上述したように、一般にパチンコ機等の遊技機では、メンテナンス等の観点から遊技機本体(内枠)が固定枠(外枠)に対し開閉可能に設けられている。そのため、店員以外の者が無断で遊技機本体を開放できないように、遊技機には施錠装置が設けられている。かかる施錠装置としては、専用の鍵を用いて操作されるシリンダ錠と、固定枠に設けられた複数の被係止部に対しそれぞれ係脱可能に設けられた複数の鉤部材と、鍵によるシリンダ錠の解錠操作に応じて複数の鉤部材を連動させる摺動杆とを備えたものが知られている。そして、施錠状態では各鉤部材がそれぞれ対応する被係止部に係合することで遊技機本体が固定枠に対し開放不能となる。他方、専用の鍵でシリンダ錠を解錠操作することにより摺動杆を介して各鉤部材が被係止部から同時に離脱し、遊技機本体が開放可能となる。
近年、遊技ホールでは、営業中に遊技機本体を不正に解錠し、本体裏側に設けられた制御機器を不正に操作したり交換する等して、多くの遊技媒体を獲得する不正行為が行われることもある。このような不正解錠は、通常、遊技機本体と固定枠との隙間から針金等の線材を差込み、当該線材を施錠装置の鉤部材に引っ掛けて解錠方向に動かすことにより行われる。いずれか1つの鉤部材に対して不正な解錠操作が行われると、その動作が摺動杆を介して他の鉤部材に伝達され、全鉤部材が連動して被係止部から離脱し、遊技機本体が開放可能となる。
このような不正解錠操作を防止するため、近年では、例えば遊技機本体の閉時に摺動杆の移動を規制するロック機構を備えることにより、いずれか1つの鉤部材に対して不正な解錠操作が行われた場合に、当該不正解錠操作に応じた鉤部材の動作が、不正解錠操作されていない他の鉤部材に伝達されるのを防止している遊技機も見受けられる(例えば特許文献1参照)。
このようなロック機構は、例えば施錠装置の取付けられた遊技機本体を閉じると、所定のロック部材が相手側部材である外枠等の一部に押されて変位し、摺動杆の一部に差し込まれる等して摺動杆と係合することにより、摺動杆の移動を規制する仕組みとなっている。
しかしながら、一般的に、前後方向に係り合う鉤部材と被係止部との間、ひいては遊技機本体と固定枠との間には、ある程度の遊び部分を設けざるを得ない。遊びがない場合には、遊技機本体の施錠又は解錠の際に鉤部材と被係止部とが擦れ、鉤部材が摺動しにくくなるため、施錠又は解錠をスムーズに行えないおそれがある。被係止部の組付誤差等、場合によっては、遊技機本体を施錠できなくなることも想定される。
このように、鉤部材と被係止部との間に遊びを設定してある場合には、鉤部材と被係止部とが係合し、遊技機本体が適正に施錠されている場合でも、遊技機本体と固定枠との組付誤差等によっては、ロック部材が必要量変位しておらず、当該ロック部材と摺動杆とが適正に係合していないおそれがある。つまり、ロック機構が正常に機能していないおそれがある。固定枠が木製品等により構成されている場合には、加工精度や経年変化等により、上記不具合が助長されるおそれもある。さらには、遊技機本体を無理やり前方に引っ張ることにより、ロック部材と摺動杆との係合が簡単に解除されてしまうおそれもある。その結果、鉤部材の不正な解錠操作により簡単に遊技機本体が開放されてしまうおそれがある。
なお、上記課題は、遊技機本体と外枠とを施錠する施錠機構に限定されるものではなく、例えば遊技機本体と当該遊技機本体に対し開閉可能に設けられた開閉部材とを施錠する施錠機構などにも該当する問題であるとともに、ひいては、パチンコ機に限らず、スロットマシン等の他の遊技機にも該当する問題である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能に優れた遊技機を提供することにある。
以下、上記課題等を解決するのに適した各手段を項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.固定枠に対し左右一側部にて開閉可能に支持された扉体と、
前記固定枠又は前記扉体のいずれか一方の左右他側部に沿って取付けられ、前記固定枠に対し前記扉体を施錠する施錠装置とを備えた遊技機であって、
前記施錠装置は、
前記固定枠又は前記扉体いずれか一方の左右他側部に沿って取付けられる取付部、及び、当該取付部から突設された支持部を具備する縦長の基枠と、
鍵により操作される錠部材と、
前記鍵の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して上下方向に摺動可能なように前記支持部に沿って設けられた摺動部材と、
前記固定枠又は前記扉体の他方側に設けられた被係止部材に対し係止されて前記扉体の開放を規制する係止位置と、前記被係止部材から離脱して前記扉体の開放を許容する非係止位置とに、上下方向に摺動可能な鉤部材と、
前記鉤部材を施錠方向である上下方向一方側へ付勢する付勢手段とを備え、
前記鉤部材が、前記係止位置から前記非係止位置へ、前記摺動部材の動作に連動して解錠方向である上下方向他方側へ摺動する構成であって、
前記鉤部材の動作に連動して上下方向に摺動可能に設けられるとともに、第1状態(第1位置)と第2状態(第2位置)とに変化可能なロック部材と、
前記ロック部材を前記第1状態に維持する維持手段とを備え、
前記鉤部材を前記解錠方向へ摺動させる前記摺動部材の動作に連動して、前記ロック部材が前記第1状態から前記第2状態へ状態変化する構成とするとともに、
前記係止位置にある鉤部材に対し、前記摺動部材以外から前記解錠方向への外力がかかった場合には、当該鉤部材とともに、前記ロック部材が前記第1状態を維持しつつ前記解錠方向へ摺動可能な構成とすることにより、
前記扉体の閉状態において、前記係止位置にある鉤部材に対し、前記摺動部材以外から前記解錠方向への外力がかかった場合には、前記第1状態に維持されたロック部材が前記被係止部材に係止されることによって、前記鉤部材の前記解錠方向への摺動が規制され、
前記鍵の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して前記摺動部材が前記鉤部材を前記解錠方向へ摺動させる場合には、前記ロック部材が前記第1状態から前記第2状態へ状態変化することにより、当該ロック部材が前記被係止部材に係止されずに、前記鉤部材の前記解錠方向への摺動が許容される構成とし、
前記ロック部材を、少なくとも前記支持部と前記鉤部材との間に配設したことを特徴とする遊技機。
上記手段1によれば、ロック部材を備えることにより、扉体の施錠時において、鍵を用いずに線材等によって鉤部材に対し直接の解錠操作、すなわち不正な解錠操作が行われた場合には、鉤部材の解錠方向への摺動が規制される。つまり、鉤部材は係止位置に維持されるため、扉体の開放は許容されない。
一方、鍵を用いて正規に解錠操作を行った場合には、摺動部材から力を受けることにより、ロック部材が第1状態から第2状態へ状態変化し、鉤部材が非係止位置へ摺動可能となる。つまり、鉤部材が被係止部材から離脱し、扉体の開放が許容される。
上記ロック部材は、従来とは異なり、相手側部材(固定枠又は扉体のうち施錠装置が設けられた側とは反対側の部材、例えば施錠装置が扉体に設けられている場合には固定枠)に当接する等して状態変化する構成ではない。従って、ロック部材と相手側部材本体との直接的な関連性(例えばロック部材と相手側部材本体との当接位置関係など)を考慮する必要がないため、例えばロック部材のうち被係止部材と係り合う部位の前後長を予め余裕をもって長めに設計しておくことができ、扉体と固定枠との間にある程度の遊びを設けたとしても、被係止部材に対しロック部材がより確実に係止されやすい。結果として、仮に扉体と固定枠との組付誤差が大きくなった場合でも、当該組付誤差によるロック部材の機能低下といった不具合は低減される。換言すれば、より大きな製造誤差や組付誤差を許容することができ、歩留まり性が向上する。
また、扉体を無理やり引っ張る等した場合でも、ロック部材と被係止部材との係合が簡単に解除され、扉体が開放されてしまうおそれも低い。さらに、上記ロック部材は、摺動部材ではなく、鉤部材の解錠方向への摺動を直接的に規制しているため、より確実に不正解錠を抑制することができる。
また、仮に線材等を用いてロック部材を状態変化させるとともに、鉤部材を不正に解錠操作しようとした場合には、鉤部材とロック部材とにそれぞれ引っ掛けた線材等を少なくとも2方向に操作しなければならないため、不正解錠操作が行いにくくなる。結果として、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能が格段に向上する。
さらに、ロック部材を、基枠の支持部と鉤部材との間に配設することにより、ロック部材の露出する部位が減る。従って、ロック部材に線材等を引っ掛けたり、金属片等を押し当てたりすることのできる部位の露出度も減り、上述したような不正解錠操作が行いにくくなる。結果として、さらなる防御性能の向上を図ることができる。
なお、以下の手段においても同様であるが、鉤部材及びこれに対応する被係止部材の数は1つに限定されるものではなく、これらを複数備えた構成としてもよい(ロック部材等に関しても同様)。この場合、複数の鉤部材それぞれに対応してロック部材が設けられることが好ましい。このようにすれば、不正解錠に対する防御性能のさらなる向上が図られる。但し、少なくとも1つに設けられていれば、不正解錠に対する防御性能を十分に発揮することはできる。
また、上記「左右一側部」とは、左右方向における一方側を指し、「左右一側部」が例えば「右側部」であれば、「左右他側部」は「左側部」となる。逆に、「左右一側部」が「左側部」であれば、「左右他側部」は「右側部」となる。
また、錠部材の例としては、鍵が挿入されて回動操作されるシリンダ錠などが挙げられる。
また、鉤部材が「摺動部材の動作に連動して」動く構成には、摺動部材と鉤部材とが一体形成されたり、摺動部材に対しネジ等の固定手段により相対変位不能に固定されたりして、両者が一体的に動く構成なども含まれる。従って、鉤部材は、摺動部材と一体形成された構成や摺動部材に対し相対変位不能に固定された構成であってもよいし、摺動部材に対し相対変位可能に係合された構成でもよい。勿論、鉤部材と摺動部材とが一体形成された構成では、ロック部材は、少なくとも支持部と摺動部材との間(摺動部材よりも支持部側)に配設されることとなる。
また、付勢手段が「鉤部材を施錠方向である上下方向一方側へ付勢する」構成としては、例えば鉤部材を直接的に付勢する構成や、摺動部材やロック部材等を介して間接的に付勢する構成等が挙げられる。
なお、上記手段において、「前記ロック部材を、少なくとも前記支持部と前記鉤部材との間に配設した」とあるが、これは支持部に対する組付け方向(左右方向)に対してロック部材が鉤部材よりも支持部側において取付けられている構成を意味している。従って、例えば維持手段と係合するロック部材のフック部等の一部分が、前記組付け方向に対して鉤部材よりも支持部とは反対側に突出している構成を排除するものではない(以下の手段についても同様)。
手段2.前記鉤部材は、前記摺動部材に対し相対変位可能に組付けられるとともに、
前記ロック部材は、前記鉤部材に対し相対変位可能に組付けられていることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
上記手段2によれば、摺動部材に対し鉤部材が相対変位可能に組付けられることにより、仮に複数の鉤部材を設けた場合でも、摺動部材に対し個々の鉤部材を独立して摺動変位させることができる。従って、仮に不正な解錠操作によって鉤部材のいずれか1つに対し直接外力が加えられた場合でも、これに摺動部材が連動しないため、他の鉤部材は摺動せず、扉体の施錠状態が保持される。つまり、扉体の開放は許容されない。さらに、ロック部材が、鉤部材に対し相対変位可能に組付けられていることにより、ロック部材がより確実に鉤部材に連動して動き、鉤部材の摺動をより確実に規制することができる。結果として、不正解錠に対する防御性能がさらに向上する。
上述したように仮に線材等を用いてロック部材を状態変化させるとともに、鉤部材を不正に解錠操作しようとした場合でも、上記手段1の構成に加えて上記手段2のようにロック部材が鉤部材に組付けられ、両者が密着している場合には、線材等が進入するような隙間が形成されにくい。結果として、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能をさらに高めることができる。
手段3.前記ロック部材は、回動変位して前記第1状態と前記第2状態とに変化する構成となっていることを特徴とする手段1又は2に記載の遊技機。
上記手段3によれば、仮にラックアンドピニオン機構によりロック部材を略水平方向にスライド変位させる構成とした場合などに比べて、より簡素な構成でロック部材の状態変化を実現することができる。また、ロック部材と鉤部材とをより密着させて配設することができるため、線材等が進入するような隙間が形成されにくくなり、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能をさらに高めることができる。
