以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.本実施形態に係るプロジェクター
1−1.プロジェクターの光学系
図1は、本実施形態に係るプロジェクター500の光学系を示す説明図である。プロジェクター500は、光源装置200と、平行化レンズ305と、照明光学系310と、色分離光学系320と、3つの液晶ライトバルブ330R、330G、330Bと、クロスダイクロイックプリズム340と、投写光学系350とを有している。
光源装置200は、光源ユニット210と、放電灯点灯装置10と、を有している。光源ユニット210は、主反射鏡112と副反射鏡50(後述)と放電灯90とを有している。放電灯点灯装置10は、放電灯90に駆動電力を供給して、放電灯90を点灯させる。主反射鏡112は、放電灯90から放出された光を、照射方向Dに向けて反射する。照射方向Dは、光軸AXと平行である。光源ユニット210からの光は、平行化レンズ305を通過して照明光学系310に入射する。この平行化レンズ305は、光源ユニット210からの光を、平行化する。
照明光学系310は、光源装置200からの光の照度を液晶ライトバルブ330R、330G、330Bにおいて均一化する。また、照明光学系310は、光源装置200からの光の偏光方向を一方向に揃える。この理由は、光源装置200からの光を液晶ライトバルブ330R、330G、330Bで有効に利用するためである。照度分布と偏光方向とが調整された光は、色分離光学系320に入射する。色分離光学系320は、入射光を、赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの色光に分離する。3つの色光は、各色に対応付けられた液晶ライトバルブ330R、330G、330Bによって、それぞれ変調される。液晶ライトバルブ330R、330G、330Bは、液晶パネル560R、560G、560B(後述)と、液晶パネル560R、560G、560Bのそれぞれの光入射側及び出射側に配置される偏光板(不図示)を備える。変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム340によって合成される。合成光は、投写光学系350に入射する。投写光学系350は、入射光を、図示しないスクリーンに投写する。これにより、スクリーン上には画像が表示される。
なお、平行化レンズ305と、照明光学系310と、色分離光学系320と、クロスダイクロイックプリズム340と、投写光学系350とのそれぞれの構成としては、周知の種々の構成を採用可能である。
図2は、光源装置200の構成を示す説明図である。光源装置200は、光源ユニット210と放電灯点灯装置10とを有している。図中には、光源ユニット210の断面図が示されている。光源ユニット210は、主反射鏡112と放電灯90と副反射鏡50とを有している。
放電灯90の形状は、第1端部90e1から第2端部90e2まで、照射方向Dに沿って延びる棒形状である。放電灯90の材料は、例えば、石英ガラス等の透光性材料である。放電灯90の中央部は球状に膨らんでおり、その内には、放電空間91が形成されている。放電空間91内には、水銀、希ガス、金属ハロゲン化合物等を含む放電媒体であるガスが封入されている。
放電灯90は、第1電極92及び第2電極93を含んでいる。図2に示す例では、第1電極92及び第2電極93は、放電空間91内に突き出すように設けられている。第1電極92は、放電空間91の第1端部90e1側に配置され、第2電極93は、放電空間91の第2端部90e2側に配置されている。これらの第1電極92及び第2電極93の形状は、光軸AXに沿って延びる棒形状である。放電空間91内では、第1電極92及び第2電極93の電極先端部(「放電端」とも呼ぶ)が、所定距離だけ離れて向かい合っている。なお、これらの第1電極92及び第2電極93の材料は、例えば、タングステン等の金属である。
放電灯90の第1端部90e1には、第1端子536が設けられている。第1端子536と第1電極92とは、放電灯90の内部を通る導電性部材534によって電気的に接続されている。同様に、放電灯90の第2端部90e2には、第2端子546が設けられている。第2端子546と第2電極93とは、放電灯90の内部を通る導電性部材544によって電気的に接続されている。第1端子536及び第2端子546の材料は、例えば、タングステン等の金属である。また、各導電性部材534、544としては、例えば、モリブデン箔が利用される。
第1端子536及び第2端子546は、放電灯点灯装置10に接続されている。放電灯点灯装置10は、第1端子536及び第2端子546に、放電灯90を駆動する駆動電流を供給する。その結果、第1電極92及び第2電極93の間でアーク放電が起きる。アーク放電により発生した光(放電光)は、破線の矢印で示すように、放電位置から全方向に向かって放射される。
放電灯90の第1端部90e1には、固定部材114によって、主反射鏡112が固定されている。主反射鏡112の反射面(放電灯90側の面)の形状は、回転楕円形状である。主反射鏡112は、放電光を照射方向Dに向かって反射する。なお、主反射鏡112の反射面の形状としては、回転楕円形状に限らず、放電光を照射方向Dに向かって反射するような種々の形状を採用可能である。例えば、回転放物線形状を採用してもよい。この場合は、主反射鏡112は、放電光を、光軸AXにほぼ平行な光に変換することができる。したがって、平行化レンズ305を省略することができる。
放電灯90の第2端部90e2側には、固定部材522によって、副反射鏡50が固定されている。副反射鏡50の反射面(放電灯90側の面)の形状は、放電空間91の第2端部90e2側を囲む球面形状である。副反射鏡50は、放電光を、主反射鏡112に向かって反射する。これにより、放電空間91から放射される光の利用効率を高めることが
できる。
なお、固定部材114、522の材料としては、放電灯90の発熱に耐える任意の耐熱材料(例えば、無機接着剤)を採用可能である。また、主反射鏡112及び副反射鏡50と放電灯90との配置を固定する方法としては、主反射鏡112及び副反射鏡50を放電灯90に固定する方法に限らず、任意の方法を採用可能である。例えば、放電灯90と主反射鏡112とを、独立に、プロジェクターの筐体(図示せず)に固定してもよい。副反射鏡50についても同様である。
1−2.本実施形態に係るプロジェクターの回路構成
図3は、本実施形態に係るプロジェクター500の回路構成の一例を示す図である。プロジェクター500は、先に説明した光学系の他に、映像信号変換部510、直流電源装置80、放電灯点灯装置10、放電灯90、液晶パネル560R、560G、560B、映像処理装置570、CPU(Central Processing Unit)580、操作受付部590を含んでいてもよい。また、プロジェクター500とアクティブシャッターメガネ410とを含むプロジェクターシステム400として構成することも可能である。
映像信号変換部510は、外部から入力された映像信号502(輝度−色差信号やアナログRGB信号など)を所定のワード長のデジタルRGB信号に変換して映像信号512R、512G、512Bを生成し、映像処理装置570に供給する。また、映像信号変換部510は、映像信号502を入力するための配線などの有無に関する情報や、映像信号502の有無に関する情報を、通信信号514を介してCPU580に出力してもよい。
映像処理装置570は、3つの映像信号512R、512G、512Bに対してそれぞれ映像処理を行い、液晶パネル560R、560G、560Bをそれぞれ駆動するための駆動信号572R、572G、572Bを液晶パネル560R、560G、560Bに供給する。液晶パネル560R、560G、560Bに入力される駆動信号572R、572G、572Bに基づいて、図1を用いて説明した光学系によって、スクリーン700に映像が投影される。
直流電源装置80は、外部の交流電源600から供給される交流電圧を一定の直流電圧に変換し、トランス(図示しないが、直流電源装置80に含まれる)の2次側にある映像信号変換部510、映像処理装置570及びトランスの1次側にある放電灯点灯装置10に直流電圧を供給する。
放電灯点灯装置10は、起動時に放電灯90の電極間に高電圧を発生して絶縁破壊させて放電路を形成し、以後放電灯90が放電を維持するための駆動電流Iを供給する。
液晶パネル560R、560G、560Bは、それぞれ駆動信号572R、572G、572Bに基づいて、先に説明した光学系を介して各液晶パネルに入射される色光の輝度を変調する。
操作受付部590は、プロジェクター500に対する操作592を受け付け、操作592に関する情報を、通信信号594を介してCPU580に出力する。操作受付部590は、ボタン、レバー、スイッチなど、種々の公知の構成を含んで構成されていてもよい。また、操作受付部590は、公知の有線通信や無線通信を介して操作592を受け付けてもよい。
CPU580は、プロジェクターの点灯開始から消灯に至るまでの動作を制御する。例えば、点灯命令や消灯命令を、通信信号582を介して放電灯点灯装置10に出力してもよい。また、CPU580は、放電灯点灯装置10から放電灯90の点灯状態を表す点灯情報を、通信信号584を介して受け取ってもよい。また、操作受付部590が受け付けた操作592に関する情報を、通信信号594を介して受け取ってもよい。
