JP5692698B2 - 静電チャック用の高電圧発生装置 - Google Patents

静電チャック用の高電圧発生装置 Download PDF

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Description

本発明は、半導体製造装置の基板保持用に使われる静電チャックや、静電チャック機能を利用した展示・掲示装置などに用いられる静電チャック用の高電圧発生装置に係り、特に、太陽電池や二次電池(蓄電池)などの低電圧電源を入力電源としてkVオーダーの高電圧を発生することが可能であり、しかも小型かつ軽量で消費電力の非常に少ない直流−直流変換型の静電チャック用の高電圧発生装置に関するものである。
静電チャックは、例えば、一対の吸着電極を有し、これら一対の吸着電極にそれぞれ正極性及び負極性の電荷を蓄積して静電気を発生させることにより、ガラスやプラスチックなどの誘電体基板、シリコンウエハなどの半導体基板、鉄、銅、アルミ、ステンレス鋼などの金属基板等の種々の基板を吸着、保持させるために使用される。
また、静電チャックは、吸着電極間の距離を調整することにより、1×107V/m程度の非常に強い電界を容易に作り出すことができることを利用して、上述した種々の基板を吸着保持する機能だけではなく、除菌や滅菌装置、空気中の塵や埃を集める集塵装置、あるいは植物やキノコなどの植生の成長を促進する成育装置などの機器にも応用が可能である。以下、これらの静電チャック応用機器も含めて単に「静電チャック」と称する。
静電チャックには、一般に、直流や交流の高電圧電源が使用されるが、半導体製造装置などの比較的大型の装置では、スペースを比較的大きくとれることと、信頼性を確保するため、外装は頑丈な筐体で覆われるなど、メンテナンス時の不意な物理的損傷を避けることが容易であり、高電圧電源の大きさや電源自身の消費電力には特に制約がなかった。静電チャック用の高電圧電源の消費電力は、例えば、±1kV(電位差2kV)の両極電圧発生タイプで、出力電流をそれぞれ最大10mAとすると、この高電圧電源の入力に必要とする電力は、少なくとも30W程度となる。
そのため、静電チャックを使用する際には、静電チャックの外部の遠隔に高電圧電源を設置し、高電圧電源に例えばAC100Vのコンセントから電力を供給する必要があり、静電チャックの物理的な使用範囲は、少なからず外部電源の設置位置に影響を受けることになる。
そこで、静電チャック用の高電圧電源の小型化や省電力化を図ることにより、例えばAC100Vのコンセントから電源を取らなくても太陽電池や乾電池あるいは二次電池を利用して独立して動作可能な静電チャック利用機器が望まれている。
しかしながら、従来の高電圧電源は大型であり、しかも消費電力が大きいため、実用化するのが困難であった。
そこで、静電チャック利用機器の電源として使用可能な高電圧発生装置に関する技術としては、例えば、特許文献1〜特許文献4等に開示されたものが既に提案されている。
特許文献1に係るトランス方式DC−DCコンバータは、高周波トランスの1次巻線に対して電池などの低電圧直流電源と逆流防止ダイオードとスイッチング素子とで閉ループ回路を構成し、前記スイッチング素子のON/OFFの制御回路の起動用電源を前記低電圧直流電源から起動用ダイオードを介して印加するように構成し、前記高周波トランスのインダクタンスに蓄積されたエネルギーを前記1次巻線に並列接続したスナバ回路で吸収するように構成されたトランス方式DC−DCコンバータにおいて、前記スナバ回路に吸収したエネルギーを前記制御回路に対してその駆動電源として供給するように構成したものである。
また、特許文献2に係るイオン発生器用の高電圧発生回路は、発振回路と、この発振回路のパルス出力によりスイッチングされるスイッチング素子と、このスイッチング素子により1次側コイルに流れる電流が制御され2次側に高電圧パルスを出力するパルストランスと、このパルストランスの1次側コイルに並列に接続されたコンデンサと、前記パルストランスの2次側に得られる高電圧パルスを整流する整流回路と、この整流回路により整流された負の高電圧を印加する負放電電極と、を備えたマイナスイオン発生器において、
前記発振回路及びパルストランスの駆動電源が直流電源であり、
前記パルストランスの1次側コイルに直列にダイオードを順方向に挿入したものである。
さらに、特許文献3に係る静電塗装装置は、(A)直流電源回路と、(B)外部信号により発振の停止が可能な第1の高周波発振回路と、第1の昇圧トランスと、第1の倍電圧整流回路と、該倍電圧整流回路の出力端子間に接続した第1の放電抵抗とを含みアースに対して負極の直流高電圧を発生する負極高電圧発生回路と、(B)該負極高電圧発生回路の出力端子とノズルとの間に接続した第1の電流制限抵抗と、(C)外部信号により高出力電圧発振と低出力電圧発振との切り換え及び発振の停止が可能な第2の高周波発振回路と、第2の昇圧トランスと、第2の倍電圧整流回路と、該倍電圧整流回路の出力端子間に接続した第2の放電抵抗とを含み、前記第2の高周波発振器が高出力電圧で発振の時にはアースに対して正極の直流高電圧を発生する正極高電圧発生回路と、(D)該正極高電圧発生回路の出力端子とノズルとの間に接続した第2の電流制限抵抗と、(E)前記負極高電圧発生回路の出力電流を検出する出力電流検出回路と、(F)安全回路と、から構成され、該安全回路は、前記出力電流検出回路で検出した出力電流に異常がない間は前記第2の高周波発振回路に低出力電圧で発振させる指令信号を送信し、前記出力電流に異常を検出した場合には、前記第1の高周波発振回路に発振停止の指令信号を送信すると同時に、前記第2の高周波発振回路に高出力電圧で発振させる指令信号を所定時間送信し、その後、前記第2の高周波発信回路に発振停止の指令信号を送信するものである。
