以下に、添付図面を参照して、本発明に係る排ガス処理装置および水供給方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図面において、同一構成部分には同一符号が付されている。
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る排ガス処理装置について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る排ガス処理装置が適用された舶用ディーゼルエンジンの一構成例を示す模式図である。図1に示すように、この舶用ディーゼルエンジン1は、エンジン本体2と、過給機3と、冷却器4と、気液分離装置5と、ドレン管6と、出口オリフィス7と、排ガス処理装置10とを備える。また、図1に示すように、舶用ディーゼルエンジン1は、排気用の配管としての排気管101、102と、給気用の設備または配管としての給気部111および給気管112〜114と、排ガス再循環用の配管としてのEGR管121、122とを備える。排ガス処理装置10は、本発明の実施形態1に係る排ガス処理装置の一例であり、図1に示すように、EGR装置11と、収集管12と、凝縮水チャンバ13と、第1給水管14と、第1供給弁15と、圧力検出部16と、チャンバ水位検出部17と、水処理装置18と、タンク水位検出部18bと、制御装置19とを備える。また、図1に示すように、水処理装置18は、水処理用タンク18aと、循環管131、132とを備える。
なお、図1において、燃焼用ガスや凝縮水等の流体の流通および配管は、実線矢印によって適宜図示される。電気信号線は、一点鎖線によって適宜図示される。このことは、他の図面においても同様である。
エンジン本体2は、図示しないが、プロペラ軸を介して船舶の推進用プロペラを駆動回転させる推進用の機関(主機関)である。このエンジン本体2は、ユニフロー掃排気式のクロスヘッド式ディーゼルエンジン等の2ストロークディーゼルエンジンである。例えば、図1に示すように、エンジン本体2は、複数(実施形態1では4つ)のシリンダ2aと、掃気トランク2bと、排気マニホールド2cとを備える。また、エンジン本体2は、図示しないが、各シリンダ2aの燃焼室に燃料等を噴射するための噴射装置、この噴射装置の駆動制御を行う制御装置、各シリンダ2aの内部に沿って往復運動(例えば上下動)するピストン、ピストンの往復運動に伴ってプロペラ軸を回転させるためのクランク、クランクシャフトおよびクロスヘッド等を備える。
複数のシリンダ2aの各々は、ピストンを往復運動させるための給排気および燃料燃焼等が行われる燃焼室を形成する。掃気トランク2bは、エンジン本体2内における掃気ポート(図示せず)を介して各シリンダ2a内の燃焼室と連通している。排気マニホールド2cは、エンジン本体2内における排気流路(図示せず)を介して各シリンダ2a内の燃焼室と連通している。
エンジン本体2は、冷却器4による冷却後の燃焼用ガスを用いて、各シリンダ2a内の掃気と燃料燃焼によるピストンの往復運動とを行う。詳細には、エンジン本体2は、各シリンダ2a内の燃焼室における燃料燃焼によるピストンの往復運動を、船舶の推進力を出力する出力軸(具体的にはプロペラ軸またはクランクシャフト等)の回転運動に変換する。この際、エンジン本体2は、各シリンダ2a内の給排気の流れを下方から上方への一方向として、排気の残留を無くすように掃気を行っている。この掃気において、掃気トランク2bから各シリンダ2a内の燃焼室へ燃焼用ガスが給気され、燃焼後の排ガスが各シリンダ2a内の燃焼室から排気マニホールド2cへ排出される。このようなエンジン本体2において、図1に示すように、掃気トランク2bには給気管114が連結され、排気マニホールド2cには排気管101が連結されている。なお、排ガスは、エンジン本体2から排気管101等を通じて外部に排出されるガスである。以下、排ガスといえば、エンジン本体2から排出された排ガスを意味する。
過給機3は、エンジン本体2からの排ガスを利用して、エンジン本体2へ給気される燃焼用ガスを加圧圧縮するものである。図1に示すように、過給機3は、圧縮機3aと、タービン3bと、回転軸3cとを備える。圧縮機3aおよびタービン3bは、羽根車等によって各々構成され、回転軸3cを中心軸にして一体に回転するように、回転軸3cによって互いに連結されている。また、圧縮機3aのガス入側には、外部(大気)からの新たな空気(新気ともいう)等のガスを吸入する給気部111が設けられている。この給気部111の近傍には、EGR管122の出口端が接続されている。これにより、圧縮機3aのガス入側は、給気部111からの空気とEGR管122からの再循環ガスとが混合して給気され得るように構成されている。圧縮機3aのガス出側には、冷却器4に通じる給気管112が連結されている。タービン3bのガス入側には、エンジン本体2の排気マニホールド2cに通じる排気管101が連結されている。タービン3bのガス出側には、外部へ排ガスを排出する煙突(図示せず)等に通じる排気管102が連結されている。
このような構成を有する過給機3において、タービン3bは、エンジン本体2の排気マニホールド2cから排気管101を通じて排出された排ガスを受ける。タービン3bは、この受けた排ガスの圧力等のエネルギーによって回転しながら、この回転に使用された排ガスを排気管102へ排出する。このタービン3bの回転は、回転軸3cによって圧縮機3aに伝達される。これにより、圧縮機3aは、このタービン3bの回転に伴い回転して燃焼用ガスを吸入し、この吸入した燃焼用ガスを加圧圧縮する。なお、この燃焼用ガスは、EGR装置11が運転中であれば、給気部111からの空気とEGR管122からの再循環ガスとの混合ガスであり、EGR装置11が停止中であれば、給気部111からの空気だけとなる。圧縮機3aによる加圧圧縮後の燃焼用ガスは、給気管112を通じて冷却器4へ給気される。
冷却器4は、過給機3(詳細には圧縮機3a)による加圧圧縮後の燃焼用ガスを冷却するためのものである。図1に示すように、冷却器4のガス入側には、圧縮機3aに通じる給気管112の出口端が接続されている。冷却器4のガス出側には、気液分離装置5に通じる給気管113の入口端が接続されている。冷却器4は、圧縮機3aによって加圧圧縮されて高温高圧の状態となった燃焼用ガスを、例えば冷却水との熱交換等によって冷却する。以下、「冷却後の燃焼用ガス」といえば、特に説明がない限り、圧縮機3aによって加圧圧縮され且つ冷却器4によって冷却された高圧状態の燃焼用ガスを意味する。
気液分離装置5は、冷却器4による冷却後の燃焼用ガスと液滴(凝縮水)とを分離するための装置である。図1に示すように、気液分離装置5のガス入側には、冷却器4に通じる給気管113の出口端が接続されている。気液分離装置5のガス出側には、エンジン本体2の掃気トランク2bに通じる給気管114の入口端が接続されている。気液分離装置5は、冷却器4による冷却後の燃焼用ガス中に凝縮水が発生した場合、この凝縮水を捕捉して燃焼用ガスから分離し、除去する。
気液分離装置5によって凝縮水が除去された燃焼用ガスは、上述した圧縮機3aの加圧圧縮作用によって昇圧された高いガス圧力を有しながら、気液分離装置5から給気管114を通じてエンジン本体2の掃気トランク2bへ給気される。掃気トランク2bへ給気された燃焼用ガスは、上述したように、エンジン本体2の各シリンダ2a内の掃気等に用いられる。すなわち、この燃焼用ガスのガス圧力は、エンジン本体2の掃気圧である。
一方、排ガス処理装置10において、EGR装置11は、エンジン本体2から排出された排ガスをスクラバ水を用いて洗浄し、洗浄後の排ガスを上述した燃焼用ガスの一部として再循環させるものである。EGR装置11は、このような排ガスの再循環により、排ガス中のNOxの含有量を低減する。本実施形態1において、EGR装置11は、図1に示すように、スクラバ11aと、デミスタ11bと、EGRブロワ11cと、回収タンク11dと、回収管11eと、ポンプ11fとを備え、舶用ディーゼルエンジン1に搭載されている。
スクラバ11aは、エンジン本体2から排出された排ガスの一部を再循環ガスとして使用し得るように洗浄するものである。本実施形態1において、スクラバ11aは、例えば、スクラバ水等を噴射する噴射ノズル等を備えるベンチュリ型のスクラバである。また、図1に示すように、スクラバ11aのガス入側には、EGR管121の出口端が接続されている。EGR管121の入口端は、上述した排気管102の中途部に接続されている。スクラバ11aの水入側には、後述する第1給水管14および循環管132の各出口端が接続されている。一方、スクラバ11aの下部は、デミスタ11bと連通している。
本実施形態1において、スクラバ11aは、エンジン本体2からの排ガスの一部をEGR管121を通じて受け入れ、この受け入れた排ガスに対してスクラバ水を噴射する。例えば、スクラバ11aは、循環管132を通じて供給された水(水処理装置18による処理後のスクラバ水)を、排ガスを洗浄するためのスクラバ水として用いる。また、凝縮水チャンバ13から第1給水管14を通じてスクラバ11aに供給された凝縮水は、スクラバ11a自体(例えば噴射ノズルやフィルタ等)を洗浄するために用いられる。スクラバ11aは、排ガスに対するスクラバ水の噴射により、排ガスから煤塵等の微粒子およびSOx等の有害物質を除去して排ガスを洗浄する。洗浄後の排ガスは、再循環ガスとして、使用後のスクラバ水とともにデミスタ11bへ流れ込む。
デミスタ11bは、スクラバ11aからの再循環ガスとスクラバ水とを分離するための設備である。デミスタ11bは、例えば、中空の構造体によって構成される。図1に示すように、デミスタ11bには、上述したスクラバ11aの出口部が接続される。デミスタ11bの下部(本実施形態1では底部)には、回収タンク11dに通じる回収管11eの入口端が接続されている。デミスタ11bは、スクラバ11aから流れ込んだ洗浄後の再循環ガスと使用後のスクラバ水との気液混合流体を、気体と液体とに分離する。これらの分離された再循環ガスおよびスクラバ水のうち、再循環ガスは、デミスタ11bのガス吐出口からEGRブロワ11cによって吸い込まれ、EGR管122を通じて圧縮機3aに送出される。スクラバ水は、デミスタ11bの下部から回収管11eを通じて回収タンク11dへ導出される。
EGRブロワ11cは、スクラバ11aによる再循環ガスを燃焼用ガスの一部として吸い込んで、送出するためのブロワである。図1に示すように、EGRブロワ11cは、例えばデミスタ11bの上部に設けられている。また、EGRブロワ11cのガス出側には、EGR管122の入口端が接続されている。EGRブロワ11cは、デミスタ11bによってスクラバ水と分離された再循環ガスを、デミスタ11b内から吸入してEGR管122へ圧送する。このような再循環ガスは、EGR管122を通じて給気部111からの空気と合流し、上述した燃焼用ガスの一部として用いられる。
回収タンク11dは、排ガスの洗浄に使用されたスクラバ水を回収するためのタンクである。図1に示すように、回収タンク11dは、EGR装置11においてデミスタ11bに比べて下方に配置され、回収管11eを介してデミスタ11bと連通している。回収タンク11dは、スクラバ11aで排ガスの洗浄に使用されたスクラバ水(図1ではスクラバ水Wb)を、デミスタ11bから回収管11eを通じて回収する。回収タンク11dは、このように回収したスクラバ水Wbを貯留する。これにより、回収タンク11dは、スクラバ11aと水処理装置18との間で循環されるスクラバ水の元となる浄化処理前のスクラバ水Wbを適宜準備することができる。
ポンプ11fは、排ガスの洗浄に使用されたスクラバ水Wbを水処理装置18へ送給するためのものである。図1に示すように、ポンプ11fの入側は、回収タンク11dの出口部に設けられている。ポンプ11fの出側には、水処理装置18に通じる循環管131の入口端が接続されている。ポンプ11fは、回収タンク11dからスクラバ水Wbを吸入し、吸入したスクラバ水Wbを、循環管131を通じて水処理装置18へ圧送する。水処理装置18へ送給されたスクラバ水Wbは、水処理装置18によって浄化処理がなされた後、循環管132を通じて水処理装置18からスクラバ11aへ再び供給される。
なお、特に図示しないが、EGR装置11の運転(具体的にはEGRブロワ11cおよびポンプ11fの各駆動等)は、所定の制御装置によって制御される。この制御装置は、エンジン本体2の負荷(以下、エンジン負荷と言う)が所定の基準値以上である場合、EGR装置11を運転させる。また、この制御装置は、エンジン負荷が当該基準値未満である場合、EGR装置11の運転を停止させる。但し、当該基準値未満となったエンジン負荷が再上昇する可能性があるため、EGR装置11による再循環ガスの流通だけ停止し、水処理装置18の運転及びスクラバ水の循環は継続することも可能である。ここで、舶用ディーゼルエンジンの国際的な排ガス規制では、エンジン負荷が25%以上である場合、EGRによるNOx低減を行うように要求されている。したがって、本発明では、この排ガス規制に基づき、エンジン負荷が25%以上である場合にEGRによるNOx低減を確実に行うために、上記エンジン負荷の基準値は、25%以下の値、例えば20%に設定される。
