上述したように、一般にパチンコ機等の遊技機では、メンテナンス等の観点から遊技機本体(内枠)が支持体(外枠)に対し開閉可能に設けられている。そのため、店員以外の者が無断で遊技機本体を開放できないように、遊技機には施錠装置が設けられている。かかる施錠装置としては、専用の鍵を用いて操作されるシリンダ錠と、支持体に設けられた複数の被係合部材に対しそれぞれ係脱可能に設けられた複数の鉤部材と、鍵によるシリンダ錠の解錠操作に応じて複数の鉤部材を連動させる摺動杆とを備えたものが知られている。そして、施錠状態では各鉤部材がそれぞれ対応する被係合部材に係合することで遊技機本体が支持体に対し開放不能となる。他方、専用の鍵でシリンダ錠を解錠操作することにより摺動杆を介して各鉤部材が被係合部材から同時に離脱し、遊技機本体が開放可能となる(例えば特許文献1参照)。
また、施錠装置は、一般的に遊技機本体を開状態から閉状態とする施錠時には、専用の鍵を用いなくとも施錠が行えるように構成されている。例えば、鉤部材の先端が略三角形状に先細りしており、遊技機本体を閉じていくと、先ず鉤部材の傾斜部位が被係合部材に接するようになっている。従って、さらに遊技機本体を閉じていくことで、コイルばね等の付勢部材の付勢力に抗して鉤部材が解錠方向へ変位する。そして、鉤部材が被係合部材を乗り越えると、鉤部材は付勢部材の付勢力により元の位置に戻り、被係合部材に係合される。これにより遊技機本体の施錠が完了する。
従来技術では、一般的に鍵による解錠操作を継続している場合(例えばシリンダ錠を所定方向に回動操作している場合)のみ、鉤部材を解錠側に維持することができる。つまり、鍵から手を離した場合には鉤部材が施錠側に戻ってしまう。従って、遊技機本体を開放する作業を行う際には、作用者は、一方の手で、鍵によりシリンダ錠等を解錠操作しつつ、他方の手で、遊技機本体を前方へ引っ張るといった作業が必要となる。
しかしながら、近年では、遊技機本体に取付けられる制御機器などの各種機器の数が増加傾向にあるため、遊技機本体が重量化傾向にある。このため、遊技機本体の開放作業が、遊技機本体を手で支えながら前方へ引っ張る等、非常に手間のかかる作業となるおそれがある。
さらに、近年、遊技店では、遊技機本体を不正に解錠し、本体裏側に設けられた制御機器を不正に操作したり交換する等して、多くの遊技媒体を獲得する不正行為が行われることもある。このような不正解錠は、通常、遊技機本体と支持体との隙間から針金等の線材を差込み、当該線材を施錠装置の鉤部材に引っ掛けて解錠方向に動かすことにより行われる。
このような不正解錠操作を防止するため、近年では、特開2001−120817号公報に記載された発明のように、例えば被係合部材に係合した鉤部材を囲む防護カバーを備えた遊技機もある。
ところが、このような構成では、各鉤部材に対応して防護カバーを設けなければならず、部品点数が増加するおそれがある。
尚、かかる課題は、パチンコ機に限らず、スロットマシンなど、扉体と支持体とを施錠する施錠機構を備えた他の遊技機にも該当する問題である。
本発明は、上記例示した問題点などを解決するためになされたものであり、その目的は、利便性の向上を図るとともに、不正解錠に対する防御性能の向上を図ることのできる遊技機を提供することにある。
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は斜視図であり、図3は右側面図である。また、図4は、内枠12及び前面枠セット14を開放した状態を示す斜視図である。但し、図4では便宜上、遊技盤30面上に配設される釘や役物、前面枠セット14に取付けられるガラスユニット137などを省略して示している。
図1乃至図4に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を構成する支持体としての外枠11を備えており、この外枠11の一側部に扉体としての内枠12が開閉可能に支持されている。
ここで、外枠11について図5を参照しつつ説明する。図5は外枠11の全体を示す斜視図である。本実施形態における外枠11は、上辺枠構成部11a及び下辺枠構成部11bが木製の板材により構成され、左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dがアルミニウム合金製の押出成形材により構成され、これら各枠構成部11a〜11dがネジ等の離脱可能な締結具により全体として矩形枠状に組み付けられている。
左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dは、原料となるアルミニウム合金を高温・高圧下のもと所定断面形状で押出形成し、この押出成形材を所定寸法に切断し、切削加工等によりネジ止め用のネジ孔など細かい箇所を加工して得られる。従って、左辺枠構成部11c及び右辺枠構成部11dは、それぞれ長手方向に略一様な断面形状となっている。
また、左辺枠構成部11cの上下端部には、それぞれ上ヒンジ81及び下ヒンジ82が取着されている。当該上ヒンジ81及び下ヒンジ82にて、内枠12の上下部が回動可能に支持されており、これにより内枠12が開閉可能となる。
また、右辺枠構成部11dの内側には、後述する施錠装置600の内鉤部材623,624に対応して、上下一対の受け金具83,84が取付けられている。そして、内枠12の閉時においては、各受け金具83,84に対して内鉤部材623,624が係合されることにより、内枠12の開放が規制される(図24参照)。
なお、本実施形態では、上記ヒンジ81,82や受け金具83,84として、アルミニウム合金製の外枠11本体よりも剛性の高いステンレス合金等の鋼鉄製のものが採用されている。
さらに、外枠11の下辺枠構成部11bには、樹脂製の幕板飾り85が取着されている。幕板飾り85の上面奥部には、上方に突出するリブ88が一体形成されている。また、外枠11の右辺枠構成部11dの内側面前側には複数のリブ89が形成されている。これらリブ88,89により、外枠11と内枠12の隙間からの線材等の進入を防止している。加えて、右辺枠構成部11dには、その後端部から外枠11内側へ向け突出した延出壁部87が形成されている。これにより、外枠11裏側から受け金具83,84への線材等の進入を防止している。
内枠12の開閉軸線は、上述したようにパチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。内枠12は、外形が矩形状をなす青色の樹脂ベース38を主体に構成されており、当該樹脂ベース38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。
また、内枠12の前面側には、前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。前面枠セット14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。
前面枠セット14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなし、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠セット14の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠セット14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域)を外部から視認可能となる。遊技盤30の詳細な構成については後述する。
前面枠セット14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15内から遊技球を排出するための球抜きレバー25が設けられている。
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下、単にハンドルという)18が設けられ、下皿15の左方には、灰皿26が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段が設けられている。
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射装置(以下、単に発射装置という)70の方へ案内する球受皿である。なお、上皿19から溢れる遊技球は下皿15へ案内されるようになっている。
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技場等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
また、前面枠セット14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した周縁電飾部102が設けられ、該周縁電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、中央電飾部103の左右側方には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。また、各エラー表示ランプ104に隣接してスピーカSP(図9参照)が設けられるとともに、当該スピーカSPの前側にスピーカカバー24が取着されている。
前面枠セット14の背面側にはガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対を為して別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
