JP5670810B2 - 生乾き臭抑制剤のスクリーニング方法及び生乾き臭抑制剤の評価方法 - Google Patents

生乾き臭抑制剤のスクリーニング方法及び生乾き臭抑制剤の評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、生乾き臭抑制剤のスクリーニング方法及び生乾き臭抑制剤の評価方法に関する。
タオル、寝具等のサニタリー用品、衣類等の繊維製品(以下、本明細書において、単に「繊維製品」ともいう)は、清潔に保つことで心地よい使用感・着用感が得られる。また、サニタリー用品や衣類等の繊維製品は人体に纏うものであり、タオル、寝具等は人体に直接接触させて使用するものであるため、これらを清潔に保つことは衛生面からも重要である。近年の社会的な衛生志向の高まりに伴い、サニタリー用品や衣類等の繊維製品を清潔に保つことに関する人々の関心は高まっている。
近年、消費者の生活環境への関心の高まりから、身の回りの不快な臭気(本明細書において、「異臭」ともいう)を除去することが以前にも増して望まれている。タオル、寝具等のサニタリー用品、衣料等の繊維製品に付着する臭気は、タバコなどの外的要因の他に、繊維製品の使用を繰り返すことにより生じる、人体由来の内的要因が挙げられる。
下着、タオル及びハンカチを初めとするヒトの皮膚と直接接触するような繊維製品又は皮脂を含んだ汗や角質などを吸収又は付着する可能性のある繊維製品は、洗濯後、被洗物を洗濯槽内等の湿気の多い場所にしばらく放置した場合、室内干しの場合、雨や汗で濡れた場合、又は乾燥が不十分の場合に、特有の臭いを生ずることがある。この臭いは一般に生乾き臭と呼ばれるものであり、十分な乾燥を行うことで大部分を除去することができる。しかしながら、十分な乾燥を行い、生乾き臭が感じられなくなった繊維製品であっても、汗や雨などで繊維製品が湿気を帯びると雑巾臭様の生乾き臭が生じることがある。繊維製品がこの生乾き臭を一度発生するようになると、洗濯後の十分な乾燥により一時的には生乾き臭を除去できるが、使用時に雑巾臭様の生乾き臭が再発し易くなる。このような再発し易い生乾き臭は、室内干しの場合のみならず、低温乾燥機能を備えた洗濯機又は乾燥機を用いた場合や、室外干し乾燥の場合でさえも湿気を帯びると生じる場合がある。
再発性の生乾き臭の特徴的な点は、洗濯し十分に乾燥した後は発生しない、ないし殆ど低減されるが、湿気を帯びるだけで臭いが発生する点にある。再発性の生乾き臭は、長期間タンスなどに収納した場合に生じ易い。しかしながら、下着、ハンカチ又はタオルなど、ヒトの肌との接触機会が多く、洗浄−使用サイクルの期間の短い使用頻度の多い繊維製品は、一度この生乾き臭が発生するようになると使用中に臭いが再発してくることが多い。さらには、洗濯回数が増えるほど生乾き臭の臭い強度が高まる傾向がある。この生乾き臭を抑制するためには、このような生乾き臭原因物質を産生しないように繊維製品を処理することが重要であり、そのための方法として生乾き臭を抑制する剤が求められており、生乾き臭抑制剤をスクリーニングする方法及び生乾き臭抑制剤を評価する方法の開発が求められている。
これまで、生乾き臭について、中鎖アルデヒド、中鎖アルコール、ケトンなどの「黴様の臭い」、短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸などの「酸っぱい臭い」、窒素化合物などの「生臭い臭い」及び硫黄化合物から構成される複合臭であり、特に中鎖脂肪酸の寄与度が大きいことが報告されている(非特許文献1参照)。さらに、非特許文献1には、生乾き臭の主要成分を「炭素数7〜9の分岐構造を有する不飽和脂肪酸の混合物」であると推定し、これらはヒトの汗等の臭気にも含まれることが記載されている。これまでに、生乾き臭の指標物質として4−メチル−3−ヘキセン酸を含む数種類の脂肪酸が提案されている(特許文献1参照)。4−メチル−3−ヘキセン酸は、天然では、柚子の成分として知られているとともに(非特許文献2参照)、テルペンより微生物によって生成することも知られている(特許文献2参照)。しかし、これらの文献では、生乾き臭発生のメカニズムについて、何ら記載も示唆されていない。また、4−メチル−3−ヘキセン酸を含む数種類の脂肪酸と再発性の生乾き臭との関連についても開示するものではない。さらに、このようなメカニズムに基づいて生乾き臭抑制剤をスクリーニングする方法及び生乾き臭抑制剤を評価する方法を考案した例はない。
特開2009−244094号公報 特開昭56−124387号公報
埴原,園田,「部屋干し臭を抑制する洗剤について」,香料,平成16年9月,No.223,p.109-116 第53回 香料・テルペンおよび精油化学に関する討論会 学会要旨集(2009)p.4-6
本発明は、高精度で簡便に生乾き臭抑制剤をスクリーニングすることができる、生乾き臭抑制剤のスクリーニング方法を提供することを課題とする。また、本発明は、高精度で簡便に生乾き臭抑制作用を評価することができる、生乾き臭抑制剤の評価方法を提供することを課題とする。
上記課題に鑑み、本発明者等は、生乾き臭の原因物質、原因菌、及び発生のメカニズムの観点から鋭意検討を行った。その結果、生乾き臭の原因物質としては、4−メチル−3−ヘキサン酸、4−メチル−3−ヘキセン酸、5−メチル−2−ヘキサン酸、5−メチル−2−ヘキセン酸などの中級分岐脂肪酸が知られていたが、これらの中でも特に4−メチル−3−ヘキセン酸の閾値が他の物質と比較して特段に低く、主な原因物質であることを見出した。さらに、生乾き臭のうち、繊維製品を十分に乾燥させた後湿気を帯びることによりぶり返す再発性の生乾き臭は、乾燥後、十分に生乾き臭が除去された後であっても、特定の微生物が繊維製品中に生存又はそこで増殖して、繊維製品に残存した皮脂汚れ成分から生乾き臭原因物質を産生される臭いであること、或いは乾燥によって繊維に囚われていた臭いが、繊維製品の湿潤により再び解放され、低閾値であるため感じられ易いことを見出した。そして、その生乾き臭は4−メチル−3−へキセン酸が大きく影響していることを見出し、このような生乾き臭発生には、4-メチル−3−ヘキセン酸生成能を有する微生物が関与していることを見出した。テルペンより4−メチル−3−ヘキセン酸を生成する微生物については従来知られていた。しかし、微生物が皮脂汚れ成分の存在下で、生乾き臭原因物質、あるいは4−メチル−3−ヘキセン酸を産生することはこれまで全く知られておらず、本発明者等が新たに見出した知見である。
本発明はこれらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明は、皮脂汚れ成分の存在下において、4−メチル−3−ヘキセン酸生成能を有する微生物及び被験物質とを接触させ、生乾き臭原因物質の生成を検知することにより、生乾き臭抑制作用を有する被験物質を選択する、生乾き臭抑制剤のスクリーニング方法に関する。
さらに、本発明は、皮脂汚れ成分の存在下において、4−メチル−3−ヘキセン酸生成能を有する微生物及び被験物質とを接触させ、前記微生物による生乾き臭原因物質の生成を検知することにより、該被験物質の生乾き臭抑制作用を評価する、生乾き臭抑制剤の評価方法に関する。
本発明の生乾き臭抑制剤のスクリーニング方法によれば、高精度で簡便に生乾き臭抑制剤をスクリーニングすることができる。また、本発明の生乾き臭抑制剤の評価方法によれば、生乾き臭抑制剤の生乾き臭抑制作用を高精度で簡便に評価することができる。