また、CPU580は、プロジェクター500の動作モードを判定する判定部150として機能してもよい。本実施形態においては、プロジェクター500は、放電灯90の駆動電力の最大値が互いに異なる複数の動作モードを有している。動作モードは、例えば、第1モードを、プロジェクター500が3次元映像を投影する3次元モードとし、第2モードを、プロジェクター500が2次元映像を放電灯90の定格電力で投影する通常モードとし、第3モードを、プロジェクター500が2次元映像を放電灯90の定格電力の60%程度で投影する低電力モードとしてもよい。
判定部150は、例えば、通信信号514に基づいて、映像信号502が3次元映像である場合に動作モードを第1モードとしたり、通信信号594に基づいて、操作受付部590が操作592として、プロジェクター500の動作モードを低電力とする操作を受け付けた場合に動作モードを第3モードとしたり、他の場合には動作モードを第2モードとしたりしてもよい。
判定部150は、判定した動作モードに関する情報である動作モード情報を、通信信号582を介して放電灯点灯装置10に出力してもよい。
さらに、CPU580は、同期信号514に基づいて、画像信号502に同期してアクティブシャッターメガネ410を制御するための制御信号586を、有線又は無線の通信手段を介してアクティブシャッターメガネ410に出力してもよい。
アクティブシャッターメガネ410は、右シャッター412と左シャッター414を含んでいてもよい。右シャッター412及び左シャッター414は、制御信号586に基づいて開閉制御される。ユーザーがアクティブシャッターメガネ410を装着した場合に、右シャッター412が閉じられることにより、右目側の視野を遮ることができる。また、ユーザーがアクティブシャッターメガネ410を装着した場合に、左シャッター414が閉じられることにより、左目側の視野を遮ることができる。右シャッター412及び左シャッター414は、例えば、液晶シャッターで構成されていてもよい。
1−3.本実施形態における放電灯点灯装置の構成
図4は、放電灯点灯装置10の回路構成の一例を示す図である。
放電灯点灯装置10は、電力制御回路20を含む。電力制御回路20は、放電灯90に供給する駆動電力を生成する。本実施形態においては、電力制御回路20は、直流電源80を入力とし、当該入力電圧を降圧して直流電流Idを出力するダウンチョッパー回路で構成されている。
電力制御回路20は、スイッチ素子21、ダイオード22、コイル23及びコンデンサー24を含んで構成されることができる。スイッチ素子21は、例えばトランジスターで構成することができる。本実施形態においては、スイッチ素子21の一端は直流電源80の正電圧側に接続され、他端はダイオード22のカソード端子及びコイル23の一端に接続されている。また、コイル23の他端にはコンデンサー24の一端が接続され、コンデンサー24の他端はダイオード22のアノード端子及び直流電源80の負電圧側に接続されている。スイッチ素子21の制御端子には制御部40(後述)から電力制御信号が入力されてスイッチ素子21のON/OFFが制御される。電力制御信号には、例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御信号が用いられてもよい。
ここで、スイッチ素子21がONすると、コイル23に電流が流れ、コイル23にエネルギーが蓄えられる。その後、スイッチ素子21がOFFすると、コイル23に蓄えられたエネルギーがコンデンサー24とダイオード22とを通る経路で放出される。その結果、スイッチ素子21がONする時間の割合に応じた直流電流Idが発生する。
放電灯点灯装置10は、極性反転回路30を含む。極性反転回路30は、電力制御回路20から出力される直流電流Idを入力し、所与のタイミングで極性反転することにより、制御された時間だけ継続する直流であったり、任意の周波数をもつ交流であったりする駆動電流Iを生成出力する。本実施形態においては、極性反転回路30はインバーターブリッジ回路(フルブリッジ回路)で構成されている。
極性反転回路30は、例えば、トランジスターなどで構成される第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33及び第4のスイッチ素子34を含み、直列接続された第1のスイッチ素子31及び第2のスイッチ素子32と、直列接続された第3のスイッチ素子33及び第4のスイッチ素子34を、互いに並列接続して構成される。第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33及び第4のスイッチ素子34の制御端子には、それぞれ制御部40から極性反転制御信号が入力され、極性反転制御信号に基づいて第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33及び第4のスイッチ素子34のON/OFFが制御される。
極性反転回路30は、第1のスイッチ素子31及び第4のスイッチ素子34と、第2のスイッチ素子32及び第3のスイッチ素子33を交互にON/OFFを繰り返すことにより、電力制御回路20から出力される直流電流Idの極性を交互に反転し、第1のスイッチ素子31と第2のスイッチ素子32との共通接続点及び第3のスイッチ素子33と第4のスイッチ素子34との共通接続点から、制御された時間だけ継続する直流であったり、制御された周波数をもつ交流であったりする駆動電流Iを生成出力する。
すなわち、第1のスイッチ素子31及び第4のスイッチ素子34がONの時には第2のスイッチ素子32及び第3のスイッチ素子33をOFFにし、第1のスイッチ素子31及び第4のスイッチ素子34がOFFの時には第2のスイッチ素子32及び第3のスイッチ素子33をONにするように制御する。したがって、第1のスイッチ素子31及び第4のスイッチ素子34がONの時には、コンデンサー24の一端から第1のスイッチ素子31、放電灯90、第4のスイッチ素子34の順に流れる駆動電流Iが発生する。また、第2のスイッチ素子32及び第3のスイッチ素子33がONの時には、コンデンサー24の一端から第3のスイッチ素子33、放電灯90、第2のスイッチ素子32の順に流れる駆動電流Iが発生する。
本実施形態において、電力制御回路20と極性反転回路30とを合わせて放電灯駆動部230に対応する。すなわち、放電灯駆動部230は、駆動電流Iを放電灯90に供給することによって、放電灯90に駆動電力を供給して放電灯90を駆動する。
放電灯点灯装置10は、制御部40を含む。制御部40は、駆動電力の最大値が互いに異なる複数の動作モードを有し、動作モードに基づいて放電灯駆動部230を制御する。図4に示される例では、制御部40は、CPU580の一部として構成された判定部150によって判定された動作モードに関する情報である動作モード情報を、通信信号582を介して受け付け、受け付けた動作モード情報に基づいて放電灯駆動部230を制御する。
また、図4に示される例では、制御部40は、電力制御回路20及び極性反転回路30を制御することにより、放電灯90へ供給される駆動電力、駆動電流Iが同一極性で継続する保持時間、駆動電流Iの電流値、周波数等を制御する。制御部40は、極性反転回路30に対して駆動電流Iの極性反転タイミングにより、駆動電流Iが同一極性で継続する保持時間、駆動電流Iの周波数等を制御する極性反転制御を行う。また、制御部40は、電力制御回路20に対して、出力される直流電流Idの電流値を制御することによって、放電灯90へ供給される駆動電力を制御する駆動電力制御を行う。
制御部40の構成は、特に限定されるものではないが、本実施形態においては、制御部40は、システムコントローラー41、電力制御回路コントローラー42及び極性反転回路コントローラー43含んで構成されている。なお、制御部40は、その一部又は全てを半導体集積回路で構成されていてもよい。
システムコントローラー41は、電力制御回路コントローラー42及び極性反転回路コントローラー43を制御することにより、電力制御回路20及び極性反転回路30を制御する。システムコントローラー41は、後述される放電灯点灯装置10内部に設けられた電圧検出部60によって検出された駆動電圧Vla及び駆動電流Iに基づき、電力制御回路コントローラー42及び極性反転回路コントローラー43を制御してもよい。
本実施形態においては、システムコントローラー41は記憶部44を含んで構成されている。なお、記憶部44は、システムコントローラー41とは独立に設けてもよい。
システムコントローラー41は、記憶部44に格納された情報に基づき、電力制御回路20及び極性反転回路30を制御してもよい。記憶部44には、例えば駆動電流Iが同一極性で継続する保持時間、駆動電流Iの電流値、周波数、波形、変調パターン等の駆動パラメーターに関する情報が格納されていてもよい。
電力制御回路コントローラー42は、システムコントローラー41からの制御信号に基づき、電力制御回路20へ電力制御信号を出力することにより、電力制御回路20を制御する。
極性反転回路コントローラー43は、システムコントローラー41からの制御信号に基づき、極性反転回路30へ極性反転制御信号を出力することにより、極性反転回路30を制御する。