又、特許文献4に係る高電圧発生装置は、特に静電塗装器具(15)の内部に収容された発電機と、一方で電圧ブースター変圧器(2)、他方で変圧器(2)の出力部に配置された、高電圧増幅器(3)を具備した高電圧"カスケード"(16)とを備えた、静電塗装器具(15)用の高電圧発生装置において、
前記変圧器(2)は、少なくとも二つの基本変圧器により形成された、ダブルまたは複式の変圧器から成り、その個々の一次巻線(8A、8B、8C)は、電気的に並列で取り付けられ、その個々の二次巻線(9A、9B、9C)は、電気的に直列で取り付けられ、二次巻線(9A、9B、9C)の直列配置が出力電圧(Vs)をもたらし、総電圧(Vs/N)が二次巻線の各々の端子をわたり、それが電圧増幅器(3)の入力電圧であるように構成したものである。
特開平05−176533号公報 特開2004−311158号公報 特開2003−164777号公報 特表2005−500894号公報
しかしながら、特許文献1は、一般的なブロッキング発振を利用したものであり、高周波トランスのインダクタに供給していた電流をスイッチング素子で瞬時に遮断したときに、高周波トランスのインダクタに蓄積されていた電気エネルギによって高周波トランスの2次巻線に高電圧を発生させることを利用して昇圧するものであり、所望の高電圧を得るためには、高周波トランスの1次巻線にある程度大きな電流を流す必要があり、回路自身の電力ロスが大きい。特許文献1の場合、電池の出力電圧が例えば5Vであるとすると、電流は負荷に関係なく200〜500mA供給しなければならず、全体で1W(=5V×200mA)程度の電力を必要とし、電池として大型のものが必要となる。
また、特許文献1は、上記の如く全体で1W程度の電力を必要とし、蓄電池や太陽電池などのように比較的低電力の電源では、kVオーダーの高電圧を発生させ、かつ静電チャックのような容量性の負荷を動作させるのが困難である。
さらに、特許文献2は、発振回路及びパルストランスの駆動電源が直流電源であり、パルストランスの1次側コイルに直列にダイオードを順方向に挿入したものであって、パルストランスの1次側コイルに直列に挿入された順方向ダイオードによってノイズの影響を抑制するものであるが、発振回路に直流電源によって直流電圧を常時印加する必要があり、その分だけ低消費電力化する上で限界を有している。
さらに、特許文献3は、直流電源回路が商用電源を電源とするものであり、電池などの低電圧の直流電源を電源として採用することができるものではない。
又、特許文献4は、やはり静電塗装器具(15)の内部に収容された発電機を電源とするものであり、電池などの低電圧の直流電源を電源として採用することができるものではない。
そこで、本発明が解決しようとする第一の課題は、従来の高電圧発生装置と比較して入力電力が非常に小さくて済む静電チャック用の高電圧発生装置を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする第二の課題は、静電チャックのような容量性負荷に対して高電圧発生装置からの電荷を効率良く流入させて、所定の電圧を静電チャックの電極間で発現させることが可能な静電チャック用の高電圧発生装置を提供することにある。
すなわち、本発明は、低電圧電源で駆動される自励式発振回路と、前記自励式発振回路から出力される高周波信号を電流増幅するダーリントン接続された複数のトランジスタからなる増幅回路と、前記増幅回路によって増幅された高周波信号が一次巻線に印加される高周波トランスと、前記高周波トランスの二次側巻線に接続されたダイオードとコンデンサからなる整流回路と備えたことを特徴とする高電圧発生装置を基本構成としている。
そして、本発明は、低電圧電源によって駆動される発振回路から出力される高周波信号を増幅するとともに、高周波トランスを用いて高電圧を発生させる高電圧発生回路と、
前記高電圧発生回路によって発生された高電圧を整流しつつ昇圧する昇圧整流回路と、
前記昇圧整流回路によって整流しつつ昇圧された高電圧が印加されるとともに放電抵抗が並列に接続された容量性負荷としての静電チャックと、
起動時は、前記発振回路を前記低電圧電源によって直接駆動するとともに、起動時から予め定められた時間が経過した後は、前記発振回路を前記静電チャックの静電容量及び前記放電抵抗の抵抗値で決定される時定数よりも短い周期で間欠的に駆動するように制御する制御回路と、
を備えたことを特徴とする静電チャック用の高電圧発生装置である。
従来の高電圧発生装置では、入力電力が1W〜30W程度のものが必要となる。この程度の電力を太陽電池で発生させる場合には、現状の太陽電池の出力はまだ小さく、単位面積当たりの太陽光下で得られる電力は、高々0.013W/cm2程度と小さい。また、乾電池などの蓄積された電気エネルギを入力電源として使用する場合には、その寿命を長く持たせる必要があるが、市販されている乾電池の電源容量は、電池電圧に依存することなく、およそ1000mAh程度である。たとえば、10Vで100mA、すなわち1Wの入力電力を必要とする高電圧発生装置の場合、乾電池の寿命は10時間しか持たないことになる。そのため、入力電力が小さくて済む高電圧発生装置が必要とされる。
