JP5682933B2 - 高強度pc鋼より線及びその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、高強度で耐遅れ破壊特性に優れるPC鋼より線に関するものである。
PC鋼より線は、橋梁、電柱、コンクリートパイル、建設部材、建築物の梁、スラブ等における各種のコンクリート構造物におけるプレストレスト・コンクリート(PC)に緊張を与える緊張材として使用されたり、地山やその法面、炭坑、トンネル等の坑周壁及び各種構造物の補強用として使用されたりしている。
従来、この種のPC鋼より線は、JIS G 3502で規定される線材から加工されているが、近年の高強度化の要請の下、その規格外の線材からなるPC鋼より線が提案されている。
例えば、特許文献1には、JIS規格の19本撚りで構成される標準径:19.3mm、総断面積:240〜250mm、引張荷重:550kN以上の高強度PC鋼より線、及びJIS規格の19本撚りで構成される標準径:21.8mm、総断面積:310〜320mm、引張荷重:700kN以上の高強度PC鋼より線が開示されている。
この高強度PC鋼より線の素材は、質量%で、C:0.87〜1.3%、Si:0.5〜1.2%、Mn:0.1〜1.0%を含み、残部をFeおよび不可避的不純物からなる鋼としており、線材の強度を高めるために、質量%で、Cr:0.05〜1.5%、Ni:0.03〜1.0%、V:0.001〜0.5%、Nb:0.001〜0.5%、Mo:0.001〜0.5%の1種以上を含むものとし、さらに、線材の耐腐食特性を高めるために、質量%で、Cu:0.01〜1.0%を含むものとし、さらに、線材の延性を高めるために、質量%で、Al:0.001〜0.1%、B:0.0005〜0.1%を含むものとしている(同文献1要約、請求項1〜8参照)。
また、特許文献2には、質量%で、C:0.6〜1.3%を含有し、少なくとも鋼表層から線径の2.5%まで表層の長手方向の残留応力が圧縮であり、かつ最表層部の長手方向の残留応力が150MPa 以上の圧縮応力であり、加工パーライト主体組織で0.2%耐力:1000MPa以上、引張強度:1200MPa以上である耐遅れ破壊特性の良好な線径2.9〜9mmのPC鋼撚り線が提案されている。なお、遅れ破壊とは、高強度鋼部品が静的な負荷応力を受けた状態で、ある時間を経過したとき、外見上はほとんど塑性変形を伴うことなく、突然脆性的に破壊する現象を言う。
この高強度PC鋼より線の素材は、C以外に、質量%で、Si:0.10〜2.5%、およびMn:0.25〜2.0%を含有するものとしたり、さらに、質量%で、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.05%以下にそれぞれ規制し、さらに、Ti:0.005〜0.05%、Ca:0.0005〜0.005%、REM:0.0005〜0.005%、V:0.002〜0.5%、Nb:0.005〜0.1%、B:0.0005〜0.01%、Cr:0.05〜2.0%、Cu:0.05〜1.0%、Ni:0.05〜1.0%、およびMo:0.05〜0.50%の1種または2種以上を含有するものとしたりしている(同文献要約、請求項1〜3参照)。
特開2003−113585公報 特開2004−131797公報
このような高強度PC鋼より線において、その高強度化は鋼材全体の靭性が低下し、耐疵感受性の低下を招くとされている。また、高強度は、伸線加工前の加熱後の冷却速度を高めれば向上させることができるが、素線中心に比べて表面の硬度が高くなって、耐疵感受性の低下を招く。
一方、PC鋼より線の高度化には上記の問題があるが、近年、PC鋼より線の更なる高強度化(2000MPa以上)が要求されるとともに、耐震性の観点から高い伸びも示す鋼材の要求に対して、強度(引張強度)と伸びがバランスされた高強度PC鋼より線が要求されている。また、高強度PC鋼より線は、高強度鋼製品であるため、その製品が静的な負荷応力を受けた状態で、ある時間を経過したとき、外見上はほとんど塑性変形を伴うことなく、突然脆性的に破壊する現象、すなわち、水素に起因する遅れ破壊特性が従来材に比較して劣ることが知られており、その破壊特性の改良も要求されている。
この発明は、そのような状況の下、高強度とバランスした伸びを示し更に遅れ破壊特性の優れた高強度PC鋼より線を提供することを課題とする。
