本発明の実施例1に係る内燃機関の廃熱回収装置5(以下、廃熱回収装置5と略称する)について説明する。図1は廃熱回収装置5を示す模式図である。本実施例に係る廃熱回収装置5は、車両に搭載されて用いられる。廃熱回収装置5は、ランキンサイクルシステム10と、リザーブタンク100と、制御装置110とを備えている。ランキンサイクルシステム10は、内燃機関の廃熱を膨張機の動力として回収するシステムである。ランキンサイクルシステム10は、内燃機関20と、気液分離器30と、過熱器40と、膨張機50と、発電機60と、凝縮器70と、キャッチタンク80と、ポンプ90aおよびポンプ90bとを備えている。
またランキンサイクルシステム10は、内燃機関20の冷媒200が通過するための各種通路を備えている。具体的にはランキンサイクルシステム10は、各種通路として、循環通路120、リターン通路121およびバイパス通路122を備えている。なお、図1においては、廃熱回収装置5の各構成部材の構造を理解し易くするために、冷媒200は一部の構成部材(例えばキャッチタンク80、気液分離器30、リザーブタンク100等)にのみ図示されている。
循環通路120は、内燃機関20の冷媒200が気液分離器30またはポンプ90aを経由後に過熱器40に導入され、過熱器40を経由後に膨張機50に導入され、膨張機50を経由後に凝縮器70に導入され、凝縮器70を経由後にキャッチタンク80に導入され、キャッチタンク80を経由後にポンプ90bを経由して内燃機関20に戻るように、内燃機関20、気液分離器30、ポンプ90a、過熱器40、膨張機50、凝縮器70、キャッチタンク80およびポンプ90bを接続している。
リターン通路121は、過熱器40に導入された冷媒200に含まれる気体(蒸気)を気液分離器30に戻すための通路である。本実施例に係るリターン通路121は、気液分離器30と過熱器40の冷媒200が導入される導入口の近傍とを連通している。バイパス通路122は、内燃機関20を経由した冷媒200を過熱器40および膨張機50をバイパスさせて凝縮器70へ導入する通路である。本実施例に係るバイパス通路122は、気液分離器30と、循環通路120の膨張機50と凝縮器70との間の部分と、を連通している。
またランキンサイクルシステム10は、各種弁を備えている。具体的にはランキンサイクルシステム10は、各種弁として、循環通路120の気液分離器30と過熱器40との間の部分に配置された流量調整弁130と、バイパス通路122に配置されたバイパス開閉弁131と、循環通路120のポンプ90aとポンプ90bとの間に配置された一方弁132aとを備えている。
流量調整弁130は、内燃機関20から過熱器40に流入する冷媒200の流量を調整する弁である。本実施例に係る流量調整弁130は、内燃機関20から気液分離器30またはポンプ90aを経由して過熱器40に流入する冷媒200の流量を調整している。すなわち、流量調整弁130は、内燃機関20から過熱器40に流入する冷媒200の量を調整する流量調整手段としての機能を有している。このような機能を有するものであれば、流量調整手段は流量調整弁130に限定されるものではない。なお流量調整弁130の動作は、制御装置110が制御する。
バイパス開閉弁131は、制御装置110によって制御されて開閉する弁である。バイパス開閉弁131が開閉することで、バイパス通路122も開閉する。一方弁132aは、冷媒200の一方向の流通は許可し、反対方向の流通は禁止する弁である。本実施例に係る一方弁132aは、循環通路120の冷媒200の順方向(ポンプ90bからポンプ90aに向かう方向)の流通を許可し、逆方向(ポンプ90aからポンプ90bに向かう方向)の流通は禁止している。
またランキンサイクルシステム10は、制御装置110の制御に必要な各種情報を検出するための各種センサを備えている。図1においては、各種センサの一例として、内燃機関20に配置されたクランクポジションセンサ140および温度センサ141と、気液分離器30に配置された圧力センサ142とが図示されている。クランクポジションセンサ140は、内燃機関20のクランクシャフトの位置を検出し、検出結果を制御装置110に伝える。温度センサ141は、内燃機関20の冷媒200の温度を検出し、検出結果を制御装置110に伝える。圧力センサ142は、気液分離器30内の圧力を検出し、検出結果を制御装置110に伝える。
本実施例に係る内燃機関20は、一例としてガソリンエンジンを用いる。但し内燃機関20の種類は、これに限定されるものではない。例えば内燃機関20は、ディーゼルエンジンその他のエンジンであってもよい。内燃機関20は、シリンダブロック21と、シリンダヘッド22と、ピストン23とを備えている。シリンダブロック21には気筒が形成されている。本実施例に係る気筒の数は一つである。但し、気筒の数はこれに限定されるものではない。シリンダブロック21は、複数の気筒を有していてもよい。
シリンダヘッド22は、シリンダブロック21の上方に配置されている。ピストン23は、気筒に配置されている。シリンダブロック21とシリンダヘッド22とピストン23とによって囲まれた領域に、燃焼室24が形成されている。燃焼室24は、空気と内燃機関20の燃料噴射弁から噴射された燃料とが混合した混合気が燃焼するための空間である。ピストン23は、クランクシャフトにコンロッドを介して接続されている。ピストン23が気筒内を上下動することで、クランクシャフトは回転する。ここで本実施例に係る上方および下方は、それぞれ重力方向上方および重力方向下方を意味している。また本実施例に係る内燃機関20は、ピストン23が上下方向に往復運動するように車両に搭載されているが、これに限定されるものではない。例えば内燃機関20は、ピストン23が水平方向に往復運動するように車両に搭載されていてもよく、ピストン23が斜め方向に往復運動するように車両に搭載されていてもよい。
シリンダヘッド22には、燃焼室24に導入される吸気が通過する穴である吸気ポートと、燃焼室24から排出される排気が通過する穴である排気ポートとが形成されている。排気ポートから排出された排気は、排気通路を通過して過熱器40に導入される。過熱器40を経由後の排気は、排気浄化触媒によって浄化されて外部空間(廃熱回収装置5の外部の空間)へ排出される。
シリンダヘッド22には、冷媒200が通過する通路であるヘッド通路123が形成されている。シリンダブロック21には、冷媒200が通過する通路であるブロック通路124が形成されている。ヘッド通路123を冷媒200が通過することで、シリンダヘッド22は冷媒200によって冷却される。ブロック通路124を冷媒200が通過することで、シリンダブロック21は冷媒200によって冷却される。本実施例に係るブロック通路124は、ヘッド通路123に接続している。またブロック通路124は、循環通路120を介してポンプ90aにも接続している。ヘッド通路123は、循環通路120を介して気液分離器30に接続している。
気液分離器30は、導入される冷媒200を気体(蒸気)と液体とに分離する装置である。気液分離器30には、内燃機関20から排出された冷媒200(具体的にはヘッド通路123から排出された冷媒200)が循環通路120を介して導入される。また本実施例に係る気液分離器30には、リターン通路121を通過した冷媒200も導入される。気液分離器30によって分離された冷媒200の蒸気はバイパス通路122が開の場合、バイパス通路122に流入し、その後、循環通路120に流入して凝縮器70へ流入する。気液分離器30によって分離された冷媒200の液体は、循環通路120を通過して過熱器40に導入される。
過熱器40は、内燃機関20を経由した冷媒200を内燃機関20の廃熱で過熱して蒸気にする装置である。なお本実施例においては内燃機関20と過熱器40との間に気液分離器30が配置されているため、過熱器40は内燃機関20を経由後にさらに気液分離器30を経由した冷媒200を内燃機関20の廃熱で過熱して蒸気にしている。内燃機関20の廃熱は、特に限定されるものではないが、本実施例においては一例として内燃機関20の排気の熱を用いている。この場合、過熱器40は、循環通路120を通過して過熱器40に導入された冷媒200(液体)と排気通路を通過して過熱器40に導入された排気との間で熱交換することで、冷媒200を過熱して蒸気にしている。
