JP5678941B2 - 反射防止性透明導電フィルム、タッチパネル及び画像表示装置 - Google Patents

反射防止性透明導電フィルム、タッチパネル及び画像表示装置 Download PDF

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本発明は、反射防止性透明導電フィルムと、これを用いたタッチパネル及び画像表示装置に関するものである。
近年、モバイル機器や携帯電話機器などが備える液晶表示素子などの表示装置上には、情報を入力するための抵抗膜式タッチパネル、あるいは、多点同時入力が可能な静電容量式タッチパネルが配置されるようになっている。
抵抗膜式タッチパネルは、2つの透明導電フィルムがアクリル樹脂などの絶縁材料からなるスペーサを介して対向配置された構造を有する。透明導電フィルムは、タッチパネルの電極として機能するものであり、高分子フィルムなどの透明性を有する基材と、この基材上に形成された、ITO(Indium Tin Oxide)などの高屈折率の材料(例えば1.9〜2.1程度)からなる透明導電膜とを備える。静電容量式タッチパネルの場合は上記構成に留まらず、表裏あるいは絶縁層を介してXY座標を検出するための透明導電膜のパターニングが実施されている。また、上記透明導電フィルムの動作を確実なものとするために上記透明導電フィルムと、上記液晶表示素子との間に液晶表示素子から発生する電磁ノイズを除去するための上記反射防止透明導電層を設ける事も有効である。
タッチパネル用としての透明導電フィルムには、例えば500Ω/□以下の表面抵抗値が求められている。また、上記反射防止透明導電層についても一定の表面抵抗値(例えば、10^6Ω/□以下)が必要とされる。また、透明導電フィルムには、抵抗膜式タッチパネルが配置される液晶表示素子などの表示装置の表示品質の劣化を避けるため、高い透過率が求められている。
所望の表面抵抗値を実現するためには、透明導電性フィルムを構成する透明導電膜を厚くする必要がある。しかしながら、高屈折率の材料である透明導電膜を厚くすると、透明導電膜と基材との界面における外光の反射が増加し、透明導電フィルムの透過率が低下してしまうため、表示装置の品質の劣化が生じる問題がある。
この問題を解決するために、例えば特許文献1では、基材と透明導電膜との間に反射防止膜を設けたタッチパネル用の透明導電フィルムが提案されている。この反射防止膜は、屈折率の異なる複数の誘電体膜を順次積層して形成されている。
また、特許文献2には、基体の表面に可視光の波長以下の微細ピッチで多数配置された凸部または凹部からなる構造体と、上記構造体上に形成された透明導電膜とを備え、上記構造体がアスペクト比0.2以上1.78以下の錐体形状を有し、上記透明導電膜は上記構造体に倣った表面を有し、上記構造体の頂部における透明導電膜の平均膜厚Dm1が、5nm以上80nm以下であり、上記透明導電膜の表面抵抗は、270Ω/□以上4000Ω/□以下の範囲である透明導電性電極が記載されている。
しかしながら、特許文献2に開示されている技術のように、可視光の波長以下の微細ピッチで多数配置された凸部または凹部からなる構造体上に、当該構造体に追随した表面を有するように蒸着法で薄膜の透明導電膜を形成すると、透明導電膜の密着性が悪いという問題があった。また、当該透明導電膜では、透明導電膜の導電率が不十分になるという問題があった。
特開2003−136625号公報 特許4626721号公報
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、反射防止性能を有しながら、透明導電層の密着性に優れた透明導電フィルムと、これを用いたタッチパネル及び画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係る反射防止性透明導電フィルムは、透明基材の少なくとも一方の面に、樹脂を含有してなり微細凹凸形状を有する微細凹凸構造体と、有機化合物と導電性金属含有ナノ粒子の組み合わせ又は導電性有機高分子を含有する第1透明導電層と、導電性金属酸化物を含有する第2透明導電層とをこの順で含み、
前記第2透明導電層側の最外層表面が、微小突起が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸を有し、前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有し、
前記微小突起の少なくとも一部が、頂点を複数有する微小突起であって、全微小突起中における、当該頂点を複数有する微小突起の個数の比率が10%以上であり、
前記第1透明導電層及び前記第2透明導電層からなる透明導電層が、パターニングされてなり、透明導電層形成領域と透明導電層非形成領域を有し、前記透明導電層非形成領域において、更に前記微細凹凸構造体が除去され、前記微細凹凸構造体と屈折率差が0.14以下の樹脂組成物の硬化物で充填されてなることを特徴とする。
また、本発明に係るタッチパネルは、2つの電極フィルムそれぞれの電極面を一定間隔で対向させてなるタッチパネルであって、少なくとも1つの電極フィルムが、前記本発明に係る反射防止性透明導電フィルムであることを特徴とする。
また、本発明に係る画像表示装置は、前記本発明に係るタッチパネルを、画像表示面に備えたことを特徴とする。
前記本発明に係る反射防止性透明導電フィルム、タッチパネル、及び画像表示装置においては、前記第2透明導電層側の最外層表面の前記微小突起の少なくとも一部が、頂点を複数有する微小突起であって、全微小突起中における、当該頂点を複数有する微小突起の個数の比率が10%以上であることから、透明導電層の密着性及び反射防止性能が向上する。
本発明によれば、反射防止性能を有しながら、透明導電層の密着性に優れた透明導電フィルムと、これを用いたタッチパネル及び画像表示装置を提供することができる。
本発明に係る反射防止性透明導電フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る反射防止性透明導電フィルムの他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る反射防止性透明導電フィルムの他の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る透明導電層の膜厚の定義を説明する図である。 頂点を複数有する多峰性の微小突起の説明に供する断面図(図5(a))、斜視図(図5(b))、平面図(図5(c))である。 ドロネー図を示す図である。 隣接突起間距離の計測に供する度数分布図である。 微小突起高さの説明に供する度数分布図である。 微小突起の谷底の包絡面が大きな凹凸面(うねり)を呈する形態を模式的に示す断面図である。 本発明の反射防止性透明導電フィルムの製造工程のうち、透明基材に微細凹凸構造体を形成する工程の一例を示す概略図である。 本発明に係るタッチパネルの一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る画像表示装置の一例を模式的に示す断面図である。
次に、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の反射防止性透明導電フィルムにおいては、厚みの厚いもの及び薄いものの両方の意味を含めて、「フィルム」と定義する。すなわち、通例、ロールの形で供給されない「シート状」や、シート状に比べて厚さが厚いものであり、完全に曲がらないもの、及び巻き取れるほどには曲がらないが、負荷をかけることによって湾曲する「板状」のものも、本発明の「フィルム」に包含される。
また、本発明において、(メタ)アクリル樹脂は、アクリル樹脂及び/又はメタクリル樹脂を意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
また、本発明において樹脂とは、モノマーやオリゴマーの他、ポリマーを含む概念である。
I.反射防止性透明導電フィルム
本発明に係る反射防止性透明導電フィルムは、透明基材の少なくとも一方の面に、樹脂を含有してなり微細凹凸形状を有する微細凹凸構造体と、有機化合物と導電性金属含有ナノ粒子の組み合わせ又は導電性有機高分子を含有する第1透明導電層と、導電性金属酸化物を含有する第2透明導電層とをこの順で含み、
前記第2透明導電層側の最外層表面が、微小突起が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸を有し、前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有することを特徴とする。
本発明の反射防止性透明導電フィルムは、前記第2透明導電層側の最外層表面が、上記特定の構造を有する微細凹凸を有するため、少なくとも透明導電層と外界(通常、空気層)との界面における反射防止効果と、透明導電フィルムの透過率向上を実現する反射防止性透明導電フィルムである。
上記特定の微細凹凸は、樹脂を含有してなり微細凹凸形状を有する微細凹凸構造体を含むことにより得られるため、微細凹凸構造体の微細凹凸形状が維持される必要がある。本発明の反射防止性透明導電フィルムは、微細凹凸構造体と、導電性金属酸化物を含有する第2透明導電層との間に、有機化合物と導電性金属含有ナノ粒子の組み合わせ又は導電性有機高分子を含有する第1透明導電層を介在させている。第1透明導電層が有機化合物乃至導電性有機高分子を含むため、樹脂を含有してなる微細凹凸構造体と前記第1透明導電層との密着性、更には前記第1透明導電層を介して前記第2透明導電層との密着性が良好となる。また、このような第1透明導電層は通常塗布法で形成されるため、前記微細凹凸構造体の微細凹凸形状を維持しつつ、通常蒸着法で形成される第2導電層の成膜性を向上し、ひいては第2透明導電層側の最外層表面の微細凹凸の形状も維持されるため、反射防止性能に優れる。
