JP5681751B2 - 香料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、香料組成物に関する。
香りは製品等の嗜好性や高級感、安心感、効果への期待感などを演出する重要な要素である。さらに特徴ある香りは製品識別効果、顧客吸引力を与える。一方、製品への賦香は、香りのバランスや持続性などを制御するために、複数の香料素材を混合した香料組成物を用いて行われるのが一般的である。香料組成物を構成する香料素材は他の香料素材との調和性がよいことが求められる。
オキシム構造を有する香料素材としては、グリーン香を有する5−メチル−3−ヘプタノンオキシムであるStemone(Givaudan社)、2,4,4,7−テトラメチル−6,8−ノナジエン−3−オンオキシムであるラビエノキシム(Givaudan社)、フルーティ、ハーバル香を有する1,5−ジメチル−ビシクロ〔3.2.1〕オクタン−8−オンオキシムであるブッコキシム(Symrise社)が知られている(非特許文献1)。
また、シクロペンタン環構造を有する香料素材として、アミルシクロペンタノンであるDelphone(Firmenich社)が、ジャスミン的フルーティー、フローラル香を有することが知られている(非特許文献1)。
また、非特許文献2には、シクロペンタン環構造を有する2−ペンチルシクロペンタノンオキシムを経由する新規なアルカロイドの合成方法が記載されているが、2−ペンチルシクロペンタノンオキシムの香気に関する記載はない。
香料素材は、極めて大雑把には、構造が類似していれば類似の香調を有するが、例外も多く、特に複数の置換基を組み合わせて変化させた場合、その香調がどのように変化していくかは予測しがたく、また、他の香料素材との調和性も予測しがたいものである。
印藤元一著 合成香料 化学と商品知識 増補改訂版 2005年、280、729、730ページ N.Radulovicら、Food and Chemical Toxicology 2012年,50,274−279ページ
本発明の課題は、グリーンフローラル及びフルーティ様香気を有し、かつ残香性に優れる化合物を賦香成分として使用する方法、及びその化合物を含有する甘さとボリューム感を有する香料組成物を提供することにある。
本発明者らは、シクロペンタン環構造を有する特定のオキシム化合物を賦香成分として使用することにより、残香性に優れるグリーンフローラル及びフルーティ様香気を有し、かつ、他の香料と調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上することが可能であり、甘さとボリューム感を有する香料組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する香料組成物である。
本発明によれば、グリーンフローラル及びフルーティ様香気を有し、かつ残香性に優れる2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを賦香成分として使用する方法、及び2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する甘さとボリューム感を有する香料組成物が提供できる。
[香料組成物]
本発明の香料組成物は、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する。
Figure 0005681751
2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムの含有量は、香料組成物の甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、本発明の香料組成物中、好ましくは0.01〜99質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは0.3〜25質量%である。
本発明の香料組成物は、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム及びその他の香料素材を含有させるベースとして、それ自身は匂いを持たない油剤を含有させることができる。このような油剤は、香料成分を均一に混合させ、製品に配合しやすく、適度な強度の香りを賦香しやすくすることができる。前記油剤の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル等のエステル、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤等が挙げられる。
これらのなかでも、全ての香料成分の溶解性、及び香気の持続性と拡散性の観点から、前記油剤としては多価アルコールおよびエステルが好ましく、ジプロピレングリコールおよびミリスチン酸イソプロピルがより好ましい。かかる油剤の含有量は、香料組成物の甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点、及び香気の持続性と拡散性を高める観点から、香料組成物中、好ましくは0.01〜95質量%、より好ましくは1〜90質量%、さらに好ましくは5〜80質量%である。
本発明の香料組成物は、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含むため、グリーンフローラル及びフルーティ様香気を有し、残香性に優れる。また、本発明の香料組成物は、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム以外に、その他の香料として、通常用いられる他の香料成分や、所望組成の調合香料を含有させ、例えば、シトラス調、フローラル調、フルーティ調、ハーバル調、スパイシー調、グリーン調、ウッディ調、バルサミック調、アルデハイディック調、ミンティ調、アロマティック調、アーシー調、モッシー調、ハニー調、レザー調、アニマリック調、アンバー調、および/またはムスキー調の香気を付与することができる。
本発明の香料組成物において、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと組み合わせて用いることができるその他の香料としては、シトラス調、フローラル調、フルーティ調、ハーバル調、スパイシー調、グリーン調、ウッディ調、バルサミック調、アルデハイディック調、ミンティ調、アロマティック調、アーシー調、モッシー調、ハニー調、レザー調、アニマリック調、アンバー調、およびムスキー調の各香調を有する香料のうち1種以上が好ましく、中でも、香料組成物の甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、シトラス調、フローラル調、フルーティ調、スパイシー調、グリーン調、およびウッディ調の各香調を有する香料のうち1種以上がより好ましく、フローラル調の香調を有する香料が更に好ましい。
本発明の香料組成物において、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと組み合わせて用いることができるその他の香料としては、炭化水素類、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、エーテル類、エステル類、カーボネート類、ラクトン類、オキシム類、ニトリル類、シッフ塩基類、アミド類、含窒素化合物、含硫黄化合物、天然精油や天然抽出物のうち1種以上が好ましく、中でも、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、エーテル類、エステル類、ラクトン類、シッフ塩基類、含窒素化合物、含硫黄化合物、天然精油や天然抽出物のうち1種以上がより好ましい。
本発明において、各香料の「類」には単一の化合物、あるいは2つ以上の化合物の混合物を意味する。
炭化水素類としては、リモネン、α−ピネン、β−ピネン、テルピネン、p−サイメン、セドレン、ロンギフォレン、バレンセン、カンフェン、ミルセン等が挙げられる。
アルコール類としては、脂肪族アルコール、テルペン系アルコール、芳香族アルコール等が挙げられる。