本発明の生乾き臭抑制剤のスクリーニング方法は、皮脂汚れ成分の存在下において、4−メチル−3−ヘキセン酸(本明細書において、4M3Hともいう)生成能を有する微生物及び被験物質とを接触させ、前記微生物による生乾き臭原因物質の生成を検知することにより、生乾き臭抑制作用を有する被験物質を選択する工程を含んでなる。本発明の生乾き臭抑制剤のスクリーニング方法によれば、高精度な生乾き臭抑制剤のスクリーニングを簡便に行うことが可能となる。
また、本発明の生乾き臭抑制剤の評価方法は、皮脂汚れ成分の存在下において、4M3H生成能を有する微生物及び被験物質とを接触させ、前記微生物による生乾き臭原因物質の生成を検知することにより、該被験物質の生乾き臭抑制作用を評価する工程を含んでなる。本発明の生乾き臭抑制剤の評価方法によれば、例えば、生乾き臭抑制剤の候補として選択した物質について、その生乾き臭抑制作用の高精度な評価を簡便に行うことが可能となる。
なお、本明細書において「生乾き臭」とは、使用済繊維製品を洗濯し乾燥が不十分な場合又は繊維製品が湿気を帯びた場合に繊維製品から生じる臭いをいう。しかし、繊維製品を十分に乾燥させることにより生乾き臭を一時的に除去できても、乾燥後すぐ若しくは保管後に再び使用し始めてすぐ若しくは繊維製品を使用し始めてしばらくしてから、又は雨、汗等の湿気などにより、繊維製品から雑巾臭様の生乾き臭が再発することがある。このように、十分に乾燥させることにより生乾き臭を一時的に除去した繊維製品が湿気を帯びることにより再発する雑巾臭様の生乾き臭を本明細書において「再発性の生乾き臭」又は「再発性臭」という場合もある。
繊維製品を洗濯後乾燥が不十分なため生じる生乾き臭としては、S(硫黄)臭、N(窒素)臭、アルデヒド臭、低級脂肪酸臭、4M3H臭を含む中級分岐脂肪酸臭などの複合臭である。一方、繊維製品を十分に乾燥させて生乾き臭を除去した後、再び雨、汗等の湿気などにより、繊維製品から再発する雑巾様臭の再発性の不快臭は、4M3H臭を主とする中級分岐脂肪酸臭が大部分であり、その他のS臭、N臭、アルデヒド臭などの揮発性の高い臭いはほとんど発生しない。
また、「生乾き臭抑制」とは、生乾き臭を抑制すること、生乾き臭生成を予防することを包含するものである。そして本発明では、生乾き臭として前記再発性の生乾き臭、特には4M3H臭の抑制を特徴的に指すものとする。
なお、「4−メチル−3−ヘキセン酸」には、下記に示すように、シス・トランス異性体が存在し、本発明においては、シス型、トランス型のいずれの構造の化合物も包含するものである。
Figure 0005670810
本発明における「生乾き臭抑制剤」の作用機序については特に制限はない。生乾き臭抑制剤の作用機序としては、繊維製品に付着した微生物の殺菌、繊維製品に残存する汗、皮脂等の生乾き臭原因物質への変換を予防、生乾き臭原因物質の無臭物質への分解又は変換、生乾き臭のマスキング等が挙げられ、本発明の生乾き臭抑制剤の作用機序は、如何なる種類であってもよい。
本発明における「4M3H生成能を有する微生物」は、4M3H生成能を有する微生物の菌体自体の他に、破砕菌体、菌体培養液、並びに4M3H生成能を有する微生物由来の粗抽出物及び精製酵素等の菌体処理物も含む。
本発明に用いる4M3H生成能を有する微生物の入手方法について説明する。4M3H生成能を有する微生物の入手方法に特に制限はないが、(1)繊維製品の官能評価を行い、その結果生乾き臭を発した繊維製品から微生物を採取する方法、(2)繊維製品に存在する微生物を採取し、採取した微生物の4M3H生成能を測定し、4M3H生成能を有する微生物を選択する方法、(3)環境より分離した又は微生物供託機関から入手した微生物の4M3H生成能を測定し、4M3H生成能を有する微生物を選択する方法、(4)4M3H生成能を有する微生物との特定の遺伝子配列の相同性を比較し、相同性の高い微生物を選択する方法、等が挙げられる。本発明において、前記方法のうちいずれかの方法により4M3H生成能を有する微生物を選択してもよいし、2つ以上の方法を組み合わせて4M3H生成能を有する微生物を選択してもよい。
本発明に用いる4M3H生成能を有する微生物の入手方法について具体的に説明する。しかし、本発明はこれらに制限するものではない。
まず、前記(1)の方法(繊維製品の官能評価を行い、生乾き臭を発する繊維製品から微生物を採取する方法)の概要について説明する。
家庭等で、洗濯後に使用した、又は洗濯後保管しておいた(洗濯後は未使用)繊維製品、たとえば、タオル、Tシャツ、枕カバー、下着類を回収し、官能評価により生乾き臭を強く感じる繊維製品を選択する。選択した繊維製品を一定の大きさ(たとえば5×5cm、2×2cm)に裁断し、レシチン・ポリソルベート(本明細書においてLPともいう)希釈液(日本製薬社製)又は生理食塩水等に添加後、攪拌により得られた抽出液をレシチン・ポリソルベート添加ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト(本明細書においてSCD−LPともいう)寒天培地(日本製薬社製)やポテトデキストロース・アガー(本明細書においてPDAともいう)培地(BD社製)などの寒天培地に塗抹して一定時間(たとえば35℃、24時間)培養後、得られたコロニーから微生物を単離する。
単離した各菌株は、滅菌した使用済み繊維製品、たとえば生乾き臭発生が認められたタオルなどを一定の大きさ(たとえば5×5cm、2×2cm)に切断したのちに滅菌処理したものに塗布して培養、又は皮脂汚れ成分の存在下において固体培養又は液体培養したのちに官能評価により生乾き臭を感知した菌株を選抜する。選抜した各菌株の同定が必要な場合は、その方法に制限はないが、細菌では16S rDNA遺伝子の上流領域約500bp、真菌ではLSU(Large Subunit)のD2領域の約200〜500bpの塩基配列を決定し、当該塩基配列と基準株との同一性に基づき行なうことができる。なお、塩基配列の同一性は、遺伝子情報処理ソフトウェアClustalW(http://clustalw.ddbj.nig.ac.jp/top-j.html)等を用いて算出することもできる。
次に、前記(2)の方法(繊維製品に存在する微生物を採取し、採取した微生物の4M3H生成能を測定し、4M3H生成能を有する微生物を選択する方法)の概要について説明する。
家庭などで、洗濯後に使用した、あるいは洗濯後保管しておいた(洗濯後は未使用)繊維製品、たとえば、タオル、Tシャツ、枕カバー、下着類などを回収し、一定の大きさ(たとえば5×5cm、2×2cm)に裁断し、LP希釈液(日本製薬社製)、又は生理食塩水などに添加後、攪拌することにより得られた抽出液をSCD−LP寒天培地(日本製薬社製)やPDA培地(BD社製)などの寒天培地に塗抹して一定時間(たとえば35℃、24時間)培養後、得られたコロニーから微生物を単離する。
単離した各菌株は、滅菌した使用済み繊維製品、たとえば生乾き臭発生が認められたタオルなどを一定の大きさ(たとえば5×5cm、2×2cm)に切断したのちに滅菌処理したものに塗布して培養、又は皮脂汚れ成分の存在下において固体培養又は液体培養したのちに4M3Hの生成を検知することにより、4M3H生成が認められた菌株選抜する。選抜した各菌株の同定が必要な場合は、その方法に制限はないが、たとえば、細菌では16S rDNA遺伝子の上流領域約500bp、真菌ではLSUのD2領域の約200〜500bpの塩基配列を決定し、当該塩基配列と基準株との同一性に基づき行なうことができる。なお、塩基配列の同一性は、遺伝子情報処理ソフトウェアClustalW等を用いて算出することもできる。
次に、前記(3)の方法(環境より分離した、又は微生物供託機関から入手した微生物の4M3H生成能を測定し、4M3H生成能を有する微生物を選択する方法)について説明する。
