JP5670835B2 - 銀錯体 - Google Patents

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Description

本発明は、銀錯体に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という)等の発光素子に用いる発光材料として、イリジウム錯体を代表とする白金族金属を用いた燐光発光錯体が有望視されているものの、イリジウムは白金族金属の中でも希少であり、非常に高価である。
そのため、コスト面で有利である安価な金属を用いる錯体が、種々検討されている(非特許文献1)。
Coord.Chem.Rev.250,2093−2126(2006)
しかし、公知の安価な金属の錯体は、錯体を有機EL素子に用いるホスト材料中に分散させた状態における発光量子効率が不十分であった。
そこで、本発明は、白金族金属の錯体と比べて安価であり、錯体を有機EL素子に用いるホスト材料中に分散させた状態における発光量子効率が高い金属錯体を提供することを課題とする。
本発明は、下記〔1〕〜〔3〕の銀錯体を提供する。
〔1〕下記式(1)で表される銀錯体。
Figure 0005670835
(式(1)中、Zはアニオンを表す。2つのRは、共に水素原子であるか、又は2つのRが互いに結合して−CH=CH−を形成する。4つ存在するArは、下記式(2)で表される1価の芳香族基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Figure 0005670835
式(2)中、*印は、リン原子との結合部位を表す。
式(2)で表される1価の芳香族基は、ベンゼン環を構成する炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部が炭素原子数1〜6のヒドロカルビルオキシ基又は炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基に置換されていてもよい。但し、Rは炭素原子数1〜6のヒドロカルビルオキシ基又は炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基を表す。
式(1)中、Arは、下記式r1’、r2’、r5’又はr6’で表される2価の基であり、ベンゼン環を構成する炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部が、炭素原子数1〜6のアルキル基に置換されていてもよい。式r1’、r2’、r5’及びr6’中、*印は、リン原子との結合部位を表す。
Figure 0005670835
式r2’中、Rは、水素原子、炭素原子数1〜6のヒドロカルビルオキシ基又は炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基を表す。2つのRは同一であっても異なっていてもよい。)
〔2〕下記式(3)で表される、上記〔1〕に記載の銀錯体。
Figure 0005670835
(式(3)中、Z及びArは前記と同じ意味を表す。Arは下記式r3’又はr4’で表される2価の基を表す。式r3’又はr4’中、*印はリン原子との結合部位を表す。)
Figure 0005670835
〔3〕下記式(4)で表される、上記〔1〕に記載の銀錯体。
Figure 0005670835
(式(4)中、Z及びArは前記と同じ意味を表す。Arは前記式r1’で表される2価の基を表す。)
また、本発明は、下記の発光素子を提供する。
〔4〕上記〔1〕から〔3〕のいずれか一項に記載の銀錯体を含む発光素子。
本明細書において、ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基等の炭素骨格を有する基は、特に断りない限り、直鎖、分岐鎖、又は環状のいずれであってもよい。
本発明の銀錯体は、白金族金属の錯体に比べて安価であり、有機EL素子等の発光素子に用いるホスト材料中に分散させた状態における発光量子効率が高い。したがって、本発明の銀錯体は有機EL素子等の発光素子に利用される発光材料として好適である。本発明の銀錯体を利用した有機EL素子等の発光素子は高い発光効率を発現できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の銀錯体は、発光材料としての利用に好適である。発光性の観点からは、本発明の銀錯体の好ましい一形態として、室温空気下において、固体発光量子効率が0.5%以上を示す銀錯体が挙げられる。
本発明の銀錯体は、下記式(1)で表される銀錯体である。
Figure 0005670835
式(1)中、Zはアニオンを表す。2つのRは、共に水素原子であるか、又は2つのRが互いに結合して−CH=CH−を形成する。4つ存在するArは、下記式(2)で表される1価の芳香族基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
Figure 0005670835
本明細書中の化学式において、*印(アスタリスクマーク)は結合部位を表す。
式(2)中、*印は、リン原子との結合部位を表す。
式(2)で表される1価の芳香族基は、ベンゼン環を構成する炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部が炭素原子数1〜6のヒドロカルビルオキシ基又は炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基に置換されていてもよい。但し、Rは炭素原子数1〜6のヒドロカルビルオキシ基又は炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基を表す。