収集管12は、冷却器4による冷却後の燃焼用ガスから発生した凝縮水と冷却器4による冷却後の燃焼用ガスのガス圧力とを収集する配管である。図1に示すように、収集管12は、冷却器4から凝縮水を収集する第1収集管12aと、気液分離装置5から凝縮水を収集する第2収集管12bとを備える。第1収集管12aは、入口端が冷却器4の排水口に接続され且つ出口端が凝縮水チャンバ13の入口部に接続され、冷却器4の内部と凝縮水チャンバ13の内部とを連通させるように設けられている。冷却器4の排水口は、例えば、冷却器4の底部に形成されている。第2収集管12bは、入口端が気液分離装置5の排水口に接続され且つ出口端が第1収集管12aの中途部に接続され、第1収集管12aを介して気液分離装置5の内部と凝縮水チャンバ13の内部とを連通させるように設けられている。気液分離装置5の排水口は、例えば、気液分離装置5の底部に形成されている。
本実施形態1において、冷却器4の内部では、圧縮機3aによる加圧圧縮後の高温高圧な燃焼用ガスが冷却され、この冷却後の燃焼用ガスから凝縮水が発生する。このように発生した凝縮水のうち、一部は冷却器4の内部に溜まり、残りは冷却後の燃焼用ガスとともに給気管113を通じて気液分離装置5へ送給される。第1収集管12aは、この冷却器4の内部に溜まった凝縮水を、冷却後の燃焼用ガスの一部とともに冷却器4から収集する。第2収集管12bは、この冷却後の燃焼用ガスから気液分離装置5によって分離された凝縮水を、この冷却後の燃焼用ガスの一部とともに気液分離装置5から収集する。これらの第1収集管12aと第2収集管12bとを備える収集管12は、冷却器4および気液分離装置5の各々から、上記冷却後の燃焼用ガスの一部とともに凝縮水を収集する。このようにして、収集管12は、上記冷却後の燃焼用ガスのガス圧力と上記凝縮水とを収集する。収集された凝縮水は、収集管12により、上記冷却後の燃焼用ガスの一部とともに凝縮水チャンバ13へ導かれる。
凝縮水チャンバ13は、上述した凝縮水を貯留するとともに、貯留した凝縮水を供給先装置へ圧送するための圧力を蓄積する圧力容器である。図1に示すように、凝縮水チャンバ13は、冷却器4および気液分離装置5に比べて下方に配置され、収集管12を介して冷却器4および気液分離装置5の各々と連通している。凝縮水チャンバ13には、冷却器4および気液分離装置5の各々から収集管12を通じて、上述した凝縮水が冷却後の燃焼用ガスの一部とともに流入する。凝縮水チャンバ13は、収集管12を通じて、上記流入した凝縮水(図1に示す凝縮水Wa)を貯留するとともに、上記流入した燃焼用ガスのガス圧力を蓄積する。
また、図1に示すように、凝縮水チャンバ13の上部には、ドレン管6が接続されている。ドレン管6は、凝縮水チャンバ13内の凝縮水Waのうち、凝縮水チャンバ13の上限水位を超えて貯留される凝縮水の過剰分を凝縮水チャンバ13から排出する。例えば、ドレン管6は、出口端が下方を向くように舶用ディーゼルエンジン1に設けられ、上記凝縮水の過剰分を凝縮水チャンバ13から舶用ディーゼルエンジン1の下方へ排出する。一方、このドレン管6の下端近傍部分には、図1に示すように、出口オリフィス7が設けられている。出口オリフィス7は、ドレン管6の出口部分を狭めるものであり、上記ドレン管6による排水機能を確保しながら、凝縮水チャンバ13に蓄積されるガス圧力の過度な低下を防止する。
ここで、本実施形態1では、図1に示すように、凝縮水チャンバ13と冷却器4および気液分離装置5とは、収集管12を介して連通している。また、過給機3の圧縮機3aと冷却器4とは給気管112を介して連通し、冷却器4と気液分離装置5とは給気管113を介して連通し、気液分離装置5とエンジン本体2の掃気トランク2bとは給気管114を介して連通している。このような構造において、凝縮水チャンバ13に蓄積されるガス圧力は、冷却器4、気液分離装置5、収集管12および給気管112〜114の各内部を流通する燃焼用ガスのガス圧力に相当する。また、これらの各内部における燃焼用ガスのガス圧力は、掃気トランク2bに給気される燃焼用ガスのガス圧力に相当する。すなわち、本実施形態1において、凝縮水チャンバ13に蓄積されるガス圧力は、エンジン本体2の掃気圧Pに相当する。また、掃気トランク2b内の燃焼用ガスのガス圧力は、排ガスを利用して駆動する過給機3の圧縮機3aが燃焼用ガスを加圧圧縮することによって得られるガス圧力である。したがって、エンジン本体2の掃気圧Pは、エンジン負荷の上昇に伴い増大し、エンジン負荷の低下に伴い減少する。なお、上述した出口オリフィス7は、この凝縮水チャンバ13内のガス圧力の過度な低下を防止することにより、エンジン本体2の掃気圧Pの低下を抑制することができる。
第1給水管14は、凝縮水チャンバ13に貯留された凝縮水Waを供給先装置へ供給するための給水管の一例である。図1に示すように、第1給水管14は、凝縮水チャンバ13と供給先装置の一例であるスクラバ11aとを連通するように配置されている。詳細には、第1給水管14は、入口端が凝縮水チャンバ13の所定部分に接続され且つ出口端がスクラバ11aの給水口に接続され、凝縮水チャンバ13とスクラバ11aとの間でヘッド差h1が生じるように配置されている。本実施形態1では、例えば図1に示すように、凝縮水チャンバ13の、第1給水管14の入口端が接続される所定部分は、凝縮水チャンバ13の底部近傍の側壁部である。スクラバ11aの、第1給水管14の出口端が接続される給水口は、スクラバ11aの上端近傍の側壁部に形成されている。凝縮水Waは、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力を利用して、凝縮水チャンバ13から第1給水管14を通じてスクラバ11aへ圧送される。これにより、凝縮水Waは、噴射可能な圧力でスクラバ11aへ供給される。
本発明において、ヘッド差とは、凝縮水Waの供給元装置である凝縮水チャンバ13の水頭と、凝縮水Waの供給先装置の水頭との高低差として定義される。すなわち、本実施形態1では、図1に示すように、凝縮水チャンバ13とスクラバ11aとのヘッド差h1は、凝縮水チャンバ13の水位と第1給水管14の出口水位との高低差になる。例えば、凝縮水チャンバ13の水位は、凝縮水チャンバ13に貯留されている凝縮水Waの液面Saの高さ方向位置である。第1給水管14の出口水位は、第1給水管14の出口部分(スクラバ11aの給水口)における内壁上端の高さ方向位置である。これら凝縮水チャンバ13の水位および第1給水管14の出口水位の基準位置は、互いに同じであり、例えば、凝縮水チャンバ13の底面である。
また、ヘッド差h1は、所望の期間中に凝縮水チャンバ13内のガス圧力を利用して凝縮水チャンバ13からスクラバ11aへ凝縮水Waを圧送し得るように設定される。例えば、供給先装置がEGR装置11のスクラバ11aである場合、ヘッド差h1は、EGR装置11の運転中にスクラバ11aへの上記凝縮水Waの圧送が可能となるように設定される。本実施形態1において、EGR装置11は、エンジン負荷が上述の基準値以上である場合に運転する。すなわち、EGR装置11の運転中におけるエンジン負荷の最小値は、当該基準値(例えば20%)である。また、凝縮水チャンバ13内のガス圧力は、上述したように、掃気トランク2bに給気される燃焼用ガスのガス圧力(すなわちエンジン本体2の掃気圧P)に相当する。したがって、ヘッド差h1は、エンジン負荷が当該基準値である場合の掃気圧Pを利用して水を圧送することができる低位の供給元装置の水頭と高位の供給先装置の水頭との高低差以下(例えば3m以下)に設定される。
第1供給弁15は、供給先装置へ凝縮水Waを圧送するための給水管を開状態または閉状態にする供給弁の一例である。本実施形態1では、図1に示すように、第1供給弁15は、第1給水管14の中途部に設けられている。第1供給弁15は、制御装置19の制御に基づいて開閉駆動し、これにより、第1給水管14を開状態または閉状態にする。
圧力検出部16は、供給先装置への凝縮水Waの圧送に利用されるガス圧力を検出するものである。例えば、図1に示すように、圧力検出部16は、エンジン本体2の掃気トランク2b内に設けられる。本実施形態1において、圧力検出部16は、スクラバ11aへの凝縮水Waの圧送に利用されるガス圧力として、凝縮水チャンバ13内のガス圧力に相当する掃気トランク2b内のガス圧力、すなわち、エンジン本体2の掃気圧Pを検出する。その都度、圧力検出部16は、検出したガス圧力(掃気圧P)を示す電気信号を制御装置19に送信する。
チャンバ水位検出部17は、凝縮水チャンバ13の水位を検出する水位検出部の一例である。例えば、図1に示すように、チャンバ水位検出部17は、凝縮水チャンバ13に設けられ、凝縮水チャンバ13に予め設定された下限水位Laの位置に検出子を有する。凝縮水チャンバ13の下限水位Laは、第1給水管14を通じての凝縮水Waの圧送を安定して行えるという観点から、第1給水管14の入口部分における内壁上端の位置または当該位置よりも高位に設定されることが好ましい。本実施形態1において、チャンバ水位検出部17は、凝縮水チャンバ13の水位が凝縮水チャンバ13の下限水位La以上であるか否かを検出する。具体的には、チャンバ水位検出部17は、凝縮水チャンバ13内の凝縮水Waの液面Saが下限水位La以上の高位に位置するか否かを検出する。その都度、チャンバ水位検出部17は、凝縮水チャンバ13の水位の検出結果を示す電気信号を制御装置19に送信する。
水処理装置18は、排ガスの洗浄に使用されたスクラバ水をEGR装置11から回収して浄化処理し、浄化処理後のスクラバ水をEGR装置11へ供給する装置の一例である。本実施形態1では、図1に示すように、水処理装置18は、水処理用タンク18aと、循環管131、132とを備え、舶用ディーゼルエンジン1の外部に設けられる。水処理用タンク18aは、排ガスの洗浄に使用されたスクラバ水を回収して浄化処理するために用いられるタンクである。循環管131、132は、EGR装置11と水処理装置18との間でスクラバ水を循環させるための配管である。水処理装置18は、循環管131を通じてEGR装置11の回収タンク11dから使用後のスクラバ水Wbを受け入れる。水処理装置18は、この受け入れたスクラバ水Wbを水処理用タンク18a内に回収して貯留し、水処理用タンク18a内に貯留したスクラバ水Wbを浄化処理することにより、浄化処理後のスクラバ水Wcを得る。図1には、浄化処理後のスクラバ水Wcを貯蔵した状態の水処理用タンク18aが図示されている。水処理装置18は、ポンプ(図示せず)の作用により、循環管132を通じて水処理用タンク18aからスクラバ水Wcをスクラバ11aへ圧送供給する。
また、図1に示すように、水処理装置18の水処理用タンク18aには、タンク水位検出部18bが設けられている。タンク水位検出部18bは、水処理用タンク18aの水位を検出する水位検出部の一例である。例えば、図1に示すように、タンク水位検出部18bは、水処理用タンク18aに予め設定された上限水位Hbおよび下限水位Lbの各位置に検出子を有する。本実施形態1において、タンク水位検出部18bは、水処理用タンク18aの水位が水処理用タンク18aの上限水位Hb以上、下限水位Lb以上かつ上限水位Hb未満、下限水位Lb未満のいずれであるかを検出する。具体的には、タンク水位検出部18bは、水処理用タンク18a内のスクラバ水(図1ではスクラバ水Wc)の液面Sbが上限水位Hb以上、下限水位Lb以上かつ上限水位Hb未満、下限水位Lb未満のいずれに位置するかを検出する。その都度、タンク水位検出部18bは、水処理用タンク18aの水位の検出結果を示す電気信号を制御装置19に送信する。
制御装置19は、排ガス処理装置10の水供給の実行および停止を制御する装置の一例である。本実施形態1において、制御装置19は、凝縮水チャンバ13とスクラバ11aとを連通する第1給水管14に設けられた第1供給弁15の開閉駆動を制御する。具体的には、制御装置19は、各種プログラムを実行するためのCPU、メモリおよびシーケンサ等によって構成される。制御装置19は、圧力検出部16、チャンバ水位検出部17およびタンク水位検出部18b等から電気信号を受信し、受信した電気信号およびエンジン本体2のエンジン負荷に基づいて、第1供給弁15の開閉駆動を制御する。
例えば、制御装置19は、凝縮水チャンバ13とスクラバ11aとのヘッド差圧P(h1)と、圧力検出部16によって検出されたガス圧力(例えば掃気圧P)との大小関係を判断する。制御装置19は、検出されたガス圧力がヘッド差圧P(h1)に比べて大きい場合、第1供給弁15を開状態に制御し、検出されたガス圧力がヘッド差圧P(h1)以下である場合、第1供給弁15を閉状態に制御する。
