JP5681563B2 - 密着性評価方法 - Google Patents

密着性評価方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5681563B2
JP5681563B2 JP2011112846A JP2011112846A JP5681563B2 JP 5681563 B2 JP5681563 B2 JP 5681563B2 JP 2011112846 A JP2011112846 A JP 2011112846A JP 2011112846 A JP2011112846 A JP 2011112846A JP 5681563 B2 JP5681563 B2 JP 5681563B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
peeling
thin film
energy
horizontal force
peel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011112846A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012242248A (ja
Inventor
良平 豊川
良平 豊川
弘高 伊藤
弘高 伊藤
佐藤 俊樹
俊樹 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2011112846A priority Critical patent/JP5681563B2/ja
Publication of JP2012242248A publication Critical patent/JP2012242248A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5681563B2 publication Critical patent/JP5681563B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Strength Of Materials By Application Of Mechanical Stress (AREA)

Description

本発明は、基材と薄膜との密着性を評価する密着性評価方法に関するものである。
従来、薄膜の密着性評価方法として、テープを薄膜に貼り付けて引き剥がす方法、ダイヤモンド等の圧子で薄膜表面を引っ掻くスクラッチ法、引張り治具を薄膜表面に接着剤で貼り付けて引き剥がす引張り型試験方法、および薄膜そのものをチャッキングして特定角度を保持したまま引き剥がすピール試験等が汎用的に用いられてきた。
しかしながら、いずれの方法も定性的な密着性評価は可能であるが、定量的な密着性評価はできない。また、試験に要求されるサンプルサイズが必然的に大きくなり、試験上のサンプルサイズに対する制限が大きくなってしまう。
上記の方法に対してサイカス試験法といった評価方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。この方法では、刃幅が数百μmの硬質材切刃を用いて、薄膜が下地より剥離する際の切刃にかかる水平力を測定することで、薄膜の密着性を評価でき、従来の手法と比較して微小領域での試験が可能であるとされる。
特開2002−195938号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のサイカス試験法において、剥離時の上記水平力の大きさと密着性との物理的な関係については、水平力と試験時間との関係をグラフ化して判断することが提案されているだけで、定量的な密着性評価方法ではない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、基材と薄膜との密着性を定量的に評価することができる密着性評価方法を提供することである。
本発明に係る密着性評価方法は、基材とその上に形成された薄膜との密着性を評価する密着性評価方法であって、切刃により基材から薄膜を剥離させる剥離工程を有し、剥離した薄膜は、第1の折れ曲がり部と当該第1の折れ曲がり部に隣接する第2の折れ曲がり部とを有しており、さらに、第1の折れ曲がり部と第2の折れ曲がり部とに挟まれる薄膜の剥離面積を算出する剥離面積算出工程と、薄膜を剥離させる際の切刃の水平力を得る水平力取得工程と、水平力の時間についての積分値と切刃の水平速度との積により、剥離に要する剥離エネルギーを算出する剥離エネルギー算出工程と、剥離エネルギーを剥離面積で除算することにより、単位面積当たりの単位剥離エネルギーを算出する単位剥離エネルギー算出工程と、を有することを要旨とする。
本発明に係る密着性評価方法においては、剥離工程で剥離した薄膜は、第1の折れ曲がり部とこれに隣接する第2の折れ曲がり部とを有しており、周期的に折れ曲がりつつ剥離するものである。
このような剥離態様の薄膜を剥離させる切刃の水平力の経時的変化においては、後述するように周期的に極大値が出現する。なお上記水平力はロードセルで測定できる。
