以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.第1実施形態に係るプロジェクター
1−1.プロジェクターの光学系
図1は、第1実施形態に係るプロジェクター500の光学系を示す説明図である。プロジェクター500は、光源装置200と、平行化レンズ305と、照明光学系310と、色分離光学系320と、3つの液晶ライトバルブ330R、330G、330Bと、クロスダイクロイックプリズム340と、投写光学系350とを有している。
光源装置200は、光源ユニット210と、放電灯点灯装置10と、を有している。光源ユニット210は、主反射鏡112と副反射鏡50(後述)と放電灯90とを有している。放電灯点灯装置10は、放電灯90に電力を供給して、放電灯90を点灯させる。主反射鏡112は、放電灯90から放出された光を、照射方向Dに向けて反射する。照射方向Dは、光軸AXと平行である。光源ユニット210からの光は、平行化レンズ305を通過して照明光学系310に入射する。この平行化レンズ305は、光源ユニット210からの光を、平行化する。
照明光学系310は、光源装置200からの光の照度を液晶ライトバルブ330R、330G、330Bにおいて均一化する。また、照明光学系310は、光源装置200からの光の偏光方向を一方向に揃える。この理由は、光源装置200からの光を液晶ライトバルブ330R、330G、330Bで有効に利用するためである。照度分布と偏光方向とが調整された光は、色分離光学系320に入射する。色分離光学系320は、入射光を、赤(R)、緑(G)、青(B)の3つの色光に分離する。3つの色光は、各色に対応付けられた液晶ライトバルブ330R、330G、330Bによって、それぞれ変調される。液晶ライトバルブ330R、330G、330Bは、液晶パネル560R、560G、560B(後述)と、液晶パネル560R、560G、560Bのそれぞれの光入射側及び出射側に配置される偏光板(不図示)を備える。変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム340によって合成される。合成光は、投写光学系350に入射する。投写光学系350は、入射光を、図示しないスクリーンに投写する。これにより、スクリーン上には画像が表示される。
なお、平行化レンズ305と、照明光学系310と、色分離光学系320と、クロスダイクロイックプリズム340と、投写光学系350とのそれぞれの構成としては、周知の種々の構成を採用可能である。
図2は、光源装置200の構成を示す説明図である。光源装置200は、光源ユニット210と放電灯点灯装置10とを有している。図中には、光源ユニット210の断面図が示されている。光源ユニット210は、主反射鏡112と放電灯90と副反射鏡50とを有している。
放電灯90の形状は、第1端部90e1から第2端部90e2まで、照射方向Dに沿って延びる棒形状である。放電灯90の材料は、例えば、石英ガラス等の透光性材料である。放電灯90の中央部は球状に膨らんでおり、その内には、放電空間91が形成されている。放電空間91内には、水銀、希ガス、金属ハロゲン化合物等を含む放電媒体であるガスが封入されている。
放電灯90は、第1電極92及び第2電極93を含んでいる。図2に示す例では、第1電極92及び第2電極93は、放電空間91内に突き出すように設けられている。第1電極92は、放電空間91の第1端部90e1側に配置され、第2電極93は、放電空間91の第2端部90e2側に配置されている。これらの第1電極92及び第2電極93の形状は、光軸AXに沿って延びる棒形状である。放電空間91内では、第1電極92及び第2電極93の電極先端部(「放電端」とも呼ぶ)が、所定距離だけ離れて向かい合っている。なお、これらの第1電極92及び第2電極93の材料は、例えば、タングステン等の金属である。
放電灯90の第1端部90e1には、第1端子536が設けられている。第1端子536と第1電極92とは、放電灯90の内部を通る導電性部材534によって電気的に接続されている。同様に、放電灯90の第2端部90e2には、第2端子546が設けられている。第2端子546と第2電極93とは、放電灯90の内部を通る導電性部材544によって電気的に接続されている。第1端子536及び第2端子546の材料は、例えば、タングステン等の金属である。また、各導電性部材534、544としては、例えば、モリブデン箔が利用される。
第1端子536及び第2端子546は、放電灯点灯装置10に接続されている。放電灯点灯装置10は、第1端子536及び第2端子546に、放電灯90を駆動する駆動電流を供給する。その結果、第1電極92及び第2電極93の間でアーク放電が起きる。アーク放電により発生した光(放電光)は、破線の矢印で示すように、放電位置から全方向に向かって放射される。
放電灯90の第1端部90e1には、固定部材114によって、主反射鏡112が固定されている。主反射鏡112の反射面(放電灯90側の面)の形状は、回転楕円形状である。主反射鏡112は、放電光を照射方向Dに向かって反射する。なお、主反射鏡112の反射面の形状としては、回転楕円形状に限らず、放電光を照射方向Dに向かって反射するような種々の形状を採用可能である。例えば、回転放物線形状を採用してもよい。この場合は、主反射鏡112は、放電光を、光軸AXにほぼ平行な光に変換することができる。したがって、平行化レンズ305を省略することができる。
放電灯90の第2端部90e2側には、固定部材522によって、副反射鏡50が固定されている。副反射鏡50の反射面(放電灯90側の面)の形状は、放電空間91の第2端部90e2側を囲む球面形状である。副反射鏡50は、放電光を、主反射鏡112に向かって反射する。これにより、放電空間91から放射される光の利用効率を高めることが
できる。
なお、固定部材114、522の材料としては、放電灯90の発熱に耐える任意の耐熱材料(例えば、無機接着剤)を採用可能である。また、主反射鏡112及び副反射鏡50と放電灯90との配置を固定する方法としては、主反射鏡112及び副反射鏡50を放電灯90に固定する方法に限らず、任意の方法を採用可能である。例えば、放電灯90と主反射鏡112とを、独立に、プロジェクターの筐体(図示せず)に固定してもよい。副反射鏡50についても同様である。
1−2.プロジェクターの回路構成
図3は、第1実施形態に係るプロジェクターの回路構成の一例を示す図である。プロジェクター500は、先に説明した光学系の他に、画像信号変換部510、直流電源装置80、放電灯点灯装置10、放電灯90、液晶パネル560R、560G、560B、画像処理装置570、CPU(Central Processing Unit)580を含んでいてもよい。また、プロジェクター500とアクティブシャッターメガネ410とを含むプロジェクターシステム400として構成することも可能である。
画像信号変換部510は、外部から入力された画像信号502(輝度−色差信号やアナログRGB信号など)を所定のワード長のデジタルRGB信号に変換して画像信号512R、512G、512Bを生成し、画像処理装置570に供給する。また、画像信号変換部510は、画像信号502として、所与の切替タイミングで第1映像と第2映像とが交互に切り替わる映像信号が入力された場合には、第1映像と第2映像との切替タイミングに基づいて、同期信号514をCPU580に供給する。
画像処理装置570は、3つの画像信号512R、512G、512Bに対してそれぞれ画像処理を行い、液晶パネル560R、560G、560Bをそれぞれ駆動するための駆動信号572R、572G、572Bを液晶パネル560R、560G、560Bに供給する。
直流電源装置80は、外部の交流電源600から供給される交流電圧を一定の直流電圧に変換し、トランス(図示しないが、直流電源装置80に含まれる)の2次側にある画像信号変換部510、画像処理装置570及びトランスの1次側にある放電灯点灯装置10に直流電圧を供給する。
