JP5687661B2 - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物及びそれを用いて作製した空気入りタイヤに関する。
近年、環境、省資源の立場から、タイヤ配合物にも石油外由来の原料が用いられてきており、また、カーボンブラックよりも低燃費化に有利なシリカ充填剤が用いられる傾向もある。
従来より、タイヤ用ゴム組成物には、オゾンによるタイヤの劣化(クラックの発生など)を防ぐために、ワックスが配合され、タイヤの表面にブルームさせて膜を形成する方法が用いられている。ワックスとしては、通常、パラフィンワックス、マイクロワックスなどの石油系ワックスが使用されているが、将来の化石資源枯渇の際には入手が困難になる恐れがあり、また、環境への配慮という問題もある。そこで、カルナバワックス、ホホバワックス、米糠ワックス、蜜蝋、キャンデリラワックスなどの天然系ワックス(天然由来のワックス)を配合することも検討されている。
しかし、これらのワックス成分は、耐オゾン性の向上のために多く配合すると、過剰に表面に析出して、外観性の問題を引き起こしたり、シリカのような極性の高い充填剤の分散不良を招いたりするという問題がある。
また、炭素−炭素間不飽和結合を有する天然ワックス(不飽和脂肪酸エステル)を用いた場合、環境にはやさしいものの、ワックス成分そのものが劣化したり、品質が安定しないという問題がある。また、融点範囲が限られているため、広い温度範囲での物性向上が不十分であるといった課題もある。加えて、一般に石油系ワックスに比べ、天然系ワックスは炭化水素の含有量が少ないため、天然ゴムやブタジエンゴム、イソプレンゴム等の低極性ゴムとの相容性や膜の均一性に劣るという問題もある。
天然系ワックスの配合技術として、耐オゾン性と外観の両立のために天然由来のカルナバワックスを配合する技術が提案されているが、広い温度域の耐オゾン性は未だ不十分である。さらに、特許文献1には、カルナバワックスとキャンデリラワックスを配合する技術なども新たに開示されているが、耐ブルーミング性、シリカの分散性に改善の余地がある。
一方、品質が安定し、広い温度域に効果を期待できる石油系ワックスは、極性に乏しいことから、他の配合物、特にシリカ類との相溶性が不足して分散に問題があったり、将来の石油枯渇の際には、供給に不安があるという問題がある。
また、従来からの汎用可塑剤であるパラフィンオイルやアロマオイルに代えて、植物性オイルに代表される脂肪酸エステル化合物からなる可塑剤を配合し、環境への配慮、物性向上を試みる技術も提案され、例えば、ブルーミング防止と環境保護を目的としてひまわり油を配合する方法が開示されているが、低燃費性と耐ブルーミング効果には改善の余地がある。したがって、耐候性やブルームの抑制性に優れるとともに、良好なシリカの分散性が得られ、低燃費性などのゴム物性を改善できるゴム組成物を提供することが望まれている。
特開2008−303249号公報
本発明は、上記課題を解決し、耐ブルーミング性に優れ、かつ耐オゾン性、低燃費性及び耐摩耗性にも優れるタイヤ用ゴム組成物、及びそれを用いて作製した空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、ゴム成分、シリカ、水酸基を有する脂肪酸のエステルからなる粘着性ワックス及び脂肪酸のエステル化合物からなる液状可塑剤を含むタイヤ用ゴム組成物に関する。
前記水酸基を有する脂肪酸は、水酸基を有する飽和脂肪酸であることが好ましい。
前記水酸基を有する脂肪酸は、2分子以上の同一又は異なる水酸基を有する脂肪酸の縮合物であることが好ましい。
前記水酸基を有する脂肪酸のエステルは、前記水酸基を有する脂肪酸と2種以上の1価脂肪族アルコールとのエステルであることが好ましい。
前記脂肪酸のエステル化合物からなる液状可塑剤は、植物性オイルであることが好ましい。
前記脂肪酸のエステル化合物からなる液状可塑剤は、構成する全脂肪酸100質量%中の1個の不飽和結合を有する脂肪酸の含有量が45質量%以上であることが好ましい。
前記脂肪酸のエステル化合物からなる液状可塑剤は、構成する全脂肪酸100質量%中のオレイン酸の含有量が45質量%以上であることが好ましい。
本発明はまた、前記ゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、ゴム成分、シリカ、水酸基を有する脂肪酸のエステルからなる粘着性ワックス及び脂肪酸のエステル化合物からなる液状可塑剤を含むタイヤ用ゴム組成物であるので、耐ブルーミング性、耐オゾン性、低燃費性、耐摩耗性をバランスよく改善できる。
本発明のタイヤ用ゴム組成物は、ゴム成分、シリカ、水酸基を有する脂肪酸のエステルからなる粘着性ワックス及び脂肪酸のエステル化合物からなる液状可塑剤を含むものである。