なお、制御部40は、専用回路により実現して上述した制御や後述する処理の各種制御を行うようにすることもできるが、例えばCPU(Central Processing Unit)が記憶部44等に記憶された制御プログラムを実行することによりコンピューターとして機能し、これらの処理の各種制御を行うようにすることもできる。図5は、制御部40の他の構成例について説明するための図である。図5に示すように、制御部40は、制御プログラムにより、電力制御回路20を制御する電力制御手段40−1、極性反転回路30を制御する極性反転制御手段40−2として機能するように構成してもよい。
また、図4に示される例では、制御部40は、放電灯点灯装置10の一部として構成されているが、制御部40の機能の一部又は全部をCPU580が担うように構成されていてもよい。
放電灯点灯装置10は、動作検出部を含んでもよい。動作検出部は、例えば放電灯90の駆動電圧Vlaを検出し、駆動電圧情報を出力する電圧検出部60や、駆動電流Iを検出し、駆動電流情報を出力する電流検出部を含んでもよい。本実施形態においては、電圧検出部60は、第1及び第2の抵抗61及び62を含んで構成され、電流検出部は、第3の抵抗63を含んで構成されている。
本実施形態における電圧検出部60は、本発明における状態検出部に対応する。すなわち、状態検出部(電圧検出部60)は、放電灯90の劣化状態の程度を表す値として駆動電圧Vlaを検出する。
本実施形態において、電圧検出部60は、放電灯90と並列に、互いに直列接続された第1の抵抗61及び第2の抵抗62で分圧した電圧により駆動電圧Vlaを検出する。また、本実施形態において、電流検出部は、放電灯90に直列に接続された第3の抵抗63に発生する電圧により駆動電流Iを検出する。
放電灯点灯装置10は、イグナイター回路70を含んでもよい。イグナイター回路70は、放電灯90の点灯開始時にのみ動作し、放電灯90の点灯開始時に放電灯90の電極間(第1電極92と第2電極93との間)を絶縁破壊して放電路を形成するために必要な高電圧(放電灯90の通常点灯時よりも高い電圧)を放電灯90の電極間(第1電極92と第2電極93との間)に供給する。本実施形態においては、イグナイター回路70は、放電灯90と並列に接続されている。
1−4.駆動電流の極性と電極の温度との関係
図6(A)ないし図6(D)は、放電灯90に供給する駆動電流Iの極性と電極の温度との関係を示す説明図である。図6(A)及び図6(B)は、第1電極92及び第2電極93の動作状態を示している。図中には、第1電極92及び第2電極93の先端部分が示されている。第1電極92及び第2電極93の先端にはそれぞれ突起552p、562pが設けられている。第1電極92と第2電極93の間で生じる放電は、主として突起552pと突起562pとの間で生じる。図6(A)及び図6(B)に示される例では、突起が無い場合と比べて、第1電極92及び第2電極93における放電位置(アーク位置)の移動を抑えることができる。ただし、このような突起を省略してもよい。
図6(A)は、第1電極92が陽極として動作し、第2電極93が陰極として動作する第1極性状態P1を示している。第1極性状態P1では、放電によって、第2電極93(陰極)から第1電極92(陽極)へ電子が移動する。陰極(第2電極93)からは、電子が放出される。陰極(第2電極93)から放出された電子は、陽極(第1電極92)の先端に衝突する。この衝突によって熱が生じ、そして、陽極(第1電極92)の先端(突起552p)の温度が上昇する。
図6(B)は、第1電極92が陰極として動作し、第2電極93が陽極として動作する第2極性状態P2を示している。第2極性状態P2では、第1極性状態P1とは逆に、第1電極92から第2電極93へ電子が移動する。その結果、第2電極93の先端(突起562p)の温度が上昇する。
このように、陽極の温度は、陰極と比べて高くなりやすい。ここで、一方の電極の温度が他方の電極と比べて高い状態が続くことは、種々の不具合を引き起こし得る。例えば、高温電極の先端が過剰に溶けた場合には、意図しない電極変形が生じ得る。その結果、アーク長が適正値からずれる場合がある。また、低温電極の先端の溶融が不十分な場合には、先端に生じた微少な凹凸が溶けずに残り得る。その結果、いわゆるアークジャンプが生じる(アーク位置が安定せずに移動する)場合がある。
このような不具合を抑制する技術として、駆動電流Iとして、各電極の極性を繰り返し交替させる交流電流を放電灯90に供給する交流駆動を利用可能である。図6(C)は、放電灯90(図2)に供給される駆動電流Iの一例を示すタイミングチャートである。横軸は時間Tを示し、縦軸は駆動電流Iの電流値を示している。駆動電流Iは、放電灯90を流れる電流を示す。正値は、第1極性状態P1を示し、負値は、第2極性状態P2を示す。図6(C)に示す例では、駆動電流Iとして矩形波交流電流が利用されている。そして、図6(C)に示す例では、第1極性状態P1と第2極性状態P2とが交互に繰り返されている。ここで、第1極性区間Tpは、第1極性状態P1が続く時間を示し、第2極性区間Tnは、第2極性状態P2が続く時間を示す。また、図6(C)に示す例では、第1極性区間Tpの平均電流値はIm1であり、第2極性区間Tnの平均電流値は−Im2である。なお、放電灯90の駆動に適した駆動電流Iの周波数は、放電灯90の特性に合わせて、実験的に決定可能である(例えば、30Hz〜1kHzの範囲の値が採用される)。他の値Im1、−Im2、Tp、Tnも、同様に実験的に決定可能である。
図6(D)は、第1電極92の温度変化を示すタイミングチャートである。横軸は時間Tを示し、縦軸は温度Hを示している。第1極性状態P1では、第1電極92の温度Hが上昇し、第2極性状態P2では、第1電極92の温度Hが降下する。また、第1極性状態P1と第2極性状態P2状態が繰り返されるので、温度Hは、最小値Hminと最大値Hmaxとの間で周期的に変化する。なお、図示は省略するが、第2電極93の温度は、第1電極92の温度Hとは逆位相で変化する。すなわち、第1極性状態P1では、第2電極93の温度が降下し、第2極性状態P2では、第2電極93の温度が上昇する。
第1極性状態P1では、第1電極92(突起552p)の先端が溶融するので、第1電極92(突起552p)の先端が滑らかになる。これにより、第1電極92での放電位置の移動を抑制できる。また、第2電極93(突起562p)の先端の温度が降下するので、第2電極93(突起562p)の過剰な溶融が抑制される。これにより、意図しない電極変形を抑制できる。第2極性状態P2では、第1電極92と第2電極93の立場が逆である。したがって、2つの状態P1、P2を繰り返すことによって、第1電極92及び第2電極93のそれぞれにおける不具合を抑制できる。
ここで、電流Iの波形が対称である場合、すなわち、電流Iの波形が「|Im1|=|−Im2|、Tp=Tn」という条件を満たす場合には、第1電極92と第2電極93との間で、供給される電力の条件が同じである。したがって、第1電極92及び第2電極93の熱的条件(温度の上がりやすさや下がりやすさ)が同一であれば、第1電極92と第2電極93との間の温度差が小さくなるものと推定される。
また、電極が広い範囲にわたり加熱されすぎる(アークスポット(アーク放電に伴う電極表面上のホットスポット)が大きくなる)と過剰な溶融により電極の形状が崩れる。逆に、電極が冷えすぎる(アークスポットが小さくなる)と電極の先端が十分に溶融できず、先端を滑らかに戻せない、すなわち電極の先端が変形しやすくなる。
1−5.駆動電力の最大値と放電灯の電極の形状との関係
図7(A)ないし図7(C)は、駆動電力の最大値と放電灯の電極の形状との関係を説明するための図である。図7(A)ないし図7(C)は、第1電極92及び第2電極93の先端部分の形状を表している。図7(A)は、駆動電力の最大値がWm1の場合、図7(B)は、駆動電力の最大値がWm2の場合、図7(C)は、駆動電力の最大値がWm3の場合を表している。なお、ここではWm1>Wm2>Wm3の大小関係を満たしているものとする。
駆動電力の最大値が大きくなるほど、アークスポットは大きくなる。したがって、駆動電力の最大値が大きくなるほど、突起552p及び突起562pの土台の面積は大きくなる。第1電極92から第2電極93に向かう方向に垂直な平面における突起552p及び突起562pの断面形状は略円形である。図7(A)における突起552pの土台における直径をd1、図7(B)における突起552pの土台における直径をd2、図7(C)における突起552pの土台における直径をd3とすると、d1>d2>d3の大小関係となる。
1−6.各動作モードにおける制御例
本実施形態に係るプロジェクター500では、駆動電力の最大値が互いに異なる3つの動作モードを有している例について説明する。以下に説明される例では、第1モードは、プロジェクター500が3次元映像を投影する3次元モードであり、第2モードは、プロジェクター500が2次元映像を放電灯90の定格電力で投影する通常モードであり、第3モードを、プロジェクター500が2次元映像を放電灯90の定格電力の60%程度で投影する低電力モードである。
1−6−1.第1モードにおける制御例