ATCC(American Type Culture Collection)、NBRC(NITE Biological Resource Center)、JCM(Japan Collection of Microorganisms)、NCIMB(National Collection of Industrial,Marine and Food Bacteria)などの菌株分譲機関から菌株を購入する。あるいは、土壌、植物、河川水、住居内など様々な環境より常法によりSCD−LP寒天培地(日本製薬社製)やPDA培地(BD社製)などに菌株を分離後、単離する。なお、ここで用いる培地に特に制限はない。
購入あるいは単離した各菌株を、滅菌した使用済み繊維製品、たとえば生乾き臭発生が認められたタオルなどを一定の大きさ(たとえば5×5cm、2×2cm)に切断したのちに滅菌処理したものに塗布して培養した後に、又は皮脂汚れ成分の存在下において固体培養又は液体培養したのちに、4M3Hの生成を検知することにより、4M3H生成が認められた菌株選抜する。環境から分離した菌から選抜した各菌株について同定が必要な場合は、その方法に制限はないが、たとえば、細菌では16S rDNA遺伝子の上流領域約500bp、真菌ではLSUのD2領域の約200〜500bpの塩基配列を決定し、当該塩基配列と基準株との同一性に基づき行なうことができる。なお、塩基配列の同一性は、遺伝子情報処理ソフトウェアClustalW等を用いて算出することもできる。
次に、前記(4)の方法(4M3H生成能の有する微生物との特定の遺伝子配列の相同性を比較し、相同性の高い微生物を選択する方法)の概要について説明する。
まず、上記(1)、(2)及び/又は(3)の方法等により選択した4M3H生成能を有する微生物の特定の遺伝子の塩基配列を決定する。そして、決定した塩基配列と同一性の高い塩基配列を有する微生物を選択することにより、本発明に用いる4M3H生成能を有する微生物を入手することができる。例えば、後述の実施例でも示すように、モラクセラ・エスピー(Moraxella sp.)4−1株、モラクセラ・エスピー(Moraxella sp.)4−4株及びモラクセラ・オスロエンシス(Moraxella osloensis)ATCC19976等は、生乾き臭の原因菌であるので、4M3H生成能を有する微生物を基準サンプルとして選択する。次に、たとえば、配列番号1、2及び3に示すように、基準サンプルの16S rDNAの領域等の塩基配列を決定する。そして、決定した基準サンプルの塩基配列の全部又は一部と同一性の高い塩基配列を有する微生物を選択する。ここで、「同一性の高い」とは、配列番号1〜3のいずれかに示す塩基配列等、基準サンプルの塩基配列との同一性が好ましくは95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上であることをいう。なお、モラクセラ・エスピー4-1株は、2010年10月14日付で、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1−1−1つくばセンター中央第6)に、受託番号FERM P-22030として寄託された。
微生物の塩基配列は、通常の方法により決定することができる。また、塩基配列の同一性については、Lipman-Pearson法(Science,227,1435,1985)等によって計算される。具体的には、遺伝情報処理ソフトウェアGenetyx-Win(ソフトウェア開発製)のホモロジー解析(Search homology)プログラムを用いて、パラメーターであるUnit size to compare(ktup)を2として解析を行うことにより算出することができる。
本発明に用いる微生物は4M3H生成能を有する微生物であれば特に制限はなく、皮脂成分存在下で4M3Hを生成する微生物であればよい。例えば、モラクセラ(Moraxella)属細菌、アシネトバクター(Acinetobacter)属細菌、シェードモナス(Pseudomonas)属細菌、バチルス(Bacillus)属細菌、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属細菌、ラルストニア(Ralstonia)属細菌、キュープリアビダス(Cupriavidus)属細菌、サイクロバクター(Psychorobacter)属細菌、セラチア(Serratia)属細菌、エシェリキア(Escherichia)属細菌、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属細菌、ブルクホルデリア(Burkholderia)属細菌、サッカロマイセス(Saccaromyces)属酵母、及びロドトルラ(Rhodotorula)属酵母からなる群より選ばれる少なくとも1種の微生物であることが好ましく、モラクセラ・エスピー(Moraxella sp.)、モラクセラ・オスロエンシス(Moraxella osloensis)、アシネトバクター・レイディオレジステンス(Acinetobacter radioresistens)、アシネトバクター・ジュニイ(Acinetobacter junii)、アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、エシェリキア・コーライ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、シュードモナス・アルカリゲネス(Pseudomonas alcaligenes)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、サイクロバクター・パシフィセンシス(Psychrobacter pacificensis)、サイクロバクター・グラシンコラ(Psychrobacter glacincola)、スフィンゴモナス・ヤノイクヤエ(Sphingomonas yanoikuyae)、ラルストニア エスピー(Ralstonia sp.)、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccaromyces cerevisiae)、ロドトルラ・ムシラギノーサ(Rhodotorula mucilaginosa)、ロドトルラ・スルーフィエ(Rhodotorula slooffiae)、キュープリアビダス・オキサラティカス(Cupriavidus oxalaticus)及びブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)からなる群より選ばれる少なくとも1種の微生物であることがより好ましく、モラクセラ・エスピー、モラクセラ・オスロエンシス、シュードモナス・アルカリゲネス、ラルストニア・エスピー、サッカロマイセス・セレビジエ、ロドトルラ・ムシラギノーサ及びロドトルラ・スルーフィエからなる群より選ばれる少なくとも1種の微生物であることがさらに好ましく、モラクセラ・エスピー及びモラクセラ・オスロエンシスからなる群より選ばれる少なくとも1種の微生物であることが特に好ましい。
本発明において、4M3H生成能を有する微生物として1種の微生物を用いてもよいし、2種以上の微生物を組み合わせて用いてもよい。なお、本発明において「モラクセラ・エスピー」とは、その16S rDNA遺伝子の塩基配列が、配列番号1、配列番号2又は配列番号3の塩基配列と95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、特に好ましくは99%以上の同一性を有する塩基配列を含む微生物を意味する。
