JP5680396B2 - 遠心圧縮機の羽根車 - Google Patents
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Description
一般的なスプリッタブレード03の場合、図25のように、フルブレード01の入口端縁(LE1)より一定距離下流側にスプリッタブレード03の入口端縁(LE2)が位置され、出口端縁(TE)は一致して設けられ、スプリッタブレード03の入口端縁の翼角θ(入口端縁の方向とインペラ05の軸方向Gとの成す角度として示す)は、フルブレード01間の流路を流れる流体の流れ方向Fと同一に設定されている。
また、スプリッタブレードの入口端部を、フルブレードの負圧面側に傾けたものとして特許文献2(特許3876195号公報)についても知られている。
すなわち、従来型インペラ構造ではこのフルブレードの入口端縁の先端からの漏れ渦とスプリッタブレードの入口端縁との干渉に対する対策がなされていないため、十分な性能が得られていなかった。
前記遠心圧縮機は前記フルブレード先端とシュラウドとの間に翼端隙間が形成され、該翼端隙間から前記スプリッタブレードの前縁部に向かって発生する翼端漏れ渦に対して、大流量時に生成される前記翼端漏れ渦が前記スプリッタブレードの前縁部を乗り越えるように、若しくは前記翼端漏れ渦の方向に一致するように前記スプリッタブレードの前縁部のシュラウド側をフルブレードの周方向等間隔位置からフルブレードの負圧面側に寄せて配置したことを特徴とする。
そこで、本発明では、スプリッタブレードの前縁部のシュラウド側をフルブレードの周方向等間隔位置からフルブレードの負圧面側に寄せて配置することによって、翼端漏れ渦との干渉を回避している。
例えば、図21は縦軸に騒音ピーク値を、横軸に共振周波数をとったグラフであり、スプリッタブレードの周方向位置を10%負圧面側に移動させた場合、スプリッタブレード間隔は、一方は従来の50%から40%に2割狭くなるため、周波数が2割高くなる。また、他方は従来の50%から60%に2割広がるため、周波数は2割低下する。結果的には、位相がずれることでピーク値がaからbに低減(図21(B))する。
このように、スプリッタブレードの前縁部のシュラウド側をフルブレードの負圧面側に寄せて配置することに加えて、ハブ側をフルブレードの正圧面側に寄って配置させることによって、スプリッタブレードによって分割される流路のスロート幅に偏りが生じて、流量の不均一の原因となるが、かかる構成によって、この流量の不均一を解消して流量配分を均一にするように作用する。
従って、流路の断面積の不均一によって分割された流路に流量差が生じることによる性能低下が防止される。
このように、前縁部のシュラウド側をフルブレードの等間隔の位置よりフルブレードの負圧面側に偏らせて設置したものに加えて、後縁部のシュラウド側をフルブレードの周方向等間隔位置からフルブレードの負圧面側に寄せて配置することによって、前縁部のシュラウド側だけを偏らせた場合には、スプリッタブレードによって分割される流路幅の前縁部と後縁部との前後の分布に偏りが生じ、前縁から後縁にかけて流速の不均一を生じる原因となるが、かかる構成によれば、分割されたそれぞれの流路における流速の増減速がなく流速を均一にして圧縮機の性能低下を防止できる。
このように、前縁部のシュラウド側をフルブレードの等間隔の位置よりフルブレードの負圧面側に偏らせ、さらにハブ側をフルブレードの等間隔の位置よりフルブレードの正圧面側に偏らせて設置したものに加えて、後縁部において同様にシュラウド側をフルブレードの周方向等間隔位置からフルブレードの負圧面側に寄らせ、さらにハブ側をフルブレードの等間隔の位置よりフルブレードの正圧面側に偏らせて設置するものである。
従って、分割されたそれぞれの流路での流速の増減をなくすとともに、流量配分の均一化によって圧縮機の性能低下を防止できる。
大流量時には、漏れ渦がフルブレードの負圧面側に偏るため(図2参照)、この漏れ渦の傾斜角度に合わせるようにスプリッタブレードの前縁の迎い角度を、フルブレードのスプリッタブレードの前縁と同一翼高さ位置での傾斜角度より増大させて設定することで、翼端漏れ渦が強くなる小流量時に翼端漏れ渦との干渉を確実に、且つ効率良く回避することができるようになる。なお、翼端漏れ渦の方向は、数値解析または台上試験によって求める。