また、高電圧発生装置の負荷としての静電チャックは、合成樹脂やセラミックなどの電気絶縁層を介して電極を有し、電極は同じく合成樹脂やセラミックの絶縁層で被覆されているため、高電圧発生装置側から見ると超高抵抗で容量性の負荷と考えられる。静電容量の値は、電極の配置やその面積にもよるが、1nFから50nF程度であり、この電極間に形成される静電容量に入力電源として大きな電流を必要とせず、効率的に電荷を移行させないと、電極には必要な電圧が発現できず、本来の吸着力や強い電界を発生させることができない。
本発明では、低電圧電源で駆動される自励式発振回路から高周波信号を出力し、この高周波信号をダーリントン接続された複数のトランジスタからなる増幅回路によって電流増幅した状態で高周波トランスの一次巻線に印加し、当該高周波トランスにその一次巻線に流れる電流と一次巻線側のインダクタンスとで決定される電気エネルギーを蓄積し、増幅回路を構成するトランジスタに印加される高周波信号によって当該トランジスタがOFF状態となったとき電流が瞬時にゼロになるため、高周波トランスの一次巻線に蓄積された電気エネルギーによって、高周波トランスの一次巻線側に高電圧が発生し、この高周波トランスの一次巻線側に発生した高電圧が、二次巻線によって更に昇圧された高電圧となった後に整流回路で整流することで、直流の高電圧を得るように構成したので、電源として低電圧電源を使用することができるのは勿論のこと、高周波トランスの一次側に流れる電流は、自励式発振回路から出力された高周波信号を増幅回路によって電流増幅したものであるため、低電圧電源から供給される入力電流は、数十mA程度で済み、太陽電池や二次電池の組合せ、あるいは乾電池等によっても長時間駆動することが可能となる。
さらに、本発明では、起動時は、発振回路を低電圧電源によって直接駆動するものの、起動時から予め定められた時間が経過した後は、発振回路を静電チャックの静電容量及び放電抵抗の抵抗値で決定される時定数よりも短い周期で間欠的に駆動するように制御することにより、低電圧電源から供給される入力電流を更に低減させることができ、更なる省電力化が可能となる。
本発明の高電圧発生装置によれば、従来の高電圧発生装置と比較して入力電力が非常に小さくて済む高電圧発生装置を提供することができる。
また、本発明の高電圧発生装置によれば、静電チャックのような容量性負荷に対して高電圧発生装置からの電荷を効率良く流入させて、所定の電圧を静電チャックの電極間で発現させることが可能な高電圧発生装置を提供することができる。
図1はこの発明の参考例に係る高電圧発生装置を示す回路図である。 図2はこの発明の参考例に係る高電圧発生装置を実際に駆動した場合のパラメータを示す図表である。 図3は平行平板型プラズマエッチング装置において本発明の高電圧発生装置を適用した静電チャックを用いてシリコンウエハを吸着保持し、シリコンウエハのエッチング処理を行う様子を示す斜視断面模式図である。 図4は、高電圧発生装置1が適用された静電チャックを示す回路図である。 図5はこの発明の実施の形態1に係る高電圧発生装置を示すブロック図である。 図6はこの発明の実施の形態1に係る高電圧発生装置を示す回路図である。 図7はこの発明の実施の形態1に係る高電圧発生装置の動作を示す波形図である。
以下、添付図に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。なお、本発明は以下の説明に限定されるものではない。
参考例
図1は本発明の参考例に係る高電圧発生装置を示す回路図である。
図において、1は高電圧発生装置を示すものであり、この高電圧発生装置1は、低電圧電源2としての二次電池(蓄電池)BATと、二次電池BATに逆流防止用ショットキーバリアダイオードD100を介して並列に接続された同じく低電圧電源としての太陽電池SCとを備えている。低電圧電源2としては、二次電池BATと太陽電池SCの組み合わせに限らず、太陽電池、乾電池、二次電池、燃料電池の少なくとも一つを含んでいれば良く、又これら太陽電池、乾電池、二次電池、燃料電池のうち、いずれか二つ以上を任意に組み合わせて用いても良い。低電圧電源2の供給電圧は、例えば、3〜15Vに設定され、供給平均電流は、例えば、10〜100mAに設定される。
二次電池BATとしては、任意のものを使用することができるが、例えば、マイクロビークル社製の容量11V/300mAhのリチウム二次電池PB3048を3個直列に接続したものが用いられる。太陽電池SCとしては、任意のものを使用することができるが、例えば、TDK社製のアモルファスシリコン型の太陽電池BCS0906Pを2個並列に接続したものや、SANYO社製のアモルファスシリコン型の太陽電池AM−5815、総受光面積約3cm2を複数個(例えば、8個)並列に接続したものが用いられる。
二次電池BATの容量としては、例えば、300mAhのものが用いられる。したがって、低電圧電源2として電圧9Vで動作させた場合、太陽光がなくても約10時間連続して運転が可能である。太陽光がある場合には、後述する第1及び第2の高周波トランスTR1、TR2からなる昇圧回路であまった電流によって二次電池BATが充電される。
二次電池BATには、スイッチSWを介して自励式発振回路としての汎用タイマーIC3が接続されている。汎用タイマーIC3としては、例えば、LMC555型発振ICが用いられるが、他のものを使用しても勿論良い。汎用タイマーIC3は、無安定発振にて周波数6.5kHzの高周波信号を出力する。自励式発振回路3は、汎用タイマーICに限らず、1〜10kHz程度の高周波電圧を出力可能なものであればよく、出力信号の波形は、矩形波である。汎用タイマーIC3は、VCC端子及びRESET端子に二次電池BATの正極が接続されているとともに、GND端子が二次電池BATの負極(アース電位)に接続されている。汎用タイマーIC3のDISC端子は、二次電池BATの正極側に第1の抵抗器R1を介して接続されており、THRES端子及びTRIG端子は、二次電池BATの正極側に直列接続の第1の抵抗器R1及び第2の抵抗器R2を介して接続されているとともに、二次電池BATの負極に第1のコンデンサC1を介して接続されている。上記第1及び第2の抵抗器R1、R2、並びに第1のコンデンサC1は、汎用タイマーIC3を低電圧電源2によって駆動するためのものであり、これらの抵抗器やコンデンサに限定されるものではない。