ここで、本発明者らは、試験中の詳細な断面観察を行った結果、各剥離部が先端を中心に折れ曲がりつつ浮き上がり始めることで、水平力が極大値(山部)から谷部へ向けて低下し、剥離は水平力の低下直前である山部近傍の極短時間で終了していると考えられることを見出した。また、本発明者は、薄膜が基材との密着により剥離し難いために、所定水平速度で移動しようとする切刃が移動を妨げられて薄膜に押し付けられるために、水平力の谷部から山部への上昇が起こることも見出した。
したがって、薄膜の剥離は、水平力が山部の極大値近傍、すなわち、剥離を起こす臨界水平力に到達した時点で発生し、剥離進行中に切刃に負荷される仕事が、剥離進行や剥離部の曲げ・摩擦として消費されると本発明者らは考えた。
よって本発明に係る密着性評価方法では、剥離に要する剥離エネルギーを算出するにあたり、例えば水平力の最大値を含む所定時間区間における水平力の積分値を用い、当該積分値と切刃の水平速度との積によって剥離エネルギーを算出するようにする。そして、算出した剥離エネルギーを剥離面積で除算することによって単位面積当たりの剥離エネルギーである単位剥離エネルギーを算出することができる。この単位剥離エネルギーを用いて基材と薄膜との密着性を定量的に評価することが可能となる。なお切刃の水平速度は当該切刃を移動させる駆動源であるモータの回転速度から得ることができる。
上記剥離エネルギー算出工程においては、剥離エネルギーに対して、剥離時の薄膜の曲げによるひずみエネルギーや薄膜と切刃との摩擦エネルギーが無視できる程小さい場合には、上記剥離エネルギーから上記ひずみエネルギーおよび上記摩擦エネルギーを減算しなくてもよい。
上記水平力は周期的に極大値が現われる変化を示し、上記剥離面積算出工程においては、極大値の一周期の時間と切刃の水平速度との積を、第1の折れ曲がり部から第2の折れ曲がり部までの長さである剥離長さと擬制し、当該剥離長さと薄膜の剥離幅との積によって剥離面積を算出するようにすれば、剥離長さの実測を行わずに上記剥離面積を算出することができる。
上記剥離面積算出工程においては、試験中または試験後に測定した第1の折れ曲がり部から第2の折れ曲がり部までの長さと薄膜の剥離幅との積によって剥離面積を算出してもよい。
剥離エネルギー算出工程における積分値は、水平力が極大値になる時間を少なくとも含む時間区間を積分区間としたものであることが好ましい。薄膜の剥離は水平力が極大になったときに起こっているので、その区間で積分することにより剥離エネルギーを精度良く求めることが可能となる。
上記積分区間は、水平力が極大値になった後でかつ当該極大値の80%未満になる時間区間を含まないことが好ましい。水平力が極大値になった後に加えられたエネルギーは剥離(クラック)には使用されないので、この時間区間を除くことにより剥離エネルギーを精度良く求めることが可能となる。
本発明に係る密着性評価方法によれば、算出した単位剥離エネルギーを用いて、基材とその上に形成された薄膜との密着性を定量的に評価することが可能となる。
本実施形態において基材から薄膜を剥離する様子を示す説明図である。 薄膜の剥離の様子を示す説明図である。 切刃の水平力の経時的変化を示す説明図である。 (a)は切刃の水平力の経時的変化を示すグラフであり、(b)は(a)の一領域の拡大グラフである。
以下、本実施形態に係る薄膜の密着性評価方法について図面を参照しつつ説明する。
1.基材及び薄膜について
図1は本実施形態において基材から薄膜を剥離する様子を示す説明図である。
本実施形態に係る密着性評価方法では、図1に示すように、基材1上に形成された薄膜2を切刃10によって剥離させる際の単位剥離エネルギーを算出することにより、基材1と薄膜2との密着性を評価することができる。
図1では切刃10が矢印Aの方向に沿って移動することにより、基材1から薄膜2が剥離されるようになっている。なお、同図中、3は基材1と薄膜2との界面を示している。界面3とは基材1とその上部に形成された薄膜2との界面の他、基材1上に形成された第1薄膜と第2薄膜との界面、あるいは2以上の積層構造の薄膜における各層間の界面を含むものとする。
切刃10の材質としては、基材1および薄膜2の材料よりも硬さの硬い材料であれば特に制限はないが、塑性変形を起こさないためには硬さが硬い方が好まれることから、例えばダイヤモンド、超硬、焼結CBN(立方晶窒化ホウ素)材料等からなる切刃10を用いることが望ましい。
基材1は、金属、セラミックス、樹脂などで構成されたものであり、例えば単結晶シリコンウエハ基材、ガラス基材、銅あるいは銅合金基材、アルミあるいはアルミ合金基材などであるが、特に限定されるものではない。
基材1上に形成する薄膜2は、金属膜(純金属、合金膜、アモルファス金属膜等)、セラッミック膜(窒化膜、炭化膜、ダイヤモンドライクカーボン膜等)、または樹脂膜(FEPT膜等)等であり、基材1上に一層以上形成される。二層以上の多層膜の場合には、同種の薄膜材料からなるものでも、異種の薄膜材料からなるものでもよく、特に限定されるものではない。
また、薄膜2の形成方法は特に限定されるものではないが、例えば真空蒸着法(物理蒸着法(スパッタ法、アークイオンプレーティング法、分子線エピタキシー(MBE)法、蒸着法等)、化学蒸着法(熱CVD法、プラズマCVD法等))や、スピンコーターによって塗布する形成方法、溶射、および浸漬(めっき等)法等が挙げられる。
