以下、本発明に係る放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影装置の電力供給方法の実施の形態例を図1〜図55を参照しながら説明する。
先ず、第1の実施形態に係る移動型の放射線画像撮影装置(以下、第1回診車1000Aと記す)は、図1に示すように、台車1002と、該台車1002に収容された1以上の可搬型の第1放射線撮影装置10Aと、少なくとも第1放射線撮影装置10Aを制御するコンソール1004と、第1放射線撮影装置10Aの放射線源本体部18が着脱されるアーム部1006とを有する。
コンソール1004は、外観上、いわゆるノートパソコンの形状を有し、キーボード等の操作部1008とディスプレイ等の表示部1010とを有し、公衆回線等を利用したネットワークを介して無線通信によりオペレータが所属する医療機関との間で信号の送受信が可能である。なお、コンソール1004の代わりに携帯電話機やPDA(個人情報端末)でもよいことは勿論である。
放射線源本体部18のアーム部1006に対する着脱機構1012は、例えば図2Aに示すように、雌ねじ1014及び雄ねじ1016を用いた機構を使用してもよい。例えばアーム部1006の先端部1006aに雌ねじ1014を形成し、放射線源本体部18の中央部に隆起して形成された円筒部1018の側面に雄ねじ1016を形成する。そして、放射線源本体部18の雄ねじ1016をアーム部1006の雌ねじ1014にねじ込むことで放射線源本体部18をアーム部1006に装着することができ、反対方向にねじ回すことで放射線源本体部18をアーム部1006から取り外すことができる。
また、着脱機構1012は、図2Bに示すように、係止片1020を用いた機構を用いてもよい。例えば放射線源本体部18の中央部に隆起して形成された円筒部1018の側面に、複数の開口1022を設け、各開口1022に例えば断面三角形状の係止片1020をばね等で常時外方に付勢することで、下方に向かって徐々に突出量が増加し、側面が三角形の斜面、下面が三角形の底面とされた突出部を形成する。一方、アーム部1006の先端部1006aの下面(先端面)に、放射線源本体部18の円筒部1018が挿入される穴1024を形成し、さらに、アーム部1006の先端部1006aの側面に係止片1020(突出部)が入り込む開口1026を形成する。そして、放射線源本体部18の円筒部1018をアーム部1006の先端面の穴1024内に挿入することで、係止片1020(突出部)がアーム部1006の開口1026に入り込んで、放射線源本体部18がアーム部1006に装着されることになる。反対に係止片1020をばね等の付勢に抗して内方に押すことで、アーム部1006の開口1026の内壁に対する係止片1020の係合が外れ、放射線源本体部18をアーム部1006から取り外すことができる。
また、着脱機構1012は、図2Cに示すように、放射線の生成に影響がないことを前提として、マグネットを用いた機構を用いてもよい。例えば放射線源本体部18の中央部に隆起して形成された円筒部1018の上面に金属片1028を貼着し、アーム部1006の先端面1006bにマグネットシート1030を貼着する。そして、放射線源本体部18における円筒部1018の上面の金属片1028をアーム部1006の先端面1006bのマグネットシート1030に接触させることで磁気吸着されて、放射線源本体部18がアーム部1006に装着されることになる。反対に磁気吸着に抗して放射線源本体部18を離すことで、放射線源本体部18をアーム部1006から簡単に取り外すことができる。
台車1002は、図1に示すように、複数の車輪1032を有し、取っ手1034を操作することで、人間の力で移動可能となっている。もちろん、電動で動かすようにしてもよい。また、台車1002は、複数の棚1036を有し、これら棚1036にそれぞれ第1放射線撮影装置10Aが収容されるようになっている。各第1放射線撮影装置10Aのサイズはそれぞれ同じでもよいし、違っていてもよい。
第1放射線撮影装置10Aは、図3に示すように、外形が略矩形状の筐体14で、且つ、放射線46(図8参照)を透過可能な材料からなるカセッテ本体部12と、カセッテ本体部12の一側面14aの両端から外方にそれぞれ突出形成された保持部材16a、16bによりカセッテ本体部12に保持される円柱状の上述した放射線源本体部18とを有する。第1放射線撮影装置10Aの放射線源本体部18を他の第1放射線撮影装置10Aの放射線源本体部18と入れ替えてもよいし、第1放射線撮影装置10Aのカセッテ本体部12を他の第1放射線撮影装置10Aのカセッテ本体部12と入れ替えてもよい。
また、カセッテ本体部12の一表面(照射面20)には、撮影領域及び撮影位置の基準となるガイド線22が形成されている。また、保持部材16a、16bが形成される側面14aとは反対側の側面14bには把手24が設けられている。さらに、カセッテ本体部12の残り2つの側面14c、14dのうち、一方の側面14cには、外部機器との間で情報の送受信が可能なインターフェース手段としてのUSB(Universal Serial Bus)端子28と、メモリカード30を装填するためのカードスロット32と、後述するロック解除ボタン34とが設けられている。さらにまた、側面14cには、カセッテ本体部12から取り外し可能であり、且つ、表示部36と、医師又は放射線技師(以下、オペレータ38ともいう。)が操作する操作部40とが配置された携帯端末42が装着されている。一方、放射線源本体部18には、後述する放射線源44からの放射線46(図5参照)の出力を開始させるための曝射スイッチ48が設けられている。
図3及び図4は、オペレータ38が第1放射線撮影装置10Aを台車1002の棚1036から取り出した状態を示している。この場合、カセッテ本体部12と放射線源本体部18とは一体的に連結固定された状態にある。
従って、オペレータ38は、図1に示すように、台車1002を、被写体50(例えば事故現場の被害者、災害現場の被災者、健康診断を受診する者、在宅看護が必要とされる在宅者)の近くまで移動させた後、台車1002から第1放射線撮影装置10Aを取り出し、カセッテ本体部12から放射線源本体部18を分離する。その後、放射線源本体部18をアーム部1006の先端部1006aに装着し、臥位撮影であれば、例えばベッド1040や敷布(毛布等)と被写体50との間にカセッテ本体部12を設置する。例えばこの段階で、オペレータ38は、電力供給スイッチを操作入力(ON操作)する。電力供給スイッチの操作入力としては、例えばコンソール1004の表示部1010に表示されている例えば電力供給スイッチ(アイコン)をマウス等の入力装置を用いて例えば左クリックする等が挙げられる。もちろん、台車1002に電力供給スイッチ専用の操作スイッチを設け、その操作スイッチをON操作するようにしてもよい。これにより、上述した現場等において、第1放射線撮影装置10Aを用いた被写体50に対する放射線画像の撮影を行うことが可能となる。
なお、カセッテ本体部12と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態とは、後述する連結機構82(図5参照)によって、第1放射線撮影装置10Aが搬送可能な程度にカセッテ本体部12と放射線源本体部18とが一体的に連結されている状態をいう。
ここで、可搬型の第1放射線撮影装置10Aの詳細構成について図5〜図19を参照しながら説明する。
図5に示すように、カセッテ本体部12の側面14a〜14dを構成する側壁52a〜52dのうち、側壁52cに前述したUSB端子28、カードスロット32及びロック解除ボタン34が配置されている。また、側壁52cにおけるカードスロット32とロック解除ボタン34との間の箇所は、内方に凹んだ凹部54とされ、この凹部54に携帯端末42(図3参照)が装着可能である。
ロック解除ボタン34は、オペレータ38(図4参照)による押圧操作に起因して側壁52aに沿って側壁52d側に変位可能である。この場合、ロック解除ボタン34の側壁52d側には、側壁52aに沿ったスライド部56が突出形成され、このスライド部56と側壁52aから内方に突出する突起58との間には、突起58から側壁52cの方向に向かって弾発するバネ部材60が介挿されている。また、スライド部56が接触する側壁52aの一部分には、カセッテ本体部12の内部と外部とを連通する孔62が形成され、該スライド部56の側部には、この孔62を貫通するフック部64が形成されている。
一方、図5及び図6に示すように、放射線源本体部18が保持部材16a、16bによりカセッテ本体部12に保持されているときに、該放射線源本体部18における孔62と対向する箇所には、該孔62と略同じ大きさの孔66が形成されている。従って、バネ部材60の弾発力によってフック部64が側壁52c側に変位することによりフック部64と孔66(図5参照)とが係合し、この結果、カセッテ本体部12に対して放射線源本体部18を一体的に連結固定することができる(図5参照)。
また、放射線源本体部18における保持部材16a側の一方の端部には、導電性の接続端子(第1線源側接続端子68a)が装着され、保持部材16b側の他方の端部には、導電性の接続端子(第2線源側接続端子68b)が装着されている。この場合、第1線源側接続端子68aは、保持部材16aに向って凸状とされ、一方で、第2線源側接続端子68bは、保持部材16bに向って凹状とされている。また、放射線源本体部18には、例えば接触(有線等)や非接触(無線等)による電力等の入出力が行われる第1エネルギ入出力部300又は第2エネルギ入出力部302(図19参照)が設置されている。例えば第1線源側接続端子68aと第2線源側接続端子68bとで第1エネルギ入出力部300又は第2エネルギ入出力部302が構成されている。もちろん、無線によって電気的に接続される構成でもよい。また、放射線源本体部18の側面に、例えば接触(有線等)や非接触(無線等)による電力等の入出力が行われる第2エネルギ入出力部302又は第1エネルギ入出力部300が設置されている(図3参照)。
これに対して、カセッテ本体部12の保持部材16aにおける放射線源本体部18側には、導電性の接続端子(第1カセッテ側接続端子)70aが装着され、保持部材16bにおける放射線源本体部18側には、導電性の接続端子(第2カセッテ側接続端子)70bが装着されている。この場合、第1カセッテ側接続端子70aは、第1線源側接続端子68aに対応した凹状とされ、一方で、第2カセッテ側接続端子70bは、第2線源側接続端子68bに対応した凸状とされている。カセッテ本体部12においても、例えば接触(有線等)や非接触(無線等)による電力等の入出力が行われる第1エネルギ入出力部300又は第2エネルギ入出力部302(図19参照)が設置されている。例えば第1カセッテ側接続端子70aと第2カセッテ側接続端子70bとで第1エネルギ入出力部300又は第2エネルギ入出力部302が構成されている。もちろん、無線によって電気的に接続される構成でもよい。また、カセッテ本体部12の一方の側面14cに、例えば接触(有線等)や非接触(無線等)による電力等の入出力が行われる第2エネルギ入出力部302又は第1エネルギ入出力部300が設置されている。
従って、図5に示すように、バネ部材60の弾発力によりフック部64と孔66とが係合してカセッテ本体部12と放射線源本体部18とが一体的に連結固定される状態では、凸状の第1線源側接続端子68aと凹状の第1カセッテ側接続端子70aとが係合すると共に、凹状の第2線源側接続端子68bと凸状の第2カセッテ側接続端子70bとが係合するので、カセッテ本体部12と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態を確実に維持することができる。すなわち、これらの接続端子68a、68b、70a、70bは、フック部64及び孔66によるカセッテ本体部12と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態の維持を補助するための部材としても機能する。
一方、図6に示すように、オペレータ38がロック解除ボタン34を押し、バネ部材60の弾発力に抗して該ロック解除ボタン34を側壁52dに移動させると、フック部64及びスライド部56が側壁52d側に変位して、フック部64と孔66との係合状態が解除される。従って、フック部64と孔66との係合状態が解除された状態(オペレータ38がロック解除ボタン34を押している状態)で、オペレータ38がカセッテ本体部12から放射線源本体部18を取り外す(分離する)ことにより、カセッテ本体部12と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態が解除される。連結が解除された放射線源本体部18は、アーム部の先端部に装着される。
また、カセッテ本体部12内に、メジャー72を配置してもよい。この場合、メジャー72は、例えば、目盛74が振られた帯部材76を図示しないバネ部材の作用によってロール状に巻き取るメジャーであり、該メジャー72の側部には、メジャー72からの帯部材76の引き出し量を検出するロータリーエンコーダ78が取り付けられている。メジャー72から引き出された帯部材76の先端部は、側壁52aにおけるメジャー72と対向する箇所に形成された孔80を挿通して放射線源本体部18の第2線源側接続端子68bの近傍に固定されている。
従って、図5に示すように、カセッテ本体部12に対して放射線源本体部18が一体的に連結固定される状態では、メジャー72内部のバネ部材の作用によって帯部材76の大部分が該メジャー72内でロール状に巻き取られる。一方、図6〜図10に示すように、カセッテ本体部12と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態が解除されていれば、前記バネ部材の作用に抗してカセッテ本体部12から放射線源本体部18が離間することにより、メジャー72から孔80を介して帯部材76を引き出すことができる。
なお、上述したロック解除ボタン34、スライド部56、バネ部材60、フック部64、接続端子68a、68b、70a、70b及びメジャー72によって、第1放射線撮影装置10Aの搬送時にはカセッテ本体部12と放射線源本体部18とを一体的に連結固定し、一方で、撮影時にはカセッテ本体部12と放射線源本体部18とを離間させる連結機構82が構成される。
また、上記の説明において、メジャー72は、目盛74が振られた帯部材76を巻取可能であるが、帯部材76に代替して、目盛74が振られた紐部材(紐)であっても帯部材76と同じ機能を奏することができることは勿論である。
さらに、カセッテ本体部12の内部には、図5及び図8に示すように、放射線源44から被写体50に放射線46を照射した際に、被写体50による放射線46の散乱線を除去するグリッド84、被写体50を透過した放射線46を検出する放射線検出器86、及び、放射線46のバック散乱線を吸収する鉛板88が、被写体50側の照射面20に対して順に配設される。なお、照射面20をグリッド84として構成してもよい。
この場合、放射線検出器86としては、例えば、被写体50を透過した放射線46をシンチレータにより可視光に一旦変換し、変換した前記可視光をアモルファスシリコン(a−Si)等の物質からなる固体検出素子(以下、画素ともいう。)により電気信号に変換する間接変換型の放射線検出器(表面読取方式及び裏面読取方式を含む)を使用することができる。表面読取方式であるISS(Irradiation Side Sampling)方式の放射線検出器は、放射線46の照射方向に沿って、固体検出素子及びシンチレータが順に配置された構成を有する。裏面読取方式であるPSS(Penetration Side Sampling)方式の放射線検出器は、放射線46の照射方向に沿って、シンチレータ及び固体検出素子が順に配置された構成を有する。また、放射線検出器86としては、上述の間接変換型の放射線検出器のほか、放射線46の線量をアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる固体検出素子により電気信号に直接変換する直接変換型の放射線検出器を採用することができる。
さらに、カセッテ本体部12の内部には、図5に示すように、カセッテ本体部12の電源としてのバッテリ部304と、バッテリ部304への電力供給を規制し、また、制御するバッテリ制御部306と、バッテリ部304から供給される電力により放射線検出器86(図8参照)を駆動制御するカセッテ制御部92と、放射線検出器86によって検出した放射線46の情報を含む信号を外部との間で送受信する送受信機94とが収容されている。なお、カセッテ制御部92及び送受信機94には、放射線46が照射されることによる損傷を回避するため、カセッテ制御部92及び送受信機94の照射面20側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。
ここで、バッテリ部304は、カセッテ本体部12内のロータリーエンコーダ78、放射線検出器86、カセッテ制御部92及び送受信機94に電力を供給する。なお、バッテリ部304は、携帯端末42が凹部54に装着されているときに、該携帯端末42を充電することも可能である。また、バッテリ部304は、図19に示すように、上述した第1エネルギ入出力部300及び第2エネルギ入出力部302のほかに、バッテリ308(電力蓄積部)、第1エネルギ変換部310及び第2エネルギ変換部312を有し、第1エネルギ入出力部300及び/又は第2エネルギ入出力部302を介して外部からの有線や無線による電力供給(充電)、又は外部への有線や無線による電力供給を行うことも可能である。すなわち、接触給電又は非接触給電が可能である。また、第1エネルギ入出力部300と第1エネルギ変換部310間には第1切替部314aが接続され、第2エネルギ入出力部302と第2エネルギ変換部312間には第2切替部314bが接続され、第1エネルギ変換部310及び第2エネルギ変換部312とバッテリ308間には第3切替部314c〜第5切替部314eが接続されている。
第1エネルギ変換部310は第1入力変換部316と第1出力変換部318とを有し、第2エネルギ変換部312は第2入力変換部320と第2出力変換部322とを有する。第1エネルギ入出力部300を通じた電力入力時には、第1切替部314aは、第1エネルギ入出力部300と第1入力変換部316とを電気的に接続し、第3切替部314cと第5切替部314eは、第1入力変換部316とバッテリ308とを電気的に接続する。反対に第1エネルギ入出力部300を通じた電力出力時には、第1切替部314aは、第1エネルギ入出力部300と第1出力変換部318とを電気的に接続し、第3切替部314cと第5切替部314eは、第1出力変換部318とバッテリ308とを電気的に接続する。同様に、第2エネルギ入出力部302を通じた電力入力時には、第2切替部314bは、第2エネルギ入出力部302と第2入力変換部320とを電気的に接続し、第4切替部314dと第5切替部314eは、第2入力変換部320とバッテリ308とを電気的に接続する。反対に第2エネルギ入出力部302を通じた電力出力時には、第2切替部314bは、第2エネルギ入出力部302と第2出力変換部322とを電気的に接続し、第4切替部314dと第5切替部314eは、第2出力変換部322とバッテリ308とを電気的に接続する。これらの切替制御は、後述する電力供給制御部374によって行われる。
第1エネルギ入出力部300、第2エネルギ入出力部302、第1エネルギ変換部310及び第2エネルギ変換部312は、供給するエネルギ(供給エネルギ)の種類によって構成が異なる。
そして、例えばケーブルや接続端子等の有線接続によって電力エネルギを供給するのであれば、第1エネルギ入出力部300は、例えばケーブルや接続端子と接続されるコネクタである。第1入力変換部316は、第1エネルギ入出力部300から第1切替部314aを介して入力される電圧をバッテリ充電に最適な電圧に変換する例えば電圧変換器等であり、第1出力変換部318は、バッテリ308から第5切替部314e及び第3切替部314cを介して出力される電圧を電力伝送に最適な電圧に変換する例えば電圧変換器等である。第2エネルギ入出力部302及び第2エネルギ変換部312においても同様である。
非特許文献3のように、無接点電力伝送シートに埋め込まれたコイル(一次コイル又は二次コイル)による電磁誘導であれば、第1エネルギ入出力部300は二次コイル又は一次コイルであり、第1入力変換部316は、第1エネルギ入出力部300(この場合、二次コイルとして機能する)で発生した電圧をバッテリ充電に最適な電圧に変換する例えば電圧変換器等であり、第1出力変換部318は、バッテリ308から第5切替部314e及び第3切替部314cを介して出力される電圧を、第1エネルギ入出力部300(この場合、一次コイルとして機能する)に流す電流に変換する電圧−電流変換器等である。第2エネルギ入出力部302及び第2エネルギ変換部312においても同様である。
非特許文献4のように、磁場の共鳴を利用する無線電力送信技術であれば、第1エネルギ入出力部300は、電力送信側の第1LC共振器又は第2LC共振器に対応して設置された第2LC共振器又は第1LC共振器であり、第1入力変換部316は、第1エネルギ入出力部300(この場合、第2LC共振器として機能する)で発生した電磁エネルギを電磁誘導で電力エネルギに変換するコイル(第2LC共振器のコイルを一次コイルとした場合の二次コイル)等であり、第1出力変換部318は、バッテリ308から第5切替部314e及び第3切替部314cを介して出力される電圧を、第1エネルギ入出力部300(この場合、第1LC共振器として機能する)から電磁エネルギとして出力させるためのコイル(第1LC共振器のコイルを二次コイルとした場合の一次コイル)等である。第2エネルギ入出力部302及び第2エネルギ変換部312においても同様である。
もちろん、供給エネルギとして、光エネルギや熱エネルギでも構わない。光エネルギであれば、エネルギ受取部は、光エネルギの受光部であり、エネルギ変換部は受光したエネルギを電力に変換する光電変換部等が相当する。熱エネルギであれば、エネルギ受取部は、熱エネルギを受ける受熱部であり、エネルギ変換部は受けた熱を電力に変換する熱電変換素子(例えばゼーベック効果を利用した熱電変換素子)等が相当する。
バッテリ308としては、二次電池(ニッケル水素、ニカド、リチウム等)、コンデンサ(電界コンデンサ、電気二重層コンデンサ、リチウムイオンキャパシタ等)を使用することができる。この場合、機器に対して着脱自在に構成してもよい。また、バッテリ308を、少なくとも1枚の撮影に必要な電力量を蓄積することができる小型の内蔵コンデンサで構成してもよい。
なお、送受信機94は、外部との信号の送受信が可能であるため、例えば、凹部54から取り外した携帯端末42の送受信機98(図13参照)との間での信号の送受信や、カセッテ本体部12から離間した放射線源本体部18の送受信機100との間での信号の送受信が可能である。勿論、カセッテ本体部12と放射線源本体部18とが一体的に連結固定され、及び/又は、凹部54に携帯端末42が装着されている場合であっても、各送受信機94、98、100間での信号の送受信は可能である。
放射線源本体部18の内部には、図7に示すように、放射線源44と、バッテリ部304と、バッテリ部304を制御するバッテリ制御部306と、送受信機100と、放射線源44を制御する線源制御部102と、レーザポインタ104とが配置され、筐体の側面には、カセッテ本体部12と同様の第1エネルギ入出力部300又は第2エネルギ入出力部302が設けられている。
放射線源44は、特許文献6に記載の電界電子放出型電子源と同様の電界電子放出型電子源を用いた放射線源である。
すなわち、この放射線源44は、回転機構106により回転する回転シャフト108に円盤状の回転陽極110が取り付けられ、該回転陽極110の表面には、Mo等の金属元素を主成分とする環状のターゲット層112が形成されている。一方、回転陽極110に対向して陰極114が配置され、該陰極114には、ターゲット層112と対向するように電界電子放出型電子源116が配設されている。
線源制御部102は、オペレータ38による曝射スイッチ48の操作に起因して、放射線46を出力させるように放射線源44を制御する。すなわち、放射線源44では、線源制御部102からの制御に従って、回転機構106が回転シャフト108を回転させることにより回転陽極110が回転し、電源部118がバッテリ部304からの電力供給に基づいて電界電子放出型電子源116に電圧(負電圧)を印加し、且つ、電源部120がバッテリ部304からの電力供給に基づいて回転陽極110と陰極114との間に電圧を印加すると(回転陽極110に正電圧を印加し、陰極114に負電圧を印加すると)、電界電子放出型電子源116から電子が放出され、放出された電子は、回転陽極110と陰極114との間に印加された電圧により加速されてターゲット層112に衝突する。ターゲット層112における電子の衝突面(焦点122)からは、該衝突した電子に応じた放射線46が外部に出力される。なお、放射線源44として、非特許文献2に示す電気石(トルマリン)、LiNbO3、LiTaO3、ZnO等の結晶を用いた小型の高エネルギーX線源を使用することも可能である。この場合、例えば軸長さ1cmのLiNbO3を用いることで、約100kV電圧を発生させることもできる。
