JP5158646B2 - 放電灯の駆動装置および駆動方法、光源装置、プロジェクタ - Google Patents

放電灯の駆動装置および駆動方法、光源装置、プロジェクタ Download PDF

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Description

本発明は、放電灯を駆動する技術に関する。
プロジェクタ(投影装置)の光源に利用される放電灯には、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプなどの高輝度放電ランプ(HIDランプ[High Intensity Discharge Lamp])が知られている。一般的に、プロジェクタにおける放電灯は、交番電流(交流)の供給を受けて、二つの電極間に発生するアーク放電によって発光する。放電灯の各電極には、電極間のアーク放電を安定化させるために、アークの起点となる突起部が形成されている。電極における突起部の縮小や消失は、フリッカ(Flicker)やアークジャンプ(Arc Jump)の要因となる。フリッカは、アークの起点が不規則に移動することによって、放電灯から放出される光がちらつく現象であり、アークジャンプは、アークの起点が移動してアーク長が長くなることによって、放電灯から放出される光の照度が低下する現象である。
従来、フリッカやアークジャンプの要因となる突起部の縮小や消失を防止するために、電極の温度を調整することによって突起部を維持する技術(特許文献1ないし特許文献5)が提案されていた。
特開2005−327744号公報 特開2004−39563号公報 特開2006−120654号公報 国際公開第2004/066687号パンフレット 特開2003−264094号公報
しかしながら、従来の技術では、電極の突起部を維持することができるものの、放電灯の点灯時間が増えるに従って、突起部の表面に凹凸が発生し、その凹凸によって突起部が変形してしまうという問題があった。凹凸による突起部の変形は、突起部の縮小や消失と同様に、フリッカやアークジャンプの要因となってしまう。
本発明は、上記した課題を踏まえ、放電灯の長寿命化を図ることができる技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
第1形態の駆動装置は、第1および第2の電極の間に発生するアーク放電によって発光する放電灯を駆動する駆動装置であって、
前記第1および第2の電極に交番電流を供給する点灯回路と、
前記点灯回路から供給される交番電流を制御する電流制御部と、
前記第1および第2の電極における表面形状の変形を検知する変形検知部と、
前記変形検知部によって前記表面形状の変形が検知された場合、前記電流制御部によって制御される交番電流を変調させる電流変調部と、
前記電流変調部によって前記交番電流を変調させている間に、前記変形検知部によって前記表面形状の変形が検知された場合、前記電流変調部が前記交番電流を変調させる変調比率を増加させる変調増強部と
を備え、
前記電流変調部は、前記第1および第2の電極のうち前記表面形状の変形が検知された一方の電極が陽極として動作する陽極期間に前記一方の電極に供給される電力エネルギの、前記交番電流の同一周期において前記一方の電極とは異なる他方の電極が陽極として動作する陽極期間に前記他方の電極に供給される電力エネルギに対する比率を、増加させることによって、前記交番電流を変調させる手段を含むことを特徴とする。
[適用例1] 適用例1の駆動装置は、第1および第2の電極の間に発生するアーク放電によって発光する放電灯を駆動する駆動装置であって、前記第1および第2の電極に交番電流を供給する点灯回路と、前記点灯回路から供給される交番電流を制御する電流制御部と、前記第1および第2の電極における表面形状の変形を検知する変形検知部と、前記変形検知部によって前記表面形状の変形が検知された場合、前記電流制御部によって制御される交番電流を変調させる電流変調部と、前記電流変調部によって前記交番電流を変調させている間に、前記変形検知部によって前記表面形状の変形が検知された場合、前記電流変調部が前記交番電流を変調させる変調比率を増加させる変調増強部とを備えることを特徴とする。適用例1の駆動装置によれば、第1および第2の電極における表面形状の変形に応じて、これらの電極に供給される交番電流の変調比率を増加させることができる。これによって、第1および第2の電極の溶融不足および溶融過剰を防止しながら、第1および第2の電極を補修することができる。その結果、放電灯の長寿命化を図ることができる。
[適用例2] 適用例1の駆動装置において、前記第1および第2の電極における各電極は、他方の電極に向けて延びた棒状の軸部と、前記他方の電極に対向する前記軸部の先端に形成され、前記軸部よりも大きな径を有する塊状部と、前記他方の電極に近接して前記塊状部に形成され、前記他方の電極に向けて突出する突起部とを備え、前記変形検知部は、前記第1および第2の電極における前記突起部の表面に形成された該突起部よりも小さな凹凸による変形を、前記表面形状の変形として検知し、前記電流変調部は、前記電流制御部によって制御される交番電流を変調させることによって、前記第1および第2の電極の少なくとも一方における前記突起部に形成された凹凸を溶融させるとしても良い。適用例2の駆動装置によれば、第1および第2の電極における突起部の形状を維持させながら、その突起部に形成された凹凸を溶融させることができる。これによって、溶融過剰による突起部の縮小や消失を防止することができる。
[適用例3] 適用例1または適用例2の駆動装置は、更に、前記第1および第2の電極における劣化の進行状況を検知する劣化検知部と、前記劣化検知部によって検知された劣化の進行状況に応じて、前記変調増強部による前記変調比率の増加を抑制する変調抑制部とを備えても良い。適用例3の駆動装置によれば、劣化の進行状況で異なる溶融特性に合わせて、第1および第2の電極の表面形状を補修することができる。
[適用例4] 適用例1ないし適用例3のいずれかの駆動装置は、更に、前記電流変調部によって前記交番電流を変調させている間に、前記変形検知部によって前記表面形状の変形が検知されない場合、前記電流変調部によって変調された交番電流を元に戻す電流復調部を備えても良い。適用例4の駆動装置によれば、第1および第2の電極の溶融過剰を防止することができる。
[適用例5] 適用例1ないし適用例4のいずれかの駆動装置において、前記電流変調部は、前記第1および第2の電極における一方の電極が陽極として動作する陽極期間中に該電極に供給される電力エネルギを増加させる第1の変調部を含むとしても良い。適用例5の駆動装置によれば、一方の電極における表面を選択的に溶融させることができる。