また、前面枠セット14の右側部背面側には、後述する施錠装置600に対応して補強金具90が設けられており、当該補強金具90には施錠装置600の前鉤部616,617,618に対応して、3つの受け金具91,92,93が上下方向に沿って取付けられている(図4参照)。そして、前面枠セット14の閉時においては、前鉤部616,617,618が受け金具91,92,93に係合することにより、前面枠セット14の開放が規制される(図24参照)。
次に、内枠12(樹脂ベース38)について説明する。上述した通り、内枠12(樹脂ベース38)には、窓孔39の後側に遊技盤30が装着されている。遊技盤30は、その周縁部が内枠12(樹脂ベース38)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース38の窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
また、内枠12(樹脂ベース38)の下部、すなわち窓孔39(遊技盤30)の下方位置には、後側へ膨出した膨出部40が形成されている。この膨出部40の前面右側には、発射装置70が取付けられている。本実施形態では、発射装置70としてソレノイド式発射装置を採用している。また、膨出部40には、後述する払出機構部352から上記下皿15の排出口16へ繋がる球通路71が設けられている。また、発射装置70の発射レール70aと後述するレール50(外レール構成部52)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路72が形成されている。これにより、仮に、発射装置70から発射された遊技球が後述する戻り球防止部材53まで至らずファール球としてレール50を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路72及び球通路71を介して下皿15に排出される。また、球通路71の下側にはハーネスカバー74が設けられている。これにより中継基板75と発射装置70とを接続するハーネス(図示略)をまとめている。
次に、遊技盤30の構成について図6を参照して説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口(作動口)33、第2契機対応口34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33に遊技球が入球(入賞)すると、それぞれに対応して設けられた検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞部(一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33)に入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域外へと排出される。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示装置ユニット35には、第2契機対応口34の通過をトリガとして変動表示する普通図柄表示装置41と、第1契機対応口33への入賞をトリガとして変動表示する特別表示装置43と、特別表示装置43による変動表示に合わせて変動表示する可変表示装置としての装飾図柄表示装置42とが設けられている。
普通図柄表示装置41は複数の発光手段(LED)を内蔵しており、遊技球が第2契機対応口34を通過する毎に点灯表示態様が切換表示(変動表示)され、その変動表示が特定の点灯態様で数秒間停止した場合に第1契機対応口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。また、普通図柄表示装置41の変動表示中に、新たに遊技球が第2契機対応口34を通過した場合には、その分の普通図柄の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。
特別表示装置43は、普通図柄表示装置41の側方に設けられた複数の発光部により構成され、遊技球が第1契機対応口33を通過する毎に点灯する発光部の組合せが切換えられる(変動表示される)。そして、変動表示が停止したときに点灯している発光部の組合わせにより、大当たりか否かが確定的に表示される。この特別表示装置43についても、主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。また、特別表示装置43の変動表示中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。また、大当たり状態中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述するサブ制御装置262によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、特別表示装置43にて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、後述する表示制御装置45によって表示が行われる。装飾図柄表示装置42には、例えば、上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして装飾図柄表示装置42に変動表示され、その後、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に停止表示される。また、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に、遊技球が入賞しやすい開状態とされる。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数(所定ラウンド数)繰り返し開放される。
また、遊技盤30には、発射装置70から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール50が取付けられている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレール50を通じて、遊技盤面上に形成された遊技領域内に案内される。レール50は内レール構成部51と外レール構成部52とからなる。
内レール構成部51の先端部分(図6の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、レール50から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度レール50内に戻ってしまうといった事態が防止される。
また、本実施形態では、外レール構成部52が遊技盤30の右上部で途絶え、内レール構成部51が遊技盤30の右下部で途絶えている。このため、遊技領域は、レール50及び樹脂ベース38の窓孔39の内周面により画定される。但し、内外レール構成部51,52の並行部分を除く。
次に、パチンコ機10の背面の構成を図8に基づいて説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合において、主基板とサブ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
なお、第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で工具等を用いずとも着脱できるよう構成されており、さらに、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。
まず、遊技盤30の背面構成について説明する。上述したように遊技盤30の中央にはルータ加工によって形成された貫通穴に対して可変表示装置ユニット35が配設されている。この可変表示装置ユニット35に対し、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。さらに、フレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板などが配設されている。
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして図示しない裏枠セットが取付けられている。この裏枠セットは、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための球回収機構を備えている。また、内枠12には、裏枠セット(遊技盤30)の下方位置において排出通路盤217が取付けられており、該排出通路盤217には排出球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート218が形成されている。従って、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セットの球回収機構を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出シュート218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出する入賞感知機構(検出スイッチ)などが設けられている。入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板(主制御装置261)に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。本実施形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる。
