JP5683325B2 - 排ガス処理装置およびこれを備えた内燃機関 - Google Patents
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Description
非特許文献1には、排ガス再循環経路にEGRスクラバを設けた排ガス処理装置を備えた舶用エンジンが開示されている。また、非特許文献1の図7乃至図9に示されているように、EGRスクラバの排ガス流れの下流側には、排ガスを冷却するためのEGRクーラが設けられている。このEGRクーラによって、掃気に戻す排ガス温度を低下させ、掃気温度が上昇してNOxが増大することを防止し、EGRによって期待されるNOx低減量の減少を回避している。また、掃気に戻す排ガス温度を低下させることによって、内燃機関及びその付属品の故障を防止している。
ところが、EGRスクラバ及びEGRクーラの流路断面積よりも小さい流路断面積を有する接続管路を用いて両装置を接続することになるので、接続管路で圧力損失が生じてしまう。このため、排ガスを昇圧して掃気に押し込むためのEGRブロワの容量を大きくせざるを得ない。
また、EGRスクラバの下流にEGRクーラが配置されているため、EGRスクラバを通過した後の飽和状態となった排ガスの水分が凝縮し析出してしまい、ドレン水処理のための機器が必要となりコストが嵩んでしまう。
このように、排ガス再循環経路にスクラバを設けても、スクラバを効率的に使用できないという問題がある。
すなわち、本発明にかかる排ガス処理装置は、内燃機関にて燃焼を終えて排出された排ガスが流れる排ガス経路から排ガスを分岐させ、該内燃機関へ燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給経路へと導く排ガス再循環経路に設けられた排ガス処理装置において、前記排ガス経路から導かれた排ガス中のPMおよび硫黄酸化物を除去するスクラバと、該スクラバの上方に配置され、PMおよび硫黄酸化物を除去した後の排ガスを冷却するための排ガス冷却器とを備えていることを特徴とする。
このように、排ガス冷却器にて凝縮した凝縮水がスクラバに戻されるため、スクラバにて使用する吸収液に用いる水の使用量を減少させることができる。特に、吸収液を循環させて使用する場合には、排ガスとともに持ち去られた水分を補うための補給水量を減少させることができる。
また、凝縮した凝縮水が重力によって下方へと流下するので、排ガス冷却器の伝熱面に凝縮水が滞留することがなく、伝熱効率の低下を回避することができる。
また、排ガス中の水分を排ガス冷却器によって捕捉することができるので、排ガス中のミストを捕捉するために排ガス冷却器の上流側に設置されたミストキャッチャーの容積を減少させることができる。
なお、排ガス冷却器としては、例えばフィンチューブ熱交換器やプレート式熱交換器が用いられ、冷却用媒体としては、内燃機関として舶用エンジンを想定した場合、海水や清水が好適に用いられる。
内燃機関としては、典型的には、船舶に搭載される大型のエンジンであり、具体的には、舶用2サイクルエンジン及び4サイクルエンジンや、発電用4サイクルエンジンが挙げられる。
流路断面積を同等とするためには、例えば、スクラバの下流端に、スクラバの下流端の流路断面と同等の形状を有する排ガス冷却器を接続して一体化すれば良い。あるいは、スクラバの下流部の流路内に排ガス冷却器としての伝熱管を複数設置しても良い。
また、排ガス冷却器と過給機のコンプレッサ部との間の配管を上方へ向くように設置すれば、配管中に結露した水を容易に下方で回収することができ、配管寿命を延ばすことができる。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1を用いて説明する。
同図には、本実施形態にかかる排ガス処理装置1を備えた舶用ディーゼルエンジン3まわりの概略構成が示されている。
船舶内には、排ガス処理装置1を備え、船舶推進用の主機とされたディーゼルエンジン3と、ディーゼルエンジン3の排ガスによって駆動される排気ターボ過給機5とを備えている。
ディーゼルエンジン3の各気筒のシリンダ部7(図1では1気筒のみを示している。)の排気ポートは排ガス集合管としての排気マニホールド9に接続されている。排気マニホールド9は、第1排ガス経路11を介して、排気ターボ過給機5のタービン部5aの入口側と接続されている。なお、図1において、符号13は排気弁、符号15はピストンである。
第2排ガス経路25には、一部の排ガスを分岐させてディーゼルエンジン3側へ戻す排ガス再循環(EGR)を行う第1排ガス再循環経路27が設けられている。第1排ガス再循環経路27は、第2排ガス経路25の分岐点25aと、排ガス処理装置1の入口部とを接続する。排ガス再循環経路27の上流側には、排ガス循環量を調整するための排ガス再循環用調整弁29が設けられている。
スクラバ23としては、吸収液を上方から散布して排ガスに接触させ、排ガス中のPMおよびSOxを除去する湿式スクラバが用いられる。スクラバ23の下方から吸収液を回収し、図示しないポンプによって上方へと導き再び散布する再循環方式となっている。
排ガス冷却器24は、スクラバ23の上方に設置されており、スクラバ23によってPMおよびSOxが除去された後の排ガスを冷却する。排ガス冷却器24としては、例えばフィンチューブ熱交換器やプレート式熱交換器が用いられ、冷却用媒体としては海水や清水が用いられる。
排ガス冷却器24には、スクラバ23を通過する際に吸収液と接触して飽和状態となった排ガスが導かれるので、排ガス冷却器によって冷却されると、飽和状態となった排ガス中の湿分が凝縮する。排ガス冷却器24にて凝縮した凝縮水は、重力によって下方のスクラバ23へと導かれる。