ここで、被写体50に放射線46を照射して、放射線画像の撮影を行う場合には、放射線源44の焦点122と該焦点122直下の放射線検出器86の位置124(図8参照)との間の距離(撮影間距離)を線源受像画間距離(SID)に予め設定し、且つ、照射面20における放射線46の照射範囲の中心位置と、ガイド線22の中心位置126(十字状に交差する2本のガイド線22の交点)とを一致させる作業を含めた撮影準備作業を行う必要がある。
この場合、オペレータ38は、図8及び図9に示すように、カセッテ本体部12から放射線源本体部18が離間した状態で、メジャー72からの帯部材76の引き出し量がSIDに応じた引き出し量l1となるまで該帯部材76を引き出す。また、レーザポインタ104は、線源制御部102からの制御に従って照射面20にレーザ光128を投光することにより、放射線46を照射面20に照射したときの該放射線46の照射範囲の中心位置を十字状のマーク130として照射面20に表示する。
また、位置124及び中心位置126と帯部材76が引き出される孔80が設けられた側面14aとの間の距離l2と、SIDに応じた引き出し量l1と、SIDとの間では、概ね、SID≒(l12−l22)1/2の関係が成り立つ。さらに、距離l2は一定である。
従って、引き出し量l1だけメジャー72から帯部材76を引き出した後に、照射面20に表示されたマーク130の位置と、中心位置126とが一致するように放射線源本体部18の位置を調整し、その後、図10に示すように、オペレータ38による曝射スイッチ48の投入に起因して、放射線源44から照射面20上に配置された被写体50に放射線46を照射することで、被写体50に対する放射線画像の撮影を適切に行うことが可能となる。なお、図10では、被写体50の手を撮影する場合について図示している。
放射線検出器86は、図11において模式的に示すように、多数の画素132が図示しない基板上に配列され、これらの画素132に対して制御信号を供給する多数のゲート線134と、多数の画素132から出力される電気信号を読み出す多数の信号線136とが配列されている。
次に、一例として、間接変換型の放射線検出器86を採用した場合のカセッテ本体部12の回路構成に関し、図12を参照しながら詳細に説明する。
放射線検出器86は、可視光を電気信号に変換するa−Si等の物質からなる各画素132が形成された光電変換層138を、行列状のTFT140のアレイの上に配置した構造を有する。この場合、各画素132では、可視光を電気信号(アナログ信号)に変換することにより発生した電荷が蓄積され、各行毎にTFT140を順次オンにすることにより前記電荷を画像信号として読み出すことができる。
各画素132に接続されるTFT140には、行方向と平行に延びるゲート線134と、列方向と平行に延びる信号線136とが接続される。各ゲート線134は、ライン走査駆動部142に接続され、各信号線136は、マルチプレクサ144に接続される。ゲート線134には、行方向に配列されたTFT140をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部142から供給される。この場合、ライン走査駆動部142は、ゲート線134を切り替える複数のスイッチSW1と、スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ146とを備える。アドレスデコーダ146には、カセッテ制御部92からアドレス信号が供給される。
また、信号線136には、列方向に配列されたTFT140を介して各画素132に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器148によって増幅される。増幅器148には、サンプルホールド回路150を介してマルチプレクサ144が接続される。マルチプレクサ144は、信号線136を切り替える複数のスイッチSW2と、スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ152とを備える。アドレスデコーダ152には、カセッテ制御部92からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ144には、A/D変換器154が接続され、A/D変換器154によってデジタル信号に変換された放射線画像がカセッテ制御部92に供給される。
なお、スイッチング素子として機能するTFT140は、CMOS(Complementary Metal−Oxside Semiconductor)イメージセンサ等、他の撮像素子と組み合わせて実現してもよい。さらにまた、TFTで言うところのゲート信号に相当するシフトパルスにより電荷をシフトしながら転送するCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサに置き換えることも可能である。
図13は、第1放射線撮影装置10Aのブロック図である。
なお、図13の説明では、図3〜図12において説明しなかった構成要素を中心に説明する。
カセッテ制御部92は、アドレス信号発生部162と、画像メモリ164と、SID判定部(撮影間距離判定部)168とを備える。
アドレス信号発生部162は、ライン走査駆動部142のアドレスデコーダ146及びマルチプレクサ144のアドレスデコーダ152に対してアドレス信号を供給する。画像メモリ164は、放射線検出器86によって検出された放射線画像を記憶する。
SID判定部168は、ロータリーエンコーダ78から入力されるメジャー72からの帯部材76の引き出し量l1と、予め記憶された距離l2とに基づいて、現在の帯部材76の引き出し量l1で放射線源本体部18を照射面の上方に仮に配置したときの焦点122と位置124との間の撮影間距離を算出する。
SID判定部168は、算出した撮影間距離がSIDに一致すれば、帯部材76の引き出し量をSIDに応じた引き出し量l1として、該引き出し量l1及び前記撮影間距離がSIDに一致したことを示す情報を送受信機94、98を介して表示部36に表示させる。引き出し量l1及び前記撮影間距離がSIDに一致したとき、帯部材76をそれ以上引き出せないようにロックする機構を設けてもよい。一方、SID判定部168は、算出した撮影間距離がSIDに一致しなければ、現在の引き出し量と引き出し量l1との差及び撮影間距離がSIDに一致しないことを示す情報を送受信機94、98を介して表示部36に表示させる。
なお、SID判定部168、ロータリーエンコーダ78及びメジャー72によって撮影間距離設定手段169が構成される。
カセッテ制御部92は、送受信機94を介して、カセッテ本体部12のID情報と、画像メモリ164に記憶された放射線画像とを無線通信により携帯端末42に送信することも可能である。
また、放射線源本体部18に、線源制御部102からのデータを印字するプリンタ170aを設置してもよいし、カセッテ本体部12に、カセッテ制御部92からのデータを印字するプリンタ170bを設置してもよい。通常、医療用途のプリンタとしては、例えば感熱タイプの透過原稿用のプリンタ(第1方式のプリンタ)や、反射原稿用のインクジェットプリンタ(第2方式のプリンタ)等があるが、プリンタ170a及び170bとして、第2方式のプリンタを使用すれば、放射線源本体部18やカセッテ本体部12の小型化を図ることができる。なお、第1方式のプリンタ及び第2方式のプリンタはいずれも消費電力が大きく、特に、第1方式のプリンタでは、小型化のためにサーマルヘッドタイプのプリンタ(例えば特開平10−51635号公報参照)等を使用することが考えられるが、消費電力の増大が顕著となる。そこで、後述するように、各機器におけるバッテリ308の残量を融通し合うように電力供給制御することで、プリンタ170a及び170bとして、電力消費の大きいプリンタを使用することが可能となる。
ところで、第1回診車1000Aは、病院内の病室や在宅患者の家のほか、被災地等の災害現場等に運搬(移動)される。災害現場等では埃、泥、汚水等が付着するおそれがあるため、第1放射線撮影装置10Aのカセッテ本体部12及び放射線源本体部18の少なくとも電気系統を囲う部分は密閉構造を採用する場合がある。従って、給電方式としては、有線接続等による接触給電よりは、無線接続等による非接触給電が望ましい。
一方、コンソール1004には、通常のノートパソコンと同様に、電源スイッチ、スピーカ、マイクロフォン等が配設されている。また、コンソール1004には、図14に示すように、外部機器(ネットワーク、放射線源本体部18、カセッテ本体部12等)との間で情報の送受信が可能な送受信機288が組み込まれ、コンソール1004の例えば側面には、第1エネルギ入出力部300及び第2エネルギ入出力部302が配設されている。この場合、コンソール1004の第1エネルギ入出力部300と各第1放射線撮影装置10Aにおける放射線源本体部18の第1エネルギ入出力部300とを有線接続し、コンソール1004の第2エネルギ入出力部302と各第1放射線撮影装置10Aにおけるカセッテ本体部12の第1エネルギ入出力部300とを有線接続するようにしてもよいし、無線給電が可能なエリアに入った状態(無線接続ともいう)にしても構わない。
さらに、コンソール1004の内部には、カセッテ本体部12や放射線源本体部18と同様のバッテリ部304、バッテリ制御部306のほか、現在位置に応じてバッテリ制御部306の起動/停止を行う起動/停止部332(後述)が組み込まれている。
また、第1回診車1000Aの台車1002に、コンソール1004からのデータを印字するプリンタ170cを設置してもよい。このプリンタ170cとしては、上述した第1方式のプリンタや第2方式のプリンタを使用することができる。この場合も、後述するように、各機器におけるバッテリ308の残量を融通し合うように電力供給制御することで、電力消費の大きいプリンタを使用することが可能となる。
ここで、一例として、台車1002に設置されるプリンタ170c並びにカセッテ本体部12に設置されるプリンタ170bについて、図15〜図17を参照しながら説明する。
先ず、台車1002に設置されるプリンタ170cは、湿式の現像処理を必要としない記録材料を用い、レーザ光からなる光ビームによる走査露光によって記録材料を露光して潜像を形成した後に、熱現像を行って可視像を得、その後常温まで冷却する装置である。このプリンタ170cは、図15に示すように、台車1002の側面に、記録材料172(図16参照)が収容されたカートリッジ174が装填される記録材料装填部176を有する。カートリッジ174には、ロール状に巻回されたロール状体の記録材料172が収容されている。
そして、プリンタ170cは、図16に示すように、基本的に、記録材料172の搬送方向順に、記録材料供給部178と、記録手段としての画像露光部180と、熱現像部182と、冷却部184と、各部間の要所に設けられ記録材料172を搬送するための搬送手段と、各部を駆動し制御するプリンタ制御部186とを備えている。
記録材料供給部178は、上述した記録材料装填部176(図15参照)と、供給ローラ対188と、カッター190とを備える。図15に示す記録材料装填部176にはカートリッジ174が着脱自在に装填されるようになっている。カートリッジ174は、収容される記録材料172のサイズ(例えば、B4、半切、六つ切等)に応じて、複数種のものが揃えられる。図15では、どのカートリッジ174が装填されているかが一目で確認できるように、カートリッジ174の側面に記録材料172のサイズを示す記号(B4サイズを示す「B4」、半切サイズを示す「H」、六つ切サイズを示す「M」等)が付されている。これらのサイズ別の情報は、記録材料装填部176にカートリッジ174が装填された際、オペレータによるマニュアル入力(操作部1008を使用した入力等)により、或いはカートリッジ174の外面に付されたバーコード192が記録材料装填部176内の認識センサ(図示せず)によって検出されることで、プリンタ制御部186に入力される。
カートリッジ174は、筺体が密閉性を有して形成され、内部が記録材料172の収容空間となり、この収容空間が出口174aに開口している。つまり、記録材料172は、繰り出し側の先端がこの出口174aから引き出されるようになっている。
カートリッジ174の出口174aから引き出された先端部は、供給ローラ対188によって挟持され、この供給ローラ対188が回転することによってカートリッジ174から繰り出される。供給ローラ対188の搬送方向下流側にはカッター190が配設され、カッター190は、供給ローラ対188によって繰り出された記録材料172を所定長で切断する。この記録材料172の切断は、記録材料172の繰り出し長が供給ローラ対188の回転量から、或いは図示しないセンサによって検出され、この検出値に基づきプリンタ制御部186がカッター190を動作制御して行われる。
画像露光部180は、記録材料供給部178から搬送されてきた記録材料172に対して光ビームLを主走査方向(記録材料172の搬送方向と略直交する方向)に走査露光し、また、記録材料172を副走査方向(記録材料172の搬送方向)に搬送することで、所望の画像(例えば放射線画像情報)を記録材料172に記録して潜像を形成する。
熱現像部182は、熱処理を適用されるタイプの被熱処理記録材料を加熱するものであり、記録材料の搬送方向に1以上のプレートヒータ194が配列されて構成されている。プレートヒータ194は、記録材料172を処理するのに必要な温度となる加熱体である。
プレートヒータ194を含む熱現像部182は、記録材料172を、プレートヒータ194の上面に対して接触させつつ滑らせて、相対的に移動させる。このときの記録材料172の搬送手段として、供給ローラ196と、各プレートヒータ194から記録材料172への伝熱を兼ねる複数の押さえローラ198とを配設している。押さえローラ198としては、金属ローラ、樹脂ローラ、ゴムローラ等を利用することができる。なお、熱現像部182内における記録材料172の搬送路の終端には、記録材料172を搬送する図示しない排出ローラが配設されている。
そして、熱現像部182から搬出された記録材料172は、冷却部184によって冷却ローラ対200により搬送されながら冷却される。冷却部184から排出された記録材料172は搬送路途中に設けられたガイドプレート202内に案内され、さらに、排出ローラ対204から排出トレイ206に排出される。オペレータは、排出トレイ206から排出された所定長の記録材料172に記録された画像(例えば放射線画像情報)を見ることで、撮影状態を確認することができる。また、このプリンタ170cは、上述した第1方式のプリンタであることから、画質が良好であり、読影も可能である。
一方、カセッテ本体部12に設置されるプリンタ170bは、図15及び図17に示すように、カセッテ本体部12の筐体14内のうち、例えば把手24が取り付けられた側面14b寄りの収容空間208に設置される。また、筐体14には、例えば照射面20のうち、上記側面14b寄りの位置に記録材料172の先端部を筐体14の外へ引き出すための開口210が設けられている。なお、収容空間208には、記録材料172が交換可能に取り付けられるようになっている。また、カセッテ本体部12は、例えば把手24の部分(把持部25)が取り外し可能な構造となっていてもよい。この場合、プリンタ170bも把持部25と共に取り外しできるような構造でもよい。例えばプリンタ170bを、カセッテ本体部12に対してフック211等によって着脱自在に装着することができる構成にする等である。図17は、プリンタ170bに設けられたフック211がカセッテ本体部12に係合された例を示している。プリンタ170bを取り外す場合は、例えばプリンタ170bのうち、フック211に近い部分を破線の矢印212に示すように押圧して、カセッテ本体部12に対するフック211の係合を外せばよい。
プリンタ170bは、記録材料172の先端部を引き出す供給ローラ対213と、記録材料172に所望の画像(例えば放射線画像情報)をプリンティングするプリンティングヘッド214と、画像等がプリンティングされた記録材料172を開口210に向けて搬送する搬送ローラ対216と、記録材料172を所定長単位に切断するカッター218とを有する。プリンティングヘッド214は、例えばインクジェットプリンタ方式のヘッドや感熱式プリンタ方式のヘッドを使用することができる。このプリンタ170bは、上述した第2方式のプリンタであることから、画質は第1方式のプリンタによる画質より劣るが、緊急の診断用途や、撮影状態の確認等に利用することができる。また、撮影条件、患者情報、GPSによる位置情報等の文字情報を印刷するようにしてもよい。なお、放射線源本体部18用のプリンタ170aとして、上述したカセッテ本体部12用のプリンタ170bの構造を利用してもよい。
次に、カセッテ本体部12及び放射線源本体部18を用いて撮影の準備を行う操作と、実際に撮影を行う操作について説明する。
先ず、オペレータ38は、搬送先の現場において、放射線撮影の準備を行う。すなわち、携帯端末42の操作部40(あるいはコンソール1004の操作部1008)を操作することにより、撮影対象である被写体50に関わる被写体情報(例えば、SID)等の撮影条件を登録する。
この場合、オペレータ38は、携帯端末42を凹部54から取り外した状態で操作してもよいし、携帯端末42をカセッテ本体部12に装着した状態で操作してもよい。また、撮影部位や撮影方法が予め決まっている場合には、これらの撮影条件も予め登録しておく。なお、搬送先の現場に出向く前に、撮影対象の被写体50が予め分かっている場合には、オペレータ38の所属するデータセンタ(医療機関等)で携帯端末42を操作し、被写体情報を登録してもよい。
このようにして、オペレータ38が携帯端末42の操作部40(あるいはコンソール1004の操作部1008)を操作することにより、撮影対象である被写体50に関わる被写体情報等の撮影条件は、送受信機98から無線通信により送受信機94に送信され、カセッテ制御部92に登録される。
オペレータ38がロック解除ボタン34を押すと、バネ部材60の弾発力に抗してフック部64が側壁52d側に変位するので、フック部64と孔66との係合状態が解除される。
そして、前記係合状態の解除中(ロック解除ボタン34を押したままの状態)に、オペレータ38がカセッテ本体部12から放射線源本体部18を取り外すと、接続端子68aと接続端子70aとの係合状態と、接続端子68bと接続端子70bとの係合状態とが共に解除されて、カセッテ本体部12と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態が解除される。
オペレータ38は、撮影間距離の設定作業と、照射面20に表示されるマーク130とガイド線22の中心位置126とを一致させる設定作業とを行った後に、照射面20と放射線源本体部18との間に被写体50を配置して、該被写体50の位置決めを行う。
この場合、オペレータ38は、先ず、放射線源本体部18を動かしてメジャー72からの帯部材76の引き出し量がSIDに応じた引き出し量l1となるまで該帯部材76を引き出す。
なお、引き出し量l1となるまで帯部材76を引き出す方法としては、次の2つの方法がある。
第1の方法は、引き出し量l1に到達したか否かをSID判定部168が自動的に判定し、該SIDに応じた引き出し量l1となるまでオペレータ38に帯部材76を引き出させる方法である。
第1の方法において、ロータリーエンコーダ78は、帯部材76の引き出し量を検出し、SID判定部168は、検出された前記引き出し量に基づいて、現在の帯部材76の引き出し量で放射線源本体部18を照射面20の上方に仮に配置したときの焦点122と位置124との間の撮影間距離を算出する。
SID判定部168は、撮影間距離がSIDに一致していれば、帯部材76の引き出し量(引き出し量l1)及び撮影間距離がSIDに一致したことを示す情報を送受信機94、98を介して表示部36に表示させ、一方で、撮影間距離がSIDに一致しなければ、現在の引き出し量と引き出し量l1との差及び撮影間距離がSIDに一致しないことを示す情報を送受信機94、98を介して表示部36に表示させる。
そのため、第1の方法によれば、オペレータ38は、表示部36の表示内容に従ってメジャー72から帯部材76を引き出せばよいので、撮影間距離の設定作業を簡単に行うことができる。
第2の方法は、引き出し量l1が予め分かっている場合に、オペレータ38が目盛74を見ながら、引き出し量l1となるまで帯部材76をメジャー72から引き出す方法である。
このようにしてSIDに応じた引き出し量l1となるまで帯部材76が引き出された後に、オペレータ38は、照射面20と対向するように放射線源本体部18を移動させる。
このとき、照射面20にレーザ光128を投光するようにレーザポインタ104を制御する。これにより、照射面20には、放射線46を照射面20に照射したときの該放射線46の照射範囲の中心位置が十字状のマーク130として表示される。これにより、オペレータ38は、マーク130の位置と、中心位置126とが一致するように放射線源本体部18の位置を調整する。
このようにして、マーク130の位置と中心位置126とが一致するように放射線源本体部18の位置を調整した後に、オペレータ38は、被写体50の撮影部位の中心が中心位置126(マーク130の位置)と一致するように、被写体50を照射面20上に配置(位置決め)する。
なお、放射線源本体部18は、上述の位置調整が行われた後は、例えば、図示しない保持部材により調整後の位置に固定される。
また、災害現場等では、狭い場所で撮影する等、所望のSIDで撮影できないこともあるので、そのとき、所望と異なる新たに決定されたSID(新SID)に基づき、撮影条件を再算出し、画像データと紐付けした形で新SIDと共に保存してもよいし、新SID及び/又は再算出した撮影条件を、ネットワークを介してデータセンタ(医療機関等)に送信し、確認してもよい。
被写体50の位置決め後において、オペレータ38は、曝射スイッチ48を操作して被写体50に対する撮影を開始させる。
曝射スイッチ48の操作に起因して、線源制御部102は、無線通信により、カセッテ制御部92に対して撮影条件の送信を要求し、カセッテ制御部92は、受信した前記要求に基づいて、当該被写体50の撮影部位に係る撮影条件(制御信号)を、放射線源本体部18に送信する。線源制御部102は、前記撮影条件を受信すると、レーザポインタ104によるレーザ光128の投光を停止させると共に、当該撮影条件に従って、所定の線量からなる放射線46を被写体50に照射するように放射線源44を制御する。
これにより、放射線源44内では、線源制御部102からの制御に従って、回転機構106が回転シャフト108及び回転陽極110を回転させ、一方で、電源部118がバッテリ部304からの電力供給に基づいて電界電子放出型電子源116に負電圧を印加すると共に、電源部120がバッテリ部304からの電力供給に基づいて回転陽極110と陰極114との間に電圧を印加するので、電界電子放出型電子源116から放出された電子は、回転陽極110と陰極114との間に印加された電圧により加速されてターゲット層112に衝突し、ターゲット層112の電子の衝突面(焦点122)からは、該衝突した電子に応じた放射線46が外部に出力される。
撮影条件に基づく所定の照射時間だけ被写体50に放射線46が照射されると、該放射線46は、被写体50を透過してカセッテ本体部12内の放射線検出器86に至る。
放射線検出器86が間接変換型の放射線検出器である場合に、該放射線検出器86を構成するシンチレータは、放射線46の強度に応じた強度の可視光を発光し、光電変換層138を構成する各画素132は、可視光を電気信号に変換し、電荷として蓄積する。次いで、各画素132に保持された被写体50の放射線画像である電荷情報は、カセッテ制御部92を構成するアドレス信号発生部162からライン走査駆動部142及びマルチプレクサ144に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