本明細書において、「皮脂汚れ」とは、衣類等の繊維製品に付着する最も代表的な汚れであり、遊離脂肪酸、グリセリド等の油分を多量に含有しており、それらがほこり中のカーボンや泥、剥離した角質等を閉じ込めたものが、繊維製品等で観察されるものである。
本発明に用いる皮脂汚れ成分としては、衣類等に通常見られる皮脂汚れの成分であれば特に制限はないが、繊維製品から生じる生乾き臭原因物質の前駆体となり得る物質が好ましい。繊維製品から生じる生乾き臭原因物質の前駆体となり得る物質としては、例えば炭素数9〜21(好ましくは炭素数11〜19、より好ましくは炭素数17〜19)のアンテイソ脂肪酸が挙げられる。これらの中には、皮脂汚れ中には実際には存在しない化合物も含まれるが、本明細書においてはこれらのアンテイソ脂肪酸も皮脂汚れ成分に含まれるものとする。本発明において、前記皮脂汚れ成分はアンテイソ脂肪酸であることが好ましい。本発明に好ましく用いられるアンテイソ脂肪酸は、飽和脂肪酸及び不飽和を含有する脂肪酸のいずれであってもよく、アンテイソ脂肪酸の塩及びエステルも前記アンテイソ脂肪酸に含むものとする。具体的には、6−メチルオクタン酸、8−メチルデカン酸、12−メチルテトラデカン酸、14−メチルヘキサデカン酸、16−メチルオクタデカン酸、14−メチルヘキサデセン酸及び16−メチルオクタデセン酸、並びにこれらの塩やエステルなどが挙げられる。
本発明に好ましく用いられるアンテイソ脂肪酸は通常の方法により合成することができる(例えば、特開2009−149546号公報参照)。また、シグマアルドリッチ社等から市販のものを入手して用いることもできる。
本発明の生乾き臭抑制剤のスクリーニング方法及び生乾き臭抑制剤の評価方法において、皮脂汚れ成分の存在下、前記4M3H生成能を有する微生物及び被験物質とを接触させ、該微生物を該被験物質及び皮脂汚れ成分と共にインキュベートする。インキュベート条件に特に制限はないが、25〜35℃、3〜72時間(好ましくは8〜72時間)で加湿条件下でインキュベートすることが好ましい。さらに、微生物と被験物質とを接触させる際及び/又は微生物をインキュベートさせる際には、滅菌水、緩衝液、又はこれらに糖類、カゼイン製ペプトン、大豆製ペプトン、酵母エキス、無機塩類、pH調整剤、寒天等の培地成分を添加してもよい。あるいは、市販の培地をそのまま若しくは希釈して使用してもよい。また、液体状態でインキュベートをする場合は振とうすることが好ましく、固体状態でインキュベートする際は静置することが好ましい。
本発明において、本発明に用いる4M3H生成能を有する微生物及び被験物質を皮脂汚れ成分が付着している繊維製品に添加して接触させ、該微生物を該被験物質及び皮脂汚れ成分と共にインキュベートさせてもよい。この場合、インキュベート条件に特に制限はないが、25〜35℃で、3〜48時間(好ましくは8〜48時間)静置してインキュベートすることが好ましい。また、前記皮脂汚れ成分は元々繊維製品に付着していてもよいし、アンテイソ脂肪酸等の皮脂汚れ成分を繊維製品に付着させてもよい。皮脂汚れ成分を繊維製品に付着させる場合、2×2cmの繊維製品に対して0.1〜1mgの割合で皮脂汚れ成分を付着させるのが好ましい。
前記微生物の繊維製品への添加量に特に制限はないが、102〜105CFU/cm2を繊維製品へ添加することが好ましい。
本発明に用いる繊維製品の素材としては特に制限はなく、ウール、シルク、木綿等の天然素材、ポリエステル、ポリアミド等の化学繊維、及びこれらの組合せのいずれであってもよい。本発明において、繊維製品の素材は木綿であることが好ましい。さらに、皮脂汚れ成分を添加して使用する場合は、繊維製品は未使用であっても、一度以上使用した使用済のものでもよい。皮脂汚れ成分を添加せずに使用する場合は、一度以上使用したものをそのまま、又は洗濯した後に用いる。
本発明において、皮脂汚れ成分を含む固体や溶液において前記微生物及び前記被験物質を接触させてもよい。具体的には、皮脂汚れ成分を含む寒天培地に被験物質を予め添加しておく、あるいは培地上に塗布しておき、さらに4M3H生成能を有する微生物を塗抹し、被験物質の存在下で前記微生物及び皮脂汚れ成分を接触させてもよいし、皮脂汚れ成分を含んでなる液体培地と被験物質とを混合し、そこに4M3H生成能を有する微生物を接種し、被験物質の存在下で前記微生物及び皮脂汚れ成分を接触させてもよい。ここで用いられる培地は、4M3H生成能を有する微生物種に応じて適宜選択すればよい。
本発明において、前記4M3H生成能を有する微生物と皮脂汚れ成分との接触比(混合比)について特に制限はないが、終濃度104〜108CFUの微生物に対してアンテイソ脂肪酸等の皮脂汚れ成分0.1〜10mgを接触させるのが好ましい。
本発明のスクリーニング方法及び評価方法において、前記微生物による生乾き臭原因物質の生成を検知することにより、生乾き臭抑制作用を有する被験物質を選択する。
生乾き臭原因物質としては、生乾き臭原因物質となり得る前記4M3H生成能を有する微生物が生成する物質であればよく、4−メチル−3−ヘキセン酸(4M3H)、4−メチル−3ペンテン酸、4−メチル−3オクテン酸等が挙げられる。本発明において、4M3Hの生成を検知することが好ましい。
本発明のスクリーニング方法及び評価方法において、生乾き臭原因物質の生成を検知する方法に特に制限はなく、官能評価等の定性的な方法によって行ってもよいし、カラムクロマトグラフィー等を用いて定量的に生乾き臭原因物質の生成を検知することもできる。また、特開2009−244094号公報に示すように、生乾き臭原因物質のカルボキシ基に発色団を導入し、呈色反応を利用して生乾き臭原因物質の有無や存在量を判定してもよい。
具体的には、生乾き臭原因物質の検量線を予め作成しておき、この検量線を用いて機器分析を行ってもよいし、生乾き臭原因物質の変化体又は未変化体を滴定又は抽出等の化学分析により定量してもよい。また、官能評価により生乾き臭抑制剤の添加の有無によるニオイ強度の差やニオイの種類の変化により判定してもよい。
本発明のスクリーニング方法において、4M3H生成能を有する微生物による生乾き臭原因物質の生成を検知し、生乾き臭抑制作用を有する被験物質を生乾き臭抑制剤として選択することができる。また、生乾き臭抑制剤の評価方法において、4M3H生成能を有する微生物による生乾き臭原因物質の生成を検知し、被験物質の生乾き臭抑制作用を評価することができる。
本発明のスクリーニング方法及び評価方法で用いる被験物質としては、任意の物質を使用することができ、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよく、その種類は特に限定されない。被験物質の具体例としては、例えば、無機塩類、界面活性剤、タンパク質、抗体、ペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、DNA、RNA、脂質、糖類、多糖類、天然物抽出物、香料等又はこれらの組み合わせが挙げられる。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
試験例1 生乾き臭原因物質の特定
洗濯乾燥の後に生乾き臭が強く発生した木綿のタオルを家庭より回収して50gを裁断し、ジクロロメタン500mLよりニオイ成分を抽出後減圧濃縮した。さらに、1M水酸化ナトリウム水溶液200mLを抽出溶液に添加し、水層を回収し、2M塩酸200mL添加し酸性にした。この溶液に、ジクロロメタン200mLを加え有機層を減圧濃縮し、酸性成分の濃縮物を1mLに定容した。