ここで、ヘッド差h1は、凝縮水チャンバ13の水位(凝縮水Waの液面Saの高さ方向位置)が凝縮水Waの貯留と圧送とのバランスに応じて変化することから、当該水位の変化に伴い増減する。例えば、ヘッド差h1は、凝縮水Waの液面Saが凝縮水チャンバ13の下限水位Laに向かって低下するに伴い増大し、凝縮水Waの液面Saが凝縮水チャンバ13の下限水位Laに位置する場合に最大値となる。本実施形態1では、ヘッド差h1の一例として、上記最大値が用いられる。すなわち、ヘッド差圧P(h1)は、凝縮水チャンバ13とスクラバ11aとの間で取り得るヘッド差h1の所定範囲のうち最大値に相当する圧力とする。あるいは、チャンバ水位検出部17が凝縮水チャンバ13の水位を連続的または所定時間毎に断続的に検出するように構成され、ヘッド差圧P(h1)は、チャンバ水位検出部17によって検出された凝縮水チャンバ13の水位と第1給水管14の出口水位とのヘッド差h1に相当する圧力としてもよい。
また、制御装置19は、チャンバ水位検出部17によって検出された凝縮水チャンバ13の水位が凝縮水チャンバ13の下限水位La以上である場合、全ての供給弁(本実施形態1では第1供給弁15)について、上述したヘッド差圧P(h1)と検出されたガス圧力との大小関係に基づく開閉状態の制御を行う。一方、制御装置19は、チャンバ水位検出部17によって検出された凝縮水チャンバ13の水位が凝縮水チャンバ13の下限水位La未満である場合、全ての供給弁(第1供給弁15)を閉状態に制御する。
また、制御装置19は、タンク水位検出部18bによって検出された水処理用タンク18aの水位が水処理用タンク18aの上限水位Hb未満である場合、全ての供給弁(第1供給弁15)について、上述したヘッド差圧P(h1)と検出されたガス圧力との大小関係に基づく開閉状態の制御を行う。一方、制御装置19は、タンク水位検出部18bによって検出された水処理用タンク18aの水位が水処理用タンク18aの上限水位Hb以上である場合、全ての供給弁(第1供給弁15)を閉状態に制御する。
また、制御装置19は、エンジン本体2のエンジン負荷が上述の基準値以上である場合、すなわち、EGR装置11が運転中である場合、全ての供給弁(第1供給弁15)について、上述したヘッド差圧P(h1)と検出されたガス圧力との大小関係に基づく開閉状態の制御を行う。一方、制御装置19は、エンジン本体2のエンジン負荷が上述の基準値未満である場合、すなわち、EGR装置11が運転停止中である場合、全ての供給弁(第1供給弁15)を閉状態に制御する。
つぎに、本発明の実施形態1に係る水供給方法について説明する。図2は、本発明の実施形態1に係る水供給方法の一例を示すフロー図である。本実施形態1に係る水供給方法は、図1に示したように過給機3と冷却器4とエンジン本体2とを備える舶用ディーゼルエンジン1に適用される水供給方法である。この水供給方法では、上述した排ガス処理装置10が、図2に例示されるステップS101〜S108の各処理を適宜行うことにより、凝縮水チャンバ13内の蓄圧を利用して供給先装置の一例であるスクラバ11aへの凝縮水Waの供給または供給停止を行う。
詳細には、本実施形態1に係る水供給方法において、排ガス処理装置10は、図2に示すように、エンジン本体2の掃気圧下で凝縮水を収集する(ステップS101)。このステップS101において、収集管12は、冷却器4による冷却後の燃焼用ガスから発生した凝縮水と当該冷却後の燃焼用ガスのガス圧力とを収集する。
具体的には、収集管12は、冷却器4の内部に溜まった凝縮水を冷却後の燃焼用ガスの一部とともに冷却器4から収集し、収集した凝縮水と燃焼用ガスとを冷却器4から凝縮水チャンバ13へ導く。これに並行して、収集管12は、気液分離装置5が冷却後の燃焼用ガスから分離した凝縮水を当該冷却後の燃焼用ガスの一部とともに気液分離装置5から収集し、収集した凝縮水と燃焼用ガスとを気液分離装置5から凝縮水チャンバ13へ導く。本実施形態1において、冷却後の燃焼用ガスのガス圧力は、エンジン本体2の掃気圧Pに相当する。すなわち、ステップS101において、収集管12は、掃気圧Pのガス圧力を有する燃焼用ガスの一部が混ざった状態の凝縮水を、冷却器4および気液分離装置5の各々から収集して凝縮水チャンバ13へ導いている。
上述したステップS101を実行後、排ガス処理装置10は、掃気圧Pとともに凝縮水を貯留する(ステップS102)。このステップS102において、排ガス処理装置10は、収集管12によって収集した凝縮水を凝縮水チャンバ13に貯留するとともに、この凝縮水とともに収集した燃焼用ガスのガス圧力を凝縮水チャンバ13に蓄積する。具体的には、凝縮水チャンバ13は、冷却器4から収集管12を通じて、冷却後の燃焼用ガスから発生した凝縮水を当該冷却後の燃焼用ガスの一部とともに受け入れる。これに加え、凝縮水チャンバ13は、気液分離装置5から収集管12を通じて、冷却後の燃焼用ガスから分離された凝縮水を当該冷却後の燃焼用ガスの一部とともに受け入れる。凝縮水チャンバ13は、このように受け入れた凝縮水を貯留するとともに、この凝縮水と混ざっていた冷却後の燃焼用ガスのガス圧力を蓄積する。本実施形態1において、凝縮水チャンバ13は、図1に示したように、この蓄積したガス圧力が掛かった状態(図1中の太線矢印参照)で凝縮水Waを貯留する。
上述したステップS102を実行後、排ガス処理装置10は、EGR装置11が運転中であるか否かを判断する(ステップS103)。このステップS103において、制御装置19は、エンジン本体2のエンジン負荷をもとに、EGR装置11が運転中であるか否かを判断する。
例えば、本実施形態1において、EGR装置11は、エンジン負荷が上述した排ガス規制に基づく基準値以上である場合に運転し、エンジン負荷が上記基準値未満である場合に運転停止する。これに基づき、制御装置19は、エンジン負荷が上記基準値以上である場合、EGR装置11は運転中であると判断し、エンジン負荷が上記基準値未満である場合、EGR装置11は運転停止中であると判断する。なお、エンジン負荷は、例えば、エンジン本体2の単位時間当たりのエンジン回転数と1サイクルの燃料噴射量とをもとに算出することができる。制御装置19は、エンジン本体2の制御装置またはセンサ(いずれも図示せず)から上記エンジン回転数および上記燃料噴射量を取得し、これらの取得した情報をもとにエンジン負荷を導出してもよいし、エンジン本体2の制御装置からエンジン負荷を取得してもよい。
上述したステップS103においてEGR装置11が運転中であると判断された場合(ステップS103,Yes)、排ガス処理装置10は、凝縮水チャンバ13の水位が凝縮水チャンバ13の下限水位La以上であるか否か判断する(ステップS104)。
このステップS104において、排ガス処理装置10は、凝縮水チャンバ13の水位が下限水位La以上であるか否かをチャンバ水位検出部17によって検出する。チャンバ水位検出部17は、凝縮水チャンバ13の水位の検出結果を示す電気信号を制御装置19に送信する。制御装置19は、チャンバ水位検出部17からの電気信号を受信し、この受信した電気信号によって示される凝縮水チャンバ13の水位の検出結果をもとに、凝縮水チャンバ13の水位が下限水位La以上であるか否かを判断する。
具体的には、制御装置19は、凝縮水チャンバ13の水位が下限水位La以上であるという検出結果を示す電気信号をチャンバ水位検出部17から受信した場合、凝縮水チャンバ13の水位が下限水位La以上であると判断する。また、制御装置19は、凝縮水チャンバ13の水位が下限水位La未満であるという検出結果を示す電気信号をチャンバ水位検出部17から受信した場合、凝縮水チャンバ13の水位が下限水位La以上ではない(下限水位La未満である)と判断する。
上述したステップS104において凝縮水チャンバ13の水位が下限水位La以上であると判断された場合(ステップS104,Yes)、排ガス処理装置10は、水処理用タンク18aの水位が水処理用タンク18aの上限水位Hb未満であるか否か判断する(ステップS105)。
このステップS105において、排ガス処理装置10は、水処理用タンク18aの水位が上限水位Hb未満であるか否かをタンク水位検出部18bによって検出する。タンク水位検出部18bは、水処理用タンク18aの水位の検出結果を示す電気信号を制御装置19に送信する。制御装置19は、タンク水位検出部18bからの電気信号を受信し、この受信した電気信号によって示される水処理用タンク18aの水位の検出結果をもとに、水処理用タンク18aの水位が上限水位Hb未満であるか否かを判断する。
具体的には、制御装置19は、水処理用タンク18aの水位が上限水位Hb未満であるという検出結果を示す電気信号をタンク水位検出部18bから受信した場合、水処理用タンク18aの水位が上限水位Hb未満であると判断する。また、制御装置19は、水処理用タンク18aの水位が上限水位Hb以上であるという検出結果を示す電気信号をタンク水位検出部18bから受信した場合、水処理用タンク18aの水位が上限水位Hb未満ではない(上限水位Hb以上である)と判断する。
上述したステップS105において水処理用タンク18aの水位が上限水位Hb未満であると判断された場合(ステップS105,Yes)、排ガス処理装置10は、凝縮水チャンバ13に蓄積されているガス圧力とヘッド差圧P(h1)との大小関係を判断する(ステップS106)。ヘッド差圧P(h1)は、凝縮水チャンバ13の水位と第1給水管14の出口水位とのヘッド差h1(図1参照)に相当する圧力である。
このステップS106において、排ガス処理装置10は、凝縮水チャンバ13内の凝縮水Waに掛かるガス圧力を圧力検出部16によって検出する。圧力検出部16は、このガス圧力として、例えば、掃気トランク2b内の燃焼用ガスのガス圧力(すなわちエンジン本体2の掃気圧P)を検出し、この検出した掃気圧Pを示す電気信号を制御装置19に送信する。制御装置19は、圧力検出部16からの電気信号を受信し、この受信した電気信号によって示される検出圧力(本実施形態1では掃気圧P)とヘッド差圧P(h1)とを比較する。これにより、制御装置19は、これらの掃気圧Pとヘッド差圧P(h1)との大小関係を判断する。
上述したステップS106において、検出された掃気圧Pがヘッド差圧P(h1)に比べて大きいと制御装置19が判断した場合(ステップS106,Yes)、排ガス処理装置10は、第1供給弁15を開いて凝縮水Waを供給先装置へ圧送する(ステップS107)。このステップS107において、制御装置19は、第1供給弁15を開状態に制御する。第1供給弁15は、この制御装置19の制御に基づいて開駆動し、これにより、第1給水管14を開放する。この結果、排ガス処理装置10は、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力(=掃気圧P)を利用して、凝縮水チャンバ13から第1給水管14を通じてスクラバ11aへ凝縮水Waを圧送供給する。
一方、上述したステップS106において、検出された掃気圧Pがヘッド差圧P(h1)以下であると制御装置19が判断した場合(ステップS106,No)、排ガス処理装置10は、第1供給弁15を閉じる(ステップS108)。このステップS108において、制御装置19は、第1供給弁15を閉状態に制御する。第1供給弁15は、この制御装置19の制御に基づいて閉駆動し、これにより、第1給水管14を閉塞する。この結果、排ガス処理装置10は、凝縮水チャンバ13からスクラバ11aへの凝縮水Waの圧送供給を停止する。
上述したステップS107またはステップS108を実行後、排ガス処理装置10は、上述したステップS101に戻り、このステップS101以降の処理を繰り返す。また、上述したステップS103においてEGR装置11が運転中ではないと判断された場合(ステップS103,No)、排ガス処理装置10は、上述したステップS108に進み、このステップS108以降の処理を繰り返す。また、上述したステップS104において凝縮水チャンバ13の水位が下限水位La以上ではないと判断された場合(ステップS104,No)、排ガス処理装置10は、上述したステップS108に進み、このステップS108以降の処理を繰り返す。また、上述したステップS105において水処理用タンク18aの水位が上限水位Hb未満ではないと判断された場合(ステップS105,No)、排ガス処理装置10は、上述したステップS108に進み、このステップS108以降の処理を繰り返す。
以上、説明したように、本発明の実施形態1に係る排ガス処理装置10および水供給方法では、過給機3によって加圧圧縮され且つ冷却器4によって冷却された燃焼用ガス(冷却後の燃焼用ガス)から発生した凝縮水と、この冷却後の燃焼用ガスによるガス圧力とを収集管12によって収集し、収集した凝縮水を凝縮水チャンバ13に貯留するとともに、このガス圧力を凝縮水チャンバ13に蓄積し、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力を利用して、凝縮水チャンバ13から第1給水管14を通じて供給先装置の一例であるスクラバ11aへ凝縮水Waを圧送している。
上記の構成により、タンクから配管を通じて供給先装置へ給水する際に従来必要とされていたポンプおよびこれの付帯設備を設置しなくとも、舶用ディーゼルエンジン1において既存の燃焼用ガスのガス圧力を凝縮水Waの圧送に有効利用して、凝縮水チャンバ13から第1給水管14を通じてスクラバ11aへ凝縮水Waを供給することができる。このため、上記ポンプおよびこれに付帯設備の設置に要したスペースを省くことができるとともに、凝縮水Waの貯留容器として従来のタンクを、これよりも小型の凝縮水チャンバ13に置き換えることができる。以上の結果、スクラバ11aへの水供給機能を低下させることなく、この水供給機能に必要なチャンバや配管等の設備の設置スペースを省スペース化することができる。