シリカ配合ゴムに水酸基を有する脂肪酸のエステルからなる粘着性ワックス及び脂肪酸のエステル化合物からなる液状可塑剤の両成分を配合することで、シリカとの相溶性が向上し、高いシリカ分散性が得られるため、低燃費性、耐摩耗性に改善効果が発揮されるとともに、耐ブルーミング性と耐オゾン性も改善され、これらの性能をバランスよく向上できる。
前記水酸基を有する脂肪酸エステルからなるワックスは、ワックス業界で「粘着性ワックス」と呼称されるものであり、他のワックスとの相溶性が良いことから化粧品業界等でワックスのつなぎとして使用されており、容易に入手可能なものである。
粘着性ワックスにおいて、水酸基を有する脂肪酸のエステルとしては、その構造中に少なくとも1つの水酸基を持つ化合物から公知の手法により得られるものが挙げられ、具体的には、水酸基を有する脂肪酸(脂肪族カルボン酸)と脂肪族アルコールとの脱水縮合反応により得られるものがその代表的なものである。
上記水酸基を有する脂肪酸のエステルを構成する、水酸基を有する脂肪酸は、1分子中に水酸基を1〜8個含むことが好ましく、1〜4個含むことがより好ましく、1〜2個含むことがさらに好ましい。水酸基を有することにより、適度な極性が生じ、シリカ分散性や他の配合成分との親和性が向上する。一方、水酸基数が8個より多いと、極性が大きすぎるため、配合するゴム成分との親和性が減少し、ゴム物性が悪化する恐れがある。
上記水酸基を有する脂肪酸の炭素数は、好ましくは10〜30、より好ましくは12〜25、さらに好ましくは15〜20である。炭素数が10未満では、粘着性が充分でなかったり、融点が低くなって高温での耐オゾン性に劣る可能性がある。炭素数が30を超えると、融点が高すぎて低温での耐オゾン性が劣ったり、ゴム成分中での分散が悪くなる恐れがある。
上記水酸基を有する脂肪酸は、1分子中の不飽和結合数が0〜3個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0〜1個であることがさらに好ましく、0個、即ち水酸基を有する飽和脂肪酸であることが特に好ましい。不飽和結合数が多いほど、生成するエステルが温度、紫外線に対して不安定となり、長期の耐オゾン性に悪影響を及ぼす恐れがある。
上記水酸基を有する脂肪酸は、一般に脂肪族ヒドロキシカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸又はヒドロキシ酸とも呼ばれる化合物である。例えば、12−ヒドロキシドデカン酸、3−ヒドロキシミリスチン酸、2−ヒドロキシパルミチン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、9,10−ジヒドロキシステアリン酸、9,10−ジヒドロキシオクタデカン酸、リシノール酸、セレブロン酸、ヒマシ油脂肪酸等が好ましい化合物として挙げられるが、特にこれらの化合物に限定されない。上記水酸基を有する脂肪酸の中では、12−ヒドロキシステアリン酸が特に好ましい。
上記水酸基を有する脂肪酸としては、本発明の効果が充分に得られるという点から、同一又は異なる2分子以上の上記水酸基を有する脂肪酸の縮合物、すなわち、同一又は異なる2分子以上の上記水酸基を有する脂肪酸における水酸基及びカルボキシル基の脱水縮合により形成されたエステル結合を含む化合物が好ましい。具体的には、水酸基を有する脂肪酸1の水酸基と、水酸基の有する脂肪酸2のカルボキシル基とをエステル化させた2分子縮合物、水酸基を有する脂肪酸1の水酸基と、水酸基の有する脂肪酸2のカルボキシル基とをエステル化させ、さらに該水酸基の有する脂肪酸2の水酸基と、水酸基の有する脂肪酸3のカルボキシル基とをエステル化させた3分子縮合物などが挙げられる。上記縮合物のなかでも、粘着性付与、本発明の効果の点から、2〜4分子の縮合物が好ましく、ヒドロキシステアリン酸の2量体がより好ましく、12−ヒドロキシステアリン酸の2量体がさらに好ましい。
なお、水酸基を有する脂肪酸が上記縮合物である場合、該縮合物を構成する各水酸基を有する脂肪酸の炭素数が前述の数値範囲であることが好ましい。一方、水酸基数については、上記縮合物全体としての水酸基数が前述の数値範囲であることが好ましい。
上記水酸基を有する脂肪酸エステルを構成するアルコール成分としては、特に限定されず、脂肪族アルコールなどが挙げられる。なかでも、1価の脂肪族アルコールが好ましく、1価の高級脂肪族アルコールがより好ましい。特に、1価の高級脂肪族アルコールを用いた場合、耐オゾン性や安定性を付与する効果が高い。また、脂肪族アルコールとしては、飽和脂肪族アルコールが好ましい。
上記アルコール成分の炭素数は、本発明の効果が充分に得られるという点から、10〜60が好ましく、15〜50がより好ましく、20〜40がさらに好ましい。