[適用例6] 適用例5の駆動装置において、前記第1の変調部は、前記一方の電極が陽極として動作する陽極期間の延長、前記陽極期間中に前記一方の電極に供給される電流値の増加のうち少なくとも一方を実行することによって、前記一方の電極に供給される電力エネルギを増加させても良い。適用例6の駆動装置によれば、一方の電極に供給される電力エネルギを比較的に容易な制御によって増加させることができる。
[適用例7] 適用例1ないし適用例6のいずれかの駆動装置において、前記電流変調部は、前記第1および第2の電極における一方の電極が陽極として動作する陽極期間中に該電極に供給される電力エネルギを該陽極期間の後半に偏在させる第2の変調部を含むとしても良い。適用例7の駆動装置によれば、一方の電極における表面を選択的に溶融させることができる。
[適用例8] 適用例1ないし適用例7のいずれかの駆動装置において、前記電流制御部は、前記第1および第2の電極がそれぞれ陽極として動作する陽極期間の比率である陽極デューティ比を上下に繰り返し変動させると共に、該陽極デューティ比の上下の切り替わりに同期して、前記交番電流の極性を交互に切り替える極性切替周期を伸縮させることによって、前記点灯回路から供給される交番電流を制御しても良い。適用例8の駆動装置によれば、突起部の成長を促進させる陽極デューティ比の増加および極性切替周期の短縮を、第1および第2の電極の特性に応じて制御することによって、突起部の縮小や消失を防止することができる。
[適用例9] 適用例9の光源装置は、光を放出する光源装置であって、第1および第2の電極の間に発生するアーク放電によって発光する放電灯と、前記第1および第2の電極に交番電流を供給する点灯回路と、前記点灯回路から供給される交番電流を制御する電流制御部と、前記第1および第2の電極における表面形状の変形を検知する変形検知部と、前記変形検知部によって前記表面形状の変形が検知された場合、前記電流制御部によって制御される交番電流を変調させる電流変調部と、前記電流変調部によって前記交番電流を変調させている間に、前記変形検知部によって前記表面形状の変形が検知された場合、前記電流変調部が前記交番電流を変調させる変調比率を増加させる変調増強部とを備えることを特徴とする。適用例9の光源装置によれば、第1および第2の電極の溶融不足および溶融過剰を防止しながら、第1および第2の電極を補修することができる。
[適用例10] 適用例10のプロジェクタは、映像を投影するプロジェクタであって、前記映像を表現する投影光の光源として、第1および第2の電極の間に発生するアーク放電によって発光する放電灯と、前記第1および第2の電極に交番電流を供給する点灯回路と、前記点灯回路から供給される交番電流を制御する電流制御部と、前記第1および第2の電極における表面形状の変形を検知する変形検知部と、前記変形検知部によって前記表面形状の変形が検知された場合、前記電流制御部によって制御される交番電流を変調させる電流変調部と、前記電流変調部によって前記交番電流を変調させている間に、前記変形検知部によって前記表面形状の変形が検知された場合、前記電流変調部が前記交番電流を変調させる変調比率を増加させる変調増強部とを備えることを特徴とする。適用例10のプロジェクタによれば、第1および第2の電極の溶融不足および溶融過剰を防止しながら、第1および第2の電極を補修することができる。
[適用例11] 適用例11の駆動方法は、第1および第2の電極の間に発生するアーク放電によって発光する放電灯を駆動する駆動方法であって、前記第1および第2の電極に交番電流を供給し、前記第1および第2の電極における表面形状の変形を検知し、前記表面形状の変形を検知した場合、前記第1および第2の電極に供給される交番電流を変調させ、前記交番電流を変調させている間に、前記表面形状の変形を検知した場合、前記交番電流を変調させる変調比率を増加させることを特徴とする。適用例11の駆動方法によれば、第1および第2の電極の溶融不足および溶融過剰を防止しながら、第1および第2の電極を補修することができる。
本発明の形態は、駆動装置、光源装置、プロジェクタ、駆動方法に限るものではなく、例えば、プロジェクタを備えるシステム、放電灯を駆動する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムなどの他の形態に適用することもできる。また、本発明は、前述の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
以上説明した本発明の構成および作用を一層明らかにするために、以下本発明を適用した投影装置であるプロジェクタについて説明する。
A.実施例:
A1.プロジェクタの構成:
図1は、プロジェクタ10の構成を主に示す説明図である。プロジェクタ10は、映像をスクリーン80に投影する。スクリーン80は、映像が表示される平面であり、映写幕であっても良いし、壁面であっても良い。
プロジェクタ10は、光源装置20と、投影光学系30と、投射光学系40とを備える。プロジェクタ10の光源装置20は、光源として光を放出し、光源装置20から放出された光は、投影光学系30に供給される。光源装置20の詳細については後述する。
プロジェクタ10の投影光学系30は、光源装置20から供給される光から、映像を表現する投影光を生成する。投影光学系30によって生成された投影光は、投射光学系40に送出される。本実施例では、投影光学系30は、色分離合成光学系であり、光源装置20から供給された光を、赤色光,緑色光,青色光に分離し、三つの空間光変調器でそれぞれ変調した後、これらの光を再び一つの光に合成することによって投影光を生成する。本実施例では、空間光変調器の数は三つであるが、他の実施形態において、三つ以下であっても良いし、三つ以上であっても良い。本実施例では、空間光変調器は、透過光を変調させる透過型液晶パネルであるが、他の実施形態において、反射光を変調させる反射型液晶パネルを用いても良いし、デジタル・マイクロ・ミラーデバイス(Digital Micromirror Device、DMD(登録商標))を始めとするマイクロミラー型光変調装置を用いても良い。
プロジェクタ10の投射光学系40は、投影光学系30で生成された投影光をスクリーン80に投射する。本実施例では、投射光学系40は、フロントレンズ,ズームレンズ,マスタレンズ,フォーカスレンズなどの複数のレンズを配列した投射レンズユニットである。なお、投射光学系40は、投射レンズユニットに限るものではなく、非球面レンズ,拡大レンズ,拡散ガラス,非球面ミラー,反射ミラーの少なくとも一つを用いて、投影光学系30で生成された投影光をスクリーン80へ反射させる光学系であっても良い。