これに加え、凝縮水Waの圧送供給先となる供給先装置をスクラバ11aとしているため、スクラバ水よりも清浄な凝縮水Waをスクラバ11aに圧送供給して、スクラバ11a自体(例えば噴射ノズルやフィルタ等)を洗浄することができる。
また、本発明の実施形態1に係る排ガス処理装置10および水供給方法では、凝縮水Waの圧送に利用されるガス圧力を圧力検出部16によって検出し、凝縮水チャンバ13とスクラバ11aとの間のヘッド差圧P(h1)と圧力検出部16によって検出されたガス圧力との大小関係を判断し、検出されたガス圧力(例えば掃気圧P)がヘッド差圧P(h1)に比べて大きい場合、第1給水管14の第1供給弁15を開状態に制御し、検出されたガス圧力がヘッド差圧P(h1)以下である場合、第1給水管14の第1供給弁15を閉状態に制御している。
上記の構成により、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力を利用して凝縮水Waをスクラバ11aへ圧送供給できる場合のみ、第1給水管14を介して凝縮水チャンバ13とスクラバ11aとを連通させることができる。この結果、凝縮水チャンバ13から第1給水管14を通じてスクラバ11aへ凝縮水Waを安定して圧送供給することができるとともに、スクラバ11aから凝縮水チャンバ13へのスクラバ水や排ガスの逆流を防止することができる。
また、本発明の実施形態1に係る排ガス処理装置10および水供給方法では、凝縮水チャンバ13の水位をチャンバ水位検出部17によって検出し、検出された凝縮水チャンバ13の水位が凝縮水チャンバ13の下限水位La以上である場合、第1供給弁15について、上述したヘッド差圧P(h1)とガス圧力(掃気圧P)との大小関係に基づく開閉状態の制御を行い、検出された凝縮水チャンバ13の水位が下限水位La未満である場合、第1供給弁15を閉状態に制御している。
上記の構成により、スクラバ11aへ凝縮水Waを安定して圧送供給するために十分な貯留量の凝縮水Waが凝縮水チャンバ13に貯留されている場合のみ、第1給水管14を介して凝縮水チャンバ13とスクラバ11aとを連通させることができる。このため、冷却後の燃焼用ガスが凝縮水チャンバ13および第1給水管14等を介してスクラバ11aへ漏れ出る事態を防止することができ、この結果、掃気トランク2bに給気される燃焼用ガスのガス圧力の低下、すなわち、エンジン本体2の掃気圧Pの低下を抑制することができる。
また、本発明の実施形態1に係る排ガス処理装置10および水供給方法では、水処理用タンク18aの水位をタンク水位検出部18bによって検出し、検出された水処理用タンク18aの水位が水処理用タンク18aの上限水位Hb未満である場合、第1供給弁15について、上述したヘッド差圧P(h1)とガス圧力との大小関係に基づく開閉状態の制御を行い、検出された水処理用タンク18aの水位が上限水位Hb以上である場合、第1供給弁15を閉状態に制御している。
上記の構成により、EGR装置11と水処理装置18との間で循環させているスクラバ水の貯留量が水処理装置18による浄化処理の能力に対して過多となる前に、第1給水管14を介しての凝縮水チャンバ13とスクラバ11aとの連通状態を遮断することができる。この結果、スクラバ11aに対して凝縮水Waを無駄に圧送供給する事態を防止できることから、凝縮水チャンバ13から第1給水管14を通じてスクラバ11aへ凝縮水Waを効率よく圧送供給することができる。
(実施形態2)
つぎに、本発明の実施形態2について説明する。上述した実施形態1では、凝縮水Waの供給先装置をEGR装置11のスクラバ11aとしていたが、本実施形態2では、凝縮水Waの供給先装置をEGR装置11の回収タンク11dとしている。
図3は、本発明の実施形態2に係る排ガス処理装置が適用された舶用ディーゼルエンジンの一構成例を示す模式図である。図3に示すように、本実施形態2に係る舶用ディーゼルエンジン1Aは、上述した実施形態1に係る舶用ディーゼルエンジン1の排ガス処理装置10に代えて排ガス処理装置20を備える。本実施形態2に係る排ガス処理装置20は、上述した実施形態1に係る排ガス処理装置10の第1給水管14に代えて第2給水管24を備え、第1供給弁15に代えて第2供給弁25を備え、制御装置19に代えて制御装置29を備える。本実施形態2において、凝縮水Waの供給先装置は、スクラバ11aではなく、回収タンク11dとなっている。すなわち、スクラバ11aには、凝縮水チャンバ13に通じる配管(第1給水管14)が設けられていない。その他の構成は実施形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
第2給水管24は、凝縮水チャンバ13に貯留された凝縮水Waを供給先装置へ供給するための給水管の一例である。図3に示すように、第2給水管24は、凝縮水チャンバ13と供給先装置の一例である回収タンク11dとを連通するように配置されている。詳細には、第2給水管24は、入口端が凝縮水チャンバ13の所定部分に接続され且つ出口端が回収タンク11dの給水口に接続され、凝縮水チャンバ13と回収タンク11dとの間のヘッド差が図3に示すヘッド差h2となるように配置されている。本実施形態2では、図3に示すように、回収タンク11dの、第2給水管24の出口端が接続される給水口は、回収タンク11dの上端近傍の側壁部に形成されている。なお、第2給水管24の入口端は、上述した実施形態1における第1給水管14と同様に、凝縮水チャンバ13の所定部分(例えば底部近傍の側壁部)に接続されている。凝縮水Waは、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力を利用して、凝縮水チャンバ13から第2給水管24を通じて回収タンク11dへ圧送される。これにより、凝縮水Waは、回収タンク11dへ供給される。
本実施形態2において、凝縮水チャンバ13と回収タンク11dとのヘッド差h2は、図3に示すように、凝縮水チャンバ13の水位と第2給水管24の出口水位との高低差になる。例えば、凝縮水チャンバ13の水位は、凝縮水チャンバ13に貯留されている凝縮水Waの液面Saの高さ方向位置である。第2給水管24の出口水位は、第2給水管24の出口部分(回収タンク11dの給水口)における内壁上端の高さ方向位置である。これら凝縮水チャンバ13の水位および第2給水管24の出口水位の基準位置は、互いに同じであり、例えば、凝縮水チャンバ13の底面である。
また、ヘッド差h2は、所望の期間中に凝縮水チャンバ13内のガス圧力を利用して凝縮水チャンバ13から回収タンク11dへ凝縮水Waを圧送し得るように設定される。例えば、供給先装置がEGR装置11の回収タンク11dである場合、ヘッド差h2は、EGR装置11の運転中に回収タンク11dへの上記凝縮水Waの圧送が可能となるように設定される。本実施形態2において、EGR装置11の運転条件、エンジン負荷の基準値および凝縮水チャンバ13内のガス圧力は、上述した実施形態1と同様である。したがって、ヘッド差h2は、エンジン負荷が上記基準値である場合の掃気圧Pを利用して水を圧送することができる低位の供給元装置の水頭と高位の供給先装置の水頭との高低差以下(例えば3m以下)に設定される。
第2供給弁25は、供給先装置へ凝縮水Waを圧送するための給水管を開状態または閉状態にする供給弁の一例である。本実施形態2では、図3に示すように、第2供給弁25は、第2給水管24の中途部に設けられている。第2供給弁25は、制御装置29の制御に基づいて開閉駆動し、これにより、第2給水管24を開状態または閉状態にする。
制御装置29は、排ガス処理装置20の水供給の実行および停止を制御する装置の一例である。本実施形態2において、制御装置29は、凝縮水チャンバ13と回収タンク11dとを連通する第2給水管24に設けられた第2供給弁25の開閉駆動を制御する。制御装置29は、第1供給弁15の代わりに第2供給弁25の開閉駆動を制御すること以外、上述した実施形態1における制御装置19と同様である。
例えば、制御装置29は、凝縮水チャンバ13と回収タンク11dとのヘッド差圧P(h2)と、圧力検出部16によって検出されたガス圧力(例えば掃気圧P)との大小関係を判断する。制御装置29は、検出されたガス圧力がヘッド差圧P(h2)に比べて大きい場合、第2供給弁25を開状態に制御し、検出されたガス圧力がヘッド差圧P(h2)以下である場合、第2供給弁25を閉状態に制御する。
ここで、ヘッド差h2は、上述した実施形態1におけるヘッド差h1と同様に増減する。本実施形態2では、ヘッド差h2の一例として、実施形態1と同様に、凝縮水Waの液面Saが凝縮水チャンバ13の下限水位Laに位置する場合のヘッド差(すなわちヘッド差の最大値)が用いられる。ヘッド差圧P(h2)は、凝縮水チャンバ13と回収タンク11dとの間で取り得るヘッド差h2の所定範囲のうち最大値に相当する圧力とする。あるいは、チャンバ水位検出部17が凝縮水チャンバ13の水位を連続的または所定時間毎に断続的に検出するように構成され、ヘッド差圧P(h2)は、チャンバ水位検出部17によって検出された凝縮水チャンバ13の水位と第2給水管24の出口水位とのヘッド差h2に相当する圧力としてもよい。
また、制御装置29は、チャンバ水位検出部17によって検出された凝縮水チャンバ13の水位が凝縮水チャンバ13の下限水位La以上である場合、全ての供給弁(本実施形態2では第2供給弁25)について、上述したヘッド差圧P(h2)と検出されたガス圧力との大小関係に基づく開閉状態の制御を行う。一方、制御装置29は、チャンバ水位検出部17によって検出された凝縮水チャンバ13の水位が凝縮水チャンバ13の下限水位La未満である場合、全ての供給弁(第2供給弁25)を閉状態に制御する。
また、制御装置29は、タンク水位検出部18bによって検出された水処理用タンク18aの水位が水処理用タンク18aの上限水位Hb未満である場合、全ての供給弁(第2供給弁25)について、上述したヘッド差圧P(h2)と検出されたガス圧力との大小関係に基づく開閉状態の制御を行う。一方、制御装置29は、タンク水位検出部18bによって検出された水処理用タンク18aの水位が水処理用タンク18aの上限水位Hb以上である場合、全ての供給弁(第2供給弁25)を閉状態に制御する。
また、制御装置29は、エンジン本体2のエンジン負荷が上述の基準値以上である場合、すなわち、EGR装置11が運転中である場合、全ての供給弁(第2供給弁25)について、上述したヘッド差圧P(h2)と検出されたガス圧力との大小関係に基づく開閉状態の制御を行う。一方、制御装置29は、エンジン本体2のエンジン負荷が上述の基準値未満である場合、すなわち、EGR装置11が運転停止中である場合、全ての供給弁(第2供給弁25)を閉状態に制御する。
つぎに、本発明の実施形態2に係る水供給方法について説明する。本実施形態2に係る水供給方法は、図3に示した舶用ディーゼルエンジン1Aに適用される水供給方法である。この水供給方法では、本実施形態2に係る排ガス処理装置20が、図2に例示されたステップS101〜S108と略同様の各処理を適宜行うことにより、凝縮水チャンバ13内の蓄圧を利用して供給先装置の一例である回収タンク11dへの凝縮水Waの供給または供給停止を行う。詳細には、本実施形態2に係る水供給方法において、ステップS101〜S105は実施形態1と同様であり、ステップS106〜S108は実施形態1と異なる。以下、本実施形態2におけるステップS106〜S108の各処理についてのみ説明する。
本実施形態2におけるステップS106において、排ガス処理装置20は、凝縮水チャンバ13に蓄積されているガス圧力とヘッド差圧P(h2)との大小関係を判断する。ヘッド差圧P(h2)は、凝縮水チャンバ13の水位と第2給水管24の出口水位とのヘッド差h2(図3参照)に相当する圧力である。詳細には、このステップS106において、制御装置29は、圧力検出部16からの電気信号を受信し、この受信した電気信号によって示される検出圧力(本実施形態2では掃気圧P)とヘッド差圧P(h2)とを比較する。これにより、制御装置29は、これらの掃気圧Pとヘッド差圧P(h2)との大小関係を判断する。本実施形態2におけるステップS106の処理は、上記のように掃気圧Pとの比較対象がヘッド差圧P(h2)になっていること以外、実施形態1と同様である。
また、本実施形態2におけるステップS107において、排ガス処理装置20は、第2供給弁25を開いて凝縮水Waを供給先装置へ圧送する。詳細には、このステップS107において、制御装置29は、第2供給弁25を開状態に制御する。第2供給弁25は、この制御装置29の制御に基づいて開駆動し、これにより、第2給水管24を開放する。この結果、排ガス処理装置20は、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力(=掃気圧P)を利用して、凝縮水チャンバ13から第2給水管24を通じて回収タンク11dへ凝縮水Waを圧送供給する。本実施形態2におけるステップS106の処理は、上記のように制御対象が第2供給弁25になっており且つ供給先装置が回収タンク11dになっていること以外、実施形態1と同様である。
