JP5693420B2 - 連続鋳造方法 - Google Patents
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特許文献1では、全カーボン量が5%以下であるモールドパウダーを鋳込み初期にモールド内に散布し、鋳込み開始後の1ヒート以内に全カーボン量が5%を超え15%以下であるモールドパウダーをモールド内に追加散布して、Al含有量が0.70%以上である鋼を連続鋳造している。
これらの技術の他にも鋳造方法において特許文献4及び5に示すものがある。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、中炭素鋼を連続鋳造を行うにあたって、鋳造初期に発生し易い鋳片の縦割れを確実に防止することができる連続鋳造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、C含有量が0.08〜0.18質量%の中炭素鋼を連続鋳造するに際し、定常状態にて鋳型に投入する、フッ素濃度が5質量%以上である本体モールドパウダーの塩基度を1.2以上とすることとし、鋳造初期に鋳型に投入する、フッ素濃度が5質量%以上である初期モールドパウダーの塩基度を前記本体モールドパウダーよりも大きくし且つ1.9以下とし、さらに、前記初期モールドパウダーの投入量を式(1)を満たすようにする。
図12に示す如く、本発明の連続鋳造方法では、まず、転炉等で二次精錬された溶鋼が装入された取鍋10を連続鋳造装置11が設置された連続鋳造ステーションに移動させ、取鍋10内の溶鋼をタンディッシュ12に装入して、タンディッシュ12内の溶鋼を鋳型2に注入することによって溶鋼を連続鋳造する。なお、連続鋳造装置11は、垂直型、垂直曲げ型、湾曲型など様々なものがあるが、本発明の連続鋳造方法ではどのタイプの連続鋳造装置11でもよく限定されない。また、連続鋳造装置11では、スラブ、ブルーム、ビレットなどの鋳片Sを鋳造することができるが、鋳片Sのサイズはどのようなものでもよく限定されない。
C含有量が0.08〜0.18質量%の範囲にある中炭素鋼を鋳造するに際し、溶鋼を冷却した場合、溶鋼はFe−C平衡状態図上で亜包晶凝固する系態をとり、凝固直後にα相からγ相に変態するため、凝固直後の鋳片S(溶鋼)の収縮量が大きく、不均一な凝固が発生し易い。そのため、鋳片Sの表面に割れが発生し易い。本発明の連続鋳造方法では、表面割れが発生しやすい中炭素鋼を鋳造するに際して、鋳造の際に鋳型2に投入するモールドパウダーによって表面割れを防止することとしている。詳しくは、「鉄と鋼、高速連続鋳造時の鋳型内潤滑・伝熱挙動、p16、Vol83、1997年、日本鉄鋼協会発行」に示されているように、鋳型2内において溶鋼が急冷されてしまうと表面割れ(縦割れ)が発生し易いことが知られている。発明者らは、鋳造の際に鋳型2に投入するモールドパウダーに着目して、モールドパウダーについて様々な角度から検証を行った。
る。
図4に示すように、モールドパウダーの塩基度が1.2以上にすると、カスピダイン(3CaO・2SiO2・CaF2)結晶が十分に晶出してガラス化率を70%以下にすることができ、鋳片Sの縦割れを防止することができる。また、モールドパウダーの塩基度が1.2未満の場合は鋳型2内で凝固したモールドパウダー中にカスピダインの結晶が十分に晶出しないため、鋳型2内での緩冷却が達成できずに、鋳片Sに縦割れが発生すると考えられる。カスピダインと塩基度との関係をCaO−SiO2−CaFの3元系で表すと図5に示すようになる。