放電灯点灯装置10は、起動時に放電灯90の電極間に高電圧を発生して絶縁破壊させて放電路を形成し、以後放電灯90が放電を維持するための駆動電流Iを供給する。
液晶パネル560R、560G、560Bは、それぞれ駆動信号572R、572G、572Bに基づいて、先に説明した光学系を介して各液晶パネルに入射される色光の輝度を変調する。
CPU580は、プロジェクターの点灯開始から消灯に至るまでの動作を制御する。例えば、点灯命令や消灯命令を、通信信号582を介して放電灯点灯装置10に出力してもよい。また、CPU580は、放電灯点灯装置10から放電灯90の点灯情報を、通信信号584を介して受け取ってもよい。さらに、CPU580は、同期信号514に基づいて、画像信号502に同期してアクティブシャッターメガネ410を制御するための制御信号586を、有線又は無線の通信手段を介してアクティブシャッターメガネ410に出力してもよい。
アクティブシャッターメガネ410は、右シャッター412と左シャッター414を含
んでいてもよい。右シャッター412及び左シャッター414は、制御信号586に基づいて開閉制御される。ユーザーがアクティブシャッターメガネ410を装着した場合に、右シャッター412が閉じられることにより、右目側の視野を遮ることができる。また、ユーザーがアクティブシャッターメガネ410を装着した場合に、左シャッター414が閉じられることにより、左目側の視野を遮ることができる。右シャッター412及び左シャッター414は、例えば、液晶シャッターで構成されていてもよい。
1−3.放電灯点灯装置の構成
図4は、放電灯点灯装置10の回路構成の一例を示す図である。
放電灯点灯装置10は、電力制御回路20を含む。電力制御回路20は、放電灯90に供給する駆動電力を生成する。第1実施形態においては、電力制御回路20は、直流電源80を入力とし、当該入力電圧を降圧して直流電流Idを出力するダウンチョッパー回路で構成されている。
電力制御回路20は、スイッチ素子21、ダイオード22、コイル23及びコンデンサー24を含んで構成されることができる。スイッチ素子21は、例えばトランジスターで構成することができる。第1実施形態においては、スイッチ素子21の一端は直流電源80の正電圧側に接続され、他端はダイオード22のカソード端子及びコイル23の一端に接続されている。また、コイル23の他端にはコンデンサー24の一端が接続され、コンデンサー24の他端はダイオード22のアノード端子及び直流電源80の負電圧側に接続されている。スイッチ素子21の制御端子には制御部40(後述)から電流制御信号が入力されてスイッチ素子21のON/OFFが制御される。電流制御信号には、例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御信号が用いられてもよい。
ここで、スイッチ素子21がONすると、コイル23に電流が流れ、コイル23にエネルギーが蓄えられる。その後、スイッチ素子21がOFFすると、コイル23に蓄えられたエネルギーがコンデンサー24とダイオード22とを通る経路で放出される。その結果、スイッチ素子21がONする時間の割合に応じた直流電流Idが発生する。
放電灯点灯装置10は、極性反転回路30を含む。極性反転回路30は、電力制御回路20から出力される直流電流Idを入力し、所与のタイミングで極性反転することにより、制御された時間だけ継続する直流であったり、任意の周波数をもつ交流であったりする駆動電流Iを生成出力する。第1実施形態においては、極性反転回路30はインバーターブリッジ回路(フルブリッジ回路)で構成されている。
極性反転回路30は、例えば、トランジスターなどで構成される第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33及び第4のスイッチ素子34を含み、直列接続された第1のスイッチ素子31及び第2のスイッチ素子32と、直列接続された第3のスイッチ素子33及び第4のスイッチ素子34を、互いに並列接続して構成される。第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33及び第4のスイッチ素子34の制御端子には、それぞれ制御部40から極性反転制御信号が入力され、極性反転制御信号に基づいて第1のスイッチ素子31、第2のスイッチ素子32、第3のスイッチ素子33及び第4のスイッチ素子34のON/OFFが制御される。
極性反転回路30は、第1のスイッチ素子31及び第4のスイッチ素子34と、第2のスイッチ素子32及び第3のスイッチ素子33を交互にON/OFFを繰り返すことにより、電力制御回路20から出力される直流電流Idの極性を交互に反転し、第1のスイッチ素子31と第2のスイッチ素子32との共通接続点及び第3のスイッチ素子33と第4のスイッチ素子34との共通接続点から、制御された時間だけ継続する直流であったり、
制御された周波数をもつ交流であったりする駆動電流Iを生成出力する。
すなわち、第1のスイッチ素子31及び第4のスイッチ素子34がONの時には第2のスイッチ素子32及び第3のスイッチ素子33をOFFにし、第1のスイッチ素子31及び第4のスイッチ素子34がOFFの時には第2のスイッチ素子32及び第3のスイッチ素子33をONにするように制御する。したがって、第1のスイッチ素子31及び第4のスイッチ素子34がONの時には、コンデンサー24の一端から第1のスイッチ素子31、放電灯90、第4のスイッチ素子34の順に流れる駆動電流Iが発生する。また、第2のスイッチ素子32及び第3のスイッチ素子33がONの時には、コンデンサー24の一端から第3のスイッチ素子33、放電灯90、第2のスイッチ素子32の順に流れる駆動電流Iが発生する。
第1実施形態において、電力制御回路20と極性反転回路30とを合わせて放電灯駆動部230に対応する。すなわち、放電灯駆動部230は、放電灯90を駆動する駆動電流Iを放電灯90に供給する。
放電灯点灯装置10は、制御部40を含む。制御部40は、放電灯駆動部230を制御する。図4に示される例では、制御部40は、電力制御回路20及び極性反転回路30を制御することにより、駆動電流Iが同一極性で継続する保持時間、駆動電流Iの電流値、周波数等を制御する。制御部40は、極性反転回路30に対して駆動電流Iの極性反転タイミングにより、駆動電流Iが同一極性で継続する保持時間、駆動電流Iの周波数等を制御する極性反転制御を行う。また、制御部40は、電力制御回路20に対して、出力される直流電流Idの電流値を制御する電流制御を行う。
制御部40の構成は、特に限定されるものではないが、第1実施形態においては、制御部40は、システムコントローラー41、電力制御回路コントローラー42及び極性反転回路コントローラー43含んで構成されている。なお、制御部40は、その一部又は全てを半導体集積回路で構成してもよい。
システムコントローラー41は、電力制御回路コントローラー42及び極性反転回路コントローラー43を制御することにより、電力制御回路20及び極性反転回路30を制御する。システムコントローラー41は、後述する放電灯点灯装置10内部に設けられた電圧検出部60により検出した駆動電圧Vla及び駆動電流Iに基づき、電力制御回路コントローラー42及び極性反転回路コントローラー43を制御してもよい。
第1実施形態においては、システムコントローラー41は記憶部44を含んで構成されている。なお、記憶部44は、システムコントローラー41とは独立に設けてもよい。
システムコントローラー41は、記憶部44に格納された情報に基づき、電力制御回路20及び極性反転回路30を制御してもよい。記憶部44には、例えば駆動電流Iが同一極性で継続する保持時間、駆動電流Iの電流値、周波数、波形、変調パターン等の駆動パラメーターに関する情報が格納されていてもよい。
電力制御回路コントローラー42は、システムコントローラー41からの制御信号に基づき、電力制御回路20へ電流制御信号を出力することにより、電力制御回路20を制御する。