上記水酸基を有する脂肪酸のエステルが上記水酸基を有する脂肪酸と2種以上の1価脂肪族アルコールとのエステルであること、すなわち、エステルを構成するアルコール成分が2種以上の1価脂肪族アルコールであることが好ましい。これにより、2種以上のエステルの混合物となるため、ワックスの融点範囲が広くなり、より広い温度での耐オゾン性を向上できる。
アルコール成分の具体例としては、エイコサノール(C20)、ドコサノール(C22)、テトラコサノール(C24)、ヘキサコサノール(C26)、オクタコサノール(C28)、ノナコサノール(C29)、トリアコンタノール(C30)、メリシルアルコール(C31)、ドトリアコンタノール(C32)、セロメリシルアルコール(C33)、テトラトリアコンタノール(C34)、ヘプタトリアコンタノール(C35)、ヘキサトリアコンタノール(C36)などが挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記水酸基を有する脂肪酸のエステルからなる粘着性ワックスの好ましい具体例としては、C20〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(「C20〜C40アルキル」は、炭素数20〜40個のアルキル基を表す。)が挙げられ、特に好ましい具体例としては、以下の式(I)で表されるC20〜C40アルキル12−(12’−ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート、又は式(I)で表される化合物の混合物が挙げられる。
Figure 0005687661
(式(I)中、mは18〜38の整数を表す。)
式(I)で示される粘着性ワックスは、Koster Keunen社製、Kester Wax K82P、及びKester Wax K80Pとして市販されている。
上記水酸基を有する脂肪酸のエステル(粘着性ワックス)の融点は、40〜120℃であることが好ましく、50〜100℃であることがより好ましく、60〜90℃であることがさらに好ましい。40℃未満では、高温での耐オゾン性が充分でなく、120℃を超えると、タイヤ表面への析出が充分でなく耐オゾン性が充分でない可能性がある。
なお、融点は、DSC(示差走査熱量測定)におけるピーク温度であり、複数のピークがある場合は、最も融解熱量ΔH(J/g)が大きいピーク温度を融点とする。粘着性ワックスが水酸基を有する脂肪酸のエステルの混合物である場合、該混合物のDSC測定を実施し、最も融解熱量が大きいピーク温度を融点とする。
前記水酸基を有する脂肪酸エステルからなる粘着性ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.01〜30質量部が好ましく、0.1〜25質量部がより好ましく、0.2〜20質量部がさらに好ましい。0.01質量部未満であると、シリカ分散性や外観性向上の効果が不十分になる傾向がある。30質量部を超えると、ゴム弾性が低下したり、機械的強度に悪影響を与える恐れがある。
本発明のゴム組成物は、上記水酸基を有する脂肪酸エステルからなる粘着性ワックスのほか、他のワックス成分を配合してもよい。他のワックス成分としては、特に限定されず、例えば、パラフィンワックス、マイクロワックスなどの石油系ワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ライスワックス、ホホバろうなどの植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン、鯨ろうなどの動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペトロラクタムなどの鉱物系ワックス;ヒマシ硬化油、大豆硬化油、ナタネ硬化油、牛脂硬化油などの天然油脂系硬化油;ジステアリルケトンなどの油脂を原料とする合成ワックス;及びこれらの精製物などが挙げられる。
本発明は、脂肪酸のエステル化合物からなる液状可塑剤を含む。一般に、オイルのような液状可塑剤は、10質量部以上のような多量に配合すると、表面にブリードして物性を損なう傾向があるが、本発明では、シリカおよび水酸基を有する脂肪酸のエステルからなる粘着性ワックスとの組み合わせで使用するため、液状可塑剤を多く配合しても、長期にわたって表面にブリードせず、物性の低下を抑制できる。なお、本発明における液状可塑剤は、20℃で液体状態である。
脂肪酸のエステル化合物からなる液状可塑剤としては、合成、天然を問わないが、入手の容易さ、環境への配慮から、植物性オイル(グリセロール脂肪酸トリエステル)であることが好ましい。