本実施形態に係るプロジェクター500は、第1モードにおいて、所与の切替タイミングで、第1映像(右目用映像)と第2映像(左目用映像)とを切り替えて交互に出力する。時間的に隣り合う切替タイミングに挟まれる期間は、第1期間で始まり、第2期間で終わり、制御部40は、駆動電力が、第1期間では相対的に小さくなり、第2期間では相対的に大きくなるように放電灯駆動部230を制御する。すなわち、第1モードは、駆動電力が相対的に小さい第1期間と、駆動電力が相対的に大きい第2期間とを繰り返すモードである。
図8は、第1期間、第2期間及び切替タイミングについて説明するための図である。図8には、上から順に駆動信号572R,572G,572Bの内容、右シャッター412の開閉状態、左シャッター414の開閉状態、第1期間と第2期間、切替タイミングの時間的関係が示されている。図8の横軸は時間を表す。以下では、第1映像及び第2映像をそれぞれ左目用映像及び右目用映像として表示映像を観察者に立体視させる例について説明する。
図8に示される例では、駆動信号572R,572G,572Bは、時刻t1から時刻t3までの間は第1映像としての右目用映像、時刻t3から時刻t5までの間は第2映像としての左目用映像、時刻t5から時刻t7までの間は第1映像としての右目用映像、時刻t7から時刻t9までの間は第2映像としての左目用映像に対応する駆動信号となっている。したがって、図8に示される例では、プロジェクター500は、時刻t1、時刻t3、時刻t5、時刻t7、時刻t9を切替タイミングとして、第1映像としての右目用映像と第2映像としての左目用映像とを切り替えて交互に出力する。
時間的に隣り合う切替タイミングに挟まれる期間は、第1期間で始まり、第2期間で終わる。図8に示される例では、例えば、切替タイミングとなる時刻t1と時刻t3とに挟まれる期間は、時刻t1から時刻t2までの間の第1期間で始まり、時刻t2から時刻t3までの間の第2期間で終わる。切替タイミングとなる時刻t3と時刻t5とに挟まれる期間、切替タイミングとなる時刻t5と時刻t7とに挟まれる期間、切替タイミングとなる時刻t7と時刻t9とに挟まれる期間についても同様である。なお、図8に示される例では、第1期間の長さと第2期間の長さとを同一に表しているが、第1期間の長さと第2期間の長さは、必要に応じてそれぞれ適宜設定できる。また、第1期間と第2期間との間に、第3期間が存在していてもよい。第3期間においては、後述される第1期間及び第2期間における駆動電流Iの制御とは異なる制御を行ってもよい。
右シャッター412は、第1映像としての右目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間の少なくとも一部の期間で開いた状態となる。図8に示される例では、右シャッター412は、時刻t1から時刻t2までの間では閉じた状態であり、時刻t2から時刻t3までの間は開いた状態である。また、図8に示される例では、第2映像としての左目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間において、右シャッター412は、時刻t3から閉じ始め、時刻t3と時刻t4との間で閉じ終わり、時刻t4から時刻t5までの間は閉じた状態である。時刻t5から時刻t9までの間における右シャッター412の開閉状態の変化は、時刻t1から時刻t5までの間の開閉状態の変化と同様である。
左シャッター414は、第2映像としての左目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間の少なくとも一部の期間で開いた状態となる。図8に示される例では、左シャッター414は、時刻t3から時刻t4までの間では閉じた状態であり、時刻t4から時刻t5までの間
は開いた状態である。また、図8に示される例では、第1映像としての右目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間において、左シャッター414は、時刻t1から閉じ始め、時刻t1と時刻t2との間で閉じ終わり、時刻t2から時刻t3までの間は閉じた状態である。時刻t5から時刻t9までの間における左シャッター414の開閉状態の変化は、時刻t1から時刻t5までの間の開閉状態の変化と同様である。
図8に示される例では、第1映像としての右目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間においては、右シャッター412が閉じている期間が第1期間、右シャッター412が開いている期間が第2期間に対応している。また、図8に示される例では、第2映像としての左目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間においては、左シャッター414が閉じている期間が第1期間、左シャッター414が開いている期間が第2期間に対応している。また、図8に示される例では、第1期間においては、右シャッター412及び左シャッター414のいずれのシャッターも閉じている期間が存在している。
図9は、第1モードにおける駆動電力の制御例を表すタイミングチャートである。横軸は時間、縦軸は放電灯90に供給される駆動電力を表す。以下の説明においては、駆動電力W1〜W4の大小関係は、W1<W2<W3<W4となっている。
図9に示される例では、第1モードにおいて放電灯90に供給される駆動電力は、第1期間では駆動電力W1、第2期間では駆動電力W4となっている。駆動電力の値は放電灯90の仕様に基づいて実験的に決定することができる。図9に示される例では、駆動電力W1は77W、駆動電力W4は383Wとなっている。したがって、第1モードにおける駆動電力の最大値Wm1は、駆動電力W4に相当する383Wとなっている。また、図9に示される例では、第1期間の長さと第2期間の長さとを同一の長さとしている。したがって、第1モードにおける第1期間及び第2期間を通じた駆動電力の平均値Wa1は230Wとなっている。
図10(A)ないし図10(C)は、第1モードにおける駆動電流Iの制御例を表すタイミングチャートである。横軸は時間、縦軸は駆動電流Iを表す。図10(A)ないし図10(C)においては、第1電極92が陽極となる場合の駆動電流Iを正値、第2電極93が陽極となる場合の駆動電流Iを負値として表す。以下の説明においては、駆動電流Iの絶対値I1〜I4の大小関係は、I1<I2<I3<I4となっている。なお、放電灯90の駆動電圧Vlaが一定値とみなせる場合には、放電灯90に供給される駆動電力は、駆動電流Iに比例する。
図10(A)に示される例では、第1モードにおいて放電灯90に供給される駆動電流Iは、第1期間では電流値が−I1から+I1までであり、周波数が480Hzで4周期分の交流電流、第2期間では電流値が+I4であり、周波数が60Hzで1/2周期分の交流電流となっている。
図10(B)に示される例では、第1モードにおいて放電灯90に供給される駆動電流Iは、第1期間では電流値が−I1から+I1までであり、周波数が480Hzで4周期分の交流電流、第2期間では電流値が−I4であり、周波数が60Hzで1/2周期分の交流電流となっている。
図10(C)に示される例では、第1モードにおいて放電灯90に供給される駆動電流Iは、第1期間では電流値が−I1から+I1までであり、周波数が480Hzで4周期分の交流電流、第2期間では電流値が−I4から+I4までであり、周波数が240Hzで2周期分の交流電流となっている。
第1モードにおける駆動電流Iは、例えば、図10(A)ないし図10(C)に示される例のいずれかであってもよいし、図10(A)ないし図10(C)に示される例の2つ以上を組み合わせてもよい。例えば、第1モードにおける駆動電流Iは、図10(A)、図10(C)、図10(B)、図10(C)を1組として、これらが順に現れるように制御されていてもよい。
1−6−2.第2モードにおける制御例
図11(A)は、第2モードにおける駆動電力の制御例を表すタイミングチャートである。横軸は時間、縦軸は放電灯90に供給される駆動電力を表す。
図11(A)に示される例では、第2モードにおいて放電灯90に供給される駆動電力は、駆動電力W3の一定値となっている。駆動電力の値は放電灯90の仕様に基づいて実験的に決定することができる。図11(A)に示される例では、駆動電力W3は230Wとなっている。したがって、第2モードにおける駆動電力の最大値Wm2は、駆動電力W3に相当する230Wとなっている。また、第2モードにおける駆動電力の平均値Wa2は230Wとなっている。
図11(B)は、第2モードにおける駆動電流Iの制御例を表すタイミングチャートである。横軸は時間、縦軸は駆動電流Iを表す。図11(B)においては、第1電極92が陽極となる場合の駆動電流Iを正値、第2電極93が陽極となる場合の駆動電流Iを負値として表す。
図11(B)に示される例では、第2モードにおいて放電灯90に供給される駆動電流Iは、電流値が−I3から+I3までであり、周波数が80Hzの交流電流となっている。
1−6−3.第3モードにおける制御例
図12(A)は、第3モードにおける駆動電力の制御例を表すタイミングチャートである。横軸は時間、縦軸は放電灯90に供給される駆動電力を表す。