極性反転回路コントローラー43は、システムコントローラー41からの制御信号に基づき、極性反転回路30へ極性反転制御信号を出力することにより、極性反転回路30を制御する。
なお、制御部40は、専用回路により実現して上述した制御や後述する処理の各種制御を行うようにすることもできるが、例えばCPU(Central Processing Unit)が記憶部44等に記憶された制御プログラムを実行することによりコンピューターとして機能し、これらの処理の各種制御を行うようにすることもできる。図5は、制御部40の他の構成例について説明するための図である。図5に示すように、制御部40は、制御プログラムにより、電力制御回路20を制御する電流制御手段40−1、極性反転回路30を制御する極性反転制御手段40−2として機能するように構成してもよい。
また、図4に示される例では、制御部40は、放電灯点灯装置10の一部として構成されているが、制御部40の機能の一部をCPU580が担うように構成されていてもよい。
放電灯点灯装置10は、動作検出部を含んでもよい。動作検出部は、例えば放電灯90の駆動電圧Vlaを検出し、駆動電圧情報を出力する電圧検出部60や、駆動電流Iを検出し、駆動電流情報を出力する電流検出部を含んでもよい。本実施形態においては、電圧検出部60は、第1及び第2の抵抗61及び62を含んで構成されている。
電圧検出部60は、本発明における状態検出部に対応する。すなわち、状態検出部(電圧検出部60)は、電極の劣化状態の程度を表す値として駆動電圧Vlaを検出する。
第1実施形態において、電圧検出部60は、放電灯90と並列に、互いに直列接続された第1の抵抗61及び第2の抵抗62で分圧した電圧により駆動電圧Vlaを検出する。また、第1実施形態において、電流検出部は、放電灯90に直列に接続された第3の抵抗63に発生する電圧により駆動電流Iを検出する。
放電灯点灯装置10は、イグナイター回路70を含んでもよい。イグナイター回路70は、放電灯90の点灯開始時にのみ動作し、放電灯90の点灯開始時に放電灯90の電極間(第1電極92と第2電極93との間)を絶縁破壊して放電路を形成するために必要な高電圧(放電灯90の通常点灯時よりも高い電圧)を放電灯90の電極間(第1電極92と第2電極93との間)に供給する。第1実施形態においては、イグナイター回路70は、放電灯90と並列に接続されている。
1−4.駆動電流の極性と電極の温度との関係
図6(A)ないし図6(D)は、放電灯90に供給する駆動電流Iの極性と電極の温度との関係を示す説明図である。図6(A)及び図6(B)は、第1電極92及び第2電極93の動作状態を示している。図中には、第1電極92及び第2電極93の先端部分が示されている。第1電極92及び第2電極93の先端にはそれぞれ突起552p、562pが設けられている。第1電極92と第2電極93の間で生じる放電は、主として突起552pと突起562pとの間で生じる。本実施例では、突起が無い場合と比べて、第1電極92及び第2電極93における放電位置(アーク位置)の移動を抑えることができる。ただし、このような突起を省略してもよい。
図6(A)は、第1電極92が陽極として動作し、第2電極93が陰極として動作する第1極性状態P1を示している。第1極性状態P1では、放電によって、第2電極93(陰極)から第1電極92(陽極)へ電子が移動する。陰極(第2電極93)からは、電子が放出される。陰極(第2電極93)から放出された電子は、陽極(第1電極92)の先端に衝突する。この衝突によって熱が生じ、そして、陽極(第1電極92)の先端(突起552p)の温度が上昇する。
図6(B)は、第1電極92が陰極として動作し、第2電極93が陽極として動作する第2極性状態P2を示している。第2極性状態P2では、第1極性状態P1とは逆に、第1電極92から第2電極93へ電子が移動する。その結果、第2電極93の先端(突起562p)の温度が上昇する。
このように、陽極の温度は、陰極と比べて高くなりやすい。ここで、一方の電極の温度が他方の電極と比べて高い状態が続くことは、種々の不具合を引き起こし得る。例えば、高温電極の先端が過剰に溶けた場合には、意図しない電極変形が生じ得る。その結果、アーク長が適正値からずれる場合がある。また、低温電極の先端の溶融が不十分な場合には、先端に生じた微少な凹凸が溶けずに残り得る。その結果、いわゆるアークジャンプが生じる(アーク位置が安定せずに移動する)場合がある。
このような不具合を抑制する技術として、各電極の極性を繰り返し交替させる交流駆動を利用可能である。図6(C)は、放電灯90(図2)に供給される駆動電流Iの一例を示すタイミングチャートである。横軸は時間Tを示し、縦軸は駆動電流Iの電流値を示している。駆動電流Iは、放電灯90を流れる電流を示す。正値は、第1極性状態P1を示し、負値は、第2極性状態P2を示す。図6(C)に示す例では、駆動電流Iとして矩形波交流電流が利用されている。そして、図6(C)に示す例では、第1極性状態P1と第2極性状態P2とが交互に繰り返されている。ここで、第1極性区間Tpは、第1極性状態P1が続く時間を示し、第2極性区間Tnは、第2極性状態P2が続く時間を示す。また、図6(C)に示す例では、第1極性区間Tpの平均電流値はIm1であり、第2極性区間Tnの平均電流値は−Im2である。なお、放電灯90の駆動に適した駆動電流Iの周波数は、放電灯90の特性に合わせて、実験的に決定可能である(例えば、30Hz〜1kHzの範囲の値が採用される)。他の値Im1、−Im2、Tp、Tnも、同様に実験的に決定可能である。
図6(D)は、第1電極92の温度変化を示すタイミングチャートである。横軸は時間Tを示し、縦軸は温度Hを示している。第1極性状態P1では、第1電極92の温度Hが上昇し、第2極性状態P2では、第1電極92の温度Hが降下する。また、第1極性状態P1と第2極性状態P2状態が繰り返されるので、温度Hは、最小値Hminと最大値Hmaxとの間で周期的に変化する。なお、図示は省略するが、第2電極93の温度は、第1電極92の温度Hとは逆位相で変化する。すなわち、第1極性状態P1では、第2電極93の温度が降下し、第2極性状態P2では、第2電極93の温度が上昇する。
第1極性状態P1では、第1電極92(突起552p)の先端が溶融するので、第1電極92(突起552p)の先端が滑らかになる。これにより、第1電極92での放電位置の移動を抑制できる。また、第2電極93(突起562p)の先端の温度が降下するので、第2電極93(突起562p)の過剰な溶融が抑制される。これにより、意図しない電極変形を抑制できる。第2極性状態P2では、第1電極92と第2電極93の立場が逆である。したがって、2つの状態P1、P2を繰り返すことによって、第1電極92及び第2電極93のそれぞれにおける不具合を抑制できる。
ここで、電流Iの波形が対称である場合、すなわち、電流Iの波形が「|Im1|=|−Im2|、Tp=Tn」という条件を満たす場合には、第1電極92と第2電極93との間で、供給される電力の条件が同じである。したがって、第1電極92及び第2電極93の熱的条件(温度の上がりやすさや下がりやすさ)が同一であれば、第1電極92と第2電極93との間の温度差が小さくなると推定される。
また、電極が広い範囲にわたり加熱されすぎる(アークスポット(アーク放電に伴う電極表面上のホットスポット)が大きくなる)と過剰な溶融により電極の形状が崩れる。逆
に、電極が冷えすぎる(アークスポットが小さくなる)と電極の先端が十分に溶融できず、先端を滑らかに戻せない、すなわち電極の先端が変形しやすくなる。したがって、電極に対して一様なエネルギー供給状態を継続すると、電極の先端(突起552p及び突起562p)が意図しない形状に変形しやすくなる。
1−5.駆動電流の制御例
次に、第1実施形態に係るプロジェクター500における駆動電流Iの制御の具体例について説明する。
