JP5681740B2 - ヒドロキシメチルグルタリルCoAレダクターゼの発現をbHLH型転写因子により調整する方法、bHLH型転写因子をコードする遺伝子が導入されたイソプレノイド産生植物、及び該イソプレノイド産生植物を用いたポリイソプレノイドの製造方法 - Google Patents
ヒドロキシメチルグルタリルCoAレダクターゼの発現をbHLH型転写因子により調整する方法、bHLH型転写因子をコードする遺伝子が導入されたイソプレノイド産生植物、及び該イソプレノイド産生植物を用いたポリイソプレノイドの製造方法 Download PDFInfo
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[1]配列番号1,3,5のいずれかの配列番号で表される塩基配列からなるDNA
[2]配列番号1,3,5のいずれかの配列番号で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ転写因子活性を有する蛋白質をコードするDNA
[1]配列番号2,4,6のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質
[2]配列番号2,4,6のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつ転写因子活性を有する蛋白質
[3]配列番号2,4,6のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ転写因子活性を有する蛋白質
[1]配列番号1,3,5のいずれかの配列番号で表される塩基配列からなるDNA
[2]配列番号1,3,5のいずれかの配列番号で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ転写因子活性を有する蛋白質をコードするDNA
なお、本明細書において、転写因子とは、遺伝子の転写量を増加もしくは減少(好ましくは増加)させる活性を有するタンパク質のことを言う。
bHLH型転写因子の具体例としては、下記[1]が挙げられる。
[1]配列番号2,4,6のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質
[2]配列番号2,4,6のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつ転写因子活性を有する蛋白質
ここで、本明細書において、転写因子活性とは、ヒドロキシメチルグルタリルCoAレダクターゼをコードする遺伝子の転写量を増加もしくは減少(好ましくは増加)させる活性をいう。
[3]配列番号2,4,6のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ転写因子活性を有する蛋白質
[1−1]配列番号2,4のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質
[2−1]配列番号2,4のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつ転写因子活性を有する蛋白質
[3−1]配列番号2,4のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ転写因子活性を有する蛋白質
のいずれかであることが好ましく、
[1−2]配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質
[2−2]配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1若しくは複数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつ転写因子活性を有する蛋白質
[3−2]配列番号2で表されるアミノ酸配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ転写因子活性を有する蛋白質
のいずれかであることがより好ましい。
また、bHLH型転写因子をコードするDNAとしては、下記[1]又は[2]が挙げられる。
[1]配列番号1,3,5のいずれかの配列番号で表される塩基配列からなるDNA
[2]配列番号1,3,5のいずれかの配列番号で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ転写因子活性を有する蛋白質をコードするDNA
[1−1]配列番号1,3のいずれかの配列番号で表される塩基配列からなるDNA
[2−1]配列番号1,3のいずれかの配列番号で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ転写因子活性を有する蛋白質をコードするDNA
のいずれかであることが好ましく、
[1−2]配列番号1で表される塩基配列からなるDNA
[2−2]配列番号1で表される塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ転写因子活性を有する蛋白質をコードするDNA
のいずれかであることがより好ましい。