本実施形態に係る密着性評価方法を適用する対象である薄膜2は、試験時に剥離部が周期的に折れ曲がりながら剥離挙動を示すものであり、具体的には図2に示すように、剥離部20が略円を描くように、直線状の複数の剥離部20(剥離部20a,20b,20c,・・・)を形成するように剥離するものである。同図中、21(21a,21b,21c,・・・)は剥離部20の端部における折れ曲がり部を示している。なお、一つの剥離部20(剥離部20a,20b,20c,・・・)の長さを剥離長さlc(剥離長さlca,lcb,lcc,・・・)とする。
このような剥離挙動を示す薄膜2の例としては、膜厚2μm程度またはこれ以下の金属膜、特にAl膜およびCu膜が挙げられる。なお、薄膜の剥離は、基材と薄膜との界面で剥離破壊により起こる場合もあれば、基材と薄膜との界面近傍における一方の内部で亀裂進行が起こることによる凝集破壊によって生じる場合もある。本実施形態に係る密着性評価方法は上記両方の剥離の場合に適用することができる。なお、剥離幅は切刃幅Lに対して長い場合でも短い場合でもよく、特に制限されるものではない。但し、剥離幅は好ましくは切刃幅以下がよい。さらに好ましくは、剥離幅は切刃幅と同じとするのがよい。
2.本実施形態における定量的密着性評価方法について
本実施形態では、剥離進行時の切刃10の水平力Fと試験時間tとの関係を用いて、剥離(凝集破壊)に要した単位剥離面積当たりのエネルギー(以下、単位剥離エネルギーと称する)Gaを算出する。以下、その算出方法を詳細に説明する。
まず、切刃10が行った仕事Uは、下記式(1)により算出される。なお、Vは切刃10の水平速度であり、taは剥離進行時間(所定時間区間)である。
Figure 0005681563
また、上記の仕事Uには下記式(2)の関係が成立し、仕事Uは、剥離(凝集破壊)に要した剥離エネルギーUaの他、剥離箇所の曲げによるひずみエネルギーUbや切刃すくい面と剥離箇所との接点間の摩擦エネルギーUfとして消費されるので、単位剥離エネルギーGaは下記式(3)によって算出される。
Figure 0005681563
Figure 0005681563
但し、UbやUfがUaに対して無視できる程小さい場合には、下記式(4)、(5)が成立する。この場合、U=Uaとなる。
Figure 0005681563
Figure 0005681563
上記式(5)により、単位剥離エネルギーGa(剥離エネルギーUaを剥離面積(剥離長さlc×剥離幅L)で除算したもの)を算出することができる。
よって、得られた単位剥離エネルギーGaに基づいて、基材と薄膜との密着性について定量的に評価することができる。なお、単位剥離エネルギーGaを算出する際に用いる剥離面積(剥離長さlc×剥離幅)の剥離幅については、当該剥離幅と切刃幅Lとが同じであるとして、切刃幅Lの値を用いている。なお、剥離幅が切刃幅Lに対して小さい場合にはサンプル幅の値が上記剥離幅として用いられる。
図3は切刃の水平力Fの経時的変化KHを示す説明図である。
薄膜2が周期的に折れ曲がりながら剥離する挙動を示す場合(上記図2参照)、図3に示すように、切刃の水平力Fの経時的変化KHにおいて山部(極大値)と谷部とが周期的に現れる。
試験後の薄膜の断面観察を行うと、一度に剥離した剥離部20の剥離長さ(クラック長さとも称する場合がある)lcが、当該剥離部20のほぼ直線形状となっている部分の長さと考えられ(上記図2参照)、本発明者らは、水平力Fの経時的変化KHにおいて、一度の剥離した剥離部20の剥離長さlcは、山部の1周期に相当する試験時間t1と切刃の水平速度Vとの積にほぼ一致することを見出した。
上記の山部の1周期に相当する試験時間t1については、切刃が基材表面を擦らないで移動している領域に対応する時間であれば、いずれの時間を採用してもよく、特に限定されるものではない。但し、周期が変化すると水平力Fも変化するため、複数の周期を平均化した値を用いて剥離部20の剥離長さlcを算出することは、定量的な評価上好ましくない。
なお、上述のように試験時間t1と水平速度Vとの積によって剥離部20の剥離長さlcを求める代わりに、別の方法として、試験中または試験後に、剥離した薄膜材料の断面観察を行うことで剥離部20の剥離長さlcを実測してもよい。この際、実測した剥離部20の剥離長さlcが、剥離エネルギーを求める際に用いる水平力Fの経時的変化KHにおけるt1に対応したものであることを確認しておくことが好ましい。
断面観察の方法としては、例えば試験後のサンプルの断面を作製し、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡意(SEM)等を用いて観察する方法や、試験中に断面観察が可能なサンプルを用意し、CCDカメラ、光学顕微鏡、または走査型電子顕微鏡(SEM)等の適当な観察装置をサンプル断面が観察できるように取り付けて観察する等の方法があるが、特に限定されるものではない。
続いて、図4(a)は切刃の水平力Fの経時的変化KHを示すグラフであり、(b)は(a)の領域E1の拡大グラフである。