さて、鋳造初期では、溶鋼の温度低下を防止するために、モールドパウダー中に含有させた金属Si、Ca−Si合金などの発熱剤によって発熱させる必要がある。そのため、初期に鋳型2に投入するモールドパウダー(初期モールドパウダー)は、定常状態で投入する本体モールドパウダーとは別のものとしている。ここで、鋳造初期とは、タンディッシュ12から鋳型2への溶鋼を注入開始した直後から鋳片Sの引き抜きを開始するまでの期間のことであり、それ以降を定常状態(定常期)という。
次に、本体モールドパウダーと、初期モールドパウダーについてさらに詳しく説明する。まず、モールドパウダーの各成分について説明する。
本体モールドパウダーのCaO及びSiO2含有量は60〜75質量%であり、F、Al2O3、Na2O、Li2O、MgO、C等が含有されている。これらの元素は、結晶析出に必要であると共に、溶融速度、溶融時の粘度、凝固温度をコントロールするために必要である。まず、各成分について説明する。
CaO、SiO2、CaF2の割合によっては、本体モールドパウダーの凝固温度が1300℃以上となってしまう可能性があり、本体モールドパウダーによる鋳型2と鋳片Sとの間の潤滑の役割が低下する虞がある。本体モールドパウダーの凝固温度を調整するもの(凝固温度を低下させるもの)として、Na2O、Li2Oを含有させる必要があり、Na2O+Li2O≧3質量%とすることが望ましい。なお、本体モールドパウダーの凝固温度が低くなる場合は、MgO、ZrO2等を含有させて凝固温度を上昇させてもよい。
上述したF、Na2O、Li2Oは、凝固温度を下げる役割がある一方、溶融した本体モールドパウダーの粘度を低下させてしまう。ある程度、本体モールドパウダーの粘度を確保しないと、本体モールドパウダーが溶鋼内へ巻き込まれてしまう可能性がある。
Cは、本体モールドパウダーの溶融速度を調整する投入剤として有効であり、必要により適正量を配合しておく必要がある。一般的には、特許第3463567号の[0057]に記載されているようにその効果を得るためには1質量%以上の含有率とすることが望ましく、10質量%を越えると逆に溶融速度が遅くなりすぎ、連続鋳造が難しくなる。
初期モールドパウダーに含有する元素は、本体モールドパウダーで使用するパウダーと殆ど同じであり、CaO、SiO2、F、Al2O3、Na2O、Li2O、MgO、C等が含有されている。上述したように鋳造初期では、鋳型2内の溶鋼の温度低下を抑制するために例えば金属SiやCa−Si合金などの発熱物質(発熱剤)を含有させる必要があり、また、金属SiやCa−Si合金等の発熱剤の燃焼(酸化)に必要な酸化鉄や硝酸ソーダも10質量%程度含有させている。
図7及び8は、連続鋳造の際に初期モールドパウダー及び本体モールドパウダーを鋳型2に投入したときの塩基度の推移を示したものである。図中のパラメータ「本+数値」は、初期モールドパウダーの塩基度を本体モールドパウダーの塩基度(図中の本)を用いて表したものである。例えば、「本+0.2」であれば、初期モールドパウダーの塩基度は、本体モールドパウダーの塩基度に0.2を足した値である。また、図中の本体C/Sとは、使用前の本体モールドパウダーの塩基度(分析値)であり、C/S実績とは鋳型2内で溶融しているモールドパウダーの塩基度の実績値である。
図7に示すように、Alキルド鋼では溶鋼中のAlとモールドパウダー内のSiO2とが反応するため、モールドパウダーの塩基度は0.2程度に上昇する傾向にある。これは、Alキルド鋼ではモールドパウダー中のSiO2とAlとの反応『3/2SiO2+2[Al]→3/2[Si]+Al2O3、[]は溶鋼中に存在』により、SiO2が減少するためである。
投入量(kg)≧3.0×(鋳型上部内寸幅[m]+鋳型上部内寸厚み[m]) (1)
式(1)は実験等により求めたものであって、モールドパウダー(初期モールドパウダー)は、鋳型2と鋳型2内溶鋼との間に鋳型2振動により流入して消費されるため、初期
モールドパウダーの投入量は、鋳型上部内寸幅と、鋳型上部内寸厚みとで規定することとした。