A2.光源装置の詳細構成:
図2は、プロジェクタ10における光源装置20の詳細構成を示す説明図である。光源装置20は、光源ユニット210と、駆動装置600とを備える。光源装置20の光源ユニット210は、主反射鏡212と、副反射鏡214と、放電灯500とを備える。
光源ユニット210の放電灯500は、発光管510と、電極520a,520bと、導電部材530a,530bと、電極端子540a,540bとを備える。放電灯500は、駆動装置600によって駆動され、第1の電極である電極520aと、第2の電極である電極520bとの間に発生するアーク放電によって発光する。駆動装置600の詳細は後述する。
放電灯500の発光管510は、透光性を有し中央部が球状に膨出した石英ガラス管であり、発光管510の中央部には、希ガス,水銀,金属ハロゲン化合物などの放電媒体を含むガスが封入される放電空間部512が形成されている。
放電灯500の電極520a,520bは、発光管510の放電空間部512に離間して配置され、発光管510の放電空間部512の内部にアーク放電を発生させる。本実施例では、電極520a,520bは、タングステン製である。電極520a,520bの詳細については後述する。
放電灯500の導電部材530aは、電極520aと電極端子540aとを電気的に接続する導電体であり、放電灯500の導電部材530bは、電極520bと電極端子540bとを電気的に接続する導電体である。本実施例では、導電部材530a,530bは、モリブデン箔であり、発光管510に封止されている。
放電灯500の電極端子540a,540bは、駆動装置600から供給される交番電流を電極520a,520bに導入する導電体であり、発光管510の両端部にそれぞれ設けられている。
光源ユニット210の主反射鏡212は、凹面状の反射面を有する。主反射鏡212は、放電灯500における電極520a側の端部に設けられ、放電灯500から放出された光を投影光学系30へと反射させる。本実施例では、主反射鏡212の反射面は、回転楕円形であるが、他の実施形態において、回転放物形であっても良い。本実施例では、主反射鏡212は、石英ガラス製であるが、他の実施形態において、結晶化ガラス製であっても良い。
光源ユニット210の副反射鏡214は、主反射鏡212よりも小さな半球状の反射面を有する。副反射鏡214は、放電灯500における放電空間部512が形成された中央部の電極520b側に設けられ、放電灯500から放出された光のうち電極520b側に放出された光を主反射鏡212へと反射させる。本実施例では、副反射鏡214は、石英ガラス製であるが、他の実施形態において、結晶化ガラス製であっても良い。
図3は、電極520a,520bの詳細構成を示す説明図である。電極520a,520bは、軸部521a,521bと、コイル部523a,523bと、塊状部524a,524bと、突起部526a,526bとを備える。軸部521a,521bは、他方の電極520b,520aに向けて延びた棒状のタングステン製部材である。軸部521a,521bの先端にタングステン製線材を巻き付け、その先端を加熱・溶融することによって、タングステン製線材のうち不完全に溶融された部分がコイル部523a,523bとして形成され、タングステン製線材のうち完全に溶融した部分が塊状部524a,524bとして形成される。塊状部524a,524bは、他方の電極520b,520aに対向する軸部521a,521bの先端に形成され、軸部521a,521bよりも大きな径を有する。突起部526a,526bは、他方の電極520b,520aに近接して塊状部524a,524bに形成され、他方の電極520b,520aに向けて突出する。
図4は、電極520aに凹凸529が形成された様子を示す説明図である。図4では、電極520aに凹凸529が形成された様子を示すが、電極520bについても同様に凹凸529が形成される。一般に、放電灯500を点灯させる累積時間の増加に伴って、電極520a,520bにおける突起部526a,526bの表面には、突起部526a,526bよりも小さな凹凸529が形成される。凹凸529によって突起部526a,526bが変形すると、電極520a,520bの間に発生するアークの起点が凹凸529に移動してフリッカやアークジャンプが発生する。本実施例では、電極520a,520bの突起部526a,526bに凹凸529が形成された場合には、駆動装置600によって電極520a,520bに供給される交番電流が変調される。これによって、放電灯500を点灯させた状態で凹凸529を溶融させて、突起部526a,526bを補修することができる。
A3.駆動装置の詳細構成:
図5は、光源装置20における駆動装置600の詳細構成を主に示す説明図である。駆動装置600は、駆動制御部610と、点灯回路620と、変形センサ632と、劣化センサ634とを備える。
駆動装置600の点灯回路620は、放電灯500を起動させるイグナイタ回路や、放電灯500を駆動する交番電流を生成するインバータ回路を備える電気回路であり、駆動制御部610からの指示に基づいて、放電灯500の電極520a,520bに交番電流を供給する。
駆動装置600の駆動制御部610は、点灯回路620の動作を制御する電気回路であり、起動制御部711と、電流制御部712と、変形検知部722と、劣化検知部724と、電流変調部732と、変調増強部733と、変調抑制部734と、電流復調部736とを備える。
駆動制御部610の起動制御部711は、点灯回路620に制御信号を出力することによって、放電灯500を起動させる制御を実行する。駆動制御部610の電流制御部712は、起動制御部711によって放電灯500が起動した後、点灯回路620に制御信号を出力することによって、点灯回路620から供給される交番電流を通常モードで制御する。通常モードにおける交番電流の詳細については後述する。
駆動制御部610の変形検知部722は、電極520a,520bにおける表面形状の変形、すなわち、電極520a,520bに形成された凹凸529による突起部526a,526bの変形を、変形センサ632からの出力信号に基づいて検知する。本実施例では、変形センサ632は、電極520a,520bに供給される交番電流を検知する電流センサであり、変形検知部722は、凹凸529によって発生したフリッカやアークジャンプによる電流値の変動を、電極520a,520bにおける表面形状の変形として検知する。他の実施形態において、変形センサ632に撮像センサを用いて、画像分析に基づいて電極520a,520bの変形を検知しても良いし、変形センサ632に照度センサを用いて、放電灯500から放出される照度の変動に基づいて電極520a,520bの変形を検知しても良い。
