して第1の配線層504と電気的に接続される半導体層508と、半導体層508上に設けられた第1の絶縁層510と、第1の絶縁層510上に設けられた第2の絶縁層512と、第2の絶縁層512上であって、不純物半導体層506の少なくとも一部、及び不純物半導体層506によって形成されるソース領域とドレイン領域の間(半導体層508のチャネル形成領域を含む)に重畳して設けられた第2の配線層514と、少なくとも半導体層508の側面を覆って設けられたサイドウォール絶縁層516Aと、第1の配線層504と電気的に接続される第3の配線層520と、を有する。すなわち、図10に示す画素TFTは、図1に示す実施の形態1のTFTと同様に、トップゲート構造のスタガ型TFTである。
なお、図10に示すTFTでは、第2の配線層514の凹部にサイドウォール絶縁層516Bが設けられ、少なくとも第1の配線層504の側面に接してサイドウォール絶縁層516Cが設けられている。なお、第2の配線層514の凹部は、第1の配線層504及び不純物半導体層506の厚みに起因して生じるものである。サイドウォール絶縁層516B及びサイドウォール絶縁層516Cにより、第1の配線層504及び第2の配線層514よりも上に設けられる薄膜の被覆性を向上させることができ、配線が断線することなどを防止することができる。サイドウォール絶縁層516B及びサイドウォール絶縁層516Cは、サイドウォール絶縁層516Aと同時に形成することができる。
ただし、サイドウォール絶縁層516A、サイドウォール絶縁層516B及びサイドウォール絶縁層516Cは、必ずしも設けられていなくてもよい。
なお、第1の絶縁層510と第2の絶縁層512は、必ずしも双方を設ける必要はなく、第2の絶縁層512のみが設けられていてもよい。
基板500は、実施の形態1の基板100と同様の基板を用いればよい。
下地層502は、実施の形態1の下地層102と同様の材料及び方法により形成すればよい。
第1の配線層504は、実施の形態1の第1の配線層104と同様の材料及び形成方法により形成すればよい。
不純物半導体層506は、実施の形態1の不純物半導体層106と同様の材料及び方法により形成すればよい。
半導体層508は、実施の形態1の半導体層108と同様の材料及び方法により形成すればよい。
第1の絶縁層510は、実施の形態1の第1の絶縁層110と同様の材料により形成すればよい。
第2の絶縁層512は、実施の形態1の第2の絶縁層112と同様の材料により形成すればよい。
第2の配線層514は、実施の形態1の第2の配線層114と同様の材料により形成すればよい。
サイドウォール絶縁層516Aは、実施の形態2のサイドウォール絶縁層210と同様の材料により形成すればよい。
第3の配線層520は、実施の形態1の第3の配線層120と同様の材料により形成すればよい。
ここで、図10に示すTFTの作製方法について、以下に説明する。
まず、基板500上に下地層502を形成する。その後、下地層502上に第1の導電膜を形成し、該第1の導電膜上に不純物半導体膜を形成し、該第1の導電膜及び該不純物半導体膜をフォトリソグラフィ法により加工することで第1の配線層504及び不純物半導体層506を形成する(図11(A))。すなわち、実施の形態2と同様の形成方法を適用することができる。ここで、第1のフォトマスクを使用する。
次に、不純物半導体層506上に、半導体膜522、第1の絶縁膜524、第2の絶縁膜526及び第2の導電膜528を、この順に積層して形成する(図11(B))。
次に、半導体膜522、第1の絶縁膜524、第2の絶縁膜526及び第2の導電膜528をフォトリソグラフィ法により加工することで半導体層508及び第1の絶縁層510、第2の絶縁層512及び第2の配線層514を形成する(図11(C))。ここで、第2のフォトマスクを使用する。
以上説明したように、本実施の形態のTFTを作製することができる。
次に、上記のように作製したTFTを覆って絶縁膜530を形成する(図11(D))。
次に、絶縁膜530をエッチングすることでサイドウォール絶縁層516A、サイドウォール絶縁層516B及びサイドウォール絶縁層516Cを形成する(図12(A))。ここで、エッチングは、実施の形態2と同様に、異方性の高いドライエッチングにより基板500に対して垂直な方向に行えばよく、例えば、希ガスを含むガスによりドライエッチングを行えばよい。
次に、少なくとも第1の配線層504に電気的に接続されるように、第3の導電膜532を形成する(図12(B))。