手段4.前記扉体を開状態から閉状態とする際に、前記鉤部材が前記被係止部材に接触することにより前記解錠方向へ摺動するとともに、前記ロック部材が前記被係止部材に接触して前記第2状態に状態変化する構成となっていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の遊技機。
上記手段4によれば、扉体を閉状態とする際に、専用の鍵を用いた施錠操作を行う必要もなく、利便性の向上が図られる。例えば、鉤部材の先端が略三角形状に先細りしており、扉体を閉じていくと、先ず鉤部材の傾斜部位が被係止部材に接する。さらに扉体を閉じていくことで、コイルばね等の付勢手段の付勢力に抗して鉤部材が解錠方向へ変位する。そして、鉤部材が被係止部材を乗り越えると、鉤部材は付勢手段の付勢力により元の位置に戻り、被係止部材に係止される。これにより扉体の施錠が完了する。この際、ロック部材も、被係止部材に接触することでコイルばね等の維持手段の維持力に抗して第2状態に状態変化するため、当該ロック部材が邪魔になることなく、スムーズに扉体を閉めることができる。そして、扉体の施錠が完了すると、ロック部材も維持手段の維持力により自動的に第1状態に戻り、ロック状態となる。
手段5.前記付勢手段及び前記維持手段を単一の付勢部材により構成したことを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の遊技機。
上記手段5によれば、付勢手段及び維持手段を単一の付勢部材(例えばコイルばね等の弾性部材)により具現化することにより、部品点数の増加を抑制するとともに、構成の簡素化を図ることができる。
手段6.前記被係止部材に係止される前記鉤部材及び前記ロック部材の少なくとも一方を囲うカバー部材を備えたことを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の遊技機。
上記手段6によれば、被係止部材に係止される鉤部材やロック部材に対し、線材等を引っ掛けにくくなるため、不正解錠に対する防御性能のさらなる向上を図ることができる。また、前記被係止部材と前記カバー部材とを一体形成すれば、部品点数の削減を図ることができる。
手段7.前記支持部の突出側端縁部において前記取付部と相対向するようにフランジ部が設けられ、前記取付部及び前記フランジ部の間に前記鉤部材及び前記ロック部材が配設され、前記鉤部材の一部及び前記ロック部材の一部が、これらに対応して前記取付部又は前記フランジ部に形成された孔部又は凹部を介して前記基枠の外部に突出することにより前記被係止部材に係止可能となることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載の遊技機。
上記手段7によれば、フランジ部を設けることにより、鉤部材と支持部との隙間から線材等を進入させ、ロック部材に引っ掛けるといった不正行為がより困難となる。結果として、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能をさらに高めることができる。
手段8.前記摺動部材と係合可能に形成された前記ロック部材の一部、及び、前記維持手段と係合可能に形成された前記ロック部材の一部の少なくとも一方に対応して、前記鉤部材にガード部を設けたことを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の遊技機。
他の部材と係合可能に設けられたロック部材の一部には、線材等が引っ掛けられやすいおそれがあるが、上記手段8のように、これらの部位に対応して、ガード部を設けることで、線材等の引っ掛けの障害となるため、ロック部材に線材等を引っ掛けるといった不正行為がより困難となる。結果として、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能をさらに高めることができる。
手段9.固定枠に対し左右一側部にて開閉可能に支持された第1扉体と、
前記第1扉体の背面側又は前面側において、当該第1扉体に対し前記左右一側部にて開閉可能に支持された第2扉体とを備えるとともに、
前記固定枠に対し左右他側部にて前記第1扉体を施錠する機構と、前記第1扉体に対し前記左右他側部にて前記第2扉体を施錠する機構とを具備した施錠装置を備えた遊技機であって、
前記施錠装置は、
前記第1扉体の前記左右他側部に沿って取付けられる取付部、及び、当該取付部から突設された支持部を具備する縦長の基枠と、
鍵により操作される錠部材と、
前記鍵による第1の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して上下方向一方(例えば上方)に摺動変位し、かつ、前記鍵による第2の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して上下方向他方(例えば下方)に摺動変位可能なように前記支持部に沿って設けられた摺動部材と、
前記固定枠側に設けられた第1被係止部材に対し係止されて前記第1扉体の開放を規制する係止位置と、前記第1被係止部材から離脱して前記第1扉体の開放を許容する非係止位置とに、上下方向に摺動変位する第1鉤部材と、
前記第1鉤部材を第1施錠方向である上下方向他方(下方)側へ付勢する第1付勢手段と、
前記第2扉体側に設けられた第2被係止部材に対し係止されて前記第2扉体の開放を規制する係止位置と、前記第2被係止部材から離脱して前記第2扉体の開放を許容する非係止位置とに、上下方向に摺動変位する第2鉤部材と、
前記第2鉤部材を第2施錠方向である上下方向一方(上方)側へ付勢する第2付勢手段とを備え、
前記摺動部材の上下方向一方(上方)への第1の動作に連動して、前記第1鉤部材が、前記係止位置から前記非係止位置へ第1解錠方向である上下方向一方(上方)側へ摺動し、
前記摺動部材の上下方向他方(下方)への第2の動作に連動して、前記第2鉤部材が、前記係止位置から前記非係止位置へ第2解錠方向である上下方向他方(下方)側へ摺動する構成であって、
前記第1鉤部材の動作に連動して上下方向に摺動可能に設けられるとともに、第1状態と第2状態とに変化可能な第1ロック部材と、
前記第1ロック部材を前記第1状態へ維持する第1維持手段と、
前記第2鉤部材の動作に連動して上下方向に摺動可能に設けられるとともに、第1状態と第2状態とに変化可能な第2ロック部材と、
前記第2ロック部材を前記第1状態へ維持する第2維持手段とを備え、
前記摺動部材の前記第1の動作に連動して、前記第1ロック部材が前記第1状態から前記第2状態へ状態変化し、
前記摺動部材の前記第2の動作に連動して、前記第2ロック部材が前記第1状態から前記第2状態へ状態変化する構成とするとともに、
前記係止位置にある第1鉤部材に対し、前記摺動部材以外から前記第1解錠方向(上方)への外力がかかった場合には、当該第1鉤部材とともに、前記第1ロック部材が前記第1状態を維持しつつ前記第1解錠方向(上方)へ摺動可能とし、
前記係止位置にある第2鉤部材に対し、前記摺動部材以外から前記第2解錠方向(下方)への外力がかかった場合には、当該第2鉤部材とともに、前記第2ロック部材が前記第1状態を維持しつつ前記第2解錠方向(下方)へ摺動可能とした構成とすることにより、
前記第1扉体の閉状態において、前記係止位置にある第1鉤部材に対し、前記摺動部材以外から前記第1解錠方向(上方)への外力がかかった場合には、前記第1状態に維持された第1ロック部材が前記第1被係止部材に係止されることによって、前記第1鉤部材の前記第1解錠方向(上方)への摺動が規制され、
前記鍵の第1の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して前記摺動部材が前記第1鉤部材を前記第1解錠方向(上方)へ摺動させる場合には、前記第1ロック部材が前記第1状態から前記第2状態へ状態変化することにより、当該第1ロック部材が前記第1被係止部材に係止されずに、前記第1鉤部材の前記第1解錠方向(上方)への摺動が許容され、
前記第2扉体の閉状態において、前記係止位置にある第2鉤部材に対し、前記摺動部材以外から前記第2解錠方向(下方)への外力がかかった場合には、前記第1状態に維持された第2ロック部材が前記第2被係止部材に係止されることによって、前記第2鉤部材の前記第2解錠方向(下方)への摺動が規制され、
前記鍵の第2の操作に応じた前記錠部材の動作に連動して前記摺動部材が前記第2鉤部材を前記第2解錠方向(下方)へ摺動させる場合には、前記第2ロック部材が前記第1状態から前記第2状態へ状態変化することにより、当該第2ロック部材が前記第2被係止部材に係止されずに、前記第2鉤部材の前記第2解錠方向(下方)への摺動が許容される構成とし、
前記第1ロック部材を少なくとも前記支持部と前記第1鉤部材との間に配設し、かつ、前記第2ロック部材を少なくとも前記支持部と前記第2鉤部材との間に配設したことを特徴とする遊技機。
上記手段9によれば、2つの扉体を備えた構成において、上記手段1と同様の作用効果が奏される。また、上記手段9では、摺動部材を共用しつつも、第1扉体の解錠と第2扉体の解錠とを別々に行うことができる。結果として、2つの扉体を別々に開放でき、メンテナンス時等の作業性の向上など利便性の向上を図るとともに、部品点数の増加を抑制することができる。なお、第1及び第2の操作としては、例えばシリンダ錠等における一方への回動操作及び他方への回動操作が挙げられる。
上記手段のように1つの摺動部材を共用しつつ、2つの扉体の解錠を別々に行う構成とするためには、摺動部材に対して各鉤部材を相対変位可能に係合する構成を採用せざるを得ない。そのため、各鉤部材を摺動部材に対して上下動可能とする構成を採用しつつ、各鉤部材に対する直接の解錠操作によっては各鉤部材が上下動しない構成とすることが、不正防止の観点から必要とされる。この点、上記手段9によれば、各鉤部材を摺動部材に対して相対変位可能としつつも、各ロック部材を備えることにより、鍵を用いない線材等による不正な解錠操作(鉤部材に対する直接の解錠操作)によって、各鉤部材が非係止位置へ動かないようにすることができる。つまり、摺動部材に対して各鉤部材を相対変位可能とした構成では、上記各ロック部材がより奏効することとなる。
なお、第1及び第2鉤部材や、第1及び第2ロック部材などの構成に関しては、それぞれ同様の構成を採用することができるため、上記手段2乃至8に記載した構成を、手段9の各鉤部材や各ロック部材などに関する従属構成として同様に採用することができる。
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
A.上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備えた弾球遊技機」が挙げられる。
B.上記各手段における前記遊技機は略鉛直方向に延びる遊技領域を備えた弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内され、略鉛直方向に沿って延びる所定の遊技領域(例えば遊技領域は遊技盤面等により構成される)と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備え、前記遊技領域を流下する遊技球の挙動を視認可能に構成されてなる弾球遊技機」が挙げられる。
C.上記各手段における前記遊技機、又は、上記各弾球遊技機は、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機であること。
D.上記各手段における遊技機は、スロットマシン等の回胴式遊技機であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成した回胴式遊技機」が挙げられる。
E.上記各手段における遊技機は、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機(特に遊技球を遊技媒体として使用するスロットマシン仕様の遊技機)であること。より詳しい態様例としては、「複数の識別情報(図柄)からなる識別情報列(図柄列;具体的には図柄の付されたリール、ベルト等の回転体)を変動表示(具体的にはリール等の回転)した後に識別情報列を停止表示する可変表示手段(具体的にはリールユニット等の回転体ユニット)を備え、始動用操作手段(具体的にはスタートレバー)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が開始され、停止用操作手段(具体的にはストップボタン)の操作に起因して識別情報(図柄)の変動が停止され、その停止時に有効ライン上に揃った識別情報が特定の識別情報であることを条件に遊技価値が付与されるよう構成し、さらに球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む取込手段と、前記球受皿に遊技球の払出しを行う払出手段とを備え、前記取込手段により遊技球が取り込まれることにより遊技の開始条件が成立するように構成した遊技機」が挙げられる。