植物性オイルとしては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、サフラワー油、桐油、等が挙げられるが、この限りではない。また単独でも混合して用いてもよく、精製、改質の操作が加えられていても良い。また、オイルを生産する植物が、遺伝子改変されていてもよい。
ゴム物性の向上という点から、脂肪酸のエステル化合物からなる液状可塑剤を構成する全脂肪酸100質量%のうち、1分子中に1個の不飽和結合を有する脂肪酸の含有割合が45質量%以上であることが好ましく、より具体的には、オレイン酸の含有割合が45質量%以上であることが好ましい。不飽和結合が1分子中に2個以上存在すると、1個の化合物に比べて耐熱性が劣る傾向があり、また、不飽和結合が存在しない化合物の場合、室温での液状の保持が難しく、可塑化効果が得られないおそれがあるため、1分子中に1個の不飽和結合を有する脂肪酸が好適である。該含有量は、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。上限は特に限定されないが、低燃費性、耐摩耗性に優れるという点から、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下である。
本発明における脂肪酸のエステル化合物としては、オレイン酸含有量が高い植物性オイル(ハイオレイック植物性オイル)が好ましく、例えば、ハイオレイックひまわり油、ハイオレイックべに花油、ハイオレイックキャノーラ油、オリーブ油等が挙げられる。入手の容易さ、不飽和結合が1分子中2個以上の脂肪酸成分が少なく、品質が安定している点から、ハイオレイックひまわり油が最も好ましい。
脂肪酸のエステル化合物からなる液状可塑剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、2〜40質量部がより好ましく、3〜30質量部がさらに好ましく、4〜20質量部が特に好ましい。1質量部未満では、加工性が低下するおそれがあり、50質量部を超えると、ゴムがやわらかくなりすぎて、物性を低下させる恐れがある。
本発明のゴム組成物は、シリカを含む。前記シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
前記シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、40m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましく、100m/g以上がさらに好ましく、150m/g以上が特に好ましい。40m/g未満では、加硫後の破壊強度が低下する傾向がある。また、シリカのNSAは、500m/g以下が好ましく、300m/g以下がより好ましい。500m/gを超えると、低発熱性、ゴムの加工性が低下する傾向がある。なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
前記シリカは、各種脂肪酸、樹脂、シランカップリング剤、カーボンブラック等で、表面を改質されていても構わない。
前記シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がさらに好ましく、20質量部以上が特に好ましい。5質量部より少ないと、低発熱性が不十分である。また、前記シリカは、200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましい。200質量部より多いと、シリカのゴムへの分散が困難になり、ゴムの加工性が悪化する傾向がある。
本発明では、シリカとともに、シランカップリング剤を使用することが好ましい。シランカップリング剤としては特に限定されず、従来からタイヤ分野において汎用されているものを使用でき、例えば、スルフィド系、メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などが挙げられる。なお、シランカップリング剤の含有量は、適宜設定すれば良く、例えば、シリカ100質量部に対して、好ましくは1〜20質量部である。
本発明のゴム組成物は、シリカ以外の充填剤を配合してもよい。このような充填剤としては、タイヤ分野で公知のものを特に制限なく使用でき、具体的には、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、クレー、炭酸カルシウム、モンモリロナイト、セルロース、ガラスバルーン、各種短繊維等が挙げられる。なかでも、良好な耐オゾン性や耐摩耗性を得、本発明の効果が充分に得られるという点から、カーボンブラックを配合することが好ましい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは15m/g以上、より好ましくは25m/g以上である。15m/g未満では、ゴム強度が低下する傾向がある。また、カーボンブラックのNSAは、好ましくは90m/g以下、より好ましくは60m/g以下である。90m/gを超えると、加工性が悪化したり、耐摩耗性が悪化したりする傾向がある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定される。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。該含有量は、好ましくは30質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。上記範囲内にすることにより、良好な低燃費性、耐摩耗性、加工性が得られる。
