JP5685573B2 - 通信システム - Google Patents
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Description
マスタ装置では、給電手段が、複数種類の特定周波数のうちいずれか一つを選択し、選択された特定周波数を有する給電信号を伝送路に出力する。但し、各特定周波数は、それぞれが一つ以上のスレーブ装置に対応づけられている。また、マスタ通信手段が、予め設定された通信周波数を有する通信信号を使用して、伝送路を介してスレーブ装置と通信を行う。但し、マスタ通信手段が通信対象とするスレーブ装置を通信対象装置と呼ぶものとし、給電周波数設定手段が、給電手段によって選択される周波数を、通信対象装置に対応づけられた特定周波数に設定する。
この様に構成された本発明の通信システムでは、マスタ装置から供給される給電信号の周波数が設定周波数と一致するスレーブ装置のみ有効な給電が行われ、スレーブ通信手段が作動する。
[第1実施形態]
<全体構成>
図1に示す本実施形態の通信システム1は、バス状の伝送路10と、伝送路10に接続されたマスタ装置20と、伝送路10を介してマスタ装置20から給電を受けて動作すると共に、マスタ装置20との通信を行う複数のスレーブ装置30(30a、30b、30c、・・・)とを備える。
先頭に位置するプリアンブル部は、「1」及び「0」を予め定めた期間繰り返すデータ列を設定する部分である。マスタ装置20及び各スレーブ装置30は、内部でプログラム処理等を行うために個々にシステムクロックを発生させており、このシステムクロックを用いて伝送路10上の信号(伝送符号)に同期した通信制御用のクロックを生成する。プリアンブル部は、伝送路10上の信号に通信制御用のクロックを同期させるために使われる。
アドレス部の後に続くデータ部は、関連機器40の状態を変化させる制御指令等、スレーブ装置30に対する各種指令(コマンド)が含まれる。
伝送路10は、図3に示す様に、2線式のツイストペアケーブルで構成され、ケーブルの一端はマスタ装置20に接続され、他端は所望のインピーダンスで接続されている。
以下では、簡単のため、通信システム1は、マスタ装置20と3つのスレーブ装置30とが通信を行う様に構成されているものとして説明を行う。また、個々のスレーブ装置30を区別する場合はスレーブ装置30a、30b、30cの様に記載し、各スレーブ装置30に予め割り当てられた特定周波数(ここでは3種類)をいう場合は、順に、特定周波数fa、fb、fcの様に記載する(fa<fb<fc)。
マスタ装置20は、図3に示す様に、伝送路10に接続され、整合部設定信号MSの指示に従って伝送路10に対する入出力インピーダンスが変化する整合部22と、交流設定信号CAの指示に従って給電信号ASを出力する交流生成部23と、を備える。
以下、マスタ制御部26のマイコンが実行するマスタ通信処理の内容を、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
本処理が起動すると、予め設定されたスケジュールに従って順番に通信対象となるスレーブ装置30を選択し(S110)、選択したスレーブ装置(以下「通信対象装置」という)30へ送信するコマンドフレームFC(図5(a)参照)を、送信データ設定処理により得られたデータを使用して生成し、送信バッファに書き込む(S120)。
これにより、交流生成部23からは、通信対象装置30に対応付けられた特定周波数を有する給電信号AS(図5(b)参照)の出力が開始されると共に、整合部22の入出力インピーダンスは、その特定周波数に適した大きさに設定される。このとき、コマンドフレームFCの送信は未だ開始されていないため、変復調部25からは無変調の給電信号ASが出力され、この無変調の給電信号ASが整合部22を介して伝送路10に出力される(図5(c)の「給電時間」の図参照)。