以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は斜視図であり、図3は右側面図である。また、図4は、内枠12及び前面枠セット14を開放した状態を示す斜視図である。但し、図4では便宜上、遊技盤30面上に配設される釘や役物、前面枠セット14に取付けられるガラスユニット137などを省略して示している。
図1乃至図4に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を構成する固定枠としての外枠11を備えており、この外枠11の一側部に遊技機本体(第1扉体)としての内枠12が開閉可能に支持されている。外枠11は、例えば木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。
ここで、外枠11について図5を参照しつつ説明する。外枠11の左辺部には、上ヒンジ81及び下ヒンジ82が設けられている。当該上ヒンジ81及び下ヒンジ82にて、内枠12の上下部が回動可能に支持されており、これにより内枠12が開閉可能に支持される。また、外枠11の右辺部内側には、後述する施錠装置600の内鉤部材613,614に対応して、第1被係止部材としての上下一対の受け金具83,84が取付けられている。そして、内枠12の閉時においては、受け金具83,84に対して内鉤部材613,614が係止されることにより、内枠12の開放が規制される(図22等参照)。
さらに、外枠11下部には、樹脂製の幕板飾り85が取着されている。幕板飾り85の上面奥部には、上方に突出するリブ88が一体形成されている。これにより内枠12との間に隙間が形成されにくくなっている。また、外枠11の右辺部内側面には切欠き部89が形成されている。この切欠き部89は、内枠12を閉状態とした際に、内枠12の背面側に設けられた施錠装置600等が外枠12と接触するのを防止するためのものである。
内枠12の開閉軸線は、上述したようにパチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。内枠12は、外形が矩形状をなす青色の樹脂ベース38を主体に構成されており、当該樹脂ベース38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。
また、内枠12の前面側には、前面扉(第2扉体)としての前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。前面枠セット14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。
前面枠セット14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなし、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠セット14の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠セット14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域)を外部から視認可能となる。遊技盤30の詳細な構成については後述する。
前面枠セット14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15内から遊技球を排出するための球抜きレバー25が設けられている。
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下、単にハンドルという)18が設けられ、下皿15の左方には、灰皿26が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段が設けられている。
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射装置(以下、単に発射装置という)70の方へ案内する球受皿である。なお、上皿19から溢れる遊技球は下皿15へ案内されるようになっている。
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技場等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
また、前面枠セット14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、中央電飾部103の左右側方には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。また、各エラー表示ランプ104に隣接してスピーカSP(図9参照)が設けられるとともに、当該スピーカSPの前側にスピーカカバー24が取着されている。
前面枠セット14の背面側にはガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対を為して別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
また、前面枠セット14の右側部背面側には、後述する施錠装置600の前鉤部材616,617,618に対応して、第2被係止部材としての3つの受け金具91,92,93が上下方向に沿って設けられている(図4参照)。そして、前面枠セット14の閉時においては、前鉤部材616,617,618が受け金具91,92,93に係止されることにより、前面枠セット14の開放が規制される(図23等参照)。
次に、内枠12(樹脂ベース38)について説明する。上述した通り、内枠12(樹脂ベース38)には、窓孔39の後側に遊技盤30が装着されている。遊技盤30は、その周縁部が内枠12(樹脂ベース38)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース38の窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
また、内枠12(樹脂ベース38)の下部、すなわち窓孔39(遊技盤30)の下方位置には、後側へ膨出した膨出部40が形成されている。この膨出部40の前面右側には、発射装置70が取付けられている。本実施形態では、発射装置70としてソレノイド式発射装置を採用している。また、膨出部40には、後述する払出機構部352から上記下皿15の排出口16へ繋がる球通路71が設けられている。また、発射装置70の発射レール70aと後述するレール50(外レール構成部52)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路72が形成されている。これにより、仮に、発射装置70から発射された遊技球が後述する戻り球防止部材53まで至らずファール球としてレール50を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路72及び球通路71を介して下皿15に排出される。また、球通路71の下側にはハーネスカバー74が設けられている。これにより中継基板75と発射装置70とを接続するハーネス(図示略)をまとめている。
次に、遊技盤30の構成について図6を参照して説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口(作動口)33、第2契機対応口34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33に遊技球が入球(入賞)すると、それぞれに対応して設けられた検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞部(一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33)に入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域外へと排出される。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示装置ユニット35には、第2契機対応口34の通過をトリガとして変動表示する普通図柄表示装置41と、第1契機対応口33への入賞をトリガとして変動表示する特別表示装置43と、特別表示装置43による変動表示に合わせて変動表示する可変表示装置としての装飾図柄表示装置42とが設けられている。
普通図柄表示装置41は複数の発光手段(LED)を内蔵しており、遊技球が第2契機対応口34を通過する毎に点灯表示態様が切換表示(変動表示)され、その変動表示が特定の点灯態様で数秒間停止した場合に第1契機対応口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。また、普通図柄表示装置41の変動表示中に、新たに遊技球が第2契機対応口34を通過した場合には、その分の普通図柄の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。
特別表示装置43は、普通図柄表示装置41の側方に設けられた複数の発光部により構成され、遊技球が第1契機対応口33を通過する毎に点灯する発光部の組合せが切換えられる(変動表示される)。そして、変動表示が停止したときに点灯している発光部の組合わせにより、大当たりか否かが確定的に表示される。この特別表示装置43についても、主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。また、特別表示装置43の変動表示中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。また、大当たり状態中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述するサブ制御装置262によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、特別表示装置43にて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、後述する表示制御装置45によって表示が行われる。装飾図柄表示装置42には、例えば、上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして装飾図柄表示装置42に変動表示され、その後、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に停止表示される。また、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に、遊技球が入賞しやすい開状態とされる。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数(所定ラウンド数)繰り返し開放される。
また、遊技盤30には、発射装置70から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール50が取付けられている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレール50を通じて、遊技盤面上に形成された遊技領域内に案内される。レール50は内レール構成部51と外レール構成部52とからなる。
内レール構成部51の先端部分(図6の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、レール50から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度レール50内に戻ってしまうといった事態が防止される。
また、本実施形態では、外レール構成部52が遊技盤30の右上部で途絶え、内レール構成部51が遊技盤30の右下部で途絶えている。このため、遊技領域は、レール50及び樹脂ベース38の窓孔39の内周面により画定される。但し、内外レール構成部51,52の並行部分を除く。
次に、パチンコ機10の背面の構成を図8に基づいて説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合において、主基板とサブ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
なお、第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で工具等を用いずとも着脱できるよう構成されており、さらに、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。
まず、遊技盤30の背面構成について説明する。上述したように遊技盤30の中央にはルータ加工によって形成された貫通穴に対して可変表示装置ユニット35が配設されている。この可変表示装置ユニット35に対し、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。さらに、フレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板などが配設されている。