また、有機化合物と導電性金属含有ナノ粒子の組み合わせ又は導電性有機高分子を含有する第1透明導電層と、導電性金属酸化物を含有する第2透明導電層とをこの順で含み、透明導電層が2層構造となっているため、透明導電層の膜厚を十分に確保可能であって導電性に優れるようになる。
図1は、本発明に係る反射防止性透明導電フィルムの一例を模式的に示す断面図である。図1に示す反射防止性透明導電フィルム10は、透明基材1の一方の面に、当該透明基材1側から順に、樹脂を含有してなり微細凹凸形状を有する微細凹凸構造体2と、有機化合物と導電性金属含有ナノ粒子の組み合わせ又は導電性有機高分子を含有する第1透明導電層3と、導電性金属酸化物を含有する第2透明導電層4とを有し、第2透明導電層4側の最外層表面が上記特定の微細凹凸となっている。
図2に示す反射防止性透明導電フィルム10は、透明基材1の一方の表面に、樹脂を含有してなり微細凹凸形状を有する微細凹凸構造体2を有し、当該微細凹凸構造体2の表面上に、第1透明導電層3と、第2透明導電層4とをこの順に有し、第2透明導電層4側の最外層表面が上記特定の微細凹凸となっている。
以下、本発明に係る反射防止性透明導電フィルムに含まれる透明基材、微細凹凸構造体、第1透明導電層及び第2透明導電層について、順に説明する。
<透明基材>
前記透明基材としては、透明導電フィルムに用いられる公知の透明基材を適宜選択して用いることができ、特に限定されない。前記透明基材に用いられる材料としては、例えば、透明樹脂が挙げられる。透明樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等を挙げることができる。
また、前記透明基材に用いられる材料としては、前記透明樹脂の他に、例えばソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、PLZT等のセラミックス、石英、蛍石等の各種透明無機材料等も挙げられる。
前記透明基材は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。ここで、透明基材の透過率は、JIS K7361−1(プラスチック−透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
前記透明基材の厚みは、本発明の透明導電フィルムの用途に応じて適宜設定することができ、特に限定されないが、通常20〜5000μmであり、前記透明基材は、ロールの形で供給されるもの、巻き取れるほどには曲がらないが負荷をかけることによって湾曲するもの、完全に曲がらないもののいずれであってもよい。
本発明に用いられる透明基材の構成は、単一の層からなる構成に限られるものではなく、複数の層が積層された構成を有してもよい。複数の層が積層された構成を有する場合は、同一組成の層が積層されてもよく、また、異なった組成を有する複数の層が積層されてもよい。
また、透明基材と後述する微細凹凸構造体との密着性を向上させ、ひいては耐摩耗性を向上させるためのプライマー層を透明基材上に形成してもよい。このプライマー層は、透明基材および微細凹凸構造体との双方に密着性を有し、可視光学的に透明であれば良い。
前記プライマー層の材料としては、例えば、フッ素系コーティング剤及びシランカップリング剤等から適宜選択して使用することができる。前記フッ素系コーティング剤の市販品としては、例えば、フロロテクノロジー製のフロロサーフ FG−5010Z130等が挙げられ、前記シランカップリング剤の市販品としては、例えば、ハーベス製のデュラサーフプライマー DS−PC−3B等が挙げられる。
また、前述の図2に示したように、後述する微細凹凸構造体は、当該透明基材の一方の面を賦形する等して、当該透明樹脂基材の表面に形成されたものであって、透明樹脂基材と微細凹凸構造体が単層構造であってもよい。
<微細凹凸構造体>
透明基材の少なくとも一方の面に、樹脂を含有してなり微細凹凸形状を有する微細凹凸構造体を有する。
当該微細凹凸構造体は、図1に示したように、前記透明基材とは別の材料からなる別層として積層されていても良いし、図2に示したように、透明基材として透明樹脂基材が用いられ、当該透明樹脂基材と一体となって形成されていても良い。
また、層間の密着性、塗工適性、表面平滑性等の基材表面性能を向上させる点から、透明基材の少なくとも一方の面に、1層以上の中間層を介して、微細凹凸構造体が積層されている積層体となっていてもよい。
また、透明基材の両面に、直接又は他の層を介して、当該微細凹凸構造体を有していても良い。
前記微細凹凸構造体を透明基材とは別の層として積層する場合、前記微細凹凸構造体は、樹脂を含有してなるものであり、更に樹脂組成物の硬化物からなることが好ましい。前記微小突起構造体の形成に用いられる樹脂組成物は、少なくとも樹脂を含み、必要に応じて重合開始剤等その他の成分を含有する。
前記樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリレート系、エポキシ系、ポリエステル系等の電離放射線硬化性樹脂、アクリレート系、ウレタン系、エポキシ系、ポリシロキサン系等の熱硬化性樹脂、アクリレート系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等の熱可塑性樹脂等の各種材料及び各種硬化形態の賦型用樹脂を使用することができる。なお、電離放射線とは、分子を重合させて硬化させ得るエネルギーを有する電磁波または荷電粒子を意味し、例えば、すべての紫外線(UV−A、UV−B、UV−C)、可視光線、ガンマー線、X線、電子線等が挙げられる。
前記樹脂としては、中でも微細凹凸形状の成形性及び機械的強度に優れる点から電離放射線硬化性樹脂が好ましい。
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂とは、分子中にラジカル重合性及び/又はカチオン重合性結合を有する単量体、低重合度の重合体、反応性重合体を適宜混合したものであり、後述する重合開始剤によって硬化されるものである。なお、非反応性重合体を含有してもよい。
前記樹脂組成物は、さらに必要に応じて、離型剤、光増感剤、酸化防止剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、粘度調整剤、密着性向上剤等を含有することもできる。
微細凹凸構造体が有する微細凹凸形状は、当該微細凹凸形状を有する微細凹凸構造体表面上に、少なくとも後述する第1及び第2透明導電層を形成して、第2透明導電層側の最外層表面が、後述する特定の微細凹凸を有することができるものであれば特に限定されない。
後述する特定の微細凹凸の下地層となることから、当該微細凹凸構造体が有する微細凹凸形状の微小凸部も、後述する特定の微細凹凸の微小突起に類似の構造であることが好ましい。
例えば、当該微細凹凸構造体における微小凸部の隣接凸部間隔は、通常10〜300nmで設計することが好ましい。また、微小凸部の高さは、通常10〜400nmで設計することが好ましい。
中でも、図3に示すように、前記微細凹凸構造体2が有する微細凹凸形状は、隣接する凸部2a及び凸部2a’間の谷底部2bに平坦部2cが存在することが好ましい。これにより、本発明の反射防止性透明導電フィルムの第2透明導電層側の最外層表面を、後述する微小突起群を備えた特定の微細凹凸形状とすることが容易となる。
なお、前記平坦部とは、前記微細凹凸構造体2において、隣接凸部の谷底を連ねた包絡面2dと凸部2a等との交線を「裾」(2e)とした場合に、隣接凸部間の裾2eから裾2e’までの微小突起を構成しない部分を意味する。前記平坦部の大きさは、本発明の反射防止性透明導電フィルムの第2透明導電層側の最外層表面を、後述する微細な凹凸形状にできる大きさに適宜調整することができるが、中でも、隣接する微小凸部間の裾から裾までの最短距離(図2中のE)が、50〜300nmであることが好ましく、50〜100nmであることが特に好ましい。なお、当該距離は、本発明の反射防止性透明導電フィルムを、隣接する微小凸部の頂部を含むように微細凹凸層を深さ方向に切断した垂直断面のTEM写真又はSEM写真を観察することにより測定することができる。
微細凹凸構造体が、図1に示したように、前記透明基材とは別の材料からなる別層として積層されている場合の、当該微細凹凸層の厚み(図1のt)は、特に限定されないが、通常10〜300μmである。なお、微細凹凸層の厚みとは、微細凹凸層の透明基材側の界面から、当該微細凹凸層の微細凹凸面の最も高い頂部の高さまでの基材平面に対して垂線方向の距離を意味する。
また、前記微細凹凸構造体が、図2に示したように前記透明基材と一体化している場合、前記微細凹凸構造体と前記透明基材との合計厚み(図2のt’)は、特に限定されないが、通常20〜5300μmである。前記微細凹凸層と前記透明基材との合計厚みとは、微細凹凸面のもっとも高い頂部の高さから当該微細凹凸面と反対側の基材平面までの基材平面に対して垂線方向の距離を意味する。
<第1透明導電層>
本発明の反射防止性透明導電フィルムにおいて、前記微細凹凸構造体上に形成される第1透明導電層は、有機化合物と導電性金属含有ナノ粒子の組み合わせ、又は、導電性有機高分子を含有する。
第1透明導電層が有機化合物乃至導電性有機高分子を含むため、樹脂を含有してなる微細凹凸構造体と前記第1透明導電層との親和性が高くなり、密着性が優れたものになる。また、有機化合物と導電性金属含有ナノ粒子の組み合わせ又は導電性有機高分子を含有する第1透明導電層は、溶液塗布法で、上記樹脂を含有してなる微細凹凸構造体上に形成することが可能である。溶液塗布法で、上記樹脂を含有してなる微細凹凸構造体上に形成すると、第1透明導電層表面の凹凸形状を所望の形状にし易いというメリットがある。