図3に戻り、スレーブ装置30は、伝送路10とは非接触で給電信号ASや通信信号を入出力する結合回路部50と、結合回路部50を介してマスタ装置20との通信(コマンドフレームFCの受信/レスポンスフレームFRの送信)を実行するスレーブ通信実行部80と、結合回路部50を介して取り込んだ信号に基づき、スレーブ通信実行部80に対する給電を行う電源部70と、を備える。また、スレーブ装置30は、結合回路部50を介して伝送路10から取り込んだ信号を、スレーブ通信実行部80及び電源部70に分配し、スレーブ通信実行部80から供給される信号を、結合回路部50を介して伝送路10に出力する重畳分離部60とを備える。
そして、電源部70の出力電圧VDDは、電源部70に蓄積されている蓄積電力が、スレーブ通信実行部80での消費電力を越えている間は、第1駆動電圧Vdに維持され、電源部70に蓄積されている蓄積電力が消費電力を下回ると、出力電圧VDDは略0Vとなる。
結合回路部50の特性、即ち、給電信号ASの周波数と結合回路部50での給電信号(電力)ASの伝達効率との関係は、図6に示す様に、設定周波数(設定された特定周波数)でピークとなり、設定周波数から離れるほど低下する。つまり、設定周波数とは異なる給電信号ASが伝送路10上に出力されている時に、伝送路10からスレーブ装置30への給電は、完全に無くなるわけではなく、低効率であるが維持される。
この場合、設定周波数とは異なる給電信号ASが伝送路10に出力されているときの伝達効率γがγ<αとなる様に、結合回路部50の定数や特定周波数の間隔が設定される。
なお、スレーブ装置30は、結合回路部50の共振回路がパッシブ部品で構成されているため、給電信号ASによる電力供給が無い場合にも、割り当てられた設定周波数が常に保持される。
そして、スレーブ制御部91では、受信したコマンドフレームFCに対する応答としてレスポンスフレームFRを送信する応答処理や、コマンドフレームFCの内容に従った各種処理を実行する。これらの処理は、本発明の主要部とは関連が低いため、ここではその詳細についての説明は省略する。
上記の様に構成された通信システム1の作動を図7に基づいて説明する。
マスタ装置20は、特定周波数faの給電信号ASを伝送路10に出力し(時刻t1)、続いて、スレーブ装置30aのアドレスを設定したコマンドフレームFC(特定周波数faの給電信号ASを搬送波として変調した信号)を伝送路10に送信する。
また、スレーブ装置30aも、時刻t6以降は、特定周波数faの給電信号ASが伝送路10に現れず、伝送路10を介したスレーブ装置30aへの給電がストップするため、スレーブ装置30aの電源部70は、第1駆動電圧Vdを維持できなくなって停止状態となる。
以下、特定周波数faがfbになり、スレーブ装置30bとスレーブ装置30aとが入れ替わるだけで、時刻t1〜t6で説明したものと同様の動作が行われる。つまり、マスタ装置20の通信対象であるスレーブ装置30bだけが起動状態となり、他のスレーブ装置30a、30cは停止状態となる。
<第1実施形態の効果>
以上説明した様に、本実施形態の通信システム1では、マスタ装置20は、スレーブ装置30との通信を行う際に、通信対象となるスレーブ装置30の設定周波数に一致した周波数を有する給電信号ASを給電時間だけ出力した後、通信を開始する様に構成されている。
本実施形態において、交流生成部23が特許請求の範囲の「給電手段」に相当し、変復調部25及びマスタ制御部26を備えるマスタ通信実行部24が特許請求の範囲の「マスタ通信手段」に相当し、マスタ通信処理のS130が特許請求の範囲の「給電周波数設定手段」としての処理に相当する。
上記第1実施形態の通信システム1では、1つのスレーブ装置30に1つの特定周波数が割り当てられていたが、例えば、各スレーブ装置30を、1もしくは複数のスレーブ装置30からなる複数のグループに分け、該グループ毎に特定周波数を割り当てる様に通信システム1を構成してもよい。つまり、マスタ装置20から出力する給電信号の周波数を切り替えることによって、起動するグループが切り替わる様に通信システム1を構成してもよい。
次に第2実施形態について説明する。
図8に示す本実施形態の通信システム2は、第1実施形態と比較すると、スレーブ装置31が、マスタ装置20からの指示に従って設定周波数を変更可能に構成されている点が異なる。これに伴って、通信システム2は、スレーブ装置31やマスタ装置20が実行する処理の内容や、スレーブ装置31の構成の一部が上記実施形態とは異なる。以下では、その相違する部分を中心に説明する。