続いて、アジレント社製ガスクロマトグラフィーにゲステル社製Preparative Fraction Collector(PFC)装置を接続したものを用い、濃縮物を下記の条件下でGC保持時間により分画し、目的成分周辺のGC30回分を内径6mm、長さ117mmのガラス管に充填した充填剤(商品名:TENAX TA、ジーエルサイエンス社製)200mgに捕集した。
(GC−PFC条件)
GC:Agilent 6890N(商品名、アジレント社製)
カラム:DB-1(商品名、アジレント社製)、長さ30m、内径0.53mm、膜厚1μm
40℃1min.hold→6℃/min.to 60℃→4℃/min.to 300℃
Injection volume:2μL
PFC(Gerstel社製):trap time 18min.to 24min.、30times
trap:TENAX TA(商品名、ジーエルサイエンス社製)200mg
最後にTENAXに捕集した目的成分をゲステル社製Thermal Desorption system(TDS)をアジレント社製GC−MSに接続した装置にて、下記条件下で分析した。
(TDS−GC−MS条件)
GC:Agilent 6890N(商品名、アジレント社製)
MS:Agilent 5973(商品名、アジレント社製)
TDS脱着条件:250℃、パージ流量50mL/min、パージ時間 3min.
カラム:DB-FFAP(商品名、アジレント社製)、長さ30m、内径250μm、膜厚0.25μm
40℃1min.hold→6℃/min.to 60℃→2℃/min.to 240℃
解析の結果、生乾き臭原因物質は4M3Hをはじめとする中級分岐脂肪酸であることが明らかとなった。
試験例2 生乾き臭原因菌の特定
(1)菌株の単離
洗濯乾燥の後に生乾き臭が発生した木綿のタオル又はバスタオルを裁断し、LP希釈液(日本製薬社製)を添加後、攪拌した溶液0.1mLをレシチン・ポリソルベート添加ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト(本明細書においてSCD−LPともいう)寒天培地(日本製薬社製)に塗沫し、35℃、24時間培養後、得られたコロニーから微生物を単離した。単離した細菌株の同定は、16S rDNA遺伝子の上流領域約500bpの塩基配列、酵母株の同定は、LSUのD2領域の約200〜500bp領域の塩基配列を決定し、当該塩基配列と基準株との同一性に基づき行なった。塩基配列の同一性は、遺伝子情報処理ソフトウェアClustalWを用いて算出した。なおモラクセラ・エスピーに関してはモラクセラ・オスロエンシスATCC19976の塩基配列を決定し、その塩基配列と比較することで同定した。
各タオル又はバスタオルから単離された菌株を表1に示す。
(2)繊維製品での生乾き臭再現試験
上記で単離された各種菌株をそれぞれ生乾き臭が発生した木綿のタオル、あるいは使用後洗濯して保管していた木綿のタオルを滅菌処理したものに接種し、35℃で24時間加湿条件下(湿度100%)で培養後、生乾き臭の発生の有無を下記基準に基づいて、香料評価の訓練を受けた専門評価者(N=3)により、合意により判定した。
1:生乾き臭の発生が非常に強い
2:生乾き臭の発生が強い
3:生乾き臭の発生が弱い
4:生乾き臭が全くしない
その結果を表1に示す。
Figure 0005670810
表1の結果から、すべての生乾き臭発生タオル・バスタオルから、モラクセラ・エスピーが単離された。また、単離されたモラクセラ・エスピーは、その菌数も多かった。さらに、単離したモラクセラ・エスピーを生乾き臭が発生したタオルを滅菌処理したものに接種したところ、非常に強い生乾き臭が発生することが確認された。
したがって、生乾き臭には本菌種などの特定の微生物が関与していることが明らかとなった。
試験例3 4M3H生成能を有する微生物の選定
前記試験例2に準じて単離、同定した菌株、環境(土壌、住居内)より定法によりソイビーン・カゼイン・ダイジェスト(本明細書においてSCDともいう)寒天培地又はPDA培地を用いて分離した後、単離同定した菌株、及び微生物供託機関から入手した微生物の4M3H生成能を測定した。
なお、微生物供託機関から入手した菌株は下記の通りである。

モラクセラ・オスロエンシスNCIMB10693株(NCIMB(National collection of industrial and marine bacteria)から購入)、モラクセラ・オスロエンシスATCC19976株(ATCC(American Type Culture Collection)から購入)、サイクロバクター・インモビリス(Psychrobacter immobilis)NBRC15733株、サイクロバクター・パシフィセンシスNBRC103191株、サイクロバクター・グラシンコラNBRC101053株、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)NBRC13275株、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)NBRC14164株、スフィンゴモナス・ヤノイクヤエNBRC15102株、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)NBRC3333株、ブレブンディモナス・ディミヌタ(Brevundimonas diminuta)NBRC12697株、ロゼオモナス・エリラタ(Roseomonas aerilata)NBRC106435株、キュープリアビダス・オキサラティカスNBRC13593株、シュードキサントモナス・エスピー(Pseudoxanthomonas sp.)NBRC101033株、セラチア・マルセセンスNBRC12648株、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)NBRC3320株、コリネバクテリウム・エフィシエンス(Corynebacterium efficiens)NBRC100395株、エシェリキア・コーライNBRC3972株、スタフィロコッカス・アウレウスNBRC13276株、サッカロマイセス・セレビジエNBRC1661株、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)NBRC1061株、アルガリゲネス・フェカリス(Alcaligenes faecalis)NBRC13111株、ブルクホルデリア・セパシアNBRC15124株及びロドトルラ・ムシラギノサNBRC0909株(いずれもNBRC(NITE Biological Resource Center)から購入)、バチルス・セレウスJCM2152株、バチルス・サブティリスJCM1465株及びラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)JCM1149株(JCM(Japan Collection of Microorganisms)から購入)
さらに、モラクセラ属細菌については、16S rDNA遺伝子領域の塩基配列について、配列番号1、配列番号2又は配列番号3に示す塩基配列との同一性について決定した。なお、配列番号1、配列番号2又は配列番号3に示す塩基配列は、それぞれ、モラクセラ・エスピー4-1株、モラクセラ・エスピー4-4株及びモラクセラ・オスロエンシスATCC19976株の16S rDNA遺伝子領域の塩基配列を示す。さらに、塩基配列の同一性は、遺伝子情報処理ソフトウェアClustalWを用いて算出した。なお、モラクセラ・エスピー4-1株は、2010年10月14日付で、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1−1−1つくばセンター中央第6)に、受託番号FERM P-22030として寄託された。