すなわち、ライン走査駆動部142のアドレスデコーダ146は、アドレス信号発生部162から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW1の1つを選択し、対応するゲート線134に接続されたTFT140のゲートに制御信号Vonを供給する。一方、マルチプレクサ144のアドレスデコーダ152は、アドレス信号発生部162から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW2を順次切り替え、ライン走査駆動部142によって選択されたゲート線134に接続された各画素132に保持された電荷情報である放射線画像を信号線136を介して順次読み出す。
選択されたゲート線134に接続された各画素132から読み出された放射線画像は、各増幅器148によって増幅された後、各サンプルホールド回路150によってサンプリングされ、マルチプレクサ144を介してA/D変換器154に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像は、カセッテ制御部92の画像メモリ164に一旦記憶される。
同様にして、ライン走査駆動部142のアドレスデコーダ146は、アドレス信号発生部162から供給されるアドレス信号に従ってスイッチSW1を順次切り替え、各ゲート線134に接続されている各画素132に保持された電荷情報である放射線画像を信号線136を介して読み出し、マルチプレクサ144及びA/D変換器154を介してカセッテ制御部92の画像メモリ164に記憶させる。
画像メモリ164に記憶された放射線画像は、送受信機94を介して、無線通信により携帯端末42に送信され、携帯端末42は、図18に示すように、受信した放射線画像を表示部36に表示させる。これにより、オペレータ38は、表示部36に表示された放射線画像を確認することにより、被写体50の撮影部位に対する撮影が適切に行われたか否かを把握することができる。
例えば、撮影領域内に撮影部位の収まっていない放射線画像が表示された場合に、オペレータ38は、今回の撮影が適切に行われなかったものと判断して、被写体50に対する再撮影を実行する。このとき、オペレータ38は、携帯端末42を用いて、撮影条件の撮影回数を再撮影回数だけ加算更新する。
なお、表示部36に表示される放射線画像は、今回の撮影が適切であったか否かを判断できる程度の画像であればよいので、画像メモリ164に記憶されている放射線画像でもよいし、ローデータの画像であってもよいし、あるいは、比較的低い解像度に加工された画像であってもよい。
次に、現在位置に応じてバッテリ制御部306の起動及び停止を行う起動/停止部332について図20〜図24を参照しながら説明する。この起動/停止部332は、第1回診車1000Aに組みこまれる。例えばコンソール1004に組み込むようにしてもよい。
起動/停止部332は、例えば4つの形態があり、第1形態に係る起動/停止部部(第1起動/停止部332A)では、図21Aに示すように、GPSを使って第1回診車1000Aの現在位置を検出し、現在位置が指定された区域に入った段階でバッテリ制御部306を起動し、現在位置が指定された区域から離れた段階でバッテリ制御部306の動作を停止する形態である。
この第1起動/停止部332Aは、メモリ341、GPSアンテナ342、GPS受信部344、現在位置取得部346、起動判別部348を有する。
GPS受信部344は、GPSアンテナ342によって受信されたGPS信号(人工衛星の位置情報、電波の発信時刻)を取得する。現在位置取得部346は、取得したGPS信号と受信時刻の情報に基づいて第1回診車1000Aの現在位置を算出する。
次に、第2形態に係る起動/停止部(第2起動/停止部332B)は、図21Bに示すように、コンソール1004に組み込まれたナビゲーションシステム352、あるいはオペレータ38が携帯用のナビゲーションシステム352(携帯電話等)を携帯しながら第1回診車1000Aを移動している場合を想定した形態であり、メモリ341、現在位置取得部346、起動判別部348を有する。この第2形態における現在位置取得部346は、ナビゲーションシステム352から位置情報を取得する。
第1起動/停止部332A及び第2起動/停止部332Bの起動判別部348は、算出した現在位置と区域情報テーブル331に登録された区域情報(予め指定(設定)された区域の領域情報)とを比較し、現在位置が予め指定された区域であるかどうかを判別する。
区域情報テーブル331への区域情報の登録は、コンソール1004やデータセンタ(医療機関等)のコンピュータに組み込まれた区域指定部353(図21A及び図21B参照)によって行われる。
登録する区域情報としては、絶対位置による区域情報と、相対位置による区域情報がある。絶対位置による区域情報は、建物や土地等のように移動しない場所の位置情報が示す位置から半径10m〜200mの領域を示す情報を指す。相対位置による区域情報は、救急車、移動診断車、鉄道、船舶、航空機等の交通機関のように移動する物体(場所)の位置情報が示す位置から半径10m〜200mの領域を示す情報を指す。登録された区域情報が絶対位置による区域情報であるか、相対位置による区域情報であるかの区別は、区域情報に付加されたフラグ情報(「0」:絶対位置、「1」:相対位置)を使用してもよい。
ここで、絶対位置による区域情報の設定について説明すると、先ず、データセンタのコンピュータに組み込まれた区域指定部353による指定は、外部から連絡のあった被災地や事故現場等の位置情報(GPS等による現在位置情報等)を取得し、その位置から半径10m〜200mの領域を示す情報を、被災地や事故現場等の区域情報として、データセンタのデータベースにおける区域情報テーブル331に登録する。外部からの連絡としては、通常、公的機関(役所、消防や警察等)からの事故や災害の発生の連絡が想定されるが、その他、医療機関に勤めているオペレータ38が事故現場を目撃し、携帯電話に内蔵された現在位置送信機能を使って、オペレータ38の現在位置をデータセンタに送信する方式等がある。
医療機関、健康診断や在宅看護の現場については、放射線設備がない医療機関(診療所等)、健康診断が実施される場所、在宅看護が行われる住居の住所等の位置情報を、地図作成会社のデータベースを利用して取得し、その位置から半径10m〜200mの領域を示す情報と絶対位置を示すフラグ情報とを、医療機関、健康診断や在宅看護の現場等の区域情報として区域情報テーブル331に登録する。
また、データセンタのコンピュータによる指定は、第1放射線撮影装置10Aを携帯するオペレータ38が、医療機関、事故現場、災害現場、健康診断や在宅看護の現場に到着した段階で、コンソール1004を使って、オペレータ38の現在位置情報をデータセンタに送信する場合にも行われる。データセンタは、オペレータ38のコンソール1004から送信された現在位置情報を取得し、その位置から半径10m〜200mの領域を示す情報と絶対位置を示すフラグ情報とを、予め指定された区域の領域情報(区域情報)として区域情報テーブル331に登録する。
データセンタのコンピュータに組み込まれた区域指定部353は、上述したデータベースに区域情報テーブル331を登録した後、区域情報テーブル331を第1回診車1000Aのコンソール1004に送信する。区域情報テーブル331を受け取ったコンソール1004は、該区域情報テーブル331を起動/停止部332に送信する。起動/停止部332は、受け取った区域情報テーブル331をメモリ341に記憶する。
一方、コンソール1004に組み込まれた区域指定部353による指定は、オペレータ38がコンソール1004への操作入力によって区域指定部353を起動し、オペレータ38の現在位置を予め設定された区域として指定することにより行われる。区域指定部353は、指定された現在位置から半径10m〜200mの領域を示す情報と絶対位置を示すフラグ情報とを、予め指定された区域の領域情報としてメモリ341内の区域情報テーブル331に登録する。その後、区域指定部353は、登録後の区域情報テーブル331の共有化を目的としてデータセンタに送信する。データセンタは、受信した区域情報テーブル331を他の第1回診車1000Aに送信して、区域情報テーブル331の共有化を図る。
次に、相対位置による区域情報の指定について説明すると、第1回診車1000Aを搬送するオペレータ38が、救急車、移動診断車、鉄道、船舶、航空機等の交通機関に乗っている場合に、コンソール1004を使って、オペレータ38の現在位置情報を相対位置を示すコードを付加してデータセンタに送信する。データセンタの区域指定部353は、第1回診車1000Aのコンソール1004から送信された現在位置情報を取得し、さらに、相対位置を示すコードに基づいて、現在位置情報に対応する交通機関の管理センタから当該交通機関の現在位置を取得し、その位置から半径10m〜200mの領域を示す情報と相対位置を示すフラグ情報とを、予め指定された区域の領域情報として区域情報テーブル331に登録する。その後、区域指定部353は、当該交通機関の管理センタから定期的(例えば1分〜10分)に当該交通機関の現在位置を取得し、その位置から半径10m〜200mの領域を示す情報を、予め指定された区域の領域情報として区域情報テーブル331に更新登録するという動作を繰り返す。また、区域指定部353は、定期的に区域情報テーブル331に更新登録する毎に、区域情報テーブル331を第1回診車1000Aのコンソール1004に送信する。区域情報テーブル331を受け取ったコンソール1004は、該区域情報テーブル331を起動/停止部332に送信する。起動/停止部332は、受け取った区域情報テーブル331をメモリ341に記憶する。もちろん、区域指定部353は、相対位置を示す領域情報だけを第1回診車1000Aのコンソール1004に送信するようにしてもよい。
一方、コンソール1004に組み込まれた区域指定部353による指定は、オペレータ38が例えば交通機関に乗っている状態で、コンソール1004への操作入力によって区域指定部353を起動し、オペレータ38の現在位置を予め設定された区域として指定し、さらにその位置が相対位置であることを指定することにより行われる。区域指定部353は、相対位置を示すコードに基づいて、現在位置情報に対応する交通機関の管理センタから当該交通機関の現在位置を取得し、その位置から半径10m〜200mの領域を示す情報と相対位置であることを示すフラグ情報とを、予め指定された区域の領域情報としてメモリ341の区域情報テーブル331に登録する。その後、区域指定部353は、当該交通機関の管理センタから定期的(例えば1分〜10分)に当該交通機関の現在位置を取得し、その位置から半径10m〜200mの領域を示す情報を、予め指定された区域の領域情報として区域情報テーブル331に更新登録するという動作を繰り返す。区域指定部353は、定期的に区域情報テーブル331に更新登録する毎に、区域情報テーブル331の共有化を目的としてデータセンタに送信するようにしてもよい。データセンタは、受信した区域情報テーブル331を他の第1回診車1000Aに送信して、区域情報テーブル331の共有化を図る。なお、交通機関であっても、例えば救急車や移動診断車等のように、比較的長い時間(30分以上)停車して診断を行う場合がある。このような場合は、絶対位置による設定を行うようにしてもよい。
そして、起動判別部348は、現在位置が区域情報テーブル331に登録された区域情報が示す領域に入っているかどうかを比較し、領域に入っていれば、現在位置が予め指定された区域にいると判別する。このとき、起動信号Scを出力する。現在位置と絶対位置を示す区域情報との比較においては、例えば刻一刻と変化する現在位置と固定の区域情報(絶対位置に基づく区域情報)との比較になる。そして、現在位置が区域情報が示す領域内に入った段階で、起動信号Scが出力されることになる。一方、現在位置と相対位置を示す区域情報との比較においては、刻一刻と変化する現在位置と同じく刻一刻と変化する区域情報(相対位置に基づく領域情報)との比較になる。そして、現在位置が区域情報が示す領域内に入った段階で、起動信号Scが出力されることになる。起動信号Scを出力した後に、区域情報テーブル331に登録された区域情報が示す領域から離れていると判別した場合は、当該第1回診車1000Aが予め指定された区域にないと判別し、完全停止信号Sdを出力する。
次に、第3形態に係る起動/停止部(第3起動/停止部332C)は、図24に示すように、予め指定した位置に基地局333を設置し、第1回診車1000Aの移動によって、該第1回診車1000Aの送受信可能範囲466内に基地局333が入った段階でバッテリ制御部306を起動し、第1回診車1000Aの送受信可能範囲466から基地局333が外れた段階でバッテリ制御部306の動作を停止する形態である。
この第3起動/停止部332Cは、一定の周期でリクエスト信号を出力して、基地局333を探索する。基地局333は、電力供給が可能な位置(範囲、領域)を決める区域(指定された区域)に設置されており、第1回診車1000Aの第3起動/停止部332Cからのリクエスト信号Saを受信すると、アンサー信号を出力する。
具体的に、第3起動/停止部332Cの構成を図22A〜図23を参照しながら説明すると、第3起動/停止部332Cは、図22Aに示すように、リクエスト出力部460と、アンサー受取部462と、起動判別部348とを有する。
リクエスト出力部460は、一定の周期(例えば1秒)でリクエスト信号Saを送受信機288(図14参照)を介して無線にて出力する。
アンサー受取部462は、基地局333(図23参照)から出力されたアンサー信号Sbを送受信機288を介して受け取る。
起動判別部348は、リクエスト出力部460からリクエスト信号Saが出力された時点から予め設定された応答期間内に、基地局333からアンサー信号Sbが到来したかを判別し、応答期間内にアンサー信号Sbが到来すれば起動信号Scを出力し、応答期間内にアンサー信号Sbが到来しなければ完全停止信号Sdを出力する。
第3起動/停止部332Cを例えばコンソール1004に組み込んだ場合、コンソール1004は、バッテリ308(図19参照)にて駆動することから、消費電力の低減を図るために、図23に示すように、狭い送受信可能範囲466(例えば半径Rが2m〜5mの円の領域内)に設定されている。そこで、第1回診車1000A(正確にはコンソール1004)の送受信可能範囲466に基地局333が入った段階で起動信号Scが出力され、反対に、第1回診車1000Aの送受信可能範囲466から基地局333が離れた段階で完全停止信号Sdが出力されることとなる。図23では、1台の第1回診車1000Aが基地局333に近づくことで、第1回診車1000Aの送受信可能範囲466に基地局333が入った状態を示す。基地局333から出力されるアンサー信号Sbの送信範囲は、該基地局333を基準として、第1回診車1000Aの送受信可能範囲466と同じ大きさの円の領域にしてもよいし、それ以上の大きさの領域にしてもよい。基地局333のバッテリの低消費電力化を考慮した場合、送受信可能範囲466と同じ大きさの円の領域にすることが好ましい。
このように、第3起動/停止部332Cは、リクエスト信号Saの出力タイミングとアンサー信号Sbの入力タイミングに基づいて第1回診車1000Aと基地局333間の距離が、一定の条件を満足すると判別された場合に起動信号Scを出力して、各第1放射線撮影装置10Aの放射線源本体部18及びカセッテ本体部12並びにコンソール1004における各バッテリ制御部306を起動する。これにより、第1回診車1000Aに収容された放射線源本体部18、カセッテ本体部12及びコンソール1004間の相互給電が可能となる。もちろん、基地局333から第1放射線撮影装置10Aの放射線源本体部18及びカセッテ本体部12、第1回診車1000Aのコンソール1004に対して給電を行うようにしてもよい。もちろん、完全停止信号Sdが出力された後に、前記距離が一定の条件を満足することとなれば、起動信号Scを出力して、各バッテリ制御部306を起動する。
従って、この基地局333は、図22Bに示すように、送受信機468と、送受信機468にて受信された信号がリクエスト信号Saか起動信号Scかを判別する信号判別部470と、送受信機468にて受信された信号がリクエスト信号Saである場合に、アンサー信号Sbを送受信機468を通じて送信するアンサー出力部472とを少なくとも有する。
このように、基地局333は簡単な回路構成にて実現できることから、病院内の病室や、在宅患者の家あるいは施設、地域の管理地区(被災地であれば救護班が設置された施設、集団検診であれば検診車や施設等)、その他、鉄道、船舶、航空機等の交通機関にも簡単に設置することができる。
次に、第4形態に係る起動/停止部(第4起動/停止部332D)は、図24に示すように、予め指定した区域にRFID(Radio Frequency IDentification)を設置し、第1回診車1000AにRFID読取器474を設置する。そして、第1回診車1000Aが移動する過程において、RFID読取器474が予め指定された区域に設置されたRFIDのID情報を読み取り、そのID情報が例えば検診対象の被写体50がいる病室、自宅、施設等のID情報である場合で、且つ、進入(部屋等であれば入室)を示す場合にバッテリ制御部306を起動し、退出(部屋等であれば退室)を示す場合にバッテリ制御部306の動作を停止する形態である。なお、以下の説明では、予め指定された病室や施設等への入室、病室や施設等からの退室を中心に説明する。
この第4起動/停止部332Dは、メモリ476と、ID照会部478と、入退室判別部480と、起動判別部348とを有する。
ID照会部478は、RFID読取器474にて読み取られたID情報が、メモリ476に予め登録されたID情報(撮影メニューの患者がいる病室のID情報、検診対象の患者がいる自宅あるいは施設のID情報、地域の管理区域(被災地であれば救護班が設置されたテント、集団検診であれば検診車やテント等)のID情報等)と適合するかどうかを照会する。ID情報が適合していれば適合信号を起動判別部348に出力する。
入退室判別部480は、RFID読取器474にて読み取られたID情報を一時的に保存するレジスタ482(初期値「0」)を有し、RFID読取器474にてID情報を読み取った時点で、レジスタ482の内容が初期値「0」であれば入室と判別して入室を示す信号を起動判別部348に出力し、RFID読取器474にてID情報を読み取った時点で、レジスタ482の内容が同じID情報であれば退室と判別して退室を示す信号を起動判別部348に出力する。
起動判別部348は、ID照会部478から適合信号が供給され、且つ、入退室判別部480から入室を示す信号が供給された段階で起動信号Scを出力してバッテリ制御部306を起動する。一方、ID照会部478から適合信号が供給され、且つ、入退室判別部480から退室を示す信号が供給された段階で完全停止信号Sdを出力してバッテリ制御部306の動作を停止する。
次に、起動/停止部332によって起動/停止されるバッテリ制御部306の構成について図20、図25〜図29を参照しながら説明する。
バッテリ制御部306は、図20に示すように、メモリ330と、電力供給許可指示部350と、電力供給起動部336と、電力制御部334と、電力供給制限部338と、一時停止処理部340とを有する。
メモリ330は、該バッテリ制御部306を組み込んだ機器(カセッテ本体部12、放射線源本体部18等)を特定するためのID情報や、各種条件を記憶する。また、メモリ330には、ネットワークや携帯端末42等を介して入力された各種テーブル情報も一時的に記憶されるようになっている。
電力供給許可指示部350は、メモリ330に記録されている供給タイミング条件がタイミング規制なしであれば、起動/停止部332からの起動信号Scの入力に基づいて、電力供給許可を示すメッセージをコンソール1004や携帯端末42に出力、及び/又はパイロットランプ(図示せず)を点灯(消灯)する。供給タイミング条件が撮影前供給又は撮影後供給であれば、起動判別部348からの起動信号Scの入力に基づいて、撮影条件の入力を促すメッセージをコンソール1004や携帯端末42に出力する。
電力供給起動部336は、起動信号Scの入力に基づいて起動し、メモリ330に記録されている供給タイミング条件がタイミング規制なしであれば、電力供給スイッチの操作に基づいて、該電力供給スイッチが操作された機器の電力供給起動部336が、対応する電力制御部334を起動する。もちろん、電力供給スイッチの操作を待つことなく、電力制御部334を起動するようにしてもよい。この場合、何もインターロック処理を施していないと、予め指定された区域にある全ての機器の電力制御部334が起動し、互いの処理動作が干渉してしまうおそれがあるため、各機器の電力供給起動部336は、メモリ330に登録されたインターロック情報(予め設定された撮影に使用される放射線源本体部18又はカセッテ本体部12のID等)を参照し、インターロック情報のIDと同一のIDの機器の電力供給起動部336のみが、対応する電力制御部334を起動する。これによって、撮影に使用される例えば放射線源本体部18の電力制御部334のみが動作することとなり、他の機器からの干渉を受けることがなくなる。
一方、供給タイミング条件が撮影前供給であれば、携帯端末42からの撮影条件(オーダー)の入力に基づいて電力制御部334を起動する。この場合は、撮影条件に予め登録された撮影に使用される放射線源本体部18又はカセッテ本体部12のIDと同一のIDの機器の電力供給起動部336のみが、対応する電力制御部334を起動する。供給タイミング条件が撮影後供給であれば、撮影完了判別部386(図25参照)からの撮影完了信号の入力に基づいて電力制御部334を起動する。この場合も撮影条件に予め登録された撮影に使用される放射線源本体部18又はカセッテ本体部12のIDと同一のIDの機器の電力供給起動部336のみが、対応する電力制御部334を起動する。また、この電力供給起動部336は、起動/停止部332からの完全停止信号Sdの入力に基づいて動作を停止し、起動/停止部332からの次の起動を待つ。
電力制御部334は、例えば2つの具体例があり、第1具体例では、図25に示すように、放射線源本体部18のバッテリ308からカセッテ本体部12のバッテリ308に電力供給する、又は放射線源本体部18のバッテリ308からカセッテ本体部12のバッテリ308に電力供給制御する例であり、機器接続検知部360と、カセッテ選択起動部362と、カセッテ選択部364と、集積供給起動部366と、集積供給部368と、電力供給経路設定部370と、電力供給量設定部372と、電力供給制御部374と、残量検知部376と、撮影中断指示部378と、カウンタ380と、再供給指示部382と、撮影許可指示部384と、撮影完了判別部386と、電力供給完了出力部388とを有する。
第2具体例では、接続された機器間で、予め設定された充電条件、撮影条件等に基づいて、各機器におけるバッテリ308の残量を融通し合うように電力供給制御する例であり、図26に示すように、上述した各種機能部に加えて、電力管理部390と、それに付随した機能部(残量予測更新部392、使用履歴更新部394、残量情報転送部396、使用履歴転送部398)とを有する。
ここで、「残量を融通し合う」とは、少なくとも以下の態様を示す。
(1) バッテリの残量(電力)が撮影に必要な電力よりも不足している機器に対して、バッテリの残量が剰余している1以上の機器から電力を供給する。
(2) 撮影に使用しない1以上の機器から、撮影に使用する当該機器に対して撮影に必要な電力を供給する。
(3) 撮影に使用しない1以上の機器から、撮影に使用する当該機器に対して電力を供給して、当該機器のバッテリの残量(電力)、すなわち、当該機器が保持する電力を少なくとも撮影に必要な電力にする。
図20に示すように、この電力制御部334は、電力供給制限部338からの供給制限信号の入力期間にわたって電力供給を制限する。ここで、電力供給の制限とは、電力供給を停止したり、単位時間当たりの供給量を低減したり、電力の供給を段階的に制御することを指す。電力供給の停止としては、例えば図19に示すように、電力供給制御部374に停止信号を出力して、該電力供給制御部374によって、例えば第1切替部314a〜第5切替部314eを中立位置(入力でも出力でもない位置)にリレー制御するようにしてもよい。電力供給量の低減としては、例えば電力供給制御部374に供給量低減信号を出力して、該電力供給制御部374によって、単位時間当たりの電力供給量を予め設定された値に低減するように制御するようにしてもよい。電力の供給の段階的な制御としては、例えば後述するように、カセッテ本体部12における画素での蓄積とAD変換中では電力供給を停止するが、データ転送中は弱給電とし、データ転送完了のアイドル時に強給電とすることが挙げられる。また、電力制御部334は、一時停止処理部340からの一時停止信号の入力に基づいて電力供給制御を停止し、電力供給起動部336からの次の起動を待つ。