過熱器40を経由することで蒸気となった冷媒200は、循環通路120を通過して膨張機50に流入する。膨張機50は、冷媒200を受けて駆動する装置である。このような装置であれば、膨張機50の具体的な構成は特に限定されるものではない。本実施例に係る膨張機50は、一例としてノズル51およびタービン52を備えている。ノズル51は、循環通路120を通過した冷媒200の圧力を速度に変換させる部材である。タービン52は、ノズル51を経由後の冷媒200を受けて回転する装置である。タービン52には発電機60の主軸が接続されている。ノズル51を経由後の冷媒200がタービン52に当接することで、タービン52は回転し、発電機60の主軸も回転する。なお、膨張機50において冷媒200は膨張する。その結果、冷媒200の温度は低下する。膨張機50を経由後の冷媒200は、循環通路120を通過して凝縮器70に導入される。
発電機60は、主軸が回転することで電力を発生する装置である。前述したように発電機60の主軸はタービン52に接続されていることから、タービン52が回転した場合、発電機60の主軸も回転して電力が発生する。発電機60が発生した電力は、内燃機関20、車両、制御装置110等に利用される。このようにして、発電機60は、膨張機50の動力を電力として回収している。すなわち、発電機60は、膨張機50の動力を回収する動力回収装置としての機能を有している。なお、膨張機50の動力を回収できるものであれば、動力回収装置は発電機60に限定されるものではない。
凝縮器70は、導入された冷媒200を凝縮して液化させる装置である。本実施例に係る凝縮器70は、膨張機50を経由後の冷媒200の熱を放熱させて凝縮させることで液化させる放熱部71を有している。凝縮器70の詳細は後述する。凝縮器70によって凝縮されることで液体となった冷媒200は、循環通路120を通過してキャッチタンク80に導入される。
キャッチタンク80は、凝縮器70を経由した冷媒200を一時的に貯留するタンクである。キャッチタンク80から排出された冷媒200は、循環通路120を通過してポンプ90bによって内燃機関20に供給される。
ポンプ90aおよびポンプ90bは、制御装置110によって制御されて作動する。ポンプ90aは、内燃機関20を経由後の冷媒200を過熱器40に供給する供給手段としての機能を有している。ポンプ90bは、凝縮器70を経由後の冷媒200を内燃機関20に供給する供給手段としての機能を有している。本実施例においては凝縮器70と内燃機関20との間にキャッチタンク80が配置されているため、ポンプ90bは、凝縮器70を経由後にさらにキャッチタンク80を経由した冷媒200を内燃機関20に供給している。なお、ポンプ90bの循環通路120への配置箇所は、図1の構成に限定されるものではない。例えばポンプ90bは、循環通路120のキャッチタンク80と凝縮器70との間に配置されていてもよい。
リザーブタンク100は、凝縮器70に接続されている。リザーブタンク100は、液状の冷媒200を貯留するタンクとしての機能を有している。凝縮器70には第1通路125が接続されている。第1通路125の凝縮器70とは反対側の端部は開口しており、この開口した端部はリザーブタンク100の冷媒200内に配置されている。リザーブタンク100の底部と凝縮器70の底部とは、第2通路126によって接続されている。また第1通路125には、第3通路127が接続されている。第1通路125には、第1開閉弁133が配置されている。第1開閉弁133は制御装置110によって制御されることで開閉する。第1開閉弁133が開閉することで、第1通路125も開閉する。第2通路126には第2開閉弁134が接続されている。第2開閉弁134は制御装置110によって制御されることで開閉する。第2開閉弁134が開閉することで、第2通路126も開閉する。第3通路127には一方弁132bが配置されている。リザーブタンク100および第1通路125〜第3通路127の詳細は後述する。
制御装置110は、各種センサの検出結果に基づいて廃熱回収装置5の動作を統合的に制御する制御部と、制御部の動作に必要な情報を記憶する記憶部とを有している。具体的には制御部は、内燃機関20の運転開始、運転停止、運転状態等を制御している。また制御部は、内燃機関20の運転開始と同時に始動時制御処理を実行し、次いで通常時制御処理を実行する。制御装置110として、電子制御装置(Electronic Control Unit)を用いることができる。本実施例においては、制御装置110の一例として、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112およびRAM(Random Access Memory)113を備える電子制御装置を用いる。制御部の機能は、CPU111によって実現される。記憶部の機能は、ROM112およびRAM113によって実現される。
続いて通常時制御処理およびこれが実行されたときの廃熱回収装置5の動作について説明し、次いで凝縮器70、リザーブタンク100および第1通路125〜第3通路127の詳細について説明し、次いで始動時制御処理およびこれが実行されたときの廃熱回収装置5の動作について説明する。まず、通常時制御処理およびこれが実行されたときの廃熱回収装置5の動作について説明する。通常時制御処理の実行開始前において制御部は、第1開閉弁133および第2開閉弁134を閉に制御しておく。制御部は内燃機関20の負荷に応じてポンプ90bを制御することで、循環通路120の冷媒200の内燃機関20への流入を制御する。内燃機関20のヘッド通路123の冷媒200は、内燃機関20の熱によって大部分が蒸気となり気液分離器30に流入する。
気液分離器30によって液体に分離された冷媒200は、循環通路120を通過して過熱器40に流入する。制御部は、内燃機関20の運転状態に基づいて流量調整弁130を制御することで、過熱器40への冷媒200の流入量を制御する。過熱器40に導入された冷媒200は、排気の熱で過熱されて蒸気となり、循環通路120を通過して膨張機50に流入し、膨張機50のタービン52を回転させる。タービン52が回転することで発電機60は発電する。発電機60で発生した電力は、内燃機関20、車両、制御装置110等に利用される。膨張機50を経由後の冷媒200は、循環通路120を通過して凝縮器70に流入する。凝縮器70に流入した冷媒200は、放熱部71に導入され、放熱部71において放熱することで凝縮して液化する。凝縮器70によって液体となった冷媒200は、循環通路120を通過してキャッチタンク80に流入し、次いでポンプ90bを経由して内燃機関20に戻る。
また、過熱器40に導入された冷媒200に含まれる気体成分は、リターン通路121を通過して気液分離器30に戻される。また、内燃機関20の負荷が例えば高負荷のときのように内燃機関20で発生する冷媒200の蒸気量が多い場合には、制御部はバイパス開閉弁131を開に制御することでバイパス通路122を開にする。具体的には制御部は、圧力センサ142の検出結果に基づいて気液分離器30の圧力を取得し、取得された圧力が基準値(この基準値は記憶部が記憶しておく)以上の場合に、バイパス通路122を開にする。それにより、内燃機関20で発生した冷媒200の蒸気の一部を、バイパス通路122を通過させることができる。その結果、内燃機関20で発生した冷媒200の蒸気の一部を、過熱器40および膨張機50をバイパスさせて凝縮器70に導入することができる。このようにして、制御部は膨張機50のタービン52が高回転になり過ぎてタービン52に故障等の不具合が発生することを抑制している。
また制御部は、圧力センサ142の検出結果に基づいて取得した気液分離器30の圧力が上述した基準値よりもさらに高い所定の圧力以上になった場合には、第1開閉弁133を開に制御することで第1通路125を開にする。この場合、凝縮器70に導入された冷媒200の蒸気は、第1通路125を通過してリザーブタンク100に排出され、その後外部空間に排出される。それにより、ランキンサイクルシステム10内の圧力が過剰に上昇することが抑制されている。