bHLH型転写因子をコードする遺伝子を宿主に導入することにより、bHLH型転写因子を発現するように形質転換された生物体(形質転換体)が得られる。そして、当該形質転換体では、bHLH型転写因子が発現することにより、ヒドロキシメチルグルタリルCoAレダクターゼの発現が調整(増強)される。その結果、MVA経路によるIPP生合成の律速部位が増強されることにより、ポリイソプレノイドの生合成経路が好適に増強され、形質転換体においてポリイソプレノイドの製造量を好適に増大できる。
benguetensis Merr.)、ムクイヌビワ(Ficus irisana Elm.)、ガジュマル(Ficus microcarpa L.f.)、オオバイヌビワ(Ficus septica Burm.f.)、ベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)等のFicus属;グアユール(Parthenium argentatum)、アメリカブクリョウサイ(Parthenium hysterophorus)、ブタクサ(Parthenium hysterophorus)等のParthenium属;レタス(Lactuca serriola)、ベンガルボダイジュ等が挙げられる。なかでも、Hevea属、Sonchus属、Taraxacum属、及びParhenium属からなる群より選択される少なくとも1種の属に属する植物であることが好ましく、パラゴムノキ、ノゲシ、グアユール、及びロシアンタンポポからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
プロモーターとしては、植物細胞中で機能するものであればいずれのものを用いてもよく、例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)の35Sプロモーター、イネアクチン1プロモーター、ノパリン合成酵素遺伝子プロモーター、タバコモザイクウィルスの35Sプロモーター、イネ由来アクチン遺伝子プロモーター等をあげることができる。
パラゴムノキの葉由来のHMG−CoAレダクターゼをコードする遺伝子(該遺伝子の塩基配列を配列表配列番号7に示す)とそのプロモーターを含むDNA断片を以下の手順でクローニングした。まず、パラゴムノキの葉からゲノムDNAを抽出した。抽出は市販のゲノムDNA抽出キットを用いて行った。HMG−CoAレダクターゼをコードする遺伝子のプロモーター領域を含む遺伝子の増幅はプライマー1〜6に示すようなランダムプライマーとHMG−CoAレダクターゼをコードする遺伝子に対応したプライマーを用いたTAIL−PCR法を行うことにより得た。
プライマー1:5’−ntcgastwtsgwgtt−3’ (配列番号9)
プライマー2:5’−ngtcgtswganawgaa−3’ (配列番号10)
プライマー3:5’−wgtgnagwancanag−3’ (配列番号11)
プライマー4:5’−sttntastnctntgc−3’ (配列番号12)
プライマー5:5’−sstggstanatwatwct−3’ (配列番号13)
プライマー6:5’−agwgnagwancanaga−3’ (配列番号14)
上記遺伝子のプロモーター領域は以下の範囲をPCRによって増幅した。
HMG−CoAレダクターゼプロモーター:−1〜−1500bp、−1〜−1000bp、−1〜−500bp
PCR産物はpMD20T(タカラバイオ社製)にクローニングし、pMD20T−hmgpro(−1500)、pMD20T−hmgpro(−1000)、pMD20T−hmgpro(−500)を構築した。挿入されたPCR産物のシークエンス解析を行うことにより変異導入がないことを確認した。
(プロモーター領域の増幅)で構築したプラスミドをSpeIと、HindIII、KpnI、又はBamHIで制限処理することにより、pYES3/CT /LacZのT7プロモーター領域が除かれた部位、すなわちレポーターであるlacZ遺伝子の直上に、各プロモーター配列断片を組み込み、pYES3−hmgprolacZ(−1500)、pYES3−hmgprolacZ(−1000)、pYES3−hmgpro(−500)を構築した。ライゲーションはLigation high ver.2(TOYOBO社製)を用いて行った。
(レポーター配列結合ベクターの構築)で構築したプラスミドのSpeIサイトからCYC1 transcription termination signalまでをPCRで増幅し、その断片をSalI、SmaI、XbaI、又はSphIで制限酵素処理を行うことにより、各種プロモーター配列とlacZ遺伝子を連結させたDNA断片を得た。得られたDNA断片を酵母の染色体上に挿入するため、同じく制限酵素処理したpAUR101 DNA(タカラバイオ社製)に組み込み、pAUR101−hmgprolacZ(−1500)、pAUR101−hmgprolacZ (−1000)、pAUR101−hmgpro(−500)を構築した。ライゲーションは先ほど同様Ligation high ver.2を用いて行った。
