JP2008267204A - 可変容量型ターボチャージャ - Google Patents

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Abstract

【課題】低排気流量時におけるベーン流れ損失を防止することができる可変容量型ターボチャージャを提供することである。
【解決手段】可変容量型ターボチャージャ500のベーン構造100においては、可動ベーン211,212および固定ベーン201,202が設けられる。固定ベーン201,202は、互いに隣接して配設され、かつ固定ベーンの対201,202の構造を形成している。この固定ベーンの対201,202の翼端が、タービンロータ320の翼端に幅L1で近接して設けられている。
【選択図】図4

Description

本発明は、可変容量型ターボチャージャに関する。
従来のターボチャージャは、エンジンの低回転速度時に排気圧が低く、排気流量も少ないためにタービンの回転速度が低く、過給効率を上げられないという問題点があった。その問題点を解決すべく、可変容量型ターボチャージャが提案されると共に、近年は更なる効率向上を目指し、種々の開発研究が行われている。
例えば、特許文献1には、複数のノズル翼の外側を流れる排気ガスの流れを改善する可変容量排気ターボ過給機について開示されている。詳しくは、エンジンが低回転速度で排気ガスが少ない状態でノズル翼角度を最小としたときに、スクロールケーシング舌部の先端とこれに最も近いノズル翼の前縁の間隙を小さくして入口部への排気ガス漏れを抑制する。また、高回転速度で排気ガス流量が多く、ノズル翼角度を最大としたときには、舌部の外側の面がノズル翼前縁に滑らかに連なるようにして排気抵抗の増加を抑えるものである。この可変容量排気ターボ過給機によれば、エンジン低回転時に排気ガスを効率的にタービンに流入させてタービンを素早く立ち上げることができる。
また、特許文献2には、排気ガスがノズルベーンを通過する時に発生する排圧損失について改善した可変容量型ターボチャージャが開示されている。特許文献2記載の可変容量型ターボチャージャにおいては、排ガスを取り込んで内壁面に沿って旋回させるタービンハウジングと、タービンハウジング内に配置され、多数のタービン翼を回転軸に放射状に配置してなるタービン翼車と、タービン翼車の外周に所定のノズルベーン間隔で円周状に配列された開閉自在の多数のノズルベーンとを備えた可変容量型ターボチャージャにおいて、任意の円周位置のノズルベーンは、タービンハウジング内の排ガス旋回方向の該ノズルベーンの円周位置における排圧エネルギに応じた大きさに構成されているものである。
さらに、特許文献3には、可変ノズル間の開口が狭くなった時に、可変ノズルから噴出したエンジン排気が、タービン翼車に入るまでの距離が長くなることで生じる損失を改善した可変容量形ターボチャージャについて開示されている。詳しくは、エンジンの排気で回転されるタービンに可変ノズルを設けた可変容量形ターボチャージャにおいて、タービンは、タービン翼車の外回りに、可変ノズルを構成する複数枚の可動ベーンを配置し、各可動ベーンをその下流端側に配置した軸の回りに回転可能に設けたものである。
特開平10−141074号公報 特開平11−270343号公報 特開平10−274048号公報
可変容量型ターボチャージャの中でも、幅広いエンジン回転数にて排気ガスを効率的に利用できるものとして、前述の特許文献の如く可変ノズルベーン式ターボチャージャが広く採用されている。一般的に可変ノズルベーン式では、特許文献1にも記載されている如く、ノズル翼の中心付近に支点(回動中心)を設けている。これは、排気ガスの圧力が作用した状態において、ノズル翼を一定の角度で支持する場合少ない力でノズル翼を保持できるという点で有利となる。この支点を中心に、ノズル翼を回動し、流路面積を変更することで、タービン羽根車側に流れる排気ガスの流速を変更し、エンジン回転数の変化に関わらず、効率よくタービン羽根車を駆動することができる。
しかしながら、特許文献1のノズル翼構造では、流路面積を減少させる方向にノズル翼を回動させると、ノズル翼の翼端とタービン羽根車との間に隙間が生じる。このため、ノズル翼間を通過した排気ガスの一部が、直にタービン羽根車に供給されず、ノズル翼とタービン羽根車との隙間に流れ、エネルギを損失することが避けられなかった。特許文献3は、前述の問題を解決するものであり、各可動ベーンの下流端側に支点となる軸を配置することを提案している。このような構造によれば、前述のエネルギの損失は改善できるが、相対的に排気ガスの圧力に抗し、可動ベーンを支持する上では不利となる。さらに特許文献3では、可動ベーンと固定ベーンとを交互に配置する構造により、可変ノズルの開口が広くなる状態においても、狭くなる状態においても、ベーン間の通路面積が上流側より下流側にかけて急激に狭くなり、特許文献1等に記載される一般的な可変ノズルベーン式と比較し、ベーン間の流路抵抗が大きいという問題があった。