上記課題を達成するために、この発明は、ストランド径が15.2〜15.7mmの7本撚りPC鋼より線において、そのPC鋼より線を構成する素線の成分がC:0.97〜1.02質量%、Si:0.80〜1.0質量%、Mn:0.30〜0.60質量%、Cr:0.15〜0.30質量%であって、Al、B、Ti、Cu、Mo、Nから選択される一種以上を合計で0.05質量%以下含み、残部がFe及び不可避不純物からなり、前記ストランドの1.2%伸びに対する荷重が280〜290kN以上、同最大伸びが8%以下である構成を採用したのである。尚、ストランドの断面積はストランドの寸法誤差を含めると若干の差がでるものの、大凡、138.7〜150.0mmとする。
発明者は、まず、コンクリートに加えるプレストレス(荷重)はPC鋼より線が弾性変形から塑性変形する境界付近で最大のものが望まれ、この限界点として、1.2%伸び量での荷重が、ストランド径15.2mmのもので280kN以上、同15.7mmのもので290kN以上であれば良いことを各種の実験及び経験によって見いだした。
つぎに、PC鋼より線の最大伸び量(破断時までの伸び量)が8%を超えると、1.2%全伸びでの荷重特性と両立させる(上記限界点の荷重を1.2%伸び量の荷重とする)ことが困難になる(適切でなくなる)ことを各種の実験及び経験によって見いだした。
その限界点及び最大伸び量の両立を得られる素線の成分は、実験等により、C:0.97〜1.02質量%、Si:0.80〜1.0質量%、Mn:0.30〜0.60質量%、Cr:0.15〜0.30質量%であって、Al、B、Ti、Cu、Mo、Nから選択される一種以上を合計で0.05質量%以下含み、残部がFe及び不可避不純物からなることが好ましいことを見出した。
なお、上記ストランドの径の寸法許容差としては、JIS G 3536の表4「寸法及び許容差」に示される「+0.4mm〜−0.2mm」の範囲内とする。
Cは強化に有効な元素であり高強度の鋼線を得るためのものであって、0.97質量%以上とすることが必要であり、一方、1.02質量%を超えると、初析セメンタイトが析出しやすいため、延性が低下し、かつ伸線性が劣化する。
Siは鋼の脱酸のために必要な元素であり、0.80質量%未満であると、脱酸効果が不十分となり、一方、1.0質量%を超えると、熱処理性を阻害して、その熱処理後に形成されるパーライト中のフェライト相に固溶しパテンティング後の強度を上げる作用を円滑に行えなくなる。
Mnは鋼の焼き入れ性を確保するために添加するが、0.30質量%未満ではその十分な焼き入れ性を担保できず、一方、0.60質量%を超えると、パテンティングの際の変態時間を長くしすぎる。
Crは鋼の強度を高めるために添加するが、0.15質量%未満ではその添加効果が望めず、一方、0.30質量%を超えると、鋼線の延性を引き起こす。
添加元素AlはAl酸化物やALNの析出物としてオーステナイト粒の粗大化防止、遅れ破壊防止効果を有する下記作用をなすBを確保する効果を有する。そのAlの含有量は好ましくは0.02質量%以下に含有させるのがよい。
Bはオーステナイト粒界への偏析等により焼入性の向上や遅れ破壊防止効果を有する。そのBの含有量は好ましくは0.01質量%以下とする。
Tiはチタンの酸化物・窒化物を形成してオーステナイト粒の粗大化防止、遅れ破壊防止効果を有する前記Bを確保する効果を有する。そのTiの含有量は好ましくは0.02質量%以下とする。
Cuは焼き入れ性を改善すると供に腐食生成物を生成して水素の浸入を防止して遅れ破壊を改善する。そのCuの含有量は好ましくは0.02質量%以下とする。
Moはブルーイング処理時の強度低下を防止する効果を有する。そのMoの含有量は好ましくは0.01質量%以下とする。
NはAlやTiと窒化物等を形成してオーステナイト粒の粗大化を防止するとともに遅れ破壊特性を改善する。そのNの含有量は好ましくは0.01質量%以下とする。
これらの多量の添加は介在物の量を増加させて強度、延性の低下を招くため、総量(合計)で0.05質量%以下とする。
上記PC鋼より線材に用いる素線は高強度のため伸線加工中に割れ等が生じる恐れがあり、これを防ぐためには、絞り量(引張り試験において、試験片破断後における断面積の減少量と元の断面積の比を百分率)55%以下のものを用いるのが好ましい。55%を超える絞り値(絞り量)を有するものでは高強度のPC鋼より線が得られない。好ましくは40%〜55%の範囲に調整するのがよい。