第1制御基板ユニット201は、主制御装置261と、サブ制御装置262とを具備している。主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって連結されており、基板ボックス263が開封された場合には、封印ユニットにおいて所定の痕跡が残るよう構成されている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。
また、サブ制御装置262は、主制御装置261(主基板)からの指示に従い各種演出制御を司るCPUや、各種プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含むサブ制御基板を具備しており、このサブ制御基板についても当該サブ制御基板に対応する基板ボックスに収容されて構成されている。
第2制御基板ユニット202は、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314を具備している。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル18の操作に従い発射装置等の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。
上記払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313についても、それぞれに対応する基板ボックス315、316、317に収容されて構成されている。但し、発射制御装置312(基板ボックス316)は、電源装置313(基板ボックス317)の裏側に配置されている。また、払出制御装置311が収容される基板ボックス315には、前述した主制御装置261と同様に封印ユニットが設けられ、基板ボックス315の開封した痕跡が残るようになっている。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技場の営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部354を有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、前述のサブ制御装置262及び主制御装置261の一部も合わせて囲む構成となっている。
また、払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は上記上皿19等に供給される。
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図9は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261(主基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停止信号の入力により起動されるNMI割込み処理(このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される)によって停電の発生等による電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)の復電処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置262、特別表示装置43、普通図柄表示装置41、その他図示しないスイッチ等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43および普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置262を介して制御される。
サブ制御装置262(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552、RAM553が接続されるとともに、表示制御装置45が接続されている。さらに、入出力ポート554には、スピーカSP、各種電飾部及びランプ102〜104が接続されている。
サブ制御装置262のCPU551は、例えば主制御装置261から送信される指令信号(例えば変動パターンコマンド)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する特別表示装置43にて大当たりか否かを表示するようになっており、サブ制御装置262が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43の表示に合わせた表示が行われる。
また、払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、NMI割込み処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射装置70による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置70は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射装置70が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置262の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置262から送信される表示コマンドに基づいて装飾図柄表示装置42の表示を制御する。プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させるものである。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
次に、内枠12の施錠機構及び前面枠セット14の施錠機構について説明する。本実施形態では、内枠12は外枠11に対し施錠され、前面枠セット14は内枠12に対し施錠される。これら両施錠機構は単一の施錠装置600(図3等参照)によって具現化されている。後述するように施錠装置600は、前面枠セット14の前面側に露出するシリンダ錠700(図1等参照)を備えており、該シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kを挿入し、一方に回動操作することで内枠12を解錠でき、他方に回動操作することで前面枠セット14を解錠できるようになっている。
施錠装置600について図10乃至図19を参照して詳しく説明する。ここで、図10は、施錠装置600を背面左側から見た斜視図であり、図11は、施錠装置600を正面左側から見た斜視図である。但し、図10,11では、便宜上、施錠装置600に関連する外枠11、内枠12及び前面枠セット14の関連部分も併せて模式的に図示するとともに、内枠12の施錠状態にある施錠装置600が示されている。また、図12は、施錠装置600の背面図であり、図13は右側面図、図14は左側面図、図15は正面図である。但し、図12〜15では便宜上、後述するカバー部材740を省略している。図16は、背面側から見た施錠装置600の分解図であり、図17は、側面側から見た施錠装置600の分解図である。図18は、施錠装置600を背面左側から見た分解斜視図であり、図19は、施錠装置600を正面右側から見た分解斜視図である。但し、図18,19では、便宜上、施錠装置600に関連する外枠11の受け金具83,84や、前面枠セット14の受け金具91,92,93等も併せて図示している。
施錠装置600は、内枠12の背面側の左側辺部に沿って取付けられている(図7参照)。施錠装置600の外郭を構成する縦長の基枠601は、内枠12の背面部に固定される取付部としての取付板602と、当該取付板602の内枠12内方側(図7右側)の端縁から後方に突出した支持部としての支持板603と、取付板602の内枠12外方側(図7左側)の端縁から後方に突出したフランジ部604とを備えている。支持板603に比べややフランジ部604の突出長が短いものの、基枠601は、取付板602、支持板603及びフランジ部604が一体となって横断面略コ字状をなしている。
支持板603やフランジ部604は、基枠601内側への線材等の侵入を防ぐ機能を有している。これにより、後述する内鉤部材623等の各種鉤部材や、第2摺動杆625等の各摺動杆などに対する不正な解錠操作を抑止することができる。
なお、基枠601、内鉤部材623等の各種鉤部材、第2摺動杆625等の各摺動杆など、施錠装置600を構成する各部材は、金属平板をプレス成形等することにより形成されている。
また、取付板602では、シリンダ錠700の配置位置に対応する所定の上下区間が他部位より左右方向に幅広の幅広部602aとなっており、支持板603では、前記幅広部602aに対応する上下区間が内枠12内方側へ膨出した膨出部603aとなっている。これは、遊技領域や各種制御基板等の設置スペースをより広く確保するために、施錠装置600全体の横幅を極力狭くしつつ、シリンダ錠700の配設位置においては、その設置スペースを確保するためである。
ここで、先ず前面枠セット14の施錠機構に係る部分について説明する。基枠601の内側には、前面枠セット14の施錠機構の構成部となる第1摺動杆609が上下方向に摺動可能なように配設されている。
第1摺動杆609は、支持板603に沿って配設される長尺状の本体部610と、前面枠セット14施錠用の3つの前鉤部616,617,618とからなる。