先ず、第1具体例において、例えば図19に示すように、機器接続検知部360は、第1エネルギ入出力部300及び第2エネルギ入出力部302の少なくとも一方に機器(線源又はカセッテ)が有線接続又は無線接続されたかを検知する。無線接続の検知は、例えば障害物センサ(超音波センサ等)によって第1エネルギ入出力部300又は第2エネルギ入出力部302から無線給電可能なエリア内に機器(放射線源本体部18又はカセッテ本体部12)が入ったか否かを検知する。
図27に示すように、カセッテ選択起動部362は、メモリ330に記録された充電条件のうち、経路に関する条件が1つのカセッテ本体部12から放射線源本体部18への電力供給のみであり、且つ、当該機器が放射線源本体部18であって、複数のカセッテ本体部12の接続を検知した場合に、カセッテ選択部364を起動する。
カセッテ選択部364は、カセッテID取得部400と、カセッテ情報取得部402と、選択部404とを有する。
カセッテID取得部400は、当該放射線源本体部18に接続された複数のカセッテ本体部12に対してIDの転送要求する。各カセッテ本体部12は転送要求に基づいて当該放射線源本体部18にIDを出力することから、入力されたIDを取得してメモリ330に登録する。
カセッテ情報取得部402は、IDに対応するカセッテ情報テーブル(欠陥画素等の情報)、使用履歴テーブルをネットワークを介して取得する。
選択部404は、メモリ330に格納されている選択条件と取得したカセッテ情報テーブル及び使用履歴テーブルとに基づいて、複数のカセッテ本体部12のうち、選択条件に適合するカセッテ本体部12を選択する。選択したカセッテ本体部12のIDを電力供給経路設定部370に出力する。
選択条件としては、以下の条件が挙げられる。
(1−a)サイズの大きいカセッテ本体部12
これは、大きいサイズを使用しない特殊な環境において、大きいカセッテ本体部12から電力を放出させることを目的としている。サイズの判別は、カセッテ情報テーブルに記録されたサイズ情報に基づく。
(1−b)サイズの小さいカセッテ本体部12
これは、汎用性の少ないカセッテ本体部12から優先的に電力を放出させることを目的としている。
(1−c)欠陥画素数が多いカセッテ本体部12
これは、劣化が進み、使用頻度の少ないカセッテ本体部12から優先的に電力を放出させて、複数のカセッテ本体部12がほぼ同時に使えなくなるのを防止することを目的としている。欠陥画素数の判別は、カセッテ情報テーブルに記録された欠陥画素に関する情報に基づく。なお、カセッテ情報テーブルの欠陥画素に関する情報は、例えばキャリブレーション等において定期的あるいは不定期に更新される。
(1−d)撮影可能領域が小さいカセッテ本体部12
撮影可能領域の大きさは、カセッテ情報テーブルに記録された欠陥画素に関する情報、特に、欠陥画素の位置情報から算出する。
(1−e)バッテリ308の劣化度が大きいカセッテ本体部12
(1−f)バッテリ308の劣化度が小さいカセッテ本体部12
バッテリ308の劣化度の判別は、使用履歴テーブルに記録されたカセッテ本体部12の使用回数に基づく。
(1−g)使用回数の多いカセッテ本体部12
使用回数の判別は、使用履歴テーブルに記録されたカセッテ本体部12の使用回数又はカセッテ情報テーブルに記録された累積曝射線量の情報に基づく。
(1−h)内蔵メモリ残量の少ないカセッテ本体部12
内蔵メモリ残量の判別は、カセッテ制御部92にメモリ残量の問い合わせを出力し、カセッテ制御部92からの返信結果に基づく。
(1−i)当該放射線源本体部18に距離的に近いカセッテ本体部12
これは、距離的に電力供給がし易いカセッテ本体部12を選択して回路系の負担を少なくすることを目的としている。
当該放射線源本体部18からカセッテ本体部12までの距離の判別は、GPSによる各現在位置の情報や測距センサ(超音波センサ、三次元磁気センサ等)からの距離情報に基づく。
次に、図28に示すように、集積供給起動部366は、メモリ330に記録された充電条件のうち、経路に関する条件が複数のカセッテ本体部12から放射線源本体部18への電力供給のみであり、且つ、当該機器が放射線源本体部18であって、複数のカセッテ本体部12の接続を検知した場合に、集積供給部368を起動する。
集積供給部368は、カセッテID取得部400と、カセッテ情報取得部402と、重み付け設定部406とを有する。
カセッテID取得部400は、当該放射線源本体部18に接続された複数のカセッテ本体部12に対してIDの転送要求する。各カセッテ本体部12は転送要求に基づいて当該放射線源本体部18にIDを出力することから、入力された複数のIDを取得してメモリ330に登録する。
カセッテ情報取得部402は、取得した複数のIDに対応するカセッテ情報テーブル(欠陥画素等の情報)、使用履歴テーブルをネットワークを介して取得する。
重み付け設定部406は、メモリ330に格納されている集積条件とカセッテ情報テーブル及び使用履歴テーブルとに基づいて、複数のカセッテ本体部12から当該放射線源本体部18に供給する電力量の重み付け(係数)を設定する。設定した係数を、対応するID情報と共に電力供給量設定部372に出力する。
集積条件としては、以下の条件が挙げられる。
(2−a)欠陥画素数が多い少ないに応じて電力供給量を振り分ける。
欠陥画素数が多いほど電力供給量が多くなる係数に設定し、少ないほど電力供給量が少なくなる係数に設定する。
(2−b)撮影可能領域が小さい大きいに応じて電力供給量を振り分ける。
撮影可能領域が小さいほど電力供給量が多くなる係数に設定し、大きいほど電力供給量が少なくなる係数に設定する。
(2−c)バッテリ308の劣化度が大きい小さいに応じて電力供給量を振り分ける。
バッテリ308の劣化度が大きいほど電力供給量が多くなる係数に設定し、小さいほど電力供給量が少なくなる係数に設定する。
(2−d)使用回数の多い少ないに応じて電力供給量を振り分ける。
使用回数が多いほど電力供給量が多くなる係数に設定し、少ないほど電力供給量が少なくなる係数に設定する。
(2−e)内蔵メモリ残量の少ない多いに応じて電力供給量を振り分ける。
メモリ残量が少ないほど電力供給量が多くなる係数に設定し、多いほど電力供給量が少なくなる係数に設定する。
(2−f)当該放射線源本体部18に距離的に近い遠いに応じて電力供給量を振り分ける。
距離的に近いほど電力供給量が多くなる係数に設定し、遠いほど電力供給量が少なくなる係数に設定する。
次に、電力供給経路設定部370は、メモリ330に記録された充電条件のうち、経路に関する条件に基づいて電力供給の経路を設定する。例えば放射線源本体部18からカセッテ本体部12への経路又はカセッテ本体部12から放射線源本体部18への経路である。カセッテ選択部364から該当IDが供給された場合は、該IDに対応するカセッテ本体部12から当該放射線源本体部18への経路に設定される。集積供給部368から複数のIDが供給された場合は、これらIDに対応するカセッテ本体部12から当該放射線源本体部18への経路に設定される。設定された経路情報は携帯端末42に表示される。経路に関する条件は、少なくとも電力の供給元が記述されたもので、供給元が放射線源本体部18であれば、放射線源本体部18からカセッテ本体部12に電力が供給され、供給元がカセッテ本体部12であれば、カセッテ本体部12から放射線源本体部18に電力が供給される。この条件は、携帯端末42にて任意に変更可能である。また、後述する再供給指示部382からの再供給指示の場合(再供給指示部382からの再供給指示信号の入力)、充電条件に基づいて電力供給の経路を設定する。オペレータ38がその他の機器(放射線源本体部18又はカセッテ本体部12)の追加充電を行う場合は、その他の機器の電力の供給経路(その他の機器から撮影に使用する放射線源本体部18又はカセッテ本体部12への供給経路又は撮影に使用する放射線源本体部18又はカセッテ本体部12からその他の機器への供給経路)と電力量が入力される。設定された供給経路に基づいて電力供給経路設定部370から各機器の電力供給制御部374に供給元指示信号又は供給先指示信号が出力される。
電力供給量設定部372は、充電条件のうち、供給量に関する条件に基づいて、供給すべき電力量を設定する。供給量に関する充電条件としては、少なくとも満充電、1枚の撮影に必要な供給量等の項目があり、現在選択中の項目が適用される。適用する項目は、携帯端末42にて任意に選択可能である。また、供給する電力量を、携帯端末42にて数値として設定可能である。また、集積供給部368から複数のIDとそれぞれ対応する係数が供給された場合は、供給電力にそれぞれ係数が乗算されて、複数のカセッテ本体部12から当該放射線源本体部18に供給する電力量を設定する。さらに、再供給指示部382からの再供給指示の場合は、充電条件のうち、供給量に関する条件に基づいて、供給すべき電力量を設定する。この電力量も携帯端末42にて任意に変更できるようになっている。追加充電の入力があれば、その電力量も設定される。設定された供給量は、それぞれ該当する機器の電力供給制御部374に供給される。
図19に示すように、電力供給制御部374は、供給元指示信号が入力された場合は、バッテリ308に対して電力を出力するように制御する。供給先指示信号が入力された場合は、バッテリ308に対して電力を入力するように制御する。残量検知部376からの残量に基づいて一定の充電速度(又は放電速度)でバッテリ308への電力供給あるいはバッテリ308からの電力供給を行うように制御する。供給する電力量が少なければ、急速充電(放電)も可能である。バッテリ残量が1枚分の撮影も行えない電力量であれば、該電力量と当該機器のIDを含む撮影不能信号を出力する。バッテリ308に対する電力の供給、あるいはバッテリ308からの電力の出力が終了した段階で、供給終了信号を出力する。
残量検知部376は、上述したように、バッテリ308の残量を検知して、その検知結果を電力供給制御部374に通知する。
図25に示す撮影中断指示部378は、撮影不能信号の入力に基づいてコンソール1004や携帯端末42に撮影中断を示すメッセージを出力する。
カウンタ380は、曝射スイッチ48の操作回数を計数する。撮影完了判別部386からの撮影完了信号の入力に基づいて計数値をリセット(計数値=0)する。
再供給指示部382は、撮影不能信号の入力に基づいて、現在のカウンタ380の計数値と、撮影不能信号に含まれていた電力量及び当該機器のIDを含む再供給指示信号を電力供給経路設定部370、電力供給量設定部372及び後述する電力管理部390に出力する。撮影後供給の場合は、電力制御部334自体が起動していないため、撮影に使用されている放射線源本体部18又はカセッテ本体部12の再供給指示部382は、緊急用に、対応する電力供給経路設定部370、電力供給量設定部372及び電力管理部390を割り込み起動する。
撮影許可指示部384は、メモリ330に記録されている供給タイミング条件が規制なし又は撮影前供給である場合に、電力供給を行っている全ての機器の電力供給制御部374からの供給終了信号の入力に基づいてコンソール1004や携帯端末42に撮影許可を示すメッセージを出力する。
撮影完了判別部386は、撮影条件の撮影回数とカウンタ380の計数値とを比較し、計数値が撮影回数と同じになった時点で撮影完了信号を出力する。
電力供給完了出力部388は、電力供給を行っている全ての機器の電力供給制御部374からの供給終了信号の入力に基づいて電力供給完了信号を出力する。
図20の電力供給制限部338は、メモリ330に記録されている供給タイミング条件に「撮影中は電力供給停止」の条件が含まれていれば、被写体50に対して放射線画像撮影が行われているか否か(つまり、撮影中か否か)を判定し、撮影中であれば、その期間にわたって供給制限信号を出力する。具体的には、曝射スイッチ48が操作された時点で供給制限信号を出力し、所定時間が経過した時点で供給制限信号の出力を停止する。電力制御部334は、供給制限信号が入力されている期間にわたって電力供給を制限する。
供給制限信号を出力する期間としては、被写体50を透過した放射線46が放射線検出器86に照射されて図示しないシンチレータで可視光に変換され、その可視光が各画素132によって電気信号に変換された後、電荷(信号電荷)として蓄積される期間(蓄積期間)、蓄積された電荷が読み取られる期間(読み取り期間)、及び、読み取られた電荷(アナログ信号)がA/D変換器154でデジタル信号へと変換される期間(デジタル信号への変換期間)のうち、いずれかの期間、各期間を組み合わせた期間又は全ての期間を含む期間が好ましい。これら3つの期間は、特に画像信号(放射線画像情報)へのノイズの重畳による影響が顕著であるからである。すなわち、前記蓄積期間及び前記読み取り期間では、その電荷が微小であるためノイズの影響が大きく、また、デジタル信号への変換期間では、A/D変換前はデジタル信号に比べてノイズ耐性の低いアナログ信号であり、さらに当該アナログ信号に重畳したノイズがそのままデジタル信号に変換されて画像データに現れ易いためである。
この場合、前記蓄積期間の一部には、放射線源44から放射線46を曝射する時間が含まれる。つまり、前記蓄積を開始し、可及的に早いタイミングで曝射開始し、曝射を停止した後、直ちに前記読み取り以降の動作が行われるとよく、これら各動作でのタイムラグを可及的に少なくすると、いわゆる暗電流の抑制に好適であり、得られる放射線画像の品質を一層向上させることができる。また、前記読み取り期間とは、TFT140をONして各増幅器148等を介してA/D変換器154へと信号が流れる期間であり、該読み取り期間と前記デジタル信号への変換期間とは時間軸的には略同時、実際には読み取り期間(の開始)が僅かに早く発生することになる。
従って、供給制限信号の出力期間は、供給制限信号を出力した時点から少なくとも放射線源本体部18による放射線46の照射が終了するまでの間、より好適には上記の撮影中と判定される期間中に実施されていれば、カセッテ本体部12による放射線46の検出を高品質に行うことができる。また、放射線画像の撮影や表示等に要する予測時間を予め設定しておき、この予測時間を供給制限信号の出力期間としてもよい。また、単位時間当たりの電力量の低減度合いは、予め放射線画像にノイズが重畳しない、あるいはノイズが重畳しても放射線画像の画質に影響しない程度のノイズに抑圧できる程度を実験等で求めておき、その実験結果に基づいて設定することが好ましい。
図20の一時停止処理部340は、メモリ330に記録されている供給タイミング条件がタイミング規制なし又は撮影前供給であれば、撮影完了判別部386からの撮影完了信号の入力に基づいて、電力制御部334に一時停止信号を出力する。供給タイミング条件が撮影後供給であれば、電力供給完了出力部388からの電力供給完了信号の入力に基づいて、電力制御部334に一時停止信号を出力する。
一方、第2具体例において、図26の電力管理部390は、接続された機器間で、予め設定された充電条件、撮影条件等に基づいて、各機器におけるバッテリ308の残量を融通し合うように電力供給制御するための情報を電力供給制御部374に与える。電力管理部390は、放射線源本体部18及び/又はカセッテ本体部12に組み込まれる。電力管理部390は、図29に示すように、ID取得部410と、各種情報取得部412と、消費電力量予測部414と、情報更新部416とを有する。
ID取得部410は、電力管理部390が組み込まれた機器並びに該機器に接続されたその他の機器に対してIDの転送要求する。各機器は転送要求に基づいて電力管理部390にIDを出力することから、入力されたIDを取得してメモリ330に登録する。撮影に使用する放射線源本体部18及びカセッテ本体部12のほかに、その他の放射線源本体部18又はカセッテ本体部12が接続(あるいは無線給電可能エリア内にある)されていれば、該その他の放射線源本体部18又はカセッテ本体部12のIDも取得される。
各種情報取得部412は、今回又は前回の撮影条件(携帯端末42又はネットワークを介して入力される)、IDに対応する残量情報テーブル、IDに対応する前回の撮影条件、IDに対応する使用履歴テーブルを取得し、メモリ330に格納する。
消費電力量予測部414は、充電条件(予めメモリ330に格納)、今回又は前回の撮影条件(撮影枚数やmAs値等)から、撮影に使用する放射線源本体部18及びカセッテ本体部12の消費電力量を算出し、さらに、使用履歴(使用回数に対応した係数)を乗算補正して、今回の撮影で消費される放射線源本体部18及びカセッテ本体部12の各電力量あるいは前回の撮影で消費されたであろう放射線源本体部18及びカセッテ本体部12の各電力量を予測する。再供給指示部382からの再供給指示信号が入力された場合は、充電条件(予めメモリ330に格納)、今回の撮影条件(撮影枚数やmAs値等)のうち、既に撮影が終了した分(計数値が示す撮影分)を除く、撮影の撮影条件(これから行われる撮影の撮影条件)から、当該IDの機器(再供給対象の放射線源本体部18又はカセッテ本体部12)の消費電力量を算出し、さらに、使用履歴(使用回数に対応した係数)を乗算補正して、これから行われる撮影で消費される当該IDの機器の電力量を予測する。
情報更新部416は、残量情報テーブルのうち、電力の供給元となる機器の残量が供給電力量だけ減算し、電力の供給先となる機器の残量が供給電力量だけ加算する。再供給指示部382からの再供給指示の場合は、当該IDの機器の残量だけが変更される。再供給指示信号に含まれていた電力量に今回の供給量を加算した値が記録される。この値には、電力供給制御部374からの電力量が反映されることから、この段階で、予測値だけによる残量の誤差が是正される。
また、第2具体例においては、電力管理部390が存在することから、電力供給経路設定部370及び電力供給量設定部372の動作が第1形態の場合とは異なる。
すなわち、第2具体例における電力供給経路設定部370は、予測された電力量、放射線源本体部18とカセッテ本体部12のバッテリ残量(残量情報テーブル)に基づいて電力供給の経路を設定する。代表的な例は、今回の撮影でバッテリ残量がほとんどなくなる機器に電力が供給される経路が設定される。この情報は携帯端末42に表示される。再供給指示部382からの再供給指示の場合は、当該IDの機器に電力が供給される経路が設定される。オペレータ38がその他の機器(撮影で使用しない放射線源本体部18又はカセッテ本体部12)による追加供給を行う場合は、その他の機器の電力の供給経路(その他の機器から当該IDの機器への供給経路)と電力量が入力される。オペレータ38がその他の機器(放射線源本体部18又はカセッテ本体部12)を使った追加充電を行う場合は、その他の機器の電力の供給経路(その他の機器から撮影に使用する放射線源本体部18又はカセッテ本体部12への供給経路又は撮影に使用する放射線源本体部18又はカセッテ本体部12からその他の機器への供給経路)と電力量と供給の順番が入力される。設定された供給経路に基づいて電力供給経路設定部370から各機器の電力供給制御部374に供給元指示信号又は供給先指示信号が出力される。
第2具体例における電力供給量設定部372は、予測された電力量、放射線源本体部18とカセッテ本体部12のバッテリ残量(残量情報テーブル)に基づいて供給すべき電力量を設定する。これにより、今回の撮影でバッテリ残量がほとんどなくなる機器に対して最大で予測された電力量が供給されることとなる。予測された電力量の1/2や1/3でも構わない。この情報は携帯端末42に表示される。この電力量は携帯端末42にて任意に変更できるようになっている。追加充電の入力があれば、その電力量も設定される。なお、前回の撮影条件に基づいて予測された電力量の供給は、前回の撮影で消費された電力量を補完するかたちとなる。再供給指示部382からの再供給指示の場合は、予測された電力量に設定される。設定された電力量は携帯端末42にて任意に変更できるようになっている。追加充電の入力があれば、その電力量も設定される。設定された供給量は、それぞれ該当する機器の電力供給制御部374に供給される。
電力管理部390に付随した機能部のうち、図26の残量予測更新部392は、メモリ330に記録されている供給タイミング条件が撮影前供給である場合に機能し、曝射スイッチ48を操作する毎に、残量情報テーブルに記録されているバッテリ残量(撮影を行っている放射線源本体部18及びカセッテ本体部12のバッテリ残量)を減算更新する。撮影を行っている放射線源本体部18及びカセッテ本体部12について、撮影条件、使用履歴テーブルに基づいて、撮影1枚毎の各電力消費量を計算し、残量情報テーブルに記録されている当該放射線源本体部18及びカセッテ本体部12のバッテリ残量から差し引く。
使用履歴更新部394は、使用履歴テーブルに記録されている使用回数(撮影を行っている放射線源本体部18及びカセッテ本体部12の使用回数)に、曝射スイッチ48の操作回数を加算する。
図26の残量情報転送部396は、メモリ330に記録されている供給タイミング条件が撮影前供給である場合は、撮影完了判別部386からの撮影完了信号の入力に基づいて、残量情報テーブルをネットワークを介して医療機関のデータベースに転送し、更新する。撮影後供給の場合は、電力供給完了出力部388からの電力供給完了信号の入力に基づいて残量情報テーブルをネットワークを介して医療機関のデータベースに転送し、更新する。
使用履歴転送部398は、メモリ330に記録されている供給タイミング条件が撮影前供給である場合は、撮影完了判別部386からの撮影完了信号の入力に基づいて、使用履歴テーブルをネットワークを介して医療機関のデータベースに転送し、更新する。撮影後供給の場合は、電力供給完了出力部388からの電力供給完了信号の入力に基づいて使用履歴テーブルをネットワークを介して医療機関のデータベースに転送し、更新する。
第1回診車1000Aは、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について、図30〜図36のフローチャートも参照しながら説明する。
最初に、供給タイミング条件がタイミング規制なしの場合の動作について図30及び図31のフローチャートを参照しながら説明する。
先ず、図30のステップS1において、起動/停止部332は、第1回診車1000Aが予め指定された区域(区域情報テーブル331に登録された区域情報が示す場所:例えば医療機関、事故現場、被災地、在宅患者の家、健康診断の現場、救急車、移動診断車、鉄道、船舶、航空機等の交通機関等)に位置しているか否かを判別する。起動/停止部332が第1起動/停止部332Aや第2起動/停止部332Bであれば、第1回診車1000Aの現在位置が予め指定された区域にあるか否かが判別され、第3起動/停止部332Cであれば、第1回診車1000Aの送受信可能範囲466に基地局333が入っているか否かが判別され、第4起動/停止部332Dであれば、検診対象の被写体がいる病室や家、施設への入室であるか否かがされる。オペレータ38が、第1回診車1000Aを移動して、予め指定された区域に第1回診車1000Aを搬送すると、ステップS2に進み、起動/停止部332は、起動信号Scを出力する。
その後、ステップS3において、電力供給許可指示部350は、電力供給許可を示すメッセージをコンソール1004や携帯端末42に出力、及び/又はパイロットランプを点灯(消灯)する。
ステップS4において、電力供給起動部336は、電力供給スイッチの操作入力に基づいて、電力制御部334を起動する。もちろん、電力供給スイッチの操作を待つことなく、電力制御部334を起動するようにしてもよい。この場合、メモリ330に登録されたインターロック情報(予め設定された撮影に使用される放射線源本体部18又はカセッテ本体部12のID等)を参照し、インターロック情報のIDと同一のIDの機器の電力供給起動部336のみが、対応する電力制御部334を起動する。
ステップS5において、機器接続検知部360は、第1エネルギ入出力部300又は第2エネルギ入出力部302に機器(放射線源本体部18又はカセッテ本体部12)が接続されたか否かを検知する。
検知された段階で、次のステップS6に進み、カセッテ選択起動部362は、カセッテ選択部364を起動する条件であるか否かを判別する。すなわち、メモリ330に記録された充電条件のうち、経路に関する条件が1つのカセッテ本体部12から放射線源本体部18への電力供給のみであり、且つ、当該機器が放射線源本体部18であって、複数のカセッテ本体部12の接続を検知した場合に、カセッテ選択部364を起動する。
ステップS7において、カセッテ選択部364は、カセッテID取得部400によって取得された複数のIDと、メモリ330に格納されている選択条件と、カセッテ情報取得部402によって取得されたカセッテ情報テーブル及び使用履歴テーブルとに基づいて、複数のカセッテ本体部12のうち、選択条件に適合するカセッテ本体部12を選択する。選択したカセッテ本体部12のIDを電力供給経路設定部370に出力する。