耐遅れ破壊特性は上記鋼成分と下記構造を採用することで相乗的に改善される。即ち、
PC鋼より線を構成する素線の表面30μm以内の金属組織中にフェライト相が50体積%以上とする。詳細は不明だが素線表面の金属組織中にフェライト相を含ませると水素拡散が抑制され遅れ破壊を改善するものと考えられる。この効果は組織中の50体積%以上必要となる。体積量は素線断面を組織観察してフェライト相の面積量から換算して求める。そのフェライト相の体積量は表面の脱炭量が大きくなるほど多くなる。尚、50%以外の相としては、パーライト、ベイナイト等が含まれる。
また、上記素線構造ではフェライト相はパーライト相に比較して硬度が低いため素線表面が軟化して定着効率が低下することがある。その定着効率とは、定着体を用いたときの破断荷重と規格破断荷重の比(破断荷重/規格破断荷重)をいう。通常、95%以上となるように設計される。規格破断荷重は、314kN〜335kNである。
以上から、この定着効率を維持するために、PC鋼より線を構成する素線の表面30μm以内の硬度の平均が素線中心部の硬度に対して、0.6以上とする。素線の表面30μm以内の硬度の平均が素線中心部の硬度に対して、0.6未満であると、定着効率が95%以下に低下する。30μm以内の硬度の平均値を問題にするのは、定着の際は定着体が表面から一定の深さに食い込むため、表面の硬度よりも表面近傍の硬度の平均値が問題となるためである。更に、硬度比が0.6以上の場合でも表面から30μm以上に亘ってフェライト相が存する場合は定着効率が低下するので好ましくない。その硬度比は好ましくは0.6〜0.8である。
なお、PC鋼より線を構成する素線の表面30μm以内の硬度の平均が素線中心部の硬度に対して、0.6以上、1未満とし、表面硬度が中心硬度とほぼ同じ位以下であると、耐疵感受性が向上する。
さらに、FIP試験で破断に至る時間が10時間以上となるようにする。このFIP(Federation Internationate de la Precontratinte)試験とは国際プレストレストコンクリート協会の基準による評価方法である。
この試験は、質量%で20%濃度のNHSCN水溶液を50℃±1℃に加熱し、その溶液中にサンプルを浸漬して破断荷重の0.7〜0.8倍の一定荷重を負荷し、破断時間を測定して耐遅れ破壊特性を評価するものである。
この特性の向上は、上記の鋼成分のものを素線表面30μm以内の金属組織中のフェライト相の量を50体積%以上存するように制御することで担保できる。フェライト量が多いほど、その相を含む領域が深いほど破断に至る時間は長くなる。最小値として10時間あればよい。
以上の構成の高強度PC鋼より線は、従来周知の種々の方法によって適宜に製造しても良いが、例えば、上記鋼成分を有する鋼材を、LNGと空気の混合ガス雰囲気中で980℃〜1020℃、100秒〜200秒間加熱保持、冷却後、500℃〜550℃で溶融塩浴及び/又は鉛浴中に40秒〜60秒加熱した後、伸線加工を施し、引き続いて200℃〜450℃でブルーイング処理を行うことによって製造することができる。
混合ガスが980℃未満ではオーステナイト化が不十分であり、同1020℃を超えるとオーステナイト粒の粗大化が起きて伸線加工性が低下する。加熱時間は100秒から200秒が好ましい。LNGと空気の混合ガス比(LNG量/空気量)は0.8未満だと表面の酸化による脱炭が大きくなり表面部に生じるフェライト相が多くなる。同1.2を超えると、酸化による脱炭が少なく表面に生じるフェライト相が少なくなる。
溶融塩浴又は鉛浴中の処理は500℃〜550℃で40秒〜60秒間加熱して行う。この範囲を外れると伸線後の素線の強度が不足する。
より線の最大伸び量はその温度と加熱時間を適宜選択して8%以下に制御できる。また、溶融塩浴と鉛浴は択一的に使用するか、または温度を変えて溶融塩浴の後に冷却後更に鉛浴処理してもよい。この処理により伸線前の鋼材の強度として、1450N/mm〜1600N/mmのものを伸線加工後に200℃〜450℃でブルーイング処理することで1.2%伸び時での荷重280〜290kN以上のものを得ることができる。200℃未満だとブルーイングの効果が出ず、450℃を超えると強度が低下する。
