以下、上記課題等を解決するのに適した各手段を項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.固定枠に対し左右一側部にて開閉可能に支持された遊技機本体と、
前記遊技機本体の前面側において、当該遊技機本体に対し前記左右一側部にて開閉可能に支持された前扉体と、
前記遊技機本体の背面側において、当該遊技機本体に対し前記左右一側部にて開閉可能に支持された後扉体とを備えるとともに、
前記遊技機本体の左右他側部に設けられるとともに、前記固定枠に対し前記遊技機本体を施錠する機構と、前記遊技機本体に対し前記前扉体を施錠する機構と、前記遊技機本体に対し前記後扉体を施錠する機構とを具備した施錠装置を備えた遊技機において、
前記施錠装置は、
鍵により操作される1つの錠部材と、
前記固定枠側に設けられた本体被係合部に係合されて前記遊技機本体の開放を規制する施錠位置に所定の付勢手段の付勢力により付勢され、前記鍵による第1の方向への操作に応じた前記錠部材の動作に連動して前記付勢手段の付勢力に抗して上下方向一方へ所定量変位することにより、前記本体被係合部から離脱して前記遊技機本体の開放を許容する解錠許容位置をとる本体用係合部と、
前記前扉体側に設けられた前扉体被係合部に係合されて前記前扉体の開放を規制する施錠位置に所定の付勢手段の付勢力により付勢され、前記鍵による第2の方向への操作に応じた前記錠部材の動作に連動して前記付勢手段の付勢力に抗して上下方向他方へ所定量変位することにより、前記前扉体被係合部から離脱して前記前扉体の開放を許容する解錠許容位置をとる前扉体用係合部と、
前記後扉体側に設けられた後扉体被係合部に係合されて前記後扉体の開放を規制する施錠位置に所定の付勢手段の付勢力により付勢され、前記鍵による第1又は第2の方向への操作に応じた前記錠部材の動作に連動して前記付勢手段の付勢力に抗して上下方向一方又は他方へ所定量変位することにより、前記後扉体被係合部から離脱して前記後扉体の開放を許容する解錠許容位置をとる後扉体用係合部とを備え、
前記後扉体用係合部が施錠位置から解錠許容位置に達するまでに要する変位量と、当該後扉体用係合部と連動して同方向へ動く前記本体用係合部又は前記前扉体用係合部が施錠位置から解錠許容位置に達するまでに要する変位量とを異ならせたことを特徴とする遊技機。
上記手段1によれば、遊技機本体の背面側に後扉体を備えるとともに、当該後扉体を遊技機本体に対し施錠する機構を備えている。つまり、従来と同様に遊技機本体の背面側において後扉体が制御機器等を覆うように配置されることで、制御機器等に対する不正行為を行うことは困難となる。
また、固定枠に対し遊技機本体を施錠する機構、遊技機本体に対し前扉体を施錠する機構、及び遊技機本体に対し後扉体を施錠する機構を1つの施錠装置に一体化しているため、部品点数の増加を抑制することができる。さらに、1つの錠部材に対し鍵を挿し込み、異なる操作を行うことで、1つの施錠装置により遊技機本体、前扉体及び後扉体の施錠及び解錠操作を行うことができるようになる。このため、複数の鍵を使い分けるといった面倒もなく、メンテナンス時等における作業性の向上を図ることができる。
加えて、第1の方向への操作又は第2の方向への操作といった鍵による同一方向への操作により、遊技機本体と後扉体、又は、前扉体と後扉体の両方を解錠することができる。
さらにまた、上記手段では、鍵による同一方向への操作により施錠作業や解錠作業を行うことのできる両開閉体(遊技機本体と後扉体、又は、前扉体と後扉体)のうち、一方の開閉体の解錠に要する施錠装置側の係合部の変位量と、他方の開閉体の解錠に要する施錠装置側の係合部の変位量とを異ならせている。これにより、両開閉体のうちの一方(解錠に要する施錠装置側の係合部の変位量が大きい方)が開放不能な状態のまま、他方(解錠に要する施錠装置側の係合部の変位量が小さい方)を開放可能な状態とすることができる。また、例えば開放状態にある前記他方の開閉体を閉鎖する際に、一旦、この開閉体に対応する係合部を解錠許容位置に変位させたとしても、前記一方の開閉体に対応する係合部は解錠許容位置に達しないため、当該一方の開閉体は規制解除されず開放可能とならない。そのため、仮に前記他方の開閉体を閉鎖する勢いが強かったとしても前記一方の開閉体が開放されてしまうおそれもない。従って、前記他方の開閉体の施錠作業や解錠作業を行う際に、前記一方の開閉体へ与える影響を低減させ、上記課題で述べたような不具合の発生を抑制することができる。
結果として、不正解錠に対する防御性能を高めるとともに、メンテナンス時等における作業性の向上など利便性の向上を図ることができる。
なお、以下の手段においても同様であるが、遊技機本体、前扉体及び後扉体に対応して設けられる係合部及び被係合部の数は1つに限定されるものではなく、これらを複数備えた構成としてもよい。
また、上記「左右一側部」とは、左右方向における一方側を指し、「左右一側部」が例えば「右側部」であれば、「左右他側部」は「左側部」となる。逆に、「左右一側部」が「左側部」であれば、「左右他側部」は「右側部」となる。
また、錠部材の例としては、鍵が挿入されて回動操作されるシリンダ錠などが挙げられる。この場合、鍵により操作される作動部は、回動可能に設けられた錠軸や、当該錠軸に固定された係合片(カム板)等から構成されることとなる。また、第1の方向への操作及び第2の方向への操作としては、一方への回動操作、及び、他方への回動操作が挙げられる。
手段2.前記本体用係合部又は前記本体被係合部のうち一方を、他方に係止される爪部を有する本体用鉤部とし、
前記前扉体用係合部又は前記前扉体被係合部のうち一方を、他方に係止される爪部を有する前扉体用鉤部とし、
前記後扉体用係合部又は後扉体被係合部のうち一方を、他方に係止される爪部を有する後扉体用鉤部とし、
前記後扉体用鉤部の爪部の突出長(上下方向の長さ)と、前記本体用鉤部又は前扉体用鉤部の爪部の突出長とを異ならせたことを特徴とする手段1に記載の遊技機。
上記手段2によれば、爪部の突出長を異ならせるといった比較的簡単な構成により上記手段1を実現することができ、構成の簡素化を図ることができる。
手段3.前記係合部又は被係合部のうちの一方である鉤部は、上下方向に対し傾斜した傾斜案内部を有し、当該傾斜案内部が他方である前記係合部又は被係合部に摺接することにより、前記係合部が前記付勢手段の付勢力に抗して解錠許容位置側へ変位可能に構成されていることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
上記手段3によれば、遊技機本体などの開閉体を閉じる際に鉤部の傾斜案内部が他方の係合部又は被係合部に摺接することより、開閉体を閉じる横方向の力を施錠装置の係合部を解錠方向へ動かす力に換えることができる。従って、各開閉体を開状態から閉状態とする施錠時においては、鍵による操作を行うことなく施錠を行うことが可能となる。例えば本体用係合部が爪部を有する本体用鉤部である場合には、遊技機本体を閉じていくと、先ず本体用鉤部の傾斜案内部が固定枠側の本体被係合部に接する。さらに遊技機本体を閉じていくことで、コイルばね等の付勢手段の付勢力に抗して本体用鉤部が解錠方向へ変位する。そして、本体用鉤部が本体被係合部を乗り越えると、本体用鉤部は付勢手段の付勢力により元の位置に戻り、爪部により本体被係合部に係止される。これにより遊技機本体の施錠が完了する。このように鍵による操作を行うことなく施錠を行う場合には、開閉体を閉じ切る際の振動等により、上記課題で述べたような不具合が発生しやすい。従って、このような構成において上記手段1等の構成がより奏効することとなる。
手段4.前記鍵による第1の方向への操作に応じた前記錠部材の動作に連動して上下方向一方へ摺動する第1の摺動部材と、
前記鍵による第2の方向への操作に応じた前記錠部材の動作に連動して上下方向他方へ摺動する第2の摺動部材とを備え、
前記本体用係合部は、前記第1の摺動部材の動きに連動して動き、
前記前扉体用係合部は、前記第2の摺動部材の動きに連動して動き、
前記後扉体用係合部は、前記第1の摺動部材又は前記第2の摺動部材の動きに連動して動くことを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
上記手段4によれば、比較的簡単な構成により上記手段1等を実現することができ、構成の簡素化を図ることができる。なお、係合部が摺動部材の動きに連動して動くことには、係合部が摺動部材に対し相対変位不能に設けられ、一体的に動くことが含まれる。構成例としては、係合部が摺動部材と一体形成された構成や、係合部が摺動部材に対し相対変位不能に固定された構成などが挙げられる。
手段5.前記後扉体用係合部が施錠位置から解錠許容位置に達するまでに要する変位量が、当該後扉体用係合部と連動して同方向へ動く前記本体用係合部又は前記前扉体用係合部が施錠位置から解錠許容位置に達するまでに要する変位量より大きく設定されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の遊技機。
上記手段5によれば、遊技機本体又は前扉体の施錠作業や解錠作業を行う際に、後扉体が開放されてしまうような不具合の発生を抑制することができる。特に、後扉体は遊技機本体の背面側にあるため、気付かぬうちに開放してしまうおそれがある。さらに、このように後扉体が開放されてしまった場合には、一旦、遊技機本体を開放した上で後扉体を閉鎖するといった非常に手間のかかる作業を要する。従って、上記手段5の構成がより奏効することとなる。
手段6.前記後扉体用係合部が施錠位置から解錠許容位置に達するまでに要する変位量が、当該後扉体用係合部と連動して同方向へ動く前記本体用係合部又は前記前扉体用係合部が施錠位置から解錠許容位置に達するまでに要する変位量より小さく設定されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の遊技機。
上記手段6によれば、後扉体の施錠作業や解錠作業を行う際に、遊技機本体又は前扉体が開放されてしまうような不具合の発生を抑制することができる。
手段7.前記後扉体用係合部が前記本体用係合部と連動して動く構成であることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の遊技機。
上記手段7によれば、鍵による同一方向への操作により遊技機本体と後扉体の施錠作業や解錠作業を行うことができる。換言すれば、前扉体用係合部と後扉体用係合部は別々に動く機構に属するため、前扉体又は後扉体の一方の施錠作業や解錠作業を行う際に、他方の扉体が開放されてしまう等といった不具合が発生しない。なお、遊技機本体を解錠し開放する場合は、通常、本体背面側のメンテナンスを行うのが目的であり、鍵を用いて遊技機本体を解錠した際に併せて後扉体が解錠され開放されてしまったとしても不具合は少ない。また、遊技機本体背面側のメンテナンス終了後に、開放状態にある後扉体を閉鎖するに際して、遊技機本体は既に開放状態にあるため、改めて開放されてしまうおそれはない。さらに、遊技機本体を閉鎖する際には、当該遊技機本体に対し後扉体が閉鎖された状態で両者が一体的に同一方向へ動くため、後扉体が遊技機本体から開放されてしまうおそれは少ない。結果として、上記課題で述べたような不具合の発生を抑制することができる。