但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は本発明のスプリッタブレードが適用される遠心圧縮機のインペラ(羽根車)の要部を示す斜視図である。インペラ1は、図示しないローター軸に嵌着されたハブ3の上面に複数の互いに隣り合うフルブレード(全翼)5と、そのフルブレード5の間に設けられるスプリッタブレード(短翼)7とが、周方向に等ピッチで交互に立設されている。そして、スプリッタブレード7は、フルブレード5よりも流体の流れ方向に対して長さが短く、前後のフルブレード5の間に形成される流路9の途中から出口部にかけて設けられている。インペラ1は矢印方向に回転し、その中心がOで示される。
スプリッタブレード7のリーディングエッジである前縁7aは、フルブレード5のリーディングエッジである前縁5aより流れ方向下流側に位置して、スプリッタブレード7のトレーリングエッジの後縁7bと、フルブレード5のトレーリングエッジの後縁5bとの位置は周方向で一致して設けられている。
また、スプリッタブレード7の形状はフルブレード5に沿うようになっていて、スプリッタブレード7の前縁7aの傾斜角度βはフルブレード5の傾斜角度と同一になっている。
従って、フルブレード5の前縁の先端部分(シュラウド側)とシュラウドとの隙間部分を通って隣(回転方向前側)の流体通路のフルブレード5の正圧面側の流体がフルブレード5の負圧面側に漏れる翼端漏れ流れWが生じる。
フルブレード5のリーディングエッジ5a部の先端部のシュラウドとの隙間部Bを通って翼端漏れ流れが生じる。この翼端漏れ流れWは、図22のように、強い渦流(翼端漏れ渦)を伴っており、フルブレード5に沿う流れに対して強いブロック作用を有するため、スプリッタブレード7の前縁7aの近傍では、流れはフルブレード5に沿った流れとはならず、前記渦を核としてスプリッタブレード7の前縁に向かう偏流Mを生じる。
ほぼ対向(一致)するようにとは、スプリッタブレード7の前縁7aのシュラウド側の傾斜角度βと翼端漏れ渦の流れ方向とがほぼ一致して、渦流れとスプリッタブレード7の前縁7のシュラウド側とが干渉し合わない状態をいう。
または、後側フルブレード5Rの前縁5aから該後側フルブレード5Rに隣接して回転方向前側に設けられる前側フルブレード5Fの負圧面側Sbへの最小距離を形成する所謂スロートの中心位置と、前側フルブレード5Fの前縁5aとを結んで形成されるラインを翼端漏れ渦の向きとして線Zとし、その線Zと前後のフルブレード5Fと5Rの中間点との交点として設定する場合がある。
何れ手法にしても、基準となる翼端漏れ渦の方向を示す基準となる線Zを求めて、そのラインと前後のフルブレード5Fと5Rの中間点との交点として設定される。
図5はスプリッタブレード7の前縁形状を示す正面図であり、図6はスプリッタブレード7の後縁形状を示す正面図であり、後縁7bは変化させていないが、前縁7aのシュラウド側だけが前側フルブレード5Fの負圧面側Sbに傾けている。
すなわち、図2に示すように、大流量側での実機による試験によって、スプリッタブレード7の前縁7aの向い角度を設定することで広い運転範囲において確実に、翼端漏れ渦の干渉を確実に防止することができるようになる。
例えば、図21に示すように、スプリッタブレードの周方向位置を10%負圧面側に移動させた場合、スプリッタブレード間隔は、一方は従来の50%から40%に2割狭くなるため、周波数が2割高くなる。また、他方は従来の50%から60%に2割広がるため、周波数は2割低下する。結果的には、位相がずれることでピーク値がaからbに低減(図21(B))する。
次に、図7〜10を参照して、第2実施形態を説明する。
第2実施形態は、第1実施形態に加えてさらに、スプリッタブレード7の前縁7aのハブ側を前後のフルブレード5F、5Rの周方向等間隔位置から後側フルブレード5Rの正圧面Sa側に寄せて配置することに特徴がある。
従って、流路11、13の入口部分の断面積の不均一によって分割された流路に流量差が生じることによる性能低下が防止される。
次に、図11〜14を参照して、第3実施形態を説明する。