ステップS7での処理が終了した段階、又はステップS6においてカセッテ選択部364を起動する条件でないと判別された段階で、ステップS8に進み、集積供給起動部366は、集積供給部368を起動する条件であるか否かを判別する。すなわち、メモリ330に記録された充電条件のうち、経路に関する条件が複数のカセッテ本体部12から放射線源本体部18への電力供給のみであり、且つ、当該機器が放射線源本体部18であって、複数のカセッテ本体部12の接続を検知した場合に、集積供給部368を起動する。
ステップS9において、集積供給部368は、カセッテID取得部400によって取得された複数のIDと、メモリ330に格納されている集積条件と、カセッテ情報取得部402によって取得されたカセッテ情報テーブル及び使用履歴テーブルとに基づいて、複数のカセッテ本体部12から当該放射線源本体部18に供給する電力量の重み付け(係数)を設定する。設定した係数を対応するID情報と共に電力供給量設定部372に出力する。
ステップS9での処理が終了した段階、又はステップS8において集積供給部368を起動する条件でないと判別された段階で、ステップS10に進み、電力供給経路設定部370は、メモリ330に記録された充電条件のうち、経路に関する条件に基づいて電力供給の経路を設定する。例えば放射線源本体部18からカセッテ本体部12への供給経路あるいはカセッテ本体部12から放射線源本体部18への供給経路が設定される。また、電力供給経路設定部370は、カセッテ選択部364から該当IDが供給された場合は、該IDに対応するカセッテ本体部12から当該放射線源本体部18への経路に設定し、集積供給部368から複数のIDが供給された場合は、これらIDに対応するカセッテ本体部12から当該放射線源本体部18への経路に設定する。その後、電力供給経路設定部370は、設定された供給経路の情報(経路情報)を電力供給制御部374に出力する。具体的には、設定された供給経路に基づいて、各機器の電力供給制御部374に供給元指示信号、供給先指示信号を出力する。例えばカセッテ本体部12の第1エネルギ入出力部300に放射線源本体部18の第1エネルギ入出力部300が接続されている場合を想定したとき、放射線源本体部18からカセッテ本体部12への供給経路であれば、放射線源本体部18の電力供給制御部374に供給元指示信号が出力され、カセッテ本体部12の電力供給制御部374に供給先指示信号が出力される。カセッテ本体部12から放射線源本体部18への供給経路であれば、放射線源本体部18の電力供給制御部374に供給先指示信号が出力され、カセッテ本体部12の電力供給制御部374に供給元指示信号が出力される。
ステップS11において、電力供給量設定部372は、充電条件のうち、供給量に関する条件に基づいて、供給すべき電力量(供給電力量)を設定する。例えば満充電や1枚の撮影に必要な供給電力量が設定される。また、電力供給量設定部372は、集積供給部368から複数のIDとそれぞれ対応する係数が供給された場合は、供給電力にそれぞれ係数を乗算して、複数のカセッテ本体部12から当該放射線源本体部18に供給する電力量を設定する。電力供給量設定部372は、設定された供給電力量の情報を、それぞれ該当する機器の電力供給制御部374に出力する。
ステップS12において、電力供給制御部374は、供給元指示信号が入力された場合は、バッテリ308に対して電力を出力するように制御し、供給先指示信号が入力された場合は、バッテリ308に対して電力を入力するように制御する。そして、バッテリ308に対する電力の供給、あるいはバッテリ308からの電力の出力が終了した段階で、供給終了信号を出力する。
ステップS13において、電力供給完了出力部388は、電力供給を行っている全ての機器の電力供給制御部374からの供給終了信号の入力に基づいて電力供給完了信号を出力する。
ステップS14において、撮影許可指示部384は、電力供給完了出力部388からの電力供給完了信号の入力に基づいて、コンソール1004や携帯端末42に撮影許可を示すメッセージを出力する。
ステップS15において、オペレータ38は、搬送先の現場において、放射線撮影の準備を行う。この撮影の準備について詳述したのでここではその説明を省略する。
撮影の準備によって被写体50が位置決めされた段階で、図31のステップS16に進み、オペレータ38は、曝射スイッチ48を操作して被写体50に対する撮影を開始させる。このとき、カウンタ380は計数値を+1更新する。また、上述したステップS16において曝射スイッチ48が操作された時点で、ステップS17において、電力供給制限部338は、上述した所定期間にわたって供給制限信号を電力制御部334に出力する。電力制御部334は、供給制限信号が入力されている期間にわたって電力供給動作を一時的に中断する。
次に、ステップS18において、電力の再供給が必要か否かが判別される。この判別は、いずれかの機器の電力供給制御部374から撮影不能信号が出力されたかどうかで行われる。すなわち、放射線源本体部18又はカセッテ本体部12のバッテリ残量が1枚分の撮影も行えない電力量であれば、該電力量と当該機器のIDを含む再供給指示部382に撮影不能信号を出力して、電力の再供給が要求される。
再供給が必要であれば、ステップS19に進み、撮影中断指示部378は、コンソール1004や携帯端末42に撮影中断を示すメッセージを出力する。コンソール1004の表示部1010、携帯端末42の表示画面には撮影中断を示すメッセージが表示され、好ましくはアラームが音声出力されることによって、オペレータ38に撮影中断を促す。
その後、ステップS20において、再供給指示部382は、再供給指示信号を電力供給経路設定部370、電力供給量設定部372に出力する。
ステップS21において、電力供給経路設定部370は、充電条件に基づいて電力を再供給する経路(再供給経路)を設定し、設定された再供給経路に基づいて各機器の電力供給制御部374に供給元指示信号又は供給先指示信号を出力する。
ステップS22において、電力供給量設定部372は、充電条件のうち、供給量に関する条件に基づいて、再供給すべき電力量(再供給電力量)を設定し、設定された再供給電力量の情報を、それぞれ該当する機器の電力供給制御部374に供給する。
ステップS23において、電力供給制御部374は、供給元指示信号が入力された場合は、バッテリ308に対して電力を出力するように制御し、供給先指示信号が入力された場合は、バッテリ308に対して電力を入力するように制御する。そして、バッテリ308に対する電力の供給、あるいはバッテリ308からの電力の出力が終了した段階で、供給終了信号を出力する。
ステップS24において、電力供給完了出力部388は、電力の再供給を行っている全ての機器の電力供給制御部374からの供給終了信号の入力に基づいて電力供給完了信号を出力する。
ステップS25において、撮影許可指示部384は、電力供給完了信号の入力に基づいて、コンソール1004や携帯端末42に撮影許可を示すメッセージを出力する。その後、ステップS16以降の処理に戻る。
上述のステップS18において、再供給の必要がないと判別された場合は、ステップS26に進み、撮影完了判別部386は、撮影が完了したか否かを判別する。この判別は、撮影条件の撮影回数とカウンタ380の計数値とを比較して行われ、計数値が撮影回数未満であれば、ステップS16に戻り、撮影が完了するまで該ステップS16以降の処理を繰り返す。撮影が完了すれば、ステップS27に進み、電力制御部334を一時停止させる。具体的には、撮影完了判別部386は撮影完了信号を出力する。一時停止処理部340は、撮影完了判別部386からの撮影完了信号の入力に基づいて、電力制御部334に一時停止信号を出力する。電力制御部334は、電力供給一時停止部からの一時停止信号の入力に基づいて電力供給制御を停止し、電力供給起動部336からの次の起動を待つ。
ステップS28において、起動/停止部332は、第1回診車1000Aが予め指定された区域に位置している否かを判別する。依然、第1回診車1000Aが予め指定された区域に位置しているときは、図30のステップS4に戻り、ステップS4以降の処理を繰り返す。一方、オペレータ38が、第1回診車1000Aを移動して、該第1回診車1000Aを予め指定された区域からその外へ搬送すると、図31のステップS29に進み、電力供給起動部336を完全に停止させる。具体的には、第1回診車1000Aが予め指定された区域からその外へ搬送されると、起動/停止部332から完全停止信号Sdが出力される。電力供給起動部336は、完全停止信号Sdの入力に基づいて動作を停止し、起動/停止部332からの次の起動を待つ。この段階で、第1放射線撮影装置10Aの処理動作が一旦終了する。その後、第1回診車1000Aが予め指定された区域(元の区域あるいは新たな区域)に搬送されると、図30のステップS2以降の処理が繰り返される。
次に、供給タイミング条件が撮影前供給の場合の動作を図32〜図34のフローチャートを参照しながら説明する。以下の説明では、主に電力管理部390による動作を示しているが、上述したカセッテ選択部364や集積供給部368等を含めてもよい。
先ず、図32のステップS101において、起動/停止部332は、第1回診車1000Aが予め指定された区域(区域情報テーブル331に登録された区域情報が示す場所)に位置しているか否かを判別する。オペレータ38が、第1回診車1000Aを移動して、予め指定された区域に第1回診車1000Aを搬送すると、ステップS102に進み、起動/停止部332は、起動信号Scを出力する。
その後、ステップS103において、電力供給許可指示部350は、撮影条件の入力を促すメッセージをコンソール1004や携帯端末42に出力、及び/又はパイロットランプを点灯(消灯)する。
ステップS104において、電力供給起動部336は、コンソール1004や携帯端末42からの今回の撮影条件(オーダー)の入力に基づいて電力制御部334を起動する。この場合、撮影条件に予め登録された撮影に使用される放射線源本体部18又はカセッテ本体部12のIDと同一のIDの機器の電力供給起動部336のみが、対応する電力制御部334を起動する。今回の撮影条件は、医療機関からネットワーク及び携帯端末42を介して入力される場合もある。今回の撮影条件はメモリ330に格納される。
ステップS105において、機器接続検知部360は、第1エネルギ入出力部300又は第2エネルギ入出力部302に機器(放射線源本体部18又はカセッテ本体部12)が接続されたか否かを検知する。
検知された段階で、次のステップS106に進み、図29に示す電力管理部390のID取得部410は、接続された機器のIDを取得する。具体的には、ID取得部410は、接続された機器に対してIDの転送要求する。各機器は転送要求に基づいて電力管理部390にIDを出力することから、ID取得部410は、入力されたIDを取得してメモリ330に登録する。
ステップS107において、各種情報取得部412は、今回の撮影条件(既にメモリ330に格納されている)のほかに、IDに対応する残量情報テーブル、IDに対応する前回の撮影条件、IDに対応する使用履歴テーブルをネットワークを通じて医療機関から取得し、メモリ330に格納する。
ステップS108において、消費電力量予測部414は、充電条件のうちの供給量に関する条件(予めメモリ330に格納されている)、今回又は前回の撮影条件(撮影枚数やmAs値等)から、撮影に使用する放射線源本体部18及びカセッテ本体部12の消費電力量を算出し、さらに、使用履歴(使用回数に対応した係数)を乗算補正して、消費される放射線源本体部18及びカセッテ本体部12の各電力量あるいは消費されたであろう放射線源本体部18及びカセッテ本体部12の各電力量を予測する。充電条件のうち、供給量に関する条件としては、今回の撮影枚数に必要な電力量、1枚の撮影に必要な電力量、前回の撮影で使用した電力量等がある。従って、供給量に関する条件が「今回の撮影枚数に必要な電力量」を示す場合は、今回の撮影に使用する放射線源本体部18及びカセッテ本体部12の消費電力量を算出し、さらに、使用履歴(使用回数に対応した係数)を乗算補正して、今回の撮影で消費される放射線源本体部18及びカセッテ本体部12の各電力量あるいは前回の撮影で消費されたであろう放射線源本体部18及びカセッテ本体部12の各電力量を予測する。また、供給量に関する条件が「前回の撮影で使用した電力量」を示す場合は、放射線源本体部18及びカセッテ本体部12の前回の撮影で消費された電力量を算出し、さらに、使用履歴(使用回数に対応した係数)を乗算補正して、前回の撮影で消費されたであろう放射線源本体部18及びカセッテ本体部12の各電力量を予測する。
ステップS109において、電力供給経路設定部370は、予測された電力量、放射線源本体部18とカセッテ本体部12のバッテリ残量(残量情報テーブルの情報)に基づいて電力供給の経路を設定する。代表的な例は、今回の撮影でバッテリ残量がほとんどなくなる機器に電力が供給される経路が設定される。この情報は携帯端末42に表示される。オペレータ38がその他の機器(撮影で使用しない放射線源本体部18又はカセッテ本体部12)による追加供給を行う場合は、その他の機器の電力の供給経路(その他の機器から当該IDの機器への供給経路)と電力量が入力される。オペレータ38がその他の機器(放射線源本体部18又はカセッテ本体部12)を使った追加充電を行う場合は、その他の機器の電力の供給経路(その他の機器から撮影に使用する放射線源本体部18又はカセッテ本体部12への供給経路又は撮影に使用する放射線源本体部18又はカセッテ本体部12からその他の機器への供給経路)と電力量と供給の順番が入力される。設定された供給経路に基づいて電力供給経路設定部370から各機器の電力供給制御部374に供給元指示信号又は供給先指示信号が出力される。
その後、ステップS110において、電力供給量設定部372は、予測された電力量、放射線源本体部18とカセッテ本体部12のバッテリ残量(残量情報テーブルの情報)に基づいて供給すべき電力量(供給電力量)を設定する。これにより、今回の撮影でバッテリ残量がほとんどなくなる機器に対して最大で予測された電力量が供給されることとなる。予測された電力量の1/2や1/3でも構わない。この情報は携帯端末42に表示される。この供給電力量は携帯端末42にて任意に変更できるようになっている。追加充電の入力があれば、その電力量も設定される。なお、前回の撮影条件に基づいて予測された電力量の供給は、前回の撮影で消費された電力量を補完するかたちとなる。追加充電の入力があれば、その供給電力量も設定される。設定された供給電力量は、それぞれ該当する機器の電力供給制御部374に出力される。
ステップS111において、電力供給制御部374は、供給元指示信号が入力された場合は、バッテリ308に対して電力を出力するように制御し、供給先指示信号が入力された場合は、バッテリ308に対して電力を入力するように制御する。そして、バッテリ308に対する電力の供給、あるいはバッテリ308からの電力の出力が終了した段階で、供給終了信号を出力する。
ステップS112において、電力管理部390の情報更新部416は、残量情報テーブルのうち、電力の供給元となる機器の残量を供給電力量だけ減算して更新し、電力の供給先となる機器の残量を供給電力量だけ加算して更新する。
ステップS113において、電力供給完了出力部388は、電力供給を行っている全ての機器の電力供給制御部374からの供給終了信号の入力に基づいて電力供給完了信号を出力する。
ステップS114において、撮影許可指示部384は、電力供給完了出力部388からの電力供給完了信号の入力に基づいて、コンソール1004や携帯端末42に撮影許可を示すメッセージを出力する。
図33のステップS115において、オペレータ38は、搬送先の現場において、放射線撮影の準備を行う。この撮影の準備について詳述したのでここではその説明を省略する。
ステップS116において、オペレータ38は、曝射スイッチ48を操作して被写体50に対する撮影を開始させる。このとき、カウンタ380は計数値を+1更新する。
上述したステップS116において曝射スイッチ48が操作された時点で、ステップS117において、電力供給制限部338は、所定期間にわたって供給制限信号を電力制御部334に出力する。電力制御部334は、供給制限信号が入力されている期間にわたって電力供給を制限する。
ステップS118において、残量予測更新部392は、残量情報テーブルに記録されているバッテリ残量(撮影を行っている放射線源本体部18及びカセッテ本体部12のバッテリ残量)を減算更新する。具体的には、撮影を行っている放射線源本体部18及びカセッテ本体部12について、撮影条件、使用履歴テーブルに基づいて、曝射1回毎の各電力消費量を計算し、残量情報テーブルに記録されている当該放射線源本体部18及びカセッテ本体部12のバッテリ残量から差し引く。
ステップS119において、電力の再供給が必要か否かが判別される。この判別は、いずれかの機器の電力供給制御部374から撮影不能信号が出力されたかどうかで行われる。
再供給が必要であれば、ステップS120に進み、撮影中断指示部378は、コンソール1004や携帯端末42に撮影中断を示すメッセージを出力する。携帯端末42の表示画面には撮影中断を示すメッセージが表示され、好ましくはアラームが音声出力されることによって、オペレータ38に撮影中断を促す。
その後、ステップS121において、再供給指示部382は、再供給指示信号を電力供給経路設定部370、電力供給量設定部372及び電力管理部390に出力する。
ステップS122において、電力供給経路設定部370は、入力された再供給指示信号に含まれるIDに対応する機器に電力が供給される経路を、再供給経路として設定し、設定された再供給経路に基づいて各機器の電力供給制御部374に供給元指示信号又は供給先指示信号を出力する。
ステップS123において、電力管理部390の消費電力量予測部414は、充電条件(予めメモリ330に格納)、今回の撮影条件(撮影枚数やmAs値等)のうち、既に撮影が終了した分(計数値が示す撮影分)を除く、撮影の撮影条件(これから行われる撮影の撮影条件)から、当該IDの機器(再供給対象の放射線源本体部18又はカセッテ本体部12)の消費電力量を算出し、さらに、使用履歴(使用回数に対応した係数)を乗算補正して、これから行われる撮影で消費される当該IDの機器の電力量を予測する。
ステップS124において、電力供給量設定部372は、消費電力量予測部414にて予測された電力量を再供給電力量として設定し、設定された再供給電力量の情報を、それぞれ該当する機器の電力供給制御部374に供給する。
ステップS125において、電力供給制御部374は、供給元指示信号が入力された場合は、バッテリ308に対して電力を出力するように制御し、供給先指示信号が入力された場合は、バッテリ308に対して電力を入力するように制御する。そして、バッテリ308に対する電力の供給、あるいはバッテリ308からの電力の出力が終了した段階で、供給終了信号を出力する。
ステップS126において、電力供給完了出力部388は、電力の再供給を行っている全ての機器の電力供給制御部374からの供給終了信号の入力に基づいて電力供給完了信号を出力する。
ステップS127において、撮影許可指示部384は、電力供給完了信号の入力に基づいて、コンソール1004や携帯端末42に撮影許可を示すメッセージを出力する。その後、ステップS116以降の処理に戻る。
上述のステップS119において、再供給の必要がないと判別された場合は、図34のステップS128に進み、撮影完了判別部386は、撮影が完了したか否かを判別する。この判別は、撮影条件の撮影回数とカウンタの計数値とを比較して行われ、計数値が撮影回数未満であれば、図33のステップS116に戻り、撮影が完了するまで該ステップS116以降の処理を繰り返す。撮影が完了すれば、図34のステップS129に進み、使用履歴更新部394は、使用履歴テーブルに記録されている使用回数(撮影を行っている放射線源本体部18及びカセッテ本体部12の使用回数)に、曝射スイッチ48の操作回数を加算する。
ステップS130において、残量情報転送部396は、残量情報テーブルをネットワークを介して医療機関のデータベースに転送し、更新する。
ステップS131において、使用履歴転送部398は、使用履歴テーブルをネットワークを介して医療機関のデータベースに転送し、更新する。
ステップS132において、電力制御部334を一時停止させる。具体的には、撮影完了判別部386は撮影完了信号を出力する。一時停止処理部340は、撮影完了判別部386からの撮影完了信号の入力に基づいて、電力制御部334に一時停止信号を出力する。電力制御部334は、一時停止処理部340からの一時停止信号の入力に基づいて電力供給制御を停止し、電力供給起動部336からの次の起動を待つ。
ステップS133において、起動/停止部332は、第1回診車1000Aが予め指定された区域に位置している否かを判別する。依然、第1回診車1000Aが予め指定された区域に位置しているときは、図32のステップS104に戻り、ステップS104以降の処理を繰り返す。一方、オペレータ38が、第1回診車1000Aを移動して、該第1回診車1000Aを予め指定された区域からその外へ搬送すると、図34のステップS134に進み、電力供給起動部336を完全に停止させる。具体的には、第1回診車1000Aが予め指定された区域からその外へ搬送されると、起動/停止部332から完全停止信号Sdが出力される。電力供給起動部336は、完全停止信号Sdの入力に基づいて動作を停止し、起動/停止部332からの次の起動を待つ。この段階で、第1放射線撮影装置10Aの処理動作が一旦終了する。その後、第1回診車1000Aが予め指定された区域(元の区域あるいは新たな区域)に搬送されると、ステップS102以降の処理が繰り返される。
次に、供給タイミング条件が撮影後供給の場合の動作を図35及び図36のフローチャートを参照しながら説明する。以下の説明では、主に電力管理部390による動作を示しているが、上述したカセッテ選択部364や集積供給部368等を含めてもよい。
先ず、図35のステップS201において、起動/停止部332は、第1回診車1000Aが予め指定された区域(区域情報テーブル331に登録された区域情報が示す場所)に位置しているか否かを判別する。オペレータ38が、第1回診車1000Aを移動して、予め指定された区域に第1回診車1000Aを搬送すると、ステップS202に進み、起動/停止部332は、起動信号Scを出力する。
その後、ステップS203において、電力供給許可指示部350は、撮影条件の入力を促すメッセージをコンソール1004や携帯端末42に出力、及び/又はパイロットランプを点灯(消灯)する。
ステップS204において、オペレータ38は、搬送先の現場において、放射線撮影の準備を行う。その後、ステップS205において、オペレータ38は、曝射スイッチ48を操作して被写体50に対する撮影を開始させる。
ステップS206において、電力の再供給が必要か否かが判別される。この判別は、いずれかの機器の電力供給制御部374から撮影不能信号が出力されたかどうかで行われる。
再供給が必要であれば、ステップS207に進み、撮影中断指示部378は、コンソール1004や携帯端末42に撮影中断を示すメッセージを出力する。その後、ステップS208において、再供給指示部382は、再供給指示信号を電力供給経路設定部370、電力供給量設定部372及び電力管理部390に出力して、電力供給経路設定部370、電力供給量設定部372及び電力管理部390を割り込み起動する。
ステップS209において、電力供給経路設定部370は、入力された再供給指示信号に含まれるIDに対応する機器に電力が供給される経路を、再供給経路として設定し、設定された再供給経路に基づいて各機器の電力供給制御部374に供給元指示信号又は供給先指示信号を出力する。
ステップS210において、電力管理部390の消費電力量予測部414は、充電条件(予めメモリ330に格納)、今回の撮影条件(撮影枚数やmAs値等)のうち、既に撮影が終了した分(計数値が示す撮影分)を除く、撮影の撮影条件(これから行われる撮影の撮影条件)から、当該IDの機器(再供給対象の放射線源本体部18又はカセッテ本体部12)の消費電力量を算出し、さらに、使用履歴(使用回数に対応した係数)を乗算補正して、これから行われる撮影で消費される当該IDの機器の電力量を予測する。
ステップS211において、電力供給量設定部372は、消費電力量予測部414にて予測された電力量を再供給電力量として設定し、設定された再供給電力量の情報を、それぞれ該当する機器の電力供給制御部374に出力する。