図7は、第1期間、第2期間及び切替タイミングについて説明するための図である。図7には、上から順に駆動信号572R,572G,572Bの内容、右シャッター412の開閉状態、左シャッター414の開閉状態、第1期間と第2期間、切替タイミングの時間的関係が示されている。図7の横軸は時間である。以下では、第1映像及び第2映像をそれぞれ左目用映像及び右目用映像として表示映像を観察者に立体視させる例について説明する。
図7に示される例では、駆動信号572R,572G,572Bは、時刻t1から時刻t3までの間は第1映像としての右目用映像、時刻t3から時刻t5までの間は第2映像としての右目用映像、時刻t5から時刻t7までの間は第1映像としての右目用映像、時刻t7から時刻t9までの間は第2映像としての右目用映像に対応する駆動信号となっている。したがって、図7に示される例では、プロジェクター500は、時刻t1、時刻t3、時刻t5、時刻t7、時刻t9を切替タイミングとして、第1映像としての右目用映像と第2映像としての右目用映像とを切り替えて交互に出力する。
時間的に隣り合う切替タイミングに挟まれる期間は、第1期間で始まり、第2期間で終わる。図7に示される例では、例えば、切替タイミングとなる時刻t1と時刻t3とに挟まれる期間は、時刻t1から時刻t2までの間の第1期間で始まり、時刻t2から時刻t3までの間の第2期間で終わる。切替タイミングとなる時刻t3と時刻t5とに挟まれる期間、切替タイミングとなる時刻t5と時刻t7とに挟まれる期間、切替タイミングとなる時刻t7と時刻t9とに挟まれる期間についても同様である。なお、図7に示される例では、第1期間の長さと第2期間の長さとを同一に表しているが、第1期間の長さと第2期間の長さは、必要に応じてそれぞれ適宜設定できる。また、第1期間と第2期間との間に、第3期間が存在していてもよい。第3期間においては、後述される第1期間及び第2期間における駆動電流Iの制御とは異なる制御を行ってもよい。
右シャッター412は、第1映像としての右目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間の少なくとも一部の期間で開いた状態となる。図7に示される例では、右シャッター412は、時刻t1から時刻t2までの間では閉じた状態であり、時刻t2から時刻t3までの間は開いた状態である。また、図7に示される例では、第2映像としての右目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間において、右シャッター412は、時刻t3から閉じ始め、時刻t3と時刻t4との間で閉じ終わり、時刻t4から時刻t5までの間は閉じた状態である。時刻t5から時刻t9までの間における右シャッター412の開閉状態の変化は、時刻t1から時刻t5までの間の開閉状態の変化と同様である。
左シャッター414は、第2映像としての右目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間の少なくとも一部の期間で開いた状態となる。図7に示される例では、左シャッター414は、時刻t3から時刻t4までの間では閉じた状態であり、時刻t4から時刻t5までの間
は開いた状態である。また、図7に示される例では、第1映像としての右目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間において、左シャッター414は、時刻t1から閉じ始め、時刻t1と時刻t2との間で閉じ終わり、時刻t2から時刻t3までの間は閉じた状態である。時刻t5から時刻t9までの間における左シャッター414の開閉状態の変化は、時刻t1から時刻t5までの間の開閉状態の変化と同様である。
図7に示される例では、第1映像としての右目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間においては、右シャッター412が閉じている期間が第1期間、右シャッター412が開いている期間が第2期間に対応している。また、図7に示される例では、第2映像としての右目用映像に対応する駆動信号572R,572G,572Bが液晶パネル560R,560G,560Bに入力されている期間においては、左シャッター414が閉じている期間が第1期間、左シャッター414が開いている期間が第2期間に対応している。また、図7に示される例では、第1期間においては、右シャッター412及び左シャッター414のいずれのシャッターも閉じている期間が存在している。
図8は、切替タイミングと、第1制御期間及び第2制御期間との関係を説明するための図である。図8の横軸は時間を表す。また、時刻t11〜t27は切替タイミングである。第1制御期間は、制御部40が第1制御を行う期間であり、第2制御期間は、制御部40が第2制御を行う期間である。
第1実施形態に係るプロジェクター500において、制御部40は、少なくとも時間的に隣り合う切替タイミングに挟まれる期間中継続する第1制御期間に第1制御を行い、少なくとも時間的に隣り合う切替タイミングに挟まれる期間中継続し第1制御期間とは異なる第2制御期間に第2制御を行う。図8に示される例では、第1制御及び第2制御は、時間的に隣り合う切替タイミングに挟まれる期間の4倍の長さの期間中継続している。例えば、図8において最初の第1制御期間は、切替タイミングとなる時刻t11から、切替タイミングとなる時刻t15までの期間中継続している。また、図8において最初の第2制御期間は、切替タイミングとなる時刻t15から、切替タイミングとなる時刻t19までの期間中継続している。なお、第1制御及び第2制御が継続する時間の長さは、放電灯90の仕様に応じて適宜設定することができる。
図9(A)は、第1制御における波形例を示すタイミングチャート、図9(B)は、第2制御における波形例を示すタイミングチャートである。図9(A)及び図9(B)の横軸は時間、縦軸は駆動電流Iの電流値を表す。また、図9(A)及び図9(B)においては、第1電極92が陽極となる場合の駆動電流Iを正値、第2電極93が陽極となる場合の駆動電流Iを負値として表す。また、以下の説明においては、第1電極92が陽極となる場合の駆動電流Iの極性を第1極性、第2電極93が陽極となる場合の駆動電流Iの極性を第2極性と表現する。
第1実施形態に係るプロジェクター500において、制御部40は、第1制御及び第2制御において、駆動電流Iの絶対値が、第1期間では第2期間に比べて相対的に小さくなり、第2期間では第1期間に比べて相対的に大きくなるように放電灯駆動部230を制御する。
図9(A)に示される例では、駆動電流Iの電流値の絶対値は、第1期間ではI1、第2期間ではI2となっている。また、図9(A)に示される例では、I1<I2である。したがって、第1制御において、駆動電流Iの絶対値が、第1期間では相対的に小さくなり、第2期間では相対的に大きくなっている。
同様に、図9(B)に示される例では、駆動電流Iの電流値の絶対値は、第1期間ではI1、第2期間ではI2となっている。また、図9(B)に示される例では、I1<I2である。したがって、第2制御において、駆動電流Iの絶対値が、第1期間では相対的に小さくなり、第2期間では相対的に大きくなっている。
なお、図9(A)及び図9(B)に示される例では、第1期間における駆動電流Iの絶対値及び第2期間における駆動電流Iの絶対値は、それぞれの期間内で一定であるが、これに限られない。例えば、第1期間における駆動電流Iの絶対値及び第2期間における駆動電流Iの絶対値が、それぞれの期間内で変化する場合には、制御部40は、それぞれの期間内における駆動電流Iの絶対値の平均値が、第1期間では相対的に小さくなり、第2期間では相対的に大きくなるように放電灯駆動部230を制御してもよい。また例えば、第1期間における駆動電流Iの絶対値及び第2期間における駆動電流Iの絶対値が、それぞれの期間内で変化する場合には、制御部40は、第1期間で駆動電流Iの絶対値の最小値をとり、第2期間で駆動電流Iの絶対値の最大値をとるように放電灯駆動部230を制御してもよい。