図12(A)に示される例では、第3モードにおいて放電灯90に供給される駆動電力は、駆動電力W2の一定値となっている。駆動電力の値は放電灯90の仕様に基づいて実験的に決定することができる。図12(A)に示される例では、駆動電力W2は140Wとなっている。したがって、第3モードにおける駆動電力の最大値Wm3は、駆動電力W2に相当する140Wとなっている。また、第3モードにおける駆動電力の平均値Wa3は140Wとなっている。
図12(B)は、第3モードにおける駆動電流Iの制御例を表すタイミングチャートである。横軸は時間、縦軸は駆動電流Iを表す。図12(B)においては、第1電極92が陽極となる場合の駆動電流Iを正値、第2電極93が陽極となる場合の駆動電流Iを負値として表す。
図12(B)に示される例では、第2モードにおいて放電灯90に供給される駆動電流Iは、電流値が−I3から+I3までであり、周波数が80Hzの交流電流となっている。
1−7.移行期間における制御例
本実施形態において、制御部40は、移行期間を経て動作モードを切り替え、移行期間の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が、移行期間の後半における駆動電流Iの周波数の平均値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御する。
図13(A)ないし図13(F)は、移行期間について説明するための図である。図13(A)に示される例では、制御部40は、移行期間T12を経て動作モードを第1モードから第2モードへと切り替えている。図13(B)に示される例では、制御部40は、移行期間T13を経て動作モードを第1モードから第3モードへと切り替えている。図13(C)に示される例では、制御部40は、移行期間T23を経て動作モードを第2モードから第3モードへと切り替えている。図13(D)に示される例では、制御部40は、移行期間T32を経て動作モードを第3モードから第2モードへと切り替えている。図13(E)に示される例では、制御部40は、移行期間T21を経て動作モードを第2モードから第1モードへと切り替えている。図13(F)に示される例では、制御部40は、移行期間T31を経て動作モードを第3モードから第1モードへと切り替えている。
図14は、移行期間T12、移行期間T13、移行期間T23及び移行期間T32における制御例について説明するためのグラフである。横軸は移行期間の開始からの経過時間、縦軸は駆動電流Iの周波数を表す。また、図14において、移行期間T12については破線、移行期間T13については実線、移行期間T23については点線、移行期間T32については一点鎖線で表す。
図14に示される例では、移行期間T12の前半における駆動電流Iの周波数の平均値は250Hz、移行期間T12の後半における駆動電流Iの周波数の平均値は192.5Hzとなっている。すなわち、制御部40は、移行期間T12の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が、移行期間T12の後半における駆動電流Iの周波数の平均値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御している。
なお、移行期間T12の直後(すなわち、第2モード)における駆動電流Iの周波数の平均値は80Hzである。したがって、移行期間T12の前半における駆動電流Iの周波数の平均値、及び、移行期間T12の後半における駆動電流Iの周波数の平均値はいずれも、移行期間T12の直後における駆動電流Iの周波数の平均値よりも大きくなっている。
また、図14に示される例では、移行期間T13の前半における駆動電流Iの周波数の平均値は380Hz、移行期間T13の後半における駆動電流Iの周波数の平均値は235Hzとなっている。すなわち、制御部40は、移行期間T13の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が、移行期間T13の後半における駆動電流Iの周波数の平均値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御している。
なお、移行期間T13の直後(すなわち、第3モード)における駆動電流Iの周波数の平均値は165Hzである。したがって、移行期間T13の前半における駆動電流Iの周波数の平均値、及び、移行期間T13の後半における駆動電流Iの周波数の平均値はいずれも、移行期間T13の直後における駆動電流Iの周波数の平均値よりも大きくなっている。
また、図14に示される例では、移行期間T23の前半における駆動電流Iの周波数の平均値は220Hz、移行期間T23の後半における駆動電流Iの周波数の平均値は190Hzとなっている。すなわち、制御部40は、移行期間T23の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が、移行期間T23の後半における駆動電流Iの周波数の平均値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御している。
なお、移行期間T23の直後(すなわち、第3モード)における駆動電流Iの周波数の平均値は165Hzである。したがって、移行期間T23の前半における駆動電流Iの周波数の平均値、及び、移行期間T23の後半における駆動電流Iの周波数の平均値はいずれも、移行期間T23の直後における駆動電流Iの周波数の平均値よりも大きくなっている。
図14に示される例では、移行期間T32の前半における駆動電流Iの周波数の平均値は152.5Hz、移行期間T32の後半における駆動電流Iの周波数の平均値は105Hzとなっている。すなわち、制御部40は、移行期間T32の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が、移行期間T32の後半における駆動電流Iの周波数の平均値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御している。
なお、移行期間T32の直後(すなわち、第2モード)における駆動電流Iの周波数の平均値は80Hzである。したがって、移行期間T32の前半における駆動電流Iの周波数の平均値、及び、移行期間T32の後半における駆動電流Iの周波数の平均値はいずれも、移行期間T32の直後における駆動電流Iの周波数の平均値よりも大きくなっている。
本実施形態において、動作モードを切り替えると、駆動電力の最大値が変わる。本実施形態によれば、制御部40は、移行期間を経て動作モードを切り替え、移行期間の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が、移行期間の後半における駆動電流Iの周波数の平均値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御するので、動作モードの切り替えによって駆動電力の最大値が小さくなる場合(上述の図13(A)、図13(B)及び図13(C)に対応する場合)には、放電灯90の電極における放電の起点位置を早期に安定させることができる。また、動作モードの切り替えによって駆動電力の最大値が大きくなる場合(上述の図13(D)に対応する場合)には、放電灯90の電極において放電の起点となる突起が消失することを抑制できる。したがって、フリッカーの発生を抑制できるプロジェクターを実現できる。
制御部40は、移行期間の前半における駆動電流Iの周波数の最小値が、移行期間の後半における駆動電流Iの周波数の最小値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御してもよい。
図14に示される例では、移行期間T12の前半における駆動電流Iの周波数の最小値は220Hz、移行期間T12の後半における駆動電流Iの周波数の最小値は165Hzとなっている。すなわち、制御部40は、移行期間T12の前半における駆動電流Iの周波数の最小値が、移行期間T12の後半における駆動電流Iの周波数の最小値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御している。
また、図14に示される例では、移行期間T13の前半における駆動電流Iの周波数の最小値は360Hz、移行期間T13の後半における駆動電流Iの周波数の最小値は190Hzとなっている。すなわち、制御部40は、移行期間T13の前半における駆動電流Iの周波数の最小値が、移行期間T13の後半における駆動電流Iの周波数の最小値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御している。
また、図14に示される例では、移行期間T23の前半における駆動電流Iの周波数の最小値は220Hz、移行期間T23の後半における駆動電流Iの周波数の最小値は190Hzとなっている。すなわち、制御部40は、移行期間T23の前半における駆動電流Iの周波数の最小値が、移行期間T23の後半における駆動電流Iの周波数の最小値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御している。
