JP5692430B2 - 造形方法 - Google Patents
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Description
この発明によるように、疎水性の粒体及び水系溶媒と親和性を有する両親媒性固体ポリマーとしては、ポリビニルアルコールを採用することができる。ポリビニルアルコールは、主鎖として直鎖状の炭化水素を有するとともに、側鎖として親水性の官能基であるヒドロキシル基を有する。ポリビニルアルコールには、その単位構造当りに凡そ一つのヒドロキシル基が含まれることから、該ポリビニルアルコールは、疎水性の粒体との親和性を主鎖によって維持しつつ、水系溶媒との親和性が高いものとなる。それゆえに、両親媒性固体ポリマーとしてポリビニルアルコールを含むスラリーにおいては、これを構成する粒体がより均一に分散されることになる。
ポリビニルアルコールは、単位構造の重合数である重合度が大きいもの程、これを含む膜等の構造体の機械的強度が増大する。一方、ポリビニルアルコールは上述のように、その単位構造に含まれるヒドロキシル基によった親水性を有してはいるものの、その重合度が大きくなる程、水系溶媒に対する溶解度は低下する。
ポリビニルアルコールの単位構造であるビニルアルコールの単量体が酸化されやすく不安定であることから、ポリビニルアルコールは一般に以下の手順で生成される。
(b)ポリ酢酸ビニルを加水分解(鹸化)して、カルボキシル基をヒドロキシル基に置換する。
この発明によれば、スラリー中に繊維材料を含有させることによって、その機械的強度を増大することができる。
この発明では、最下層として基体上に形成する層として上記層よりも結着液の滴下量が少ない犠牲層を設けるようにしている。そのため、造形物を形成する層を基体から剥離する際には、上記犠牲層を除去する、あるいは、犠牲層と基体とを乖離させるようにすればよい。それゆえに、造形物を基体から剥離する際に造形物に掛かる力等に起因して、造形物の形状、特に、犠牲層の直上に塗布される層によって形成される部位における形状の精度が低下することを抑制できる。
この発明によれば、犠牲層に対して離散的に結着液を滴下するとともに、結着液を硬化するようにしている。そのため、犠牲層の基体からの剥離性が低下することを抑制しつつ、スラリーの層に形成される造形物が、結着液の硬化領域を介して基体に安定に支持されるようになる。
[造形用スラリーの組成]
まず、造形用スラリーの組成について説明する。
(A)疎水性粒体
(B)水系溶媒
(C)両親媒性固体ポリマー
上記疎水性粒体は、造形用スラリーを用いて形成される造形物の主要な構成材料である。疎水性粒体には、疎水性の樹脂の粒体、例えばアクリル樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、アクリルシリコーン樹脂粉末、ポリエチレン樹脂粉末、及びポリエチレンアクリル酸共重合樹脂粉末を用いることができる。なお、本実施の形態における疎水性粒体とは、100gの水系溶媒に対して1g以上溶解しない粒体のことである。
[(A)疎水性粒体]
疎水性粒体としての粉末樹脂材料は、真球形状の粒体を含有していることが好ましい。これにより、造形物の形状に係る制御性、特に造形物の外形を規定する辺や角部における形状の制御性が向上する。
シリコーン樹脂粉末材料としては、例えば、トスパール1110(粒径11μm)、トスパール120(粒径2μm)、トスパール130(粒径3μm)、トスパール145(粒径4.5μm)、トスパール2000B(粒径6μm)、トスパール3120(粒径12μm)(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)(トスパール:登録商標)等が挙げられる。
アクリル樹脂としては、例えば、エポスターL15(粒径10〜15μm)、エポスターM05(粒径4〜6μm)、エポスターGPH40〜H110(粒径4〜11μm)((株)日本触媒製)(エポスター:登録商標)が挙げられる。