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして図示しない裏枠セットが取付けられている。この裏枠セットは、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための球回収機構を備えている。また、内枠12には、裏枠セット(遊技盤30)の下方位置において排出通路盤217が取付けられており、該排出通路盤217には排出球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート218が形成されている。従って、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セットの球回収機構を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出シュート218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出する入賞感知機構(検出スイッチ)などが設けられている。入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板(主制御装置261)に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。本実施形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる。
第1制御基板ユニット201は、主制御装置261と、サブ制御装置262とを具備している。主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって連結されており、基板ボックス263が開封された場合には、封印ユニットにおいて所定の痕跡が残るよう構成されている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。
また、サブ制御装置262は、主制御装置261(主基板)からの指示に従い各種演出制御を司るCPUや、各種プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含むサブ制御基板を具備しており、このサブ制御基板についても当該サブ制御基板に対応する基板ボックスに収容されて構成されている。
第2制御基板ユニット202は、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314を具備している。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル18の操作に従い発射装置等の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。
上記払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313についても、それぞれに対応する基板ボックス315、316、317に収容されて構成されている。但し、発射制御装置312(基板ボックス316)は、電源装置313(基板ボックス317)の裏側に配置されている。また、払出制御装置311が収容される基板ボックス315には、前述した主制御装置261と同様に封印ユニットが設けられ、基板ボックス315の開封した痕跡が残るようになっている。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技場の営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部354を有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、前述のサブ制御装置262及び主制御装置261の一部も合わせて囲む構成となっている。
また、払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は上記上皿19等に供給される。
また、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図9は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261(主基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停止信号の入力により起動されるNMI割込み処理(このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される)によって停電の発生等による電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)の復電処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置262、特別表示装置43、普通図柄表示装置41、その他図示しないスイッチ等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43および普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置262を介して制御される。
サブ制御装置262(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552、RAM553が接続されるとともに、表示制御装置45が接続されている。さらに、入出力ポート554には、スピーカSP、各種電飾部及びランプ102〜104が接続されている。
サブ制御装置262のCPU551は、例えば主制御装置261から送信される指令信号(例えば変動パターンコマンド)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する特別表示装置43にて大当たりか否かを表示するようになっており、サブ制御装置262が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43の表示に合わせた表示が行われる。
また、払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、NMI割込み処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射装置70による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置70は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射装置70が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置262の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置262から送信される表示コマンドに基づいて装飾図柄表示装置42の表示を制御する。プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させるものである。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
次に、内枠12の施錠機構及び前面枠セット14の施錠機構について説明する。本実施形態では、内枠12は外枠11に対し施錠され、前面枠セット14は内枠12に対し施錠される。これら両施錠機構は単一の施錠装置600(図3等参照)によって具現化されている。後述するように施錠装置600は、前面枠セット14の前面側に露出するシリンダ錠700(図1等参照)を備えており、該シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kを挿入し、一方に回動操作することで内枠12を解錠でき、他方に回動操作することで前面枠セット14を解錠できるようになっている。
施錠装置600について図10乃至図17を参照して詳しく説明する。ここで、図10は、施錠装置600を背面左側から見た斜視図であり、図11は、施錠装置600を正面左側から見た斜視図である。但し、図10,11では、便宜上、施錠装置600に関連する外枠11、内枠12及び前面枠セット14の関連部分も併せて模式的に図示している。また、図12は、施錠装置600の背面図であり、図13は右側面図、図14は左側面図、図15は正面図である。但し、図12〜15では便宜上、後述する施錠カバー740を省略している。図16は、背面側から見た施錠装置600の分解図であり、図17は、側面側から見た施錠装置600の分解図である。
施錠装置600は、内枠12の背面側左側辺部に沿って取付けられている(図7参照)。施錠装置600の外郭を構成する縦長の基枠601は、内枠12の背面部に固定される取付部としての取付板602と、当該取付板602の内枠12内方側(窓孔39側)の端縁から後方に突出した支持部としての支持板603とを備えており、これらが一体となって横断面略L字状をなしている。
但し、取付板602の内枠12外方側縁部には、後方へ突出したフランジ部602aが略全長にわたって設けられ、支持板603の後縁部には、内枠12外方側へ突出したフランジ部603aが複数箇所に設けられている。これらフランジ部602a,603aは、後述する摺動杆610や各種鉤部材等の摺動動作の安定性を高めるガイド部としての機能を備えるとともに、基枠601内側への線材等の侵入を防ぎ、摺動杆610や各種鉤部材等に対する不正な解錠操作を防ぐ機能などを備えている。
取付板602には、内枠12への取付固定用に複数の取付孔604が穿設されるとともに、後述する前鉤部材616,617,618の挿通用に上下方向3箇所に略矩形状の鉤挿通孔605,606,607が形成されている。さらに、各鉤挿通孔605,606,607の上方位置には、それぞれ後述する前ロック部材619,620,621が挿通されるロック挿通孔667,668,669が形成されている。
一方、内枠12のうち、鉤挿通孔605,606,607に対応する部位には、連通孔97,98,99が形成されている(図6参照)。そして、これら連通孔97,98,99を介して、前鉤部材616,617,618が内枠12前面側に突出している。また、各連通孔97,98,99からは、前鉤部材616,617,618とともに、前ロック部材619,620,621も突出している。
さて、基枠601の内側には、摺動部材としての長尺状の摺動杆610、内枠12施錠用の第1鉤部材としての上下一対の内鉤部材613,614、各内鉤部材613,614に対応して設けられた第1ロック部材としての内ロック部材615,623、前面枠セット14施錠用の第2鉤部材としての3つの前鉤部材616,617,618、各前鉤部材616,617,618に対応して設けられた第2ロック部材としての前ロック部材619,620,621などが配設されている。なお、施錠装置600を構成する基枠601、摺動杆610、内鉤部材613,614、内ロック部材615,623、前鉤部材616,617,618、前ロック部材619,620,621などの各部材は、金属平板をプレス成形等することにより形成されている。
摺動杆610は、支持板603に沿って配設されており、上下方向に摺動可能となっている。
また、取付板602では、シリンダ錠700の配置位置に対応する所定の上下区間が他部位より左右方向に幅広の幅広部602bとなっており、支持板603では、前記幅広部602bに対応する上下区間が内枠12内方側へ膨出した膨出部603bとなっている。これは、遊技領域や各種制御基板等の設置スペースをより広く確保するために、施錠装置600全体の横幅を極力狭くしつつ、シリンダ錠700の配設位置においては、その設置スペースを確保するためである。また、摺動杆610も同様に、支持板603の膨出部603bに対応する部位が膨出している。但し、この摺動杆610の膨出部610aの形成区間は、支持板603の膨出部603bの形成区間よりも短く設定されており、摺動杆610の摺動の妨げとならないようになっている。
ここで、まず内枠12の施錠機構に関連する部分について詳しく説明する。内枠12の施錠機構を構成する内鉤部材613,614は、摺動杆610の内枠12外方側(図10左手前側)に重畳するように配設されている。但し、内鉤部材613,614と、摺動杆610との間には、後述の内ロック部材615,623が介在している。
内鉤部材613,614は、主として摺動杆610と重畳する縦長の基部613a,614aと、当該基部613a,614aの上部から後方へ延びる突出部613b,614bと、当該突出部613b,614bの後端側において後方へ先細りするように設けられた略三角形状の頭部613c,614cとから構成されている。頭部613c,614cの下端部は、突出部613b,614bより下方に突出しており、当該突出部分が後述するように係止部として機能する。