駆動制御部610の電流変調部732は、変形検知部722によって突起部526a,526bの変形が検知された場合、電流制御部712によって制御される通常モードの交番電流を変調させることによって、点灯回路620から供給される交番電流を補修モードで制御する。電流変調部732による補修モードは、電極520a,520bに供給される交番電流を変調させることによって、放電灯500を点灯させた状態で凹凸529を溶融させて突起部526a,526bを補修するモードである。補修モードにおける交番電流の詳細については後述する。
駆動制御部610の変調増強部733は、電流変調部732によって交番電流を変調させている間に、変形検知部722によって突起部526a,526bの変形が検知された場合、電流変調部732が通常モードから補修モードへと交番電流を変調させる比率である変調比率を増加させる。
駆動制御部610の劣化検知部724は、電極520a,520bにおける劣化の進行状況を、劣化センサ634からの出力信号に基づいて検知する。本実施例では、劣化センサ634は、電極520a,520b間の電圧を検知する電圧センサであり、劣化検知部724は、電極520a,520b間の電圧に基づいて、電極520a,520bの劣化の進行状況を検知する。一般に、放電灯500を点灯させる累積時間の増加に伴って、電極520a,520bの先端部は消耗する。電極520a,520bの先端部が消耗すると、電極520a,520b間の距離が増大し、電極520a,520b間の電圧は上昇する。他の実施形態において、劣化センサ634にタイマを用いて、放電灯500を点灯した累積時間に基づいて電極520a,520bにおける劣化の進行状況を検知しても良い。
駆動制御部610の変調抑制部734は、劣化検知部724によって検知された劣化の進行状況に応じて、変調増強部733による変調比率の増加を抑制する。
駆動制御部610の電流復調部736は、電流変調部732によって交番電流を変調させている間に、変形検知部722によって電極520a,520bの変形が検知されない場合、電流変調部732によって変調された交番電流を元に戻す。すなわち、電流復調部736は、補修モード中に電極520a,520bの突起部526a,526bが補修された場合、電極520a,520bに供給される交流電流を制御するモードを、補修モードから通常モードに変更する。
本実施例では、駆動制御部610は、種々の演算処理を実行するセントラルプロセッシングユニット(Central Processing Unit、以下、CPUという)612と、CPU612によって処理されるデータを記憶するメモリ614と、駆動制御部610の外部とデータをやり取りするインタフェース616とを備える。本実施例では、起動制御部711、電流制御部712、変形検知部722、劣化検知部724、電流変調部732、変調増強部733、変調抑制部734、電流復調部736の各機能は、メモリ614に記憶されたソフトウェアに基づいてCPU612が動作することによって実現されるが、他の実施形態として、駆動制御部610の電子回路がその物理的な回路構成に基づいて動作することによって実現されても良い。
A4.プロジェクタの動作:
図6は、駆動装置600が実行する点灯処理(ステップS10)を示すフローチャートである。点灯処理(ステップS10)は、放電灯500を点灯する処理である。本実施例では、プロジェクタ10の電源が投入された場合に、駆動装置600の駆動制御部610は、点灯処理(ステップS10)を開始する。
駆動制御部610は、点灯処理(ステップS10)を開始すると、起動制御処理(ステップS100)を実行する。起動制御処理(ステップS100)において、駆動制御部610は、点灯回路620に制御信号を出力することによって、放電灯500を起動させる制御を実行する。
起動制御処理(ステップS100)によって放電灯500が起動した後、駆動制御部610は、電流制御処理(ステップS200)を実行する。電流制御処理(ステップS200)において、駆動制御部610は、点灯回路620に制御信号を出力することによって、点灯回路620から供給される交番電流を通常モードで制御する。
図7は、通常モードにおいて電極520aに供給される交番電流の一例を示す説明図である。図7では、電極520aが陽極として動作する電流値に正の値をとり、電極520aが陰極として動作する電流値に負の値をとることによって、通常モードにおいて電極520aに供給される交番電流を示す。電極520aが陽極として動作する間、電極520bは陰極として動作し、電極520aは陰極として動作する間、電極520bは陽極として動作する。つまり、電極520bに供給される交番電流は、電極520aに供給される交番電流の正負を反転させた態様を示す。
通常モードにおいて電極520a,520bに供給される交番電流は、図7に示すように、絶対値が同じで正負が異なる正の電流値「C1」と負の電流値「−C1」との間で極性が規則的に切り替わる矩形波である。本実施例では、通常モードにおいて、交番電流の極性が交互に切り替わる極性切替周期は、時間Tsで一定である。本実施例では、通常モードにおいて、電極520aが陽極として動作する陽極期間は、時間Tpで一定であり、電極520aが陰極として動作する陰極期間は、時間Tnで一定であり、時間Tpと時間Tnは同じ長さである。すなわち、通常モードでは、電極520aの陽極期間が極性切替周期に占める比率である陽極デューティ比は、50%である。
図6の説明に戻り、電流制御処理(ステップS200)によって点灯回路620から供給される交番電流が通常モードで制御されている間に、駆動制御部610は、変形検知処理(ステップS210)を実行する。変形検知処理(ステップS210)において、駆動制御部610は、電極520a,520bに形成された凹凸529による突起部526a,526bの変形を、変形センサ632からの出力信号に基づいて検知する。変形検知処理(ステップS210)において突起部526a,526bの変形が検知されない場合(ステップS220:「NO」)、駆動制御部610は、電流制御処理(ステップS200)を継続して実行する。
一方、変形検知処理(ステップS210)において突起部526a,526bの変形が検知された場合(ステップS220:「YES」)、駆動制御部610は、電流変調処理(ステップS300)を実行する。電流変調処理(ステップS300)において、駆動制御部610は、電流制御処理(ステップS100)によって制御される通常モードの交番電流を変調させることによって、点灯回路620から供給される交番電流を補修モードで制御する。本実施例では、補修モードにおいて、駆動制御部610は、電極520a,520bのうち変形が検知された変形電極の陽極期間が極性切替周期に占める陽極デューティ比を増加させることによって、その変形電極の温度を上昇させる。その結果、変形電極に形成された凹凸529が溶融することによって、突起部526a,526bが補修される。