手段8.前記後扉体用係合部が前記前扉体用係合部と連動して動く構成であることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の遊技機。
上記手段8によれば、鍵による同一方向への操作により前扉体と後扉体の施錠作業や解錠作業を行うことができる。換言すれば、本体用係合部と後扉体用係合部は別々に動く機構に属するため、遊技機本体又は後扉体の一方の施錠作業や解錠作業を行う際に、他方の開閉体が開放されてしまう等といった不具合が発生しない。また、後扉体用係合部が前扉体用係合部と連動して動く構成では、遊技機本体前面側のメンテナンス終了後など、開放状態にある前扉体を閉鎖するに際して、閉鎖状態にある遊技機本体の背面側において後扉体が開放されてしまうおそれがある。そのため、上記手段1等の構成がより奏効することとなる。
手段9.固定枠に対し左右一側部にて開閉可能に支持された遊技機本体と、
前記遊技機本体の前面側において、当該遊技機本体に対し前記左右一側部にて開閉可能に支持された前扉体と、
前記遊技機本体の背面側において、当該遊技機本体に対し前記左右一側部にて開閉可能に支持された後扉体とを備えるとともに、
前記遊技機本体の左右他側部に設けられるとともに、前記固定枠に対し前記遊技機本体を施錠する機構と、前記遊技機本体に対し前記前扉体を施錠する機構と、前記遊技機本体に対し前記後扉体を施錠する機構とを具備した施錠装置を備えた遊技機において、
前記施錠装置は、
鍵により操作される1つの錠部材と、
前記固定枠側に設けられた本体被係合部に係合されて前記遊技機本体の開放を規制する施錠位置に所定の付勢手段の付勢力により付勢され、前記鍵による第1の方向への操作に応じた前記錠部材の動作に連動して前記付勢手段の付勢力に抗して上下方向一方へ所定量変位することにより、前記本体被係合部から離脱して前記遊技機本体の開放を許容する解錠許容位置をとる本体用係合部と、
前記後扉体側に設けられた後扉体被係合部に係合されて前記後扉体の開放を規制する施錠位置に所定の付勢手段の付勢力により付勢され、前記鍵による第2の方向への操作に応じた前記錠部材の動作に連動して前記付勢手段の付勢力に抗して上下方向他方へ所定量変位することにより、前記後扉体被係合部から離脱して前記後扉体の開放を許容する解錠許容位置をとる後扉体用係合部と、
前記前扉体側に設けられた前扉体被係合部に係合されて前記前扉体の開放を規制する施錠位置に所定の付勢手段の付勢力により付勢され、前記鍵による前記第1の方向への操作に応じた前記錠部材の動作に連動して前記付勢手段の付勢力に抗して上下方向一方へ所定量変位することにより、前記前扉体被係合部から離脱して前記前扉体の開放を許容する解錠許容位置をとる前扉体用係合部とを備え、
前記前扉体用係合部が施錠位置から解錠許容位置に達するまでに要する変位量と、当該前扉体用係合部と連動して同方向へ動く前記本体用係合部が施錠位置から解錠許容位置に達するまでに要する変位量とを異ならせたことを特徴とする遊技機。
上記手段9によれば、鍵による同一方向への操作により遊技機本体と前扉体の施錠作業や解錠作業を行うことができる。換言すれば、本体用係合部及び前扉体用係合部と、後扉体用係合部とが別々に動く機構に属するため、遊技機本体又は前扉体の施錠作業や解錠作業を行う際に、後扉体が開放されてしまう等といった不具合が発生しない。結果として、上記手段1と同様の作用効果が奏される。
さらに、鍵による同一方向への操作により施錠作業や解錠作業を行うことのできる遊技機本体及び前扉体のうち、一方の開閉体の解錠に要する施錠装置側の係合部の変位量と、他方の開閉体の解錠に要する施錠装置側の係合部の変位量とを異ならせている。これにより、両開閉体のうちの一方(解錠に要する施錠装置側の係合部の変位量が大きい方)が開放不能な状態のまま、他方(解錠に要する施錠装置側の係合部の変位量が小さい方)を開放可能な状態とすることができる。
手段10.前記前扉体用係合部が施錠位置から解錠許容位置に達するまでに要する変位量が、当該前扉体用係合部と連動して同方向へ動く前記本体用係合部が施錠位置から解錠許容位置に達するまでに要する変位量より小さく設定されていることを特徴とする手段9に記載の遊技機。
上記手段10によれば、例えば開放状態にある前扉体を閉鎖する際に、一旦、前扉体用係合部を解錠許容位置に変位させたとしても、本体用係合部は解錠許容位置に達しないため、遊技機本体は規制解除されず開放可能とならない。そのため、仮に前扉体を閉鎖する勢いが強かったとしても遊技機本体が開放されてしまうおそれが少ない。従って、前扉体の施錠作業や解錠作業を行う際に、遊技機本体が開放されてしまうような不具合の発生を抑制することができる。
手段11.前記本体用係合部又は前記本体被係合部のうち一方を、他方に係止される爪部を有する本体用鉤部とし、
前記前扉体用係合部又は前記前扉体被係合部のうち一方を、他方に係止される爪部を有する前扉体用鉤部とし、
前記後扉体用係合部又は後扉体被係合部のうち一方を、他方に係止される爪部を有する後扉体用鉤部とし、
前記前扉体用鉤部の爪部の突出長(上下方向の長さ)と、前記本体用鉤部の爪部の突出長とを異ならせたことを特徴とする手段9又は10に記載の遊技機。
上記手段11によれば、爪部の突出長を異ならせるといった比較的簡単な構成により上記手段9や手段10を実現することができ、構成の簡素化を図ることができる。
手段12.前記係合部又は被係合部のうちの一方である鉤部は、上下方向に対し傾斜した傾斜案内部を有し、当該傾斜案内部が他方である前記係合部又は被係合部に摺接することにより、前記係合部が前記付勢手段の付勢力に抗して解錠許容位置側へ変位可能に構成されていることを特徴とする手段11に記載の遊技機。
上記手段12によれば、上記手段3と同様の作用効果が奏される。
手段13.前記鍵による第1の方向への操作に応じた前記錠部材の動作に連動して上下方向一方へ摺動する第1の摺動部材と、
前記鍵による第2の方向への操作に応じた前記錠部材の動作に連動して上下方向他方へ摺動する第2の摺動部材とを備え、
前記本体用係合部は、前記第1の摺動部材の動きに連動して動き、
前記前扉体用係合部は、前記第1の摺動部材の動きに連動して動き、
前記後扉体用係合部は、前記第2の摺動部材の動きに連動して動くことを特徴とする手段9乃至12のいずれかに記載の遊技機。
上記手段13によれば、上記手段4と同様の作用効果が奏される。
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
A.上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備えた弾球遊技機」が挙げられる。
B.上記各手段における前記遊技機は略鉛直方向に延びる遊技領域を備えた弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内され、略鉛直方向に沿って延びる所定の遊技領域(例えば遊技領域は遊技盤面等により構成される)と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備え、前記遊技領域を流下する遊技球の挙動を視認可能に構成されてなる弾球遊技機」が挙げられる。
C.上記各手段における前記遊技機、又は、上記各弾球遊技機は、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機であること。
D.上記遊技機は、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機(特に遊技球を遊技媒体として使用するスロットマシン仕様の遊技機)であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成し、さらに球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む取込手段と、前記球受皿に遊技球の払出しを行う払出手段とを備え、前記取込手段により遊技球が取り込まれることにより遊技の開始条件が成立するように構成した遊技機」が挙げられる。
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は斜視図であり、図3は右側面図である。また、図4は、内枠12及び前面枠セット14を開放した状態を示す斜視図である。但し、図4では便宜上、遊技盤30面上に配設される釘や役物、前面枠セット14に取付けられるガラスユニット137などを省略して示している。
図1乃至図4に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を構成する固定枠としての外枠11を備えており、この外枠11の一側部に遊技機本体としての内枠12が開閉可能に支持されている。外枠11は、例えば木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。
ここで、外枠11について図5を参照しつつ説明する。外枠11の左辺部には、上ヒンジ81及び下ヒンジ82が設けられている。当該上ヒンジ81及び下ヒンジ82にて、内枠12の上下部が回動可能に支持されており、これにより内枠12が開閉可能に支持される。また、外枠11の右辺部には、後述する施錠装置600の内枠鉤部637,638に対応して、上下一対の本体被係合部としての受け金具83,84が取付けられている。
さらに、外枠11下部には、樹脂製の幕板飾り85が取着されている。幕板飾り85の上面奥部には、上方に突出するリブ88が一体形成されている。これにより内枠12との間に隙間が形成されにくくなっている。また、外枠11の右辺部内側面には切欠き部89が形成されている。この切欠き部89は、内枠12を閉状態とした際に、内枠12の背面側に設けられた施錠装置600等が外枠12と接触するのを防止するためのものである。
内枠12の開閉軸線は、上述したようにパチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。内枠12は、外形が矩形状をなす青色の樹脂ベース38を主体に構成されており、当該樹脂ベース38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。
また、内枠12の前面側には、前扉体としての前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。前面枠セット14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。