内鉤部材613,614に対応して、摺動杆610及び支持板603の上部及び下部には、それぞれ内ガイド孔625,626及び外ガイド孔627,628が形成されている。各ガイド孔625〜628は上下方向に長い長円状をなす。そして、これら摺動杆610の内ガイド孔625,626及び支持板603の外ガイド孔627,628に対し、支持板603の外側(内枠12内方側)から差し込まれたガイドピン631,632が、後述する内ロック部材615,623のガイド孔615e,623eを介して、内鉤部材613,614(基部613a,614aの上部)に固定されている。これにより、内鉤部材613,614は、基枠601(支持板603)及び摺動杆610に対して、上下に相対変位可能に係合されるとともに、摺動杆610の摺動に連動して摺動可能となる。
なお、上述した支持板603側の複数のフランジ部603aのうち、内鉤部材613,614に対応する位置に設けられたものには、当該内鉤部材613,614に対応する位置に溝部(凹部)603cが形成されている。そして、内鉤部材613,614のうち、突出部613b,614b及び頭部613c,614cのみがこの溝部603cを介して支持板603より後方へ突出し、基部613a,614aは、取付板602とフランジ部603aとの間に収まった状態となっている。
上記構成により、内鉤部材613,614は、ガイドピン631,632により左右方向への動きを規制され、かつ、取付板602やフランジ部603aにより前後方向への動きを規制されつつ、上下方向へ摺動できるようになっている。
次に内鉤部材613,614に対応して設けられた内ロック部材615,623について詳しく説明する。内ロック部材615,623は、内枠12の施錠時において、不正な解錠操作による内鉤部材613,614の摺動変位を規制し、当該内鉤部材613,614を係止位置に維持することによって、内枠12の不正な開放を防止するためのものである。
内ロック部材615,623は、縦長の縦片部615a,623aと、当該縦片部615a,623aの上端部近傍から後方に向け延出した上片部615b,623bと、縦片部615a,623aの下端部から後方に向け延出した下片部615c,623cとを備えており、全体としては後方に向け凹となる側面視略コ字状に形成されている。
内ロック部材615,623は、内鉤部材613,614の内枠12内方側に重畳するように配設されている。つまり、内鉤部材613,614と、摺動杆610との間に、内ロック部材615,623が配設されている。
内ロック部材615,623には、上片部615b,623bにおいて軸孔615d,623dが設けられるとともに、縦片部615a,623aにおいてガイド孔615e,623eが形成されている。ガイド孔615e,623eは、軸孔615d,623dを中心にとって略円弧状に形成されている。
また、内鉤部材613,614の突出部613b,614bと頭部613c,614cとの境界部近傍には、挿通孔613e,614eが形成されている。そして、内枠12外方側から挿通孔613e,614eに対しそれぞれ差し込まれたガイドピン633,634が、内ロック部材615,623の軸孔615d,623dに固定されている。
さらに、上述したように、上記ガイドピン631,632が、内ロック部材615,623のガイド孔615e,623eを介して、内鉤部材613,614(基部613a,614aの上部)に固定されている。これにより、内ロック部材615,623は、内鉤部材613,614に対し、軸孔615d,623d(ガイドピン633,634)を中心として回動変位可能に軸支されるとともに、内鉤部材613,614が上下方向に摺動する場合には、これに連動して上下方向に摺動することとなる。
また、内ロック部材615,623に対応して、支持板603側のフランジ部603aには、内鉤部材613,614用の溝部603cの下方位置において、ロック挿通孔603dが形成されている。そして、このロック挿通孔603dを介して、内ロック部材615,623の下片部615c,623cが支持板603より後方へ突出した状態となっている。
内ロック部材615,623の縦片部615a,623aの上端部には、取付板602側すなわち前側において、内枠12外方側へ屈曲形成されたフック部615f,623fが形成されている。そして、このフック部615f,623fに付勢部材(第1維持手段及び第1付勢手段)としてのコイルばねC1,C2の一端が掛けられるとともに、他端が、取付板602に設けられたフック部635,636に掛けられている。コイルばねC1,C2の引張力により、通常時には、内ロック部材615,623の上部前端側が下方かつ前方へ引っ張られ、内ロック部材615,623自身はもちろんのこと、これとともに上記ガイドピン631〜634やフック部615f,623f等を介して内鉤部材613,614が下方へ付勢されている。つまり、鉤部材613,614は、通常時、ガイドピン631,632が支持板603の外ガイド孔627,628の下縁部に当接した状態で保持される。また、この状態において、内ロック部材615,623は、ガイド孔615e,623eの上縁部がガイドピン631,632に当接した状態となり、図24に示すような基準姿勢をとる。
また、内ロック部材615,623の縦片部615a,623aの前縁部には、フック部615f,623fよりも下方位置において、前方へ突出した突起部615g,623gが形成さている。これに対応して、摺動杆610の前縁部には内枠12外方側へ屈曲形成された前作用片610b,610cが形成されている。そして、摺動杆610の前作用片610b,610cが、内ロック部材615,623の突起部615g,623gと接触可能となっている。さらに、これら突起部615g,623gと前作用片610b,610cとの形成位置に対応して、内鉤部材613,614の基部613a,614aの前縁部には、切欠き凹部613d,614dが形成されている。これにより、突起部615g,623gの動作が妨げられないようになっている。
また、内鉤部材613,614の基部613a,614aの上端部には、内枠12外方側へ屈曲形成されたガード部613f,614fが形成されている。このガード部613f,614fは、外部から内ロック部材615,623のフック部615f,623f側や突起部615g,623g側への線材等の進入を妨げ、これらに対し線材等を引っ掛けにくくするためのものである。
なお、内鉤部材613,614の摺動範囲のうち、ガイドピン631,632が、支持板603の外ガイド孔627,628の下縁部に当接する位置が、内鉤部材613,614が受け金具83,84に係止される位置となる。つまり、この位置が、内鉤部材613,614の係止位置(基準位置)に相当する。これに対し、ガイドピン631,632が、支持板603の外ガイド孔627,628の上縁部に当接する位置が、内鉤部材613,614が受け金具83,84から離脱する位置となる。つまり、この位置が、内鉤部材613,614の非係止位置に相当する。
ここで、受け金具83,84の構成について詳しく説明する。受け金具83,84は、後方が開口した略箱状をなし、その前壁部83a,84aに内鉤部材613,614が進入する鉤孔部83b,84bを備えている。これにより、内鉤部材613,614は、鉤孔部83b,84bを介して受け金具83,84内に進入した状態で、当該受け金具83,84の内側(前壁部83a,84aの裏側)に係止される。また、受け金具83,84の前壁部83a,84aには、鉤孔部83b,84bの下方位置にロック孔部83c,84cが形成されている。そして、内鉤部材613,614が受け金具83,84に係合した状態では、内ロック部材615,623の下片部615c,623cがロック孔部83c,84cに挿入された状態となる(図22参照)。また、内鉤部材613,614が受け金具83,84に係合された状態では、内鉤部材613,614や内ロック部材615,623の先端部の周囲が、当該受け金具83,84の周壁部83d,84dによって囲まれた状態となる。従って、受け金具83,84は、被係止部材としての機能と、カバー部材としての機能を併せ持つこととなる。このようにすれば、受け金具83,84に係止される内鉤部材613,614や内ロック部材615,623に対し、線材等を引っ掛けにくくなるため、不正解錠に対する防御性能のさらなる向上を図ることができる。
次に、前面枠セット14の施錠機構に関連する部分について説明する。前面枠セット14の施錠機構を構成する上記前鉤部材616,617,618は、摺動杆610の内枠12外方側において、上記取付板602の鉤挿通孔605,606,607に対応して上部、中部及び下部の3箇所に配設されている。
前鉤部材616,617,618は、主として摺動杆610と重畳する縦長の基部616a,617a,618aと、当該基部616a,617a,618aから前方に突出した突出部616b,617b,618bと、当該突出部616b,617b,618bの前端側において前方へ先細りするように設けられた略三角形状の頭部616c,617c,618cとから構成されている。
上述したように取付板602には、前鉤部材616,617,618に対応して鉤挿通孔605,606,607が形成されており、当該鉤挿通孔605,606,607から、突出部616b,617b,618b及び頭部616c,617c,618cのみが前方に突出している。また、頭部616c,617c,618cの上端部は、突出部616b,617b,618bより上方に突出しており、当該突出部分が後述するように係止部として機能する。
また、前鉤部材616,617,618に対応して、摺動杆610及び支持板603の上部、中部及び下部には、それぞれ内ガイド孔645,646,647及び外ガイド孔648,649,650が形成されている。各ガイド孔645〜650は上下方向に長い長円状をなす。そして、摺動杆610の内ガイド孔645,646,647及び支持板603の外ガイド孔648,649,650に対し、支持板603の外側(内枠12内方側)から差し込まれたガイドピン651,652,653が、後述する前ロック部材619,620,621のガイド孔619e,620e,621eを介して、前鉤部材616,617,618に固定されている。これにより、前鉤部材616,617,618は、基枠601(支持板603)及び摺動杆610に対して、上下に相対変位可能に係合されるとともに、摺動杆610の摺動に連動して摺動可能となる。
上記構成により、前鉤部材616,617,618は、上記ガイドピン651,652,653により左右方向への動きを規制され、かつ、取付板602やフランジ部603aにより前後方向への動きを規制されつつ、上下方向へ摺動できるようになっている。
次に各前鉤部材616,617,618に対応して設けられた前ロック部材619,620,621について詳しく説明する。前ロック部材619,620,621は、前面枠セット14の施錠時において、不正な解錠操作による前鉤部材616,617,618の摺動変位を規制し、当該前鉤部材616,617,618を係止位置に維持することによって、前面枠セット14の不正な開放を防止するためのものである。
前ロック部材619,620,621は、前鉤部材616,617,618の内枠12内方側に重畳するように配設されている。つまり、前鉤部材616,617,618と、摺動杆610との間に、前ロック部材619,620,621が配設されている。
前ロック部材619,620,621は、縦長の縦片部619a,620a,621aと、当該縦片部619a,620a,621aの上端部近傍から前方に突出した上片部619b,620b,621bと、縦片部619a,620a,621bの下端部から前方に突出した下片部619c,620c,621cとを備えており、全体としては前方に向け凹となる側面視略コ字状に形成されている。
前ロック部材619,620,621には、下片部619c,620c,621cにおいて軸孔619d,620d,621dが設けられるとともに、縦片部619a,620a,621aにおいてガイド孔619e,620e,621eが形成されている。ガイド孔619e,620e,621eは、軸孔619d,620d,621dを中心にとって略円弧状に形成されている。
また、前鉤部材616,617,618の突出部616b,617b,618bと頭部616c,617c,618cとの境界部近傍には、挿通孔616h,617h,618hが形成されている。そして、内枠12外方側から挿通孔616h,617h,618hに対しそれぞれ差し込まれたガイドピン657,658,659が、前ロック部材619,620,621の軸孔619d,620d,621dに固定されている。