本発明の目的は、以上の従来技術の問題点を改善しつつ、低排気流量時におけるベーン流れ損失を防止することができる可変容量型ターボチャージャを提供することである。
(1)
本発明に係る可変容量型ターボチャージャは、タービンロータの外周沿いに複数の可動ベーンを配置し、内燃機関の運転状態に応じて可動ベーンを回動制御する可変容量型ターボチャージャにおいて、可動ベーン間に、二枚一組よりなる固定ベーンの対を少なくとも一組配置するとともに、固定ベーンの翼端は、タービンロータの外周に近接して配置されたものである。
本発明に係る可変容量型ターボチャージャにおいては、可動ベーンおよび固定ベーンが設けられる。固定ベーンは、二枚一組からなる固定ベーンの対として配設される。また、固定ベーンの対の翼端が、タービンロータに近接して設けられる。
この場合、固定ベーンが対に設けられるので、ベーン間の流路抵抗が小さく、また、固定ベーンの翼端がタービンロータの外周に近接して設けられるので、固定ベーンにより形成された排気流が、ベーン流れ損失が少ない状態でタービンロータに供給される。その結果、特に排気量が少ない状態においても、過給効率(ターボ効率)を向上させることができる。
(2)
固定ベーンの対は、タービンロータの外周沿いに2組以上が均等間隔に配置されていてもよい。
この場合、固定ベーンの対が、タービンロータの周りに均等に配置されることで、排気ガスによりタービンロータの軸周りに作用する力を均等に出来、損失を減らし、過給効率を向上させることができる。
以下、本発明に係る実施の形態について説明する。
(一実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態に係る可変容量型ターボチャージャの一例を説明するための模式的断面図である。
図1に示すように可変容量型ターボチャージャ500には、センタハウジング310とタービンハウジング340とにより形成される空間内の中心に、タービン翼を有するタービンロータ320が設けられる。
タービンロータ320は、センタハウジング310を貫通するように配置されたタービン軸330に固定され、タービン軸330を中心に回転可能に設けられる。タービンロータ320の外周側には、タービンロータ320を囲む如く、略ドーナッツ状の渦巻室345がタービンハウジング340に形成されている。渦巻室345からタービンロータ320へ排気ガスが流れる入口部分には、排気ガスの流速及び方向を調節する機能を有するベーン構造100が設けられる。
本実施の形態に係る可変容量型ターボチャージャ500のベーン構造100においては、後述する可動ベーン及び固定ベーンを有する。可動ベーンには、駆動するための駆動機構380およびリンク機構390が付設される。ベーン構造100の詳細については後述する。
図2および図3は、ベーン構造100における可動ベーンの動作の詳細を説明するための模式的断面図である。図2は排気流量が少ない場合の可動ベーンの動作状態を示し、図3は排気流量が多い場合の可動ベーンの動作状態を示す。
図2および図3に示すように、ベーン構造100は、隣り合って配設される固定ベーンの対201,202が、タービンロータ320の外周に沿い、所定の間隔を開けて均等に配置されている。また、固定ベーンの対201,202に隣接して、可動ベーン211,212が形成されている。なお、ベーン構造100の外側に配置される渦巻室345は、排気ガスが矢印Fの方向に流入する入口110を有すると共に、ベーン構造100の外周に沿い、徐々に断面積が減少する形状とされている。
本実施の形態における可動ベーン211,212は、説明上一の固定ベーンの対201,202と他の固定ベーンの対201,202との間に2個ずつ設けることとしているが、これに限定されず、例えば、3個、4個、5個、6個等、他の任意の個数設けてもよい。