次に、第3の導電膜532をフォトリソグラフィ法により加工することで第3の配線層520を形成する(図12(C))。ここで、第3のフォトマスクを使用する。
以上説明したように、画素TFTを作製することができる。上記説明したように、TFTを2枚のフォトマスクにより作製することができる。更には、画素TFTを3枚のフォトマスクにより作製することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態は、本発明の一態様であって、実施の形態1乃至実施の形態5に示すものとは異なる形態について説明する。具体的には、実施の形態5からフォトマスク数を増やすことなく、ゲート電極として機能する第2の配線層と半導体層が重畳する面積を狭くした形態について説明する。
本実施の形態では、実施の形態5における半導体膜522、第1の絶縁膜524、第2の絶縁膜526及び第2の導電膜528の加工に用いたレジストマスクを縮小させて「縮小レジストマスク」を形成し、この「縮小レジストマスク」を用いて第2の配線層514を形成する。
「縮小レジストマスク」を用いることで、第2の配線層514と半導体層508が重畳する面積を狭くすることができる。第2の配線層514の形成に「縮小レジストマスク」を用いることで、半導体層508と第2の配線層514の間において、第1の絶縁層510及び第2の絶縁層512の側面を介して生じるリーク電流を低減することができる。更には、第1の配線層504と第2の配線層514の間において、第1の絶縁層510及び第2の絶縁層512の側面を介して生じるリーク電流を低減することができる。
まず、上記した図11(C)のように、半導体層508及び第1の絶縁層510、第2の絶縁層512及び第2の配線層514まで形成する(図13(A))。次に、上記工程で用いたレジストマスク600を縮小させて、縮小レジストマスク602を形成する(図13(B))。
レジストマスク600を縮小させて縮小レジストマスク602を形成する方法として、例えば酸素プラズマを用いたアッシングなどが挙げられる。
次に、縮小レジストマスク602を用いて第2の配線層514をエッチングして、縮小された第2の配線層604を形成する(図13(C))。その後、縮小レジストマスク602を除去する(図13(D))。
以上説明したように、本実施の形態のTFTを作製することができる。
本実施の形態で説明した方法によりTFTを作製することで、使用するフォトマスクの枚数を増加させることなく、TFTのリーク電流を低減することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態は、本発明の一態様であって、実施の形態1乃至実施の形態6に示すものとは異なる形態について説明する。具体的には、実施の形態5のTFTを覆って絶縁層を形成し、該絶縁層上に画素電極として機能する配線層を形成する。
まず、上記した図11(D)のように、絶縁膜530まで形成する。次に、絶縁膜530を選択的にエッチングすることで、絶縁膜530に開口部700を形成して絶縁層702を形成する(図14(A))。次に、少なくとも第1の配線層504に電気的に接続されるように、第3の導電膜704を形成する(図14(B))。次に、第3の導電膜704をフォトリソグラフィ法により加工することで第3の配線層706を形成する(図14(C))。
以上説明したように、本実施の形態の画素TFTを作製することができる。
本実施の形態で説明した方法により画素TFTを作製してもよい。ただし、本実施の形態ではフォトマスクの枚数が1枚増加する。そのため、画素TFTを4枚のフォトマスクにより作製することができる。
(実施の形態8)
本実施の形態は、本発明の一態様であって、実施の形態1乃至実施の形態7に示すものとは異なる形態について説明する。具体的には、実施の形態5のTFTと基板の間に遮光層を設けることで、光電流による影響を抑えることができる。
図15には、本実施の形態の画素TFTを示す。すなわち、図15に示す画素TFTは、基板500上にTFTの全面と重畳して設けられた遮光層800と、遮光層800を覆って設けられた下地層802と、下地層802上に設けられた第1の配線層504と、第1の配線層504上の一部に設けられた不純物半導体層506と、少なくとも一部が不純物半導体層506を介して第1の配線層504と電気的に接続される半導体層508と、半導体層508上に設けられた第1の絶縁層510と、第1の絶縁層510上に設けられた第2の絶縁層512と、第2の絶縁層512上であって、不純物半導体層506の少なくとも一部、及び不純物半導体層506によって形成されるソース領域とドレイン領域の間(半導体層508のチャネル形成領域を含む)に重畳して設けられた第2の配線層514と、少なくとも半導体層508の側面を覆って設けられたサイドウォール絶縁層516Aと、第1の配線層504と電気的に接続される第3の配線層520と、を有する。すなわち、図15に示すTFTは、図10に示す実施の形態5のTFTと同様に、トップゲート構造のスタガ型TFTである。