図8は、補修モードにおいて電極520aに供給される交番電流の一例を示す説明図である。図8では、図7と同様に正負の値をとることによって、補修モードにおいて電極520aに供給される交番電流を示す。電極520bに供給される交番電流は、電極520aに供給される交番電流の正負を反転させた態様を示す。
図8に示す補修モードの交番電流は、電極520aの突起部526aを補修するために、電極520aの陽極期間が極性切替周期に占める陽極デューティ比を増加させている点を除き、図7に示した通常モードの交番電流と同様である。図8の補修モードでは、図7の通常モードと比較して、電極520aが陽極として動作する陽極期間は、時間Tpから時間Tpcに延長し、電極520aが陰極として動作する陰極期間は、陽極期間が増加した分だけ時間Tnから時間Tncに短縮している。すなわち、図8の補修モードでは、電極520aの陽極期間が極性切替周期に占める陽極デューティ比は、50%を超える。これによって、電極520aの陽極期間中に電極520aに供給される電力エネルギは、通常モードよりも補修モードの方が大きくなる。なお、電極520aを補修する場合ではなく、電極520bを補修する場合には、電極520aの陽極期間が極性切替周期に占める陽極デューティ比を減少させて、電極520bの陽極期間が極性切替周期に占める陽極デューティ比を増加させる。本実施例では、通常モードから補修モードに移行する場合、電極520a,520bのうち変形が検知された変形電極の陽極デューティ比は、55%に設定される。
図6の説明に戻り、電流変調処理(ステップS300)によって点灯回路620から供給される交番電流が変調モードで制御されている間に、駆動制御部610は、変形検知処理(ステップS310)を実行する。変形検知処理(ステップS310)において、駆動制御部610は、電極520a,520bに形成された凹凸529による突起部526a,526bの変形を、変形センサ632からの出力信号に基づいて検知する。
変形検知処理(ステップS310)において突起部526a,526bの変形が検知されない場合、すなわち補修モード中に電極520a,520bの突起部526a,526bが補修された場合(ステップS322:「NO」)、駆動制御部610は、電流復調処理(ステップS320)を実行する。電流復調処理(ステップS320)において、駆動制御部610は、電流変調処理(ステップS300)による補修モードから電流制御処理(ステップS200)による通常モードへと制御モードを移行する。
一方、変形検知処理(ステップS310)において突起部526a,526bの変形が検知された場合、すなわち補修モード中に電極520a,520bの突起部526a,526bが補修されていない場合(ステップS322:「YES」)、駆動制御部610は、変調増強処理(ステップS500)を実行する。変調増強処理(ステップS500)において、駆動制御部610は、通常モードから補修モードへと交番電流を変調させる比率である変調比率を増加させる。本実施例では、変調増強処理(ステップS500)において、電極520a,520bのうち変形が検知された変形電極の陽極デューティ比は、変形検知処理(ステップS310)で変形が検知される毎に1%ずつ増加される。
電流変調処理(ステップS300)によって点灯回路620から供給される交番電流が変調モードで制御されている間に、駆動制御部610は、劣化検知処理(ステップS410)を実行する。劣化検知処理(ステップS410)において、駆動制御部610は、電極520a,520bにおける劣化の進行状況を、劣化センサ634からの出力信号に基づいて検知する。本実施例では、劣化検知処理(ステップS410)において、駆動制御部610は、劣化センサ634からの出力信号に基づいて電極520a,520bの余命を算出し、余命が想定寿命の半分を超える電極520a,520bを「初期品」と判断し、余命期間が想定寿命の半分に満たない電極520a,520bを「劣化品」と判断する。
劣化検知処理(ステップS410)の後、駆動制御部610は、変調抑制処理(ステップS420)を実行する。変調抑制処理(ステップS420)において、駆動制御部610は、劣化検知処理(ステップS410)で検知された劣化の進行状況に応じて、変調増強処理(ステップS500)による変調比率の増加を抑制する。
図9は、陽極デューティ比を変化させて電極520a,520bに交番電流を供給した実験結果を示す説明図である。図9の実験では、余命が想定寿命の半分を超える「初期品」の電極520a,520bと、余命期間が想定寿命の半分に満たない「劣化品」の電極520a,520bとを準備し、陽極デューティ比を変化させた交番電流を供給して、これらの電極が溶融する状態を観察した。
陽極デューティ比が50%の場合、初期品および劣化品の双方で、突起部526a,526bは溶融しなかった。陽極デューティ比が55%の場合、初期品では、突起部526a,526bの表面が溶融し突起部526a,526bに発生した凹凸529が無くなるが、アークの放電起点が定まらなくなるような突起部526a,526b自体の形状変化は見られなかったのに対し、劣化品では、凹凸529を無くすような突起部526a,526bの溶融はなかった。陽極デューティ比が60%の場合、初期品および劣化品の双方で、突起部526a,526bの表面が溶融し突起部526a,526bに発生した凹凸529が無くなるが、アークの放電起点が定まらなくなるような突起部526a,526b自体の形状変化は見られなかった。陽極デューティ比が65%の場合、初期品では、凹凸529の溶融だけでなく突起部526a,526bに溶融による補修可能な形状変化が観察されアークの放電起点が定まらなくなったりアークの長さが所望以上に長くなったりするような状態になり始めたのに対し、劣化品では、突起部526a,526bの表面が溶融し突起部526a,526bに発生した凹凸529が無くなるが、アークの放電起点が定まらなくなるような突起部526a,526b自体の形状変化は見られなかった。陽極デューティ比が70%の場合、初期品では、アークの放電起点が定まらなくなるばかりでなく後段の光学系での光利用効率が低下するくらいアークが長くなる程に突起部526a,526bに溶融による補修不可能な形状変化が観察されたのに対し、劣化品では、凹凸529の溶融だけでなく突起部526a,526bに溶融による補修可能な形状変化が観察されアークの放電起点が定まらなくなったりアークの長さが所望以上に長くなったりするような状態になり始めた。