前面枠セット14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなし、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠セット14の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠セット14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域)を外部から視認可能となる。遊技盤30の詳細な構成については後述する。
前面枠セット14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15内から遊技球を排出するための球抜きレバー25が設けられている。
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下、単にハンドルという)18が設けられ、下皿15の左方には、灰皿26が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段が設けられている。
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射装置(以下、単に発射装置という)70の方へ案内する球受皿である。なお、上皿19から溢れる遊技球は下皿15へ案内されるようになっている。
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技場等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
また、前面枠セット14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、中央電飾部103の左右側方には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。また、各エラー表示ランプ104に隣接してスピーカSP(図9参照)が設けられるとともに、当該スピーカSPの前側にスピーカカバー24が取着されている。
前面枠セット14の背面側にはガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対を為して別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
次に、内枠12(樹脂ベース38)について説明する。上述した通り、内枠12(樹脂ベース38)には、窓孔39の後側に遊技盤30が装着されている。遊技盤30は、その周縁部が内枠12(樹脂ベース38)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース38の窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
また、内枠12(樹脂ベース38)の下部、すなわち窓孔39(遊技盤30)の下方位置には、後側へ膨出した膨出部40が形成されている。この膨出部40の前面右側には、発射装置70が取付けられている。本実施形態では、発射装置70としてソレノイド式発射装置を採用している。また、膨出部40には、後述する払出機構部352から上記下皿15の排出口16へ繋がる球通路71が設けられている。また、発射装置70の発射レール70aと後述するレール50(外レール構成部52)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路72が形成されている。これにより、仮に、発射装置70から発射された遊技球が後述する戻り球防止部材53まで至らずファール球としてレール50を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路72及び球通路71を介して下皿15に排出される。また、球通路71の下側にはハーネスカバー74が設けられている。これにより中継基板75と発射装置70とを接続するハーネス(図示略)をまとめている。
次に、遊技盤30の構成について図6を参照して説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口(作動口)33、第2契機対応口34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33に遊技球が入球(入賞)すると、それぞれに対応して設けられた検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞部(一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33)に入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域外へと排出される。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示装置ユニット35には、第2契機対応口34の通過をトリガとして変動表示する普通図柄表示装置41と、第1契機対応口33への入賞をトリガとして変動表示する特別表示装置43と、特別表示装置43による変動表示に合わせて変動表示する可変表示装置としての装飾図柄表示装置42とが設けられている。
普通図柄表示装置41は複数の発光手段(LED)を内蔵しており、遊技球が第2契機対応口34を通過する毎に点灯表示態様が切換表示(変動表示)され、その変動表示が特定の点灯態様で数秒間停止した場合に第1契機対応口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。また、普通図柄表示装置41の変動表示中に、新たに遊技球が第2契機対応口34を通過した場合には、その分の普通図柄の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。
特別表示装置43は、普通図柄表示装置41の側方に設けられた複数の発光部により構成され、遊技球が第1契機対応口33を通過する毎に点灯する発光部の組合せが切換えられる(変動表示される)。そして、変動表示が停止したときに点灯している発光部の組合わせにより、大当たりか否かが確定的に表示される。この特別表示装置43についても、主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。また、特別表示装置43の変動表示中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。また、大当たり状態中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述するサブ制御装置262によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、特別表示装置43にて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、後述する表示制御装置45によって表示が行われる。装飾図柄表示装置42には、例えば、上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして装飾図柄表示装置42に変動表示され、その後、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に停止表示される。また、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に、遊技球が入賞しやすい開状態とされる。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数(所定ラウンド数)繰り返し開放される。
また、遊技盤30には、発射装置70から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール50が取付けられている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレール50を通じて、遊技盤面上に形成された遊技領域内に案内される。レール50は内レール構成部51と外レール構成部52とからなる。
内レール構成部51の先端部分(図6の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、レール50から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度レール50内に戻ってしまうといった事態が防止される。
また、本実施形態では、外レール構成部52が遊技盤30の右上部で途絶え、内レール構成部51が遊技盤30の右下部で途絶えている。このため、遊技領域は、レール50及び樹脂ベース38の窓孔39の内周面により画定される。但し、内外レール構成部51,52の並行部分を除く。
次に、パチンコ機10の背面の構成を図8に基づいて説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合において、主基板とサブ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
なお、第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で着脱できるよう構成されており、さらに、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。
まず、遊技盤30の背面構成について説明する。上述したように遊技盤30の中央にはルータ加工によって形成された貫通穴に対して可変表示装置ユニット35が配設されている。この可変表示装置ユニット35に対し、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。さらに、フレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板などが配設されている。
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして図示しない裏枠セットが取付けられている。この裏枠セットは、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための球回収機構を備えている。また、内枠12には、裏枠セット(遊技盤30)の下方位置において排出通路盤217が取付けられており、該排出通路盤217には排出球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート218が形成されている。従って、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セットの球回収機構を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出シュート218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出する入賞感知機構(検出スイッチ)などが設けられている。入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板(主制御装置261)に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。本実施形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる。