導電性有機高分子としては、特に限定されず、ポリピロール、ポリインドール、ポリカルバゾール、ポリチオフェン(基本のポリチオフェンを含む、以下同様)系、ポリアニリン系、ポリアセチレン系、ポリフラン系、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリアズレン系、ポリパラフェニレン系、ポリパラフェニレンサルファイド系、ポリイソチアナフテン系、ポリチアジル等の鎖状導電性高分子や、ポリアセン系導電性高分子も利用することができる。中でも、導電性、透明性等の観点からポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)やポリアニリン系が好ましい。
また、本発明においては、上記導電性高分子の導電性をより高めるために、ドーピング処理を施すことが好ましい。導電性高分子に対するドーパントとしては、例えば、炭素数が6〜30の炭化水素基を有するスルホン酸(以下「長鎖スルホン酸」ともいう。)あるいはその重合体(例えば、ポリスチレンスルホン酸)、ハロゲン、ルイス酸、プロトン酸、遷移金属ハロゲン化物、遷移金属化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属、MClO(M=Li、Na)、R(R=CH、C、C)、又はR(R=CH、C、C)からなる群から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。なかでも、上記長鎖スルホン酸及びその重合体が好ましく、例えば、PEDOT:PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリ(スチレンスルホン酸塩))が好適に用いられる。
長鎖スルホン酸としては、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。ハロゲンとしては、Cl、Br、I、ICl、IBr、IF等が挙げられる。ルイス酸としては、PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr、SO、GaCl等が挙げられる。
プロトン酸としては、HF、HCl、HNO、HSO、HBF、HClO、FSOH、ClSOH、CFSOH等が挙げられる。
遷移金属ハロゲン化物としては、NbF、TaF、MoF、WF、RuF、BiF、TiCl、ZrCl、MoCl、MoCl、WCl、FeCl、TeCl、SnCl、SeCl、FeBr、SnI等が挙げられる。遷移金属化合物としては、AgClO、AgBF、La(NO、Sm(NO等が挙げられる。アルカリ金属としては、Li、Na、K、Rb、Cs等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、Be、Mg、Ca、Sc、Ba等が挙げられる。
上記ドーパントは、導電性高分子100質量部に対して、0.001質量部以上含まれていることが好ましい。さらには、0.5質量部以上含まれていることがより好ましい。
一方、本発明の第1透明導電層に用いられる有機化合物と導電性金属含有ナノ粒子の組み合わせにおいて、有機化合物は、例えば、ナノ粒子表面に存在する保護剤やバインダー成分として用いられるものが挙げられる。当該保護剤としては、ナノ粒子に親和性の高い官能基と分散溶媒に親和性の高い部分を有する有機化合物が挙げられ、所謂界面活性剤、分散剤等として機能するものから、導電性金属含有ナノ粒子に合わせて適宜選択されれば良い。本発明で用いられる有機化合物は、低分子化合物であっても、高分子化合物であっても良く、また、上記導電性有機高分子を用いても良い。
また、第1透明導電層に用いられる導電性金属含有ナノ粒子としては、導電性金属が含有されれば良く、導電性金属を含む場合の他、導電性金属酸化物等の導電性金属化合物を含むナノ粒子であっても良い。
導電性金属としては、6族の遷移金属、7族の遷移金属、8族の遷移金属、9族の遷移金属、10族(8A族)の遷移金属、11族(1B族)の遷移金属、12族(2B)の遷移金属、13族(3B)の典型金属、14族(4B)の典型金属を使用するのが望ましく、より具体的には、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、錫(Sn)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものが挙げられる。前記導電性金属は単独または2種以上の金属を混合して使用することもでき、2種以上の金属の合金を使用することもできる。
導電性金属化合物としては、金属に配位子が配位した金属錯体、金属に有機または無機の化学基が共有結合およびイオン結合した金属化合物である。導電性金属酸化物としては、第2透明導電層において詳述するものを好適に用いることができる。それ以外の導電性金属化合物としては、具体的には、水酸化銅(II)(Cu(OH))、チオシアン酸銅(I)(CuSCN)、硝酸銅(II)(Cu(NO)、硝酸パラジウム(Pd(NO)、硝酸銀(AgNO)、亜硝酸銀(AgNO)、硫酸銅(II)(CuSO)、硫酸アルミニウム(Al(SO)、硫酸亜鉛(ZnSO)、シアン化金(I)(AuCN)などが挙げられる。
前記導電性金属含有ナノ粒子の粒径は、特に限定されないが、透明性に優れる点から、平均粒径が1〜20nmであることが好ましく、1〜10nmであることが特に好ましい。なお、本発明において平均粒径とは、TEM写真又はSEM写真から測定される算術平均粒径であり、例えば、50〜200万倍で撮影されたTEM写真又はSEM写真を用いて粒子の観察を行い、観察した粒子100個の粒径の算術平均値をもって平均粒径とすることができる。また、本発明において、粒子の形状が、短径と長径を有する回転楕円体形状や棒状等、アスペクト比の概念を含む形状である場合、当該粒子の粒径は、短径と長径の平均値とする。
本発明の第1透明導電層に用いられる有機化合物と導電性金属含有ナノ粒子の組み合わせにおいて、有機化合物は、有機化合物と導電性金属含有ナノ粒子の合計量に対して0.01〜50重量%程度含まれることが好ましく、0.1〜30重量%程度含まれることが更に好ましい。
第1透明導電層の形成方法としては、インクジェット印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法、ディスペンサ印刷法、スリットコート法、ダイコート法、ドクターブレードコート法、ワイヤーバーコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法等の溶液塗布法が好適に用いられる。
図4に、本発明の第1透明導電層の膜厚を説明する図を示す。本発明における第1透明導電層3において、前記微細凹凸構造体の凸部の頂部5における透明導電層の膜厚D1、及び谷部6における透明導電層の膜厚D3については、前記微小突起間の谷底を連ねた包絡面7に対して法線方向8の、前記透明導電層の前記微小突起構造体側界面9から前記透明導電層表面11までの距離とする。
一方、微小凸部の高さ(H)の1/2(H/2)の部分など、微小凸部の斜面における前記透明導電層の膜厚D2については、微小凸部の斜面の法線方向12の距離とする。
前記第1透明導電層の厚みは、特に限定されないが、前記微細凹凸構造体の凸部の頂部5における第1透明導電層の平均膜厚D1−1は、0〜20nmの範囲内であることが好ましく、特に0〜10nmの範囲内であることが好ましい。また、前記微細凹凸構造体の谷部6における第1透明導電層の平均膜厚D3−1は、1〜60nmの範囲内であることが好ましく、特に1〜30nmの範囲内であることが好ましい。また、微小凸部の高さの1/2における第1透明導電層の平均膜厚D2−1は、0.1〜40nmの範囲内であることが好ましく、特に0.1〜20nmの範囲内であることが好ましい。
前記第1透明導電層の厚みが、前記下限値未満であると連続層を形成するのが困難になる恐れがあり、前記上限値を超えると反射防止性能が悪化する恐れがあり、また、第2透明導電層側の最外層表面を特定の微細凹凸とすることが困難となる恐れがある。
<第2透明導電層>
本発明の反射防止性透明導電フィルムにおいては、前記第1透明導電層上に導電性金属酸化物を含有する第2透明導電層を有する。
導電性金属酸化物は、導電性有機高分子及び導電性金属含有ナノ粒子と比べて同じ膜厚で作成した場合に導電性を良好にし易いが、前記微細凹凸構造体に直接薄膜を積層しようとすると、密着性が悪いという問題があった。本発明においては、前記微細凹凸構造体に、有機化合物と導電性金属含有ナノ粒子の組み合わせ又は導電性有機高分子を含有する第1透明導電層を介して、導電性金属酸化物を含有する第2透明導電層を積層する。そのため、微細凹凸構造体と第1透明導電層と第2透明導電層の密着性を向上しながら、第2透明導電層側の最外層表面の凹凸形状を特定の微細凹凸を有するように形成し易いというメリットがある。また、透明導電層が上記2層構造となっているため、最外層表面を特定の微細凹凸にしながら、透明導電層の膜厚を十分に確保可能であって導電性に優れるようになる。
導電性金属酸化物としては、透明酸化物半導体であることが好ましく、例えば、SnO2、InO2、ZnOおよびCdOなどの二元化合物、二元化合物の構成元素であるSn、In、ZnおよびCdのうちの少なくとも一つの元素を含む三元化合物、または多元系(複合)酸化物を用いることができる。透明導電層を構成する材料としては、例えばITO(In23、SnO2:インジウム錫酸化物)、AZO(Al23、ZnO:アルミドープ酸化亜鉛)、SZO、FTO(フッ素ドープ酸化錫)、SnO2(酸化錫)、GZO(ガリウムドープ酸化亜鉛)、IZO(In23、ZnO:酸化インジウム亜鉛)などが挙げられるが、信頼性の高さ、および抵抗率の低さなどの観点から、ITOが好ましい。これらの導電性金属酸化物としては、導電性の向上の観点からすると、アモルファスと多結晶との混合状態であることが好ましい。
前記導電性金属酸化物の結晶粒子の粒径は、特に限定されないが、透明性に優れる点から、平均粒径が1〜20nmであることが好ましく、1〜10nmであることが特に好ましい。なお、本発明において平均粒径とは、TEM写真又はSEM写真から測定される算術平均粒径であり、例えば、50〜200万倍で撮影されたTEM写真又はSEM写真を用いて粒子の観察を行い、観察した粒子100個の粒径の算術平均値をもって平均粒径とすることができる。また、本発明において、粒子の形状が、短径と長径を有する回転楕円体形状や棒状等、アスペクト比の概念を含む形状である場合、当該粒子の粒径は、短径と長径の平均値とする。