本実施例では、図9に示した実験結果に基づいて、変調抑制処理(ステップS420)において、駆動制御部610は、劣化検知処理(ステップS410)で初期品と判断された場合、変調増強処理(ステップS500)による陽極デューティ比の増加を60%まで許容し、劣化検知処理(ステップS410)で劣化品と判断された場合、変調増強処理(ステップS500)による陽極デューティ比の増加を65%まで許容する。
A5.効果:
以上説明した駆動装置600によれば、補修モードにおいて変調増強処理(ステップS500)を実行することによって、電極520a,520bの突起部526a,526bの変形に応じて、電極520a,520bに供給される交番電流の変調比率を増加させることができる。これによって、突起部526a,526bの溶融不足および溶融過剰を防止しながら、凹凸529によって変形した突起部526a,526bを補修することができる。その結果、放電灯500の長寿命化を図ることができる。
また、変調抑制処理(ステップS420)によって、電極520a,520bの劣化の進行状況に応じて、電極520a,520bに供給される交番電流の変調比率の増加を抑制することから、劣化の進行状況で異なる溶融特性に合わせて、電極520a,520bの突起部526a,526bを補修することができる。
また、補修モードにおいて電流復調処理(ステップS320)を実行することによって、電極520a,520bの突起部526a,526bが補修された場合に補修モードから通常モードに制御モードを移行することから、突起部526a,526bの溶融過剰を防止することができる。
B.第1変形例:
第1変形例の駆動装置600は、補修モードにおいて変調される交番電流の波形が異なる点以外は、前述した実施例と同様である。
図10は、第1変形例の補修モードにおいて電極520aに供給される交番電流の一例を示す説明図である。図10では、図7と同様に正負の値をとることによって、補修モードにおいて電極520aに供給される交番電流を示す。電極520bに供給される交番電流は、電極520aに供給される交番電流の正負を反転させた態様を示す。
図10に示す補修モードの交番電流は、電極520aの突起部526aを補修するために、電極520aの陽極期間中に電極520aに供給される電力エネルギを陽極期間の後半に偏在させている点を除き、図7に示した通常モードの交番電流と同様である。図10の補修モードでは、陽極期間、陰極期間、極性切替周期の各値は、図7の通常モードにおける各値と同じであり、陽極期間中に電極520aに供給される電力エネルギも、図7の通常モードと同じであるが、陽極期間における電流値は、電流値「C1」より小さな電流値「Ca」から、電流値「C1」より大きな電流値「Cb」へと漸増する。なお、電極520aを補修する場合ではなく、電極520bを補修する場合には、電極520bの陽極期間中に電極520bに供給される電力エネルギを陽極期間の後半に偏在させる。
本実施例では、通常モードから補修モードに移行する場合、陽極期間を開始する電流値「Ca」と陽極期間を終了する電流値「Cb」との偏重比は、20%に設定される。本実施例では、変調増強処理(ステップS500)において、陽極期間を開始する電流値「Ca」と陽極期間を終了する電流値「Cb」との偏重比は、変形検知処理(ステップS310)で変形が検知される毎に1%ずつ増加される。
図11は、陽極期間の偏重比を変化させて電極520a,520bに交番電流を供給した実験結果を示す説明図である。図11の実験では、余命が想定寿命の半分を超える「初期品」の電極520a,520bと、余命期間が想定寿命の半分に満たない「劣化品」の電極520a,520bとを準備し、陽極期間の偏重比を変化させた交番電流を供給して、これらの電極が溶融する状態を観察した。
偏重比が0%、5%、10%、15%の場合、初期品および劣化品の双方で、突起部526a,526bは溶融しなかった。偏重比が20%の場合、初期品では、突起部526a,526bの表面が溶融し突起部526a,526bに発生した凹凸529が無くなるが、アークの放電起点が定まらなくなるような突起部526a,526b自体の形状変化は見られなかったのに対し、劣化品では、凹凸529を無くすような突起部526a,526bの溶融はなかった。偏重比が25%、30%の場合、初期品および劣化品の双方で、突起部526a,526bの表面が溶融し突起部526a,526bに発生した凹凸529が無くなるが、アークの放電起点が定まらなくなるような突起部526a,526bに形状変化は見られなかった。偏重比が30%を超えると、放電灯500から放出される光にスクロールノイズが発生するため、放電灯500を正常に点灯させた状態で突起部526a,526bを補修することができなかった。
第1変形例では、図11に示した実験結果に基づいて、変調抑制処理(ステップS420)において、駆動制御部610は、初期品および劣化品の双方の電極520a,520bについて、変調増強処理(ステップS500)による陽極期間の偏重比の増加を30%まで許容する。第1変形例では、初期品および劣化品の双方の電極520a,520bについて、偏重比の増加を30%に制限することから、劣化検知処理(ステップS410)を省略しても良い。
以上説明した第1変形例の駆動装置600によれば、前述した実施例と同様に、突起部526a,526bの溶融不足およびスクロールノイズを防止しながら、凹凸529によって変形した突起部526a,526bを補修することができる。
C.第2変形例:
第2変形例の駆動装置600は、補修モードにおいて変調される交番電流の波形が異なる点以外は、前述した実施例と同様である。
図12は、第2変形例の補修モードにおいて電極520aに供給される交番電流の一例を示す説明図である。図12では、図7と同様に正負の値をとることによって、補修モードにおいて電極520aに供給される交番電流を示す。電極520bに供給される交番電流は、電極520aに供給される交番電流の正負を反転させた態様を示す。
図12に示す補修モードの交番電流は、電極520aの突起部526aを補修するために、電極520aの陽極期間中に電極520aに供給される電力エネルギを増加させている点を除き、図7に示した通常モードの交番電流と同様である。図12の補修モードでは、陽極期間、陰極期間、極性切替周期の各値は、図7の通常モードにおける各値と同じであるが、陽極期間における電流値は、電流値「C1」より大きな電流値「C2」に増加される。なお、電極520aを補修する場合ではなく、電極520bを補修する場合には、電極520bの陽極期間中に電極520bに供給される電流値を増加させる。