の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、等の炭素原子数1〜6のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等の炭素原子数3〜6の環状飽和炭化水素基;エテニル基、プロペニル基、3−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基等の炭素原子数2〜6のアルケニル基;フェニル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基;シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロへキシルオキシ基等の炭素原子数3〜6の環状飽和炭化水素オキシ基;エテニルオキシ基、プロペニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、2−ペンテニルオキシ基、等の炭素原子数2〜6のアルケニルオキシ基;フェニルオキシ基が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基が挙げられ、より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素原子数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基等の炭素原子数1〜4のアルキルオキシ基が挙げられ、更に好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、イソプロピルオキシ基、tert−ブチルオキシ基が挙げられ、特に好ましくはメチル基、イソプロピル基、メトキシ基である。
式(2)で表される1価の芳香族基は、ベンゼン環を構成する炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部が炭素原子数1〜6のヒドロカルビルオキシ基又は炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基に置換されていてもよい。但し、上記のとおり、Rは炭素原子数1〜6のヒドロカルビルオキシ基又は炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基を表す。すなわち、式(2)で表される1価の芳香族基のベンゼン環を構成する炭素原子のうち、Rが結合する炭素原子及びリン原子に結合する炭素原子を除く4つの炭素原子には、水素原子、炭素原子数1〜6のヒドロカルビルオキシ基又は炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基のいずれかが結合している。式(2)で表される1価の芳香族基のベンゼン環を構成する炭素原子に結合する水素原子が置換されていてもよい基の例としては、上記Rの例と同じものが挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素原子数1〜6のアルキルオキシ基が挙げられ、より好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基である炭素原子数1〜4の直鎖状アルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブチルオキシ基である炭素原子数1〜4の直鎖状アルキルオキシ基が挙げられ、更に好ましくは、メチル基、エチル基である炭素原子数1〜2の直鎖状アルキル基;メトキシ基が挙げられ、特に好ましくはメチル基である。式(2)で表される1価の芳香族基のベンゼン環を構成する炭素原子に結合する水素原子は、置換されていてもよいが、置換されていないことが好ましい。
式(1)中、Arは、下記式r1’、r2’、r5’又はr6’で表される2価の基であり、ベンゼン環を構成する炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部が、炭素原子数1〜6のアルキル基に置換されていてもよい。式r1’、r2’、r5’及びr6’中、*印は、リン原子との結合部位を表す。
Figure 0005670835
式r1’、r2’、r5’及びr6’において、水素原子に換わって置換基となり得る前記炭素原子数1〜6のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、等の炭素原子数1〜6のアルキル基が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、tert−ブチル基であり、更に好ましくはメチル基、ブチル基、tert−ブチル基であり、特に好ましくはtert−ブチル基である。式r1’、r2’、r5’及びr6’において、水素原子は置換基となり得るが、水素原子であることが好ましい。
式r2’中、Rは、水素原子、炭素原子数1〜6のヒドロカルビルオキシ基又は炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基を表す。
式r2’中、Rの例は、上記Rの例と同様である。Rとして、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素原子数1〜6の直鎖状アルキル基、フェニル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基である炭素原子数1〜4の直鎖状アルキル基、フェニル基であり、更に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