脂肪族アルコールとしては、プレノール、trans−2−ヘキセノール、cis−3−ヘキセノール、2,6−ジメチルヘプタノール、1−オクテン−3−オール、2,6−ノナジエノール、3,6−ノナジエオール、ウンデカベルトール(ジボダン社商品名、4−メチル−3−デセン−5−オール)、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、イソシクロゲラニオール、o−tert−ブチルシクロヘキサノール、p−tert−ブチルシクロヘキサノール、マイヨール(フィルメニッヒ社商品名、4−(1−メチルエチル)−シクロヘキサンメタノール)、アンバーコア(花王株式会社商品名、1−(2−tert−ブチルシクロヘキシル)−2−ブタノール)、チンベロール(シムライズ社商品名、1−(2,2,6−トリメチルシクロヘキシル)ヘキサン−3−オール)、サンダルマイソールコア(花王株式会社商品名、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール)、バクダノール(IFF社商品名、2−エチル‐4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール)、フロローサ(ジボダン社商品名、4−メチル−2−(2−メチルプロピル)テトラヒドロ−2H−4−ピラノール)、マグノール(花王株式会社商品名、(4−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)シクロヘキサノールおよび(2−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−7−イル)シクロヘキサノールなどを含む異性体混合物)等が挙げられる。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、trans−2−ヘキセノール、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−メタノール、イソシクロゲラニオール、マイヨール、マグノールおよびフロローサが好ましい。
テルペン系アルコールとしては、シトロネロール、ヒドロキシシトロネロール、リナロール、ジヒドロリナロール、テトラヒドロリナロール、エチルリナロール、ゲラニオール、ネロール、テトラヒドロゲラニオール、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、テトラヒドロミルセノール、オシメノール、テルピネオール、メントール、ボルネオール、フェンキルアルコール、ファルネソール、ネロリドール、セドロール等が挙げられる。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、シトロネロール、ヒドロキシシトロネロール、リナロール、ジヒドロリナロール、テトラヒドロリナロール、エチルリナロール、ゲラニオール、ネロール、テトラヒドロゲラニオール、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、テトラヒドロミルセノール、テルピネオール、ネロリドールが好ましい。
芳香族アルコールとしては、ベンジルアルコール、スチラリルアルコール、フェネチルアルコール、クミンアルコール、ジメチルフェニルエチルカルビノール、シンナミックアルコール、フェニルヘキサノール(花王株式会社商品名)、パンプルフルール(IFF社商品名、4−フェニルペンタノール)、マジャントール(シムライズ社商品名、2,2−ジメチル−3−(3−メチルフェニル)プロパノール)等が挙げられる。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、ベンジルアルコール、スチラリルアルコール、フェネチルアルコール、ジメチルフェニルエチルカルビノール、フェニルヘキサノール、パンプルフルール、マジャントールが好ましい。
フェノール類としては、アネトール、グアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール等が挙げられる。
アルデヒド類としては、上記アルコール類と同様に脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、芳香族アルデヒド等が挙げられ、アルコール類香料成分の官能基のみを変換したアルデヒド類はいずれも香料成分として挙げられる。
その他のアルデヒド類としては、アルデヒドC−6(花王株式会社商品名、ヘキサナール)、アルデヒドC−8(花王株式会社商品名、オクタナール)、アルデヒドC−9(花王株式会社商品名、ノナナール)、アルデヒドC−10(花王株式会社商品名、デカナール)、アルデヒドC−11UNDECYL(花王株式会社商品名、ウンデカナール)、アルデヒドC−111LEN(花王株式会社商品名、10−ウンデセナール)、2−メチルデカナール、アルデヒドC−12LAURYL(花王株式会社商品名、ドデカナール)、アルデヒドC−12MNA(花王株式会社商品名、2−メチルウンデカナール)、cis−4−デセナール、trans−4−デセナール、フローラルスーパー(IFF社商品名、4,8−ジメチルデカ−4,9−ジエナール)、ポレナールII(花王株式会社商品名、2−シクロヘキシルプロパナール)、マイラックアルデヒド(IFF社商品名、4(3)−(4−メチル−3−ペンテン−1−イル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド)、リラール(IFF社商品名、4(3)−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド)、セトナール(ジボダン社商品名、トリメチルシクロヘキセンメチルブタナール)、ベルンアルデヒド(ジボダン社商品名、1−メチル−4−(4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセンカルボキシアルデヒド)、メロゾン(IFF社商品名、オクタヒドロ‐4,7−メタノインデンカルボキシアルデヒド)、センテナール(フィルメニッヒ社商品名、メトキシジシクロペンタジエンカルボキシアルデヒド)、デュピカール(ジボダン社商品名、4−トリシクロデシリデンブタナール)、ベルガマール(IFF社商品名、3,7−ジメチル−2−メチレン−6−オクテナール)、カンホレンアルデヒド、ブルゲオナール(ジボダン社商品名、3−(4−tert−ブチルフェニル)プロパナール)、シクラメンアルデヒド(ジボダン社商品名、3−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロピオンアルデヒド)、フロラロゾン(IFF社商品名、3−(4−エチルフェニル)−2,2−ジメチルプロピオンアルデヒド)、スザラール(高砂香料工業株式会社)商品名、3−(4−イソブチルフェニル)−2−メチルプロピオンアルデヒド)、リリアール(ジボダン社商品名、3−(4−t−ブチルフェニル)−2−メチルプロピオンアルデヒド)、アミルシンナミックアルデヒド(花王株式会社商品名)、ヘキシルシンナミックアルデヒド(花王株式会社商品名)、カントキサール(IFF社商品名、2−メチル−3−(4−メトキシフェニル)プロパナール)、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン(高砂香料工業社商品名、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド)、ヘリオナール(IFF社商品名、α−メチル−1,3ベンゾジオキソール−5−プロパナール)、トリプラール(IFF社商品名、2,4−ジメチル−3−シクロヘキサン−1−カルボキシアルデヒド)、2,6−ノナジエナール等が挙げられる。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、cis−4−デセナール、フローラルスーパー、リラール、セトナール、センテナール、デュピカール、ブルゲオナール、シクラメンアルデヒド、フロラロゾン、スザラール、リリアール、アミルシンナミックアルデヒド、ヘキシルシンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘリオナールが好ましい。
ケトン類としては、メチルヘプテノン、ジメチルオクテノン、3−オクタノン、ヘキシルシクロペンタノン、o−tert−ブチルシクロヘキサノン、ジヒドロジャスモン、ベルートン(フィルメニッヒ社商品名、2,2,5−トリメチル−5−ペンチルシクロペンタノン)、ネクタリル(ジボダン社商品名、2−(2−(4−メチル−3−シクロヘキセン−1−イル)プロピル)シクロペンタノン)、イオノン、メチルイオノン、γ−メチルイオノン、ダマスコン、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、イソダマスコン(シムライズ社商品名、1−(2,4,4−トリメチル−2−シクロヘキシル)−trans−2−ブタノン)、ダマセノン、ダイナスコン(フィルメニッヒ社商品名、1−(5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテン−1−オン)、ベチコン(シムライズ社商品名、4−メチル−4−フェニル−2−ペンタノン)、イロン、カシュメラン(IFF社商品名、1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,1,2,3,3−ペンタメチル−4H−インデン−4−オン)、イソ・イー・スーパー(IFF社商品名、1−(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−エタン−1−オン)、カロン(フィルメニッヒ社商品名、7−メチル−3,5−ジヒドロ−2H−ベンゾジオキセピン−3−オン)、カルボン、メントン、アセチルセドレン、イソロンギフォラノン、ヌートカトン、ベンジルアセトン、ラズベリーケトン、ベンゾフェノン、トナリド(PFW社商品名、6−アセチル−1,1,2,4,4,7−ヘキサメチルテトラヒドロナフタレン)、β−メチルナフチルケトン、エチルマルトール、カンファー、ムスコン、ムセノン(フィルメニッヒ社商品、3−メチル−5−シクロペンタデセン−1−オン)、シベトン、グロバノン(シムライズ社商品名、8−シクロヘキサデセノン)等が挙げられる。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、ヘキシルシクロペンタノン、ジヒドロジャスモン、ベルートン、ダマスコン、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、イソダマスコン、ダマセノン、ベンジルアセトン、ベンゾフェノン、β−メチルナフチルケトンが好ましい。