本実施例では、通常モードから補修モードに移行する場合、陽極期間中に供給される電流値「C1」を電流値「C2」に増加させる増加率は、20%に設定される。本実施例では、変調増強処理(ステップS500)において、陽極期間中に供給される電流値「C1」を電流値「C2」に増加させる増加率は、変形検知処理(ステップS310)で変形が検知される毎に1%ずつ増加される。
以上説明した第2変形例の駆動装置600によれば、前述した実施例と同様に、突起部526a,526bの溶融不足および溶融過剰を防止しながら、凹凸529によって変形した突起部526a,526bを補修することができる。
D.第3変形例:
第3変形例の駆動装置600は、通常モードにおける交番電流の波形が異なる点以外は、前述した実施例と同様である。第3変形例では、駆動制御部610は、通常モードにおいて、陽極デューティ比を上下(増減)に繰り返し変動させると共に、この陽極デューティ比の上下の切り替わりに同期して、極性切替周期を伸縮させることによって、点灯回路620から供給される交番電流を制御する。陽極デューティ比の増加および極性切替周期の短縮は、電極520a,520bにおける突起部526a,526bの成長を促進させる。このことから、第3変形例の通常モードでは、電極520a,520bの特性に応じて制御することによって、突起部526a,526bの縮小や消失を防止することができる。
図13は、第3変形例の通常モードにおいて陽極デューティ比および駆動周波数を変動させる様子の一例を示す説明図である。図13では、陽極デューティ比は、電極520aの陽極期間が極性切替周期に占める比率を示し、駆動周波数は、極性切替周期の逆数であり、単位時間あたりに極性が切り替わる回数を示す。第3変形例における通常モードの交番電流は、図7に示した矩形波を、図13に示した陽極デューティ比および駆動周波数で変調させた波形となる。第3変形例における補修モードの交番電流は、図13に示した陽極デューティ比および駆動周波数で変調させた矩形波に対して、更に、陽極デューティ比を増加させた波形となる。
図13に示すように、第3変形例では、陽極デューティ比は、30%から80%の間で上下に繰り返し変動し、この陽極デューティ比の変動に同期して、駆動周波数は、100Hz(ヘルツ)から200Hz間で上下に繰り返し変動する。第3変形例では、電極520bは、副反射鏡214の影響から電極520aよりも蓄熱しやすいため、電極520aが陽極として動作する累積時間を電極520bよりも長く設定することによって、電極520a,520bにおける温度の均一化が図られている。本実施例では、陽極デューティ比が最大値および最小値となるタイミングで、駆動周波数は最小値である100Hzになり、陽極デューティ比が50%前後を行き来するタイミングで、駆動周波数は最大値である200Hzになる。
以上説明した第3変形例の駆動装置600によれば、前述した実施例と同様に、突起部526a,526bの溶融不足および溶融過剰を防止しながら、凹凸529によって変形した突起部526a,526bを補修することができる。また、突起部526a,526bの成長を促進させる陽極デューティ比の増加および極性切替周期の短縮を、電極520a,520bの特性に応じて制御することによって、突起部526a,526bの縮小や消失を防止することができる。
E.その他の実施形態:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。例えば、補修モードにおいて、通常モードの交番電流を変調させる変調比率は、電極520a,520bの特性に応じて適宜変更することができることは勿論である。また、補修モードにおける交番電流の変調は、陽極デューティ比の増加、陽極期間における電流値の増加、陽極期間における電力エネルギの偏在のいずれか一つに限るものではなく、これらの変調を二つ以上組み合わせても良い。
プロジェクタの構成を主に示す説明図である。 プロジェクタにおける光源装置の詳細構成を示す説明図である。 電極の詳細構成を示す説明図である。 電極に凹凸が形成された様子を示す説明図である。 光源装置における駆動装置の詳細構成を主に示す説明図である。 駆動装置が実行する点灯処理を示すフローチャートである。 通常モードにおいて電極に供給される交番電流の一例を示す説明図である。 補修モードにおいて電極に供給される交番電流の一例を示す説明図である。 陽極デューティ比を変化させて電極に交番電流を供給した実験結果を示す説明図である。 第1変形例の補修モードにおいて電極に供給される交番電流の一例を示す説明図である。 陽極期間の偏重比を変化させて電極に交番電流を供給した実験結果を示す説明図である。 第2変形例の補修モードにおいて電極に供給される交番電流の一例を示す説明図である。 第3変形例の通常モードにおいて陽極デューティ比および駆動周波数を変動させる様子の一例を示す説明図である。
符号の説明
10…プロジェクタ
20…光源装置
30…投影光学系
40…投射光学系
80…スクリーン
210…光源ユニット
212…主反射鏡
214…副反射鏡
500…放電灯
510…発光管
512…放電空間部
520a,520b…電極
521a,521b…軸部
523a,523b…コイル部
524a,524b…塊状部
526a,526b…突起部
529…凹凸
530a,530b…導電部材
540a,540b…電極端子
600…駆動装置
610…駆動制御部
612…CPU
614…メモリ
616…インタフェース
620…点灯回路
632…変形センサ
634…劣化センサ
711…起動制御部
712…電流制御部
722…変形検知部
724…劣化検知部
732…電流変調部
733…変調増強部
734…変調抑制部
736…電流復調部

Claims (11)

  1. 第1および第2の電極の間に発生するアーク放電によって発光する放電灯を駆動する駆動装置であって、
    前記第1および第2の電極に交番電流を供給する点灯回路と、
    前記点灯回路から供給される交番電流を制御する電流制御部と、
    前記第1および第2の電極における表面形状の変形を検知する変形検知部と、
    前記変形検知部によって前記表面形状の変形が検知された場合、前記電流制御部によって制御される交番電流を変調させる電流変調部と、
    前記電流変調部によって前記交番電流を変調させている間に、前記変形検知部によって前記表面形状の変形が検知された場合、前記電流変調部が前記交番電流を変調させる変調比率を増加させる変調増強部と
    を備え
    前記電流変調部は、前記第1および第2の電極のうち前記表面形状の変形が検知された一方の電極が陽極として動作する陽極期間に前記一方の電極に供給される電力エネルギの、前記交番電流の同一周期において前記一方の電極とは異なる他方の電極が陽極として動作する陽極期間に前記他方の電極に供給される電力エネルギに対する比率を、増加させることによって、前記交番電流を変調させる手段を含む、駆動装置。