Zはアニオンである。その例としては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、酢酸イオン、過塩素酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモンイオン、ヘキサフルオロヒ素イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、パラトルエンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、テトラフェニルボレートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン、及び、これらのイオンの構造を有する繰り返し単位を含む高分子化合物のアニオンが挙げられ、好ましくは、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硝酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、テトラフェニルボレートイオンであり、より好ましくは、硝酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、テトラフェニルボレートイオンであり、更に好ましくは、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオンである。
本発明の銀錯体の好ましい一形態は、下記式(3)で表される。
Figure 0005670835
式(3)中、Z及びArは、前記と同じ意味を表す。Arは、下記式r3’又はr4’で表される2価の基である。式r3’及びr4’中、*印はリン原子との結合部位を表す。
Figure 0005670835
また、本発明の銀錯体の好ましい一形態は、下記式(4)で表される銀錯体である。
Figure 0005670835
式(4)中、Z及びArは前記と同じ意味を表す。Arは下記式r1’で表される2価の基を表す。r1’は前記と同じ意味を表す。
Figure 0005670835
本発明の銀錯体は、溶媒中で銀塩と銀錯体を構成する分子とを混合する等の常法に従って製造できる。
本発明の銀錯体の製造方法は、例えば、1mmolの1,2−フェニレンビス[ビス(2−メチルフェニル)]ホスフィンと、1mmolのテトラフルオロホウ酸銀(I)と、溶媒(例えば、アセトニトリルやジクロロメタン)30mLとを混合し、10分程度室温で撹拌し反応させた後、1mmolの2,9−ジクロロ−1,10−フェナントロリンを加え、30分程度加熱し還流させる。反応液をろ過し、ろ液の溶媒をゆっくりと留去して再結晶を行うことにより製造することができる。
また本発明は、上記本発明の銀錯体を含む発光素子を提供する。以下、本発明の発光素子について説明する。本発明の発光素子の好ましい一形態としては、上記本発明の銀錯体が発光層に含まれる有機EL素子が挙げられる。
本発明の銀錯体を発光素子に用いるには、例えば、まず、単独、或いは高分子化合物との組成物の状態で薄膜に成型する。
薄膜は、例えば、銀錯体と担体とを任意の割合で基板上に蒸着する工程を含む方法、又は、銀錯体と担体とを任意の割合で溶媒中に懸濁又は溶解させ、塗布する工程を含む方法によって製造することができるが、後者の方法が好ましい。該懸濁液又は溶液を作製するための溶媒には、水や有機溶媒を使用することができる。
前記有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサン、シクロヘキサン、それらの混合物が挙げられる。
塗布方法は、例えば、スピンコート法、キャスティング法、ディップコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法及びインクジェット法が挙げられ、スピンコート法、キャスティング法、ロールコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法及びオフセット印刷法が好ましく、ロールコート法、スプレーコート法及びフレキソ印刷法がより好ましい。
塗布後に溶媒を乾燥させることにより薄膜が得られるが、例えば、風乾、加熱乾燥、減圧乾燥、加熱減圧乾燥及び窒素ガスを吹き付けて行う乾燥があり、風乾及び加熱乾燥が好ましく、加熱乾燥がより好ましい。
本発明の発光素子は、例えば、前記薄膜を含む発光素子であり、通常、陽極と陰極からなる一対の電極と、該電極間に設けられた発光層を有する一層又は複数層からなる薄膜層とが挟持されている発光素子において、該薄膜層の少なくとも1層が、本発明の薄膜である発光素子である。
薄膜の厚さは、通常、1nm〜50μmであり、好ましくは3nm〜10μmであり、より好ましくは5nm〜5μmであり、更に好ましくは10nm〜1μmであり、特に好ましくは20nm〜300nmである。薄膜はピンホールや凹凸の形状を含んでいてもよいが、ピンホールや凹凸の形状がないことが好ましい。
本発明の発光素子において、本発明の銀錯体を含む薄膜中の該銀錯体の含量は、薄膜全体の重量に対して、通常、0.01〜100重量%であり、好ましくは0.1〜99重量%であり、より好ましくは1〜90重量%であり、更に好ましくは5〜80重量%であり、特に好ましくは10〜50重量%である。
薄膜は、薄膜を形成するための担体を含んでいてもよい。該担体には、低分子有機材料、高分子有機材料、有機無機複合材料、無機材料及びそれらの混合物が使用でき、用途に応じて任意に選択できる。