アセタール類としては、アントキサン(花王株式会社商品名)、ボアザンブレンフォルテ(花王株式会社商品名、エトキシメチルシクロドデシルエーテル)、トロエナン(花王株式会社商品名、5−メチル−5−プロピル−2−(1−メチル−ブチル)−1,3−ジオキサン)、メチルパンプルムース(ジボダン社商品名、1,1−ジメトキシ−2,2,5−トリメチル−4−ヘキセン)、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、アセトアルデヒドエチルリナリルアセタール、シトラールジメチルアセタール、ヒドラトロプアルデヒドジメチルアセタール、ベルドキサン(花王株式会社商品名)、フロロパール(シムライズ社商品名、2,4,6−トリメチル−2−フェニル−1,3−ジオキサン)等が挙げられる。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、トロエナン、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、アセトアルデヒドエチルリナリルアセタール、フロロパールが好ましい。
エーテル類としては、ハーバベール(花王株式会社商品名)、セドリルメチルエーテル、アンブロキサン(花王株式会社商品名)、アンブロテック(花王株式会社商品名)、メチルイソオイゲノール、シトロネリルエチルエーテル、ゲラニルエチルエーテル、1,8−シネオール、ローズオキサイド、ジヒドロローズオキサイド、リナロールオキサイド、エストラゴール、アネトール、ヒノキチオール、ジフェニルオキサイド、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、ガラクソリド(IFF社商品名、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−γ−2−ベンゾピラン)等が挙げられる。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、シトロネリルエチルエーテル、ゲラニルエチルエーテル、ローズオキサイド、ジヒドロローズオキサイド、リナロールオキサイド、ジフェニルオキサイド、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテルが好ましい。
香料素材として用いられるエステル類としては、脂肪族カルボン酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、その他のカルボン酸エステルが挙げられる。
脂肪族カルボン酸エステルを形成する脂肪族カルボン酸としては、炭素数1〜18の直鎖及び分岐鎖カルボン酸が挙げられるが、中でもギ酸、酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、酪酸等の炭素数1〜6のカルボン酸、特に酢酸が重要である。芳香族カルボン酸エステルを形成する芳香族カルボン酸としては、安息香酸、アニス酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸、フェニルグリシド酸類、アントラニル酸類等が挙げられる。脂肪族及び芳香族エステルを形成するアルコールとしては、炭素数1〜5の直鎖及び分岐鎖脂肪族アルコール及び上記の香料成分アルコール類が挙げられる。
その他のカルボン酸エステルとしては、エチルサフラネート(ジボダン社商品名、ジヒドロシクロゲラン酸エチル)、ポワレネート(花王株式会社商品名)、フルテート(花王株式会社商品名、エチルトリシクロ[5.2.1.02.6]デカン−2−カルボキシレート)、ジャスモン酸メチル、MDJ(花王株式会社商品名、ジヒドロジャスモン酸メチル)、プロピオン酸トリシクロデセニル等が挙げられる。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、エチルサフラネート、ジャスモン酸メチル、MDJが好ましい。
カーボネート類としては、リファローム(IFF社商品名、cis−3−ヘキセニルメチルカーボネート)、ジャスマシクラット(花王株式会社商品名)、フロラマット(花王株式会社商品名)等が挙げられる。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、ジャスマシクラット、フロラマットが好ましい。
ラクトン類としては、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、δ−デカラクトン、ジャスモラクトン(フィルメニッヒ社商品名、テトラヒドロ−6−(3−ヘキセニル)−2H−ピラン−2−オン)、γ−ウンデカラクトン、クマリン、オクタヒドロクマリン、フロレックス(フィルメニッヒ社商品名、6−エチリデンオクタヒドロ−5,8−メタノ−2H−1−ベンゾピラン−2−オン)、シクロペンタデカノリド、ハバノライド(フィルメニッヒ社商品名、12(11)−オキサシクロヘキサデセン−2−オン)、アンブレットライド(IFF社商品名、10−オクタシクロヘプタデセン−2−オン)、エチレンブラシレート等が挙げられる。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、ジャスモラクトンが好ましい。
オキシム類としては、ブッコキシム(シムライズ社商品名、1,5−ジメチル−ビシクロ[3,2,1]オクタン−8−オンオキシム)、ラビエノキシム(ジボダン社商品名、2,4,4,7−テトラメチル−6,8−ノナジエン−3−オンオキシム)、5−メチル−3−ヘプタノンオキシム等が挙げられる。
ニトリル類としては、ドデカンニトリル、シトロネリルニトリル、クミニルニトリル、シンナミルニトリル、ピオニル(ジボダン社商品名、2−シクロヘキシリデン−2−フェニルアセトニトリル)等が挙げられる。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、ピオニルが好ましい。
シッフ塩基類としては、オーランチオール(ジボダン社商品名、N−(3,7−ジメチル−7−ヒドロキシオクチリデン)−アントラニル酸メチル)、リガントラール(ジボダン社商品名、3,5−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−イル−メチレンアントラニル酸メチル)、2−[(2−メチルウンデシリデン)アミノ]安息香酸メチル等が挙げられる。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、オーランチオール、リガントラールが好ましい。
アミド類としては、ガルダマイド(ジボダン社商品名、N,2−ジメチル−N−フェニルブチルアミド)、パラダイスアミド(ジボダン社商品名、2−エチル−N−メチル−N−(3−メチルフェニル)ブタンアミド)等が挙げられる。
その他の含窒素化合物としては、ピロール類、インドール類、チアゾール類等が挙げられる。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、インドール類が好ましい。
含硫黄化合物としては、チオール類、スルフィド類、チオフェン類、チオカルボン酸類、環状チオエーテル類等が挙げられる。