なお、図15に示すTFTでは、第2の配線層514の凹部にサイドウォール絶縁層516Bが設けられ、少なくとも第1の配線層504の側面に接してサイドウォール絶縁層516Cが設けられている。更には、遮光層800上に設けられた下地層802の段差に接してサイドウォール絶縁層804が設けられている。
なお、第2の配線層514の凹部は、第1の配線層504及び不純物半導体層506の厚みに起因して生じるものである。サイドウォール絶縁層516B、サイドウォール絶縁層516C及びサイドウォール絶縁層804により、第1の配線層504及び第2の配線層514よりも上に設けられる薄膜の被覆性を向上させることができ、配線が断線することなどを防止することができる。サイドウォール絶縁層516B、サイドウォール絶縁層516C及びサイドウォール絶縁層804は、サイドウォール絶縁層516Aと同時に形成することができる。
ただし、サイドウォール絶縁層516A、サイドウォール絶縁層516B、サイドウォール絶縁層516C及びサイドウォール絶縁層804は、必ずしも設けられていなくてもよい。
遮光層800は、実施の形態4の遮光層400と同様の材料及び方法により形成すればよい。
なお、下地層802は、実施の形態1の下地層102と同様の材料及び方法により形成すればよい。
なお、図15では、遮光層800がTFTの全面と重畳して設けられているが、これに限定されない。遮光層800は、少なくとも半導体層508を遮光できるように設けられていればよい。
なお、図15では、基板500上に接して遮光層800が設けられているが、これに限定されない。基板500と遮光層800の間に更なる下地膜が設けられていてもよい。基板500と遮光層800の間に更なる下地膜が形成されると、遮光層800の形成に際して行う加工(例えば、ドライエッチング)によって基板500がエッチングされることを防止することができる。
以上説明したように、本実施の形態の画素TFTを作製することができる。
本実施の形態で説明した方法により画素TFTを作製してもよい。ただし、本実施の形態ではフォトマスクの枚数が1枚増加する。そのため、画素TFTを4枚のフォトマスクにより作製することができる。
(実施の形態9)
実施の形態1乃至実施の形態8に示したTFTは、表示装置の保護回路部に適用することも可能である。表示装置の保護回路部は、例えば、ダイオード接続されたTFTを複数設けて構成することができる。
図16(A)は、図1のTFTを第3の配線層120によりダイオード接続したときの、接続した部分の構成を示す。このように、第1の配線層104と第2の配線層114を第3の配線層120により接続することで、ダイオード接続を実現することができる。
しかし、第3の配線層120は画素電極として機能するため、配線抵抗などに関しては第1の配線層104及び第2の配線層114と比較して不利な場合が多い。そのため、図16(B)に示すように、第2の絶縁層112に開口部を設けて、該開口部を介して第1の配線層104と第2の配線層114を接続してもよい。図16(B)に示すようにダイオード接続させることで、配線遅延を防止することができる。
ただし、図16(B)に示すようにダイオード接続させる場合には、フォトマスク数が1枚増えることになる。そのため、実施の形態1に対して図16(B)に示す構成を適用すると、画素TFTの作製工程では7枚のフォトマスクを要することになる。実施の形態5に対して図16(B)に示す構成を適用すると、画素TFTの作製工程では4枚のフォトマスクを要することになる。
(実施の形態10)
実施の形態1乃至実施の形態8で説明したTFTは、表示装置のアレイ基板に適用することができる。実施の形態1乃至実施の形態8で説明したTFTを適用した表示装置を搭載して電子機器を作製することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用のモニタ、電子ペーパー、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。なお、本実施の形態の電子機器は、実施の形態9の構成を有していてもよい。