また、気液分離器30から過熱器40に流入する冷媒200の量が所定値より少ない場合には、制御部はポンプ90aの回転を開始させる。この場合、内燃機関20のブロック通路124の冷媒200は、ポンプ90aによって圧送されて過熱器40に流入する。なお、この場合、ポンプ90aによって圧送された冷媒200のポンプ90b側への逆流は、一方弁132aによって抑制されている。
以上のように通常時制御処理が実行されることで、ランキンサイクルシステム10は、膨張機50の動力を発電機60の発電として回収している。なお、ランキンサイクルシステム10は、内燃機関20の廃熱で過熱されて蒸気となった冷媒200によって駆動される膨張機50と、膨張機50を経由後の冷媒200が導入される凝縮器70と、凝縮器70の放熱部71を経由することによって液化した冷媒200を内燃機関20に供給する供給手段(ポンプ90b)と、を有することによって、内燃機関20の廃熱を膨張機50の動力として回収できるものであれば、図1の構成に限定されるものではない。
例えばランキンサイクルシステム10がポンプ90a、気液分離器30、キャッチタンク80、流量調整弁130およびバイパス通路122を備えていない場合であっても、内燃機関20の廃熱を膨張機50の動力として回収することは可能である。また、ランキンサイクルシステム10は、凝縮器70を経由することによって液化した冷媒200を内燃機関20に供給する供給手段として、ポンプ90bの他に、開閉弁を備えていてもよい。この開閉弁は、循環通路120のうち凝縮器70より下流側であって内燃機関20より上流側の部分に配置される。この場合、制御装置110の制御部はこの開閉弁を閉に制御することで、凝縮器70を経由後の冷媒200の内燃機関20への供給を停止させることができ、開閉弁を開にし且つポンプ90bを作動させることで、凝縮器70を経由後の冷媒200の内燃機関20への供給を開始させることができる。
続いて、凝縮器70、リザーブタンク100および第1通路125〜第3通路127の詳細について説明する。図2(a)は、廃熱回収装置5の凝縮器70およびリザーブタンク100の近傍を示す模式図である。図2(b)は、凝縮器70の上部近傍を拡大して示す模式図である。図2(c)は、第1通路125の後述する穴129の近傍を拡大して示す模式図である。なお、図2(a)〜図2(c)において冷媒200の図示は省略されている。
図2(a)に示すように、本実施例に係る凝縮器70は、一例として車両用ラジエータと同様の構成を有している。まず、凝縮器70の放熱部71より上方には空間(以下、上部空間74と称する)が設けられており、放熱部71より下方にも空間(以下、下部空間75と称する)が設けられている。
凝縮器70は、膨張機50を経由後の冷媒200が導入される穴である導入開口部72を、凝縮器70の上部空間74に対応する部分に有している。その結果、放熱部71は、導入開口部72より下方に配置されていることになる。本実施例に係る導入開口部72は、凝縮器70の上部空間74に対応する部分の側面に形成されており、且つ導入開口部72の開口面が垂直になるように開口している。但し導入開口部72の形成位置および形状は、これに限定されるものではない。例えば導入開口部72は、凝縮器70の上部空間74に対応する部分の側面に、開口面が斜め方向になるように形成されていてもよい。あるいは導入開口部72は、凝縮器70の上面(すなわち上部空間74の上面)に、開口面が水平方向または斜め方向になるように形成されていてもよい。導入開口部72には、循環通路120が接続されている。導入開口部72は循環通路120を介して膨張機50と連通している。
また凝縮器70は、放熱部71を経由した冷媒200を凝縮器70から排出する穴である第1排出開口部73を、凝縮器70の下部空間75に対応する部分に有している。本実施例に係る第1排出開口部73は、凝縮器70の底部に形成されている。但し、第1排出開口部73の形成位置は、これに限定されるものではない。例えば第1排出開口部73は、凝縮器70の下部空間75に対応する部分の側面に形成されていてもよい。第1排出開口部73には、循環通路120が接続されている。その結果、第1排出開口部73は、循環通路120を介してキャッチタンク80および内燃機関20と連通している。
なお、本実施例に係る第1排出開口部73には、循環通路120の他に第2通路126も接続されている。具体的には第2通路126は、循環通路120に合流して第1排出開口部73に接続している。但し、凝縮器70の構成はこれに限定されるものではない。例えば、凝縮器70は、凝縮器70の下部空間75に対応する部分のうち第1排出開口部73とは異なる箇所に、新たな排出開口部を備え、循環通路120および第2通路126のいずれか一方はこの排出開口部に接続され、他方が第1排出開口部73に接続されていてもよい。
図1において前述したように放熱部71は、膨張機50を経由後の冷媒200の熱を放熱させて凝縮させることで液化させる機能を有している。このような機能を有するものであれば、放熱部71の具体的構成は特に限定されるものではない。本実施例に係る放熱部71は、一例として、冷却用のフィン76が配置された通路(以下、内部通路77と称する)を有している。内部通路77は、上部空間74および下部空間75と連通している。なお、本実施例に係る凝縮器70は、複数の内部通路77を有しているが、これに限定されるものではない。凝縮器70は、内部通路77を少なくとも一つ有していればよい。また本実施例に係る内部通路77は、その通路方向が上下方向となっている。この場合、冷媒200は内部通路77を上方から下方に向かって縦方向に流動する。
通常時制御処理が実行されてランキンサイクルシステム10が通常運転された場合、凝縮器70は以下のように動作する。まず、膨張機50を経由して導入開口部72から導入された冷媒200の蒸気は上部空間74に流入後に、内部通路77に流入する。この冷媒200の蒸気は、内部通路77を上方から下方に流動しながらフィン76を介して蒸気の熱を放熱することで凝縮されて液化し、下部空間75に流入する。下部空間75に流入した液状の冷媒200は、第1排出開口部73から循環通路120に流入してキャッチタンク80に流入し、ポンプ90bによって内燃機関20に供給される。このように凝縮器70は、膨張機50を経由後の冷媒200の熱を放熱部71で放熱させて凝縮させることで冷媒200を液化させている。
なお、内部通路77は、その通路方向が横方向になるように配置されていてもよい。この場合、上部空間74の冷媒200は、通路方向が横方向の内部通路77を流動して下部空間75に流入することで、放熱部71内を横方向に流動しながら下部空間75に流入することになる。
また本実施例に係る凝縮器70は、上部空間74に対応する部分における導入開口部72とは異なる箇所に、上部開口部78をさらに備えている。本実施例に係る上部開口部78は、凝縮器70の上部空間74に対応する部分の側面に形成されているが、これに限定されるものではない。例えば上部開口部78は、凝縮器70の上面(すなわち上部空間74の上面)に形成されていてもよい。上部開口部78には、第1通路125が接続されている。
第1通路125には、第1開閉弁133が配置されている。図1において前述したように第1開閉弁133は、制御装置110の制御部によって制御されて開閉する。第1開閉弁133が開に制御されることで第1通路125が開になった場合、上部空間74の冷媒200(蒸気)は、第1通路125を通過してリザーブタンク100に貯留された冷媒200内に流入する。
リザーブタンク100は、外部空間と連通した穴である外気開口部101を有している。本実施例に係る外気開口部101はリザーブタンク100の上面に形成されているが、これに限定されるものではない。例えば外気開口部101は、リザーブタンク100の側面に形成されていてもよい。リザーブタンク100は、外気開口部101より下方に液状の冷媒200を貯留する(冷媒200が貯留された様子は、図1または後述する図3に図示されている)。このリザーブタンク100に貯留される冷媒200は、その水面位置が、少なくとも第1通路125の後述する穴129よりも上方になるように設定される。