天然精油や天然抽出物としては、オレンジ、レモン、ライム、ベルガモット、ペチグレン、ネロリ、バニラ、マンダリン、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、ラバンジン、カモミル、ローズマリー、ユーカリ、セージ、バジル、ローズ、ロックローズ、ゼラニウム、ジャスミン、イランイラン、アニス、クローブ、ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、セダーウッド、ヒノキ、ベチバー、グアイヤックウッド、パチュリ、レモングラス、ラブダナム、ガルバナム、オリバナム、ガージャンバルサム等が挙げられる。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムと調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、ネロリ、ラベンダー、ラバンジン、カモミル、ローズマリー、ローズ、ロックローズ、ゼラニウム、ジャスミン、イランイランが好ましい。
これらのその他の香料の含有量は、調合香料の種類、目的とする香気の種類及び香気の強さ等により適宜選択することができるが、香料組成物の甘さを強め、ボリューム感を向上させる観点から、香料組成物中、それぞれ好ましくは0.0001〜99.99質量%、より好ましくは0.001〜80質量%であり、香料組成物中、合計で好ましくは5〜99.99質量%、より好ましくは50〜99.9質量%である。
本発明の香料組成物は、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムの香気に加え、さらに甘さが強められ、ボリューム感が向上されるという効果も奏する。このような香料組成物は、例えば、洗浄剤組成物や繊維処理組成物、化粧料等の賦香に好適に使用することができる。
〔賦香成分としての使用〕
本発明の2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する香料組成物は、グリーンフローラル及びフルーティ様香気を有し、残香性に優れる調合香料として、各種製品の賦香成分として使用することができる。従って、本発明は、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを賦香成分として使用する方法、好ましくは、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを香料組成物、洗浄剤組成物、繊維処理組成物又は化粧料の賦香成分として使用する方法である。当該化合物の具体的な使用方法としては、単独で又は他の成分と組み合わせて、石鹸、化粧料、洗剤、柔軟剤、スプレー製品、芳香剤、香水、入浴剤等のトイレタリー製品のベースに含有させることができる。
なかでも、本発明の香料組成物に含有される2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムは、グリーンフローラル及びフルーティ様香気を有することから、賦香成分として洗浄剤組成物、繊維処理組成物、化粧料に用いることが好ましく、残香性に優れることから、洗浄剤組成物に用いることが好ましい。
したがって、本発明は、本発明の香料組成物を含有する洗浄剤組成物、柔軟剤組成物等の繊維処理組成物、化粧料も提供する。
本発明の香料組成物は、前記のように、甘さとボリューム感を有する。本発明の香料組成物に更に活性剤や油剤などが配合された場合にも、本発明の香料組成物自体の場合と香り強度が同等であり、かつ、香りを向上させることから、本発明の香料組成物は、洗浄剤組成物、繊維処理組成物、化粧料に用いることが好ましく、洗浄剤組成物に用いることが好ましい。
本発明の洗浄剤組成物としては、身体用洗浄剤組成物、衣料用洗浄剤組成物、硬質表面用洗浄剤組成物が好ましく、身体用洗浄剤組成物、衣料用洗浄剤組成物がより好ましく、身体用洗浄剤組成物が更に好ましい。
身体用洗浄剤組成物の例としては、皮膚用洗浄剤組成物、毛髪用洗浄剤組成物が挙げられ、皮膚用洗浄剤組成物が好ましい。
硬質表面用洗浄剤組成物の例としては、多用途洗浄剤(All purpose Cleaner)、食器用洗浄剤組成物が挙げられる。
本発明の繊維処理組成物としては、柔軟剤組成物が好ましい。
本発明の化粧料としては、香水が好ましい。
本発明の洗浄剤組成物には、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム又は本発明の2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する香料組成物以外に、陰イオン界面活性剤を含有することが好ましく、更に非イオン界面活性剤、pH調整剤、粘度調整剤、溶媒、油剤、防腐剤、水等を配合することができる。
本発明の柔軟剤組成物には、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム又は本発明の2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する香料組成物以外に、陽イオン界面活性剤を含有することが好ましく、更にpH調整剤、溶媒、油剤、防腐剤、水等を配合することができる。
本発明の香水には、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム又は本発明の2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する香料組成物以外に、溶媒、水等を配合することができる。
2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムは、前記のように、グリーンフローラル及びフルーティ様香気を有し、かつ残香性に優れる。従って、本発明は、前記のように、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを賦香成分として使用する方法であり、例えば香料組成物、洗浄剤組成物、繊維処理組成物又は化粧料の賦香成分として使用する方法である。前記洗浄剤組成物としては、身体用洗浄剤組成物、衣料用洗浄剤組成物、硬質表面用洗浄剤組成物が好ましく、身体用洗浄剤組成物、衣料用洗浄剤組成物がより好ましく、身体用洗浄剤組成物が更に好ましい。前記身体用洗浄剤組成物の例としては、皮膚用洗浄剤組成物、毛髪用洗浄剤組成物が挙げられ、皮膚用洗浄剤組成物が好ましい。前記硬質表面用洗浄剤組成物の例としては、多用途洗浄剤(All purpose Cleaner)、食器用洗浄剤組成物が挙げられる。前記繊維処理組成物としては、柔軟剤組成物が好ましい。前記化粧料としては、香水が好ましい。
前記使用する方法において、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムは、香料組成物の甘さとボリューム感を向上させる観点から、香りを付与する対象(例えば香料組成物、洗浄剤組成物、繊維処理組成物又は化粧料)全体に対して、好ましくは0.01〜99質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは0.3〜25質量%の量で使用する。
前記使用する方法において、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムは、甘さとボリューム感を向上させ、更に活性剤や油剤などが配合された場合にも、香り強度を維持し、香りをを向上させることから、香りを付与する対象(例えば香料組成物、洗浄剤組成物、繊維処理組成物又は化粧料)全体に対して、好ましくは0.01〜99質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは0.3〜25質量%の量で使用する。
前記使用する方法において、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを賦香成分として用いる香料組成物には、それ自身は匂いを持たない油剤を含有させてもよい。前記油剤については、前記香料組成物において説明したものと同様である。また、前記使用する方法において、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを賦香成分として用いる香料組成物には、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム以外に、その他の香料として、通常用いられる他の香料成分や、所望組成の調合香料を含んでもよい。そのような、その他の香料としては、前記香料組成物において説明したものと同様である。
前記使用する方法において、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを賦香成分として用いる洗浄剤組成物、繊維処理組成物又は化粧料には、それ自身は匂いを持たない油剤を含有させてもよい。前記油剤については、前記香料組成物において説明したものと同様である。また、前記使用する方法において、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを賦香成分として用いる香りを付与する対象(例えば、洗浄剤組成物、繊維処理組成物又は化粧料)には、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム以外に、その他の香料として、通常用いられる他の香料成分や、所望組成の調合香料を含んでもよい。そのような、その他の香料としては、前記香料組成物において説明したものと同様である。