本発明の発光素子としては、例えば、単層型の発光素子(陽極/発光層/陰極)が挙げられ、この発光層が本発明の薄膜を含有する。また、多層型の発光素子の層構成としては、例えば、次の(a)〜(e)が挙げられる。
(a)陽極/正孔注入層/(正孔輸送層)/発光層/陰極
(b)陽極/発光層/電子注入層/(電子輸送層)/陰極
(c)陽極/正孔注入層/(正孔輸送層)/発光層/電子注入層/(電子輸送層)/陰極(d)陽極/発光層/(電子輸送層)/電子注入層/陰極
(e)陽極/正孔注入層/(正孔輸送層)/発光層/(電子輸送層)/電子注入層/陰極
上記(a)〜(e)において、(正孔輸送層)、(電子輸送層)は、その位置にこれらの層がそれぞれ存在していてもしなくてもよい任意の層であることを表す。
陽極は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層等に正孔を供給するものであり、4.5eV以上の仕事関数を有することが好ましい。陽極の材料には、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物及びこれらの組み合わせを用いることができる。陽極の材料として、具体的には、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)等の導電性金属酸化物;金、銀、クロム、ニッケル等の金属;これらの導電性金属酸化物と金属との混合物及び積層物;ヨウ化銅、硫化銅等の無機導電性物質;ポリアニリン類、ポリチオフェン類〔ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン等〕、ポリピロール等の有機導電性材料及びこれらとITOとの組み合わせを用いることができる。
陰極は、電子注入層、電子輸送層、発光層等に電子を供給するものである。陰極の材料には、金属、合金、金属ハロゲン化物、金属酸化物、電気伝導性化合物及びこれらの組み合わせを用いることができる。陰極の材料としては、例えば、アルカリ金属(Li、Na、K、Cs等)及びそのフッ化物並びに酸化物;アルカリ土類金属(Mg、Ca、Ba、Sr等)及びそのフッ化物並びに酸化物;金、銀、鉛、アルミニウム等の金属類;合金及び混合金属類〔ナトリウム−カリウム合金、ナトリウム−カリウム混合金属、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−アルミニウム混合金属、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−銀混合金属等〕;並びに希土類金属〔イッテルビウム等〕、インジウムを用いることができる。
正孔注入層及び正孔輸送層は、陽極から正孔を注入する機能、正孔を輸送する機能、又は陰極から注入された電子を障壁する機能を有する。これらの層に用いられる材料としては、例えば、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン誘導体、スチリルアミン誘導体、芳香族ジメチリジン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリ(N−ビニルカルバゾール)誘導体、有機シラン誘導体、及びこれらの残基を含む重合体;並びにアニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマーが挙げられる。前記正孔注入層及び前記正孔輸送層は、これらの1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子注入層及び電子輸送層は、陰極から電子を注入する機能、電子を輸送する機能、又は陽極から注入された正孔を障壁する機能を有する。これらの層に用いられる材料としては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレンやペリレン等の芳香環のテトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、金属錯体(例えば、8−キノリノール誘導体の金属錯体、メタルフタロシアニンを配位子とする金属錯体、ベンゾオキサゾールを配位子とする金属錯体、ベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体)、及び有機シラン誘導体が挙げられる。電子注入層及び前記電子輸送層は、これらの1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子注入層及び電子輸送層の材料として、絶縁体又は半導体の無機化合物も使用できる。電子注入層及び電子輸送層が絶縁体又は半導体で構成されていれば、電流のリークを有効に防止して、電子注入性を向上させることができる。このような絶縁体としては、例えば、アルカリ金属カルコゲニド、アルカリ土類金属カルコゲニド、アルカリ金属のハロゲン化物及びアルカリ土類金属のハロゲン化物からなる群から選ばれる少なくとも一種の金属化合物が挙げられ、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS及びCaSeが好ましい。また、電子注入層及び電子輸送層を構成する半導体としては、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Li、Na、Cd、Mg、Si、Ta、Sb及びZnからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素の酸化物、窒化物、酸化窒化物が挙げられる。