第1制御基板ユニット201は、主制御装置261と、サブ制御装置262とを具備している。主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって連結されており、基板ボックス263が開封された場合には、封印ユニットにおいて所定の痕跡が残るよう構成されている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。
また、サブ制御装置262は、主制御装置261(主基板)からの指示に従い各種演出制御を司るCPUや、各種プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含むサブ制御基板を具備しており、このサブ制御基板についても当該サブ制御基板に対応する基板ボックスに収容されて構成されている。
第2制御基板ユニット202は、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314を具備している。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル18の操作に従い発射装置等の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。
上記払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313についても、それぞれに対応する基板ボックス315、316、317に収容されて構成されている。但し、発射制御装置312(基板ボックス316)は、電源装置313(基板ボックス317)の裏側に配置されている。また、払出制御装置311が収容される基板ボックス315には、前述した主制御装置261と同様に封印ユニットが設けられ、基板ボックス315の開封した痕跡が残るようになっている。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技場の営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものであり、本実施形態における後扉体に相当する。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部354を有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、前述のサブ制御装置262及び主制御装置261の一部も合わせて囲む構成となっている。
また、払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は上記上皿19等に供給される。
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図9は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261(主基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停止信号の入力により起動されるNMI割込み処理(このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される)によって停電の発生等による電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)の復電処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置262、特別表示装置43、普通図柄表示装置41、その他図示しないスイッチ等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43および普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置262を介して制御される。
サブ制御装置262(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552、RAM553が接続されるとともに、表示制御装置45が接続されている。さらに、入出力ポート554には、スピーカSP、各種電飾部及びランプ102〜104が接続されている。
サブ制御装置262のCPU551は、例えば主制御装置261から送信される指令信号(例えば変動パターンコマンド)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する特別表示装置43にて大当たりか否かを表示するようになっており、サブ制御装置262が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43の表示に合わせた表示が行われる。
また、払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、NMI割込み処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射装置70による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置70は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射装置70が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置262の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置262から送信される表示コマンドに基づいて装飾図柄表示装置42の表示を制御する。プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させるものである。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
次に、内枠12の施錠機構、前面枠セット14の施錠機構、及び裏パックユニット203の施錠機構について図10乃至図15を参照して説明する。本実施形態では、内枠12は外枠11に対し施錠され、前面枠セット14及び裏パックユニット203は内枠12に対し施錠される。これらの施錠機構は単一の施錠装置600によって具現化されている。後述するように施錠装置600は、前面枠セット14の前面側に露出するシリンダ錠700(図1等参照)を備えており、該シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kを挿入し、一方に回動操作することで内枠12を解錠でき、他方に回動操作することで前面枠セット14及び裏パックユニット203を解錠できるようになっている。ここで、図10は、施錠装置600の背面図であり、図11は右側面図、図12は左側面図、図13は正面図である。また、図14は、背面側から見た施錠装置600の分解図であり、図15は、側面側から見た施錠装置600の分解図である。
施錠装置600は、内枠12の背面側左側辺部(図7左側)に沿って取付けられている。施錠装置600の外郭を構成する縦長の基枠601は、内枠12の背面部に固定される取付部としての取付板602と、当該取付板602の内枠12内方側(窓孔39側)の端縁から後方に突出した支持部としての支持板603と、取付板602の内枠12外方側の端縁から後方に突出したフランジ部604とを備えており、これらが一体となって横断面略コ字状をなしている。なお、施錠装置600を構成する基枠601などの各部材は、金属平板をプレス成形等することにより形成されている。
また、取付板602では、シリンダ錠700の配置位置に対応する所定の上下区間が他部位より左右方向に幅広の幅広部602aとなっており、支持板603では、前記幅広部602aに対応する上下区間が内枠12内方側へ膨出した膨出部603aとなっている。これは、遊技領域や各種制御基板等の設置スペースをより広く確保するために、施錠装置600全体の横幅を極力狭くしつつ、シリンダ錠700の配設位置においては、その設置スペースを確保するためである。
ここで、先ず前面枠セット14の施錠機構及び裏パックユニット203の施錠機構に係る部分について説明する。基枠601の内側には、前記両施錠機構の主要構成部となる第1摺動杆605が上下方向に摺動可能なように配設されている。
第1摺動杆605は、取付板602に略当接状態で摺動する取付側壁部606と、支持板603に略当接状態で摺動する支持側壁部607とからなる横断面L字状の本体部608を備えている。第1摺動杆605(本体部608)が本実施形態における第1の摺動部材を構成する。
取付側壁部606は、シリンダ錠700の取付けの妨げにならないように、シリンダ錠700の配置位置に対応する所定の上下区間(上記取付板602の幅広部602aに対応する所定の上下区間)が切り欠かれた状態となっている。
これに合わせて、支持板603の膨出部603aに対応する支持側壁部607の所定の上下区間には、内枠12内方側へ膨出した膨出部607aが形成されている。但し、支持側壁部607の膨出部607aの形成区間は、支持板603の膨出部603aの形成区間よりも短く設定されており、第1摺動杆605の摺動の妨げとならないようになっている。
さて、第1摺動杆605には、その上部、中部及び下部の3箇所に、前面枠セット14施錠用の前面枠セット鉤部610,611,612が設けられている。前面枠セット鉤部610,611,612が本実施形態における前扉体用鉤部(前扉体用係合部)に相当する。
前面枠セット鉤部610,611,612は、取付側壁部606の内枠12外方側の端縁部から前方に向け延出した軸部610a,611a,612aと、当該軸部610a,611a,612aの前端側において前方へ先細りするように設けられた略三角形状の頭部610b,611b,612bとから構成されている。
頭部610b,611b,612bの上端部は、軸部610a,611a,612aより上方に突出しており、当該突出部分が本実施形態における爪部(係止部)として機能する。従って、前面枠セット鉤部610,611,612は、自身の上側において後述する前面枠セット14の受け金具17に係止されることとなる。本実施形態における頭部610b,611b,612b(爪部)の突出長T1は、約5.0mmに設定されている。
また、各頭部610b,611b,612bの上辺部は、先端部に向けて下方に傾斜した傾斜案内部(図19:頭部610bの傾斜案内部610d参照)となっている。