第3実施形態は、第2実施形態に加えてさらに、スプリッタブレード7の後縁7bのシュラウド側を前後のフルブレード5F、5Rの周方向等間隔位置から前側フルブレード5Fの負圧面Sb側に寄せて配置することに特徴がある。
このように構成することによって、スプリッタブレード7の前縁7aの部分ではシュラウド側とハブ側とをそれぞれ反対方向に同量偏らせているため、スプリッタブレード7によって分割される流路11、13のスロート幅の不均一を解消して前縁部分の流量配分を均一にするように作用する。
さらに、スプリッタブレード7によって分割される流路11、13の前縁部分と後縁部分との前後の分布に偏りが生じにくく、前縁から後縁にかけての流速の不均一が生じにくく、分割されたそれぞれの流路11、13における流速の増減速がなく流速を均一にでき、圧縮機の性能低下を防止できる。
次に、図15〜18を参照して、第4実施形態を説明する。
第4実施形態は、第3実施形態に加えてさらに、スプリッタブレード7の後縁7bのハブ側を前後のフルブレード5F、5Rの周方向等間隔位置から後側フルブレード5Rの正圧面Sa側に寄せて配置することに特徴がある。
さらに、第4実施形態においてはスプリッタブレード7の後縁7bの部分でもシュラウド側とハブ側とをそれぞれ反対方向に同量偏らせているため、スプリッタブレード7によって分割される流路11、13での流量配分の均一性が一層効果的に得られる。
次に、図19、20を参照して、第5実施形態を説明する。
この第5実施形態は、第4実施形態におけるスプリッタブレード7の前縁7aのシュラウド側において流体流れに対向する傾斜角度(迎角度)を、スプリッタブレード7の前縁7aに対応する前側フルブレード5Fまたは後側フルブレート5Rの傾斜角度より増大させて翼端漏れ渦の流れ方向に適合させた方向に設定されている。
図19のように、スプリッタブレード7の前縁7aのシュラウド側の迎角度は、対応する後側フルブレード5Rの傾斜角度βよりΔβ分大きく設定して、翼端漏れ流れWへ適合させる迎い角度に設定できる。
3 ハブ
5 フルブレード
5a フルブレードの前縁
5b フルブレードの後縁
5F 前側フルブレード
5R 後側フルブレード
7 スプリッタブレード
7a スプリッタブレードの前縁
7b スプリッタブレードの後縁
9、11、13 流路
B 前側フルブレードの先端隙間
F 流路を流れる流体の流れ方向
M 偏流
W 翼端漏れ流れ
Sa フルブレードの正圧面
Sb フルブレードの負圧面
β スプリッタブレードの前縁の傾斜角度
Claims (4)
- ハブ面上に流体の入口部から出口部にかけて周方向に複数枚を均等間隔に立設されたフルブレードと、互いに隣り合わせて設けられた前記フルブレードの間に形成される流路の途中から出口部にかけて設けられるスプリッタブレードとを備える遠心圧縮機の羽根車において、
前記遠心圧縮機は前記フルブレード先端とシュラウドとの間に翼端隙間が形成され、該翼端隙間から前記スプリッタブレードの前縁部に向かって発生する翼端漏れ渦に対して、大流量時に生成される前記翼端漏れ渦が前記スプリッタブレードの前縁部を乗り越えるように、若しくは前記翼端漏れ渦の方向に一致するように前記スプリッタブレードの前縁部のシュラウド側をフルブレードの周方向等間隔位置からフルブレードの負圧面側に寄せて配置し、前記スプリッタブレードの後縁部のハブ側をフルブレードの周方向等間隔位置からフルブレードの正圧面側に寄せて配置したことを特徴とする遠心圧縮機の羽根車。 - 前記スプリッタブレードの前縁部のハブ側をフルブレードの周方向等間隔位置からフルブレードの正圧面側に寄せて配置したことを特徴とする請求項1記載の遠心圧縮機の羽根車。
- 前記スプリッタブレードの後縁部のシュラウド側をフルブレードの周方向等間隔位置からフルブレードの負圧面側に寄せて配置したことを特徴とする請求項2記載の遠心圧縮機の羽根車。
- 前記スプリッタブレードの前縁の流体流れに対向する傾斜角度を、前記スプリッタブレードの前縁と同一翼高さ位置でのフルブレードの傾斜角度より増大させて、前記翼端漏れ渦の流れ方向に適合させた方向に設定されることを特徴とする請求項1記載の遠心圧縮機の羽根車。
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