また、本発明の発光素子において、陰極と陰極に接する薄膜との界面領域に還元性ドーパントが添加されていてもよい。前記還元性ドーパントとしては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属の酸化物、アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属の酸化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物、希土類金属の酸化物又は希土類金属のハロゲン化物、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体及び希土類金属錯体が挙げられる。
発光層は、電界印加時に陽極、正孔注入層又は正孔輸送層より正孔を注入することができ、陰極、電子注入層又は電子輸送層より電子を注入することができる機能、注入した電荷(電子と正孔)を電界の力で移動させる機能、電子と正孔の再結合の場を提供し、これを発光につなげる機能のいずれかを有する。発光層に含有される本発明の銀錯体をゲスト材料とするホスト材料を、発光層に含有させてもよい。
ホスト材料としては、例えば、フルオレン骨格を有する化合物、カルバゾール骨格を有する化合物、ジアリールアミン骨格を有する化合物、ピリジン骨格を有する化合物、ピラジン骨格を有する化合物、トリアジン骨格を有する化合物及びアリールシラン骨格を有する化合物が挙げられる。ホスト材料のT1(最低三重項励起エネルギー)は、ゲスト材料のそれより大きいことが好ましく、その差が0.2eVよりも大きいことが更に好ましい。ホスト材料は低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよい。ホスト材料は更に電解質を含有してもよく、該電解質は、例えば、支持塩(トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム、テトラフルオロホウ酸テトラ−n−ブチルアンモニウム等)を含有してもよい溶媒(プロピレンカーボネート、アセトニトリル、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソフラン、ニトロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、グリセリン、プロピルアルコール、水等)、又は該溶媒で膨潤したゲル状の高分子(ポリエチレンオキシド、ポリアクリルニトリル、フッ化ビニリデンと六フッ化プロピレンの共重合体等)である。また、ホスト材料と銀錯体とを混合して塗布する、又は共蒸着することにより、発光材料が前記ホスト材料にドープされた発光層を形成することができる。
本発明の発光素子において、各層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法〔抵抗加熱蒸着法、電子ビーム法等〕、スパッタリング法、LB法、分子積層法、塗布法〔キャスティング法、スピンコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、インクジェット法等〕が挙げられるが、製造プロセスを簡略化できる点で、塗布法が好ましい。前記塗布法では、前記銀錯体、前記ポリマー又は前記組成物を溶媒と混合して塗布液を調製し、該塗布液を所望の層(又は電極)上に、塗布・乾燥させることによって形成することができる。塗布液中にはホスト材料及び/又はバインダーとして樹脂を含有させてもよい。この樹脂は溶媒に溶解状態とすることも、分散状態とすることもできる。
塗布液中でホスト材料及び/又はバインダーとして用いる樹脂としては、例えば、ポリビニルカルバゾール等の非共役系高分子、ポリオレフィン系高分子等の共役系高分子を使用することができ、具体例としては、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリブタジエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、及びシリコン樹脂が挙げられる。樹脂の溶液は、更に、酸化防止剤、粘度調整剤等を含有してもよい。前記溶液に用いられる溶媒としては、薄膜の成分を均一に溶解するもの又は安定な分散液を与える溶媒が好ましく、例えば、アルコール類〔メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等〕、ケトン類〔アセトン、メチルエチルケトン等〕、塩素化炭化水素類〔クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等〕、芳香族炭化水素類〔ベンゼン、トルエン、キシレン等〕、脂肪族炭化水素類〔ノルマルヘキサン、シクロヘキサン等〕、アミド類〔ジメチルホルムアミド等〕、スルホキシド類〔ジメチルスルホキシド等〕、及びそれらの混合物が挙げられる。
インクジェット法においては、例えば、ノズルからの蒸発を押さえるために高沸点の溶媒〔アニソール、ビシクロヘキシルベンゼン等〕を用いることができる。また、溶液の粘度は、25℃において、1〜100mPa・sが好ましい。
本発明の発光素子の各層の厚さは、1nm〜100μmが好ましく、数nm〜1μmがより好ましい。
本発明の発光素子は、例えば、照明用光源、サイン用光源、バックライト用光源、ディスプレイ装置、及びプリンターヘッドに用い得る。ディスプレイ装置としては、公知の駆動技術、駆動回路等を用い、セグメント型、ドットマトリクス型等の構成とし得る。
次に、実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例中、i−Prはイソプロピル基を、OMeはメトキシ基を意味する。
NMR測定には、Varian社製、300MHzNMRスペクトロメータ−を用いた。