その結果を表2に示す。
Figure 0005670810
1.使用済み繊維製品を用いた選抜
入手した菌株をSCD液体培地(日本製薬社製)5mLに一白金耳接種し、35℃で24時間振とう培養(160rpm)を行なった。培養後の菌体を遠心(8000×g、10分)して上清を取り除いた後、生理食塩水5mLに懸濁し、再度遠心(8000×g、10分)した後上清を取り除き、生理食塩水を用いてOD600=1.0となるように菌液を調製した。
家庭生活の中で使用と洗濯を繰り返した木綿の中古タオルを5cm×5cmの正方形に切断し滅菌したものに前記各種菌液0.1mLを植菌し、加湿条件下で37℃で24時間静置した。
専門評価者(N=3)により、24時間静置後の前記木綿の中古タオルの生乾き臭の有無を合意により判定した。評価基準は、生乾き臭が強く感じられる試料を◎、生乾き臭が感じられる試料を○、生乾き臭が若干感じられる試料を△、生乾き臭が全くない試料を×とした。その結果を表3に示す。
Figure 0005670810
2.皮脂汚れ成分を塗布した繊維製品を用いた選抜
特開2009−149546号公報に準じて、14−メチルヘキサデカン酸を下記の2工程の反応で合成した。
(a)工程
12−ドデカノリド11.9g(60.0mmol)、32%臭化水素/酢酸溶液24.3g(96.0mmol、1.6当量)を、テフロン(登録商標)で保護された100mLオートクレーブに入れ、窒素置換した後密閉し、60℃のオイルバスを用いて、16時間マグネチックスターラーで攪拌した。冷却後、水14mLを加え、熱ヘキサン200mLを用い、分液ロートに移送した。イオン交換水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、n−ヘキサンで晶析することで、12−ブロモドデカン酸14.4g(収率86%)を得た。
(b)工程
次に、還流冷却管、50mL滴下ロート、マグネチックスターラー、温度センサーを備えた100mLの4口フラスコに、12−ブロモドデカン酸5.0g(17.9mmol)及びトリフェニルホスフィン(関東化学社製)28.2mg(0.006eq)を入れ、減圧乾燥した。アルゴン雰囲気下、臭化銅(I)(アルドリッチ社製)77.1mg(0.03当量)、無水テトラヒドロフラン10mLを加えた。室温下、2−メチルブチルマグネシウムブロミド39.5mL(3当量、1.36Nテトラヒドロフラン溶液)を、1時間で滴下した。1時間攪拌した後、1N塩酸水溶液50mLを加え、ヘキサン100mLで2回抽出した。イオン交換水50mLで2回洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過、減圧濃縮して、粗生成物3.9gを得た。
ガスクロマトグラフィー(カラム:アジレント社製、商品名:Ultra−2、30m×0.2mm×0.33μm、DET300℃、INJ300℃、カラム温度100℃→300℃、10℃/分)で、内標にオクタデカンを用い、定量した結果、収率79%であった。
このようにして、12−ドデカノリドから14−メチルヘキサデカン酸を全収率68%で得た。また純度は98%であった。
16-メチルオクタデカン酸を、上記に示す14−メチルヘキサデカン酸の合成工程の(a)工程において、12−ドデカノリドを15−ペンタドデカノリドに換え、(b)工程にて2−メチルブチルマグネシウムブロミドをsec−ブチルマグネシウムブロミドに換えて同様の操作で合成し、15−ペンタドデカノリドから16−メチルオクタデカン酸を全収率84%で得た。また純度は95%であった。
各菌株をSCD液体培地(日本製薬社製)5mLに一白金耳接種し、35℃で24時間振とう培養(160rpm)を行なった。培養後の菌体を遠心(8000×g、10分)して上清を取り除いた後、生理食塩水5mLに懸濁し、再度遠心(8000×g、10分)した後上清を取り除き、生理食塩水を用いてOD600=1.0となるように菌液を調製した。
2cm×2cmの正方形に切断した木綿の平織り布に、皮脂汚れ成分として、前述の方法で合成した14−メチルヘキサデカン酸又は16−メチルオクタデカン酸0.5mgをメタノール0.1mLに溶解した溶液を塗布し、その後メタノールの乾固を行った。
上記木綿の平織り布に、前記各種菌液0.1mLを植菌し、加湿条件下で37℃で24時間静置し、下記の4M3Hの定量及び生乾き臭の官能評価を行った。
(1)4M3Hの定量
24時間静置後の前記タオルに、メタノール10mLを添加し、そのうちの1mLとADAM(9-Anthrydiazomethanene、フナコシ社製、0.1w/v%)1mLとを混合し、室温で60分放置し、誘導体化を行なった。
その後、10μL溶液について、LC−FL(液体クロマトグラフィー装置:HITACHI ELITE LaChrom(商品名、日立社製)、カラム:Lichrospher 100 RP-8(e)(商品名、アジレント社製、5μm×125mm×4mmφ)、カラム温度:40℃、溶離剤:アセトニトリル/水=7/3(体積比)の混合溶液、流速:1.0mL/min、検出器:励起波長(365nm)、測定波長(412nm))を用いて解析を行うことで、生成した4M3Hの定量を行った。4M3Hの生成量について、生成した4M3Hの量が1μgより多かった試料を◎、0.1μgより多く1μg以下の試料を○、0μgより多く0.1μg以下の試料を△、全く検出されなかった試料を×として評価した。14−メチルヘキサデカン酸を塗布した場合の結果を表4に、16−メチルオクタデカン酸を塗布した場合の結果を表5にそれぞれ示す。
(2)生乾き臭の官能評価
専門評価者(N=3)により、24時間静置後の前記木綿平織り布の生乾き臭の有無を判定した。評価基準は、生乾き臭が強く感じられる試料を◎、生乾き臭が感じられる試料を○、生乾き臭が若干感じられる試料を△、生乾き臭が全くない試料を×とした。14−メチルヘキサデカン酸を塗布した場合の結果を表4に、16−メチルオクタデカン酸を塗布した場合の結果を表5にそれぞれ示す。
Figure 0005670810
Figure 0005670810
表3、4及び5の結果から、種々の微生物の中でも、モラクセラ属細菌、アシネトバクター属細菌、シュードモナス属細菌、バチルス属細菌、スフィンゴモナス属細菌、キュープリアビダス属細菌、ラルストニア属細菌、サイクロバクター属細菌、セラチア属細菌、エシェリキア属細菌、スタフィロコッカス属細菌、ブルクホルデリア属細菌、サッカロマイセス属酵母、ロドトルラ属酵母等、特定の微生物が4M3H生成能を有することがわかる。さらには、このような4M3H生成能を有する微生物が生乾き臭の発生に関与していることが明らかとなった。
さらに、本発明に用いる4M3H生成能を有する微生物は、上記に示すように、繊維製品の官能評価を行い、その結果生乾き臭を発した繊維製品から微生物を採取することもできるし、繊維製品に存在する微生物を採取し、採取した微生物の4M3H生成能を測定し、4M3H生成能を有する微生物を選択することもできる。さらには、表2〜5からわかるように、4M3H生成能を有する微生物の中には、特定の遺伝子配列の相同性が非常に高いものがあるので、特定の遺伝子配列の相同性を比較することで、4M3H生成能を有する微生物を選択することもできる。
実施例1