図4(a)において、領域E2における水平力Fが大きいのは、基材から薄膜を剥離させる前に、薄膜の上面から下面に向けて当該薄膜に切り込みを入れているためである(図1参照)。したがって、領域E2における水平力Fについては剥離エネルギーを算出する上で考慮しないこととする。
図4(b)に示すように、切刃の水平力Fの経時的変化KHにおいて山部と谷部とが周期的に現れる。なお、図4(b)では2つの山部30,31を示している。
試験中の詳細な断面観察を行った結果、本発明者らは、各剥離部がその先端を中心に折れ曲がりつつ浮き上がり始めることで、水平力Fが山部30,31から谷部へ向けて低下し、剥離は水平力Fの低下直前である山部近傍の極短時間で終了していると考えられることを見出した。
また、薄膜が基材との密着により剥離し難いために、水平速度Vで移動しようとする切刃が移動を妨げられて薄膜に押し付けられるために、水平力Fの谷部から山部への上昇が起こることも分かった。
したがって、薄膜の剥離は、水平力Fが山部30,31の最大値近傍、すなわち、剥離を起こす臨界水平力に到達した時点で発生し、剥離進行中に切刃に負荷される仕事Uが、剥離進行や剥離部の曲げ・摩擦として消費されると本発明者らは考えた。
以上のことを鑑みて、薄膜の剥離は、上記山部近傍のうち特に最大値を含む区間であって、かつ、水平力が極大値になった後でかつ当該極大値の80%未満になる時間区間を含まない区間で進行すると考え、この区間に対応する時間を所定時間区間としての上記剥離進行時間taとした。なお単位剥離エネルギーGaの計算精度を向上させるため、剥離進行の様子を試験中の断面観察によって捉えることによって実測した剥離進行時間を用いてもよい。
なお、上記実施形態では、経時的変化KHにおいて水平力Fを用いたが、水平力F/切刃幅L、または水平力F/サンプル幅を用いてもよく、試験時間tについては、試験時間tと切刃の水平速度Vとの積を代わりに用いてもよい。
本発明はもとより上記実施形態によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
本実施例では、Al(1μm)/Corning#1737ガラスについて、成膜前の基板処理条件として、処理条件1(成膜前基板イオンボンバード処理なし)と、処理条件2(成膜前基板イオンボンバード処理180秒実施)とを実施して2検体を作製した。
剥離面積算出工程において剥離面積を算出する際には、水平力Fの極大値の一周期の時間と切刃の水平速度Vとの積を、隣り合う折れ曲がり部間の長さである剥離長さと擬制し、当該剥離長さと薄膜の剥離幅との積によって剥離面積を算出した。
また、剥離エネルギー算出工程において、剥離エネルギーを算出する際に用いる切刃の水平速度Vは1.0μm/秒とし、サンプリングレート(dt)は0.2秒とし、所定時間区間taは0.2秒間(水平力Fが極大となっている1サンプリング区間)とした。なお、剥離時の薄膜の曲げによるひずみエネルギー、および薄膜と切刃との摩擦エネルギーについては、剥離が終了した後に剥離部が浮き上がると考えて無視したため、算出した剥離エネルギーからはこれらを減算していない。
上記算出した剥離エネルギーを上記算出した剥離面積で除算することにより得られた単位剥離エネルギーGa、およびStudPull(引張り型)試験により剥離させたときの引張り荷重の結果を表1に示す。なお、表1の各値は平均値である。
Figure 0005681563
StudPull(引張り型)試験とは、剥離させる薄膜に引張り治具を接着剤により貼り付け、剥離させた時の引張り荷重で密着性を定性的に判断するという簡易的手法である。なお、剥離進行時の剥離箇所の曲げ、および剥離箇所と切刃間の摩擦を考慮した場合に単位剥離エネルギーGaがマイナスの値を示したことから、剥離終了後に剥離部が浮き上がると考えて、曲げによるひずみエネルギーUbおよび摩擦エネルギーUfを無視した。また、剥離進行の時間としては上述の剥離進行時間taを採用した。
処理条件1では単位剥離エネルギーGaの値の幅が6.5〜9.0J/mとなり、処理条件2では単位剥離エネルギーGaの値の幅が1.2〜2.0J/mとなり、処理条件1では処理条件2よりも高い密着性を得ることができるという結果となった。
また、同一サンプルについてStudPull(引張り型)試験により引張り荷重を測定した場合でも、処理条件1を施した薄膜付き基材の方が処理条件2のものよりも大きくなったので、単位剥離エネルギーGaの上記算出結果の大小関係を裏付ける結果を得ることができた。
さらに、例えば文献(清野 豊:材料試験技術 Vol.54 No.4 P8−14(2009年))に掲載されている種々の薄膜材料と基材についての単位剥離面積当たりの凝集・破壊エネルギーを4点曲げ法によって求めた結果によると、当該エネルギー値のオーダは数〜数十J/mであるので、上記算出した単位剥離エネルギーGaの値は妥当であることが確認できた。なお成膜前基板イオンボンバード処理は通常密着性を向上させるための前処理であるが、この処理によって密着性が低下したことについての詳細な原因は不明であるが、基材の洗浄がそもそも不十分であった可能性が高いと推測される。
1 基材
2 薄膜
3 界面
10 切刃
20 剥離部
21 折れ曲がり部
水平力
Ga 単位剥離エネルギー
KH 水平力の経時的変化
lc 剥離長さ
ta 剥離進行時間
V 切刃の水平速度