[2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムの製造方法]
本発明において用いられる2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムは、一般的な有機化学反応を用いて合成することができ、その製造方法に制限はない。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを製造する方法としては、2−n−ペンチルシクロペンタノンをオキシム化する工程により、製造することが好ましい。
Figure 0005681751
2−n−ペンチルシクロペンタノンは、公知文献に基づき、製造することができる。2−n−ペンチルシクロペンタノンは、市販品としては、Firmenich社製、商品名Delphone等を入手することができる。
<オキシム化工程>
本工程における好適な方法としては、2−n−ペンチルシクロペンタノンとヒドロキシルアミンを混合する方法が好ましく、具体的には2−n−ペンチルシクロペンタノンにヒドロキシルアミン水溶液を滴下する方法、ヒドロキシルアミン水溶液に2−n−ペンチルシクロペンタノンを滴下する方法、2−n−ペンチルシクロペンタノンとヒドロキシルアミンの無機酸塩の水溶液を混合したところに、塩基を滴下する方法が挙げられ、なかでも、2−n−ペンチルシクロペンタノンとヒドロキシルアミンの無機酸塩の水溶液を混合したところに、塩基を滴下する方法が好ましい。この方法によれば、塩基を滴下することで、反応系内で遊離ヒドロキシルアミンを発生させることができ、その結果、副反応を抑制し、反応を安全に行うことができる。
本工程に用いられるヒドロキシルアミンの無機酸塩としては、副反応の抑制と経済性の観点から、ヒドロキシルアミン硫酸塩又はヒドロキシルアミン塩酸塩を用いるのが好ましく、収率および選択性の観点から、ヒドロキシルアミン硫酸塩を用いるのがより好ましい。
ヒドロキシルアミン又はその無機酸塩の使用量は、反応後処理の簡便さと経済性の観点から、ヒドロキシルアミン換算で2−n−ペンチルシクロペンタノンに対して0.8〜3.0モル倍が好ましく、0.8〜2.0モル倍がより好ましく、0.8〜1.5モル倍がさらに好ましい。
前記塩基を滴下する好適な方法に用いられる塩基としては、ヒドロキシルアミンより強塩基であるものが用いられ、なかでも水溶性であることが好ましい。経済的観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましい。操作性と作業効率の観点から、アルカリ金属の水酸化物の20〜50質量%水溶液を用いることが好ましい。
オキシム化反応は無溶媒で行ってもよいが、徐熱と反応の進行に伴う反応液の粘度上昇を抑制する観点から、溶媒を用いることが好ましい。溶媒としては、原料である2−n−ペンチルシクロペンタノンとヒドロキシルアミンを溶解し易い脂肪族アルコール、または水が好ましく、水がより好ましい。前記脂肪族アルコールとしては、炭素数1〜3の脂肪族アルコールが好ましく、炭素数1〜3の直鎖脂肪族アルコールがより好ましく、エタノール、イソプロピルアルコール等がさらに好ましい。前記溶媒としては、脂肪族アルコールと水の混合物、または水が好ましく、水がより好ましく、水のみが更に好ましい。
用いる溶媒の量としては、徐熱と反応の進行に伴う反応液の粘度上昇を抑制する観点から、ヒドロキシルアミン又はその無機酸塩を用いる場合、ヒドロキシルアミン又はその無機酸塩に対して、0.5〜10質量倍が好ましく、1〜5質量倍がより好ましく、2〜4質量倍が更に好ましい。また、用いる溶媒の量としては、徐熱と反応の進行に伴う反応液の粘度上昇を抑制する観点から、2−n−ペンチルシクロペンタノンに対しては、0.1〜5質量倍が好ましく、0.5〜3質量倍がより好ましく、1〜2質量倍が更に好ましい。
反応温度は、反応を効率的に完結させ、ヒドロキシルアミンの発熱的分解を抑制する観点から、20〜60℃に保つことが好ましい。
本工程によって得られる2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムは、香料素材としてより好ましい品質に改善する観点から、蒸留精製等で溶媒や高沸点の副生物を除去することが好ましい。
なお、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムは、例えば、N.Radulovicら、Food and Chemical Toxicology 2012年,50,274−279ページに記載の方法に従い、製造してもよい。
また、本発明は、2−n−ペンチルシクロペンタノンをオキシム化して2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを得る工程、及び油剤及び/又は2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム以外の香料を混合する工程を有する、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する香料組成物の製造方法である。前記2−n−ペンチルシクロペンタノンをオキシム化して2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを得る工程において、溶媒を用いるのが好ましい。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下の2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムの製造方法、香料組成物、洗浄剤組成物、繊維処理組成物、化粧料、使用する方法を開示する。
<1> 2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する香料組成物。
<2> 2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムの含有量が、前記香料組成物中、好ましくは0.01〜99質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは0.3〜25質量%である<1>に記載の香料組成物。
<3> 2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム以外の香料を更に含有する<1>または<2>に記載の香料組成物。
<4> 更に油剤を含有する、<1>〜<3>のいずれかに記載の香料組成物。
<5> 前記油剤の含有量が、前記香料組成物中、好ましくは0.01〜95質量%、より好ましくは1〜90質量%、さらに好ましくは5〜80質量%である<1>〜<4>のいずれかに記載の香料組成物。
<6> 前記2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム以外の香料が、炭化水素類、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、エーテル類、エステル類、カーボネート類、ラクトン類、オキシム類、ニトリル類、シッフ塩基類、アミド類、含窒素化合物、含硫黄化合物、天然精油および天然抽出物のうち1種以上を含有する、<3>〜<5>のいずれかに記載の香料組成物。
<7> 前記2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム以外の香料が、シトラス調、フローラル調、フルーティ調、ハーバル調、スパイシー調、グリーン調、ウッディ調、バルサミック調、アルデハイディック調、ミンティ調、アロマティック調、アーシー調、モッシー調、ハニー調、レザー調、アニマリック調、アンバー調、およびムスキー調の各香調を有する香料のうち1種以上を含有する、<3>〜<6>のいずれかに記載の香料組成物。
<8> <1>〜<7>のいずれかに記載の香料組成物を含有する洗浄剤組成物。
<9> <1>〜<7>のいずれかに記載の香料組成物を含有する繊維処理組成物。
<10> <1>〜<7>のいずれかに記載の香料組成物を含有する化粧料。
<11> 2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを賦香成分として、好ましくは香料組成物、洗浄剤組成物(好ましくは身体用洗浄剤組成物(例えば皮膚用洗浄剤組成物、毛髪用洗浄剤組成物、好ましくは皮膚用洗浄剤組成物)、衣料用洗浄剤組成物、硬質表面用洗浄剤組成物(例えば多用途洗浄剤、食器用洗浄剤組成物)、より好ましくは身体用洗浄剤組成物、衣料用洗浄剤組成物、さらに好ましくは身体用洗浄剤組成物)、繊維処理組成物(好ましくは柔軟剤組成物)又は化粧料(好ましくは香水)の賦香成分として、使用する方法。