PC鋼より線を構成する素線の表面のフェライト相の厚さは伸線加工により制御する。即ち、減面率(引抜き(伸線)前後の線の断面積の差と引き抜き前の同断面積との比の百分率)を70%から85%の範囲内とする。減面率が85%を超えると、伸線加工により素線表面のフェライト相が殆ど除去されてしまうため好ましくない。70%未満だとフェライト相の除去が困難となる。尚、この伸線加工は通常のより線の強度を発現させる処理として行った後、フェライト相の厚さ制御のために再度伸線加工として行ってもよい。
この発明は以上のように構成したので、高強度とバランスした伸びを示し更に遅れ破壊特性の優れた7本より高強度PC鋼より線を得ることができる。
この発明の実施形態の端面図 同実施形態の素線の拡大端面図
この実施形態の高強度PC鋼より線Pも、従来と同様に、図1に示す、JIS G 3536の表1に規定される「SWPR7BN」の構成である。すなわち、中心素線11aの周囲に6本の側素線11bをそれぞれ撚り合わせた7本撚りのPC鋼材である。
この高強度PC鋼より線Pは、そのストランド10の径Lが15.7mm、その各ストランド10の断面積が150.2mmである。
また、そのPC鋼より線Pを構成する素線11(中心素線11a、側素線11b)の成分は、C:0.97〜1.02質量%、Si:0.80〜1.0質量%、Mn:0.30〜0.60質量%、Cr:0.15〜0.30質量%であって、Al、B、Ti、Cu、Mo、Nから選択される一種以上を合計で0.05質量%以下含み、残部がFe及び不可避不純物からなり、ストランド10の1.2%伸びに対する荷重が280〜290kN以上であり、同最大伸びが8%以下である。
また、各素線11(中心素線11a、側素線11b)の絞り値は55%以下とし、図2に示すように、それらの表面30μm以内(層厚t)の金属組織中にフェライト相aが50体積%以上存する。また、各素線11の表面30μm(層厚t)以内の硬度の平均が素線中心部cの硬度に対して、0.6以上、1未満とされている。
この構成からなる高強度PC鋼より線Pは、FIP試験で破断に至る時間が10時間以上であって、上記成分組成の鋼材を、LNGと空気の混合ガス雰囲気中で980℃〜1020℃、100秒〜200秒間加熱保持して冷却後、500℃〜550℃で溶融塩浴及び/又は鉛浴中に40秒〜60秒加熱した後、伸線加工を施し、引き続いて200℃〜450℃でブルーイング処理を行って製造する。そのとき、前記40秒〜60秒加熱した後の鋼材の強度が1450N/mm〜1600N/mmであり、前記LNGと空気の混合ガスの混合比が0.8〜1.2であり、伸線加工は減面率70%〜85%で行なう。以上によって、高強度とバランスした伸びを示し更に遅れ破壊特性の優れた7本より高強度PC鋼より線Pを得ることができる。
図1(a)で示す、ストランド10の径L:15.7mm、同断面積:150.0mmの7本より線を、下記表1の成分を含み、残部がFe及び不可避不純物からなる素線11a、11b(径:12.5mm)から製造した(実施例1〜11、比較例1、2)。その製造条件は、混合比が1:2のLNGと空気の1000℃混合ガス雰囲気中で、150秒間加熱保持して冷却後、550℃で鉛浴中に50秒加熱した後、減面率82%で伸線加工を施し、引き続いて350℃でブルーイング処理を行って製造した。そのとき、前記鉛浴加熱した後の鋼材の強度は1550N/mmであった。
これらの実施例1〜11及び比較例1、2において、伸び1.2%時の荷重、最大伸び量、絞り値を下記表1に示す。
Figure 0005682933
この実施例1〜11と比較例1、2との対比から、素線11a、11bの成分がC 0.97〜1.02質量%、Si 0.80〜1.0質量%、Mn 0.30〜0.60質量%、Cr 0.15〜0.30質量%であって、Al、B、Ti、Cu、Mo、Nから選択される一種以上を合計で0.05質量%以下含んでおれば、1.2%伸びに対する荷重が308〜318kNであって、同280〜290kN以上、同最大伸びが6.4〜7.5%であって8%以下となっていることが分かる。また、その素線11a、11bの絞り値は55%以下であることが好ましいことが理解できる。
つぎに、実施例1、比較例1のもの(実施例1−1〜3、比較例1−1、2)を用いて、LNG/空気の混合比率を変化させて、下記表2に示す、硬度比、FIP値(時間)及び定着効率を求めた。そのとき、FIP値は、破断荷重の80%を負荷して試験を行ない、複数本(5本以上)を測定した最低値(min)を示した。中心cの硬度はHv:521kg/mmであった。
