JP5696111B2 - チルベント及びダイカスト法 - Google Patents

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Description

本発明は、ダイカスト金型のキャビティ内のガスを外部に排出し、ガス排出後には溶湯を冷却凝固させて溶湯が外部に噴出することを防止するチルベント及び該チルベントを用いたダイカスト法に関する。
ダイカスト法において、ダイカスト金型のキャビティ内に溶湯を充填する際にキャビティ内にガスが残留すると、ガスが溶湯に巻き込まれてダイカスト品に鋳造欠陥が生じてしまう。また、ダイカスト金型のキャビティ内と外部とを連通するガス抜き通路を設けてガスを排出すると、ガスを排出した後に溶湯が外部に噴出してしまう。そこで、下記特許文献1に所載されるように、ダイカスト金型を構成する固定型と可動型とにチルベントを装着してガス抜き通路からガスを排出し、ガス流入後には溶湯をチルベントで冷却凝固させて溶湯が外部に噴出することを防止することが行われている。
しかし、従来のチルベントは鋸歯形状のガス抜き通路を形成するものであるので、チルベントを固定型と可動型の合わせ面上に配置する必要があり、ダイカスト金型にスライド中子を設ける場合等にはガスの排出位置に制約が生じるという問題を有している。
特開平10−249508号公報
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、固定型とスライド中子の合わせ面上に配置することができ、ガスの排出位置の自由度を高めることができるチルベント及び該チルベントを用いたダイカスト法を提供することを課題とする。
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明は、ダイカスト金型1のキャビティ30内のガスをベント部44を通過させて排出し、該ガスの通過後には該キャビティ30内から該ベント部44に流入する溶湯を凝固させるチルベント40において、固定型10に固定設置され、階段形状部41cを備える固定側チルブロック41と、スライド中子20に固定設置され、階段形状部42cを備える中子側チルブロック42とを有し、該固定型チルブロック41と該中子側チルブロック42が階段状のベント部44を画成しており、該ベント部44は、スライド中子20の移動方向に向かって抜き勾配αを有して延びる延出部44aと、可動型の移動方向に向かって抜き勾配βを有して延びる段部44bとを交互に備えることにより階段状に画成されることを特徴とする。
また、本発明に係るダイカスト法は、上記構成のチルベントを用いてダイカストを行うことを特徴とする。
本発明によれば、チルベントを固定型とスライド中子とに配置することができるので、ガスの排出位置の自由度を高めることができ、品質に優れたダイカスト品を生産することができる。
本発明の一実施形態におけるチルベントが装着されたダイカスト金型の要部断面図。 図1において二点鎖線で囲んだ部分Xの拡大図である。
以下、本発明の一実施形態に係るチルベントについて図1及び図2を参酌しつつ説明する。図1に示すダイカスト用金型1は、固定型10と、図示せぬ可動型と、スライド中子20とを備えている。固定型10は、固定ホルダ11と固定ダイス12とからなる。可動型は、可動ホルダと可動ダイスとからなり、矢印A←→A'で示される可動型の移動方向に移動可能である。スライド中子20は、中子ホルダ21と中子ダイス22とからなり、可動型と共に矢印A←→A'で示される可動型の移動方向に移動可能である。また、スライド中子20は図示せぬ油圧シリンダの駆動により、可動型の移動方向に対して略垂直の方向である矢印B←→B'で示される方向にスライド可能である。ダイカスト金型1の型閉め時には、固定ダイス12、中子ダイス22及び可動ダイスがキャビティ30を画成する。キャビティ30にアルミニウム合金等の溶湯が図示せぬプランジャチップで充填されることによりダイカスト品が成形される。
ダイカスト金型1にはキャビティ30のガスを排出するためのチルベント40が装着されている。チルベント40は、固定ダイス11に固定配置される固定型側チルブロック41と、中子ダイス22に固定配置される中子側チルブロック42とにより構成される。固定型側チルブロック41は断面が階段状である階段形状部41cを備えており、中子側チルブロック42は断面が階段状である階段形状部42cを備えている。ダイカスト金型1の型閉め時には固定型側チルブロック41の合わせ面41aと中子側チルブロック42の合わせ面42aとが当接し、ランナー部43とベント部44を画成する。チルベント40のランナー部43は、固定ダイス12に形成された溝12aと中子ダイス22とにより画成される排気ランナー50を介してキャビティ30と連通している。排気ランナー50とチルベント40のランナー部43は、キャビティ30からスライド中子の移動方向に向かって延びて画成されている。ベント部44は、階段状ベント部44Aと、スライド中子20の移動方向に延びる下流部44Bを有している。階段状ベント部44Aは上述したランナー部43と連通し、下流部44Bは図示せぬガス排出路を介してダイカスト金型1の外部と連通している。