<12> 2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムは、香りを付与する対象(例えば香料組成物、洗浄剤組成物、繊維処理組成物又は化粧料)全体に対して、好ましくは0.01〜99質量%、より好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは0.3〜25質量%の量で使用する<11>に記載の使用する方法。
<13> 更に油剤を使用する<11>または<12>に記載の使用する方法。
<14> 前記油剤は、香りを付与する対象(例えば香料組成物、洗浄剤組成物、繊維処理組成物又は化粧料)全体に対して、好ましくは0.01〜95質量%、より好ましくは1〜90質量%、さらに好ましくは5〜80質量%の量で使用する<13>に記載の使用する方法。
<15> 更に2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム以外の香料を、賦香成分として使用する、<11>〜<14>のいずれかに記載の使用する方法。
<16> 前記2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム以外の香料が、炭化水素類、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、エーテル類、エステル類、カーボネート類、ラクトン類、オキシム類、ニトリル類、シッフ塩基類、アミド類、含窒素化合物、含硫黄化合物、天然精油および天然抽出物のうち1種以上を含有する、<15>に記載の使用する方法。
<17> 前記2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム以外の香料が、シトラス調、フローラル調、フルーティ調、ハーバル調、スパイシー調、グリーン調、ウッディ調、バルサミック調、アルデハイディック調、ミンティ調、アロマティック調、アーシー調、モッシー調、ハニー調、レザー調、アニマリック調、アンバー調、およびムスキー調の各香調を有する香料のうち1種以上を含有する、<15>または<16>に記載の使用する方法。
<18> 2−n−ペンチルシクロペンタノンをオキシム化して2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを得る工程、及び油剤及び/又は2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム以外の香料を混合する工程を有する、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する香料組成物の製造方法。
<19> オキシム化反応に溶媒(例えば、脂肪族アルコールまたは水)を用いる<18>に記載の2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する香料組成物の製造方法。
<20> 前記オキシム化が、2−n−ペンチルシクロペンタノンとヒドロキシルアミンまたはその無機塩を混合することにより行われ、前記溶媒の量が、ヒドロキシルアミン又はその無機酸塩に対して、好ましくは0.5〜10質量倍、より好ましくは1〜5質量倍、さらに好ましくは2〜4質量倍である<18>または<19>のいずれかに記載の香料組成物の製造方法。
<21> 前記オキシム化が、2−n−ペンチルシクロペンタノンとヒドロキシルアミンまたはその無機塩を混合することにより行われ、前記溶媒の量が、2−n−ペンチルシクロペンタノンに対しては、好ましくは0.1〜5質量倍、より好ましくは0.5〜3質量倍、さらに好ましくは1〜2質量倍である<18>〜<20>のいずれかに記載の香料組成物の製造方法。
<22> 2−n−ペンチルシクロペンタノンを溶媒(例えば、脂肪族アルコールまたは水)存在下においてオキシム化して2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを得る工程を有する、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムの製造方法。
<23> 前記オキシム化が、2−n−ペンチルシクロペンタノンとヒドロキシルアミンまたはその無機塩を混合することにより行われ、前記溶媒の量が、ヒドロキシルアミン又はその無機酸塩に対して、好ましくは0.5〜10質量倍、より好ましくは1〜5質量倍、さらに好ましくは2〜4質量倍である<22>に記載の2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムの製造方法。
<24> 前記オキシム化が、2−n−ペンチルシクロペンタノンとヒドロキシルアミンまたはその無機塩を混合することにより行われ、前記溶媒の量が、2−n−ペンチルシクロペンタノンに対しては、好ましくは0.1〜5質量倍、より好ましくは0.5〜3質量倍、さらに好ましくは1〜2質量倍である<22>または<23>に記載の2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムの製造方法。
以下の実施例及び比較例等において行った測定法の詳細を以下にまとめて示す。
以下の製造例において行った測定法の詳細を以下にまとめて示す。
〔転化率および反応収率〕
以下の製造例に示した転化率および反応収率は、内部標準法ガスクロマトグラフィー(GC)定量分析によって求めた。
<ガスクロマトグラフィーの装置及び分析条件>
GC装置:HEWLWTT PACKARD社製、型式:HP6850
カラム:J&W社製、DB−1(内径0.25mm、長さ30m、膜厚0.25μm)
キャリアガス:He、1.5mL/min
注入条件:280℃、スプリット比1/100
検出条件:FID方式、280℃
カラム温度条件:100℃→10℃/分昇温→300℃10分間保持
内部標準化合物:n−ウンデカン
〔化合物の同定〕
以下の製造例で得られた各化合物は、核磁気共鳴スペクトル(Varian社製、型式:Mercury 400)(1H−NMR、13C−NMR)およびフーリエ変換赤外分光光度計(堀場製作所社製、型式:FT−710)のスペクトル分析により同定した。測定条件等は各測定結果に記載した。
〔香料組成物の香気評価〕
調香・香料評価業務の経験が5年以上10年未満の熟練者1名、および25年以上の熟練者2名により、におい紙法により香調と強度を判定した。におい紙(幅6mm長さ150mmの香料試験紙)の先端約5mmを、試料に浸漬し、評価した。
香気は、主として感じられる香り(主香気)を、より強く感じられるものから順に列挙し、さらに、副次的に感じられる香り(副香気)を付記した。
匂い強度は、無臭を0、きわめて強いものを5とする相対評価で表した。
〔残香性評価〕
上記におい紙法と同様にして、試料に浸漬してから、25℃、無風、5m3の室内に放置し、6時間毎に評価して、主香気のにおい強度が0となった時間を示した。時間が大きいものほど、残香性に優れる。
[洗浄剤組成物、繊維処理組成物、および化粧料の香調評価]
評価は、調香・香料評価業務の経験が5年以上10年未満の熟練者1名、および25年以上の熟練者2名により、瓶口香気の香調を判定した。
[製造例1] (2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムの製造)
Figure 0005681751
1Lセパラブルフラスコに、イオン交換水354g、ヒドロキシルアミン硫酸塩140g(0.84モル、ヒドロキシルアミン換算でケトンに対し1.05モル倍)、およびアミルシクロペンタノン250g(2−n−ペンチルシクロペンタノン、Firmenich社製Delphone、1.60モル)を順に加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら45℃に加熱した。反応温度を45〜55℃に保ちながら48質量%水酸化ナトリウム水溶液140g(1.68モル、ヒドロキシルアミン硫酸塩に対し2.00モル倍)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃で23時間加熱撹拌を続けた。反応終了後、静置分層で水層を抜き出し、イオン交換水を加え、50℃下で水洗し、無色粘稠液体の粗生成物278gを得た。粗生成物のガスクロマトグラフィー定量分析の結果、アミルシクロペンタノンの転化率は99.2%、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムの純分は263g(1.55モル)、純度は95.0%、粗収率は97.0%であった。
この粗生成物170gを減圧蒸留精製し、114〜121℃/0.40〜0.54kPaで留出する無色粘稠留分159gを得た。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムの純分は155g(0.92モル)、純度は97.2%であった。