本発明におけるゴム成分としては、天然ゴム(NR)、エポキシ化天然ゴム(ENR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)などのジエン系ゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴムなどのブチル系ゴム、及びそれらの任意の割合の混合物などが挙げられるが、ジエン系ゴムを含むことが好ましい。これらのゴムは、縮合、変性されたものでもよい。また、ゴムの主鎖及び末端が変性剤により変性されたものでもよく、また一部が多官能型、例えば四塩化スズ,四塩化珪素のような変性剤を用いることにより分岐構造を有しているものでも良い。なお、ゴム種、各ゴム種の配合量は、適用部材などに応じて適宜選択すれば良い。
本発明のゴム組成物では、前記成分のほかにタイヤ工業において一般的に使用されている可塑剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛などの添加剤、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
本発明におけるゴム組成物は、タイヤ工業において一般的に行われている混練工程を経ることにより作成できる。前記ゴム組成物のタイヤ適用部材は特に限定されず、配置も特に限定されない。耐オゾン性、耐ブルーミング性に優れる点から、特に、サイドウォール、トレッドなどの外部部材に好適である。
本発明の空気入りタイヤは、通常の方法により製造される。すなわち、上記ゴム組成物を通常の加工方法を用いて混練りし、得られた未加硫ゴム組成物を、押し出し加工し、タイヤ成型機上で他の部材とともに通常の方法により貼り合わせて未加硫タイヤを成形する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧して、本発明の空気入りタイヤを得ることができる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下に、実施例および比較例で使用した薬品をまとめて示す。
溶液重合スチレンブタジエンゴム(SBR):日本ゼオン社製の「NS116」
ブタジエン(BR):宇部興産(株)製のUBEPOL BR150B(シス1,4結合量97%、40ML1+4(100℃)、Mw/Mn3.3)
粘着性ワックス:C20−C40アルキル12−(12’−ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(Koster Keunen社製、Kester Wax K82P 融点75〜85℃)
脂肪酸エステル系可塑剤1:カネダ(株)製のひまわり油(全脂肪酸中のオレイン酸の含有量:88質量%)
脂肪酸エステル系可塑剤2:日清オイリオグループ(株)製のオリーブ油(全脂肪酸中のオレイン酸の含有量:75質量%)
脂肪酸エステル系可塑剤3:日清オイリオグループ(株)製のひまわり油(全脂肪酸中のオレイン酸の含有量:20質量%)
石油系ワックス:日本精蝋(株)製のパラフィンワックス 155°F(融点69℃)
アロマオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロセスオイルNC300S
シリカ:EVONIK−DEGUSSA社製のウルトラジルVN3(NSA:175m/g)
カーボンブラック:新日化カーボン(株)製のHTC#G(NSA:26m/g)
シランカップリング剤:EVONIK−DEGUSSA社製のSi69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「桐」
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製酸化亜鉛2種
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
各ワックスの融点については、示差走査熱量測定装置(DSC)を用いて、−30℃から100℃まで5℃/minの昇温速度でヒートフロー(mW/g)を測定した。ヒートフロー曲線の最大ピーク温度を融点として記載した。