さらに、上述したように、上記ガイドピン651,652,653が、前ロック部材619,620,621のガイド孔619e,620e,621eを介して、前鉤部材616,617,618(基部616a,617a,618a)に固定されている。これにより、前ロック部材619,620,621は、前鉤部材616,617,618に対し、軸孔619d,620d,621d(ガイドピン657,658,659)を中心として回動変位可能に軸支されるとともに、前鉤部材616,617,618が上下方向に摺動する場合には、これに連動して上下方向に摺動することとなる。
上述したように、取付板602には、前ロック部材619,620,621に対応してロック挿通孔667,668,669が形成されており、当該ロック挿通孔667,668,669を介して、上片部619b,620b,621bのみが、取付板602より前方へ突出した状態となっている。
前ロック部材619,620,621の縦片部619a,620a,621aには、前縁側(取付板602側)の略中央部においてフック部619f,620f,621fが形成されている。そして、このフック部619f,620f,621fに、前鉤部材616,617,618の切欠き凹部616j,617j,618jを介して、付勢部材(第2維持手段及び第2付勢手段)としてのコイルばねC3,C4,C5の一端が掛けられるとともに、他端が、取付板602に設けられたフック部637,638,639に掛けられている。コイルばねC3,C4,C5の引張力により、通常時には、前ロック部材619,620,621の前端側が上方かつ前方へ引っ張られ、前ロック部材619,620,621自身はもちろんのこと、これとともに上記ガイドピン651〜653、ガイドピン657〜659やフック部619f,620f,621f等を介して前鉤部材616,617,618が上方へ付勢される。つまり、前鉤部材616,617,618は、通常時、ガイドピン651,652,653が支持板603の外ガイド孔648,649,650の上縁部に当接した状態で保持される。また、この状態において、前ロック部材619,620,621は、ガイド孔619e,620e,621eの下縁部がガイドピン651,652,653に当接した状態となり、図24に示すような基準姿勢をとる。
また、前ロック部材619,620,621の縦片部619a,620a,621aの下端部後側には後方へ突出した突起部619g,620g,621gが形成さている。これに対応して、摺動杆610の後縁部には内枠12外方側へ屈曲形成された後作用片610d,610e,610fが形成されている。そして、摺動杆610の後作用片610d,610e,610fが、前ロック部材619,620,621の突起部619g,620g,621gと接触可能となっている。さらに、これら突起部619g,620g,621gと後作用片610d,610e,610fとの形成位置に対応して、前鉤部材616,617,618の基部616a,617a,618aの後縁部には、内枠12外方側へ膨出した膨出凹部616g,617g,618gが形成されている。これにより、摺動杆610の後作用片610d,610e,610fの動作が妨げられないようになっている。膨出凹部616g,617g,618gは、ガード部としての機能と有しており、外部から前ロック部材619,620,621の突起部619g,620g,621g側への線材等の進入を妨げ、これらに対し線材等を引っ掛けにくくしている。
なお、前鉤部材616,617,618の摺動範囲のうち、ガイドピン651,652,653が、支持板603の外ガイド孔648,649,650の上縁部に当接する位置が、前鉤部材616,617,618が受け金具91,92,93に係止される位置となる。つまり、この位置が、前鉤部材616,617,618の係止位置(基準位置)に相当する。
これに対し、ガイドピン651,652,653が、支持板603の外ガイド孔648,649,650の下縁部に当接する位置が、前鉤部材616,617,618が受け金具91,92,93から離脱する位置となる。つまり、この位置が、前鉤部材616,617,618の非係止位置に相当する。
ここで、受け金具91,92,93の構成について詳しく説明する。受け金具91,92,93は、前面枠セット14の背面側に固定される取付部91a,92a,93aと、当該取付部91a,92a,93aから後方へ延出した延出部91b,92b,93b、当該延出部91b,92b,93bの後端部から前面枠セット14の内方側へ延出し、前鉤部材616,617,618が係合される係合部91c,92c,93cとを備えている。
また、取付部91a,92a,93aには、前鉤部材616,617,618に対応して、差込み孔91d,92d,93dが形成されており、前鉤部材616,617,618が受け金具91,92,93に係合された際には、前鉤部材616,617,618の頭部616c,617c,618cの先端が差込み孔91d,92d,93dに差し込まれた状態となる(図23参照)。
また、受け金具91,92,93の係合部91c,92c,93cには、前ロック部材619,620,621に対応して挿通孔91e,92e,93eが形成されており、前鉤部材616,617,618が受け金具91,92,93に係合された際には、前ロック部材619,620,621の上片部619b,620b,621bが挿通孔91e,92e,93eに挿通された状態となる(図23参照)。
また、摺動杆610は、通常時、内ガイド孔625,626の下縁部が支持板603の外ガイド孔627,628の下縁部と略同一高さ位置となる位置で、かつ、内ガイド孔645,646,647の上縁部が支持板603の外ガイド孔648,649,650の上縁部と略同一高さ位置となる位置において保持されている。この位置が摺動杆610の基準位置に相当する。摺動杆610が基準位置にある場合には、内ガイド孔625,626の下縁部が内鉤部材613,614のガイドピン631,632と係合すること、つまりコイルばねC1,C2の引張力によって、上方への動作が抑えられた状態にあるとともに、内ガイド孔645,646,647の上縁部が前鉤部材616,617,618のガイドピン651,652,653と係合すること、つまりコイルばねC3,C4,C5の引張力によって、下方への動作が抑えられた状態にある。そして、後述するシリンダ錠700が操作された場合には、コイルばねC1等の引張力に抗して上方又は下方へ摺動変位する。
さて、取付板602の幅広部602bには、錠部材としてのシリンダ錠700が取付けられており、その前面側は前面枠セット14の前面側に露出している。
図18に示すように、シリンダ錠700は、略筒状をなすシリンダ本体701と、シリンダ本体701内部に設けられ、内部に鍵穴702を有してなる錠軸703と、シリンダ本体701の外周に設けられた外筒704とを備えている。
シリンダ錠700は、取付板602の取付孔602cに対しシリンダ本体701を挿通した状態で、フランジ部705を取付板602の背面側にネジ止めすることにより固定されている。
シリンダ本体701には、該シリンダ本体701の内外を連通する上下8つずつ、合計16個の透孔706が形成されている。これに対応して、錠軸703にも、各透孔706と連通する16個の透孔708が形成されている。かかる透孔708の鍵穴702側は、後述するピン714等の収容部材が鍵穴702内に脱落しないように他の部位よりも小径に形成されている。
各透孔706内には、それぞれバネ709が収容されている。バネ709の一端は前記外筒704に当接し、他端には台座711が連結されている。また、各透孔708内には、前記台座711に支持されるようにして、複数のスペーサ712,713及びピン714が収容されている。そして、これらピン714、スペーサ712,713、台座711は、バネ709の伸縮によって各透孔706,708内を上下動可能となっている。このうち、ピン714は、前記透孔708の鍵穴702側の小径部を介して鍵穴702内に出没可能となっている。
上記構成により、鍵穴702内への鍵Kの挿入時には、当該鍵Kの上下両側の凹凸形状に沿って各ピン714等が上下動する。そして、鍵Kの挿入完了状態にあっては、図19に示すように各ピン714がそれぞれ鍵Kの溝に入り込んだ状態となり、ピン714の基端面、又は、スペーサ712若しくは713の一方の端面と、錠軸703の外周面とが面一になる。これにより、鍵Kの挿入完了状態にあっては、鍵Kの回動操作に伴って錠軸703が回動可能となる。つまり、このシリンダ錠700は、少なくとも鍵穴702に鍵Kを挿し込まない限り錠軸703を回動させることができない内部構造となっている。
また、錠軸703の後端部には、鍵穴702に挿入された鍵Kの回動動作を摺動杆610に伝達する係合部材としてのカム板720が固定されている。
カム板720は、上下一対の上係合爪720a及び下係合爪720bを備えている。これらの係合爪720a,720bは、カム板720の回動方向に所定間隔を置いて形成されている。
これに合わせて、摺動杆610の膨出部610aには、上係合爪720aが出入可能な上係合孔725と、下係合爪720bが出入可能な下係合孔726とが形成されている。また、支持板603には、両係合爪720a,720bの動作を妨げないように透孔730が形成されている。
上記構成のもと、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kが挿し込まれていない状態で、錠軸703及びカム板720が基準位置にある場合には、図10に示すように、上係合爪720aの先端が、摺動杆610の上係合孔725に挿通状態となるとともに、下係合爪720bの先端が、摺動杆610の下係合孔726に挿通状態となる。
また、上述したように、本実施形態のシリンダ錠700は、鍵穴702に鍵Kの挿入がない場合には錠軸703及びカム板720を回動させることができない状態(変位不能となるロック状態)となるため、カム板720が基準位置にある場合には、係合爪720a,720bにより摺動杆610の摺動が規制されることとなる。例えば、仮に鍵Kを用いずに、基準位置にある摺動杆610に対し線材等を不正に引っ掛けて、当該摺動杆610に対し解錠方向への外力がかけられた場合には、係合爪720a,720bが摺動杆610の係合孔725,726の縁部に引っ掛かり、摺動杆610の解錠方向への摺動変位が、係合孔725等の遊び長を除き実質的に規制される。
また、施錠装置600には、シリンダ錠700の背面側を覆うようにして施錠カバー740がネジ等の固定手段により取付固定されている。施錠カバー740によって、カム板720と摺動杆610との係合部が覆われるとともに、摺動杆610の膨出部610a略全体(上下の段差部を含む)が覆われている。
次に、施錠装置600の作用について詳しく説明する。先ず内枠12の施錠及び解錠について詳しく説明する。内枠12の施錠状態においては、摺動杆610が基準位置をとることにより、上述したように外枠11の内側に固定された受け金具83,84に対して内鉤部材613,614の頭部613c,614cが係止され、内枠12の開放が規制されている(図22,24参照)。なお、内鉤部材613,614が受け金具83,84に係合された状態では、内ロック部材615,623の下片部615c,623cがロック孔部83c,84cに挿通された状態となる(図22参照)。
仮に、内枠12の開放状態において、係止位置にある内鉤部材613(614)の突出部613b(614b)や頭部613c(614c)に対し線材等を引っ掛けて、摺動杆610を介さず、内鉤部材613(614)に対し解錠方向(上方)への外力がかけられると、図25に示すように内鉤部材613(614)が上方へ摺動するとともに、これに連動して内ロック部材615(623)が上方へ摺動する。この際、内ロック部材615(623)は、コイルばねC1(C2)の引張力により取付板602側(前方かつ下方)へ引き付けられるため、通常時の基準姿勢を維持しつつ上方へ摺動する。この基準姿勢を維持した状態が本実施形態における内ロック部材615(623)の第1状態に相当する。
従って、内枠12の施錠状態において、鍵Kを用いることなく、係止位置にある内鉤部材613(614)に対し線材等を引っ掛かける等して不正に上記同様の解錠操作を行った場合には、内ロック部材615(623)の下片部615c(623c)が受け金具83(84)の前壁部83a(84a)に引っ掛かることとなる。つまり、内鉤部材613(614)を解錠方向へ摺動させようとしても、その動きは、ロック孔部83c(84c)等の遊び分を除き実質的に規制される。もちろん、ロック孔部83c(84c)の遊び量は、内ロック部材615(623)の下片部615c(623c)が受け金具83(84)の前壁部83a(84a)に当接した状態でも、内鉤部材613(614)の頭部613c(614c)が受け金具83(84)から離脱しない程度に設定されている。結果として、内鉤部材613(614)は非係止位置まで変位せず、内枠12の開放は許容されない。
正規に内枠12を解錠する際には、シリンダ錠700の鍵穴702に挿入した鍵Kを図1における時計回り方向に回動させる。この操作が本実施形態における第1の操作に相当する。これにより、図20(a),(b)に示すように、カム板720が同方向に回動して、下係合爪720bが摺動杆610の下係合孔726の上縁部に接触し、当該下係合爪720bに押上げられるようにして摺動杆610が上方に摺動する。