図9は鋳型2を上面から見たものである。
図9に示すように、鋳型上部内寸幅(鋳型上部幅)とは、鋳型2を構成する一対の短辺銅板3間の距離、言い換えれば、短辺側内壁間の直線距離である。鋳型上部内寸厚み(鋳型上部厚み)とは、鋳型2を構成する一対の長辺銅板4間の距離、言い換えれば、長辺側内壁間の直線距離である。なお、鋳型2を上面から見て正方形の場合は、鋳型上部内寸幅と鋳型上部内寸厚みとは同じ長さとなる。
図10に示すように、初期モールドパウダーの投入量が鋳型2の大きさ(鋳型上部内寸幅+鋳型上部内寸厚み)に比べて3倍以上であるとき(図中◆)、鋳造の際での塩基度が上昇し易い。言い換えれば、初期モールドパウダーの投入量が鋳型2の大きさの3倍と5倍とは塩基度の上昇傾向が同じであり、初期モールドパウダーの投入量が2倍であると(図中▲)、塩基度の上昇が遅いため、この投入量は少なくとも鋳型2の大きさの3倍以上にする必要がある。つまり、投入量の下限値は、鋳造初期において溶鋼の酸化の影響およびモールドパウダー中のSiO2と溶鋼中のアルミナとの反応が平衡状態になるまでの時間で消費されるモールドパウダーの塩基度を上昇させておくのに必要な量である。なお、鋳造初期において、初期パウダーを複数回に分けて投入した場合は合計量を、式(1)に示した投入量とする。なお、連続鋳造装置11では、鋳型2内の溶鋼湯面に熱を供給するために、鋳型2内の溶鋼流動をコントロールできる攪拌装置が付いていることが望ましく、また、タンディッシュ12から鋳型2へ溶鋼を注入する浸漬ノズルの形状は、鋳型2内の溶鋼湯面に溶鋼が供給されやすい形状とすることが好ましい。
浸漬ノズルの吐出角度は水平方向下向きに15°〜35°の角度とすると共に、鋳型2
内で攪拌された溶鋼の流れと浸漬ノズルからの吐出流とが干渉しない向きとし、鋳型2内の溶鋼の湯面への熱供給を促進した。なお、電磁攪拌装置を使用しない場合でも、鋳型2内の溶鋼の湯面への熱供給を促進することが浸漬ノズルの吐出角度や形状等によって行うことができればよく、電磁攪拌装置や浸漬ノズルの吐出角度などは限定されない。
また、初期モールドパウダーの組成は、塩基度1.26〜1.90とし、Na2O+Li2O=3.0〜12質量%、Al2O3=1.2〜6.5質量%、T.C(パウダー中のC量=0.7〜3.3質量%、Fe2O3=7〜15質量%とした。
一方、比較例では、次に示す条件(a)〜(d)の少なくともいずれか1つを満たしていないため、縦割れ又は表皮下欠陥が発生してしまった。(a)本体モールドパウダーの塩基度が1.2未満、(b)初期モールドパウダーの塩基度が本体モールドパウダーよりも小さい、(c)初期モールドパウダーの塩基度が1.9よりも大きい(1.9超える)、(d)初期モールドパウダーの投入量が式(1)を満たしていない。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
2 鋳型
3 短辺銅板
4 長辺銅板
10 取鍋
11 連続鋳造装置
12 タンディッシュ
S 鋳片
Claims (1)
- C含有量が0.08〜0.18質量%の中炭素鋼を連続鋳造するに際し、定常状態にて鋳型に投入する、フッ素濃度が5質量%以上である本体モールドパウダーの塩基度を1.2以上とすることとし、鋳造初期に鋳型に投入する、フッ素濃度が5質量%以上である初期モールドパウダーの塩基度を前記本体モールドパウダーよりも大きくし且つ1.9以下とし、さらに、前記初期モールドパウダーの投入量を式(1)を満たすようにすることを特徴とする連続鋳造方法。
投入量(kg)≧3.0×(鋳型上部内寸幅[m]+鋳型上部内寸厚み[m]) (1)
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