JP5677820B2 - 地盤探査装置と探査方法。 - Google Patents
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Description
予測と現実が大きく異なると、施工に支障を来たし、工費が増加し、事故につながる可能性もある。
そのような問題に対応するためにスイスで開発された切羽前方探査法であるTSPが導入されて広く利用されている。
このTSP(Tunnel Seismic Prediction)法は、まずトンネル内に多数の発信孔を削孔する。そしてその孔に爆薬を装填し、順次発破を行って振動を発生させる。
この複数の時間差のある振動が断層、破砕帯、地質境界などで反射して反射波となるので、この反射波を受信して解析することによってトンネル前方の地山の状態を把握するという技術である。
<1> 従来のTSPでは例えば150m程度の長距離探査ができるという利点がある。しかしそのためには前もって長さ1.5mの発振孔を少なくとも18本から28本、長さ2.0mの受振孔を2本、削孔しておくという作業が必要である。
<2> この準備のための削孔作業には少なくとも1日ないし数日を要し、その間は、切羽での掘進作業に支障を来たす場合もある。
<3> 受振孔には受振計を挿入するだけではなく、それをモルタルによって固定するという手数を要する。
<4> 発振のためにダイナマイトを使用するので、実施に際しては火薬取り扱いに関して厳しい手続きを要し、一定の制限を受ける。
<5> 発振のための爆破も1回ごとに行う必要があり、信号計測のデータをその都度とるような不経済な手法である。
また本発明の地盤探査方法は前記の装置を使用し、起振装置によって発生した周波数を連続的に変化させた振動を切羽から掘進予定方向に向けて発振し、その反射波をトンネル壁面に設置した地表側受振器で受振し、前記起振装置で発振して前記搭載受信器で受振した振動の波形と、前記地表側受信器で受振した振動の波形の比較と、受振した振動の波形の信号処理と、解析処理と、地山地質情報とから切羽前方の地盤中の断層、破砕帯、地質境界などの位置を推定する地盤探査方法を特徴としたものである。
<1> トンネルで使用する場合には、切羽の占有時間が1時間程度であり、切羽を半日以上も占領する従来のTSP法に比較してきわめて短く、トンネルの掘進作業にほとんど影響を与えない。
<2> 簡単な作業性によって、切羽前方や、あるいは路盤下の数十mの地中の断層、破砕帯、地質境界などの位置を推定することができる。
本発明の地盤探査装置は、震源車1と、起振装置2と、地表側受振器7と、計測・解析用PCとによって構成する。
震源車1は、荷台を備え、車輪や履帯によってトンネル内を走行が可能な車両である。そして下記の各種の装置を搭載している。
震源車1には振動を発生して切羽に発振する起振装置2を搭載する。
この起振装置2は、周波数5〜500Hzの振動を連続的に変化させた振動、すなわちスイープ波を、地山に向けて発振することができる。
そのために起振装置2は、起振装置2と振動盤3と切羽挿入用の短柱4、および搭載受振器6によって構成する。
起振装置2は、複数本のジャッキ21より構成する。
複数本のジャッキ21は、左右、上下、前後に伸縮する機能を備えている。
すなわちこの起振装置では、X―Y―Z方向に向けた3次元的な振動を発振できるように構成してある。
各ジャッキ21の伸縮の距離と時間を調整して、前後方向の振動であるP波振動と、上下または左右の振動であるS波振動を発生することができる。
さらに振動を周波数をステップ状にスイープして、例えば5Hzから500Hz程度までの範囲の中で選択できるように構成する。
それらの振動を、起振装置2の前部からほぼ水平方向に向けて突出させた振動柱5を介して外部に発振する。
この振動柱5には、中間にヒンジを設けて折れ曲がりが可能であるように構成する。
振動盤3は、起振装置2のからの振動を受ける盤体であり、振動柱5の前端に、その軸芯とほぼ直交する姿勢で取り付けてある。
この振動盤3の外面、すなわち振動柱5と反対側の面には、切羽挿入用の短柱4をほぼ振動柱5と並行方向に向けて複数本を突設する。
この短柱4は、例えば先端をコーン状に形成した鉄筋棒を利用することができる。
先端が鋭角に形成してあるから、この短柱4の先端をトンネルの切羽面に差し込むことができる。
その結果、起振装置2で発生させた振動を短柱4の先端を介して切羽の前方の地山に発振することができる。
後述する地表側受振器7とは別に、震源車1に受振機を搭載する。
これが搭載受振器6である。
震源車1に受信機6を搭載するのは、起振装置2で発振した振動状態を把握し、地表側受振器7での観測結果と比較するためである。