また、図14に示される例では、移行期間T32の前半における駆動電流Iの周波数の最小値は140Hz、移行期間T32の後半における駆動電流Iの周波数の最小値は95Hzとなっている。すなわち、制御部40は、移行期間T32の前半における駆動電流Iの周波数の最小値が、移行期間T32の後半における駆動電流Iの周波数の最小値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御している。
制御部40が、移行期間の前半における駆動電流Iの周波数の最小値が、移行期間の後半における駆動電流Iの周波数の最小値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御することよって、動作モードの切り替えによって駆動電力の最大値が小さくなる場合(上述の図13(A)、図13(B)及び図13(C)に対応する場合)には、放電灯90の電極における放電の起点位置をさらに早期に安定させることができる。また、動作モードの切り替えによって駆動電力の最大値が大きくなる場合(上述の図13(D)に対応する場合)には、放電灯90の電極において放電の起点となる突起が消失することをさらに抑制できる。したがって、フリッカーの発生をさらに抑制できるプロジェクターを実現できる。
制御部40は、移行期間後の動作モードが、駆動電力が相対的に低い第1期間と、駆動電力が相対的に高い第2期間とを繰り返すモードである場合には、移行期間の前半における第2期間での駆動電流Iの周波数の最小値が、移行期間の後半における第2期間での駆動電流Iの周波数の最小値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御してもよい。
本実施形態において、第1モードは、駆動電力が相対的に小さい第1期間と、駆動電力が相対的に大きい第2期間とを繰り返すモードである。したがって、以下では図13(E)及び図13(F)の場合について説明する。
図15A〜図15Eは、移行期間T21及び移行期間T31における駆動電流Iの制御例を説明するためのタイミングチャートである。横軸は時間、縦軸は駆動電流Iを表す。
図15Aに示される例では、駆動電流Iは、第1期間では電流値が−I1から+I1までであり、周波数が480Hzで4周期分の交流電流、第2期間では電流値が−I4から+I4までであり、周波数が480Hzで4周期分の交流電流となっている。
図15Bに示される例では、駆動電流Iは、第1期間では電流値が−I1から+I1までであり、周波数が480Hzで4周期分の交流電流、第2期間では電流値が−I4から+I4までであり、周波数が240Hzで2周期分の交流電流となっている。
図15Cに示される例では、駆動電流Iは、第1期間では電流値が−I1から+I1までであり、周波数が480Hzで4周期分の交流電流、第2期間では電流値が−I4から+I4までであり、周波数が120Hzで1周期分の交流電流となっている。
図15Dに示される例では、駆動電流Iは、第1期間では電流値が−I1から+I1までであり、周波数が480Hzで4周期分の交流電流、第2期間では電流値が−I4から+I4までであり、周波数が80Hzで2/3周期分の交流電流となっている。
図15Eに示される例では、駆動電流Iは、第1期間では電流値が−I1から+I1までであり、周波数が480Hzで4周期分の交流電流、第2期間では電流値が−I4から+I4までであり、周波数が60Hzで1/2周期分の交流電流となっている。
図16(A)は、移行期間T21の制御例を説明するための図、図16(B)は、移行期間T31の制御例を説明するための図である。図16(A)及び図16(B)の横軸は時間を表す。また、図16(A)及び図16(B)において、「A」、「B」、「C」、「D」、「E」における駆動電流Iの制御は、それぞれ図15A、図15B、図15C、図15D、図15Eに対応する制御である。
図16(A)に示される例では、移行期間T21において、制御部40は、時間順に図15B、図15C、図15D、図15Eに対応する駆動電流Iを放電灯90に供給するように放電灯駆動部230を制御している。すなわち、移行期間T21の前半における第2期間での駆動電流Iの周波数の最小値が、移行期間T21の後半における第2期間での駆動電流Iの周波数の最小値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御している。
図16(B)に示される例では、移行期間T31において、制御部40は、時間順に図15A、図15B、図15C、図15D、図15Eに対応する駆動電流Iを放電灯90に供給するように放電灯駆動部230を制御している。すなわち、移行期間T31の前半における第2期間での駆動電流Iの周波数の最小値が、移行期間T31の後半における第2期間での駆動電流Iの周波数の最小値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御している。
第2期間は第1期間よりも駆動電力が大きいので、放電灯90の電極の状態に対する影響が大きい。したがって、移行期間の前半における第2期間での駆動電流Iの周波数の最小値が、移行期間の後半における第2期間での駆動電流の周波数の最小値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御することによって、フリッカーの発生をさらに抑制できる。
制御部40は、移行期間前の動作モードにおける駆動電力の最大値と、移行期間後の動作モードにおける駆動電力の最大値との差が大きいほど、移行期間の長さが長くなるように放電灯駆動部230を制御してもよい。
本実施形態においては、第1モードにおける駆動電力の最大値はW4(=383W)、第2モードにおける駆動電力の最大値はW3(=230W)、第3モードにおける駆動電力の最大値はW2(=140W)である。したがって、例えば、駆動電力の最大値が大きい動作モードから小さい動作モードへと変更する場合には、駆動電力の最大値の差が大きい順に、第1モードから第3モード、第1モードから第2モード、第2モードから第3モードとなる。
図14に示される例では、駆動電力の最大値が大きい動作モードから小さい動作モードへと変更する場合には、移行期間の長さが長い順に、移行期間T13、移行期間T12、移行期間T23となっている。すなわち、移行期間前の動作モードにおける駆動電力の最大値と、移行期間後の動作モードにおける駆動電力の最大値との差が大きいほど、移行期間の長さが長くなっている。
また、図16に示される例では、駆動電力の最大値が小さい動作モードから大きい動作モードへと変更する場合には、移行期間の長さが長い順に、移行期間T31、移行期間T21となっている。すなわち、移行期間前の動作モードにおける駆動電力の最大値と、移行期間後の動作モードにおける駆動電力の最大値との差が大きいほど、移行期間の長さが長くなっている。
移行期間前の動作モードにおける駆動電力の最大値と、移行期間後の動作モードにおける駆動電力の最大値との差が大きいほど、移行期間前の動作モードで安定して駆動されやすい放電灯90の電極の形状と、移行期間後の動作モードで安定して駆動されやすい放電灯90の電極の形状との差が大きくなる。したがって、移行期間前の動作モードにおける駆動電力の最大値と、移行期間後の動作モードにおける駆動電力の最大値との差が大きいほど、移行期間の長さが長くなるように放電灯駆動部230を制御することによって、さらに緩やかに電極の形状を変えることで、フリッカーの発生をさらに抑制できる。
制御部40は、移行期間前の動作モードにおける駆動電力の最大値と、移行期間後の動作モードにおける駆動電力の最大値との差が大きいほど、移行期間の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が高くなるように放電灯駆動部230を制御してもよい。
図14に示される例では、駆動電力の最大値が大きい動作モードから小さい動作モードへと変更する場合には、移行期間の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が高い順に、移行期間T13(380Hz)、移行期間T12(250Hz)、移行期間T23(220Hz)となっている。すなわち、移行期間前の動作モードにおける駆動電力の最大値と、移行期間後の動作モードにおける駆動電力の最大値との差が大きいほど、移行期間の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が高くなっている。
また、図16に示される例では、駆動電力の最大値が小さい動作モードから大きい動作モードへと変更する場合には、移行期間の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が高い順に、移行期間T31、移行期間T21となっている。すなわち、移行期間前の動作モードにおける駆動電力の最大値と、移行期間後の動作モードにおける駆動電力の最大値との差が大きいほど、移行期間の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が高くなっている。