第1実施形態に係るプロジェクター500において、制御部40は、第1制御において、第1期間では、駆動電流Iとして交流電流を放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御する。交流電流は、第1極性と第2極性とを交互に繰り返す電流である。図9(A)に示される例では、放電灯駆動部230が第1期間内において駆動電流Iの電流値の絶対値を一定にしたまま極性を反転させることにより1周期に相当する交流電流を生成して、駆動電流Iとして放電灯90に供給するように、制御部40が放電灯駆動部230を制御している。また、図9(A)に示される例では、1回の第1期間において4周期分の交流電流が駆動電流Iとして放電灯90に供給されている。交流電流の周波数は、放電灯90の特性に応じて実験的に決定することができる。例えば、交流電流の周波数を30Hz〜1kHzの範囲で選択してもよい。
第1実施形態に係るプロジェクター500において、制御部40は、第1制御において、第2期間では、第2期間中に第1電極92に与えられるエネルギーが、第2期間中に第2電極93に与えられるエネルギーよりも大きくなる駆動電流Iを放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御する第1制御処理を行う。
図9(A)に示される例では、制御部40は、第1制御処理では、駆動電流Iとして、第1電極が陽極となる直流電流を放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御している。第1電極が陽極となる直流電流は、第1極性で始まり第1極性の電流で構成される電流である。図9(A)に示される例では、放電灯駆動部230が第2期間内において駆動電流Iの電流値の絶対値を一定にした直流電流を、駆動電流Iとして放電灯90に供給するように、制御部40が放電灯駆動部230を制御している。これにより、簡易な制御で第1制御処理を実現できる。
第1実施形態に係るプロジェクター500において、制御部40は、第2制御において、第1期間では、駆動電流Iとして交流電流を放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御する。図9(B)に示される例では、放電灯駆動部230が第1期間内において駆動電流Iの電流値の絶対値を一定にしたまま極性を反転させることにより1周期に相当する交流電流を生成して、駆動電流Iとして放電灯90に供給するように、制御部40が放電灯駆動部230を制御している。また、図9(B)に示される例では、1回の第1期間において4周期分の交流電流が駆動電流Iとして放電灯90に供給されている。交流電流の周波数は、放電灯90の特性に応じて実験的に決定することができる。例えば、交流電流の周波数を30Hz〜1kHzの範囲で選択してもよい。
第1実施形態に係るプロジェクター500において、制御部40は、第2期間では、第2期間中に第2電極93に与えられるエネルギーが、第2期間中に第1電極92に与えられるエネルギーよりも大きくなる駆動電流Iを放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御する第2制御処理を行う。
図9(B)に示される例では、制御部40は、第2制御処理では、駆動電流Iとして、第2電極が陽極となる直流電流を放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御している。第2電極が陽極となる直流電流は、第2極性で始まり第2極性の電流で構成される電流である。図9(B)に示される例では、放電灯駆動部230が第2期間内において駆動電流Iの電流値の絶対値を一定にした直流電流を、駆動電流Iとして放電灯90に供給するように、制御部40が放電灯駆動部230を制御している。これにより、簡易な制御で第2制御処理を実現できる。
第1実施形態に係るプロジェクター500によれば、第1制御処理においては第1電極92に与えられるエネルギーが大きくなるため、第1電極92の溶融性が高まる。よって、第1電極92の変形を抑制できる。また、第1実施形態に係るプロジェクター500によれば、第2制御処理においては第2電極に与えられるエネルギーが大きくなるため、第2電極93の溶融性が高まる。よって、第2電極93の変形を抑制できる。したがって、第1制御処理及び第2制御処理を行うことにより、第1電極92及び第2電極93の変形を抑制できる。
また、第1実施形態に係るプロジェクター500によれば、制御部40は、駆動電流Iの絶対値が、第1期間で最小となり、第2期間で最大となるように放電灯駆動部230を制御するため、第1期間及び第2期間を通じた平均駆動電力を一定にしたまま駆動すると、第1期間では平均駆動電力で駆動している場合よりも暗く、第2期間では平均駆動電力で駆動している場合よりも明るく映像を投影できる。第1期間では、右シャッター412及び左シャッター414の両方とも閉じている期間があるため、投影される映像が暗くても映像品質に影響を与えにくい。一方、第2期間では、右シャッター412及び左シャッター414のいずれか一方が開いた状態であり、ユーザーに対して投影される映像を平均駆動電力で駆動している場合よりも明るく見せることができる。したがって、映像を明るく見えるように投影できるプロジェクターを実現できる。また、第1期間で映像を暗く投影することにより、クロストークの発生を抑制できる。また、映像を明るく見せるために平均駆動電力を上げる必要性が抑えられるため、プロジェクターの消費電力を抑制できる。これにより、平均駆動電力を上げることに伴う周辺部品の劣化を抑制することができる。
第1実施形態に係るプロジェクター500において、制御部40は、時間的に隣り合う第1制御期間に挟まれる期間の少なくとも一部となる期間において、第2制御を行ってもよい。
図8に示される例では、時刻t11から時刻t15までの第1制御期間と、時刻t19から時刻t23までの第1制御期間とが時間的に隣り合っている。これらの2つの第1制御期間に挟まれる期間となる時刻t15から時刻t19までの期間が第2制御期間となっている。すなわち、図8に示される例では、時間的に隣り合う第1制御期間に挟まれる期間の全てが第2制御期間となっている。よって、図8に示される例では、第1制御期間と第2制御期間とが交互に繰り返されている。
時間的に隣り合う第1制御期間に挟まれる期間の少なくとも一部となる期間において、第2制御を行うことにより、放電灯90の第1電極92と第2電極93との熱負荷バラン
スを保つことができる。したがって、放電灯の電極が偏って消耗することを抑制できる。
1−6.変形例1
図10(A)は、第1制御における他の波形例を示すタイミングチャート、図10(B)は、第2制御における他の波形例を示すタイミングチャートである。図10(A)及び図10(B)の横軸は時間、縦軸は駆動電流Iの電流値を表す。また、図10(A)及び図10(B)においては、第1電極92が陽極となる場合の駆動電流Iを正値、第2電極93が陽極となる場合の駆動電流Iを負値として表す。
図9(A)及び図9(B)に示される波形例と、図10(A)及び図10(B)に示される波形例とでは、第2期間における波形が異なる。すなわち、第1実施形態と変形例1とでは、第1制御処理及び第2制御処理の内容が異なり、他の構成は同様である。したがって、以下では、第1制御処理及び第2制御処理の内容についてのみ説明する。
図10(A)に示される例では、制御部40は、第1制御処理(第2期間における第1制御)では、駆動電流Iとして、1周期に占める第1電極92が陽極になる時間が、第2電極93が陽極になる時間よりも長い交流電流を放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御している。図10(A)に示される例では、放電灯駆動部230が第2期間内において駆動電流Iの電流値の絶対値を一定にしたまま極性を反転させることにより1周期に相当する交流電流を生成して、駆動電流Iとして放電灯90に供給するように、制御部40が放電灯駆動部230を制御している。また、第1極性の継続する時間が、第2極性の継続する時間よりも長くなるようなタイミングで駆動電流Iの極性を反転させるように、制御部40が放電灯駆動部230を制御している。これにより、簡易な制御で第1制御処理を実現できる。