一方、取付側壁部606には、各前面枠セット鉤部610,611,612よりもやや上方位置において、上下方向に長い長円状のガイド孔613,614,615が形成されている。これらガイド孔613,614,615を介して、基枠601内側から取付板602に対しガイドピン616,617,618が固定されている。
さらに、第1摺動杆605には、支持側壁部607の後端縁部の上下2箇所において、裏パックユニット203施錠用の裏パック鉤部621,622が設けられている。裏パック鉤部621,622が本実施形態における後扉体用鉤部(後扉体用係合部)に相当する。
両裏パック鉤部621,622のうち上側の裏パック鉤部621は、上部の前面枠セット鉤部610と中部の前面枠セット鉤部611の間の高さ位置に設けられている。一方、下側の裏パック鉤部622は、中部の前面枠セット鉤部611と下部の前面枠セット鉤部612との間の高さ位置で、支持側壁部607の膨出部607a(シリンダ錠700の配置位置)よりやや上方位置に設けられている。
各裏パック鉤部621,622についてより詳しく説明すると、裏パック鉤部621,622は、支持側壁部607の後端縁部から後方へ延出した基部621a,622aと、当該基部621a,622aからさらに後方へ延出した軸部621b,622bと、当該軸部621b,622bの後端側において後方へ先細りするように設けられた略三角形状の頭部621c,622cとから構成されている。
頭部621c,622cの上端部は、軸部621b,622bより上方に突出しており、当該突出部分が本実施形態における爪部(係止部)として機能する。従って、裏パック鉤部621,622は、自身の上側において後述する裏パックユニット203の受け金具204に係止されることとなる。本実施形態における頭部621c,622c(爪部)の突出長T2は約10.0mmに設定されている。
また、頭部621c,622cの上辺部は、先端部に向けて下方に傾斜した傾斜案内部(図19:頭部621cの傾斜案内部621d参照)となっている。
裏パック鉤部621,622に対応して、支持板603の後端縁部には、後方へ延出した延出部625,626が形成されている。延出部625,626は、裏パック鉤部621,622の基部621a,622aの摺動範囲ほぼ全域において、当該基部621a,622aと重畳するように形成されており、基部621a,622aと常時略当接状態で当該基部621a,622aを支持している。なお、上側の裏パック鉤部621の基部621a及び支持板603の延出部625は、下側の裏パック鉤部622の基部622a及び支持板603の延出部626に比べて、上下方向の形成区間がより長めに設定されており、その下端部は、裏パック鉤部621の軸部621b及び頭部621cの高さ位置より、かなり下方に位置している。これは、後述するように、上側の裏パック鉤部621の基部621aの下部にコイルばねC1を掛けるためである。
また、延出部625,626には、各裏パック鉤部621,622より上方位置において、第1摺動杆605の後方への動きを規制する規制突起629,630が設けられている。規制突起629,630は、第1摺動杆605の取付状態の安定性を高める機能とともに、第1摺動杆605の摺動動作の安定性を高めるガイド部としての機能を備えている。従って、第1摺動杆605は、取付板602や規制突起629,630により前後方向への動きを規制され、かつ、上記ガイドピン616,617,618や後述する第2摺動杆635により左右方向への動きを規制されつつ、上下方向へ摺動できるようになっている。
さて、取付板602には、前面枠セット鉤部610,611,612に対応して、上下方向3箇所に矩形状の挿入孔631,632,633が形成されている。また、これら挿入孔631,632,633に対応する内枠12の部位には、連通孔97,98,99が形成されている(図6参照)。そして、これら挿入孔631,632,633及び連通孔97,98,99を介して、前面枠セット鉤部610,611,612が内枠12の前面側に突出している。これに対し、前面枠セット14には、その背面側左側辺部(図4参照)に沿って前扉体被係合部としての長尺状の受け金具17が取付けられている。受け金具17には、前面枠セット鉤部610,611,612に対応して、上下方向3箇所に矩形状の係止孔17a,17b,17cが設けられている。
上記構成により、前面枠セット14の施錠状態においては、前面枠セット鉤部610,611,612が前面枠セット14の受け金具17の係止孔17a,17b,17cを介して、受け金具17の前面側にて係止され、前面枠セット14の開放が規制される。
一方、裏パックユニット203には、その前面側右側辺(図4参照)に沿って、後扉体被係合部としての長尺状の受け金具204が取付けられている。受け金具204には、裏パック鉤部621,622に対応して、上下2箇所に矩形状の係止孔204a,204bが形成されている。
上記構成により、裏パックユニット203の施錠状態においては、裏パック鉤部621,622が、裏パックユニット203の受け金具204の係止孔204a,204bを介して、受け金具204の背面側にて係止され、裏パックユニット203の開放が規制される。
なお、第1摺動杆605の摺動範囲のうち、ガイド孔613,614,615の下縁部がガイドピン616,617,618に当接している位置が、前面枠セット鉤部610,611,612及び裏パック鉤部621,622がそれぞれ対応する被係合部(受け金具17及び受け金具204)に係止される位置となる〔図20(a)参照〕。つまり、この位置が第1摺動杆605の基準位置であり、前面枠セット鉤部610,611,612及び裏パック鉤部621,622の施錠位置に相当する。
これに対し、第1摺動杆605が下方へ摺動し、ガイド孔613,614,615の略中央部がガイドピン616,617,618に達したところで、前面枠セット鉤部610,611,612が受け金具17から離脱する〔図20(b)参照〕。つまり、この位置が前面枠セット14の開放を許容する前面枠セット鉤部610,611,612の解錠許容位置に相当する。さらに、第1摺動杆605が下方へ摺動し、ガイド孔613,614,615の上縁部がガイドピン616,617,618に当接したところで、裏パック鉤部621,622が受け金具204から離脱する〔図20(c)参照〕。つまり、この位置が裏パックユニット203の開放を許容する裏パック鉤部621,622の解錠許容位置に相当する。
次に、内枠12の施錠機構に係る部分について説明する。基枠601の内側には、前記施錠機構の主要構成部となる第2摺動杆635が上下方向に摺動可能なように配設されている。
第2摺動杆635は、第1摺動杆605の支持側壁部607に重畳するように配設された長尺状の本体部636と、内枠12施錠用の上下一対の内枠鉤部637,638とを備えている。第2摺動杆635(本体部636)が本実施形態における第2の摺動部材を構成し、内枠鉤部637,638が本体用鉤部(本体用係合部)を構成する。
支持板603の膨出部603a(支持側壁部607の膨出部607a)に対応する本体部636の所定の上下区間には、同様に内枠12内方側へ膨出した膨出部636aが形成されている。但し、本体部636の膨出部636aの形成区間は、支持側壁部607の膨出部607aの形成区間よりも短く設定されており、第2摺動杆635の摺動の妨げとならないようになっている。
両内枠鉤部637,638のうち上側の内枠鉤部637は、上側の前面枠セット鉤部610のやや下方位置でかつ上側の裏パック鉤部621より上方位置に設けられている。一方、下側の内枠鉤部638は、下側の前面枠セット鉤部612のやや下方位置でかつ本体部636の下端部において設けられている。
内枠鉤部637,638は、本体部636の後端縁部より後方へ延出した基部637a,638aと、当該基部637a,638aの後端側において後方へ先細りするように設けられた略三角形状の頭部637b,638bとから構成されている。
頭部637b,638bの下端部は、基部637a,638aより下方に突出しており、当該突出部分が本実施形態における爪部(係止部)として機能する。従って、内枠鉤部637,638は、自身の下側において上記外枠11の受け金具83,84に係止されることとなる。本実施形態における頭部637b,638b(爪部)の突出長T3は約7.0mmに設定されている。
また、頭部637b,638bの下辺部は、先端部に向けて上方に傾斜した傾斜案内部(図19:頭部637bの傾斜案内部637d参照)となっている。
内枠鉤部637,638に対応して、支持板603の後端縁部には、後方へ延出した延出部641,642が形成されている。延出部641,642は、内枠鉤部637,638の基部637a,638aの摺動範囲ほぼ全域において、当該基部637a,638aと重畳するように形成されており、基部637a,638aと常時略当接状態で当該基部637a,638aを支持している。なお、延出部641,642は、内枠鉤部637,638の基部637a,638aと略当接状態となるように、上記第1摺動杆605の厚み分を考慮し、その付根部において支持板603と段差をもって形成されている。
内枠鉤部637,638の基部637a,638aには、上下方向に長い長円状のガイド孔643,644が形成されている。これらガイド孔643,644を介して、基枠601内側(内枠12外方側)から延出部641,642に対しガイドピン645,646が固定されている。
また、第1摺動杆605の取付側壁部606には、上下方向3箇所において、第2摺動杆635の内枠12外方側への動きを規制する規制突起647,648,649が設けられている。規制突起647,648,649は、第2摺動杆635は取付状態の安定性を高める機能とともに、第2摺動杆635の摺動動作の安定性を高めるガイド部としての機能を備えている。従って、第2摺動杆635は、第1摺動杆605の支持側壁部607や規制突起647,648,649により左右方向への動きを規制され、かつ、第1摺動杆605の取付側壁部606や支持板603の後端縁部に設けられたフランジ部651,652により前後方向への動きを規制されつつ、上下方向へ摺動できるようになっている。
なお、第2摺動杆635の摺動範囲のうち、ガイド孔643,644の上縁部がガイドピン645,646に当接している位置が、内枠鉤部637,638が受け金具83,84に係止される位置となる。つまり、この位置が第2摺動杆635の基準位置であり、内枠鉤部637,638の施錠位置に相当する。
これに対し、第2摺動杆635が上方へ摺動し、ガイド孔643,644の下縁部がガイドピン645,646に当接したところで、内枠鉤部637,638が受け金具83,84から離脱する。つまり、この位置が、内枠12の開放を許容する内枠鉤部637,638の解錠許容位置に相当する。
上記構成により、内枠12の施錠状態においては、外枠11の内側に固定された受け金具83,84に対して内枠鉤部637,638が係止され、内枠12の開放が規制される。