また、本実施形態2におけるステップS108において、排ガス処理装置20は、第2供給弁25を閉じる。詳細には、このステップS108において、制御装置29は、第2供給弁25を閉状態に制御する。第2供給弁25は、この制御装置29の制御に基づいて閉駆動し、これにより、第2給水管24を閉塞する。この結果、排ガス処理装置20は、凝縮水チャンバ13から回収タンク11dへの凝縮水Waの圧送供給を停止する。本実施形態2におけるステップS108の処理は、上記のように制御対象が第2供給弁25になっており且つ供給先装置が回収タンク11dになっていること以外、実施形態1と同様である。
なお、本実施形態2において、排ガス処理装置20は、上述したステップS107またはステップS108を実行後、実施形態1と同様にステップS101に戻り、このステップS101以降の処理を繰り返す。
以上、説明したように、本発明の実施形態2に係る排ガス処理装置20および水供給方法では、EGR装置11の回収タンク11dを供給先装置とし、凝縮水チャンバ13と回収タンク11dとを連通する第2給水管24を、凝縮水チャンバ13と回収タンク11dとの間のヘッド差が図3に示したヘッド差h2となるように配置し、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力を利用して、凝縮水チャンバ13から第2給水管24を通じて回収タンク11dへ凝縮水Waを圧送している。また、第2給水管24に第2供給弁25を設け、この第2供給弁25の開閉状態を、実施形態1における第1供給弁15の場合と同様に、制御装置29によって制御している。その他は、実施形態1と同様に構成している。
このため、凝縮水Waの供給先装置をスクラバ11aから回収タンク11dに置き換え、凝縮水チャンバ13とスクラバ11aとのヘッド差h1およびヘッド差圧P(h1)を凝縮水チャンバ13と回収タンク11dとのヘッド差h2およびヘッド差圧P(h2)に各々置き換えた態様で、上述した実施形態1と同様の作用効果を享受するとともに、実施形態1におけるスクラバ11a自体の洗浄効果の代わりに、回収タンク11dに対し、スクラバ水の不足分を補うように凝縮水Waを効率よく圧送供給することができる。
(実施形態3)
つぎに、本発明の実施形態3について説明する。上述した実施形態1、2では、凝縮水Waの供給先装置をEGR装置11のスクラバ11aまたは回収タンク11dのいずれか一方としていたが、本実施形態3では、凝縮水Waの供給先装置をスクラバ11aおよび回収タンク11dとしている。
図4は、本発明の実施形態3に係る排ガス処理装置が適用された舶用ディーゼルエンジンの一構成例を示す模式図である。図4に示すように、本実施形態3に係る舶用ディーゼルエンジン1Bは、上述した実施形態1に係る舶用ディーゼルエンジン1の排ガス処理装置10に代えて排ガス処理装置30を備える。本実施形態3に係る排ガス処理装置30は、上述した実施形態1に係る排ガス処理装置10の第1給水管14に加えて、さらに第2給水管24を備え、この第2給水管24の中途部に第2供給弁25を備え、制御装置19に代えて制御装置39を備える。本実施形態3において、凝縮水Waの供給先装置は、スクラバ11aおよび回収タンク11dとしている。その他の構成は実施形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
本実施形態3では、図4に示すように、凝縮水チャンバ13と凝縮水Waの供給先装置とを連通する給水管は、複数の供給先装置に対応して、凝縮水チャンバ13に対するヘッド差が互いに異なるように複数設けられている。具体的には、これら複数の給水管の一例として、第1給水管14および第2給水管24が、スクラバ11aおよび回収タンク11dに対応して、凝縮水チャンバ13に対するヘッド差h1、h2が互いに異なるように設けられている。
第1給水管14は、中途部に第2給水管24が接続されていること以外、上述した実施形態1と同様である。第2給水管24は、図4に示すように、第1給水管14を介して凝縮水チャンバ13と回収タンク11dとを連通するように配置されている。詳細には、第2給水管24は、入口端が第1給水管14の中途部に接続され且つ出口端が回収タンク11dの給水口に接続され、凝縮水チャンバ13と回収タンク11dとの間のヘッド差が実施形態2と同様にヘッド差h2となるように配置されている。第2給水管24は、図4に示すように第1給水管14の中途部から分岐していること以外、上述した実施形態2と同じである。本実施形態3において、凝縮水Waは、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力を利用して、凝縮水チャンバ13から第1給水管14を通じてスクラバ11aへ圧送供給される。また、凝縮水Waは、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力を利用して、凝縮水チャンバ13から第2給水管24を通じて回収タンク11dへ圧送供給される。
また、図4に示すように、本実施形態3における凝縮水チャンバ13とスクラバ11aとのヘッド差h1は、上述した実施形態1と同様である。本実施形態3における凝縮水チャンバ13と回収タンク11dとのヘッド差h2は、上述した実施形態2と同様である。特に、供給先装置がEGR装置11のスクラバ11aおよび回収タンク11dである場合、ヘッド差h1、h2は、EGR装置11の運転中にスクラバ11aおよび回収タンク11dへ凝縮水Waを適宜圧送し得るように設定される。すなわち、これらのヘッド差h1、h2は、実施形態1、2と同様に、エンジン負荷が上記基準値である場合の掃気圧Pを利用して水を圧送することができる低位の供給元装置の水頭と高位の供給先装置の水頭との高低差以下(例えば3m以下)に設定される。本実施形態3では、スクラバ11aが回収タンク11dに比べて高位に配置されていることから、スクラバ11aに対応するヘッド差h1は、回収タンク11dに対応するヘッド差h2に比べて大きい。したがって、これらのヘッド差h1、h2および上記高低差の大小関係は、上記高低差≧ヘッド差h1>ヘッド差h2となる。
一方、本実施形態3では、図4に示すように、複数の給水管の各々に供給弁が設けられている。具体的には、これら複数の供給弁の一例として、第1給水管14には第1供給弁15が設けられ、第2給水管24には第2供給弁25が設けられている。第1供給弁15は上述した実施形態1と同じであり、第2供給弁25は上述した実施形態2と同じである。本実施形態3において、これら第1供給弁15および第2供給弁25の各開閉駆動は、制御装置39によって制御される。
制御装置39は、排ガス処理装置30の水供給の実行および停止を制御する装置の一例である。本実施形態3において、制御装置39は、上述した第1供給弁15および第2供給弁25の各開閉駆動を制御する。制御装置39は、駆動制御の対象が第1供給弁15および第2供給弁25であること以外、上述した実施形態1における制御装置19と同様である。
例えば、制御装置39は、凝縮水チャンバ13の水位と複数の給水管(本実施形態3では第1給水管14および第2給水管24)との各ヘッド差圧(本実施形態3ではヘッド差圧P(h1)、P(h2))と、圧力検出部16によって検出されたガス圧力(例えば掃気圧P)との大小関係を判断する。制御装置39は、これらのヘッド差圧P(h1)、P(h2)と検出されたガス圧力との大小関係をもとに、第1供給弁15および第2供給弁25の開閉状態を選択的に制御する。
なお、本実施形態3において、凝縮水チャンバ13の水位と第1給水管14の出口水位とのヘッド差h1に相当するヘッド差圧P(h1)は、上述した実施形態1と同様である。また、凝縮水チャンバ13の水位と第2給水管24の出口水位とのヘッド差h2に相当するヘッド差圧P(h2)は、上述した実施形態2と同様である。
また、制御装置39は、チャンバ水位検出部17によって検出された凝縮水チャンバ13の水位が凝縮水チャンバ13の下限水位La以上である場合、全ての供給弁(本実施形態3では第1供給弁15および第2供給弁25)について、上述したヘッド差圧P(h1)、P(h2)と検出されたガス圧力との大小関係に基づく開閉状態の制御を行う。一方、制御装置39は、チャンバ水位検出部17によって検出された凝縮水チャンバ13の水位が凝縮水チャンバ13の下限水位La未満である場合、全ての供給弁(第1供給弁15および第2供給弁25)を閉状態に制御する。
また、制御装置39は、タンク水位検出部18bによって検出された水処理用タンク18aの水位が水処理用タンク18aの下限水位Lb以上かつ上限水位Hb未満である場合、全ての供給弁(第1供給弁15および第2供給弁25)について、上述したヘッド差圧P(h1)、P(h2)と検出されたガス圧力との大小関係に基づく開閉状態の制御を行う。一方、制御装置39は、タンク水位検出部18bによって検出された水処理用タンク18aの水位が水処理用タンク18aの上限水位Hb以上である場合、全ての供給弁(第1供給弁15および第2供給弁25)を閉状態に制御する。
また、制御装置39は、タンク水位検出部18bによって検出された水処理用タンク18aの水位が水処理用タンク18aの下限水位Lb未満である場合、複数の供給弁のうち、上記検出されたガス圧力がヘッド差圧に比べて大きいという条件を満たす少なくとも一つの供給弁(本実施形態3では第1供給弁15および第2供給弁25の少なくとも一つ)を開状態に制御する。
また、制御装置39は、エンジン本体2のエンジン負荷が上述の基準値以上である場合、すなわち、EGR装置11が運転中である場合、全ての供給弁(第1供給弁15および第2供給弁25)について、上述したヘッド差圧P(h1)、P(h2)と検出されたガス圧力との大小関係に基づく開閉状態の制御を行う。一方、制御装置39は、エンジン本体2のエンジン負荷が上述の基準値未満である場合、すなわち、EGR装置11が運転停止中である場合、全ての供給弁(第1供給弁15および第2供給弁25)を閉状態に制御する。
つぎに、本発明の実施形態3に係る水供給方法について説明する。図5は、本発明の実施形態3に係る水供給方法の一例を示すフロー図である。本実施形態3に係る水供給方法は、図4に例示した舶用ディーゼルエンジン1Bに適用される水供給方法である。この水供給方法では、本実施形態3に係る排ガス処理装置30が、図5に例示されるステップS301〜S314の各処理を適宜行うことにより、凝縮水チャンバ13内の蓄圧を利用して複数の供給先装置の一例であるスクラバ11aおよび回収タンク11dへの凝縮水Waの供給または供給停止を行う。
詳細には、本実施形態3に係る水供給方法において、排ガス処理装置30は、図5に示すように、エンジン本体2の掃気圧下で凝縮水を収集し(ステップS301)、ついで、掃気圧Pとともに凝縮水を貯留し(ステップS302)、その後、EGR装置11が運転中であるか否かを判断する(ステップS303)。これらのステップS301〜S303は、上述した実施形態1におけるステップS101〜S103と同様に行われる。
上述したステップS303においてEGR装置11が運転中であると判断された場合(ステップS303,Yes)、排ガス処理装置30は、凝縮水チャンバ13の水位が凝縮水チャンバ13の下限水位La以上であるか否か判断する(ステップS304)。このステップS304は、上述した実施形態1におけるステップS104と同様に行われる。
上記ステップS304において凝縮水チャンバ13の水位が下限水位La以上であると判断された場合(ステップS304,Yes)、排ガス処理装置30は、水処理用タンク18aの水位を判断する(ステップS305)。
このステップS305において、排ガス処理装置30は、水処理用タンク18aの水位をタンク水位検出部18bによって検出する。ここで、水処理用タンク18aの水位は、水処理用タンク18a内におけるスクラバ水Wcの液面Sbの高さ方向位置であり、例えば、上限水位Hb以上、下限水位Lb以上かつ上限水位Hb未満、下限水位Lb未満のうち何れかである。タンク水位検出部18bは、水処理用タンク18aの水位の検出結果を示す電気信号を制御装置39に送信する。制御装置39は、タンク水位検出部18bからの電気信号を受信し、この受信した電気信号によって示される水処理用タンク18aの水位の検出結果をもとに、水処理用タンク18aの水位を判断する。
具体的には、制御装置39は、水処理用タンク18aの水位が上限水位Hb以上であるという検出結果を示す電気信号をタンク水位検出部18bから受信した場合、水処理用タンク18aの水位が上限水位Hb以上であると判断する。また、制御装置39は、水処理用タンク18aの水位が下限水位Lb以上かつ上限水位Hb未満であるという検出結果を示す電気信号をタンク水位検出部18bから受信した場合、水処理用タンク18aの水位が下限水位Lb以上かつ上限水位Hb未満であると判断する。また、制御装置39は、水処理用タンク18aの水位が下限水位Lb未満であるという検出結果を示す電気信号をタンク水位検出部18bから受信した場合、水処理用タンク18aの水位が下限水位Lb未満であると判断する。