また、図10(B)に示される例では、制御部40は、第2制御処理(第2期間における第2制御)では、駆動電流Iとして、1周期に占める第2電極93が陽極になる時間が、第1電極92が陽極になる時間よりも長い交流電流を放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御している。図10(B)に示される例では、放電灯駆動部230が第2期間内において駆動電流Iの電流値の絶対値を一定にしたまま極性を反転させることにより1周期に相当する交流電流を生成して、駆動電流Iとして放電灯90に供給するように、制御部40が放電灯駆動部230を制御している。また、第2極性の継続する時間が、第1極性の継続する時間よりも長くなるようなタイミングで駆動電流Iの極性を反転させるように、制御部40が放電灯駆動部230を制御している。これにより、簡易な制御で第2制御処理を実現できる。
変形例1によれば、第1制御処理においては第1電極92に与えられるエネルギーが大きくなるため、第1電極92の溶融性が高まる。よって、第1電極92の変形を抑制できる。また、変形例1によれば、第2制御処理においては第2電極に与えられるエネルギーが大きくなるため、第2電極93の溶融性が高まる。よって、第2電極93の変形を抑制できる。したがって、第1制御処理及び第2制御処理を行うことにより、第1電極92及び第2電極93の変形を抑制できる。
1−7.変形例2
図11(A)は、第1制御における他の波形例を示すタイミングチャート、図11(B)は、第2制御における他の波形例を示すタイミングチャートである。図11(A)及び図11(B)の横軸は時間、縦軸は駆動電流Iの電流値を表す。また、図11(A)及び図11(B)においては、第1電極92が陽極となる場合の駆動電流Iを正値、第2電極93が陽極となる場合の駆動電流Iを負値として表す。
図9(A)及び図9(B)に示される波形例と、図11(A)及び図11(B)に示される波形例とでは、第2期間における波形が異なる。すなわち、第1実施形態と変形例2とでは、第1制御処理及び第2制御処理の内容が異なり、他の構成は同様である。したがって、以下では、第1制御処理及び第2制御処理の内容についてのみ説明する。
図11(A)に示される例では、制御部40は、第1制御処理(第2期間における第1制御)では、駆動電流Iとして、交流電流を供給させる期間と、第1電極92が陽極となる直流電流を放電灯90に供給させる期間と、を含むように放電灯駆動部230を制御している。図11(A)に示される例では、交流電流を供給させる期間においては、放電灯駆動部230が第2期間内において駆動電流Iの電流値の絶対値を一定にしたまま極性を反転させることにより1周期に相当する交流電流を生成して、駆動電流Iとして放電灯90に供給するように、制御部40が放電灯駆動部230を制御している。また、図11(A)に示される例では、直流電流を供給させる期間においては、放電灯駆動部230が第2期間内において駆動電流Iの電流値の絶対値を一定にした直流電流を、駆動電流Iとして放電灯90に供給するように、制御部40が放電灯駆動部230を制御している。これにより、簡易な制御で第1制御処理を実現できる。
図11(B)に示される例では、制御部40は、第2制御処理(第2期間における第1制御)では、駆動電流Iとして、交流電流を供給させる期間と、第2電極93が陽極となる直流電流を放電灯90に供給させる期間と、を含むように放電灯駆動部230を制御している。図11(B)に示される例では、交流電流を供給させる期間においては、放電灯駆動部230が第2期間内において駆動電流Iの電流値の絶対値を一定にしたまま極性を反転させることにより1周期に相当する交流電流を生成して、駆動電流Iとして放電灯90に供給するように、制御部40が放電灯駆動部230を制御している。また、図11(B)に示される例では、直流電流を供給させる期間においては、放電灯駆動部230が第2期間内において駆動電流Iの電流値の絶対値を一定にした直流電流を、駆動電流Iとして放電灯90に供給するように、制御部40が放電灯駆動部230を制御している。これにより、簡易な制御で第2制御処理を実現できる。
なお、図11(A)及び図11(B)に示される例では、第2期間の最初に交流電流を供給させ、第2期間の最後に直流電流を供給させる制御を行っているが、交流電流と直流電流の順序は任意である。
変形例2によれば、第1制御処理においては第1電極92に与えられるエネルギーが大きくなるため、第1電極92の溶融性が高まる。よって、第1電極92の変形を抑制できる。また、変形例2によれば、第2制御処理においては第2電極に与えられるエネルギーが大きくなるため、第2電極93の溶融性が高まる。よって、第2電極93の変形を抑制できる。したがって、第1制御処理及び第2制御処理を行うことにより、第1電極92及び第2電極93の変形を抑制できる。
2.第2実施形態に係るプロジェクター
次に、第2実施形態に係るプロジェクター500について説明する。第2実施形態に係るプロジェクター500の光学系や回路等の構成は、第1実施形態に係るプロジェクター500と同様である。したがって、以下では、第2実施形態に係るプロジェクター500における駆動電流Iの制御の具体例について説明する。なお、駆動信号572R,572G,572Bの内容、右シャッター412の開閉状態、左シャッター414の開閉状態、第1期間と第2期間、切替タイミングの時間的関係については、図7を用いて既に説明した通りである。
図12は、切替タイミングと、第1制御期間、第2制御期間及び第3制御期間との関係
を説明するための図である。図12の横軸は時間を表す。また、時刻t11〜t27は切替タイミングである。第1制御期間は、制御部40が第1制御を行う期間であり、第2制御期間は、制御部40が第2制御を行う期間であり、第3制御期間は、制御部40が第3制御を行う期間である。なお、第1制御及び第2制御の内容は、第1実施形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
第2実施形態に係るプロジェクター500において、制御部40は、少なくとも時間的に隣り合う切替タイミングに挟まれる期間中継続し第1制御期間及び第2制御期間とは異なる第3制御期間に第3制御を行う。図12に示される例では、第1制御、第2制御及び第3制御は、時間的に隣り合う切替タイミングに挟まれる期間の2倍の長さの期間中継続している。例えば、図12において最初の第1制御期間は、切替タイミングとなる時刻t13から、切替タイミングとなる時刻t15までの期間中継続している。また、図12において最初の第2制御期間は、切替タイミングとなる時刻t17から、切替タイミングとなる時刻t19までの期間中継続している。さらに、図12において最初の第3制御期間は、切替タイミングとなる時刻t11から、切替タイミングとなる時刻t13までの期間中継続している。なお、第1制御、第2制御及び第3制御が継続する時間の長さは、放電灯90の仕様に応じて適宜設定することができる。
図13は、第3制御における波形例を示すタイミングチャートである。図13の横軸は時間、縦軸は駆動電流Iの電流値を表す。また、図13においては、第1電極92が陽極となる場合の駆動電流Iを正値、第2電極93が陽極となる場合の駆動電流Iを負値として表す。
第2実施形態に係るプロジェクター500において、制御部40は、第3制御において、駆動電流Iの絶対値が、第1期間では第2期間に比べて相対的に小さくなり、第2期間では第1期間に比べて相対的に大きくなるように放電灯駆動部230を制御する。
図13に示される例では、駆動電流Iの電流値の絶対値は、第1期間ではI1、第2期間ではI2となっている。また、図13に示される例では、I1<I2である。したがって、第3制御において、駆動電流Iの絶対値が、第1期間では相対的に小さくなり、第2期間では相対的に大きくなっている。