前鉤部616,617,618は、本体部610の前縁部にて、その上部、中部及び下部の3箇所に設けられている。
前鉤部616,617,618は、本体部610の内枠12外方側に突出形成されかつ取付板602に沿って配設される基部616a,617a,618aと、当該基部616a,617a,618aの内枠12外方側の端縁部から前方に向け延出した軸部616b,617b,618bと、当該軸部616b,617b,618bの前端側において前方へ先細りするように設けられた略三角形状の頭部616c,617c,618cとから構成されている。頭部616c,617c,618cの上端部は、軸部616b,617b,618bより上方に突出しており、当該突出部分が係合部として機能する。
基部616a,617a,618aには、上下方向に長い長円状のガイド孔616d,617d,618dが形成されている。これらガイド孔616d,617d,618dを介して、基枠601の後側から差し込まれたガイドピン619,620,621が取付板602に固定されている。
前鉤部616,617,618に対応して、取付板602には、上下方向3箇所に略矩形状の鉤挿通孔605,606,607が形成されており、当該鉤挿通孔605,606,607から、軸部616b,617b,618b及び頭部616c,617c,618cのみが前方に突出している。
一方、内枠12のうち、鉤挿通孔605,606,607に対応する部位には、連通孔97,98,99が形成されている(図6参照)。そして、これら連通孔97,98,99を介して、前鉤部616,617,618が内枠12前面側に突出する。
また、支持板603の膨出部603aに対応する本体部610の所定の上下区間(中段の前鉤部617と下段の前鉤部618との間)には、内枠12内方側へ膨出した膨出部610aが形成されている。但し、本体部610の膨出部610aの形成区間は、支持板603の膨出部603aの形成区間よりも短く設定されており、第1摺動杆609の摺動の妨げとならないようになっている。
上記構成により、第1摺動杆609は、上記ガイドピン619等により、左右方向や前後方向への動きを規制されつつ、上下方向へ摺動できるようになっている。
通常時、第1摺動杆609は、コイルばねC1により上方へ付勢されている。より詳しくは、コイルばねC1は、一端が上段の前鉤部616の基部616aに設けられたフック部616eに掛けられるとともに、他端が、取付板602に設けられたフック部622に掛けられている。これにより、第1摺動杆609は、通常、ガイドピン619,620,621がガイド孔616d,617d,618dの下縁部に当接した状態で保持される。
なお、第1摺動杆609の摺動範囲のうち、ガイドピン619,620,621が、ガイド孔616d,617d,618dの下縁部に当接する位置が、前鉤部616,617,618が上記受け金具91,92,93に係合可能な施錠位置となる。
これに対し、コイルばねC1の引張力(付勢力)に抗して、第1摺動杆609が下方へ摺動し、ガイドピン619,620,621が、ガイド孔616d,617d,618dの上縁部に当接する位置が、前鉤部616,617,618が受け金具91,92,93から離脱可能な解錠位置となる。
ここで、受け金具91,92,93の構成について詳しく説明する。受け金具91,92,93は、補強金具90の背面側に固定される取付部91a,92a,93aと、当該取付部91a,92a,93aから後方へ延出した延出部91b,92b,93bと、当該延出部91b,92b,93bの後端部から前面枠セット14の内方側へ延出した被係合部91c,92c,93cとを備えている。そして、被係合部91c,92c,93cに対し、前鉤部616,617,618が係合されることで、前面枠セット14が施錠状態となる。
次に、内枠12の施錠機構に関連する部分について詳しく説明する。基枠601の内側には、内枠12施錠用の上下一対の内鉤部材623,624と、これらに連結された第2摺動杆625とが配設されている。内鉤部材623,624が本実施形態における係合部材に相当し、第2摺動杆625が連結部材に相当する。
基枠601の支持板603の後縁部には、上下2箇所において、後方へ延出した延出部627,628が形成されている。上部の延出部627は、第1摺動杆609の本体部610の摺動範囲の上限位置よりもやや上方位置に設けられ、下部の延出部628は、第1摺動杆609の本体部610の摺動範囲の下限位置よりもやや下方位置に設けられている。
内鉤部材623,624は、軸ピン629,630により、延出部627,628の内枠12外方側にて回動可能に軸支されている。
第2摺動杆625は、長尺状をなし、第1摺動杆609の本体部610の内枠12外方側に重畳するように配設されている。
第2摺動杆625には、支持板603の膨出部603a(第1摺動杆609の膨出部610a)に対応する所定の上下区間において、内枠12内方側へ膨出した膨出部625aが形成されている。但し、第2摺動杆625の膨出部625aの形成区間は、支持板603の膨出部603a(第1摺動杆609の膨出部610a)の形成区間よりも短く設定されており、第2摺動杆625の摺動の妨げとならないようになっている。
第2摺動杆625の上端部及び下端部は、内枠12外方側から内鉤部材623,624の前端部及びその近傍(取付板602側の端部及びその近傍)に重畳するように配設されている。そして、当該重畳部分において、第2摺動杆625と内鉤部材623,624とが軸ピン631,632を介して相対変位可能に連結されている。具体的には、第2摺動杆625に対し内鉤部材623,624がそれぞれ回動変位可能となっている。これにより、第2摺動杆625の上下方向の摺動変位(若干の前後方向への変位を伴う)に連動して、内鉤部材623,624が同期して回動変位する。
内鉤部材623,624は、その後上部にて係合凹部623a,624aが形成されている。そして、係合凹部623a,624aより後側にあたる頭部623b,624bは、係合部として機能する。内鉤部材623,624(頭部623b,624b)の後縁部は、内鉤部材623,624の下縁部に略直交するように、上下方向に沿って略直線状に形成されている。
また、係合凹部623a,624aの前側には、当該係合凹部623a,624aの前縁部に沿って上方に突出した作用部623c,624cが形成されている。係合凹部623a,624aの底部からの作用部623c,624cの突出長X1は、頭部623b,624bの突出長X2よりも長く設定されている。本実施形態では、作用部623c,624cの突出長X1は、頭部623b,624bの突出長X2の2倍以上に設定されている。
内鉤部材623,624のうち、頭部623b,624b、係合凹部623a,624a及び作用部623c,624cよりなる後方部分は、支持板603の一般部の後縁部よりも後方へ突出している。また、支持板603には、軸ピン631,632が係合する円弧状のガイド孔633,634が形成されている。
また、取付板602には、上下方向2箇所において、第2摺動杆625の内枠12外方側への動きを規制する規制突起602cが設けられている。規制突起602cは、第2摺動杆625の取付状態の安定性を高める機能とともに、第2摺動杆625の摺動動作の安定性を高めるガイド部としての機能を備えている。これにより、第2摺動杆625は、若干の前後方向への変位が許容されつつ、規制突起602cにより左右方向への動きを規制された状態で、上下方向へ摺動できるようになっている。
通常時(後述するロック部材660による規制解除時)、第2摺動杆625は、付勢部材としてのコイルばねC2により上方へ付勢されている。より詳しくは、コイルばねC2は、一端が第2摺動杆625に設けられたフック部625bに掛けられるとともに、他端が、取付板602に設けられたフック部626に掛けられている。
コイルばねC2の引張力(付勢力)により、第2摺動杆625が上方の解錠位置(第2切換位置)に引き上げられている状態においては、当該第2摺動杆625に連結された内鉤部材623,624は、その前端部が上方へ持ち上げられ、軸ピン631,632がガイド孔633,634の上端縁部に当接した状態となる(図25参照)。つまり、内鉤部材623,624は、その前側が上に、後側が下となるように、その姿勢が傾いた状態となる。
そして、コイルばねC2の引張力に抗して第2摺動杆625が下方へ引き下げられ、ロック部材660により、第2摺動杆625が下方の施錠位置(第1切換位置)にて保持されている状態では、軸ピン631,632がガイド孔633,634の下端縁部に当接した状態となる(図24参照)。つまり、内鉤部材623,624は、その姿勢が略水平状態となる。
従って、内鉤部材623,624の回動範囲のうち、軸ピン631,632がガイド孔633,634の上端縁部に当接する位置が、内鉤部材623,624が受け金具83,84から離脱可能な解錠位置となる。これに対し、軸ピン631,632がガイド孔633,634の下端縁部に当接する位置が、内鉤部材623,624が受け金具83,84に係合可能な施錠位置となる。
ここで、受け金具83,84の構成について詳しく説明する。受け金具83,84は、外枠11の右辺枠構成部11dの内側にネジ等により固定される右壁部83a,84aと、当該右壁部83a,84aの後縁部から外枠11内方側へ延出した後壁部83b,84bと、当該後壁部83b,84bの外枠11内方側の縁部から前方へ延出した左壁部83c,84cとを備え、全体としては前方に向け凹となる横断面略コ字状に形成されている。