第2透明導電層の形成方法としては、特に限定されず、例えば、ゾルゲル法、液相析出法、スプレー法、パイロゾル法等の液相法、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の気相法が挙げられる。中でも、連続層の薄膜を形成することが容易な点から、気相法が好ましく、特にスパッタリング法が好ましい。
第2透明導電層の厚みも、前記第1透明導電層の厚みと同様に定義される。第2透明導電層の厚みは、特に限定されないが、前記微細凹凸構造体の凸部の頂部5における第2透明導電層の平均膜厚D1−2は、1〜60nmの範囲内であることが好ましく、特に1〜30nmの範囲内であることが好ましい。また、前記微細凹凸構造体の谷部6における第2透明導電層の平均膜厚D3−2は、0〜20nmの範囲内であることが好ましく、特に0〜10nmの範囲内であることが好ましい。また、微小凸部の高さの1/2における第2透明導電層の平均膜厚D2−2は、0.1〜40nmの範囲内であることが好ましく、特に0.1〜20nmの範囲内であることが好ましい。
前記第2透明導電層の厚みが、前記下限値未満であると導電性を向上するのが困難になる恐れがあり、前記上限値を超えると反射防止性能が悪化する恐れがあり、また、第2透明導電層側の最外層表面を特定の微細凹凸とすることが困難となる恐れがある。
なお、前記第1透明導電層は、連続層であることが好ましいが、海島構造の海部分のような、島状に層が形成されていない部分を含む連続層であっても良い。一方、前記第2透明導電層は、下地となる前記第1透明導電層との接触部分を有すれば、海島構造の島部分のような、不連続層であっても良い。前記第1透明導電層と第2透明導電層の積層体は、後述するパターニングの前段階においては、前記微細凹凸構造体の表面全体を被覆するように形成されることが好ましい。
また、前記第1透明導電層と第2透明導電層の膜厚の合計は、特に限定されないが、前記微細凹凸構造体の凸部の頂部5における透明導電層(第1透明導電層と第2透明導電層の膜厚の合計)の平均膜厚D1は、1〜80nmの範囲内であることが好ましく、特に1〜40nmの範囲内であることが好ましい。また、前記微細凹凸構造体の谷部6における透明導電層(第1透明導電層と第2透明導電層の膜厚の合計)の平均膜厚D3は、1〜80nmの範囲内であることが好ましく、特に1〜40nmの範囲内であることが好ましい。また、微小凸部の高さの1/2における透明導電層(第1透明導電層と第2透明導電層の膜厚の合計)の平均膜厚D2は、0.2〜80nmの範囲内であることが好ましく、特に0.2〜40nmの範囲内であることが好ましい。
また、透明導電層(第1透明導電層と第2透明導電層)の表面抵抗は、用途に応じて、適宜選択されれば良く特に限定されないが、500Ω/□以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは250Ω/□以下の範囲内である。このような範囲の表面抵抗にすることで、種々の方式のタッチパネルの上部電極、または下部電極として透明導電フィルムを用いることができるからである。ここで、透明導電層の表面抵抗は、4端子測定(JIS K 7194)により求めることができる。
<最外層表面の微細凹凸>
本発明においては、前記第2透明導電層側の最外層表面が、微小突起が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸を有し、前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有することを特徴とする。
なお、「第2透明導電層側の最外層表面」とは、前記微細凹凸構造体、前記第1透明導電層及び前記第2透明導電層を含む側の面の透明基材が存在する面とは反対側の最外層表面を意味し、第2透明導電層が最外層である場合は第2透明導電層の表面であり、第2透明導電層の上に更に他の層が積層されている場合は、当該他の層の表面である。
前記微小突起は、隣接する突起間隔d(図1参照)が、反射防止を図る波長帯域の最短波長Λmin以下(d≦Λmin)となるよう密接して配置される。本発明に係る反射防止性透明導電フィルムを、タッチパネルに配置して視認性を向上せしめることを主目的として使用する場合は、この最短波長Λminは、個人差、視聴条件を加味した可視光領域の最短波長(通常380nm)に設定され、間隔dは、ばらつきを考慮して通常100〜300nmとされる。
またこの間隔dに係る隣接する微小突起は、いわゆる隣り合う微小突起であり、基材側の付け根部分である微小突起の裾の部分が接している突起である。本発明に係る透明導電フィルムでは、微小突起が密接して配置されることにより、微小突起間の谷の部位を順次辿るようにして線分を作成すると、平面視において各微小突起を囲む多角形状領域を多数連結してなる網目状の模様が作製されることになる。間隔dに係る隣接する微小突起は、この網目状の模様を構成する一部の線分を共有する突起である。
前記微小突起は、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有することから反射防止効果を発揮する。前記微細凹凸構造体と、外界(通常は空気)との間の急激で不連続な屈折率変化を、連続的で漸次変化する屈折率変化に変えることが可能となるからである。光の反射は、物質界面の不連続な急激な屈折率変化によって生じる現象であるから、透明導電フィルム表面に於ける屈折率変化を、空間的に連続的に変化する様にすることによって、該透明導電フィルム表面に於ける光反射が減るのである。
尚、前記微細凹凸構造体は、通常は透明で光は透過する物となるが、不透明の物であっても、その表面反射を低下する反射防止効果は得られる。
前記各微小突起は、基材に植立するように、さらに基材より先端側に向かうに従って徐々に断面積が小さくなるように(先細りとなるように)作製され、具体的な形状としては、例えば、半球、回転楕円体の半裁形状及び円錐形や四角錐形等の錐形体等が挙げられる。
前記微小突起は、その少なくとも一部が、頂部を複数有するもの(以下、「多峰性の微小突起」と称する場合がある。)であることが好ましい。前記微小突起として多峰性の微小突起を含むことにより、本発明の反射防止性透明導電フィルムは反射防止性及び密着性がより向上する。なお、多峰性の微小突起との対比により、頂部が1つのみの微小突起を「単峰性の微小突起」と称する場合がある。また多峰性の微小突起、単峰性の微小突起に係る各頂部を形成する各凸部を、適宜、「峰」と称する。
なお、微小突起が多峰性の微小突起の場合、前記谷底部とは、当該多峰性の微小突起が有する複数の頂部間の凹部は含まず、微小突起間の凹部を意味する。また、当該多峰性の微小突起の頂部とは、複数の頂部の中で最も高い頂部を意味する。
また、第2透明導電層側の最外層表面に多峰性の微小突起を形成するには、前記微細凹凸構造体において、上記第1透明導電層と第2透明導電層を積層した後に多峰性の微小突起となるように、多峰性の微小凸部を形成しておくことが好ましい。
図5は、この頂点を複数有する多峰性の微小突起の説明に供する断面図(図5(a))、斜視図(図5(b))、平面図(図5(c))である。なおこの図5は、理解を容易にするために模式的に示す図であり、図5(a)は、連続する微小突起の頂点を結ぶ折れ線により断面を取って示す図である。この図5(b)及び図5(c)において、xy方向は、基材1の面内方向であり、z方向は微小突起の高さ方向である。反射防止性透明導電フィルムの第2透明導電層側の最外層表面11において、多くの微小突起12は、基材1より離れて頂点に向かうに従って徐々に断面積(高さ方向に直交する面(図5においてXY平面と平行な面)で切断した場合の断面積)が小さくなって、頂点が1つにより作製される。しかしながら中には、複数の微小突起が結合したかのように、先端部分に溝gが形成され、頂点が2つになったもの(12A)、頂点が3つになったもの(12B)、さらには頂点が4つ以上のもの(図示略)が存在した。なお単峰性の微小突起12の形状は、概略、回転放物面の様な頂部の丸い形状、或いは円錐の様な頂点の尖った形状で近似することができる。一方、多峰性の微小突起12A、12Bの形状は、概略、単峰性の微小突起12の頂部近傍に溝状の凹部を切り込んで、頂部を複数の峰に分割したような形状で近似される。多峰性の微小突起12A、12Bの形状は、或いは、複数の峰を含み高さ方向(図5ではZ軸方向)を含む仮想的切断面で切断した場合の縦断面形状が、極大点を複数個含み各極大点近傍が上に凸の曲線になる代数曲線Z=a+a+・・+a2n2n+・・で近似されるような形状である。
各微小突起の高さに高低差の有る微小突起群は、反射防止性能が広帯域化され、白色光のような多波長の混在する光、あるいは広帯域スペクトルを持つ光に対して、全スペクトル帯域で低反射率を実現するのに有利である。これは、かかる微小突起群によって良好な反射防止性能を発現し得る波長帯域が、隣接突起間距離dの他に、突起高さにも依存する為である。
また、多峰性の微小突起が混在する場合には、単峰性の微小突起のみによる場合に比して反射防止の性能を向上することができるのは、図5に示すような多峰性の微小突起5A、5B等は、隣接突起間距離が同じ場合であっても、また突起高さが同じ場合であっても、単峰性の微小突起と比べて、より光の反射率が低減するからであり、多峰性の微小突起5A、5B等は、頂部より下(中腹及び麓)の形状が同じ単峰性の微小突起よりも、頂部近傍における有効屈折率の高さ方向の変化率が小さくなる為である。
また、多峰性の微小突起が混在する場合には、単峰性の微小突起のみによる場合に比して、頂部より下(中腹及び麓)の形状が同じ単峰性の微小突起よりも、頂部近傍における表面積が大きくなるため、密着性が向上する。