  2. 請求項1に記載の駆動装置であって、
    前記第1および第2の電極における各電極は、
    他方の電極に向けて延びた棒状の軸部と、
    前記他方の電極に対向する前記軸部の先端に形成され、前記軸部よりも大きな径を有する塊状部と、
    前記他方の電極に近接して前記塊状部に形成され、前記他方の電極に向けて突出する突起部と
    を備え、
    前記変形検知部は、前記第1および第2の電極における前記突起部の表面に形成された該突起部よりも小さな凹凸による変形を、前記表面形状の変形として検知し、
    前記電流変調部は、前記電流制御部によって制御される交番電流を変調させることによって、前記第1および第2の電極の少なくとも一方における前記突起部に形成された凹凸を溶融させる、駆動装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の駆動装置であって、更に、
    前記第1および第2の電極における劣化の進行状況を検知する劣化検知部と、
    前記劣化検知部によって検知された劣化の進行状況に応じて、前記変調増強部による前記変調比率の増加を抑制する変調抑制部と
    を備える駆動装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の駆動装置であって、更に、前記電流変調部によって前記交番電流を変調させている間に、前記変形検知部によって前記表面形状の変形が検知されない場合、前記電流変調部によって変調された交番電流を元に戻す電流復調部を備える駆動装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の駆動装置であって、前記電流変調部は、前記第1および第2の電極における一方の電極が陽極として動作する陽極期間中に該電極に供給される電力エネルギを増加させる第1の変調部を含む駆動装置。
  6. 請求項5に記載の駆動装置であって、前記第1の変調部は、前記一方の電極が陽極として動作する陽極期間の延長、前記陽極期間中に前記一方の電極に供給される電流値の増加のうち少なくとも一方を実行することによって、前記一方の電極に供給される電力エネルギを増加させる駆動装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の駆動装置であって、前記電流変調部は、前記第1および第2の電極における一方の電極が陽極として動作する陽極期間中に該電極に供給される電力エネルギを該陽極期間の後半に偏在させる第2の変調部を含む駆動装置。
  8. 請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の駆動装置であって、前記電流制御部は、前記第1および第2の電極がそれぞれ陽極として動作する陽極期間の比率である陽極デューティ比を上下に繰り返し変動させると共に、該陽極デューティ比の上下の切り替わりに同期して、前記交番電流の極性を交互に切り替える極性切替周期を伸縮させることによって、前記点灯回路から供給される交番電流を制御する駆動装置。
  9. 光を放出する光源装置であって、
    第1および第2の電極の間に発生するアーク放電によって発光する放電灯と、
    前記第1および第2の電極に交番電流を供給する点灯回路と、
    前記点灯回路から供給される交番電流を制御する電流制御部と、
    前記第1および第2の電極における表面形状の変形を検知する変形検知部と、
    前記変形検知部によって前記表面形状の変形が検知された場合、前記電流制御部によって制御される交番電流を変調させる電流変調部と、
    前記電流変調部によって前記交番電流を変調させている間に、前記変形検知部によって前記表面形状の変形が検知された場合、前記電流変調部が前記交番電流を変調させる変調比率を増加させる変調増強部と
    を備え
    前記電流変調部は、前記第1および第2の電極のうち前記表面形状の変形が検知された一方の電極が陽極として動作する陽極期間に前記一方の電極に供給される電力エネルギの、前記交番電流の同一周期において前記一方の電極とは異なる他方の電極が陽極として動作する陽極期間に前記他方の電極に供給される電力エネルギに対する比率を、増加させることによって、前記交番電流を変調させる手段を含む、光源装置。
  10. 映像を投影するプロジェクタであって、
    前記映像を表現する投影光の光源として、第1および第2の電極の間に発生するアーク放電によって発光する放電灯と、
    前記第1および第2の電極に交番電流を供給する点灯回路と、
    前記点灯回路から供給される交番電流を制御する電流制御部と、
    前記第1および第2の電極における表面形状の変形を検知する変形検知部と、
    前記変形検知部によって前記表面形状の変形が検知された場合、前記電流制御部によって制御される交番電流を変調させる電流変調部と、
    前記電流変調部によって前記交番電流を変調させている間に、前記変形検知部によって前記表面形状の変形が検知された場合、前記電流変調部が前記交番電流を変調させる変調比率を増加させる変調増強部と
    を備え
    前記電流変調部は、前記第1および第2の電極のうち前記表面形状の変形が検知された一方の電極が陽極として動作する陽極期間に前記一方の電極に供給される電力エネルギの、前記交番電流の同一周期において前記一方の電極とは異なる他方の電極が陽極として動作する陽極期間に前記他方の電極に供給される電力エネルギに対する比率を、増加させることによって、前記交番電流を変調させる手段を含む、プロジェクタ。
  11. 第1および第2の電極の間に発生するアーク放電によって発光する放電灯を駆動する駆動方法であって、
    前記第1および第2の電極に交番電流を供給し、
    前記第1および第2の電極における表面形状の変形を検知し、
    前記表面形状の変形を検知した場合、前記第1および第2の電極のうち前記表面形状の変形が検知された一方の電極が陽極として動作する陽極期間に前記一方の電極に供給される電力エネルギの、前記交番電流の同一周期において前記一方の電極とは異なる他方の電極が陽極として動作する陽極期間に前記他方の電極に供給される電力エネルギに対する比率を、増加させることによって、前記第1および第2の電極に供給される交番電流を変調させ、
    前記交番電流を変調させている間に、前記表面形状の変形を検知した場合、前記交番電流を変調させる変調比率を増加させる、駆動方法。
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