固定型10には冷却孔13が形成されており、固定型側チルブロック41に形成された冷却穴41bと連通している。冷却孔13と冷却穴41bには図示せぬ冷却パイプが設置され、冷却水を循環させることにより固定型側チルブロック41を冷却することができるように構成されている。また、スライド中子20には冷却孔23が形成されており、中子側チルブロック42に形成された冷却穴42bと連通している。冷却孔23と冷却孔42bには図示せぬ冷却パイプが設置され、冷却水を循環させることにより中子側チルブロック42を冷却することができるように構成されている。
上述した階段状ベント部44Aは、ダイカスト金型1の型閉めにより可動型と固定型10が当接し、固定型側チルブロック41に形成された階段形状部41cと、中子側チルブロック42に形成された階段形状42cとが対向することにより画成される。階段状ベント部44Aは、図1の矢印B→B'で示されるスライド中子20の移動方向に向かって延びる延出部44aと、図1の矢印A←A'で示される可動型の移動方向に向かって延びる段部44bとを交互に備えることにより階段状に画成されている。具体的には、図2に示すように、延出部44aと段部44bとは交互に5つ設けられている。また、延出部44aは抜き勾配αを有するようにスライド中子20の移動方向に対して所定の角度で傾斜して延びており、段部44bは抜き勾配βを有するように可動型の移動方向に対して所定の角度で傾斜して延びている。
次に本実施形態のチルベント40を装着したダイカスト金型1によるダイカスト法について説明する。先ず、油圧シリンダでスライド中子20を図1の矢印B'→Bで示される方向にスライドさせて可動型にセットする。次に、可動型とスライド中子20とを図1の矢印A←A'で示される方向に移動することによりダイカスト金型1の型閉めを行い、固定ダイス12、中子ダイス22及び可動ダイスによりキャビティ30が画成される図1に示す状態にする。ダイカスト金型1の型閉めが行われると、図1に示されるように固定型側チルブロック41の合わせ面41aと 中子側チルブロック42の合わせ面42aとが当接し、階段状部44Aを有するベント部44が画成される。プランジャチップによる溶湯のキャビティ30への充填が開始されると、キャビティ30内のガスは排気ランナー50を通過してチルベント40内に流入する。そして、ガスはチルベント40内のランナー部43とベント部44を通過してガス排出路からダイカスト金型1の外部に排出される。キャビティ30を充填した溶湯はチルベント40内に流入するが、固定型側チルブロック41と中子側チルブロック42は冷却水により冷却されており、溶湯はチルベント40のベント部44において冷却凝固する。
溶湯が凝固した後にダイカスト金型1の型開きが行われる。可動型とスライド中子20が図1の矢印A→A'で示される方向に移動すると、キャビティ30、排気ランナー50、ランナー部43及びベント部44において溶湯が凝固することにより成形されたダイカスト品は可動型とスライド中子20と一緒に図1の矢印A→A'で示される方向に移動する。ここで、階段状ベント部44Aの段部44bは抜き勾配βを有しているので、ダイカスト品の階段状ベント部44Aにおいて成形された部分を固定型側チルブロック41の階段形状部41cからスムーズに離間することができる。
可動型とスライド中子20を図1の矢印A→A'で示される方向に移動させた後には、油圧シリンダでスライド中子20を図1で矢印B→B'で示される方向にスライドさせる。ここで、階段状ベント部44Aの延出部44aは抜き勾配αを有しているので、ダイカスト品の階段状ベント部44Aにおいて成形された部分から中子型側チルブロック42の階段形状部42cをスムーズに離間させることができる。
その後、可動型に設けられた図示せぬ押出ピンによりダイカスト品を押し出すことによりダイカスト品を可動型から取り出す。以上がダイカスト法である。
本発明によるチルベントは上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
1 ダイカスト金型
10 固定型
11 固定ホルダ
12 固定ダイス
12a 溝
13 冷却孔
20 スライド中子
21 中子ホルダ
22 中子ダイス
23 冷却孔
30 キャビティ
40 チルベント
41 固定型側チルブロック
41a 合わせ面
41b 冷却穴
41c 階段形状部
42 中子側チルブロック
42a 合わせ面
42b 冷却穴
42c 階段形状部
43 ランナー部
44 ベント部
44A 階段状ベント部
44B 下流部
44a 延出部
44b 段部
50 排気ランナー
α 延出部の抜き勾配
β 段部の抜き勾配

Claims (2)

  1. ダイカスト金型のキャビティ内のガスをベント部を通過させて排出し、該ガスの通過後には該キャビティ内から該ベント部に流入する溶湯を凝固させるチルベントにおいて、
    固定型に固定設置され、階段形状部を備える固定側チルブロックと、
    スライド中子に固定設置され、階段形状部を備える中子側チルブロックとを有し、
    該固定型チルブロックと該中子側チルブロックが階段状のベント部を画成しており、
    該ベント部は、スライド中子の移動方向に向かって抜き勾配を有して延びる延出部と、可動型の移動方向に向かって抜き勾配を有して延びる段部とを交互に備えることにより階段状に画成されることを特徴とするチルベント。
  2. 請求項1に記載のチルベントを用いてダイカストを行うことを特徴とするダイカスト法。
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