なお多峰性の微小突起は、反射防止性及び密着性を向上する効果を発揮する点からは、表面に存在する全微小突起中における多峰性の微小突起の個数の比率は10%以上であることが好ましい。特に多峰性の微小突起による反射防止性及び密着性を向上する効果を十分に奏する為には、該多峰性の微小突起の比率は30%以上、好ましくは50%以上とすることが好ましい。
前記微小突起群において、高さHが同じ微小突起が一定周期で規則正しく配置されている場合、前記反射防止効果を得るためには、例えば特開昭50−70040号公報、特許第4632589号公報、特許第4270806号公報等に開示のように、隣接突起間隔dは、突起配列の周期p(d=p)となる。これにより可視光線帯域の最長波長をλmax、最短波長をλminとした場合に、最低限、可視光線帯域の最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最小限の条件は、Λmin=λmaxである為、p≦λmaxとなり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、Λmin=λminであるため、p≦λminとなる。
なお波長λmax、λminは、観察条件、光の強度(輝度)、個人差等にも依存して多少幅を持ち得るが、標準的には、λmax=780nm及びλmin=380nmとされる。これらにより可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより確実に奏し得る好ましい条件は、d≦300nmであり、より好ましい条件は、d≦200nmとなる。なお反射防止効果の発現及び反射率の等方性(低角度依存性)の確保等の理由から、隣接突起間隔dの下限値は、通常、d≧50nm、好ましくは、d≧100nmとされる。これに対して突起の高さH(図1参照)は、十分な反射防止効果を発現させる観点より、H≧0.2×λmax=156nm(λmax=780nmとして)とされる。また、突起の高さHは、反射防止効果の点から、通常、350nm以下とされる。
また、前記微小突起においては、アスペクト比(平均突起高さH/平均隣接突起間隔d)が0.8〜2.5であることが好ましく、更に、0.8〜2.1であることが好ましい。
一方、上記多峰性の微小突起が混在する場合のように、前記微細凹凸構造体の微小突起が不規則に配置されている場合には、隣接突起間隔dはばらつきを有することになる。そこでこのような場合、間隔dは以下のように算定される。
(1)先ず、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscope:AFM)又は走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)を用いて突起の面内配列(突起配列の平面視形状)を検出する。
(2)続いてこの求められた面内配列から各突起の高さの極大点(以下、単に極大点と称する。)を検出する。なお極大点を求める方法としては、平面視形状と対応する断面形状の拡大写真とを逐次対比して極大点を求める方法、平面視拡大写真の画像処理によって極大点を求める方法等、種々の手法を適用することができる。
(3)次に検出した極大点を母点とするドロネー図(Delaunary Diagram)を作成する。ここでドロネー図とは、各極大点を母点としてボロノイ分割を行った場合に、ボロノイ領域が隣接する母点同士を隣接母点と定義し、各隣接母点同士を線分で結んで得られる3角形の集合体からなる網状図形である。各3角形は、ドロネー3角形と呼ばれ、各3角形の辺(隣接母点同士を結ぶ線分)は、ドロネー線と呼ばれる。図6は、ドロネー図(白色の線分により表される図である)を原画像と重ね合わせた図である。
(4)次に、各ドロネー線の線分長の度数分布、すなわち隣接する極大点間の距離(以下、隣接突起間距離と言う)の度数分布を求める。図7は、図6のドロネー図から作成した度数分布のヒストグラムである。なお、図5に示すように、突起の頂部に溝状等の凹部が存在したり、あるいは頂部が複数の峰に分裂している場合は、求めた度数分布から、このような突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微細構造に起因するデータを除去し、突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を作成する。
具体的には、突起の頂部に凹部が存在する微細構造、頂部が複数の峰に分裂している微小突起(多峰性の微小突起)に係る微細構造においては、このような微細構造を備えていない微小突起(単峰性の微小突起)の場合の数値範囲から、隣接極大点間距離が明らかに大きく異なることになる。これによりこの特徴を利用して対応するデータを除去することにより突起本体自体のデータのみを選別して度数分布を検出する。より具体的には、例えば微小突起(群)の平面視の拡大写真から、5〜20個程度の互いに隣接する単峰性の微小突起を選んで、その隣接極大点間距離の値を標本抽出し、この標本抽出して求められる数値範囲から明らかに外れる値(通常、標本抽出して求められる隣接極大点間距離平均値に対して、値が1/2以下のデータ)を除外して度数分布を検出する。図7の例では、隣接極大点間距離が56nm以下のデータ(矢印Aにより示す左端の小山)を除外する。なお図7は、このような除外する処理を行う前の度数分布を示すものである。
(5)このようにして求めた隣接突起間隔dの度数分布から平均値dAVG及び標準偏差σを求める。ここでこのようにして得られる度数分布を正規分布とみなして平均値dAVG及び標準偏差σを求めると、図7の例では、平均値dAVG=158nm、標準偏差σ=38nmとなった。これにより隣接突起間隔dの最大値を、dmax=dAVG+2σとし、この例ではdmax=234nmとなる。
なお同様の手法を適用して突起の高さを定義する。この場合、上述の(2)により求められる極大点から、特定の基準位置からの各極大点位置の相対的な高さの差を取得してヒストグラム化する。図8は、このようにして求められる突起付け根位置を基準(高さ0)とした突起高さHの度数分布のヒストグラムを示す図である。このヒストグラムによる度数分布から突起高さの平均値HAVG、標準偏差σを求める。ここでこの図7の例では、平均値HAVG=178nm、標準偏差σ=30nmである。これによりこの例では、突起の高さは、平均値HAVG=178nmとなる。なお図8に示す突起高さHのヒストグラムにおいて、多峰性の微小突起の場合は、頂部を複数有していることにより、1つの突起に対してこれら複数のデータが混在することになる。そこでこの場合は麓部が同一の微小突起に属するそれぞれ複数の頂部の中から高さの最も高い頂部を、当該微小突起の突起高さとして採用して度数分布を求める。
突起が不規則に配置されている場合には、このようにして求められる隣接突起間距離の最大値dmax=dAVG+2σ、突起の高さの平均値HAVGが、規則正しく配置されている場合の上述の条件を満足することが必要である。具体的には、反射防止効果を発現する微小突起間距離の条件は、dmax≦Λminとなる。最低限、可視光線帯域の最長波長において反射防止効果を奏し得る必要最小限の条件は、Λmin=λmaxである為、dmax≦λmaxとなり、可視光線帯域の全波長に対して反射防止効果を奏し得る必要十分の条件は、Λmin=λminである為、dmax≦λminとなる。そして、可視光線帯域の全波長に対する反射防止効果をより確実に奏し得る好ましい条件は、dmax≦300nmであり、更に好ましい条件は、dmax≦200nmである。また反射防止効果の発現及び反射率の等方性(低角度依存性)の確保等の理由から、通常、dmax≧50nmであり、好ましくは、dmax≧100nmとされる。また突起高さについては、十分な反射防止効果を発現する為には、HAVG≧0.2×λmax=156nm(λmax=780nmとして)とされる。また、HAVGは、反射防止効果の点から、好ましくは350nm以下とされる。突起高さの分布は、通常、50〜350nmである。
上述した図6〜図8に係る測定結果は、図5に示すような頂点を複数有する、多峰性の微小突起の実施形態における測定結果であり、図7に示す度数分布においては、隣接突起間隔d(横軸の値)について、20nm及び40nmの短距離の極大値と120nm及び164nmの長距離の極大値との2種類の極大値が存在する。これらの極大値のうちの長距離の極大値は、微小突起本体(頂部よりも下の中腹から麓にかけての部分)の配列に対応し、一方、短距離の極大値は頂部近傍に存在する複数の頂点(峰)に対応する。これにより極大点間距離の度数分布によっても、多峰性の微小突起の存在を見て取ることができる。
なお上述した突起の高さを測る際の基準位置は、隣接する微小突起の間の谷底(高さの極小点)を高さ0の基準とする。但し、係る谷底の高さ自体が場所によって異なる場合(例えば、後述するように、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が微小突起の隣接突起間距離に比べて大きな周期でうねった凹凸形状を有する場合等)は、(1)先ず、透明基材1の表面又は裏面から測った各谷底の高さの平均値を、該平均値が収束するに足る面積の中で算出する。(2)次いで、該平均値の高さを有し、且つ透明基材1の表面又は裏面と平行な面を基準面として考える。(3)その後、該基準面を改めて高さ0として、該基準面からの各微小突起の高さを算出する。