Figure 0005682933
この実施例1−1,2、3と比較例1−1,2との対比から、LNGと空気の混合ガスの混合比:0.8〜1.2であると、各素線11a、11bの表面30μm以内の硬度の平均が素線中心部cの硬度:0.6以上となり、FIP値も10時間以上となり、定着効率も98%以上を担保できることが理解できる。
さらに、実施例1及び比較例1のもの(実施例1−4〜6、比較例1−3、4)を同一熱処理条件で処理した後、伸線加工の減面率を変化させた試験結果を下記表3に示す。
Figure 0005682933
この実施例1−4,5,6と比較例1−3,4との対比から、減面率:70%〜85%であって、同表面フェライト相aの厚みtが15〜30μmであることから、表面30μm以内の金属組織中にフェライトが50体積%(15/30〜30/30×100)以上を存すれば、FIP値:18時間以上あり、定着効率も98%以上となることが理解できる。
以上の各実施例及び比較例の試験結果から、ストランド10の径Lが15.2〜15.7mm、同断面積138.7〜150.0mmの7本撚りPC鋼より線Pにおいて、その素線11a、11bの成分がC 0.97〜1.02質量%、Si 0.80〜1.0質量%、Mn 0.30〜0.60質量%、Cr 0.15〜0.30質量%であって、Al、B、Ti、Cu、Mo、Nから選択される一種以上を合計で0.05質量%以下含み、残部がFe及び不可避不純物からなり、ストランド10の1.2%伸びに対する荷重が280〜290kN以上、同最大伸びが8%以下であれば、高強度とバランスした伸びを示し更に遅れ破壊特性の優れた7本より高強度PC鋼より線Pとし得ることが理解できる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
P 高強度PC鋼より線
10 ストランド
11a 中心素線
11b 側素線
a フェライト層(相)

Claims (9)

  1. ストランドの径が15.2〜15.7mmの7本撚りPC鋼より線において、
    当該PC鋼より線を構成する素線の成分がC:0.97〜1.02質量%、Si:0.80〜1.0質量%、Mn:0.30〜0.60質量%、Cr:0.15〜0.30質量%であって、Al、B、Ti、Cu、Mo、Nから選択される一種以上を合計で0.05質量%以下含み、残部がFe及び不可避不純物からなり、
    上記ストランドの1.2%伸びに対する荷重が280〜290kN以上であり、同最大伸びが8%以下であることを特徴とする高強度PC鋼より線。
  2. 上記素線の絞り値が55%以下であることを特徴とする請求項1に記載の高強度PC鋼より線。
  3. 上記素線の表面30μm以内の金属組織中にフェライト相が50体積%以上存することを特徴とする請求項1又は2に記載の高強度PC鋼より線。
  4. 上記素線の表面30μm以内の硬度の平均が素線中心部の硬度に対して、0.6以上、1未満であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の高強度PC鋼より線。
  5. FIP試験で破断に至る時間が10時間以上であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一つに記載の高強度PC鋼より線。
  6. 請求項1に記載の素線成分を有する鋼材を、LNGと空気の混合ガス雰囲気中で980℃〜1020℃、100秒〜200秒間加熱保持して冷却後、500℃〜550℃で溶融塩浴及び/又は鉛浴中に40秒〜60秒加熱した後、伸線加工を施し、引き続いて200℃〜450℃でブルーイング処理を行うことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の高強度PC鋼より線の製造方法。
  7. 上記40秒〜60秒加熱した後の鋼材の強度が1450N/mm〜1600N/mmであることを特徴とする請求項6に記載の高強度PC鋼より線の製造方法。
  8. 上記LNGと空気の混合ガスの混合比が、0.8〜1.2であることを特徴とする請求項6又は7に記載の高強度PC鋼より線の製造方法。
  9. 上記伸線加工を減面率70%〜85%で施すことを特徴とする請求項6乃至8の何れか一つに記載の高強度PC鋼より線の製造方法。
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