Claims (6)

  1. 基材とその上に形成された薄膜との密着性を評価する密着性評価方法であって、
    切刃により前記基材から前記薄膜を剥離させる剥離工程を有し、
    剥離した薄膜は、第1の折れ曲がり部と当該第1の折れ曲がり部に隣接する第2の折れ曲がり部とを有しており、
    さらに、前記第1の折れ曲がり部と前記第2の折れ曲がり部とに挟まれる前記薄膜の剥離面積を算出する剥離面積算出工程と、
    前記薄膜を剥離させる際の前記切刃の水平力を得る水平力取得工程と、
    前記水平力の時間についての積分値と前記切刃の水平速度との積により、前記剥離に要する剥離エネルギーを算出する剥離エネルギー算出工程と、
    前記剥離エネルギーを前記剥離面積で除算することにより、単位面積当たりの単位剥離エネルギーを算出する単位剥離エネルギー算出工程と、
    を有することを特徴とする密着性評価方法。
  2. 前記剥離エネルギー算出工程においては、算出した前記剥離エネルギーから、前記剥離時の前記薄膜の曲げによるひずみエネルギー、および前記薄膜と前記切刃との摩擦エネルギーを減算するようにする請求項1に記載の密着性評価方法。
  3. 前記水平力は周期的に極大値が現われる変化を示し、
    前記剥離面積算出工程においては、前記極大値の一周期の時間と前記切刃の水平速度との積を、前記第1の折れ曲がり部から前記第2の折れ曲がり部までの長さである剥離長さと擬制し、当該剥離長さと前記薄膜の剥離幅との積によって前記剥離面積を算出する請求項1または2に記載の密着性評価方法。
  4. 前記剥離面積算出工程においては、試験中または試験後に測定した前記第1の折れ曲がり部から前記第2の折れ曲がり部までの長さと前記薄膜の剥離幅との積によって前記剥離面積を算出する請求項1または2に記載の密着性評価方法。
  5. 前記剥離エネルギー算出工程における積分値は、前記水平力が極大値になる時間を少なくとも含む時間区間を積分区間としたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の密着性評価方法。
  6. 前記積分区間は、前記水平力が極大値になった後でかつ当該極大値の80%未満になる時間区間を含まない請求項5に記載の密着性評価方法。
JP2011112846A 2011-05-19 2011-05-19 密着性評価方法 Active JP5681563B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011112846A JP5681563B2 (ja) 2011-05-19 2011-05-19 密着性評価方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011112846A JP5681563B2 (ja) 2011-05-19 2011-05-19 密着性評価方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012242248A JP2012242248A (ja) 2012-12-10
JP5681563B2 true JP5681563B2 (ja) 2015-03-11