なお、図13に示される例では、第1期間における駆動電流Iの絶対値及び第2期間における駆動電流Iの絶対値は、それぞれの期間内で一定であるが、これに限られない。例えば、第1期間における駆動電流Iの絶対値及び第2期間における駆動電流Iの絶対値が、それぞれの期間内で変化する場合には、制御部40は、それぞれの期間内における駆動電流Iの絶対値の平均値が、第1期間では相対的に小さくなり、第2期間では相対的に大きくなるように放電灯駆動部230を制御してもよい。また例えば、第1期間における駆動電流Iの絶対値及び第2期間における駆動電流Iの絶対値が、それぞれの期間内で変化する場合には、制御部40は、第1期間で駆動電流Iの絶対値の最小値をとり、第2期間で駆動電流Iの絶対値の最大値をとるように放電灯駆動部230を制御してもよい。
第2実施形態に係るプロジェクター500において、制御部40は、第3制御において、第1期間では、駆動電流Iとして交流電流を放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御してもよい。図13に示される例では、放電灯駆動部230が第1期間内において駆動電流Iの電流値の絶対値を一定にしたまま極性を反転させることにより1周期に相当する交流電流を生成して、駆動電流Iとして放電灯90に供給するように、制御部40が放電灯駆動部230を制御している。また、図13に示される例では、1回の第1期間において4周期分の交流電流が駆動電流Iとして放電灯90に供給されている。交流電流の周波数は、放電灯90の特性に応じて実験的に決定することができる。例えば、
交流電流の周波数を30Hz〜1kHzの範囲で選択してもよい。
なお、第2実施形態に係るプロジェクター500において、制御部40は、第3制御において、第1期間では、駆動電流Iとして直流電流を放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御してもよい。この場合、例えば、時間的に1つの第2期間を挟む2つの第1期間では、駆動電流Iとして互いに逆極性となる直流電流を放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御してもよい。これにより、放電灯の電極の熱負荷バランスを保つことができる。したがって、放電灯の電極が偏って消耗することを抑制できる。
第2実施形態に係るプロジェクター500において、制御部40は、第3制御において、第2期間中に第1電極92に与えられるエネルギーと第2電極93に与えられるエネルギーとの差が、第1制御及び第2制御の場合よりも小さい駆動電流Iを放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御する。すなわち、第3制御における第2期間中に第1電極92に与えられるエネルギーと第2電極93に与えられるエネルギーとの差は、第1制御における第2期間中に第1電極92に与えられるエネルギーと第2電極93に与えられるエネルギーとの差よりも小さく、第2制御における第2期間中に第1電極92に与えられるエネルギーと第2電極93に与えられるエネルギーとの差よりも小さい。
図13に示される例では、第2実施形態に係るプロジェクター500において、制御部40は、第3制御において、第2期間では、駆動電流Iとして、交流電流を放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御している。図13に示される例では、放電灯駆動部230が第2期間内において駆動電流Iの電流値の絶対値を一定にしたまま極性を反転させることにより1周期に相当する交流電流を生成して、駆動電流Iとして放電灯90に供給するように、制御部40が放電灯駆動部230を制御している。また、図13に示される例では、第1極性の継続する時間と、第2極性の継続する時間とが同じ長さになるようなタイミングで駆動電流Iの極性を反転させるように、制御部40が放電灯駆動部230を制御している。図13に示される例では、1回の第2期間において2周期分の交流電流が駆動電流Iとして放電灯90に供給されている。
なお、第2実施形態に係るプロジェクター500において、制御部40は、第3制御の第2期間において、第1極性の継続する時間と、第2極性の継続する時間とが異なるようなタイミングで駆動電流Iの極性を反転させるように、放電灯駆動部230を制御してもよい。その場合、第1制御及び第2制御における第1極性の継続する時間と第2極性の継続する時間との差よりも小さい差となるように、駆動電流Iの極性を反転させるように制御部40が放電灯駆動部230を制御してもよい。
このように、第3制御においては、第1制御及び第2制御と比べて、全体として放電灯90の電極の熱負荷バランスを保つような(熱負荷バランスの偏りが小さい)駆動電流Iを放電灯90に供給させるように放電灯駆動部230を制御している。
第2実施形態に係るプロジェクター500において、制御部40は、時間的に隣り合う第3制御期間に挟まれる期間において、第1制御及び第2制御の少なくとも一方を行ってもよい。
図12に示される例では、時刻t11から時刻t13までの第3制御期間と、時刻t15から時刻t17までの第3制御期間とが時間的に隣り合っている。これらの2つの第3制御期間に挟まれる期間となる時刻t13から時刻t15までの期間が第1制御期間となっている。また、図12に示される例では、時刻t15から時刻t17までの第3制御期間と、時刻t19から時刻t21までの第3制御期間とが時間的に隣り合っている。これ
らの2つの第3制御期間に挟まれる期間となる時刻t17から時刻t19までの期間が第2制御期間となっている。
このように、制御部40が、時間的に隣り合う第3制御期間に挟まれる期間において、第1制御及び第2制御の少なくとも一方を行うことにより、第1制御及び第2制御によって電極の溶融性が高まりすぎることに起因する黒化などの弊害を抑制できる。
また、図12に示されるように、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、第1制御期間に第1制御を行い、時間的に隣り合う第1制御期間に挟まれる期間の少なくとも一部となる第2制御期間において、第2制御を行っている。これにより、放電灯90の第1電極92と第2電極93との熱負荷バランスを保つことができる。したがって、放電灯の電極が偏って消耗することを抑制できる。
3.第3実施形態に係るプロジェクター
次に、第3実施形態に係るプロジェクター500について説明する。第3実施形態に係るプロジェクター500の光学系や回路等の構成は、第1実施形態に係るプロジェクター500と同様である。したがって、以下では、第3実施形態に係るプロジェクター500における駆動電流Iの制御の具体例について説明する。また、第1制御、第2制御及び第3制御の内容は、第1実施形態及び第2実施形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
第3実施形態に係るプロジェクター500は、放電灯90の劣化状態を検出する状態検出部(電圧検出部60)を含み、制御部40は、劣化状態の進行に伴って、第3制御期間の長さを短くする。
状態検出部は、劣化状態の程度を表す値として、例えば、放電灯90の駆動電圧Vla、放電灯90の駆動電圧Vlaの時間変化、放電灯90の光量、放電灯90の光量の時間変化、放電灯90の累積点灯時間等を検出してもよい。第3実施形態においては、電圧検出部60(状態検出部)が、放電灯90の劣化状態として放電灯90の駆動電圧Vlaを検出する。
図14は、第3実施形態のプロジェクターの制御例を示すフローチャートである。図14に示すフローチャートでは、放電灯90が安定に点灯した後から消灯までの制御について示している。
まず、電圧検出部60が駆動電圧Vlaを検出する(ステップS100)。次に、制御部40が、ステップS100で検出した駆動電圧Vlaに対応する駆動条件を、記憶部44に記憶された対応関係から選択する(ステップS102)。