本実施例に係るリザーブタンク100は、一例として、底部側に容積の小さい小容積部102を備え、小容積部102の上部に小容積部102よりも容積の大きい大容積部103を備えている。大容積部103を水平方向で切断した切断面の面積(断面積)は、小容積部102を水平方向で切断した切断面の面積よりも大きい。本実施例に係る冷媒200は、冷媒200の水面が大容積部103の領域に含まれるようにリザーブタンク100に貯留される。なお、リザーブタンク100の高さは低いことが好ましい。廃熱回収装置5が車両に搭載された場合におけるリザーブタンク100の搭載の自由度を高く確保できるからである。この点、本実施例に係るリザーブタンク100によれば、小容積部102および大容積部103を備えていることから、リザーブタンク100が小容積部102の断面積で同じ量の冷媒200を確保しようとした場合に比較して、リザーブタンク100の高さを低くしつつ穴129よりも上方に貯留される冷媒200の量を多く確保することができる。
リザーブタンク100の底部には、第2排出開口部104が形成されている。第2排出開口部104は、リザーブタンク100に貯留された液状の冷媒200をリザーブタンク100から排出する穴である。第2排出開口部104には第2通路126が接続されている。それによりリザーブタンク100は、第2通路126を介して凝縮器70と連通している。すなわち本実施例に係る第2通路126は、リザーブタンク100と凝縮器70とを連通することで、リザーブタンク100に貯留された液状の冷媒200を凝縮器70に導く通路としての機能を有している。第2通路126には第2開閉弁134が配置されている。図1において前述したように、第2開閉弁134は、制御装置110の制御部によって制御されて開閉する。第2開閉弁134が開閉されることで、第2通路126は開閉される。
図2(b)および図2(c)に示すように、第1通路125は、凝縮器70の上部開口部78とは反対側の端部が、開口した端部となっている。以下、この第1通路125の開口した端部を開口端部128と称する。開口端部128は、リザーブタンク100の冷媒200の中に位置することになる。すなわち、本実施例に係る第1通路125は、一端が凝縮器70の放熱部71より上方に接続し、他端が開口端部128となっており、且つ凝縮器70の放熱部71より上方に存在する気体(上部空間74に存在する気体)をリザーブタンク100に貯留された液状の冷媒200の中に導く通路としての機能を有している。本実施例に係る第1通路125は、一例として、上部開口部78側から水平方向に延伸してリザーブタンク100の側面を貫通した後に、リザーブタンク100内で下方に屈曲してリザーブタンク100内の底部近傍まで延伸している。
また第1通路125には、第3通路127が接続されている。具体的には第3通路127は、第1通路125の屈曲した部分に接続している。また第3通路127は、上方に延伸している。その結果、第1通路125および第3通路127の全体形状は、上部開口部78側からリザーブタンク100側に向かって水平方向に延伸した後に、上方および下方に分岐した形状となっている。但し、第1通路125および第3通路127の形状はこれに限定されるものではない。
第3通路127には一方弁132bが配置されている。第3通路127の第1通路125に接続した端部とは反対側の端部は、開口した開口端部となっている。第3通路127の開口端部は、外部空間に配置されている。一方弁132bは、第3通路127の開口端部側から第1通路125側への流体の移動を許容し、第1通路125側から第3通路127の開口端部側への流体の移動を禁止している。すなわち一方弁132bが第3通路127に配置されていることで、外部空間の外気が第3通路127および第1通路125をこの順に通過して上部空間74に流入することは許容され、上部空間74の気体が第1通路125および第3通路127をこの順に通過して外部空間へ流出することは禁止されている。
第1通路125の通路途中(通路途中とは、第1通路125の上部空間74と開口端部128との間の部分をいう)には穴129が形成されている。本実施例においては第1通路125には第3通路127が接続されているため、穴129は、第1通路125の通路途中のうち第3通路127が接続している部分よりもさらに下流側に形成されている。
また、これは後述する図3において詳細に説明するが、リザーブタンク100に貯留された液状の冷媒200は、第2通路126が開になった場合、第2通路126を通過して凝縮器70に流入するとともに、凝縮器70に流入した冷媒200の水面位置が第1通路125の穴129の位置に一致した場合に凝縮器70への流入を停止する。そのため、穴129の位置を調整することで、凝縮器70に流入した冷媒200の水面位置を調整することができる。そこで本実施例に係る第1通路125における穴129の形成位置は、第2通路126を通過して凝縮器70に流入した液状の冷媒200の水面位置が凝縮器70の放熱部71以上となり(すなわち放熱部71を液状の冷媒200で満たすことができる水面位置)、且つ凝縮器70の液状の冷媒200が導入開口部72を超えて循環通路120に逆流しない範囲内に設定されている。
具体的には本実施例に係る穴129の形成位置は、図2(b)に示すように、導入開口部72よりも下方且つ放熱部71以上である。より具体的には、穴129は、穴129の下部の位置(水平線Aで図示されている)が、導入開口部72の下部の位置(水平線Bで図示されている)よりも下方且つ放熱部71の上部の位置(水平線Cで図示されている)以上に位置している。なお、本実施例に係る穴129は、穴129の下部の位置が放熱部71の上部の位置に一致している。
ここで、導入開口部72の下部とは、この下部より上に冷媒200の水面がなった場合に冷媒200が導入開口部72を通過して循環通路120に逆流することを開始するような導入開口部72の部分をいう。なお本実施例に係る導入開口部72の下部は、導入開口部72のうち最も下方の部分である。また放熱部71の上部とは、放熱部71の内部通路77の上部(内部通路77の上端部)をいう。なお、複数の内部通路77の上部の位置が異なる場合には、放熱部71の上部として複数の内部通路77の上部のうち最も上方の部分を用いることが好ましい。また本実施例に係る内部通路77の通路方向は上下方向であるが、仮に内部通路77の通路方向が横方向の場合には、放熱部71の上部として、複数の内部通路77のうち最も上方に位置する内部通路77の上部を用いる。また、穴129の基準位置として穴129の下部の位置を用いているが、これに限定されるものではない。穴129の基準位置として、穴129の中心位置、穴129の上部の位置等を用いてもよい。一例として穴129の基準位置として穴129の中心位置を用いた場合、穴129は、穴129の中心位置が導入開口部72よりも下方且つ放熱部71以上に位置することになる。
また図2(c)に示すように、穴129の径(d)は、開口端部128の径(D)よりも小さく設定されている。それにより、穴129の面積は、開口端部128の開口面積(開口端部128の開口部分の面積)よりも小さくなっている。また、第1通路125の開口端部128は、穴129よりも下方に位置している。すなわち、本実施例に係る第1通路125の一端は凝縮器70の放熱部71より上方に接続し、第1通路125の他端は開口した端部(開口端部128)となっており且つ穴129よりも下方に位置し、穴129の面積は開口端部128の面積よりも小さくなっている。
続いて、制御装置110による始動時制御処理およびこれが実行されたときの廃熱回収装置5の動作について説明する。まず、本実施例に係る制御装置110の制御部は、始動時制御処理において、凝縮器70を経由した冷媒200の内燃機関20への供給を停止させ且つ第1通路125および第2通路126を開にする第1制御処理を実行する。