ステップS212において、電力供給制御部374は、供給元指示信号が入力された場合は、バッテリ308に対して電力を出力するように制御し、供給先指示信号が入力された場合は、バッテリ308に対して電力を入力するように制御する。そして、バッテリ308に対する電力の供給、あるいはバッテリ308からの電力の出力が終了した段階で、供給終了信号を出力する。
ステップS213において、電力供給完了出力部388は、電力の再供給を行っている全ての機器の電力供給制御部374からの供給終了信号の入力に基づいて電力供給完了信号を出力する。
ステップS214において、撮影許可指示部384は、電力供給完了信号の入力に基づいて、コンソール1004や携帯端末42に撮影許可を示すメッセージを出力する。その後、ステップS205以降の処理に戻る。
上述のステップS206において、再供給の必要がないと判別された場合は、ステップS215に進み、撮影完了判別部386は、撮影が完了したか否かを判別する。撮影が完了していなければ、ステップS205に戻り、撮影が完了するまで該ステップS205以降の処理を繰り返す。撮影が完了すれば、ステップS216に進み、電力供給起動部336は、撮影完了信号の入力に基づいて電力制御部334を起動する。この場合、撮影条件に予め登録された撮影に使用される放射線源本体部18又はカセッテ本体部12のIDと同一のIDの機器の電力供給起動部336のみが、対応する電力制御部334を起動する。
ステップS217において、機器接続検知部360は、第1エネルギ入出力部300又は第2エネルギ入出力部302に機器が接続されたか否かを検知する。
検知された段階で、次のステップS218に進み、電力管理部390のID取得部410は、接続された機器のIDを取得する。その後、ステップS219において、各種情報取得部412は、今回の撮影条件(既にメモリ330に格納されている)のほかに、IDに対応する残量情報テーブル、IDに対応する前回の撮影条件、IDに対応する使用履歴テーブルをネットワークを通じて医療機関から取得する。
ステップS220において、消費電力量予測部414は、充電条件のうちの供給量に関する条件、今回又は前回の撮影条件(撮影枚数やmAs値等)から、撮影に使用する放射線源本体部18及びカセッテ本体部12の消費電力量を予測する。
ステップS221において、電力供給経路設定部370は、予測された電力量、放射線源本体部18とカセッテ本体部12のバッテリ残量(残量情報テーブルの情報)に基づいて電力供給の経路を設定する。
その後、ステップS222において、電力供給量設定部372は、予測された電力量、放射線源本体部18とカセッテ本体部12のバッテリ残量(残量情報テーブルの情報)に基づいて供給すべき電力量(供給電力量)を設定する。
ステップS223において、電力供給制御部374は、供給元指示信号が入力された場合は、バッテリ308に対して電力を出力するように制御し、供給先指示信号が入力された場合は、バッテリ308に対して電力を入力するように制御する。そして、バッテリ308に対する電力の供給、あるいはバッテリ308からの電力の出力が終了した段階で、供給終了信号を出力する。
ステップS224において、情報更新部416は、残量情報テーブルのうち、電力の供給元となる機器の残量を供給電力量だけ減算して更新し、電力の供給先となる機器の残量を供給電力量だけ加算して更新する。
ステップS225において、電力供給完了出力部388は、電力供給を行っている全ての機器の電力供給制御部374からの供給終了信号の入力に基づいて電力供給完了信号を出力する。
ステップS226において、使用履歴更新部394は、使用履歴テーブルに記録されている使用回数(撮影を行っている線源及びカセッテの使用回数)に、曝射スイッチ48の操作回数を加算する。
ステップS227において、残量情報転送部396は、残量情報テーブルをネットワークを介して医療機関のデータベースに転送し、更新する。また、ステップS228において、使用履歴転送部398は、使用履歴テーブルをネットワークを介して医療機関のデータベースに転送し、更新する。その後、ステップS229において、一時停止処理部340は、電力制御部334を一時停止させる。
ステップS230において、起動/停止部332は、第1回診車1000Aが予め指定された区域に位置している否かを判別する。依然、第1回診車1000Aが予め指定された区域に位置しているときは、図35のステップS203に戻り、ステップS203以降の処理を繰り返す。一方、オペレータ38が、第1回診車1000Aを移動して、該第1回診車1000Aを予め指定された区域からその外へ搬送すると、図36のステップS231に進み、電力供給起動部336を完全に停止させる。具体的には、第1回診車1000Aが予め指定された区域からその外へ搬送されると、起動/停止部332から完全停止信号Sdが出力される。電力供給起動部336は、完全停止信号Sdの入力に基づいて動作を停止し、起動/停止部332からの次の起動を待つ。この段階で、第1放射線撮影装置10Aの処理動作が一旦終了する。その後、第1回診車1000Aが予め指定された区域(元の区域あるいは新たな区域)に搬送されると、図35のステップS202以降の処理が繰り返される。
一方、コンソール1004を使った電力供給として、上述した電力供給方法とは異なった方法を採用することができる。例えばコンソール1004のバッテリ部304に対して放射線源本体部18のバッテリ308に蓄積された電力の全部又は一部と、カセッテ本体部12のバッテリ308に蓄積された電力の全部又は一部とを集電する処理である。
ここで、集電処理を実現する集電部420について図37及び図38を参照しながら説明する。
集電部420は、バッテリ制御部306に組み込まれ、集電を指示する操作(例えばコンソール1004の表示部1010に表示されている集電を示すアイコンへの左クリック等)に基づいて起動する。そして、この集電部420は、図37に示すように、上述した機器接続検知部360と、集電用ID取得部422と、集電用情報取得部424と、集電用供給経路設定部426と、集電量設定部428と、上述した電力供給制御部374と、上述した残量検知部376と、集電用残量更新部430と、集電用残量情報転送部432とを有する。
ここで、集電部420の構成の内訳及び動作を図38のフローチャートも参照しながら説明する。
先ず、機器接続検知部360は、第1エネルギ入出力部300又は第2エネルギ入出力部302に機器(放射線源本体部18又はカセッテ本体部12)が接続されたか否かを検知する(図38のステップS301)。
集電用ID取得部422は、接続された機器に対してIDの転送要求を行う。各機器は転送要求に基づいて集電部420にIDを出力することから、入力されたIDを取得してメモリ330(図20参照)に登録する(ステップS302)。
集電用情報取得部424は、各IDに対応する残量情報テーブルを取得し、メモリ330に格納する(ステップS303)。
集電用供給経路設定部426は、第1エネルギ入出力部300に接続された機器からコンソール1004への経路を設定し、第2エネルギ入出力部302に接続された機器からコンソール1004への経路を設定する。設定された供給経路に基づいて、集電用供給経路設定部426から各機器の電力供給制御部374に供給元指示信号が出力される(ステップS304)。
集電量設定部428は、コンソール1004の操作部1008(キーボードやマウス)を使って集電量を設定する。集電量は、コンソール1004の第1エネルギ入出力部300に接続された機器からコンソール1004のバッテリ308に供給する第1電力量と、コンソール1004の第2エネルギ入出力部302に接続された機器からコンソール1004のバッテリ308に供給する第2電力量の合計を指す。設定された第1電力量及び第2電力量は、それぞれ該当する機器の電力供給制御部374に供給される(ステップS305)。
各機器の電力供給制御部374は、供給元指示信号が入力されることから、バッテリ308に対して電力を出力するように制御する。コンソール1004の電力供給制御部374は、供給先指示信号が入力されることから、バッテリ308に対して電力を入力するように制御する(ステップS306)。残量検知部376からの残量に基づいて一定の充電速度(又は放電速度)でバッテリ308への電力供給あるいはバッテリ308からの電力供給を行うように制御する。供給する電力量が少なければ、急速充電(放電)も可能である。
集電用残量更新部430は、残量情報テーブルのうち、第1エネルギ入出力部300に接続されている機器のIDに対応するバッテリ残量から第1電力量を減算更新し、第2エネルギ入出力部302に接続されている機器のIDに対応するバッテリ残量から第2電力量を減算更新する(ステップS307)。
集電用残量情報転送部432は、集電用残量更新部430での更新処理が終了した段階で、残量情報テーブルをネットワークを介して医療機関のデータベースに転送し、更新する(ステップS308)。
この集電部420は、場所や時間にかかわりなく、例えば操作部1008への操作入力によって起動するようにしてもよい。例えば医療機関に運び込まれているときに、集電部420を起動して、コンソール1004のバッテリ308に電力を集電しておき、第1回診車1000Aを現場に搬送したとき、撮影に使用する放射線源本体部18とカセッテ本体部12にコンソール1004から電力供給するようにしてもよい。このとき、電力管理部390によって撮影に最適な電力量が放射線源本体部18とカセッテ本体部12に供給されることになる。もちろん、現場においても集電部420を起動して、例えば劣化が激しく撮影に使用できない放射線源本体部18やカセッテ本体部12から電力をコンソール1004に集電し、撮影に使用する放射線源本体部18やカセッテ本体部12に電力を供給するようにしてもよい。
また、コンソール1004を使用する場合は、1以上の第1放射線撮影装置10Aにおける各放射線源本体部18への電力供給状況(バッテリの残量)、各カセッテ本体部12への電力供給状況(バッテリの残量)を、ガイダンスとして、コンソール1004の表示部1010に表示(ガイダンス表示)するようにしてもよい。オペレータ38は、ガイダンス表示を見て、バッテリ308の残量を確認することで、どの第1放射線撮影装置10Aを使用すべきか、あるいはどの放射線源本体部18とどのカセッテ本体部12の組合せを使用すべきかを容易に判断することが可能となる。上述のようなガイダンス表示を行う場合は、各残量検知部376からの残量情報を利用してもよいし、残量情報テーブルの情報を利用してもよい。
このように、第1回診車1000Aにおいては、予め指定された区域以外では電力供給が阻止されるため、無駄に電力供給する必要がなくなり、低消費電力を図ることができる。
また、起動/停止部332として、第1起動/停止部332A及び第2起動/停止部332Bを採用した場合は、病院内の病室よりは、在宅患者の家や、被災地等の屋外で利用する場合に好適である。起動/停止部332として、第3起動/停止部332Cを採用した場合は、基地局333を、病院内の病室、在宅患者の家や施設、被災地であれば救護班が設置されたテント、集団検診であれば検診車やテント等に設置することで、指定された区域を簡単に設定することができる。なお、例えば病院内については、1つの病室に1つの基地局333を設置してもよいが、撮影メニューの患者がいる病室を含めた複数の病室を1つの基地局333で管轄させるようにしてもよい。起動/停止部332として、第4起動/停止部332Dを採用した場合は、RFIDを、病室の入口、検診対象の患者がいる自宅の玄関あるいは施設の入口、地域の管理地区(被災地であれば救護班が設置されたテント、集団検診であれば検診車やテント等)の入口等に設置することで、指定された区域を簡単に設定することができる。
予め指定された区域として、在宅患者の家を登録することで、被検者に対する放射線撮影を在宅で容易に行うことができる。
また、予め指定された区域として、家庭用の電源等を新エネルギーで賄う地域を登録すれば、該地域での放射線撮影において、新エネルギーにて発電された電力の消費をなるべく抑えるために、第1回診車1000Aを利用することができる。
また、事故現場、被災現場、医療機関(放射線設備がない診療所等)において、放射線撮影が必要な事態が発生した際に、第1回診車1000Aを現場まで運搬して、GPS等を使用して迅速に、現場を、「予め指定された区域」として設定することができる。これにより、被害者、被災者、患者を無理に移動させずに(検診車のところや、撮影室まで連れて行く等をせずに)、迅速に放射線撮影を開始することが可能となる。もちろん、現場に基地局やRFIDを設置することでも簡単に、「予め指定された区域」として設定することができる。
また、第1回診車1000Aにおいては、絶対位置による場所の設定のほか、相対位置による場所の設定を行うことができる。この相対位置による場所の設定によれば、例えばオペレータが交通機関に乗っている場合に、当該交通機関を予め設定された場所として指定することで、該交通機関の現在位置が、相対位置を示す領域情報として区域情報テーブル331に登録され、しかも、交通機関の移動によって領域情報も定期的に変化することから、上述した現在位置と絶対位置による領域情報との比較判別と同様の処理で、現在位置と相対位置による領域情報との比較判別を行うことができる。これは、予め指定された区域として、建物や土地等のように移動しない場所のほか、救急車、移動診断車、鉄道、船舶、航空機等の交通機関のように移動する物体(場所)も設定することができ、例えば交通機関内において、被害者、被災者、患者を無理に移動させずに(放射線設備のある病院等に連れて行く等をせずに)、迅速に放射線撮影を開始することが可能となる。もちろん、上述した交通機関に基地局333やRFIDを設置することによっても、簡単に、交通機関を指定された区域として設定することができる。
また、電力制御部334が、放射線源本体部18からカセッテ本体部12への経路に沿ってのみ電力を供給するように制御する場合に、カセッテ本体部12のバッテリ308として、内蔵コンデンサを用いることで、カセッテ本体部12用のバッテリ308を用意する必要がなくなる。同様に、電力制御部334が、カセッテ本体部12から放射線源本体部18への経路に沿ってのみ電力を供給するように制御する場合に、放射線源本体部18のバッテリ308として、内蔵コンデンサを用いることで、放射線源本体部18用のバッテリ308を用意する必要がなくなる。
もちろん、バッテリ308として内蔵コンデンサを設置した第1放射線撮影装置10Aと、バッテリ308として二次電池を設置した第1放射線撮影装置10Aとで、役割を変えることも可能となる。二次電池は、正極と負極の化学変化を利用した充放電可能な電池であり、容量は大きいが、急速充電には向かない。一方、コンデンサは、電荷を静電気力で蓄えることから、容量はそれほど大きくないが、急速充電に向くという特徴を有する。そこで、撮影枚数が多い場合は、二次電池を設置した第1放射線撮影装置10Aを使用し、1枚でも構わないからすぐに撮影したい場合は内蔵コンデンサを設置した第1放射線撮影装置10Aを使用するという態様を提供することができる。この場合、上述したガイダンス表示を利用することができる。すなわち、上述したガイダンス表示は、第1回診車1000Aに設置された1以上の第1放射線撮影装置10Aの電力供給状況(バッテリの残量)を、ガイダンスとして、例えばコンソール1004の表示部1010に表示(ガイダンス表示)するものであるが、このガイダンス表示に、各第1放射線撮影装置10Aのバッテリ308の種類も表示させ、各第1放射線撮影装置10Aの電力供給状況とバッテリ308の種類から、今回の撮影条件(撮影枚数が多い場合や、1枚でも構わないからすぐに撮影したい場合等)に合った第1放射線撮影装置10Aを容易に選択することができる。
なお、台車1002が電動式で移動するタイプのものであれば、台車1002の電動駆動系に電力を供給するためのバッテリを用意すればよい。この場合、第1放射線撮影装置10Aやその他の機器への電力供給は必要ないため、台車1002を移動のための電力を確保できればよく、従来のような専用のバッテリ(鉛蓄電池等)を使用する必要がなくなり、例えば小型のリチウム電池等で十分である。
このようなことから、台車1002が電動式で移動するタイプのものであっても、第1回診車1000Aを軽量化することができ、使い勝手がよくなる。医療現場等、場所を選ばずにバッテリ交換も可能となる。これは、回診車のための充電設備の設置が不要になることにつながる。その結果、第1回診車1000Aを充電設備まで戻るまでの電力を確保する必要がない。放射線撮影のための電力を十分に確保することができる。再撮影、臨時の追加撮影にも迅速に対応することができる。簡単にバッテリ交換ができるため、1つの地域に第1回診車1000Aを持っていき、1以上の家に訪問して、在宅患者に対する放射線撮影を行うことが可能となる。
そして、事故現場、被災現場、救急車内(停車中含む)、鉄道、船舶、航空機等の交通機関において、放射線撮影が必要な事態が発生した場合に、被害者、被災者等のところまで第1回診車1000Aを移動することができるため、被害者、被災者等を無理に移動させずに(病院まで連れて行く等)、迅速に撮影開始可能となる。また、交通機関であれば、駅、港、空港に着くまで待つことなく、迅速に撮影開始可能となる。救急車内での撮影であれば、病院に到着するまでに、放射線画像情報を医療機関に送信が可能となる。その結果、被害者の容態を事前に知ることができ、適切で迅速な準備、処置が期待できる。
また、学校や大企業等の被検者の数が多いところでの定期健診や臨時検診に、1台以上の第1回診車1000Aを車両等で運搬することが可能となる。通常、検診車(大型車両)は1台だけ提供されることから、学校等のように被検者の数が多いところでは、被検者に長い時間待たせることがあったが、1台以上の第1回診車1000Aが収容する複数の第1放射線撮影装置10Aを並行して活用することで、撮影の待ち時間を大幅に短縮することができる。
電力の供給経路についても、有線接続による経路や無線給電による経路を設定することができ、例えば撮影に使用する当該放射線源本体部18から当該カセッテ本体部12への経路、撮影に使用しない他の放射線源本体部18から撮影に使用する当該カセッテ本体部12への経路、撮影に使用しない他のカセッテ本体部12から当該カセッテ本体部12への経路を設定することができる。また、当該カセッテ本体部12から当該放射線源本体部18への経路、他のカセッテ本体部12から当該放射線源本体部18への経路、他の放射線源本体部18から当該放射線源本体部18への経路を設定することができる。無線給電は、機器が無線給電が可能なエリア内に入った時点で電力供給を開始することができる。
例えば当該放射線源本体部18から当該カセッテ本体部12への供給経路に固定した場合、あるいは当該カセッテ本体部12から当該放射線源本体部18への供給経路に固定した場合、供給元の電力を確認するだけでよい等、準備作業が簡素化され、迅速に撮影を行うことができる。
また、例えば第1エネルギ入出力部300を有線接続用とし、第2エネルギ入出力部302を無線接続用とすることで、電力供給のための複合的な接続が可能となる。その結果、当該放射線源本体部18から当該カセッテ本体部12への経路及び他の放射線源本体部18への経路、当該放射線源本体部18から当該カセッテ本体部12への経路及び他のカセッテ本体部12への経路、当該カセッテ本体部12から当該放射線源本体部18への経路及び他のカセッテ本体部12への経路、当該カセッテ本体部12から当該放射線源本体部18への経路及び他の放射線源本体部18への経路を設定することができる。
また、カセッテ本体部12から放射線源本体部18に電力を供給する場合に、優先的に劣化具合の多いカセッテ本体部12、内蔵メモリ残量の少ないカセッテ本体部12の電力を放射線源本体部18に供給するようにしたので、劣化具合の少ないカセッテ本体部12、内蔵メモリ残量の多いカセッテ本体部12の電力を温存させることができ、緊急時にも迅速に対応することができる。
同様に、カセッテ本体部12から放射線源本体部18に電力を供給する場合に、優先的に放射線源本体部18に近いカセッテ本体部12の電力を放射線源本体部18に供給するようにしたので、電力供給にかかる時間を短縮することができ、緊急時にも迅速に対応することができる。
同様に、カセッテ本体部12から放射線源本体部18に電力を供給する場合に、優先的に小さいサイズのカセッテ本体部12の電力を放射線源本体部18に供給するようにしたので、汎用性ある大きいサイズのカセッテ本体部12の電力を温存させることができ、緊急時にも迅速に対応することができる。
また、電力管理部390を有することから、撮影枚数に必要な電力を管理して、各機器におけるバッテリ308の残量を融通し合うように電力供給制御することができるため、例えば不足分を剰余側から電力供給することが可能となり、また、撮影に使用しないその他の機器から撮影に使用する当該機器に対して撮影に必要な電力を供給する、あるいは当該機器のバッテリ残量を少なくとも撮影に必要な電力にすること可能となる。その結果、放射線源本体部18やカセッテ本体部12に対して効率的に電力を供給することができ、緊急時にも迅速に対応することができる。また、電力管理部390を有することで、第1放射線撮影装置10Aの放射線源本体部18及びカセッテ本体部12並びに第1回診車1000Aに、電力消費の大きいプリンタ170a、170b、170cを設置することも可能となる。
電力の供給タイミングを任意に決定することができ、例えば撮影前に電力供給するように供給タイミングを設定すれば、撮影に必要な電力を確保でき、無駄な電力消費がない。しかも、撮影枚数に必要な電力を予測して電力供給するため、電力供給を効率よく行うことができる。撮影後に電力供給するように供給タイミングを設定すれば、少なくとも1回の撮影に必要な電力は確保できていることから、迅速に次の撮影を行うことができる。
また、撮影中の放射線画像情報にノイズが混入するおそれがある期間での電力の供給を制限するようにしたので、放射線画像情報の画質劣化を回避しながらも、無駄な電力消費を抑えることができ、低消費電力を図ることができる。
上述の例では、各機器にそれぞれバッテリ制御部306を設けた例を示したが、以下の構成を採用するようにしてもよい。すなわち、バッテリ制御部306の各種構成要素のうち、電力供給制御部374と残量検知部376を各機器に設け、その他の構成要素を、例えば撮影に使用する放射線源本体部18、カセッテ本体部12及びコンソール1004のうち、いずれか1つのみに設けるようにしてもよい。また、電力制御部334のうち、電力管理部390のみを、撮影に使用する放射線源本体部18、カセッテ本体部12及びコンソール1004のいずれか1つに設けるようにしてもよい。
また、この第1回診車1000Aの移動時には、第1放射線撮影装置10Aの放射線源本体部18とカセッテ本体部12とを連結機構82により一体的に連結固定した状態で第1回診車1000Aの棚1036に収納するようにしたので、第1回診車1000Aの移動時に、放射線源本体部18やカセッテ本体部12等が落下することが回避される。また、放射線源本体部18等を手で押さえながら第1回診車1000Aを移動する必要がないため、第1回診車1000Aの移動操作が簡単になり、スムーズに第1回診車1000Aを移動させることが可能となる。
撮影時には、第1回診車1000Aの棚1036から第1放射線撮影装置10Aを取り出して、放射線源本体部18とカセッテ本体部12とを分離した後に、放射線源本体部18をアーム部1006の先端部1006aに装着し、カセッテ本体部12を放射線源本体部18に対向して配置すればよいため、撮影準備を簡単に且つ短時間で行うことが可能となる。
さらに、コンソール1004を用いて、該コンソール1004から各種機器に電力供給が可能となるため、コンソール1004から撮影に使用する当該放射線源本体部18への経路、コンソール1004から撮影に使用する当該カセッテ本体部12への経路を設定することができる。また、コンソール1004を供給元として、コンソール1004から当該放射線源本体部18への経路及びコンソール1004から当該カセッテ本体部12への経路を設定することができる。その他、コンソール1004を仲介として、当該放射線源本体部18からコンソール1004、コンソール1004から当該カセッテ本体部12への経路、当該カセッテ本体部12からコンソール1004、コンソール1004から当該放射線源本体部18への経路を設定することができる。