<実施例1>
Figure 0005670835
上記の合成反応を下記手順に従って行い、実施例1の銀錯体を合成した。
2,9−ジクロロ−1,10−フェナントロリンを、Bull.Chem.Soc.Jpn.65,2007−2009(1992)に記載の方法で合成した。1,2−フェニレン〔ビス(2−メチルフェニル)〕ホスフィンを、Organometallics,23,6077−6079(2004)に記載の方法で合成した。
アルゴン雰囲気下、テトラフルオロホウ酸銀(I)(31.5mg,0.162mmol)のジクロロメタン1mL溶液に、1,2−フェニレンビス[ビス(2−メチルフェニル)]ホスフィン(81.3mg,0.162mmol)を加え、室温で10分間撹拌した。反応液に2,9−ジクロロ−1,10−フェナントロリン(46.4mg,0.186mmol)を加え、室温で10分間撹拌した。反応液をろ過し、ろ液を濃縮し、ジクロロエタン−エーテルでスローディフュージョンによる再結晶を行い、乾燥させて淡黄色固体の錯体を130mg(収率85.2%)得た。
得られた錯体のNMRデータを下記に示す。
Figure 0005670835
<実施例2>
Figure 0005670835
上記の合成反応を下記手順に従って行い、実施例2の銀錯体を合成した。
1,2−フェニレン〔ビス(2−イソプロピルフェニル)〕ホスフィンを、Organometallics,23,6077−6079(2004)に記載の方法で合成した。
アルゴン雰囲気下、テトラフルオロホウ酸銀(I)(15.2mg,0.0778mmol)のジクロロメタン1mL溶液に、1,2−フェニレンビス[ビス(2−イソプロピルフェニル)]ホスフィン(47.8mg,0.0778mmol)を加え、室温で10分間撹拌した。反応液に2,9−ジクロロ−1,10−フェナントロリン(19.4mg,0.0778mmol)を加え、40℃で5分間撹拌した。反応液を濃縮乾燥させて淡黄色固体の錯体を定量的に(82.3mg)得た。
得られた錯体のNMRデータを下記に示す。
Figure 0005670835
<合成例1>
Figure 0005670835
上記の合成反応を下記手順に従って行い、1,2−フェニレン〔ビス(2−メトキシフェニル)〕ホスフィンを合成した。
アルゴン雰囲気下、o−ビス(ジクロロホスフィノ)ベンゼン(2.08g,7.43mmol)のTHF(50mL)溶液を−15℃に冷却し、1mol/Lの2−メトキシフェニルマグネシウムブロミドのTHF溶液(60.2mL,2−メトキシフェニルマグネシウムブロミドとして60.2mmol)を15分間かけて滴下した。反応液を室温まで自然昇温させて終夜撹拌し、更に50℃で3時間撹拌した。反応液を−10℃に冷却し、1mol/Lの塩化アンモニウム水溶液(75mL)を滴下した。得られた溶液を減圧濃縮した後、クロロホルムを加えて抽出し、有機層を水で洗浄した。有機層をセライトろ過し、ろ液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルムで懸濁ろ過した。ろ物をヘキサンとクロロホルムで洗浄し、無色固体の1,2−フェニレン〔ビス(2−メトキシフェニル)〕ホスフィンを2.53g(収率60.1%)得た。
得られた1,2−フェニレン〔ビス(2−メトキシフェニル)〕ホスフィンのNMRデータを下記に示す。
Figure 0005670835
<実施例3>
Figure 0005670835
上記の合成反応を下記手順に従って行い、実施例3の銀錯体を合成した。
アルゴン雰囲気下、テトラフルオロホウ酸銀(I)(10.7mg,0.0550mmol)のジクロロメタン1mL溶液に、1,2−フェニレンビス[ビス(2−メトキシフェニル)]ホスフィン(31.1mg,0.0550mmol)を加え、室温で10分間撹拌した。反応液に2,9−ジクロロ−1,10−フェナントロリン(13.7mg,0.0550mmol)を加え、40℃で5分撹拌した。反応液を濃縮乾燥させて淡黄色固体の錯体を定量的に(55.5mg)得た。
得られた錯体のNMRデータを下記に示す。
Figure 0005670835
<比較例1>
Figure 0005670835
上記の合成反応を下記手順に従って行い、比較例1の銀錯体を合成した。
アルゴン雰囲気下、テトラフルオロホウ酸銀(I)(27.5mg,0.141mmol)のジクロロメタン8mL溶液に、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(81.7mg,0.141mmol)を加え、室温で15分間撹拌した。反応液に2,9−ジクロロ−1,10−フェナントロリン(44.0mg,0.177mmol)を加え、1時間加熱し還流した。反応液をろ過し、ろ液を濃縮し、クロロホルム−エーテルでスローディヒュージョンによる再結晶を行い、乾燥させて淡黄色固体の錯体を135mg(収率93.5%)得た。
得られた錯体のNMRデータを下記に示す。
Figure 0005670835
得られた錯体の元素分析結果を下記に示す。
Figure 0005670835
<錯体及び膜の発光特性>
(1)固体発光波長:
錯体及び膜の発光スペクトルは蛍光分光光度計(JOBINYVON−SPEX社製、Fluorolog−Tau3)を用いて測定した。
(2)量子効率の測定装置及び測定方法:
量子効率は、量子効率測定装置(住友重機械メカトロニクス社製)にて測定した。
該機器構成は以下の通りである。光源はKimmon社製クラス3BのHe−Cd式CWレーザーを用いた。出射部にOFR社製のNDフィルターFDU0.5を挿入し、光ファイバーで積分球へ導いた。住友重機械メカトロニクス社製のオプテル部の積分球、ポリクロメータ、及びCCDマルチチャンネル検出器を介し、KEYTHLEY社製の型式2400ソースメーターを連結して、一般的なノート型PCに接続した。