汎用タイマーIC3の出力端子であるOUT端子から出力される高周波出力信号4は、電流調整用の第3の抵抗器R3を介して、ダーリントン接続された複数(図示例では、2つ)の第1及び第2のトランジスタT1、T2からなる増幅回路5に入力されている。汎用タイマーIC3から出力される高周波出力信号4は、増幅回路5を構成する第1のトランジスタT1のベース端子に入力されており、第1及び第2のトランジスタT1、T2のコレクタ端子は、後述する第1及び第2の高周波トランスTR1、TR2の一次巻線N1、N1の一端に並列に接続されている。第1のトランジスタT1のエミッタ端子は、第2のトランジスタT2のベース端子に接続されており、第2のトランジスタT2のエミッタ端子は、二次電池BATの負極(アース電位)に接続されている。増幅回路5は、第1のトランジスタT1の増幅率と第2のトランジスタT2の増幅率との積に応じた増幅率で、汎用タイマーIC3から出力される高周波出力信号4を電流増幅する。
第1及び第2のトランジスタT1、T2のコレクタ端子は、第1及び第2の高周波トランスTR1、TR2の一次巻線N1、N1の一端に並列に接続されているとともに、第1及び第2の高周波トランスTR1、TR2の一次巻線N1、N1の他端は、電圧調整ボリュームP1及びスイッチSWを介して二次電池BATの正極にそれぞれ接続されている。第1及び第2の高周波トランスTR1、TR2としては、例えば、SANSUI社製の高周波トランスST−14(1k:500k)が用いられる。第1の高周波トランスTR1は、正極性の直流高電圧出力用のものであり、第2の高周波トランスTR2は、負極性の直流高電圧出力用のものである。高周波トランスTR1、TR2は、必ずしも2つ使用する必要はなく、正極性又は負極性のものを何れかを1つ備えていれば良い。
第1の高周波トランスTR1の二次巻線N2には、正極性用の昇圧整流回路としての第1のコッククロフト・ウオルトン回路6が接続されている。この第1のコッククロフト・ウオルトン回路6は、5つのコンデンサC2、C3、C4、C5、C6と5つのダイオードD1、D2、D3、D4、D5を5段接続して構成されている。第1のコッククロフト・ウオルトン回路6の出力側には、アース電位との間に第6の抵抗器R6(100MΩ程度)が並列に接続されているとともに、正極性の出力端子7との間に1MΩ程度に設定された高抵抗の電流制限用の第4の抵抗器R4が直列に接続されている。
整流用のダイオードとしては、例えば、ファーストリカバリダイオードが用いられるが、通常の整流用ダイオードIN4007(耐圧1kV)等を用いても勿論良い。
また、第2の高周波トランスTR2の二次巻線N2には、負極性用の昇圧整流回路としての第2のコッククロフト・ウオルトン回路8が接続されている。この第2のコッククロフト・ウオルトン回路8は、5つのコンデンサC7、C8、C9、C10、C11と5つのダイオードD6、D7、D8、D9、D10を5段接続して構成されている。第2のコッククロフト・ウオルトン回路8の出力側には、アース電位との間に第7の抵抗器R7(100MΩ程度)が並列に接続されているとともに、負極性の出力端子9との間に1MΩ程度に設定された高抵抗の電流制限用の第5の抵抗器R5が直列に接続されている。
上記出力端子に並列に接続されている100MΩ程度の抵抗器R6、R7は、自己放電用、及び電源のスイッチSWが切れたら速やかに出力電圧を降下させ、安全性を確保するためのものである。また、出力端子に直列に接続されている1MΩ程度の抵抗器R4、R5は、負荷の電流制限用のものであり、静電チャックの吸着電極からなる負荷のようなキャパシタにスムーズに電荷をチャージ(=昇圧)する役目を有している。
以上の構成において、この参考例に係る高電圧発生装置では、次のようにして、従来の高電圧発生装置と比較して入力電力が非常に小さくて済む高電圧発生装置を提供することが可能となっている。
すなわち、高電圧発生装置1は、図1に示すように、太陽電池SCが受光している際に発電した電力によって二次電池BATが充電される。本参考例では、TDK社製のアモルファスシリコン型の太陽電池BCS0906Pを2個並列に接続したものが用いられ、図2に示すように、発電電圧は自然光にて最大9.0V程度であり、電流平均値は35mA程度、電流ピーク値は48mA程度である。したがって、総電力(W)は、平均値で0.32W、ピーク値で0.43W程度である。
高電圧発生装置1は、図1に示すように、スイッチSWがオン状態となると、二次電池BAT又は太陽電池SCの少なくとも一方から平均値で0.32W程度の電力が回路の下流側に供給され、汎用タイマーIC3が駆動され、汎用タイマーIC3からは、無安定発振にて周波数6.5kHzの高周波信号4が出力端子OUTから出力される。汎用タイマーIC3から出力される高周波出力信号4は、第3の抵抗器R3を介してダーリントン接続された第1のトランジスタT1のベース端子に入力され、ダーリントン接続された第1及び第2のトランジスタT1、T2によって電流増幅される。