隣接する微小突起の間の谷底の高さ自体が場所によって異なる場合とは、例えば、図9に示すように、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が隣接微小突起間距離に比べて大きな周期Pでうねった凹凸形状を有する場合等が挙げられる。すなわち、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面が、可視光線帯域の最長波長λmax以上の周期P(すなわちP>λmaxである)でうねった大きな凹凸形状としてもよい。当該大きな凹凸形状は、透明基材1の表裏面に平行なXY平面(図9参照)における1方向(例えばX方向)のみでこれと直交する方向(例えばY方向)には一定高さであっても良いし、或いはXY平面における2方向(X方向及びY方向)共にうねりを有していても良い。P>λmaxを満たす周期Pでうねった凹凸面13が多数の微小突起からなる微細凹凸構造体に重畳することによって、微細凹凸構造体で完全に反射防止しきれずに残った反射光を散乱し、残留反射光、とくに鏡面反射光を更に視認し難くし、その結果、反射防止効果を一段と向上させることができる。
尚、凹凸面4の周期Pが前面に渡って一定では無く分布を有する場合は、該凹凸面について凸部間距離の度数分布を求め、その平均値をPAVG、標準偏差をΣとしたときの、
MIN=PAVG―2Σ
として定義する最小隣接突起間距離を以って周期Pの代わりとして設計する。即ち、微細凹凸構造体の残留反射光の散乱効果を十分奏し得る条件は、
MIN>λmax
である。通常、P又はPMINは1〜200μm、好ましくは10〜100μmとされる。
なお、前記周期Pは、本発明の透明導電フィルムを、厚み方向に切断した垂直断面のTEM写真又はSEM写真を用いて観察することにより測定することができる。
また、前記周期Pでうねった大きな凹凸形状の高低差(図9中のh)は、反射防止効果の点から、10μm以下であることが好ましく、500nm〜2μmの範囲内であることが、より好ましい。なお、前記周期Pでうねった大きな凹凸形状とは、各微小突起間の谷底を連ねた包絡面の凹凸形状であるから、前記突起間の高さうねりは、例えば500nm以上離れた微小突起の谷底部の位置の高低差を測定することにより求めることができる。微小突起の谷底部の位置は、本発明の透明導電フィルムを、厚み方向に切断した垂直断面のTEM写真又はSEM写真を用いて観察することにより求めることができる。
<透明導電層のパターニング>
本発明に係る反射防止性透明導電フィルムにおいては、前記第1透明導電層及び第二透明導電層からなる透明導電層が、パターニングされてなり、透明導電層形成領域と透明導電層非形成領域を有する態様が、透明導電層が例えば座標認識用の配線として機能する点から好適に用いられる。
透明導電層をパターニングする方法は、特に限定されず、例えば、フォトレジストを用いてドライエッチングを行う方法等が挙げられる。
透明導電層をパターニングする場合、前記透明導電層非形成領域においては、更に前記微細凹凸構造体が除去されてなることが、透明導電層のパターンを目立ちにくくする点から好ましい。透明導電層非形成領域に、前記微細凹凸構造体が形成されたままであると、透明導電層非形成領域と透明導電層形成領域との間の屈折率差がより大きくなるからである。透明導電層非形成領域において、更に前記微細凹凸構造体を除去する方法としても、ドライエッチングを行う方法等が挙げられる。
また、透明導電層をパターニングする場合、前記透明導電層非形成領域においては、前記透明導電層非形成領域が、前記微細凹凸構造体と屈折率差が0.14以下の樹脂組成物の硬化物で充填されてなることも、透明導電層のパターンを目立ちにくくする点から好ましい。前記充填される樹脂組成物としては、前記微細凹凸構造体と同じ組成のものであることが、屈折率差を低減する点から、特に好ましい。
<その他の層>
本発明の反射防止性透明導電フィルムは、図1に示すように透明基材の一方の面にのみ微細凹凸構造体、第1透明導電層及び第2透明導電層を有するものであっても良いし、透明基材のもう一方の面にも同様の層構成を有することにより、両面に微細凹凸構造体と透明導電層を有するものであっても良い。
また、本発明の反射防止性透明導電フィルムは、微細凹凸構造体を有しない面に、その他の層を更に有していても良い。その他の層としては、例えば、従来公知の単層或いは多層構成の反射防止層、光拡散による防眩性(或いは反射防止)を付与する層、傷付き防止等の為に従来公知のハードコート層等が挙げられる。
また、本発明の反射防止性透明導電フィルムにおいて、透明導電層側表面に、剥離可能な保護フィルムを仮接着した状態で保管、搬送、売買、後加工又は施工を行い、適時、該保護フィルムを剥離除去する形態とすることもできる。
<反射防止性透明導電フィルムの製造方法>
本発明の反射防止性透明導電フィルムの製造方法は、上述した本発明の透明導電フィルムを製造することができる方法であれば特に限定されないが、例えば、(i)透明基材上に微細凹凸構造体を形成する工程、(ii)当該微細凹凸構造体上に透明導電層を形成する工程を含む製造方法が挙げられる。前記(ii)の工程における透明導電層の形成方法は、既に説明した通りであるので、ここでは省略する。
以下、前記(i)の工程における微細凹凸構造体の形成方法について詳細に説明する。
透明基材上に、微細凹凸構造体を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、まず透明基材上に、微細凹凸構造体形成用樹脂組成物を塗布し、微細凹凸構造体形成用原版の微細突起形状を、当該微細凹凸構造体形成用樹脂組成物に賦型した後、該樹脂組成物を硬化させることにより微細凹凸構造体を形成し、微細凹凸構造体及び透明基材からなる積層体を前記微細凹凸構造体形成用原版から剥離する方法等を挙げることができる。
微細凹凸構造体形成用原版の微細突起形状を微細凹凸構造体形成用樹脂組成物に賦型し、該樹脂組成物を硬化させる方法は、該樹脂組成物の種類等に応じて適宜選択することができる。
前記微細凹凸構造体形成用原版としては、繰り返し使用した際に変形および摩耗するものでなければ、特に限定されるものではなく、金属製であっても良く、樹脂製であっても良いが、通常、金属製が好適に用いられる。耐変形性および耐摩耗性に優れているからである。
前記微細凹凸構造体形成用原版の微細突起形状を有する面は、特に限定されないが、酸化されやすく、陽極酸化による加工が容易である点から、アルミニウムからなることが好ましい。
前記微細凹凸構造体形成用原版は、具体的には、例えば、ステンレス、銅、アルミニウム等の金属製の母材の表面に、直接に又は各種の中間層を介して、スパッタリング等により純度の高いアルミニウム層が設けられ、当該アルミニウム層に微細突起形状を形成したものが挙げられる。前記母材は、前記アルミニウム層を設ける前に、電解溶出作用と、砥粒による擦過作用の複合による電解複合研磨法によって母材の周側面を超鏡面化しても良い。
前記微細凹凸構造体形成用原版に微細突起形状を形成する方法としては、例えば、陽極酸化法によって前記アルミニウム層の表面に複数の微細孔を形成する陽極酸化工程と、前記アルミニウム層をエッチングすることにより前記微細孔の開口部にテーパー形状を形成する第1エッチング工程と、前記アルミニウム層を前記第1エッチング工程のエッチングレートよりも高いエッチングレートでエッチングすることにより前記微細孔の孔径を拡大する第2エッチング工程とを順次繰り返し実施することによって形成することができる。
微細凹凸形状を形成する際には、アルミニウム層の純度(不純物量)や結晶粒径、陽極酸化処理及び/又はエッチング処理の諸条件を適宜調整することによって、所望の形状とすることができる。前記陽極酸化処理において、より具体的には、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微細孔をそれぞれ目的とする深さ及び微小突起形状に対応する形状に作製することができる。
前記頂点を複数有する多峰性の微小突起形状も、陽極酸化処理及びエッチング処理の交互の繰り返しにより作製することができる。
なお、本発明においては、前記微細凹凸構造体に少なくとも第1透明導電層と第2透明導電層を積層した後に、その最外層表面が上記特定の微細凹凸を有するように、微細凹凸構造体の微細凹凸形状が設計され、それに基づき、微細凹凸構造体形成用原版が設計される。
このようにして、前記微細凹凸構造体形成用原版は、深さ方向に徐々に孔径が小さくなる多数の微細孔が密に作製される。当該微細凹凸構造体形成用原版を用いて製造される微細凹凸構造体には、前記微細孔に対応して、頂部に近付くに従って徐々に径が小さくなる微小突起群を備えた微細突起が形成される。すなわち、微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する微小突起群を備えた微細突起形状が形成される。
また、前記微細凹凸構造体形成用原版の形状は、所望の形状を賦型することができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、平板状であっても良く、ロール状であっても良いが、生産性向上の観点からは、ロール状の金型(以下、「ロール金型」と称する場合がある。)が好ましい。
本発明において用いられるロール金型としては、例えば、母材として、円筒形状の金属材料を用い、当該母材の周側面に直接又は各種の中間層を介して設けられたアルミニウム層に、上述したように、陽極酸化処理、エッチング処理の繰り返しにより、微細な凹凸形状が形成されたものが挙げられる。
図10に、微細凹凸構造体形成用樹脂組成物として紫外線硬化性樹脂組成物を用い、微細凹凸構造体形成用原版としてロール金型を用いた場合に、透明基材上に微細凹凸構造体を形成する方法の一例を示す。
図10に示す方法では、樹脂供給工程において、ダイ21により帯状フィルム形態の透明基材1に、未硬化で液状の紫外線硬化性樹脂組成物を塗布し、微小突起形状の受容層2’を形成する。なお紫外線硬化性樹脂組成物の塗布については、ダイ21による場合に限らず、各種の手法を適用することができる。続いて、押圧ローラ23により、反射防止性透明導電フィルムの賦型用金型であるロール金型22の周側面に透明基材1を加圧押圧し、これにより透明基材1に受容層2’を密着させると共に、ロール金型22の周側面に作製された微細な凹凸形状の凹部に、受容層2’を構成する紫外線硬化性樹脂組成物を充分に充填する。この状態で、紫外線の照射により紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、これにより透明基材1の表面に微細凹凸構造体2を作製する。続いて剥離ローラ24を介してロール金型12から、硬化した微細凹凸構造体2と一体に透明基材1を剥離する。必要に応じてこの透明基材1にハードコート層等の別層を形成した後、所望の大きさに切断して反射防止性透明導電フィルムを作製する。これにより反射防止性透明導電フィルムは、ロール材による長尺の透明基材1に、微細凹凸構造体形成用原版であるロール金型22の周側面に作製された微細突起形状を順次賦型して、効率良く大量生産される。