2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムの各スペクトル分析の測定結果を以下に示す。
(1)1H−NMR(CDCl3、400MHz);δ(ppm):0.88(3H、t、J=6.8Hz)、1.22−1.42(8H、m)、1.51−1.66(1H、m)、1.66−1.76(1H、m)、1.76−1.90(1H、m)、1.94−2.02(1H、m)、2.32−2.50(2H、m)、2.55−2.63(1H、m)、9.29(1H、S)。
(2)13C−NMR(CDCl3、100MHz);δ(ppm):14.5、22.9、23.0、27.7、27.8、32.1、32.3、32.6、43.6、169.3。
(3)FT−IR(neat);cm-1:725、846、919、954、1197、1376、1421、1461、1677、2856、2925、2954,3257(br)。
(4)香気:(主香気)グリーン−フローラル(マグノリア)(副香気)フルーティ。
(5)匂い強度:3。
[製造例2]
1Lセパラブルフラスコに、ヒドロキシルアミン硫酸塩138g(0.83モル、ヒドロキシルアミン換算でケトンに対し1.30モル倍)、イオン交換水406g、イソプロピルアルコール129g、アミルシクロペンタノン198g(2−n−ペンチルシクロペンタノン、Firmenich社製Delphone、1.28モル)、を順に加え、窒素雰囲気下で撹拌しながら45℃に加熱した。反応温度を45〜55℃に保ちながら33質量%水酸化ナトリウム水溶液185g(1.53モル、ヒドロキシルアミン硫酸塩に対し1.84モル倍)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、50℃で4.5時間加熱撹拌を続けた。反応終了後、水層を1モル/L硫酸水溶液で中和後、酢酸エチル300gを加え、抽出した。静置分層で水層を抜き出し、飽和食塩水で水洗し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去し、無色粘稠液体の粗生成物220gを得た。粗生成物のガスクロマトグラフィー定量分析の結果、アミルシクロペンタノンの転化率は99.8%、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムの純分は211g(1.24モル)、純度は95.5%、粗収率は96.8%であった。
この粗生成物220gを減圧蒸留精製し、115〜121℃/0.13〜0.16kPaで留出する無色粘稠留分212gを得た。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムの純分は210g(1.24モル)、純度は99.0%であった。
[製造例3] (2−n−ヘキシルシクロペンタノンオキシムの製造)
アミルシクロペンタノンに変えて、2−n−ヘキシルシクロペンタノンを用いた以外は、製造例1と同様にして、2−n−ヘキシルシクロペンタノンオキシムを得た。
各スペクトル分析の測定結果を以下に示す。
(1)1H−NMR(CDCl3、400MHz);δ(ppm):0.88(3H、t、J=6.8Hz)、1.22−1.42(10H、m)、1.52−1.66(1H、m)、1.66−1.77(1H、m)、1.77−1.92(1H、m)、1.94−2.02(1H、m)、2.31−2.52(2H、m)、2.54−2.63(1H、m)、9.02(1H、S)。
(2)13C−NMR(CDCl3、100MHz);δ(ppm):14.6、22.9、23.1、27.7、28.0、29.8、32.1、32.2、32.6、43.6、169.4。
(3)FT−IR(neat);cm-1:723、919、960、1207、1376、1421、1455、1670、2856、2925、2954,3276(br)。
[製造例4] (2−n−ヘプチルシクロペンタノンオキシムの製造)
アミルシクロペンタノンに変えて、2−n−ヘプチルシクロペンタノンを用いた以外は、製造例1と同様にして、2−n−ヘプチルシクロペンタノンオキシムを得た。
各スペクトル分析の測定結果を以下に示す。
(1)1H−NMR(CDCl3、400MHz);δ(ppm):0.88(3H、t、J=6.8Hz)、1.20−1.42(12H、m)、1.52−1.66(1H、m)、1.66−1.77(1H、m)、1.77−1.92(1H、m)、1.94−2.02(1H、m)、2.31−2.52(2H、m)、2.54−2.63(1H、m)、8.99(1H、S)。
(2)13C−NMR(CDCl3、100MHz);δ(ppm):14.6、23.0、23.1、27.7、28.1、29.7、30.1、32.1、32.3、32.7、43.6、169.4。
(3)FT−IR(neat);cm-1:723、919、964、1205、1376、1421、1455、1673、2854、2921、2954,3286(br)。
[製造例1、3、4で得られた化合物及びアミルシクロペンタノンを含有する香料組成物の香気評価結果]
製造例1で得られた化合物をジプロピレングリコールに90質量%の濃度で溶解し、実施例1の香料組成物を調製した後、前記香気評価方法により、香気評価を行った。製造例1で得られた化合物の代わりに、製造例3で得られた化合物、製造例4で得られた化合物または、アミルシクロペンタノン(Fimenich社製 Delphone)を用いて実施例1と同様に行い、比較例1、比較例2または比較例3の組成物を得た。得られた比較例1、比較例2および比較例3の組成物について、実施例1の組成物と同様、香気評価を行った。得られた結果を表1に示す。
Figure 0005681751
本発明の2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する香料組成物は、比較例1および2の他のオキシム化合物及び比較例3の2−n−ペンチルシクロペンタノンを含有する香料組成物とは香気が異なり、グリーンフローラル及びフルーティ様香気を有していた。さらに、本発明の2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する香料組成物は、比較例3の2−n−ペンチルシクロペンタノンを含有する香料組成物に比べ、残香性にも優れていた。
[実施例2及び比較例4、5、6](フルーティ(ピーチ)調の香料組成物)
製造例1で得られた2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを用いて、表2に記載の配合組成になるように、香料を調合し、実施例2及び比較例4、5、6のフルーティ(ピーチ)調の香料組成物をそれぞれ調製した。
Figure 0005681751
1)ジボダン社商品名、N−(3,7−ジメチル−7−ヒドロキシオクチリデン)−アントラニル酸メチル
2)IFF社商品名、2,4−ジメチル−3−シクロヘキサン−1−カルボキシアルデヒド
3)花王商品名、ジヒドロジャスモン酸メチル
4)花王商品名、(4−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)シクロヘキサノールおよび(2−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−7−イル)シクロヘキサノールなどを含む異性体混合物
5)シムライズ社商品名、1,5−ジメチル−ビシクロ[3.2.1]オクタン−8−オンオキシム
評価は、評価は前記香気評価と同様にして行った。その結果を表3に示す。
Figure 0005681751
実施例2の香料組成物は、比較例4、5及び6とは副香気が異なり、ピーチの皮様のグリーンな甘さが強められ、より自然な香りを形成した。さらに、実施例2の香料組成物は、比較例6の香料組成物に比べ、強度が増すだけでなく、甘さとボリューム感の残香性が増し長時間効果が持続した。
[実施例3及び比較例7、8、9](濃縮液体柔軟剤組成物)
表4に示す組成の未賦香の濃縮液体柔軟剤組成物に、実施例2及び比較例4、5、6で得られた香料組成物を1.0質量%となるように加え、実施例3及び比較例7、8、9の濃縮液体柔軟剤組成物をそれぞれ調製した。
Figure 0005681751
1)花王商品名:Tetranyl L1/90S
2)Lonza社商品名:Lonzaserve SG
評価は、前記洗浄剤組成物、繊維処理組成物、化粧料の香調評価の方法によって行った。その結果を表5に示す。
Figure 0005681751
実施例3の柔軟剤組成物は、比較例9の柔軟剤組成物に比べ、ピーチの皮様のグリーンな甘さが強められ、より自然な香りを形成した。さらに、実施例3の柔軟剤組成物は、甘さとボリューム感の残香性が増し長時間効果が持続した。
[実施例4及び比較例10](フローラル(オレンジフラワー)調の香料組成物)