上記実施の形態にて説明した画素TFTを適用した表示装置は、例えば電子ペーパーに適用することができる。電子ペーパーは、情報を表示するあらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。例えば、電子ペーパーを用いて、電子書籍(電子ブック)、ポスター、電車などの乗り物の車内広告、クレジットカードなどの各種カードにおける表示などに適用することができる。
図17(A)は、電子書籍の一例を示している。図17(A)に示す電子書籍は、筐体900及び筐体901で構成されている。筐体900及び筐体901は、蝶番904により連結され、開閉させることができ、図17(A)に示す電子書籍は紙の書籍と同様に扱うことができる。
筐体900には表示部902が組み込まれ、筐体901には表示部903が組み込まれている。表示部902及び表示部903は、一つの画面を分割して表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば、右側の表示部(図17(A)では表示部902)に文章を表示し、左側の表示部(図17(A)では表示部903)に画像を表示することができる。表示部902及び表示部903は、上記実施の形態にて説明した画素TFTを適用した表示装置を適用することができる。
図17(A)では、筐体900に、電源入力端子905、操作キー906及びスピーカ907などが備えられている。操作キー906は、例えば頁を送る機能を備えていてもよい。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングデバイスなどを備えていてもよいし、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子、及びUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)または記録媒体挿入部などを備えていてもよい。なお、図17(A)に示す電子書籍は、無線で情報を送受信できる構成を更に備えていてもよい。
図17(B)は、デジタルフォトフレームの一例を示している。図17(B)に示すデジタルフォトフレームは、筐体911に表示部912が組み込まれた構成である。表示部912に、上記実施の形態にて説明した画素TFTを適用した表示装置を適用することができる。
なお、図17(B)に示すデジタルフォトフレームは、操作部、外部接続用端子(USB端子、USBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成とするとよい。これらの構成は、表示部と同一面に備えられていてもよいが、側面や裏面に備えるとデザイン性が向上するため好ましい。例えば、デジタルフォトフレームの記録媒体挿入部に、デジタルカメラで撮影した画像データを記憶したメモリを挿入して画像データを取り込み、取り込んだ画像データを表示部912に表示させることができる。なお、図17(B)に示すデジタルフォトフレームは、無線で情報を送受信出来る構成としてもよい。
図17(C)は、テレビジョン装置の一例を示している。図17(C)に示すテレビジョン装置は、筐体921に表示部922が組み込まれ、スタンド923により筐体921が支持されている。表示部922に、上記実施の形態にて説明した画素TFTを適用した表示装置を適用することができる。
図17(C)に示すテレビジョン装置の操作は、筐体921が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機により行うことができる。リモコン操作機が備える操作キーにより、チャンネルや音量の調整を行うことができ、表示部922に表示される映像を選択することができる。また、リモコン操作機自体に、当該リモコン操作機から出力する情報を表示する表示部が設けられていてもよい。
なお、図17(C)に示すテレビジョン装置は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することで、片方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
図17(D)は、携帯電話機の一例を示している。図17(D)に示す携帯電話機は、筐体931に組み込まれた表示部932の他、操作ボタン933、操作ボタン937、外部接続ポート934、スピーカ935、及びマイク936などを備えている。表示部932に、上記実施の形態にて説明した画素TFTを適用した表示装置を適用することができる。