図15は、駆動条件の対応関係の一例を示す図である。図15に示される例では、第1制御期間及び第2制御期間の長さは、時間的に隣り合う2つの切替タイミングに挟まれる期間の3倍の長さで一定である。また、第3制御期間の長さは、駆動電圧Vlaが大きくなるほど(放電灯90の劣化状態が進行するほど)短くなっている。図15に示される例では、時間的に隣り合う2つの切替タイミングに挟まれる期間の長さを基準とした第3制御期間の長さは、駆動電圧Vlaが80V未満の場合には3倍の長さ、駆動電圧Vlaが80V以上95V未満の場合には2倍の長さ、駆動電圧Vlaが95V以上の場合には1倍の長さとなっている。
図14のステップS102で駆動条件を選択した後に、制御部40は、駆動条件を変更する必要があるか否かを判定する(ステップS104)。制御部40が、駆動条件を変更
する必要があるものと判定した場合(ステップS104でYESの場合)には、ステップS102で選択した駆動条件に変更して放電灯90を駆動する(ステップS106)。制御部40が、駆動条件を変更する必要がないものと判定した場合(ステップS104でNOの場合)には、従前の駆動条件で放電灯90を駆動し続ける。
ステップS104でNOの場合及びステップS106の後に、制御部40は、放電灯90の消灯命令があるか否かを判定する(ステップS108)。制御部40が、消灯命令があるものと判定した場合(ステップS108でYESの場合)には、放電灯90の点灯を終了(消灯)する。制御部40が、消灯命令がないものと判定した場合(ステップS108でNOの場合)には、消灯命令があるまでステップS100〜ステップS108までの制御を繰り返す。
放電灯90の第1電極92及び第2電極93の劣化状態が進行すると、第1電極92と第2電極93との距離(電極間距離)が大きくなる。電極間距離が大きくなると駆動電圧Vlaは上昇する。すなわち、劣化状態の進行に伴って駆動電圧Vlaは上昇する。
したがって、第3実施形態のプロジェクター500では、駆動電圧Vlaの上昇(劣化状態の進行)に伴って、第3制御期間の長さを短くする。放電灯90の劣化状態が進行すると電極の溶融性が低下する。したがって、放電灯90の劣化状態の進行に伴って第3制御期間の長さを短くして第1制御及び第2制御の頻度を高めることにより電極の溶融性を高め、電極の変形を抑制できる。また、放電灯90の劣化状態が進行していない場合には、必要以上に電極の溶融性を高めないことにより、電極の溶融性が高まりすぎることに起因する黒化などの弊害を抑制できる。
4.第4実施形態に係るプロジェクター
次に、第4実施形態に係るプロジェクター500について説明する。第4実施形態に係るプロジェクター500の光学系や回路等の構成は、第1実施形態に係るプロジェクター500と同様である。したがって、以下では、第4実施形態に係るプロジェクター500における駆動電流Iの制御の具体例について説明する。また、第1制御、第2制御及び第3制御の内容は、第1実施形態及び第2実施形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
第4実施形態に係るプロジェクター500は、放電灯90の劣化状態を検出する状態検出部(電圧検出部60)を含み、制御部40は、劣化状態の進行に伴って、第1制御期間及び第2制御期間の長さを長くする。
状態検出部は、劣化状態の程度を表す値として、例えば、放電灯90の駆動電圧Vla、放電灯90の駆動電圧Vlaの時間変化、放電灯90の光量、放電灯90の光量の時間変化、放電灯90の累積点灯時間等を検出してもよい。第4実施形態においては、電圧検出部60(状態検出部)が、放電灯90の劣化状態として放電灯90の駆動電圧Vlaを検出する。
第4実施形態における制御フローは、図14を用いて説明した第3実施形態における制御フローと同様であり、ステップS102で選択される駆動条件の対応関係のみが異なる。
図16は、駆動条件の対応関係の一例を示す図である。図16に示される例では、第3制御期間の長さは、時間的に隣り合う2つの切替タイミングに挟まれる期間の3倍の長さで一定である。また、第1制御期間及び第2制御期間の長さは、駆動電圧Vlaが大きくなるほど(放電灯90の劣化状態が進行するほど)長くなっている。図16に示される例
では、時間的に隣り合う2つの切替タイミングに挟まれる期間の長さを基準とした第1制御期間及び第2制御期間の長さは、駆動電圧Vlaが80V未満の場合には1倍の長さ、駆動電圧Vlaが80V以上95V未満の場合には2倍の長さ、駆動電圧Vlaが95V以上の場合には3倍の長さとなっている。
放電灯90の第1電極92及び第2電極93の劣化状態が進行すると、第1電極92と第2電極93との距離(電極間距離)が大きくなる。電極間距離が大きくなると駆動電圧Vlaは上昇する。すなわち、劣化状態の進行に伴って駆動電圧Vlaは上昇する。
したがって、第4実施形態のプロジェクター500では、駆動電圧Vlaの上昇(劣化状態の進行)に伴って、第1制御期間及び第2制御期間の長さを長くする。放電灯90の劣化状態が進行すると電極の溶融性が低下する。したがって、放電灯90の劣化状態の進行に伴って第1制御期間及び第2制御期間の長さを長くすることにより電極の溶融性を高め、電極の変形を抑制できる。また、放電灯90の劣化状態が進行していない場合には、必要以上に電極の溶融性を高めないことにより、電極の溶融性が高まりすぎることに起因する黒化などの弊害を抑制できる。
なお、第3実施形態においては、放電灯90の劣化状態が進行するほど第3制御期間の長さを短くする例について、第4実施形態においては、放電灯90の劣化状態が進行するほど第1制御期間及び第2制御期間の長さを長くする例について説明したが、これらを組み合わせることも可能である。
上記各実施形態では、プロジェクター500は、第1映像及び第2映像をそれぞれ左目用映像及び右目用映像として表示映像を観察者に立体視させる構成としていたが、これに限らない。例えば、プロジェクターとして、第1映像及び第2映像をコンテンツの異なる映像とし、2つの表示映像(第1映像及び第2映像)を異なる観察者にそれぞれ視認させる構成を採用しても構わない。
このように構成した場合には、アクティブシャッターメガネとしては、前述した右シャッター412と同様に作用するシャッターを左右に設けた眼鏡、及び前述した左シャッター414と同様に作用するシャッターを左右に設けた眼鏡の2種類を設ければよい。
上記各実施形態においては、3つの液晶パネルを用いたプロジェクターを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、1つ、2つ又は4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクターにも適用可能である。
上記各実施形態においては、透過型のプロジェクターを例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、反射型のプロジェクターにも適用することが可能である。ここで、「透過型」とは、透過型の液晶パネル等のように光変調手段としての電気光学変調装置が光を透過するタイプであることを意味しており、「反射型」とは、反射型の液晶パネルやマイクロミラー型光変調装置などのように光変調手段としての電気光学変調装置が光を反射するタイプであることを意味している。マイクロミラー型光変調装置としては、例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス;Texas Instruments社の商標)を用いることができる。反射型のプロジェクターにこの発明を適用した場合にも、透過型のプロジェクターと同様の効果を得ることができる。
本発明は、投写画像を観察する側から投写するフロント投写型プロジェクターに適用する場合にも、投写画像を観察する側とは反対の側から投写するリア投写型プロジェクターに適用する場合にも可能である。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。