[(C)両親媒性固体ポリマー]
両親媒性固体ポリマーの好ましい例として、ポリビニルアルコールが挙げられる。ポリビニルアルコールの構造を以下に示す。
そのため、ポリビニルアルコールは、上記化学式(1)に示されるように、側鎖である官能基としてヒドロキシル基の他に、カルボキシル基を有している。また、ポリビニルアルコールと総称される物質には、上記加水分解の度合いの違いに起因して、ポリ酢酸ビニルの重合度に対する、ヒドロキシル基の数の比が異なるものが含まれる。こうした重合度に対するヒドロキシル基の数の比の百分率は鹸化度と呼ばれ、ポリビニルアルコールの特性を示す指標として用いられている。
これら鹸化度と重合度には以下のような傾向がある。
・ただし、鹸化度が100%付近になると結晶化しやすくなるため、水系溶媒に対する溶解度が極端に小さくなる。
・重合度が大きい程、ポリビニルアルコールが含まれる構造体の機械的強度が増大する。
ここで、上記積層造形法を用いて造形物を形成する場合、スラリーからなる単一層における機械的強度に鑑みれば、スラリーに含まれるポリビニルアルコールの重合度をより大きくすることが好ましい。しかしながら、重合度の増大によってポリビニルアルコールの溶解度が低下することから、スラリーからなる層を積層することによって造形物を形成する際、隣接する層の接合面においては、一方の層の界面に存在するポリビニルアルコールが、他方の層を構成する溶媒に溶解し難くなる。つまり、層間の溶解性が低下することによって層間の接着性が低下してしまい、層間における機械的強度が低下することになる。
ポバールJP−03(重合度300、鹸化度86.0〜90.0(88))、ポバールJP−04(重合度400、鹸化度86.0〜90.0(88))、ポバールJP−05(重合度500、鹸化度87.0〜89.0(88))、ポバールJP−10(重合度1000、鹸化度86.0〜90.0(88))、ポバールJP−05S(重合度500、鹸化度86.0〜90.0(88))(日本酢ビ・ポバール(株)製)等が挙げられる。
[配合比]
上記(A)疎水性粒体としてシャリーヌR−170Sを、(B)水系溶媒として水を、(C)両親媒性固体ポリマーとしてポバールJP−05を用いるとき、これらの材料を以下の割合で配合すると好ましい。
(A):(B):(C)=7:3.1:0.22(単位g)
これら材料を混練することにより、造形用スラリーを作成することができる。なお、造形物において疎水性粒体の充填率が高くなるほど、該造形物における機械的な強度が高められる。それゆえに、造形物の機械的な強度を高める上では、疎水性粒体が最密に充填されるべく、最密に充填された疎水性粒体の隙間よりも水系溶媒及び両親媒性固体ポリマーが占める体積が小さくなるような配合比が好ましい。
[造形方法]
次に、上記組成のスラリーを用いた造形方法について、図1〜図3を参照して説明する。
本実施の形態における造形方法では、まず、犠牲層形成工程(ステップS11:図2(a))にて、例えばガラス基板やプラスチックシート等の基板11上に、例えば厚さが200μmになるように、上記スラリーを塗布することによって、スラリーからなる層の最下層としての犠牲層12を形成する。なお、スラリーの塗布には、公知の方法であるスキージ法、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、及びスピンコート法等、基板11上に略均一な厚さを有したスラリーの層を形成可能な方法を用いることができる。
[実施例]
(A)シャリーヌR−170Sと、(B)水と、(C)各種ポバールとを以下の割合で配合してスラリーを形成した。
(A):(B):(C)=7:3.1:0.22(単位g)
上記ポバールには、重合度あるいは鹸化度が互いに異なる5種類のポバール(JP−05、JP−15、JP−24、JT−05、JT−15)を用いた。これらスラリーについて、23℃にてスラリー層を積層したときの層間の固定強度と、18℃の冷水に対する溶解性とを評価した。なお、固定強度の評価は、JISK7161、JISK7162に準じた方法で引っ張り弾性率を測定することにより行った。上記各ポバールを用いたスラリーの固定強度及び溶解性の評価結果を表1に示す。