さて、第1摺動杆605及び第2摺動杆635は、付勢手段としてのコイルばねC1により、それぞれ上方又は下方へ付勢されている。より詳しくは、第2摺動杆635における本体部636の後端縁部には、第1摺動杆605における上側の裏パック鉤部621の基部621a及び支持板603の延出部625の形成位置に対応して、後方に向け延出した延出部650が形成されている。そして、この延出部650に設けられたフック部653にコイルばねC1の一端が掛けられるとともに、他端が第1摺動杆605(裏パック鉤部621の基部621a)に設けられたフック部654に掛けられている。
上記コイルばねC1の引張力によって、通常時には、第1摺動杆605は、ガイド孔613,614,615の下縁部がガイドピン616,617,618に付勢される位置、つまり基準位置において下方への動作が抑えられた状態で保持されている。一方、第2摺動杆635は、ガイド孔643,644の上縁部がガイドピン645,646に付勢される位置、つまり基準位置において上方への動作が抑えられた状態で保持されている。そして、後述するシリンダ錠700が操作された場合には、コイルばねC1の引張力に抗して、第1摺動杆605が下方へ、又は第2摺動杆635が上方へ摺動変位する。
さて、取付板602の幅広部602aには、錠部材としてのシリンダ錠700が取付けられている。図16に示すように、シリンダ錠700は、略筒状をなすシリンダ本体701と、シリンダ本体701内部に設けられ、内部に鍵穴702を有してなる錠軸703と、シリンダ本体701の外周に設けられた外筒704とを備えている。
シリンダ錠700は、取付板602の取付孔602bに対しシリンダ本体701を挿通した状態で、フランジ部705を取付板602の背面側にネジ止めすることにより固定されている。
シリンダ本体701には、該シリンダ本体701の内外を連通する上下8つずつ、合計16個の透孔706が形成されている。これに対応して、錠軸703にも、各透孔706と連通する16個の透孔708が形成されている。かかる透孔708の鍵穴702側は、後述するピン714等の収容部材が鍵穴702内に脱落しないように他の部位よりも小径に形成されている。
各透孔706内には、それぞれバネ709が収容されている。バネ709の一端は前記外筒704に当接し、他端には台座711が連結されている。また、各透孔708内には、前記台座711に支持されるようにして、複数のスペーサ712,713及びピン714が収容されている。そして、これらピン714、スペーサ712,713、台座711は、バネ709の伸縮によって各透孔706,708内を上下動可能となっている。このうち、ピン714は、前記透孔708の鍵穴702側の小径部を介して鍵穴702内に出没可能となっている。
上記構成により、鍵穴702内への鍵Kの挿入時には、当該鍵Kの上下両側の凹凸形状に沿って各ピン714等が上下動する。そして、鍵Kの挿入完了状態にあっては、図17に示すように各ピン714がそれぞれ鍵Kの溝に入り込んだ状態となり、ピン714の基端面、又は、スペーサ712若しくは713の一方の端面と、錠軸703の外周面とが面一になる。これにより、鍵Kの挿入完了状態にあっては、鍵Kの回動操作に伴って錠軸703が回動可能となる。つまり、このシリンダ錠700は、少なくとも鍵穴702に鍵Kを挿し込まない限り錠軸703を回動させることができない内部構造となっている。
また、錠軸703の後端部には、鍵穴702に挿入された鍵Kの回動動作を第1摺動杆605又は第2摺動杆635に伝達する係合部材としてのカム板720が固定されている。
カム板720は、図18に示すように上下一対の上係合爪720a及び下係合爪720bを備えている。これらの係合爪720a,720bは、カム板720の回動方向に所定間隔を置いて形成されている。
これに合わせて、第1摺動杆605の膨出部607aには、係合爪720a,720bが係合可能な上下一対の上係合孔725及び下係合孔726が形成されている。同様に、第2摺動杆635の膨出部636aには、係合爪720a,720bが係合可能な上下一対の上係合孔727及び下係合孔728が形成されている。また、支持板603には、係合爪720a,720bの動作を妨げないように透孔730が形成されている。
第1摺動杆605の係合孔725,726及び第2摺動杆635の係合孔727,728は、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の重畳状態にあっては、少なくとも上係合孔725,727同士、及び、下係合孔726,728同士が連通状態となっている(図18参照)。
また、第1摺動杆605側では、両係合孔725,726のうち上係合孔725よりも下係合孔726の方が、上下方向の形成区間が長めに設定されている。これに対し、第2摺動杆635側では、両係合孔727,728のうち下係合孔728よりも上係合孔727の方が、上下方向の形成区間が長めに設定されている。これは、後述するように第1摺動杆605又は第2摺動杆635の一方をカム板720が摺動させる際に、他方に上係合爪720a又は下係合爪720bを接触させないようにして、他方を摺動させないようにするためである。
上記構成のもと、図18(a)に示すように、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kが挿し込まれていない状態で、錠軸703及びカム板720が基準位置にある場合には、上係合爪720aの先端が、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の上係合孔725,727に挿通状態となるとともに、下係合爪720bの先端が、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の下係合孔726,728に挿通状態となる。また、上述したように、本実施形態のシリンダ錠700は、鍵穴702に鍵Kの挿入がない場合には錠軸703及びカム板720を回動させることができない状態(ロック状態)となるため、カム板720が基準位置にある場合には、係合爪720a,720bにより第1摺動杆605及び第2摺動杆635の摺動が規制されることとなる。例えば、仮に鍵Kを用いずに、基準位置にある第1摺動杆605に対し線材等を不正に引っ掛けて、当該第1摺動杆605に対し解錠方向への外力がかけられた場合には、係合爪720a,720bが第1摺動杆605の係合孔725,726の縁部に引っ掛かり、第1摺動杆605の解錠方向への摺動変位が、係合孔725等の遊び長を除き実質的に規制される。
次に、施錠装置600の作用について詳しく説明する。先ず前面枠セット14の施錠及び解錠について詳しく説明する。前面枠セット14の施錠状態においては、図20(a)に示すように、第1摺動杆605が基準位置をとることにより、前面枠セット鉤部610,611,612が前面枠セット14の受け金具17の係止孔17a,17b,17cを介して、受け金具17の前面側にて係止され、前面枠セット14の開放が規制されている。図20は第1摺動杆605の動きを説明するための図である。
そして、前面枠セット14を解錠する際には、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kを挿入し、パチンコ機10の正面側(図1参照)から見て反時計回り方向に回動させる。この操作が本実施形態における鍵Kによる第1の方向への操作に相当する。これにより、カム板720が同方向に回動して、上係合爪720aが第1摺動杆605の上係合孔725の下縁部に接触する〔図18(b)参照〕。但し、図18(b)は、パチンコ機10の背面側から見た図であるため、カム板720の回動方向は時計回り方向となっている。
その後、さらにカム板720を回動させていくに従って、上係合爪720aがコイルばねC1の引張力に抗して第1摺動杆605を下方へ押し下げていく。同時に、下係合爪720bは第1摺動杆605及び第2摺動杆635に作用を及ぼすことなく、両下係合孔726,728から離脱する。この際、上係合爪720aが挿通された第2摺動杆635の上係合孔727の下部には、上係合爪720aが下方へ変位するスペースが確保されているため、第1摺動杆605を押し下げていく過程において、上係合爪720aが第2摺動杆635に当接せず、その動作が妨げられないようになっている。
第1摺動杆605が下方へ摺動すると、鍵Kを反時計回り方向に約45度回動させたところで、図20(b)に示すように、すべての前面枠セット鉤部610,611,612と、受け金具17との係合が解除され、前面枠セット14の開放が許容される。つまり、鍵Kを反時計回り方向に約45度回動させた分の第1摺動杆605の変位量X1が、前面枠セット鉤部610,611,612が施錠位置から解錠許容位置に達するまでに要する変位量、すなわち前面枠セット14の解錠に要する前面枠セット鉤部610,611,612の変位量に相当する。
なお、この段階では、後述するように裏パック鉤部621,622が解錠許容位置に達していないため、裏パックユニット203は開放不能である。
また、前面枠セット14が開放された時点で、鍵Kを操作する手の力を緩めると、コイルばねC1の引張力により、第1摺動杆605は上方へ引き上げられ、基準位置に復帰する。これに伴い、カム板720及び錠軸703も基準位置に復帰する。
次に内枠12の施錠及び解錠について詳しく説明する。内枠12の施錠状態においては、第2摺動杆635が基準位置をとることにより、内枠鉤部637,638が外枠11の受け金具83,84に係止され、内枠12の開放が規制されている。
そして、内枠12を解錠する際には、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kを挿入し、パチンコ機10の正面側から見て時計回り方向に回動させる。この操作が本実施形態における鍵Kによる第2の方向への操作に相当する。これにより、カム板720が同方向に回動して、下係合爪720bが第2摺動杆635の下係合孔728の上縁部に接触する〔図18(c)参照〕。但し、図18(c)は、パチンコ機10の背面側から見た図であるため、カム板720の回動方向は反時計回り方向となっている。
その後、さらにカム板720を回動させていくに従って、下係合爪720bがコイルばねC1の引張力に抗して第2摺動杆635を上方へ押し上げていく。同時に、上係合爪720aは第1摺動杆605及び第2摺動杆635に作用を及ぼすことなく、両上係合孔725,727から離脱する。この際、下係合爪720bが挿通された第1摺動杆605の下係合孔726の上部には、下係合爪720bが上方へ変位するスペースが確保されているため、第2摺動杆635を押し上げていく過程において、下係合爪720bが第1摺動杆605に当接せず、その動作が妨げられないようになっている。
第2摺動杆635が上方へ摺動すると、鍵Kを時計回り方向に約90度回動させたところで、内枠鉤部637,638と、受け金具83,84との係合が解除され、内枠12の開放が許容される。つまり、鍵Kを時計回り方向に約90度回動させた分の第2摺動杆635の変位量が、内枠鉤部637,638が施錠位置から解錠許容位置に達するまでに要する変位量、すなわち内枠12の解錠に要する内枠鉤部637,638の変位量に相当する。
