JP5691131B2 - セルロース多孔質体とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、微小セルロース繊維を含有する水懸濁液を凍結乾燥することで得られるセルロース多孔質体に関するものである。さらに詳しくは、微小セルロース繊維の繊維同士が凝集することなく、適度に絡み合うことで繊維間に空隙を保持した多孔質成形体であるため、比表面積が高く、かつ柔軟性、通気性、寸法安定性、取り扱い性に優れ、吸着剤、断熱材、吸音材として好適なセルロース多孔質体およびその製造方法に関する。
セルロース系材料は、地球上最も大量生産されるバイオマスであり、石油系原料に依存せず、焼却処分の際には二酸化炭素を増加させないことから環境負荷の少ない材料として注目されている。従来より、セルロース系材料は、繊維、プラスチック、フィルター、包装材等の汎用資材や、セルロースの加熱による炭化可能な性質を利用して、炭素繊維や活性炭繊維等の高機能資材としても利用されている。また、近年の技術進歩により微小セルロース繊維が開発され、セルロース系材料の用途はさらに拡大している状況である。
微小セルロース繊維は、セルロース繊維を叩解処理もしくはホモジナイズ処理することにより繊維をフィブリル化して得ることができる。このようにして得られた微小セルロース繊維は微細で表面積が高く、繊維同士の絡み合いも多いという特徴から、樹脂補強材、ろ過助剤、食品添加物等に利用されている。通常、微小セルロース繊維は水中にて水懸濁液として存在することで均一状態が維持されている。しかしながら、セルロースはその分子構造中に複数の水酸基を有し、分子内および分子間にて水素結合を形成するという性質から、乾燥後には繊維同士が凝集しやすいという問題点がある。その結果、微小セルロース繊維の乾燥物は、サイズの収縮や歪みが発生し、通気性が低くて硬い風合いのものとなる。また、微小繊維の凝集により、見掛けの繊維径は大きくなり、微小セルロース繊維の実質の表面積は低下してしまう。例えば、微小セルロース繊維の活性炭吸着剤としての利用を考えた場合、繊維同士が凝集した高密度の材料であると吸着ガスとの接触確率が低くなり、高吸着能の特徴を発現するのが難しい。この場合、製造工程において材料表面に微細孔を形成させて表面積を向上させるため、材料内部への賦活ガスの導入が必要である。すなわち、微小セルロース繊維を吸着剤として活用しようとする場合には、乾燥状態で多孔性と通気性を有する構造体である必要がある。しかしながら微小セルロース繊維の乾燥物については、前述のように乾燥時には凝集する問題があるため、比表面積が低く、通気性に劣るものしか開発されていない。
特許文献1では、セルロースを含有した水懸濁液を冷却した金属板に噴霧して急速凍結した後、昇華することで微小セルロース繊維から構成される粒状乾燥物を作製している。また、粒状乾燥物を加熱することにより粒状炭化物を得ている。この提案では、得られる微小セルロース繊維の乾燥物は粒状形状に限られ、取り扱い性にも乏しい。また、粒状のセルロース炭化物の密度は高く、通気性が低いため、炭化時における不活性ガスの浸透性に劣るものとなる。その結果、均一な炭化物の製造は難しいという問題点がある。
特許文献2は、セルロースを含有した水懸濁液を流延した後、脱溶媒することで薄層シートを成型している。この提案では、脱溶媒が加温下で行われているため、微小繊維の間には常に溶媒の表面張力が働き、繊維同士は引き寄せられた状態である。このような状態で脱溶媒が進行すると溶媒の表面張力により繊維間距離が次第に小さくなり、乾燥時には繊維同士は凝集する。この方法で得られた薄層シートの寸法は小さくなり、密度が上昇するため多孔質材料とはならない。
特許文献3は、濃度4重量%以上の微小セルロース繊維水スラリーを濃縮した後、凍結乾燥をすることでセルロース多孔質体を作製している。この提案では水スラリー中の繊維濃度が高いため繊維同士が凝集しやすく、多孔質体作製後の見掛けの繊維径は大きくなる。また、多孔質体の密度が大きいため、孔径が小さくなり、炭化時における不活性ガスの透過性に劣る。
特許文献4では、微小セルロース繊維の水スラリーを抄紙法にて乾燥を行い、セルロース不織布を作製している。この提案においても特許文献2と同様、加温下で脱水処理されているため、乾燥とともに繊維同士の凝集が生じる。その結果、得られたセルロース不織布の多孔性材料としての利用は困難である。