モラクセラ・オスロエンシスNCIMB10693株、モラクセラ・エスピー4-1株、サイクロバクター・パシフィセンシスNBRC103191株、サイクロバクター・グラシンコラNCIMB101053株、シュードモナス・アルカリゲネスNo.41株、アシネトバクター・カルコアセティカスHH2BD-49株、サッカロマイセス・セレビジエNBRC1661株、ロドトルラ・ムシラギノーサNBRC0909株及びロドトルラ・スルーフィエ13c株の各菌株をSCD(ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト)の液体培地(日本製薬社製)5mLに一白金耳接種し、35℃で24時間振とう培養(160rpm)を行なった。培養後の菌体を遠心(8000×g、10分)して上清を取り除いた後、生理食塩水5mLに懸濁し、再度遠心(8000×g、10分)した後上清を取り除き、生理食塩水を用いてOD600=0.1となるように菌液を調製した。
2cm×2cmの正方形に切断した加圧滅菌後の木綿の平織り布に、試験例3で合成した14−メチルヘキサデカン酸0.1mgをメタノール0.1mLに溶解した溶液を塗布し、その後メタノールの乾固を行った。
さらに、上記布に下記表6に示す化合物の10ppm又は100ppmの水溶液を0.1mL塗布した。コントロールとして、下記化合物の代わりに滅菌水を塗布した布も調製した。
Figure 0005670810
上記のように調製した木綿の平織り布に、前記各種菌液0.1mLを植菌し、加湿条件下で37℃で24時間静置し、下記の評価を行った。
(1)4M3Hの定量
試験例3と同様の方法により、4M3Hの定量を行い、被検物質として滅菌水を塗布したものの4M3H生成量を基準に下記基準に基づいてその他の被検物質塗布時の4M3H生成量を評価した。
A:(被検物質塗布時の4M3H生成量)<(滅菌水塗布時の4M3H生成量の1/100)
B:(滅菌水塗布時の4M3H生成量の1/100)≦(被検物質塗布時の4M3H生成量)<(滅菌水塗布時の4M3H生成量の1/10)
C:(滅菌水塗布時の4M3H生成量の1/10)≦(被検物質塗布時の4M3H生成量)<(滅菌水塗布時の4M3H生成量)
D:(滅菌水塗布時の4M3H生成量)≦(被検物質塗布時の4M3H生成量)
その結果を表7−1及び表7−2に示す。
(2)官能評価
専門評価者(N=3)により、下記基準に基づいて生乾き臭の官能評価を合意により行った。
A:生乾き臭が抑制され、生乾き臭がほとんど感じられなかった。
B:生乾き臭がほぼ抑制された。
C:生乾き臭がやや抑制された。
D:生乾き臭はほとんど抑制されず、生乾き臭が強く感じられた。
その結果を表7−1及び表7−2に示す。
Figure 0005670810
Figure 0005670810
表7−1及び表7−2に示すように、本発明によれば、生乾き臭抑制剤のスクリーニング、及び生乾き臭抑制剤の評価が可能となる。
実施例2
モラクセラ・オスロエンシスNCIMB10693株、モラクセラ・エスピー4−1株、アシネトバクター・カルコアセティカスHH2BD-49株及びシュードモナス・アルカリゲネスNo.41株の各菌株をSCDの液体培地(日本製薬社製)5mLに一白金耳接種し、35℃で24時間振とう培養(160rpm)を行なった。培養後の菌体を遠心(8000×g、10分)して上清を取り除いた後、生理食塩水5mLに懸濁し、再度遠心(8000×g、10分)した後上清を取り除き、生理食塩水を用いてOD600=0.1となるように菌液を調製した。
各家庭で洗濯した後の使用済の木綿のバスタオル又はタオルを2cm×2cmに裁断し、加圧滅菌した。
さらに、上記バスタオル又はタオルに、前記表6に示す化合物の10ppm又は100ppmの水溶液を0.1mL塗布した。コントロールとして、下記化合物の代わりに滅菌水を塗布した布も調製した。
上記のように調製したバスタオル又はタオルに、前記各種菌液0.1mLを植菌し、加湿条件下で37℃で24時間静置し、実施例1と同様の方法及び評価基準により、生乾き臭の官能評価を行った。その結果を表8に示す。
Figure 0005670810
表8に示すように、本発明の生乾き臭抑制剤のスクリーニング方法及び評価方法において、繊維製品として洗濯後の使用済繊維製品を用いても、生乾き臭抑制剤のスクリーニング、及び生乾き臭抑制剤の評価が可能となる。
実施例3
モラクセラ・オスロエンシスNCIMB10693株及びシュードモナス・アルカリゲネスNo.41株の各菌株をSCDの液体培地(日本製薬社製)5mLに一白金耳接種し、35℃で24時間振とう培養(160rpm)を行なった。培養後の菌体を遠心(8000×g、10分)して上清を取り除いた後、生理食塩水5mLに懸濁し、再度遠心(8000×g、10分)した後上清を取り除き、生理食塩水を用いてOD600=0.1となるように菌液を調製した。
SCD液体培地(日本製薬社製)1mLに、試験例3で合成した14−メチルヘキサデカン酸0.1mgを添加した。これに、前記表6に示す化合物の10ppm又は100ppmの水溶液を0.1mL添加した。コントロールとして、下記化合物の代わりに滅菌水を添加した液体培地も調製した。
上記のように調製した液体培地に、前記各種菌液0.1mLを植菌し、37℃で24時間振とう培養を行い、実施例1と同様の方法及び評価基準により、生乾き臭の官能評価を行った。その結果を表9に示す。
Figure 0005670810
表9に示すように、本発明の生乾き臭抑制剤のスクリーニング方法及び評価方法において、皮脂汚れ成分の存在下において、4M3H生成能を有する微生物及び被験物質を液体培地中で接触させることによっても、生乾き臭抑制剤のスクリーニング、及び生乾き臭抑制剤の評価が可能となる。
実施例4
モラクセラ・オスロエンシスNCIMB10693株をSCDの液体培地(日本製薬社製)5mLに一白金耳接種し、35℃で24時間振とう培養(160rpm)を行なった。培養後の菌体を遠心(8000×g、10分)して上清を取り除いた後、生理食塩水5mLに懸濁し、再度遠心(8000×g、10分)した後上清を取り除き、生理食塩水を用いてOD600=0.1となるように菌液を調製した。
SCD寒天培地に、試験例3で合成した14−メチルヘキサデカン酸0.1mgを0.1mLメタノールに溶解した溶液を塗布した。これに、前記表6に示す化合物の10ppm又は100ppmの水溶液を0.1mL塗布した。コントロールとして、下記化合物の代わりに滅菌水を塗布した寒天培地も調製した。
上記のように調製した寒天培地に、前記各種菌液0.1mLを植菌し、37℃で24時間培養を行い、実施例1と同様の方法及び評価基準により、生乾き臭の官能評価を行った。その結果を表10に示す。
Figure 0005670810
表10に示すように、本発明の生乾き臭抑制剤のスクリーニング方法及び評価方法において、皮脂汚れ成分の存在下の存在下において、4M3H生成能を有する微生物及び被験物質を寒天培地で接触させることによっても、生乾き臭抑制剤のスクリーニング、及び生乾き臭抑制剤の評価が可能となる。

Claims (14)

  1. 皮脂汚れ成分この皮脂汚れ成分に作用して生乾き臭原因物質の4−メチル−3−ヘキセン酸を発生させる微生物が存在する系において、該微生物と、生乾き臭抑制剤候補の被験物質と接触させ、
    前記微生物により発生する4−メチル−3−ヘキセン酸のを検知し、
    検知した4−メチル−3−ヘキセン酸量に基づき、被験物質のうちから前記微生物の4−メチル−3−ヘキセン酸の発生能を抑制する、生乾き臭抑制剤としての被験物質を選択する
    生乾き臭抑制剤のスクリーニング方法。
  2. 前記皮脂汚れ成分がアンテイソ脂肪酸である、請求項1記載のスクリーニング方法。