本実施形態3では、水処理用タンク18aの水位が上限水位Hb未満である場合、排ガス処理装置30は、上述したヘッド差圧P(h1)、P(h2)と圧力検出部16によって検出されたガス圧力との大小関係をもとに、第1供給弁15および第2供給弁25の開閉状態を選択的に制御する。
詳細には、上述したステップS305において水処理用タンク18aの水位が下限水位Lb未満であると判断された場合(ステップS305,Sb<Lb)、排ガス処理装置30は、複数の供給弁のうち、圧力検出部16によって検出されたガス圧力がヘッド差圧に比べて大きいという条件(以下、圧力条件と言う)を満たす少なくとも一つの供給弁を開状態に制御する。より詳細には、制御装置39は、上述した実施形態1におけるステップS106と同様に、凝縮水チャンバ13に蓄積されているガス圧力(=掃気圧P)とヘッド差圧P(h1)との大小関係を判断する(ステップS306)。このステップS306において、検出された掃気圧Pがヘッド差圧P(h1)に比べて大きい場合(ステップS306,Yes)、第1供給弁15および第2供給弁25は、双方とも、上述した圧力条件を満足する。この場合、排ガス処理装置30は、第1供給弁15および第2供給弁25を開いて凝縮水Waを供給先装置へ圧送する(ステップS307)。
このステップS307において、制御装置39は、第1供給弁15および第2供給弁25を開状態に制御する。第1供給弁15は、制御装置39の制御に基づいて開駆動し、これにより、第1給水管14を開放する。この結果、排ガス処理装置30は、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力(=掃気圧P)を利用して、凝縮水チャンバ13から第1給水管14を通じてスクラバ11aへ凝縮水Waを圧送供給する。これに並行して、第2供給弁25は、制御装置39の制御に基づいて開駆動し、これにより、第2給水管24を開放する。この結果、排ガス処理装置30は、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力(=掃気圧P)を利用して、凝縮水チャンバ13から第2給水管24を通じて回収タンク11dへ凝縮水Waを圧送供給する。
一方、上述したステップS305において水処理用タンク18aの水位が下限水位Lb以上かつ上限水位Hb未満であると判断された場合(ステップS305,Lb≦Sb<Hb)、排ガス処理装置30は、全ての供給弁について、上記ヘッド差圧と検出されたガス圧力との大小関係に基づく開閉状態の制御を行う。
詳細には、制御装置39は、上述した実施形態1におけるステップS106と同様に、凝縮水チャンバ13に蓄積されているガス圧力(=掃気圧P)とヘッド差圧P(h1)との大小関係を判断する(ステップS308)。このステップS308において、検出された掃気圧Pがヘッド差圧P(h1)に比べて大きい場合(ステップS308,Yes)、排ガス処理装置30は、第1供給弁15を開いて凝縮水Waを供給先装置へ圧送する(ステップS309)。このステップS309は、上述した実施形態1におけるステップS107と同様に行われる。この結果、凝縮水Waは、凝縮水チャンバ13から第1給水管14を通じてスクラバ11aへ圧送供給される。
一方、上述したステップS308において、検出された掃気圧Pがヘッド差圧P(h1)以下である場合(ステップS308,No)、排ガス処理装置30は、第1供給弁15を閉じる(ステップS310)。このステップS310は、上述した実施形態1におけるステップS108と同様に行われる。
ステップS310を実行後、排ガス処理装置30は、凝縮水チャンバ13に蓄積されているガス圧力とヘッド差圧P(h2)との大小関係を判断する(ステップS311)。ヘッド差圧P(h2)は、凝縮水チャンバ13の水位と第2給水管24の出口水位とのヘッド差h2(図4参照)に相当する圧力である。このステップS311において、制御装置39は、上述したステップS306またはステップS308で圧力検出部16によって検出されたガス圧力とヘッド差圧P(h2)とを比較する。これにより、制御装置39は、これらのガス圧力(本実施形態3では掃気圧P)とヘッド差圧P(h2)との大小関係を判断する。
上述したステップS311において、検出された掃気圧Pがヘッド差圧P(h2)に比べて大きい場合(ステップS311,Yes)、排ガス処理装置30は、第2供給弁25を開いて凝縮水Waを供給先装置へ圧送する(ステップS312)。このステップS312において、制御装置39は、第2供給弁25を開状態に制御する。第2供給弁25は、この制御装置39の制御に基づいて開駆動し、これにより、第2給水管24を開放する。この結果、排ガス処理装置30は、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力(=掃気圧P)を利用して、凝縮水チャンバ13から第2給水管24を通じて回収タンク11dへ凝縮水Waを圧送供給する。
一方、上述したステップS311において、検出された掃気圧Pがヘッド差圧P(h2)以下である場合(ステップS311,No)、排ガス処理装置30は、第2供給弁25を閉じる(ステップS313)。このステップS313において、制御装置39は、第2供給弁25を閉状態に制御する。第2供給弁25は、この制御装置39の制御に基づいて閉駆動し、これにより、第2給水管24を閉塞する。この結果、排ガス処理装置30は、凝縮水チャンバ13から回収タンク11dへの凝縮水Waの圧送供給を停止する。
他方、上述したステップS305において水処理用タンク18aの水位が上限水位Hb以上であると判断された場合(ステップS305,Sb≧Hb)、排ガス処理装置30は、全ての供給弁を閉じる(ステップS314)。このステップS314において、制御装置39は、第1供給弁15および第2供給弁25を閉状態に制御する。第1供給弁15は、制御装置39の制御に基づいて閉駆動し、これにより、第1給水管14を閉塞する。これに並行して、第2供給弁25は、制御装置39の制御に基づいて閉駆動し、これにより、第2給水管24を閉塞する。この結果、排ガス処理装置30は、凝縮水チャンバ13からスクラバ11aおよび回収タンク11dへの凝縮水Waの圧送供給を停止する。
上述したステップS307、ステップS309、ステップS312、ステップS313またはステップS314を実行後、排ガス処理装置30は、上述したステップS301に戻り、このステップS301以降の処理を繰り返す。また、上述したステップS303においてEGR装置11が運転中ではないと判断された場合(ステップS303,No)、排ガス処理装置30は、上述したステップS314に進み、このステップS314以降の処理を繰り返す。また、上述したステップS304において凝縮水チャンバ13の水位が下限水位La以上ではないと判断された場合(ステップS304,No)、排ガス処理装置30は、上述したステップS314に進み、このステップS314以降の処理を繰り返す。また、上述したステップS306において検出されたガス圧力(=掃気圧P)がヘッド差圧P(h1)以下である場合(ステップS306,No)、排ガス処理装置30は、上述したステップS310に進み、このステップS310以降の処理を繰り返す。
以上、説明したように、本発明の実施形態3に係る排ガス処理装置30および水供給方法では、EGR装置11のスクラバ11aおよび回収タンク11dを複数の供給先装置とし、第1給水管14を介して凝縮水チャンバ13とスクラバ11aとを連通し且つ第2給水管24を介して凝縮水チャンバ13と回収タンク11dとを連通し、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力を利用して、凝縮水チャンバ13からスクラバ11aおよび回収タンク11dへ凝縮水Waを適宜圧送するようにし、その他を実施形態1、2と同様に構成している。このため、上述した実施形態1と同様の作用効果および実施形態2と同様の作用効果を享受するとともに、凝縮水Waの供給先装置を複数にしながらも、これら複数の供給先装置への水供給機能を低下させることなく、この水供給機能に必要なチャンバや配管等の設備の設置スペースを省スペース化することができる。
(実施形態4)
つぎに、本発明の実施形態4について説明する。上述した実施形態3では、凝縮水Waの供給先装置をEGR装置11のスクラバ11aおよび回収タンク11dとしていたが、本実施形態4では、凝縮水Waの供給先装置として、さらに、EGR装置11以外の装置(具体的には水処理装置の水処理用タンク)を追加している。
図6は、本発明の実施形態4に係る排ガス処理装置が適用された舶用ディーゼルエンジンの一構成例を示す模式図である。図6に示すように、本実施形態4に係る舶用ディーゼルエンジン1Cは、上述した実施形態3に係る舶用ディーゼルエンジン1Bの排ガス処理装置30に代えて排ガス処理装置40を備える。本実施形態4に係る排ガス処理装置40は、上述した実施形態3に係る排ガス処理装置30の第1給水管14および第2給水管24に加えて、さらに第3給水管44を備え、この第3給水管44の中途部に第3供給弁45を備え、制御装置39に代えて制御装置49を備える。本実施形態4において、凝縮水Waの供給先装置は、EGR装置11のスクラバ11aおよび回収タンク11dと、水処理装置18の水処理用タンク18aと、にしている。その他の構成は実施形態3と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
本実施形態4では、図6に示すように、凝縮水チャンバ13と凝縮水Waの供給先装置とを連通する給水管は、複数の供給先装置に対応して、凝縮水チャンバ13に対するヘッド差が互いに異なるように複数設けられている。具体的には、これら複数の給水管の一例として、第1給水管14、第2給水管24および第3給水管44が、スクラバ11a、回収タンク11dおよび水処理用タンク18aに対応して、凝縮水チャンバ13に対するヘッド差h1、h2、h3が互いに異なるように設けられている。
第1給水管14は、中途部に第2給水管24および第3給水管44が接続されていること以外、上述した実施形態3と同様である。第2給水管24は、上述した実施形態3と同様である。また、第1給水管14に対応するヘッド差h1および第2給水管24に対応するヘッド差h2は、上述した実施形態3と同様である。
第3給水管44は、凝縮水チャンバ13に貯留された凝縮水Waを供給先装置へ供給するための給水管の一例である。図6に示すように、第3給水管44は、凝縮水チャンバ13と供給先装置の一例である水処理用タンク18aとを連通するように配置されている。詳細には、第3給水管44は、入口端が第1給水管14の中途部に接続され且つ出口端が水処理用タンク18aの給水口に接続され、凝縮水チャンバ13と水処理用タンク18aとの間のヘッド差が図6に示すヘッド差h3となるように配置されている。本実施形態4では、図6に示すように、水処理用タンク18aの、第3給水管44の出口端が接続される給水口は、水処理用タンク18aの上端近傍の側壁部に形成されている。凝縮水Waは、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力を利用して、凝縮水チャンバ13から第3給水管44を通じて水処理用タンク18aへ圧送される。これにより、凝縮水Waは、水処理用タンク18aへ供給される。
本実施形態4において、凝縮水チャンバ13と水処理用タンク18aとのヘッド差h3は、図6に示すように、凝縮水チャンバ13の水位と第3給水管44の出口水位との高低差になる。例えば、凝縮水チャンバ13の水位は、凝縮水チャンバ13に貯留されている凝縮水Waの液面Saの高さ方向位置である。第3給水管44の出口水位は、第3給水管44の出口部分(水処理用タンク18aの給水口)における内壁上端の高さ方向位置である。これら凝縮水チャンバ13の水位および第3給水管44の出口水位の基準位置は、互いに同じであり、例えば、凝縮水チャンバ13の底面である。
また、ヘッド差h3は、所望の期間中に凝縮水チャンバ13内のガス圧力を利用して凝縮水チャンバ13から水処理用タンク18aへ凝縮水Waを圧送し得るように設定される。例えば、凝縮水Waの供給先装置として、EGR装置11のスクラバ水を浄化処理する水処理装置18の水処理用タンク18aが含まれる場合、ヘッド差h3は、EGR装置11の運転中に水処理用タンク18aへの上記凝縮水Waの圧送が可能となるように設定される。本実施形態4において、EGR装置11の運転条件、エンジン負荷の基準値および凝縮水チャンバ13内のガス圧力は、上述した実施形態3と同様である。したがって、このヘッド差h3および上述のヘッド差h1、h2は、エンジン負荷が上記基準値である場合の掃気圧Pを利用して水を圧送することができる低位の供給元装置の水頭と高位の供給先装置の水頭との高低差以下(例えば3m以下)に設定される。本実施形態4では、例えば、3つのヘッド差h1、h2、h3のうち、スクラバ11aに対応するヘッド差h1が、他のヘッド差h2、h3に比べて大きい。また、回収タンク11dに対応するヘッド差h2は、水処理用タンク18aに対応するヘッド差h3に比べて大きい。この場合、これらのヘッド差h1、h2、h3および上記高低差の大小関係は、上記高低差≧ヘッド差h1>ヘッド差h2>ヘッド差h3となる。なお、本発明において、ヘッド差h1、h2、h3の大小関係は、上記の大小関係に限定されるものではない。