また、右壁部83a,84aと左壁部83c,84cとの間には、内鉤部材623,624が係合する棒状の被係合部83d,84dが架け渡されている。そして、内鉤部材623,624が被係合部83d,84dに係合された状態では、内鉤部材623,624の周囲が、各壁部83a〜83c,84a〜84cによって囲まれた状態となる。これにより、受け金具83,84に係合される内鉤部材623,624に対し、線材等を引っ掛けにくくなるため、不正解錠に対する防御性能の向上を図ることができる。
さて、支持板603の膨出部603aには、その後縁部から後方へ延出した延出壁部603bが形成されている。この延出壁部603bには、規制部材としてのロック部材660が設けられている。ロック部材660は、上述したように、コイルばねC2の引張力に抗して、第2摺動杆625を下方の施錠位置に保持する機能を有するとともに、不正解錠を防止する機能も有している。例えば、内枠12の閉鎖状態において、鍵Kを用いずに第2摺動杆625や内鉤部材623,624に対し、線材等を不正に引っ掛ける等して、解錠方向への外力がかけられた場合に、第2摺動杆625の摺動変位を規制し、ひいては内鉤部材623,624を施錠位置に維持することができる。
ロック部材660は、縦長で略平板状の本体片部660aを備えている。本体片部660aには、その下部に軸孔660bが形成されるとともに、略中央部にガイド孔660cが形成されている。ガイド孔660cは、軸孔660bを中心にとって略円弧状に形成されている。そして、内枠12外方側からこれら軸孔660b,ガイド孔660cに対しそれぞれ差し込まれた軸ピン663,664が支持板603の延出壁部603bに固定されている。これにより、ロック部材660は、前後方向及び上下方向に沿った平面に沿って、軸孔660b(軸ピン663)を中心として回動変位可能に軸支されている。
本体片部660aの上端部には、内枠12外方側へ向けて突出した規制片部660dが設けられ、規制片部660dの前端部には、上方へ屈曲形成された当接部660eが設けられている。この規制片部660dが第2摺動杆625の摺動変位を規制する機能を果たす。
そして、この規制片部660dに第2付勢部材としてのコイルばねC3の一端が掛けられるとともに、他端が、延出壁部603bに設けられたフック部665に掛けられている。これにより、ロック部材660は、上部が上前方へ引っ張られ、前方へ付勢される。
第2摺動杆625の摺動変位を規制する規制時においては、ロック部材660は、ガイド孔660cの後縁部が軸ピン664に当接した状態となり、本体片部660aが上下方向に沿った基準姿勢(規制姿勢)をとる(図24参照)。
これに対し、規制解除時においては、ロック部材660は、コイルばねC3の引張力(付勢力)に抗して変位し、ガイド孔660cの前縁部が軸ピン664に当接した状態となり、本体片部660aの姿勢が傾いた状態となる(図25参照)。
つまり、ロック部材660の回動範囲のうち、軸ピン664がガイド孔660cの後縁部に当接する位置が、第2摺動杆625の摺動変位を規制する規制位置となる。これに対し、軸ピン664がガイド孔660cの前縁部に当接する位置が、その規制を解除する規制解除位置となる。
規制片部660dに対応して、第2摺動杆625の膨出部625aには、その後縁部から後方に延出した係合突起625dが形成されている。そして。この係合突起625dの上端部に規制片部660dが係合することにより、第2摺動杆625の上方への変位が規制される。
また、本体片部660aの略中央部には、その前縁部から延出した係合部660fが形成されている。係合部660fは、後述するシリンダ錠700のカム板720が作用する作用部として機能する。係合部660fは、第2摺動杆625の厚み分を考慮し、その付根部において本体片部660aと段差をもって形成されている。係合部660fの前縁部は、上縁部及び下縁部に対し傾斜しており、下縁部側から上縁部側にかけて先細りした形状となっている。そして、この前縁部においてカム板720が係合する。
さて、取付板602の幅広部602aには、錠部材としてのシリンダ錠700が取付けられており、その前面側は前面枠セット14の前面側に露出している。
図20に示すように、シリンダ錠700は、略筒状をなすシリンダ本体701と、シリンダ本体701内部に設けられ、内部に鍵穴702を有してなる錠軸703と、シリンダ本体701の外周に設けられた外筒704とを備えている。
シリンダ錠700は、取付板602の取付孔602dに対しシリンダ本体701を挿通した状態で、フランジ部705を取付板602の背面側にネジ719より固定されている。
シリンダ本体701には、該シリンダ本体701の内外を連通する上下8つずつ、合計16個の透孔706が形成されている。これに対応して、錠軸703にも、各透孔706と連通する16個の透孔708が形成されている。かかる透孔708の鍵穴702側は、後述するピン714等の収容部材が鍵穴702内に脱落しないように他の部位よりも小径に形成されている。
各透孔706内には、それぞれバネ709が収容されている。バネ709の一端は前記外筒704に当接し、他端には台座711が連結されている。また、各透孔708内には、前記台座711に支持されるようにして、複数のスペーサ712,713及びピン714が収容されている。そして、これらピン714、スペーサ712,713、台座711は、バネ709の伸縮によって各透孔706,708内を上下動可能となっている。このうち、ピン714は、前記透孔708の鍵穴702側の小径部を介して鍵穴702内に出没可能となっている。
上記構成により、鍵穴702内への鍵Kの挿入時には、当該鍵Kの上下両側の凹凸形状に沿って各ピン714等が上下動する。そして、鍵Kの挿入完了状態にあっては、図21に示すように各ピン714がそれぞれ鍵Kの溝に入り込んだ状態となり、ピン714の基端面、又は、スペーサ712若しくは713の一方の端面と、錠軸703の外周面とが面一になる。これにより、鍵Kの挿入完了状態にあっては、鍵Kの回動操作に伴って錠軸703が回動可能となる。つまり、このシリンダ錠700は、少なくとも鍵穴702に鍵Kを挿し込まない限り錠軸703を回動させることができない内部構造となっている。
また、錠軸703の後端部には、鍵穴702に挿入された鍵Kの回動動作を第1摺動杆609やロック部材660に伝達する伝達部としてのカム板720が固定されている。
カム板720は、上下一対の上係合爪720a及び下係合爪720bを備えている。これらの係合爪720a,720bは、カム板720の回動方向に所定間隔を置いて形成されている。また、本実施形態では、下係合爪720bの長さが、上係合爪720aの長さよりもやや短く設定されている(図16参照)。
カム板720に対応して、第1摺動杆609の膨出部610aには、上係合爪720aが係合可能な上係合凹部725と、下係合爪720bが出入可能な下孔726とが形成されている。また、支持板603の膨出部603a、及び、第2摺動杆625の膨出部625aには、それぞれ少なくとも上係合凹部725から下孔726の形成範囲に対応して縦長の透孔731,732が形成されている。下孔726及び透孔731,732は、カム板720が動作する場合や、第2摺動杆625が摺動する場合に、両係合爪720a,720bが支持板603や第2摺動杆625と干渉しないようにするためのものである。
そして、第1摺動杆609の膨出部610a及び第2摺動杆625の膨出部625の重畳状態にあっては、第2摺動杆625の透孔732と、第1摺動杆609の上係合凹部725及び下孔726とが連通状態となっている。
上記構成のもと、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kが挿し込まれていない状態で、錠軸703及びカム板720が基準位置にある場合には、上係合爪720aの先端が、第2摺動杆625の透孔732を介して第1摺動杆609の上係合凹部725に挿通状態となる一方、下係合爪720bの先端は、第1摺動杆609の下孔726には挿通されない状態となっている。
上述したように、本実施形態のシリンダ錠700は、鍵穴702に鍵Kの挿入がない場合には錠軸703及びカム板720を回動させることができない状態(ロック状態)となる。そのため、カム板720が基準位置にある場合には、第1摺動杆609に関しては、上係合爪720aにより、第1摺動杆609の摺動が規制されることとなる。例えば、仮に鍵Kを用いずに、施錠位置にある第1摺動杆609に対し線材等を不正に引っ掛けて、当該第1摺動杆609に対し解錠方向への外力がかけられた場合には、上係合爪720aが第1摺動杆609の上係合凹部725の縁部に引っ掛かり、第1摺動杆609の解錠方向への摺動変位が、上係合凹部725等の遊び長を除き実質的に規制される。
また、施錠装置600には、シリンダ錠700の背面側を覆うようにしてカバー部材740が取付固定されている。カバー部材740によって、カム板720、第1摺動杆609の膨出部610a、第2摺動杆625の膨出部625、ロック部材660等が覆われる。
カバー部材740は、ネジ等の固定手段により取付板602の後面に取付固定される取付基部740aと、支持板603の膨出部603a及び延出壁部603bを覆う保護部740bとを備えている。本実施形態では、カバー部材740は、硬質で透明な樹脂材料(例えばポリカーボネート)により構成されている。
