JP5696381B2 - 巻線形誘導機の始動制御方法及び始動制御装置 - Google Patents
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Description
回転子巻線52は、遮断器71,73を介して電力変換器76,77にそれぞれ接続されている。また、回転子巻線52は、ブースタトランス75及び遮断器72を介して前記電力変換器76に接続されると共に、ブースタトランス75及び遮断器74を介して前記電力変換器77に接続されている。
なお、78は交流出力電力変換装置、79,80,81は電源系統60と電力変換装置78との間に接続されたトランス、91は誘導機50の回転子に取り付けられた回転位相角検出器、92は同じく回転速度検出器、101は遮断器、102は誘導機50の固定子巻線51を短絡するための三相短絡器である。
これにより、回転子巻線52には電力変換器76の出力電圧と電力変換器77の出力電圧とが重畳して印加されるため、特許文献1記載の従来技術に比べて出力電圧が増加する。従って、誘導機50からは高速運転時に大きな始動トルクを得ることができ、例えば発電機水車の水中始動に適した始動制御装置を実現することができる。
一方、巻線形誘導機では、固定子巻線の巻数と回転子巻線の巻数との比(巻数比)がほぼ1に設計されることが多い。この場合、すべりが0.1程度の範囲で可変速制御する場合、電源系統の電圧が例えば3.3[kV]であるとすると、回転子巻線の電圧は最大で約330[V]となり、標準的な400[V]定格の電力変換器を回転子巻線に接続して使用することができる。すなわち、電力変換器の定格電圧は低くてよいため、電力変換器の必要容量も小さくて済むという特徴がある。
定格出力:1000[kW]
定格速度:600[r/min]
電源系統:3.3[kV],50[Hz]
極数:10
固定子巻線抵抗:2[%](0.183[Ω])
回転子巻線抵抗:2[%](0.183[Ω])
固定子漏れインダクタンス:10[%](2.92[mH])
回転子漏れインダクタンス:10[%](2.92[mH])
励磁インダクタンス:200[%](18.3[mH])
固定子巻線の電圧上限値:400[V]
巻数比:1.3
なお、図10において、特性線B2は特許文献2に係る従来技術の速度−トルク特性、特性線Aは本発明の実施例による速度−トルク特性であり、これらの特性線A,B1,B2の比較結果については後述することとする。
前記誘導機の回転子を停止させた状態で、第1,第2の開閉手段をオフして前記固定子巻線を開放した状態で前記電力変換器により前記回転子巻線に電圧を印加し、前記固定子巻線の誘起電圧と第2の電源系統の電圧とを同期させてから第2の開閉手段をオンして第2の電源系統を前記固定子巻線に接続する第1の同期投入モードと、
前記電力変換器により前記回転子巻線に電力を供給して前記誘導機を所定速度まで加速し、その後、第2の開閉手段をオフして前記固定子巻線を開放する第1の加速モードと、
前記固定子巻線の誘起電圧と第1の電源系統の電圧とを同期させてから第1の開閉手段をオンして第1の電源系統を前記固定子巻線に接続する第2の同期投入モードと、
を順次実行して前記誘導機を始動するものである。
第1の電源系統よりも低圧の第2の電源系統と前記固定子巻線との間に接続された第2の開閉手段と、
第1の電源系統と巻線形誘導機の回転子巻線との間に接続された電力変換器と、
第1,第2の開閉手段及び前記電力変換器を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記誘導機の回転子を停止させた状態で、第1,第2の開閉手段をオフして前記電力変換器により前記回転子巻線に電圧を印加すると共に、前記固定子巻線の誘起電圧と第2の電源系統の電圧とを同期させて第2の開閉手段をオンし、第2の電源系統を前記固定子巻線に接続する第1の同期投入モードと、
前記電力変換器により前記回転子巻線に電力を供給して前記誘導機を加速してから第2の開閉手段をオフし、前記固定子巻線を開放する第1の加速モードと、
前記固定子巻線の誘起電圧と第1の電源系統の電圧とを同期させて第1の開閉手段をオンし、第1の電源系統を前記固定子巻線に接続する第2の同期投入モードと、
を順次実行して前記誘導機を始動するものである。
本発明の実施形態は、誘導機の始動時に、巻線形誘導機の固定子巻線を低圧の電源系統に接続すると共に、回転子巻線に接続された電力変換器によって誘導機の入出力電力を制御することにより、従来技術に比べて速度−トルク特性を改善するものである。この実施形態を具体化した実施例1,2を、以下に説明する。
図1において、10は三相巻線形誘導機、11はその固定子巻線、12は回転子巻線、13は回転子であり、回転子13には、速度検出器14が取り付けられている。
22は、電源系統21よりも低圧の第2の交流電源系統であり、この電源系統22には、開閉器32を介して誘導機10の固定子巻線11が接続されている。
なお、第2の電源系統22としては、下記の降圧トランス33の低圧巻線(二次巻線)を、開閉器32を介して固定子巻線11に接続して構成することも可能である。すなわち、第2の電源系統22は、必ずしも第1の電源系統21と独立した別個の電源系統である必要はなく、第1の電源系統21を降圧して構成してもよい。