特許文献5では、親水性繊維を、凍結乾燥にて除去可能な除去可能相と、多孔構造を維持するために必要な結合材料を混合した後、凍結乾燥にて繊維状吸収材料を作製している。この提案において、繊維状吸収材料を構成する親水性繊維は、微小セルロース繊維に比較して直径の大きい繊維が使用されている。このため、繊維状吸収材料の多孔構造を維持するためには、繊維の交絡点を結合材料で被覆して補強する必要がある。その結果、繊維状吸収材料の実質的な表面積は低くなる。また、得られた繊維状吸収材料は低密度であるものの、空隙サイズが大きいため、繊維状吸収材料の圧縮抵抗性及び寸法安定性は乏しい。
このように、微小セルロース繊維の乾燥物において、比表面積が高く、柔軟性、通気性、寸法安定性に優れた材料は開発されていない。
特開2003−82535公報 特開平10−248872公報 特開平11−255806公報 WO2006−004012公報 WO99−061518公報
本発明の課題は、上記した従来技術の問題点を解決するために、比表面積が高く、柔軟性、通気性、寸法安定性に優れた微小セルロース繊維から構成されるセルロース多孔質体を提供することにある。
上記の課題は、平均直径が2〜1000nm、平均繊維長が0.1〜0.7mmの微小セルロース繊維(ただし、バクテリアセルロース由来のセルロース繊維は除く。)から構成される多孔質体であって、見掛け密度が0.005〜0.11g/cmであることを特徴とするセルロース多孔質体によって解決することができる。
また、セルロース多孔質体の25%圧縮永久歪みが2.0〜20%であることが好適に採用できる。
さらには、濃度0.1〜3.0質量%の微小セルロース繊維(ただし、バクテリアセルロース由来のセルロース繊維は除く。)の水スラリーの状態で凍結乾燥することを特徴とするセルロース多孔質体の製造方法によって解決することができる。
本発明によって従来得ることのできなかった、微小セルロース繊維を構成成分とする高表面積かつ柔軟性、寸法安定性、取り扱い性に優れた多孔質体が得られる。また、多孔性で連続気泡性の材料であることから通気性にも優れ、加温下での不活性ガス通気による炭化および賦活が可能であるため、吸着剤、断熱材、吸音材として好適に用いることができる。
以下、本発明の高比表面積かつ柔軟性、通気性、寸法安定性に優れた微小セルロース繊維から構成される多孔質体について詳細に説明する。
本発明におけるセルロースは、木材、綿、麻、亜麻、ラミー、ジュート、ケナフなどの植物由来、ホヤ類などの動物由来、海藻などの藻類由来どいずれを起源とするものであってもよい。なかでも、精製パルプ、綿由来のコットンリンターおよびコットンリント、セルロース純度が高いため好適に採用できる。
本発明におけるセルロースは、セルロース繊維であることが好ましい。繊維構造をとることで比表面積が大きくなるため、吸着剤として用いる場合には吸着性能が向上するため好ましい。
微小セルロース繊維の平均繊維径は、2〜1000nmであることが好ましい。平均繊維径が2nm以上であれば、セルロースの微細化によりセルロース繊維を安定して製造することができるため好ましい。平均繊維径は5nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることが更に好ましい。一方、平均繊維径が1000nm以下であれば、繊維同士の絡み合いにより、形態回復性と柔軟性に優れた微小セルロース繊維の多孔質体が得られるため好ましい。微小セルロース繊維の平均繊維径が1000nmより大きいと繊維同士の絡み合いが少なく、凍結乾燥後のサンプルはほぐれやすく、取り扱い性に乏しくなることがある。平均繊維径は700nm以下であることがより好ましく、500nm以下であることが更に好ましい。また、繊維径が2〜1000nmの範囲外であるセルロース繊維が含まれていてもよいが、セルロース繊維の総数に対して70%以上の繊維径が、2〜1000nmであることが好ましい。
微小セルロース繊維の平均繊維長は、0.1〜0.7mmであることが好ましい。平均繊維長が0.1mm以上であれば、多孔質材料に成形した場合に繊維同士の絡み合いにより繊維間に空隙が生じ、多孔質材料の多孔性と連続気泡性が保持されるため好ましい。なお、繊維長が0.1mm未満のセルロース繊維が含まれていてもよいが、セルロース繊維の総数に対して70%以上の繊維長が、0.1mm〜0.7mmであることが好ましい。上限としては微小セルロース繊維の均一な水スラリーを作製できる点から好ましくは0.7mm以下である。