一方、本実施形態4では、図6に示すように、複数の給水管の各々に供給弁が設けられている。具体的には、これら複数の供給弁の一例として、第1給水管14には第1供給弁15が設けられ、第2給水管24には第2供給弁25が設けられ、第3給水管44には第3供給弁45が設けられている。第1供給弁15および第2供給弁25は、上述した実施形態3と同じである。第3供給弁45は、供給先装置へ凝縮水Waを圧送するための給水管を開状態または閉状態にする供給弁の一例である。本実施形態4では、図6に示すように、第3供給弁45は、第3給水管44の中途部に設けられている。第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45は、各々、制御装置49の制御に基づいて開閉駆動する。これにより、第1供給弁15は第1給水管14を開状態または閉状態にし、第2供給弁25は第2給水管24を開状態または閉状態にし、第3供給弁45は第3給水管44を開状態または閉状態にする。
制御装置49は、排ガス処理装置40の水供給の実行および停止を制御する装置の一例である。本実施形態4において、制御装置49は、第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45の各開閉駆動を制御する。制御装置49は、駆動制御の対象が第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45であること以外、上述した実施形態3における制御装置39と同様である。
例えば、制御装置49は、凝縮水チャンバ13の水位と複数の給水管(本実施形態4では第1給水管14、第2給水管24および第3給水管44)との各ヘッド差圧(本実施形態4ではヘッド差圧P(h1)、P(h2)、P(h3))と、圧力検出部16によって検出されたガス圧力(例えば掃気圧P)との大小関係を判断する。制御装置49は、これらのヘッド差圧P(h1)、P(h2)、P(h3)と検出されたガス圧力との大小関係をもとに、第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45の開閉状態を選択的に制御する。
ここで、ヘッド差h3は、上述した実施形態3におけるヘッド差h1、h2と同様に増減する。本実施形態4では、ヘッド差h3の一例として、実施形態3と同様に、凝縮水Waの液面Saが凝縮水チャンバ13の下限水位Laに位置する場合のヘッド差(すなわちヘッド差の最大値)が用いられる。ヘッド差圧P(h3)は、凝縮水チャンバ13と水処理用タンク18aとの間で取り得るヘッド差h3の所定範囲のうち最大値に相当する圧力とする。あるいは、チャンバ水位検出部17が凝縮水チャンバ13の水位を連続的または所定時間毎に断続的に検出するように構成され、ヘッド差圧P(h3)は、チャンバ水位検出部17によって検出された凝縮水チャンバ13の水位と第3給水管44の出口水位とのヘッド差h3に相当する圧力としてもよい。
なお、本実施形態4において、凝縮水チャンバ13の水位と第1給水管14の出口水位とのヘッド差h1に相当するヘッド差圧P(h1)は、上述した実施形態1、3と同様である。また、凝縮水チャンバ13の水位と第2給水管24の出口水位とのヘッド差h2に相当するヘッド差圧P(h2)は、上述した実施形態2、3と同様である。
また、制御装置49は、チャンバ水位検出部17によって検出された凝縮水チャンバ13の水位が凝縮水チャンバ13の下限水位La以上である場合、全ての供給弁(本実施形態4では第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45)について、上述したヘッド差圧P(h1)、P(h2)、P(h3)と検出されたガス圧力との大小関係に基づく開閉状態の制御を行う。一方、制御装置49は、チャンバ水位検出部17によって検出された凝縮水チャンバ13の水位が凝縮水チャンバ13の下限水位La未満である場合、全ての供給弁(第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45)を閉状態に制御する。
また、制御装置49は、タンク水位検出部18bによって検出された水処理用タンク18aの水位が水処理用タンク18aの下限水位Lb以上かつ上限水位Hb未満である場合、全ての供給弁(第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45)について、上述したヘッド差圧P(h1)、P(h2)、P(h3)と検出されたガス圧力との大小関係に基づく開閉状態の制御を行う。一方、制御装置49は、タンク水位検出部18bによって検出された水処理用タンク18aの水位が水処理用タンク18aの上限水位Hb以上である場合、全ての供給弁(第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45)を閉状態に制御する。
また、制御装置49は、タンク水位検出部18bによって検出された水処理用タンク18aの水位が水処理用タンク18aの下限水位Lb未満である場合、複数の供給弁のうち、上記検出されたガス圧力がヘッド差圧に比べて大きいという条件を満たす少なくとも一つの供給弁(本実施形態4では第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45の少なくとも一つ)を開状態に制御する。
また、制御装置49は、エンジン本体2のエンジン負荷が上述の基準値以上である場合、すなわち、EGR装置11が運転中である場合、全ての供給弁(第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45)について、上述したヘッド差圧P(h1)、P(h2)、P(h3)と検出されたガス圧力との大小関係に基づく開閉状態の制御を行う。一方、制御装置49は、エンジン本体2のエンジン負荷が上述の基準値未満である場合、すなわち、EGR装置11が運転停止中である場合、全ての供給弁(第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45)を閉状態に制御する。
つぎに、本発明の実施形態4に係る水供給方法について説明する。図7は、本発明の実施形態4に係る水供給方法の一例を示すフロー図である。本実施形態4に係る水供給方法は、図6に例示した舶用ディーゼルエンジン1Cに適用される水供給方法である。この水供給方法では、本実施形態4に係る排ガス処理装置40が、図7に例示されるステップS401〜S417の各処理を適宜行うことにより、凝縮水チャンバ13内の蓄圧を利用して複数の供給先装置の一例であるスクラバ11a、回収タンク11dおよび水処理用タンク18aへの凝縮水Waの供給または供給停止を行う。
詳細には、本実施形態4に係る水供給方法において、排ガス処理装置40は、図7に示すように、エンジン本体2の掃気圧下で凝縮水を収集し(ステップS401)、ついで、掃気圧Pとともに凝縮水を貯留し(ステップS402)、その後、EGR装置11が運転中であるか否かを判断する(ステップS403)。これらのステップS401〜S403は、上述した実施形態3におけるステップS301〜S303と同様に行われる。
上述したステップS403においてEGR装置11が運転中であると判断された場合(ステップS403,Yes)、排ガス処理装置40は、凝縮水チャンバ13の水位が凝縮水チャンバ13の下限水位La以上であるか否か判断する(ステップS404)。このステップS404は、上述した実施形態3におけるステップS304と同様に行われる。
上記ステップS404において凝縮水チャンバ13の水位が下限水位La以上であると判断された場合(ステップS404,Yes)、排ガス処理装置40は、水処理用タンク18aの水位を判断する(ステップS405)。このステップS405は、上述した実施形態3におけるステップS305と同様に行われる。
本実施形態4では、水処理用タンク18aの水位が上限水位Hb未満である場合、排ガス処理装置40は、上述したヘッド差圧P(h1)、P(h2)、P(h3)と圧力検出部16によって検出されたガス圧力との大小関係をもとに、第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45の開閉状態を選択的に制御する。
詳細には、上述したステップS405において水処理用タンク18aの水位が下限水位Lb未満であると判断された場合(ステップS405,Sb<Lb)、排ガス処理装置40は、複数の供給弁のうち、圧力検出部16によって検出されたガス圧力がヘッド差圧に比べて大きいという圧力条件を満たす少なくとも一つの供給弁を開状態に制御する。より詳細には、制御装置49は、上述した実施形態3におけるステップS306と同様に、凝縮水チャンバ13に蓄積されているガス圧力(=掃気圧P)とヘッド差圧P(h1)との大小関係を判断する(ステップS406)。このステップS406において、検出された掃気圧Pがヘッド差圧P(h1)に比べて大きい場合(ステップS406,Yes)、第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45は、いずれも、上述した圧力条件を満足する。この場合、排ガス処理装置40は、第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45の少なくとも一つ、例えば、第1供給弁15および第2供給弁25を開いて、凝縮水Waを供給先装置へ圧送する(ステップS407)。
このステップS407において、制御装置49は、第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45のうち、第1供給弁15および第2供給弁25を開状態に制御する。第1供給弁15は、制御装置49の制御に基づいて開駆動し、これにより、第1給水管14を開放する。この結果、排ガス処理装置40は、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力(=掃気圧P)を利用して、凝縮水チャンバ13から第1給水管14を通じてスクラバ11aへ凝縮水Waを圧送供給する。これに並行して、第2供給弁25は、制御装置49の制御に基づいて開駆動し、これにより、第2給水管24を開放する。この結果、排ガス処理装置40は、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力(=掃気圧P)を利用して、凝縮水チャンバ13から第2給水管24を通じて回収タンク11dへ凝縮水Waを圧送供給する。
一方、上述したステップS406において、検出された掃気圧Pがヘッド差圧P(h1)以下である場合(ステップS406,No)、排ガス処理装置40は、第1供給弁15を閉じる(ステップS408)。このステップS408は、上述した実施形態3におけるステップS310と同様に行われる。この結果、凝縮水チャンバ13から第1給水管14を通じてスクラバ11aへの凝縮水Waの圧送供給は、停止される。
ステップS408を実行後、排ガス処理装置40は、凝縮水チャンバ13に蓄積されているガス圧力とヘッド差圧P(h2)との大小関係を判断する(ステップS409)。このステップS409は、上述した実施形態3におけるステップS311と同様に行われる。
このステップS409において、検出された掃気圧Pがヘッド差圧P(h2)に比べて大きい場合(ステップS409,Yes)、この掃気圧Pとヘッド差圧P(h1)、P(h2)との大小関係は、ヘッド差圧P(h1)≧掃気圧P>ヘッド差圧P(h2)になる。すなわち、第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45のうち、第2供給弁25および第3供給弁45が、上述した圧力条件を満足する。この場合、排ガス処理装置40は、第2供給弁25および第3供給弁45を開いて、凝縮水Waを供給先装置へ圧送する(ステップS410)。
このステップS410において、制御装置49は、第2供給弁25および第3供給弁45を開状態に制御する。第2供給弁25は、制御装置49の制御に基づいて開駆動し、これにより、第2給水管24を開放する。この結果、排ガス処理装置40は、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力(=掃気圧P)を利用して、凝縮水チャンバ13から第2給水管24を通じて回収タンク11dへ凝縮水Waを圧送供給する。これに並行して、第3供給弁45は、制御装置49の制御に基づいて開駆動し、これにより、第3給水管44を開放する。この結果、排ガス処理装置40は、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力(=掃気圧P)を利用して、凝縮水チャンバ13から第3給水管44を通じて水処理用タンク18aへ凝縮水Waを圧送供給する。