第1制御処理の具体的な実行開始時期は、内燃機関20の運転開始以後であれば、特に限定されるものではない。例えば制御部は、内燃機関20の運転が開始されたと同時に第1制御処理を実行してもよく、内燃機関20の運転が開始されてから所定時間経過後に第1制御処理を実行してもよい。本実施例に係る制御部は、一例として内燃機関20の運転開始と同時に第1制御処理を実行する。また制御部は、第1制御処理において、ポンプ90bを停止させることで、凝縮器70を経由した冷媒200の内燃機関20への供給を停止させる。また本実施例に係る制御部は、第1制御処理においてポンプ90aも停止させる。
図3(a)〜図3(c)は、第1制御処理の作用効果を説明するための模式図である。具体的には図3(a)は内燃機関20の運転開始前の凝縮器70およびリザーブタンク100を示す模式図である。図3(a)において、第1開閉弁133および第2開閉弁134は閉に制御されており、その結果、第1通路125および第2通路126も閉になっている。図3(b)は、制御部が第1開閉弁133を開に制御することで第1通路125が開になった場合の凝縮器70およびリザーブタンク100を示す模式図である。なお、図3(b)において第2通路126は閉の状態のままである。図3(c)は、さらに制御部が第2開閉弁134を開に制御することで第2通路126が開になった後、すなわち第1制御処理の実行後の凝縮器70およびリザーブタンク100を示す模式図である。
図3(a)に示すように、内燃機関20の運転開始前において凝縮器70内には、液状の冷媒200が存在している。内燃機関20の運転開始前において、リザーブタンク100内の冷媒200の水面位置と凝縮器70内の冷媒200の水面位置との間には、距離PHの差がある。また、内燃機関20の運転開始前において、ランキンサイクルシステム10内の圧力は大気圧(Po)よりも低い圧力(負圧)になっているものとする。この場合、上部空間74の気体の圧力も負圧になっている。
図3(b)に示すように、第1通路125が開になった場合、外部空間の外気は、第3通路127および第1通路125を通過して上部空間74に流入する。その結果、上部空間74の気体の圧力を早期に大気圧(Po)にまで上昇させることができる。
次いで第2通路126が開になった場合、リザーブタンク100に貯留された冷媒200の水面位置と凝縮器70に存在する冷媒200の水面位置との差圧(距離PHに相当する重力落差)によって、リザーブタンク100に貯留されていた冷媒200は、第2通路126を通過して凝縮器70に流入することを開始する。図3(c)に示すように、このリザーブタンク100から凝縮器70への冷媒200の流入は、凝縮器70の冷媒200の水面位置が第1通路125の穴129の位置に一致した場合に停止する。この場合、凝縮器70の冷媒200の水面の圧力(すなわち上部空間74の気体の圧力)と第1通路125の穴129の圧力とが同じになるからである。なお、図3(c)において、穴129の圧力は、「大気圧(Po)+穴129の下部より上方の冷媒200による圧力(Ph)」となっている。上部空間74の気体の圧力もPo+Phになっている。したがって、穴129の位置を調整することで、凝縮器70に流入した冷媒200の水面位置を調整することができる。このように本実施例に係る穴129は、凝縮器70に流入した冷媒200の水面調整穴としての機能を有している。
ここで、第1通路125の穴129の位置は、導入開口部72よりも下方且つ放熱部71以上に位置していることから、凝縮器70の冷媒200の水面位置は、導入開口部72よりも下方且つ放熱部71以上に位置することになる。凝縮器70の冷媒200の水面位置が導入開口部72よりも下方であることから、凝縮器70の液状の冷媒200が膨張機50に逆流することは抑制されている。その結果、膨張機50に逆流した冷媒200によって膨張機50に不具合が生じることが抑制されている。具体的には、膨張機50に逆流した冷媒200によって膨張機50のタービン52が破損する等の不具合の発生が抑制されている。また凝縮器70の冷媒200の水面位置が放熱部71以上に位置することから、放熱部71を液状の冷媒200で満たすことができる。具体的には、放熱部71の内部通路77を液状の冷媒200で満たすことができる。放熱部71が液状の冷媒200で満たされることで、放熱部71の放熱機能を抑制することができる。それにより、ランキンサイクルシステム10内の圧力を早期に上昇させることができる。
また、内燃機関20の運転開始以後において、内燃機関20の熱によってランキンサイクルシステム10内の蒸気の量は増加する。それにより、上部空間74に存在する気体の圧力も増加する。その結果、上部空間74に存在する気体(気化した冷媒200の蒸気、内燃機関20の運転停止後に外部から侵入した外気を含んだ気体、図3(b)において上部空間74に流入した外気等)は、図3(c)に示すように、第1通路125を通過してリザーブタンク100の冷媒200内に排出される。リザーブタンク100の冷媒200内に排出された気体は、その後リザーブタンク100の外気開口部101から外部空間へ排出される。その結果、ランキンサイクルシステム10内に侵入した外気を排出することができる。それにより、ランキンサイクルシステム10内に侵入した外気の凝縮器70への集積が抑制される。その結果、凝縮器70の性能低下を抑制することができる。
以上のように廃熱回収装置5によれば、第1制御処理が実行される結果、ランキンサイクルシステム10内に侵入した外気による凝縮器70の性能低下を抑制し、膨張機50の不具合の発生を抑制しつつランキンサイクルシステム10内の圧力を早期に上昇させることができる。
また第1制御処理が実行された場合、第1通路125から排出された気体は、リザーブタンク100の冷媒200を通過してからリザーブタンク100の外気開口部101から外部空間へ排出されるため、第1通路125から排出される気体に含まれる冷媒成分をリザーブタンク100の冷媒200によって効果的に回収することができる。それにより、ランキンサイクルシステム10内の冷媒200がリザーブタンク100の外気開口部101から排出される量を小さくすることができる。その結果、廃熱回収装置5の使用時間の経過とともにランキンサイクルシステム10内の冷媒200の量が減少することを抑制することができる。
なお、本実施例に係る制御装置110の制御部は第1制御処理において、第1通路125を先に開にしてから第2通路126を開にしたが、これに限定されるものではない。例えば制御部は、第1通路125および第2通路126を同時に開にしてもよく、第2通路126を先に開にしてから第1通路125を開にしてもよい。但し、本実施例のように第1通路125を先に開にしてから第2通路126を開にした方が、早期に上部空間74の気体の圧力を大気圧まで上昇できる点において好ましい。
また制御部は、第1制御処理の実行後において、第1制御処理の実行によって第2通路126が開になってからの経過時間が第1所定時間になった場合に第2通路126を閉にする第2制御処理を実行する。すなわち、第1制御処理および第2制御処理の実行によって、第2通路126は第1所定時間の間、開になり、第1所定時間経過後に閉になる。第1所定時間としては、第2通路126が開になってから凝縮器70の放熱部71が冷媒200で満たされるまでに必要な時間以上の時間を用いることができる。第1所定時間は、予め適当な時間を求めておき、記憶部が記憶しておく。制御部は、第1制御処理の実行開始からの経過時間が記憶部の第1所定時間に一致した場合に第2開閉弁134を閉に制御することによって、第2通路126を閉にする。
第2制御処理が実行されることによって、上部空間74の気体の圧力が高くなった場合であっても、上部空間74の気体の圧力に押されて凝縮器70の液状の冷媒200の一部が第2通路126を通過してリザーブタンク100に戻されることを抑制することができる。それにより、放熱部71が液状の冷媒200から露出することを抑制することができる。
また第2制御処理の実行後において制御部は、第1通路125を閉にした上で第2通路126を第2所定時間開にする第3制御処理をさらに実行する。制御部は、第3制御処理の後に通常時制御処理を実行する。第2所定時間は、予め記憶部が記憶しておく。制御部は、第2通路126を開にしてからの経過時間が記憶部の第2所定時間になった場合に第2通路126を閉にすることで、第3制御処理を実行する。