図17(D)に示す携帯電話機は、表示部932がタッチパネルであってもよい。この場合、電話の発信或いはメールの作成などには、表示部932をタッチパネルとして使用することで行うことができる。
表示部932の画面は、主として3つのモードがある。第1のモードは、画像の表示を主とする表示モードであり、第2のモードは、文字などの情報の入力を主とする入力モードである。第3のモードは表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示/入力モードである。
例えば、電話の発信あるいはメールの作成を行う場合には、表示部932を、文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合には、表示部932の画面の大部分を使用してキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
図17(D)に示す携帯電話機の内部に、ジャイロ、加速度センサなどの傾きを検出するセンサを備えた検出装置を設けることで、携帯電話機の向き(縦または横)に応じて、表示部932の表示情報を自動的に切り替える構成とすることもできる。
画面モードの切り替えは、表示部932への接触、または筐体931の操作ボタン937の操作により行われる構成としてもよいし、表示部932に表示される画像の種類によって切り替わる構成としてもよい。
入力モードにおいて、表示部932のタッチ操作が一定期間行われていない場合に、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替える構成としてもよい。
表示部932は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部932を掌や指で触れ、掌紋及び指紋などをイメージセンサで撮像することで、本人認証を行うことができる。表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
以上説明したように、上記実施の形態にて説明したTFT及び表示装置は様々な電子機器に適用することができる。
ところで、図18は、アクティブマトリクス型の電子ペーパーの断面図を示す。
図18の電子ペーパーは、ツイストボール表示方式を用いた表示装置の一例である。ツイストボール表示方式とは、白と黒に塗り分けられた球形粒子を表示素子に用いて、該球形粒子を第1の電極と第2の電極の間に配置し、第1の電極と第2の電極の間に電位差を生じさせて球形粒子の向きを制御することにより、表示を行う方法をいう。
TFT950は、図1に示したトップゲート構造のTFTであり、第1の電極を構成する第3の配線層958は、第2の絶縁層952、第3の絶縁層954及び第4の絶縁層である樹脂層956に設けられた開口部を介してソース電極又はドレイン電極と電気的に接続している。第2の絶縁層952はTFT950を覆って設けられている。
第3の配線層958と対向電極層960の間には球形粒子962が設けられ、球形粒子962は、キャビティ966、黒色領域964a及び白色領域964bを有し、球形粒子962の周囲は、樹脂などの充填材968で充填されている(図18)。第3の配線層958は画素電極に相当し、対向電極層960は共通電極に相当する。対向電極層960は、TFT950と同一基板上に設けられる共通電位線と電気的に接続されている。共通接続部において、一対の基板間に導電性粒子を配置して対向電極層960と共通電位線とを電気的に接続することができる(図示していない)。
または、ツイストボールに代えて、電気泳動素子を用いることも可能である。透明な液体と、正に帯電した白い微粒子と負に帯電した黒い微粒子とを封入した直径10μm〜200μm程度のマイクロカプセルを用いる。マイクロカプセルは、画素電極と対向電極の間に電位差を生じさせると、白い微粒子と黒い微粒子が各々逆の方向に移動し、白または黒を表示することができる。電気泳動表示素子は液晶表示素子に比べて反射率が高いため、光源が不要であり、消費電力が小さく、薄暗い場所でも表示部を認識することが可能である。そして、表示部に電力を供給することなく一度表示した像を保持することが可能である。そのため、電子ペーパーが電波発信源から無線により信号及び電力を供給する構成である場合に、電波発信源から電子ペーパーを遠ざけた場合であっても、表示された像を保持しておくことが可能である。
上記実施の形態のいずれかで説明したTFTをスイッチング素子に用いて電子ペーパーを作製することができる。例えば図17(A)の電子書籍に適用できる。