JP5692674B1 - カルシウム低吸収型経口リン吸着剤 - Google Patents
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Abstract
Description
項1. (i)炭酸カルシウム及び/又は酢酸カルシウム、並びに(ii)平均分子量が10万以下のアルギン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含有することを特徴とする、経口リン吸着剤。
項2. 前記アルギン酸及び/又はそのアルカリ金属塩の平均分子量が5万以下である、項1に記載の経口リン吸着剤。
項3. 前記アルギン酸及び/又はそのアルカリ金属塩において、全グリコシド結合に対するマンヌロン酸−グルロン酸の結合の比率が40%以下である、項1又は2に記載の経口リン吸着剤。
項4. 前記アルギン酸が非膨潤性である、項1〜3のいずれかに記載の経口リン吸着剤。
項5. 前記アルギン酸及び/又はそのアルカリ金属塩のマンヌロン酸/グルロン酸のモル比が0.8以上である、項1〜4のいずれかに記載の経口リン吸着剤。
項6. 錠剤、顆粒剤、散剤、又はカプセル剤である、項1〜5のいずれかに記載の経口リン吸着剤。
項7. (i)炭酸カルシウム及び/又は酢酸カルシウム、並びに(ii)平均分子量が10万以下のアルギン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含有する組成物からなる1剤タイプの製剤である、項1〜6のいずれかに記載の経口リン吸着剤。
項8. (i)炭酸カルシウム及び/又は酢酸カルシウムを含む第1剤と、(ii)平均分子量が10万以下のアルギン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含む第2剤を含む、2剤タイプの組み合わせ製剤である、項1〜6のいずれかに記載の経口リン吸着剤。
項9. 平均分子量が10万以下のアルギン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含有することを特徴とする、炭酸カルシウム及び/又は酢酸カルシウムを含む経口リン吸着剤によるカルシウム吸収を抑制するためのアルギン酸製剤。
本発明の経口リン吸着剤は、(i)炭酸カルシウム及び/又は酢酸カルシウム、並びに(ii)平均分子量が10万以下のアルギン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含有することを特徴とする。以下、本発明の経口リン吸着剤について詳述する。
本発明の経口リン吸着剤は、生体内でリンを吸着する成分として、炭酸カルシウム及び/又は酢酸カルシウム(以下、「(i)成分」と表記することもある)を使用する。
本発明の経口リン吸着剤は、前記(i)成分及び前記(ii)成分を含む組成物からなる1剤タイプの製剤であってもよく、前記(i)成分を含む第1剤と、前記(ii)成分を含む第2剤とが別々に製剤化されている2剤タイプの製剤であってもよい。服用簡易性の観点からは、好ましくは1剤タイプの製剤が挙げられる。
本発明の経口リン吸着剤の剤型については、経口投与が可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤等の固形状が挙げられる。これらの中でも、好ましくは錠剤、顆粒剤、カプセル剤が挙げられる。また、本発明の経口リン吸着剤を錠剤、丸剤、又は顆粒剤の剤型にする場合には、必要に応じて、糖衣コーティング、腸溶性コーティング等のコーティングを施しておいてもよい。
本発明の経口リン吸着剤は、炭酸カルシウム及び/又は酢酸カルシウムによって食物由来のリンを吸着し、リン吸収を抑制することができるので、リンの過剰摂取等に起因する種々の疾患、例えば、高リン血症、腎不全、骨粗鬆症等の症状の予防又は治療用の医薬として好適に使用される。また、本発明の経口リン吸着剤は、炭酸カルシウム及び/又は酢酸カルシウムに由来するカルシウム吸収を抑制できるので、透析患者等の長期間継続的にリン吸着剤の服用が必要とされる慢性腎臓病患者において、高カルシウム血症や血管石灰化、動脈硬化等の心血管疾患を予防するための医薬としても好適に使用される。