本発明のセルロース多孔質体の見掛け密度は、0.005〜0.11g/cmである。より好ましくは0.01/cm 以上であり、最も好ましくは0.02/cm 以上である。セルロース多孔質体の見掛け密度が0.11g/cmより高いと、凍結乾燥後の多孔質体の空隙率は小さく、柔軟性に乏しくなることがある。また、吸着剤作製時の賦活工程では多孔質体内部まで均一に賦活ガスが浸透しにくいことがある。一方、セルロース多孔質体の見掛け密度が0.005g/cmより低いと、多孔質体の空隙率は高くなり、多孔質体の力学的性質と寸法安定性が乏しくなることがある。
本発明のセルロース多孔質体の25%圧縮永久歪みは、2.0〜20%であることが好ましい。より好ましく15%以下であり、最も好ましくは3.0%以上、10%以下である。セルロース多孔質体の25%圧縮永久歪みが20%より高いと、多孔質体は圧縮された状態から圧縮前の形状に回復しにくいため、多孔性と寸法安定性に乏しくなることがある。
次に、本発明のセルロース多孔質体の製造方法について説明する。
本発明の平均繊維径が2〜1000nmである微小繊維状セルロースは、公知の方法に従い、硫酸や塩酸などの酸を用いたセルロースの酸加水分解による化学的方法、もしくは高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、リファイナー、グラインダー、石臼などによりセルロースを叩解して、セルロースの解繊や微細化を行う物理的方法により得られるが、これらに限定されない。また、化学的方法や物理的方法による処理を施した市販のセルロース繊維を利用することも可能である。
本発明のセルロース多孔質体は、例えば微小セルロース繊維を水に分散させて水スラリーを調製し、得られた水スラリーを凍結乾燥して溶媒を除去する方法によって多孔性と連続気泡性を有する多孔質体として得ることができる。
具体的には、微小セルロース繊維の水スラリーを適当な大きさ、形状の型枠に流延し、この状態で凍結を行う。得られるセルロース多孔質体の大きさ、形状はこのときの型枠の形状により制御することができる。凍結乾燥の条件として、微小セルロース繊維の水スラリーの凍結温度は−196〜0℃であることが好ましく、水スラリーの凍結温度に応じて液体窒素、ドライアイスを含有させたメタノールなどの冷媒を適宜使用することができる。微小セルロース繊維の水スラリーの凍結温度が0℃より高いと凍結乾燥中に水スラリーが融解して多孔質体が得られない。また、水スラリーの凍結温度が−196℃より低いと、凍結乾燥工程で時間を要するため、多孔質体の生産効率が低くなることがある。微小セルロース繊維の水スラリーの凍結温度は−180から−10℃がより好ましく、−160〜−20℃が最も好ましい。また、凍結乾燥時の圧力は0.3Torr以下であることが好ましい。
微小セルロース繊維の水スラリー濃度は、0.1〜3.0質量%であることが好ましい。より好ましくは0.3量%以上であり、最も好ましくは0.5質量%以上、2.5質量%以下である。上記範囲とすることにより、本発明で規定する見掛け密度の範囲内とすることできる。微小セルロース繊維の水スラリーの濃度が3.0質量%より高いと水スラリー中で微小セルロース繊維は均一に分散せず、繊維同士の凝集がみられることがある。その結果、見掛け密度は高くなり、凍結乾燥後の多孔質体の空隙率は小さく、柔軟性に乏しくなることがある。また、水スラリーの濃度が0.5質量%より低いと見掛け密度が小さくなるだけでなく、多孔質体の空隙率は高くなり、多孔質体の力学的性質と寸法安定性が乏しくなることがある。
本発明において圧縮永久歪みを好ましい範囲にするには、上記の規定範囲の濃度を有する微小セルロース繊維の水スラリーを、凍結乾燥により多孔質体に成形することで達成することができる。上記のような微細なセルロース繊維を用いることで、微小セルロース繊維は適度に絡み合いながら水中に均一分散することができ、水スラリー濃度の局所的なばらつきを抑制することができる。また、微小セルロース繊維の水スラリーは乾燥時に水除去部分が空隙となるため、水スラリー濃度を本発明の範囲とすることで乾燥物の見掛け密度を制御することができる。微小セルロース繊維の水スラリーの乾燥は、凍結乾燥を採用することで、乾燥時に微小セルロース繊維への表面張力を抑制することができ、多孔性と連続気泡性を有する多孔質体を得ることができる。このような本発明のセルロース多孔質体は、柔軟性と弾性回復性を有しており、本発明で規定する圧縮永久歪みの範囲内とすることができる。