また上述の実施形態では、ロール金型を使用した賦型処理によりフィルム形状による反射防止性透明導電フィルムを生産する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、反射防止性透明導電フィルムの形状に係る透明基材の形状に応じて、例えば平板、特定の曲面形状による微細凹凸構造体形成用原版を使用した枚葉の処理により反射防止性透明導電フィルムを作成する場合等、賦型処理に係る工程、微細凹凸構造体形成用原版は、反射防止性透明導電フィルムの形状に係る透明基材の形状に応じて適宜変更することができる。
II.タッチパネル
本発明に係るタッチパネルは、2つの電極フィルムそれぞれの電極面を一定間隔で対向させてなるタッチパネルであって、少なくとも1つの電極フィルムが、
透明基材の少なくとも一方の面に、樹脂を含有してなり微細凹凸形状を有する微細凹凸構造体と、有機化合物と導電性金属含有ナノ粒子の組み合わせ又は導電性有機高分子を含有する第1透明導電層と、導電性金属酸化物を含有する第2透明導電層とをこの順で含み、
前記第2透明導電層側の最外層表面が、微小突起が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸を有し、前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する、反射防止性透明導電フィルムであることを特徴とする。
本発明に係るタッチパネル30は、図11にその一例を示すように、2枚の電極フィルム10が、スペーサを介して互いに電極を一定間隔Gで対向させて配置されている。該2枚の電極フィルムの少なくとも一方は、前記本発明に係る反射防止性透明導電フィルムからなる。特に、図11の形態においては、2枚の電極フィルムとも本発明の反射防止性透明導電フィルムからなる。
本発明のタッチパネルは、2つの電極フィルムのうち、少なくとも1つの電極フィルムが、前記本発明に係る反射防止性透明導電フィルムであれば良く、その他の部分は、従来公知の各種方式のタッチパネルの各種構成を採用することができる。
図10の形態においては、2枚の電極フィルムは電極面が互いに対向するように配置されているが、2枚の電極フィルムの電極面が視聴者側から見て全て裏面になるように配置されても良いし、2枚の電極フィルムの電極面が視聴者側から見て全て表面になるように配置されても良い。更に、2枚の電極フィルムの電極面を、視聴者側から見て、1枚目の電極フィルムの電極面を表側、2枚目の電極フィルムの電極面を裏側となるように配置しても良い。
また、前述のように、前記本発明に係る反射防止性透明導電フィルムの前記透明導電層が、パターニングされてなり、透明導電層形成領域と透明導電層非形成領域を有する場合には、透明導電層が、例えば座標認識用の配線として機能し、静電容量式タッチパネルに好適に用いられる。
例えば、光拡散による防眩性或いは反射防止性を付与する層を、タッチパネル表面に設けた構成であっても良い。また、タッチパネル表面には、該反射防止層の有無に拘らず、傷付き防止等の為に従来公知のハードコート層を設けても良い。なお、反射防止層はハードコート層の上に設けるのが効果的である。
III.画像表示装置
本発明に係る画像表示装置は、2つの電極フィルムそれぞれの電極面を一定間隔で対向させてなるタッチパネルであって、少なくとも1つの電極フィルムが、
透明基材の少なくとも一方の面に、樹脂を含有してなり微細凹凸形状を有する微細凹凸構造体と、有機化合物と導電性金属含有ナノ粒子の組み合わせ又は導電性有機高分子を含有する第1透明導電層と、導電性金属酸化物を含有する第2透明導電層とをこの順で含み、
前記第2透明導電層側の最外層表面が、微小突起が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸を有し、前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
dmax≦Λmin
なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有する、反射防止性透明導電フィルムであるタッチパネルを、画像表示面に備えたことを特徴とする。
本発明の画像表示装置40は、図12に示すように、本発明に係るタッチパネル30を、表示パネル41の画像表示面に配置して成る構成の、画像表示装置である。タッチパネルは、表示パネル41と接着層を介して貼り合わされても良いし、タッチパネル30との間に空隙を空けて、LCD等のフラットパネルディスプレイによる画像表示パネル41が配置されても良い。タッチパネル30が、画像表示面と対向する面に前記微細凹凸構造体を有する場合には、タッチパネル30の裏側に間に空隙を空けて、LCD等のフラットパネルディスプレイによる画像表示パネル41が配置されることが好ましい。
なお、本発明の画像表示装置にあっては、単に表示機能のみを有する装置(例えば、LCDモニター、CRTモニター等)でも良いが、装置の機能の一部として表示機能を有する装置も該当する。例えば、後述する用途で述べる如く、PDA乃至は携帯情報端末、カーナビゲーションシステム等である。
本発明によるタッチパネルは、各種表示装置の表示部における入力手段(透明タブレットも含む)として使用され得る。この様な入力機能付きの表示装置は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、ELD(エレクトロルミネッセントディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイ)等のFPD(フラットパネルディスプレイ)、或いは、CRT等を表示パネルに用いた装置である。なかでも、自己発光型では無い為に、相対的に外光による表示性能の低下が起きやすいLCDは、本発明による効果がより大きく得られる点で好適である。なお、本発明における表示装置としては、文字盤上に指針を有する時計に代表される機械式のアナログメータ等の様な機械的手段で情報を表示するものも包含するものとする。
上記の様な入力機能付き表示装置を有する各種製品としては、例えば、電子手帳等のPDA乃至は携帯情報端末(機器)、或いは、カーナビゲーションシステム、POS(販売時点情報管理)端末、携帯型オーダー入力端末、ATM(現金自動預金支払兼用機)、ファクシミリ、固定電話端末、携帯電話端末、デシタルカメラ、ビデオカメラ、パソコン、パソコン用ディスプレイ、テレビジョン受像機、テレビ用モニターディスプレイ、券売機、計測機器、電卓、電子楽器等の電子機器、複写機、ECR(金銭登録機)等の事務機器、或いは、洗濯機、電子レンジ等の電気製品がある。
(微細凹凸構造体形成用原版の作製)
純度99.50%の圧延されたアルミニウム板を、研磨後、0.02Mシュウ酸水溶液の電解液中で、化成電圧40V、20℃の条件にて120秒間、陽極酸化を実施した。次に、第一エッチング処理として、陽極酸化後の電解液で60秒間エッチング処理を行った。続いて、第二エッチング処理として、1.0Mリン酸水溶液で150秒間孔径処理を行った。さらに、上記処理を繰り返し、これらを合計5回追加実施した。これにより、アルミニウム基板上に微細な凹凸形状が形成された陽極酸化アルミニウム層が形成された。最後に、フッ素系離型剤を塗布し、余分な離型剤を洗浄することで、微細凹凸構造体形成用原版を得た。なお、アルミニウム層に形成された微細凹凸形状は、微小突起構造体の平均隣接突起間距離100nm、平均深さ200nmで、深さ方向に徐々に孔径が小さくなるような多数の微細孔が密に形成され、且つ、微小突起の一部が、頂点を複数有する微小突起となるような微細孔が存在する微細凹凸形状であった。
(微細凹凸構造体形成用樹脂組成物の調製)
ジペンタエリスリトールへキサアクリレート(DPHA)20重量部、アロニックスM−260(東亜合成社製)70重量部、ヒドロキシエチルアクリレート10重量部、及び光重合開始剤としてルシリンTPO(BASF社製)3重量部を混合し、紫外線硬化性の微細凹凸構造体形成用樹脂組成物を調製した。
(実施例1)
1.微細凹凸構造体の形成
前記微細凹凸構造体形成用樹脂組成物を、前記微細凹凸構造体形成用原版の微細突起面が覆われ、硬化後の微細凹凸構造体の厚さが20μmとなるように塗布、充填し、その上に透明基材として厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム社製)を斜めから貼り合わせた後、貼り合わせられた貼合体をゴムローラーで10N/cm2の加重で圧着した。金型全体に均一な組成物が塗布されたことを確認し、フィルム側から2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させた。その後、金型より剥離し透明基材と、平均隣接突起間隔が100nm、平均突起高さ200nmで、且つ、微小突起の一部が頂点を複数有する微小突起である微細凹凸構造体との積層体を得た。
2.第1透明導電層の形成
得られた積層体の微細凹凸構造体の微細凹凸面上に、PEDOT:PSS分散液(商品名クレビオス、ヘレウス社)を用いて、グラビア印刷法(グラビア版:セル形状 180line/inch、版深 50μm)により第1透明導電層を形成した。
3.第2透明導電層の形成
得られた積層体の第1透明導電層の微細凹凸面上に、スパッタ装置(SMD-750;アルバック社製)を用い、150℃でITOをスパッタリングし、ITOの連続層からなる第2透明導電層を形成することにより、実施例1の反射防止性透明導電フィルムを得た。