移行期間前の動作モードにおける駆動電力の最大値と、移行期間後の動作モードにおける駆動電力の最大値との差が大きいほど、移行期間前の動作モードで安定して駆動されやすい放電灯90の電極の形状と、移行期間後の動作モードで安定して駆動されやすい放電灯90の電極の形状との差が大きくなる。したがって、移行期間前の動作モードにおける駆動電力の最大値と、移行期間後の動作モードにおける駆動電力の最大値との差が大きいほど、移行期間の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が高くなるように放電灯駆動部230を制御することによって、動作モードの切り替えによって駆動電力の最大値が小さくなる場合には、放電灯の電極における放電の起点位置をさらに早期に安定させることができる。また、動作モードの切り替えによって駆動電力の最大値が大きくなる場合には、放電灯90の電極において放電の起点となる突起が消失することをさらに抑制できる。したがって、フリッカーの発生をさらに抑制できるプロジェクターを実現できる。
2.第1変形例に係るプロジェクター
次に、第1変形例に係るプロジェクターについて説明する。第1変形例に係るプロジェクターの光学系や回路等の構成は、上述のプロジェクター500と同様である。したがって、以下では、第1変形例における駆動電流Iの具体例について説明する。
第1変形例においては、第3モードが、駆動電流Iの周波数が相対的に高い期間と、駆動電流Iの周波数が相対的に低い期間とを繰り返す場合を例にとり説明する。なお、第2モードが、駆動電流Iの周波数が相対的に高い期間と、駆動電流Iの周波数が相対的に低い期間とを繰り返す場合においても、以下に説明される原理を同様に適用できる。
また、以下では、移行期間T13を例にとり説明する。なお、移行期間T23においても以下に説明される原理を同様に適用できる。
図17は、第1変形例における移行期間T13での制御例を説明するためのタイミングチャートである。横軸は時間、縦軸は駆動電流Iを表す。
図17に示されるように、制御部40は、移行期間T13において、駆動電流Iの周波数が相対的に高い第1a期間と、駆動電流Iの周波数が相対的に低い第2a期間とを繰り返すように放電灯駆動部230を制御してもよい。
図18は、第1変形例における移行期間T13での制御例を説明するためのグラフである。横軸は移行期間の開始からの経過時間、縦軸は駆動電流Iの周波数を表す。図18において、第1a期間における駆動電流Iの周波数を実線で、第2a期間における駆動電流Iの周波数を破線で表す。
図18に示される例では、第1a期間における駆動電流Iの周波数は、500Hzから280Hzまで段階的に低くなっている。また、第2a期間における駆動電流Iの周波数は、300Hzから100Hzまで段階的に低くなっている。すなわち、制御部40は、移行期間T13の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が、移行期間T13の後半における駆動電流Iの周波数の平均値よりも大きくなるように放電灯駆動部230を制御している。したがって、プロジェクター500と同様に、フリッカーの発生を抑制できる。
また、制御部40は、移行期間の前半の時間に対する、移行期間の前半において駆動電流Iの周波数が最小値となる時間の割合が、移行期間の後半の時間に対する、移行期間の後半において駆動電流Iの周波数が最小値となる時間の割合よりも小さくなるように放電灯駆動部230を制御してもよい。
図19は、第1変形例における移行期間T13での他の制御例を説明するためのグラフである。横軸は移行期間の開始からの経過時間、縦軸は第1a期間と第2a期間との相対的な時間比率を表す。図19において、第1a期間の時間比率を実線で、第2a期間の時間比率を破線で表す。
図19に示される例では、移行期間T13における第1a期間の時間比率は、段階的に小さくなっている。また、移行期間T13における第2a期間の時間比率は、段階的に大きくなっている。すなわち、制御部40は、移行期間T13の前半の時間に対する、移行期間T13の前半において駆動電流Iの周波数が最小値となる時間の割合が、移行期間T13の後半の時間に対する、移行期間T13の後半において駆動電流Iの周波数が最小値となる時間の割合よりも小さくなるように放電灯駆動部230を制御している。
図19に示される例においても、動作モードの切り替えによって駆動電力の最大値が小さくなる場合には、放電灯90の電極における放電の起点位置を早期に安定させることができる。また、動作モードの切り替えによって駆動電力の最大値が大きくなる場合には、放電灯の電極において放電の起点となる突起が消失することを抑制できる。したがって、フリッカーの発生をさらに抑制できるプロジェクターを実現できる。
3.第2変形例に係るプロジェクター
次に、第2変形例に係るプロジェクターについて説明する。第2変形例に係るプロジェクターの光学系や回路等の構成は、上述のプロジェクター500と同様である。したがって、以下では、第2変形例における駆動電流Iの具体例について説明する。
また、以下では、移行期間T31を例にとり説明する。なお、移行期間T21においても以下に説明される原理を同様に適用できる。
制御部40は、移行期間後の動作モードが、駆動電力が相対的に小さい第1期間と、駆動電力が相対的に大きい第2期間とを繰り返すモードである場合には、移行期間の前半の時間に対する、移行期間の前半における第2期間での駆動電流Iの周波数が最小値となる時間の割合が、移行期間の後半の時間に対する、移行期間の後半における第2期間での駆動電流Iの周波数が最小値となる時間の割合よりも小さくなるように放電灯駆動部230を制御してもよい。
以下では、第1モードにおける駆動電流Iは、図10(A)、図10(C)、図10(B)、図10(C)を1組として、これらが順に現れるように制御されていている場合を例にとり説明する。
図20は、第2変形例における移行期間T31での制御例を説明するためのグラフである。横軸は移行期間の開始からの経過時間、縦軸は駆動電流Iがそれぞれ図10(A)、図10(B)及び図10(C)に制御される時間の相対的な時間比率を表す。図20において、図10(A)及び図10(B)の時間比率を破線で、図10(C)の時間比率を実線で表す。
図20に示される例では、移行期間T31における図10(A)及び図10(B)の時間比率は、段階的に大きくなっている。また、移行期間T31における図10(C)の時間比率は、段階的に小さくなっている。すなわち、制御部40は、移行期間T31の前半の時間に対する、移行期間T31の前半における第2期間での駆動電流Iの周波数が最小値となる時間の割合が、移行期間T31の後半の時間に対する、移行期間の後半における第2期間での駆動電流Iの周波数が最小値となる時間の割合よりも小さくなるように放電灯駆動部230を制御している。
第2期間は第1期間よりも駆動電力が大きいため、放電灯90の電極の状態に対する影響が大きい。したがって、移行期間の前半の時間に対する、移行期間の前半における第2期間での駆動電流Iの周波数の最小値となる時間の割合が、移行期間の後半の時間に対する、移行期間の後半における第2期間での駆動電流Iの周波数の最小値となる時間の割合よりも小さくなるように放電灯駆動部230を制御することによって、フリッカーの発生をさらに抑制できる。
4.第3変形例に係るプロジェクター
次に、第3変形例に係るプロジェクターについて説明する。第3変形例に係るプロジェクターの光学系や回路等の構成は、上述のプロジェクター500と同様である。したがって、以下では、第3変形例における駆動電流Iの具体例について説明する。
制御部40は、移行期間の直前の動作モードが継続した時間が長いほど、移行期間の長さが長くなるように放電灯駆動部230を制御してもよい。
図21は、第3変形例における移行期間T12、移行期間T13及び移行期間T23での制御例を説明するためのグラフである。横軸は移行期間の直前の動作モードの継続時間、縦軸は移行期間の長さを表す。
図21に示される例では、移行期間の直前の動作モードの継続時間が長いほど、移行期間T12、移行期間T13及び移行期間T23の長さは長くなっている。
図22は、第3変形例における移行期間T31及び移行期間T21での制御例を説明するためのグラフである。横軸は移行期間の直前の動作モードの継続時間、縦軸は移行期間の長さを表す。
図22に示される例では、移行期間の直前の動作モードの継続時間が長いほど、移行期間T31及び移行期間T21の長さは長くなっている。
特定の動作モードが継続する時間が長くなるほど、放電灯90の電極の形状は、その動作モードで安定して駆動されやすい形状となり、他の動作モードで安定して駆動されやすい形状との差が大きくなる。したがって、移行期間の直前の動作モードが継続した時間が長いほど、移行期間の長さが長くなるように放電灯駆動部230を制御することによって、さらに緩やかに電極の形状を変えることで、フリッカーの発生をさらに抑制できる。
5.第4変形例に係るプロジェクター
次に、第4変形例に係るプロジェクターについて説明する。第4変形例に係るプロジェクターの光学系や回路等の構成は、上述のプロジェクター500と同様である。したがって、以下では、第4変形例における駆動電流Iの具体例について説明する。
制御部40は、移行期間の直前の動作モードが継続した時間が長いほど、移行期間の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が高くなるように放電灯駆動部230を制御してもよい。