また、内枠12が開放された時点で、鍵Kを操作する手の力を緩めると、コイルばねC1の引張力により、第2摺動杆635は下方へ引き上げられ、基準位置に復帰する。これに伴い、カム板720及び錠軸703も基準位置に復帰する。
次に裏パックユニット203の施錠及び解錠について詳しく説明する。裏パックユニット203の施錠状態においては、前面枠セット14の場合と同様に、第1摺動杆605が基準位置をとることにより、裏パック鉤部621,622が裏パックユニット203の受け金具204の係止孔204a,204bを介して、受け金具204の背面側にて係止され、裏パックユニット203の開放が規制されている。
そして、裏パックユニット203を解錠する際には、内枠12を開放させた後、前面枠セット14の場合と同様にシリンダ錠700の鍵穴702に挿入した鍵Kをパチンコ機10の正面側から見て反時計回り方向に回動させる。これにより、カム板720が同方向に回動して、上係合爪720aが第1摺動杆605の上係合孔725の下縁部に接触する。その後、さらにカム板720を回動させていくに従って、上係合爪720aがコイルばねC1の引張力に抗して第1摺動杆605を下方へ押し下げていく。
第1摺動杆605が下方へ摺動すると、鍵Kを反時計回り方向に約90度回動させたところで、図20(c)に示すように、すべての裏パック鉤部621,622と、受け金具204との係合が解除され、裏パックユニット203の開放が許容される。つまり、鍵Kを反時計回り方向に約90度回動させた分の第1摺動杆605の変位量X2が、裏パック鉤部621,622が施錠位置から解錠許容位置に達するまでに要する変位量、すなわち裏パックユニット203の解錠に要する裏パック鉤部621,622の変位量に相当する。
上述したように、本実施形態では、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kが挿入されていない場合には、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の摺動が規制されるため、開状態にある内枠12、前面枠セット14又は裏パックユニット203を施錠する際には、鍵Kを用いなければ施錠を行うことができない。このため、例えば鍵Kを用いずに開状態にある内枠12を閉じた場合には、内枠鉤部637,638の頭部637b,638bの傾斜案内部が受け金具83,84とぶつかって第2摺動杆635に上方向への外力が加わっても、第2摺動杆635は上方へ摺動せず、内枠12を閉状態とすることはできない。従って、開状態にある内枠12を施錠する際には、鍵Kを用いてシリンダ錠700を操作し、受け金具83,84によって妨げられない位置、すなわち内枠鉤部637,638の解錠位置まで第2摺動杆635を摺動変位させた状態で、内枠12を閉じていき、頭部637b,638bが受け金具83,84を越えて内枠12が完全に閉じた状態とした上で、第2摺動杆635を係止位置へ戻すといった方法がとられる。この他、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kを挿入した状態のまま、当該鍵Kを操作することなく、内枠12を閉じていく方法も可能である。この場合、内枠12を閉じていき、内枠鉤部637,638の頭部637b,638bの傾斜案内部が受け金具83,84にぶつかると、この傾斜案内部と受け金具83,84とが摺接しつつ、第2摺動杆635に上方向への外力が加わり、第2摺動杆635がコイルばねC1の引張力に抗して上方へ摺動する。そして、内枠鉤部637,638の頭部637b,638bが受け金具83,84を乗り越えると、第2摺動杆635がコイルばねC1の引張力により元の位置に戻る。これにより、内枠鉤部637,638が受け金具83,84に係止される。もちろん、前面枠セット14や裏パックユニット203の施錠に関しても同様の施錠方法で行われる。
以上詳述したように、本実施形態では、内枠12の施錠機構、前面枠セット14の施錠機構、及び裏パックユニット203の施錠機構を1つの施錠装置600に一体化しているため、部品点数の増加を抑制するとともに、メンテナンス時等における作業性の向上などの利便性の向上を図ることができる。
また、内枠鉤部637,638等の各鉤部が第1摺動杆605及び第2摺動杆635に一体形成されるとともに、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kが挿入されていない状態では、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の摺動が規制される構成となっている。このため、例えば、鍵Kを用いずに線材等によって第1摺動杆605又は第2摺動杆635に対し直接の解錠操作、すなわち不正な解錠操作が行われた場合でも、第1摺動杆605又は第2摺動杆635は基準位置に維持されるため、内枠12等の開放は許容されない。結果として、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能の向上が図られる。
さらに、内枠12の背面側において主制御装置261等の制御機器を覆うように裏パックユニット203が配置されるとともに、当該裏パックユニット203が内枠12に対し施錠される構成となっている。このため、上記裏パックユニット203により主制御装置261等の制御機器に対する不正行為を行うことは困難となる。
加えて、本実施形態では、鍵Kによる同一方向への操作により施錠作業や解錠作業を行うことのできる前面枠セット14と裏パックユニット203に関し、前面枠セット14の解錠に要する第1摺動杆605(前面枠セット鉤部610,611,612)の変位量と、裏パックユニット203の解錠に要する第1摺動杆605(裏パック鉤部621,622)の変位量とを異ならせている。従って、より大きな変位量を要する裏パック鉤部621,622により施錠される裏パックユニット203が開放不能な状態のまま、変位量の小さい前面枠セット鉤部610,611,612により施錠される前面枠セット14を開放可能な状態とすることができる。これにより、例えば遊技盤30上のメンテナンス終了後など、開放状態にある前面枠セット14を、鍵Kを操作することなく閉鎖する際に、一旦、前面枠セット14に対応する前面枠セット鉤部610,611,612が解錠許容位置に変位したとしても、裏パックユニット203に対応する裏パック鉤部621,622は解錠許容位置に達しないため、この間、裏パックユニット203は規制解除されず開放可能とならない。そのため、仮に前面枠セット14を閉鎖する勢いが強かったとしても、閉鎖状態にある内枠12の背面側において裏パックユニット203が開放されてしまうおそれもない。結果として、前面枠セット14の施錠作業や解錠作業を行う際に、裏パックユニット203へ与える影響を低減させ、上記課題で述べたような不具合の発生を抑制することができる。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)施錠装置600の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、前面枠セット14の施錠機構に関し、施錠装置600側に爪部を有する前面枠セット鉤部610,611,612が設けられ、前面枠セット14側に、これらと係合する被係合部としての受け金具17が設けられている。これに限らず、例えば図21(a)に示すように、前面枠セット14側に、爪部を有する鉤部(被係合部)900を設け、施錠装置600側に、鉤部900と係合する前面枠セット係合部901が設けられた構成としてもよい。この場合、解錠の際には、施錠装置600側の係合部901(第1摺動杆605)が動作することにより、両者の係合状態が外れることとなる。
もちろん、内枠12や裏パックユニット203の施錠機構に関しても同様の構成とすることができる。例えば図21(b)に示すように、裏パックユニット203側に、爪部を有する鉤部(被係合部)903を設け、施錠装置600側に、鉤部903と係合する裏パック係合部904が設けられた構成としてもよい。
(b)上記実施形態では、鍵Kによる同一方向への操作により前面枠セット14と裏パックユニット203の施錠作業や解錠作業を行うことができる構成となっている。これに限らず、鍵Kによる同一方向への操作により内枠12と裏パックユニット203の施錠作業や解錠作業を行うことができる構成としてもよい。例えば図21(c)に示すように、第2摺動杆635に内枠鉤部637等とともに裏パック鉤部905等が設けられた構成としてもよい。
また、例えば鍵Kを反時計回り方向に回動操作することで内枠12や前面枠セット14が解錠され、時計回りに回動操作することで裏パックユニット203が解錠される構成といったように、内枠12及び前面枠セット14の施錠・解錠作業を行うための機構と、裏パックユニット203の施錠・解錠作業を行うための機構とが連動しない構成としてもよい。
例えば前面枠セット14用の前面枠セット鉤部610,611,612とともに、内枠12用の内枠鉤部637,638が第1摺動杆605に連動して動くように設けられることで、同一方向への鍵Kの操作により、前面枠セット鉤部610,611,612が受け金具17から離脱するとともに、内枠鉤部637,638が受け金具83,84から離脱する構成とすることができる。
このようにすれば、内枠12又は前面枠セット14の施錠・解錠作業を、裏パックユニット203の施錠・解錠作業とは連動せずに行うことができるため、内枠12や前面枠セット14の施錠・解錠作業を行う際に、裏パックユニット203が開放されてしまう等といった不具合が発生しない。
この場合、さらに前面枠セット14の解錠に要する第1摺動杆605(前面枠セット鉤部610,611,612)の変位量が、内枠12の解錠に要する第1摺動杆605(内枠鉤部637,638)の変位量より小さくなるように設定すれば、当該内枠鉤部637,638により施錠される内枠12が開放不能な状態のまま、前面枠セット鉤部610,611,612により施錠される前面枠セット14を開放可能な状態とすることができる。
例えば、鍵Kを反時計回り方向に約45度回動させたところで、すべての前面枠セット鉤部610,611,612と、受け金具17との係合が解除され、前面枠セット14の開放が許容される。この段階では、内枠鉤部637,638が解錠許容位置に達していないため、内枠12は開放不能である。そして、さらに鍵Kを反時計回り方向に回動させ、その操作量が約90度に達したところで、内枠鉤部637,638と、受け金具83,84との係合が解除され、内枠12の開放が許容される。