ダーリントン接続された第1及び第2のトランジスタT1、T2によって増幅された高周波信号10は、第1及び第2の高周波トランスTR1、TR2の一次巻線N1、N1に印加され、当該高周波トランスTR1、TR2にその一次巻線N1、N1に流れる電流と一次巻線側のインダクタンスとで決定される電気エネルギーが蓄積され、増幅回路を構成する第1のトランジスタT1に印加される高周波信号10によって当該トランジスタT1がOFF状態となったとき電流が瞬時にゼロになるため、高周波トランスTR1、TR2の一次巻線N1、N1に蓄積された電気エネルギーによって、高周波トランスTR1、TR2の一次巻線N1、N1側に高電圧が発生し、この高周波トランスTR1、TR2の一次巻線N1、N1側に発生した高電圧が、二次巻線N2、N2によって更に昇圧された高電圧となり、第1及び第2の高周波トランスTR1、TR2の二次巻線N2、N2には、一次巻線N1に印加される高周波信号10に同期して昇圧された高電圧が発生する。
第1及び第2の高周波トランスTR1、TR2の二次巻線N2、N2に発生した高電圧は、第1及び第2のコッククロフト・ウオルトン回路6、8によって整流されるとともに昇圧されて出力される。
第1のコッククロフト・ウオルトン回路6から出力される直流高電圧は、電流制限用の第4の抵抗器R4を介して出力端子7から正極性の直流高電圧(例えば、+900V)として出力される。一方、第2のコッククロフト・ウオルトン回路8から出力される直流高電圧は、電流制限用の第6の抵抗器R5を介して出力端子9から負極性の直流高電圧(例えば、−900V)として出力される。また、出力電圧は、電圧調整ボリュームP1によって、第1及び第2の高周波トランスTR1、TR2の一次巻線N1、N1に流れる電流を制御することにより、1〜900Vまでにわたって調整することができる。
本発明者は、図1に示す高電圧発生装置1を試作し、高電圧発生装置1の特性を調べたところ、図2に示すような結果が得られた。
二次電池BAT又は太陽電池SCの少なくとも一方から供給される入力電圧が9Vの場合には、入力電流の平均値が35mA、入力電流のピーク値が48mA、最大出力電圧が±850V、入力電力の平均値が0.32W、入力電力のピーク値が0.43Wであった。
また、入力電圧が5.5Vの場合には、入力電流の平均値が23mA、入力電流のピーク値が28mA、最大出力電圧が±480V、入力電力の平均値が0.13W、入力電力のピーク値が0.15Wであった。
このように、高電圧発生装置1では、低電圧電源2として、入力電圧が9V、入力電流の平均値が35mA程度と非常に少ない電流で、出力端子7、9から電流制限用の第4及び第5の抵抗器R4、R5を介して正極性の直流高電圧(例えば、+900V)及び負極性の直流高電圧(例えば、−900V)を出力することができ、出力端子7、9に接続される負荷として、静電チャックの吸着電極のような静電容量が20nF程度の容量性負荷を接続した場合であっても、kVオーダーに近い+900V及び−900V程度の高電圧を出力し、基板等を安定して吸着保持することが可能となる。
図3は、平行平板型プラズマエッチング装置21において本発明の高電圧発生装置1を適用した静電チャック22を用いてシリコンウエハwを吸着保持し、シリコンウエハwのエッチング処理を行う様子を示す斜視断面模式図であり、図4は、高電圧発生装置1が適用された静電チャックを示す回路図である。
静電チャック22は、厚さ12mm、直径340mmのアルミニウム製の金属基盤23の上面側に電極シート24が貼着されている。電極シート24は、吸着電極25の上下面側に、それぞれ厚さ100μm、直径298mmのポリイミドフィルムからなる下部絶縁層26及び上部絶縁層27が積層されてなる。また、この電極シート24には、基板wを吸着させる基盤吸着面の周縁部であって基板が吸着されない箇所にアモルファスシリコン製の太陽電池SCが取り付られ、更に金属基盤23には、高電圧発生装置1が内蔵されている。なお、高電圧発生装置1としては、図1に示したものが用いられている。太陽電池SCは、プラズマエッチング装置21のプラズマによって発電を行うが、太陽電池SCをプラズマエッチング装置21の外部に配置し、外部から太陽光などを取り入れるように構成しても良い。
図3中、符号28はプラズマエッチング装置21の上部電極を示しており、上部電極28には高周波電源29が接続されている。
実施の形態1
図5は本発明の実施の形態1に係る高電圧発生装置を示すブロック図であり、前記参考例と同一の部分には同一の符号を付して説明すると、この実施の形態1では、低電圧電源によって駆動される発振回路から出力される高周波信号を増幅するとともに、高周波トランスを用いて高電圧を発生させる高電圧発生回路と、前記高電圧発生回路によって発生された高電圧を整流しつつ昇圧する昇圧整流回路と、前記昇圧整流回路によって整流しつつ昇圧された高電圧が印加されるとともに放電抵抗が並列に接続された容量性負荷としての静電チャックと、起動時は、前記発振回路を前記低電圧電源によって直接駆動するとともに、起動時から予め定められた時間が経過した後は、前記発振回路を前記静電チャックの静電容量及び前記放電抵抗の抵抗値で決定される時定数よりも短い周期で間欠的に駆動するように制御する制御回路とを備えるように構成されている。
すなわち、この高電圧発生装置1は、図5に示すように、大別して、直流の低電圧電源2と、制御部110と、高電圧発生部120とから構成されており、高電圧発生部120には、容量性負荷としての静電チャック22が接続されている。
ところで、上記制御部110は、タイマー回路111と、変調信号発生回路112と、論理回路(AND回路)113とから構成されている。