特定の動作モードが継続する時間が長くなるほど、放電灯90の電極の形状は、その動作モードで安定して駆動されやすい形状となり、他の動作モードで安定して駆動されやすい形状との差が大きくなる。したがって、移行期間の直前の動作モードが継続した時間が長いほど、移行期間の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が高くなるように放電灯駆動部230を制御することによって、動作モードの切り替えによって駆動電力の最大値が小さくなる場合には、放電灯90の電極における放電の起点位置をさらに早期に安定させることができる。また、動作モードの切り替えによって駆動電力の最大値が大きくなる場合には、放電灯90の電極において放電の起点となる突起が消失することをさらに抑制できる。したがって、フリッカーの発生をさらに抑制できるプロジェクターを実現できる。
6.第5変形例に係るプロジェクター
次に、第5変形例に係るプロジェクターについて説明する。第5変形例に係るプロジェクターの光学系や回路等の構成は、上述のプロジェクター500と同様である。したがって、以下では、第5変形例における駆動電流Iの具体例について説明する。
第5変形例に係るプロジェクターは、放電灯90の劣化状態を検出する状態検出部を含み、制御部40は、状態検出部で検出された劣化状態の進行に伴って、移行期間の長さが長くなるように放電灯駆動部230を制御してもよい。
「1−3.本実施形態における放電灯点灯装置の構成」の項で述べたように、図4に示される電圧検出部60が状態検出部に対応する。すなわち、第5変形例に係るプロジェクターにおいて、状態検出部(電圧検出部60)は、放電灯90の劣化状態の程度を表す値として駆動電圧Vlaを検出する。一般的に、放電灯90の電極の劣化状態が進行すると、駆動電圧Vlaは大きくなる。
劣化状態の程度を表す値としては駆動電圧Vlaの値に限らず、状態検出部は、例えば、放電灯90の駆動電圧Vlaの時間変化、放電灯90の光量、放電灯90の光量の時間変化、放電灯90の累積点灯時間等を検出してもよい。
放電灯90の電極の劣化状態が進行すると、電極の溶融性が低下するため、電極が意図せぬ形状に変形しやすく、フリッカーの発生のリスクが高くなる。したがって、劣化状態の進行に伴って、移行期間の長さが長くなるように放電灯駆動部230を制御することによって、放電灯90の電極における放電の起点位置を早期に安定させることで、フリッカーの発生を抑制できる。
7.第6変形例に係るプロジェクター
次に、第6変形例に係るプロジェクターについて説明する。第6変形例に係るプロジェクターの光学系や回路等の構成は、上述のプロジェクター500と同様である。したがって、以下では、第6変形例における駆動電流Iの具体例について説明する。
第6変形例に係るプロジェクターは、放電灯90の劣化状態を検出する状態検出部を含み、制御部40は、状態検出部で検出された劣化状態の進行に伴って、移行期間の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が高くなるように放電灯駆動部230を制御してもよい。
以下では、移行期間T13を例にとり説明する。なお、他の移行期間においても以下に説明される原理を同様に適用できる。
図23は、第6変形例における移行期間T13での制御例を説明するためのグラフである。横軸は移行期間の開始からの経過時間、縦軸は駆動電流Iの周波数を表す。図23において、駆動電圧Vlaが80Vの場合における駆動電流Iの周波数を実線で、駆動電圧Vlaが100Vの場合における駆動電流Iの周波数を点線で、駆動電圧Vlaが120Vの場合における駆動電流Iの周波数を一点鎖線で表す。
図23に示される例では、駆動電圧Vlaが80Vの場合における移行期間T13の前半における駆動電流Iの周波数の平均値は205Hzとなっている。また、駆動電圧Vlaが100Vの場合における移行期間T13の前半における駆動電流Iの周波数の平均値は373Hzとなっている。また、駆動電圧Vlaが120Vの場合における移行期間T13の前半における駆動電流Iの周波数の平均値は486Hzとなっている。
一般的に、放電灯90の電極の劣化状態が進行すると、駆動電圧Vlaは大きくなる。すなわち、図23に示される例では、制御部40は、状態検出部で検出された劣化状態の進行に伴って、移行期間の前半における駆動電流Iの周波数の平均値が高くなるように放電灯駆動部230を制御している。
放電灯90の電極の劣化状態が進行すると、電極の溶融性が低下するため、電極が意図せぬ形状に変形しやすく、フリッカーの発生のリスクが高くなる。したがって、劣化状態の進行に伴って、移行期間の前半における駆動電流の周波数の平均値が高くなるように放電灯駆動部230を制御することによって、放電灯90の電極における放電の起点位置を早期に安定させることで、フリッカーの発生を抑制できる。
8.第7変形例に係るプロジェクター
次に、第7変形例に係るプロジェクターについて説明する。第7変形例に係るプロジェクターの光学系や回路等の構成は、上述のプロジェクター500と同様である。したがって、以下では、第7変形例における駆動電流Iの具体例について説明する。
制御部40は、移行期間前の動作モードにおける駆動電力の平均値である第1平均電力と、移行期間後の動作モードにおける駆動電力の平均値である第2平均電力とが異なる場合に、移行期間の少なくとも一部において、駆動電力が、第1平均電力と第2平均電力との中間の値になるように放電灯駆動部230を制御してもよい。
以下では、移行期間T13及び移行期間T31を例にとり説明する。なお、他の移行期間においても以下に説明される原理を同様に適用できる。
図24は、第7変形例における移行期間T13及び移行期間T31での制御例を説明するためのグラフである。横軸は移行期間の開始からの経過時間、縦軸は駆動電力を表す。図24において、移行期間T13における駆動電力を実線で、移行期間T31における駆動電力を破線で表す。
移行期間T13の直前の動作モードは第1モードであり、駆動電力の平均値は230Wである。移行期間T13の直後の動作モードは第3モードであり、駆動電力の平均値は140Wである。移行期間T31の直前の動作モードは第3モードであり、駆動電力の平均値は140Wである。移行期間T31の直後の動作モードは第1モードであり、駆動電力の平均値は230Wである。
図24に示される例では、移行期間T13において、駆動電力は230Wから160Wまで段階的に小さくなっている。また、移行期間T31において、駆動電力は140Wから200Wまで段階的に大きくなっている。すなわち、制御部40は、移行期間の一部において、駆動電力が、第1平均電力と第2平均電力との中間の値になるように放電灯駆動部230を制御している。
このように、移行期間において駆動電力を緩やかに変化させることによって、さらに緩やかに電極の形状を変えることで、フリッカーの発生をさらに抑制できる。
上記各実施形態においては、3つの液晶パネルを用いたプロジェクターを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つ、2つ又は4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクターにも適用可能である。
上記各実施形態においては、透過型のプロジェクターを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、反射型のプロジェクターにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、透過型の液晶パネル等のように光変調手段としての電気光学変調装置が光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、反射型の液晶パネルやマイクロミラー型光変調装置などのように光変調手段としての電気光学変調装置が光を反射するタイプであることを意味している。マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス;Texas Instruments社の商標)を用いることができる。反射型のプロジェクターにこの発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクターと同様の効果を得ることができる。
本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用する場合にも可能である。
上記各実施形態においては、駆動電流Iの極性反転1/2周期の期間中は、駆動電流Iの絶対値は一定となっている。すなわち、駆動電流Iの波形は、いわゆる矩形状の波形となっている。駆動電流Iの波形はこれに限らず、駆動電流Iの極性反転半周期の期間中において、駆動電流Iの絶対値が、第1の電流値となる期間で始まり、第1の電流値よりも大きい第2の電流値となる期間で終わる波形や、駆動電流Iの極性反転半周期の期間中において、駆動電流Iの絶対値が単調増加する波形など、駆動電流Iの極性反転1周期の期間中において、駆動電流Iの絶対値が異なる値をとる波形であってもよい。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。