摺動杆610が上方へ摺動すると、図26(a)に示すように、まず摺動杆610の前作用片610b(610c)が、内ロック部材615(623)の突起部615g(623g)に接触し、これを上方へ押し上げる。すると、内ロック部材615(623)は、コイルばねC1(C2)の引張力に抗して回動変位して、下片部615c(623c)が前方(取付板602側)へやや引っ込んだ状態となる。この状態が、本実施形態における内ロック部材615(623)の第2状態に相当する。この状態になると、下片部615c(623c)が受け金具83(84)のロック孔部83c(84c)から抜け出した状態となり、ロック状態が解除される。
さらに、摺動杆610が上方へ摺動すると、摺動杆610の内ガイド孔625(626)の下縁部によってガイドピン631(632)が引き上げられ、図26(b)に示すように、コイルばねC1(C2)の引張力に抗して内鉤部材613(614)が上方へ摺動する。この際、内ロック部材615(623)は、内鉤部材613(614)とともに上方へ摺動する。これにより、内鉤部材613(614)と受け金具83(84)との係合が解除され、内枠12の開放が許容される。
なお、前鉤部材616,617,618が係止位置(基準位置)にある場合、ガイドピン651,652,653の係合された摺動杆610の内ガイド孔645,646,647の下部や、摺動杆610の後作用片610d,610e,610fの差し込まれる前鉤部材616,617,618の膨出凹部616g,617g,618gの上部には、ガイドピン651,652,653や後作用片610d,610e,610fが相対変位するスペースが確保されている。これにより、摺動杆610が上方へ摺動変位した場合でも、前鉤部材616,617,618は摺動せず、そのままの状態を維持できるようになっている。
一方、内枠12を施錠する際には、鍵Kを用いることなく施錠を行うことができるよう構成されている。より詳しくは、開状態にある内枠12を閉じていくと、内鉤部材613,614の頭部613c,614cの傾斜部位が受け金具83,84の鉤孔部83b,84bの下辺に接触する。さらに、内枠12を閉じていくと、内鉤部材613,614が上方へ押され、コイルばねC1,C2の引張力に抗して一旦上方へ摺動する。この際、内ロック部材615,623は、前壁部83a,84aに当接して回動変位する。その後、内鉤部材613,614の頭部613c,614cが前壁部83a,84aを越えると、コイルばねC1,C2の引張力により内鉤部材613,614が元の位置に戻り、前壁部83a,84aの裏側に係止される。内鉤部材613,614が元の位置に戻ると、内ロック部材615,623も下方へ下がって元の姿勢に戻り、下片部615c,623cがロック孔部83c,84cに挿通された状態となる。これにより、施錠が完了し、内枠12の開放が規制された状態となるとともに、内ロック部材615,623によりロックがかかった状態(ロック状態)となる。
次に前面枠セット14の施錠及び解錠について詳しく説明する。前面枠セット14の施錠状態においては、摺動杆610が基準位置をとることにより、上述したように前面枠セット14に取付けられた受け金具91,92,93(係合部91c,92c,93c)に対して前鉤部材616,617,618の頭部616c,617c,618cが係止され、前面枠セット14の開放が規制されている(図23,24参照)。なお、前鉤部材616,617,618が受け金具91,92,93に係合された状態では、頭部616c,617c,618cの先端が取付部91a,92a,93aの差込み孔91d,92d,93dに差し込まれた状態となるとともに、係合部91c,92c,93cの挿通孔91e,92e,93eに対し、前ロック部材619,620,621の上片部619b,620b,621bが挿通された状態となる(図23参照)。
仮に、前面枠セット14の開放状態において、係止位置にある前鉤部材616(617,618)の突出部616b(617b,618b)や頭部616c(617c,618c)に対し線材等を引っ掛けて、摺動杆610を介さず、前鉤部材616(617,618)に対し解錠方向(下方)への外力がかけられると、図27に示すように前鉤部材616(617,618)が下方へ摺動するとともに、これに連動して前ロック部材619(620,621)が下方へ摺動する。この際、前ロック部材619(620,621)は、コイルばねC3(C4,C5)の引張力により取付板602側(前方かつ上方)へ引き付けられるため、通常時の基準姿勢を維持しつつ下方へ摺動する。この基準姿勢を維持した状態が本実施形態における前ロック部材619(620,621)の第1状態に相当する。
従って、前面枠セット14の施錠状態において、鍵Kを用いることなく、係止位置にある前鉤部材616(617,618)に対し線材等を引っ掛かける等して不正に上記同様の解錠操作を行った場合には、前ロック部材619(620,621)の上片部619b(620b,621b)が受け金具91(92,93)の係合部91c(92c,93c)の挿通孔91e(92e,93e)の下縁部に引っ掛かることとなる。つまり、前鉤部材616(617,618)を解錠方向へ摺動させようとしても、その動きは、挿通孔91e(92e,93e)等の遊び分を除き実質的に規制される。もちろん、挿通孔91e(92e,93e)の遊び量は、前ロック部材619(620,621)の上片部619b(620b,621b)が係合部91c(92c,93c)の挿通孔91e(92e,93e)の下縁部に当接した状態でも、前鉤部材616(617,618)の頭部616c(617c,618c)が受け金具91(92,93)から離脱しない程度に設定されている。結果として、前鉤部材616(617,618)は非係止位置まで変位せず、前面枠セット14の開放は許容されない。
正規に前面枠セット14を解錠する際には、シリンダ錠700の鍵穴702に挿入した鍵Kを図1における反時計回り方向に回動させる。この操作が本実施形態における第2の操作に相当する。これにより、図21(a),(b)に示すように、カム板720が同方向に回動して、上係合爪720aが摺動杆610の上係合孔725の下縁部に接触し、当該上係合爪720aに押下げられるようにして摺動杆610が下方に摺動する。
摺動杆610が下方へ摺動すると、図28(a)に示すように、まず摺動杆610の後作用片610d(610e、610f)が、前ロック部材619(620,621)の突起部619g(620g,621g)に接触し、これを下方へ押し下げる。すると、前ロック部材619(620,621)は、コイルばねC3(C4,C5)の引張力に抗して回動変位して、上片部619b(620b,621b)が後方(フランジ部603a側)へやや引っ込んだ状態となる。この状態が、本実施形態における前ロック部材619(620,621)の第2状態に相当する。この状態になると、上片部619b(620b,621b)が受け金具91(92,93)の挿通孔91e(92e,93e)から抜け出した状態となり、ロック状態が解除される。
さらに、摺動杆610が下方へ摺動すると、図28(b)に示すように、摺動杆610の内ガイド孔645(646,647)の上縁部によってガイドピン651(652,653)が引き下げられ、コイルばねC3(C4,C5)の引張力に抗して前鉤部材616(617,618)が下方へ摺動する。この際、前ロック部材619(620,621)は、前鉤部材616(617,618)とともに下方へ摺動する。これにより、前鉤部材616(617,618)と受け金具91(92,93)との係合が解除され、前面枠セット14の開放が許容される。
なお、内鉤部材613,614が係止位置(基準位置)にある場合、ガイドピン631,632の係合された摺動杆610の内ガイド孔625,626の上部や、摺動杆610の前作用片610b,610cが差し込まれる内鉤部材613,614の切欠き凹部613d,614dの下部には、ガイドピン631,632や前作用片610b,610cが相対変位するスペースが確保されている。これにより、摺動杆610が下方へ摺動変位した場合でも、内鉤部材613,614は摺動せず、そのままの状態を維持できるようになっている。
一方、前面枠セット14を施錠する際には、鍵Kを用いることなく施錠を行うことができるよう構成されている。より詳しくは、開状態にある前面枠セット14を閉じていくと、前鉤部材616,617,618の頭部616c,617c,618cの傾斜部位が受け金具91,92,93の係合部91c,92c,93c下辺に接触する。さらに、前面枠セット14を閉じていくと、前鉤部材616,617,618が下方へ押され、コイルばねC3,C4,C5の引張力に抗して一旦下方へ摺動する。この際、前ロック部材619,620,621は、係合部91c,92c,93cの背面部に当接して回動変位する。その後、前鉤部材616,617,618の頭部616c,617c,618cが係合部91c,92c,93cを越えると、コイルばねC3,C4,C5の引張力により前鉤部材616,617,618が元の位置に戻り、係合部91c,92c,93cに係止される。この際、頭部616c,617c,618cの先端が取付部91a,92a,93aの差込み孔91d,92d,93dに差し込まれた状態となる。前鉤部材616,617,618が元の位置に戻ると、前ロック部材619,620,621も上方へ上がって元の姿勢に戻り、上片部619b,620b,621bが係合部91c,92c,93cの挿通孔91e,92e,93eに挿通された状態となる。これにより、施錠が完了し、前面枠セット14の開放が規制された状態となるとともに、前ロック部材619,620,621によりロックがかかった状態(ロック状態)となる。
以上詳述したように、本実施形態では、内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621を備えることにより、内枠12や前面枠セット14の施錠時において、鍵Kを用いずに線材等によって内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618に対し直接の解錠操作、すなわち不正な解錠操作が行われた場合には、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618の解錠方向への摺動が規制される。つまり、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618は係止位置に維持されるため、内枠12や前面枠セット14の開放は許容されない。
一方、鍵Kを用いて正規に解錠操作を行った場合には、摺動杆610から力を受けることにより、内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621が状態変化し、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618が非係止位置へ摺動可能となる。つまり、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618が受け金具83,84や受け金具91,92,93から離脱し、内枠12や前面枠セット14の開放が許容される。
本実施形態の内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621は、外枠11本体や前面枠セット14本体に当接する等して状態変化する構成ではない。従って、内ロック部材615,623と外枠11本体との当接位置関係や、前ロック部材619,620,621と前面枠セット14本体との当接位置関係などを考慮する必要がないため、例えば内ロック部材615等のうち受け金具83等と係り合う下片部615c等の前後長を予め余裕をもって長めに設計しておくことができ、内枠12と外枠11との間や、内枠12と前面枠セット14との間にある程度の遊びを設けたとしても、受け金具83,84や受け金具91,92,93に対し内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621がより確実に係止されやすい。結果として、仮に内枠12と外枠11との組付誤差や、内枠12と前面枠セット14との組付誤差が大きくなった場合でも、当該組付誤差による内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621の機能低下といった不具合は低減される。換言すれば、より大きな製造誤差や組付誤差を許容することができ、歩留まり性が向上する。
また、内枠12や前面枠セット14を無理やり引っ張る等した場合でも、内ロック部材615,623と受け金具83,84との係合や、前ロック部材619,620,621と受け金具91,92,93との係合が簡単に解除され、内枠12や前面枠セット14が開放されてしまうおそれも低い。さらに、内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621は、摺動杆610ではなく、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618の解錠方向への摺動を直接的に規制しているため、より確実に不正解錠を抑制することができる。