  3. 前記微生物及び前記被験物質を、皮脂汚れ成分を含む繊維製品に添加して互いに接触させる、請求項1又は2に記載のスクリーニング方法。
  4. 前記繊維製品が木綿の使用済繊維製品である、請求項3に記載のスクリーニング方法。
  5. 皮脂汚れ成分を含む溶液又は固体において前記微生物及び前記被験物質を互いに接触させる、請求項1又は2に記載のスクリーニング方法。
  6. 前記微生物が、モラクセラ(Moraxella)属細菌、アシネトバクター(Acinetobacter)属細菌、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、バチルス(Bacillus)属細菌、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属細菌、キュープリアビダス(Cupriavidus)属細菌、ラルストニア(Ralstonia)属細菌、サイクロバクター(Psychorobacter)属細菌、セラチア(Serratia)属細菌、エシェリキア(Escherichia)属細菌、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属細菌、ブルクホルデリア(Burkholderia)属細菌、サッカロマイセス(Saccaromyces)属酵母、及びロドトルラ(Rhodotorula)属酵母からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の微生物である、請求項1〜のいずれか1項記載のスクリーニング方法。
  7. 前記微生物が、モラクセラ・エスピー(Moraxella sp.)、モラクセラ・オスロエンシス(Moraxella osloensis)、アシネトバクター・レイディオレジステンス(Acinetobacter radioresistens)、アシネトバクター・ジュニイ(Acinetobacter junii)、アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、エシェリキア・コーライ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、シュードモナス・アルカリゲネス(Pseudomonas alcaligenes)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、サイクロバクター・パシフィセンシス(Psychrobacter pacificensis)、サイクロバクター・グラシンコラ(Psychrobacter glacincola)、スフィンゴモナス・ヤノイクヤエ(Sphingomonas yanoikuyae)、ラルストニア エスピー(Ralstonia sp.)、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccaromyces cerevisiae)、ロドトルラ・ムシラギノーサ(Rhodotorula mucilaginosa)、ロドトルラ・スルーフィエ(Rhodotorula slooffiae)、キュープリアビダス・オキサラティカス(Cupriavidus oxalaticus)及びブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の微生物である、請求項1〜のいずれか1項記載のスクリーニング方法。
  8. 皮脂汚れ成分この皮脂汚れ成分に作用して生乾き臭原因物質の4−メチル−3−ヘキセン酸を発生させる微生物が存在する系において、該微生物と、生乾き臭抑制剤候補の被験物質と接触させ、
    前記微生物により発生する4−メチル−3−ヘキセン酸の評価し、
    評価した4−メチル−3−ヘキセン酸量に基づき、前記微生物による4−メチル−3−ヘキセン酸の発生能が抑制された場合に、前記被験物質を生乾き臭抑制作用を有する生乾き臭抑制剤として評価する、
    被験物質の生乾き臭抑制剤としての評価方法。
  9. 前記皮脂汚れ成分がアンテイソ脂肪酸である、請求項記載の評価方法。
  10. 前記微生物及び前記被験物質を、皮脂汚れ成分を含む繊維製品に添加して互いに接触させる、請求項8又は記載の評価方法。
  11. 前記繊維製品が木綿の使用済繊維製品である、請求項10に記載の評価方法。
  12. 皮脂汚れ成分を含む溶液又は固体において前記微生物及び前記被験物質を互いに接触させる、請求項8又は記載の評価方法。
  13. 前記微生物が、モラクセラ(Moraxella)属細菌、アシネトバクター(Acinetobacter)属細菌、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌、バチルス(Bacillus)属細菌、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属細菌、キュープリアビダス(Cupriavidus)属細菌、ラルストニア(Ralstonia)属細菌、サイクロバクター(Psychorobacter)属細菌、セラチア(Serratia)属細菌、エシェリキア(Escherichia)属細菌、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属細菌、ブルクホルデリア(Burkholderia)属細菌、サッカロマイセス(Saccaromyces)属酵母、及びロドトルラ(Rhodotorula)属酵母より選ばれる少なくとも1種以上の微生物である、請求項12のいずれか1項記載の評価方法。
  14. 前記微生物が、モラクセラ・エスピー(Moraxella sp.)、モラクセラ・オスロエンシス(Moraxella osloensis)、アシネトバクター・レイディオレジステンス(Acinetobacter radioresistens)、アシネトバクター・ジュニイ(Acinetobacter junii)、アシネトバクター・カルコアセティカス(Acinetobacter calcoaceticus)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、エシェリキア・コーライ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、シュードモナス・アルカリゲネス(Pseudomonas alcaligenes)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、サイクロバクター・パシフィセンシス(Psychrobacter pacificensis)、サイクロバクター・グラシンコラ(Psychrobacter glacincola)、スフィンゴモナス・ヤノイクヤエ(Sphingomonas yanoikuyae)、ラルストニア エスピー(Ralstonia sp.)、サッカロマイセス・セレビジエ(Saccaromyces cerevisiae)、ロドトルラ・ムシラギノーサ(Rhodotorula mucilaginosa)、ロドトルラ・スルーフィエ(Rhodotorula slooffiae)、キュープリアビダス・オキサラティカス(Cupriavidus oxalaticus)及びブルクホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)からなる群より選ばれる少なくとも1種以上の微生物である、請求項13のいずれか1項記載の評価方法。
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