タイマー回路111は、直流電源2をオン状態としたときに、1秒程度の予め定められた時間Tが経過した後、当該タイマー回路111の出力電圧を0からハイ(直流電源2の出力電圧)に切り替えるための回路である。このタイマー回路111は、図6に示すように、直流電源2から第9の抵抗R9を介して出力電圧が印加されるCR回路を構成する直列接続の抵抗R12とコンデンサC16を備えており、この直列接続の抵抗R12とコンデンサC16との接続点には、第3のトランジスタQ3のベース端子が接続されている。また、この第3のトランジスタQ3のコレクタ端子には、抵抗R13を介して出力電圧が印加されているとともに、そのエミッタ端子は接地されている。さらに、上記第3のトランジスタQ3のコレクタ端子には、第4のトランジスタQ4のベース端子が接続されているとともに、当該第4のトランジスタQ4のコレクタ端子には、抵抗R13を介して出力電圧が印加されているとともに、そのエミッタ端子は接地されている。そして、上記第4のトランジスタQ4のコレクタ端子は、論理回路113の逆方向ダイオードD15に接続されている。
そして、上記タイマー回路111は、直流電源2をオン状態とした直後は、第3のトランジスタQ3がオフ状態、第4のトランジスタQ4がオン状態であって、タイマー回路111の出力電圧が0となり、直列接続の抵抗R12とコンデンサC16で決まる時定数[=R(R12の抵抗値)×C(コンデンサC16の静電容量)]に応じて、第3のトランジスタQ3がオン状態、第4のトランジスタQ4がオフ状態となり、タイマー回路111の出力電圧がハイとなる。ここで、直流電源2をオン状態にしてからタイマー回路111の出力電圧がハイとなるまでの時間は、例えば、1秒程度に設定されている。
このタイマー回路111の出力電圧がハイとなるまでの時間は、後述する図7に示すように、電源スイッチSWをオンしてから高電圧発生部120の出力電圧が予め定められた高電圧まで立ち上がるのに十分な時間に設定されており、本実施の形態では、上述したように、約1秒程度に設定されている。
また、上記変調信号発生部112は、例えば、上述した高電圧発生装置1の自励式発振回路と同様に構成され、汎用タイマーIC114が用いられる。汎用タイマーIC114としては、例えば、LMC555型発振ICが用いられるが、他のものを使用しても勿論良い。この汎用タイマーIC114は、例えば、無安定発振にて周波数10.0〜20.0Hz程度の矩形波状の低周波信号を出力する。この自励式発振回路は、汎用タイマーICに限らず、周波数10.0〜20.0Hz程度の矩形波状の低周波信号を出力可能なものであれば良い。
汎用タイマーIC114には、図6に示すように、当該汎用タイマーIC114を駆動するための抵抗R10、抵抗R11、可変抵抗X3、コンデンサC15、コンデンサC14、ダイオードD13、D14が、上述した汎用タイマーIC3と同様に対応する端子にそれぞれ接続されている。なお、可変抵抗X3は、汎用タイマーIC114から出力される出力電圧のデューティ比を調整するためのものである。
さらに、上記論理回路(アンド回路)113は、図6に示すように、直流電源2の出力電圧が抵抗R15を介して印加される逆方向ダイオードD15と逆方向ダイオードD16を備えており、逆方向ダイオードD15と逆方向ダイオードD16の接続点には、第5のトランジスタQ5のベース端子が接続されている。この第5のトランジスタQ5のコレクタ端子には、抵抗R16を介して直流電源2の出力電圧が印加されているとともに、当該コレクタ端子から出力されるコントロール信号は、高電圧発生部120の汎用タイマーIC3のRESET端子に入力されている。
上記論理回路(アンド回路)113は、一方の逆方向ダイオードD15に入力されるタイマー回路111からの出力信号と、他方の逆方向ダイオードD16に入力される変調信号発生部112からの出力信号とが共に“ハイ”となった場合にのみ、エミッタ接地の第5のトランジスタQ5がオン状態となって“0”の信号を出力するようになっている。
したがって、上記論理回路(アンド回路)113は、タイマー回路111からの出力信号が“0”の場合には信号を出力せず、タイマー回路111からの出力信号が“ハイ”となった後は、変調信号発生部112から出力される矩形波状の低周波信号が“ハイ”の場合には“0”を、変調信号発生部112から出力される矩形波状の低周波信号が“0”の場合には“ハイ”を、つまり変調信号発生部112から出力される矩形波状の低周波信号を反転して出力する。
一方、上記高電圧発生部120は、基本的に、上述した参考例に係る高電圧発生装置と略同様に構成されている。
すなわち、上記高電圧発生部120は、図5に示すように、大別して、発振回路3と、フライバックコンバータ回路121と、正極昇圧整流回路122と、負極昇圧整流回路123と、正極側の放電抵抗R6と、負極側の放電抵抗R7と、電流制限用の第4の抵抗器R4と、同じく電流制限用の第5の抵抗器R5とから構成されている。
この実施の形態1では、図6に示すように、直流電源2に第8の抵抗R8と第13のコンデンサC13がそれぞれ並列に接続されているとともに、抵抗R8とコンデンサC13との間には、第9の抵抗R9が直列に接続されている。また、上記高電圧発生部120の自励式発振回路3は、直流電源2に接続されたVCC端子が第12のコンデンサC12を介して接地されている。さらに、上記高電圧発生部120の自励式発振回路3には、直流電源2の正極側と出力端子との間にダイオードD12が逆方向に接続されているとともに、出力端子と直流電源2の負極側(アース電位)との間もダイオードD11が逆方向に接続されている。なお、図6では、直流電源2が省略されている。今回追加された抵抗R8は、ダミー電流を流すためのもの、R9は流入電流の制限抵抗であり、電源スイッチSWをオンしたときに過電流が流れるのを防止するためのもの、コンデンサC12、C13、C14はバイパスコンデンサ、ダイオードD11、D12、D13、D14は保護用ダイオードをそれぞれ示している。