従って、コンソール1004から放射線源本体部18やカセッテ本体部12に電力を供給、あるいはコンソール1004を経由して放射線源本体部18とカセッテ本体部12相互間で電力を供給することができるため、コンソール1004において電力管理を集中して行うことができ、効率的に、放射線源本体部18とカセッテ本体部12相互間の電力供給を行うことができる。しかも、1以上の放射線源本体部18、1以上のカセッテ本体部12からコンソール1004に集電させることが可能になるため、コンソール1004が一種の蓄電池機能を果たすことになり、効率的な電力管理を実現させることができ、必要なときに電力供給が途絶える等の不都合を回避することができる。
上述した第1回診車1000Aでは、第1放射線撮影装置10Aへの、血液やその他の雑菌が付着するおそれを防止するために、例えば、第1放射線撮影装置10A全体を防水性、密閉性を有する構造とし、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1つの第1放射線撮影装置10Aを繰り返し続けて使用することができる。
また、第1放射線撮影装置10Aと外部機器との間での無線通信は、通常の電波による通信に代えて、赤外線等を用いた光無線通信で行うようにしてもよい。
第1実施形態では、図39に示すように、メジャー72がない構成としてもよい。この場合であっても、メジャー72以外の構成要素による効果が容易に得られる。
さらに、上記の説明では、連結機構82の主要な構成要素がカセッテ本体部12に配置されている場合について説明したが、放射線源本体部18に連結機構82を配置しても、上述した各効果が容易に得られる。
また、第1放射線撮影装置10Aとして、以下のような変形例も考えられる。
すなわち、図40は、ロック解除ボタン34及びフック部64等を放射線源本体部18に設けた変形例を示す。
この場合、カセッテ本体部12の側面14aには、保持部材16a、16bが形成されておらず、一方で、放射線源本体部18における側面14a側は、側面14aに対応して平坦な形状とされている。そして、放射線源本体部18の両端部にロック解除ボタン34が設けられ、平坦部分における両端部近傍に孔62、フック部64が設けられると共に、前記平坦部分における一方の端部側に接続端子68a、68bが配置されている。
これに対して、カセッテ本体部12の側面14aには、孔62に対向して孔66が設けられると共に、接続端子68a、68bに対向して接続端子70a、70bが設けられている。
図40の第1放射線撮影装置10Aでは、放射線源本体部18の平坦部分と、カセッテ本体部12の側面14aとを対向させた状態で、フック部64を孔66に係合させると共に、接続端子68a、68bと接続端子70a、70bとをそれぞれ係合させることにより、放射線源本体部18とカセッテ本体部12とが一体的に連結固定される。
この変形例においても、上述した各効果を容易に得ることができる。
また、図40の例では、ロック解除ボタン34が放射線源本体部18の両端部に設けられているので、オペレータ38は、ロック解除ボタン34を押しながらカセッテ本体部12から放射線源本体部18を取り外すだけで、放射線源本体部18とカセッテ本体部12との一体的な連結固定状態を容易に解除させることができる。
さらに、第1実施形態では、例えば病院内の必要な箇所に、図41に示すように、第1放射線撮影装置10Aのバッテリ308の充電を行うクレードル220を配置すると好適である。この場合、クレードル220は、バッテリ308の充電だけでなく、クレードル220の無線通信機能又は有線通信機能を用いて、例えば病院内の外部機器との間で必要な情報の送受信を行うようにしてもよい。送受信する情報には、クレードル220に装填された第1放射線撮影装置10Aに記録された放射線画像を含めることができる。
また、クレードル220に表示部222を配設し、この表示部222に対して、装填された当該第1放射線撮影装置10Aの充電状態や、第1放射線撮影装置10Aから取得した放射線画像を含む必要な情報を表示させるようにしてもよい。
さらに、複数のクレードル220をネットワークに接続し、各クレードル220に装填されている第1放射線撮影装置10Aの充電状態をネットワークを介して収集し、使用可能な充電状態にある第1放射線撮影装置10Aの所在を確認できるように構成することもできる。
次に、第2の実施形態に係る移動型の放射線画像撮影装置(以下、第2回診車1000Bと記す)について図42〜図50を参照しながら説明する。
この第2回診車1000Bは、上述した第1回診車1000Aと同様の構成を有するが、図42に示すように、台車1002に、後述する1以上の可搬型の第2放射線撮影装置10Bが収容されている点で異なる。
第2放射線撮影装置10Bは、図43に示すように、上述した第1放射線撮影装置10Aと同様の構成を有するが、保持部材16a、16bが形成される側面14aとは反対側の側面14bには、カセッテ本体部12から検出用スクリーン250の一部が僅かに引き出され、該検出用スクリーン250の先端部にウェイトバー252が連結されている点で異なる。カセッテ本体部12の残り2つの側面14c、14dのうち、一方の側面14cには、例えば有線や無線による電力等の入出力が行われる第1エネルギ入出力部300又は第2エネルギ入出力部302(図19参照)と、外部機器との間で情報の送受信が可能なインターフェース手段としてのUSB端子28と、メモリカード30を装填するためのカードスロット32と、後述するロック解除ボタン34とが設けられている。さらにまた、上面254には、カセッテ本体部12から取り外し可能であり、且つ、表示部36と、オペレータ38が操作する操作部40とが配置された携帯端末42が装着されている。一方、放射線源本体部18には、後述する放射線源44からの放射線46の出力を開始させるための曝射スイッチ48(図13参照)が設けられている。
この第2回診車1000Bにおいても、病院内の病室や在宅患者の家のほか、被災地等の災害現場に運搬(移動)されるため、第2放射線撮影装置10Bのカセッテ本体部12及び放射線源本体部18の少なくとも電気系統を囲う部分は密閉構造を採用する場合があり、従って、給電方式としては、有線接続等による接触給電よりは、無線接続等による非接触給電が望ましい。
なお、図43及び図44は、オペレータ38が第2放射線撮影装置10Bを台車1002の棚1036から取り出した状態を示している。この場合、カセッテ本体部12と放射線源本体部18とは一体的に連結固定された状態にある。
ここで、可搬型の第2放射線撮影装置10Bの詳細構成について図43〜図50を参照しながら説明する。
図49に示すように、上面254には、内方に凹んだ凹部54が形成され、この凹部54に携帯端末42が装着可能である。カセッテ本体部12の内部には、図45及び図46に示すように、放射線46を透過させる材料からなり且つ可撓性を有する検出用スクリーン250をロール状に巻き取って収容するロールスクリーン構造の収容ボックス256が配置されている。収容ボックス256の側部には、収容ボックス256からの検出用スクリーン250の引き出し量を検出するロータリーエンコーダ258が取り付けられている。さらに、側壁52bには、収容ボックス256から検出用スクリーン250を引き出すためのスロット260が形成されている。
従って、カセッテ本体部12から離間する方向にオペレータ38がウェイトバー252を引くことによって、収容ボックス256からスロット260を介して検出用スクリーン250を外部に引き出す(伸長する)ことができる。すなわち、検出用スクリーン250は、搬送時には、収容ボックス256内においてロール状に巻き取られた状態で収容されているが、一方で、撮影時に、オペレータ38によるウェイトバー252の操作によって外部に引き出されたときには、放射線源本体部18に対して略平面状に配置(伸長、展開)された状態となる(図47、図49及び図50参照)。なお、検出用スクリーン250の両側部には、該検出用スクリーン250の引き出し方向に沿って目盛262が振られている。
検出用スクリーン250の内部には、図48に示すように、放射線源44から被写体50に放射線46を照射した際に、被写体50による放射線46の散乱線を除去するグリッド84、被写体50を透過した放射線46を検出する放射線検出器86、及び、放射線46のバック散乱線を吸収する鉛シート89が、検出用スクリーン250における被写体50側の照射面20(図47〜図50に示す検出用スクリーン250の上面)に対して順に配設される。なお、照射面20をグリッド84として構成してもよい。また、グリッド84、放射線検出器86及び鉛シート89も可撓性を有する。
被写体50に放射線46を照射して、放射線画像の撮影を行う場合には、放射線源44の焦点122と該焦点122直下の放射線検出器86の位置124(図48参照)との間の距離(撮影間距離)を線源受像画間距離(SID)に予め設定し、且つ、収容ボックス256から引き出し量l3だけ外部に引き出された検出用スクリーン250の一部の照射面20における中心位置126と、該照射面20における放射線46の照射範囲の中心位置とを一致させる作業を含めた撮影準備作業を行う必要がある。
この場合、オペレータ38は、図47〜図49に示すように、カセッテ本体部12から放射線源本体部18が離間した状態で、メジャー72からの帯部材76の引き出し量がSIDに応じた引き出し量l1となるまで該帯部材76を引き出す。また、レーザポインタ104は、線源制御部102からの制御に従って照射面20にレーザ光128を投光することにより、放射線46を照射面20に照射したときの該放射線46の照射範囲の中心位置を十字状のマーク130として照射面20に表示する。
照射面20には目盛262しか表示されていないので、オペレータ38は、例えば、目盛262を見ながら照射面20の中心位置126を特定する。また、位置124及び中心位置126と帯部材76が引き出される孔80が設けられた側面14aとの間の距離l2と、SIDに応じた引き出し量l1と、SIDとの間では、概ね、SID≒(l12−l22)1/2の関係が成り立つ。
従って、引き出し量l1だけメジャー72から帯部材76を引き出した後に、照射面20に表示されたマーク130の位置と、中心位置126とが一致するように放射線源本体部18の位置を調整し、その後、図50に示すように、オペレータ38による曝射スイッチ48の投入に起因して、放射線源44から照射面20上に配置された被写体50に放射線46を照射することで、被写体50に対する放射線画像の撮影を適切に行うことが可能となる。なお、図50では、被写体50の手を撮影する場合について図示している。
第2回診車1000Bにおいても、上述した図30〜図36に示す動作を行うが、撮影の準備から放射線画像情報を得るまでの動作については、以下のように行われる。
すなわち、搬送先の現場において、携帯端末42の操作部40(あるいはコンソール1004の操作部1008)を操作することにより、撮影対象である被写体50に関わる被写体情報(例えば、SID)等の撮影条件を登録する。オペレータ38は、先ず、ウェイトバー252を引っ張って、被写体50の撮影部位に対する撮影に必要な長さ(引き出し量l3)だけの検出用スクリーン250を収容ボックス256から引き出す(伸長する)。ロータリーエンコーダ258は、検出用スクリーン250の引き出し量l3を検出してSID判定部168に通知する。
次に、オペレータ38がロック解除ボタン34を押すと、バネ部材60の弾発力に抗してフック部64が側壁52d側に変位するので、フック部64と孔66との係合状態が解除される。
そして、前記係合状態の解除中(ロック解除ボタン34を押したままの状態)に、オペレータ38がカセッテ本体部12から放射線源本体部18を取り外すと、接続端子68aと接続端子70aとの係合状態と、接続端子68bと接続端子70bとの係合状態とが共に解除されて、カセッテ本体部12と放射線源本体部18との一体的な連結固定状態が解除される。連結が解除された放射線源本体部18は、アーム部1006の先端部1006aに装着される。
その後、オペレータ38は、撮影間距離の設定作業と、照射面20に表示されるマーク130と中心位置126とを一致させる設定作業とを行った後に、照射面20と放射線源本体部18との間に被写体50を配置して、該被写体50の位置決めを行う。この場合、オペレータ38は、先ず、放射線源本体部18を動かしてメジャー72からの帯部材76の引き出し量がSIDに応じた引き出し量l1となるまで該帯部材76を引き出す。
このようにして、マーク130の位置と中心位置126とが一致するように放射線源本体部18の位置を調整した後に、オペレータ38は、被写体50の撮影部位の中心が中心位置126(マーク130の位置)と一致するように、被写体50を照射面20上に配置(位置決め)する。
なお、放射線源本体部18は、上述の位置調整が行われた後は、例えば、図示しない保持部材により調整後の位置に固定される。
被写体50の位置決め後において、オペレータ38は、曝射スイッチ48を投入して被写体50に対する撮影を開始させる。
この第2回診車1000Bを用いた放射線画像撮影システムにおいても、上述した第1回診車1000Aを用いた放射線画像撮影システムと同様の効果を有する。
なお、第2回診車1000Bの移動時には、第2放射線撮影装置10Bの放射線源本体部18とカセッテ本体部12とを連結機構82により一体的に連結固定した状態で第2回診車1000Bの棚1036に収納するようにしたので、第2回診車1000Bの移動時に、放射線源本体部18やカセッテ本体部12等が落下することが回避される。また、放射線源本体部18等を手で押さえながら第2回診車1000Bを移動する必要がないため、第2回診車1000Bの移動操作が簡単になり、スムーズに第2回診車1000Bを移動させることが可能となる。また、撮影時には、第2回診車1000Bの棚1036から第2放射線撮影装置10Bを取り出して、放射線源本体部18とカセッテ本体部12とを分離した後に、放射線源本体部18をアーム部1006の先端部1006aに装着し、さらにカセッテ本体部12から検出用スクリーン250を引き出した(伸長した)後に、該検出用スクリーン250を放射線源本体部18に対向して配置すればよいため、撮影準備を簡単に且つ短時間で行うことが可能となる。
また、カセッテ本体部12内に配置された収容ボックス256は、可撓性を有し且つシート状の検出用スクリーン250をロール状に巻き取って収容する。従って、検出用スクリーン250は、第2回診車1000Bへの収納時には、収容ボックス256にロール状に巻き取られた状態となり、一方で、撮影時には、収容ボックス256から引き出されて平面状に展開される。これにより、第2放射線撮影装置10B全体の小型化並びに第2回診車1000B自体の小型化を容易に実現することができる。
従って、例えば第1回診車1000Aの第1放射線撮影装置10Aの収容個数と、第2回診車1000Bの第2放射線撮影装置10Bの収容個数を同じにした場合、第2回診車1000B自体のサイズを第1回診車1000Aよりも小さくすることができる。また、例えば第1回診車1000Aと第2回診車1000Bのサイズを同じにした場合に、第2回診車1000Bへの第2放射線撮影装置10Bの収容個数を第1回診車1000Aへの第1放射線撮影装置10Aの収容個数よりも多くすることができる。
もちろん、第1回診車1000Aにおいて、第1放射線撮影装置10Aと第2放射線撮影装置10Bとを組み合わせてもよいし、第2回診車1000Bにおいて、第2放射線撮影装置10Bと第1放射線撮影装置10Aとを組み合わせてもよい。
次に、第3の実施形態に係る移動型の放射線画像撮影装置(以下、第3回診車1000Cと記す)について図51〜図53を参照しながら説明する。
この第3回診車1000Cは、上述した第1回診車1000Aと同様の構成を有するが、図51に示すように、台車1002に、放射線源本体部18が収容される第1収容部1050と、カセッテ本体部12が収容される第2収容部1052と、画像読取装置1054とが設置されている点で異なる。
第3回診車1000Cで使用されるカセッテ本体部12は、内部に、蛍光体に放射線画像としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで放射線画像を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネル500(図53参照)が収容されている。放射線源本体部18は、上述した第1放射線撮影装置10A又は第2放射線撮影装置10Bの放射線源本体部18が使用される。図51では、3つのカセッテ本体部12と3つの放射線源本体部18が収容された例を示す。
画像読取装置1054は、図52に示すように、放射線撮影によって蓄積性蛍光体パネル500(図53参照)に蓄積された放射線エネルギを、励起光を照射することにより、放射線画像情報として読み取る読取部502と、該読取部502にて読み取られた放射線画像情報を記憶する画像メモリ504と、該画像メモリ504に記憶された放射線画像情報に対して画像処理(補正処理を含む)を行う画像処理部506と、当該画像読取装置1054を特定するための読取装置ID情報を記憶するIDメモリ508と、インタフェース510(I/F)と、外部機器(ネットワーク、放射線源本体部18等)との間で情報の送受信が可能な送受信機512とを有する。
また、この画像読取装置1054の例えば側面には、第1エネルギ入出力部300及び第2エネルギ入出力部302が配設されている。この場合、画像読取装置1054の第1エネルギ入出力部300と各放射線源本体部18の第1エネルギ入出力部300とを有線接続したり、画像読取装置1054の第2エネルギ入出力部302と各放射線源本体部18の第1エネルギ入出力部300とを無線接続するようにしてもよい。
さらに、画像読取装置1054の内部には、図52に示すように、上述したカセッテ本体部12や放射線源本体部18と同様のバッテリ部304、バッテリ制御部306が組み込まれている。なお、この第3回診車1000Cにおいても、病院内の病室や在宅患者の家のほか、被災地等の災害現場に運搬(移動)されるため、放射線源本体部18及び画像読取装置1054の少なくとも電気系統を囲う部分は密閉構造を採用する場合があり、従って、給電方式としては、有線接続等による接触給電よりは、無線接続等による非接触給電が望ましい。
また、この画像読取装置1054は、図53に示すように、ケーシング520の上部に、カセッテ装填部522が配設される。カセッテ装填部522に形成された装填口524には、放射線画像情報が蓄積記録された蓄積性蛍光体パネル500を収納したカセッテ本体部12が装填される。装填口524に近接して、カセッテ本体部12に配設されたバーコードの識別情報を読み取るバーコードリーダ526と、カセッテ本体部12の蓋部材528のロックを解除するロック解除機構530と、蓋部材528が開蓋されたカセッテ本体部12から蓄積性蛍光体パネル500を吸着して取り出す吸着盤532と、該吸着盤532によって取り出された蓄積性蛍光体パネル500を挟持搬送するニップローラ534とが配設される。
ニップローラ534に連設して、複数の搬送ローラ536a〜536g及び複数のガイド板538a〜538fが配設され、これらにより湾曲搬送路540が構成される。湾曲搬送路540は、カセッテ装填部522から下方向に延在した後、最下部において略水平状態となり、次いで、略鉛直上方向に延在する。これにより、画像読取装置1054の小型化が図られている。
ニップローラ534と搬送ローラ536aとの間には、読取処理が終了した蓄積性蛍光体パネル500に残存する放射線画像情報を消去するための消去部542が配設される。消去部542は、消去光を出力する冷陰極管等の消去光源544を有する。
湾曲搬送路540の最下部に配設される搬送ローラ536d、536e間には、プラテンローラ546が配設される。そして、プラテンローラ546の上部には、蓄積性蛍光体パネル500に蓄積記録された放射線画像情報を読み取る走査ユニット548が配設される。
走査ユニット548は、励起光であるレーザビームLBを導出して蓄積性蛍光体パネル500を走査する励起部550と、レーザビームLBによって励起されて出力される放射線画像情報に係る輝尽発光光を読み取る読取部502とを備える。
励起部550は、レーザビームLBを出力するレーザ発振器552と、レーザビームLBを蓄積性蛍光体パネル500の主走査方向に偏向する回転多面鏡であるポリゴンミラー554と、レーザビームLBを反射させ、プラテンローラ546上を通過する蓄積性蛍光体パネル500に導く反射ミラー556とを備える。
読取部502は、一端部がプラテンローラ546上の蓄積性蛍光体パネル500に近接して配置される集光ガイド558と、集光ガイド558の他端部に連結され、蓄積性蛍光体パネル500から得られた輝尽発光光を電気信号に変換するフォトマルチプライヤ560とを備える。なお、集光ガイド558の一端部には、輝尽発光光の集光効率を高めるための集光ミラー562が近接して配設される。フォトマルチプライヤ560によって読み取られた放射線画像情報は、該画像読取装置1054内に設置された画像処理部506において画像処理(補正処理を含む)が行われるようになっている。読取部502からの放射線画像情報は、図52に示すように、画像メモリ504に記憶され、さらに画像処理部506によって画像処理されて画像読取装置1054のID情報と共に送受信機512を通じてコンソール1004や医療機関に送信される。
そして、この第3回診車1000Cにて放射線撮影を行う場合は、第1収容部1050から放射線源本体部18を取り出してアーム部1006の先端部1006aに装着し、被写体50を挟んで放射線源本体部18と対向する所定位置に、照射面20を放射線源本体部18側とした状態でカセッテ本体部12を設置する。次いで、撮影スイッチを操作して撮影を行う。
放射線撮影後、カセッテ本体部12は、画像読取装置1054に装着され、カセッテ本体部12内の蓄積性蛍光体パネル500に蓄積された放射線画像情報が読み取られて画像メモリ504(図52参照)に記憶される。そして、この場合も、放射線画像情報は、送受信機512を介してコンソール1004や医療機関に転送される。
この第3回診車1000Cの動作においては、放射線源本体部18から画像読取装置1054への電力供給、又は画像読取装置1054から放射線源本体部18への電力供給を行うように制御が行われる。つまり、第1回診車1000A及び第2回診車1000Bの動作において、電力供給元及び電力供給先の対象が画像読取装置1054となる。従って、基本的には、電力制御部334は、図25(第1具体例)又は図26(第2具体例)に示す構成と同様の構成を有し、図30〜図36に示す処理動作と同様の処理動作を行うことになるが、カセッテ本体部12に関連する機能部、すなわち、カセッテ選択起動部362、カセッテ選択部364、集積供給起動部366、集積供給部368は組み込まれない。そのため、図30のステップのうち、カセッテ選択に関するステップS6及びステップS7、集積供給に関するステップS8及びステップS9が省略される。
また、この第3回診車1000Cにおいても、コンソール1004を用いて、該コンソール1004から各種機器に電力供給が可能となるため、コンソール1004から撮影に使用する当該放射線源本体部18への経路、コンソール1004から画像読取装置1054への経路を設定することができる。また、コンソール1004を供給元として、コンソール1004から当該放射線源本体部18への経路及びコンソール1004から画像読取装置1054への経路を設定することができる。その他、コンソール1004を仲介として、当該放射線源本体部18からコンソール1004、コンソール1004から画像読取装置1054への経路、画像読取装置1054からコンソール1004、コンソール1004から当該放射線源本体部18への経路を設定することができる。
従って、コンソール1004から放射線源本体部18や画像読取装置1054に電力を供給、あるいはコンソール1004を経由して放射線源本体部18と画像読取装置1054相互間で電力を供給することができるため、コンソール1004において電力管理を集中して行うことができ、効率的に、放射線源本体部18と画像読取装置1054相互間の電力供給を行うことができる。しかも、1以上の放射線源本体部18、画像読取装置1054からコンソール1004に集電させることが可能になるため、コンソール1004が一種の蓄電池機能を果たすことになり、効率的な電力管理を実現させることができ、必要なときに電力供給が途絶える等の不都合を回避することができる。
なお、撮影に使用した放射線源本体部18とカセッテ本体部12との関連付けは、カセッテ本体部12自体にメモリ330を有しないことから、例えばカセッテ本体部12の表面に貼着されたバーコード(ID情報)をバーコードリーダ526にて読み込み、例えばコンソール1004において、放射線源本体部18からのID情報と、読み込んだカセッテ本体部12のID情報とを関連付ければよい。