第3制御処理において第1通路125が閉にされた場合、ランキンサイクルシステム10における蒸気量の増大に伴って凝縮器70の上部空間の圧力は上昇する。そして、第2所定時間第2通路126が開にされた場合、上昇した上部空間74の気体の圧力によって、凝縮器70の液状の冷媒200を第2通路126を通過させてリザーブタンク100に戻すことができる。その結果、放熱部71の放熱機能を回復させることができる。
なお第2所定時間としては、凝縮器70の冷媒200がリザーブタンク100に戻るのに要する時間以上の時間を用いることができる。例えば、凝縮器70の冷媒200をリザーブタンク100に戻すのに必要な時間を予め求めておき、この時間を第2所定時間として用いることができる。なお、第2所定時間が長いほど、凝縮器70の冷媒200をより多くリザーブタンク100に戻すことができる。それにより、通常時制御処理の実行開始時点における放熱部71の放熱機能の回復度合いを高くすることができる。またリザーブタンク100に貯留される冷媒200の量を多くすることができる。一方、第2所定時間が短いほど、通常時制御処理の実行開始までの時間を短くすることができる。第2所定時間は、放熱部71の放熱機能の回復度合いと通常時制御処理の実行開始までの時間短縮度合いとのバランスを考慮して適切な値を設定すればよい。
さらに制御部は、第2制御処理の実行後且つ第3制御処理の実行前において、ランキンサイクルシステム10で発生するの冷媒200の蒸気の量が第1基準値になるまで、バイパス通路122を閉にする第4制御処理を実行し、第4制御処理の実行後において、ランキンサイクルシステム10で発生する冷媒200の蒸気の量が第2基準値になるまで、バイパス通路122を開にする第5制御処理を実行する。
この構成によれば、第4制御処理が実行されることで、ランキンサイクルシステム10の膨張機50と凝縮器70との間に存在する気体(具体的には膨張機50と凝縮器70との間の循環通路120に存在する気体)を上部空間74の気体とともにリザーブタンク100の外気開口部101から外部空間へ排出することができる。また、第5制御処理が実行されることで、ランキンサイクルシステム10のバイパス通路122に存在する気体を上部空間74の気体とともにリザーブタンク100の外気開口部101から外部空間へ排出することができる。
なお本実施例に係る制御部は、第4制御処理におけるランキンサイクルシステム10で発生する冷媒200の蒸気量の一例として、過熱器40で発生する冷媒200の蒸気量を用いる。また、制御部は過熱器40で発生する冷媒200の蒸気量が第1基準値以上にならなかった場合には、ランキンサイクルシステム10で発生する冷媒200の蒸気量として、過熱器40で発生する冷媒200の蒸気量と内燃機関20で発生する冷媒200の蒸気量との合計値を用いる。また制御部は、第5制御処理におけるランキンサイクルシステム10で発生する冷媒200の蒸気量の一例として、内燃機関20および過熱器40で発生する冷媒200の蒸気量を用いる。但し、第4制御処理および第5制御処理で用いられるランキンサイクルシステム10で発生する冷媒200の蒸気量は、これらに限定されるものではない。
また制御部は、第2制御処理の実行後において、内燃機関20の運転状態に基づいて流量調整弁130を制御してから、第4制御処理を実行する。この構成によれば、内燃機関20の運転状態に基づいて内燃機関20から過熱器40に流入する冷媒200の量を制御することができる。それにより、過熱器40で発生する冷媒200の蒸気量を制御することができる。
制御部は、以上説明したような第1制御処理〜第5制御処理を始動時制御処理において実行する。始動時制御処理の後において制御部は、前述した通常時制御処理を実行する。続いて、制御装置110による廃熱回収装置5の制御処理の全体について、フローチャートを用いて説明する。図4および図5は、制御装置110による廃熱回収装置5の制御処理のフローチャートの一例を示す図である。制御装置110の制御部は、図4および図5のフローチャートを所定の周期で繰り返し実行する。なお、図4はステップS44までを示しており、図5はステップS50以降を示している。また、図4のフローチャートの最初のスタート時点において、内燃機関20の運転は停止しており、ポンプ90aおよびポンプ90bの運転も停止しており、第1通路125および第2通路126は閉になっており、バイパス通路122も閉になっており、流量調整弁130も閉になっているものとする。
まず制御部は、内燃機関20の運転開始と同時に第1制御処理を実行する(ステップS10)。具体的には第1制御処理において制御部は、ポンプ90aおよびポンプ90bの運転を停止させた上で第1通路125および第2通路126を開にする。次いで、制御部は、第2制御処理(ステップS20およびステップS21)を実行する。具体的にはステップS20において制御部は、第2通路126が開になってからの経過時間が第1所定時間であるか否かを判定する。ステップS20は、第2通路126が開になってからの経過時間が第1所定時間であると判定されるまで繰り返し実行される。ステップS20において第2通路126が開になってからの経過時間が第1所定時間であると判定された場合、制御部は、第2開閉弁134を閉に制御することで第2通路126を閉にする(ステップS21)。
次いで制御部は、内燃機関20の運転状態に基づいて流量調整弁130を制御する(ステップS30)。ステップS30の実行にあたり、制御装置110の記憶部は、流量調整弁130の開度を、内燃機関20から過熱器40に流入する冷媒200の流量および内燃機関20の負荷に関連付けて規定したマップを記憶しておく。制御部は、内燃機関20の負荷を取得し、取得された負荷に対応する冷媒200の流量になるように流量調整弁130の開度を制御する。それにより、制御部は内燃機関20の運転状態に基づいて内燃機関20から過熱器40に流入する冷媒200の量を制御することができ、以って、過熱器40で発生する冷媒200の蒸気量を制御することができる。なお、内燃機関20の負荷は、内燃機関20の燃料噴射量、内燃機関20に吸入される空気量、内燃機関20が搭載された車両のアクセル開度等を用いることができる。
次いで制御部は、第4制御処理(ステップS40〜ステップS44)および第5制御処理(図5のステップS50〜ステップS52)を実行する。まずステップS40において制御部は、ランキンサイクルシステム10で発生する冷媒200の蒸気量が第1基準値以上であるか否かを判定する。具体的には制御部は、ステップS40において、過熱器40に供給された冷媒200によって過熱器40で発生した冷媒200の蒸気量(以下、過熱器40の発生蒸気量と称する場合がある)の積算値(Gss)を算出し、算出された過熱器40の発生蒸気量の積算値(Gss)が第1基準値以上であるか否かを判定する。
なお、過熱器40の発生蒸気量の積算値(Gss)は、流量調整弁130の制御によって過熱器40に供給された冷媒200の量の積算値を用いることができる。そこで本実施例に係る制御部は、一例として、ステップS30において流量調整弁130を制御してから過熱器40に供給された冷媒200の量の積算値を、過熱器40の発生蒸気量の積算値(Gss)として用いる。第1基準値としては、第4制御処理が実行されることでランキンサイクルシステム10の膨張機50と凝縮器70との間に存在する気体をリザーブタンク100の外気開口部101から排出することが可能と考えられる値以上の値を用いることが好ましい。第1基準値は、予め適切な値を求めておき、記憶部に記憶させておく。制御部は記憶部の第1基準値を参照しながらステップS40を実行する。
ステップS40において、過熱器40の発生蒸気量の積算値(Gss)が第1基準値以上であると判定された場合、制御部は、バイパス開閉弁131を開に制御することで、バイパス通路122を開にする(ステップS44)。これにより第4制御処理は終了する。