一方、上述したステップS405において水処理用タンク18aの水位が下限水位Lb以上かつ上限水位Hb未満であると判断された場合(ステップS405,Lb≦Sb<Hb)、排ガス処理装置40は、全ての供給弁について、上記ヘッド差圧と検出されたガス圧力との大小関係に基づく開閉状態の制御を行う。
詳細には、制御装置49は、上述した実施形態3におけるステップS308と同様に、凝縮水チャンバ13に蓄積されているガス圧力(=掃気圧P)とヘッド差圧P(h1)との大小関係を判断する(ステップS411)。このステップS411において、検出された掃気圧Pがヘッド差圧P(h1)に比べて大きい場合(ステップS411,Yes)、排ガス処理装置40は、第1供給弁15を開いて凝縮水Waを供給先装置へ圧送する(ステップS412)。このステップS412は、上述した実施形態3におけるステップS309と同様に行われる。この結果、凝縮水Waは、凝縮水チャンバ13から第1給水管14を通じてスクラバ11aへ圧送供給される。
一方、上述したステップS411において、検出された掃気圧Pがヘッド差圧P(h1)以下である場合(ステップS411,No)、排ガス処理装置40は、第1供給弁15を閉じる(ステップS413)。このステップS413は、上述した実施形態3におけるステップS310と同様に行われる。この結果、凝縮水チャンバ13から第1給水管14を通じてスクラバ11aへの凝縮水Waの圧送供給は、停止される。
ステップS413を実行後、排ガス処理装置40は、凝縮水チャンバ13に蓄積されているガス圧力とヘッド差圧P(h2)との大小関係を判断する(ステップS414)。このステップS414は、上述した実施形態3におけるステップS311と同様に行われる。
上述したステップS414において、検出された掃気圧Pがヘッド差圧P(h2)に比べて大きい場合(ステップS414,Yes)、排ガス処理装置40は、第2供給弁25を開いて凝縮水Waを供給先装置へ圧送する(ステップS415)。このステップS415は、上述した実施形態3におけるステップS312と同様に行われる。この結果、凝縮水Waは、凝縮水チャンバ13から第2給水管24を通じて回収タンク11dへ圧送供給される。
一方、上述したステップS414において、検出された掃気圧Pがヘッド差圧P(h2)以下である場合(ステップS414,No)、排ガス処理装置40は、第2供給弁25を閉じる(ステップS416)。このステップS416は、上述した実施形態3におけるステップS313と同様に行われる。この結果、凝縮水チャンバ13から第2給水管24を通じて回収タンク11dへの凝縮水Waの圧送供給は、停止される。
ステップS416を実行後、排ガス処理装置40は、凝縮水チャンバ13に蓄積されているガス圧力とヘッド差圧P(h3)との大小関係を判断する(ステップS417)。ヘッド差圧P(h3)は、凝縮水チャンバ13の水位と第3給水管44の出口水位とのヘッド差h3(図6参照)に相当する圧力である。このステップS417において、制御装置49は、上述したステップS406またはステップS411で圧力検出部16によって検出されたガス圧力とヘッド差圧P(h3)とを比較する。これにより、制御装置49は、これらのガス圧力(本実施形態4では掃気圧P)とヘッド差圧P(h3)との大小関係を判断する。
上述したステップS417において、検出された掃気圧Pがヘッド差圧P(h3)に比べて大きい場合(ステップS417,Yes)、排ガス処理装置40は、第3供給弁45を開いて凝縮水Waを供給先装置へ圧送する(ステップS418)。このステップS418において、制御装置49は、第3供給弁45を開状態に制御する。第3供給弁45は、この制御装置49の制御に基づいて開駆動し、これにより、第3給水管44を開放する。この結果、排ガス処理装置40は、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力(=掃気圧P)を利用して、凝縮水チャンバ13から第3給水管44を通じて水処理用タンク18aへ凝縮水Waを圧送供給する。
一方、上述したステップS417において、検出された掃気圧Pがヘッド差圧P(h3)以下である場合(ステップS417,No)、排ガス処理装置40は、第3供給弁45を閉じる(ステップS419)。このステップS419において、制御装置49は、第3供給弁45を閉状態に制御する。第3供給弁45は、この制御装置49の制御に基づいて閉駆動し、これにより、第3給水管44を閉塞する。この結果、排ガス処理装置40は、凝縮水チャンバ13から水処理用タンク18aへの凝縮水Waの圧送供給を停止する。
他方、上述したステップS405において水処理用タンク18aの水位が上限水位Hb以上であると判断された場合(ステップS405,Sb≧Hb)、排ガス処理装置40は、全ての供給弁を閉じる(ステップS420)。このステップS420において、制御装置49は、第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45を閉状態に制御する。第1供給弁15は、制御装置49の制御に基づいて閉駆動し、これにより、第1給水管14を閉塞する。これに並行して、第2供給弁25は、制御装置49の制御に基づいて閉駆動し、これにより、第2給水管24を閉塞する。第3供給弁45は、制御装置49の制御に基づいて閉駆動し、これにより、第3給水管44を閉塞する。この結果、排ガス処理装置40は、凝縮水チャンバ13からスクラバ11a、回収タンク11dおよび水処理用タンク18aへの凝縮水Waの圧送供給を停止する。
上述したステップS407、ステップS410、ステップS412、ステップS415、ステップS418、ステップS419またはステップS420を実行後、排ガス処理装置40は、上述したステップS401に戻り、このステップS401以降の処理を繰り返す。また、上述したステップS403においてEGR装置11が運転中ではないと判断された場合(ステップS403,No)、排ガス処理装置40は、上述したステップS420に進み、このステップS420以降の処理を繰り返す。また、上述したステップS404において凝縮水チャンバ13の水位が下限水位La以上ではないと判断された場合(ステップS404,No)、排ガス処理装置40は、上述したステップS420に進み、このステップS420以降の処理を繰り返す。また、上述したステップS409において検出されたガス圧力(=掃気圧P)がヘッド差圧P(h2)以下である場合(ステップS409,No)、排ガス処理装置40は、上述したステップS416に進み、このステップS416以降の処理を繰り返す。
以上、説明したように、本発明の実施形態4に係る排ガス処理装置40および水供給方法では、EGR装置11のスクラバ11aおよび回収タンク11dと、水処理装置18の水処理用タンク18aとを複数の供給先装置とし、第1給水管14を介して凝縮水チャンバ13とスクラバ11aとを連通し、第2給水管24を介して凝縮水チャンバ13と回収タンク11dとを連通し、更には、第3給水管44を介して凝縮水チャンバ13と水処理用タンク18aとを連通し、凝縮水チャンバ13に蓄積されたガス圧力を利用して、凝縮水チャンバ13からスクラバ11a、回収タンク11dおよび水処理用タンク18aへ凝縮水Waを適宜圧送するようにし、その他を実施形態3と同様に構成している。このため、上述した実施形態3と同様の作用効果を享受するとともに、凝縮水Waの供給先装置を実施形態3よりも多くしながらも、複数の供給先装置への水供給機能を低下させることなく、この水供給機能に必要なチャンバや配管等の設備の設置スペースを省スペース化することができる。
なお、上述した実施の形態1、2ではEGR装置11のスクラバ11aまたは回収タンク11d、上述した実施の形態3ではスクラバ11aおよび回収タンク11d、上述した実施の形態4ではスクラバ11a、回収タンク11dおよび水処理装置18の水処理用タンク18aを、凝縮水Waの供給先装置としていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、本発明における凝縮水Waの供給先装置は、スクラバ11a、回収タンク11dおよび水処理用タンク18aの中から選択される少なくとも一つであってもよいし、少なくともEGR装置11(スクラバ11a、デミスタ11b、回収タンク11d)を含むものであってもよいし、EGR装置11および水処理装置18以外の船内設備であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。また、本発明における凝縮水Waの供給先装置の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。また、本発明における凝縮水Waの供給先装置がEGR装置11および水処理装置18以外の船内設備である場合、第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45の開閉駆動は、EGR装置11が運転中であるか否かによらず、すなわち、エンジン本体2のエンジン負荷によらず、上述したガス圧力等の検出結果に基づいて制御されてもよい。
また、上述した実施形態4では、水処理用タンク18aの水位が下限水位Lb未満であり且つ凝縮水Waに加わるガス圧力(例えば掃気圧P)がヘッド差圧P(h1)に比べて大きい場合、第1供給弁15および第2供給弁25を開いてスクラバ11aおよび回収タンク11dへ凝縮水Waを圧送供給していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、第1供給弁15、第2供給弁25および第3供給弁45のうち、凝縮水Waに加わるガス圧力がヘッド差圧に比べて大きいという条件を満足する全ての供給弁を開いてもよいし、これら全ての供給弁の中から選択される少なくとも一つの供給弁を開いてもよい。この場合、ヘッド差圧P(h1)、P(h2)、P(h3)のうち最も大きいヘッド差圧P(h1)と上記ガス圧力の検出値とを比較してもよいし、ヘッド差圧P(h1)、P(h2)、P(h3)と上記ガス圧力の検出値とを順次比較してもよい。
また、上述した実施形態1〜4では、凝縮水Waに加わるガス圧力(供給先装置への凝縮水Waの圧送に利用されるガス圧力)を検出する圧力検出部16がエンジン本体2の掃気トランク2bに配置されていたが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、圧力検出部16の配置箇所は、上記ガス圧力を検出し得る箇所であればよく、例えば、冷却器4であってもよいし、気液分離装置5であってもよいし、凝縮水チャンバ13であってもよいし、収集管12であってもよいし、給気管113、114であってもよい。
また、上記ガス圧力は、圧力検出部16によって検出され得るエンジン本体2の掃気圧であってもよいし、エンジン本体2のエンジン負荷と圧力との関係(以下、第1の関係という)に基づいて算出された掃気圧または凝縮水チャンバ13の内部圧力であってもよい。例えば、上記第1の関係としては、エンジン本体2のエンジン負荷と掃気圧との相関関係、または、エンジン本体2のエンジン負荷と凝縮水チャンバ13の内部圧力との相関関係が挙げられる。或いは、上記ガス圧力は、エンジン本体2のエンジン負荷と圧力との関係(以下、第2の関係という)に基づいて掃気圧を補正した圧力であってもよい。例えば、上記第2の関係としては、エンジン本体2のエンジン負荷と圧力補正値との相関関係が挙げられる。当該圧力補正値は、エンジン本体2の掃気圧と凝縮水チャンバ13の内部圧力との誤差差異に相当する圧力である。上記補正した圧力は、エンジン負荷に応じて導出される圧力補正値をもとにエンジン本体2の掃気圧(例えば圧力検出部16によって検出された掃気圧)を補正することによって算出することができる。
また、上述した実施形態1〜4では、デミスタ11bとは別体の回収タンク11dを備えたEGR装置11を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、デミスタ11bは、回収タンク11dと一体化された構造のものであってもよく、排ガスの洗浄に使用されたスクラバ水Wbを再循環ガスから分離回収して貯留するものであってもよい。
また、上述した実施形態3、4では、第1給水管14から第2給水管24を分岐させ、または、第1給水管14から第2給水管24および第3給水管44を分岐させていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、第1給水管14、第2給水管24および第3給水管44の各入口端は、各々独立して凝縮水チャンバ13に接続されていてもよい。
また、上述した実施形態1〜4により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施形態1〜4に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。