製造例1で得られた2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを用いて、表6に記載の配合組成になるように、香料を調合し、実施例4及び比較例10のフローラル(オレンジフラワー)調の香料組成物をそれぞれ調製した。
Figure 0005681751
1)花王商品名、ジヒドロジャスモン酸メチル
評価は前記香気評価と同様にして行った。実施例4の香料組成物は、比較例10の香料組成物に比べ、オレンジフラワーの甘さとグリーン感が向上し、全体のボリューム感が増した。
[実施例5及び比較例11](皮膚用洗浄剤組成物(ボディーウォッシュ))
表7に示す組成の未賦香の皮膚用洗浄剤組成物(ボディーウォッシュ)に対し、実施例4及び比較例10で得られた香料組成物を0.5質量%となるように加え、実施例5及び比較例11の皮膚用洗浄剤組成物(ボディーウォッシュ)をそれぞれ調製した。
Figure 0005681751
1)花王商品名:Emal 227
2)花王商品名:Betadet HR
3)花王商品名:Amidet B−112
4)Lonza社商品名:Isocil PC
評価は、前記洗浄剤組成物、繊維処理組成物、化粧料の香調評価の方法によって行った。実施例5の皮膚用洗浄剤組成物(ボディーウォッシュ)は、比較例11の皮膚用洗浄剤組成物(ボディーウォッシュ)に比べ、オレンジフラワーの甘さとグリーン感が向上し、全体のボリューム感が増した。
[実施例6及び比較例12](フローラル(マグノリア)調の香料組成物)
製造例1で得られた2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを用いて、表8に記載の配合組成になるように、香料を調合し、実施例6及び比較例12のフローラル(マグノリア)調の香料組成物をそれぞれ調製した。
Figure 0005681751
1)花王商品名、1−(2−tert−ブチルシクロヘキシル)−2−ブタノール)
2)花王商品名、エトキシメチルシクロドデシルエーテル
3)ジボダン社商品名、4−メチル−2−(2−メチルプロピル)テトラヒドロ−2H−4−ピラノール
4)花王商品名、ジヒドロジャスモン酸メチル
5)IFF社商品名、2,4−ジメチル−3−シクロヘキサン−1−カルボキシアルデヒド
6)花王商品名、5−メチル−5−プロピル−2−(1−メチル−ブチル)−1,3−ジオキサン
評価は前記香気評価と同様にして行った。実施例6の香料組成物は、比較例12の香料組成物に比べ、マグノリアのフルーティ感とグリーン感が向上し、より自然な香りを形成し、甘さが強められた。さらに、香り全体にボリューム感が付与された。
[実施例7及び比較例13](毛髪用洗浄剤組成物(シャンプー))
表9に示す組成の未賦香の毛髪用洗浄剤に、実施例6及び比較例12で得られた香料組成物を0.5質量%となるように加え、実施例7及び比較例13の毛髪用洗浄剤組成物をそれぞれ調製した。
Figure 0005681751
1)花王商品名:Emal 227
2)花王商品名:Betadet HR
3)花王商品名:Amidet B−112
4)Lonza社商品名:Isocil PC
評価は、前記洗浄剤組成物、繊維処理組成物、化粧料の香調評価の方法によって行った。実施例7の毛髪用洗浄剤組成物は、比較例13の毛髪用洗浄剤組成物に比べ、マグノリアのフルーティ感とグリーン感が向上し、より自然な香りを形成し、甘さが強められた。さらに、香り全体にボリューム感が付与された。
[実施例8及び比較例14](ウッディ(ベチバー)調の香料組成物)
製造例1で得られた2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを用いて、表10に記載の配合組成になるように、香料を調合し、実施例8及び比較例14のウッディ(ベチバー)調の香料組成物をそれぞれ調製した。
Figure 0005681751
1)PFW社商品名、2−イソブチルチアゾール(1%ジプロピレングリコール溶液)
2)シムライズ社商品名、4−メチル−4−フェニル−2−ペンタノン
評価は前記香気評価と同様にして行った。実施例8の香料組成物は、比較例14の香料組成物に比べ、甘さが強められ、ベチバーらしさが際立っていた。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムが、ウッディ調を形成する成分を際立たせており、ボリューム感も向上した。
[実施例9及び比較例15](香水)
エタノールに、実施例8及び比較例14で得られた香料組成物を10質量%となるように加え、実施例9及び比較例15の香水をそれぞれ調製した。
評価は前記香気評価と同様にして行った。実施例9の香水は、比較例15の香水に比べ、甘さが強められ、ベチバーらしさが際立っていた。2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムが、ウッディ調を形成する成分を際立たせており、ボリューム感も向上した。
2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムは、香料として有用なグリーンフローラル及びフルーティ様香気を有するため、本発明の2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含む香料組成物は、香料素材として用いることができる。さらに本発明の2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含む香料組成物は、は、残香性に優れ、かつ、他の香料と調合することで甘さを強め、ボリューム感を向上することが可能である。
以上から、本発明の2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する香料組成物は、洗浄剤組成物、繊維処理組成物、化粧料等の賦香成分として使用できる。

Claims (11)

  1. 2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する香料組成物。
  2. 2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム以外の香料を更に含有する請求項1に記載の香料組成物。
  3. 更に油剤を含有する、請求項1または2に記載の香料組成物。
  4. 前記2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム以外の香料が、炭化水素類、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、エーテル類、エステル類、カーボネート類、ラクトン類、オキシム類、ニトリル類、シッフ塩基類、アミド類、含窒素化合物、含硫黄化合物、天然精油および天然抽出物のうち1種以上を含有する、請求項2または3に記載の香料組成物。
  5. 前記2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム以外の香料が、シトラス調、フローラル調、フルーティ調、ハーバル調、スパイシー調、グリーン調、ウッディ調、バルサミック調、アルデハイディック調、ミンティ調、アロマティック調、アーシー調、モッシー調、ハニー調、レザー調、アニマリック調、アンバー調、およびムスキー調の各香調を有する香料のうち1種以上を含有する、請求項2〜4のいずれかに記載の香料組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の香料組成物を含有する洗浄剤組成物。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の香料組成物を含有する繊維処理組成物。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の香料組成物を含有する化粧料。
  9. 2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを賦香成分として使用する方法。
  10. 2−n−ペンチルシクロペンタノンをオキシム化して2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを得る工程、及び油剤及び/又は2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシム以外の香料を混合する工程を有する、2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する香料組成物の製造方法。
  11. オキシム化反応に溶媒を用いる請求項10に記載の2−n−ペンチルシクロペンタノンオキシムを含有する香料組成物の製造方法。
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