Family

ID=47464111

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011112846A Active JP5681563B2 (ja) 2011-05-19 2011-05-19 密着性評価方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5681563B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6275248B2 (ja) * 2013-09-18 2018-02-07 ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アクチェンゲゼルシャフトThyssenKrupp Steel Europe AG 被覆された平坦な製品の摩耗特性を判定する方法および装置
CN117990606B (zh) * 2024-04-07 2024-06-07 清华大学深圳国际研究生院 一种复合绝缘子界面老化性能评估装置及方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4061524B2 (ja) * 2000-12-27 2008-03-19 ダイプラ・ウィンテス株式会社 積層構造破壊強度評価方法
JP5403609B2 (ja) * 2009-09-29 2014-01-29 ダイプラ・ウィンテス株式会社 表層密着強度測定方法および装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012242248A (ja) 2012-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN105027436A (zh) 复合基板、弹性波装置及弹性波装置的制造方法
TWI616544B (zh) 被覆工具及其製造方法
EP1990632A2 (fr) Dispositif de mesure de déformations et son procédé de fabrication
TW201351437A (zh) 晶片接合用導電性膏以及利用該導電性膏作晶片接合之方法
JP5681563B2 (ja) 密着性評価方法
JP2018501641A (ja) バイアボトムアップ電解メッキ方法
TWI673177B (zh) 複合基板、奈米碳膜之製作方法及奈米碳膜
JP5975747B2 (ja) 真空チャンバー構成部品
KR101309046B1 (ko) 피막의 계면접착력 측정방법
JP2006284453A (ja) 薄膜密着性評価方法
JP2018172740A (ja) スパッタリングターゲット−バッキングプレート接合体及びその製造方法
TW201545221A (zh) 可降低晶圓壞率的晶塊切割方法
CN114394589A (zh) 一种在含氧化层硅衬底上转移应变石墨烯的方法
US10957628B2 (en) Bottom up electroplating with release layer
JP6944956B2 (ja) 半導体基板の裏面電極の電極構造及びその製造方法、並びに、該電極構造の製造に供されるスパッタリングターゲット
JP6032667B2 (ja) 接合方法
JP2004170160A (ja) 無機質膜の剥離力測定方法及び測定装置
JP5153271B2 (ja) 粘着テープ
JP6689309B2 (ja) スパッタリングターゲット部材、スパッタリングターゲット組立体及びスパッタリングターゲット部材の製造方法
WO2023048042A1 (ja) ガラス板の製造方法、及びガラス板の検査方法
US9496128B1 (en) Controlled spalling utilizing vaporizable release layers
Civrac de Fabian et al. Electrical and mechanical characterisation of Si/Al ohmic contacts on diamond
JP5048436B2 (ja) 粘着テープの製造方法
Shuting et al. Quantitative investigation of the adhesion failure of Ti-based metal thin films on Si wafers
Park et al. P‐39: Detachment of Polymeric Substrate Using CO2 Point Laser for Large‐Area Flexible Display: An Alternative Approach for Laser Lift‐Off

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130902

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140519

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140527

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20150106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150109

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5681563

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150