本実施例では、第1の電源系統21に接続された電力変換器34によって回転子巻線12への供給電力を制御することにより、第2の電源系統22に接続された固定子巻線11の入出力電力を制御する。ここで、図1では回転子13の軸に速度検出器14を取り付けて速度をフィードバック制御する例を示しているが、本発明は、速度を検出せずにV/f一定制御や速度センサレス制御などによって始動する場合にも適用可能である。
なお、第1,第2の開閉器31,32の開閉制御及び電力変換器34の駆動制御を行うための制御装置は、図示を省略してある。
すなわち、後に開閉器32をオンする前に固定子巻線11の誘起電圧と電源系統22の電圧との振幅及び位相を一致させることで、開閉器32をオンした際のショックを低減する。なお、電圧の振幅及び位相を制御する方法は、電圧のフィードバック制御やPLL制御など各種公知であるため、ここでは説明を省略する。
そして、固定子巻線11の誘起電圧の振幅及び位相が、電源系統22の電圧の振幅及び位相と等しくなったら開閉器32をオンし、固定子巻線11を電源系統22に接続して同期投入する(ステップS3)。
従来技術では、まず、時刻t0の初期状態として、図9における遮断器71,73をオフし、遮断器72,74をオンし、電力変換器76,77をブースタトランス75に接続する(ステップS31)。また、遮断器61をオフすると共に遮断器101をオンして三相短絡器102により固定子巻線51を短絡し、誘導機50を一般的な誘導電動機として構成する。
その後、回転速度がω2になったら、遮断器101をオフし(ステップS33)、以後は図2における第2の同期投入モード、第2の加速モードと同様に、期間t4の同期投入モード、期間t5の加速モードを順次実行する(ステップS34〜S36)。
この実施例2では、誘導機10の固定子巻線11が開閉器35を介して三相短絡器36に接続されている。
特許文献1に係る従来技術(特性線B1)では、電力変換器の電圧制限により、高速時では回転速度とトルクとがほぼ反比例しており、前述したように、電源周波数ω2付近ではトルクが3.5[%]程度になっている。このため、誘導機の摩擦損や機械損が大きいと電源周波数まで加速することができない恐れがある。
また、特許文献2に係る従来技術(特性線B2)では、ブースタトランスによって電力変換器の電圧を回転子巻線に重畳することにより、トルクを増加させることが可能になっているが、高速になるほその効果が小さくなっていることが明らかである。
また、高速時には、固定子巻線の電圧と回転子巻線の電圧とのベクトル和が誘導機に作用すると共に、回転子巻線の電圧周波数が小さくなるのでリアクタンスによる損失が少なくなり、結果的に大きなトルクが得られている。
総じて、本発明によれば、高速時の始動トルク特性を改善し、ブースタトランスや複数台の電力変換器を必要とせずに小型軽量かつ低コストの装置構成によって巻線形誘導機を始動可能であると共に、静止状態から高速回転時までのトルク特性を改善してスムーズな加速を実現することができる。
11:固定子巻線
12:回転子巻線
13:回転子
14:速度検出器
21,22:交流電源系統
31,32,35:開閉器
33:降圧トランス
34:電力変換器
36:三相短絡器
Claims (2)
- 第1の開閉手段を介して第1の電源系統に接続され、かつ、第2の開閉手段を介して第1の電源系統よりも低圧の第2の電源系統に接続される固定子巻線と、電力変換器を介して第1の電源系統に接続される回転子巻線と、を備えた巻線形誘導機の始動制御方法において、
前記誘導機の回転子を停止させた状態で、第1,第2の開閉手段をオフして前記固定子巻線を開放した状態で前記電力変換器により前記回転子巻線に電圧を印加し、前記固定子巻線の誘起電圧と第2の電源系統の電圧とを同期させてから第2の開閉手段をオンして第2の電源系統を前記固定子巻線に接続する第1の同期投入モードと、
前記電力変換器により前記回転子巻線に電力を供給して前記誘導機を所定速度まで加速し、その後、第2の開閉手段をオフして前記固定子巻線を開放する第1の加速モードと、
前記固定子巻線の誘起電圧と第1の電源系統の電圧とを同期させてから第1の開閉手段をオンして第1の電源系統を前記固定子巻線に接続する第2の同期投入モードと、
を順次実行して前記誘導機を始動することを特徴とする巻線形誘導機の始動制御方法。 - 第1の電源系統と巻線形誘導機の固定子巻線との間に接続された第1の開閉手段と、
第1の電源系統よりも低圧の第2の電源系統と前記固定子巻線との間に接続された第2の開閉手段と、
第1の電源系統と巻線形誘導機の回転子巻線との間に接続された電力変換器と、
第1,第2の開閉手段及び前記電力変換器を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記誘導機の回転子を停止させた状態で、第1,第2の開閉手段をオフして前記電力変換器により前記回転子巻線に電圧を印加すると共に、前記固定子巻線の誘起電圧と第2の電源系統の電圧とを同期させて第2の開閉手段をオンし、第2の電源系統を前記固定子巻線に接続する第1の同期投入モードと、
前記電力変換器により前記回転子巻線に電力を供給して前記誘導機を加速してから第2の開閉手段をオフし、前記固定子巻線を開放する第1の加速モードと、
前記固定子巻線の誘起電圧と第1の電源系統の電圧とを同期させて第1の開閉手段をオンし、第1の電源系統を前記固定子巻線に接続する第2の同期投入モードと、
を順次実行して前記誘導機を始動することを特徴とする巻線形誘導機の始動制御装置。
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