量子効率の測定は以下の方法で行った。室温空気中、積分球内に以下の条件で調製したサンプルを配置し、積分球のアパーチャを3に設定した。レーザー励起光を325nmとし、CW光で、積分時間を300ms、励起光積分範囲を315〜335nm、PL波長積分範囲を390〜800nmとした。そして、住友重機械メカトロニクス社製の測定・解析ソフトの手順に従って、量子効率を算出した。
(2)−1 固体発光量子効率:
錯体の固体発光量子効率の測定は、次のように行った。
サンプル調製は以下の通りで行った。室温空気下、18mm角、厚さ0.3mmの2枚の石英板に、上記実施例あるいは比較例で合成した錯体およそ1.5mgを挟み込み、10mm×5mm程度の楕円形に引き伸ばし、固定した。
上記の方法で固体発光量子効率を求めたところ、実施例1の銀錯体は59%(最大発光波長は518nm)、比較例1の銀錯体は33%(最大発光波長は526nm)であった。
(2)−2 1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン中の発光量子効率:
ホスト材料中に銀錯体をドープして形成した膜の発光量子効率を次のようにして測定した。
室温空気下、実施例1、実施例2、実施例3又は比較例1で合成した錯体0.70mgと1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン3.50mgとの混合物をクロロホルム350mgに溶かし、10mm×20mmの石英基板に9滴落とし、風乾させて膜サンプルを調製した。これを、窒素雰囲気下にて量子効率測定装置(住友重機械メカトロニクス社製)の積分球内に設置し、前記固体発光量子効率の測定と同様の条件にて、発光量子効率を測定した。
上記の方法で1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン中の発光量子効率を求めたところ、実施例1の銀錯体は35%(最大発光波長は515nm)、実施例2の銀錯体は22%(最大発光波長は514nm)、実施例3の銀錯体は26%(最大発光波長は541nm)、比較例1の銀錯体は15%(最大発光波長は505nm)であった。
(2)−3 ポリ(9−ビニルカルバゾール)中の発光量子効率:
ポリ(9−ビニルカルバゾール)(Aldrich社製、カタログ記載のMn=35000,Mw<70000)中の発光量子効率は、上記1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼンをポリ(9−ビニルカルバゾール)に変えた以外は、1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン中の発光量子効率と同様の方法で測定したところ、実施例1の銀錯体は12%(最大発光波長は521nm)、実施例3の銀錯体は20%(最大発光波長は550nm)、比較例1の銀錯体は7%(最大発光波長は506nm)であった。
<実施例4>(発光素子)
厚さ150nmのITO膜が付着したガラス基板上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(Bayer製、商品名:Bytron P AI4083)の懸濁液をスピンコート法(1000rpmで15秒間、1500rpmで60秒間)により塗布し、厚さ80nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を、ホットプレート上で170℃、10分間乾燥させた。その後、基板を室温まで自然冷却させ、正孔注入層が形成された基板を得た。
上記で得た正孔注入層が形成された基板の上に、正孔輸送性高分子材料の0.6重量%キシレン溶液をスピンコート法(1000rpmで15秒間、1500rpmで60秒間)により塗布し、厚さ25nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を、窒素雰囲気下、200℃で15分間加熱し、塗膜を不溶化させた後、室温まで自然冷却させ、正孔輸送層が形成された基板を得た。
ここで、正孔輸送性高分子材料は、以下の方法で合成した。
還流冷却器及びオーバーヘッドスターラを装備した三つ口丸底フラスコに、2,7−ビス(1,3,2−ジオキシボロール)−9,9−ジ(1−オクチル)フルオレン(3.86g,7.28mmol)、N,N−ジ(p−ブロモフェニル)−N−(4−(ブタン−2−イル)フェニル)アミン(3.18g,6.92mmol)及びジ(4−ブロモフェニル)ベンゾシクロブタンアミン(156mg,0.364mmol)を入れた。そこに、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(2.29g)、トルエン50mL、及びジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)[PdCl2(PPh32](4.90mg)を順次添加した。得られた混合物を、105℃の油浴中で15分間撹拌した。混合物に2.0mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液(14mL)を添加し、105℃の油浴中で更に16.5時間撹拌した。次いで、フェニルボロン酸(500mg)を添加し、得られた混合物を7時間撹拌した。反応液に水50mLを加え、抽出して水層を除去した。こうして得られた有機層を還流冷却器及びオーバーヘッドスターラを装備した三つ口丸底フラスコに移し、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.750g及び水50mLを添加した。