前述するように、平均分子量が10万以下のアルギン酸及び/又はそのアルカリ金属塩は、生体内で炭酸カルシウム及び/又は酢酸カルシウム由来のカルシウム吸収を抑制する作用を示す。従って、本発明は、更に、平均分子量が10万以下のアルギン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含有することを特徴とする、炭酸カルシウム及び/又は酢酸カルシウムを含む経口リン吸着剤によるカルシウム吸収を抑制するためのアルギン酸製剤を提供する。なお、本発明において、「アルギン酸製剤」という表記は、平均分子量が10万以下のアルギン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を含む製剤を意味している。
以下に示す方法で、各種分子量及びM-G結合率のアルギン酸を製造又は準備した。
非膨潤性のアルギン酸(「和光一級アルギン酸」、和光純薬工業株式会社)を約6重量%となるように精製水に懸濁し、高圧蒸気滅菌器(TOMY社製ES−315)にて105℃で30分間、オートクレーブ処理した。オートクレーブ処理終了後、常温まで冷却して、アルギン酸を水洗した後に、脱水、乾燥及び粉砕を行い、アルギン酸1(非膨潤性)を得た。当該アルギン酸1は、M-G結合率34%、G-G結合率23%、M-M結合率43%、M/G比1.2、平均分子量5万であった。
アルギン酸ナトリウム(「キミカアルギンIL−6M」、株式会社キミカ)を1重量%となるように精製水に溶解(pH6.8)し、塩酸水溶液を添加して、アルギン酸ゲルに変換した。得られたアルギン酸ゲル溶液を95℃で約120分間、加熱処理した。加熱処理終了後、常温まで冷却して、アルギン酸を水洗した後に、脱水、乾燥及び粉砕を行い、アルギン酸2(非膨潤性)を得た。当該アルギン酸2は、M-G結合率20%、G-G結合率27%、M-M結合率53%、M/G比1.7、平均分子量4万であった。
オートクレーブ処理の条件を105℃で200分間に変更したこと以外は、前記アルギン酸1と同条件で操作し、アルギン酸3(非膨潤性)を得た。当該アルギン酸3は、M-G結合率19%、G-G結合率39%、M-M結合率42%、M/G比1.2、平均分子量2万であった。
オートクレーブ処理の条件を105℃で10分間に変更したこと以外は、前記アルギン酸1と同条件で操作し、アルギン酸4(非膨潤性)を得た。当該アルギン酸4は、M-G結合率31%、G-G結合率26%、M-M結合率43%、M/G比1.3、平均分子量10万であった。
アルギン酸ナトリウム(「キミカアルギンI−3」、株式会社キミカ)を1重量%となるように精製水に溶解(pH6.8)し、塩酸水溶液を添加して、アルギン酸ゲルに変換させた。次いで、アルギン酸を回収して水洗した後に、脱水、乾燥及び粉砕を行い、アルギン酸5(非膨潤性)を得た。当該アルギン酸5は、M-G結合率49%、G-G結合率18%、M-M結合率33%、M/G比0.8、平均分子量41万であった。
アルギン酸ナトリウム(「キミカアルギンIL−6M」、株式会社キミカ)を1重量%となるように精製水に溶解(pH6.8)し、塩酸水溶液を添加して、アルギン酸ゲルに変換させた。得られたアルギン酸ゲル溶液を81℃で約60分間、加熱処理した。次いで、アルギン酸を回収して水洗した後に、脱水、乾燥及び粉砕を行い、アルギン酸6(非膨潤性)を得た。当該アルギン酸6は、M-G結合率37%、G-G結合率11%、M-M結合率52%、M/G比1.7、平均分子量10万であった。
非膨潤性のアルギン酸(「和光一級アルギン酸」、和光純薬工業株式会社)を80℃で13日間加温処理し、アルギン酸7(非膨潤性)を得た。当該アルギン酸7は、M-G結合率43%、G-G結合率14%、M-M結合率43%、M/G比1.4、平均分子量5万であった。
アルギン酸8として、非膨潤性のアルギン酸(「和光一級アルギン酸」、和光純薬工業株式会社)を使用した。当該アルギン酸8は、M-G結合率48%、G-G結合率11%、M-M結合率41%、M/G比1.1、平均分子量40万であった。
アルギン酸9として、非膨潤性のアルギン酸(「和光一級アルギン酸」、和光純薬工業株式会社;前記アルギン酸8とは購入日及びロットが異なるもの)を使用した。当該アルギン酸9は、M-G結合率49%、G-G結合率7%、M-M結合率44%、M/G比1.8、平均分子量24万であった。