本発明のセルロース多孔質体に関しては、繊維構造物、例えば、経編地、緯編地、織物、不織布、組紐等を単独または2種以上混合したものに、微小セルロース繊維のスラリーを流延した後、凍結乾燥することで、多孔質体を補強することも可能である。
本発明においては、上記のように微小セルロース繊維のような微細なセルロース繊維を比較的低濃度で含む水スラリーは、セルロース繊維の凝集が抑制され、比較的密でかつ比較的均一な分散状態を形成していることから、これを凍結乾燥することにより、微細なセルロース繊維が絡まりながら微細な空隙を形成した多孔質体が得られるのである。そのため本発明のセルロース多孔質体は、表面積が高く、柔軟性、通気性、寸法安定性に優れている。また、多孔性で連続気泡性などの特徴も有しているため均一な炭化および賦活が可能であり、吸着剤や断熱材として好適に用いることができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。実施例中の各特性値は、次の方法で求めたものである。
A.多孔質体外観
多孔質体の外観については、微小セルロース繊維の水スラリーの乾燥により1つの多孔質体形状に作製できているかどうか、触手により形状保持できているかどうか評価した。
「多孔質体形状に作製することが可能であり、触手により形状保持できている場合」を○、「多孔質体形状に作製することが可能であるが、触手により形態保持できない場合」もしくは、「多孔質体形状に作製できない場合」を×とし、「多孔質体形状に作製することが可能であり、触手により形状保持できている場合」の○を合格とした。
B.体積変化率
体積変化率については、底面の内法寸法5cm×5cm×高さ5cmの型枠に対して微小セルロース繊維の水スラリーを100cm流延して凍結乾燥した後、乾燥後のサンプルの体積を測定して、下記式より体積変化率を算出した。
体積変化率(%)=(V0−V1)/V0×100
V0=乾燥前の水スラリーの体積
V1=乾燥後のサンプルの体積。
C.平均繊維径
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて微小繊維状セルロース多孔質材料の断面部の写真撮影(倍率:5000倍)を行い、撮影写真から微小繊維を無作為に20個選択し、それぞれの繊維径測定を行った。次いで20個の直径の平均値を算出し、平均繊維径(nm)とした。
SEM装置 :日立製S−4000型
D.見掛け密度
微小繊維状セルロース多孔質体の見掛け密度は、JIS K7222:2005(発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の求め方)に基づいて算出した。
E.柔軟性
セルロース多孔質体を10人の被験者が触手により感じた柔軟性を官能評価した。官能評価により、「極めて優れた柔軟性があるもの」を◎、「優れた柔軟性があるもの」を○、「やや柔軟性があるもの」を△、「柔軟性がないもの」を×とし、「優れた柔軟性があるもの」の○以上を合格とした。
F.25%圧縮永久歪み
25%圧縮永久歪みは、多孔質材料を25%圧縮し、圧縮状態で1時間保持した後、圧縮を開放した。この方法において、圧縮前の多孔質材料の厚さと圧縮開放時の多孔質体の厚さを測定し、下記式より圧縮永久歪みを算出した。
圧縮永久歪み(%)=(t0−t1)/t0×100
t0=圧縮前の多孔質材料の厚さ(mm)
t1=圧縮開放時の多孔質材料の厚さ(mm)
G.通気性
セルロース多孔質体の通気性は、JIS K6400−7:2004(軟質発泡材料−物理特性の求め方−第7部:通気性)に基づいて算出した。
実施例1
セルロース繊維として、木材パルプの高圧ホモジナイザー処理により得られる微小セルロース繊維であるダイセル化学工業社製「セリッシュKY−100G」(セルロース濃度10質量%の水分散体、平均繊維長0.5mm(特開2008‐248053号公報記載段落[0089]))100質量部に水400質量部を加えて撹拌し、2質量%の微小繊維状セルロースの水スラリーを調製した。この水スラリーを底面の内法寸法5cm×5cm×高さ5cmの型枠に流延した後、−150℃で凍結し、0.1Torrの条件下で凍結乾燥を行った。