以上の構成において、この実施の形態1に係る高電圧発生装置では、次のようにして、従来の高電圧発生装置と比較して入力電力の更なる省電力化が可能となっている。
すなわち、この実施の形態1に係る高電圧発生装置1では、図6に示すように、図示が省略されたスイッチSWがオン状態となると、低電圧の直流電源2から9V程度の直流電圧が供給され、汎用タイマーIC3が駆動される。汎用タイマーIC3からは、無安定発振にて周波数15.1kHzの高周波信号4が出力端子OUTから出力される。汎用タイマーIC3から出力される高周波出力信号4は、フライバックコンバータ回路120によって数10〜100V程度の比較的高い交流電圧に変換される。
更に、上記フライバックコンバータ回路120によって比較的高い電圧に変換された交流電圧は、正極性昇圧整流部122と負極性昇圧整流部123とによって、±約1.8kV程度の正極性の直流高電圧と負極性の直流高電圧にそれぞれ変換された後、容量性負荷としての静電チャック22(図3及び図4を参照)の正極性の吸着電極25と負極性の吸着電極25とにそれぞれ印加される。
その際、上記高電圧発生装置1の高電圧発生部120には、図5及び図6に示すように、制御部110からコントロール信号130が入力されている。この制御部110から出力されるコントロール信号130は、図5に示すように、スイッチSWがオン状態となった直後は、タイマー回路111が起動された状態であり、タイマー回路111からの出力は、“0”となっている。そのため、上記高電圧発生装置1の高電圧発生部120は、低電圧の直流電源2から供給される直流電圧によって上述したように駆動される。
次に、上記制御部110は、図5に示すように、スイッチSWがオン状態となってから予め定められた時間Tが経過すると、タイマー回路111からの出力が“ハイ”状態となり、論理回路113の他方に入力される変調信号発生回路112からの矩形波状の低周波信号が反転されたコントロール信号130として、高電圧発生部120の汎用タイマーIC3のRESET端子に入力される。
すると、上記高電圧発生部120の汎用タイマーIC3は、RESET端子に入力される変調信号発生回路112からの矩形波状の変調信号に応じて変調され、汎用タイマーIC3の出力端子から出力される出力電圧は、変調信号の周波数に応じてオンオフ変調されて、フライバックコンバータ回路121が間欠的に駆動される。上記汎用タイマーIC3の出力端子から出力される変調信号は、そのデューティ比が可変となっており、例えば、デューティ比が50〜75%程度に設定されている。
そして、上記高電圧発生部120から出力される正極性の高電圧と負極性の高電圧は、電流制限用の第4の抵抗器R4と電流制限用の第5の抵抗器R5を介して、容量性負荷としての静電チャック22(図3及び図4を参照)の正極性の吸着電極25と負極性の吸着電極25とにそれぞれ印加される。
その際、上記汎用タイマーIC3の出力端子から出力され、フライバックコンバータ回路121を間欠的に駆動する変調信号の周波数は、高電圧発生部120の出力とアース(グランド電位)との間に取り付けられる放電抵抗R6と放電抵抗R7の抵抗値R(100MΩ程度)と、容量性負荷としての静電チャック22の正極性電極25と負極性電極25との間の静電容量C(10〜1000nF程度)の積で表わされる時定数よりも十分に小さい(1/10〜1/20程度)周期に設定されている。
このように、フライバックコンバータ回路121を間欠的に駆動する変調信号の周波数を、放電抵抗R6と放電抵抗R7の抵抗値Rと、容量性負荷としての静電チャック22の正極性電極25と負極性電極25との間の静電容量Cの積で表わされる時定数よりも十分に小さい周期で決定される周波数に設定することによって、静電チャック22の正極性電極25と負極性電極25に印加される高電圧出力の電圧を十分高くとりながら、入力に要する平均電流を低減することが可能となる。
いま、放電抵抗R6と放電抵抗R7の抵抗値R(100MΩ程度)と、容量性負荷としての静電チャック22の正極性電極25と負極性電極25との間の静電容量C(10〜1000nF程度)の積で表わされる時定数RCを、RC=1秒とすると、変調信号発生回路112の周期は、0.1秒、つまり周波数は10Hz程度に設定され、その変調信号発生回路112の出力波形のデューティー比を50%に設定すれば、消費電力を1/2にすることができる。
したがって、上記高電圧発生部120の汎用タイマーIC3から出力される交流電圧は、低電圧の直流電源2から供給される直流電圧によって直接駆動した場合と比較して、デューティ比に応じて消費電力を低減することが可能となる。そのため、上記高電圧発生装置1では、汎用タイマーIC114の出力端子から出力される変調信号のデューティ比を50%に設定すれば、直流電源2によって直接駆動した場合と比較して消費電力を半分に減少させることができる。
図7は本発明者が実施の形態1に係る高電圧発生装置1を試作し、当該高電圧発生装置1の出力電圧をオシロスコープで観察した場合の波形を示したものである。尚、ここで、高電圧発生部120のタイマーIC3の発振周波数は15.1kHz、制御部のタイマーIC114の発振周波数は13.6Hz、制御部のタイマーIC114のデューティ比は72%(オン状態)、電源電圧は9Vにそれぞれ設定されている。