各アルギン酸について1H−NMRのスペクトルを求めた。M-G結合率は、1H−NMRのスペクトルに基づいて、前述する方法に従って求めた。また、G-G結合率及びM-M結合率は、1H−NMRのスペクトルに基づいて、下記式に従って算出した値である。
各アルギン酸の平均分子量については、島津製作所社製GPCシステムを用いてプルラン換算の重量平均分子量を算出した。具体的な測定条件は以下の通りである。
測定溶液の調製:アルギン酸約0.05gを量りとり、0.1Mの硝酸ナトリウム水溶液約20mLに懸濁した。この懸濁溶液に炭酸ナトリウム水溶液をアルギン酸が溶解するまで添加した後、0.1Mの硝酸ナトリウム水溶液で50mLとして測定溶液とした。
使用カラム:Shodex社製 SB-806M HQ
標準物質:プルラン(Shodex社製 STANDARD P-82)
移動相:0.1M硝酸ナトリウム水溶液
検出器:示差屈折計
カラム温度:40℃
流速:1.0mL/min
前記アルギン酸1〜3及び5〜6についてカルシウム吸着作用の評価を行った。具体的には、溶出試験第2液(関東化学株式会社)100mlに、各アルギン酸を0.1重量%となるように添加して溶解させた。次いで、CaCl2・2H2O(和光純薬工業株式会社)を0.55重量%となるように添加して、アルギン酸をゲル化させた。十分にゲルが形成されたことを確認した後に、溶液を回収した。溶液中のカルシウムイオン濃度をICP発光分析法にて測定し、以下の式に従って、カルシウム吸着率を算出した。
8週齢の雄ラット(Crl:CD(SD)日本チャールズリバー)を準備し、表1に示す組成の飼料を自由摂取させた。当該飼料の摂取開始から4日後に、24時間蓄尿し、尿中のカルシウム排泄量及びリン排泄量を測定した。なお、本試験は、1群当たりの平均体重が均一となるように予め群分けした各群8匹のラットを用いて行った。また、尿中のカルシウム濃度は比色法(OCPC法)にて測定し、尿中のリン濃度は比色法(リンモリブデン酸法)にて測定し、尿中のカルシウム排泄量とリン排泄量を算出した後、平均値を算出した。
8週齢の雄ラット(Crl:CD(SD)日本チャールズリバー)を準備し、表2に示す組成の飼料を自由摂取させた。当該飼料の摂取開始から2日後に、24時間蓄尿し、尿中のカルシウム排泄量及びリン排泄量を測定した。なお、本試験は、1群当たり平均体重が均一となるように予め群分けした各群5匹のラットを用いて行った。また、尿中のカルシウム濃度は比色法(OCPC法)にて測定し、尿中のリン濃度は比色法(リンモリブデン酸法)にて測定し、尿中のカルシウム排泄量とリン排泄量を算出した後、平均値を算出した。
アルギン酸の保存安定性を評価するために以下の試験を行った。前記アルギン酸3及びアルギン酸9を温度40℃、相対湿度75%の雰囲気で60日間保存し、各アルギン酸の色の変化を目視にて確認した。
Claims (8)
- (i)炭酸カルシウム及び/又は酢酸カルシウム、並びに(ii)平均分子量が10万以下の非膨潤性のアルギン酸を含有することを特徴とする、経口リン吸着剤。
- 前記非膨潤性のアルギン酸の平均分子量が5万以下である、請求項1に記載の経口リン吸着剤。
- 前記非膨潤性のアルギン酸において、全グリコシド結合に対するマンヌロン酸−グルロン酸の結合の比率が40%以下である、請求項1又は2に記載の経口リン吸着剤。
- 前記非膨潤性のアルギン酸のマンヌロン酸/グルロン酸のモル比が0.8以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の経口リン吸着剤。
- 錠剤、顆粒剤、散剤、又はカプセル剤である、請求項1〜4のいずれかに記載の経口リン吸着剤。
- (i)炭酸カルシウム及び/又は酢酸カルシウム、並びに(ii)平均分子量が10万以下の非膨潤性のアルギン酸を含有する組成物からなる1剤タイプの製剤である、請求項1〜5のいずれかに記載の経口リン吸着剤。
- (i)炭酸カルシウム及び/又は酢酸カルシウムを含む第1剤と、(ii)平均分子量が10万以下の非膨潤性のアルギン酸を含む第2剤を含む、2剤タイプの組み合わせ製剤である、請求項1〜5のいずれかに記載の経口リン吸着剤。
- 平均分子量が10万以下の非膨潤性のアルギン酸を含有することを特徴とする、炭酸カルシウム及び/又は酢酸カルシウムを含む経口リン吸着剤によるカルシウム吸収を抑制するためのアルギン酸製剤。
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