ディーゼルエンジン3から排出された排ガスは、排気マニホールド9から第1排ガス経路11を介して排気ターボ過給機5のタービン部5aへと導かれる。タービン部5aでは、排ガスエネルギーを得て回転させられ、コンプレッサ5bを回転させる。コンプレッサ部5bでは、吸入した空気(外気)および再循環した排ガスを圧縮して空気冷却器21を介してディーゼルエンジン3の掃気トランク17へと送る。
排ガス再循環用調整弁29を開とすることにより、所定量の排ガスが第2排ガス経路25から分岐され、第1排ガス再循環経路27を通り、排ガス処理装置1のスクラバ23へと導かれる。
スクラバ23によって処理された排ガスは、上方へと流れ、排ガス冷却器24へと流入する。排ガス冷却器24では、伝熱管内を流通する海水や清水等の冷媒によって冷却され、飽和状態とされた排ガス中の湿分が凝縮する。生成した凝縮水は、重力によって下方へと流れ、スクラバ23内で回収される。
混合チャンバ33にて、排ガスと外気とが混合され、排気ターボ過給機5のコンプレッサ部5bへと導かれる。コンプレッサ部5bにて圧縮された混合流体は、空気冷却器21にて冷却された後に、掃気トランク17へと導かれる。
排ガス再循環経路27,31にスクラバ23を設置し、スクラバ23の上方に排ガス冷却器24を設けることとした。これにより、排ガス冷却器24にて凝縮した凝縮水を、重力によって下方のスクラバ23へと導き回収するようにした。このように、排ガス冷却器24にて凝縮した凝縮水がスクラバ23に戻されるため、スクラバにて使用する吸収液に用いる水の使用量を減少させることができる。特に、吸収液を循環させて使用しているので、排ガスとともに持ち去られた水分を補うための補給水量を減少させることができる。
また、凝縮水が重力によって下方へと流下するので、排ガス冷却器24の伝熱面に凝縮水が滞留することがなく、伝熱効率の低下を回避することができる。
また、排ガス中の水分を排ガス冷却器24によって捕捉することができるので、排ガス中のミストを捕捉するためにスクラバ23の下流に設置されたミストキャッチャーの容積を減少させることができる。
このように、本実施形態によれば、排ガス処理装置1を効率的に運用することができる。
次に、本発明の第2実施形態について、図2を用いて説明する。
本実施形態は、第1実施形態に対して、高圧EGRとした点が相違し、その他については同様である。したがって、以下の説明では相違点について説明し、共通する構成については同一符号を付しその説明を省略する。
図2に示されているように、第1排ガス再循環経路27の上流端は、第1排ガス経路11の分岐点11aに接続されている。このように、本実施形態では、排気ターボ過給機5のタービン部5aの上流側から排ガスを分岐することによって、高圧EGRが採用されている。排ガス冷却器24の下流側に設けられた第2排ガス再循環経路31には、EGRブロア35が設けられている。このEGRブロア35によって排ガスを昇圧し、排気ターボ過給機5のコンプレッサ部5bにて昇圧された空気と混合する。
本実施形態にかかる排ガス処理装置1を採用することにより、舶用ディーゼルエンジン3と排気ターボ過給機5との間に排ガス処理装置1を設置することができ、ガス密度が高い高圧EGRにより小さくなった排ガス処理装置1の設置スペースをさらに縮小することができる。また、同時に配管長さも減少するので、配管による圧損が減少して排ガスが舶用ディーゼルエンジン3側に戻りやすくなり、EGRブロア35の容量を小さくすることができる。
3 舶用ディーゼルエンジン(内燃機関)
5 排気ターボ過給機
5a タービン部
5b コンプレッサ部
11 第1排ガス経路
19 掃気経路(燃焼用空気供給経路)
23 スクラバ
24 排ガス冷却器
25 第2排ガス経路
27 第1排ガス再循環経路
31 第2排ガス再循環経路
35 EGRブロア
Claims (5)
- 内燃機関にて燃焼を終えて排出された排ガスが流れる排ガス経路から排ガスを分岐させ、該内燃機関へ燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給経路へと導く排ガス再循環経路に設けられた排ガス処理装置において、
前記排ガス経路から導かれた排ガス中のPM(Particulate Matter)および硫黄酸化物を除去するスクラバと、
該スクラバの上方に配置され、PMおよび硫黄酸化物を除去した後の排ガスを冷却するための排ガス冷却器と、
を備えていることを特徴とする排ガス処理装置。 - 前記排ガス冷却器内を流れる排ガスの流路断面積と、該排ガス冷却器の上流側に接続された前記スクラバの下流部内を流れる排ガスの流路断面積とが略同等とされていることを特徴とする請求項1に記載の排ガス処理装置。
- 前記排ガス循環経路は、過給機のタービン部の下流側と、該過給機のコンプレッサ部の上流側との間に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス処理装置。
- 前記排ガス循環経路は、過給機のタービン部の上流側と、該過給機のコンプレッサ部の下流側との間に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス処理装置。
- 請求項1から4のいずれかに記載の排ガス処理装置を備えていることを特徴とする内燃機関。
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