次に、シロイヌナズナのcDNAライブラリーを鋳型にし、PCRを行った。PCRによりAt1g63650(Myc2)(配列番号1)、At5g54680(ILR3)(配列番号3)、At1g02340(HFR1)(配列番号5)の3種類のPCR断片が得られた。得られたPCR産物はpMD20Tにクローニングし、pMD20T−Myc2、pMD20T−ILR3、pMD20T−HFR1を構築した。挿入されたPCR産物のシークエンス解析を行うことにより変異導入がないことを確認した。
(転写因子遺伝子の獲得)で構築したプラスミドをSpeI、BamHI、又はEcoRVで制限処理することにより、p427TEF (コスモバイオ社製)のTEF1プロモーター領域の下流に、各転写因子遺伝子を組み込み、pTEF−Myc2、pTEF−ILR3、pTEF−HFR1を構築した。ライゲーションはLigation high ver.2を用いて行った。
(酵母染色体への遺伝子導入ベクターの構築)と(転写因子発現ベクターの構築)において構築したプラスミドはエレクトロポレーション法を用いることにより酵母(BY4741株)に導入した。遺伝子導入酵母の選別は抗真菌抗生物質であるAureobasidin A(タカラバイオ社製)とG418(和光純薬社製)を含む培地上で酵母を培養することで行った。
形質転換酵母をX−galを含む培地上で培養することにより、転写因子活性によるlacZの発現を調査した。具体的には、プロモーター配列につながれたレポーター遺伝子であるlacZが発現すると、培地に含まれるX−galが分解されて青色を呈するため、青色を呈した場合に、転写因子活性によりlacZが発現したと判断した。10回試験を行い、転写因子活性によりlacZが発現した回数を表1に示した。
配列番号1:シロイヌナズナ由来のMyc2をコードする遺伝子の塩基配列
配列番号2:シロイヌナズナ由来のMyc2のアミノ酸配列
配列番号3:シロイヌナズナ由来のILR3をコードする遺伝子の塩基配列
配列番号4:シロイヌナズナ由来のILR3のアミノ酸配列
配列番号5:シロイヌナズナ由来のHFR1をコードする遺伝子の塩基配列
配列番号6:シロイヌナズナ由来のHFR1のアミノ酸配列
配列番号7:パラゴムノキ由来のHMG−CoAレダクターゼをコードする遺伝子の塩基配列
配列番号8:パラゴムノキ由来のHMG−CoAレダクターゼのアミノ酸配列
配列番号9:プライマー1
配列番号10:プライマー2
配列番号11:プライマー3
配列番号12:プライマー4
配列番号13:プライマー5
配列番号14:プライマー6
配列番号15:パラゴムノキ由来のHMG−CoAレダクターゼのプロモーター配列の塩基配列
Claims (4)
- basic−helix−loop−helix型転写因子(bHLH型転写因子)をコードする遺伝子を宿主に導入することにより、該宿主において、ヒドロキシメチルグルタリルCoAレダクターゼの発現を増強し、
該遺伝子が、以下の[1]又は[2]に記載のDNAであり、
該宿主が、Hevea属、Sonchus属、Taraxacum属、及びParthenium属からなる群より選択される少なくとも1種の属に属する植物である
方法。
[1]配列番号1,3,5のいずれかの配列番号で表される塩基配列からなるDNA
[2]配列番号1,3,5のいずれかの配列番号で表される塩基配列と90%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ転写因子活性を有する蛋白質をコードするDNA - 前記bHLH型転写因子が、以下の[1]〜[3]のいずれかに記載の蛋白質である請求項1に記載の方法。
[1]配列番号2,4,6のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質
[2]配列番号2で表されるアミノ酸配列において、1〜60個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつ転写因子活性を有する蛋白質、配列番号4で表されるアミノ酸配列において、1〜23個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつ転写因子活性を有する蛋白質、又は、配列番号6で表されるアミノ酸配列において、1〜29個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、及び/又は付加を含む配列からなり、かつ転写因子活性を有する蛋白質
[3]配列番号2,4,6のいずれかの配列番号で表されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ転写因子活性を有する蛋白質 - bHLH型転写因子をコードする遺伝子が導入され、
該遺伝子が、以下の[1]又は[2]に記載のDNAであり、
Hevea属、Sonchus属、Taraxacum属、及びParthenium属からなる群より選択される少なくとも1種の属に属する植物であるイソプレノイド産生植物。
[1]配列番号1,3,5のいずれかの配列番号で表される塩基配列からなるDNA
[2]配列番号1,3,5のいずれかの配列番号で表される塩基配列と90%以上の配列同一性を有する塩基配列からなり、かつ転写因子活性を有する蛋白質をコードするDNA - 請求項3に記載のイソプレノイド産生植物を用いたポリイソプレノイドの製造方法。
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