マスタ装置20は、設定周波数の設定/変更を指示する指令(コマンドフレームFC)を、スレーブ装置31に対して送信することができる様に構成されている。
スレーブ装置31は、第1実施形態と比較すると、結合回路部51の構成、スレーブ制御部92が、設定周波数の設定/変更を指示する指令(コマンドフレームFC)を受信すると、その指令に従って、設定周波数を変更する処理を実行する点、発振器84の構成、及び電源部71が結合回路部51に対する電源供給を行う点で異なる。
図8に示す様に、結合回路部51は、第1実施形態の結合回路部50の構成に加えて、コンデンサC1に並列接続され、容量を段階的に変化させることが可能な可変容量部52と、通信実行部80からの周波数選択信号CSに従って可変容量部52の設定を切り替えると共に、その設定した状態を保持する不揮発性設定保持部55とを備えている。
電源部71は、第1実施形態の電源部70の構成に加えて、平滑化回路の出力を、設定保持部56を駆動するために必要な一定の電圧(以下、「第2駆動電圧」という)Vkにして出力する第2定電圧出力回路を備えている。但し、第2駆動電圧Vkは第1駆動電圧Vdより低い値に設定されている(Vk<Vd)。
結合回路部51の特性、即ち、給電信号ASの周波数と結合回路部51での給電信号(電力)ASの伝達効率との関係は、図10に示す様に、設定周波数(設定された特定周波数)でピークとなり、設定周波数から離れるほど低下する。つまり、設定周波数とは異なる給電信号ASが伝送路10上に出力されている時に、伝送路10からスレーブ装置31への給電は、完全になくなるわけではなく、低効率であるが継続される。
図8に戻り、スレーブ通信実行部80は、発振器84、変復調部82及びスレーブ制御部92を備える。
上記の様に構成された通信システム2の作動を図11に基づいて説明する。以下の説明では、簡単のため、通信システム2は、マスタ装置20と4台のスレーブ装置31a〜31dとが通信を行う様に構成されているとする。また、スレーブ装置31a、31bの特定周波数の初期値は第2特定周波数f2に設定され、スレーブ装置31c、31dの特定周波数の初期値は第3特定周波数f3、第4特定周波数f4に設定されているとする。
続いて、マスタ装置20は、スレーブ装置31bと通信を行うために、スレーブ装置31bのアドレスを設定したコマンドフレームFC(第2特定周波数f2の給電信号ASを搬送波として変調した信号)を伝送路10に送信する(時刻t8)。
一方、設定周波数が第2特定周波数f2以外に設定されている31c、31dは、引き続き停止状態となる。
<第2実施形態の効果>
以上説明した様に、本実施形態の通信システム2は、スレーブ装置31がマスタ装置20からの指示に従って、設定周波数を変更する様に構成されている。
これにより、起動または停止状態としたいスレーブ装置31のグループ分けを、通信システムの運用状況に合わせて随時変更することができる。
<請求項との対応>
本実施形態において、結合回路部51が特許請求の範囲の「給電信号入出力手段」及び「通信信号入出力手段」に相当し、電源部71が特許請求の範囲の「電源手段」に相当する。また、可変容量部52が「設定切替保持手段」に相当し、設定保持部56が「設定周波数変更手段」に相当し、第2駆動電圧Vkが特許請求の範囲の「第2閾値」に相当する。
本実施形態の通信システム3は、第1実施形態とほぼ同様の構成であるが、第1実施形態の通信システム1が給電信号ASを搬送波として使用していた点に対し、給電信号ASとは別の信号を搬送波として使用する点が異なる。以下では、その相違する部分を中心に説明する。
発振器28は、予め定められた周波数の信号を、一もしくは複数種類生成し、搬送波として変復調部25に供給する。この信号は、給電信号ASとは異なる信号であるものとする。
ここで、給電信号ASの取りうる周波数は、第1特定周波数f1〜第4特定周波数f4のいずれか1つに設定されるものとする(図13参照)。また、通信信号の周波数(搬送波の周波数)は、第1特定周波数f1〜第4特定周波数f4から離れた周波数(例えば、図13に示すように、第4特定周波数f4より更に高い周波数である、第1通信周波数fs1、及び第2通信周波数fs2)に設定されるものとする。