(1)水系溶媒である水と、疎水性粒体である樹脂の粒体と、両親媒性固体ポリマーであるポリビニルアルコールとからスラリーを構成するようにした。これにより、造形物20を形成する樹脂粒体が、水及びポリビニルアルコールとともに混合されることによって、懸濁液であるスラリー中に存在する。また、当該スラリーにおいては、ポリビニルアルコールにおける炭化水素鎖が樹脂粒体と親和性を有するため、粒体同士がポリビニルアルコールを介して繋がれた状態にある。つまり、樹脂粒体同士は、互いに独立した状態にあるのではなく、ポリビニルアルコールの介在によって互いに架橋された状態にある。そのため、造形物20の形成に際して、スラリーに振動等が与えられたとしても、樹脂粒体は、粒体間の架橋によって形成された構造中に保持されることから、粒体の飛散が抑制されるようになる。
(5)スラリーの構成材料として、重合度が300以上1000以下であるポリビニルアルコールを用いるようにした。これにより、スラリーからなる層内の機械的強度と層間の接着性との両立が可能である。それゆえに、スラリーからなる単一層によって造形物を形成する場合であれ、スラリーからなる層の積層体によって造形物を形成する場合であれ、当該造形用スラリーを利用することが可能である。
・上記結着液は、紫外線硬化樹脂を含むUVインクIに限らず、熱硬化樹脂を含む液状体に具現化することもできる。
・造形物20を構成するスラリー層21a,21b,21c,21d,21eの形成に先立ち、基板11上に犠牲層12を形成するようにしたが、該犠牲層12を形成しないようにしてもよい。
・紫外線硬化樹脂と同系でない、あるいは同系の材料が表面に導入されていない疎水性粒子を用いてもよい。
・ポリビニルアルコールの鹸化度は、スラリーの水系溶媒中でポリビニルアルコールが析出しない範囲であれば、85以上90以下の範囲外であってもよい。
・両親媒性固体ポリマーはポリビニルアルコールに限らず、疎水性粒体の間に介在してこれらを繋ぐとともに、該疎水性粒体を水系溶媒中に均一に分散可能な両親媒性固体ポリマーであればよい。
・疎水性粒体には、その表面に親水基を有するものを用いてもよい。
・また水系溶媒は、水に水溶性の有機溶媒を添加したものであってもよい。
Claims (4)
- 結着液を介して粒体同士を結着することにより造形物を形成する造形方法であって、
疎水性の粒体と、水系溶媒と、該水系溶媒に溶解された両親媒性固体ポリマーとを含む
スラリーからなる層を基体に形成する層形成工程と、
結着液を前記層の一部に浸透させた後に該結着液を硬化することによって、前記粒体及
び前記両親媒性固体ポリマーを結着する結着工程と、
前記硬化された前記結着液を含む前記層に水系の液体を流すことによって、前記結着液
が浸透した領域以外を前記層から取り除く除去工程と
を含むことを特徴とする造形方法。 - 請求項1に記載の造形方法において、
前記層形成工程と前記結着工程とを交互に繰り返すことによって前記硬化された前記結
着液を含む複数の前記層からなる積層体を形成した後、
前記除去工程では、前記積層体に前記水系の液体を流すことによって、前記結着液が浸
透した領域以外を前記積層体から取り除く
ことを特徴とする造形方法。 - 請求項1又は2に記載の造形方法において、
前記スラリーからなるとともに、前記層よりも前記結着液の滴下量が少ない犠牲層を最
下層として前記基体に形成する犠牲層形成工程を含む
ことを特徴とする造形方法。 - 請求項3に記載の造形方法において、
前記犠牲層形成工程では、前記犠牲層となる前記層に対して前記結着液を離散的に滴下
するとともに、該結着液を硬化する
ことを特徴とする造形方法。
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