このように、第3回診車1000Cにおいては、放射線源本体部18から画像読取装置1054への経路に沿ってのみ電力を供給する、あるいは画像読取装置1054から放射線源本体部18への経路に沿ってのみ電力を供給する、というように、電力の供給経路を規制するようにしたので、無駄に電力供給する必要がなくなり、低消費電力を図ることができる。また、第3回診車1000Cにおいても、第1回診車1000A及び第2回診車1000Bと同様の効果を奏することとなる。
この第3回診車1000Cを用いた放射線画像撮影システムにおいても、上述した第1回診車1000Aや第2回診車1000Bを用いた放射線画像撮影システムと同様の効果を有する。
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。
例えば、放射線検出器86は、図54及び図55に示す変形例に係る放射線検出器600であってもよい。なお、図54は、変形例に係る放射線検出器600の3つの画素部分の構成を概略的に示した断面模式図である。
放射線検出器600は、図54に示すように、絶縁性の基板602上に、信号出力部604、センサ部606(光電変換部)、及びシンチレータ608が順次積層しており、信号出力部604及びセンサ部606により画素部が構成されている。画素部は、基板602上に行列状に複数配列されており、各画素部における信号出力部604とセンサ部606とが重なりを有するように構成されている。
シンチレータ608は、センサ部606上に透明絶縁膜610を介して形成されており、上方(基板602が位置する側とは反対側)から入射してくる放射線46を光に変換して発光する蛍光体を成膜したものである。シンチレータ608が発する光の波長域は、可視光域(波長360nm〜830nm)であることが好ましく、この放射線検出器600によってモノクロ撮像を可能とするためには、緑色の波長域を含んでいることがより好ましい。
シンチレータ608に用いる蛍光体としては、具体的には、放射線46としてX線を用いて撮像する場合、ヨウ化セシウム(CsI)を含むものが好ましく、X線照射時の発光スペクトルが420nm〜700nmにあるCsI(Tl)(タリウムが添加されたヨウ化セシウム)を用いることが特に好ましい。なお、CsI(Tl)の可視光域における発光ピーク波長は565nmである。
シンチレータ608は、例えば、蒸着基体に柱状結晶構造のCsI(Tl)を蒸着して形成してもよい。このように蒸着によってシンチレータ608を形成する場合、蒸着基体は、X線の透過率、コストの面からAlがよく使用されるがこれに限定されるものではない。なお、シンチレータ608としてGOSを用いる場合、蒸着基体を用いずにTFTアクティブマトリクス基板の表面にGOSを塗布することにより、シンチレータ608を形成してもよい。また、樹脂ベースにGOSを塗布しシンチレータ608を形成した後、該シンチレータ608をTFTアクティブマトリクス基板に貼り合わせてもよい。これにより、万が一、GOSの塗布が失敗してもTFTアクティブマトリクス基板を温存することができる。
センサ部606は、上部電極612、下部電極614、及び上部電極612と下部電極614の間に配置された光電変換膜616を有している。
上部電極612は、シンチレータ608により生じた光を光電変換膜616に入射させる必要があるため、少なくともシンチレータ608の発光波長に対して透明な導電性材料で構成することが好ましく、具体的には、可視光に対する透過率が高く、抵抗値が小さい透明導電性酸化物(TCO;Transparent Conducting Oxide)を用いることが好ましい。なお、上部電極612としてAu等の金属薄膜を用いることもできるが、透過率を90%以上得ようとすると抵抗値が増大し易いため、TCOの方が好ましい。例えば、ITO、IZO、AZO、FTO、SnO2、TiO2、ZnO2等を好ましく用いることができ、プロセス簡易性、低抵抗性、透明性の観点からはITOが最も好ましい。なお、上部電極612は、全画素部で共通の一枚構成としてもよく、画素部毎に分割してもよい。
光電変換膜616は、有機光導電体(OPC:Organic Photo Conductors)を含み、シンチレータ608から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。有機光導電体(有機光電変換材料)を含む光電変換膜616であれば、可視光域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータ608による発光以外の電磁波が光電変換膜616によって吸収されることが殆どなく、放射線46が光電変換膜616で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。なお、光電変換膜616は、有機光導電体に代えてアモルファスシリコンを含むように構成してもよい。この場合、幅広い吸収スペクトルを持ち、シンチレータ608による発光を効率的に吸収することができる。
光電変換膜616を構成する有機光導電体は、シンチレータ608で発光した光を最も効率よく吸収するために、そのピーク波長が、シンチレータ608の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光導電体の吸収ピーク波長とシンチレータ608の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければシンチレータ608から発せられた光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光導電体の吸収ピーク波長と、シンチレータ608の放射線46に対する発光ピーク波長との差が、10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
このような条件を満たすことが可能な有機光導電体としては、例えばキナクリドン系有機化合物及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えばキナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光導電体としてキナクリドンを用い、シンチレータ608の材料としてCsI(Tl)を用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜616で発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。
センサ部606は、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、及び層間接触改良部位等の積み重ね若しくは混合により形成される有機層を含んで構成される。前記有機層は、有機p型化合物(有機p型半導体)又は有機n型化合物(有機n型半導体)を含有することが好ましい。
有機p型半導体は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体(化合物)であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物としては、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。
有機n型半導体は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体(化合物)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。従って、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。
この有機p型半導体及び有機n型半導体として適用可能な材料、及び光電変換膜616の構成については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。なお、光電変換膜616は、さらにフラーレン若しくはカーボンナノチューブを含有させて形成してもよい。
光電変換膜616の厚みは、シンチレータ608からの光を吸収する点では膜厚は大きいほど好ましいが、ある程度以上厚くなると光電変換膜616の両端から印加されるバイアス電圧により光電変換膜616に発生する電界の強度が低下して電荷が収集できなくなるため、30nm以上300nm以下が好ましく、より好ましくは、50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下にするのがよい。
光電変換膜616は、全画素部で共通の一枚構成であるが、画素部毎に分割してもよい。下部電極614は、画素部毎に分割された薄膜とする。但し、下部電極614は、全画素部で共通の一枚構成であってもよい。下部電極614は、透明又は不透明の導電性材料で構成することができ、アルミニウム、銀等を好適に用いることができる。なお、下部電極614の厚みは、例えば、30nm以上300nm以下とすることができる。
センサ部606では、上部電極612と下部電極614の間に所定のバイアス電圧を印加することで、光電変換膜616で発生した電荷(正孔、電子)のうちの一方を上部電極612に移動させ、他方を下部電極614に移動させることができる。本変形例に係る放射線検出器600では、上部電極612に配線が接続され、この配線を介してバイアス電圧が上部電極612に印加されるものとする。また、バイアス電圧は、光電変換膜616で発生した電子が上部電極612に移動し、正孔が下部電極614に移動するように極性が決められているものとするが、この極性は逆であっても良い。
各画素部を構成するセンサ部606は、少なくとも下部電極614、光電変換膜616、及び上部電極612を含んでいればよいが、暗電流の増加を抑制するため、電子ブロッキング膜618及び正孔ブロッキング膜620の少なくともいずれかを設けることが好ましく、両方を設けることがより好ましい。
電子ブロッキング膜618は、下部電極614と光電変換膜616との間に設けることができ、下部電極614と上部電極612間にバイアス電圧を印加したときに、下部電極614から光電変換膜616に電子が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
電子ブロッキング膜618には、電子供与性有機材料を用いることができる。実際に電子ブロッキング膜618に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜616の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上電子親和力(Ea)が大きく、且つ、隣接する光電変換膜616の材料のイオン化ポテンシャル(Ip)と同等のIpもしくはそれより小さいIpを持つものが好ましい。この電子供与性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
電子ブロッキング膜618の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、センサ部606の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下にするのがよい。
正孔ブロッキング膜620は、光電変換膜616と上部電極612との間に設けることができ、下部電極614と上部電極612間にバイアス電圧を印加したときに、上部電極612から光電変換膜616に正孔が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
正孔ブロッキング膜620には、電子受容性有機材料を用いることができる。正孔ブロッキング膜620の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、センサ部606の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下にするのがよい。
実際に正孔ブロッキング膜620に用いる材料は、隣接する電極の材料及び隣接する光電変換膜616の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上イオン化ポテンシャル(Ip)が大きく、且つ、隣接する光電変換膜616の材料の電子親和力(Ea)と同等のEaもしくはそれより大きいEaを持つものが好ましい。この電子受容性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
なお、光電変換膜616で発生した電荷のうち、正孔が上部電極612に移動し、電子が下部電極614に移動するようにバイアス電圧を設定する場合には、電子ブロッキング膜618と正孔ブロッキング膜620の位置を逆にすればよい。又、電子ブロッキング膜618と正孔ブロッキング膜620は両方設けなくてもよく、いずれかを設けておけば、ある程度の暗電流抑制効果を得ることができる。
図55に示すように、信号出力部604は、各画素部の下部電極614に対応して基板602の表面に設けられており、下部電極614に移動した電荷を蓄積する蓄積容量622と、前記蓄積容量622に蓄積された電荷を電気信号に変換して出力するTFT624とを有している。蓄積容量622及びTFT624の形成された領域は、平面視において下部電極614と重なる部分を有しており、このような構成とすることで、各画素部における信号出力部604とセンサ部606とが厚さ方向で重なりを有することとなる。蓄積容量622及びTFT624を下部電極614によって完全に覆うように信号出力部604を形成すれば、放射線検出器600(画素部)の平面積を最小にすることができる。
蓄積容量622は、基板602と下部電極614との間に設けられた絶縁膜626を貫通して形成された導電性材料の配線を介して対応する下部電極614と電気的に接続されている。これにより、下部電極614で捕集された電荷を蓄積容量622に移動させることができる。
TFT624は、ゲート電極628、ゲート絶縁膜630、及び活性層(チャネル層)632が積層され、さらに、活性層632上にソース電極634とドレイン電極636が所定の間隔を開けて形成されている。活性層632は、例えば、アモルファスシリコンや非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブ等により形成することができる。なお、活性層632を構成する材料は、これらに限定されるものではない。
活性層632を構成可能な非晶質酸化物としては、In、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えばIn−O系)が好ましく、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えばIn−Zn−O系、In−Ga−O系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、Ga及びZnを含む酸化物が特に好ましい。In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がInGaO3(ZnO)m(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnO4がより好ましい。なお、活性層632を構成可能な非晶質酸化物は、これらに限定されるものではない。
活性層632を構成可能な有機半導体材料としては、フタロシアニン化合物や、ペンタセン、バナジルフタロシアニン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。なお、フタロシアニン化合物の構成については、特開2009−212389号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
TFT624の活性層632を非晶質酸化物や有機半導体材料、カーボンナノチューブで形成したものとすれば、X線等の放射線46を吸収せず、あるいは吸収したとしても極めて微量に留まるため、信号出力部604におけるノイズの発生を効果的に抑制することができる。
また、活性層632をカーボンナノチューブで形成した場合、TFT624のスイッチング速度を高速化することができ、また、可視光域での光の吸収度合の低いTFT624を形成できる。なお、カーボンナノチューブで活性層632を形成する場合、活性層632に極微量の金属性不純物が混入するだけで、TFT624の性能は著しく低下するため、遠心分離等により極めて高純度のカーボンナノチューブを分離・抽出して形成する必要がある。
ここで、上述した非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブや、有機光導電体は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、基板602としては、半導体基板、石英基板、及びガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン等の可撓性基板を用いることができる。このようなプラスチック製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば持ち運び等に有利となる。
また、有機光導電体から光電変換膜616を形成し、有機半導体材料からTFT624を形成することにより、プラスチック製の可撓性基板(基板602)に対して光電変換膜616及びTFT624を低温成膜することが可能となると共に、放射線検出器600全体の薄型化及び軽量化を図ることができる。これにより、放射線検出器600を収容するカセッテ本体部12の薄型化及び軽量化も可能となり、病院外の使用における利便性が向上する。しかも、光電変換部のベース材を、一般的なガラスとは異なる可撓性を有する材質で構成するので、装置の持ち運び時や使用時の耐損傷性等を向上させることもできる。
また、基板602には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
アラミドは、200度以上の高温プロセスを適用できるために,透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応できる。また、アラミドは、ITO(Indium Tin Oxide)やガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて薄く基板を形成できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して基板602を形成してもよい。
バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂との複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光波長に対して1/10のサイズで、且つ、高強度、高弾性、低熱膨である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を60−70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3−7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、且つ、フレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて薄く基板602を形成できる。
本変形例では、基板602上に、信号出力部604、センサ部606、透明絶縁膜610を順に形成し、当該基板602上に光吸収性の低い接着樹脂等を用いてシンチレータ608を貼り付けることにより放射線検出器600を形成している。
上述した変形例に係る放射線検出器600では、光電変換膜616を有機光導電体により構成すると共にTFT624の活性層632を有機半導体材料で構成しているので、光電変換膜616及び信号出力部604で放射線46が吸収されることはほとんどない。これにより、放射線46に対する感度の低下を抑えることができる。
TFT624の活性層632を構成する有機半導体材料や光電変換膜616を構成する有機光導電体は、いずれも低温での成膜が可能である。このため、基板602を放射線46の吸収が少ないプラスチック樹脂、アラミド、バイオナノファイバで形成することができる。これにより、放射線46に対する感度の低下を一層抑えることができる。
また、例えば、放射線検出器600を筐体内の照射面20部分に貼り付け、基板602を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成した場合、放射線検出器600自体の剛性を高くすることができるため、筐体の照射面20部分を薄く形成することができる。また、基板602を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成した場合、放射線検出器600自体が可撓性を有するため、照射面20に衝撃が加わった場合でも放射線検出器600が破損しづらい。
上述した放射線検出器600を下記のように構成してもよい。
(1)光電変換膜616を有機光電変換材料で構成し、CMOSセンサを用いたTFT層638を構成してもよい。この場合、光電変換膜616のみが有機系材料からなるので、CMOSセンサを含むTFT層638は可撓性を有しなくてもよい。
(2)光電変換膜616を有機光電変換材料で構成すると共に、有機材料からなるTFT624を備えたCMOS回路によって、可撓性を有するTFT層638を実現してもよい。この場合、CMOS回路で用いられるp型有機半導体の材料としてペンタセンを採用すると共に、n型有機半導体の材料としてフッ化銅フタロシアニン(F16CuPc)を採用すればよい。これにより、より小さな曲げ半径にすることが可能な可撓性を有するTFT層638を実現することができる。また、このようにTFT層638を構成することにより、ゲート絶縁膜を大幅に薄くすることができ、駆動電圧を低下させることも可能となる。さらに、ゲート絶縁膜、半導体、各電極を室温又は100℃以下で作製することができる。さらにまた、可撓性を有する基板602上にCMOS回路を直接作製することもできる。しかも、有機材料からなるTFT624は、スケーリング則に沿った製造プロセスにより微細化することが可能となる。なお、基板602は、薄厚のポリイミド基板上にポリイミド前駆体をスピンコート法で塗布して加熱すれば、ポリイミド前駆体がポリイミドに変化するので、凹凸のない平坦な基板を実現することができる。
(3)ミクロンオーダの複数のデバイスブロックを基板602上の指定位置に配置する自己整合配置技術(Fluidic Self−Assembly法)を適用して、結晶Siからなる光電変換膜616及びTFT624を、樹脂基板からなる基板602上に配置してもよい。この場合、ミクロンオーダの微小デバイスブロックとしての光電変換膜616及びTFT624を他の基板に予め作製した後に該基板から切り離し、液体中で、前記光電変換膜616及びTFT624をターゲット基板としての基板602上に散布して統計的に配置する。基板602には、デバイスブロックに適合させるための加工が予め施されており、デバイスブロックを選択的に基板602に配置することができる。従って、最適な材料で作られた最適なデバイスブロック(光電変換膜616及びTFT624)を最適な基板(半導体基板、石英基板、及びガラス基板等)上に集積化させることができ、また、結晶でない基板(プラスチック等の可撓性基板)に最適なデバイスブロック(光電変換膜616及びTFT624)を集積化することも可能となる。
上述した変形例に係る放射線検出器600は、シンチレータ608から発光された光を放射線源44が位置する側とは反対側に位置するセンサ部606(光電変換膜616)で電荷に変換して放射線画像を読み取る、いわゆる裏面読取方式(PSS(Penetration Side Sampling)方式)として構成されているが、この構成に限定されない。
例えば、放射線検出器は、いわゆる表面読取方式(ISS(Irradiation Side Sampling)方式)として構成してもよい。この場合、放射線46の照射方向に沿って、基板602、信号出力部604、センサ部606、シンチレータ608がこの順に積層され、シンチレータ608から発光された光を放射線源44が位置する側のセンサ部606で電荷に変換して放射線画像を読み取る。そして、通常、シンチレータ608は、放射線46の照射面側が背面側よりも強く発光するため、表面読取方式で構成した放射線検出器では、裏面読取方式で構成された放射線検出器と比較して、シンチレータ608で発光された光が光電変換膜616に到達するまでの距離を短縮させることができる。これにより、該光の拡散・減衰を抑えることができるので、放射線画像の分解能を高めることができる。