取付基部740aは、その取付状態においてシリンダ錠700のフランジ部705及びカム板720を覆うようにして、その上下両端部にてネジ止めされる。より詳しくは、図28,29に示すように、取付基部740aは、取付状態においてシリンダ錠700のフランジ部705及びカム板720を覆う収容部740cと、当該収容部740cの上下両部に形成された取付部740dとを備えている。各取付部740dには、前後に貫通するネジ孔が形成されている。そして、取付部740dのネジ孔と、取付板602に形成された取付孔とを位置合わせし、ネジ止めすることで、カバー部材740が施錠装置600に取付固定される。
保護部740bは、前方に開口した略箱状をなし、その内側に、支持板603の延出壁部603bが差し込まれるようにして配設される。これにより、支持板603の膨出部603aの上下方向略全域が覆われる(図7参照)。より詳しくは、保護部740bは、取付基部740aの左端縁から後方に延びる右壁部740fと、右壁部740fの後端縁から左方に向けて延びる背壁部740gと、右壁部740fに並行して背壁部740gから前方に向けて延びる左壁部740hと、背壁部740の上下両縁部からそれぞれ前方に向けて延びる上壁部740j及び下壁部740kとを備えている。そして、カバー部材740の取付状態においては、左壁部740hが支持板603の延出壁部603bの内枠12内方側(左側)を覆い、右壁部740fが膨出部603a及び延出壁部603bの内枠12外方側(右側)を覆う。また、右壁部740fと上壁部740jとの間には、取付状態において、当該部分と支持板603の膨出部603aとの間に形成される隙間を塞ぐ被覆部740mが形成されている。同様に、右壁部740fと下壁部740kとの間には、当該部分と支持板603の膨出部603aとの間に形成される隙間を塞ぐ被覆部740nが形成されている。
次に、施錠装置600の作用について詳しく説明する。先ず内枠12の施錠及び解錠について詳しく説明する。内枠12の施錠状態においては、第2摺動杆625が施錠位置をとることにより、内鉤部材623,624の頭部623b,624bが、受け金具83,84の被係合部83d,84dに対して係合され、内枠12の開放が規制されている(図24参照)。
内枠12が施錠された状態では、第2摺動杆625の係合突起625dの直上に、ロック部材660の規制片部660dが位置し、第2摺動杆625の上方への摺動が規制されている。
そして、内枠12を解錠する際には、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kを挿入し、パチンコ機10の正面側から見て時計回り方向に回動させる。この操作が本実施形態における特定の操作に相当する。これにより、カム板720が同方向に回動して、下係合爪720bがロック部材660の係合部660fの前縁部(傾斜部分)に接触する。
その後、さらにカム板720を回動させていくに従って、下係合爪720bがロック部材660の係合部660fを上方へ押し上げていく。これにより、ロック部材660は後方への力を受け、コイルばねC3の引張力に抗して後方へ回動する。
そして、ロック部材660の規制片部660dと、第2摺動杆625の係合突起625dとの係合が外れると、第2摺動杆625は、コイル部材C2の引張力により、上方へと引き上げられる。
第2摺動杆625が上方へ摺動すると、規制片部660d前端の当接部660eが第2摺動杆625の係合突起625dの後端縁に付勢された状態となり、ロック部材660が規制位置に戻らないようになっている。つまり、係合突起625dの後端縁が、本実施形態における連結部材の特定部位に相当する。
第2摺動杆625が上方へ摺動していくに従って、内鉤部材623,624が回動し、その頭部623b,624bが受け金具83,84の被係合部83d,84dから外れていく。これとともに、作用部623c,624cが、受け金具83,84の被係合部83d,84dを押していく。
そして、受け金具83,84の被係合部83d,84dが、内鉤部材623,624の係合凹部623a,624aから抜け出し、内鉤部材623,624と受け金具83,84とが離脱状態となる(図22,図25参照)。
内鉤部材623,624の作用部623c,624cが、受け金具83,84の被係合部83d,84dを押すことによって、内枠12が前方へ押され、自動的に内枠12が開放される。
一旦、内枠12が解錠状態となると、第2摺動杆625及び内鉤部材623,624は、コイルばねC2の引張力により、解錠位置に保持されたままとなる。
そして、内枠12を施錠する際には、第2摺動杆625及び内鉤部材623,624が解錠位置に保持された状態のまま、鍵Kを用いることなく施錠を行うこととなる。より詳しくは、開状態の内枠12を閉じていくと、まず内鉤部材623,624の作用部623c,624cが、受け金具83,84の被係合部83d,84dに接触する。さらに、内枠12を閉じていくと、コイルばねC2の引張力に抗して、内鉤部材623,624が前方へ回動するとともに、第2摺動杆625が下方へ摺動する。
そして、内鉤部材623,624の頭部623b,624bが受け金具83,84の被係合部83d,84dの裏側へ回り込むとともに、受け金具83,84の被係合部83d,84dが、内鉤部材623,624の係合凹部623a,624aに入り込むようにして、内鉤部材623,624が施錠位置に戻る。このようにして、内鉤部材623,624の頭部623b,624bが受け金具83,84の被係合部83d,84dに係合された状態となる。
同時に、第2摺動杆625の係合突起625dの上端部が、ロック部材660の規制片部660dの位置まで引き下げられると、ここまでロック部材660を規制解除位置に保持していた規制片部660d前端の当接部660eと第2摺動杆625の係合突起625dの後端縁との係合が外れるため、ロック部材660はコイルばねC3の引張力により元の規制位置へ戻る。
そして、第2摺動杆625の係合突起625dの直上に、ロック部材660の規制片部660dが位置し、第2摺動杆625の上方への摺動が規制された状態となる。これにより、内枠12の開放が規制された状態となり、施錠が完了する。
次に前面枠セット14の施錠及び解錠について詳しく説明する。前面枠セット14の施錠状態においては、第1摺動杆609が施錠位置をとることにより、上述したように前面枠セット14側の受け金具91,92,93(被係合部91c,92c,93c)に対して前鉤部616,617,618の頭部616c,617c,618cが係合され、前面枠セット14の開放が規制されている(図24参照)。
前面枠セット14を解錠する際には、シリンダ錠700の鍵穴702に挿入した鍵Kを挿入し、パチンコ機10の正面側から見て反時計回り方向に回動させる。これにより、カム板720が同方向に回動して、上係合爪720aが第1摺動杆609の上係合凹部725の下縁部に接触し、当該上係合爪720aに押下げられるようにして第1摺動杆609が下方に摺動する(図23,図26参照)。
コイルばねC1の引張力に抗して、第1摺動杆609が下方へ摺動すると、前鉤部616,617,618と受け金具91,92,93との係合が解除され、前面枠セット14の開放が許容される。また、前面枠セット14が開放された時点で、鍵Kを操作する手の力を緩めると、コイルばねC1の引張力により、第1摺動杆609は上方へ引き上げられ、施錠位置に復帰する。
一方、前面枠セット14を施錠する際には、鍵Kを用いることなく施錠を行うことができるよう構成されている。より詳しくは、開状態にある前面枠セット14を閉じていくと、前鉤部616,617,618の頭部616c,617c,618cの傾斜部位が受け金具91,92,93の被係合部91c,92c,93c下辺に接触する。さらに、前面枠セット14を閉じていくと、前鉤部616,617,618が下方へ押され、コイルばねC1の引張力に抗して一旦下方へ摺動する。その後、前鉤部616,617,618の頭部616c,617c,618cが被係合部91c,92c,93cを越えると、コイルばねC1の引張力により前鉤部616,617,618が元の位置に戻り、被係合部91c,92c,93cに係合される。これにより、前面枠セット14の開放が規制された状態となり、施錠が完了する。
以上詳述したように、シリンダ錠700を操作して内枠12を解錠すれば、自動的に内枠12が前方へ押し出され開放される。これにより、内枠12の重量が比較的重い場合でも、内枠12の開く方向へ力がかかるため、比較的容易に内枠12を開放することができる。結果として、一方の手でシリンダ錠700を操作しつつ、他方の手で内枠12を支えながら前方へ引っ張る等の面倒な作業を行う必要もなく、利便性の向上が図られる。
また、コイルばねC2は、第2摺動杆625を介して内鉤部材623,624を付勢する構成となっているため、各内鉤部材623,624に対応して複数のコイルばねを設ける必要もなく、部品点数の増加を抑制することができる。
加えて、本実施形態では、ロック部材660を覆うカバー部材740を備えている。これにより、線材等をロック部材660に引っ掛けて規制解除し、内枠12を開放するといった不正解錠操作を防止することができる。結果として、不正解錠に対する防御性能の向上を図ることができる。また、各内鉤部材623,624に対応して複数のカバー部材を設ける必要もなく、部品点数の増加を抑制することができる。
内枠12の開放時に受け金具83,84の被係合部83d,84dに対し作用する内鉤部材623,624の作用部623c,624cが、内枠12の閉鎖時においても被係合部83d,84dと係り合うことで、内枠12を閉じれば、自動的に内枠12が施錠される構成となっている。結果として、内枠12を施錠する際に、鍵Kによる施錠操作を行う必要もなく、利便性の向上が図られる。