得られたサンプルの特性結果を表1に示す。微小繊維状セルロースの水スラリーと凍結乾燥後の体積変化は小さく、凍結乾燥により多孔質体を作製することができた。得られた多孔質体は型枠の形状をよく反映して直方体形状であった。得られた多孔質体を構成する微小セルロース繊維の平均繊維径は55nmであり、繊維同士の凝集は少なかった。また、得られた多孔質体の見掛け密度は0.075g/mLで、柔軟性、25%圧縮永久歪み、通気性も極めて優れた特性を有していた。
実施例2〜5、比較例5
微小セルロース繊維の水スラリー濃度を、実施例2は0.2質量%、実施例3は0.4質量%、実施例4は1.0質量%、実施例5は2.7質量%、比較例5は3.3質量%とする他は、実施例1と同様に微小セルロース繊維の水スラリーの凍結乾燥を行った。
得られたサンプルの特性結果を表1に示す。実施例のサンプル凍結乾燥により多孔質体を作製することができ、型枠の形状をよく反映して直方体形状であった。また、全ての多孔質体で優れた特性を有していた。
実施例7
2質量%の微小セルロース繊維の水スラリーについて、凍結時の条件を−30℃にする他は、実施例1と同様に微小セルロース繊維の水スラリーの凍結乾燥を行った。
表1に示すように、凍結温度を−30℃に変更しても凍結乾燥により多孔質体を作製することができ、型枠の形状をよく反映して直方体形状であった。また、得られた多孔質体は極めて優れた特性を有していた。
Figure 0005691131
比較例1、2
微小セルロース繊維の水スラリー濃度を、比較例1は0.05質量%、比較例2は10質量%とする他は、実施例1と同様に微小セルロース繊維の水スラリーの凍結乾燥を行った。
得られたサンプルの特性結果を表2に示す。得られたサンプルはいずれも多孔質体形状をしていた。しかしながら、比較例1で得られた多孔質体では、見掛け密度が低くて多孔質体の物性は低く、25%圧縮永久歪みも乏しいものであった。一方、比較例2で得られた多孔質体は、密度が高いため繊維同士の絡み合いも多く、繊維の凝集も見られた。そのため、多孔質体中の微小セルロース繊維の平均繊維径は137nmと若干大きかった。多孔質体の物性については、柔軟性に乏しく、多孔質体の見掛け密度が高いため、通気性にも乏しいものであった。
比較例3
セルロース繊維として溶解パルプ(日本製紙ケミカル社製)を使用する他は、実施例1と同様の条件で凍結乾燥を行った。
得られたサンプルの特性結果を表2に示す。セルロース繊維の平均繊維径が33700nmと大きく、繊維同士の絡み合いも少なかった。凍結乾燥後のサンプルは綿状で柔軟ではあったが、触手によりばらばらに崩れてしまう形状であり、1つの多孔質体とはならなかった。
比較例4
2質量%の微小繊維状セルロースの水スラリーについて凍結させずに、20℃にて微小セルロース繊維の水スラリーを真空乾燥した。
得られたサンプルの特性結果を表2に示す。水スラリーを凍結せずに真空乾燥したため、乾燥後のサンプルの体積変化率は極めて大きく、多孔性のないシート形状であった。シートサンプルを構成する微小セルロース繊維は凝集が多く、平均繊維径は1260nmと大きかった。また、得られたシートサンプルは硬い風合いで柔軟性に乏しく、通気性も0.3cc/cm・secと低かった。
Figure 0005691131
本発明のセルロース多孔質体は、微小セルロース繊維から構成されるため、表面積が高く、柔軟性、通気性、寸法安定性、取り扱い性に優れている。また、多孔性で連続気泡性の材料であることから均一な炭化および賦活が可能であり、吸着剤、断熱材、吸音材として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 平均繊維径が2〜1000nm、平均繊維長が0.1〜0.7mmの微小セルロース繊維(ただし、バクテリアセルロース由来のセルロース繊維は除く。)から構成される多孔質体であって、見掛け密度が0.005〜0.11g/cmであることを特徴とするセルロース多孔質体。
  2. 25%圧縮永久歪みが2.0〜20%であることを特徴とする請求項1記載のセルロース多孔質体。
  3. 請求項1または2記載のセルロース多孔質体を製造する方法であって、平均繊維径が2〜1000nmの微小セルロース繊維(ただし、バクテリアセルロース由来のセルロース繊維は除く。)を濃度0.1〜3.0質量%含有する水スラリーの状態で凍結乾燥することを特徴とするセルロース多孔質体の製造方法。
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