そのために例えば振動盤3の短柱4にリファレンス振動を収録する1成分受信機を取り付ける。
起振装置2で振動を発生させた瞬間に、搭載受振器6は起振装置2が発生させた振動を受信し、その信号を分析装置に入力する。
地表側受振器7は、トンネルの両側の壁面に設置する受振器である。
受振器自体は市販の公知のものである。
例えば3成分地震計71を地表側受振器7として利用できる。
この地震計71は球体状の容器の内部にボールベアリングを介して、1成分地震計が3個所に、あとの2個所にダミー地震計をバランス取りの重りとして収納した構造であり、地震計71をつねに水平状態を保つことができる。
このような地震計71を、鉄筋棒72に対してボルト73とナット74を介して固定自在に構成する。
そして鉄筋棒72を数十cm、トンネルの壁面に打設し、その露出端部に地震計71を固定して地表側受振器7として利用する。
さらに、地表側受振器は、計測・解析用PC8に接続する。
この装置は、振動波形を伝送するための、防水、防塵処理したケーブル・コネクタ部9を備える。
このコネクタ部9を介して、PC8と地表側受振器7とを、信号ケーブルで接続する。
調査に先行して地表面に地表側受振器7を設置する。
そのためにトンネルで使用する場合には、トンネルの両側の側壁に、切羽から5〜10m離れた位置から設置を開始する。
設置高さは例えばトンネルの底盤から50cm、200cmに二列に、1.5mピッチか2.0mピッチで21個所に設置する。
この配置に限定されるものではないが、この配置は支保工の間隔に合わせた例であり、配置距離が30〜40mとなる。
以上のように地表側受振器7を配置したら、トンネル内に導入した震源車1を切羽に接近させ、短柱4を切羽に当てる。
そして起振装置2を作動して切羽から掘進予定方向に向けて周波数を連続的に変化させた振動を発振する。
同時に搭載受振器6によって、起振装置2で発振した振動を受信して分析装置に信号を送る。
掘進予定方向に向けて周波数を連続的に変化させた振動が断層、破砕帯、地質境界などで反射して反射波となる。
この反射波を、トンネル内部の多数の位置に配置した地表側受振器7で受信して分析装置としての計測・解析PC8に信号を送る。
計測・解析PC8では、搭載受振器6からの信号の波形と、地表側受振器7からの信号の波形とを比較して解析し、切羽前方、および側壁内部の地質状況を推定する。
以上の作業は例えば昼休みの30〜60分程度で終了して切羽から撤退できるので、従来の探査方法のようの1日以上も切羽を占領して他の作業の障害となることがない。
本発明の探査方法は、起振装置2によってトンネルの切羽面に垂直方向、上下方向、左右方向に振動を与える装置を使用し、その反射波を地表側受振器7で受信してその波形を比較して地盤中の断層、破砕帯、地質境界など位置を推定する方法である。
このようなX―Y―Z方向に向けた3次元的な振動を発振できる装置は存在しないので、この装置の短柱4を、トンネルの切羽ではなく、屋外の地表面に差し込み、地表側受振器7は地表面に設置して使用することができる。
そうすれば路盤調査、造成地の締め固め確認などに使用することもできる。
2:起振装置
3:振動盤
4:短柱
6:搭載受振器
7:地表側受振器
8:計測・解析用PC
9.ケーブル・コネクタ部
Claims (2)
- 震源車と、
震源車に搭載した、左右、上下、前後に伸縮するための複数本のジャッキにより前後方向の振動、上下又は左右方向の振動、周波数を連続的に変化させた振動を発振する起振装置と、
前後方向の振動、上下又は左右方向に振動を発生させる振動柱と、
前記振動柱の前端にその軸芯をほぼ直交する姿勢で取り付けられた振動盤と、
前記振動盤の外面に設けられた前記振動を切羽に伝える短柱と、
震源車に搭載した前記起振装置が発信する振動を受振する搭載受振器と、
地表面に設置する地表側受振器とから構成し、
計測・解析PCによって、搭載受振器からの信号の波形と、地表側受振器からの信号の波形とを比較して解析し、切羽前方、および側壁内部の地質状況を推定し、
前記起振装置は、X―Y―Z方向に向けた3次元的な振動を発振できるように構成した、
地盤探査装置。 - 請求項1記載の装置を使用し、
起振装置によって発生した周波数を連続的に変化させた振動を切羽から掘進予定方向に向けて発振し、
その反射波をトンネル壁面に設置した地表側受振器で受振し、
前記起振装置で発振して前記搭載受信器で受振した振動の波形と、前記地表側受信器で受振した振動の波形の比較と、
受振した振動の波形の信号処理と、解析処理と、地山地質情報とから
切羽前方の地盤中の断層、破砕帯、地質境界などの位置を推定する、
地盤探査方法。
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