一方、ステップS40において、過熱器40の発生蒸気量の積算値(Gss)が第1基準値以上であると判定されなかった場合、制御部は、冷媒200の温度が所定温度以上であるか否かを判定する(ステップS41)。所定温度としては、内燃機関20の冷媒200が沸騰する温度を用いることができ、一例として100℃を用いることができる。所定温度は記憶部が記憶しておく。この場合ステップS41において制御部は、温度センサ141の検出結果に基づいて取得した内燃機関20の冷媒200の温度が記憶部の所定温度以上であるか否かを判定する。ステップS41は、冷媒200の温度が所定温度以上であると判定されるまで繰り返し実行される。
ステップS41において冷媒200の温度が所定温度以上であると判定された場合、制御部は、内燃機関20において発生した冷媒200の蒸気量(以下、内燃機関20の発生蒸気量と称する場合がある)を積算することを開始し、内燃機関20の発生蒸気量の積算値(Gse)を取得する(ステップS42)。ステップS42の具体的な実行手法は特に限定されるものではないが、例えば以下の手法を用いることができる。まず記憶部は、冷媒200の温度を内燃機関20の発生蒸気量に関連付けて規定したマップを記憶しておく。制御部は、温度センサ141の検出結果に基づいて取得した冷媒200の温度に対応する内燃機関20の発生蒸気量を記憶部のマップから抽出し、抽出された内燃機関20の発生蒸気量を積算することで、ステップS42を実行することができる。
次いで制御部は、ステップS40で取得した過熱器40の発生蒸気量の積算値(Gss)とステップS42で取得した内燃機関20の発生蒸気量の積算値(Gse)との合計値(Gsa)を算出するとともに、算出された合計値(Gsa)が第1基準値以上であるか否かを判定する(ステップS43)。ステップS43は合計値(Gsa)が第1基準値以上であると判定されるまで、繰り返し実行される。ステップS43において合計値(Gsa)が第1基準値以上であると判定された場合、制御部はバイパス通路122を開にする(ステップS44)。これにより第4制御処理は終了する。
ステップS44の後に制御部は、第5制御処理を実行する(図5)。具体的には制御部は、合計値(Gsa)をゼロにした上で、新たに合計値(Gsa)の算出および取得を開始する(ステップS50)。具体的には、制御部は、ステップS40で説明した積算値(Gse)の算出と同様の処理を行い、ステップS42で説明した積算値(Gse)の算出と同様の処理を行い、算出された積算値(Gse)と積算値(Gse)とを合計することで新たな合計値(Gsa)を取得する。
次いで制御部は、ステップS50によって算出された合計値(Gsa)が第2基準値以上であるか否かを判定する(ステップS51)。第2基準値としては、特に限定されるものではないが、第5制御処理が実行されることでランキンサイクルシステム10のバイパス通路122に存在する気体をリザーブタンク100の外気開口部101から外部空間へ排出することが可能と考えられる値以上の値を用いることが好ましい。第2基準値は、予め適切な値を求めておき、記憶部に記憶させておく。制御部は、記憶部の第2基準値を参照しながらステップS51を実行する。
ステップS51は、合計値(Gsa)が第2基準値以上であると判定されるまで繰り返し実行される。ステップS51において合計値(Gsa)が第2基準値以上であると判定された場合、制御部はバイパス開閉弁131を閉に制御することで、バイパス通路122を閉にする(ステップS52)。これにより第5制御処理は終了する。
次いで制御部は、第3制御処理(ステップS60〜ステップS63)を実行する。具体的には制御部は、第1開閉弁133を閉に制御することで第1通路125を閉にし(ステップS60)、次いで第2開閉弁134を開に制御することで第2通路126を開にする(ステップS61)。次いで制御部は、第2通路126を開にしてから第2所定時間経過したか否かを判定する(ステップS62)。ステップS62は、第2通路126を開にしてから第2所定時間経過したと判定されるまで繰り返し実行される。ステップS62において第2通路126を開にしてから第2所定時間経過したと判定された場合、制御部は第2通路126を閉にする(ステップS63)。第3制御処理の実行によって、凝縮器70の冷媒200は第2通路126を通過してリザーブタンク100に押し戻される。その結果、放熱部71の放熱機能は回復する。
次いで制御部は、通常時制御処理を実行する(ステップS70)。具体的には制御部は、ポンプ90bの運転を開始させることで循環通路120の冷媒200の循環を開始させてランキンサイクルシステム10を稼動させる。次いで制御部は、フローチャートの実行を終了する。
以上説明したように本実施例に係る廃熱回収装置5によれば、第1制御処理が実行されることによって、ランキンサイクルシステム10内に侵入した外気による凝縮器70の性能低下を抑制し、膨張機50の不具合の発生を抑制しつつランキンサイクルシステム10内の圧力を早期に上昇させることができる。その結果、ランキンサイクルシステム10の作動開始までに要する時間を削減することができ、以って内燃機関20の燃費を向上させることができる。また廃熱回収装置5によれば、第2制御処理〜第5制御処理が実行されることによって、前述した第2制御処理〜第5制御処理に特有の作用効果を発揮することができる。
ここで、第1制御処理において、仮に内燃機関20の運転開始以後に放熱部71の放熱機能を抑制することなくランキンサイクルシステム10内の気体を廃熱回収装置5の外部へ排出した場合、ランキンサイクルシステム10内の真空度が高められた状態でランキンサイクルシステム10の稼動が開始することになる。この場合、内燃機関20の冷媒200はより低温の状態から沸騰を開始すると考えられる(以下、低温沸騰と称する)。冷媒200の沸騰開始温度は、冷媒200の周囲の雰囲気の真空度が低いほど低下する傾向があるからである。低温沸騰が生じると、凝縮器70の放熱部71から放熱される熱による損失(熱損失)が大きくなる。また、低温沸騰した冷媒200は凝縮器70において液化するため、ランキンサイクルシステム10内の圧力がランキンサイクルシステム10の作動に適した圧力になるのに長時間を要してしまう。また、ランキンサイクルシステム10内の温度がランキンサイクルシステム10の作動に適した温度になるのにも長時間を要してしまう。
これに対して本実施例に係る廃熱回収装置5によれば、第1制御処理によって放熱部71の放熱機能を抑制していることから、ランキンサイクルシステム10内の圧力および温度を早期に上昇させることができ、その結果、冷媒200の低温沸騰を抑制することができる。それにより、凝縮器70から放熱される熱による損失(熱損失)を抑制することができる。その結果、内燃機関20の燃費を向上させることができる。
また、廃熱回収装置5が車両に搭載された場合、車両の種類によって凝縮器70の形状や凝縮器70の車両への搭載角度も異なることが考えられ、その結果、凝縮器70の冷媒200の水面位置も車両の種類によって異なる値を設定する必要が生じると考えられる。この点、廃熱回収装置5によれば、凝縮器70の形状、搭載角度に合わせて第1通路125の穴129の位置を調整するだけで凝縮器70の冷媒200の水面位置を制御できることから、車両の種類に合わせて凝縮器70の冷媒200の水面位置を設定することが容易である。
また本実施例に係る第1通路125の開口端部128はリザーブタンク100の底部近傍に配置されていることから(図2(a))、開口端部128がリザーブタンク100の底部近傍に配置されていない場合に比較して、開口端部128から排出された気体と冷媒200との接触時間をより長く確保することができる。その結果、開口端部128から排出される気体に含まれる冷媒成分をリザーブタンク100の冷媒200によって、より効果的に回収することができる。それにより、廃熱回収装置5の使用時間の経過とともにランキンサイクルシステム10内の冷媒200の量が減少することをより効果的に抑制することができる。
なお、廃熱回収装置5において制御装置110の制御部は、第1制御処理においてポンプ90bを停止させることで、凝縮器70を経由後の冷媒200の内燃機関20への供給を停止されているが、これに限定されるものではない。例えばランキンサイクルシステム10が循環通路120の凝縮器70と内燃機関20との間に開閉弁をさらに備えている場合、制御部はこの開閉弁を閉に制御することで凝縮器70を経由後の冷媒200の内燃機関20への供給を停止させてもよい。