前記微小突起の頂部における前記透明導電層(第1透明導電層及び第2透明導電層の合計)の平均膜厚D1は62nm、前記微小突起の高さの1/2における前記透明導電層の平均膜厚D2は18nm、前記微小突起間の谷部における前記透明導電層の平均膜厚をD3は13nmであった。
第2透明導電層側の最外層表面は、本発明で特定した微細凹凸を有していた。
なお、上記D1、D2、及びD3は、それぞれ、微細凹凸構造体の頂部を含むように厚み方向に切断した垂直断面のTEM写真を用いて観察することにより求めた。D1、D2、及びD3の測定を透明導電フィルムから無作為に選び出された10箇所で繰り返し行い、測定値D1、D2、及びD3を平均(算術平均)して、平均膜厚D1、D2、及びD3を求めた。
(実施例2)
実施例1において、第1透明導電層として、PEDOT:PSS分散液の代わりにポリアニリン分散液(商品名オルメコン、日産化学社)を用いた以外は実施例1と同様にして、透明導電層が下記平均膜厚となるように、第1透明導電層を形成した。
前記微小突起の頂部における前記透明導電層(第1透明導電層及び第2透明導電層の合計)の平均膜厚D1は63nm、前記微小突起の高さの1/2における前記透明導電層の平均膜厚D2は19nm、前記微小突起間の谷部における前記透明導電層の平均膜厚をD3は12nmであった。
第2透明導電層側の最外層表面は、本発明で特定した微細凹凸を有していた。
(実施例3)
実施例1において、第1透明導電層として、PEDOT:PSS分散液の代わりに、有機化合物と銀ナノ粒子が含まれる銀ナノ粒子インク(商品名 ナノメタルインキL−Agシリーズ、アルバック株式会社)を用いて、グラビア印刷法(グラビア版:セル形状 180line/inch、版深 50μm)を用いた以外は実施例1と同様にして、透明導電層が下記平均膜厚となるように、第1透明導電層を形成した。
前記微小突起の頂部における前記透明導電層(第1透明導電層及び第2透明導電層の合計)の平均膜厚D1は62nm、前記微小突起の高さの1/2における前記透明導電層の平均膜厚D2は17nm、前記微小突起間の谷部における前記透明導電層の平均膜厚をD3は11nmであった。
第2透明導電層側の最外層表面は、本発明で特定した微細凹凸を有していた。
(比較例1)
実施例1において、第1透明導電層は形成せずに、第2透明導電層のみを、実施例1の透明導電層(第1透明導電層及び第2透明導電層の合計)の平均膜厚の厚みと概ね同様の膜厚になるように、ITOからなる透明導電層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の反射防止性透明導電フィルムを得た。
前記微小突起の頂部における透明導電層の平均膜厚D1は60nm、前記微小突起の高さの1/2における前記透明導電層の平均膜厚D2は15nm、前記微小突起間の谷部における前記透明導電層の平均膜厚をD3は5nmであった。
(評価)
各実施例及び各比較例で得られた反射防止性透明導電フィルムについて、下記の評価を行った。評価結果をそれぞれ表1に示す。
<導電率>
各実施例及び比較例で得られた反射防止性透明導電フィルムの表面抵抗を、4端子法(JIS K 7194)により測定した。タッチパネル配線に必要とされる表面抵抗500Ω/□以下である場合に、OK判定とした。
OK:500Ω/□以下
NG:500Ω/□超過
<密着性>
各実施例及び比較例で得られた反射防止性透明導電フィルムについて、クロスカット法(JIS K 5600−5−6)において、分類0〜2をOK判定とした。
OK:分類0〜2
NG:分類3〜5
<反射率>
黒アクリル板(日東樹脂工業製、製品名CLAREX)に粘着剤(パナック製、製品名パナクリーンPDR5)を介して、各実施例及び各比較例で得られた反射防止性透明導電フィルムの透明基材側を貼合し、分光器(島津製作所製、分光光度計UV−3100PC)にて5°正反射率を測定した。
(結果のまとめ)
実施例1〜3で得られた本発明の反射防止性透明導電フィルムは、微細凹凸構造体上に、本発明で特定した第1透明導電層と第2透明導電層を積層し、且つ、第2透明導電層側の最外層表面が上記特定の微細凹凸を有することから、反射防止性に優れながら、導電性及び密着性が良好であった。
一方、比較例1で得られた反射防止性透明導電フィルムは、透明導電層の密着性が悪かった上に、反射防止性能も劣るものであった。比較例1で得られた反射防止性透明導電フィルムにおいては、透明導電層の最外層表面が、本発明で特定した形状の微細凹凸を有するものではなくなったことから、反射率が高く、反射防止性能に劣っていたと推定される。
(実施例4)
実施例1と同様にして、反射防止性透明導電フィルムを得た。次に、フォトリソグラフィー法を用いて、透明導電層のパターニングを行った。透明導電層のプラズマエッチングは、ドライエッチャー(商品名DEA−506T、キャノンアネルバエンジニアリング(株)製)を用いて、以下のプラズマエッチング条件(酸素プラズマ、出力:50W、ガス量:50sccm、ガス圧:50mTorr、照射時間5分)により行った。プラズマエッチングにより、透明導電層非形成領域を設け、更に、当該非形成領域に存在する微細凹凸構造体も除去し、実施例4の反射防止性透明導電フィルムを得た。
実施例4の反射防止性透明導電フィルムをタッチパネルに用いた場合に、透明導電層のパターンが目立ちにくいことが確認された。
(実施例5)
実施例1と同様にして、反射防止性透明導電フィルムを得た。次に、フォトリソグラフィー法を用いて、透明導電層のパターニングを行った。透明導電層のプラズマエッチングは、ドライエッチャー(商品名DEA−506T、キャノンアネルバエンジニアリング(株)製)を用いて、以下のプラズマエッチング条件(酸素プラズマ、出力:50W、ガス量:50sccm、ガス圧:50mTorr、照射時間5分)により行い、透明導電層非形成領域を設けた。次に、当該透明導電層非形成領域に、前述の微細凹凸構造体形成用樹脂組成物をグラビア印刷法でwet膜厚が10μmとなるように塗布し、表面をブラスチックドクターでドクタリングし、当該透明導電層非形成領域に、前述の微細凹凸構造体形成用樹脂組成物を充填した。その後、2000mJ/cm2のエネルギーで紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させ、実施例5の反射防止性透明導電フィルムを得た。
実施例5の反射防止性透明導電フィルムをタッチパネルに用いた場合に、透明導電層のパターンが目立ちにくいことが確認された。
1 透明基材
2 微細凹凸構造体
3 第1透明導電層
4 第2透明導電層
10 反射防止性透明導電フィルム
21 ダイ
22 ロール金型
23 押圧ローラ
24 剥離ローラ
30 タッチパネル
40 画像表示装置
41 画像表示パネル

Claims (4)

  1. 透明基材の少なくとも一方の面に、樹脂を含有してなり微細凹凸形状を有する微細凹凸構造体と、有機化合物と導電性金属含有ナノ粒子の組み合わせ又は導電性有機高分子を含有する第1透明導電層と、導電性金属酸化物を含有する第2透明導電層とをこの順で含み、
    前記第2透明導電層側の最外層表面が、微小突起が集合してなる微小突起群を備えた微細凹凸を有し、前記微小突起は、反射防止を図る光の波長帯域の最短波長をΛmin、当該微小突起の隣接突起間隔dの最大値をdmaxとしたときに、
    dmax≦Λmin
    なる関係を有し、且つ、前記微小突起の深さ方向と直交する水平面で切断したと仮定したときの水平断面内における当該微小突起を形成する材料部分の断面積占有率が、当該微小突起の頂部から最深部方向に近づくに従い連続的に漸次増加する構造を有し、
    前記微小突起の少なくとも一部が、頂点を複数有する微小突起であって、全微小突起中における、当該頂点を複数有する微小突起の個数の比率が10%以上であり、
    前記第1透明導電層及び前記第2透明導電層からなる透明導電層が、パターニングされてなり、透明導電層形成領域と透明導電層非形成領域を有し、前記透明導電層非形成領域において、更に前記微細凹凸構造体が除去され、前記微細凹凸構造体と屈折率差が0.14以下の樹脂組成物の硬化物で充填されてなる、反射防止性透明導電フィルム。
  2. 前記微細凹凸構造体の凸部の頂部における前記第1透明導電層の平均膜厚D1−1は0〜20nmの範囲内であり、前記微細凹凸構造体の凸部の高さの1/2における前記第1透明導電層の平均膜厚D2−1は0.1〜40nmの範囲内であり、前記微細凹凸構造体の谷部における前記第1透明導電層の平均膜厚D3−1は1〜60nmの範囲内であり、
    前記微細凹凸構造体の凸部の頂部における前記第2透明導電層の平均膜厚D1−2は1〜60nmの範囲内であり、前記微細凹凸構造体の凸部の高さの1/2における前記第2透明導電層の平均膜厚D2−2は0.1〜40nmの範囲内であり、前記微細凹凸構造体の谷部における前記第2透明導電層の平均膜厚D3−2は0〜20nmの範囲内であり、
    前記微細凹凸構造体の凸部の頂部における前記第1透明導電層と前記第2透明導電層の膜厚の合計の平均膜厚D1は1〜80nmの範囲内であり、前記微細凹凸構造体の凸部の高さの1/2における前記第1透明導電層と前記第2透明導電層の膜厚の合計の平均膜厚D2は、0.2〜80nmの範囲内であり、前記微細凹凸構造体の谷部における前記第1透明導電層と前記第2透明導電層の膜厚の合計の平均膜厚D3は1〜80nmの範囲内である、請求項1に記載の反射防止性透明導電フィルム。
  3. 2枚の電極フィルムそれぞれの電極面を一定間隔で対向させてなるタッチパネルであって、少なくとも1つの電極フィルムが、前記請求項1又は2に記載の反射防止性透明導電フィルムであることを特徴とする、タッチパネル。
  4. 前記請求項に記載のタッチパネルを、画像表示面に備えた、画像表示装置。
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