上記実施形態のスレーブ装置30では、結合回路部50は、伝送路10と非接触に給電信号ASを入出力する回路(以下、給電用結合回路という)と、通信信号を入出力する回路(以下、通信用結合回路という)とを兼ねる様に構成されていた。これに対し、本実施形態では、図14に示す様に、給電用結合回路58(上記実施例の結合回路部50に相当)と、通信用結合回路59とを分けて、結合回路部57を構成してもよい。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて様々な態様で実施することが可能である。
停止状態にあるスレーブ装置31がマスタ20と通信する必要が生じた場合にも、関連機器40からの要求に従ってスレーブ装置31を停止状態から起動状態に切り替えることができる。これにより、通信システム2において、設計の自由度をより向上させることができる。
Claims (6)
- マスタ装置(20)と複数のスレーブ装置(30、31)とがバス状の伝送路(10)を介して通信を行う通信システム(1、2)であって、
前記マスタ装置は、
それぞれが一つ以上の前記スレーブ装置に対応付けられた複数種類の特定周波数のうちいずれか一つを選択し、選択された特定周波数を有する給電信号を前記伝送路に出力する給電手段(23)と、
予め設定された通信周波数を有する通信信号を使用して、前記伝送路を介した前記スレーブ装置との通信を行うマスタ通信手段(24)と、
前記マスタ通信手段が通信対象とする前記スレーブ装置を通信対象装置として、前記給電手段が選択する周波数を、前記通信対象装置に対応付けられた前記特定周波数に設定する給電周波数設定手段(26)と、を備え、
前記スレーブ装置は、
前記複数種類の特定周波数のうち当該スレーブ装置に対応付けられた前記特定周波数を設定周波数として、該設定周波数を有する前記給電信号を非接触で前記伝送路から取り込む給電信号入出力手段(50、51、58)と、
前記伝送路に対して前記通信信号を非接触で入出力する通信信号入出力手段(59)と、
前記通信信号入出力手段を介して入出力される前記通信信号を使用して前記マスタ装置との通信を行うスレーブ通信手段(80)と、
前記給電信号入出力手段で取り込んだ前記給電信号に基づき、前記スレーブ通信手段への給電を行う電源手段(70、71)と、
を備えることを特徴とする通信システム。 - 前記スレーブ装置(31)は、
前記給電信号入出力手段(51)が、複数の前記特定周波数の中から選択されたいずれか一つが前記給電信号入出力手段での前記設定周波数となるように構成されると共に、
前記電源手段(71)からの給電を受けて作動し、前記給電信号入出力手段の前記設定周波数の設定を切り替えると共に、該設定を保持する設定切替保持手段(52)と、
前記スレーブ通信手段による前記マスタ装置との通信により前記設定周波数を変更する指令を受信すると、該指令に従って、前記設定切替保持手段の設定を変更する設定周波数変更手段(56)と、
を備えること、を特徴とする請求項1に記載の通信システム。 - 前記スレーブ通信手段は、前記電源手段からの給電電圧が予め設定された第1閾値以上に保持されている場合に作動し、前記設定切替保持手段は、前記第1閾値より低く設定された第2閾値以上に保持されている場合に作動することを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
- 前記給電信号入出力手段(50、51)は、前記通信信号入出力手段を兼ねるように構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の通信システム。
- 前記通信周波数は、前記通信対象装置に設定されている前記設定周波数と一致していること、を特徴とする請求項4に記載の通信システム。
- 前記伝送路には、予め設定された向きの磁界が発生する結合部(11、12)を有し、
前記スレーブ装置は、前記結合部に配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の通信システム。
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