図2および図3に示すように、本実施形態における固定ベーン201,202は可動ベーンと同一の断面を有し、可動ベーンの開度を増大させた状態と同等の状態に固定され、その翼端はタービンロータ320の外周に近接して設けられる。なお、固定ベーンの形状および配置は、特に本実施の形態に限定されるものではなく、翼端がタービンロータ320の外周に近接して設けられること、かつベーン間の流路断面積の変化が可動ベーン側と同程度であり急激でないこと、という条件を満たす範囲で適宜変更可能である。また、可動ベーン211,212は、タービン軸330と平行な軸を個々に備え、当該軸を中心に公知の駆動機構380およびリンク機構390により回動制御され、開閉動作が行われる。その開閉動作により開度(VN開度)が変化される。
例えば、図2に示すように排気流量が少ない場合、固定ベーンの対201,202を除いた可動ベーン211,212は、可動ベーン211,212間の通路断面積、又は可動ベーン211,212と固定ベーン201,202との間の通路断面積を減少させる方向、即ち、開度を減少させる方向に駆動される。
一方、図3に示すように、排気流量が多い場合、可動ベーン211,212は、可動ベーン211,212間の通路断面積、又は可動ベーン211,212と固定ベーン201,202との間の通路断面積を増大させる方向、即ち、開度を増大させる方向に駆動される。以下、排気流体の動きについて説明する。
図4は固定ベーン201,202に対する拡大図を示し、図5は従来の可動ベーンの拡大図を示す。
図4に示すように、固定ベーン201,202とタービンロータ320との間隔は極めて狭い幅L1となるように固定ベーン201,202が配設されており、固定ベーン201,202の翼端と、タービンロータ320の外周とが近接して配置される。このため、排気流量が少ない場合であっても、固定ベーン201,202間を流れる排気ガスは、タービンロータ320と可動ベーン211,212との間に漏れる量もほとんど無く、損失を防止することができる。
また、可動ベーン211,212間よりタービンロータ320側に供給された排気ガスのうち一部が、タービンロータ320の外周沿いに可動ベーン211,212との間を流れ、従来損失を生じていた排気ガスも、固定ベーン201,202によりタービンロータ320方向に偏向される。その結果、タービンロータ320に対して効率よく少ない排気流体を供給することができる。
一方、図5に示すように、可動ベーン211,212から構成される従来のタービン構造においては、排気ガスが少ない場合、可動ベーン901,902,903が軸を中心に回転し、全体として通路断面積を減少させる方向に駆動される。そのため、可動ベーン901,902,903の翼端と、タービンロータ320の外周とが所定の幅L2を開けた状態となる。この場合、排気ガスが可動ベーン901,902,903とタービン翼との間隔は幅L2(L2>L1)となる。可動ベーン901,902間または可動ベーン902,903間において、可動ベーン間の通路断面積が減少することにより、ベーン構造900を通過した排気ガスは、流速が早く、かつ細く絞られた流れとなって、タービンロータ320に供給され、少ない排気ガスを効率よく利用できるように図られている。しかしながら、可動ベーン901等とタービンロータ320との間に、幅L2の隙間が生じることにより、可動ベーン間を通過した排気ガスの一部は、タービンロータ320の外周周りに可動ベーンとタービンロータとの間の隙間を流れてしまい、ロスが生じていた。
前述の実施形態のベーン構造100においては、センタハウジング310側とタービンハウジング340側との間の通路高さは、対の固定ベーン間においても、複数の可動ベーン間においても、均等としている。
続いて、図6は、前述の通路高さを変更した別実施形態であり、ベーン構造100における固定ベーン201,202のベーン間流路の形状の一例を示す模式的斜視図である。
図6に示すように、固定ベーン201,202のベーン間流路230は、隣接する可動ベーン211,212のベーン間流路よりも高さH1の分だけ小さく設けられる。すなわち、固定ベーン201,202のベーン間流路230は、高さH1の高さで翼先端から翼後端までの体積分だけ、可動ベーン211,212のベーン間流路よりも絞られている。
ターボチャージャの要求仕様によっては、固定ベーン間を流れる排気ガスの流速を上げる必要が生じる。そのため、流速を上げるには、通路断面積を狭くすればよいが、周方向でのベーン間隔を個別の機種で変更する、あるいは、厚さの異なるベーンを複数種類準備する等、設計上または製造上において負担が大きくなる。これに対し、本実施形態の構造では、通路高さを嵩上げする部材を固定ベーン間に付設するだけでよく、固定ベーン間を流れる排気ガスの流速の設定が容易である。
図7は、ベーン構造100における固定ベーン201,202のベーン間流路の形状の他の例を示す模式的斜視図である。