得られた混合物を85℃の油浴中で16時間撹拌した。反応液に水を加え、抽出して水層を除去する操作を3回繰り返した後、有機層をシリカゲル及び塩基性アルミナのカラムに通した。溶離剤としてトルエンを用い、溶出してきたポリマーを含むトルエン溶液を回収した。回収した前記トルエン溶液をメタノールに注いでポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを再度トルエンに溶解させ、得られたトルエン溶液をメタノールに注いでポリマーを再び沈殿させた。沈殿したポリマーを60℃で真空乾燥し、正孔輸送性高分子材料4.20gを得た。得られた正孔輸送性高分子材料のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び分子量分布指数[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]をゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した。その結果、得られた正孔輸送性高分子材料のMwは1.24×105であり、Mw/Mnは2.8であった。
次に、正孔輸送層が形成された基板の上に、実施例1の銀錯体と、1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼンと、2,4,6−トリス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(住商ファーマインターナショナル社製)の2:2:1(重量比)の混合物が、合計で1.0重量%の濃度になるようにクロロホルム:1,2−ジクロロエタン=2:1(重量比)の混合溶媒に溶かして調製した溶液を、スピンコート法(1000rpmで15秒間、1500rpmで60秒間)により塗布し、厚さ95nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた基板を、50℃で20分間乾燥させることにより、発光層が形成された基板を作製した。
この発光層が形成された基板の上に、陰極として、フッ化リチウムを2nm、続いてアルミニウムを約100nm蒸着により成膜して、発光素子を作製した。
得られた発光素子に9.8Vの電圧をかけることにより発光効率6.6cd/A、また、15.2Vの電圧をかけることにより輝度2030cd/m2の発光を確認した。
上記の結果から明らかなように、本発明の銀錯体は、1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼンやポリ(9−ビニルカルバゾール)中での発光量子効率が高い。即ち、本発明の銀錯体は、有機ELホスト材料中で優れた発光特性を発現し得ることが明らかとなった。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で表される銀錯体。
    Figure 0005670835
    (式(1)中、Zはアニオンを表す。2つのRは、共に水素原子であるか、又は2つのRが互いに結合して−CH=CH−を形成する。4つ存在するArは、下記式(2)で表される1価の芳香族基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    Figure 0005670835
    式(2)中、*印は、リン原子との結合部位を表す。
    式(2)で表される1価の芳香族基は、ベンゼン環を構成する炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部が炭素原子数1〜6のヒドロカルビルオキシ基又は炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基に置換されていてもよい。但し、Rは炭素原子数1〜6のヒドロカルビルオキシ基又は炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基を表す。
    式(1)中、Arは、下記式r1’、r2’、r5’又はr6’で表される2価の基であり、ベンゼン環を構成する炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部が、炭素原子数1〜6のアルキル基に置換されていてもよい。式r1’、r2’、r5’及びr6’中、*印は、リン原子との結合部位を表す。
    Figure 0005670835
    式r2’中、Rは、水素原子、炭素原子数1〜6のヒドロカルビルオキシ基又は炭素原子数1〜6のヒドロカルビル基を表す。2つのRは同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 下記式(3)で表される、請求項1に記載の銀錯体。
    Figure 0005670835
    (式(3)中、Z及びArは前記と同じ意味を表す。Arは下記式r3’又はr4’で表される2価の基を表す。式r3’又はr4’中、*印はリン原子との結合部位を表す。)
    Figure 0005670835
  3. 下記式(4)で表される、請求項1に記載の銀錯体。
    Figure 0005670835
    (式(4)中、Z及びArは前記と同じ意味を表す。Arは前記式r1’を表す。)
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載の銀錯体を含む発光素子。
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