この図7から明らかなように、制御部110から出力されるコントロール信号130は、スイッチSWがオン状態となった直後から予め定められた時間が経過するまで“ハイ”となっており、出力電圧は、スイッチSWがオン状態となった直後から急激に立ち上がり、約1.8kVまで上昇する。そして、スイッチSWがオン状態となった直後からタイマー回路111によって設定された所定の時間が経過すると、コントロール信号130は、変調信号発生回路112から出力される変調信号となり、出力電圧は、コントロール信号130に応じてオンオフ変調された信号となり、約1.8kV程度の直流高電圧を得ることができる。
また、上記高電圧発生装置1の消費電流と消費電力を測定したところ、立ち上がりの連続運転時と通常の動作時である間欠運転時でそれぞれ92mA/0.80Wと48mA/0.42Wとなり、消費電力を略半減することがわかった。この実施の形態1では、出力電圧を参考例の2倍である約1.8kVに上げることができたにも関わらず、消費電力を大幅に省電力化することができる。なお、高電圧発生装置1の消費電流は、2.2Ω程度のシャント抵抗を直流電源2の正極側と本回路の間に挿入し、電位差をオシロスコープの2つのプローブで観測することによって測定した。
なお、上記参考例に係る高電圧発生装置1では、その出力電圧が約0.9kVであったのに対して、本実施の形態1では、出力電圧が約1.8kVと高くなった理由は、高電圧発生部120の汎用タイマーIC3の発振周波数を実施の形態1の6.5kHから15.1kHに上げたためである。この高電圧発生部120の汎用タイマーIC3の発振周波数を上げたことによって、昇圧率が約17%程度改善し、汎用タイマーIC3の発振周波数が6.5kHであった場合に聞こえていたキーンという発振音も聞こえなくなった。
その他の構成及び作用は、前記参考例と同様であるので、その説明は省略する。
本発明の静電チャックは、所定の基板の処理を行う際に光エネルギーを発する装置であれば、半導体製造プロセスや液晶製造プロセス等で使用される種々の基板処理装置で用いることができる。特に、本発明の静電チャックは外部電源を使用しなくても基板を吸着保持することができることから、例えば基板を吸着させたまま移動や搬送が可能となり、基板処理装置において従来使用されている静電チャックの用途に制限されずに新たな使用態様を生み出す可能性を有する。
本発明は、半導体製造装置の基板保持用に使われる静電チャックや、静電チャック機能を利用した展示・掲示装置、除菌・滅菌装置、空気中の塵や埃を集める集塵装置、あるいは植物やキノコなどの植生の成長を促進する成育装置など、種々の装置に供給する高電圧を発生する高電圧発生装置に係り、特に太陽電池あるいは電池などを入力の電源として数kVオーダーの高電圧を発生することが可能で、小型・軽量で消費電力の非常に少ない直流−直流変換の高電圧発生装置に関するものである。
1:高電圧発生装置、2:低電圧電源、3:自励式発振回路、5:増幅回路、6、8:整流回路、7、9:出力端子。

Claims (5)

  1. 低電圧電源によって駆動される発振回路から出力される高周波信号を増幅するとともに、高周波トランスを用いて高電圧を発生させる高電圧発生回路と、
    前記高電圧発生回路によって発生された高電圧を整流しつつ昇圧する昇圧整流回路と、
    前記昇圧整流回路によって整流しつつ昇圧された高電圧が印加されるとともに放電抵抗が並列に接続された容量性負荷としての静電チャックと、
    起動時は、前記発振回路を前記低電圧電源によって直接駆動するとともに、起動時から予め定められた時間が経過した後は、前記発振回路を前記静電チャックの静電容量及び前記放電抵抗の抵抗値で決定される時定数よりも短い周期で間欠的に駆動するように制御する制御回路と、
    を備えたことを特徴とする静電チャック用の高電圧発生装置。
  2. 前記昇圧整流回路と出力端子との間に直列接続された負荷に所定の高電圧を印加するための抵抗器を有することを特徴とする請求項1に記載の静電チャック用の高電圧発生装置。
  3. 前記低電圧電源は、太陽電池、乾電池、二次電池、燃料電池の少なくとも一つを含み、当該低電圧電源の供給電圧は3〜15V、供給平均電流は10〜100mAであることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電チャック用の高電圧発生装置。
  4. 前記発振回路の発振周波数は、1〜20kHzであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電チャック用の高電圧発生装置。
  5. 正極性の高電圧を発生させるための第1の高周波トランスと、負極性の高電圧を発生させるための第2の高周波トランスとを少なくとも1つずつ有し、前記第1及び第2の高周波トランスの一次側巻線の一方は、増幅回路を構成するダーリントン接続された複数のトランジスタのコレクタに並列に接続するとともに、その他方は、共通の前記低電圧電源に接続し、前記第1及び第2の高周波トランスの二次側巻線の一方は、正極性用及び負極性用の昇圧整流回路にそれぞれ接続するとともに、その他方は、共通のアース電位に接続することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電チャック用の高電圧発生装置。
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