また、仮に線材等を用いて内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621を状態変化させるとともに、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618を不正に解錠操作しようとした場合には、内鉤部材613等と内ロック部材615等とにそれぞれ引っ掛けた線材等を少なくとも2方向に操作しなければならないため、不正解錠操作が行いにくくなる。
結果として、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能が格段に向上する。
また、内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621を、これに対応する内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618と、摺動杆610との間に配設することにより、内ロック部材615等の露出する部位が減る。従って、内ロック部材615等に線材等を引っ掛けたり、金属片等を押し当てたりすることのできる部位の露出度も減り、上述したような不正解錠操作が行いにくくなる。
さらに、支持板603の後縁部にフランジ部603aが設けられていることにより、内鉤部材613等と摺動杆610との隙間から線材等を進入させ、内ロック部材615等に引っ掛けるといった不正行為がより困難となる。
加えて、内鉤部材613,614にはガード部613f,614fが設けられ、前鉤部材616,617,618にはガード部として機能する膨出凹部616g,617g,618gが設けられている。これにより、内ロック部材615,623のフック部615f,623fや突起部615g,623g、前ロック部材619,620,621の突起部619g,620g,621gなどに対し線材等を引っ掛けにくくなる。
結果として、線材等を用いた不正解錠に対する防御性能をさらに高めることができる。
また、本実施形態では、摺動杆610を共用しつつも、内枠12と前面枠セット14とを別々に開放でき、メンテナンス時等の作業性の向上を図るとともに、部品点数の増加を抑制することができる。このような構成では、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618を摺動杆610に対して上下動可能に係合する構成を採用せざるを得ないため、内鉤部材613,614等に対する直接の解錠操作によっては当該内鉤部材613,614等が上下動しないようにする上記防御機能がより奏効することとなる。
さらに、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618は、それぞれ独立して摺動変位するように構成されているため、不正行為により仮に内鉤部材613,614のいずれか一方、又は、前鉤部材616,617,618のいずれかが解錠方向へ摺動させられてしまった場合でも、他は摺動しないため、内枠12や前面枠セット14の施錠状態が保持され、開放は許容されない。結果として、内鉤部材613等の解錠方向への摺動変位を規制する内ロック部材615等との相乗効果により、不正解錠に対する防御性能がさらに向上する。
また、本実施形態では、内枠12や前面枠セット14を施錠する際に、鍵Kを用いることなく施錠を行うことができるように構成されている。より詳しくは、内枠12等を施錠する際に、コイルばねC1等の引張力に抗して、内鉤部材613等が受け金具83等に接触して一旦解錠方向に変位するとともに、内ロック部材615等が受け金具83等に接触して回動変位する。その後、コイルばねC1等の引張力により、内鉤部材613等が元の位置に戻り、施錠が完了すると、内ロック部材615等も元の姿勢に戻る。これにより、内枠12等の開放が規制された状態となるとともに、内ロック部材615等によりロックがかかったロック状態となる。このような構成とすることで、内ロック部材615等が邪魔になることなく、スムーズに内枠12等を閉めることができ、作業性が向上する。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)施錠装置600の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、内枠12の施錠機構及び前面枠セット14の施錠機構が、単一の施錠装置600によって具現化されている。これに限らず、例えば前面枠セット14が内枠12と一体形成された構成等においては、当該前面枠セット14の施錠機構を省略した構成としてもよい。また、内枠12の施錠機構となる施錠装置と、前面枠セット14の施錠機構となる施錠装置とを別々に設けた構成としてもよい。この場合、例えば内枠12の施錠機構となる施錠装置を外枠11側に備える構成としてもよい。
(b)上記実施形態では、内枠12の施錠機構、及び前面枠セット14の施錠機構の両施錠機構とも、内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621等よりなるロック機構を備えた構成となっている。これに限らず、少なくとも一方の施錠機構にのみ上記ロック機構を採用した構成としてもよい。
(c)上記実施形態では、内枠12の施錠機構に関しては、両内鉤部材613,614に対応して内ロック部材615,623が設けられ、前面枠セット14の施錠機構に関しては、3つの前鉤部材616,617,618すべてに対応して前ロック部材619,620,621が設けられた構成となっている。これに限らず、例えば内枠12の施錠機構に関しては、2つの内鉤部材613,614のうちのいずれか一方のみに対応して内ロック部材を備えた構成としてもよい。また、前面枠セット14の施錠機構に関しては、3つの前鉤部材616,617,618のうちの少なくとも1つに対応して前ロック部材が設けられた構成としてもよい。少なくとも1つに対応して設けられていれば、不正解錠に対する防御性能を十分に発揮することはできる。
(d)上記実施形態では、内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621が回動変位することにより、ロック状態(第1状態)と非ロック状態(第2状態)とに状態変化する構成となっている。これに限らず、例えばラックアンドピニオン機構により、摺動杆610の動作に連動して略水平方向にスライド変位するロック部材などを採用してもよい。
(e)内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618の構成は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では1つの摺動杆610を共用して、内枠12の解錠と前面枠セット14の解錠とを別々に行う構成となっており、当該摺動杆610に対し、内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618がそれぞれ相対変位可能に係合されている。これに代えて、内鉤部材613,614又は前鉤部材616,617,618の一方を摺動杆610に相対変位不能に設けた構成としてもよい。構成例としては、内鉤部材613,614又は前鉤部材616,617,618が摺動杆610と一体形成された構成や、摺動杆610に対しネジ等の固定手段により相対変位不能に固定された構成などが挙げられる。
また、内枠12用と、前面枠セット14用に、別々に摺動する2つの摺動杆を備え、各摺動杆に対して内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618がそれぞれ相対変位不能に設けられた構成としてもよい。
また、内鉤部材613等の各鉤部材、及びこれに対応する受け金具83等の各被係止部材の数は、上記実施形態の数に限定されるものではなく、内枠12の施錠機構など各施錠機構に対応して、例えば1つであってもよい。
(f)上記実施形態では、シリンダ錠700の鍵穴702に鍵Kを挿入し、時計回り方向に回動操作することで内枠12が解錠され、反時計回りに回動操作することで前面枠セット14が解錠される構成となっている。つまり、内鉤部材613,614が上方へ摺動することにより受け金具83,84から離脱し、前鉤部材616,617,618が下方へ摺動することにより、受け金具91,92,93から離脱する構成となっている。これに限らず、両者の解錠操作が逆となる構成としてもよい。
(g)上記実施形態における施錠装置600には、シリンダ錠700の背面側を覆うようにして施錠カバー740が取付固定されている。これに限らず、施錠カバー740を省略した構成としてもよい。
(h)上記実施形態では、例えば内ロック部材615,623を介して、コイルばねC1,C2の付勢力が内鉤部材613,614に伝わる構成となっている。つまり、内鉤部材613,614の付勢手段と、内ロック部材615,623の維持手段とが、単一のコイルばねC1,C2により構成されている。また、同様に、前鉤部材616,617,618の付勢手段と、前ロック部材619,620,621の維持手段とが、単一のコイルばねC3,C4,C5により構成されている。これに限らず、各鉤部材の付勢手段と、各ロック部材の維持手段を別々のコイルばねにより構成してもよい。勿論、付勢手段や維持手段はコイルばねに限定されるものではない。また、付勢手段や維持手段の力が、摺動杆610など他の部材を介して間接的に鉤部材やロック部材に伝わる構成としてもよい。
(i)被係止部材の構成も上記実施形態の受け金具83,84や受け金具91,92,93に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、内鉤部材613,614が受け金具83,84に係合された状態では、内鉤部材613,614や内ロック部材615,623の先端部の周囲が、当該受け金具83,84の周壁部83d,84dによって囲まれた状態となる。従って、受け金具83,84は、被係止部材としての機能と、カバー部材としての機能を併せ持つこととなる。これに限らず、周壁部83d,84dに代えてカバー部材を別体で設けた構成としてもよいし、周壁部83d,84dなどカバー部材として機能する部位を省略した構成としてもよい。
(j)上記実施形態では、鍵Kの非挿入状態においてシリンダ錠700がロック状態となり、摺動杆610の摺動変位がカム板720により規制される構成を採用している。これに限らず、例えば、摺動杆610が基準位置にある場合には、カム板720の両係合爪720a,720bが係合孔725,726に挿入された状態とならず、摺動杆610の摺動が規制されない構成を採用してもよい。また、鍵Kの非挿入状態においてもロック状態とならない(カム板720が変位不能とならない)シリンダ錠を採用してもよい。
(k)上記実施形態では、内ロック部材615,623や前ロック部材619,620,621を、これに対応する内鉤部材613,614や前鉤部材616,617,618と、摺動杆610との間に配設している。これに限らず、内ロック部材615等は、少なくとも内鉤部材613等と支持板603との間に配設されていればよい。例えば、支持板603に対し、内ロック部材615等の各種ロック部材、内鉤部材613等の各種鉤部材、摺動杆610の順に重ね合わされた構成としてもよいし、支持板603に対し、内ロック部材615等の各種ロック部材、摺動杆610、内鉤部材613等の各種鉤部材の順に重ね合わされた構成としてもよい。
(l)上記実施形態では、支持板603の後縁部にフランジ部603aを設けることにより、内鉤部材613等と摺動杆610との隙間から線材等を進入させ、内ロック部材615等に引っ掛けるといった不正行為を防止している。これに限らず、フランジ部603aを省略した構成としてもよい。
(m)上記実施形態では、内鉤部材613,614にはガード部613f,614fが設けられ、前鉤部材616,617,618にはガード部として機能する膨出凹部616g,617g,618gが設けられることにより、内ロック部材615,623のフック部615f,623fや突起部615g,623g、前ロック部材619,620,621の突起部619g,620g,621gなどに対し線材等を引っ掛けにくくしている。これに限らず、ガード部613f,614fや膨出凹部616g,617g,618gのうちの少なくとも1つを省略した構成としてもよい。
(n)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、それに類する雀球等の各種遊技機、スロットマシン等の回胴式遊技機、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機などとして実施してもよい。