<実施例及び比較例>
表1の配合処方にしたがい、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を充填率が58%になるように充填し、80rpmで140℃に到達するまで混練りして混練り物を得た。
次に、オープンロールを用いて、得られた混練り物に硫黄および加硫促進剤を添加して混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。さらに、得られた未加硫ゴム組成物を所定のサイズに成形し、150℃の条件下で20分間プレス加硫することにより加硫ゴム組成物を得、約2mm×130mm×130mmの加硫ゴムスラブシートを作成し、試験用サンプルとした。
得られた加硫ゴムシートについて、下記の評価を行った。結果は表1に示す。
(転がり抵抗指数)
(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターVESを用いて、温度70℃、初期歪10%、動歪±1%および周波数10Hzの条件下で加硫ゴムスラブシートの損失正接(tanδ)を測定し、比較例1の転がり抵抗指数を100とし、下記計算式により、転がり抵抗を指数表示した。転がり抵抗指数が大きいほど、転がり抵抗が低減され、好ましいことを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
(耐摩耗性)
加硫ゴム試験片を(株)岩本製作所製のランボーン摩耗試験機を用いて、表面回転速度50m/分、負荷荷重3.0kg、落砂量15g/分で、スリップ率20%の条件下で摩耗量を測定した。比較例1の摩耗量を100とし、そのほかの摩耗量を指数で表した。指数が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(比較例1の摩耗量)/(各配合の摩耗量)×100
(耐ブルーミング性)
加硫後、目視にてオイル、ワックスのブリード状態を確認し、明らかに析出しているものを×、拡大鏡で見ると析出が確認されるものを△、ブリードが見られないものを〇とした。
(耐オゾン性)
JIS K6259 に従い、加硫ゴムシートからダンベル1号で打ち抜いた試験片を20%伸長し、40℃でオゾン濃度50pphm雰囲気下、曝露した。96時間後に表面を観察し、き裂が少数以下で肉眼でかろうじて観察できるレベルのものを○、き裂が多数で比較的大きいもの(1mm未満)を△、亀裂が無数で深くて大きなもの(1mm以上)を×とした。
Figure 0005687661
水酸基を有する脂肪酸のエステルからなる粘着性ワックス及び脂肪酸のエステル化合物を併用した実施例では、低燃費性、耐摩耗性、耐ブルーミング性、耐オゾン性のすべての性能が優れ、これらの性能をバランスよく向上できた。特に、実施例1及び比較例1〜3の結果などから、併用により前記性能バランスが相乗的に改善されることが明らかとなった。

Claims (8)

  1. ゴム成分、シリカ、水酸基を有する脂肪酸及び1価脂肪族アルコールのエステルからなる粘着性ワックスと、脂肪酸のエステル化合物からなる液状可塑剤を含むタイヤ用ゴム組成物。
  2. 前記水酸基を有する脂肪酸が、水酸基を有する飽和脂肪酸である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記水酸基を有する脂肪酸が、2分子以上の同一又は異なる水酸基を有する脂肪酸の縮合物である請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記水酸基を有する脂肪酸のエステルが、前記水酸基を有する脂肪酸と2種以上の前記1価脂肪族アルコールとのエステルである請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記脂肪酸のエステル化合物からなる液状可塑剤が植物性オイルである請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記脂肪酸のエステル化合物からなる液状可塑剤は、構成する全脂肪酸100質量%中の1個の不飽和結合を有する脂肪酸の含有量が45質量%以上である請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. 前記脂肪酸のエステル化合物からなる液状可塑剤は、構成する全脂肪酸100質量%中のオレイン酸の含有量が45質量%以上である請求項6記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製した空気入りタイヤ。
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