このような構成とすることで、例えば遊技盤30上のメンテナンス終了後など、開放状態にある前面枠セット14を、鍵Kを操作することなく閉鎖する際に、一旦、前面枠セット14に対応する前面枠セット鉤部610,611,612が解錠許容位置に変位したとしても、内枠12に対応する内枠鉤部637,638は解錠許容位置に達しないため、この間、内枠12は規制解除されず開放可能とならない。そのため、仮に前面枠セット14を閉鎖する勢いが強かったとしても、閉鎖状態にある内枠12が開放されてしまうおそれもない。
また、これに代えて、前面枠セット14の解錠に要する第1摺動杆605(前面枠セット鉤部610,611,612)の変位量が、内枠12の解錠に要する第1摺動杆605(内枠鉤部637,638)の変位量より大きくなるよう設定した場合でも、同様に、裏パックユニット203へ与える影響は低減される。
(c)上記実施形態では、裏パックユニット203の解錠に要する第1摺動杆605(裏パック鉤部621,622)の変位量X2が、前面枠セット14の解錠に要する第1摺動杆605(前面枠セット鉤部610,611,612)の変位量X1より大きく設定されている。これに限らず、裏パックユニット203の解錠に要する第1摺動杆605の変位量X2が、前面枠セット14の解錠に要する第1摺動杆605の変位量X1より小さく設定された構成としてもよい。
同様に、仮に第2摺動杆635に内枠鉤部637,638とともに裏パック鉤部621,622が設けられた構成においては、裏パックユニット203の解錠に要する第2摺動杆635(裏パック鉤部621,622)の変位量が、内枠12の解錠に要する第2摺動杆635(内枠鉤部637,638)の変位量より大きく設定されてもよいし、小さく設定されてもよい。
裏パックユニット203の解錠に要する裏パック鉤部621,622の変位量が小さく設定されている場合、裏パックユニット203の施錠作業や解錠作業を行う際に、内枠12又は前面枠セット14が開放されてしまうような不具合の発生を抑制することができる。逆に、裏パックユニット203の解錠に要する裏パック鉤部621,622の変位量が大きく設定されている場合、上記実施形態で述べたように、内枠12又は前面枠セット14の施錠作業や解錠作業を行う際に、裏パックユニット203が開放されてしまうような不具合の発生を抑制することができる。特に、裏パックユニット203は内枠12の背面側にあるため、気付かぬうちに開放してしまうおそれがあり、このように裏パックユニット203が開放されてしまった場合には、一旦、内枠12を開放した上で裏パックユニット203を閉鎖するといった非常に手間のかかる作業を要する。従って、このような不具合を解消する点においては、裏パックユニット203の解錠に要する裏パック鉤部621,622の変位量が大きく設定されている構成の方がより好ましい。
(d)上記実施形態では、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kを挿入し、時計回り方向に回動操作することで内枠12が解錠され、反時計回りに回動操作することで前面枠セット14や裏パックユニット203が解錠される構成となっている。これに限らず、鍵Kによる操作方向、すなわち第1摺動杆605や第2摺動杆635の摺動方向が逆であってもよい。上記実施形態では、例えば第2摺動杆635が上方へ摺動することにより、内枠鉤部637,638が受け金具83,84から離脱する構成となっているが、第2摺動杆635が下方へ摺動することにより、内枠鉤部637,638が受け金具83,84から離脱する構成を採用してもよい。
(e)前面枠セット鉤部610等の各鉤部の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、前面枠セット鉤部610等の各鉤部が第1摺動杆605や第2摺動杆635に一体形成されているが、これに限らず、前面枠セット鉤部610等を構成する鉤部材がネジ等の固定手段により第1摺動杆605や第2摺動杆635に対し相対変位不能に固定された構成としてもよい。
また、上記実施形態では、先端に向け先細りした略三角形状の頭部を有した鉤部を採用しているが、これに限らず、例えば上記傾斜案内部を省略し、頭部の先端が上下方向に沿って略直線状に形成された鉤部を採用してもよい。上記実施形態では、シリンダ錠700への鍵Kの非挿入状態において、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の摺動変位がカム板720により規制される構成を採用しているため、仮に鍵Kを用いずに開状態にある内枠12等を無理に閉じてしまうと、第1摺動杆605や第2摺動杆635に解錠方向への力がかかり、カム板720が破損してしまうおそれがある。これに対し、前記構成を採用すれば、仮に鍵Kを用いずに開状態にある内枠12等を閉じた際に、内枠鉤部637,638等の鉤部の頭部先端が受け金具83,84等の被係合部に接触した場合でも、第1摺動杆605や第2摺動杆635には解錠方向への力がかからないため、上記不具合は生じない。
また、内枠鉤部637,638等の各鉤部、及びこれに対応する受け金具83,84等の各被係合部の数は、上記実施形態の数に限定されるものではなく、例えば1つであってもよい。
(f)上記実施形態では、内枠鉤部637,638等の各鉤部が第1摺動杆605や第2摺動杆635に一体形成されるとともに、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kが挿入されていない状態では、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の摺動が規制される構成となっている。これに限らず、内枠鉤部637,638等の各鉤部が第1摺動杆605や第2摺動杆635に相対変位可能に設けられ、各鉤部材がそれぞれ独立して摺動変位可能な構成としてもよい。このようにすれば、仮に鍵Kを操作せずに前面枠セット14を閉鎖する際などに前面枠セット鉤部610等が変位した場合でも、裏パック鉤部621等が変位しないような構成とできるため、前面枠セット14の施錠作業を行う際に、裏パックユニット203が解錠してしまうおそれもなくなる。もちろん、解錠の際には、上記実施形態のように両者に変位量の差を設けることにより上記不具合を抑制することができる。さらに、このような構成とすれば、1つの摺動杆で内枠鉤部637等や前面枠セット鉤部610等すべての鉤部を変位させることが可能となるため、部品点数の削減を図ることができる。但し、不正解錠に対する防御性能を高める点においては、上記実施形態のように各鉤部が第1摺動杆605や第2摺動杆635に相対変位不能に設けられた構成とすることが好ましい。
(g)上記実施形態では、前面枠セット鉤部610,611,612の爪部の突出長T1と、裏パック鉤部621,622の爪部の突出長T2とを異ならせることにより、前面枠セット14の解錠に要する第1摺動杆605の変位量X1と、裏パックユニット203の解錠に要する第1摺動杆605の変位量X2とを異ならせている。これに限らず、例えば、各鉤部及びこれに係合する各被係合部の配置関係により、両者の係り具合を変えることで、前面枠セット14の解錠に要する変位量X1と、裏パックユニット203の解錠に要する変位量X2とを異ならせた構成としてもよい。この場合、仮に前面枠セット鉤部610等の爪部の突出長T1と、裏パック鉤部621等の爪部の突出長T2とが同じ場合でも、解錠に要する両変位量X1,X2を異ならせることができる。
(h)上記実施形態では、裏パック鉤部621等の爪部の突出長T2が、前面枠セット鉤部610等の爪部の突出長T1の約2倍に設定されている。つまり、裏パックユニット203の解錠に要する第1摺動杆605の変位量X2が、前面枠セット14の解錠に要する第1摺動杆605の変位量X1の約2倍に設定されている。しかし、両者の差はこれに限定されるものではなく、それ以上でも良いし、それ以下でもよい。但し、両者の差があまりにも小さいと、本発明の作用効果が十分に発揮されないおそれがあるため好ましくない。
(i)上記実施形態では、内枠12の背面側に1つの裏パックユニット203が後扉体として開閉可能に設けられているが、これに限らず、内枠12の背面側において複数の後扉体を備え、施錠装置600がこれら後扉体それぞれに対応した複数の後扉体用係合部(鉤部)を備えた構成としてもよい。複数の後扉体を備えることにより、各種制御装置や各種機構を各種機能毎に区別して複数箇所に分けて配設することができるため、メンテナンス時における作業性の向上等を図ることができる。
(j)上記実施形態では、付勢手段としてのコイルばねC1により、第1摺動杆605及び第2摺動杆635がそれぞれ上方又は下方へ付勢されている。これに限らず、第1摺動杆605及び第2摺動杆635それぞれに対応して付勢手段を複数備えた構成としてもよい。また、内枠鉤部637,638等の各鉤部が第1摺動杆605や第2摺動杆635に対し相対変位可能に構成されている場合などにおいては、各鉤部材に対応して付勢手段を設けた構成としてもよい。
(k)シリンダ錠700と異なるシリンダ錠を採用してもよい。例えば、上記実施形態のシリンダ錠700は、鍵Kの挿入がない場合にはロック状態となり、カム板720が変位不能となる。そして、第1摺動杆605や第2摺動杆635が基準位置にある場合には、上係合爪720aの先端が、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の上係合孔725,727に挿通状態となるとともに、下係合爪720bの先端が、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の下係合孔726,728に挿通状態となる。これにより、第1摺動杆605及び第2摺動杆635の摺動が規制されることとなる。これに限らず、カム板720が変位不能とならないシリンダ錠を採用してもよい。また、第1摺動杆605や第2摺動杆635が基準位置にある場合において、係合爪720a,720bが係合孔725等に挿通状態とならず、第1摺動杆605や第2摺動杆635の摺動が規制されない構成を採用してもよい。つまり、前面枠セット14や内枠12を閉状態とする際に鍵Kを必要としない構成としてもよい。
また、キーコードを変更可能なシリンダ錠を採用してもよい。キーコードの変更手順の一例としては、まず、所定のリセットピンを押圧した状態で鍵穴に現状の鍵を挿入して回動操作した後、該鍵を引き抜く。そして、リセットピンを押圧したまま、新たに設定したい鍵を鍵穴に挿入し、前記現状の鍵とは逆向きに回動操作した後、リセットピンの押圧状態を解除してから鍵を引き抜く。以上のような操作を行うことで、新たに設定したい鍵に合ったキーコードとすることができる。これにより、遊技ホール単位で鍵を統一できるとともに、不正防止のため、定期的に鍵を変更することができる。
(l)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、それに類する雀球等の各種遊技機、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機などとして実施してもよい。