図7に示すように、固定ベーン201,202のベーン間流路231は、隣接する可動ベーン211,212のベーン間流路よりも高さH2の分だけ小さく設けられる。この図7に示すベーン間流路は、同一高さH2が延在して設けられるのではなく、タービンロータ320に近接するに連れて高さH2が変化する、すなわち、高さH2が徐々に大きくなることで、徐々に通路の絞り抵抗を減らす形状とされている。それにより、絞り効果をより一層高めることができる。
すなわち、固定ベーンの対201,202間においては、ベーン間流路断面を形成する一側壁側の高さH2を徐々に変化させることにより、図6に示す実施形態の如く段差がある場合と比較し、流路抵抗を改善できる。
続いて、図8は本実施の形態に係るベーン構造100と従来の可動ベーン900との過給効率を示す模式図である。図8の縦軸は過給効率を示し、横軸は排気流量を示す。また、実線L100はベーン構造100の過給効率を示し、破線L900は図5の可動ベーン900の過給効率を示す。
図8に示すように、排気流量が少ない場合に実線L100は、破線L900よりも過給効率が高くなる。すわなち、本実施の形態に係るベーン構造100は、従来の可動ベーン900と比較して、少ない排気量の場合において、高い過給効率を有する。
以上のように、本発明に係る可変容量型ターボチャージャ500のベーン構造100においては、少なくとも2個の固定ベーン201,202が互いに隣接し、流路断面積の急変も無く配設されるので、固定ベーン間の流路抵抗が特に増大することも無い。また、固定ベーンの対201,202の翼端が、タービンロータ320の外周に幅L1で近接して設けられるので、固定ベーンにより形成された気流が、エネルギ損失の少ない状態にてタービンロータ320に供給される。その結果、特に排気量が少ない状態においても、過給効率(ターボ効率)を向上させることができる。
また、複数の固定ベーンの対201,202が、タービンロータ320の外周沿いに均一に配置されることにより、排気流量が少ない場合でも、固定ベーンにより排気流体をタービンロータ320の翼端に適格に供給させることができる。
さらに、固定ベーンの対201,202のベーン間流路は、可動ベーン211,212のベーン間流路のような構造上の制限がないので、要求仕様に応じ、流路断面積を小さく設定することも容易であり、その設計の自由度も広い。
上記一実施の形態においては、可変容量型ターボチャージャ500が可変容量型ターボチャージャに相当し、タービンロータ320がタービンロータ相当し、ベーン構造100がベーン構造に相当し、可動ベーン211,212が可動ベーンに相当し、固定ベーンの対201,202が固定ベーンの対に相当し、ベーン間流路230,231を有するベーン間流路が固定ベーンの対のベーン間流路に相当する。
本発明は、上記の好ましい一実施の形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
本発明に係る一実施の形態に係る可変容量型ターボチャージャの一例を説明するための模式的断面図 ベーン構造における動作の詳細を説明するための模式的断面図 ベーン構造における動作の詳細を説明するための模式的断面図 固定ベーンに対する拡大図 従来の可動ベーンの拡大図 ベーン構造における固定ベーンのベーン間流路の形状の一の例を示す模式的斜視図 ベーン構造における固定ベーンのベーン間流路の形状の他の例を示す模式的斜視図 本実施の形態に係るベーン構造と従来の可動ベーンとの過給効率を示す模式図
符号の説明
500 可変容量型ターボチャージャ
320 タービンロータ
100 ベーン構造
211,212 可動ベーン
201,202 固定ベーン
230,231 ベーン間流路

Claims (2)

  1. タービンロータの外周沿いに複数の可動ベーンを配置し、内燃機関の運転状態に応じて前記可動ベーンを回動制御する可変容量型ターボチャージャにおいて、
    前記可動ベーン間に、二枚一組よりなる固定ベーンの対を少なくとも一組配置するとともに、前記固定ベーンの翼端は、前記タービンロータの外周に近接して配置されたことを特徴とする可変容量型ターボチャージャ。
  2. 前記固定ベーンの対は、前記タービンロータの外周沿いに二組以上が均等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1記載の可変容量型ターボチャージャ。

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