また、内枠12の施錠状態において受け金具83,84の被係合部83d,84dに係合される頭部623b,624bとは異なる作用部623c,624cに対し、被係合部83d,84dが接触することで、内鉤部材623,624が変位する構成となっている。つまり、内枠12を閉じる際に頭部623b,624bと被係合部83d,84dとが接触しない構成となる。このため、内枠12の閉鎖時に頭部623b,624bが被係合部83d,84dに接触して変形等してしまうおそれを防止することができる。
さらに、本実施形態では、シリンダ錠700が第2摺動杆625を直接的に動かす構成ではないため、鍵Kによるシリンダ錠700の解錠操作時の負荷を考慮する必要もなく、比較的引張力の強いコイルばねC2を用いることができる。結果として、内枠12の開時には、当該内枠12を前方へ押す力を大きくできるとともに、内枠12の閉時には、被係合部83d,84dと接触する内鉤部材623,624(作用部623c,624c)を、内枠12閉時の衝撃を吸収する緩衝手段として機能させることができる。
また、ロック部材660が、前後方向及び上下方向に沿って形成された延出壁部603bにて、軸孔660b(軸ピン663)を中心として回動変位可能に軸支された構成となっている。つまり、ロック部材660が左右方向へ変位しない構成となっているため、施錠装置600の横幅の拡張を抑制することができ、ひいては遊技領域や各種制御基板等の設置スペースをより広く確保することができる。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)施錠装置600の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、内枠12の施錠機構及び前面枠セット14の施錠機構が、単一の施錠装置600によって具現化されている。これに限らず、例えば前面枠セット14が内枠12と一体形成された構成等においては、当該前面枠セット14の施錠機構を省略した構成としてもよい。
また、扉体を開放する際に当該扉体が自動的に前方へ押し出される構成を、上記実施形態では、支持体としての外枠11に開閉可能に支持された扉体としての内枠12を開放する構成に採用している。これに限らず、例えば支持体としての内枠12に開閉可能に支持された扉体としての前面枠セット14を開放する構成に採用してもよい。
また、施錠装置が設けられる位置も内枠12に限定されるものではなく、例えば内枠12が押し出されて開放される構成においては、外枠11に設けてもよいし、前面枠セット14が押し出されて開放される構成においては、前面枠セット14に設けてもよい。
(b)シリンダ錠700の構成は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態では、鍵Kの非挿入状態においてシリンダ錠700がロック状態となり、第1摺動杆609の摺動変位がカム板720により規制される構成を採用している。これに限らず、例えば、鍵Kの非挿入状態においてもロック状態とならない(カム板720が変位不能とならない)シリンダ錠を採用してもよい。勿論、錠部材はシリンダ錠に限定されるものではなく、この他、カードキーのような鍵を用いて操作されるものであってもよい。
(c)内鉤部材623,624や前鉤部616,617,618の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、内鉤部材623,624が、第2摺動杆625に対し回動変位可能に連結された構成を採用している。これに限らず、例えば、内鉤部材623,624が施錠位置と解錠位置とに上下方向に摺動変位する構成を採用してもよい。かかる場合、内鉤部材623,624が第2摺動杆625に一体形成された構成を採用してもよい。
例えば、図27(a)に示すように、上記実施形態の内鉤部材623,624を上下反転させたような鉤部680を第2摺動杆625の上下に一体形成し、内枠12の施錠状態においては、第2摺動杆625が施錠位置をとることにより、鉤部680の頭部(係合部)680aが、受け金具84の被係合部84dに対して係合され、内枠12の開放が規制される。そして、内枠12を解錠する際には、シリンダ錠700を操作して、ロック部材660による規制を解除すると、コイル部材C2の引張力により、鉤部680(第2摺動杆625)が上方へ摺動し、その頭部680aが受け金具84の被係合部84dから外れていく。これとともに、作用部680bが、受け金具84の被係合部84dを押していく。そして、図27(b)に示すように、受け金具84の被係合部84dが、鉤部680から完全に抜け出し、鉤部680と受け金具84とが離脱状態となる。この際、鉤部680の作用部680bが、受け金具84の被係合部84dを押すことによって、内枠12が前方へ押され、自動的に内枠12が開放される。
また、内枠12を施錠する際、内枠12を閉じていくと、まず鉤部680の作用部680bが、受け金具84の被係合部84dに接触する。そして、コイルばねC2の引張力に抗して、第2摺動杆625(鉤部680)が下方へ摺動して、鉤部680が施錠位置に戻り、鉤部材680の頭部680aが受け金具84の被係合部84dに係合される。
また、内鉤部材623等の各鉤部材、及び、これに対応する受け金具83等の各被係合部の数は、上記実施形態の数に限定されるものではない。例えば内枠12の施錠機構に対応して、鉤部材等を3つ以上備えた構成としてもよい。
(d)ロック部材660の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、回動変位するロック部材660を採用しているが、これに限らず、例えば略水平方向にスライド変位するロック部材を採用してもよい。
また、上記実施形態では、内枠12を閉鎖すると、自動的にロック部材660がコイルばねC3の引張力により規制位置に変位する構成となっている。これに代えて、例えば内枠12の開閉に伴い、電気的駆動手段により、ロック部材が規制位置と規制解除位置とに変位可能な構成としてもよい。具体例としては、例えば内枠12の開放検知スイッチの検出結果に応じてソレノイド等を制御して、ロック部材を変位させる構成などが挙げられる。
(e)上記実施形態では、カム板720、第1摺動杆609の膨出部610a、第2摺動杆625の膨出部625、ロック部材660等が覆われるカバー部材740が取付固定されている。カバー部材の形状、素材、組付構造などは上記実施形態に限定されるものではない。また、取付位置、大きさ、範囲などに関しても適宜、変更可能である。例えば、カム板720を覆わずに、ロック部材660だけを覆うカバー部材を備えた構成としてもよい。
(f)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、それに類する雀球等の各種遊技機、スロットマシン、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機などとして実施してもよい。
以下、特許請求の範囲の請求項に記載されないものであって、上記実施形態から把握できる技術的思想について、その効果とともに記載する。
手段1.支持体の前面側にて当該支持体に対し開閉可能に支持された扉体と、
前記支持体に対し前記扉体を施錠する施錠装置とを備えた遊技機であって、
前記施錠装置は、
前記支持体又は前記扉体の一方に取付けられるとともに、
前記支持体又は前記扉体の他方に設けられた被係合部に係合可能な施錠位置と、前記被係合部から離脱可能な解錠位置とに変位可能な複数の係合部材と、
前記複数の係合部材を連動させて、前記係合部材を前記施錠位置とする第1切換位置と、前記係合部材を前記解錠位置とする第2切換位置とに変位可能な連結部材と、
前記連結部材を前記第2切換位置側へ付勢することにより、当該連結部材を介して前記係合部材を前記解錠位置側へ付勢する付勢部材と、
前記付勢部材による付勢力に抗して、前記連結部材を前記第1切換位置側へ変位させた状態で維持することにより、当該連結部材の前記第2切換位置側への変位及び前記係合部材の前記解錠位置側への変位を規制する規制部材と、
鍵による特定の操作により前記規制部材を操作可能な錠部材と、
前記規制部材を覆うカバー部材とを備え、
前記係合部材は、
前記被係合部に係合される係合部と、これとは別に前記被係合部に接触可能な作用部とを備え、
前記係合部が前記被係合部に係合された状態で、前記連結部材を介して前記規制部材により前記係合部材の前記解錠位置側への変位が規制されることにより、前記扉体の開放が規制された施錠状態となり、
前記施錠状態において、前記錠部材に対して前記特定の操作があった場合には、前記規制部材による規制が解除され、前記付勢部材による付勢力により、前記連結部材が前記第2切換位置側へ変位して前記係合部材が前記解錠位置側へ変位し、
当該係合部材の変位動作により、前記係合部が前記被係合部から離脱しつつ、前記作用部が前記被係合部に作用して前記扉体が前方へ押され、解錠状態となることを特徴とする遊技機。
上記手段1によれば、錠部材を操作して扉体を解錠すれば、自動的に扉体が前方へ押し出され開放される。これにより、扉体の重量が比較的重い場合でも、扉体の開く方向へ力がかかるため、比較的容易に扉体を開放することができる。結果として、一方の手で錠部材を操作しつつ、他方の手で扉体を支えながら前方へ引っ張る等の面倒な作業を行う必要もなく、利便性の向上が図られる。
また、付勢部材(例えばコイルばね等の弾性部材)は、連結部材を介して複数の係合部材を付勢する構成となっているため、各係合部材に対応して複数の付勢部材を設ける必要もなく、部品点数の増加を抑制することができる。