また図2(c)において前述したように、本実施例に係る第1通路125の開口端部128は穴129よりも下方に位置し、穴129の面積は開口端部128の面積よりも小さくなっているが、これに限定されるものではない。開口端部128は穴129よりも上方に位置していてもよく、また穴129の面積は開口端部128の面積と同等以上であってもよい。しかしながら、本実施例のように第1通路125の開口端部128は穴129よりも下方に位置し、穴129の面積は開口端部128の面積よりも小さくなっていることにより、以下の作用効果を発揮できる。
まず、穴129の面積が開口端部128の面積よりも小さいことから、上部空間74から第1通路125に流入した気体を第1通路125の開口端部128から優先的に排出させることができる。そして、開口端部128は穴129よりも下方に位置することから、第1通路125の開口端部128から排出された気体のリザーブタンク100の冷媒200との接触時間をより多く確保することができる。その結果、第1通路125から排出された気体に含まれる冷媒200をリザーブタンク100の冷媒200によって、より効果的に凝縮させることができる。それにより、ランキンサイクルシステム10内の冷媒200がリザーブタンク100の外気開口部101から排出される量をより小さくすることができる。その結果、廃熱回収装置5の使用時間の経過とともにランキンサイクルシステム10内の冷媒200の量が減少することをより効果的に抑制することができる。このような作用効果を発揮できる点において、第1通路125の開口端部128は穴129よりも下方に位置し、穴129の面積は開口端部128の面積よりも小さくなっていることが好ましい。
また内燃機関20の運転開始以後にランキンサイクルシステム10内の気体を外部空間へ排出するためだけであれば、例えば廃熱回収装置に気体排出用ポンプをさらに設け、内燃機関20の運転開始以後に気体排出用ポンプによってランキンサイクルシステム10内の気体を外部空間へ排出することも可能かと思われる。しかしながら、この場合、気体排出用ポンプを作動させるために燃料が必要となるため、廃熱回収装置全体としての燃費が悪化してしまう。また、気体排出用ポンプとして真空ポンプを使用することが考えられるが、この場合、真空ポンプのコストは高価であるため、廃熱回収装置全体のコストが大幅に上昇してしまう。また真空ポンプは故障し易い装置であるため、真空ポンプを用いた場合、廃熱回収装置全体の信頼性が低下するおそれがある。これに対して本実施例に係る廃熱回収装置5によれば、気体排出用ポンプを別途設けることなく、ランキンサイクルシステム10内に侵入した外気を排出できることから、このような気体排出用ポンプを別途設けた場合に生じる問題が生じるおそれはない。
(変形例1)
本変形例に係る廃熱回収装置5は、制御装置110の制御部が、内燃機関20の運転が停止した場合において、第1通路125を第3所定時間開にしてから閉にする第6制御処理をさらに実行する点において、実施例1に係る廃熱回収装置5と異なっている。本変形例に係る廃熱回収装置5のその他の構成は実施例1に係る廃熱回収装置5と同じである。
仮に内燃機関20の運転が停止した場合に第1通路125が開にならない場合、内燃機関20の余熱による冷媒200の沸騰によってランキンサイクルシステム10内の圧力が過剰に上昇するおそれがある。これに対して本変形例に係る廃熱回収装置5によれば、内燃機関20の運転が停止した場合に、ランキンサイクルシステム10内の気体を第3所定時間の間、外部空間へ排出することができる。それにより、内燃機関20の運転停止後においてランキンサイクルシステム10内の圧力が過剰に上昇することを抑制することができる。また第3所定時間後において第1通路125が閉になることから、内燃機関20の運転停止後に第1通路125が開のままでいる場合に比較して、第1通路125を通過してランキンサイクルシステム10内に外気が侵入することを抑制することができる。
第3所定時間としては特に限定されるものではないが、本変形例においては、内燃機関20が運転を停止してから内燃機関20の余熱によって内燃機関20の冷媒200(具体的には内燃機関20のブロック通路124およびヘッド通路123の冷媒200)の沸騰が継続する時間(以下、余熱沸騰継続時間Tsと称する)を用いる。この場合、内燃機関20の運転停止から余熱沸騰継続時間Tsを過ぎた場合、内燃機関20の冷媒200の余熱による沸騰は終了していることになる。
余熱沸騰継続時間Tsは、予め設定された定数であってもよい。この場合、記憶部は余熱沸騰継続時間Tsを予め記憶しておき、制御部は記憶部から取得した余熱沸騰継続時間Tsの間、第1通路125を開にしてから閉にすることで、第6制御処理を実行する。しかしながら、本変形例に係る制御装置110の制御部は、内燃機関20の運転開始以後から内燃機関20が運転を停止する前までの期間の内燃機関20の負荷に基づいて、余熱沸騰継続時間Tsを取得する。このように余熱沸騰継続時間Tsを取得することで、余熱沸騰継続時間Tsを高い精度で取得することができ、その結果、内燃機関20の運転停止後におけるランキンサイクルシステム10内の圧力の過剰な上昇をより適切に抑制することができる。
具体的には制御部は、内燃機関20の運転開始から内燃機関20の運転停止までの期間における内燃機関20の負荷の積算値を取得し、取得された負荷の積算値に基づいて余熱沸騰継続時間Tsを取得する。この場合、制御装置110の記憶部は、内燃機関20の運転開始から内燃機関20の運転停止までの期間における内燃機関20の負荷の積算値を余熱沸騰継続時間Tsに関連付けて規定したマップを記憶しておく。制御部は、内燃機関20の運転開始から内燃機関20の運転停止までの期間における内燃機関20の負荷の積算値を取得し、取得された負荷の積算値に対応する余熱沸騰継続時間Tsを記憶部のマップから抽出することで、余熱沸騰継続時間Tsを取得する。そして制御部は、取得された余熱沸騰継続時間Tsの間、第1通路125を開にしてから閉にすることで、第6制御処理を実行する。
図6は、本変形例に係る制御装置110の第6制御処理のフローチャートの一例を示す図である。制御装置110の制御部は、図6のフローチャートを所定の周期で繰り返し実行する。また図6のフローチャートは、図4および図5のフローチャートよりも優先して実行される。すなわち、第6制御処理は、実施例1に係る第1〜第5制御処理および通常時制御処理に対して優先割り込みされて実行される。
まず制御部は、内燃機関20の運転開始以後に内燃機関20の運転が停止したか否かを判定する(ステップS80)。ステップS80において内燃機関20の運転が停止したと判定されなかった場合、制御部はフローチャートの実行を終了する。ステップS80において内燃機関20の運転が停止したと判定された場合、制御部はポンプ90aおよびポンプ90bの運転を停止させるとともに流量調整弁130を閉に制御する(ステップS81)。
次いで制御部は、第1開閉弁133を開に制御することで第1通路125を開にする(ステップS82)。次いで制御部は、余熱沸騰継続時間Ts(第3所定時間)の算出を開始する(ステップS83)。次いで制御部は、余熱沸騰継続時間Tsが経過したか否かを判定する(ステップS84)。ステップS84は余熱沸騰継続時間Tsが経過したと判定されるまで繰り返し実行される。ステップS84において余熱沸騰継続時間Tsが経過したと判定された場合、制御部は第1開閉弁133を閉に制御することで第1通路125を閉にする(ステップS85)。次いで制御部は、フローチャートの実行を終了する。
以上のように本変形例に係る廃熱回収装置5によれば、第6制御処理が実行されることから、実施例1に係る効果に加えて、内燃機関20の運転停止後におけるランキンサイクルシステム10内の圧力の過剰な上昇を抑制することができるとの効果を発揮することができる。
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。