加えて、本手段では、規制部材を覆うカバー部材を備えている。これにより、線材等を規制部材に引っ掛けて規制解除し、扉体を開放するといった不正解錠操作を防止することができる。結果として、不正解錠に対する防御性能の向上を図ることができる。また、各係合部材に対応して複数のカバー部材を設ける必要もなく、部品点数の増加を抑制することができる。
さらに、従来では、通常、係合部材を直接又は間接的に施錠位置側へ付勢する付勢部材を備えた構成となっているため、鍵による錠部材の解錠操作時の負荷を考慮して、比較的付勢力の強い付勢部材を用いることができなかった。これに対し、本手段の構成では、錠部材が、係合部材(連結部材)を規制する規制部材を動かす構成となっている、すなわち係合部材や連結部材を直接的に動かす構成ではないため、鍵による錠部材の解錠操作時の負荷をそれほど考慮する必要もない。結果として、係合部材(連結部材)を付勢する付勢部材として、比較的付勢力の強いものを用いることができ、扉体の解錠時に当該扉体を前方へ押し出す力を高めることができる。
なお、係合部材(係合部)及び被係合部の「係合」とは、扉体を開方向に動かした場合に、係合部及び被係合部が接触して両者が係り合う位置関係にある状態をいう。つまり、扉体の施錠状態において、係合部及び被係合部が若干の遊びを有して非接触状態となっている場合でも、扉体を開方向に動かした場合に、係合部及び被係合部が接触して両者が係り合う位置関係にあれば、上記「係合」に含まれる。逆に、「離脱」とは、扉体を開方向に動かした場合に、係合部及び被係合部が接触しない位置関係、又は接触しつつも扉体を開放可能な位置関係にある状態をいう。
また、係合部材などの所定部材が「変位」することには、上下方向などの直線的な位置変化に限らず、例えば回動可能に軸支された所定部材が回動し、その姿勢が変化して、係合部等の所定部位の位置だけが変化することなども含まれる。従って、所定部材の「変位」とあるのを、所定部材の「動作」との表現に置き換えることも可能である。
手段2.前記カバー部材は、前記規制部材と共に、当該規制部材に作用する前記錠部材の伝達部を覆う構成であることを特徴する手段1に記載の遊技機。
伝達部(カム板)が露出した構成では、当該伝達部に線材等を引っ掛けて、上記同様の不正行為が行われるおそれがある。これに対し、本手段2によれば、伝達部も併せてカバー部材によって覆うことにより、不正行為をより確実に防止することができる。また、規制部材及び錠部材の伝達部を1つのカバー部材により、まとめて覆うことにより、部品点数の増加を防ぐとともに、構成の簡素化を図ることができる。
手段3.前記施錠装置の外郭を構成する基枠は、
前記支持体又は前記扉体の一方に取付固定される取付部と、当該取付部から前記支持体又は前記扉体の他方側(例えば後方)に突出した支持部とを備え、
前記錠部材は、前記取付部に取付けられ、
前記支持部は、前記錠部材の配設位置に対応する部位(高さ位置)において前記基枠の外方側に膨出する膨出部を備え、
前記規制部材は、前記膨出部に設けられていることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
上記手段3によれば、錠部材の近傍に規制部材を配置することにより、両者をまとめて覆うカバー部材をよりコンパクトなものとすることができる。
手段4.前記支持部から前記支持体又は前記扉体の他方側(例えば後方)へ延出した延出壁部を備え、
前記規制部材は、前記延出壁部に取付けられ、前後方向及び上下方向に沿った平面に沿って変位可能に設けられていることを特徴とする手段2又は3に記載の遊技機。
上記手段4のように、規制部材が、例えば前後方向に摺動変位可能又は左右方向を回動軸心として回動変位可能に設けられることにより、規制部材の左右方向への変位を抑えることができる。結果として、施錠装置の横幅の拡張を抑制することができ、ひいては扉体の中央領域(遊技領域等)の拡張を図ることができる。
手段5.前記規制部材は、
前記連結部材の前記第2切換位置側への変位を規制する規制位置と、その規制を解除する規制解除位置とに変位可能に設けられるとともに、
前記規制部材を前記規制位置側へ付勢する第2付勢部材を備え、
前記連結部材が前記第2切換位置へ変位した場合には、当該連結部材の特定部位に前記規制部材が係合することにより、当該規制部材の前記規制位置側への変位が規制され、前記規制解除位置に保持され、
前記連結部材が前記第1切換位置に変位した場合には、前記連結部材の特定部位と前記規制部材との係合が外れ、前記第2付勢部材の付勢力により、前記規制部材が前記規制位置へ変位することを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の遊技機。
上記手段5によれば、規制部材による規制が一旦解除されると、連結部材により規制部材が規制位置に戻らなくなるため、連結部材を第2切換位置に、ひいては係合部材を解錠位置に維持できる。上記手段1等の構成の下では、扉体の開放時において、係合部材が施錠位置に維持されていると、係合部が被係合部に衝突してしまうおそれがある。
この点、本手段によれば、扉体の解錠後、鍵から手を離しても係合部材が施錠位置へ戻らないため、扉体を閉じる際に施錠位置にある係合部と被係合部とが衝突するようなこともなく、係合部材の変形等を防止することができる。また、扉体を閉じれば、規制部材が自動的に規制位置に戻るため、利便性がよい。
手段6.前記係合部材が前記解錠位置にある状態で、前記扉体を閉鎖した場合には、前記係合部材の作用部が前記被係合部に接触することにより、前記付勢部材による付勢力に抗して前記係合部材が前記施錠位置側へ変位しつつ、前記係合部が前記被係合部に係合されることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の遊技機。
上記手段6によれば、扉体の開放時に被係合部に対し作用する作用部が、扉体の閉鎖時においても被係合部と係り合うことで、扉体を閉じれば、自動的に扉体が施錠される構成となる。結果として、扉体を施錠する際に、鍵による施錠操作を行う必要もなく、利便性の向上が図られる。
また、扉体の施錠状態において被係合部に係合される係合部とは異なる作用部に対し、被係合部が接触することで、係合部材が変位する構成となっている。つまり、扉体を閉じる際に係合部と被係合部とが衝突しない構成とできる。従来技術のように扉体の閉鎖時に係合部自体が被係合部と接触することで、係合部材が変位する構成では、両者の接触により係合部が変形等してしまうおそれがある。係合部が変形等すれば、扉体を適切に施錠できなくなるといった不具合も起こり得る。
さらに、上述したように、従来では、通常、鍵による錠部材の解錠操作時の負荷を考慮して、係合部材を施錠位置側へ付勢する付勢部材の付勢力を比較的強く設定することができなかった。このため、扉体の閉鎖時の衝撃を係合部と被係合部との接触により吸収することが難しかった。つまり、付勢部材の抗力が弱く、扉体を力強く閉鎖した際には、扉体が支持体に激しく衝突してしまうおそれがあった。かかる場合には、扉体に取付けられる電子機器など各種部材に悪影響を及ぼすおそれもある。特に近年では、扉体の重量が重量化傾向にあるため、その衝撃も大きく、このような不具合の発生するおそれも高い。
これに対し、本手段の構成では、上述したように、錠部材が、係合部材やこれに連結される連結部材を直接的に動かす構成ではないため、解錠操作時の負荷を考慮する必要もなく、比較的付勢力の強い付勢部材を用いて、被係合部と接触する係合部材(作用部)を緩衝手段として機能させることができる。結果として、扉体の閉鎖時の衝撃を係合部材(作用部)と被係合部との接触により十分に吸収させることができる。
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
A.上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備えた弾球遊技機」が挙げられる。
B.上記各手段における前記遊技機は略鉛直方向に延びる遊技領域を備えた弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内され、略鉛直方向に沿って延びる所定の遊技領域(例えば遊技領域は遊技盤面等により構成される)と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備え、前記遊技領域を流下する遊技球の挙動を視認可能に構成されてなる弾球遊技機」が挙げられる。
C.上記各手段における前記遊技機、又は、上記各弾球遊技機は、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機であること。
D.上記各手段における遊技機は、スロットマシン等の回胴式遊技機であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成した回胴式遊技機」が挙げられる。
E.上記各手段における遊技機は、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機(特に遊技球を遊技媒体として使用するスロットマシン仕様の遊技機)であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成し、さらに球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む取込手段と、前記球受皿に遊技球の払出しを行う払出手段とを備え、前記取込手段により遊技球が取り込まれることにより遊技の開始条件が成立するように構成した遊技機」が挙げられる。